JP7221827B2 - 作業情報管理装置、および作業情報管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、作業情報管理装置、および作業情報管理システムに関する。
下記特許文献1には、作業機が装着されたトラクタを圃場内で走行させながら農作業させることによって取得された情報を遠隔サーバが管理する技術が開示されている。具体的には、遠隔サーバでは、トラクタおよび作業機の稼働状態(エンジンの回転数、車速、エンジンの負荷、作業機の昇降位置等)についての稼働情報と、トラクタの測位情報とが、農作業が行われた圃場のIDとともに管理される。
特開2018-173764号公報 特許第6080338号公報
ここで、トラクタに装着する作業機として除草剤を散布するスプレーヤを用いることが多々ある。除草剤散布作業では、圃場内に存在する雑草だけでなく、圃場の周辺の畦に存在する雑草にも除草剤を散布する必要がある。畦に対する除草剤散布作業は、圃場外でトラクタを走行させて、圃場外から畦に対して除草剤を散布して行われる場合がある。畦に対する除草剤の散布は、圃場内の雑草に対して行われるものでないにもかかわらず、圃場内で生育される作物の生育度合に影響を及ぼす。そのため、畦等の圃場に近接する領域に対して行われた除草剤散布作業についても管理する必要がある。
特許文献1に開示された技術では、圃場内を走行するトラクタによって行われた農作業については管理対象であるが、圃場外を走行するトラクタによって行われた農作業については管理対象外である。畦に対する除草剤散布作業を行う際にトラクタは圃場外を走行するため、特許文献1に開示された技術では、畦に対する除去剤散布作業を詳細に管理することができない。
そこで、この発明の一つの目的は、圃場近接する領域で行われる薬剤散布に関する作業情報を管理することができる作業情報管理装置、および作業情報管理システムを提供することである。
この発明の一実施形態は、薬剤散布を行いながら走行可能な作業車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、薬剤散布についての前記作業車両の稼働情報を取得する稼働情報取得部と、前記稼働情報取得部によって取得される稼働情報に基づいて、前記作業車両が薬剤散布中である散布期間を特定し、前記位置情報取得部によって取得される位置情報から、前記散布期間中における前記作業車両の位置を抽出する散布位置抽出部と、前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内であるか否かを判定する位置判定部と、前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内でないと前記位置判定部が判定した場合には、前記抽出された前記作業車両の位置に近接する圃場を、前記作業車両によって薬剤が散布された薬剤散布領域に隣接する圃場として特定する圃場特定部とを含む、作業情報管理装置を提供する。
この装置によれば、作業車両が圃場外を走行しながら当該圃場に近接する領域に薬剤散布を行った場合には、薬剤散布期間中の作業車両の位置に近接する圃場が、薬剤散布領域に近接する圃場として特定される。そのため、圃場に近接する領域で行われる薬剤散布に関する稼働情報および位置情報を、薬剤散布領域に近接する圃場に関連する情報として管理することができる。
この発明の一実施形態では、前記作業情報管理装置が、前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内でないと前記位置判定部が判定した場合には、前記圃場特定部によって特定された圃場の管理情報に関連付けて、前記稼働情報取得部によって取得された前記稼働情報と前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報とを記憶する記憶部をさらに含む。
この装置によれば、作業車両が圃場外を走行しながら当該圃場に近接する領域に薬剤散布を行ったときの稼働情報および位置情報が当該圃場の管理情報に関連付けて記憶部に記憶されている。そのため、圃場外を走行しながら薬剤散布を行ったときの稼働情報および位置情報を、当該圃場に関連する情報として管理することができ、必要に応じて参照することができる。
この発明の一実施形態では、前記作業車両が、走行機と、前記走行機に装着される作業機とを含む。前記作業機が、前記走行機の進行方向に対する左右両側にそれぞれ設けられ、薬剤を散布する一対の側方ブームを有するブームスプレーヤである。そして、前記圃場特定部は、前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内でないと前記位置判定部が判定した場合には、前記抽出された位置に近接する圃場のうち、前記散布期間中に作動した前記側方ブームの近傍に位置する圃場を、前記薬剤散布領域に近接する圃場として特定する。
