JP7222739B2 - 穿孔機械用遠隔操作装置 - Google Patents
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Description
さく岩機の先端には、シャンクロッド、スリーブ、ロッドおよびビットを有する工具が装着されている。工具を構成する各部材は、それぞれの端部に設けられたネジ部により脱着可能になっている。ガイドシェルの先端には、スリーブを把持するとともに、ロッドを回転かつ摺動可能に支承するセントラライザが設けられている。
また、この種の穿孔機械は、ロッドの長さよりも長大な穿孔を行うために、周知のロッドチェンジャを備えている。ロッドチェンジャは、複数のロッドを格納するマガジンと、ロッドを把持してマガジンと穿孔軸線との間でロッドを搬送する搬送アームと、を有する。
そのため、従来の穿孔機械での穿孔作業は、多数の操作レバーや操作スイッチを煩雑に操作することになり、作業性に未だ改善の余地がある。特に、穿孔作業の中には、個々の機器を連携しながら作動させる作業もある。そのため、従来の穿孔機械では、オペレータ(作業者)に高い練度が要求される。
特許文献1記載の操作装置は、図10に示すように、レバーグリップ202と、レバーグリップ202に付属された、選択スイッチ203および押釦スイッチ204とを備える。レバーグリップ202は、デテント機構により複数の傾倒角度に保持可能になっている。
そして、同文献記載の操作装置は、レバーグリップ202の傾倒角度と、切選択スイッチ203および押釦スイッチ204の操作状態と、の組み合わせによって、多様な操作内容を一つの操作レバーで実行可能になっている。これにより、同文献記載の技術によれば、穿孔作業における作業効率を向上させることができる。
そのため、遠隔操作装置に、図10に示した操作装置201のように、グリップを把持しながらレバーの傾動と付属スイッチのオンオフとを同時に操作するマルチファンクションレバーを配設することは困難である。そのため、一般的な遠隔操作装置は、指先で操作を行うジョイスティック型の操作レバーを備えている。
しかしながら、ジョイスティック型の操作レバーは、デテント機構を備えていない。そのため、作業の継続中は、常に操作レバーを操作位置に保持し続けなければならない。したがって、作業内容によっては、オペレータに肉体的な苦痛を強いるため、快適に操作を継続できないという問題がある。
また、例えば8方向に傾倒可能なジョイスティックレバーにおいては、斜め方向のレバー操作は、ゲート感覚が乏しくオペレータに不安感を与えて、快適な操作性が損なわれる場合もある。
そのため、オペレータは、「単独モード」とは制御思想の異なる「複合モード」への移行操作として(言い換えると、「通常モード」から「特殊モード」への移行のためのレバー操作として)、操作感覚が掴みやすく確実に移行操作ができる。そのため、オペレータは、作業効率を向上させながらも、安心感を得て快適に操作することができる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
図1に示すように、本実施形態の穿孔機械100は、走行台車101の前方部分に設けられた操縦室120と、走行台車101の前方部分に設けられたブーム102と、ブーム102先端に装着されたガイドシェル103と、ガイドシェル103上を前進後退可能に移動するキャリッジ105に搭載されたさく岩機106と、を備える。
操縦室120の内部には操縦機器130が装備されている。
操縦機器130は、図2に示すように、後述する遠隔操作装置10と無線通信可能な無線通信器131と、その無線通信で取得された遠隔操作装置10からの操縦命令に基づいて、対応する操縦処理を実行する制御装置132と、を含んで構成されている。
工具Tを構成する各部材は、それぞれの端部に設けられたネジ部により脱着可能になっている。ガイドシェル103の先端には、スリーブ108を把持するとともに、ロッド109を回転かつ摺動可能に支承するセントラライザ111が設けられている。
また、穿孔機械100は、ロッド109の長さよりも長大な穿孔を行うために、周知のロッドチェンジャ112を備えている。ロッドチェンジャ112は、複数のロッド109を格納する不図示のマガジンと、ロッド109を把持してマガジンと穿孔軸線との間でロッドを109搬送する不図示の搬送アームと、を有する。
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る遠隔操作装置10は、直方体状の筐体20の上面20mに操作部21を備える。操作部21は、同図右側に配置された第一ジョイスティック11、および、同図左側に配置された第二ジョイスティック12を有する。
