JP7223342B2 - エアバッグ - Google Patents

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Description

本発明は、内部に膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のバッグ本体と、バッグ本体の内部を区画するように配置されるとともにバッグ本体の内部を相互に連通させる連通孔を有する隔壁テザーと、を備える構成のエアバッグに、関する。
従来、バッグ本体の内部を区画する隔壁テザーに、連通孔を配設させる構成のエアバッグとしては、隔壁テザーに、略長円状の連通孔を複数個配設させた構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-190565公報
しかし、従来のエアバッグでは、展開膨張時に、隔壁テザーにテンションが発生すると、各連通孔の角部付近に応力集中が生じやすく、このような応力集中による連通孔の開口形状の変化を抑制する点に、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、展開膨張時に、隔壁テザーに形成される連通孔の開口形状を安定させることが可能なエアバッグを提供することを目的とする。
本発明に係るエアバッグは、可撓性を有したシート体から構成されて、
内部に膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のバッグ本体と、バッグ本体の内部を区画するように配置されるとともにバッグ本体の内部を相互に連通させる連通孔を有する隔壁テザーと、を備える構成のエアバッグであって、
隔壁テザーが、対向する両端縁を、それぞれ、バッグ本体を構成する第1パネル若しくは第2パネルに、連続的な縫合部位を形成するようにして、縫合糸を用いて縫着させて、膨張完了時に、第1パネルと第2パネルとの離隔距離を規制する構成とされ、
連通孔が、縫合部位を跨ぐとともに、開口端を、縫合部位よりも端縁側となる位置に配置させるように開口して構成され、
隔壁テザーにおいて、端縁相互の対向面側には、連通孔の開口部分を含めて、縫合部位を形成する縫合部位形成予定部を略全長にわたって覆うように、可撓性を有したシート体からなるカバー体が、配設され、
縫合部位が、第1パネル若しくは第2パネルと、隔壁テザーと、カバー体と、を共縫いして縫着させるように、構成されていることを特徴とする。
本発明のエアバッグでは、隔壁テザーに配設されてバッグ本体の内部を相互に連通させる連通孔が、隔壁テザーの端縁をバッグ本体側(第1パネル若しくは第2パネル)に縫着させる縫合部位を跨ぎ、かつ、開口端を、縫合部位よりも端縁側となる位置に配置させるように開口していることから、連通孔において、縫合部位よりも端縁側に配置される開口端の周縁に、応力集中が生じることを抑制できて、展開膨張時における連通孔の開口形状を安定して維持させることができる。また、本発明のエアバッグでは、隔壁テザーにおける端縁相互の対向面側に、カバー体が、連通孔の開口部分を含めて、縫合部位を形成する縫合部位形成予定部を覆うように、配設される構成である。すなわち、本発明のエアバッグでは、連通孔の開口部分を縫う際にも、この開口部分は、カバー体と第1パネル若しくは第2パネルとにより挟まれることから、縫合作業時に、連通孔の開口周縁にずれが生じることを抑制でき、縫合部位が、連通孔の開口領域も含めて、隔壁テザーの端縁側に、連続的に形成される構成であっても、第1パネル若しくは第2パネルと、隔壁テザーと、カバー体と、を共縫いして縫着させる縫合作業をスムーズに行うことができて、簡便に製造することができる。また、本発明のエアバッグでは、このカバー体が、当て布として機能することから、縫合部位の補強をすることもでき、従来のエアバッグで必要とされていた補強用の部材の数を低減させることも可能となる。
したがって、本発明のエアバッグでは、展開膨張時に、隔壁テザーに形成される連通孔の開口形状を安定させることができ、また、簡便に製造することもできる。
また、本発明のエアバッグにおいて、カバー体を、エアバッグ内に配置される補強用部材と兼用される構成とすれば、部品点数の増大を抑制できて、エアバッグ自体を簡便な構成とすることが可能となり、好ましい。
