JP7225583B2 - 画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像表示装置に関する。
近年、表示素子として、有機発光ダイオード(OLED)素子を用いた画像表示装置の開発が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。有機発光ダイオード素子を用いた画像表示装置は、液晶表示装置に代表される非発光型の表示装置とは異なり、自発光型であり、バックライト装置などの光源が不要であるため、薄型化および軽量化を図ることが可能である。
OLED素子は、外光等によって劣化するおそれがある。このため、現在、OLED素子を用いた画像表示装置においては、OLED素子の劣化を抑制することが望まれている。
また、OLED素子は、ブルーライトと呼ばれる光を発している。ブルーライトは、波長380nm~500nmの波長域の光で紫外線に近い性質を持っており、強いエネルギーを有しているため、角膜や水晶体で吸収されずに網膜に到達することで、網膜の損傷、眼精疲労、睡眠への悪影響等の原因になると言われている。このため、現在、ブルーライトを遮蔽することが望まれている。
このようなブルーライトの問題を解決する方法として、例えば、画像表示装置等に用いられる層に紫外線吸収剤を含有させる方法が検討されている。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物が知られている(特許文献1および2参照)。
特開2000-034464号公報 特開2006-264312号公報
しかしながら、従来の紫外線吸収剤は、吸収波長域が300nm~360nm付近を中心とした比較的短い波長域であるため、ブルーライト遮蔽性能は充分とは言えないものであった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、有機発光ダイオード素子の劣化を抑制できるとともに、ブルーライトを遮蔽できる画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明の一の態様によれば、有機発光ダイオード素子と、前記有機発光ダイオード素子よりも観察者側に設けられたカバー層と、前記有機発光ダイオード素子と前記カバー層との間に設けられた樹脂層と、を備え、前記樹脂層のインデンテーション硬さが、100MPa以上600MPa以下であり、前記樹脂層が、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収する光吸収剤を含む、画像表示装置が提供される。
上記画像表示装置において、前記樹脂層の膜厚が、0.5μm以上50μm以下であってもよい。
上記画像表示装置において、前記光吸収剤が、下記一般式(A)で表される化合物であってもよい。
Figure 0007225583000001
(式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基または炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基を表す。)
上記画像表示装置において、前記光吸収剤が、下記一般式(B)で表される化合物であってもよい。
Figure 0007225583000002
(式(B)中、Rは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基またはアラルキル基を表し、Rは、-CNまたは-COORを表し、ここで、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基またはアラルキル基(ただし、Rがメチル基である場合はエチル基を除く。)を表す。)
本発明の他の態様によれば、有機発光ダイオード素子と、前記有機発光ダイオード素子よりも観察者側に設けられたカバー層と、前記有機発光ダイオード素子と前記カバー層との間に設けられた樹脂層と、を備え、前記樹脂層が、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物の少なくともいずれかを含む、画像表示装置が提供される。
上記画像表示装置において、前記樹脂層のインデンテーション硬さが、100MPa以上600MPa以下であってもよい。
上記画像表示装置において、前記樹脂層の膜厚が、0.5μm以上50μm以下であってもよい。
上記画像表示装置において、前記樹脂層が、接着層であってもよい。
上記画像表示装置において、前記セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物が、下記一般式(A)で表される化合物であってもよい。
Figure 0007225583000003
(式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基または炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基を表す。)
上記画像表示装置において、前記インドール系化合物が、下記一般式(B)で表される化合物であってもよい。
Figure 0007225583000004
(式(B)中、Rは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基またはアラルキル基を表し、Rは、-CNまたは-COORを表し、ここで、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基またはアラルキル基(ただし、Rがメチル基である場合はエチル基を除く。)を表す。)
本発明の一の態様および他の態様によれば、有機発光ダイオード素子の劣化を抑制できるとともに、ブルーライトを遮蔽できる画像表示装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。 第1の実施形態に係る他の画像表示装置の概略構成図である。 第2の実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。本明細書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。図1は本実施形態に係る画像表示装置の概略構成図であり、図2は本実施形態に係る他の画像表示装置の概略構成図である。
<<<<<画像表示装置>>>>>
図1に示される画像表示装置10は、観察者側に向けて、有機発光ダイオード素子(以下、「OLED素子」と称することもある。)20と、タッチセンサ30と、樹脂層49を含む円偏光板40と、カバー層60とを、この順で備えている。樹脂層49は、円偏光板40に組み込まれているが、OLED素子とカバー層との間に設けられていれば、円偏光板に組み込まれていなくともよい。タッチセンサ30と円偏光板40との間および円偏光板40とカバー層60との間は、接着層71、72を介して接着されている。本明細書における「接着」とは粘着を含む概念である。
画像表示装置10の大きさは、特に制限されず、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)、ウェアラブル端末、デジタルサイネージ、テレビジョン等の大きさに応じて適宜決定される。具体的には、画像表示装置10の大きさは、例えば、1インチ以上500インチ以下となっていてもよい。
<<<<有機発光ダイオード素子>>>>
有機発光ダイオード素子20としては、公知の有機発光ダイオード素子を用いることができる。
<<<<タッチセンサ>>>>
タッチセンサ30としては、公知のタッチセンサを用いることができる。タッチセンサ30の種類としては、特に限定されないが、例えば、静電容量方式のタッチセンサを用いることができる。タッチセンサ30は、OLED素子20と円偏光板40との間に配置されているが、円偏光板とカバー層との間に配置されていてもよい。
<<<<カバー層>>>>
カバー層60の表面60Aは、画像表示装置10の表面10Aとなっている。カバー層60は、カバーガラスまたは樹脂からなるカバーフィルムであってもよい。画像表示装置10が、屈曲性を有する場合には、カバー層60は屈曲性を有するガラスや屈曲性を有する樹脂から構成されていることが好ましい。屈曲性を有する樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂)、またはこれらの樹脂を2以上混合した混合物等が挙げられる。
<<<<接着層>>>>
接着層71、72は、電離放射線重合性化合物を含む液状の電離放射線硬化性接着剤(例えば、OCR:Optically Clear Resin)の硬化物や粘着剤(例えば、OCA:Optical Clear Adhesive)から構成することが可能である。
接着層71、72の膜厚は、画像表示装置10の薄型化を図る観点から、0.5μm以上50μm以下であることが好ましい。接着層71、72の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、接着層71、72の断面を撮影し、その断面の画像において接着層71、72の厚みを20箇所測定し、その20箇所の膜みの算術平均値を求めることによって求めることができる。
具体的な断面写真の撮影方法は以下の通りとする。まず、1mm×10mmに切り出した接着層を含む積層体を包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm~300nm程度の切片を切り出す。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)等を用いる。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとする。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)(製品名「S-4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影する。上記S-4800を用いて断面写真を撮影する際には、検出器を「SE」、加速電圧を「3kV」、エミッション電流を「10μA」にして断面観察を行った。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら100~10万倍、好ましくは接着層の膜厚に応じて1000倍~1万倍で適宜調節する。なお、膜厚の測定ぶれを低減するために、接着層の膜厚を極力低倍率で測定することが推奨される。例えば、接着層の膜厚が9μm程度の場合には倍率2000倍、5μm程度の場合には倍率2000~5000倍が好ましい。さらに、アパーチャーを「ビームモニタ絞り1」にし、対物レンズ絞りを「2」にし、またW.D.を「8mm」にする。
<<<<円偏光板>>>>
円偏光板40は、外光をカットする機能を有する。円偏光板40は、例えば、観察者側に向けて、第1の位相差フィルム41(以下、単に「位相差フィルム41」と称することもある。)と、接着層42と、第2の位相差フィルム43(以下、単に「位相差フィルム43」と称することもある。)と、接着層44と、第1の保護フィルム45(以下、単に「保護フィルム45」と称することもある。)と、偏光子46と、第2の保護フィルム47(以下、単に「保護フィルム47」と称することもある。)とを、この順で備えている。
円偏光板40は、波長380nmにおける分光透過率が1%未満となっており、波長410nmにおける分光透過率が0.5%以上30%未満となっており、かつ波長440nmにおける分光透過率が35%以上となっていることが好ましい。円偏光板40における波長380nmにおける分光透過率が1%未満であれば、優れたブルーライトの遮蔽率を達成できる。また、円偏光板における波長410nmにおける分光透過率が0.5%以上であれば、円偏光板40の黄色味を抑制でき、また波長410nmにおける分光透過率が30%未満であると、透過光に悪影響を与えずに優れたブルーライトの遮蔽率を達成できる。円偏光板40における波長440nmにおける分光透過率が35%以上であれば、イエローインデックスが低く円偏光板40自体の色味が黄色くならず、また可視光領域の透過率低下を抑制できる。円偏光板40の波長380nmにおける分光透過率の上限は、0.5%未満、0.2%未満であることがより好ましい(数値が小さいほど好ましい)。円偏光板40の波長410nmにおける分光透過率の下限は1%以上であることがより好ましく、上限は25%以下であることがより好ましい。円偏光板40の波長440nmにおける分光透過率の下限は、40%以上、45%以上であることがより好ましい(数値が大きいほど好ましい)。