この装置によれば、散布位置抽出部によって抽出された位置に近接する圃場のうち、散布期間中に作動した側方ブームの近傍に位置する圃場、すなわち、側方ブームから薬剤が散布された圃場が、薬剤散布領域に近接する圃場として特定される。
そのため、散布期間中に一対の側方ブームの両方が作動していた場合には、散布位置抽出部によって抽出された作業車両の位置に近接する圃場のうち、左側の側方ブームの近傍に位置する圃場、および、右側の側方ブームの近傍に位置する圃場の両方が、薬剤散布領域に近接する圃場として特定される。
一方、散布期間中に左側の側方ブームしか作動していない場合には、散布位置抽出部によって抽出された作業車両の位置に近接する圃場のうち、作動している左側の側方ブームの近傍に位置する圃場は薬剤散布領域に近接する圃場として特定されるが、作動していない右側の側方ブームの近傍に位置する圃場は、薬剤散布領域に近接する圃場として特定されない。
同様に、散布期間中に右側の側方ブームしか作動していない場合には、散布位置抽出部によって抽出された作業車両の位置に近接する圃場のうち、作動している右側の側方ブームの近傍に位置する圃場は薬剤散布領域に近接する圃場として特定されるが、作動していない左側の側方ブームの近傍に位置する圃場は、薬剤散布領域に近接する圃場として特定されない
したがって、圃場外で行われる薬剤散布に関する稼働情報および位置情報をより正確に管理することができる。
この発明の一実施形態では、前記稼働情報が、前記走行機と前記作業機とを電気的に接続する通信路を介して、前記作業機から前記走行機に提供され、前記稼働情報取得部が、前記走行機から前記稼働情報を取得する。
この構成によれば、稼働情報取得部が走行機を介して作業機から稼働情報を取得することができる。そのため、作業機の稼動状況を走行機に備えられた部材の稼動状況から把握する場合と比較して、作業機の稼動状況を詳細に把握することができる。
この発明の他の実施形態は、作業情報管理装置と、前記作業車両とを含む、作業情報管理システムを提供する。この構成によれば、上述の効果を奏する。
図1は、本発明の一実施形態に係る作業情報管理システムの構成を示す模式図である。 図2は、前記作業情報管理システムに備えられる作業車両を左方から見た図である。 図3は、前記作業車両を上方から見た図である。 図4Aは、前記作業車両が圃場外で薬剤散布作業を行うときの様子を説明するための模式図である。 図4Bは、前記作業車両が圃場外で薬剤散布作業を行うときの様子を説明するための模式図である。 図4Cは、前記作業車両が圃場外で薬剤散布作業を行うときの様子を説明するための模式図である。 図5は、前記作業情報管理システムの電気的構成を示すブロック図である。 図6は、前記作業情報管理システムに備えられる管理サーバに記憶される圃場管理テーブルの一例を示す模式図である。 図7は、前記管理サーバに記憶される圃場別作業情報管理テーブルの一例を示す模式図である。 図8は、前記管理サーバによって実行される作業情報記憶処理を説明するためのフローチャートの一例である。 図9は、前記作業情報記憶処理のフローチャートの別の例である。
以下では、この発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る作業情報管理システム1の構成を示す模式図である。図1を参照して、作業情報管理システム1は、作業情報を圃場毎に管理するシステムである。作業情報とは、作業車両2によって行われる作業に関する情報である。
作業情報管理システム1は、走行しながら作業可能な作業車両2と、作業車両2の作業情報を圃場毎に管理する管理サーバ4とを含む。管理サーバ4は、作業管理装置の一例である。作業車両2は、通信網6を介して、管理サーバ4と無線通信可能である。管理サーバ4は、管理サーバ4を運営する管理事業者の管理センタ5内に配置されている。管理サーバ4は、管理センタ5内のオペレータによって操作される。
作業車両2は、走行機としてのトラクタ10と、トラクタ10に牽引される作業機としてのブームスプレーヤ11とを含む。
図2は、作業車両2を左方から見た図である。図3は、作業車両2を上方から見た図である。
トラクタ10は、ブームスプレーヤ11が連結される走行機体12を含む。走行機体12は、その前部が左右一対の前輪17で支持され、その後部が左右一対の後輪18で支持されている。
走行機体12の前部にはボンネット19が配置されている。本実施形態では、このボンネット19内に、トラクタ10の駆動源であるエンジン20、燃料タンク(図示せず)等が収容されている。
ボンネット19の後方には、オペレータが搭乗するためのキャビン21が配置されている。キャビン21の内部には、オペレータが操向操作するためのステアリングハンドル22、オペレータが着座可能な座席23等が配置されている。ステアリングハンドル22の近傍には、ユーザが各種操作を行うための操作部44(図5を参照)が設けられている。
