一般に、本明細書には、細長い反転支持カテーテルで反転するように構成された反転可撓性トラクタチューブを有する機械的な血栓除去装置が開示および記載されている。トラクタチューブの一端は、プラー(例えば、プルワイヤ、プルカテーテルなど)に連結されるようにしてもよい。特に、本明細書には、特に大きくかつ/または硬い血栓を引っ張るときに、引っ掛かりを防ぎ、かつ/または滑らかに折り返すための1または複数の適応を含む装置が開示および記載されている。
一般に、血管から血栓を除去するための機械的な血栓除去装置は、遠位端および遠位環状部(遠位端開口)を有する細長い反転支持カテーテルと、細長いプラーに連結された可撓性トラクタチューブを含む可撓性トラクタアセンブリとを有するシステム、アセンブリまたはデバイスとすることができる。可撓性トラクタチューブは、細長い反転支持カテーテルの遠位端開口で折り返して反転するように構成されている。
本明細書に開示および記載の多くの実施例では、トラクタアセンブリが、展開されたときに、細長い反転支持カテーテル内に延びるように構成されている。これらの装置の何れかは、例えば、トラクタアセンブリ全体が展開前に細長い反転支持カテーテル内に保持される送達構成と、例えば、可撓性トラクタチューブが細長い反転支持カテーテルの遠位端開口内に引き込まれて細長い反転支持カテーテル内へと折り返して反転するときに、細長い反転支持カテーテルが可撓性トラクタチューブと細長いプッシャとの間に位置して、可撓性トラクタチューブを支持する展開構成との間で切り替わることができる。特に、この方法および装置は、送達構成と展開構成との間の移行がロバストであるように構成することができる。例えば、本明細書中でより詳細に説明するように、本明細書に開示および記載の装置および方法の何れかは、可撓性トラクタチューブと細長いプラーとの間に挿入される細長い反転支持カテーテルの性能を向上させる環状バイアスを含むことができる。
図1A~図1Iは、本明細書に開示および記載の特徴の何れかを含むことができる機械的な血栓除去装置の様々な構成要素を示している。例えば、図1Aは、本明細書に開示および記載の装置の一部を構成し得るカテーテル(例えば、細長い反転支持カテーテル)を示している。この例では、細長い反転支持カテーテルが、遠位端開口105を含む遠位端領域103を有するカテーテル本体100を含む。この遠位端領域は柔軟性(デュロメータ、例えばショアデュロメータで測定される柔軟性)が高いが、最も遠位の先端(遠位端開口を含む遠位端105)は、その直ぐ近位側の領域よりも実質的に柔らかくなくてもよい。このため、カテーテルの遠位先端領域(例えば、最も遠位の線形寸法x、ここでxは10cm、7cm、5cm、4cm、3cm、2cm、1cm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm)は、近位端から遠位端へと柔軟性が高く/硬度が低くなるが、最も遠位の端部領域107(例えば最も遠位の線形寸法zとして測定、ここでzは1cm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.8mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm等であり、zは常にxの少なくとも1/3未満)はそのすぐ近位側の領域より硬度が高く、それは遠位先端領域の最も近位側の領域と同じ硬度かより硬くてもよい。
図1Aに示すように、細長い反転支持カテーテルは、カテーテルが遠位環状部(遠位端開口)を越えて引っ張られたときに座屈を防止するのに十分な柱強度を有する細長い中空カテーテルである。このため、神経血管用途において、500gまたはそれ未満の圧縮力(例えば、少なくとも約700g、600g、500g、400g、300gなどの圧縮力)が加えられたときに、崩壊(例えば、座屈)しないように、細長い反転支持体を構成することができる。末梢血管用途では、細長い反転支持体が、少なくとも1500gの圧縮力(例えば、少なくとも約2000g、1900g、1800g、1700g、1600g、1500g、1400gなどの圧縮力)に耐えるように選択または構成されるようにしてもよい。一般に、本明細書に開示および記載の装置の何れかは、全長カテーテルではない細長い反転支持カテーテルを含むことができるが、典型的には遠位端において、ロッド、ワイヤまたはハイポチューブなどに連結されたカテーテルの一部を含むことができる。図1Aでは、細長い反転支持カテーテルのカテーテル100を、任意の適切なタイプのカテーテルまたはカテーテルの一部とすることができ、それには、神経血管への使用に適したマイクロカテーテルが含まれる。
いくつかの変形例では、細長い反転支持体の遠位端105が、捕捉される(拘束される、引っ掛かる)ことなく、または実質的な摩擦なしに、トラクタがスライドし、またはカテーテルの遠位端で折り返して反転するように適合される。例えば、いくつかの変形例では、遠位先端(端部)が、図1Bに示すように、特に外面(例えば、外径部から内径部への移行部)において、湾曲していてもよいし、またはアール部109としてもよい。
図1Cは、引張り可能なトラクタアセンブリ140を形成する、細長いプラー146に連結された可撓性トラクタチューブ144の一例を示している。この例では、トラクタチューブが、プラーと一体化されて、プラーの上を後方に延び、アセンブリを形成することが示されている。可撓性トラクタチューブ147の反対側の端部は開いており、自由となっている(例えば、プラーまたはカテーテルに連結されていない)。以下でより詳細に説明するように、この開いた自由端は、展開および可撓性トラクタチューブとプラーとの間のカテーテルの配置を改善するために、例えば、トラクタチューブ自体の上に戻る形状固定によって、かつ/または環状バイアスを含むことによって、拡張して開いた状態に保持されるように構成されるものであってもよい。図1Cでは、トラクタチューブが、可撓性を有し細長い材料(例えば、織られた、編まれた、あるいは編組された材料など)から形成されている。トラクタは、第1の構成では、プラーから延びるものとして示されている。この第1の構成の可撓性トラクタの弛緩した外径部が、細長い反転支持体のカテーテルの外径部より大きい外径を有し、反転前にトラクタがその中に配置されることが、特に有益となる場合がある。可撓性で管状のトラクタ144は、細長い反転支持体の遠位開口で容易に折り返して、折り畳むことができるように、十分に柔らかく可撓性を有する(例えば、潰れ強度が低い)ものとすることができる。プラー146は、典型的には、より拡張性が低い(または非拡張性の)構造(チューブ、プラーなど)であってもよい。例えば、トラクタ144は、形状固定(ヒートセットなど)により、弛緩した第1の構成では、拘束されていないときの細長い反転支持体のカテーテルの内径の直径の1.1倍~10倍(例えば、1.1倍~5倍、1.1倍~4倍など)の半径方向直径に拡張するように構成されるものであってもよい。図1Dでは、トラクタチューブが、弛緩構成にある図1Cに示す変形例よりも大きな拡張直径を有する。これらの変形例の何れかにおいては、拡張可能なトラクタが、開くように付勢されるようにしてもよい。トラクタは、メッシュ材料、織られた材料、編まれた材料、編組された材料、またはシートの材料から形成することができ、通常は、除去すべき対象物(例えば、血栓)を捕らえるように構成される。
図1Cおよび図1Dでは、トラクタおよびプラーが、2つの部分、すなわちトラクタチューブ144と、細長いプラー146を含む、拡張の小さい(または拡張不可能な)近位部分とを有する。プラーは、ワイヤ、カテーテルまたはハイポチューブなどの別個の領域とすることができ、例えば、遠位端またはその近傍で、トラクタ(例えば、可撓性メッシュ、織物、編組みなど)の端部領域に連結されている。カテーテルの遠位端開口で折り返されて反転するトラクタの反転領域は、遠位方向を向くトラクタの領域を指し、折り返し時に血栓を能動的に捕らえることができる。
図1Eでは、細長い反転支持カテーテル100内に、トラクタアセンブリ(図1Dの可撓性トラクタチューブ144およびプラー146)が示されている。トラクタは、例えばプラー上へと、押し潰された状態101となっており、細長い反転支持カテーテル内で潰れた状態で保持されるようにしてもよい。すなわち、図1Eは、展開前(例えば、送達)構成を示している。トラクタアセンブリは、カテーテル内および血管内に配置できるように、カテーテル内で軸方向に移動可能(スライド可能)であってもよい。
図1Fは、完全に展開した装置を示している。図1Fでは、トラクタチューブが、拘束されていない構成または展開構成であり、細長い反転支持カテーテルが、トラクタチューブとプラーの間に配置され、その結果、プラーを引っ張ってトラクタチューブを反転させるように細長い反転支持カテーテル内に折り返す(ローリングする)ことにより、トラクタチューブを近位方向に引っ張ることができる。図1Fに示すように、この展開構成のトラクタ(例えば、カテーテルの遠位端で反転した部分)は、細長い反転支持体のカテーテルの外径よりも大きな外径を有する。このため、トラクタ144は、細長い反転支持カテーテルの外径(OD)よりも大きい直径を有する弛緩した拡張形状を有するように付勢されるようにしてもよい。加えて、図1Gおよび図1Hに関連して説明するように、トラクタチューブを反転させて細長い反転支持カテーテル内に引き込んだときに、反転トラクタチューブの外径が、細長い反転支持カテーテルの内径(ID)の0.5倍よりも大きい(例えば、0.6倍よりも大きい、0.7倍よりも大きい、0.75倍よりも大きい、0.8倍よりも大きい、0.9倍よりも大きい、1倍よりも大きい)外径を有するように、(例えば、ヒートセットなどにより)トラクタチューブが構成されるようにしてもよい。こうした細長い反転支持カテーテルのODの直径よりも大きいトラクタチューブの非反転直径と、細長い反転支持カテーテルのIDの0.7倍よりも大きいトラクタチューブの反転直径との組合せは、装置の展開時と、トラクタを細長い反転支持カテーテルの遠位端開口でローリングさせて血栓を捕らえる時の両方において、装置の引っ掛かりを防止するのに驚くほど有用である。トラクタは、拡張可能であり、図示のようにプラーに連結されるものであってもよい。いくつかの変形例では、可撓性トラクタとプラーは同じ材料を含むことができるが、トラクタはより可撓性および/または拡張性があり、あるいは細長いプラー(例えば、プッシュ/プルワイヤまたはカテーテル)に接続されるものであってもよい。