さらに、操作部21には、同図中央上寄りの位置に、前後方向に傾倒操作可能な一対の走行レバー(左)14a、走行レバー(右)14bが設けられるとともに、同図左側から順に、前後に傾倒可能なトグル型の複数(この例では9個)の作動選択スイッチ15a~15iが配置されている。また、同図中央左寄りには、ダイヤル式の速度選択スイッチ16が配置され、同図中央右寄りには、ダイヤル式のセイフティモード選択スイッチ17が配置されている。
なお、本実施形態においては、上記「課題を解決するための手段」を実施可能な例の説明に係る操作レバーおよびスイッチについて説明し、他のスイッチの構成と動作については詳細な説明を省略する。
筐体20の内部には、図2に示すように、上記無線通信器131に操縦命令を無線送信する通信部31および制御部32並びにブザー33が内蔵されている。制御部32は、コンピュータを含んで構成され、所定のプログラムを実行可能な情報処理装置である。
制御部32は、遠隔操作装置10の電源が投入されると、穿孔機械100の無線通信器131との間で無線送信処理を開始し、無線送信が可能な状態が設定されると、図4に示す遠隔操作処理を実行するように構成されている。
ステップS20では、制御部32は、第一および第二ジョイスティックレバー11,12の傾倒角度および傾倒方向を監視する。
これにより、第一および第二ジョイスティック11、12は、上下方向および左右方向、そして、上下・左右方向から45°回転した方向、すなわち、斜めの上下左右方向に傾倒自在に構成されている。第一および第二ジョイスティック11、12は、傾倒操作を開放した非操作時には、ホームポジションである中立姿勢に自動復帰(オートリターン)する。
図8に各ジョイスティック11、12の操作感帯を示すように、本実施形態の遠隔操作装置10によれば、操作部21に設けられた第一および第二ジョイスティック11、12は、ホームポジションの座標P0(X0、Y0)からPn(X2、Y2)、Pn´(X‐2、Y‐2)までの座標が設定可能に構成されている。
ステップS80では、制御部32は、複合(特殊)モードを設定し、後述する例でより詳しく説明するように、複合モードに対応する一連の処理を実行する。また、ステップS40では、制御部32は、単独(通常)モードを設定し、後述する例でより詳しく説明するように、単独モードに対応する一連の処理を実行する。
ここで、「単独モード」とは、制御部32が、ステップS50の所定条件が満たされていない通常時に、第一および第二ジョイスティックレバー11,12および各選択スイッチ15a~15iの操作状態に対応した個別操作を穿孔機械100に実行させるモードである。
続くステップS70では、操作部21のいずれかのスイッチまたはレバーに対する操作入力の有無を監視する。ステップS70では、操作入力が有れば(Yes)ホールドモードを解除して処理をステップS20に戻し、そうでなければ(No)ホールドモードを維持するように構成されている。
穿孔機械100側では、操縦室120内の無線通信器131を介して制御装置132が遠隔操作装置10からの操縦命令を取得する。そして、制御装置132は、その操縦命令に基づいて対応する操縦処理を実行し、これにより、穿孔機械100の対応する各種操作機器が操作されるようになっている。
本実施形態の穿孔機械100用に設定されている遠隔操作処理では、制御部32は、作動選択スイッチ15gが手前側に操作されているときは、遠隔操作処理の「単独モード」として「ドリルモード」に基準処理を設定し(ステップS10)、作動選択スイッチ15gが奥側に操作されているときは、「単独モード」として「ブームモード」に基準処理を設定する(ステップS10)。
なお、「ドリルモード」は、穿孔作業を行う際に必要な処理を実行するモードであり、「ドリルモード」において、第一ジョイスティック11は、さく岩機106の駆動制御を行うための操作レバーとして機能し、第二ジョイスティック12は、ロッドチェンジャ112の駆動制御を行うための操作レバーとして機能する。
また、「ブームモード」は、ブームを駆動する作業を行う際に必要な処理を実行するモードであり、ブームモードにおいて、第一ジョイスティック11は、ブーム102の姿勢制御を行うための操作レバーとして機能し、第二ジョイスティック12は、ガイドシェル103の姿勢制御を行うための操作レバーとして機能する。
