以下、図面を参照しながら、実施形態に係る超音波診断装置及び超音波診断システムを説明する。なお、一つの実施形態又は変形例に記載した内容は、他の実施形態又は他の変形例にも同様に適用されてもよい。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、超音波診断装置2及び複数の生体信号計測装置200a,200bを備える。超音波診断装置2は、装置本体100と、複数の超音波プローブ101a,101bと、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。なお、超音波診断システム1が備える生体信号計測装置の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。また、超音波診断装置2が備える超音波プローブの数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。
超音波診断システム1では、被検体Pに対する超音波走査が行われる場合には、同時に複数の超音波プローブ101a,101bが用いられるのではなく、複数の超音波プローブ101a,101bのうち1つの超音波プローブが用いられる。また、超音波診断システム1では、被検体Pの生体信号の計測が行われる場合には、同時に複数の生体信号計測装置200a,200bが用いられるのではなく、複数の生体信号計測装置200a,200bのうち1つの生体信号計測装置が用いられる。なお、図1の例では、超音波プローブ101a及び生体信号計測装置200aが用いられる場合が図示されているが、これは一例である。超音波診断システム1において、超音波プローブ101a及び生体信号計測装置200bが用いられる場合、超音波プローブ101b及び生体信号計測装置200aが用いられる場合、及び、超音波プローブ101b及び生体信号計測装置200bが用いられる場合のいずれの場合もあり得る。
超音波プローブ101aは、被検体Pに対する超音波走査を行うことにより得られるエコー信号を出力する。超音波プローブ101aは、複数の圧電振動子(振動素子)102aを有する。また、超音波プローブ101bは,複数の圧電振動子102bを有する。複数の圧電振動子102aには、装置本体100が有する送受信回路110の送信回路110aから駆動信号が供給される。また、複数の圧電振動子102bには、超音波プローブ101bが有する送受信回路111の送信回路112から駆動信号が供給される。そして、複数の圧電振動子102a,102bは、駆動信号に基づき超音波を発生する。また、複数の圧電振動子102a,102bは、被検体Pからのエコー(反射波)を受信し、受信したエコーを電気信号(エコー信号)に変換する。そして、第1の実施形態では、圧電振動子102aは、エコー信号を送受信回路110の受信回路110bに出力する。また、圧電振動子102bは、エコー信号を送受信回路111の受信回路113に出力する。
超音波プローブ101a,101bは、例えば、更に、圧電振動子102a,102bに設けられる整合層と、圧電振動子102a,102bから後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。
被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、複数の圧電振動子が一列で配置された1Dアレイプローブを超音波プローブ101a,101bとして装置本体100に接続する。1Dアレイプローブは、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等である。また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを超音波プローブ101a,101bとして装置本体100と接続する。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の圧電振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の圧電振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
複数の圧電振動子102a,102bから被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコーとして複数の圧電振動子102a,102bにて受信される。受信されるエコーの振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
ここで、超音波プローブ101aは、装置本体100と有線により通信可能である。例えば、超音波プローブ101aは、Ethernet(登録商標)等の有線通信規格に基づく有線通信により、装置本体100と通信を行う。例えば、超音波プローブ101aは、ケーブル(図示せず)を介して装置本体100と接続可能であり、装置本体100から送信された駆動信号を受信する。また、超音波プローブ101aは、ケーブルを介して、装置本体100にエコー信号を送信する。例えば、超音波プローブ101aは、所定の時間間隔でエコー信号を送信する。ここでいう所定の時間間隔の一例としては、(1/PRF)msが挙げられる。
超音波プローブ101bは、被検体Pに対する超音波走査を行うことにより得られる超音波データを出力する。超音波プローブ101bは、超音波プローブ101bが受信したエコーに基づいて超音波データを生成する。超音波データには、Bモードデータ及びドプラデータが含まれる。超音波プローブ101bは、超音波プローブ101bが受信した被検体Pの2次元領域に対応するエコーに基づいて2次元の超音波データを生成可能である。また、超音波プローブ101bは、超音波プローブ101bが受信した被検体Pの3次元領域に対応するエコーに基づいて3次元の超音波データを生成可能である。図1に示すように、超音波プローブ101bは、上述した圧電振動子102bに加えて、更に、送受信回路111と、Bモード処理回路130bと、ドプラ処理回路140bと、制御回路180bとを有する。
送受信回路111は、制御回路180bによる制御を受けて、超音波プローブ101bから超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101bに超音波のエコーを受信させる。すなわち、超音波プローブ101bは、被検体Pに対する超音波走査(超音波スキャン)を行う。
送受信回路111は、送信回路112と受信回路113とを有する。送信回路112は、制御回路180bによる制御を受けて、複数の圧電振動子102bから超音波を送信させる。送信回路112は、レートパルサ発生回路と、送信遅延回路と、送信パルサとを有し、複数の圧電振動子102bに駆動信号を供給する。送信回路112は、被検体P内の2次元領域を走査(スキャン)する場合、複数の圧電振動子102bから2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路112は、被検体P内の3次元領域を走査する場合、複数の圧電振動子102bから3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。
レートパルサ発生回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサに電圧が印加される。例えば、送信遅延回路は、複数の圧電振動子102bから発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子102bごとの送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。送信パルサは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、複数の圧電振動子102bに駆動信号(駆動パルス)を印加する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
駆動パルスは、送信パルサから圧電振動子102bまで伝達した後に、圧電振動子102bにおいて電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動によって発生した超音波は、被検体Pの生体内部に送信される。ここで、圧電振動子102bごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
なお、送信回路112は、制御回路180bによる制御を受けて、所定の走査シーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
圧電振動子102bにより送信された超音波のエコーは、圧電振動子102bまで到達した後、圧電振動子102bにおいて、機械的振動から電気的信号(エコー信号)に変換され、受信回路113に入力される。
受信回路113は、制御回路180bによる制御を受けて、圧電振動子102bから送信されたエコー信号に対して各種処理を行なってエコーデータを生成する。そして、受信回路113は、制御回路180bによる制御を受けて、生成したエコーデータを超音波プローブ101bが備えるバッファメモリ(図示せず)に格納する。バッファメモリは、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子によって実現される。
第1の実施形態では、受信回路113は、圧電振動子102bが送信したエコー信号を受信する度にエコーデータを生成し、エコーデータを生成する度に、生成したエコーデータをバッファメモリに格納する。
受信回路113は、プリアンプと、A/D(Analog to Digital)変換器と、直交検波回路等を有する。プリアンプは、エコー信号をチャンネルごとに増幅してゲイン調整(ゲイン補正)を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正されたエコー信号をA/D変換することで、ゲイン補正されたエコー信号をデジタル信号に変換する。直交検波回路は、A/D変換されたエコー信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(IQ信号)をエコーデータとしてバッファメモリに格納する。
受信回路113は、圧電振動子102bが送信した2次元のエコー信号から2次元のエコーデータを生成する。また、受信回路113は、圧電振動子102bが送信した3次元のエコー信号から3次元のエコーデータを生成する。
Bモード処理回路130b及びドプラ処理回路140bは、バッファメモリからエコーデータを読み出し、読み出したエコーデータに対して、各種の信号処理を行う信号処理部である。
Bモード処理回路130bは、バッファメモリから読み出したエコーデータに対して、対数増幅及び包絡線検波処理等を行なって、サンプル点ごとの信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理回路130bは、生成したBモードデータを送信回路112に送信する。Bモード処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。
第1の実施形態では、Bモード処理回路130bは、バッファメモリにエコーデータが格納される度に、格納されたエコーデータを読み出す。そして、Bモード処理回路130bは、エコーデータを読み出す度に、読み出したエコーデータからBモードデータを生成する。そして、Bモード処理回路130bは、Bモードデータを生成する度に、生成したBモードデータを送信回路112に送信する。このように、Bモード処理回路130bは、リアルタイムで処理を行う。Bモード処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。
