A1.第1実施形態
図1に示す自動運転バス10は、走行に関する制御の全てが運転手の判断によらずに自動的に実行可能なバスである。自動運転としては、例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)において規定されているレベル0~5までの運転レベルのうち、レベル4~5の運転が該当する。自動運転バス10は、通信装置20と、自動運転装置30と、制御装置60とを備える。他の形態では、制御装置60は、自動運転バス10の運行を管理し、自動運転バス10と通信可能な管理センターに設けられていてもよい。
通信装置20は、停留所12に設置されたカメラ装置13や、ユーザの携帯端末100と無線通信可能に構成されている。
携帯端末100は、いずれも図示しないCPUと、メモリと、通信装置と、現在位置の推定が可能な位置推定装置とを備える。携帯端末100のCPUは、メモリに記憶されたプログラムを展開して実行することで、図示しない端末制御部として機能する。携帯端末100の端末制御部は、自動運転バス10に乗車することを希望する信号である乗車希望信号を、タッチパネル等を介してユーザから受付可能に構成されている。端末制御部は、乗車希望信号を受け付けた場合には、当該乗車希望信号と、位置推定装置による推定された現在位置とを含む乗車情報を、制御装置60へ繰り返し送信する。乗車情報には、乗車情報の発信元であるユーザを識別する識別子が含まれる。
自動運転装置30は、制御装置60の決定した事項に基づき、自動運転バス10を停留所12で停車させ、あるいは停留所12を通過させる。また、自動運転装置30は、停留所12に停車させた自動運転バス10を、制御装置60の決定した発車時刻に基づいて発車させる。
制御装置60は、いずれも図示しないCPUとメモリとインターフェースとを備えるECUとして構成されている。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを展開して実行することにより、乗車情報受付部64、第1時刻推定部61、第2時刻推定部62、第3時刻取得部63、制御部71として機能する。
乗車情報受付部64は、自動運転バス10に乗車することを希望するユーザの乗車希望信号と、乗車希望信号の発信位置とを含む乗車情報を、通信装置20を介して受け付ける。乗車情報受付部64は、携帯端末100からの乗車情報を受け付けることに加え、停留所12に自動運転バス10を待つユーザが存在する場合に、乗車情報を受け付けるように構成されている。本実施形態では、乗車情報受付部64は、停留所12に備えられたカメラ装置13の撮像画像を取得して解析することで、停留所12に自動運転バス10を待つユーザが存在するか否かを判断可能に構成されている。乗車情報受付部64は、停留所12に自動運転バス10を待つユーザが存在すると判断した場合には、乗車希望信号と、当該乗車希望信号の発信位置として停留所12の位置とを取得し、乗車情報として受け付ける。
第1時刻推定部61は、乗車情報を用いて、ユーザの停留所12への予想到着時刻である第1時刻T1を推定する。第1時刻推定部61は、例えば、乗車希望信号の発信位置と、予めメモリに記憶された停留所12の位置と、ユーザの移動速度とから、第1時刻T1を推定する。ユーザの移動速度は、例えば、乗車希望信号に含まれる発信位置の変化から算出することができる。ユーザの移動速度は、携帯端末100においてユーザにより選択されてもよい。
第2時刻推定部62は、少なくとも自動運転バス10の走行する道路の走行状況を用いて、自動運転バス10の停留所12への予想到着時刻である第2時刻T2を推定する。走行状況は、自動運転バス10の走行する道路の渋滞情報や工事情報、車線規制情報を含む。第2時刻推定部62は、例えば、自動運転バス10の運行を管理する管理センターから、走行状況を取得することができる。
第3時刻取得部63は、自動運転バス10の時刻表を用いて、自動運転バス10の停留所12における予定発車時刻である第3時刻T3を取得する。時刻表は、自動運転バス10の停留所12における発車時刻が規定された時刻情報である。時刻表は、制御装置60のメモリに予め記憶されていてもよく、第3時刻取得部63はメモリに記憶された時刻表から第3時刻T3を取得してもよい。又は、第3時刻取得部63は、自動運転バス10の運行を管理する管理センターから、第3時刻T3を取得してもよい。
制御部71は、第1時刻T1と第2時刻T2と第3時刻T3とを用いて、自動運転バス10を停留所12において停車させるか通過させるかを決定する。制御部71は、自動運転バス10を停留所12において停車させる場合には、停留所12からの発車時刻を決定する。制御部71は、決定した事項に基づいて、自動運転装置30に自動運転バス10の運転を実行させる。自動運転装置30は、停留所12における自動運転バス10の停車が決定された場合には、当該決定を受けて、自動運転バス10が停留所12に到達した場合に、自動運転バス10を停車させる。
図2及び図3を用いて、制御装置60により実行される、自動運転バス10の停留所12における停車又は通過と、発車時刻とを決定する処理について説明する。この処理は、自動運転バス10の運行中に実行される。
まず、ステップS10では、第2時刻推定部62は、自動運転バス10の走行する道路の走行状況を用いて、停留所12への予想到着時刻である第2時刻T2を推定する。
ステップS20では、第3時刻取得部63は、時刻表を用いて、停留所12からの予定発車時刻である第3時刻T3を取得する。ステップS10とステップS20とは同時に実行されてもよいし、処理の順序が入れ替えられてもよい。
ステップS30では、制御部71は、乗車情報受付部64により乗車情報が受け付けられたか否かを判断する。乗車情報が受け付けられていない場合とは、乗車情報受付部64が、携帯端末100から停留所12における乗車希望信号を受信しておらず、かつ、カメラ装置13の撮像画像の解析結果から停留所12にユーザが待機していないと判断した場合である。
乗車情報が受け付けられていない場合(ステップS30、NO)、制御部71は、ステップS32において、第2時刻T2が第3時刻T3以前か否かを判断する。ステップS32が肯定判定される場合とは、停留所12において乗車を希望するユーザが存在せず(ステップS30、NO)、かつ、自動運転バス10が時刻表に対して遅れていない場合である。
第2時刻T2が第3時刻T3以前の場合には(ステップS32、YES)、制御部71は、ステップS34において、停留所12における自動運転バス10の停車を決定する。また、制御部71は、処理をステップS80に進め、自動運転バス10が停留所12を発車する発車時刻を、第3時刻T3に決定する。この場合には、自動運転バス10は、停留所12に停車した後、時刻表通りに停留所12を発車することとなる。他の形態では、ステップS32において、第2時刻T2と第3時刻T3とが同じ時刻である場合や、第2時刻T2と第3時刻T3の差が予め定められた時間、例えば数秒以内である場合には、制御部71は、ステップS34において、停留所12における通過を決定してもよい。
次に、乗車情報受付部64により停留所12における乗車情報が受け付けられている場合について説明する。乗車情報が受け付けられている場合には(ステップS30、YES)、第1時刻推定部61は、乗車希望信号の発信位置と、制御装置60のメモリに予め記憶された停留所12の位置と、ユーザの移動速度とから、第1時刻T1を推定する。本実施形態において、第1時刻推定部61は、乗車情報の発信元ごとに、第1時刻T1を推定する。なお、停留所12にユーザが待機している場合には、当該ユーザに対する第1時刻T1は、現在時刻である。
第1時刻T1を推定すると、制御部71は、ステップS50において、第2時刻T2が第3時刻T3以前か否かを判断する。
