JP7220711B2 - 病態の核酸ベースのリアルタイム判定のための方法及び装置 - Google Patents

病態の核酸ベースのリアルタイム判定のための方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、2017年7月19日出願の欧州特許出願第17 182 104.4号の優先権を主張するものであり、その内容全体を参照として本明細書中に援用する。
本発明は、感染等の被検体の病態の判定と、その病態の原因病原体の同定を行うための方法及び装置に関し、この方法は、被検体にマップする核酸に対する、被検体にマップしない被検体中の核酸の量の経時的判定に基づく。
感染症の診断方法は、現在のところ、2つの大きな領域に分けることができる。1つの領域は、宿主(場合によっては感染した)生物に関連した感染の診断に関する。この領域において、診断は、それ自体、宿主が感染しているか否かという質問に対するイエス又はノーの形態で現れ、イエスであれば感染が有ること、ノーであれば感染がないことを示す。感染関連疾患を診断する他の方法として、感染を生じる微生物の診断を行う。この場合にも、診断手順は、イエス/ノーの回答のみを得るものであり、イエスであれば患者Xが微生物Yにより罹患していること、ノーであればそうでないことを示す。
疾患原因微生物を同定することに主眼を置いた診断は、今日、血液培養又はPCR技術に依存している。加えて、このような診断アプローチに対する純粋に定性的な結果(イエス/ノーの回答)では、規定の微生物の組を検出できるのみである。血液培養については、これは、必ずしもすべての微生物が血液培養瓶中で成長可能でないためである(例えば、ウィルス又は菌類)。PCRベース診断の場合、プライマー対は、例えば、複雑性が故に、極端に大きな標的のセットの特異性を限定するプライマー対のセットが規定されなければならない。これらの診断テストでは、例えば、バクテリア、菌類、ウィルス、及び寄生虫等、あらゆるクラスの可能性のある微生物に対して、バイアスがなく、特異性が高く、感度の高い試験を可能にするものでない。また、PCRベースのアプローチが血液培養よりは迅速であるものの、依然として血液培養が感染症の最良の診断試験である。
さらに、これらのアプローチはいずれも、片利微生物と汚染との区別ができず、患者が罹患している真の感染病原体を区別することができない。これにより、最終的に、偽陽性結果を多く生じてしまう。
従来の血液培養試験は、2~7日間を要する。この間、原因微生物がわかるまで、治療医が最新の治療ガイドラインに従って調製した広域抗生物質を使用して患者を治療する。このため、微生物は、劣勢の診断手順の観点から、広域抗生物質の無差別な過剰使用が故に、多耐性となり得る。従って、適切な抗感染薬を使用して患者に迅速且つ有効な治療を提供するために、感染病原体が可能な限り速く同定されなければならず、診断手順において、感染病原体と片利共生的微生物/汚染の区別が可能であることが最も重要である。
Hasmanらによる、2014年のJournal of Clinical Microbiology 52:139~146等、患者に含まれる微生物を同定するために患者から得られた試料のシーケンシングに関する文献に実施例があり、これらによると、患者に含まれる微生物を同定するための尿サンプルに対する全ゲノムシーケンシングが記載されており、このシーケンシング結果が、従来の培養及び同定によって得られた結果と比較されている。他の例として、Grumazらによる2016年のGenome Medicine 8:73であって、敗血症患者から得られた試料の次世代シーケンシングを開示したもの、Anderssonらによる2013年のClin Microbiol Infect 19:E405~E408であって、膣スワブの診断試験片から得られたDNAのウルトラディープシーケンシングについて記載したもの、Turnbaughらによる2009年のNature 457:480~484であって、肥満又は痩せた腸内微生物叢に共通して豊富な遺伝子を同定するために糞便全DNAのショットガンシーケンシングを記載したもの挙げられる。これらの方法は、単にシーケンシングを行い、非宿主核酸を、試料中のあらゆる微生物を同定するためのデータベースと比較するものである。
しかしながら、従来技術において、より有効な治療をより早期に開始できるように、より正確な結果を提供し、及び/又は、疾病原因微生物の同定を迅速化するように、シーケンスデータをより効率的に処理するニーズが依然としてある。
本発明は、少なくとも部分的に、被検体が病態を有する可能性は、被検体から得られた生物試料に存在するが、健康な被検体には通常存在しない核酸の量という観点で判定可能であるという本発明者らの発見に基づくものである。例えば、被検体から得られた生物試料の微生物にマップする核酸の量を判定することにより、被検体が微生物を原因とする感染等の病態がある可能性を判定することができる。また、この発見は、被検体が癌を患っている可能性の判定を可能にするものであり、特に、癌治療のモニタリングにおいて有用である。一実施形態において、この可能性は、特定の微生物にマップされる(割り当てられる)シーケンスリードの総数と、被検体と同一種にマップされるリードの数及び試料中のあらゆる微生物にマップされるリードの数を含む、ある種にマップ(割り当て)可能なすべてのシーケンスリードの総数とに基づき、特定の微生物にマップされる核酸シーケンスが被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することによって判定される。この有意性スコアは、基本的に、特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、被検体から得られる生物試料に存在する、ある種にマップするシーケンスリードの総数との比率に基づくものであるが、マップされるリードの総数が増加している際(より多くのシーケンスリードが得られ、ある種にマップされる際)経時的に、すなわち、リアルタイムで演算可能である。
一実施形態において、本発明は、一実施形態において、特定の微生物のゲノムにマップするシーケンスリードの数と、被検体と同一種を含む、種のゲノムにマップするシーケンスリードの数とを判定することを含む、被検体中の微生物の有無を判定する方法に関連する。シーケンスリードは、被検体から得られる生物試料中に存在する核酸のシーケンシングより得られるものであるが、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較可能である。これにより、宿主種及びあらゆる微生物を含む、ある種にマップするシーケンスリードの数と、特定の微生物にマップするシーケンスリードの数とが判定可能となる。一実施形態において、当該方法は、測定微生物にマップするシーケンスリードの数とある種にマップするリードの総数とに基づいた、有意性スコアを有する特定の微生物についての有意性スコアを計算することをさらに含む。この判定するステップは経時的に実施可能であるため、この有意性スコアの計算も、シーケンスリードが取得されてマップされる際、経時的に実施可能である。さらに、シーケンスリードがすでに得られているものの、ある種との比較及びマップされてない実施形態において、この計算は、1つ以上のデータベース中の遺伝応報と比較される際、経時的に実施可能である。
本発明は、被検体中の微生物の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、(a)被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、(c)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することとを含む。
本発明はまた、被検体中の微生物の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、(a)被検体から得られる生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって得られるシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することと、(b)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することとを含む。
本発明はまた、被検体中の微生物の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数とある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定するステップを含み、比較対象シーケンスリードは、生成されたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを含む1つ以上のデータベースを比較して、比較対象シーケンスリードがある種にマップするか否かを判定することによって得られ、シーケンスリードは、被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって生成される。
本発明の一実施形態において、当該方法は、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが被検体中に見られる確率についての有意性スコアを演算することをさらに含む。
本発明はまた、被検体中の微生物の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とに基づき、特定の微生物にマップするシーケンスリードが被検体に見られる確率についての有意性スコアを経時的に演算するステップを含み、特定の微生物にマップするシーケンスリードと、ある種にマップするシーケンスリードとは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝情報とを含む1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することによって得られ、シーケンスリードは、被検体から得られた生物試料に存在する核酸をシーケンシングすることによって生成される。
本発明はまた、被検体中の微生物の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、(a)特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とを経時的に判定するステップであって、シーケンスリードは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝情報とを含む1つ以上のデータベースと比較して、シーケンスリードが1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することによって得られるステップと、(b)特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とに基づき、特定の微生物にマップするシーケンスリードが被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することとを含む。
本発明の複数の実施形態において、核酸のシーケンシング後直ちに、すなわち、基本的には同時に、リードをある種にマップして有意性スコアを計算するようにシーケンスリードの比較を行うか、又は、シーケンシングの結果が記憶された後、記憶されたシーケンシング結果を使用して、シーケンシングされたリードを、1つ以上のデータベースと比較できるようにし、例えば、有意性スコアの計算ができるようにして、比較/判定/計算ステップより早い任意のタイミングにシーケンシングを発生させることができる。