ドプラ処理回路140bは、バッファメモリから読み出したエコーデータを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を抽出し、抽出した運動情報を示すデータ(ドプラデータ)を生成する。例えば、ドプラ処理回路140bは、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。ドプラ処理回路140bは、生成したドプラデータを送信回路112に送信する。ドプラ処理回路140bは、例えば、プロセッサにより実現される。
第1の実施形態では、ドプラ処理回路140bは、バッファメモリにエコーデータが格納される度に、格納されたエコーデータを読み出す。そして、ドプラ処理回路140bは、エコーデータを読み出す度に、読み出したエコーデータからドプラデータを生成する。そして、ドプラ処理回路140bは、ドプラデータを生成する度に、生成したドプラデータを送信回路112に送信する。このように、ドプラ処理回路140bは、リアルタイムで処理を行う。ドプラ処理回路140bは、例えば、プロセッサにより実現される。
Bモード処理回路130b及びドプラ処理回路140bは、2次元のエコーデータ及び3次元のエコーデータの両方について処理可能である。
制御回路180bは、超音波プローブ101bの処理全体を制御する。具体的には、制御回路180bは、超音波プローブ101bが備える入力装置(図示せず)を介して操作者から入力された各種設定要求や、超音波プローブ101bが備える記憶回路(図示せず)から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路111、Bモード処理回路130b及びドプラ処理回路140bの処理を制御する。制御回路180bは、例えば、プロセッサにより実現される。
ここで、超音波プローブ101bは、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格に基づく無線通信により、装置本体100と通信を行う。例えば、超音波プローブ101bの送信回路112は、無線通信により、Bモード処理回路130bから送信されたBモードデータを装置本体100の無線インターフェース202に送信する。また、超音波プローブ101bの送信回路112は、無線通信により、ドプラ処理回路140bから送信されたドプラデータを装置本体100の無線インターフェース202に送信する。例えば、超音波プローブ101bの送信回路112は、所定の時間間隔でBモードデータ及びドプラデータを送信する。ここでいう所定の時間間隔の一例としては、(1/PRF)msが挙げられる。
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック、フリーズボタン等の入力手段により実現される。入力装置102は、超音波診断装置2の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。例えば、入力装置102は、走査モードの指定を操作者から受付ける。これにより、画像生成回路150は、指定された走査モードで超音波画像データを生成する。なお、走査モードとしては、例えば、Bモード画像データを生成する「Bモード」、Mモード画像データを生成する「Mモード」、カラードプラ画像データを生成する「カラードプラモード」、パルス波(PW:Pulsed Wave)ドプラ法又は連続波(CW:Continuous Wave)ドプラ法でドプラ波形を示すドプラ波形データを生成する「PW,CWモード」が挙げられる。
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置2の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データにより示される超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。
生体信号計測装置200a,200bは、被検体Pの生体信号を計測し、計測した生体信号を装置本体100に出力する。生体信号は、例えば、心電波形又は心音波形である。生体信号計測装置200a,200bは、生体信号計測部の一例である。
生体信号計測装置200aは、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格に基づく無線通信により、装置本体100と通信を行う。例えば、生体信号計測装置200aは、無線通信により、生体信号を装置本体100の無線インターフェース201に送信する。例えば、生体信号計測装置200aは、所定の時間間隔で生体信号を送信する。ここでいう所定の時間間隔の一例としては、生体信号計測装置200aが生体信号を計測する際の計測間隔(サンプリング間隔)が挙げられる。
生体信号計測装置200bは、装置本体100と有線により通信を行う。例えば、生体信号計測装置200bは、Ethernet(登録商標)等の有線通信規格に基づく有線通信により、装置本体100と通信を行う。例えば、生体信号計測装置200bは、ケーブル(図示せず)を介して装置本体100と接続可能である。生体信号計測装置200bは、ケーブルを介して、装置本体100に生体信号を送信する。例えば、生体信号計測装置200bは、所定の時間間隔で生体信号を送信する。ここでいう所定の時間間隔の一例としては、生体信号計測装置200bが生体信号を計測する際の計測間隔(サンプリング間隔)が挙げられる。
装置本体100は、超音波プローブ101aが送信したエコー信号に基づいて超音波画像データを生成する。また、装置本体100は、超音波プローブ101bが送信した超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)に基づいて超音波画像データを生成する。装置本体100は、超音波プローブ101aが送信した被検体Pの2次元領域に対応するエコー信号に基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101bが送信した2次元の超音波データに基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101aが送信した被検体Pの3次元領域に対応するエコー信号に基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101bが送信した3次元の超音波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。
図1に示すように、装置本体100は、送受信回路110と、バッファメモリ120と、Bモード処理回路130と、ドプラ処理回路140と、画像生成回路150と、画像メモリ160と、記憶回路170と、制御回路180と、複数の無線インターフェース201,202とを有する。
送受信回路110は、制御回路180による制御を受けて、超音波プローブ101aから超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101aに超音波のエコーを受信させる。すなわち、超音波プローブ101aは、被検体Pに対する超音波走査を行う。
送受信回路110は、送信回路110aと受信回路110bとを有する。送信回路110aは、制御回路180による制御を受けて、超音波プローブ101aの圧電振動子102aから超音波を送信させる。送信回路110aは、レートパルサ発生回路と、送信遅延回路と、送信パルサとを有し、複数の圧電振動子102aに駆動信号を供給する。送信回路110aは、被検体P内の2次元領域を走査(スキャン)する場合、複数の圧電振動子102aから2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路110aは、被検体P内の3次元領域を走査する場合、複数の圧電振動子102aから3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。
レートパルサ発生回路は、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサに電圧が印加される。例えば、送信遅延回路は、複数の圧電振動子102aから発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子102aごとの送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。送信パルサは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、複数の圧電振動子102aに駆動信号を印加する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
駆動パルスは、送信パルサからケーブルを介して圧電振動子102aまで伝達した後に、圧電振動子102aにおいて電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動によって発生した超音波は、被検体Pの生体内部に送信される。ここで、圧電振動子102aごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
なお、送信回路110aは、制御回路180による制御を受けて、所定の走査シーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
圧電振動子102aにより送信された超音波のエコーは、圧電振動子102aまで到達した後、圧電振動子102aにおいて、機械的振動から電気的信号(エコー信号)に変換され、受信回路110bに入力される。
受信回路110bは、制御回路180による制御を受けて、圧電振動子102aが送信したエコー信号に対して各種処理を行なってエコーデータを生成する。そして、受信回路110bは、制御回路180による制御を受けて、生成したエコーデータをバッファメモリ120に格納する。
第1の実施形態では、受信回路110bは、圧電振動子102aが送信したエコー信号を受信する度にエコーデータを生成し、エコーデータを生成する度に、生成したエコーデータをバッファメモリ120に格納する。このように、受信回路110bは、リアルタイムで処理を行う。
受信回路110bは、プリアンプと、A/D(Analog to Digital)変換器と、直交検波回路等を有する。プリアンプは、エコー信号をチャンネルごとに増幅してゲイン調整(ゲイン補正)を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正されたエコー信号をA/D変換することで、ゲイン補正されたエコー信号をデジタル信号に変換する。直交検波回路は、A/D変換されたエコー信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号)と直交信号(Q信号)とに変換する。そして、直交検波回路は、I信号及びQ信号(IQ信号)をエコーデータとしてバッファメモリ120に格納する。
受信回路110bは、圧電振動子102aが送信した2次元のエコー信号から2次元のエコーデータを生成する。また、受信回路110bは、圧電振動子102aが送信した3次元のエコー信号から3次元のエコーデータを生成する。