走行機体12の下部には、トラクタ10のシャーシ25が設けられている。シャーシ25は、機体フレーム26、トランスミッション27、フロントアクスル28、リアアクスル29等から構成されている。
機体フレーム26は、トラクタ10の前部における支持部であって、直接または防振部材等を介してエンジン20を支持している。トランスミッション27は、エンジン20からの動力を変化させてフロントアクスル28およびリアアクスル29に伝達する。フロントアクスル28は、トランスミッション27から入力された動力を前輪17に伝達する。リアアクスル29は、トランスミッション27から入力された動力を後輪18に伝達する。
ブームスプレーヤ11は、トラクタ10の走行機体12の後部に装着されている。走行機体12の後部には、エンジン20の駆動力をブームスプレーヤ11に出力するためのPTO軸(図示せず)が配置されている。PTO軸には、トランスミッション27を介して、エンジン20の駆動力が伝達される。
ブームスプレーヤ11は、薬剤(農薬)を貯留する薬剤タンク30と、薬剤タンク30内の薬剤を散布するブームユニット31と、PTO軸から伝達される駆動力によって駆動され、薬剤タンク30内の薬剤をブームユニット31に圧送するポンプ32とを含む。
ブームユニット31は、走行機体12の後方に薬剤を散布する後方ブーム33と、走行機体12の両側方にそれぞれ薬剤を散布する一対の側方ブーム34とを含む。後方ブーム33は、走行機体12の進行方向に対して直交する車幅方向(左右方向)に延びている。後方ブーム33には、後方ブーム33が延びる方向に等間隔で、複数の後方ノズル35が設けられている。複数の後方ノズル35は、下方に向けて薬剤を吐出する。
一対の側方ブーム34は、後方ブーム33の両端に、それぞれ連結されている。各側方ブーム34には、側方ブーム34が延びる方向に等間隔で複数の側方ノズル36が設けられている。複数の側方ノズル36は、下方に向けて薬剤を吐出する。
一対の側方ブーム34は、走行機体12の右側に薬剤を散布する右方ブーム34Aと、走行機体12の左側に薬剤を散布する左方ブーム34Bとを含む。
右方ブーム34Aは、右方ブーム34Aと後方ブーム33との連結部付近の所定の鉛直軸線まわりに回動可能である。右方ブーム34Aは、回動によって、右方ブーム34Aが延びる方向が略進行方向となるように右方ブーム34Aの先端が走行機体12に近接する待機位置(実線で示す位置)と、右方ブーム34Aが延びる方向が略車幅方向となるように右方ブーム34Aの先端が走行機体12から離間する作業位置(二点鎖線で示す位置)との間で移動する。
同様に、左方ブーム34Bは、左方ブーム34Bと後方ブーム33との連結部付近の所定の鉛直軸線まわりに回動可能である。左方ブーム34Bが延びる方向が略進行方向となるように左方ブーム34Bの先端が走行機体12に近接する待機位置(実線で示す位置)と、左方ブーム34Bが延びる方向が略車幅方向となるように左方ブーム34Bの先端が走行機体12から離間する作業位置(二点鎖線で示す位置)との間で回動する。
ブームスプレーヤ11は、一対の側方ブーム34のそれぞれを回動させる一対のブーム回動シリンダ37と、後方ブーム33および一対の側方ブーム34を昇降させるブーム昇降シリンダ53とをさらに含む。ブーム回動シリンダ37は、シリンダロッドを伸縮動作させることによって、対応する側方ブーム34を所定の回動中心まわりに回動させる。
ブーム昇降シリンダ53は、シリンダロッドを伸縮動作させることによって、後方ブーム33および一対の側方ブーム34を同時に昇降させる。一対の側方ブーム34は、水平に延びる下位置と、水平方向に傾斜する上位置との間で昇降する。
ブームスプレーヤ11は、後方ブーム33の複数の後方ノズル35からの薬剤の吐出を制御する後方バルブ38と、右方ブーム34Aの複数の側方ノズル36からの薬剤の吐出を制御する右方バルブ39Aと、左方ブーム34Bの複数の側方ノズル36からの薬剤の吐出を制御する左方バルブ39Bとを含む(後述する図5を参照)。
ポンプ32が駆動された状態で後方バルブ38が開かれると、後方ブーム33の複数の後方ノズル35から薬剤が吐出される。ポンプ32が駆動された状態で右方バルブ39Aが開かれると、右方ブーム34Aの複数の側方ノズル36から薬剤が吐出される。ポンプ32が駆動された状態で左方バルブ39Bが開かれると、左方ブーム34Bの複数の側方ノズル36から薬剤が吐出される。