ステップS50が肯定判定される場合、つまり、停留所12において乗車を希望するユーザが存在し(ステップS30、YES)、かつ、自動運転バス10が時刻表に対して遅れていない場合の処理について説明する。第2時刻T2が第3時刻T3以前の場合には(ステップS50、YES)、制御部71は、ステップS55において、停留所12における自動運転バス10の停車を決定し、処理をステップS60に進める。
ステップS60において、制御部71は、第1時刻T1が第3時刻T3以前か否かを判断する。第1時刻T1が第3時刻T3以前の場合とは(ステップS60、YES)、自動運転バス10に乗車を希望するユーザが、時刻表に規定された自動運転バス10の予定発車時刻(第3時刻T3)以前に、停留所12に到着する場合である。なお、制御部71は、ステップS30において複数の乗車情報が受け付けられている場合には、各乗車情報に対応する第1時刻T1が、全て第3時刻T3以前である場合に、処理をステップS80に進めてもよい。更に、制御部71は、1つ以上の乗車情報に対応する第1時刻T1が第3時刻T3よりも遅い場合には、処理をステップS70に進めてもよい。
ステップS80では、制御部71は、自動運転バス10が停留所12を発車する発車時刻を、第3時刻T3に決定する。この場合には、自動運転バス10は、時刻表通りに停留所12を発車することとなる。
ステップS60において、第1時刻T1が第3時刻T3よりも遅い場合について説明する。第1時刻T1が第3時刻T3よりも遅い場合とは(ステップS60、NO)、停留所12において自動運転バス10に乗車を希望するユーザが、時刻表に規定された自動運転バス10の予定発車時刻(第3時刻T3)よりも後に、停留所12に到着する場合である。この場合には、制御部71は、ステップS70において、第1時刻T1と第3時刻T3の差が第1余裕時間ST1以下であるか否かを判断する。第1余裕時間ST1は、自動運転バス10の時刻表に対する遅延の許容限度を用いて設定される時間である。第1余裕時間ST1は、停留所12からの発車時刻が第3時刻T3から遅延する程度を少なくしつつ、停留所12において自動運転バス10に乗車することを希望するユーザを自動運転バス10に乗車させるための時間として、制御部71により設定される。本実施形態では、第1余裕時間ST1は、制御装置60のメモリに予め記憶されている。第1余裕時間ST1は、例えば、10秒から60秒のうちのいずれかの時間であってもよい。
なお、乗車情報が複数受け付けられている場合には、制御部71は、ステップS70において、第1時刻T1ごとに第3時刻T3との差を算出して、当該差が第1余裕時間ST1以下であるか否かを判断してもよい。制御部71は、算出した複数の差のうち、1つ以上の差が第1余裕時間ST1以下である場合には、処理をステップS80に進めてもよい。
第1時刻T1と第3時刻T3の差が第1余裕時間ST1以下の場合には(ステップS70、YES)、制御部71は、ステップS90において、発車時刻を第1時刻T1に基づく時刻に決定する。本実施形態では、制御部71は、第1時刻T1に追加時間αを足した時刻T1+αを発車時刻として決定する。時間αは、当該ユーザが停留所12に到着後、自動運転バス10に乗車するために要する予測時間であり、制御装置60のメモリに予め記憶されている。時間αは、例えば5秒以下の時間である。なお、制御部71は、複数の乗車情報が受け付けられており、ステップS70が肯定判定される第1時刻T1が複数存在する場合には、第3時刻T3との差が最も大きい第1時刻T1に追加時間αを足した時刻T1+αを、発車時刻として決定してもよい。
第1時刻T1と第3時刻T3の差が第1余裕時間ST1よりも大きい場合には(ステップS70、NO)、制御部71は、ステップS80において、発車時刻を第3時刻T3に決定する。この場合には、自動運転バス10は、時刻表通りに停留所12を発車し、第1時刻T1と第3時刻T3の差が第1余裕時間ST1よりも大きくなる乗車情報の発信元であるユーザは、停留所12において自動運転バス10に乗車できない。
図4及び図5を用いて、自動運転バス10の停留所12への予想到着時刻(第2時刻T2)が時刻表に規定された予定発車時刻(第3時刻T3)以前であり、かつ、ユーザの予想到着時刻(第1時刻T1)が第3時刻T3よりも遅い場合の処理について説明する。図4には、横軸を時刻とし、第2時刻T2が第3時刻T3以前であり(ステップS50、YES)、第1時刻T1が第3時刻T3よりも遅く(ステップS60、NO)、第1時刻T1と第3時刻T3の差が第1余裕時間ST1以下の場合における(ステップS70、YES)、ステップS90で決定される発車時刻の例が示されている。図4に示す例では、自動運転バス10の停留所12における発車時刻は、第1時刻T1に追加時間αを足した時刻に決定される。言い換えると、発車時刻は、第1時刻T1と第3時刻T3との差分(T1-T3)に追加時間αを足した時間だけ延長される。図4に示す例では、乗車情報の発信元であるユーザは、停留所12において自動運転バス10に乗車することができる。また、自動運転バス10の発車時刻は、時刻表における発車時刻である第3時刻T3よりは遅延するが、その遅延は第1時刻T1に追加時間αを足した時刻の範囲内となる。
図5には、第2時刻T2が第3時刻T3以前であり(ステップS50、YES)、第1時刻T1が第3時刻T3よりも遅く(ステップS60、NO)、第1時刻T1と第3時刻T3の差が第1余裕時間ST1よりも大きい場合(ステップS70、NO)における、ステップS80で決定される発車時刻が示されている。図5に示す例では、自動運転バス10の停留所12における発車時刻は、時刻表における予定発車時刻である第3時刻T3である。図5に示す例では、乗車情報の発信元であるユーザが停留所12に到着するまで発車時刻を延長すると、自動運転バス10の時刻表に対する遅延が大きくなるため、制御部71は、自動運転バス10の時刻表通りの発車を決定する。
図2及び図3に戻り、ステップS50が否定判定される場合、つまり、停留所12において乗車を希望するユーザが存在し(ステップS30、YES)、かつ、自動運転バス10が時刻表に対して遅れている場合の処理について説明する。第2時刻T2が第3時刻T3よりも遅い場合には(ステップS50、NO)、制御部71は、処理をステップS100(図3参照)に進め、第1時刻T1が第2時刻T2以前か否かを判断する。
第1時刻T1が第2時刻T2以前の場合には(ステップS100、YES)、制御部71は、ステップS105において、停留所12における自動運転バス10の停車を決定し、処理をステップS110に進める。また、制御部71は、ステップS110において、自動運転バス10が停留所12を発車する発車時刻を、第2時刻T2に決定する。
なお、複数の乗車情報が受け付けられている場合には、制御部71は、ステップS100において、各乗車情報に対応する第1時刻T1が、全て第2時刻T2以前である場合に、処理をステップS105に進めてもよい。更に、制御部71は、1つ以上の乗車情報に対応する第1時刻T1が第2時刻T2よりも遅い場合には、処理をステップS120に進めてもよい。
第1時刻T1が第2時刻T2よりも遅い場合には(ステップS100、NO)、制御部71は、ステップS120において、第1時刻T1と第2時刻T2の差が第2余裕時間ST2以下であるか否かを判断する。第2余裕時間ST2は、自動運転バス10の時刻表に対する遅延の許容限度を用いて設定される時間である。第2余裕時間ST2は、停留所12からの発車時刻が第3時刻T3から遅延している状態において、遅延の程度を少なくしつつ、停留所12において自動運転バス10に乗車することを希望するユーザを自動運転バス10に乗車させるための時間として、制御部71により設定される。本実施形態では、第2余裕時間ST2は、制御装置60のメモリに予め記憶されている。