図1Gおよび図1Hは、図1Aおよび図1Eの装置コンポーネントのような装置を使用して血栓を除去することを示している。この装置10は展開状態で示されている。この例では、血栓除去装置10が、細長い反転支持カテーテル100と、当該カテーテルの遠位端領域上に延びてカテーテルの遠位端でそれ自体が二重に折り返されて反転する可撓性トラクタチューブ144とを含む血栓除去装置として構成され、外部トラクタの端部領域が、カテーテル内で近位方向に延びてガイドワイヤを通す内部ルーメンを形成する内部の拡張の少ない(この例では、まったく拡張しないものも、拡張の少ないものに含まれる)第2の遠位端領域146(プラー)と連続している。プッシャ/プラー部材は、トラクタの遠位端領域に連続するロッドまたは他の部材であってもよい。図1Gには、装置が、血管160内の血栓155の近くに配置および展開されることが示されている。血栓は、矢印180で示すように、トラクタ140を近位方向にカテーテル101内へと引っ張ることによって、カテーテル内へと引き込まれ、これは、(例えば、図示省略のハンドルを使用して)可撓性トラクタの内側部分を引っ張ることにより、カテーテルの端部開口でトラクタがカテーテルの遠位端内へと折り返されて拡張可能な遠位端領域が反転し、矢印182で示すように、カテーテル内に引き込まれることを示している。カテーテルの外側のトラクタの端部は、カテーテルの外壁から「解放された」ものであってもよい。図1Iは、プラー156に連結されたトラクタチューブ144を含むトラクタアセンブリ154の別の例を示している。この例のプラーは、テーパが付けられており(先細り領域161を有し)、その結果、近位端領域とは異なる可撓性を有する遠位端領域を備えることができる。例えば、トラクタが連結される細い直径の遠位端領域195よりも、近位端領域の可撓性を低くすることができる。アセンブリは、放射線不透過性マーカ165を含む。トラクタは、任意の適切な手段によってプラーに取り付けることができる。例えば、トラクタは、プラーに対して、典型的には永久的に、圧着し、接着し、溶接し、または他の方法で取り付けることができる。
一般に、本明細書に開示および記載の機械的な血栓除去装置は、作動前および作動中の両方において、可撓性が非常に高いものであってもよい。例えば、一般に、可撓性トラクタは、特に神経血管系の曲がりくねった血管内での操作性に影響を及ぼさないように、細長い反転支持体のカテーテル、特にカテーテルの遠位端領域の剛性/柔軟性を過度に大きくしないようにしてもよい。本明細書には、カテーテルの最後のycm(例えば、最も遠位の20cm、18cm、15cm、12cm、10cm、9cm、8cm、7cm、6cm、5cm、4cm、3cm、2cm、1cmなど)の剛性の増加が所定のパーセンテージ未満(例えば、10%、12%、15%、18%、20%、25%、30%未満など)である可撓性トラクタチューブ部分が開示および記載されている。例えば、本明細書には、カテーテルを通ってカテーテルの遠位端で二重に折り返される可撓性トラクタチューブ部分が開示および記載されているが、そのカテーテルの遠位側5cmの剛性の増加は、カテーテルを通ってカテーテルの遠位端で二重に折り返される可撓性チューブがない場合のカテーテルの遠位側5cmの剛性の15%未満である。
トラクタは、織られた材料、編まれた材料、および/または編組み材料であってもよい。反転チューブを形成するために織られた複数の繊維または編まれた複数の繊維を含むことができる織られた材料および編まれた材料については、これらの構造を調整して、引っ掛かりを防止し、かつ/またはトラクタを引いてカテーテル先端で反転させるのに必要な力を低減することができる。例えば、機械式アテローム切除装置は、編組み構造の1または複数を調整すること、編組み角度を最小化すること、カテーテルの外径部(OD)または編組み(例えば、トラクタ)の内径部(ID)の遠位側面に親水性コーティングを含むこと、カテーテルにアール壁を含むこと、および/または隣接する近位領域に対する遠位先端領域の剛性を増加させることによって、曲がりくねった解剖学的構造であっても、血栓を捕らえるときに、カテーテルの先端の周りで自由に折り返すことができる編組み型トラクタを含むことができる。 代替的には、1、3、5、10または15cmの遠位IDまたはカテーテルID全体に親水性コーティングを施すことが有利である場合もある。これは、トラクタ要素なしで血栓の吸引を強化することさえある。
前述したように、トラクタ(例えば、編んだもの、編んだもの、編組みなど)は、カテーテルの内径部(ID)になるべく小さく押し潰されるように構成することができる。例えば、トラクタがカテーテル内径(ID)/カテーテル先端のODの90%、85%、75%、70%、65%、60%または50%以上または未満のIDに潰れることができる。何故なら、トラクタがカテーテル先端の周りに引っ張られると、トラクタ(例えば、組み紐、編組みなど)に軸方向の張力が生じ、トラクタが不用意にカテーテル上で引っ掛かる可能性があるからである。トラクタがカテーテル先端の周りに引っ張られると、トラクタがカテーテルIDを通って引っ張られるため、トラクタが軸方向に引っ張られて、トラクタ構造に軸方向の張力を生じさせる。カテーテルID(またはいくつかの変形例では、OD)の90%、85%、75%、70%、65%、60%または50%以上のIDでトラクタ要素を詰め込むことにより、軸方向に張力が加えられるときに、トラクタがカテーテル先端を捕らえ/同期する可能性が低くなり、ユーザにより加えられる小さい軸方向の力で、編組みがカテーテル先端の周りで折り返すのを補助することができる。ユーザがトラクタ構造体を先端の周りに引っ張るのに必要な軸方向の力がより小さい場合、カテーテル先端が、トラクタを引き込む際に座屈したり撓んだりする可能性が低くなる。カテーテル先端が座屈する可能性を最小限に抑えることが有利となる場合がある。トラクタは、特定の数の編組み端を選択すること、編組み端のサイズ/直径を選択すること、編組み材料(例えば、マルチフィラメントまたはモノフィラメント)を選択すること、編組み上でバイアス(例えば、編組みの直径)をヒートセットすること、編組みパターン、例えば1×2、1×1または他の任意のパターンを選択すること、のうちの何れかの変数を任意の組合せで制御することによって、特定のIDで「詰め込む」ように調整することができる。
編組み角度は、カテーテルの端部開口でのトラクタのローリングのロックアップを防止するために最小化される。典型的には、編組み角度が低いほど(例えば、45度以下、40度以下、35度以下、30度以下、25度以下、20度以下など)、編組みの交差部分がカテーテル先端に引っ掛かる可能性が低くなる。
本明細書に開示および記載の変形例の何れかにおいては、カテーテルの遠位端領域でのローリングを促進するために、カテーテルおよび/またはトラクタの表面をコーティングすることができる。トラクタがカテーテルの内部を通って引っ張られるときにカテーテルの遠位端を越えてカテーテルの先端の周りをより容易にスライドできるように、カテーテルODまたはトラクタIDの遠位側面に親水性コーティングを有することが有用となることがある。
カテーテル先端のアール壁は、スライドを可能とする範囲内に選択/設定することができる。例えば、カテーテルの先端がカテーテル上に、可能な限り最大のアール壁、少なくとも0.0025インチのアール壁、理想的には約0.005インチのアール壁を有することが有用となる場合がある。
カテーテルの遠位部の剛性は、トラクタが引っ張られるときに、潰れるのを防止するのに十分な剛性であり、(例えば、コーティングまたは材料の特性によって)カテーテルの遠位部を滑らかなものとすることもできる。カテーテル先端の最も遠位の部分(例えば、最後の5mm)は、編組み構造体がカテーテル先端の周りでローリングしているときに、カテーテルの遠位先端が潰れたり内向きに座屈したりしないように、十分に剛性が有りかつ滑らかな材料で製造することができる。このため、遠位先端は、カテーテルの遠位端部におけるより近位側の領域よりも大きい剛性を有するようにしてもよい。
トラクタに孔を有することが有用であり、あるいは望ましい場合がある。隙間の欠如または小さな孔の大きさは、血栓を捕らえる編組みの能力を制限し得る。代替的または追加的には、テクスチャを有する編組み構造を形成することが望ましい場合がある。一例としては、2以上の異なる直径の編組み端部を同じ構造に編組することが挙げられ、編組み端部の直径の違いは、編組み構造の外側面にテクスチャを形成するのを助け、カテーテル先端の周りで編組みドーザがローリングする際に血栓を捕らえるのを助ける。
代替的には(または追加的には)、トラクタは、所望の直径で編組みにコーティング、ラミネートまたは接着剤を加えることによって、軸方向装填の間に直径が圧縮されないよう、固定するように構成することができる。薄いコーティング、ラミネートまたは接着剤を加えることにより、編組み要素が互いにスライドするのを抑制し、それによって編組みを特定の直径に固定することができる。大部分の孔および孔領域を実質的に開いたままで、コーティングを施すことが可能である。薄いコーティングの例には、親水性コーティングを伴うまたは伴わないウレタンおよびシリコーン、並びに結合層を伴わない親水性コーティングが含まれる。
また、外側カテーテル壁に対するトラクタのスライド摩擦の低減、トラクタの先端ローリングの改善、および/または内側カテーテルに対するトラクタのスライドの促進は、スライドスキンまたはスリーブを含むことによっても達成される。例えば、薄い(例えば、超薄型の)スリーブを使用することができる。スリーブは、編組み、編み、織り、押出し、メルトブロー、メルトスピニングなどにより、低摩擦ポリマー(例えば、PET、PE、PP、PTFE、ePTFE、ペバックス、ウレタン)から作られる。スリーブは、レーザスロットチュービング、化学エッチング、マイクロマシニングにより作ることができる。スリーブは、親水性コーティングのような潤滑性コーティングで被覆することもできる。潤滑性コーティングは、外側面および/または内側面に配置することができる。スリーブは、ドーザ要素とカテーテル壁との間に配置され、プラー要素に取り付けられる。スリーブは、厚さが0.002インチ未満であってもよく、理想的には、壁の厚さが0.001インチ未満であってもよい。スリーブは、トラクタ血栓捕捉システムをカテーテル壁、先端ローリングおよび内側カテーテル引き抜き摩擦から切り離すことができる。スリーブは、トラクタから完全に解放されてもよく、別個の位置でトラクタに接続されてもよく、またはトラクタに全体が接続されてもよい。これにより、血栓(より大きなワイヤの場合、神経については0.001~0.002インチ、その他の適用については0.002~0.007インチ)を捕らえるようにトラクタを設計することができるとともに、スキンの厚さと構造を最小化して摩擦とスキンの曲げ剛性を低減することができる。
本明細書に開示および記載される装置の何れかにおいて、カテーテル(例えば、反転支持カテーテル)は、その長さのすべてまたは一部に沿ってジャケットで覆われるものであってもよい。このジャケットは非常に弾力性があり、単層または複数の層を含むことができる。ジャケットは、その長さ方向に沿って単一のデュロメータ(例えば、剛性)または複数のデュロメータを持つことができ、例えば、ジャケットのデュロメータは、カテーテルの遠位端の近傍で硬さが低くなるようにしてもよい。ジャケットは、ウレタン(例えば、テフロン20A-93A、例えば、80-85A)、PEBAX(例えば、25A-72D)、シリコン、ナイロンなどを含む、任意の適切な材料で形成することができる。それらバリエーションの何れかにおいては、ジャケットは、上述したようなスリーブと連続的であるか、そのようなスリーブとともに形成されて、カテーテルの内側から、その遠位端開口の周囲を通って、カテーテルの外面に沿って移行する。ジャケットは、スリーブに一体的に形成されるか、かつ/または溶着されるようにしてもよい。スリーブはライナとも呼ばれる。上述したように、スリーブは、潤滑性材料、例えば、PTFE、FEP、HDPE、ポリプロピレンおよび/または他のポリマー、特にシロキサン改質剤などの改質剤を含むものであってもよい。ジャケットは、スリーブ/ライナに(例えば、スロット付きカテーテルなどのカテーテルのカットされたフレームを介して)結合されるようにしてもよい。