分光透過率は、50mm×50mmの大きさに切り出した円偏光板を、透過率を0.5nm刻みにて測定可能な分光光度計(製品名「UV-2450」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)内に円偏光板の第1の位相差フィルム側が光源側となるように配置した状態で、以下の測定条件で、波長380nm、410nm、および440nmにおいてそれぞれ前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率を測定し、その平均値を算出することによって求めるものとする。なお、波長380nm、410nm、および440nmにおける分光透過率は、それぞれ3回測定して得られた値の算術平均値とする。また、分光透過率のスペクトルにうねりが出るようであれば、デルタ5.0nmでスムージング処理を行ってもよい。
(測定条件)
・波長域:300nm~780nm
・スキャン速度:高速
・スリット幅:2.0
・サンプリング間隔:オート(0.5nm間隔)
・照明:C
・光源:D2およびWI
・視野:2°
・光源切替波長:360nm
・S/R切替:標準
・検出器:PM
・オートゼロ:ベースラインのスキャン後550nmにて実施
円偏光板40は、波長420nmにおける分光透過率が5%以上25%以下であることが好ましい。波長420nmにおける分光透過率をこの範囲内にすることによって、ブルーライト遮蔽性能の発揮、着色による視認性低下の抑制および透明性の確保を図ることができる。円偏光板40における波長420nmにおける分光透過率も、波長380nm等における分光透過率と同様に測定するものとする。
円偏光板に粘着層や接着層を介してカバーガラス等が設けられている場合には、粘着層や接着層とともにカバーガラス等を剥離してから、波長380nm、410nm、420nm、440nmにおける分光透過率を測定するものとする。カバーガラス等の剥離は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、円偏光板に粘着層や接着層を介してカバーガラス等が付いた積層体をドライヤーで加熱し、円偏光板とカバーガラス等の界面と思われる部位にカッターの刃先を入れて、ゆっくりと剥離していく。このような加熱と剥離を繰り返すことで、粘着層や接着層およびカバーガラス等を剥離することができる。なお、このような剥離工程があったとしても、分光透過率の測定には大きな影響はない。
円偏光板40は、イエローインデックス(YI)が15以下であることが好ましい。円偏光板40のYIが15以下であれば、円偏光板40の黄色味を抑制でき、透明性が求められる用途にも適用できる。イエローインデックス(YI)は、50mm×50mmの大きさに切り出した保護フィルムを、分光光度計(製品名「UV-2450」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)内に円偏光板の第1の位相差フィルム側が光源側となるように配置した状態で測定した円偏光板の波長300nm~780nmの透過率から、JIS Z8722:2009に記載された演算式に従って色度三刺激値X、Y、Zを計算し、三刺激値X、Y、ZからASTM D1925:1962に記載された演算式に従って算出される値である。イエローインデックス(YI)は、保護フィルム1枚に対して波長300nm~780nmの透過率を3回測定することによって3回算出し、3回算出して得られた値の算術平均値とする。なお、UV-2450においては、イエローインデックスは、UV-2450に接続されたモニター上で、上記透過率の測定データを読み込み、計算項目にて「YI」の項目にチェックを入れることによって算出される。波長300nm~780nmの透過率の測定条件は、上記波長380nm、410nm、および440nmにおける分光透過率の測定条件と同様である。YIの下限は、本来は高透明性の確保という観点から低い方が好ましいが、ブルーライトカット性能も付与することを考えると、1以上、2以上、3以上であることがより好ましい(数値が大きい方が好ましい)。ただし、YIが大きすぎると今度は黄色味が強くなってしまう場合がある。このため、YIの上限は、10以下、7以下、6以下であることがより好ましい(数値が小さい方が好ましい)。
また、円偏光板に粘着層や接着層を介してカバーガラス等が設けられている場合には、上記と同様の方法によって粘着層や接着層とともにカバーガラスを剥離してから、イエローインデックス(YI)を測定するものとする。なお、このような剥離工程があったとしても、イエローインデックス(YI)の測定には大きな影響はない。
円偏光板40は、ブルーライトの遮蔽率が20%以上であることが好ましい。ブルーライトの遮蔽率が20%以上であれば、上述したブルーライトに起因した問題が充分に解消できる。上記ブルーライトの遮蔽率は、例えば、まず、50mm×50mmの大きさに切り出した円偏光板を、分光透過率を0.5nm刻みにて測定可能な分光光度計(製品名「UV-2450」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)内に円偏光板の第1の位相差フィルム側が光源側となるように配置した状態で、波長300nm~780nmにおいてそれぞれ前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率を測定する。そして、ブルーライトカット率(%)をAとし、波長380nm~500nmの透過率の平均値(%)をBとし、波長500nm~650nmの透過率の平均値(%)をCとして、ブルーカット率を下記式によって求める。なお、ブルーライトの遮蔽率は、3回測定して得られた値の算術平均値とする。また、分光透過率の測定条件は、上記波長380nm、410nm、および440nmにおける分光透過率の測定条件と同様である。
A=(1-B/C)×100
また、円偏光板に粘着層や接着層を介してカバーガラス等が設けられている場合には、上記と同様の方法によって粘着層や接着層とともにカバーガラス等を剥離してから、ブルーライトの遮蔽率を測定するものとする。なお、このような剥離工程があったとしても、ブルーライトの遮蔽率の測定には大きな影響はない。
円偏光板40は、最小二乗法を用いて得られた波長410nm~420nmの範囲の透過スペクトルの傾きが、2以上3.8以下であることが好ましい。上記傾きが2以上であれば、ブルーライトの光波長域、例えば、波長380nm~500nmの波長域において充分に光がカットできる。また、ブルーライトの光波長域(波長380nm~500nm)をカットしすぎている可能性も考えられ、その場合、画像表示装置の発光波長域(例えば、OLED素子の波長430nmからの発光)に干渉してしまい、色味が悪くなるといった不具合が発生する可能性が大きくなることがある。
上記傾きは、以下のようにして求めるものとする。まず、50mm×50mmの大きさに切り出した円偏光板を、例えば、透過率を0.5nm刻みにて測定可能な分光光度計(製品名「UV-2450」、株式会社島津製作所製)内に円偏光板の第1の位相差フィルム側が光源側となるように配置した状態で、波長410nm~420nmにおいてそれぞれ前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率を測定し、その平均値を算出することによって波長410nm~420nmの分光透過率をそれぞれ求める。次いで、得られた分光透過率を用いて、最小二乗法によって波長410nm~420nmの分光透過率の傾きを求める。なお、上記傾きは、3回測定して得られた値の算術平均値とする。また、分光透過率の測定条件は、上記波長380nm、410nm、および440nmにおける分光透過率の測定条件と同様である。
円偏光板40に対し、JIS K5600-5-1:1999に準じるマンドレル試験(2mmから32mmの金属製円柱にサンプルを巻きつける試験)を行ったとき、円偏光板40にクラック(ひび)が発生しなかったときの円柱の最小直径は6mm以下であることが好ましい。最小直径が6mm以下であれば、優れたフレキシブル性を得ることができる。マンドレル試験は、50mm×50mmの大きさに切り出した円偏光板を、第2の樹脂層が内側となるように円柱に巻き付けて行うものとする。
<<<第1の位相差フィルム>>>
位相差フィルム41としては、ポジティブCプレートまたはλ/4位相差フィルムを用いることができる。
<<ポジティブCプレート>>
ポジティブCプレートは、面内方向の屈折率をnx、nyとし、厚さ方向の屈折率をnzとすると、nx≒ny<nzの関係を満たすフィルムである。ポジティブCプレートを配置することにより、表示画面の法線方向に対して斜め方向から見たときの色味を改善できる。ポジティブCプレートは、例えば、垂直配向した液晶層から構成されていてもよい。
<<λ/4位相差フィルム>>
λ/4位相差フィルムとは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、フィルムの面内位相差が約1/4となる特性を備えるフィルムである。λ/4位相差フィルムを配置することにより、直線偏光を円偏光に、または円偏光を直線偏光に変換することができる。
λ/4位相差フィルムとしては、正の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムや負の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムが挙げられる。正の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムは、長波長になるほど位相差が小さくなる性質を有するフィルムであり、負の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムは、長波長になるほど位相差が大きくなる性質を有するフィルムである。
正の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムは、延伸倍率を調整しながら樹脂フィルムを延伸することによって得ることができる。λ/4位相差フィルムを得るための樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。負の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムは、例えば、ポリカーボネート系樹脂、芳香族構造を有する樹脂によって得ることができる。
<<<接着層>>>
接着層42、44は、電離放射線重合性化合物を含む液状の電離放射線硬化性接着剤(例えば、OCR:Optically Clear Resin)の硬化物や粘着剤(例えば、OCA:Optical Clear Adhesive)から構成することが可能である。接着層42の膜厚は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましい。接着層42、44の膜厚は、接着層71、72の膜厚と同様の方法によって求めることができる。
<<<第2の位相差フィルム>>>
位相差フィルム41がポジティブCプレートである場合には、位相差フィルム43としては、負の波長分散性(逆波長分散性)を有するλ/4位相差フィルムを用いることができ、また位相差フィルム41がλ/4位相差フィルムである場合には、λ/2位相差フィルムを用いることができる。
<<負の波長分散性を有するλ/4位相差フィルム>>
負の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムとしては、上記λ/4位相差フィルムの欄で説明した負の波長分散性を有するλ/4位相差フィルムと同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<λ/2位相差フィルム>>
λ/2位相差フィルムとは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、フィルムの面内位相差が約1/2となる特性を備えたフィルムである。λ/2位相差フィルムを配置することにより、広い波長帯域において円偏光に変換することができる。
λ/2位相差フィルムは、延伸倍率を調整しながら樹脂フィルムを延伸することによって得ることができる。λ/2位相差フィルムを得るための樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