一実施形態において、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定するステップとは、特定の微生物にマップされ得る比較対象リードの数をカウントし、ある種にマップされ得る比較対象リード、すなわち、特定の微生物にのみマップするのでなく、被検体にマップするリードと、試料中に存在する他の任意に微生物にマップするリードとの数をカウントすることを意味する。場合によっては劣化、長さが短すぎること等により、ある種にマップされ得ないシーケンスリードは、1つ以上のデータベースに存在しない微生物に由来するものであり、本発明においては使用しない。本発明において、あらゆるシーケンスリードが使用されるのでなく、ある種にマップされ得るもののみが使用されることが好ましい。
一実施形態において、特定の微生物についての有意性スコアが閾値以上であるとき、特定の微生物が被検体に存在すると判定され、特定の微生物についての有意性スコアが閾値以上であるとき、特定の微生物が被検体の疾病の原因と関連すると判定される。他の実施形態において、有意性スコアが閾値を超えるほど、被検体中で微生物の負荷が高くなり、これが感染のより深刻な状態に反映され得る。一実施形態において、閾値は、被検体の疾病の原因となる特定の微生物の関連性について、偽陽性及び偽陰性の数を最少化するように設定される。
他の実施形態において、特定の微生物についての有意性スコアがある種にマップする僅かなシーケンスリードで閾値を超える場合、微生物の存在による疾病は、深刻であると考え得る。本実施形態の文脈において、「僅かな」とは、試料中の核酸のシーケンシングを実施することによって生成されるシーケンシングされたリードのすべてではなく、すなわちその一部が、比較及びマップされているものの、すでに閾値以上となっていることをいう。比較及びマップ対象のリードの割合は、比較及びマップ対象のリード全体の1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%とすることができる。「僅かな」とは、比較及びマップ対象リード全体の50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、2%、1%未満をいうのが好ましい。「僅かな」とは、100個、1,000個、10,000個、又は100,000個のリード等、固定数のリードとすることもできる。
一実施形態において、本発明の方法は、以下を含む、被検体/特定の微生物にマップするリードの数又はその他のパラメータ等、提供された情報により、被検体が病態を有する、又は有しない、或いは1つ以上の微生物に感染している、又は感染していない確実性のレベルと、1つ以上の微生物又は癌の種別の同定について判定できるようにする。一旦、この点に至ると、被検体中の微生物又は病態の有無を判定するのに、さらなる情報が提供されることは必ずしも必要はないので、本方法は停止し得る。
経時的な、特定の微生物にマップするリードの数と、ある種にマップするリードの数とを使用すると、例えば、特定の微生物が被検体の病態に関連するか否かの判定に有用であるのみならず、2名以上の患者間の(同一の原因による)病態の比較も可能にすることができる。換言すると、2名の患者間である種にマップされるリードの数が同一であるものの、特定の微生物にマップされるリードの数が異なる(多いか、又は少ない)場合、この差は、2名の患者間の特定の微生物の負荷/量の差を示し得る。例えば、被検体が、ある種にマップされる10個のリードのうち、特定の微生物のリードを1つ有し、第2の被検体が、ある種にマップされる5×10個のリードのうち、同一の特定の微生物についてのリードを1つ有する場合、この微生物は、第2の被検体に存在するのみならず、第2の被検体がより高い負荷/レベルの感染を有していると結論付けることができる。
さらに、このパラメータは、すべてのシーケンスリードが比較され、すべての比較対象リードがマップされた終了時点のみならず、方法実施中の任意のタイミングで(経時的に)リアルタイムで生成可能である。従って、ある被検体において、全リードのほんの一部のみが比較及びマップされた時点で、コントロール試料に見られる種にマップされた同数のリードに対して、特定の微生物にマップされたリードの数が5倍であることが観察された場合、リードが5倍以上である患者が特定の微生物による病態(感染)を有する確率が高いことは明白であるため、シーケンシングされたすべてのリードの比較及びマップに先立つ、より早期の自転で、この方法を停止することができる。
シーケンシング、比較、及びマップを行う間、経時的にこのパラメータを生成し、分析終了、すなわち、試料中のすべての核酸がシーケンシングされ、すべてのリードが比較及びマップされるのに先立って、この方法を停止することのできる能力により、停止できない方法論に比べて、時間及びリソースを省略することができ、有利である。例えば、試料中の核酸すべてをシーケンシング、比較、及びマップするステップは、通常、30時間以上を要し得る。しかしながら、本発明により、例えば、場合によっては、10時間以上、この時間を著しく短縮することができ、シーケンシング及び/又は演算時間を10時間も省略することができる。さらに、被検体をより迅速に診断することができるので、適切な治療をより迅速に開始することができ、結果として、被検体の生存確率をより高めることができる。これにより、適切に感染又は病態の治療を対象としない、例えば、ウィルス感染に抗生物質を付与したり、微生物が耐性を有する抗生物質を付与したりといった、医薬品の浪費を行わないようにすることができる。
本発明はまた、被検体中の病態の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、(a)被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを実施することにより、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、(c)コントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードとマップしない比較対象シーケンスリードとの数を経時的に判定することとを含む。本発明はまた、被検体における病態の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、(a)シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードがコントロール被検体にマップするか否かを判定することであって、シーケンスリードは、被検体から得られた生物試料に存在する核酸をシーケンシングすることによって得られ、(b)コントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードとマップしない比較対象シーケンスリードとの数を経時的に判定することとを含む。本発明はまた、被検体における病態の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、コントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードと、マップしない比較対象シーケンスリードとの数を経時的に判定するステップを含み、比較対象シーケンスリードは、生成されたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報を含む1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードがコントロール被検体にマップするか否かを判定することによって得られ、シーケンスリードは、被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを実施することによって生成される。
一実施形態において、当該方法は、コントロール被検体にマップしない比較対象シーケンスリードの数と、マップし得る、例えばコントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、コントロール被検体にマップしない比較対象シーケンスリードが被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することをさらに含む。
本発明はまた、被検体における病態の有無を判定する方法に関連し、当該方法は、コントロール被検体にマップしないシーケンスリードの数と、コントロール被検体にマップするシーケンスリードの数とに基づき、コントロール被検体にマップしないシーケンスリードが被検体に見られる確率についての有意性スコアについて経時的に演算するステップを含み、コントロール被検体にマップするシーケンスリードと、コントロール被検体にマップしないシーケンスリードとは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報を含む1つ以上のデータベースと比較して、比較対象がコントロール被検体にマップするか否かを判定することによって得られ、シーケンスリードは、被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを実施することによって生成される。
一実施形態において、有意性スコアが閾値以上であるとき、病態が被検体に存在すると判定される。本明細書で使用される用語の「コントロール被検体にマップしない比較対象シーケンスリード」は、必ずしも、そのシーケンスがコントロール被検体のシーケンスとさほど類似していない、又は特に同一ではないことを意味し、頻繁にあり得る。例えば、病態が被検体の核酸シーケンスにおける点変異を原因とするものである実施形態において、このような点変異を有するシーケンスリードは、リードの他のすべてのヌクレオチドがコントロール被検体と同一であったとしても、コントロール被検体にマップしないと考えられる。さらに、一実施形態において、シーケンスリードの比較時、既知の遺伝子多型、例えば、単一ヌクレオチド多型を参照することができ、このような差は、被検体のシーケンシングされたリードにおける変異とは考えられない。
本発明の実施形態において、病態は、癌であり、遺伝的異常、例えば、点変異、欠失、挿入、又は挿入欠失等を原因とする癌であることが好ましい。他の実施形態において、病態は、微生物を原因とする感染であり、微生物は、ウィルス、バクテリア、菌類、又は寄生虫であることが好ましい。
病態が癌である実施形態において、本発明の方法を使用して、癌の治療のモニターと、治療ラウンド後の癌の再発をモニターすることができる。例えば、癌と診断された被検体には、腫瘍の外科切除等の治療が施される。腫瘍の遺伝情報のデータベースを作成し、被検体から得られた核酸をシーケンシングし、リードを、同一種のコントロール被検体の遺伝情報と、腫瘍の遺伝情報とを含む1つ以上のデータベースに比較することができる。比較対象リードは、その後、コントロール被検体又は腫瘍データベースにマップされ、癌ゲノムにマップされたリードの数と、癌ゲノム及びコントロールゲノムにマップされたリードの数とに基づいて、本発明に係る有意性スコアが算出されるようにし、癌の有無、すなわち、癌の再発の判定を行えるようにする。同様に、治療中にサンプルを得ることができ、治療が有効であるか否かを判定するスコアが算出される。
病態が微生物による感染である実施形態においても、本発明の方法を使用して、感染の治療のモニター、及び/又は、感染の再発のモニターを行うことができる。このような実施形態において、生物試料は、治療中、及び/又は、治療後に被検体から得られ、上述の方法に引き続き、微生物にマップするリードの数とある種にマップするリードの数とに基づいて、有意性スコアの計算を行うようにする。
特定の実施形態において、生物試料は、全血、血清、血漿、羊水、滑液、濃縮液、組織又は細胞スメア、組織又は細胞スワブ、尿、組織、唾液、排泄物、消化管分泌物、リンパ液、及び洗浄からなる群より選択し得る。