いくつかの変形例では、トラクタ領域は、混合構造またはハイブリッド構造で形成されるものであってもよく、1または複数の織り合わされたまたは編組されたポリマーフィラメントを金属フィラメントと組み合わせるようにしてもよい。混合構造(ハイブリッド構造)は低摩擦ポリマー要素と織り合わされた金属要素の両方を利用することができる。金属フィラメントは、血栓を掴み/捕らえることができる剛性要素を構成することができる。ポリマーフィラメントは、血栓を捕らえるのに役立つが、先端の周りで、外側カテーテル壁、カテーテル先端および内側カテーテル壁の表面摩擦を低減することができる。
本明細書に開示および記載の装置の何れかは、カテーテルの外側と接触する編組み/織物の(カテーテルの外径部と内径部に接触する)内側面上に、例えば編組み/織物トラクタのための親水性/潤滑性コーティングを有するトラクタを含むようにしてもよい。潤滑性コーティングの例には、親水性コーティング(例えば、ヒドロゲル)および疎水性コーティング(例えば、PTFEおよびFEPなどのフッ素コーティング、パリレン、シリコーン、任意の材料をより滑らかにするためにペバックスを含む様々なポリマーに添加されるシロキサン(シリコーン添加剤)、ポリエチレン、ポリプロピレン、FEP)が含まれる。
上述したように、これらの装置の何れかは、遠位先端のより近位側の領域よりも剛性が低い(例えば、「より柔らかい」)遠位先端を含むことができる。これは、遠位先端を補強する構造支持部材を有することによって、または遠位先端を形成する材料を変更することによって達成することができる。
本明細書に開示および記載のトラクタの何れかは、1または複数のマーカー(例えば、金、プラチナなどの放射線不透過性マーカーなど)を含むことができる。
本明細書に開示および記載の装置の何れかは、細長い反転支持カテーテルの遠位端内に潤滑スリーブを含み、トラクタチューブ、特に編みトラクタチューブの細長い反転支持カテーテルの遠位端内への巻き込みを向上させることができる。例えば、図1Aは、細長い反転支持カテーテル201の遠位端を覆う潤滑ライナ211を含む機械的な血栓除去装置の第1の例を示している。この例では、反転編みトラクタチューブ203は、細長い反転支持カテーテルの遠位端で折り返されて、一端がプラー207(この例ではプルワイヤーとして示されている)に取り付けられている。プラーを近位方向に引っ張ると、トラクタチューブが細長い反転支持カテーテルの遠位端開口内に巻き込まれ、血栓219が細長い反転支持カテーテル内に引き込まれる。装置は、ガイドカテーテル205を含むようにしても、あるいはガイドカテーテルで操作されるようにしてもよく、それにより、内側の細長い反転支持カテーテルは、ガイドカテーテルから遠位方向に延びることができる。いくつかの変形例では、ガイドカテーテルを使用して、トラクタチューブ203の外側部分を細長い反転支持カテーテル201の外面(外径部)に対して解放可能に固定することができ、装置を操作して血栓219を捕らえかつ/または除去するときに、完全に(図2Aに示すように)または部分的に(図2Bに示すように)引き込むことができる。
図3は、図2Aに示すものと同様に、細長い反転支持カテーテルの遠位端で反転する潤滑スリーブを含む装置を使用して血栓を除去する方法を概略的に示している。図3に示すように、この方法は、通常は、ガイド(または「中間」)カテーテルを血栓301の表面に送達するステップを含むことができる。このステップは、必要に応じて、機械的血栓除去装置(例えば、送達カテーテルの遠位端の近くに予め装填された細長い反転支持カテーテルおよびトラクターチューブ)で実行されるものであってもよい。その後、血栓除去カテーテルは、ガイド(中間)カテーテル303を介して送達され、それにより、細長い反転支持カテーテルが、血栓の表面の近くに位置する。定位置に配置されると、トラクタを展開することができ、例えば、細長い反転支持カテーテルに押圧力を加えている間に、ガイド(中間)カテーテルを引っ込めて、トラクタチューブ305を露わにすることができる。その結果、例えば、図2Aに示す配置となる。任意選択的には、ガイド(中間)カテーテルを引き込む前に、細長い反転支持カテーテル(および/またはプラーが内部ルーメンを有する変形例では、プラー)を介して吸引が行われるようにしてもよい。すなわち、吸引は、任意選択的に、細長い反転支持カテーテル(および/または中間カテーテル)を介したものであってもよい。その後、好ましくは細長い反転支持カテーテルに前進力を加えながら、一端がトラクタチューブに接続されたプラーを近位方向に引っ張って、血管309から血栓を捕らえて除去することができる。
代替的には、図2Bに示すように、ガイド(中間)カテーテル205は、細長い反転支持カテーテル201上で部分的にしか後退されないため、編みトラクタチューブ203の遠位端は依然として中間カテーテル内に含まれたままである。この構成は、血栓を編みトラクタチューブで取り込むときに、細長い反転支持カテーテルに追加の支持を提供し、その結果、付随する圧縮荷重に曝されたときに、座屈する又はくねる可能性が低くなる。
また、この構成は、中間カテーテルの追加の外部支持によって、血栓の後縁が取り込まれる際に、ユーザが血管内で細長い反転支持カテーテルをより容易に前進させることを可能にする。中間カテーテルは、カテーテル外側のトラクタの長さの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%などを覆うことができる。あるいは、中間カテーテルは、細長い反転支持カテーテルの遠位先端から1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、10cm未満、戻る位置に配置することができる。
細長い反転支持カテーテル先端の周りを包む潤滑ライナは、任意の適切なライナとすることができる。ライナは、典型的には、細長い反転支持カテーテルの外面から細長い反転支持カテーテルの内面までを覆う。これは、細長い反転支持カテーテルのコーティングおよび/または成形遠位端領域に加えて、またはその代わりに設けることができる。
図6Aおよび図6Bは、潤滑ライナの別の例を示している。例えば、図6Aでは、潤滑ライナ601が、細長い反転支持カテーテル603の開口遠位端の周りを覆うPTFEライナである。トラクタチューブ(ニッケルチタン編みトラクタ605)は、端部内に反転してPTFEライナ601の上に配置されるのが示されている。トラクタチューブの一端はプラー609に接続されており、近位方向に引かれて血栓607を引き込むことができる。
代替的または追加的には、細長い反転支持カテーテルは、トラクタチューブを細長い反転支持カテーテル内に反転させるために必要な引張力を低減するような形状とすることができる。例えば、図6Bは、引張力/摩擦を低減するように成形(例えば、面取り645)された細長い反転支持カテーテル613の遠位端開口を示している。
一般に、より大きい血栓(例えば、細長い反転支持カテーテルの直径の2倍より大きい直径を有する血栓)および/または硬い血栓は、圧縮して機械的な血栓除去装置内に引き込むのがより困難となる。驚くべきことに、本明細書に開示および記載の装置および方法は、さらに大きくて硬い血栓を装置内に引き込むために使用することができる。
硬い血栓は、一般に、血栓を圧縮してそれをより小さなIDの細長い反転支持カテーテル内に取り込むために、大きな圧縮荷重を受ける場合がある。前述したように、硬い血栓は、その圧縮に大きな圧縮荷重を必要とし、カテーテル壁の遠位端の内側に比較的高い垂直抗力を生成することがある。本明細書に開示および記載の低摩擦表面(スリーブを含む)は、トラクタを引っ張って細長い反転支持カテーテル内に血栓を取り込むのに必要な引張力から測定した場合、血栓を引き込む負荷を300g未満(例えば、300g以下、250g以下、200g以下など)の力に低減するのを助けることができる。図4Aおよび図4Bは、本明細書に開示および記載されるような装置内への大径(細長い反転支持カテーテルの直径と比較して)血栓の圧縮を示している。図4Aは、0.045ID(1.22mmの直径を有する)カテーテルに引き込まれる3mmの血栓を示している。図4Bにおいて、矢印403は、細長い反転支持カテーテルの内側開口縁部で生成される垂直抗力を示している。
上述したように、本明細書に開示および記載の装置の何れかは、好ましくは、編みトラクタチューブを含むことができる。編物の向き(例えば、「裏返し」)および形状設定は、引っ掛かりを防ぎ、トラクタを細長い反転支持カテーテル内に反転させるために必要な引張力を減らすように選択されるとともに、血栓をこねて、圧縮して、かつ/または細長い反転支持カテーテルの開口内に押し込むのを補助することができる。例えば、図5は、細長い反転支持カテーテル507内に反転するように引っ張られている編みトラクタ501の一例を示している。編物は、ワイヤの単一ストランドを編むことによって形成され(ただし、1または複数のフィラメント、織物、編組などの複数のストランドを使用することもできる)、相互接続されたループ503の複数の列を形成する。ループは、引っ張られて、細長い反転支持カテーテルの遠位端開口内に反転され、それにより、反転された織物構成にあるとき、外側に広がって、血栓505を細長い反転支持カテーテル内に押し込むことができる。図5では、血栓が(細長い反転支持カテーテルの直径の2倍を超える)大径の血栓であり、編みトラクタが、広がって細長い反転支持カテーテルの先端の前で素速く動き、血栓をカテーテル内に押し込むのが示されている。
図7A~図7Fは、編みトラクタチューブの一例を示している。図7A(および拡大図7B)は、編みトラクタチューブの第1の変形例を示しており、この編みトラクタチューブは、編物を形成するワイヤ(例えば、ストランド、繊維、フィラメントなど)間に三重の交差点が存在して編みトラクタチューブの直径が十分に大きいことから、最適ではない編みパターンを有する。そのような「三重のオーバーラップ」領域705によって、トラクタチューブの厚さまたはODが望ましくないほど大きくなる可能性がある。このため、編物を形成するリンクにおける三重のオーバーラップ領域を防止または最小化すべく(例えば、三重のオーバーラップが10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満等になるように)、編みトラクタチューブのサイズおよび/または形状を設定した方が良い場合がある。図7C(および図7Dに示す拡大領域)は、二重のオーバーラップ707のみを示す編みトラクタチューブのより最適化された変形例を示している。