作業車両2を運転する作業者は、操作部44(後述する図5を参照)を操作することによって、ブームスプレーヤ11による薬剤散布のモードを切り替えることができる。薬剤散布モードとしては、たとえば、右方ブーム34Aのみから薬剤散布が行われる右側散布モード、左方ブーム34Bのみから薬剤散布が行われる左側散布モード、右方ブーム34Aおよび左方ブーム34Bの両方から薬剤散布が行われる両側散布モード、全てのブーム33,34A,34Bから薬剤散布が行われる全体散布モード、全てのブーム33,34A,34Bから薬剤散布が停止される散布停止モード等が挙げられる。
薬剤散布モードが右側散布モードにされると、一対の側方ブーム34が下位置に移動され、右方ブーム34Aが作動位置に移動され、右方バルブ39Aが開かれる。右側散布モードでは、左方ブーム34Bは待機位置に位置する。薬剤散布モードが左側散布モードにされると、一対の側方ブーム34が下位置に移動され、かつ、左方ブーム34Bが作動位置に移動され、左方バルブ39Bが開かれる。左側散布モードでは、右方ブーム34Aは待機位置に位置する。薬剤散布モードが両側散布モードにされると、一対の側方ブーム34が下位置に移動され、右方ブーム34Aおよび左方ブーム34Bがそれぞれ作動位置に移動され、右方バルブ39Aおよび左方バルブ39Bが開かれる。
薬剤散布モードが全体散布モードにされると、一対の側方ブーム34が下位置に移動され、右方ブーム34Aおよび左方ブーム34Bがそれぞれ作動位置に移動され、後方バルブ38、右方バルブ39Aおよび左方バルブ39Bが開かれる。薬剤散布モードが散布停止モードにされると、一対の側方ブーム34が上位置に移動され、右方ブーム34Aおよび左方ブーム34Bがそれぞれ待機位置に移動され、右方バルブ39Aおよび左方バルブ39Bが閉じられる。
作業機としてブームスプレーヤ11を用いて行う薬剤散布作業は、圃場100内に存在する雑草を除去するためだけでなく、圃場100の周辺の畦に存在する雑草を除去するためにも行われる。図4A~図4Cを用いて、作業車両2が圃場100の周辺の畦101に対して薬剤散布作業を行うときの様子を説明する。
図4Aには、作業車両2が2つの圃場100同士の間の通路102を走行しながら、通路102の両側の畦101に薬剤散布作業を行うときの様子が示されている。図4Aに二点鎖線で示すように、作業車両2を運転する作業者は、薬剤散布作業の対象となる畦101の手前では、ブームスプレーヤ11の薬剤散布モードを散布停止モードにした状態で、作業車両2を走行させる。
図4Aに実線で示すように、作業車両2が薬剤散布作業の対象となる畦101の側方に達すると、作業者は、操作部44を操作して、ブームスプレーヤ11の薬剤散布モードを両側散布モードに切り替えて、一対の側方ブーム34の両方からの薬剤の散布を開始させる。これにより、通路102の両側の畦101に対する薬剤散布が開始される。この場合、両側の畦101が薬剤散布領域である。
その後、図4Aに二点鎖線で示すように、作業車両2が畦101の側方を通り過ぎると、作業者は、操作部44を操作して、ブームスプレーヤ11の薬剤散布モードを散布停止モードに切り替えて、一対の側方ブーム34の両方からの薬剤の散布を終了させる。
図4Bには、作業車両2が通路102を走行しながら、通路102の右側の畦101に薬剤散布作業を行うときの様子が示されている。図4Bに示す薬剤散布作業では、図4Aに示す薬剤散布作業とは異なり、作業車両2が薬剤散布作業の対象となる畦101の側方に達すると、作業者が、操作部44を操作して、ブームスプレーヤ11の薬剤散布モードを右側散布モードに切り替えて、右方ブーム34Aのみから薬剤の散布を開始させる。これにより、通路102の右側の畦101に対する薬剤散布が開始される。この場合、右側の畦101が薬剤散布領域である。
図4Cには、作業車両2が通路102を走行しながら、通路102の左側の畦101に薬剤散布作業を行うときの様子が示されている。図4Cに示す薬剤散布作業では、図4Aに示す薬剤散布作業とは異なり、作業車両2が薬剤散布作業の対象となる畦101の側方に達すると、作業者が、操作部44を操作して、ブームスプレーヤ11の薬剤散布モードを左側散布モードに切り替えて、左方ブーム34Bのみから薬剤の散布を開始させる。これにより、通路102の左側の畦101に対する薬剤散布が開始される。この場合、左側の畦101が薬剤散布領域である。
図5は、作業情報管理システム1の電気的構成を示すブロック図である。
図5を参照して、トラクタ10は、制御部(以下、「トラクタ制御部40」)を含む。トラクタ制御部40は、CPUおよびメモリ41(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)を備えたマイクロコンピュータを含む。トラクタ制御部40は、トラクタ10の動作(前進、後進、停止、旋回等の動作)を制御する。
トラクタ制御部40には、複数のコントローラ(コントローラ群42)、測位情報算出部43、操作部44、および無線通信部45が電気的に接続されている。