特定の実施形態において、被検体は、脊椎動物であり、好ましくは、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、マウス、又はラットであり、被検体は、ヒトであることが好ましい。
一実施形態において、シーケンシングは、ウルトラディープ又はハイスループットのシーケンシング方法を使用して実施される。本発明の好適な実施形態において、シーケンシングは、分子ハイスループットシーケンス分析、すなわち、イルミナ/Solexa又はOxford Nanopore方法論等、次世代又は第3世代のシーケンシングによって実施される。
本発明の一実施形態において、方法は、特定の微生物又は病態が被検体に存在すると判定されるとき、特定の微生物又は病態を原因とする疾病の治療をする既知の薬学的に活性の化合物を被検体に投与することをさらに含む。さらに、感染症の原因となる微生物が一旦同定されると、それがいずれかの種別の抗生物質/抗感染薬に耐性を有するのか否かを判定して、治療が有効となるようにすることができる。一実施形態において、試料における被検体の核酸は、微生物がいずれかの種別の抗生物質/抗感染薬に耐性を有するか否かの判定に先立って、激減し得る。
特定の一実施形態において、被検体中の微生物を原因とする感染症の診断方法であって、当該方法は、特定の微生物にマップするシーケンスリードの数とある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、特定微生物にマップするシーケンスリードが被検体に見られる確率についての有意性スコアを経時的に演算することを含み、特定の微生物についてのスコアが閾値以上であるとき、特定の微生物が感染症の原因となると判定され、特定の微生物にマップするシーケンスリードと、ある種にマップするシーケンスリードとは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝情報とを含む1つ以上のデータベースと比較し、比較対象シーケンスリードが1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することによって得られ、シーケンスリードは、被検体から得られた生物試料に存在する核酸をシーケンシングすることによって生成される。
特定の一実施形態において、被検体中の微生物を原因とする感染症の診断方法は、(a)被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、(c)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することと、(d)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することとを含み、特定の微生物についてのスコアが閾値以上であるとき、特定の微生物が感染症の原因となると判定される。
本発明は、被検体中の微生物を原因とする疾病又は感染の治療方法に関連し、当該方法は、(a)被検体中の微生物の有無を判定する前述の方法のうちのいずれかに従い、被検体中の特定の微生物についての有意性スコアを判定することと、(b)特定の微生物についての有意性が閾値以上であるとき、特定の微生物の成長を阻害する化合物を被検体に投与することとを含む。本発明はまた、被検体中の微生物を原因とする疾病又は感染の治療方法にも関連し、当該方法は、有意性スコアが閾値以上である微生物の成長を阻害する化合物を被検体に投与することを含み、有意性スコアは、本明細書に記載の被検体中の微生物の有無を判定する前述の方法のいずれかに従い、計算される。
本発明はまた、プログラムコードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体も包含しており、当該プログラムコードは、実行時、プロセッサにより、本発明の方法を実施する指示を備える。本発明はまた、本発明の方法を実施するように構成されたプロセッサ、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ等を備えるコンピュータシステムにも関連する。
図面と以下の実施例により本発明について詳細に説明するが、これは例示のみを目的とするものであり、限定を意図するものでない。当業者は、説明及び実施例により、本発明に包含されるさらなる実施形態にアクセスすることができる。
図1は、7つの異なる微生物についての、患者S9に対する試験の完全実行を示している(試験は、有為であるとラベル付けされた微生物については停止しなかった)。統計的関連性閾値を示す、水平破線も示されている。 図2は、4つの異なる微生物についての、患者S11に対する試験の完全実行を示している(試験は、有為であるとラベル付けされた微生物については停止しなかった)。統計的関連性閾値を示す、水平破線も示されている。 図3は、5つの異なる微生物についての、患者S60に対する試験の完全実行を示している(試験は、有為であるとラベル付けされた微生物については停止しなかった)。統計的関連性閾値を示す、水平破線も示されている。
本発明について以下に詳細に説明するが、本発明は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル、及び試薬に限定されるものでなく、変更され得るものである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定されることが理解できる。特記の無い限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、当業者に通常理解されるものと同一の意味を有する。
以下、本発明の実施形態を説明する。これらの要素は特定の実施形態で挙げるが、これらは、さらなる実施形態を生じる任意の方法及び数で組み合わせられてよいと理解されなければならない。種々記載した実施例及び好適な実施形態は、本発明を明示的に記載した実施形態のみに限定するものとみなされてはならない。この記載は、明示的に記載した実施形態を任意の数の本開示、及び/又は、好適な要素に組み合わせる実施形態をサポート及び包含するものと理解されなければならない。さらに、本明細書に記載の要素すべての任意の変形及び組み合わせは、文脈で示されることのない限り、本願の記載によって開示されたものと考えられなければならない。
好ましくは、本明細書において使用される用語は、「A multilingual glossary of biotechnological terms:(IUPAC Recommendations)」、H.G.W.Leuenberger,B.Nagel及びH.Kolbl,Eds.、(1995年)Helvetica Chimica Acta、CH-4010、スイスベーゼルに記載のとおり規定する。
本発明の実施では、指摘の無い限り、従来の生化学、細胞生物学、免疫学、及び当分野の文献(参考として、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、J.Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー、1989年)で説明されている組み換えDNAの方法を採用するものである。
本明細書と、それに続く請求項全体を通じて、文脈による要求の無い限り、「含む(comprise)」やその活用形(comprises、comprising)は、いくつかの実施形態において、そのようなその他の部材、部材に関する1つの整数値又はステップ又は群、複数の整数値又はステップを除外してもよいが、記載の部材と、部材の1つの整数値又はステップ又は群、他の任意の部材を除外しない複数の整数値又はステップ、部材の1つの整数値又はステップ又は群、複数の整数値又はステップを内包するものと理解される。すなわち、主題は、言及された部材、部材に関する1つの整数値又は群、複数の整数値又はステップを包含する。定冠詞及び不定冠詞や、本発明を記載する文脈において(特に、クレームの文脈において)使用される類似の参照語は、本明細書で指摘の無い限り、又は文脈から明確に区別されない限り、単数及び複数の双方を網羅するものと理解されなければならない。本明細書における数値範囲の引用は、その範囲に含まれる各個別の値を個々に参照する簡便な方法となることのみが意図される。本明細書において指摘の無い限り、個々の数値は各々、本明細書中にここに引用されているのと同様に、本明細書中に援用されている。
本明細書に記載の方法はすべて、本明細書に指摘の無い限り、又は文脈から明確に区別されない限り、任意の好適な順序で実施可能である。本明細書において提供される任意かつすべての実施例又は例示的言葉(例えば「等」)は、本発明をより良く示すことのみを意図しており、請求した発明の範囲に限定を加えるものでない。本明細書中のいずれの言葉も、本発明の実施に必須のクレームされないいずれかの構成要素を示すものと理解されてはならない。
本明細書の文章全体を通じて、いくつかの文献を参照する。本明細書において参照される各文献(すべての特許、特許出願、科学出版物、製造元の仕様書、指示等を含む)は、上記及び下記のものともに、その内容全体を参照として本明細書中に援用する。本明細書に記載のものはいずれも、本発明が過去の発明による開示に先行して権利を主張するものでない旨、認めるものとして理解されてはならない。
上述の通り、本発明は、例えば、ある種/正常ゲノムにマップされ得るリードの総数に関連して、例えば、特定の微生物又は癌ゲノムにマップするシーケンスリードの数に基づくものである。従って、本発明は、片利共生/汚染と、最も可能性の高い感染原因病原体との診断及び区別を行う基礎を提供するものである。本発明は、少なくとも以下を提供するものであり、有利である。すなわち、
a)得られた生物試料について何らの仮定も行わないバイアスのかからない方法、
b)片利共生/汚染と感染病原体の区別を行うことができる方法、
c)所与のタイミングで試料中に同定されたすべての微生物について、リアルタイムで結果を与える方法、
d)シーケンシングの間、リアルタイムでデータを生成する方法、
e)データの取り扱い中、リアルタイムで情報を提供する方法、
f)微生物が病態に有意である/関連性があると一旦判定されると、データセット全体のごく一部のみを解析した後に解析した後、停止することのできる方法、
g)同一病態の2つ以上の生物試料の比較を可能にするパラメータを生成する方法、
h)臨床医又は研究者により、同一の微生物に感染した患者間の微生物による感染の深刻度の比較を可能にする方法である。
本発明の他の効果は、多数の微生物を原因とする感染を検出する能力と、すべてが感染/病気の状態に著しく影響し得るものであるが、いずれの微生物が主要原因病原体であるか、またいずれがそれに伴う物質となるかを判定する能力とにある。
「被検体」「個人」「生物」又は「患者」といった用語は、相互に入れ替え可能に用いられており、脊椎動物、好ましくは哺乳動物をいう。例えば、本発明の文脈における哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ、ウマ等の家畜動物、マウス、ラット、ウサギ、魚、モルモット等の実験動物、動物園の動物等の飼育動物である。「動物」という用語にはヒトも含まれる。「被検体」「個人」「生物」又は「患者」という用語は、オス及びメスの哺乳動物をいうことが好ましく、特に、男性及び女性のヒトをいうことが好ましい。被検体は、新生児(例えば、生後~約6カ月迄)、幼児(例えば、約6カ月~2歳)、子ども(例えば、約2歳~約10歳)、未成年(例えば、約10歳~約21歳)、及び成人(例えば、約21歳以上)を含む、いずれの年齢とすることもできる。