本発明の一実施形態であるエアバッグを使用した膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。 実施形態の膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大縦断面図である。 実施形態のエアバッグを平らに展開した状態の背面図である。 図3のエアバッグのIV-IV部位の断面図である。 図3のエアバッグにおいて、上側の隔壁テザーの縫合部位付近を示す部分拡大断面図である。 図3のエアバッグにおいて、下側の隔壁テザーの縫合部位付近を示す部分拡大断面図である。 図3のエアバッグにおいて、隔壁テザーの端縁とバッグ本体との縫合部位付近を、内周面側から見た状態の部分拡大図である。 図3のエアバッグにおいて、縫合部位付近を示す部分拡大横断面図である。 図3のエアバッグにおいて、縫合部位を形成する状態を説明する部分拡大断面図である。 図3のエアバッグを構成する隔壁テザーを平らに展開した状態の平面図である。 図3のエアバッグにおいて、バッグ本体を構成する基材を並べた状態の平面図である。 図3のエアバッグにおいて、補強布を並べた状態の平面図である。 図3のエアバッグにおいて、隔壁テザーを構成するテザー用基布と、カバー布と、を並べた状態の平面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、膝保護用エアバッグ装置Sに使用されるエアバッグ20を例に採り、説明をする。エアバッグ装置Sは、図1に示すように、運転者Dの車両前方側であるステアリングコラム1の下方に配設されている。また、エアバッグ装置Sの周囲には、内装材であるインストルメントパネル3やアンダーカバー4が、配設されている。なお、本明細書における上下、左右、及び、前後の方向は、特に断らない限り、エアバッグ装置Sを車両に搭載した際の車両の上下・左右・前後の方向と一致するものである。
エアバッグ装置Sは、図1,2に示すように、折り畳まれたエアバッグ20と、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するインフレーター15と、折り畳まれたエアバッグ20とインフレーター15とを収納するケース12と、折り畳まれたエアバッグ20の車両後方側を覆うエアバッグカバー10と、を備えて構成されている。
エアバッグカバー10は、ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマーから形成されて、ケース12の車両後方側を覆い可能に、構成されている。エアバッグカバー10は、図2に示すように、ケース12の開口を覆うとともに上下両側に開き可能とされる2枚の扉部10aと、扉部10aの周縁から前方に向かって延びてエアバッグカバー10をケース12に取り付けるための周壁部10bと、を備えている。
ケース12は、板金製として、図2に示すように、車両前方側に配置される略四角形状の底壁部12aと、底壁部12aの周縁から前後方向に略沿って後方に延びる略四角筒形状の周壁部12bと、を有して、周壁部12bの後端側を、エアバッグ20を突出可能に開口させて構成されている。ケース12は、詳細な図示を省略するが、ブラケット等を利用して、ボディ側のインパネリインフォースメントに、連結されている。
インフレーター15は、図2に示すように、外形形状を略円柱状としたインフレーター本体16と、インフレーター本体16を保持するリテーナ17と、を備えている。インフレーター本体16は、軸方向を左右方向に略沿わせて配置される略円柱状とされて、詳細な図示を省略するが、一端側に、膨張用ガスを吐出可能なガス吐出口を配置させ、他端側に、作動信号入力用のリード線を結線させている。リテーナ17は、インフレーター本体16の外周側を覆う略円筒状の保持部17aと、保持部17aの軸方向と略直交するように突設されるボルト17bと、を備える。ボルト17bは、詳細な図示を省略するが、保持部17aの軸方向に沿って2箇所に、配設されている。そして、実施形態では、インフレーター本体16を、折り畳まれたエアバッグ20内に配置されるリテーナ17の保持部17a内に収納させて、エアバッグ20とインフレーター15とをケース12内に収納させ、ケース12の底壁部12aから突出しているリテーナ17のボルト17bにナット18を締結させることにより、インフレーター15とエアバッグ20とをケース12に取り付けている。
エアバッグ20は、図3,4に示すように、袋状のバッグ本体21と、バッグ本体の内部を区画する隔壁テザー30(30U,30D)と、を備えている。
バッグ本体21は、膨張完了時の形状を、略長方形板状として、図1の二点鎖線に示すように、膨張完了時に運転者Dの左右の膝Kを保護可能に、構成されている。バッグ本体21は、図3,4に示すように、外形形状を略同一として、膨張完了時にステアリングコラム1側に配置される車体側壁部21a(第1パネル)と、膨張完了時に運転者D側に配置される乗員側壁部21b(第2パネル)と、の、周縁相互を縫着させて、袋状とされている。また、バッグ本体21は、膨張完了時の下端側においてケース12内に配置される取付部22と、膨張完了時の上端側において取付部22よりも左右に幅広とされるとともに膨張完了時に運転者Dの左右の膝Kを保護する保護膨張部27と、を備えている。