<<<第1の保護フィルム>>>
保護フィルム45は、偏光子46を保護するためのものである。保護フィルム45の厚みは、5μm以上80μm以下であることが好ましい。保護フィルム45の厚みは、接着層71、72の膜厚と同様の方法によって求めることができる。
保護フィルム45は、樹脂から構成されていることが好ましい。樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセチルセルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、OLED素子20は水分によっても劣化しやすいので、水蒸気透過率が低く、OLED素子20の水分による劣化を抑制する観点から、(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。これらの光透過性基材は必要に応じて、可塑剤、紫外線吸收剤、易滑剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)の少なくとも1種を構成成分とする樹脂等が挙げられる。ポリエステル基材を用いた場合、紫外光が照射されると励起されて蛍光を発する性質を有することが知られている。このような蛍光は、表示面の色味に影響を及ぼすことがあるので、ポリエステル系樹脂を用いる場合には、上述のように波長380nm以下の光はほぼ遮蔽することが好ましい。これにより樹脂としてポリエステル系樹脂を用いたとしても、蛍光が生じることを好適に防止することができる。
アセチルセルロース系樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース系樹脂、ジアセチルセルロース系樹脂が挙げられる。トリアセチルセルロース系樹脂は、可視光域380~780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な基材である。トリアセチルセルロース系基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
なお、トリアセチルセルロース系樹脂としては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であってもよい。また、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステルが添加されていてもよい。
シクロオレフィン系樹脂としては、例えばノルボルネン系モノマーおよび単環シクロオレフィンモノマー等の重合体からなる基材が挙げられる。シクロオレフィン系樹脂の市販品としては、例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト株式会社製のスミライトFS-1700、JSR株式会社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学株式会社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成株式会社製のオプトレッツOZ-1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート系樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体系樹脂等が挙げられる。
<<<偏光子>>>
偏光子46は、保護フィルム45、47間に配置されている。偏光子46は、ヨウ素または二色性色素により染色し、一軸延伸させたポリビニルアルコール系樹脂フィルムが上げられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等を用いることもできる。
<<<第2の保護フィルム>>>
保護フィルム47も、偏光子46を保護するためのものである。保護フィルム47は、光透過性基材48と、第1の樹脂層49(以下、単に「樹脂層49」と称することもある。)と、第2の樹脂層50(以下、単に「樹脂層50」と称することもある。)が、この順で積層された積層体となっている。保護フィルム47の表面は、第2の樹脂層50の表面となっている。「第2の樹脂層の表面」とは、第2の樹脂層における光透過性基材側の面とは反対側の面を意味するものとする。
保護フィルム47の厚みは、5μm以上80μm以下であることが好ましい。保護フィルム47の厚みは、接着層71、72の膜厚と同様の方法によって求めることができる。
保護フィルム47は、波長380nmにおける分光透過率が1%未満となっており、波長410nmにおける分光透過率が1%以上60%未満となっており、かつ波長440nmにおける分光透過率が70%以上となっていることが好ましい。保護フィルム47における波長380nmにおける分光透過率が1%未満であれば、優れたブルーライトの遮蔽率を達成できる。また、保護フィルムにおける波長410nmにおける分光透過率が1%以上であれば、保護フィルム47の黄色味を抑制でき、また波長410nmにおける分光透過率が60%未満であると、透過光に悪影響を与えずに優れたブルーライトの遮蔽率を達成できる。保護フィルム47における波長440nmにおける分光透過率が70%以上であれば、イエローインデックスが低く保護フィルム47自体の色味が黄色くならず、また可視光領域の透過率低下を抑制できる。保護フィルム47の波長380nmにおける分光透過率の上限は、0.5%未満、0.2%未満であることがより好ましい(数値が小さいほど好ましい)。保護フィルム47の波長410nmにおける分光透過率の下限は3%以上であることがより好ましく、上限は55%以下であることがより好ましい。保護フィルム47の波長440nmにおける分光透過率の下限は、75%以上、80%以上であることがより好ましい(数値が大きいほど好ましい)。保護フィルム47の分光透過率は、円偏光板40の分光透過率と同様の方法によって測定するものとする。
保護フィルム47の表面(樹脂層50の表面)は、柔軟性を得る観点から、鉛筆硬度試験で測定されたときの硬度(鉛筆硬度)が、B~Hであることが好ましい。鉛筆硬度試験は、50mm×100mmの大きさに切り出した保護フィルムをガラス板上に折れやシワがないようニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標)で固定し、保護フィルムの表面に対し鉛筆硬度試験機(製品名「鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機(電動式)」、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、鉛筆(製品名「ユニ」、三菱鉛筆株式会社製)に300gの荷重を加えながら3mm/秒の移動速度で移動させることにより行うものとする。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験において保護フィルム47の表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上保護フィルム47の表面に傷が付かなかった場合には、この硬度の鉛筆においては保護フィルム47の表面に傷が付かなかったと判断する。上記傷は、鉛筆硬度試験を行った保護フィルム47の表面を蛍光灯下で透過観察して視認されるものを指す。
保護フィルム47の表面(樹脂層50の表面)における水に対する接触角は、75°以下となっていることが好ましい。この接触角が、75°以下であれば、接着層72との密着性が良好となる。保護フィルム47の表面における水に対する接触角は、JIS R3257-1999に記載の静滴法に従って、顕微鏡式接触角計(製品名「DropMaster300」、協和界面科学株式会社製)を用いて、測定する。水に対する接触角は、1μLの水を保護フィルム47の表面に滴下して、滴下直後における接触角を10点測定し、それらの算術平均値を保護フィルム47の表面の接触角とする。保護フィルム47の表面における水に対する接触角は、70°以下となっていることがより好ましい。
<<光透過性基材>>
光透過性基材48の厚みは、保護フィルム45の厚みと同様の理由から、5μm以上80μm以下であることが好ましい。光透過性基材48の厚みは、接着層71、72の膜厚と同様の方法によって求めることができる。光透過性基材48は、樹脂から構成されていることが好ましい。樹脂は、保護フィルム45と同様のものを用いることができるので、ここでは説明を省略するものとする。
<<第1の樹脂層>>
樹脂層49は、OLED素子20とカバー層60との間に配置されており、ハードコート層として機能する層である。樹脂層49のインデンテーション硬さは、100MPa以上600MPa以下となっている。樹脂層49のインデンテーション硬さが、100MPa以上であれば、所望の硬度を得ることができるとともに耐擦傷性の低下を抑制でき、また600MPa以下であれば、柔軟性に優れた樹脂層49を得ることができる。樹脂層49のインデンテーション硬さの下限は150MPa以上であることが好ましく、上限は500MPa以下であることが好ましい。本明細書における「インデンテーション硬さ」とは、圧子の負荷から除荷までの荷重-変位曲線から求められる値である。
インデンテーション硬さ(HIT)は、HYSITRON(ハイジトロン)社製のTI950 TriboIndenterを用いて測定することができる。具体的には、まず、1mm×10mmに切り出した保護フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、ナノインデンテーション法での硬度測定に適した測定用サンプルを作製する。測定用サンプルの作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)等を用いることができる。次いで、測定サンプルの圧子を押し込む面がステージの載置面と平行となるように測定サンプルをHYSITRON(ハイジトロン)社製のTI950 TriboIndenterのステージに固定する。そして、樹脂層の断面中央の平坦な部分に、荷重制御方法で、最大押し込み荷重が300μNとなるように、荷重速度10μN/秒でバーコビッチ型圧子を、30秒で荷重0μNから300μNまで負荷を加えながら樹脂層に押し込み、その後300μNで5秒間保持した後、30秒で300μNから0μNまで除荷する。そして、このときの押し込み荷重F(N)に対応する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、荷重-変位曲線を作成する。作成された荷重-変位曲線からインデンテーション硬さHITを、下記式(1)のように最大押し込み荷重Fmax(N)を、圧子と樹脂層が接している投影面積A(mm)で除した値により求めることができる。インデンテーション硬さは、10箇所測定して得られた値の算術平均値とする。
IT=Fmax/A …(1)
ここで、Aは下記式(2)によって求められる値である。
=23.96(hmax-0.75(hmax-h)) …(2)
上記式(2)中、hmaxは最大押し込み深さであり、hはFmaxにおける除荷曲線の接線が横軸(変位)の交点の値である。
樹脂層49の膜厚は、0.5μm以上15μm以下であることが好ましい。樹脂層49の膜厚が、0.5μm以上であれば、生産工程での傷付き防止可能な硬度を得ることができる。また、樹脂層49の膜厚が、15μm以下であれば、折り曲げ時や湾曲時におけるクラックの発生を抑制できる。樹脂層49の膜厚は、接着層71、72の膜厚と同様の方法によって求めることができる。樹脂層49の膜厚の下限は、1μm以上であることがより好ましく、上限は、10μm以下であることがより好ましい。
樹脂層49は、主に樹脂から構成されているが、樹脂以外にまたは樹脂の一部として波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収する光吸収剤を含んでいる。
<樹脂>
樹脂層に含まれる樹脂としては、電離放射線重合性化合物の重合物を含むものである。樹脂は、電離放射線重合性化合物の重合物の他、溶剤乾燥型樹脂や熱硬化性化合物を含んでいてもよい。
(電離放射線重合性化合物)