第1時刻T1と第2時刻T2の差が第2余裕時間ST2以下である場合には(ステップS120、YES)、制御部71は、ステップS125において、停留所12における自動運転バス10の停車を決定し、処理をステップS130に進める。
なお、複数の乗車情報が受け付けられている場合には、制御部71は、ステップS120において、各乗車情報に対応する第1時刻T1ごとに第2時刻T2との差を算出して、当該差が第2余裕時間ST2以下であるか否かを判断してもよい。制御部71は、算出した複数の差のうち、少なくとも1つの差が第2余裕時間ST2以下である場合には、処理をステップS125に進めてもよい。
ステップ130では、制御部71は、発車時刻を第1時刻T1に基づく時刻に決定する。具体的には、制御部71は、第1時刻T1に追加時間βを足した時刻T1+βを発車時刻として決定する。時間βは、当該ユーザが停留所12に到着後、自動運転バス10に乗車するために要する予測時間であり、制御装置60のメモリに予め記憶されている。時間βは、時間αと略等しくてもよいし、時間αよりも短くてもよい。制御部71は、第1時刻T1と第2時刻T2の差が第2余裕時間ST2以下である第1時刻T1が複数存在する場合には、差が最も大きい第1時刻T1に追加時間βを足した時刻T1+βを発車時刻として決定してもよい。
第1時刻T1と第2時刻T2の差が第2余裕時間ST2よりも大きい場合には(ステップS120、NO)、制御部71は、処理をステップS140に進め、自動運転バス10の停留所12の通過を決定する。この場合には、乗車情報の発信元であるユーザは、停留所12において自動運転バス10に乗車することができないものの、自動運転バス10の時刻表に対する更なる遅れは抑制される。
図6及び図7を用いて、自動運転バス10の停留所12への予想到着時刻(第2時刻T2)が時刻表に規定された予定発車時刻(第3時刻T3)よりも遅く、かつ、ユーザの予想到着時刻(第1時刻T1)が第2時刻T2よりも遅い場合の処理について説明する。図6には、第2時刻T2が第3時刻T3よりも遅く(ステップS50、NO)、第1時刻T1が第2時刻T2よりも遅く(ステップS100、NO)、第1時刻T1と第2時刻T2の差が第2余裕時間ST2以下の場合(ステップS120、YES)における、ステップS125で決定される発車時刻の例が示されている。図6に示す例では、自動運転バス10の停留所12における発車時刻は、第1時刻T1に追加時間βを足した時刻に決定される。言い換えると、発車時刻は、第1時刻T1と第2時刻T2との差分(T1-T2)に追加時間βを足した時間だけ延長される。図6に示す例では、乗車情報の発信元であるユーザは、停留所12において自動運転バス10に乗車することができる。また、自動運転バス10の発車時刻は、予想到着時刻である第2時刻T2よりは遅延するが、その遅延は第1時刻T1に追加時間βを足した時刻の範囲内となる。
図7には、第2時刻T2が第3時刻T3よりも遅く(ステップS50、NO)、第1時刻T1が第2時刻T2よりも遅く(ステップS100、NO)、第1時刻T1と第2時刻T2の差が第2余裕時間ST2よりも大きい場合(ステップS120、NO)の例が示されている。図7に示す例では、自動運転バス10は、停留所12を第2時刻T2において通過すると予想される。図7に示す例では、乗車情報の発信元であるユーザが停留所12に到着するまで発車時刻を延長すると、自動運転バス10の時刻表に対する遅延がより大きくなるため、制御部71は、自動運転バス10を停車させない。
この形態の制御装置60によれば、制御部71は、第2時刻T2が第3時刻T3以前の場合には(S50、YES)、停留所12における停車を決定し、更に、第1時刻T1が第3時刻T3以前の場合には(S60、YES)、発車時刻を第3時刻に決定する(S80)。また、第1時刻T1が第3時刻T3よりも遅く(S60、NO)、第1時刻T1と第3時刻T3との差が自動運転バス10の時刻表に対する遅延の許容限度を用いて設定される第1余裕時間ST1以下の場合には(S70、YES)、発車時刻を第1時刻T1に基づく時刻(第1時刻T1+α)に決定し(S90)、第1時刻T1が第3時刻T3よりも遅く(S60、NO)、第1時刻T1と第3時刻T3との差が第1余裕時間ST1よりも大きい場合には(S70、NO)、発車時刻を第3時刻T3に決定する(S80)。そのため、自動運転バス10が時刻表に規定される第3時刻T3以前に停留所12へ到着する場合において、第3時刻T3から第1余裕時間の範囲内で遅れて停留所12に到着するユーザを自動運転バス10に乗車させてユーザの便宜を図りつつ、自動運転バス10の運行が時刻表から遅れることを抑制することができる。
また、この形態の制御装置60によれば、制御部71は、第2時刻T2が第3時刻T3よりも遅い場合であって(S50、NO)、更に、第1時刻T1が第2時刻以前の場合(S100、YES)、停留所12における停車を決定し(S105)、かつ、発車時刻を第2時刻T2に決定し(S110)、第1時刻T1が第2時刻T2よりも遅く(S100、NO)、かつ、第1時刻T1と第2時刻T2との差が自動運転バス10の時刻表に対する遅延の許容限度を用いて設定される第2余裕時間ST2よりも大きい場合には(S120、NO)、停留所12の通過を決定し(S140)、第1時刻T1が第2時刻T2よりも遅く(S100、NO)、かつ、第1時刻T1と第2時刻T2との差が第2余裕時間以下の場合には(S120、YES)、停留所12における停車を決定し(S125)、発車時刻を第1時刻T1に基づく時刻(T1+β)に決定する。そのため、自動運転バス10が時刻表に規定される第3時刻T3よりも遅れて停留所12へ到着する場合において、停留所への到着時刻である第2時刻T2から第2余裕時間ST2の範囲内で遅れて停留所12に到着するユーザを自動運転バス10に乗車させてユーザの便宜を図りつつ、自動運転バス10の運行が時刻表から遅れることを抑制することができる。
A2.第1実施形態の変形例
A2-1.第1実施形態の変形例1
上記形態において、制御部71は、第2余裕時間ST2を第1余裕時間ST1よりも短い時間に設定してもよい。この形態によれば、自動運転バス10が時刻表に規定される第3時刻T3よりも遅れて停留所12へ到着する場合において、自動運転バス10が時刻表から遅延することをより抑制することができる。
A2-2.第1実施形態の変形例2
上記形態において、制御部71は、乗車情報が受け付けられており、第2時刻T2が第3時刻T3よりも遅い場合には(ステップS50、NO)、第2時刻T2が第3時刻T3よりも遅くなるほど、第2余裕時間ST2を短い時間に設定してもよい。この形態によれば、時刻表に対する遅れをよりいっそう抑制することができる。
A2-3.第1実施形態の変形例3
上記形態において、第2時刻推定部62は、自動運転バス10が次に停車する停留所12における第2時刻T2に加え、今後停車する停留所12における第2時刻T2を推定し、第3時刻取得部63は、自動運転バス10が次に停車する停留所12における第3時刻T3に加え、今後停車する停留所12における第3時刻T3を取得してもよい。制御部71は、停留所12ごとに第2時刻T2が第3時刻以前か否か、及び、第2時刻T2と第3時刻T3との差を算出してもよく、当該差が今後停車する停留所12において次第に大きくなると予測されるほど、第1余裕時間ST1、第2余裕時間ST2をより短い時間に設定してもよい。この形態によれば、時刻表に対する遅れをいっそう抑制することができる。また、この場合において、第2時刻推定部62は、過去の渋滞情報を管理サーバーから取得して、当該過去の渋滞情報を用いて、今後停車する停留所12における第2時刻T2を推定してもよい。
A2-4.第1実施形態の変形例4
図8に示すように、第1実施形態の変形例4における制御装置60aは、制御部71に代えて制御部71aを備える点と、通知部72を備える点とにおいて、第1実施形態の制御装置60と異なり、他の構成は図1と同じである。