本実施形態の遠隔操作処理において、「単独モード」として上記「ドリルモード」が基準処理として設定されたとき、「ドリルモード」における第一ジョイスティック11および第一ロータリスイッチ11aの操作と対応する動作は、以下の表1に示す通りである(後述する「複合モード」は除く)。
これにより、制御部32は、表1に示すように、第一ジョイスティック11が左方向に一度倒されたときには正転の操縦命令を送信し、第一ロータリスイッチ11aが反時計回りに一度回されたときには軽打撃の操縦命令を送信する。また、作動選択スイッチ15cが下方向に倒されたときにはフラッシングの操縦命令を送信する。
穿孔機械100は、正転および軽打撃並びにフラッシングの操縦命令を受信すると、フラッシングをしつつ、回転機構を正転させるとともに打撃機構を軽打撃による駆動を開始する。
軽打撃によるザグリ穿孔を終了すると、次に、オペレータは、遠隔操作装置10の第一ジョイスティック11を左方向に一度傾倒するとともに、第一ロータリスイッチ11aを時計回りに一度回す。また、作動選択スイッチ15cは下方向に傾倒状態のままとする。
本実施形態では、制御部32は、「穿孔ホールドモード」においては、第一ジョイスティック11からオペレータが手を離して、第一ジョイスティック11が中立姿勢に自動復帰した状態であっても、上述した本穿孔動作を継続するようになっている。
ここでは、制御部32は、「穿孔ホールドモード」に移行後に、操作部21の任意のスイッチ操作がなされたときは、「穿孔ホールドモード」を解除して単独モード(通常モード)に復帰する場合を例に説明する。
なお、本実施形態の遠隔操作処理において、「課題を解決する手段」に記載の「所定条件の充足状態」に基づくとは、単独モードでの処理の開始から所定時間が経過したか否かによる判定であって、単独モードでの処理の開始から所定時間が経過する前が、所定条件が満たされていない通常時であり、単独モードでの処理の開始から所定時間が経過したとき以降が、所定条件が満たされた非通常時である。
ここで、本実施形態の「複合モード」とは、制御部32が、第一ジョイスティック11の傾倒方向のうち、前後方向および左右方向とはそれぞれ周方向に45°回転した斜め方向に第一ジョイスティック11が最大傾倒角度で傾倒された状態であると判定したときに、その斜め方向に対応する複数の個別操作を連携して穿孔機械100に実行させる特殊モードである(ステップS80)。
その後、オペレータは、穿孔機械100の総穿孔長が所定の深さに達すると、第一ジョイスティック11を操作して穿孔を停止し、その後、第二ジョイスティック12を操作して、継足された複数のロッド109を順次に回収してロッドチェンジャ112のマガジンに収容する。
まず、オペレータは、遠隔操作装置10の選択スイッチ15gの操作により、基準処理として「ドリルモード」を選択し、次いで、第二ジョイスティック12を操作して、搬送アームにてロッドチェンジャ112のマガジンに格納していたロッド109を穿孔軸線へと搬送する。
次いで、オペレータは、第一ジョイスティック11を下方向に倒し、シャンクロッド107の先端を、搬送アームに保持されたロッド109に螺着されたスリーブ108に近接する位置まで前進させる。
制御部32は、ネジ継ぎ複合モードにおいては、さく岩機103の回転機構の回転数と送り機構104の前進速度とが、ロッド109のネジピッチに同期して作動するように制御装置132に制御させる処理を実行する。
ロッド109がスリーブ108に2山~3山ねじ込まれたら、オペレータは、第一ジョイスティック11を開放し(ステップS30でのNo)、第一ジョイスティック11を中立姿勢へと戻して「ネジ継ぎ複合モード」を解除する。
オペレータは、遠隔操作装置10の第一ロータリスイッチ11aを時計回りに回して、予め無回転打撃を行い、シャンクロッド107とスリーブ108とのネジ結合を緩めておき、打撃音が変わったら再度第一ロータリスイッチ11aを時計回りに回して打撃を停止する。次いで、遠隔操作装置10の第一ジョイスティック11を上下に操作してセントラライザ111でスリーブ108を把持する。
本実施形態の「ネジ切り複合モード」においては、制御装置132は、先ず、さく岩機103とシャンクロッド107との間のバックラッシュを補正する動きとして、送り機構104をごく僅かの移動量だけ後退させ、引き続き、さく岩機103の回転機構の回転数と送り機構104によるさく岩機103の後退速度を、ロッド109のネジピッチに同期して作動させてシャンクロッド107をスリーブ108から切り離すように制御する。
これにより、穿孔機械100の制御装置132は、次に継ぎ足すロッド109との干渉を避けるために、送り機構104を駆動して、ガイドシェル103の後方にさく岩機103を早送りで後退させる。