電離放射線重合性化合物は、電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における、「電離放射線重合性官能基」とは、電離放射線照射により重合反応し得る官能基である。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、本明細書における「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、電離放射線重合性化合物を重合する際に照射される電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
エチレン性不飽和基を1つ有する電離放射線重合性化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N-ビニルピロリドン等を挙げることができる。エチレン性不飽和基を2以上有する電離放射線重合性化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物、又は、上記多官能化合物と(メタ)アクリレート等の反応生成物(例えば多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)等を挙げることができる。
上記化合物のほかに、エチレン性不飽和基を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線重合性化合物として使用することができる。
(溶剤乾燥型樹脂)
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。上記電離放射線重合性化合物と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや重合性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
(熱硬化性化合物)
熱硬化性化合物としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
<光吸収剤>
光吸収剤は、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収すればよく、この波長域内に吸収ピークを有しなくともよい。また、光吸収剤は、波長380nm以上500nm以下の波長域内の一部の波長の光を吸収していればよく、この波長域内の全ての波長の光を吸収している必要はない。光吸収剤においては、波長380nm以上500nm以下の波長域内での最大吸光度は、0.5以上であることが好ましい。
光吸収剤としては、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収するものであれば、特に限定されず、例えば、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物の少なくともいずれかが挙げられる。樹脂層が、光吸収剤を含むか否かは、まず、樹脂層の欠片を採取して、その欠片を赤外分光分析(IR)によって測定し、得られた赤外吸収スペクトルを市販の光吸収剤と比べることによって調べることができる。光吸収剤は、樹脂層49を構成する樹脂中に共重合体として含まれていてもよい。
(セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物)
セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、下記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。下記一般式(A)で表される化合物であれば、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収することができる。下記一般式(A)で表される化合物は、樹脂層49を構成する樹脂中に単量体単位として含まれる。
Figure 0007225583000005
式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基または炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基を表す。
上記一般式(A)で表されるセサモール型ベンゾトリアゾール系化合物は、ベンゾトリアゾール環の2位の窒素原子にセサモールを結合させた化合物からの誘導体であり、ベンゾトリアゾール環のベンゼン部位に重合性2重結合を導入した分子構造を有する。最大吸収波長λmaxは365nm以上であり、波長300nm以上400nm以下の波長域を包括する広い範囲の紫外線吸収スペクトルを有し、400nm付近の長波長域まで紫外線吸収能力を有する。
上記セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物としては特に制限されないが、具体的な物質名としては、2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]エチルメタクリレート、2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]エチルアクリレート、3-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]プロピルメタクリレート、3-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]プロピルアクリレート、4-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]ブチルメタクリレート、4-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]ブチルアクリレート、2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート、2-[3-{2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル}プロパノイルオキシ]エチルメタクリレート、2-[3-{2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル}プロパノイルオキシ]エチルアクリレート、4-[3-{2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル}プロパノイルオキシ]ブチルメタクリレート、4-[3-{2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル}プロパノイルオキシ]ブチルアクリレート、2-[3-{2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル}プロパノイルオキシ]エチルメタクリレート、2-[3-{2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル}プロパノイルオキシ]エチルアクリレート、2-(メタクリロイルオキシ)エチル2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5カルボキシレート、2-(アクリロイルオキシ)エチル2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-カルボキシレート、4-(メタクリロイルオキシ)ブチル2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-カルボキシレート、4-(アクリロイルオキシ)ブチル2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-カルボキシレート等を挙げることができる。また、これらセサモール型ベンゾトリアゾール系化合物は1種類で用いることもできるし、2種類以上を用いることもできる。
(インドール系化合物)
インドール系化合物としては、例えば、下記一般式(B)で表される化合物が挙げられる。下記一般式(B)で表される化合物であれば、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収することができる。
Figure 0007225583000006
式(B)中、Rは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基またはアラルキル基を表し、Rは、-CNまたは-COORを表し、ここで、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基またはアラルキル基(ただし、Rがメチル基である場合はエチル基を除く。)を表す。
の炭素数は、炭素数1~12とすることが可能である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、(イソ)ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、ベンジル基等が挙げられる。Rの具体例としては、例えば上記Rで例示した基およびβ-シアノエチル基、β-クロロエチル基、エトキシプロピル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基が挙げられる。ただし、Rがメチル基である場合、Rはエチル基ではない。
インドール系化合物としては、オリヱント化学工業株式会社製のBONASORB UA-3911等が挙げられる。
上記光吸収剤は、例えば、樹脂層49中に0.05質量%以上50質量%以下で含有されていてもよい。このような範囲で光吸収剤が含有されていることで、上述した分光透過率を満たすことができる。なお、上記光吸収剤がセサモール型ベンゾトリアゾール系化合物である場合には、樹脂層49中に0.1質量%以上50質量%以下で含有されていてもよい。
樹脂層49は、例えば、電離放射線重合性化合物および光吸収剤を含む第1の樹脂層用組成物を光透過性基材48の一方の面側に塗布し、乾燥させ、電離放射線を照射して硬化させることによって、形成することができる。
<樹脂層用組成物>
樹脂層用組成物は、電離放射線重合性化合物および光吸収剤の他、溶剤乾燥型樹脂、熱硬化性化合物、重合開始剤、溶剤等を含んでいてもよい。
(重合開始剤)
重合開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、重合開始剤としては、具体例には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α-アミロキシムエステル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ-n-ブチルホスフィン等が挙げられる。
重合開始剤としては、上記電離放射線重合性化合物がラジカル重合性官能基を有する場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることが好ましい。また、上記電離放射線重合性化合物がカチオン重合性官能基を有する場合は、重合開始剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることが好ましい。
樹脂層用組成物における上記重合開始剤の含有量は、上記電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。1質量部以上であれば、樹脂層49の硬度が不充分なるおそれがなく、また10質量部以下であれば、塗設した膜の深部まで電離放射線が届くので、内部でも硬化が促進され、目標とする樹脂層の表面の硬度(例えば、鉛筆硬度でB以上)が得られる。
上記重合開始剤の含有量の下限は2質量部以上であることがより好ましく、上限は8質量部以下であることがより好ましい。上記重合開始剤の含有量がこの範囲にあることで、膜厚方向に硬度分布が発生せず、均一な硬度になりやすくなる。
(溶剤)
溶剤としては、使用する電離放射線重合性化合物の種類および溶解性に応じて選択して使用することができ、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
樹脂層用組成物中における原料の含有割合(固形分)として特に限定されないが、5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下がより好ましい。
樹脂層用組成物には、硬度を高くする、硬化収縮を抑える、屈折率を制御する、および/または防眩性を付与する等の目的に応じて、従来公知の分散剤、界面活性剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、易滑剤等を添加していてもよい。