ある実施形態において、被検体は、例えば、免疫抑制剤の摂取によって免疫抑制され得るか、又は、生来の免疫系/機能の停止又は破壊を要する移植が行われている。他の被検体として、慢性的感染又は前進感染の被検体とすることができる。特定の実施形態において、被検体は、敗血症、心内膜症、人工関節を含む関節の感染、又は軟組織感染の疑いがあるか、又はこれに罹患した者であってもよい。一実施形態において、被検体は、敗血症の疑いがあるか、又はこれに罹患した新生児である。他の実施形態において、疑われる感染は、例えば、妊娠中の羊膜内感染(絨毛膜羊膜炎)等、子宮内で発生する。
本発明の文脈において、「コントロール」又は「コントロール群」とは、各々、健康又は健康と考えられる、すなわち、疾病に罹患していないか、又は少なくとも被検体が試験されているのと同一の疾病には罹患していない被検体からの生物試料又は被検体群からの試料をいう。コントロール又はコントロール群は、例えば、同様の年齢、同一の性別又はジェンダー、同一の社会的暮らす又は同一の民族グループ、又は国、州、若しくは市の略同一の領域に居住する者等、種々の方法で被検体に適合する健康な個人からの試料を含むことが好ましい。
本発明の文脈において、「健康な」という用語は、特定の疾病のいずれの兆候も示していない被検体をいい、現在疾病の進行していない被検体であることが好ましい。例えば、健康な被検体は、感染又は疾病の兆候を示していないものの、種々の片利共生的微生物の種の宿主である。被検体は、感染しているものの、感染が明らかでない感染のステージである者でないことが好ましい。
本明細書において使用される「生物試料」には、被検体から得られるいずれかの生物試料、例えば被検体の身体から得られる生物試料が含まれる。このような生物試料の例として、全血、血漿や血清等の血液分画、組織のスメア又はスワブ、唾液、気管支吸引物、尿、精液、排泄物、胆液、消化管分泌物、生殖系分泌物、羊水、滑液、リンパ液、濃縮液、骨髄、組織吸引物及びパンチ生検を含む組織生検が含まれる。任意で、生物試料は、患者の粘膜から得ることができる。「生物試料」という用語は、例えば、核酸又は単離細胞等、画分又は単離体等、処理済みの生物試料も含み得る。生物試料は、例えば、ゲノムDNA又はmRNA等、核酸を含み、核酸のシーケンスが判定できることが好ましい。一実施形態において、生物試料は、感染の兆候を示す等、病態の兆候を示す組織から得られたものであり得る。好適な実施形態において、生物試料は、被検体から得られた血液又は血漿である。このサンプルを、本発明の方法で分析し、通常、方法実施中又は実施後、身体中に戻すことは行わない。ほとんどの実施形態において、本発明の方法の実施に、被検体の身体自体の有無は必ずしも必要でない。
一実施形態において、生物試料は、好ましくは、被検体から直接得られた血漿である。この血漿は、無細胞であることが好ましく、主として/多くの場合、例えば、細胞10,000個/mL、1,000個/mL、100個/mL、又は10個/mL等の無細胞であることが好ましい。例えば、血漿等の生物試料は、被検体の核酸、被検体のものでない核酸、例えば、微生物の核酸を含む自由循環核酸を含んでもよい。一実施形態において、生物試料は、希釈又は濃縮することができる。他の実施形態において、サンプルは、シーケンシングに先立って処理され、シーケンシングに先立って精製して脂質やタンパク質等の細胞成分を除去することが好ましい。一実施形態において、生物試料は、無細胞核酸のみにシーケンシングが実施されるように、シーケンシングに先立って処理される。
生物細胞の得られる患者の組織には、喉、口、鼻、胃、腸、皮膚、関節、肝臓、膵臓、肺、神経、頸部、膣、子宮、尿道、直腸、陰茎、及び筋肉が含まれるが、これに限定されるものでない。患者及び/又は適切な組織から生物試料を得る好適な方法が、本発明とともに使用され得る。
「インビボ」という用語は、被検体の状況に関連する。
「ゲノム」という用語は、生物又は細胞の染色体における遺伝情報の総量をいう。
「エクソーム」という用語は、発現した遺伝子のコーディング部分である、エクソンで形成された生物のゲノムの部分をいう。エクソームは、タンパク質と、他の機能遺伝子産物との合成に使用される遺伝子設計図を提供する。これが、ゲノムの最も機能的に関連する部分であるため、生物の表現型に寄与する確率が最も高い。ヒトゲノムのエクソームは、全ゲノムの1.5%を占めると推定されている(Ngら、2008年、PLoS Gen 4(8):1~15)。
「トランスクリプトーム」という用語は、1つの細胞又は細胞の集合体において生成されるmRNA、rRNA、tRNA、及びその他のノンコーディングRNAを含む、すべてのRNA分子のセットに関連する。本発明の文脈において、トランスクリプトームとは1つの細胞、細胞の集合体、又は特定の時点における所与の個体におけるすべての細胞において生成されたすべてのRNA分子のセットを意味する。
「遺伝物質」という用語には、DNA又はRNAを問わず単離核酸、二重螺旋片、染色体片、生物又は細胞の全ゲノム、特にそのエクソーム又はトランスクリプトームが含まれる。
本発明によると、「核酸」とは、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)であることが好ましい。核酸には、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、組み換え生成分子、及び化学合成分子が含まれる。核酸は、一本鎖又は二本鎖の直鎖状又は共有結合閉環状の分子と、これらの組み合わせとして存在してもよい。核酸は、単離可能である。核酸は、自由循環DNA及び/又はRNAの分子であることが好ましい。一実施形態において、「核酸」という用語は、「核酸シーケンスを意味するものとしても理解される。さらに、シーケンシングに先って、核酸に処理を施すことができ、例えば、濃縮又は増幅することができる。試料から得られた核酸がRNAである場合、このRNAは、シーケンシングのためにDNAに逆転写することができ、又はRNA自体にシーケンシングを施すことができる。
「変異」という用語は、参照と比較した核酸シーケンス(ヌクレオチド置換、添加、又は欠失)の変化又は差異をいう。「体細胞変異」は、生殖細胞(精子及び卵子)以外の体の細胞のいずれかに発生し得るものであるため、子供に遺伝的に伝えられるものでない。これらが変化すると、癌やその他の疾病となり得る(必ずしもこれを引き起こすものでない)。変異とは、非表現変異であることが好ましい。「非表現変異」という用語は、翻訳産物中のアミノ酸置換等、アミノ酸変化を結果として生じる変異、好ましくは、ヌクレオチド置換をいう。
本発明によると、「変異」という用語には、点変異、インデル、融合、染色体破砕、及びRNA編集が含まれる。
本発明によると、「インデル」という用語は、共極挿入及び欠失と、ヌクレオチドの純増加又は損失を結果として生じる変異として規定される、特別な変異クラスをいう。ゲノムのコーディング領域において、インデルの長さが3の倍数でない限り、これらはフレームシフト変異を生じる。インデルは、点変異と対照的であり、インデルがシーケンスに対してヌクレオチドの挿入及び欠失を行うのに対して、点変異は、ヌクレオチドのうちの1つを置き換える置換の形態を採る。
本発明によると、「染色体破砕」という用語は、ゲノムの特定領域が損なわれた後、単一の圧倒的イベントを通じてともにつなぎ合わせられる遺伝子現象をいう。
融合により、当初は2つの別個の遺伝子であったものから形成されたハイブリッド遺伝子を生成することができる。これは、転座、中間部欠失、又は染色体逆位の結果として生じ得る。多くの場合、融合遺伝子は発癌遺伝子である。発癌性融合遺伝子は、2つの融合パートナーから新たな、又は異なる機能を備えた遺伝子産物を生じることがある。或いは、癌原遺伝子が強いプロモータ遺伝子と融合されると、発癌機能が上流融合パートナーの強いプロモータ遺伝子によって生じる発現上昇による機能に設定される。発癌性融合転写はまた、トランススプライシング又はリードスルーイベントによっても生じることがある。
本発明の文脈において、「シーケンシング」という用語は、少なくとも1つの核酸のシーケンスを判定することをいい、これには、少なくとも1つの核酸の鎖における塩基の潤を判定するのに使用される任意の方法が含まれる。シーケンシングの好適な方法は、次世代シーケンシング又は第三世代シーケンシング等のハイスループットシーケンシングである。
明確にするため、本発明の文脈における「次世代シーケンシング(Next Generation Sequencing)」又は「NGS」という用語は、サンガー法として知られている「従来の」シーケンシング方法論とは対照的に、全ゲノムを小片に分解することにより、全ゲノムと平行してランダムに核酸テンプレートを読む、あらゆるハイスループットシーケンシング技術を意味するものである。このようなNGS技術(大規模並列シーケンシング技術としても知られている)により、非常に短期間の間、例えば、1~2週間、好ましくは1~7日間、最も好ましくは24時間未満の間に、全ゲノム、エクソーム、トランスクリプトーム(ゲノムの全転写シーケンス)、又はメチローム(ゲノムの全メチル化シーケンス)の情報を伝達し、原則的には、単一細胞シーケンシングアプローチを可能にする。本発明の文脈において、市販又は参考文献、例えば、Zhangらによる2011年の「The impact of next-generation sequencing on genomics」、J.Genet Genomics 38:95~109、又は、Voelkerdingらによる2009年の「Next generation sequencing」、From basic research to diagnostics、Clinical chemistry 55:641~658において言及した複数のNGSプラットフォームを使用することができる。このようなNGS技術/プラットフォームの非限定的な例として、
1)Ronaghiらによる1998年の「A sequencing method based on real-time pyrophosphate」、Science 281:363~365に最初に記載されたRoche-associated company 454 Life Sciences(Branford, Connecticut)のGS-FLX 454 Genome sequencer(商標)において実施されている、パイロシーケンシングとして既知の合成技術によるシーケンシングが挙げられる。この技術では、一本鎖DNA結合ビーズが、エマルジョンPCR増幅のためにオイルで包囲された水性ミセル含有PCR反応物質への激しいボルテックスでカプセル化されたエマルジョンPCRを使用する。
2)パイロシーケンシングのプロセス中、ヌクレオチド取り込み中のリン酸分子から発せられる光が、DNA鎖を合成する重合酵素として記録される。可逆ダイターミネータに基づき、例えば、Illumina/Solexa Genome Analyze(商標)及びIllumina HiSeq 2000 Genome Analyzer(商標)において実施される、Solexa(現在、Illumina Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)の一部である)によって開発された、合成によるシーケンシングのアプローチ。本技術において、4つすべてのヌクレオチドが、DNA重合酵素とともに流動細胞チャンネル中のオリゴプライムクラスターフラグメントに同時に添加される。ブリッジ増幅により、シーケンシングのため、4つすべての蛍光ラベルされたヌクレオチドを備えたクラスタ鎖を伸長する。