制御装置132は、穿孔機械100に装備された近接センサによって所定の位置までさく岩機103が後退したことを検出すると、さく岩機103の後退速度を通常の送り速度に低下させる。
このように、「ネジ継ぎ動作」および「ネジ切り動作」では、さく岩機103の回転機構と送り機構104とをネジピッチに同期するように作動させる緻密な操作が必要であるところ、これをそれぞれ別個の操作部で操作するのは非常に難易度が高いといえる。
また、本実施形態の遠隔操作装置10によれば、制御部32での遠隔操作処理において、ステップS80の「複合モード」が設定される処理では、図8および図9に示したように、操作部21での対応する操作感帯が、ネジ継ぎ動作が左斜め下のストロークエンド、および、ネジ切り動作が右斜め上のストロークエンドに設定されている。
特に、ネジ切り動作に関しては、切り離し動作の後に連続する、退避動作への移行操作が、操作部21の第一ジョイスティック11を上側のストロークエンドに押し付けながら左方向にスライドさせると実現するので、操作感覚が極めて優れている。
11 第一ジョイスティック
11a 第一ロータリスイッチ
12 第二ジョイスティック
12a 第二ロータリスイッチ
14a、14b 走行レバー(右)、(左)
15a~15i 作動選択スイッチ
16 速度選択スイッチ
17 セイフティモード選択スイッチ
20 筐体
21 操作部
30 制御部
100 穿孔機械(クローラドリル)
101 走行台車
102 ブーム
103 ガイドシェル
104 送り機構
105 キャリッジ
106 さく岩機
107 シャンクロッド
108 スリーブ
109 ロッド
110 ビット
111 セントラライザ
112 ロッドチェンジャ
120 操縦室
130 操縦機器
131 無線通信器
132 制御装置
T 工具
Claims (3)
- 穿孔機械を遠隔操作するための遠隔操作装置であって、
選択スイッチと、中立姿勢から少なくとも4方向に傾倒操作可能かつ非傾倒操作時には前記中立姿勢に自動復帰可能なジョイスティックレバーと、を有する操作部と、
前記ジョイスティックレバーの傾倒角度および傾倒方向と、前記選択スイッチの操作状態と、の組み合わせに応じて、前記穿孔機械での穿孔作業に必要な個別操作を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、所定条件の充足状態に基づいて、
前記所定条件が満たされていないときは、前記ジョイスティックレバーおよび前記選択スイッチの操作状態に対応した個別操作を前記穿孔機械に実行させる単独モードで処理を行い、
前記所定条件が満たされたときは、前記ジョイスティックレバーが前記中立姿勢に自動復帰した後であっても、直前に実行された前記単独モードでの個別操作を維持して前記穿孔機械に実行させるホールドモードに移行し、
前記所定条件が満たされていないときに、前記ジョイスティックレバーの傾倒方向のうち、前後方向および左右方向の間の斜め方向に前記ジョイスティックレバーが最大傾倒角度で傾倒された状態であると判定したときを限って、前記単独モードに替えて、前記斜め方向に対応する複数の個別操作を連携して前記穿孔機械に実行させる複合モードに移行することを特徴とする穿孔機械用遠隔操作装置。 - 前記制御部は、前記ホールドモードでの処理中に、前記操作部への入力の有無を監視し、前記操作部への入力が無ければ前記ホールドモードを継続し、前記操作部に入力が有れば前記ホールドモードを解除して前記単独モードに復帰する請求項1に記載の穿孔機械用遠隔操作装置。
- 穿孔機械を遠隔操作するための遠隔操作装置であって、
選択スイッチと、中立姿勢から8方向に傾倒操作可能かつ非傾倒操作時には前記中立姿勢に自動復帰可能なジョイスティックレバーと、を有する操作部と、
前記ジョイスティックレバーの傾倒角度および傾倒方向と、前記選択スイッチの操作状態と、の組み合わせに応じて、前記穿孔機械での穿孔作業に必要な個別操作を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ジョイスティックレバーの傾倒方向のうち、前後方向および左右方向の間の斜め方向に前記ジョイスティックレバーが最大傾倒角度で傾倒された状態であると判定したときを限って、前記斜め方向に対応する複数の個別操作を連携して前記穿孔機械に実行させる複合モードを実行することを特徴とする穿孔機械用遠隔操作装置。
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