樹脂層用組成物は、光増感剤を混合して用いてもよく、その具体例としては、例えば、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ-n-ブチルホソフィン等が挙げられる。
樹脂層用組成物の調製方法としては各成分を均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して行うことができる。
樹脂層用組成物を光透過性基材上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の公知の方法が挙げられる。
樹脂層用組成物の硬化に用いられる電離放射線として、紫外線を用いる場合、紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。また、紫外線の波長としては、190~380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
<<第2の樹脂層>>
樹脂層50は、オーバーコート層として機能する層である。光吸収剤はブリードアウトしやすいので、樹脂層49上に樹脂層50を形成することにより、光吸収剤が樹脂層49からブリードアウトして、接着層72に影響を与えることを抑制することができる。また、樹脂層49は、光吸収剤を含有しているので、耐擦傷性に劣り、偏光板の作製時に傷が付いてしまうおそれがある。樹脂層50を形成することにより、耐擦傷性を向上させることができるので、円偏光板40の作製時に傷が付くことを抑制できる。
樹脂層50のインデンテーション硬さは、100MPa以上600MPa以下となっていることが好ましい。樹脂層50のインデンテーション硬さが、100MPa以上であれば、所望の硬度を得ることができ、また600MPa以下であれば、柔軟性に優れた樹脂層50を得ることができる。樹脂層のインデンテーション硬さの下限は150MPa以上であることが好ましく、上限は500MPa以下であることが好ましい。
樹脂層50の膜厚は、0.5μm以上15μm以下であることが好ましい。樹脂層50の膜厚が、0・5μm以上であれば、生産工程での傷付き防止可能な硬度を得ることができる。また、樹脂層50の膜厚が、15μm以下であれば、折り曲げ時や湾曲時におけるクラックの発生を抑制できる。樹脂層50の膜厚は、接着層71、72の膜厚と同様の方法によって求めることができる。樹脂層50の膜厚の下限は、1μm以上であることがより好ましく、上限は、10μm以下であることがより好ましい。
樹脂層50は、主に樹脂から構成されている。樹脂層50は、樹脂の他、保護フィルム47をロール状に巻回したときの保護フィルム47同士の貼り付きを防止するためにブロッキング防止剤を含んでいてもよい。
<樹脂>
樹脂層50に含まれる樹脂としては、電離放射線重合性化合物の重合物を含むものである。樹脂は、電離放射線重合性化合物の重合物の他、溶剤乾燥型樹脂や熱硬化性化合物を含んでいてもよい。
樹脂層50を構成する電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
電離放射線重合性モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
電離放射線重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、電離放射線重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーが好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル-ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線重合性プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光透過性樹脂の外観が悪化するおそれがある。多官能プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル-ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
<ブロッキング防止剤>
ブロッキング防止剤としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸等のケイ酸塩、その他、カオリン、タルク、けいそう土等の無機化合物系の1種ないし2種以上が挙げられる。
無機化合物系のブロッキング防止剤の平均粒子径は、50nm以上3μm以下であることが好ましい。ブロッキング防止剤の平均粒子径が50nm以上であれば、樹脂層の表面の凹凸形状が小さすぎないので、アンチブロッキング効果が得られ、また、平均粒子径が3μm以下であれば、樹脂層の表面の凹凸が大きくなりすぎないので、透明性の低下を抑制できる。
ブロッキング防止剤としては、例えば、高密度ポリエチレン、分子量300000以上の超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル系樹脂、その他等の微粉末等からなる有機化合物系を原料の1種ないし2種以上とするものであってもよい。
ブロッキング防止剤の含有量は、樹脂層を構成する樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上6質量部以下であることが好ましく、2質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。ブロッキング防止剤の含有量が0.01質量部未満であると、光透過性機能層の表面の凹凸形状の形成が不充分となり、耐ブロッキング性が不充分となることがあり、また6質量部を超えると、樹脂層の透明性が低下することがある。
樹脂層50は、例えば、電離放射線重合性化合物およびブロッキング防止剤を含む第2の樹脂層用組成物を樹脂層49の表面に塗布し、乾燥させ、電離放射線を照射して硬化させることによって、形成することができる。
<<<<他の画像表示装置>>>>
図1に示される画像表示装置10は、樹脂層49上に樹脂層50を備える第2の保護フィルム47を備えているが、画像表示装置としては、図2に示されるように、樹脂層49上に樹脂層50を備えない第2の保護フィルム91を備える画像表示装置80であってもよい。
画像表示装置80、円偏光板90、および保護フィルム91は、樹脂層50を備えていないこと以外は、画像表示装置10、円偏光板40、および保護フィルム47と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。なお、樹脂層50を備えていないので、樹脂層49の表面が保護フィルム91の表面となっている。
本実施形態によれば、OLED素子20よりも観察者側に波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収する光吸収剤を含む樹脂層49を備えているので、樹脂層49により外光のうち波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収することができる。これにより、OLED素子20の外光による劣化を抑制できる。また、OLED素子20から発せられる波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収することができるので、ブルーライトを遮蔽できる。
本実施形態によれば、OLED素子20よりも観察者側にセサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物の少なくともいずれかを含む樹脂層49を備えているので、樹脂層49により外光のうち波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収することができる。これにより、OLED素子20の外光による劣化を抑制できるとともに、OLED素子20から発せられるブルーライトを遮蔽できる。
本実施形態によれば、偏光子46よりも観察者側に波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収する光吸収剤を含む樹脂層49を備えているので、OLED素子20のみならず、偏光子46の外光による劣化を抑制できる。
第2の実施形態のように、接着層に上記光吸収剤を含ませた場合にも、OLED素子20の外光による劣化を抑制できるとともに、ブルーライトを遮蔽できるが、接着層に光吸収剤を含ませると、接着力が低下しやすい。このため、接着層の薄膜化を図ることは困難である。また、円偏光板等の構成によって、接着層の種類を変えることもあるので、接着層の種類毎に光吸収剤を含ませる必要がある。これに対し、本実施形態によれば、インデンテーション硬さが100MPa以上600MPa以下の樹脂層49に光吸収剤を含ませているので、樹脂層49の薄膜化を図ることができる。また、樹脂層49に光吸収剤を含ませているので、円偏光板40等の構成によって接着層の種類が変わったとしても、樹脂層49で対応することができる。
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図3は本実施形態に係る画像表示装置の概略構成図である。
<<<<<画像表示装置>>>>>
図3に示される画像表示装置100は、観察者側に向けて、有機発光ダイオード素子20と、タッチセンサ30と、樹脂層111を含む円偏光板110と、カバー層60とを、この順で備えている。タッチセンサ30と円偏光板110との間および円偏光板110とカバー層60との間は、接着層71、72を介して接着されている。本実施形態においては、光吸収剤は、樹脂層113には含まれておらず、接着層として機能する樹脂層111に含まれている。なお、図2において、図1と同じ符号が付されている部材は、図1で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。
<<<<円偏光板>>>>
円偏光板110は、例えば、観察者側に向けて、第1の位相差フィルム41と、接着層42と、第2の位相差フィルム43と、第3の樹脂層111(以下、単に「樹脂層111」と称することもある。)と、第1の保護フィルム45と、偏光子46と、第2の保護フィルム112とを、この順で備えている。保護フィルム112は、光透過性基材48と、第1の樹脂層113(以下、単に「樹脂層113」と称することもある。)と、第2の樹脂層50が、この順で積層された積層体となっている。
<<<樹脂層>>>
樹脂層111は、第2の位相差フィルム43と第1の保護フィルム45を接合するための接着層として機能する。樹脂層111は、主に樹脂から構成されているが、樹脂以外にまたは樹脂の一部として波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収する光吸収剤を含んでいる。なお、樹脂層111のインデンテーション硬さは、100MPa以上600MPa以下の範囲になくともよい。
<<光吸収剤>>
光吸収剤は、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収すればよく、この波長域内に吸収ピークを有しなくともよい。また、光吸収剤は、波長380nm以上500nm以下の波長域内の一部の波長の光を吸収していればよく、この波長域内の全ての波長の光を吸収している必要はない。光吸収剤においては、波長380nm以上500nm以下の波長域内での最大吸光度は、0.5以上であることが好ましい。
光吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物の少なくともいずれかが挙げられる。セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物は、第1の実施形態で説明したセサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物と同様であるので、説明を省略するものとする。
なお、本実施形態においては、第2の位相差フィルム43と第1の保護フィルム45の間に設けられ、かつ接着層として機能する樹脂層111に光吸収剤を含ませているが、樹脂層111の代わりに、接着層42、71、72に光吸収剤を含ませてもよい。
<<<樹脂層>>>
樹脂層113は、光吸収剤を含まないこと以外は、樹脂層49と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