3)例えば、Applied Biosystems(現在、Life Technologies Corporation(カリフォルニア州カールスバッド))のSOLid(商標)プラットフォームで実施される、ライゲーションによるシーケンシングのアプローチ。本技術において、シーケンシングされた位置に応じて、固定長の可能なあらゆるオリゴヌクレオチドのプールをラベル付けする。オリゴヌクレオチドは、アニール及び連結される。シーケンスを合致させるためのDNAリガーゼによる優先的連結により、結果として、その位置のヌクレオチドを知らせる信号を生じる。シーケンシングに先立って、DNAをエマルジョンPCRで増幅する。結果として得られたビーズは、各々、同一のDNA分子の複写のみを含むものであるが、これをガラススライド上に載せる。第2の例として、Dover Systems(ニューハンプシャー州セーラム)のPolonator(商標)G.007プラットフォームも、並列シーケンシングのためにDNA片を増幅するようにランダム配列のビーズをベースとするエマルジョンPCRを用いた連結によるシーケンシングのアプローチを採用している。
4)例えば、Pacific Biosciences(カリフォルニア州メンロパーク)のPacBio RSシステム、又は、Helicos Biosciences(マサチューセッツ州ケンブリッジ)のHeliScope(商標)プラットフォームにおいて実施された単一分子シーケンシング技術。本技術の目立つ特徴として、Single-Molecule Real Time(SMRT)DNAシーケンシングとして規定される、増幅を伴うことなく、単一のDNA又はRNA分子にシーケンシングを施す能力が挙げられる。例えば、HeliScopeでは、合成された各ヌクレオチドを直接検出する、高感度蛍光検出システムを使用する。Visigen Biotechnology(テキサス州ヒューストン)から、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づく同様のアプローチが開発されている。その他の蛍光ベースとする単一分子技術として、U.S.Genomics(GeneEngine(商標))及びGenovoxx (AnyGene(商標))が挙げられる。
5)例えば、複写中、一本鎖の重合酵素分子の移動をモニタリングするために、チップに配置された種々のナノ構造が使用される単一分子シーケンシングのためのナノテクノロジー。ナノテクノロジーを基準とするアプローチの非現敵的な例として、Oxford Nanopore Technologies(英国オックスフォード)のGridON(商標)プラットフォーム、Nabsys(ロード島プロビデンス)で開発されたhybridization-assisted nano-pore sequencing(HANS(商標))プラットフォーム、及びDNA nanoball (DNB)を備えた、combinatorial probe-anchor ligation (cPAL(商標))と称されるproprietary ligase-based DNA sequencing platformが挙げられる。
6)例えば、LightSpeed Genomics(カリフォルニア州サニービル)及びHalcyon Molecular(カリフォルニア州レッドウッド市)等の電子顕微鏡ベースの単一分子シーケンシングのための技術。
7)DNAの重合中に解放される水素イオンの検出を基準としたイオン半導体シーケンシング。例えば、Ion Torrent Systems(カリフォルニア州サンフランシスコ)では、大規模並列的に、この生化学プロセスを実施するために微小加工ウェルの高密度アレイを使用する。各ウェルは、異なるDNAテンプレートを保持する。ウェルの下には、イオン感受層が有り、その下には、独自のイオンセンサがある。
本発明の文脈において有用な他のシーケンシング方法として、トンネル電流シーケンシング(Xuらによる2007年のThe electronic properties of DNA bases、Small 3:1539-1543、Di Ventraによる2013年のFast DNA Sequencing by electrical means inches closer、Nanotechnology 24:342501)が挙げられる。特に好適な次世代シーケンシング(NGS)方法論には、Illumina、IONTorrent、及びNanoPore Sequencingが含まれる。
DNA及びRNAの調製物は、NGSの開始材料となることが好ましい。このような核酸は、例えば、血液から、新鮮、急速冷凍、若しくはホルマリン固定された組織試料から、又は新鮮に分離された細胞から、患者の周辺血液に存在する循環腫瘍細胞(CTC)から得られた生物試料より容易に得られる。正常な(変異していない)ゲノムDNA又はRNAを正常な身体組織から得られるが、生殖細胞が好適である。生殖DNA又はRNAが非血液悪性腫瘍を罹患した患者における周辺血液単核球細胞(PBMC)から抽出可能である。抽出された核酸は高度に断片化可能であるが、それにもかかわらず、NGS用途には好適でない。
文献(参考として、例えば、「Teer and Mullikin」2010年のHuman Mol Genet 19:R145~51を参照のこと)には、エクソームシーケンシングのための標的NGS法がいくつか記載されている。これらの方法(例えば、ゲノム捕捉、ゲノム分割、ゲノムエンリッチメント等として記載されている)のうちの多くでは、ハイブリッド化技術を用い、アレイベース(例えば、Hodgesらによる2007年のNat Genet 39:1522~1527)や液体ベース(例えば、Choiらによる2009年のProc Natl Acad Sci USA 106:19096~19101)のハイブリッド化が含まれる。DNA試料調製と続くエクソーム捕捉のための市販のキットも利用可能であり、例えば、Illumina Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)は、TruSeq(商標)DNA Sample Preparation Kitや、Exome Enrichment Kit TruSeq(商標)Exome Enrichment Kitを提供している。
一旦核酸にシーケンシングが施されると、結果として得られたシーケンス(シーケンシングの施されたリード)を、好ましくは複数の種からの遺伝情報を備えた1つ以上のデータベースと比較することができ、シーケンスの施されたリードが被検体及び/又は特定の微生物から等、特定の種からのものであるか判定できるようになり、これにより、特定の微生物にマップするシーケンスの施されたリードの数と、特定の種にマップする、すなわち、被検体や任意の微生物にマップするシーケンシングの施されたリードの数とを判定することができるようにする。上述の通り、いずれの種にもマップできない、シーケンシングの施されたリードは、本発明では使用しない。当初の種についての情報を提供するためにシーケンシングの施されたリードをマップする方法は、当分野において周知されており、このような任意の好適な方法を本発明とともに使用することができる。例えば、Wood及びSalzberによる2014年のGenome Biol 15:R46に記載のKraken超高速メタゲノミクスを使用することができる。他の一例としての方法として、Sedlazeckらによる2013年のBioinformatics 29:2790~2791に記載のNextGenMapが挙げられる。さらに他の一例としての方法として、Naccacheらによる2014年のGenome Res 24:1180~1192に記載の臨床試料の次世代シーケンシングからの超高速病原体同定のためのクラウド相互運用バイオインフォマティクスパイプラインが挙げられる。当分野において既知であり、本発明において有用であるさらなる方法として、Husonらによる2007年のGenome Res 17:377~386、Freitasらによる2015年のNucl Acids Res 43:e69、及びKimらによる2016年のGenome Res 26:1721~1729が挙げられるが、これに限定されるものでない。
本発明のある実施形態において、シーケンスの検出及び比較において偽陽性が発見される数を低減するために、複製においてシーケンスの判定/比較を行うことが好ましい。従って、生物試料中の核酸シーケンスが2度、又は3度以上判定されることが好ましい。一実施形態において、腫瘍試料の核酸シーケンスは、2度、又は3度以上判定される。ゲノムDNA中のシーケンスを少なくとも1度判定し、上述の試料のRNA中のシーケンスを少なくとも1度判定することにより、シーケンスを1度よりも多く判定することができるようにしてもよい。例えば、試料の複製間の変動を判定することにより、統計的量として偽陽性(FDR)変異の期待値を推定することができる。試料を技術的に反復することにより、同一の結果を生成しなければならず、この「同一対同一比較」において検出されたいずれの変異も偽陽性である。さらに、マシンラーニングのアプローチを使用して、種々の品質関連測定基準(例えば、カバー率又はSNP品質)が単一の品質スコアに統合されてもよい。所与の体細胞変異について、品質スコアを超過した他のすべての変動について、計数してもよく、データセット中のすべての変動についてランキングを可能にする。
本発明の文脈において、「データベース」という用語は、好ましくは、電子ファイリングシステムとして整理された収集データと、従来のフォーマットで記憶されたデータのシステム又はリポジトリであるデータレーク等、非構造的収集データとに関連し得る。レポート、可視化、分析及びマシンラーニング等のタスクに使用されるソースシステムデータ及び変換データのローコピーを含む、あらゆるエンタープライズデータの単一記憶部であり得る。
いくつかの実施形態において、データレークには、関連データベースからの構造的データ(行および列)、半構造的データ(CSV、ログ、XML、JSON)、非構造的データ(電子メール、文書、PDF)、及び/又は2値データ(画像、音声、動画)が含まれ得る。一実施形態において、シーケンスデータベースは、コンピュータに記憶された演算済み(「デジタル」)核酸シーケンス、タンパク質シーケンス、又はその他のポリマーシーケンスの集合からなる種のデータベースである。データベースは、核酸シーケンスの集合、すなわち、多数の種からの遺伝子情報であることが好ましい。遺伝子情報は、種のゲノム及び/又はエクソーム及び/又はトランスクリプトームから導出可能である。