バッファメモリ120は、送受信回路110により生成されたエコーデータを一時的に記憶するメモリである。例えば、バッファメモリ120は、数フレーム分のエコーデータ、又は、数ボリューム分のエコーデータを記憶する。例えば、バッファメモリ120は、送受信回路110の制御により、所定数のフレーム分のエコーデータを記憶する。そして、バッファメモリ120は、新たに1フレーム分のエコーデータが送受信回路110により生成された場合、送受信回路110による制御を受けて、生成された時間が最も古い1フレーム分のエコーデータを破棄し、新たに生成された1フレーム分のエコーデータを記憶する。例えば、バッファメモリ120は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子によって実現される。
Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140は、バッファメモリ120からエコーデータを読み出し、読み出したエコーデータに対して、各種の信号処理を行う信号処理部である。
Bモード処理回路130は、バッファメモリ120から読み出したエコーデータに対して、対数増幅及び包絡線検波処理等を行なって、サンプル点ごとの信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。Bモード処理回路130は、生成したBモードデータを時間調整回路190に送信する。
第1の実施形態では、Bモード処理回路130は、バッファメモリ120にエコーデータが格納される度に、格納されたエコーデータを読み出す。そして、Bモード処理回路130は、エコーデータを読み出す度に、読み出したエコーデータからBモードデータを生成する。そして、Bモード処理回路130は、Bモードデータを生成する度に、生成したBモードデータを時間調整回路190に送信する。このように、Bモード処理回路130は、リアルタイムで処理を行う。Bモード処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。
ドプラ処理回路140は、バッファメモリ120から読み出したエコーデータを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を抽出し、抽出した運動情報を示すデータ(ドプラデータ)を生成する。例えば、ドプラ処理回路140は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。ドプラ処理回路140は、生成したドプラデータを時間調整回路190に出力する。
第1の実施形態では、ドプラ処理回路140は、バッファメモリ120にエコーデータが格納される度に、格納されたエコーデータを読み出す。そして、ドプラ処理回路140は、エコーデータを読み出す度に、読み出したエコーデータからドプラデータを生成する。そして、ドプラ処理回路140は、ドプラデータを生成する度に、生成したドプラデータを時間調整回路190に送信する。このように、ドプラ処理回路140は、リアルタイムで処理を行う。ドプラ処理回路140は、例えば、プロセッサにより実現される。
Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140は、2次元のエコーデータ及び3次元のエコーデータの両方について処理可能である。
無線インターフェース201は、生体信号計測装置200aにより送信される生体信号を受信する度に、受信した生体信号を時間調整回路190に送信する。また、無線インターフェース202は、超音波プローブ101bにより送信される超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)を受信する度に、受信した超音波データを時間調整回路190に送信する。例えば、無線インターフェース201,202は、Bluetooth(登録商標)の規格に基づいたインターフェースである。
時間調整回路190は、ディスプレイ103に表示させる超音波画像と生体信号との同期をとるために、超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)及び生体信号に後述するカウント値を付加する。そして、時間調整回路190は、カウント値が付加された超音波データを画像生成回路150に送信する。また、時間調整回路190は、カウント値が付加された生体信号を画像メモリ160に格納する。時間調整回路190の詳細については後述する。
画像生成回路150は、各種の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路150は、カウント値が付加された超音波データからカウント値が付加された超音波画像データを生成する。画像生成回路150は、画像生成部の一例である。また、超音波画像データは、画像データの一例である。
例えば、画像生成回路150は、時間調整回路190により送信されたカウント値が付加された2次元のBモードデータを受信した場合に、受信した2次元のBモードデータからエコーの強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。そして、画像生成回路150は、生成した2次元Bモード画像データの元となる2次元のBモードデータに付加されたカウント値を2次元Bモード画像データに付加する。そして、画像生成回路150は、カウント値が付加された2次元Bモード画像データを画像メモリ160に格納する。2次元Bモード画像データは、超音波画像データの一例である。
また、画像生成回路150は、時間調整回路190により送信されたカウント値が付加された2次元のドプラデータを受信した場合に、受信した2次元のドプラデータから移動体の運動情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。そして、画像生成回路150は、生成した2次元ドプラ画像データの元となるドプラデータに付加されたカウント値を2次元ドプラ画像データに付加する。そして、画像生成回路150は、カウント値が付加された2次元ドプラ画像データを画像メモリ160に格納する。画像生成回路150は、プロセッサにより実現される。2次元ドプラ画像データは、超音波画像データの一例である。
ここで、画像生成回路150は、リアルタイムで2次元Bモード画像データ及び2次元ドプラ画像データを生成することが可能である。例えば、画像生成回路150は、時間調整回路190により送信されたカウント値が付加された超音波データ(Bモードデータ又はドプラデータ)を受信する度に、受信した超音波データから超音波画像データを生成する。そして、画像生成回路150は、超音波画像データを生成する度に、生成した超音波画像データの元となる超音波データに付加されたカウント値を超音波画像データに付加する。そして、画像生成回路150は、カウント値を超音波画像データに付加する度に、カウント値が付加された超音波画像データを画像メモリ160に格納する。このように、画像生成回路150は、リアルタイムで、カウント値が付加された超音波画像データを生成し、画像メモリ160に格納する。
ここで、画像生成回路150は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(走査コンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路150は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路150は、走査コンバート以外に種々の画像処理として、例えば、走査コンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路150は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
更に、画像生成回路150は、Bモード処理回路130により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路150は、ドプラ処理回路140により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路150は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路150は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行なう。
画像生成回路150が行なうレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路150が行なうレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
そして、画像生成回路150は、ボリュームデータから生成された2次元画像データに、この2次元画像データの元となるボリュームデータに付加されたカウント値を付加する。そして、画像生成回路150は、カウント値が付加された2次元画像データを画像メモリ160に格納する。ここで、画像生成回路150は、リアルタイムで、カウント値が付加されたボリュームデータからカウント値が付加された2次元画像データを生成してもよい。2次元画像データは、超音波画像データの一例である。
また、画像生成回路150は、1走査線上の時系列のBモードデータから、Mモード画像データを生成することも可能である。例えば、画像生成回路150は、時間調整回路190により送信されたカウント値が付加された時系列のBモードデータのうち、所定の1走査線上の時系列のBモードデータ(1次元のBモードデータ)からMモード画像データを生成する。
ここで、画像生成回路150は、時間調整回路190により送信される1つのカウント値が付加された1つのBモードデータごとに、このカウント値に対応する時間における部分画像データを生成する。この部分画像データは、Mモード画像データを構成する複数の画像データのうちの1つの画像データであり、Mモード画像データの一部の画像データである。そして、画像生成回路150は、生成した部分画像データの元となるBモードデータに付加されたカウント値を部分画像データに付加する。そして、画像生成回路150は、カウント値が付加された部分画像データを画像メモリ160に格納する。そして、画像生成回路150は、画像メモリ160に記憶された複数の部分画像データを結合することにより1つのMモード画像データを生成する。Mモード画像データは、超音波画像データの一例である。
なお、画像生成回路150は、リアルタイムでMモード画像データを生成することが可能である。
また、画像生成回路150は、時系列のドプラデータから、ドプラデータが示す血流の速度情報(例えば、平均速度)を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を示すドプラ波形データを生成することも可能である。例えば、画像生成回路150は、時間調整回路190により送信されたカウント値が付加された時系列のドプラデータからドプラ波形データを生成する。
ここで、画像生成回路150は、時間調整回路190により送信される1つのカウント値が付加された1つのドプラデータごとに、このカウント値に対応する時間における部分画像データを生成する。この部分画像データは、ドプラ波形データを構成する複数の画像データのうちの1つの画像データであり、ドプラ波形データの一部の画像データである。そして、画像生成回路150は、生成した部分画像データの元となるドプラデータに付加されたカウント値を部分画像データに付加する。そして、画像生成回路150は、カウント値が付加された部分画像データを画像メモリ160に格納する。そして、画像生成回路150は、画像メモリ160に記憶された複数の部分画像データを結合することにより1つのドプラ波形データを生成する。ドプラ波形データは、超音波画像データの一例である。
なお、画像生成回路150は、リアルタイムでドプラ波形データを生成することが可能である。