上述したように、(殆どの市販の編みチューブと比較して)編物の向きが反転する編みトラクタチューブパターンを使用することも望ましく、そうすることで、トラクタチューブが細長い反転支持カテーテルの遠位端開口で反転して細長い反転支持カテーテル内に引き込まれるときに、リンクが外側に広がるようになる。このため、各リンクのループが連結される隣接するリンクのペアと比べて、トラクタチューブが反転する細長い反転支持カテーテルの外面上に、各列のループの頂部(先端)が位置するように、編物の向きを構成することができる。この反転した編み構成は、図7Cおよび図7Dに示されている。例えば、図7Dでは、リンク703が、(例えば、二重の交差点707、707’として)相互接続された隣接リンクのパターンに編まれたフィラメント(例えば、ニチノール、ポリマー材料など)で形成されている。編みトラクタチューブは、細長い反転支持カテーテル709上に示されているため、編みトラクタチューブの外向きの表面は、各リンクの頂部711のすべてを含む。したがって、それらのリンクは、図7Dに示すように、第1の隣接リンクの下を通った後、上を通り、その後、第2の隣接リンクの上および下を通るように配置されており、それにより、この「反転」編物構成の外向き面上に頂部領域を残すこととなる。対照的に、図7E(および拡大図7F)は、各リンク713が代わりに下(図示省略の、細長い反転支持カテーテルを向く面)にある頂部721を含む非反転織物構成を示している。この実施例の各ループは、編物の隣接するリンクに対して、上-下、その後、下-上のパターンに織られたフィラメントで形成されている。図7Eおよび図7Fに示される非反転編物チューブは、隣接するリンクにより、細長い反転支持カテーテルで反転するときに拘束されて、細長い反転支持カテーテルの遠位端に対して外側にスイングすることができない。その結果、トラクタチューブの引張力は非常に大きくなり、トラクタの血栓捕捉も大幅に低下する。
図8Aは、細長い反転支持カテーテルの遠位端開口で折り返す反転編みトラクタチューブの一例を示している。これらの変形例の何れにおいても、ステッチの長さ(L)を調整して、細長い反転支持カテーテルの外径(OD)よりも大きい所望の掴み幅(W)の増加が得られるように、編みパターンを最適化することができる。このより大きな掴み幅は、装置で血栓を掴むのに役立つ。図8Aには、各編みリンクの長さ(L)が示されており、リンク自体および細長い反転支持カテーテル内に反転するときにリンクが外側に延びる幅(W)も示されている。通常、長さ(L)の約30~90%の幅(W)を有することが望ましいのが分かっている。幅(W)の正確な寸法は、血栓を引っ張るために使用される編物の張力(例えば、張力が大きいほど、W寸法が小さくなる)と、編み構造で使用されるフィラメントの柔軟性(例えば、編物を形成するために使用されるフィラメントが柔らかいほど、Wは小さくなる)とに依存する。編物は設計と加工の両方で調整できるため、100~500グラム(g)の負荷で張力をかけた場合に、構造の伸びを制限することができる(例えば、15%未満、12%未満、10%未満など、0)。編み構造がこのノンコンプライアント/セミコンプライアントの形態である場合には、100~500gの荷重下において、編みトラクタチューブのODおよびIDも安定し得る(例えば、直径の変化が、20%未満、15%未満、12%未満、10未満%等になる)。このノンコンプライアント/セミコンプライアントの形態では、編物のODが血栓除去カテーテルよりも大きいが、血管のODよりも小さくなり得る。他の変形例では、編物のODがカテーテルのODより大きく、編物が丸められて、同じカテーテルのODの5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%未満となる。
本明細書には、再利用可能な機械的な血栓除去装置も開示および説明されている。例えば、図9A~図9Cは、1つの再利用可能な機械的な血栓除去装置および使用方法を示している。図9Aに示すように、装置は、トラクタチューブ(ここでは編みトラクタチューブ903として示される)を含む。トラクタチューブの一端は、細長い反転支持カテーテル905の内径内でプラー909に連結されている。この実施例のプラーは、ガイドワイヤおよび/または真空の通過を可能にする中空チューブとして構成されている。トラクタの他端は、細長い反転支持カテーテルの外面上をスライドするように構成されたフィンガーグリップ901を形成する遠位トラクタ止め部に結合されている。フィンガーグリップは、後述するように、手で掴み、近位方向にスライドさせて装置を「再装填」するのが容易なサイズとすることができる。
図9Aに示すように、装置を血栓911の近傍に配置し、遠位方向に前進させる間に、プラーを近位方向に引いてトラクタチューブ903を反転させて細長い反転支持カテーテル905内に巻き込み、それにより、(矢印917によって示すように)血栓911を細長い反転支持カテーテル内に引き込むことができる。図9Bに示すように、完全にまたは部分的に掴んだら、装置を血管から引き抜くことができ、図9Cに示すように、トラクタチューブの外側部分を近位方向に引くことにより、血栓を取り除くことができる。トラクタチューブは、細長い反転支持カテーテル上の遠位止め部907により、細長い反転支持カテーテル内へと完全に反転するのが防止される。例えば、図9Cに示すように、トラクタチューブの外側部分は、遠位トラクタ止め部/グリップ901を近位方向にスライドさせることによって近位方向915に手動で引っ張られ、それにより圧縮された血栓911を装置内部から排出することができる。その後、装置を濯ぎ、再使用して血栓をさらに除去することができる。
本明細書に開示および記載の装置の何れかは、中間カテーテルおよび/または血管の管腔との追従を向上させるように構成することができる。中間カテーテル内を辿る際にまたはネイティブ血管内を直接辿る際(例えば、プラー、トラクタチューブおよび細長い反転支持カテーテルが中間カテーテルの遠位端の内部に追従する必要がある場合)に機械的な血栓除去装置を支援するために、トラクタチューブを破壊することなく、プラーが細長い反転支持カテーテルに対して遠位方向に伸びることを可能にするのが好都合となる。例えば、図10Aは、中間カテーテル1010内に示される、トラクタチューブ1003、細長い反転支持カテーテル1005およびプラー1007を含む機械的な血栓除去装置の一例を示している。この変形例では、プラーの遠位端がバンパー領域1009を含むように構成されており、このバンパー領域が、細長い反転支持カテーテル1005の遠位端を越えて遠位方向に延びている。このノーズ要素(「バンパー」)1009は、一定の剛性または可変の剛性構造であってもよい。例えば、遠位端は最も柔らかい部分であり、カテーテルの遠位端に最も近位の部分は、それよりも柔らかくなく、かつ/または細長い反転支持カテーテルの遠位端と同様の剛性になるように調整される。トラクタチューブは、遠位端よりも近位側に連結されて、遠位端が、図示のように、例えば約1cm延びるものであってもよい。
この実施例では、プルワイヤの遠位ノーズが中実であっても、または(図示のように)カニューレ状であってもよい。カニューレ状のノーズにより、ガイドワイヤへのアクセスが可能になり、中間カテーテルを介した吸引も可能になり、それにより真空力が体内または血管内にある血栓または他の標的要素に到達できるようになる。
使用中、ユーザは、細長い反転支持カテーテルから延びる又は細長い反転支持カテーテル内に延びるプラーのノーズ領域で、血管の内腔内の血栓に近付くことができる。血栓に近付くと、ノーズ領域が細長い反転支持カテーテルの内側に引っ込められる。次に、ユーザは、任意選択的には、細長い反転支持カテーテルを介して真空を引き込み、血栓を細長い反転支持カテーテルの先端に係合させることができる。その後、中間カテーテルを僅かに前進させながら、プラーを近位方向に引っ張ることにより、トラクタチューブを細長い反転支持カテーテル内に近位方向に引っ張ることができる。
図10Bは、トラクタチューブに対して遠位方向に自由に延びるように構成されたプラー(細長いプラー1027)を有する機械的な血栓除去装置の別の例を示しているが、近位方向に引っ張ると、一端がトラクタチューブ1003と係合してそれを細長い反転支持カテーテル1005内へと近位方向に引っ張ることができる。一部分(例えば、プラーの遠位端領域またはその近傍の部分)には、1または複数の係合領域(例えば、隆起、突起など)が含まれ、それらが、環状リングまたはカラーと係合してトラクタチューブを近位方向に引っ張ることができ、それにより、トラクタチューブが細長い反転支持カテーテル内に反転して、血栓が装置内に引き込まれる。図10Aに示すように、プラーは、システムを血栓まで前進させるときに、ユーザの好みに応じて、細長い反転支持カテーテルの先端を越えて延ばすことができる。雄型バンプまたは他の掴み機構は、トラクタの近位端で係合して、血栓を引き込むことができる。
図10Cは、プラー1047がガイドワイヤを通るように構成され、ガイドワイヤ1055を使用して伸長または収縮することができる別の変形例を示している。図10Cには、血管内の追従を支援するために、そのルーメンを介してガイドワイヤが追従できるようにする構造が示されている。例えば、図10Cでは、プラーが、遠位端領域に、トラクタチューブが取り付けられるガイドワイヤチャネルを含む。
一般に、機械的な血栓除去装置の何れかは、追従性、血栓の捕捉および/または細長い反転支持カテーテル内へのトラクタチューブの引っ張りを強化することができる修正されたプラーを含むことができる。図10A~図10C、図11A~図11Dに開示および記載された例に加えて、1または複数の突起を含むように適合された遠位領域を有するプラー装置を示している。
図11A~図11Dに示すプラー先端は、血管の管腔および/または中間カテーテルを含む蛇行する解剖学的構造を介した、装置(例えば、細長い反転支持カテーテルおよび/またはトラクタチューブおよび/またはプラー)の追従可能性を高めることができる。例えば、図11Aは、トラクタチューブ1103、細長い反転支持カテーテル1105およびプラー1107を含む装置を示している。この実施例では、装置が中間カテーテル1110内で使用される。プラー1107の遠位端1109は、テーパが付けられ、プラーの外面のテーパが付けられた遠位端から離れる方向に延びる複数の突起1115を含む。この例では、突起が、近位方向を向く縁部を有するカップ1115として構成されている。この遠位先端領域の突起は、展開時に血栓を掴み、かつ/または引っ掛けるために使用することができ、図11Aに示すように、プラーは、上述したように遠位方向に前進し、それ自体でまたはプルワイヤを介して血栓1127内に突出することができる。プラーを引っ込めると、遠位先端が血栓を細長い反転支持カテーテルの遠位開口に引っ張り、かつ/または細長い反転支持カテーテルおよびトラクタを血栓に向けて前進させることができる。それらプラーの実施形態の何れかは、(例えば、細長い反転支持カテーテル、中間カテーテルおよび/またはプラーを通じた)吸引の有無にかかわらず使用することができる。このため、図11Aでは、遠位端が、カップ形状の雄型特徴部として構成されている。プラー遠位端領域は、中実またはカニューレ状とすることができ、かつテーパ状(図11A~図11Dに示されるように)または非テーパ状(例えば、円筒状)とすることができる。図11Aでは、各突起(「カップ」)が、先端全体の周りにすべてまたは部分的に延び、より遠位の突起がより小さい直径を有するものであってもよい。