本実施形態によれば、接着層として機能し、かつセサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物の少なくともいずれかを含む樹脂層111を備えているので、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収することができる。これにより、樹脂層111により外光のうち波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収することができるので、OLED素子20の外光による劣化を抑制できるとともに、OLED素子20から発せられるブルーライトを遮蔽できる。
光吸収剤を含む樹脂層111は、偏光子46や保護フィルム45、112よりもOLED素子20側に配置されているので、偏光子46や保護フィルム45、112で外光を吸収することができる。このため、樹脂層111に含ませる光吸収剤の量を減らすことができる。
画像表示装置10、80、100の用途は、特に限定されない。例えば、画像表示装置10、80、100は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、テレビジョン(ローラブルテレビジョンを含む)、デジタルサイネージ、パブリックインフォメーションディスプレイ(PID)、車載ディスプレイ、電化製品に用いてもよい。また、画像表示装置10、80、100は、曲面等、意匠性やデザイン性が求められる用途にも好適に用いることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準とする。
<実施例A1>
(樹脂層用組成物1の調製)
200mLの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、水銀温度計、撹拌装置を取り付け、6-[5-(2-ヒドロキシエチル)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-オール4.0g(0.013モル)、トルエン40mL、メタクリル酸1.8g(0.021モル)、メタンスルホン酸0.4g(0.004モル)を入れて、110~115℃で4時間還流脱水した。次いで、水30mL、炭酸ナトリウム0.6g(0.006モル)を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、活性炭0.2gを加え、還流撹拌して脱色させた。そして、ろ過した後に、ろ液からトルエン40mLを減圧で回収し、イソプロピルアルコール100mLを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール40mLで洗浄した後、減圧下40℃で乾燥し、黄色結晶を4.2g得た。この黄色結晶4.2gをイソプロピルアルコールでリパルプ洗浄して、減圧下40℃で乾燥し、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物として、3.4gの2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]エチルメタクリレートを得た。
次いで、四つ口フラスコにジムロート冷却器、水銀温時計、窒素ガス吹き込み管、攪拌装置を取り付け、合成した2-[2-(6-ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イル]エチルメタクリレートを8質量部、他の単量体としてのメチルメタクリレート(MMA)を32質量部、溶媒としてのトルエン20質量部、メチルエチルケトン20質量部、および、重合開始剤としての1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)0.6質量部を入れて、攪拌しながら窒素ガス流量10mL/minで1時間フラスコ内を窒素置換後に、反応液温度90~96℃で10時間還流状態にて重合反応を行った。
重合反応終了後、トルエン10質量部、メチルエチルケトン(MEK)10質量部を追加し、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物がMMAに反応結合されたアクリルポリマー1(光吸収剤1)を含む溶液100.6質量部を得た。
多官能モノマー(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬株式会社製)および上記アクリルポリマー1を固形分質量比20:80で混ぜ合わせ、固形分25%まで溶剤(メチルエチルケトンおよびトルエンの質量比80:20)にて希釈して樹脂組成物を調製した。
次いで、得られた樹脂組成物160質量部に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184およびOmnirad819の質量比50:50)4質量部と、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部とを混ぜ合わせ、よく攪拌することで、樹脂層用組成物1を調製した。
(樹脂層用組成物2の調製)
多官能モノマー(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬株式会社製)を、固形分50%まで溶剤(メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン、質量比50:50)にて希釈して樹脂組成物を調製した。
次いで、得られた樹脂組成物200質量部に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184)4質量部と、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部とを混ぜ合わせ、よく攪拌することで、樹脂層用組成物2を調製した。
(円偏光板および画像表示装置の作製)
得られた樹脂層用組成物1を、ミヤバーにて厚みが25μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TJ25UL」、富士フイルム株式会社製)の表面に塗布して、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.5m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚が5μmの第1の樹脂層を形成した。
第1の樹脂層を形成した後、ミヤバーにて第1の樹脂層の表面に樹脂層用組成物2を塗布して、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.5m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚が4μmの第2の樹脂層を形成した。これにより、トリアセチルセルロース基材上に膜厚5μmの第1の樹脂層および膜厚4μmの第2の樹脂層を備える第2の保護フィルムを得た。
第1の樹脂層の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、第1の樹脂層の断面を撮影し、その断面の画像において第1の樹脂層の膜厚を20箇所測定し、その20箇所の膜厚の算術平均値とした。具体的な断面写真の撮影方法は以下の通りとした。まず、1mm×10mmに切り出した第2の保護フィルムを包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、このブロックから一般的な切片作製方法によって穴等がない均一な、厚さ70nm~300nm程度の切片を切り出した。切片の作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)等を用いた。そして、この穴等がない均一な切片が切り出された残りのブロックを測定サンプルとした。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)(製品名「S-4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、測定サンプルの断面写真を撮影した。上記S-4800を用いて断面写真を撮影する際には、検出器を「SE」、加速電圧を「5kV」、エミッション電流を「10μA」にして断面観察を行った。倍率については、フォーカスを調節しコントラストおよび明るさを各層が見分けられるか観察しながら第1の樹脂層の膜厚に応じて1000倍~1万倍の範囲内で適宜調節した。具体的には、膜厚の測定ブレを低減するために2000~5000倍で調節した。さらに、アパーチャーを「ビームモニタ絞り1」にし、対物レンズ絞りを「2」にし、またW.D.を「8mm」にした。また、第2の樹脂層の膜厚も、第1の樹脂層の膜厚と同様の方法によって測定した。なお、実施例2~5および比較例1~4においても、実施例A1と同様の手法によって第1の樹脂層や第2の樹脂層の膜厚を測定した。
第2の保護フィルムを得た後、次いで、第2の保護フィルムを、2規定、温度55℃の水酸化ナトリウム水溶液に3分間浸漬させることによって、第2の保護フィルムを鹸化処理した。一方で、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させ、その後、一軸延伸して配向させることによって、偏光子を作製し、また偏光子の両面にポリビニルアルコール系接着剤(ポリビニルアルコール樹脂(製品名「PVA-117」、株式会社クラレ製)を純水にて固形分5%に希釈したポリビニルアルコール水溶液)を塗布した。
偏光子の一方の面に第2の保護フィルムのトリアセチルセルロース基材が接し、かつ偏光子の他方の面に鹸化処理済みの厚さ25μmのトリアセチルセルロース基材(製品名「TJ25UL」、富士フイルム株式会社製)である第1の保護フィルムが接するように、第2の保護フィルム、偏光子、第1の保護フィルムを配置した。この状態で、100℃で10分間乾燥して、第1の保護フィルムと偏光子および第2の保護フィルムと偏光子がポリビニルアルコール系接着剤で貼り合わせられた偏光板を得た。
偏光板を得た後、偏光板の第1の保護フィルムにおける偏光子側の面とは反対側の面に、粘着層(製品名「PD-S1」、パナック株式会社製)を介して、λ/2位相差フィルムを貼り合せた。λ/2位相差フィルムは、厚さ100μmのシクロオレフィン系樹脂フィルム(製品名「ゼオノアZF-14」、日本ゼオン株式会社製)を、550nmの波長における面内リタデーションが270nmとなるように150℃で延伸することによって得た。さらに、λ/2位相差フィルムにおける偏光板側の面とは反対側の面に、粘着層(製品名「PD-S1」、パナック株式会社製)を介して、λ/4位相差フィルムを貼り合せた。これにより、円偏光板を得た。λ/4位相差フィルムは、厚さ100μmのシクロオレフィン系樹脂フィルム(製品名「ゼオノアZF-14」、日本ゼオン株式会社製)を、550nmの波長における面内リタデーションが140nmとなるように150℃で延伸することによって得た。
円偏光板を得た後、円偏光板のλ/4位相差フィルムにおけるλ/2位相差フィルム側の面とは反対側の面に、粘着層(製品名「PD-S1」、パナック株式会社製)を介して、有機ELディスプレイ(製品名「Galaxy SII」、Samsung社製)から取り出した有機発光ダイオード素子を含む有機発光ダイオードパネル(OLEDパネル)を貼り合せた。さらに、円偏光板の第2の保護フィルムにおける偏光子側の面とは反対側の面に、粘着層(製品名「PD-S1」、パナック株式会社製)を介して、Galaxy SIIのカバーガラスを貼り合せた。これにより、観察者側に向けて、OLEDパネル、粘着層、円偏光板、粘着層、およびカバーガラスをこの順で積層した画像表示装置を得た。
<実施例A2>
実施例2においては、第2の樹脂層を形成しなかったこと以外は、実施例A1と同様にして第2の保護フィルム、円偏光板および画像表示装置を得た。
<実施例A3>
実施例3においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物3を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして第2の保護フィルム、円偏光板および画像表示装置を得た。樹脂層用組成物3は、下記のように調製された。
(樹脂層用組成物3)