Bモードデータ及びドプラデータは、走査コンバート処理前のデータ(超音波データ)であり、画像生成回路150が生成するデータは、走査コンバート処理後の表示用のデータ(超音波画像データ)である。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
画像メモリ160は、画像生成回路150により生成された各種の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ160は、Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140により生成されたデータも記憶する。また、画像メモリ160は、時間調整回路190により送信されたカウント値が付加された生体信号も記憶する。画像メモリ160が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路150を経由して表示用の超音波画像データとなる。例えば、画像メモリ160は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
記憶回路170は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラム、その他の各種のプログラム、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、及び、各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路170は、必要に応じて、画像メモリ160が記憶するデータの保管等にも使用される。例えば、記憶回路170は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
制御回路180は、超音波診断装置2の処理全体を制御する。具体的には、制御回路180は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路170から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路130、ドプラ処理回路140、画像生成回路150及び時間調整回路190の処理を制御する。制御回路180は、例えば、プロセッサにより実現される。
また、制御回路180は、画像メモリ160に記憶された各種の表示用の超音波画像データにより示される超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する表示制御機能を有する。例えば、制御回路180は、画像メモリ160に記憶された超音波画像データに付加されたカウント値、及び、生体信号に付加されたカウント値に基づいて、超音波画像データが示す超音波画像及び生体信号の同期をとって、ディスプレイ103に表示させる。具体的には、制御回路180は、画像メモリ160に記憶された複数の超音波画像データ及び複数の生体信号の中から、同一のカウント値又は略同一のカウント値が付加された超音波画像データ及び生体信号を特定する。なお、略同一のカウント値とは、例えば、所定の微少な時間差を有する2つのカウント値である。そして、制御回路180は、特定した超音波画像データが示す超音波画像、及び、特定した生体信号を同期させてディスプレイ103に表示させる。制御回路180は、表示制御部の一例である。
また、制御回路180は、ディスプレイ103に超音波画像及び生体信号が表示されている状態で、入力装置102に含まれるフリーズボタンが操作者により押下された場合には、フリーズボタンが押下されたタイミングに表示されていた超音波画像及び生体信号を、表示させ続ける。すなわち、制御回路180は、フリーズボタンが押下されたタイミングに表示されていた超音波画像及び生体信号をフリーズ(静止)させる。制御回路180は、入力装置102を介してフリーズを解除する指示が操作者から入力されるまで、超音波画像及び生体信号をフリーズさせ続ける。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路170に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路170にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置2の全体構成について説明した。
ここで、仮に、時間調整回路190が同時又は略同時に受信した超音波データ(Bモードデータ又はドプラデータ)及び生体信号に対して、同一又は略同一のカウント値を付加する場合について説明する。このような場合には、制御回路180によりディスプレイ103に同時に表示される超音波画像の心時相と生体信号の心時相とが一致せず、超音波画像の心時相と生体信号の心時相との同期がとれないことがある。
このように、同期がとれなくなる理由の1つについて説明する。例えば、超音波プローブ101a又は超音波プローブ101bによりエコーが受信されるタイミングから、このエコーに基づく超音波データが時間調整回路190により受信されるタイミングまでの遅延時間(第1の遅延時間)がある。
また、生体信号計測装置200a又は生体信号計測装置200bにより生体信号が計測されるタイミングから、生体信号が時間調整回路190により受信されるタイミングまでの遅延時間(第2の遅延時間)がある。
ここで、第1の遅延時間と第2の遅延時間が同一又は略同一である場合には、超音波画像の心時相と生体信号の心時相との同期がとれる。一方、第1の遅延時間と第2の遅延時間が、同一でもなく略同一でもない場合には、超音波画像の心時相と生体信号の心時相との同期がとれなくなる。
そのため、仮に、時間調整回路190が同時又は略同時に受信した超音波データ及び生体信号に対して、一定の時間差が付けられた2つのカウント値のそれぞれを付加することも考えられる。しかしながら、このような場合であっても、以下に説明する理由から、超音波画像の心時相と生体信号の心時相との同期がとれなくなることがある。
例えば、有線通信を行う超音波プローブ101aにおける第1の遅延時間よりも、無線通信を行う超音波プローブ101bにおける第1の遅延時間の方が長くなる傾向がある。これは、無線通信のほうが、有線通信よりも時間がかかる傾向があるからである。同様に、有線通信を行う生体信号計測装置200bにおける第2の遅延時間よりも、無線通信を行う生体信号計測装置200aにおける第2の遅延時間の方が長くなる傾向がある。
したがって、第1の遅延時間と第2の遅延時間の時間差は、一定ではない。このため、超音波データ及び生体信号に対して、一定の時間差が付けられた2つのカウント値のそれぞれを付加した場合であっても、超音波プローブ及び生体信号計測装置の組合せによっては、表示される超音波画像の心時相と生体信号の心時相との同期がとれないことがある。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置2は、超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せがどのような組合せであっても、超音波画像データと生体信号とを同期させることができるように、以下に説明するように構成されている。
図2は、第1の実施形態に係る時間調整回路190の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、時間調整回路190は、プロセッサ190aと、メモリ190bと、第1のカウンタ190dと、第2のカウンタ190eとを備える。
これらの時間調整回路190の構成要素のうち、第1のカウンタ190dは、超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)に付加されるカウント値をカウントするカウンタである。第2のカウンタ190eは、生体信号に付加されるカウント値をカウントするカウンタである。第1のカウンタ190d及び第2のカウンタ190eは、プロセッサ190aによる制御を受けて、時間をカウント値としてカウントする。例えば、第1のカウンタ190d及び第2のカウンタ190eは、プロセッサ190aにより設定された時間を開始時間として、開始時間からの経過時間をカウントする。
メモリ190bには、時間調整テーブル190cが記憶されている。図3は、第1の実施形態に係る時間調整テーブル190cのデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、時間調整テーブル190cに登録されているレコードには、「プローブID」、「生体信号計測装置ID」、「モードID」、「第1のカウント開始時間」及び「第2のカウント開始時間」の複数の項目が含まれる。
「プローブID」の項目には、超音波診断装置2において、超音波走査に用いられることが可能な複数の超音波プローブ101a,101bのそれぞれを識別するためのID(identification)が登録されている。以下の説明では、超音波プローブを識別するためのIDを「プローブID」と表記する。すなわち、プローブIDは、超音波プローブの種類を示す。例えば、プローブIDは、超音波プローブの種類として、1Dアレイプローブ、2Dアレイプローブ及びメカニカル4Dアレイプローブのうちのいずれかの超音波プローブを示す。また、例えば、プローブIDは、超音波プローブの種類として、装置本体100と無線通信を行う超音波プローブ、及び、装置本体100と有線通信を行う超音波プローブのうちのいずれかの超音波プローブを示す。
また、「生体信号計測装置ID」の項目には、超音波診断装置2において、生体信号の計測に用いられることが可能な複数の生体信号計測装置200a,200bのそれぞれを識別するためのIDが登録されている。以下の説明では、生体信号計測装置を識別するためのIDを「生体信号計測装置ID」と表記する。
また、「モードID」の項目には、超音波診断装置2において、複数の走査モードのそれぞれを識別するためのIDが登録されている。複数の走査モードとしては、例えば、上述した「Bモード」、「Mモード」、「カラードプラモード」及び「PW,CWモード」の4つのモードが挙げられる。以下の説明では、走査モードを識別するためのIDを「モードID」と表記する。
第1の実施形態では、一例として、超音波走査に用いられることが可能な複数の超音波プローブ101a,101bの数が「2」であり、生体信号の計測に用いられることが可能な複数の生体信号計測装置の数が「2」であり、走査モードの数が「4」である。このため、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDの全ての組合せは、16(2×2×4)通りの組合せとなる。
時間調整テーブル190cには、16つのレコードが登録されている。そして、これらの16つのレコードのそれぞれには、上述したプローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDの全ての組合せのそれぞれが登録されている。そして、各レコードには、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDの組合せに対応付けられて後述の第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間が登録されている。
「第1のカウント開始時間」の項目には、第1のカウンタ190dが時間をカウントする際の開始時間(第1のカウント開始時間)が登録されている。また、「第2のカウント開始時間」の項目には、第2のカウンタ190eが時間をカウントする際の開始時間(第2のカウント開始時間)が登録されている。