複数の突起を有するプラーの別の例が図11Bに示されている。図11Bに示すように、突起は、プラー1107’の遠位先端の外面から突出する(かつ近位方向に角度を付けられる)繊維またはフィンガとして構成されている。これら実施例の何れにおいても、プラー(プラー1107’の遠位先端領域を含む)は中実またはカニューレ状とすることができる。図11Bでは、プラーの遠位先端領域が、近位方向に向けられた突起1125(例えば、フィンガまたは繊維)の1または複数のセットを含む。突起は、開放端の編組構造から構成されるものであってもよい。突起は、遠位方向に伸びるときに血栓内に滑り込むように(向けられ、かつ/または十分に柔らかく)構成されてもよいが、プラーを近位方向に後退させると、突起が、図11Aおよび図11Bに示すように、広がって、プラーの先端を血栓に固定するのを助けることができる。任意選択的に、突起は、近位方向および/または遠位方向に引っ張られたときにトラクタチューブとも係合し、細長い反転支持カテーテルを介してトラクタおよび血栓を引き戻すのを助けることができる。
図11Cおよび図11Dは、突起を含むプラー先端の代替的な変形例を示している。図11Cでは、プラー先端1135が、プラーの外面から突き出して、プラーの周りに延びる1または複数の螺旋状の突起1137を含む。いくつかの変形例では、突起がプラーの遠位先端に巻き付けられたワイヤにより形成され、ワイヤが雄型の突起を形成する。図11Dは、プラーの遠位端からの突起を形成する階段状プロファイルを有する遠位先端領域1145の別の例を示している。この例では、遠位端が、(先細の先端領域を形成する)遠位方向に向かって次第に小さなサイズで配置される複数(例えば、2、3、4、5、6など)のコーンによって形成されている。コーンは、中実でもカニューレ状であってもよい。先端は、複数の接続された要素で形成されてもよいし、単一の(または溶着された)要素であってもよい。
反転支持カテーテル
上述したように、本明細書に開示および記載の装置の何れかは、トラクタチューブ(例えば、編みトラクタチューブ)に加えて、遠位端および遠位端開口を有する細長い反転支持カテーテルを含むことができる。動作中、トラクタチューブは細長い反転支持カテーテルの外面上に延び、例えば、反転支持カテーテル内にあるトラクタチューブの第1の端部に連結された細長いプラーを引っ張ることにより、トラクタチューブの端部が例えば反転支持カテーテルに引き込まれると、細長い反転支持カテーテルの遠位端開口内に反転する。このため、上述したように、反転支持カテーテルは、硬い血栓を引っ張る場合でも、トラクタチューブが反転支持カテーテルの遠位端内に引き込まれたときに座屈または潰れないように、十分な柱強度を持つ必要がある。
反転支持カテーテルは、特に装置が神経血管用に構成されている場合に、500g以下の圧縮力(例えば、少なくとも約700g、600g、500g、400g、300gの圧縮力など)が加えられても、潰れる(例えば、座屈する)ことのないように構成することができる。末梢血管用の場合、細長い反転支持カテーテルは、少なくとも1500gの圧縮力(例えば、少なくとも約2000g、1900g、1800g、1700g、1600g、1500g、1400gの圧縮力など)に耐えるように選択または構成することができる。さらに、本明細書に開示および記載の反転支持カテーテルは、トラクタチューブが遠位端を超えて引っ張られても実質的に短縮しない(例えば、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%等を超えて、短縮しない)ように構成することができる。
また、反転支持カテーテルは、非常に曲がりくねった解剖学的領域を介して追従される又は追従する場合でも、十分な柱強度を維持することが望ましいことがある。図12は、(図12において領域1、2、3、4、5としてラベル付けされた)複数の領域を含む内頸動脈の図を示す蛇行神経解剖学的領域の一例である。本明細書に開示および記載の反転支持カテーテルは、十分な柱強度を有し、トラクタチューブが反転支持カテーテルの遠位端開口内に巻き込まれるようにトラクタチューブを引っ張る(多くの場合、最大500gの圧縮力またはそれ以上の圧縮力がかかる)ときに座屈および圧縮に抵抗するように構成された構造を有することができ、それでもなお、図12に示す例のような内頸動脈の領域1~5を含む脈管構造のそのような蛇行する領域を介して追従するのに十分な柔軟性がある。
多くの反転支持カテーテルの設計が本出願人によって検討されている。試験された反転支持カテーテルの多くは、柔軟性を強化する切欠き領域と、柱強度を強化する支持構造(例、最大500g以上の圧縮力に耐える)とを有していても、座屈/圧縮に耐える十分な柱強度と、図12に示すようなモデル内頸動脈の屈曲度と同等の屈曲度を有する領域をナビゲートするのに十分な柔軟性との両方を備えていない。本明細書には、これらの基準を満たすように構成された反転支持カテーテルが開示および説明されている。特に、本明細書には、柱強度と柔軟性の両方を提供するように構成された複数のスロットを有する反転支持カテーテル(「スロット付き反転支持カテーテル」)が開示および説明されている。スロットは、通常、カテーテルの長軸に対してほぼ横方向に形成されており、このほぼ横方向には、例えば、+/-数度(例えば、+/-2度、+/-3度、+/-4度、+/-5度、+/-7度、+/-10度、+/-12度など)の横方向からのずれが含まれる。スロットは、(+/-数度の間のピッチ、例えば0.05~0のピッチなどで)反転支持カテーテルの長さ方向に対してほぼ横方向に延びる、カテーテルの切り込みであってもよい。スロットは、例えば、反転支持カテーテルの外周の周りに60~180度(例えば、90~180度、100~170度、110~160度、120~150度など)にわたって延びるものであってもよい。
本明細書に開示および記載のいくつかの変形例では、スロットが、例えば、レーザカットによって形成される矩形状の切欠き領域である。スロットは、例えば、カテーテルまたはカテーテルの一部を長手方向に圧縮された状態にヒートセットすることにより、圧縮スロットとして構成されるものであってもよい。圧縮状態では、スロットは、通常圧縮できないスロットの両端部が固定幅を持つように構成され、スロットの端部間の領域は、この領域の幅がスロットの端部の幅よりも小さくなるように圧縮される。例えば、図13A~図13Cを参照されたい。例えば、図13Aでは、「ニュートラル」スロットがカテーテルの切り込みとして示されており、通常は、カテーテルのアール部の周りで湾曲している。図13Aに示すスロットは、端部間の中間領域1303(w2)とほぼ同じ幅である幅(w1)をそれぞれ有するスロットの端部領域1301、1305を有する。例えば、幅は0.01~0.0001インチ(例えば、0.005~0.0001、0.001~0.0001など)であってもよい。図13Aに示すニュートラルスロットは、例えば、カテーテルの長軸に圧縮力を加え、圧縮構成でカテーテルをヒートセットすることにより、圧縮され得る。これは、本明細書で「閉鎖」スロットまたは「閉鎖セル」スロットとも呼ばれる圧縮スロットを形成することができる。図13Bでは、ニュートラル位置と実質的に同じ幅(w1)を有する縁部領域を有する閉鎖矩形スロットが示されているが、端部1301、1305間の中間領域1303は、スロットの両端の幅よりも小さい幅(w2)を有している(例えば、w2<w1、例えばw2<95%w1、w2<90%w1、w2<85%w1など)。
スロットは、図13Cに示すように開放されるものであってもよい。いくつかの変形形態では、スロットが形成されるカテーテルの細長い長さのすべてまたは一部に張力を加えて(例えば、引っ張って)、得られた拡張構成でスロットをヒートセットすることにより、スロットが開放される。図13Cでは、スロットの中央領域1303が、端部領域1301、1305の幅(w2)よりも大きい幅(w2)を有するように拡張されている。これは、スロットの開放構成または開放セル構成と呼ばれることがある。例えば、矩形スロットの開放構成では、w2>w1である。いくつかの変形例では、w2がw1よりも遥かに大きい場合(例えば、w2>>w1、例えばw2がw1の約2倍よりも大きい、w2がw1の約2.5倍よりも大きい、w2は約w1の約3倍よりも大きい、w2がw1の約4倍よりも大きい、w2がw1の約5倍よりも大きい場合など)、これらのスロットは、超開放スロットと呼ばれることがある。
本明細書に開示および記載の反転支持カテーテルの何れかは、スロットの分布がカテーテルの長さ方向に沿って不均一になるように構成されるものであってもよい。例えば、スロット付き反転支持カテーテルの遠位端領域(例えば、遠位端から1~50mmのカテーテルの最遠位領域、例えば2~30mm、2~20mm、2~10mmなど)には、開放セルスロット(すべてまたは一部の開放セルスロット)が含まれる場合がある。カテーテルのこの遠位端よりも近位側の部分には、閉鎖セルまたは通常のスロットが含まれる場合がある。いくつかの変形例では、カテーテルが、遠位端領域の周りおよびそれに沿って配置された開放セルおよび閉鎖セルの両方のスロットを含むことができる。開放セルスロットの割合は、例えば、遠位端領域のスロットの総数の0.1%~80%(例えば、0.1%~70%、0.1%~60%、0.1%~50%、0.1%~40%、0.1%~30%、0.1%~20%、0.1%~10%、0.1%~5%など)とすることができる。
より詳細に述べるように、いくつかの変形例では、カテーテルと、特に遠位端領域とが、超開放セルスロットを含むことができる。特に、他の開放セルスロットおよび閉鎖セルスロットに対する超開放セルスロットの割合は、50%未満(例えば、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満など)とすることができる。前述したように、他のスロットは閉鎖セルスロットであってもよく、かつ/または様々な寸法を有することができる。遠位端領域よりも近位側にある反転支持カテーテルの領域は、閉鎖セルスロットのスロット付き構成を有することができる。
閉鎖セルスロットは、スロットの隣接する壁があまり圧縮できないため、反転支持カテーテルに柱強度を提供するのに役立つことができると、仮説を立てることができる。しかしながら、閉鎖セルスロットは、上述したニュートラル構成または開放(または超開放)構成のスロットよりも柔軟性が低くなる。この目的のために、主にまたは専ら閉鎖セルスロットを含む近位領域と、主にまたは専ら開放セルスロットである遠位端領域(例えば、遠位1~50mm)とを有するカテーテルの変形例を最初に試験した。
例えば、図14Aは、反転支持カテーテル1401、1402、1403の3つの例を示している。これらの反転支持カテーテルは、(レーザカットにより形成された)スロットパターンの切り込みを有する。反転支持カテーテルは、NiTiチューブの長さをレーザカットした。その後、レーザカットしたカテーテルの全長を圧縮し、レーザカットによって形成されたセルを閉じるためにヒートセットした。その後、スロットの少なくとも一部(例えば、スロットの中央領域)にわたって、カテーテルの長さ方向に垂直な切欠き領域の両側の間隔が元の切欠きの直径の95%未満の間隔を有するように(例えば、元の切欠きの直径が0.001インチである場合、圧縮構成は0.0001インチである)、切欠き領域(例えば、セル)を圧縮した。