図9及び図10に示す本変形例における制御装置60aにより実行される、自動運転バス10aの停留所12における停車又は通過と、発車時刻とを決定する処理は、上記実施形態の図2及び図3に対応している。本変形例では、ステップS40とステップS50の間にステップS45を備える点と、ステップS70とステップS80の間にステップS72を備える点と、ステップS120とステップS140の間にステップS132を備える点が図2及び図3と異なる。
図9に示すステップS45では、制御部71aは、第2時刻T2の第3時刻に対する今後の遅れを予測し、当該予測に基づいて、第1余裕時間ST1と第2余裕時間ST2を算出して設定する。制御部71aは、上記の今後の遅れを、例えば、走行予定の道路の渋滞状況や、停車予定の停留所12における乗車情報の数や、過去の遅れの統計情報を用いて予測可能である。制御部71aは、自動運転バス10の時刻表に対する遅れが少なくなるように、第1余裕時間ST1及び第2余裕時間ST2を設定する。
ステップS70では、制御部71aは、第1時刻T1と第3時刻T3の差が第1余裕時間ST1よりも大きい場合(ステップS70、NO)、処理をステップS72に進める。ステップS72では、通知部72は、乗車情報の発信元であるユーザに対し、停留所12での自動運転バス10aへの乗車ができないことを通知する。
図10に示すステップS120では、制御部71aは、第1時刻T1と第2時刻T2の差が第2余裕時間ST2よりも大きい場合(ステップS120、NO)、処理をステップS132に進める。ステップS132では、通知部72は、ステップS72と同様に、乗車情報の発信元であるユーザに対し、停留所12での自動運転バス10aへの乗車ができないことを通知する。本実施形態では、通知部72は、ステップS72及びステップS132において、通信装置20を介して携帯端末100に乗車不可を示す通知を送信する。携帯端末100の端末制御部は、当該通知を受け取ると携帯端末100のディスプレイに当該通知を表示するように構成されており、ユーザは、当該通知により停留所12において自動運転バス10aに乗車できないことを知ることができる。そのため、ユーザは、停留所12において自動運転バス10aに乗車できないことを事前に知ることができるので、例えば、ユーザが、自動運転バス10aの発車に間に合うかもしれないという思いから停留所12に向けて急いで移動したにもかかわらず、自動運転バス10aに乗車できないという事態が発生することを抑制することができる。したがって、自動運転バス10aを利用するユーザの便宜を図ることができる。
B1.第2実施形態
以下では、上述の実施形態と同様の構成には同じ符号を用い、説明を省略する。図11及び図12に示す自動運転バス10bは、上述の実施形態と同様に、走行に関する制御の全てが運転手の判断によらずに自動的に実行可能なバスである。自動運転としては、例えば、SAEにおいて規定されているレベル0~5までの運転レベルのうち、レベル4~5の運転が該当する。自動運転バス10bは、自動運転装置30と、ドア開閉装置31と、降車ボタン23と、読み取り装置24と、報知装置25と、制御装置60bとを備える。他の形態では、制御装置60bは、自動運転バス10bの運行を管理し、自動運転バス10bと通信可能な管理センターに設けられていてもよい。自動運転装置30は、図示しない運転制御装置の制御により、自動運転バス10bの運転全般を行う。ドア開閉装置31は制御装置60bの制御により、自動運転バス10bの前方ドア21、後方ドア22を開閉する。以降、前方ドア21と後方ドア22をまとめて「ドア21、22」とも呼ぶ。本実施形態における自動運転バスは、後方ドア22から乗車し、前方ドア21から降車するタイプのバスである。
図12は、自動運転バス10bが停留所12で停車している車内の様子を、上方から見た図である。図12には、自動運転バス10bにおけるドア21、22、降車ボタン23、読み取り装置24の位置が示されている。図12においてハッチが付された丸は、ユーザuを示している。これらの位置や大きさは一例である。
例えば、特開平10-278788号公報には、車両に設けられたドア並びにドア周辺を撮像し、撮像結果からユーザの有無及び移動方向を認識し、ドアへ向かうユーザがいる場合には、ドア閉めを一時保留する、ドア開閉制御装置が記載されている。しかし、特開平10-278788号公報記載の技術では、図12に示すように車内が混雑しており、降車を希望するユーザ(降車希望ユーザ)が現在の位置から動きづらい場合には、降車希望ユーザが、例えばドア21に向かって移動していることを認識できず、ドア21が閉められてしまうおそれがある。本実施形態のように、車両が自動運転バス10bである場合には、運転手や車掌が乗車していない可能性があり、運転手や車掌がユーザuの動きや声から降車意思を確認し、ユーザが降車してからドアを閉めることができない。そこで、本実施形態の制御装置60bは、図12に示すように自動運転バス10bが混雑していても、降車希望ユーザuを自動運転バス10bから降車させ、その後にドア21、22を閉めることを可能とする、ドア開閉制御を実行する。制御装置60bの各部の機能及びドア開閉制御については、詳細を後述する。
本実施形態の自動運転バス10bの説明に戻る。降車ボタン23は、自動運転バス10bのシートSに座るユーザuや、シートS以外の箇所、例えば、通路やドア21、22付近のユーザuが押すことが可能な車内の箇所に、複数設けられている。本実施形態では、図13の左図に示すように、降車ボタン23は、自動運転バス10bの走行中に、次の停留所12で自動運転バス10bを停車させることを受け付けるための表示がされたボタンとして機能する。また、図13の右図に示すように、降車ボタン23は、停留所12で自動運転バス10bが停車してドア21、22が開かれた場合に、降車意思を受け付けるための表示がされたボタンとして機能する。このように、降車意思を受付可能な降車ボタン23を「降車意思受付装置」とも呼ぶ。
読み取り装置24は、例えば、乗車したユーザuの携帯端末100やカードを読み取り、また、自動運転バス10bから降車するユーザuの携帯端末100やカードを読み取ることで、ユーザuの乗車区間を特定して、ユーザuに対し自動運転バス10bの利用料金を精算するための装置である。読み取り装置24の読み取った情報は、図示しない精算装置に送信されて、公知の方法により、当該利用料金の精算が行われる。
報知装置25は、後述する報知部66の制御により、自動運転バス10bに乗車するユーザuに向けて種々の情報を報知する。報知装置25は、例えば、自動運転バス10bの車内に設けられたスピーカーである。報知装置25は、自動運転バス10bの車内に設けられた、文字や図形を表示可能な液晶パネル等であってもよい。
制御装置60bは、いずれも図示しないCPUとメモリとインターフェースとを備えるECUとして構成されている。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを展開して実行することにより、降車意思受付部65、報知部66、開閉制御部67、リセット部68として機能する。本実施形態において、制御装置60bは、時間計測用の第1タイマ73と第2タイマ74とを備える。第1タイマ73は、例えば、自動運転バス10bが停留所12に到着し、ドア21、22が開かれてからの時間をカウントアップしたり、降車意思が受け付けられてからの時間をカウントアップしたりするために用いられる。ドア21、22が開かれてからの経過時間や、降車意思が受け付けられてからの経過時間を第1経過時間Fetとも呼ぶ。第2タイマ74は、発車情報が報知された後の経過時間である第2経過時間Setを計測するために用いられる。
降車意思受付部65は、自動運転バス10bが停留所12に到着して走行を停止し、かつ、ドア21、22が開かれている間における、自動運転バス10bに乗車しているユーザuの降車意思を、降車ボタン23を介して受け付ける。