複数のコントローラは、トラクタ10の各部を制御するためのものである。複数のコントローラには、エンジン20(図2参照)の回転数等を制御するエンジンコントローラ、トラクタ10の車速を制御する車速コントローラ、トラクタ10の前輪17の転舵角を制御する操向コントローラ、PTO軸の回転を制御するPTOコントローラ等が含まれる。
測位情報算出部43は、作業車両2(トラクタ10)に取り付けられた衛星信号受信用アンテナ47に電気的に接続されている。衛星信号受信用アンテナ47は、衛星測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。衛星信号受信用アンテナ47は、トラクタ10のキャビン21の天井に取り付けられている(図2および図3を参照)。衛星測位システムは、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。衛星信号受信用アンテナ47で受信された測位信号は、測位情報算出部43に入力される。
測位情報算出部43は、所定の時間間隔(たとえば、1秒間隔)の作業車両2の測位データを算出する。測位情報には、作業車両2(厳密には、衛星信号受信用アンテナ47)の位置情報(たとえば緯度・経度情報)と、位置情報に対応する時刻情報とが含まれる。トラクタ制御部40は、測位情報算出部43から測位情報を取得する。
ブームスプレーヤ11は、ブームスプレーヤ11の動作を制御する制御部(以下、「スプレーヤ制御部50」という。)を含む。スプレーヤ制御部50は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)を備えたマイクロコンピュータを含む。
スプレーヤ制御部50は、通信路としてのCAN(Controller Area Network)52を介してトラクタ制御部40に接続されている。スプレーヤ制御部50には、ブーム回動シリンダ37、ブーム昇降シリンダ53、および複数のバルブ38,39A,39B(後方バルブ38、右方バルブ39Aおよび左方バルブ39B)が電気的に接続されている。
トラクタ制御部40は、エンジン20が起動されてからエンジン20が停止されるまでの間の所定の時間間隔(たとえば、1秒間隔)の作業情報を管理サーバ4に向けて送信する。作業情報には、作業車両位置情報(作業車両2の位置情報)、時刻情報、稼働情報、作業種別情報が含まれる。
稼働情報は、ブームスプレーヤ11の稼動状況に関する情報である。スプレーヤ制御部50は、所定の時間間隔(たとえば、1秒間隔)でブームスプレーヤ11の各部の稼働状況を検出する。稼働情報には、たとえば、ブームスプレーヤ11の薬剤散布モードがいずれのモードであるかについての情報が含まれる。
作業種別情報は、作業車両2が行った作業の種別(作業種別)に関する情報である。作業種別の例としては、植付作業、播種作業、施肥作業、収穫作業、薬剤散布作業等が挙げられる。本実施形態では、作業機としてブームスプレーヤ11が用いられるため、トラクタ10から送信される作業種別情報には、作業種別が薬剤散布作業であるという情報が含まれる。
管理サーバ4は、管理サーバ4を制御する制御部(以下では、「サーバ制御部60」という。)を含む。サーバ制御部60は、CPUおよびメモリ(揮発性メモリ、不揮発性メモリ等)61を備えたマイクロコンピュータを含む。サーバ制御部60には、無線通信部62、操作表示部63、操作部64および記憶部65が電気的に接続されている。
無線通信部62は、サーバ制御部60が作業車両2と無線通信するための通信インターフェースである。操作表示部63は、たとえば、タッチパネルディスプレイである。操作部64は、たとえば、キーボード、マウス等を含む。記憶部65は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。
記憶部65には、圃場管理テーブル66と、圃場別作業情報管理テーブル67とが記憶されている。
図6は、圃場管理テーブル66の一例である。図6に示すように、圃場管理テーブル66には、圃場IDおよび圃場位置情報が記憶されている。圃場管理情報には、圃場IDおよび圃場位置情報が含まれる。圃場IDは、圃場100毎に予め設定された番号のことである。圃場位置情報は、圃場位置情報は、圃場100の位置を特定するための位置情報である。圃場管理テーブル66に圃場管理情報が記憶されている圃場100を登録圃場という。図6では、圃場IDがそれぞれ「F1」、「F2」、「F3」である3つの登録圃場の圃場管理情報が図示されている。
図7は、圃場別作業情報管理テーブル67の一例である。図7には、圃場IDが「F1」である登録圃場についての圃場別作業情報管理テーブル67が図示されている。圃場別作業情報管理テーブル67は、圃場100毎に用意されている。各圃場別作業情報管理テーブル67には、対応する圃場100に関する作業情報が記憶されている。具体的には、圃場別作業情報管理テーブル67には、時刻情報、作業車両位置情報、稼働情報、作業種別情報等が記憶されている。