ポリエステル樹脂(製品名「バイロン24SS」、東洋紡株式会社製)を固形分25%までメチルエチルケトンにて希釈して樹脂組成物を調製した。次いで、得られた樹脂組成物120質量部に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184およびOmnirad819の質量比50:50)4質量部、インドール系化合物(製品名「BONASORB UA-3912」、オリヱント化学工業株式会社製)(光吸収剤2)3質量部、およびベンゾトリアゾール化合物(製品名「JF-79」、城北化学株式会社製)5質量部、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部を混ぜ合わせ、よく攪拌することで、樹脂層用組成物3を調製した。
<実施例A4>
実施例4においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物4を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして第2の保護フィルム、円偏光板および画像表示装置を得た。樹脂層用組成物4は、下記のように調製された。
(樹脂層用組成物4)
ウレタンアクリレート(製品名「RUA-051」、亜細亜工業株式会社製)90質量部およびフェノキシエチルアクリレート(製品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業株式会社製)10質量部を固形分25%までメチルエチルケトンにて希釈して樹脂組成物を調製した。次いで、得られた樹脂組成物と上記アクリルポリマー1を固形分質量比20:80で混ぜ合わせ、混合樹脂組成物を得た。その後、混合樹脂組成物に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184およびOmnirad819の質量比50:50)4質量部、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部を混ぜ合わせ、さらにメチルイエチルケトンで固形分25%まで希釈して、よく攪拌することで、樹脂層用組成物4を調製した。
<実施例A5>
実施例A5においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物5を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして第2の保護フィルム、円偏光板および画像表示装置を得た。樹脂層用組成物5は、下記のように調製された。
(樹脂層用組成物5)
ジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「A-9550」、新中村化学工業株式会社製)70質量部、シリカ粒子(製品名「PGM-AC-2140Y」、日産化学工業株式会社製)30質量部、およびフッ素系レベリング剤(製品名「メガファックF-444」、DIC株式会社製)0.1質量部を固形分25%までメチルエチルケトンにて希釈して樹脂組成物を調製した。次いで、得られた樹脂組成物と上記アクリルポリマー1を固形分質量比20:80で混ぜ合わせ、混合樹脂組成物を得た。その後、混合樹脂組成物に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184およびOmnirad819の質量比50:50)4質量部を混ぜ合わせ、さらにメチルイエチルケトンで固形分25%まで希釈して、よく攪拌することで、樹脂層用組成物5を調製した。
<実施例B1>
実施例B1においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物6を用い、かつ第1の保護フィルムとλ/2位相差フィルムの間に位置する粘着層の代わりに、樹脂層用組成物7からなる第3の樹脂層を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、円偏光板および画像表示装置を得た。樹脂層用組成物6および7は、下記のように調製された。
(樹脂層用組成物6)
まず、四つ口フラスコにジムロート冷却器、水銀温時計、窒素ガス吹き込み管、攪拌装置を取り付け、メチルメタクリレート(MMA)を32質量部、溶媒としてのトルエン20質量部、メチルエチルケトン20質量部、および、重合開始剤としての1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)0.6質量部を入れて、攪拌しながら窒素ガス流量10mL/minで1時間フラスコ内を窒素置換後に、反応液温度90~96℃で10時間還流状態にて重合反応を行った。
重合反応終了後、トルエン10質量部、メチルエチルケトン(MEK)10質量部を追加し、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物を含まないアクリルポリマー2を含む溶液100.6質量部を得た。
多官能モノマー(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬株式会社製)および上記アクリルポリマー2を固形分質量比80:20で混ぜ合わせ、固形分25%まで溶剤(メチルエチルケトンおよびトルエン、質量比80:20)にて希釈して樹脂組成物を調製した。
次いで、得られた樹脂組成物160質量部に対し、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184およびOmnirad819の質量比50:50)4質量部と、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部とを混ぜ合わせ、よく攪拌することで、樹脂層用組成物6を調製した。
(樹脂層用組成物7)
アクリル系粘着剤(製品名「SKダイン1604N」、綜研化学株式会社製)100質量部、硬化剤(製品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)2質量部、および上記光吸収剤1を10質量部混合し、トルエンで固形分が25%になるまで希釈して、樹脂層用組成物7を得た。
<実施例B2>
実施例B2においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物6を用い、かつ第1の保護フィルムとλ/2位相差フィルムの間に位置する粘着層の代わりに、樹脂層用組成物8からなる樹脂層を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、円偏光板および画像表示装置を得た。樹脂層用組成物8は、下記のように調製された。
(樹脂層用組成物8)
アクリル系粘着剤(製品名「SKダイン1604N」、綜研化学株式会社製)100質量部、硬化剤(製品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)2質量部、およびインドール系化合物(製品名「BONASORB UA-3912」、オリヱント化学工業株式会社製)(光吸収剤2)3質量部を混合し、トルエンで固形分が25%になるまで希釈して、樹脂層用組成物8を得た。
<比較例A1>
比較例A1においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物6を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして第2の保護フィルム、円偏光板および画像表示装置を得た。
<比較例A2>
比較例A2においては、樹脂層用組成物1の代わりに、樹脂層用組成物9を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして第2の保護フィルム、円偏光板および画像表示装置を得た。樹脂層用組成物9は、下記のように調製された。
(樹脂層用組成物9)
多官能モノマー(製品名「KAYARAD PET-30」、日本化薬株式会社製)100質量部、重合開始剤(IGM Resins B.V.社製のOmnirad184およびOmnirad819の質量比50:50)4質量部、レベリング剤(製品名「F568」、DIC株式会社製)0.2質量部、およびヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(製品名「Tinuvin479」、BASF社製)(光吸収剤3)3質量部を混合し、MEKで固形分25%になるまで希釈して、樹脂層用組成物9を得た。
<比較例B1>
比較例B1においては、樹脂層用組成物4の代わりに、樹脂層用組成物10を用いたこと以外は、実施例B1と同様にして第2の保護フィルム、円偏光板および画像表示装置を得た。樹脂層用組成物10は、下記のように調製された。
(樹脂層用組成物10)
アクリル系粘着剤(製品名「SKダイン1604N」、綜研化学株式会社製)100質量部、硬化剤(製品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)2質量部、およびヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(製品名「Tinuvin479」、BASF社製)(光吸収剤3)3質量部を混合し、トルエンで固形分が25%になるまで希釈して、樹脂層用組成物10を得た。
<最大吸収波長および波長380nm~500nmの吸光度>
光吸収剤1~3の最大吸収波長λmaxおよび波長380nm~500nmの吸光度を、分光光度計(製品名「UV-2450」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)を用いて測定した。光吸収剤1の最大吸収波長λmaxおよび吸光度の測定は、得られた光吸収剤1を含む溶液を減圧乾燥にて脱溶剤した後に、濃度40ppmのクロロホルム溶液とした状態で行い、光吸収剤2、3の最大吸収波長λmaxおよび吸光度の測定は、光吸収剤2、3を濃度40ppmのクロロホルム溶液とした状態で行われた。
<ブルーライトカット(遮蔽)率>
実施例および比較例に係る画像表示装置における円偏光板のブルーライトカット率(BLカット率)を測定した。具体的には、まず、50mm×50mmの大きさに切り出した円偏光板を、透過率を0.5nm刻みにて測定可能な分光光度計(製品名「UV-2450」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)内に円偏光板のλ/4位相差フィルム側が光源側となるように配置した。円偏光板は、欠点(異物の混入)がなく、クラックがなく、皺がなく、汚れがないものであり、また、カールのない平坦な状態で分光光度計に保持された。この状態で、以下の測定条件で、波長300nm~780nmにおいてそれぞれ前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率を測定した。そして、ブルーライトカット率(%)をAとし、波長380nm~500nmの透過率の平均値(%)をBとし、波長500nm~650nm間の透過率の平均値(%)をCとして、ブルーカット率を下記式によって求めた。なお、ブルーライトカット率は、3回測定して得られた値の算術平均値とした。
A=(1-B/C)×100
(測定条件)
・波長域:300nm~780nm
・スキャン速度:高速
・スリット幅:2.0
・サンプリング間隔:オート(0.5nm間隔)
・照明:C
・光源:D2およびWI
・視野:2°
・光源切替波長:360nm
・S/R切替:標準
・検出器:PM
・オートゼロ:ベースラインのスキャン後550nmにて実施
<分光透過率>
実施例および比較例に係る円偏光板において、波長380nm、410nm、420nm及び440nmにおける分光透過率を測定した。具体的には、50mm×50mmの大きさに切り出した円偏光板を、透過率を0.5nm刻みにて測定可能な分光光度計(製品名「UV-2450」、株式会社島津製作所製、光源:タングステンランプおよび重水素ランプ)内に円偏光板のλ/4位相差フィルム側が光源側となるように配置した。上記円偏光板は、欠点(異物の混入)がなく、クラックがなく、皺がなく、汚れがないものであり、また、カールのない平坦な状態で分光光度計に保持された。この状態で、波長380nm、410nm、420nmおよび440nmにおいてそれぞれ前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率を測定し、その平均値を算出することによって波長380nm、410nm、420nmおよび440nmにおける分光透過率を求めた。波長380nm、410nm、420nmおよび440nmにおける分光透過率は、3回測定して得られた値の算術平均値とした。また、分光透過率の測定条件は、上記ブルーライト遮蔽率の測定条件と同様とした。