報知部66は、予め定められた条件のうち少なくとも1つが成立した場合に、報知装置25に発車情報を報知させる。発車情報は、自動運転バス10bが間もなく発車することを含む情報である。本実施形態において、予め定められた条件は、第1経過時間Fetが、予め定められた第1時間t1に達したことである。報知部66は、第1タイマ73から第1経過時間Fetを取得可能である。第1時間t1は、自動運転バス10bが停留所12に停車した後、降車希望ユーザuがドア21まで移動するための平均的な所要時間に基づいて定められた時間であり、制御装置60bのメモリに予め記憶されている。
リセット部68は、第1経過時間Fetが第1時間t1に達するまでの間と、発車情報が報知された後であってドア21、22が閉められるまでの間との少なくとも一方の間において降車意思受付部65により降車意思が受け付けられた場合に、第1経過時間Fetをリセットする。
開閉制御部67は、ドア開閉装置31を制御して、自動運転バス10bが停留所12に到着して走行を停止した後にドア21、22を開き、発車情報が報知された後にドア21、22を閉める。本実施形態では、開閉制御部67は、発車情報が報知されてからの経過時間である第2経過時間Setが第2時間t2に達した場合に、ドア開閉装置31を制御してドア21、22を閉める。第2時間t2は、降車を希望するユーザuがドア21まで移動するための平均的な所要時間に基づいて予め定められた時間であり、制御装置60bのメモリに予め記憶されている。本実施形態では、第2時間t2は、第1時間t1よりも短い時間である。
図14を用いて、制御装置60bにより実行される、自動運転バス10bの停留所12におけるドア開閉制御処理について説明する。この処理は、自動運転バス10bが停留所12に停車した場合に開始される。
自動運転バス10bが停留所12に停車すると、ステップS210において、開閉制御部67はドア開閉装置31を制御してドア21、22を開く。
ステップS212では、リセット部68は、第1経過時間Fetを計測するための第1タイマ73をリセットする。第1タイマ73がリセットされると、ステップS214では、第1タイマ73のカウントアップが開始されて第1経過時間Fetのカウントアップが開始される。
リセット部68は、ステップS216において、降車意思受付部65において降車意思が受け付けられたか否かを判定する。降車意思が受け付けられた場合には(ステップS216、YES)、リセット部68は処理をステップS212に戻し、第1経過時間Fetをリセットする。なお、本実施形態において、リセット部68は、降車意思受付部65により降車意思が受け付けられる度に、処理をステップS212に戻す。
降車意思が受け付けられていない場合には(ステップS216、NO)、報知部66は、ステップS218において第1タイマ73の計測時間(第1経過時間Fet)が、第1時間t1に達したか否かを判定する。第1経過時間Fetが第1時間t1に達した場合には(ステップS218、YES)、ステップS230において、報知部66は、報知装置25に、自動運転バス10bが間もなく発車すること、及び、発車を延長したいユーザuは降車意思を示すように促すことを含む情報を、車内情報として車内に報知させる。例えば、報知部66は、報知装置25に、「間もなく発車します。発車を延長したい方は、お近くの降車ボタン23を押して下さい。」という車内アナウンスをさせる。
続いて、ステップS232では、リセット部68は、発車情報が報知された後の経過時間である第2経過時間Setを計測するための第2タイマ74をリセットする。第2タイマ74がリセットされると、ステップS234では、第2タイマ74のカウントアップが開始されて第2経過時間Setのカウントアップが開始される。
リセット部68は、ステップS236において、ステップS216と同様に、降車意思受付部65により降車意思が受け付けられているか否かを判定する。降車意思が受け付けられている場合には(ステップS236、YES)、リセット部68は、処理をステップS212に戻す。
ステップS236において降車意思が受け付けられていない場合には(ステップS236、NO)、開閉制御部67は、ステップS238において、第2経過時間Setが第2時間t2に達した否かを判定する。第2経過時間Setが第2時間t2に達していない場合には(ステップS238、No)、ステップS234からステップS238の処理が繰り返される。
第2経過時間Setが第2時間t2に達した場合には(ステップS238、YES)、ステップS240において、開閉制御部67は、ドア開閉装置31を制御して、ドア21、22を閉じる。以上のようにして制御装置60bによるドア開閉制御処理が実行される。
第2実施形態の制御装置60bによれば、ドア21、22が開かれてからの第1経過時間Fetが第1時間t1に達したことを含む予め定められた条件のうち少なくとも1つが成立した後に発車情報が報知されるため、車内の混雑等により自動運転バス10bから降車できていないユーザuは、自動運転バス10bが間もなく発車することを知ることができる。そのため、自動運転バス10bから降車できていないユーザuに対し降車意思を示すことを促すことができる。また、第1経過時間Fetが第1時間t1に達するまでの間と、発車情報が報知された後ドアが閉められるまでの間と、の少なくとも一方の間において降車意思が受け付けられた場合に、第1経過時間Fetがリセットされるので、降車意思受付部65に降車意思を受け付けさせたユーザuが、自動運転バス10bから降りそびれることを抑制することができる。
また、発車情報が報知された後に降車意思が受け付けられない場合には、第1経過時間Fetがリセットされないので、ユーザuが誤って降車ボタン23を押した場合であっても、自動運転バス10bのドア21、22を閉じることができる。その結果、自動運転バス10bのドア21、22が閉じられず、自動運転バス10bの運行が遅延することを抑制することができる。
また、開閉制御部67は、発車情報が報知されてからの第2経過時間Setが第1時間t1よりも短い第2時間t2に達した場合にドア21、22を閉め、リセット部68は、第2経過時間Setが第2時間t2に達するまでの間に降車意思が受け付けられた場合には、第1経過時間Fet及び第2経過時間Setをリセットする。そのため、降車意思のあるユーザuが、発車情報が報知されてから降車ボタン23を押せば、第1経過時間Fet及び第2経過時間Setがリセットされるので、当該ユーザuが自動運転バス10bから降りそびれることを抑制することができる。更に、発車情報が報知されてから、ドア21、22が閉められるための第2時間t2は、第1時間t1よりも短いので、降車意思のあるユーザuを降車させつつ、自動運転バス10bの運行が遅延することを抑制することができる。
また、降車意思受付部65は、自動運転バス10bに備えられ降車意思を受け付ける降車意思受付装置を介して降車意思を受け付け、降車意思受付装置は、自動運転バス10bの走行中に、次の停留所12で自動運転バス10bを停車させることを受け付けるための表示がされたボタンとして機能する。降車意思受付装置は、走行中においてボタンが押された場合に、自動運転バス10bの走行を制御する走行制御装置に、自動運転バス10bを次の停留所12で停車させる信号を送信し、停留所12で自動運転バス10bが停車してドア21、22が開かれた場合に、降車意思を受け付けるための表示がされたボタンとして機能し、ボタンが押された場合に、降車意思を降車意思受付部65に送信する。そのため、自動運転バス10bを停留所12で停車させるための降車ボタン23を、降車意思を受け付ける装置として利用することができる。なお、降車意思受付装置は、降車ボタン23に限らず、スイッチでもよい。