このような圧縮された切欠き領域を有するカテーテルは、良好な柱強度を示すことができる(例えば、座屈することなく最大500gの圧縮力に耐える)が、それらは一般に、図12に示すような血管構造の蛇行モデルを追従することができず、モデルの第1(1)領域または第2(2)領域よりもさらに先に追従することができなかった。
追従を改善するために、図14Aに示すような圧縮された切欠き領域を有するカテーテルを、延伸力を加えながら、それらの遠位端で再びヒートセットした。図14Aに示す3つのカテーテルすべてについて、より大きな直径のギャップ(開放セルスロット)を備えるために遠位端領域(例えば、遠位12mm、遠位15mm、遠位20mm、遠位30mm、遠位40mm、遠位50mmなど)のみを拡大した。図14Aでは、中央1402と右側のデバイス1403をそれぞれ先ず圧縮して、圧縮状態でヒートセットし、その後、遠位端を拡張して、均一な伸びおよびスロットセルのギャップの分離を生じさせ、この遠位端領域に開放セルスロットを形成した。図示のスロットは、端部領域の幅と同じか僅かに大きいスロットの両端部間の中央幅を有している(例えば、スロットの中央領域の幅は、スロットの端部領域の幅の約100.5%~120%である)。これらのデバイス1402、1403は、閉鎖セルスロットのみを有するカテーテルよりも優れた性能を発揮し、少し先まで(例えば、図13に示す内頸動脈モデルの第2(2)領域または第3(3)領域まで)追従することができた。
例えば、図16A~図16Fは、長手方向に圧縮された構成でヒートセットした後、引き延ばされた(例えば、遠位2cm)構成で遠位端領域をヒートセットすることにより、均一に閉鎖セルスロットを有するように最初に形成されたスロット付き反転支持カテーテルを示している。その後、カテーテル上にジャケット材料を積層することにより、装置を被覆した。図16A~図16Fに示すように、そのようなデバイスは、著しいねじれを回避するのに十分高い柱強度を有していた。100gの圧縮で僅かな曲げが始めに発生したが(図16B)、この曲げは最大500gの圧縮(図16F)でも著しく増加することはなかった。図16Gは、カテーテルの遠位端領域の僅かに拡大した図を示している。
図17A~図17Cは、比較のために、圧縮時にねじれた他のスロット付きカテーテル(例えば、切欠き領域を有するカテーテル)を示している。例えば、図17A(図17Bの挿入図に拡大して示されている)は、スロットが切り込まれた(ニュートラルスロット構成を有する)第1のカテーテルの一例であり、400gの圧縮が加えられたとき実質的なねじれと圧縮を示している。同様に、図17C(図17Dに示すスロットの拡大図)は、カテーテルの長さ方向に沿って幾分大きい開放セルスロットを有するカテーテルの別の例を示しており、このカテーテルも大きなねじれと圧縮を示している。図17Eは、図16A~図16Gのカテーテルの別の例であり、並べて比較するために、ここで再び示されている。
圧縮構成でヒートセットされたカテーテルの遠位端を引き伸ばすプロセス中に、いくつかのカテーテル(例えば、図14Bにより詳細に示される図14Aの左側のカテーテル1401を参照)は、意図せずに拡張されたため、いくつかのセルのごく一部に見かけ上の「欠損」1409が形成され、超開放セルスロットが形成された。これらの欠損により、他のスロットよりも大きく開かれたスロット/セルのサブセットがもたらされ、他のスロットは、開いていない(端部領域の最大幅よりも小さい中間領域の最大幅を有する閉鎖したままのセル)か、またはニュートラル(中間領域の幅が端部領域の幅とほぼ同じ)であるか、または引き延ばすステップによりほんの僅かに開いて開放セルスロット(例えば、端部領域の直径の1倍~1.5倍、例えば、1倍~2倍、1倍~2.5倍、1倍~3倍である内側領域の最大幅を有するスロット)を形成するかの何れかであった。驚くべきことに、これらの「欠損」領域を有するカテーテル(端部領域の幅の1.5倍超、例えば、2倍超、2.5倍超、3倍超などである中間領域の最大幅を有する超開放セル領域)は、より大きな柱強度(例えば、500gの圧縮力が加えられたときに座屈がより少ない)およびより良好な追従を有していた。そのようなデバイスは、図12に示す内頸動脈モデルのような蛇行性血管構造のモデルを介して、完全に、例えば、領域(5)またはそれよりも先まで、追従することができた。
図15は、カテーテルの遠位端領域にそれらの導入された「欠損」を含むそのようなデバイスの一例を示している。この例の欠損は、カテーテルの遠位端領域のスロットをカットすることによって形成されるセルのサブセットに形成される。これらの欠損は、(遠位端領域の他の閉鎖セルスロットおよび/または開放セルスロットと比較して)超開放セルスロットと呼ばれることがあり、スロットの対向する長辺間の間隔が、遠位端領域の閉鎖セルスロットの大部分の間隔の1.5倍よりも大きい。例えば、開放セル構成の対向する長辺間の最大間隔は、矩形状スロットの両端にある閉鎖セルスロットの対向する長辺間の最大間隔の1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍等よりも大きい。超開放セル(欠損)スロットは、遠位端領域内に分布するようにしてもよく、(スロットも含むことができる)近位領域に存在してもしなくてもよい。
例えば、細長い反転支持カテーテルの遠位端領域は、開放セルスロットおよび超開放セルスロット(および/または閉鎖セルスロットまたはニュートラルスロット)を含む、スロットの対向する壁間のギャップの大きさに基づいて、細長い反転支持カテーテルの壁を通る細長い反転支持カテーテルの長さ方向にほぼ直交するようにカットされた少なくとも2種類のスロットを含むことができる。スロットは、カテーテルの外周に沿って延びており、カテーテルの1回転ごとに4~1個(例えば、2~3個、約2.5個など)のスロットが存在する。スロットの対向する壁は、カテーテルの長軸と直交またはほぼ直交する壁であってもよい。閉鎖セルスロットは、cインチの対向する壁間の最大間隔を有することができる(例えば、cは、0.0001インチ、0.0002インチ、0.0005インチ、0.001インチ等である)。開放セルスロットは、oインチの対向する壁間の最大間隔を有することができ、ここで、oはスロットの端部の幅w1の1倍~1.5倍である(例えば、oはw1の1倍~1.5倍であり、例えば、oはw1の1倍~2倍であり、oはw1の1倍~2.5倍であり、oはw1の1倍~3倍などである)。超開放セルスロットの最大直径oは、w1の1.5倍より大きく、w1の2倍より大きく、w1の2.5倍より大きく、w1の3倍より大きく、w1の4倍より大きく、w1の5倍より大きく、w1の6倍より大きく、w1の7倍より大きく、w1の8倍より大きく、w1の10倍より大きい等である。他のスロットに対する超開放セルスロットの分布は、均一、またはランダムを含む不均一である。遠位端領域のスロットの大部分は、特に超開放セルスロットと比較して、閉鎖および/または開放セルスロットとすることができる。例えば、遠位端領域に0.001%~20%(例えば、0.001%~10%、0.001%~5%、0.01%~5%、0.1%~5%など、0.001%~1%など)の超開放セルスロットが存在し得る。例えば、カテーテルの長さ1cmごとに0.5~20個(1~20個、0.5~15個、0.5~10個、1~10個など)の超開放セルスロットが存在するようにしてもよい。超開放セルスロットは、カテーテルの周りの異なるラジアル位置に向けられるものであってもよい。
図14Cは、図14Aに示すような反転支持カテーテルの例示的なレーザカットパターンを示している。上述したように、NiTiチューブの長さがカット(例えば、レーザカット)されてスロットが形成され、これらのスロットがカテーテルの全長に沿って圧縮ヒートセットされて閉鎖セルスロットが形成される。その後、カテーテルは、遠位端領域が引き伸ばされた状態で再ヒートセットされて、開放セルスロットが形成される。いくつかの変形例では、少数のそれらのスロットが超開放セルスロットとして形成されるものであってもよい。図14Cでは、スロットの様々なピッチ(例えば、0~0.01)が示されている。
図15は、2つの「欠損」(超開放セル領域)1509を導入するために、カテーテルの遠位5mmが(引き延ばしおよびヒートセットにより)処理された反転支持カテーテルの一例を示している。遠位端におけるスロットの大部分は単なる開放セルスロットのままであったが、それらの超開放セルスロット(矩形/楕円形スロットの両端部の幅の1.5倍を超える最大幅を持つ)は、カテーテルの柔軟性と追従を大幅に向上させ、図15の例示的なカテーテルは、トラクタチューブをカテーテル内に巻き込んで硬くかつ/または大きな血栓を捕らえるときに作用する最大500gの圧縮力を加えても、ねじれが殆どまたは全く生じないほどに十分な柱強度を有していた。
本明細書に開示および記載の装置の何れかにおいて、遠位端領域(例えば、遠位1~50mm、遠位2~10mmなど)は、閉鎖セルスロットで形成されるより近位の領域と比べて、開放セルスロット(および/または超開放セルスロット)を有することができる。例えば、図18A~図18Eは、開放セルおよび閉鎖セル切欠き領域の組合せを有する反転支持カテーテルの例を示している。図18Aでは、遠位端領域が、上述したように構成された開放セルを含む。図18Aでは、閉鎖セルスロットである近位領域と比べて、遠位端領域の大部分またはすべてが、開放セルスロットを含む。図18Bでは、切欠きスロットの一部が開放セルであるが、スロットのすべてが開放セルスロットではない(例えば、0.1%~80%など)。図18Cでは、遠位端領域が、中央部にテーパが付けられたスロット(例えば、「砂時計」スロット)を含み、それにより各スロットが開放セル領域および閉鎖セル領域を含み、近位領域が、すべての閉鎖セルスロットとして示されている。そのような双葉スロット(砂時計、バーベルおよび/またはドッグボーンスロットとも呼ばれる)は、上述した超開放セルスロットを有するデバイスに匹敵する、改善された追従および圧縮強度を有することができ、それらについては以下に詳述することとする。
図18Dでは、遠位端領域が開放コイル構成を含む。図18Eでは、遠位コイル領域は、隣接コイルが(それらの長さの少なくとも一部にわたって)非常に接近して配置されているため、「閉鎖コイル」と呼ばれる。図18A~図18Eは、近位端領域および遠位端領域からの完全な移行部を有するカテーテルを示し、いくつかの変形例では、移行部がより緩やかであり、その結果、デバイスが閉鎖セル(近位)から開放セル(遠位)切欠き領域へと徐々に移行する。