車体側壁部21aにおける取付部22の領域には、図3に示すように、2つの挿通孔23,23と、開口スリット24と、貫通穴25と、が、形成されている。挿通孔23は、リテーナ17の各ボルト17bを挿通させるためのものである。開口スリット24は、リテーナ17とインフレーター本体16とをエアバッグ20の内部に挿入させるためのものである。貫通穴25は、ケース12の底壁部12aに形成される図示しない支持突起を挿通させるためのものである。
隔壁テザー30は、実施形態のエアバッグ20では、上下で2箇所に、配設されている。具体的には、下側に配設される隔壁テザー30Dは、取付部22と保護膨張部27とを区画するように配設され、上側に配設される隔壁テザー30Uは、保護膨張部27を上下で2つに区画するように配設されている。各隔壁テザー30U,30Dは、それぞれ、外周縁を、略全周にわたって、バッグ本体21を構成する車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに縫着させて、バッグ本体21の膨張完了時に、車体側壁部21aと乗員側壁部21bとの離隔距離を規制する構成とされている。実施形態の場合、各隔壁テザー30U,30Dは、短手方向側で対向する端縁(幅方向側の端縁30a,30b)を、それぞれ、車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに、縫合糸を用いて縫着される構成である(図4参照)。具体的には、各隔壁テザー30U,30Dは、端縁30a,30bを共に下方に向けるように、断面略逆U字形状に、配設されている(図4参照)。各隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30bを車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに縫着させる縫合部位33U,33D,34U,34Dは、実施形態の場合、端縁30a,30bの全長にわたって、連続的に形成される直線状とされている(図3及び図10,13の二点鎖線参照)。また、各隔壁テザー30U,30Dは、長手方向側で対向する端縁(長さ方向側の端縁30c,30d)を、車体側壁部21aと乗員側壁部21bとの外周縁相互を縫合糸を用いて縫着させる際に、後述する周縁縫合部位36の部位で共縫いされて、車体側壁部21a及び乗員側壁部21bに縫着される構成である(図3及び図10,13の二点鎖線参照)。
各隔壁テザー30U,30Dには、内部に相互に連通されるように、それぞれ、複数の連通孔31U,31Dが、形成されている。実施形態では、上側の隔壁テザー30Uには、連通孔31Uは、左右方向に沿って5個並設され、下側の隔壁テザー30Dには、連通孔31Dは、左右方向に沿って5個並設されている。
各連通孔31U,31Dは、外形形状を略同一として形成されるもので、実施形態の場合、図10,13に示すように、長手方向を隔壁テザー30U,30Dの幅方向側に沿わせた長円状に開口して、形成されている。そして、各連通孔31U,31Dは、各隔壁テザー30U,30Dを車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに縫着させている縫合部位33U,33D,34U,34Dを跨ぐとともに、開口端31aを、縫合部位33U,33D,34U,34Dよりも端縁30a,30b側に配置させるように、構成されている(図5~7,10,13参照)。
また、実施形態の隔壁テザー30U,30Dにおいて、端縁30a,30b相互の対向面側(実施形態の場合、各端縁30a,30bにおける内周面30e側)には、それぞれ、カバー体としてのカバー布42,43,カバー部45,46が、配設されている。カバー体としてのカバー布42,43,カバー部45,46は、隔壁テザー30U,30Dにおける端縁30a,30b相互の対向面側において、縫合部位33U,33D,34U,34Dを形成する縫合部位形成予定部38U,38D,39U,39D(各端縁30a,30bの内周面30e側)を全長にわたって覆う構成とされている(図5~9参照)。具体的には、カバー体としては、上側の隔壁テザー30Uの端縁30a,30bの内周面30e側には、後述する補強布55,56と一体的に形成されて、補強布55,56の後縁55b,56b側の部位から構成される(補強布55,56と兼用される)カバー部45,46が、配設され(図5参照)、下側の隔壁テザー30Dの端縁30a,30bの内周面30e側には、別体の帯状のカバー布42,43が、配設されている(図6参照)。これらのカバー布42,43,カバー部45,46は、それぞれ、連通孔31U,31Dの開口部分を含めて、縫合部位33U,33D,34U,34Dを形成する縫合部位形成予定部38U,38D,39U,39D(隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30b)を略全長にわたって覆うように配設されている。そして、縫合部位33U,33D,34U,34Dは、車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bと、隔壁テザー30U,30Dと、カバー布42,43若しくはカバー部45,46と、を共縫いして縫着させるように、構成されている。実施形態の場合、カバー布42,43は、幅寸法を、縫合作業に用いられる工業用ミシンの押え金具P(図9の二点鎖線参照)よりも大きく設定されている。