B2.第2実施形態の変形例
B2-1.第2実施形態の変形例1
図15及び図16に示す第2実施形態の変形例1における制御装置60cは、報知部66に代えて報知部66cを備える点と、降車ユーザ判定部69を備える点とにおいて、第2実施形態の制御装置60bと異なり、他の構成は図11と同じである。
図16は、本変形例における自動運転バス10cが停留所12で停車している車内の様子を、上方から見た図である。本変形例における自動運転バス10cは、複数の車内カメラ26と、ドアカメラ27とを備える点において、第2実施形態の自動運転バス10bと異なり、他の構成は図12と同じである。車内カメラ26は、車内カメラ26付近に配置された降車ボタン23を押すユーザを撮像可能なように、車内に配置されている。ドアカメラ27は、自動運転バス10cのドア21から降車するユーザを撮像可能なように、ドア21付近に配置されている。
本変形例において、降車意思受付部65cは、降車ボタン23を介して降車意思を受け付けるとともに、降車ボタン23が押された際の撮像画像を、押された降車ボタン23付近に配置された車内カメラ26から取得する。
降車ユーザ判定部69は、ドア21を通過して自動運転バス10cから降車するユーザuが、降車ボタン23を押したユーザuであるか否かを判定する。本変形例では、降車ユーザ判定部69は、降車ボタン23が押された際の当該降車ボタン23付近の車内カメラ26により撮像された第1画像と、ドアカメラ27により撮像された第2画像とを取得して、第1画像と第2画像に表れるユーザが同一である場合に、降車ボタン23を押したユーザuが自動運転バス10cから降車したと判定する。
本変形例において、報知部66cが発車情報を報知するための予め定められた条件は、第1経過時間Fetが前記第1時間t1に達するまでの間に、降車ユーザ判定部69により降車意思を示した全てのユーザが自動運転バス10cから降車したと判定されたことを含む。すなわち、報知部66cは、第1経過時間Fetが第1時間t1に達していない場合であっても、降車意思を示した全てのユーザuが自動運転バス10cから降車したと判定された場合には、報知装置25を制御して発車情報を報知する。
図17に示す本変形例における制御装置60cにより実行される、ドア開閉制御処理は、上記第2実施形態の図14に対応している。本変形例では、ステップS216とステップS218の間にステップS217を備える点が、図14と異なる。
ステップS217では、降車ユーザ判定部69は、降車完了条件が満たされたか否かを判定する。降車完了条件は、これまでに降車意思を示したユーザが1名以上であり、かつ、降車意思を示した全てのユーザuが自動運転バス10cから降車したことである。降車完了条件を満たしていない場合には(ステップS217、NO)、ステップS214において第1経過時間Fetのカウントが継続される。なお、本実施形態において、リセット部68は、降車意思受付部65により降車意思が受け付けられる度に、処理をステップS212に戻す。ステップS217において、降車完了条件が満たされたと判定された場合には(ステップS217、YES)、ステップS230において、報知部66cは報知装置25を制御して降車情報を報知する。
第2実施形態の変形例1によれば、降車意思を示したユーザuが自動運転バス10cから降車したと判定された場合には、第1経過時間Fetが第1時間t1に達する前であっても、発車情報が報知されるので、自動運転バス10cのドア21、22を閉めるまでの時間を第2実施形態と比較して短くすることができる。その結果、自動運転バス10cが発車するまでの待機時間を短くすることができる。
B2-2.第2実施形態の変形例2
図18に示す第2実施形態の変形例2における自動運転バス10dは、上記第2実施形態の降車ボタン23に該当する箇所に、降車用の読み取り装置23dが配置されている点において、図16と異なる。本変形例では、降車意思受付部65は、降車用の読み取り装置23dによりユーザuのカードや携帯端末等が読み取られた場合に、降車意思を受け付ける。この場合において、例えば、報知部66cは、報知装置25に、「間もなく発車します。発車を延長したい方は、お近くの降車用の読み取り装置23dにカードをタッチして下さい。」という車内アナウンスをさせる。この形態によっても、第2実施形態の変形例2と同様の効果を奏する。
B2-3.第2実施形態の変形例3
上記第2実施形態の変形例1と変形例2は組み合わせられてもよい。この場合において、降車ユーザ判定部69は、降車用の読み取り装置23dにおいてユーザuのカードや携帯端末等が読み取られた際に、合わせてユーザuを識別するための第1識別子を取得する。また、降車ユーザ判定部69は、ドア21、22付近に配置された、料金を精算するための読み取り装置24においてユーザuのカードや携帯端末等が読み取られた際に、ユーザuを識別するための第2識別子を取得する。降車ユーザ判定部69は、第1識別子と第2識別子とが一致する場合に、降車意思を示したユーザuが自動運転バス10b、10cから降車したと判定する。この変形例によれば、降車意思を示したユーザが、自動運転バス10b、10cから降車したことを精度よく判定することができる。
B2-4.第2実施形態の変形例4
第2実施形態の変形例1において、報知部66cは、発車情報を2回以上繰り返してもよい。図19及び図20に示すドア開閉制御処理は、ステップS218とステップS230との間に、ステップS220、ステップS222、ステップS224、ステップS226、ステップS227、ステップS228を備える点において、図17と異なる。ステップS220では、報知部66cは、図17のステップS230と同様に、発車情報を報知する。ステップS222、ステップS224、ステップS226、ステップS227、ステップS228は、それぞれ、図17におけるステップS212、ステップS214、ステップS216、ステップS217、ステップS218に対応しており、図17における第1経過時間Fetが第3経過時間Tetに置き換わり、第1時間t1が第3時間t3に置き換わっている。第3経過時間Tetは、ステップS220において発車情報が報知されてからの経過時間であり、制御装置60cに備えられた図示しない第3タイマにより計測される。第3時間t3は、降車を希望するユーザがドア21まで移動するための平均的な所要時間に基づいて予め定められた時間であり、制御装置60cのメモリに予め記憶されている。第3時間t3は、第1時間t1よりも短く、第2時間t2よりも長い時間である。
本変形例によれば、発車情報が少なくとも2回報知されるので(ステップS220、ステップS230)、ユーザuに対し降車意思を示すことをより促すことができ、ユーザが自動運転バス10cから降りそびれることをより抑制することができる。
C1.第3実施形態
図21及び図22に示す自動運転バス10eは、上述の実施形態と同様に、走行に関する制御の全てが運転手の判断によらずに自動的に実行可能なバスである。自動運転としては、例えば、SAEにおいて規定されているレベル0~5までの運転レベルのうち、レベル4~5の運転が該当する。自動運転バス10eは、通信装置20と、報知装置25eと、第1検出装置28と、第2検出装置29と、自動運転装置30と、ドア開閉装置31と、制御装置60eとを備える。他の形態では、制御装置60eは、自動運転バス10eの運行を管理し、自動運転バス10eと通信可能な管理センターに設けられていてもよい。自動運転装置30は、図示しない運転制御装置の制御により、自動運転バス10eの運転全般を行う。ドア開閉装置31は、図示しないドア開閉制御装置の制御により、自動運転バス10eの前方ドア21、後方ドア22(ドア21、22)を開閉する。ドア開閉制御装置として、上記実施形態における制御装置60b~60dを適用してもよい。本実施形態における自動運転バス10eは、後方ドア22から乗車し、前方ドア21から降車するタイプのバスである。