第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間の算出方法について説明する。例えば、超音波プローブ、生体信号計測装置及び走査モードの組合せ毎に、上述した第1の遅延時間及び上述した第2の遅延時間を実験又はシミュレーションにより求める。そして、第1の遅延時間と第2の遅延時間の差(時間差)を求める。具体的には、第1の遅延時間から第2の遅延時間を減じて時間差を求める。
第2の遅延時間よりも第1の遅延時間の方が長い場合には、時間差は正の値となり、生体信号を時間調整回路190が受信するタイミングよりも、超音波データを時間調整回路190が受信するタイミングの方が遅いことになる。そこで、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号とを同期させるために、時間差を「D(ms)」とし、第1のカウント開始時間を「N(ms)」とすると、第2のカウント開始時間を「N+D(ms)」とする。すなわち、時間差が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期がとれるように、第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を求める。
一方、第1の遅延時間よりも第2の遅延時間の方が長い場合には、時間差は負の値となり、超音波データを時間調整回路190が受信するタイミングよりも、生体信号を時間調整回路190が受信するタイミングの方が遅いことになる。そこで、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号とを同期させるために、時間差の絶対値を「D(ms)」とし、第2のカウント開始時間を「N(ms)」とすると、第1のカウント開始時間を「N+D(ms)」とする。すなわち、この場合においても、時間差が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期がとれるように、第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を求める。
第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間は、超音波プローブ101aから出力されるエコー信号に基づく超音波データの受信タイミング又は超音波プローブ101bから出力される超音波データの受信タイミングと、生体信号計測装置200a又は生体信号計測装置200bから出力される生体信号の受信タイミングとの時間差に基づく情報である。
このようにして超音波プローブ、生体信号計測装置及び走査モードの組合せ毎に求められた第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間が、「第1のカウント開始時間」の項目及び「第2のカウント開始時間」の項目に登録される。
例えば、図3に示す時間調整テーブル190cに登録された1番目のレコードは、プローブID「AA」により示される超音波プローブ101aが超音波走査に用いられ、生体信号計測装置ID「BB」により示される生体信号計測装置200bが生体信号の計測に用いられ、走査モードがモードID「Bモード」により示されるBモードである場合に、第1のカウント開始時間が「40(ms)」で、第2のカウント開始時間が「48(ms)」であることを示す。
すなわち、時間調整テーブル190cの各レコードには、複数の超音波プローブ101a,101bのうち超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、複数の生体信号計測装置200a,200bのうち生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せに応じた第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間が登録されている。また、時間調整テーブル190cは、複数の超音波プローブ101a,101bのそれぞれと、複数の生体信号計測装置200a,200bのそれぞれとの組合せ毎に第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間が対応付けられた情報が登録されたテーブルである。また、第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間は、同期情報の一例である。
図2の説明に戻り、プロセッサ190aは、第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間に基づいて、超音波走査に用いられる超音波プローブから出力されるエコー信号又は超音波データに基づく超音波画像データ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置から出力される生体信号を同期させる。プロセッサ190aは、同期部の一例である。
プロセッサ190aが実行する処理の一例について説明する。例えば、プロセッサ190aは、制御回路180から、現在、超音波走査に用いられている超音波プローブを示すプローブID、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置を示す生体信号計測装置ID、並びに、現在の走査モードを示すモードIDを取得する。
例えば、制御回路180は、現在、超音波走査に用いられている超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置を把握している。また、制御回路180は、現在の走査モードを把握している。そこで、プロセッサ190aは、現在、超音波走査に用いられている超音波プローブを示すプローブID、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置を示す生体信号計測装置ID、並びに、現在の走査モードを示すモードIDをプロセッサ190aに送信させるための指示(ID送信指示)を制御回路180に送信する。制御回路180は、ID送信指示を受信した場合に、ID送信指示にしたがって、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDをプロセッサ190aに送信する。このようにして、プロセッサ190aは、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDを取得する。
そして、プロセッサ190aは、時間調整テーブル190cを参照し、取得したプローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDに対応する第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を取得する。
例えば、プロセッサ190aは、時間調整テーブル190cの全レコードの中から、取得したプローブIDが「プローブID」の項目に登録され、取得した生体信号計測装置IDが「生体信号計測装置ID」の項目に登録され、取得したモードIDが「モードID」の項目に登録されたレコードを特定する。そして、プロセッサ190aは、特定したレコードの「第1のカウント開始時間」の項目に登録された第1のカウント開始時間を取得する。また、プロセッサ190aは、特定したレコードの「第2のカウント開始時間」の項目に登録された第2のカウント開始時間を取得する。
すなわち、プロセッサ190aは、時間調整テーブル190cを参照し、超音波走査に用いられる超音波プローブ及び生体信号の計測に用いられる生体信号装置の組合せに対応する第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を取得する。また、プロセッサ190aは、更に、超音波走査に用いられる超音波プローブによる超音波走査の走査モードに応じて、第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を取得する。
そして、プロセッサ190aは、取得した第1のカウント開始時間を開始時間として第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、プロセッサ190aは、取得した第2のカウント開始時間を開始時間として第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。これにより、第1のカウンタ190dは、超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)に付加されるカウント値をカウントし、第2のカウンタ190eは、生体信号に付加されるカウント値をカウントする。また、第1のカウンタ190dによるカウントの開始タイミング及び第2のカウンタ190eによるカウントの開始タイミングは、同時である。
そして、プロセッサ190aは、超音波データを受信する度に、受信した超音波データに、第1のカウンタ190dによりカウントされたカウント値を付加する。例えば、プロセッサ190aは、受信した超音波データに、超音波データを受信したタイミングで第1のカウンタ190dによりカウントされたカウント値を付加する。そして、プロセッサ190aは、超音波データにカウント値を付加する度に、カウント値が付加された超音波データを画像メモリ160に格納する。なお、プロセッサ190aが受信する超音波データには、Bモード処理回路130から送信されたBモードデータ、ドプラ処理回路140から送信されたドプラデータ、Bモード処理回路130bから送信されたBモードデータ、及び、ドプラ処理回路140bから送信されたドプラデータが含まれる。
また、プロセッサ190aは、生体信号を受信する度に、受信した生体信号に、第2のカウンタ190eによりカウントされたカウント値を付加する。例えば、プロセッサ190aは、受信した生体信号に、生体信号を受信したタイミングで第2のカウンタ190eによりカウントされたカウント値を付加する。そして、プロセッサ190aは、生体信号にカウント値を付加する度に、カウント値が付加された生体信号を画像メモリ160に格納する。なお、プロセッサ190aが受信する生体信号には、生体信号計測装置200aから送信された生体信号、及び、生体信号計測装置200bから送信された生体信号が含まれる。
このように、プロセッサ190aが、超音波データ及び生体信号に同期をとるためのカウント値を付加する。これにより、超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せがどのような組合せであっても、超音波画像データと生体信号とを同期させることができる。
次に、図4~9を参照して、第1の実施形態に係る時間調整回路190が実行する処理の一例について説明する。図4~9は、第1の実施形態に係る時間調整回路190が実行する処理の一例について説明するための図である。
なお、図4~9において、超音波プローブ101bが超音波走査に用いられ、走査モードがMモードである場合(図9に示す場合)の超音波データの第1の遅延時間が最も長い。このため、図9に示す場合の超音波データに付加されるカウント値を「0(ms)」以上とすることで、図4~9に示す超音波データ及び生体信号に付加されるカウント値が「0(ms)」以上となるようにしている。すなわち、図4~9の各図が示す場合において、超音波データ及び生体信号に付加されるカウント値が「0(ms)」以上となるように、第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間が定められている。
図4~9において、「データ」は、カウント値が付加された超音波データを示し、「生体信号」は、カウント値が付加された生体信号を示す。また、図4~9における上向きの矢印は、所定の心時相のタイミング、例えば、R波時相のタイミングを示す。なお、図4~9の説明において、有線通信を行う超音波プローブ101a、及び、無線通信を行う超音波プローブ101bが、2Dアレイプローブである場合について説明する。