サーバ制御部60は、無線通信部62を介して、作業車両2から送信される作業情報を受信する。サーバ制御部60は、作業情報に含まれる作業車両2の位置情報を取得する位置情報取得部の一例であり、作業情報に含まれる作業車両2の稼働情報を取得する稼働情報取得部の一例でもある。サーバ制御部60は、取得した作業情報に含まれる作業種別が薬剤散布作業である場合、当該作業情報を処理対象情報としてメモリ61に保存する。
サーバ制御部60は、メモリ61に作業情報が保存されると、後述する作業情報記憶処理を実行し、その結果に基づいて、圃場別作業情報管理テーブル67に作業情報を追加する。サーバ制御部60は、圃場別作業情報管理テーブル67への作業情報の追加に関連して、散布位置抽出部70と、位置判定部71と、圃場特定部72とを含む。
散布位置抽出部70は、処理対象情報に含まれる稼働情報に基づいて、作業車両2が薬剤散布中である散布期間を特定し、処理対象情報に含まれる位置情報から散布期間中における作業車両2の位置(散布位置)を抽出する。散布期間とは、圃場100外で薬剤散布作業が実行された期間のことである。散布期間は、薬剤散布モードが両側散布モード、右側散布モードおよび左側散布モードのいずれかである稼働情報に対応する時刻情報に基づいて特定される。
位置判定部71は、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が登録圃場内に存在するか否かを判定する。
圃場特定部72は、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が登録圃場内に存在しないと位置判定部71が判定した場合には、抽出された位置に近接する登録圃場を、薬剤散布領域(畦101)に隣接する圃場100として特定する。圃場特定部72は、たとえば、抽出された作業車両2の位置から登録圃場までの距離が所定の距離(たとえば、5m)以下である登録圃場を、抽出された作業車両2の位置に近接する登録圃場として特定する。
逆に、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が登録圃場内に存在すると位置判定部71が判定した場合には、サーバ制御部60は、対応する登録圃場についての圃場別作業情報管理テーブル67に作業情報を追加する。
次に、サーバ制御部60によって実行される作業情報記憶処理について詳しく説明する。図8は、サーバ制御部60によって実行される作業情報記憶処理を説明するためのフローチャートである。
作業情報記憶処理では、まず、サーバ制御部60の散布位置抽出部70が、処理対象情報(作業情報)に含まれる稼働情報から、散布期間を特定する(ステップS1)。そして、散布位置抽出部70は、処理対象情報に含まれる位置情報から散布期間中における作業車両2の位置を抽出する(ステップS2)。
そして、サーバ制御部60の位置判定部71は、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が、圃場管理テーブル66に圃場管理情報が記憶されている圃場100内であるか否かを判定する(ステップS3)。散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置がいずれかの登録圃場内に存在すると位置判定部71が判定した場合には(ステップS3:YES)、サーバ制御部60は、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が内部に存在する登録圃場に対応する圃場別作業情報管理テーブル67に処理対象情報を追加する(ステップS4)。サーバ制御部60は、ステップS4の後、作業情報記憶処理を終了する。
ステップS3において、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置がいずれの登録圃場の内部に存在しないと位置判定部71が判定した場合には(ステップS3:NO)、サーバ制御部60の圃場特定部72は、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置に近接する登録圃場を、薬剤散布領域に隣接する登録圃場として特定する(ステップS5)。そして、サーバ制御部60は、特定された登録圃場についての圃場別作業情報管理テーブル67に処理対象情報(作業情報)を追加する(ステップS6)。
この実施形態によれば、登録圃場外を走行しながら登録圃場に隣接する畦101に対して薬剤散布を行った場合には、薬剤散布期間中の作業車両2の位置に近接する登録圃場が、薬剤散布が行われた畦101に近接する登録圃場として特定される。そのため、登録圃場外で行われる薬剤散布に関する稼働情報および位置情報を、薬剤散布が行われた畦101に近接する登録圃場に関連する情報として管理することができる。