図22は、自動運転バス10eが停留所12で停車し、ドア21、22が開かれてユーザが乗車した後の車内の様子を上方から見た図である。図22には、自動運転バス10eにおけるドア21、22、降車ボタン23、読み取り装置24の位置が示されている。ハッチが付された丸は、ユーザuを示している。これらの位置や大きさは一例である。領域A1、A2は、それぞれ、ドア21、22が開閉するために必要な領域(ドア領域)である。ドア開閉装置31は、ドア領域A1、A2にユーザuや荷物n等が存在しない場合に、ドア21、22を開閉可能なように構成されている。すなわち、図22に示すように、ドア領域A2にユーザが存在する場合には、ドア21、22は閉じられない。領域A3、A4、A5は、ユーザuや荷物n等の物体の存在密度が、ドア領域A1、A2以外の車内の他の領域に比べて低い領域(余裕領域)を示す。領域A4、A5におけるシートSには、ユーザuが着席していない。以降では、自動運転バス10eの車内に予め配置された物を除いた、ユーザuや荷物n等の車内において移動可能な物を、単に「物体」とも呼ぶ。
例えば、特開2003-155869号公報には、車両のユーザの静止を検知する機能を備える自動ドア用センサを備え、物体が所定エリア外に移動した際の場合と、所定エリア内でユーザが静止している状態が所定時間継続した際の場合とで、ドアの閉鎖動作を異ならせる自動ドア装置が記載されている。この装置では、ドア開口付近の所定エリア内でユーザが静止している状態が所定時間継続した場合には、警告音声を出力して人がドアに接触する可能性を低減している。例えば、バスにおいて、ユーザが車両のドア付近に乗車しており、ドア付近のユーザ以外の他のユーザが車内において移動すれば空きスペースができ、ドア付近のユーザがドア付近から移動できる場合がある。しかし、特開2003-155869号公報記載の技術では、警告音声が当該他のユーザに向けられているか不明であるため、当該他のユーザの移動が促されず、その結果、図22に示すドア領域A2のユーザuがドア領域A2から移動できないおそれがあった。このような場合には、バスの運行がスムーズに行われないおそれがあった。また、バスのドアを開閉する場合には、運転手は、車内の状況やユーザの動きから、適切な報知を行うことができる可能性がある。しかし、本実施形態のように、バスが自動運転バス10eである場合には、運転手や車掌が乗車していない可能性があり、運転手や車掌が車内の状況やユーザの動きを把握して、適切な報知を行うことができず、その結果、ドア21、22を開閉することができないおそれがある。そこで、本実施形態の制御装置60eは、ドア領域A1、A2に、ユーザuや荷物n等の物体が存在している場合に、ドア領域A1、A2における物体の移動を促すための移動情報を報知する、報知制御を実行する。制御装置60eの各部の機能及び報知制御については、詳細を後述する。
本実施形態の自動運転バス10eの説明に戻る。図21に示す通信装置20は、ユーザuの携帯端末100や管理センター等と無線通信可能に構成されている。
報知装置25eは、後述する報知部79の制御により、自動運転バス10eに乗車するユーザuに向けて種々の情報を報知する。報知装置25eは、音や文字等によって種々の情報を報知することが可能な装置であり、例えば、自動運転バス10eの車内に設けられたスピーカー、文字や画像を表示可能な液晶パネル等である。報知装置25eは、車内の床面の所定領域を振動させる振動子、所定のつり革を振動させる振動子、車内の所定領域を光らせるライト等であってもよい。
第1検出装置28は、ドア領域A1、A2における物体の存否を検出する装置である。第1検出装置28は、ドア領域A1、A2を撮像するカメラや、ドア領域A1、A2の床面に設けられた荷重センサ等の公知のセンサにより構成可能である。第2検出装置29は、自動運転バス10eにおける座席のレイアウトとドア領域A1、A2以外の車内における物体の存否とを検出する装置である。第2検出装置29は、車内を撮像するカメラや、ドア領域A1、A2以外の床面やシートに設けられた荷重センサ等の公知のセンサにより構成可能である。なお、第1検出装置28、第2検出装置29は、ユーザuの所持する携帯端末100の位置情報を取得可能な装置であってもよい。第1検出装置28は、当該位置情報を用いて例えばドア領域A1、A2におけるユーザuの存否等を検出してもよい。
制御装置60eは、いずれも図示しないCPUとメモリとインターフェースとを備えるECUとして構成されている。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを展開して実行することにより、第1取得部75、第2取得部76、指示信号取得部77、移動先決定部78、報知部79、通知部80として機能する。
第1取得部75は、第1検出装置28の検出結果を取得して、ドア領域A1、A2における物体の存否を取得する。第2取得部76は、第2検出装置29の検出結果を取得して、ドア領域A1、A2以外の車内における物体の位置を含む車内状況を取得する。車内状況は、自動運転バス10eの座席のレイアウトを含んでもよく、第2取得部76は、通信装置20により管理センターと通信して、管理センターから座席のレイアウトを取得してもよい。
指示信号取得部77は、ドア21、22を開操作又は閉操作する指示信号を取得する。本実施形態では、指示信号取得部77は、ドア開閉制御装置からドア開閉装置31に対し指示信号が送信された場合に、当該指示信号を取得するように構成されている。
移動先決定部78は、指示信号取得部77により指示信号が取得され、かつ、第1取得部75によりドア領域A1、A2に物体が存在することが取得された場合に、第2取得部76により取得された車内状況を用いて、余裕領域を判定する。余裕領域は、ドア領域A1、A2以外における領域のうち、物体の存在密度が比較的低い領域である。移動先決定部78は、判定した余裕領域に基づいて、ドア領域A1、A2の物体をドア領域A1、A2以外に移動させるための、車内における物体の移動先を決定する。本実施形態では、移動先決定部78は、ドア領域A1、A2における物体の移動先を決定することに加え、車内におけるユーザ密度を均一化したり、床上に置かれた荷物nを減少させたりすることで車内状況を改善したりするための、ユーザuや荷物nの移動先を決定する。
報知部79は、決定された移動先に基づいて、ドア領域A1、A2における物体を移動させるための移動情報を報知装置25eに報知させる。本実施形態では、移動情報は、ドア領域A1、A2における物体を移動させるための情報に加え、自動運転バス10eの車内における空席への着席を促す情報(例えば、「着席して下さい」)や、床上に置かれた荷物nを移動させることを促す情報(例えば、「荷物を膝の上や棚上に移動させて下さい」)等を含む。報知部79は、移動情報が複数である場合には、複数の移動情報が同時に報知されないようにしたり、複数の移動情報を例えば1つにまとめて短縮化したりするように、移動情報の調停を行ってもよい。
通知部80は、報知部79により移動情報が報知されてから予め定められた時間が経過した後、第1取得部75によりドア領域A1、A2に物体が存在することが取得された場合に、ドア領域A1、A2に物体が存在することを含むドア領域情報を、通信装置20を介して管理センターに通知する。
図23を用いて、移動情報を報知するための報知処理について説明する。この処理は、自動運転バス10eが停留所12において停車している場合に、制御装置60eにより実行される。
まず、ステップS310では、移動先決定部78は、指示信号取得部77により指示信号が取得されているか否かを判定する。指示信号が取得されると、移動先決定部78は処理をステップS320に進め、第1取得部75によりドア領域A1、A2に物体が存在することが取得されているか否かを判定する。図22に示す例では、ドア領域A2にユーザuが存在するため(ステップS320、YES)移動先決定部78は、処理をステップS330に進める。