縫合部位33U,33D,34U,34Dは、連通孔31U,31Dを含めて、隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30bに略沿って、連続的に形成されることとなる(図3,8参照)。連通孔31U,31Dの配置部位では、縫合部位33U,33D,34U,34Dは、図8に示すように、カバー布42,43若しくはカバー部45,46と、車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bと、を縫着させるように配置され、連通孔31U,31D以外の部位では、カバー布42,43若しくはカバー部45,46と、隔壁テザー30U,30Dと、車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bと、を縫着させるように配置されている。
実施形態では、エアバッグ20は、ポリエステル糸やポリアミド糸等の織布から形成される基材を、所定形状に裁断し、縫合糸を用いて縫着させて、袋状に形成されている。エアバッグ20は、実施形態の場合、図11~13に示すように、バッグ本体21の車体側壁部21a及び乗員側壁部21bを構成する3枚の本体用基布50,51,52と、車体側壁部21a及び乗員側壁部21bにおける下端側の領域を補強する2枚の補強布55,56(補強用部材)と、隔壁テザー30U,30Dを構成する2枚のテザー用基布60,61と、2枚のカバー布42,43(カバー体)と、から構成されている。
本体用基布50,51は、それぞれ、外形形状を略台形状とされて、車体側壁部21a,乗員側壁部21bにおいて、取付部22から上側の隔壁テザー30Uの配置領域まで(隔壁テザー30Uより下方の領域)を、構成している(図3,11参照)。本体用基布52は、外形形状を略長方形状とされて、隔壁テザー30Uより上方の車体側壁部21aと乗員側壁部21bとを構成している(図3,11参照)。補強布55,56は、車体側壁部21a及び乗員側壁部21bにおいて、隔壁テザー30Uより下方の領域の内周面側を覆うように、構成されている。具体的には、補強布55,56は、図12に示すように、外形形状を、本体用基布50,51と略同一とされて、後縁55b,56b側を除いた周縁(前縁55a,56a,左縁55c,56c,右縁55d,56d)を、周縁縫合部位36により、本体用基布50,51とともに縫着される構成とされ、後縁55b,56b側を、隔壁テザー30Uの端縁30a,30bの内周面30e側となる位置に配置させるように、構成されている(図3,5参照)。この補強布55,56における後縁55b,56b側の部位が、隔壁テザー30Uにおける端縁30a,30bの内周面30e側を覆うように配置されて、隔壁テザー30U及び車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bに、縫着されるカバー部45,46を、構成している。カバー布42,43は、隔壁テザー30Dにおける端縁30a,30bの内周面側を、左右の全域にわたって覆う略帯状とされている。各テザー用基布60,61は、それぞれ、中央側の部位のみを三重に重ね、残りの部位を二重に重ねるように折り重ねられて、隔壁テザー30U,30Dを構成するもので、それぞれ、連通孔31U,31Dを構成する開口60a,61aを、備えている(図13参照)。
実施形態のエアバッグ20において、上側に配置される隔壁テザー30Uは、図3,5に示すように、本体用基布52の上前縁52aと本体用基布50の後縁51bとを結合させる際に、短手方向側の一方側の端縁30aを、内周側で重ねられ、さらに、この端縁30aの内周面30e側(縫合部位形成予定部38Uの内周面側)に、補強布55の後縁55b側に設けられているカバー部45を重ねられた状態で、縫合糸を用いて縫合部位33Uを形成するように、カバー部45とともに縫着させ、同様に、本体用基布52の下前縁52bと本体用基布51の後縁51bとを結合させる際に、短手方向側の他端側の端縁30bを、内周側で重ねられ、さらに、この端縁30bの内周面30e側(縫合部位形成予定部39Uの内周面側)に、補強布56の後縁56b側に設けられているカバー部46を重ねられた状態で、縫合糸を用いて縫合部位34Uを形成するように、カバー部46とともに縫着させることにより、車体側壁部21a,乗員側壁部21bに、端縁30a,30bを縫着されることとなる。