本発明において有用な例としての核酸データベースには、International Nucleotide Sequence Database(INSD)、DNA Data Bank of Japan (National Institute of Genetics)、EMBL(European Bioinformatics Institute)、GenBank(National Center for Biotechnology Information)、Bioinformatic Harvester、Gene Disease Database,SNPedia、CAMERA Resource for microbial genomics and metagenomics,EcoCyc(モデル生物である大腸菌K-12のゲノム及び生化学的加工を記述したデータベース)、Ensembl Genomes((Ensemblソフトウェアプラットフォームを使用した)相互作用プログラマティックインタフェースの統合セットを通じてバクテリア、原生生物、菌類、植物、及び無脊椎後生動物についてのゲノムスケールデータを提供するもの)、Exome Aggregation Consortium(ExAC)(広範に亘る大規模シーケンシングプロジェクトからのエクソームシーケンシングデータ(Broad Institute))、PATRIC(PathoSystems Resource Integration Center)、MGI Mouse Genome(Jackson Laboratory)、JGI Genomes of the DOE-Joint Genome Institute(多数の真核生物及び微生物のゲノムのデータベースを提供する))、National Microbial Pathogen Data Resource(Campylobacter、Chlamydia、Chlamydophila、Haemophilus、Listeria、Mycoplasma、Neisseria、Staphylococcus、Streptococcus、Treponema、Ureaplasma、及びVibrioといった病原体についてのアノテーション付きゲノムデータの手動精製データベース)、RegulonDB(大腸菌K-12の転写開始又は制御ネットワークの複雑な制御モデル)、Saccharomyces Genome Database(酵母モデル生物のゲノム)、Viral Bioinformatics Resource Center(11個のウィルスファミリーについてのアノテーション付きゲノムデータを含む精製データベース)、The SEED platform(あらゆる完全微生物ゲノムと、大部分の部分的ゲノムとを含むものであって、このプラットフォームを用いて、サブシステムを使用し、微生物ゲノムのアノテーション付けを行う)、WormBase ParaSite(parasitic species)、UCSC Malaria Genome Browser(マラリアの原因となる種のゲノム(Plasmodium falciparumその他))、Rat Genome Database(シチロウネズミについてのゲノム及びフェノタイプデータ)、INTEGRALL(抗生物質耐性に含まれるインテグロン、バクテリア遺伝要素に特化したデータベース)、VectorBase(NIAID Bioinformatics Resource Center for Invertebrate Vectors of Human Pathogens)、EzGenome、原核生物(始原菌及びバクテリア)の手動精製ゲノムP路ジェクトについての総合的情報、GeneDB(Apicomplexan Protozoa、Kinetoplastid Protozoa、Parasitic Helminths、Parasite Vectors、並びにいくつかのバクテリア及びウィルス)、EuPathDB(真核生物病原体データベースリソースには、アメーバ、菌類、マラリア原虫、トリパノソーマ類等が含まれる)、The 1000 Genomes Project(多数の異なるエスニックグループからの1000を超える匿名参加者のゲノムを提供する)、Personal Genome Project(ヒトゲノムを提供する)が含まれるが、これに限定されるものでない。
その他のデータベースには、同一の被検体の健康な組織及び罹患した組織の遺伝子情報を含むデータベース等、個人的データベースが含まれ得る。このようなデータベースは、治療後の癌の再出現に対するスクリーニングや、被検体における治療有効性のモニタリングを実施する方法において有用であり得る。
本発明の文脈において、「シーケンスリード」又は「リード」という用語は相互交換可能に使用されており、シーケンシングによってヌクレオチドシーケンスが判定され、好ましくはある種へ割り当てられる、好ましくは各種のゲノムにマップされる任意のサイズの特定核酸をいう。好適な実施形態において、リードは、被検体及び/又は微生物等、特定の種に分類され、好ましくは特定の微生物に分類される。一実施形態において、リードは、それらの個体数によって正規化され得る。
本発明のさらなる実施形態は、被検体における病態又は疾病、例えば、感染性疾病の診断方法に関連し、本発明に係る被検体中の病態又は疾病の判定方法を実施する。
一実施形態において、本発明は、被検体の感染状況をモニタリングし、好ましくは、治療中の被検体と治療に対する応答とをモニタリングする方法を提供するものであり、本発明に係る被検体中の感染状況の判定方法を実施する。
このような方法は、疾病を罹患した被検体の同定に関連し、好ましくは、疾病のスクリーニングに関連し、好ましくは予防的医療分析に関連する。好適な実施形態において、このような方法では、被検体中の微生物の発生と疾病の進行との層間を同定する。
本発明は、病態が少なくとも1つの微生物、例えば、少なくとも1つのウィルス、バクテリア、菌類、又は寄生生物の核酸の異常な、特に病原量を特徴とする方法に関連する。
いずれかの微生物、好ましくは、その核酸シーケンスが既知であるものが、被検体に存在することを判定することができ、被検体の疾病の病原体として判定することができる。被検体中に存在が判定可能な例としての微生物には、ウィルス、バクテリア、菌類、及び寄生虫が含まれる。例としてのバクテリアには、髄膜炎菌、肺炎レンサ球菌、化膿レンサ球菌、モラクセラ・カタラーリス、百日咳菌、黄色ブドウ球菌、破傷風菌、ジフテリア菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、連鎖球菌、クラミジアトラコマチス、クラミジア肺炎病原体、ヘリコバクターピロリ、大腸菌、炭疽菌、ペスト菌、表皮ブドウ球菌、ウェルシュ菌、ボツリヌス菌、レジオネラニューモフィラ、コクシエラ菌、ブルセラアボルツス、ブルセラカニス、ブルセラメリテンシス、ブルセラネオトマ、ブルセラオービス、ブルセラスイス、ブルセラピニペディ等のブルセラ属菌、フランシセラノビシダ、フランシセラフィロミラギア、フランシセラツラレンシス等のフランシセラ属菌、淋菌、梅毒トレポネーマ、軟性下疳菌、エンテロコッカスファエカリス、エンテロコッカスフェシウム、スタフィロコッカスサプロフィティクス、エンテロコリチカ菌、結核菌サルモネラ属菌、リステリア・モノサイトゲネス、コレラ菌、腸チフス菌、ボレリアブルグドルフェリ、ポルフィロモナスジンジバリス、クレブシエラ属菌、クレブシエラ・ニューモニエが含まれるが、これに限定されるものでない。
例としてのウィルスには、インフルエンザA、B、又はCウィルス等のオルソミキソウィルス科;ニューモウイルス(例えば、呼吸系発疹ウィルス(RSV))、パラミクウィルス(例えば、パラインフルエンザウィルス)、メタニューモウイルス及びモルビリウイルス(例えば、麻疹)等のパラミクソウィルス科ウィルス;オルソポックスウィルス(例えば、大痘瘡及び小痘瘡を含む痘瘡ウィルス)等のポックスウィルス科;エンテロウイルス(例えば、ポリオウィルスで、例えば、タイプ1、タイプ2、及び/又はタイプ3のポリオウィルス、EV71のエンテロウイルス、コクサッキーA又はBウィルス)、ライノウィルス、ヘパドナウィルス、カルジオウィルス、及びアフトウィルス等のピコルナウィルス科;オルソブニヤウィルス(例えば、カリフォルニア脳炎ウィルス)、フレボウィルス(例えば、リフトバレー熱ウィルス)、又は神経ウィルス(例えば、クリミア・コンゴ出血熱)等のブニャウィルス;ヘパルナウィルス(例えば、A型肝炎ウィルス(HaV、B、及びC);フィロウイルス科(例えば、(ザイール、コートジボワール、レストン、又はスーダンのエボラウィルスを含む)エボラウィルス又はマールブルグウィルス);トガウィルス(例えば、風疹ウィルスを含む、ルビウィルス、アルファウィルス、及びアルテリウィルス);フラビウイルス(例えば、ダニ媒介性脳炎(TBE)ウィルス、デング(タイプ1、2、3、又は4)ウィルス、黄熱ウィルス、日本脳炎ウィルス、キャサヌル森林病ウィルス、ウエストナイルウィルス、セントルイス脳炎ウィルス、ロシア春夏脳炎ウィルス、及びポワッサン脳炎ウィルス);ペスチウィルス(例えば、牛ウィルス性下痢ウィルス(BVDV)、豚コレラ(CSFV)、及びボーダー病(BDV));ヘパドナウィルス(例えば、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、デルタ肝炎ウィルス、E型肝炎ウィルス、又はG型肝炎ウィルス);ラブドウィルス(例えば、リッサウィルス、狂犬病ウィルス、及びベシクロウィルス(VSV));カリシウイルス(例えば、ノーウォークウイルス(ノロウィルス)と、ハワイウィルス及びスノーマウンテンウィルス等のノーウォーク様ウィルス);コロナウィルス(例えば、SARSコロナウィルス、鶏伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウィルス(MHV)、及びブタ伝染性胃腸炎ウィルス(TGEV));レトロウィルス(例えば、癌ウィルス、レンチウイルス(例えば、HIV-1又はHIV-2)又はスプマウィルス);レオウィルス(例えば、オルトレオウイルス、ロタウィルス、オルビウィルス、及びコルティウイルス);パルボウィルス(例えば、パルボウィルスB19);ヘルペスウィルス(例えば、HSVタイプ1および2である、単純ヘルペスウルス、水痘帯状疱疹ウィルス(VZV)、エプスタインバールウィルス(EBV)、サイトメガロウィルス(CMV)、ヒトヘルペスウィルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウィルス7(HHV7)、及びヒトヘルペスウィルス8(HHV8)等のヒトヘルペスウィルス);パポバウイルス(例えば、血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63、又は65であり、好ましくは、血清型6、11、16、及び/又は、18のうちの1つ以上から選ばれる、パピローマウィルス及びポリオーマウィルス);アデノウィルス血清型36(Ad-36)等のアデノウィルスが含まれるが、これに限定されるものでない。
例としての菌類には、エピデルモフィトンフロッコーズム、ミクロポルムジプセウム、ミクロスポルムカニス、ミクロスポルムジストルツム、ミクロスポルムエキナム、ミクロスポルムジプサム、ミクロスポルムナヌム、トリコフィトンコンセントリカム、トリコフィトンエキナム、トリコフィトンガリネ、トリコフィトンジプセウム、トリコフィトンネグニーニ、トリコフィトンメンタグロファイト、トリコフィトンキンケアヌム、トリコフィトンルブルム、トリコフィトンスコエンレイニ、トリコフィトントンスラン、トリコフィトンベルコースム、T.ベルコースムバーアルバム、var.ディスコイド、var.オクラセウム、トリコフィトンビオラセウム、及び/又はトリコフィトンファヴィフォルムを含む白癬菌;アスペルギルスフミガーツス、アスペルギルスフラーブス、アスぺルギルスニガー、アスペルギルスニデュランス、アスペルギルステレウス、アスペルギルスシドウィ、アスペルギルスフラバタス、アスペルギルス・グラウカス、ブラストシゾミセスキャピタタス、カンジダアルビカンス、カンジタノラーゼ、カンジタトロピカリス、カンジタグラブラータ、カンジタクルセイ、カンジタパラプシロシス、カンジタステラトイデア、カンジタクセイ、カンジタパラクーセイ、カンジタルシタニア、カンジタプソイドトロピカリス、カンジタギリエルモンジィ、クラドスポリウムカリオニイ、コクシジオイデスイミチス、ブラストマイセスデルマチチジス、クリプトコックスネオフルマンス、ジオトリカムクレバタム、ヒストプラスマカプスラーツム、微胞子虫類、脳炎性胞子虫属、セプタタインテスティナリス、及びエンテロシトゾーンビエヌーシ;ブラチオラ属、ミクロスポリジウム属、ノセマ属、プレイストフォラ属、トラチプレイストフォラ属、ヴィタフォルマ属、パラコクシジオイデスブラジリエンシス、ニューモシスティスカリニ、ピシウムインシジオサム、ピチロスポルムオバーレ、サッカロミセスセレビシエ、サッカロミセスブラウディ、サッカロミセスポンベ、スケドスポリウムアポオスペラム、スポロトリックスシェンキイ、トリコスポロンベイゲリ、トキソプラズマゴンディ、ペニシリウムマルネッフェイ、マラセチア属、フォンセセア属、ワンギエラ属、スポロトリックス属、バジジオボルス属、コニディオボルス属、クモノスカビ属、ムコール属、アブシディア属、モルティエラ属、カニングハメラ属、サクセネア属、アルテルナリア属、クルブラリア属、ヘルミントスポリウム属、フザリウム属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、モノリニア属、リゾクトニア属、ペシロミセス属、ピソマイセス属、及びクラドスポリウムが含まれるが、これに限定されるものでない。