図19Aおよび図19Bは、圧縮状態でカテーテルをヒートセットすることによって形成される切欠き領域の開放および閉鎖セル構成を示している。図19Aでは、矩形状スロットが、上述したように開放構成でカテーテルから切り取られ、幅z1(左側に示す)であるスロットの対向する長壁間の間隔を有し、閉鎖構成(圧縮下)では、スロットが、幅z2である中間(x2)領域にわたって直径を有するようにヒートセットされている。スロットの縁部領域(例えば、領域x1およびx3)は、縁付近でほぼ非圧縮性であり、よって分離したままとなる。図19Cに示すように、図19Aの設計は、x2がx1の約5%~x1の95%となるように、閉鎖セル構成における寸法を有することができる。例えば、圧縮された閉鎖セル構成では、圧縮領域x2が、スロットの全長(x)の中央部1%~90%とすることができる。同様に、圧縮構成におけるスロットの長い壁間の間隔z2は、元の間隔z1の95%以下とすることができる。例えば、元の間隔(z1)が0.001インチの場合、圧縮された間隔(z2)を約0.0001インチとすることができる。通常、開放セル間隔は、例えば、0.0005インチ~0.010インチとすることができる。
開放セルおよび閉鎖セル構成の図19Bに示す中央にテーパが付けられたスロット(砂時計構成)は、スロットの両側に、狭い領域z1で分離されたより広い幅の領域(y1)を含むことができる。幅の広い領域(x1、x3)とその間にある幅の狭い領域(x2)の長さを合計すると、スロットの全長xになる。閉鎖セル構成では、幅の広い領域(y1)の間隔はほぼ同じままであり、一方、中央の領域z2は元の開放セル幅z1よりも遥かに小さくなるようにしてもよい。図19Cに示すように、図19Bの構成は、閉鎖セル幅z2が元の開放セル幅z1の90%以下となる閉鎖セル構成を有することができる。狭い領域は、通常、スロット内の中央に配置される(オフセットされる場合もある)が、スロットの中央部の5%~95%を含むことができる。例えば、図19Bに示すような砂時計カットのスロットは、両端の広い領域で0.0005インチ~0.010インチの開放セル最大幅と、広い端部の幅(y1)の約10%~50%であるより狭い中央領域とを有することができる。
図20A~図20Cは、中央にテーパが付けられた(例えば、砂時計形またはバーベル形の)構成を有するカテーテルに切り込むことができるスロットの代替的な構成を示している。これらの構成は通常、圧縮構成であっても開放セル領域を含む。
図21A~図21Cは、ヒートセットを必要とせずに、カットまたはパターン化によって形成される閉鎖および開放セクションの領域を有する更なるスロット付きカテーテル設計を示している。代替的または追加的には、ヒートセットを使用することができる。図21Aには、カットパターン2101が示されており、スロットが重なり合うパターン(レンガ積みパターン)で配置されている。図21Bは、スロット付きカテーテル(またはカテーテルのスロット部分)の外周に放射状に正午位置2103、3時の位置2103’、6時の位置2103’’、9時の位置2103’’’に高圧縮強度の列があるように、カテーテルの長さ方向に沿って隣接して配置された交互のスロットのパターンを示す側面図を示している。図21Cは、スロット付きカテーテルの側面斜視図を示している。高支持領域2103、2103’、2103’’、2103’’’が、図21A~図21Cに示す4つのラジアル位置よりも多いか又は少なくカテーテルの長さに沿って並ぶパターン(例えば、正午の位置、4時の位置、8時の位置など)を含む、他の重なり合うパターンを使用することもできる。いくつかの変形形態では、重なり合うパターンが、カテーテルの長さに沿った高支持領域の渦巻きまたは螺旋パターンを形成する。前述したように、このパターンを、圧縮および閉鎖セル構成でヒートセットすることもできる。更なるセルは、カテーテルの長さ方向に沿った異なる領域の開放セルまたは閉鎖セルであってもよい。
図22A~図22Cは、スロット付きカテーテル設計の別の例を示している。図22Aは、狭い螺旋カットパターンを含むカットパターン2201を示している。開放セル螺旋設計パターンは、カテーテルの長さ方向の一部に沿った全長に沿って開放セルまたは閉鎖セルになるように(例えば、圧縮および/または引張り縦力および形状設定を加えることにより)成形することができる。図22A~図22Cでは、カテーテルの細長い長さ方向に5列のより高い支持領域があるように、螺旋パターンが、整列した重なり合う/隣接する領域を含む。図22Bは側面図を示し、図22Cは側面斜視図を示している。
図23A~図23Cは、スロット付きカテーテルパターン設計の別の変形例を示している。この例において、スロット付きパターンは、図23Aに示すように、ドッグボーンパターンである。各切欠きスロットは、対向する辺間の幅が広い遠位端領域と、対向する辺間の幅が遥かに小さい狭い接続領域とを有する。狭い幅の領域は、図23Bおよび図23Cに示すように、カテーテルの長さ方向に沿って隣接するスロットに整列されるようにしてもよい。この例では、(上述した「閉鎖セルの矩形状スロット」と同様の)スロットの中央部の狭い領域のこの整列により、スロット付きカテーテル(またはカテーテルのスロット部分)の外周に放射状に、正午の位置2303、3時の位置2303’6時の位置2303’’および9時の位置2303’’’に4列の高圧縮強度が得られる。この例では、各セルが優先密着領域を有する。上述したように、セル(またはカテーテルの長さ方向に沿ったセルの領域)は、圧縮または伸張されて、開放セルまたは閉鎖セル構成でヒートセットされるようにしてもよい。
カテーテルの長さ方向に沿った閉鎖セルおよび開放セルスロットの領域の混合に加えて、それらカテーテルの何れかは、本明細書に開示および記載される様々なパターンの混合を含むことができる。例えば、図24Aは、図22A~図22Cの螺旋状パターン2403が図21A~21Cのレンガパターン2405の領域に隣接し、それが螺旋パターンの別の領域にも隣接している一例を示している。同様に、図24Bは、交互に現れる、図23A~図23Cに示されるようなバーベルパターン2407と螺旋パターン2403を示している。図24Cは、螺旋2403、レンガ2405、螺旋2403、バーベル/ドッグボーン2407などが交互に現れるパターンを示している。図21A~図24Cに示すものを含むそれらカテーテルの何れにおいても、長さ方向に沿った領域が、圧縮および/または伸長されて、開放セルおよび閉鎖セルのスロットが同様に形成されるようにしてもよい。
図25A~図25Cは、連続螺旋カットスロットパターン2501を示しており、このパターンでは、スロットが、スロット内に複数の狭い領域(隆起、デテント、ネックなど)を含み、カテーテルの縦軸に沿って整列されて、カテーテルの長い縦軸方向に延びるライン2503’、2503’’、2503’’’が形成されている。上述した実施形態と同様に、これらのラインが柱強度を高める一方で、それらの間のより広い幅の切欠き領域が柔軟性を高めることができる。図25Aには、カットパターン2501が示されている。上述したように、カットパターンは連続的であってもよく、かつ(非常に小さいピッチでカテーテルの外周を螺旋状に延びる、図21A~図24Cの離散パターンと比べて)カテーテルの外周をカテーテルの全長にわたって螺旋状に延びるものであってもよい。図25Bは、整列した狭い領域の3本のラインを含む側面図を示している。3本のラインが示されているが、より多い数又は少ない数(例えば、1以上、2以上、3以上、4以上、2~60、2~50、2~40、2~30、2~25、2~20、2~19など)の狭い領域が含まれるようにしてもよく、それらが整列して縦方向に延びるラインを形成するように間隔が設けられるようにしてもよい。ラインは、カテーテルの縦軸と平行であってもよい。いくつかの変形例では、ラインが、15度未満(例えば、14度未満、12度未満、10度未満、8度未満、6度未満、5度未満など)のピッチでカテーテルの外周に螺旋状に延びるものであってもよい。図14A~図24Cの何れかに示す変形例と同様に、図25A~図25Cに示す変形例は、特にカテーテルの遠位端(例えば、遠位30cm、遠位25cm、遠位20cm、遠位15cm、遠位20cmなど)にこのパターンが含まれる場合に、上述したようにトラクタチューブをカテーテルに引き込むときに、高度の柔軟性と柱剛性を達成するために使用することができる。
図26は、細長いスロット付き反転支持カテーテルの長軸に対してほぼ横方向に配置された複数のスロットを含む細長い反転支持カテーテルを含む装置の別の例を示している。この例では、装置が、「押し潰された螺旋」配置を有するスロット付き反転支持カテーテルの第1の領域を含み、この配置では、外周に沿ってスロットをカット(例えば、レーザカット)し、長さ方向に圧縮力を加え、それをヒートセットして圧縮形式に保持することによって、スロットの螺旋形状が形成されている。この第1の領域(遠位領域)には、「押し潰されたレンガ」子構成のストレッチを形成する第2の領域が隣接し、スロットが約0.001インチ以上の開口径を持ち、長軸を中心とする周方向の1ターン当たり2~4個のスロットがあり、その領域は圧縮された(圧縮的に荷重がかけられた)後、ヒートセットされて圧縮形態が保持されている。最後に、図26では、第2の領域よりも近位側にある第3のスロット領域が示されている。この第3の実施形態では、第3の領域が「開いたレンガ」構成であり、スロットが、細長いスロット付き反転支持カテーテルの長軸に対して横方向にカットされ、約0.001インチ以上の開口径を有し、この構成では、長軸を中心とする周方向の1ターン当たり2~4個のスロットがある。スロット領域(螺旋、レンガ、開放、閉鎖)の任意の組合せを、特に関心のある任意の順序で使用することができる。また、図26には、金属(例えば、TiNiなどの形状記憶合金、またはステンレス鋼など)のリングの一例も示されている。図26では、カテーテルが、0.048インチのIDおよび約0.062インチの外径(OD)を有する。カテーテルは、図27に示すように互いに接合された2つの別個のレーザカットハイポチューブで形成され(同図は、あり継手でニチノールと結合するステンレス鋼部材を示し)、コーティングまたはスリーブ(例えば、Tecoflex 80AやPebaxなどのラミネーション)が、カテーテルの柔軟性を実質的に変更せずに、それらを互いに固定するために使用されている。カテーテルの遠位端を形成するようにカットされたニチノールカテーテルの長さは、約65cm(例えば、40cm~100cm、45cm~90cm、55cm~85cmなど)とすることができる。カテーテルの遠位端を形成するようにカットされたステンレス鋼(SS)カテーテルの長さは、約100cm(例えば、50cm~150cm、75cm~120cm、95cm~105cmなど)とすることができる。カテーテルのそれら領域は、降伏圧縮強度が~1000grmを超えるように処理される。
図28は、カテーテルの一例、例えば、図26に示すような細長い反転支持カテーテルを示しており、このカテーテルは、細長いスロット付き反転支持カテーテルの長軸に対してほぼ横方向に配置された複数のスロットを備え、スロットは約0.001インチ以下の開口径を有し、このカテーテルには、長軸を中心とする周方向の1ターン当たり2~4個のスロットがある。図28では、直径2.8mmのタイトターンを形成しているカテーテルが示されており、体内に示される良好な追従を示している。同様に、図29Aおよび図29Bは、従来の支持カテーテルおよび本明細書に開示および記載の細長い反転支持カテーテル(長軸に対してほぼ横方向に配置された複数のスロットを含む)の曲げの比較例を示している。図29Aでは、従来のカテーテルが座屈を示し、最終的に機能しなくなっている。対照的に、図29Bでは、同じ力(例えば、圧縮力)を加えても、デバイス(細長い反転支持カテーテル)に引き起こすことはない。このため、改善された細長い反転支持カテーテルは、硬い血栓を取り込むときに、蛇行/押し潰されること/座屈することなく、高い圧縮荷重に対処することができる。