この実施形態によれば、登録圃場外を走行しながら登録圃場に隣接する畦101に薬剤散布を行ったときの稼働情報および位置情報が、登録圃場の管理情報に関連付けて記憶部65の圃場別作業情報管理テーブル67に記憶されている。そのため、登録圃場外を走行しながら登録圃場に隣接する畦101に薬剤散布を行ったときの稼働情報および位置情報を、当該登録圃場に関連する情報として管理することができ、必要に応じて参照することができる。
この実施形態によれば、サーバ制御部60がトラクタ10を介してブームスプレーヤ11から稼働情報を取得することができる。そのため、ブームスプレーヤ11の稼動状況をトラクタ10に備えられた部材の稼動状況(たとえば、PTO軸の駆動状況)から把握する場合と比較して、ブームスプレーヤ11の稼動状況を詳細に把握することができる。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述の実施形態では、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置に近接する登録圃場が、薬剤散布領域に隣接する登録圃場として特定されている。言い換えると、いずれの側方ブーム34が作動しているかにかかわらず、作業車両2の位置情報と登録圃場の位置情報のみに基づいて、薬剤散布領域に隣接する登録圃場が特定されている。
そのため、上述の実施形態では、図4A~図4Cに示すように一対の側方ブーム34のうちの少なくともいずれかが作動している場合には、作業車両2の両側方の登録圃場についての圃場別作業情報管理テーブル67に処理対象情報(作業情報)が追加されてしまう。
したがって、圃場別作業情報管理テーブル67に作業情報が追加された後に、右方ブーム34Aおよび左方ブーム34Bのうち作動していないブーム34A,34Bの近傍の登録圃場の圃場別作業情報管理テーブル67から、対応する作業情報を削除しなければならない。
そこで、圃場特定部72は、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が登録圃場内でないと位置判定部71が判定した場合には、抽出された作業車両2の位置に近接する登録圃場のうち、散布期間中に作動した側方ブーム34の近傍に位置する登録圃場を、薬剤散布領域に近接する登録圃場として特定するように構成されていてもよい。
具体的には、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置から所定の距離(たとえば、5m)以内に位置する登録圃場のうち、トラクタ10の車幅方向において作動した側方ブーム34が設けられている側の登録圃場が、薬剤散布領域に近接する登録圃場として特定される。
このような構成のサーバ制御部60によって実行される作業情報記憶処理のフローチャートを図9に示す。
図9に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートと同様であるが、以下の点で異なる。図9に示すフローチャートでは、ステップS3において、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が登録圃場内でないと位置判定部71が判定した場合には(ステップS3:NO)、ステップS5の代わりに、以下のステップが実行される。すなわち、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置が登録圃場内でないと位置判定部71が判定した場合には(ステップS3:NO)、サーバ制御部60の圃場特定部72は、散布期間に作動した側方ブーム34を特定し(ステップS10)、抽出された作業車両2の位置に近接する登録圃場のうち、散布期間中に作動した側方ブーム34の近傍に位置する登録圃場を、薬剤散布領域に近接する登録圃場として特定する(ステップS11)。
ステップS11の後、サーバ制御部60は、特定された登録圃場に対応する圃場別作業情報管理テーブル67に処理対象情報(作業情報)を追加する(ステップS6)。
この構成であれば、散布位置抽出部70によって抽出された位置に近接する登録圃場のうち、散布期間中に作動した側方ブーム34の近傍に位置する登録圃場が、薬剤散布領域である畦101に近接する登録圃場として特定される。
そのため、散布期間中に一対の側方ブーム34の両方が作動していた場合には、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置に近接する登録圃場のうち、右方ブーム34Aの近傍に位置する登録圃場、および、左方ブーム34Bの近傍に位置する登録圃場の両方が、薬剤散布領域に近接する登録圃場として特定される。