下側に配置される隔壁テザー30Dは、短手方向側の端縁30a,30bを、それぞれ、補強布55,56を内周面側に重ねられた状態の本体用基布50,51の前後の略中央となる位置の内周側に重ねられ、さらに、この端縁30a,30bの内周面30e側(縫合部位形成予定部38D,39Dの内周面側)に、カバー布42,43を重ねられた状態で、縫合糸を用いて縫合部位33D,34Dを形成するように、縫着させることにより、カバー布42,43とともに、車体側壁部21a,乗員側壁部21bに端縁30a,30bを縫着されることとなる(図3,6参照)。また、バッグ本体21は、隔壁テザー30U,30Dを結合させ、本体用基布50,51,52を直列的に連結させた後に、本体用基布52の左縁52c相互、右縁52d相互、本体用基布50,51の左縁50c,51cから前縁50a,51aを経て右縁50d,51dにかけてを、補強布55,56の左縁55c,56cから前縁55a,56aを経て右縁55d,56dにかけてとともに、連続的に、縫合糸を用いて周縁縫合部位36を形成するように縫着させることにより、袋状とされるもので、この周縁縫合部位36の形成時に、各隔壁テザー30U,30Dにおける長手方向側の端縁30c,30dが、バッグ本体21側に結合されることとなる。
実施形態のエアバッグ20は、以下のようにして、車両に搭載することができる。まず、エアバッグ20を、内部にリテーナ17を収納させた状態で、ケース12に収納可能に折り畳んだ後に、内部にインフレーター本体16を挿入させる。そして、折り畳まれたエアバッグ20を、インフレーター15とともに、ケース12内に収納させ、ケース12にエアバッグカバー10を組み付けた後に、ケース12を車両のボディ側に取り付ければ、エアバッグ装置Sを、車両に搭載することができる。
エアバッグ装置Sの車両への搭載後、インフレーター15に作動信号が入力されれば、インフレーター本体16から膨張用ガスが吐出されて、エアバッグ20内に流入することとなる。そして、エアバッグ20が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー10の扉部10aを押し開きつつ、ケース12から車両後方側に向かって突出して、図1の二点鎖線に示すように膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態のエアバッグ20では、隔壁テザー30U,30Dに配設されてバッグ本体21の内部を相互に連通させる連通孔31U,31Dが、隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30bをバッグ本体21側(第1パネルとしての車体側壁部21a若しくは第2パネルとしての乗員側壁部21b)に縫着させる縫合部位33U,33D,34U,34Dを跨ぎ、かつ、開口端31aを、縫合部位33U,33D,34U,34Dよりも端縁30a,30b側となる位置に配置させるように開口していることから、連通孔31U,31Dにおいて、縫合部位33U,33D,34U,34Dよりも端縁30a,30b側に配置される開口端31aの周縁に、応力集中が生じることを抑制できて、展開膨張時における連通孔31U,31Dの開口形状を安定して維持させることができる。また、実施形態のエアバッグでは、隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30b相互の対向面側(内周面30e側)に、カバー体としてのカバー布42,43,カバー部45,46が、連通孔31U,31Dの開口部分を含めて、縫合部位33U,33D,34U,34Dを形成する縫合部位形成予定部38U,38D,39U,39Dを覆うように、配設される構成である。すなわち、実施形態のエアバッグ20では、連通孔31U,31Dの開口部分を縫う際にも、この開口部分は、カバー布42,43若しくはカバー部45,46と車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bとにより挟まれることから、縫合作業時に、連通孔31U,31Dの開口周縁にずれが生じることを抑制でき、縫合部位33U,33D,34U,34Dが、連通孔31U,31Dの開口領域も含めて、隔壁テザー30U,30Dの端縁30a,30b側に、連続的に形成される構成であっても、車体側壁部21a若しくは乗員側壁部21bと、隔壁テザー30U,30Dと、カバー布42,43若しくはカバー部45,46と、を共縫いして縫着させる縫合作業をスムーズに行うことができて、簡便に製造することができる。具体的には、実施形態のエアバッグ20では、カバー布42,43が、幅寸法を、工業用ミシンの押え金具Pよりも大きく設定されていることから、縫合作業時にこの押え金具Pが、連通孔31U,31Dの開口周縁と引っかかることを、安定して規制することができ、縫合作業をスムーズに行うことができる。また、実施形態のエアバッグ20では、このカバー布42,43若しくはカバー部45,46が、当て布として機能することから、縫合部位33U,33D,34U,34Dの補強をすることもでき、従来のエアバッグで必要とされていた補強布の数を低減させることも可能となる。