図4は、超音波プローブ101aが超音波走査に用いられ、有線通信を行う生体信号計測装置200bが生体信号の計測に用いられ、走査モードがBモードである場合を示す。この場合には、例えば、第2の遅延時間よりも第1の遅延時間の方が「8(ms)」分だけ長い。そこで、プロセッサ190aは、第1のカウント開始時間「40(ms)」を第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、プロセッサ190aは、第2のカウント開始時間「48(ms)」を第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。この結果、図4に示すように、時間差「8(ms)」が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期をとることができる。例えば、図4に示すように、上向き矢印が示すR波時相において、Bモードデータ及び生体信号に付加された2つのカウント値が共に「48(ms)」となる。
図5は、超音波プローブ101aが超音波走査に用いられ、無線通信を行う生体信号計測装置200aが生体信号の計測に用いられ、走査モードがBモードである場合を示す。この場合には、例えば、第1の遅延時間よりも第2の遅延時間の方が「24(ms)」分だけ長い。そこで、プロセッサ190aは、第1のカウント開始時間「40(ms)」を第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、プロセッサ190aは、第2のカウント開始時間「16(ms)」を第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。この結果、図5に示すように、時間差「-24(ms)」が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期をとることができる。例えば、図5に示すように、上向き矢印が示すR波時相において、Bモードデータ及び生体信号に付加された2つカウント値が共に「48(ms)」となる。
図6は、超音波プローブ101bが超音波走査に用いられ、生体信号計測装置200aが生体信号の計測に用いられ、走査モードがBモードである場合を示す。この場合には、例えば、第2の遅延時間よりも第1の遅延時間の方が「8(ms)」分だけ長い。そこで、プロセッサ190aは、第1のカウント開始時間「8(ms)」を第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、プロセッサ190aは、第2のカウント開始時間「16(ms)」を第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。この結果、図6に示すように、時間差「8(ms)」が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期をとることができる。例えば、図6に示すように、上向き矢印が示すR波時相において、Bモードデータ及び生体信号に付加された2つカウント値が共に「48(ms)」となる。
図7は、超音波プローブ101bが超音波走査に用いられ、生体信号計測装置200bが生体信号の計測に用いられ、走査モードがBモードである場合を示す。この場合には、例えば、第2の遅延時間よりも第1の遅延時間の方が「40(ms)」分だけ長い。そこで、プロセッサ190aは、第1のカウント開始時間「8(ms)」を第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、プロセッサ190aは、第2のカウント開始時間「48(ms)」を第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。この結果、図7に示すように、時間差「40(ms)」が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期をとることができる。例えば、図7に示すように、上向き矢印が示すR波時相において、Bモードデータ及び生体信号に付加された2つカウント値が共に「48(ms)」となる。
図8は、超音波プローブ101aが超音波走査に用いられ、生体信号計測装置200aが生体信号の計測に用いられ、走査モードがMモードである場合を示す。この場合には、例えば、第1の遅延時間よりも第2の遅延時間の方が「16(ms)」分だけ長い。そこで、プロセッサ190aは、第1のカウント開始時間「32(ms)」を第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、プロセッサ190aは、第2のカウント開始時間「16(ms)」を第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。この結果、図8に示すように、時間差「-16(ms)」が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期をとることができる。例えば、図8に示すように、上向き矢印が示すR波時相において、Bモードデータ及び生体信号に付加された2つカウント値が共に「48(ms)」となる。
図9は、超音波プローブ101bが超音波走査に用いられ、生体信号計測装置200aが生体信号の計測に用いられ、走査モードがMモードである場合を示す。この場合には、例えば、第2の遅延時間よりも第1の遅延時間の方が「16(ms)」分だけ長い。そこで、プロセッサ190aは、第1のカウント開始時間「0(ms)」を第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、プロセッサ190aは、第2のカウント開始時間「16(ms)」を第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。この結果、図9に示すように、時間差「16(ms)」が相殺されて、ディスプレイ103に表示される超音波画像と生体信号との同期をとることができる。例えば、図9に示すように、上向き矢印が示すR波時相において、Bモードデータ及び生体信号に付加された2つカウント値が共に「48(ms)」となる。
図10は、第1の実施形態に係る時間調整回路190が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。例えば、図10に示す処理は、超音波診断装置2に電力の供給が開始されて超音波診断装置2の電源がオンになった場合、超音波走査に用いられている超音波プローブが変更された場合、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置が変更された場合に、時間調整回路190により実行される。
図10に示すように、時間調整回路190のプロセッサ190aは、制御回路180から、現在、超音波走査に用いられている超音波プローブを示すプローブID、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置を示す生体信号計測装置ID、並びに、現在の走査モードを示すモードIDを取得する(ステップS101)。
そして、プロセッサ190aは、時間調整テーブル190cを参照し、取得したプローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDに対応する第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を取得する(ステップS102)。
そして、ステップS103では、プロセッサ190aは、取得した第1のカウント開始時間を開始時間として第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。また、ステップS103では、プロセッサ190aは、取得した第2のカウント開始時間を開始時間として第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。
そして、ステップS104では、プロセッサ190aは、受信した超音波データに第1のカウンタ190dによりカウントされたカウント値を付加する。また、ステップS104では、プロセッサ190aは、受信した生体信号に第2のカウンタ190eによりカウントされたカウント値を付加する。そして、プロセッサ190aは、カウント値が付加された超音波データ、及び、カウント値が付加された生体信号を画像メモリ160に格納する。
なお、プロセッサ190aは、超音波走査に用いられている超音波プローブが変更されるか、又は、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置が変更されるまで、受信した超音波データ及び受信した生体信号に対して、ステップS104の処理を繰り返し行う。
また、プロセッサ190aは、フリーズボタンが押下されてディスプレイ103に表示される超音波画像及び生体信号がフリーズ(静止)した後に、フリーズが解除された場合には、ステップS102以降の処理を行ってもよい。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置2について説明した。第1の実施形態に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置2によれば、上述したように、超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せがどのような組合せであっても、超音波画像データと生体信号とを同期させることができる。このため、例えば、複数の超音波プローブや複数の生体信号計測装置が用いられる超音波診断におけるスループットを向上させることができる。
また、第1の実施形態によれば、プロセッサ190aが、時間調整テーブル190cを参照して、同期情報である第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を導出する。したがって、第1の実施形態によれば、簡易な処理により同期情報を導出することができる。よって、第1の実施形態によれば、同期情報を導出するために、大規模な回路を用いることによる超音波診断装置2のサイズが大きくなるような事態の発生を抑制することができる。すなわち、第1の実施形態によれば、超音波診断システム1及び超音波診断装置2の小型化を図ることができる。
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態では、同期情報の一例として第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間が時間調整テーブル190cに登録されている場合について説明した。しかしながら、同期情報として、上述した時間差が、時間調整テーブルに登録されてもよい。そこで、このような変形例を第1の実施形態の変形例として説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図11は、第1の実施形態の変形例に係る時間調整回路191の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態の変形例に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置2は、図2に示す時間調整回路190に代えて、図11に示す時間調整回路191を備える点が、第1の実施形態に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置2と異なる。その他の構成については、第1の実施形態と第1の実施形態の変形例とでは同様の構成である。