例としての寄生虫には、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫等のマラリア原虫と、特に、例えば、サケジラミ及びカリグス・ロゲルクレッセイイ等の船虫から得られるものを含むが、これに限定されるものでない。
本発明の文脈において、「抗生物質耐性」という用語は、バクテリアを殺す感受性、すなわち抗生物質の成長阻害特性の喪失を意味する。これはまた、微生物を原因とする感染の治療に当初は有効であった抗菌薬に対する、その微生物の耐性にも関連する。バクテリア、菌類、ウィルス、及び寄生虫を含む、耐性を備えた微生物は、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウィルス訳、及び抗マラリア薬等の抗菌薬による攻撃に耐えることができ、標準の治療が無効になり、感染が続く。
本発明によると、「腫瘍」又は「腫瘍疾病」という用語は、好ましくは腫れ又は病変を形成する、細胞の異常成長(新生物細胞、腫瘍形成細胞、又は腫瘍細胞と称する)をいう。「腫瘍細胞」とは、急速かつ制御の効かない細胞増殖によって成長し、新たな成長を開始する刺激が停止した後にも成長を続ける異常細胞を意味する。腫瘍は、構造的組織と正常な組織との機能的調和が部分的又は完全に欠如しており、通常、目立つ組織の塊を形成するが、これは、良性、前癌状態、悪性であり得る。
癌(医学用語:悪性新生物)は、細胞群が制御されない成長(正常な限界を超えて分割)、侵攻(隣接組織への侵攻と破壊)、及び場合によっては転移(リンパ又は血液を介して体内の他の箇所に広がること)を示す疾病のクラスである。これら3つの癌の悪性的特性により、自己限定的で、他部位に侵攻したり転移したりしない良性腫瘍とは異なる。多くの癌は、腫瘍を形成するものの、白血病等、いくつかのものでは腫瘍を形成しない。悪性度、悪性新生物、及び悪性腫瘍とは、基本的に、癌と同義である。
新生物とは、申請の結果として生じる異常に対象な組織のことである。新形成(ギリシャ語で新たな成長の意)は、細胞の異常増殖である。細胞の成長が可能であり、その周囲の正常な組織と調和しない。刺激停止後であっても、同様に過剰な成長が続く。通常、これがしこり又は腫瘍を生じる。新生物とは、良性、前癌状態、又は悪性であり得る。
本発明に係る「腫瘍の成長」又は「腫瘍成長」とは、腫瘍のサイズが大きくなる傾向、及び/又は、腫瘍細胞が増殖する傾向に関連する。
本発明の目的のため、「癌」及び「癌疾病」という用語は、「腫瘍」及び「腫瘍疾病」と相互交換可能に使用する。
癌は、腫瘍に類似したタイプの細胞と、故に腫瘍の元となると推定される組織によって分類される。これらは、各々、組織学と位置とである。
本発明に係る「癌」という用語には、癌腫、腺癌、芽細胞腫、白血病、黒色腫、テラトーマ、リンパ腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、副腎癌、甲状腺癌、血液癌、皮膚癌、脳の癌、子宮頸癌、腸癌、肝臓癌、大腸癌、胃癌、頭部及び頸部の癌、胃腸癌、リンパ節癌、食道癌、結直腸癌、膵臓癌、耳鼻咽頭(ENT)癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、肺癌、及びそれらの転移が含まれる。その例として、肺癌腫、乳癌腫、前立腺癌腫、大腸癌腫、腎細胞癌腫、子宮頸癌腫、又は上述の癌のタイプ又は腫瘍の転移が挙げられる。本発明に係る癌という用語には、癌転移及び癌再発も含まれる。
本発明によると、「癌腫」とは、上皮細胞に由来する悪性腫瘍である。この群は、一般的な形態の乳癌、前立腺癌、肺癌、及び大腸癌を含む、最も一般的な癌を表す。「腺癌」とは、腺組織を起点とする癌である。この組織は、上皮組織としても既知のより大きな組織のカテゴリ―の部分でもある。上皮組織には、皮膚、腺と、体腔及び臓器に並ぶその他種々の組織とが含まれる。上皮は、外胚葉、内胚葉、及び中胚葉から発生学的に由来するものである。腺癌として分類するには、分泌脳を備える限り、その細胞が必ずしも腺の一部である必要はない。この形態の癌腫は、ヒトを含むより高度な哺乳動物において発生し得る。よく分化された腺癌は、由来する腺組織に類似する傾向にあるが、よく分化のされてないものはそのような傾向にない。生検から細胞を染色することにより、病理学者は、腫瘍が腺癌であるのか、その他のタイプの癌であるのかを判定するであろう。腺癌は、体内の至るところに存在する腺の特性上、体の多くの組織に発生し得る。各腺は、細胞に対する外分泌機能のある限り、同一の物質を分泌するものでないが、そのため、腺の悪性の形態が腺癌と称されると考えられる。悪性腺癌は、他の組織にも侵攻し、多くの場合、十分な時間が与えられれば転移する。卵巣腺癌は、最も一般的なタイプの卵巣癌腫である。これには、深刻な粘液性の腺癌、明細胞腺癌、及び子宮内膜腺癌が含まれる。
「転移」とは、体の当初の部位から他の部分に癌細胞が広がることを意味する。転移の形成は、非常に複雑なプロセスであり、原発腫瘍からの悪性細胞の分離、細胞外マトリクスの侵入、血液による移動後の体腔及び血管に入る内皮基底膜の貫通、標的組織の湿潤に依存する。最終的に、標的部位における新たな腫瘍、すなわち二次腫瘍又は転移性腫瘍の成長は血管新生に依存する。腫瘍の転移は、原発腫瘍の除去後にも、腫瘍細胞又は成分が残存して転移能を増すために、頻繁に生じる。一実施形態において、本発明に係る「転移」という用語は、原発腫瘍や所属リンパ節系統から離間した転移に関連する「遠隔転移」に関連する。
二次腫瘍又は転移性腫瘍の細胞は、当初の腫瘍のものと類似している。これは、例えば、乳癌が肝臓に転移した場合、二次腫瘍は、異常胸部細胞からなるものであり、異常肝細胞からなるものでない。このため、肝臓の腫瘍は肝臓癌でなく、転移性乳癌と称される。
「循環腫瘍細胞」又は「CTC」という用語は、原発腫瘍又は腫瘍転移から分離し、血流において循環する細胞に関連する。CTCは、続いて異なる組織においてさらなる腫瘍(転移)が成長する種子となり得る。循環腫瘍細胞は、転移性疾患を罹患した患者の全血において、1mL当たり1~10個オーダーのCTCという頻度で見られる。CTCを分離する研究方法が開発されている。当分野において、CTCを分離するためのいくつかの研究方法、例えば、上皮細胞が正常の血液細胞中には存在しない細胞接着タンパク質EpCAMを一般的に発現するという事実を用いた技術が説明されている。免疫磁性ビーズベースの捕捉には、磁気粒子に抱合されたEpCAMに対する抗体で血液検体を処理した後、磁界中でタグ付けされた細胞を分離することが含まれる。その後、分離された細胞を、他の上皮マーカー、サイトケラチン、及び共通白血球マーカーCD45に対する抗体で染色し、汚染白血球から希少CTCを区別するようにする。このロバスト且つ半自動的なアプローチでは、約CTC約1個/mLの平均収率と、0.1%の純度で、CTCを同定する(Allardらによる2004年のClin Cancer Res 10:6897~6904)。CTCを分離する第2の方法では、EpCAMへの抗体をコーティングすることで機能を備えた80,000個のマイクロポストをいれたチャンバに全血を流動させることを含む、微小流体ベースCTC捕捉装置を使用する。その後、前立腺癌におけるPSA又は乳癌におけるHER2等、サイトケラチン又は組織特有マーカーのいずれかに対する二次抗体でCTCを染色し、3次元座標に沿った複数の面において、マイクロポストの自動スキャンで可視化する。CTCチップは、細胞50個/mlの収率中央値と1~80%の範囲の純度で、患者におけるサイトケラチン陽性循環腫瘍細胞を同定することができる(Nagrathらによる2007年のNature 450:1235~1239)。CTCを分離する他の可能な手段として、血液チューブ中のCTCを捕捉、同定、及び計数するVeridex, LLC(ニュージャージ州ラリタン)のCellSearch(商標)Circulating Tumor Cell(CTC)試験を使用するものである。CellSearch(商標)システムは、米国食品医薬局(FDA)の承認した、免疫磁性ラベリングと自動デジタル顕微鏡の組み合わせに基づく、全血中のCTCを列挙する方法論である。その他、文献に記載のCTC分離方法があり、すべて、本発明とともに使用可能である。
再発又は再発生は、過去に影響を与えた条件でヒトに再び影響が与えられたとき、発生する。例えば、患者が腫瘍疾病を罹患し、この疾病の治療に成功した後、再びこの疾病を進行させた場合、新たに思考した疾病を再発又は再発生と考えてもよい。しかしながら、本発明によると、腫瘍疾病の再発又は再発生は、必ずしもそうではないが、当初の腫瘍疾病の部位に発生することがある。従って、例えば、患者が胸部腫瘍を罹患し、治療の成功した場合に、再発又は再発生するのは、胸部腫瘍の発生となることもあり、又は胸部以外の部位の腫瘍の発生となることもある。腫瘍の再発又は再発生には、腫瘍が当初の腫瘍と異なる部位と、当初の腫瘍と同一の部位とに発生する状況が含まれる。好ましくは、患者が治療を受けた当初の腫瘍は、原発腫瘍であり、当初の腫瘍とは異なる部位の腫瘍は、二次腫瘍又は転移性腫瘍である。
「治療する」とは、被検体中の腫瘍のサイズや腫瘍の数を減らすことを含む、感染症等の疾病の予防又はこれをなくすことを目的として、被検体に本明細書に記載の化合物又は組成物を投与すること、被検体中の疾病を食い止めるか、又はこれを減速させること、被検体中の新たな疾病の深刻を阻害又は減速させること、現在疾病に離間しているか、過去に罹患していた被検体中の症状及び/又は再発生の頻度又は深刻度を低減すること、被検体の寿命を延長、すなわち伸ばすことをいう。特に、「疾病の治療」という用語には、治癒、持続時間の短縮、改善、予防、減速、進行又は悪化の阻害、又は疾病の発症又は病状の予防又は遅延が含まれる。
「リスクがある」とは、一般集団と比較して、疾病、特に癌の進行の機会が正常より多いとして同定された被検体、すなわち患者を意味する。また、疾病、特に、癌を罹患した、又は現在罹患している被検体は、疾病の進行が続く可能性のある被検体であるため、疾病の進行リスクが増加している被検体である。現在、癌に罹患しているか、又は罹患した被検体は、癌転移のリスクが増加している。
本発明の文脈において、「保護する」、「予防する」、「予防的」、「予防の」又は「保護的」といった用語は、被検体における疾病の発生及び/又は増殖の双方の予防又は治療をいうものであり、特に、被検体が疾病を進行させる機会を最少化するか、又は疾病の進行を遅延させることをいう。例えば、上述の通り、腫瘍のリスクの或る者が、腫瘍予防治療の候補となるであろう。
本発明の一実施形態によると、一旦被検体が感染症又はその他の病態を有すると判定されると、その被検体には、その感染症又はその他の病態を治療するのに適切な治療法を施すことができる。これらの治療法には、抗生物質及び抗癌剤を含むが、当分野において周知のものであり、いずれの適切な治療法が被検体に最終的に与えられるかは、治療医により判定されるであろう。