<耐光性試験>
実施例および比較例に係る画像表示装置において、耐光性試験を行い、耐光性試験前後の輝度を測定することによって、OLEDパネルが劣化しているか否かを確認した。具体的には、まず、耐光性試験前の画像表示装置を点灯させて、輝度を測定した。輝度は、画像表示装置の表面(カバーガラスの表面)から出射する光の輝度を、画像表示装置の厚み方向から、分光放射輝度計(製品名「CS2000」、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、測定角1°の条件で、測定した。次いで、耐光性試験機(製品名「紫外線フェードメータU48AU」、スガ試験機株式会社製)を用いて、42℃、相対湿度50%の環境下でカーボンアークランプからの光を画像表示装置に50時間照射する耐光性試験(以下、この試験を「50時間耐光性試験」と称することもある。)を行った。そして、耐光性試験後の画像表示装置を点灯させて、耐光性試験前の画像表示装置の輝度測定と同様の条件で、輝度を測定した。また、同様に、耐光性試験機(製品名「紫外線フェードメータU48AU」、スガ試験機株式会社製)を用いて、42℃、相対湿度50%の環境下でカーボンアークランプからの光を画像表示装置に100時間照射する耐光性試験を行い、耐光性試験後の画像表示装置を点灯させて、耐光性試験前の画像表示装置の輝度測定と同様の条件で、輝度を測定した。
測定したこれらの輝度から、耐光性試験前の輝度に対する耐光性試験後の輝度の維持率をそれぞれ求めた。輝度維持率は、輝度維持率(%)をDとし、点灯時における耐光性試験前の画像表示装置の表面の輝度をEとし、点灯時における耐光性試験後の画像表示装置の表面の輝度をFとし、下記式によって求めた。
D=F/E×100
そして、得られた輝度維持率から耐光性試験によってOLEDパネルが劣化したか否かを確認した。具体的には、輝度維持率が80%未満である場合には、OLEDパネルが劣化した評価し、輝度維持率が80%以上である場合には、OLEDパネルが劣化していないと評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:OLEDパネルの劣化が確認されなかった。
×:OLEDパネルの劣化が確認された。
<光吸収剤を含む層のインデンテーション硬さ(HIT)>
実施例に係る円偏光板において、光吸収剤を含む層のインデンテーション硬さを測定した。すなわち、実施例A1~A5においては、光吸収剤1、2を含む第1の樹脂層のインデンテーション硬さを測定し、実施例B1、B2においては、光吸収剤1、2を含む粘着層のインデンテーション硬さを測定した。インデンテーション硬さ(HIT)は、HYSITRON(ハイジトロン)社製のTI950 TriboIndenterを用いて測定した。具体的には、まず、1mm×10mmに切り出した円偏光板を包埋樹脂によって包埋したブロックを作製し、ナノインデンテーション法での硬度測定に適した測定用サンプルを作製した。測定用サンプルの作製には、「ウルトラミクロトーム EM UC7」(ライカ マイクロシステムズ株式会社)を用いた。次いで、測定用サンプルの圧子を押し込む面がステージの載置面と平行となるように測定サンプルをHYSITRON(ハイジトロン)社製のTI950 TriboIndenterのステージに固定した。そして、光吸収剤を含む層(実施例A1~A5においては、第1の樹脂層であり、実施例B1、B2においては、粘着層)の断面中央の平坦な部分に、荷重制御方法で、最大押し込み荷重が300μNとなるように、荷重速度10μN/秒でバーコビッチ型圧子を、30秒で荷重0μNから300μNまで負荷を加えながら光吸収剤を含む層の断面中央部に押し込み、その後300μNで5秒間保持した後、30秒で300μNから0μNまで除荷した。そして、このときの押し込み荷重F(N)に対応する押し込み深さh(nm)を連続的に測定し、荷重-変位曲線を作成した。作成された荷重-変位曲線からインデンテーション硬さHITを、上記式(1)のように最大押し込み荷重Fmax(N)を、圧子と光吸収剤を含む層が接している投影面積A(mm)で除した値により求めた。インデンテーション硬さは、10箇所測定して得られた値の算術平均値とした。なお、Aは上記式(2)によって求められる値であった。
<鉛筆硬度>
実施例に係る第2の保護フィルムの表面(実施例A2以外は第2の樹脂層の表面、実施例A2は第1の樹脂層の表面)における鉛筆硬度を、それぞれ測定した。なお、鉛筆硬度の測定の際には、第2の保護フィルムから5cm×10cmの大きさに切り出したサンプルをガラス板上に折れやシワがないようニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標)で固定した状態で、鉛筆に300gの荷重をかけながら、鉛筆を速度3mm/秒で移動させた。鉛筆硬度は、鉛筆硬度試験においてサンプルの表面に傷が付かなかった最も高い硬度とする。なお、鉛筆硬度の測定の際には、硬度が異なる鉛筆を複数本用いて行うが、鉛筆1本につき5回鉛筆硬度試験を行い、5回のうち4回以上蛍光灯下でサンプルの表面を透過観察した際にサンプルの表面に傷が視認されなかった場合には、この硬度の鉛筆においてはサンプルの表面に傷が付かなかったと判断する。
<耐擦傷性試験>
実施例に係る第2の保護フィルムの表面(実施例A2以外は第2の樹脂層の表面、実施例A2は第1の樹脂層の表面)に対し耐擦傷性試験を行った。具体的には、まず、50mm×50mmの大きさに切り出した第2の保護フィルムの裏面を、膜厚50μmの透明粘着層(屈折率:1.55、製品名「PD-S1」、パナック株式会社製)を介して、大きさ10cm×10cmおよび厚さ2mmのアクリル板(製品名「コモグラス DFA502K」、株式会社クラレ製)に貼り合せた。そして、第2の保護フィルムの表面に対し、♯0000番のスチールウール(製品名「ボンスター」、日本スチールウール株式会社製)を用いて150g/cmの荷重を加えながら10往復擦る耐擦傷性試験を行い、目視により第2の保護フィルムの表面に傷が確認されるか否か観察した。評価結果は、以下の通りとした。
○:傷が確認されなかった。
△:傷が若干確認されたが実用上問題のないレベルであった。
×:傷が明確に確認された。
<フレキブル性>
実施例に係る円偏光板において、マンドレル試験(2mmから32mmの金属製円柱にサンプルを巻きつける試験)を行い、フレキシブル性を評価した。具体的には、50mm×50mmの大きさに切り出した円偏光板に対し、JIS K5600-5-1:1999に準じてマンドレル試験を行い、第2の樹脂層が内側となるように円偏光板を円柱に巻き付けたときの円偏光板にクラック(ひび)が発生しなかった円柱の最小直径を求めた。評価結果は、以下の通りとした。
○:最小直径が6mm以下であった。
×:最小直径が6mmを超えていた。
以下、結果を表1~3に示す。
Figure 0007225583000007
Figure 0007225583000008
Figure 0007225583000009
Figure 0007225583000010
表2に示されたように、比較例A1に係る画像表示装置においては、光吸収剤を用いていなかったので、耐光性試験によってOLEDパネルが劣化した。また、表2および表3に示されたように、比較例A2、B1に係る画像表示装置においては、光吸収剤を用いていたが、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収するものではなかったので、50時間耐光性試験によってOLEDパネルが劣化した。さらに、比較例A1、A2、B1に係る円偏光板は、ブルーライトカット率が低かった。これに対し、表2および表3に示されたように、実施例A1~A5および実施例B1、B2に係る画像表示装置においては、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収する光吸収剤1や光吸収剤2を用いたので、50時間耐光性試験によってOLEDパネルが劣化しなかった。また、実施例A1~A5および実施例B1、B2に係る円偏光板は、ブルーライトカット率に優れていた。
10、80、90…画像表示装置
20…有機発光ダイオード素子
30…タッチセンサ
40…円偏光板
45…第1の保護フィルム
46…偏光子
47、112…第2の保護フィルム
48…光透過性基材
49…第1の樹脂層
50…第2の樹脂層
60…カバー層
111…第3の樹脂層

Claims (10)

  1. 有機発光ダイオード素子と、
    前記有機発光ダイオード素子よりも観察者側に設けられたカバー層と、
    前記有機発光ダイオード素子と前記カバー層との間に設けられた樹脂層と、を備え、
    前記カバー層が、ガラスから構成され、
    前記樹脂層のインデンテーション硬さが、100MPa以上600MPa以下であり、
    前記樹脂層が、波長380nm以上500nm以下の波長域の光を吸収する光吸収剤を含む、画像表示装置。
  2. 前記樹脂層の膜厚が、0.5μm以上50μm以下である、請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記光吸収剤が、下記一般式(A)で表される化合物である、請求項1に記載の画像表示装置。
    Figure 0007225583000011
    (式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基または炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基を表す。)
  4. 前記光吸収剤が、下記一般式(B)で表される化合物である、請求項1に記載の画像表示装置。
    Figure 0007225583000012
    (式(B)中、Rは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基またはアラルキル基を表し、Rは、-CNまたは-COORを表し、ここで、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基またはアラルキル基(ただし、Rがメチル基である場合はエチル基を除く。)を表す。)
  5. 有機発光ダイオード素子と、
    前記有機発光ダイオード素子よりも観察者側に設けられたカバー層と、
    前記有機発光ダイオード素子と前記カバー層との間に設けられた樹脂層と、を備え、
    前記カバー層が、ガラスから構成され、
    前記樹脂層が、セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物およびインドール系化合物の少なくともいずれかを含む、画像表示装置。
  6. 前記樹脂層のインデンテーション硬さが、100MPa以上600MPa以下である、請求項5に記載の画像表示装置。
  7. 前記樹脂層の膜厚が、0.5μm以上50μm以下である、請求項5に記載の画像表示装置。
  8. 前記樹脂層が、接着層である、請求項5に記載の画像表示装置。
  9. 前記セサモール型ベンゾトリアゾール系化合物が、下記一般式(A)で表される化合物である、請求項5に記載の画像表示装置。
    Figure 0007225583000013
    (式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基または炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基を表す。)
  10. 前記インドール系化合物が、下記一般式(B)で表される化合物である、請求項5に記載の画像表示装置。
    Figure 0007225583000014
    (式(B)中、Rは、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基またはアラルキル基を表し、Rは、-CNまたは-COORを表し、ここで、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基またはアラルキル基(ただし、Rがメチル基である場合はエチル基を除く。)を表す。)


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