図11に示すように、時間調整回路191は、第1のカウンタ190d及び第2のカウンタ190eに代えて、1つのカウンタ191bを備える点が、時間調整回路190と異なる。また、時間調整回路191が備えるメモリ190bが、時間調整テーブル190cに代えて時間調整テーブル191aを記憶する点が、時間調整回路190と異なる。
カウンタ191bは、超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)及び生体信号の一方に付加されるカウント値をカウントするカウンタである。また、カウンタ191bは、超音波データ及び生体信号の他方に付加されるカウント値の元となるカウント値をカウントするカウンタである。カウンタ191bは、プロセッサ190aによる制御を受けて、時間をカウント値としてカウントする。例えば、カウンタ191bは、プロセッサ190aにより設定された時間を開始時間として、開始時間からの経過時間をカウントする。
図12は、第1の実施形態の第1の変形例に係る時間調整テーブル191aのデータ構造の一例を示す図である。
図12に示すように、時間調整テーブル190cに登録されているレコードには、「プローブID」、「生体信号計測装置ID」、「モードID」、「時間差」の複数の項目が含まれる。
「プローブID」、「生体信号計測装置ID」及び「モードID」の各項目に登録される情報についての説明は、第1の実施形態と同様であるため、省略する。
時間調整テーブル191aには、時間調整テーブル190cと同様に、16つのレコードが登録されている。そして、これらの16つのレコードのそれぞれには、上述したプローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDの全ての組合せのそれぞれが登録されている。そして、各レコードには、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDの組合せに対応付けられて時間差が登録されている。
「時間差」の項目には、時間差が登録されている。時間差は、第1の実施形態で説明した方法と同様の方法により算出される。
時間差は、超音波プローブ101aから出力されるエコー信号に基づく超音波データの受信タイミング又は超音波プローブ101bから出力される超音波データの受信タイミングと、生体信号計測装置200a又は生体信号計測装置200bから出力される生体信号の受信タイミングとの時間差である。なお、ここでいう超音波データの受信タイミングとは、例えば、時間調整回路191により超音波データが受信されるタイミングである。また、生体信号の受信タイミングとは、例えば、時間調整回路191により生体信号が受信されるタイミングである。
超音波プローブ、生体信号計測装置及び走査モードの組合せ毎に求められた時間差が、「時間差」の項目に登録される。
例えば、図12に示す時間調整テーブル191aに登録された1番目のレコードは、プローブID「AA」により示される超音波プローブ101aが超音波走査に用いられ、生体信号計測装置ID「BB」により示される生体信号計測装置200bが生体信号の計測に用いられ、走査モードがモードID「Bモード」により示されるBモードである場合に、時間差が「+8(ms)」であることを示す。
すなわち、時間調整テーブル191aの各レコードには、複数の超音波プローブ101a,101bのうち超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、複数の生体信号計測装置200a,200bのうち生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せに応じた時間差が登録されている。また、時間調整テーブル191aは、複数の超音波プローブ101a,101bのそれぞれと、複数の生体信号計測装置200a,200bのそれぞれとの組合せ毎に時間差が対応付けられた情報が登録されたテーブルである。なお、時間差は、同期情報の一例である。
図11の説明に戻る。第1の実施形態の変形例に係るプロセッサ190aは、時間差に基づいて、超音波走査に用いられる超音波プローブから出力されるエコー信号又は超音波データに基づく超音波画像データ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置から出力される生体信号を同期させる。
第1の実施形態の変形例に係るプロセッサ190aが実行する処理の一例について説明する。例えば、プロセッサ190aは、第1の実施形態と同様に、制御回路180から、現在、超音波走査に用いられている超音波プローブを示すプローブID、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置を示す生体信号計測装置ID、並びに、現在の走査モードを示すモードIDを取得する。
そして、プロセッサ190aは、時間調整テーブル191aを参照し、取得したプローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDに対応する時間差を取得する。
例えば、プロセッサ190aは、時間調整テーブル191aの全レコードの中から、取得したプローブIDが「プローブID」の項目に登録され、取得した生体信号計測装置IDが「生体信号計測装置ID」の項目に登録され、取得したモードIDが「モードID」の項目に登録されたレコードを特定する。そして、プロセッサ190aは、特定したレコードの「時間差」の項目に登録された時間差を取得する。
すなわち、プロセッサ190aは、時間調整テーブル191aを参照し、超音波走査に用いられる超音波プローブ及び生体信号の計測に用いられる生体信号装置の組合せに対応する時間差を取得する。また、プロセッサ190aは、更に、超音波走査に用いられる超音波プローブによる超音波走査の走査モードに応じて、時間差を取得する。
そして、プロセッサ190aは、所定のカウント開始時間を開始時間としてカウンタ191bに設定し、所定のカウント開始時間からのカウントを開始するようにカウンタ191bを制御する。
ここで、取得した時間差が正の値である場合について説明する。この場合には、同一の心時相の超音波データ及び生体信号について、生体信号を時間調整回路191が受信するタイミングよりも、超音波データを時間調整回路191が受信するタイミングの方が遅いことになる。
そこで、時間差が正の値である場合に、プロセッサ190aは、超音波データを受信する度に、受信した超音波データに、カウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」を付加する。例えば、プロセッサ190aは、受信した超音波データに、超音波データを受信したタイミングでカウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」を付加する。そして、プロセッサ190aは、超音波データにカウント値「C(ms)」を付加する度に、カウント値「C(ms)」が付加された超音波データを画像メモリ160に格納する。
また、時間差が正の値である場合に、プロセッサ190aは、生体信号を受信する度に、受信した生体信号に、カウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」に時間差「D(ms)」が加算された値「C+D(ms)」をカウント値として付加する。例えば、プロセッサ190aは、受信した生体信号に、生体信号を受信したタイミングでカウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」に時間差「D(ms)」が加算された値「C+D(ms)」を付加する。そして、プロセッサ190aは、生体信号にカウント値「C+D(ms)」を付加する度に、カウント値「C+D(ms)」が付加された生体信号を画像メモリ160に格納する。
次に、取得した時間差が負の値である場合について説明する。この場合には、同一の心時相の超音波データ及び生体信号について、超音波データを時間調整回路191が受信するタイミングよりも、生体信号を時間調整回路191が受信するタイミングの方が遅いことになる。
そこで、時間差が負の値である場合に、プロセッサ190aは、生体信号を受信する度に、受信した生体信号に、カウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」を付加する。例えば、プロセッサ190aは、受信した生体信号に、生体信号を受信したタイミングでカウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」を付加する。そして、プロセッサ190aは、生体信号にカウント値「C(ms)」を付加する度に、カウント値「C(ms)」が付加された生体信号を画像メモリ160に格納する。
また、時間差が負の値である場合に、プロセッサ190aは、超音波データを受信する度に、受信した超音波データに、カウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」に時間差「D(ms)」が加算された値「C+D(ms)」をカウント値として付加する。例えば、プロセッサ190aは、受信した超音波データに、超音波データを受信したタイミングでカウンタ191bによりカウントされたカウント値「C(ms)」に時間差「D(ms)」が加算された値「C+D(ms)」を付加する。そして、プロセッサ190aは、超音波データにカウント値「C+D(ms)」を付加する度に、カウント値「C+D(ms)」が付加された超音波データを画像メモリ160に格納する。
以上、第1の実施形態の変形例に係る超音波診断システム1及び超音波診断装置2について説明した。第1の実施形態の変形例では、プロセッサ190aが、超音波データ及び生体信号に同期をとるためのカウント値を付加する。これにより、第1の変形例においても、第1の実施形態と同様に、超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せがどのような組合せであっても、超音波画像データと生体信号とを同期させることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態及び第1の実施形態の変形例では、装置本体100が時間調整回路190,191を備える場合について説明した。しかしながら、超音波プローブが、時間調整回路を備えてもよい。そこで、このような実施形態を第2の実施形態として説明する。第1の実施形態及び第1の実施形態の変形例と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図13は、第2の実施形態に係る超音波診断システム1aの構成例を示すブロック図である。図13に例示するように、第2の実施形態に係る超音波診断システム1aは、超音波診断装置2に代えて超音波診断装置2aを備える点が、第1の実施形態に係る超音波診断システム1と異なる。また、第2の実施形態に係る超音波診断装置2aは、装置本体100に代えて装置本体100aを備える点、及び、複数の超音波プローブ101a,101bに代えて複数の超音波プローブ101c,101dを備える点が、第1の実施形態に係る超音波診断装置2と異なる。
また、第2の実施形態に係る装置本体100aは、制御回路180に代えて制御回路180cを備える点、及び、時間調整回路190を備えない点が、第1の実施形態に係る装置本体100と異なる。第2の実施形態に係る制御回路180cは、第2のカウンタ190eを備える点が、第1の実施形態に係る制御回路180と異なる。また、超音波プローブ101c,101dは、時間調整回路192を備える点が、第1の実施形態に係る超音波プローブ101a,101bと異なる。