一方、散布期間中に一対の側方ブーム34のうちの一方しか作動していない場合には、散布位置抽出部70によって抽出された作業車両2の位置に近接する登録圃場のうち、作動している側方ブーム34の近傍に位置する登録圃場は薬剤散布領域に近接する登録圃場として特定されるが、作動していない側方ブーム34の近傍に位置する登録圃場は、薬剤散布領域に近接する登録圃場として特定されない。
したがって、登録圃場外で行われる薬剤散布に関する稼働情報および位置情報をより正確に管理することができる。
また、上述の実施形態では、サーバ制御部60は、ブームスプレーヤ11から提供されるブームスプレーヤ11の薬剤散布モードについての情報を取得することでブームスプレーヤ11の稼動状況を把握している。しかしながら、サーバ制御部60は、トラクタ10から取得されるPTO軸の駆動状況によって、ブームスプレーヤ11からの薬剤散布の状況を取得してもよい。この場合、PTO軸の駆動状況がブームスプレーヤ11の稼働情報である。そのため、サーバ制御部60は、作動しているブーム33,34A,34Bを区別することができない。
したがって、図4Bおよび図4Cに示すように、右方ブーム34Aおよび左方ブーム34Bのうちのいずれかのみが作動している場合であっても、両方の登録圃場についての圃場別作業情報管理テーブル67に、作業情報が追加されてしまう。この場合、右方ブーム34Aおよび左方ブーム34Bのうち作動していないブーム34A,34Bの近傍の登録圃場の圃場別作業情報管理テーブル67から、対応する作業情報を削除すればよい。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
1 :作業情報管理システム
2 :作業車両
4 :管理サーバ(作業情報管理装置)
10 :トラクタ(走行機)
11 :ブームスプレーヤ(作業機)
34 :側方ブーム
60 :サーバ制御部(位置情報取得部、稼働情報取得部)
65 :記憶部
70 :散布位置抽出部
71 :位置判定部
72 :圃場特定部
100 :圃場
101 :畦 (薬剤散布領域)

Claims (5)

  1. 薬剤散布を行いながら走行可能な作業車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
    薬剤散布についての前記作業車両の稼働情報を取得する稼働情報取得部と、
    前記稼働情報取得部によって取得される稼働情報に基づいて、前記作業車両が薬剤散布中である散布期間を特定し、前記位置情報取得部によって取得される位置情報から、前記散布期間中における前記作業車両の位置を抽出する散布位置抽出部と、
    前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内であるか否かを判定する位置判定部と、
    前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内でないと前記位置判定部が判定した場合には、前記抽出された前記作業車両の位置に近接する圃場を、前記作業車両によって薬剤が散布された薬剤散布領域に隣接する圃場として特定する圃場特定部とを含む、作業情報管理装置。
  2. 前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内でないと前記位置判定部が判定した場合には、前記圃場特定部によって特定された圃場の管理情報に関連付けて、前記稼働情報取得部によって取得された前記稼働情報と前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報とを記憶する記憶部をさらに含む、請求項1に記載の作業情報管理装置。
  3. 前記作業車両が、走行機と、前記走行機に装着される作業機とを含み、
    前記作業機が、前記走行機の進行方向に対する左右両側にそれぞれ設けられ、薬剤を散布する一対の側方ブームを有するブームスプレーヤであり、
    前記圃場特定部は、前記抽出された前記作業車両の位置が前記圃場内でないと前記位置判定部が判定した場合には、前記抽出された位置に近接する圃場のうち、前記散布期間中に作動した前記側方ブームの近傍に位置する圃場を、前記薬剤散布領域に近接する圃場として特定する、請求項1または2に記載の作業情報管理装置。
  4. 前記稼働情報が、前記走行機と前記作業機とを電気的に接続する通信路を介して、前記作業機から前記走行機に提供され、
    前記稼働情報取得部が、前記走行機から前記稼働情報を取得する、請求項3に記載の作業情報管理装置。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の作業情報管理装置と、前記作業車両とを含む、作業情報管理システム。
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