したがって、実施形態のエアバッグ20では、展開膨張時に、隔壁テザー30U,30Dに形成される連通孔31U,31Dの開口形状を安定させることができ、また、簡便に製造することもできる。
特に、実施形態のエアバッグ20では、隔壁テザー30U,30Dは、テザー用基布60,61を二枚重ね(部分的には三枚重ね)して、構成されているが、端縁30a,30bの内周面30eを、連通孔31U,31Dの開口部分を含めて、カバー布42,43,カバー部45,46によって覆い、カバー布42,43,カバー部45,46とともに共縫いしていることから、工業用ミシンを用いた縫合作業時(縫合部位33U,33D,34U,34Dの形成時)に、カバー布カバー布42,43,カバー部45,46を介在させることにより、工業用ミシンの押え金具Pが、連通孔31U,31Dの開口周縁に生じる段差に引っかかることを抑制できて、スムーズに縫合作業を行うことができる。そのため、テザー用基布60,61自体が、重なっている開口60a,61a周縁をずらすように、位置ずれすることを規制でき、連通孔31U,31Dの開口形状にバラつきが生じることを、的確に抑制することができる。
また、実施形態のエアバッグ20では、上側の隔壁テザー30Uの内周面30e側に配置されるカバー部45,46が、エアバッグ20内に配置される補強用部材としての補強布55,56の後縁55b,56bから構成されており、換言すれば、補強布55,56と兼用されている。そのため、部品点数の増大を抑制できて、エアバッグ20自体を簡便な構成とすることができる。なお、このような点を考慮しなければ、カバー部(カバー体)は、補強布と別体として、配置させる構成としてもよい。
なお、実施形態のエアバッグ20では、隔壁テザー30U,30Dに設けられる連通孔31U,31Dは、開口形状を、長手方向を隔壁テザー30U,30Dの幅方向側に沿わせた長円状とされているが、連通孔の開口形状は、実施形態に限られるものではない。例えば、長手方向を隔壁テザーの幅方向に略沿わせた略長方形状としてもよく、さらには、正方形状や、長手方向を隔壁テザーの長さ方向に略沿わせたような略長方形状等としてもよい。
実施形態では、膝保護用のエアバッグ装置Sに使用されるエアバッグ20を、例に採り説明したが、本発明を適用可能なエアバッグは、実施形態に限られるものではない。本発明のエアバッグは、膨張完了形状を板状として構成されるエアバッグに好適であり、例えば、側突用のエアバッグや、歩行者保護用のエアバッグにも、適用可能である。
20…エアバッグ、21…バッグ本体、21a…車体側壁部(第1パネル)、21b…乗員側壁部(第2パネル)、30U,30D…隔壁テザー、30a,30b…端縁、30e…内周面(対向面)、31U,31D…連通孔、31a…開口端、33U,33D,34U,34D…縫合部位、38U,38D,39U,39D…縫合部位形成予定部、42,43…カバー布(カバー体)、45,46…カバー部(カバー体)、55,56…補強布、S…膝保護用エアバッグ装置。

Claims (2)

  1. 可撓性を有したシート体から構成されて、
    内部に膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のバッグ本体と、該バッグ本体の内部を区画するように配置されるとともに前記バッグ本体の内部を相互に連通させる連通孔を有する隔壁テザーと、を備える構成のエアバッグであって、
    該隔壁テザーが、対向する両端縁を、それぞれ、前記バッグ本体を構成する第1パネル若しくは第2パネルに、連続的な縫合部位を形成するようにして、縫合糸を用いて縫着させて、膨張完了時に、前記第1パネルと前記第2パネルとの離隔距離を規制する構成とされ、
    前記連通孔が、前記縫合部位を跨ぐとともに、開口端を、前記縫合部位よりも端縁側となる位置に配置させるように開口して構成され、
    前記隔壁テザーにおいて、端縁相互の対向面側には、前記連通孔の開口部分を含めて、前記縫合部位を形成する縫合部位形成予定部を略全長にわたって覆うように、可撓性を有したシート体からなるカバー体が、配設され、
    前記縫合部位が、前記第1パネル若しくは前記第2パネルと、前記隔壁テザーと、前記カバー体と、を共縫いして縫着させるように、構成されていることを特徴とするエアバッグ。
  2. 前記カバー体が、前記エアバッグ内に配置される補強用部材と兼用される構成とされていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ。
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