図14は、第2の実施形態に係る時間調整回路192の構成例を示すブロック図である。図14に示すように、第2の実施形態に係る時間調整回路192は、第2のカウンタ190eを備えていない点で、第1の実施形態に係る時間調整回路190と異なる。
第2の実施形態に係るプロセッサ190aが実行する処理の一例について説明する。例えば、プロセッサ190aは、制御回路180cから、現在、超音波走査に用いられている超音波プローブを示すプローブID、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置を示す生体信号計測装置ID、並びに、現在の走査モードを示すモードIDを取得する。
例えば、プロセッサ190aは、上述したID送信指示を、制御回路180cに送信する。制御回路180cは、ID送信指示を受信した場合に、ID送信指示にしたがって、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDをプロセッサ190aに送信する。このようにして、プロセッサ190aは、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDを取得する。
そして、プロセッサ190aは、時間調整テーブル190cを参照し、取得したプローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDに対応する第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を取得する。
そして、プロセッサ190aは、取得した第1のカウント開始時間を開始時間として第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。これにより、超音波プローブ101cが備える第1のカウンタ190dは、圧電振動子102aから出力されるエコー信号に付加されるカウント値をカウントする。また、超音波プローブ101dが備える第1のカウンタ190dは、Bモード処理回路130b及びドプラ処理回路140bから出力される超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)に付加されるカウント値をカウントする。
また、プロセッサ190aは、取得した第2のカウント開始時間を制御回路180cに送信する。制御回路180cは、第2のカウント開始時間を受信すると、受信した第2のカウント開始時間を開始時間として第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。
これにより、第2のカウンタ190eは、生体信号に付加されるカウント値をカウントする。また、第1のカウンタ190dによるカウントの開始タイミング及び第2のカウンタ190eによるカウントの開始タイミングは、同時である。
そして、超音波プローブ101cが備えるプロセッサ190aは、圧電振動子102aから送信されるエコー信号を受信する度に、受信したエコー信号に、第1のカウンタ190dによりカウントされたカウント値を付加する。そして、プロセッサ190aは、エコー信号にカウント値を付加する度に、カウント値が付加されたエコー信号を装置本体100aの受信回路110bに送信する。受信回路110bは、カウント値が付加されたエコー信号を受信すると、カウント値が付加されたエコー信号は、Bモード処理回路130又はドプラ処理回路140、及び、画像生成回路150を経由して、カウント値が付加された超音波画像データとなる。このようなカウント値が付加された超音波画像データは、第1の実施形態と同様に、画像メモリ160に記憶される。
また、超音波プローブ101dが備えるプロセッサ190aは、超音波データを受信する度に、受信した超音波データに、第1のカウンタ190dによりカウントされたカウント値を付加する。そして、プロセッサ190aは、超音波データにカウント値を付加する度に、カウント値が付加された超音波データを装置本体100aの無線インターフェース202に送信する。無線インターフェース202は、カウント値が付加された超音波データを受信すると、カウント値が付加された超音波データを画像生成回路150に送信する。画像生成回路150は、カウント値が付加された超音波データから、カウント値が付加された超音波画像データを生成する。カウント値が付加された超音波画像データは、第1の実施形態と同様に、画像メモリ160に記憶される。
ここで、第2の実施形態では、生体信号計測装置200aは、無線インターフェース201を介して制御回路180cに、生体信号を所定の時間間隔で送信する。また、生体信号計測装置200bも、制御回路180cに、生体信号を所定の時間間隔で送信する。
制御回路180cは、生体信号を受信する度に、受信した生体信号に、第2のカウンタ190eによりカウントされたカウント値を付加する。そして、制御回路180cは、生体信号にカウント値を付加する度に、カウント値が付加された生体信号を画像メモリ160に格納する。
以上、第2の実施形態に係る超音波診断システム1a及び超音波診断装置2aについて説明した。第2の実施形態では、プロセッサ190a及び制御回路180cが、超音波データ及び生体信号に同期をとるためのカウント値を付加する。これにより、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せがどのような組合せであっても、超音波画像データと生体信号とを同期させることができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第1の実施形態の変形例では、装置本体100が時間調整回路190,191を備える場合について説明した。また、第2の実施形態では、超音波プローブ101c,101dが時間調整回路192を備える場合について説明した。しかしながら、生体信号計測装置が、時間調整回路を備えてもよい。そこで、このような実施形態を第3の実施形態として説明する。第1の実施形態及び第1の実施形態の変形例並びに第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図15は、第3の実施形態に係る超音波診断システム1bの構成例を示すブロック図である。図15に例示するように、第3の実施形態に係る超音波診断システム1bは、超音波診断装置2に代えて超音波診断装置2bを備える点、及び、複数の生体信号計測装置200a,200bに代えて複数の生体信号計測装置200c,200dを備える点が、第1の実施形態に係る超音波診断システム1と異なる。また、第3の実施形態に係る超音波診断装置2bは、装置本体100に代えて装置本体100bを備える点が、第1の実施形態に係る超音波診断装置2と異なる。
また、第3の実施形態に係る装置本体100bは、制御回路180に代えて制御回路180dを備える点、及び、時間調整回路190を備えない点が、第1の実施形態に係る装置本体100と異なる。第3の実施形態に係る制御回路180dは、第1のカウンタ190dを備える点が、第1の実施形態に係る制御回路180と異なる。また、生体信号計測装置200c,200dは、時間調整回路193を備える点が、第1の実施形態に係る生体信号計測装置200a,200bと異なる。
図16は、第3の実施形態に係る時間調整回路193の構成例を示すブロック図である。図16に示すように、第3の実施形態に係る時間調整回路193は、第1のカウンタ190dを備えていない点で、第1の実施形態に係る時間調整回路190と異なる。
第3の実施形態に係るプロセッサ190aが実行する処理の一例について説明する。例えば、プロセッサ190aは、制御回路180cから、現在、超音波走査に用いられている超音波プローブを示すプローブID、及び、生体信号の計測に用いられている生体信号計測装置を示す生体信号計測装置ID、並びに、現在の走査モードを示すモードIDを取得する。
例えば、プロセッサ190aは、上述したID送信指示を、制御回路180dに送信する。制御回路180dは、ID送信指示を受信した場合に、ID送信指示にしたがって、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDをプロセッサ190aに送信する。このようにして、プロセッサ190aは、プローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDを取得する。
そして、プロセッサ190aは、時間調整テーブル190cを参照し、取得したプローブID、生体信号計測装置ID及びモードIDに対応する第1のカウント開始時間及び第2のカウント開始時間を取得する。
そして、プロセッサ190aは、取得した第2のカウント開始時間を開始時間として第2のカウンタ190eに設定し、第2のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第2のカウンタ190eを制御する。これにより、第2のカウンタ190eは、生体信号に付加されるカウント値をカウントする。
また、プロセッサ190aは、取得した第1のカウント開始時間を制御回路180dに送信する。制御回路180dは、第1のカウント開始時間を受信すると、受信した第1のカウント開始時間を開始時間として第1のカウンタ190dに設定し、第1のカウント開始時間からの経過時間のカウントを開始するように第1のカウンタ190dを制御する。
これにより、第1のカウンタ190dは、超音波データ(Bモードデータ及びドプラデータ)に付加されるカウント値をカウントする。また、第1のカウンタ190dによるカウントの開始タイミング及び第2のカウンタ190eによるカウントの開始タイミングは、同時である。
そして、プロセッサ190aは、所定の時間間隔で生体信号に、第2のカウンタ190eによりカウントされたカウント値を付加する。そして、プロセッサ190aは、生体信号にカウント値を付加する度に、カウント値が付加された生体信号を装置本体100bの制御回路180dに送信する。制御回路180dは、カウント値が付加された生体信号を受信すると、カウント値が付加された生体信号を画像メモリ160に格納する。
ここで、第2の実施形態では、Bモード処理回路130は、制御回路180dにBモードデータを送信する。また、ドプラ処理回路140は、制御回路180dに、ドプラデータを送信する。また、超音波プローブ101bは、制御回路180dに、超音波データを送信する。
制御回路180dは、超音波データを受信する度に、受信した超音波データに、第1のカウンタ190dによりカウントされたカウント値を付加する。そして、制御回路180dは、超音波データにカウント値を付加する度に、カウント値が付加された超音波データを画像メモリ160に格納する。
以上、第3の実施形態に係る超音波診断システム1b及び超音波診断装置2bについて説明した。第3の実施形態では、プロセッサ190a及び制御回路180dが、超音波データ及び生体信号に同期をとるためのカウント値を付加する。これにより、第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せがどのような組合せであっても、超音波画像データと生体信号とを同期させることができる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態又は変形例によれば、超音波走査に用いられる超音波プローブ、及び、生体信号の計測に用いられる生体信号計測装置の組合せがどのような組合せであっても、超音波画像データと生体信号とを同期させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。