本明細書に開示および記載の方法および装置は、2016年10月11日に出願された米国出願第15/291,015号(「Mechanical Thrombectomy Apparatuses and Methods」)、2017年4月25日に出願された米国出願第15/496,570号(「Anti-Jamming and Macerating Thrombectomy Apparatuses and methods」)、2017年4月25日に出願された米国出願第15/496,668号(「Pre-loaded inverting tractor Thrombectomy Apparatuses and methods」)、2017年4月25日に出願された米国出願第15/496,786号(「Methods for Advancing Inverting Mechanical Thrombectomy Apparatuses IN The Vasculature」)、2017年4月25日に出願された米国出願第15/497,092号(「Clot-Engulfing Mechanical Thrombectomy Apparatuses and methods of use」)、並びに、2017年6月1日に出願された米国出願第15/611,546号(「Inverting Thrombectomy Apparatuses And Methods」)の各々に示される機械的な血栓除去装置のすべてまたは一部で使用されるものであってもよい。
ある構成または要素が別の構成または要素の「上に(on)」あると言及される場合、それは他の構成または要素上に直接存在してもよいし、介在する構成および/または要素が存在してもよい。対照的に、ある構成または要素が別の構成または要素の「上に直接ある」と言及された場合、介在する構成または要素は存在しない。ある構成または要素が他の構成または要素に「接続された」、「取り付けられた」または「結合された」と言及される場合、それは他の構成または要素に直接的に接続、取り付けまたは結合されてもよいし、介在する構成または要素が存在してもよい。対照的に、ある構成または要素が別の構成または要素に「直接的に接続された」、「直接的に取り付けられた」または「直接的に結合された」と言及される場合、介在する構成または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または図示されていても、それら説明または図示された構成および要素は、他の実施形態にも適用することができる。当業者であれば、別の構成に「隣接して」配置された構造または構成への言及は、隣接する構成に重なったり下にある部分を有してもよいことも理解されよう。
本明細書で使用する用語は、特定の実施例のみを説明するためのものであり、本明細書に開示および記載の様々な発明を限定するものではない。例えば、本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明示しない限り、複数形も含むことが意図される。本明細書で使用される「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、記載された構成、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を特定するが、他の構成、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそれらのグループのうちの1または複数の存在や追加を除外するものではない。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1または複数の任意のおよびすべての組合せを含み、「/」と省略することができる。
本明細書では、「下方(under)」、「下(below)」、「より下(lower)」、「上(over)」、「より上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図示するように、1つの要素や構成の他の要素や構成との関係の説明を容易にするために用いられる。これらの空間的に相対的な用語は、図面に示されている向きに加えて、使用または動作における装置の様々な向きを包含することが意図されていることが理解されよう。例えば、図面内の装置が反転されている場合、他の要素または構成の「下方(under)」や「下(beneath)」と記載された要素は、他の要素または構成の「上に」位置づけられる。したがって、例示的な用語「下方(under)」は、上方および下方の向きの両方を含み得る。装置は他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。同様に、特に断りのない限り、「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」などの用語は説明の目的でのみ使用される。
「第1の」および「第2の」という用語は、様々な構成/要素(ステップを含む)を説明するために本明細書で使用されるが、文脈上別段の記載がない限り、これらの構成/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある構成/要素を別の構成/要素と区別するために使用される。したがって、本明細書で説明する第1の構成/要素は第2の構成/要素とも呼ぶことができ、同様に、本明細書で説明する第2の構成/要素は開示および説明する実施形態の教示から逸脱することなく第1の構成/要素と名付けることができる。
本明細書および特許請求の範囲を通じて、文脈上他の意味を要求しない限り、「備える(comprise)」という語および「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」などの変形は、様々な構成要素が、方法および物品(デバイスや方法を含む要素および装置)においてともに使用され得ることを意味する。例えば、「備えている(comprising)」という用語は、すべての記載された要素またはステップを含むことを意味するが、他の要素またはステップの除外を意味するものではないと理解される。
一般に、本明細書に開示および記載された装置および方法は何れも包括的であると理解すべきであるが、構成要素および/またはステップのすべてまたはサブセットが代わりに排他的であってもよく、あるいは、様々な構成要素、ステップ、サブコンポーネントまたはサブステップから「なる」または「本質的になる」と表現されるものであってもよい。
本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、実施例で使用されているものを含み、そうでないと明記していなければ、特に明記しなくても、すべての数字は、「約」または「およそ」が前にあるものとして解釈される。記載された値および/または位置が、合理的な予想される範囲内の値および/または位置であることを示すために、大きさおよび/または位置を記述するときに、「約」または「およそ」という語句を使用することがある。例えば、ある数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などの値を有しうる。本明細書に記載の様々な値も、文脈が他の意味を示さない限り、約またはおよその値を含むと理解されるべきである。例えば、「10」という値が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に列挙された任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分的な範囲を含むことが意図される。ある値が開示された場合、当業者によって適切に理解されるように、当該値「以下」、「以上」、および可能性のある値の範囲もまた開示されているものとする。例えば、「X」という値が開示された場合、「X以下」および「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。また、出願全体を通して、データはいくつかの異なるフォーマットで提供され、このデータはエンドポイントとスタートポイント、およびデータポイントの任意の組合せの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示されている場合、10と15、それを超える、それ以上、それ未満、それ以下と同様に、10~15の間も開示されていると考えられる。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されると理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、14もまた開示されている。
様々な例示的な実施形態を記載してきたが、特許請求の範囲によって規定される開示の発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対して任意の数の変更が可能である。例えば、代替的な実施形態では、記載の種々の方法のステップを実行する順序がしばしば変更されることがあり、他の代替的な実施形態では、1または複数の方法のステップが完全にスキップされることもある。様々な装置およびシステムの実施形態の任意の構成は、いくつかの実施形態に含まれてもよく、他の実施形態に含まれなくてもよい。したがって、上記の説明は、主に例示的な目的のために提供され、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
本明細書に含まれる実施例および図面は、本発明を実施することができる特定の実施例を説明するものであり、限定するものではない。上述したように、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行うことができるように、他の実施形態を利用してそこから誘導することができる。本発明の主題のそのような実施形態は、実際に多くが開示されているように、本出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定しようとするものではなく、単に「発明」という用語によって個々にまたは集合的に言及されてもよい。したがって、特定の実施形態を本明細書で図示および開示および説明したが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態に置き換えることができる。本開示は、本明細書に開示および記載される様々な実施形態の任意のおよびすべての適合または変形、並びに、本明細書に具体的に開示および/または記載されていない更なる実施形態を網羅することを意図しており、添付の図面と併せて上述した説明を検討することにより、当業者に明らかとなるであろう。