ステップS330では、移動先決定部78は、第2取得部76により取得された車内状況に基づいて余裕領域を判定する。図22に示す例では、移動先決定部78は、領域A3、A4、A5を余裕領域と判定する。
ステップS340では、移動先決定部78は、判定した余裕領域に基づいて、ドア領域A2の物体を前記ドア領域A2以外に移動させるための車内における物体の移動先を決定する。例えば、図24に示すように、ドア領域A2付近の領域B1に存在するユーザuが、領域B1付近の余裕領域A3に移動すれば、領域B1のユーザuの存在密度が低くなり、領域B1は余裕領域となる。その場合には、ドア領域A2におけるユーザuは領域B1に移動可能となる。そのため、移動先決定部78は、領域B1の物体の移動先を余裕領域A3に決定し、ドア領域A2の物体の移動先を領域B1に決定する。
ステップS350では、報知部79は、報知装置25eに、決定された移動先に物体を移動させるための移動情報を報知させる。例えば、報知部79は、報知装置25eに「奥へ詰めて下さい」というアナウンスをさせることで、領域B1に存在するユーザuに対し領域A3への移動を促す。報知部79は、領域B1に配置された図示しないつり革を振動させたり、領域B1の床下に配置された振動子を振動させたりすることで、領域B1に存在するユーザuに当該アナウンスが自身に向けられていることを気づかせるようにしてもよい。更に、報知部79は、領域A3のライトを点灯させて、領域B1のユーザuに対し領域A3への移動を促してもよい。また、本実施形態において、報知部79は、図24の領域A4、A5に示すようにシートSの空席がある場合には、報知装置25eに「着席して下さい」というアナウンスをさせることで、領域A4、A5付近の着席していないユーザuに対し、空席への移動を促してもよい。この場合において、報知部79は、領域A4、A5付近において着席していないユーザuの位置する領域B4、B5のつり革を振動させたり、領域B4、B5の床下に配置された振動子を振動させたりすることで、領域B4、B5に存在するユーザuに当該アナウンスが自身に向けられていることを気づかせるようにしてもよい。
また、ステップS350において、報知部79は、車内に余裕領域がない場合には、ドア領域A2のユーザuに対し、自動運転バス10eを降りて、次のバスに乗車することを促すアナウンスをしてもよい。また、報知部79は、移動情報が複数である場合には、これらの移動情報を調停してもよい。例えば、移動情報が、空席への着席を促す「着席して下さい」と、余裕領域への移動を促す「奥へ詰めて下さい」の2つの情報である場合には、「着席して奥に詰めて下さい」等、移動情報を短縮するようにしてもよい。
ステップS360では、通知部80は、報知部79により移動情報が報知されてから、予め定められた時間が経過したか否かを判定する。本実施形態において、予め定められた時間は、ドア領域A2のユーザがドア領域A2以外の領域に移動するための平均的な時間であり、制御装置60eのメモリに予め記憶されている。
予め定められた時間が経過すると(ステップ360、YES)、通知部80は、ステップS370において、第1取得部75によりドア領域A1、A2に物体が存在することが取得されたか否かを判定する。ステップS350において移動情報が報知されて予め定められた期間が経過してもなお、ドア領域A1、A2に物体が存在する場合には(ステップS370、YES)、ドア領域A1、A2の物体が移動できない何らかの事態が生じている可能性がある。そのため、通知部80は、ステップS390において、ドア領域A1、A2に物体が存在することを含むドア領域情報を、通信装置20を介して管理センターに通知する。管理センターでは、例えば、オペレータが、自動運転バス10eの車内に設けられたカメラ等により車内状況を確認し、報知装置25eを介して、ドア領域A1、A2に存在する物体をドア領域以外に移動させるためのアナウンスを行う。
ステップS320、又はステップS380においてドア領域A1、A2に物体が存在しない場合には、ドア開閉装置31によりドアの開操作又は閉操作が実行される。
この形態によれば、ドア21、22を開操作又は閉操作する指示信号が取得され、かつ、ドア領域A1、A2に物体が存在することが取得された場合に、移動先決定部78は、取得された車内状況を用いて、ドア領域A1、A2以外における物体の存在密度が比較的低い余裕領域を判定し、ドア領域A1、A2の物体をドア領域以外に移動させるための車内における物体の移動先を決定する。また、報知部79は、報知装置25eに、決定された移動先に基づいてドア領域A1、A2における物体を移動させるための移動情報を報知させる。そのため、ドア領域A1、A2における物体を移動させることができるので、自動運転バス10eにおけるドア21、22の開閉操作を行うことができる。その結果、自動運転バス10eの運行をスムーズに行うことができる。
また、移動先決定部78は、ドア領域A1、A2における物体の移動先を決定することに加え、車内におけるユーザ密度の均一化や、床上に置かれた荷物nを減少させたりすることで車内状況を改善するように、ユーザuや荷物nを移動させるための移動先を決定する。そのため、ユーザの乗車率を向上させることができる。また、自動運転バス10eが例えば急停車した場合であっても、乗客の転倒等を抑制することができるので、自動運転バス10eをより安全に運行することができる。
また、通知部80は、移動情報が報知されてから予め定められた時間が経過した後、第1取得部75によりドア領域A1、A2に物体が存在することが取得された場合に、ドア領域A1、A2に物体が存在することを含むドア領域情報を、自動運転バス10eの運行を管理する管理センターに通知する。そのため、例えば、ドアが開かれた自動運転バス10eに乗車してドア領域A1、A2に立つユーザに対し、「次のバスにお乗り下さい」というアナウンスがされたにもかかわらず、当該ユーザが降りようとしない事態が生じた場合にも、管理センターにおいて自動運転バス10eをスムーズに運行させるための適切な対応をすることができる。適切な対応とは、例えば、「後方ドア付近の黄色のバックをお持ちのお客様、ドアを閉めることができませんので、次のバスにお乗りいただけませんでしょうか。次のバスは3分後に到着します。」というような、ユーザを特定するアナウンスや、次のバスの到着時刻に関するアナウンスでもよい。
C2.第3実施形態の変形例
上記第3実施形態では、主に、自動運転バス10eのドアの閉操作が実行される際の報知制御について説明したが、上記第3実施形態は、ドアの開操作に適用されていてもよい。
D.その他の実施形態
上記自動運転バスのドアの数や、乗降のタイプはこれに限られない。例えば、ドアの数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、乗降のタイプは、前方ドアから乗車し、後方ドアから降車するタイプでもよいし、自動運転バスのドアを1つとし、当該ドアを用いて乗降するタイプでもよい。
本開示に記載の制御部等の各部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部等の各部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組合せにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
本開示は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組合せを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することが可能である。