一実施形態において、本発明は、本発明の方法を実施する装置にも関連し、シーケンスリードを、同一の種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを含む1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが1つ以上のデータベースに含まれる、ある種にマップするか否かを判定することは、装置の中央処理ユニットによって演算される。一実施形態において、本発明は、本発明の方法を実施する装置にも関連し、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することは、装置の中央処理ユニットによって演算される。一実施形態において、本発明は、本発明の方法を実施する装置にも関連し、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づく、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが被検体中に見られる確率についての有意性スコアは、装置の中央処理ユニットによって演算される。一実施形態において、中央処理ユニットは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である。好適な実施形態において、同装置は、前述の演算のうちの1つ以上又はすべてを実施する。一実施形態において、本発明は、被検体中の病態の有無の判定と関連づけられた演算のうちの1つ以上又はすべてを実施することのできる装置にも関連する。
従って、本発明は、核酸、例えば、自由循環DNAの非バイアスシーケンス分析に基づく、生物試料中の微生物又は病態の有無を判定するための完全診断ワークフローを提供するものである。当該方法によると、疑いのある微生物又は病態について知ることなく、データ駆動型診断を提供し、特定のプライマー設計を必要とせず、単一のアッセイにおいて、複数のウィルス、バクテリア、菌類、及び規制微生物を検出する機会を提供し、有利である。
本発明の方法は、特定の微生物の判定に限定されないことが好ましい。一実施形態において、本発明は、あらゆる微生物の有無を判定するものであり、好ましくは、感染等、被検体中の病態に関連するあらゆる微生物を判定するものである。本発明の方法は、被検体中の特定タイプの癌の反対に限定されるものでなく、1つを上回る数のタイプの癌と、サブタイプの癌との有無を判定できることが好ましい。好適な実施形態において、被検体中の異なるタイプ及び/又はサブタイプの癌が、それらの遺伝物質中に異なる変異を有し、被検体における1つ以上のタイプ及び/又はサブタイプの癌の有無が本発明の方法で判定可能である。
そこで、本発明は、短時間で被検体中の感染又はその他の病態の原因を同定するのに有用な方法を提供するものであり、同定された感染又はその他の病態に対する適切な治療法が短時間の間に選択できるようにする。
従って、本発明の方法は、被検体の微生物負荷と、標的治療に対する応答及び捕捉的標準臨床微生物学をモニタリングするため、臨床材料における微生物のデータ駆動型同定にも、高度に有用であり得る。本発明の方法は、被検体の腫瘍細胞負荷と、標的治療及び捕捉的標準臨床腫瘍学に対する応答とをモニタリングするため、臨床材料における腫瘍細胞の有無のデータ駆動型同定にも、高度に有用であり得る。
本明細書において使用する技術及び方法は、それ自体周知である方法と、例えば、Sambrookらによる「Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)」Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーに記載の方法で説明又は実施する。キット及び試薬の使用を含むすべての方法については、特記の無い限り、製造元の情報に基づいて実施を行う。
(実施例1)
感染症の罹患の疑いのあるヒト被検体から生物試料、すなわち結晶を得た。次世代シーケンス法を使用して、試料中の核酸のシーケンシングを行い、複数のシーケンスリードを生成した。このデータを記憶した後、以下のように分析した。
個々のシーケンスリードを、ヒト及び複数の微生物の遺伝情報を含む1つ以上のデータベースと比較し、可能な場合、各リードを、特定の微生物又はヒトゲノムのいずれかにマップした。マップにより、特定の微生物にマップするリードの総数と、ある種、すなわち、特定の微生物、ヒトゲノム、他の任意の微生物にマップされ得るリードの総数とをリアルタイムで提供した。そこで、特定の微生物に起因するリードとヒトの検体とに起因するリードの数が、診断手順の間のすべての時点でわかった。
この情報により、診断中の任意ではあるが固定の時点における、試料/患者j中の各種mについてのリードの数を保持するカウントベクトルC:cm...、cでm=1、...lの生成できるようになる。新たなリードがある種にマップされる一方、cは、患者jの診断中、経時的に変化する。また、Cは、新たな微生物種が同定されると増加し得る。まず、空のベクトルを初期化し、方法実行時に動的ベクトルを生成する。Cは、現在診断されている患者の微生物負荷を表すものである。負荷が異常量である微生物を同定するために、所与のタイミングにおける患者jへのこの特定の微生物負荷の逆累積分布関数(cdf)を以下のように計算した。
Figure 0007220711000001
式中、cは、現時点における患者jの種mに対して測定されたリードの数であり、nは、マップ可能なすべての(微生物及び宿主)リードの数である。pは、リアルタイムで計算された発見確率を表すものであり、種mについてのリードを検出する確率を表す。
従来の試験とは対照的に、これはエンドポイント試験ではなく、連続試験のフレームワークで実施される。従って、連続試験のアプローチにより、試験の実施中、必要且つ重要なすべての情報が利用可能となるが、試験終了後には利用できない。これにより、感染診断の新たな方法と、次世代シーケンシングの領域の新たな試験手順方法とを提供する。提供される情報は、ある種にマップされる核酸の現在の量が通常の量と考えられるか否かを表すp値であるため、この種の発見確率と現在実施中の試験の設定とが与えられると、非常に低いp値に達する。
この方法により、「イベント毎の微生物信号」等の新たな特性変数の定義が可能となる。これらの変数は、微生物が統計的に関連性を有する時間に直接依存するものであるため、新たな変数が特に重要となる。可能な特性変数として、「毎秒毎の微生物リード」又は「ヒトリード毎の微生物リード」がある。各被検体及び各微生物について、このような変数が計算可能であるため、各分析対象の感染の深刻度合について、より深い洞察を提供することとなる。さらに、このような特性変数により、このような変数の技術的独立性が故に、異なる技術でシーケンシングされた試料の比較ができるようになる。
(実施例2)
被検体S9から得られた血漿の生物試料からの核酸にシーケンシングを実施し、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数とある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づく、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが被検体に見られる確率を、本発明に従って計算した。その結果を図1に示す。
図1は、同時に7つの異なる微生物に対する完全な試験シーケンス(試験は、ある微生物についての有意性によって中断又は打ち切りしない)を示している。微生物が感染の原因に「関連する」と考えられる前N、超えなければならない統計的閾値を示す水平赤色破線も示されている。微生物のエンテロバクタークロアカを表す青色線が、データ生成後すぐに統計的閾値を超え、この微生物については試験を直ちに終了され得たことも明白である。紫色線は、バクテリアの大腸菌に属するものであるが、値がゆっくり上昇するものの、500kリード以降になるまで明らかに有レベルを超えず、これやその他の微生物が汚染又は片利共生的微生物のいずれかであることを示している。
(実施例3)
被検体S11から得られた血漿の生物試料からの核酸にシーケンシングを実施し、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードとの数に基づく、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが被検体に見られる確率を、本発明に従って計算した。その結果を図2に示す。
図1と同様に、図2は、単一のバクテリア、ここではK.ニューモニエ(緑色)の確率の急激な上昇が病態、すなわち感染の病原体に関連することを示している。なお、キューティバクテリウムアクネスは、ヒトの皮膚上に生息するバクテリアであるが、これが検出されるものの、このバクテリアが感染の原因病原体となる関連性/確率はゼロである。これは、本方法が、意図されるとおり、片利共生種をフィルタリングして取り除くことを示している。対照的に、大腸菌は、350kリードという時間枠に亘って、有意性閾値まで増加する。関連性のあるものとして示されていないが、これは、患者が大腸菌を原因とする二次感染を進行させる危険に晒されていることを示すかもしれない。
これは、本方法が、現行の「エンドポイントを基本とする」試験では提供することのできない情報を生成することを示している。従って、本方法は、感染が実際に臨床的に明白となるのに先立って、臨床医が感染に対して対処することを示すデータを提供するものである。本明細書に記載の他の効果として、複数の微生物を原因とする感染を検出し、さらに、どの微生物が主要原因病原体であるのかを分解する能力がある。
(実施例4)
被検体S60から得られた血漿の生物試料からの核酸にシーケンシングを実施し、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づく、特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが被検体に見られる確率を、本発明に従って計算した。その結果を図3に示す。
図3に明確に示される通り、緑色の線が本法の開始直後に関連性閾値を超えているため、主要幹線病原体は、B.フラジリスである。しかしながら、いくつかのイベント(分析リード)の後、他の2つのバクテリアが関連性閾値を超えて著しい傾斜を示しており、これら2つも、各々、大腸菌及び黄色ブドウ球菌を示すオレンジ色及び紫色の線で示される、被検体の敗血症に寄与していることを示している。
この結果を、3つすべてのバクテリアに対するルーチン試験に基づく従来の成果と比較すると、これらの結果は同一に見えるであろう。各微生物には、多かれ少なかれ、同一の関連性が割り当てられたのであろう。しかしながら、本明細書に記載の方法を使用して、主要原因病原体を明確に同定し、「時間当たりイベント」等の特徴的変数の客観的使用を通じて、主要原因病原体と、感染に寄与したその他の微生物とを同定した。
上記図面中の軸は、常に、式1で計算されたp値と、分析されたリードの数との対数である。当然のことながら、この軸に示される単位を変更することができる。ここで、新たな単位を通じて、リード独自の順序付けが可能であることのみが必要である。これは、例えば、リードの生成された順、又はそれらがデータベースと比較された時間であってもよい。上述の方法を使用して、上述の特性変数、例えば、特定の微生物及び患者についての「関連性を示すまでのイベント当たりリード」を計算することができる。これらの変数を使用して、同一の微生物に罹患した異なる患者間の比較を行うことができる。さらに、まさに同一の患者中の異なる微生物の変数を比較することにより、主要原因病原体を同定することができる。
現実の感染は、例えば、「イベント毎のリード」によって測定される、あるインターバル、つまり[x-y]の範囲内であると仮定される。そして、汚染物及び片利共生は、この「感染インターバル」の境界の外側に現れるであろう。従って、このような感染インターバルを使用した統計的分析は、感染を同定し、同定された微生物の関連性を査定するのに十分である。さらに、感染の深刻度をこれらのインターバルによって査定する。これは、待機時間分析の統計的フレームワークを使用して達成される。多くの場合、待機時間分析は、指数関数を使用して実施される。従って、「特徴的感染変数」を説明する変数は、以下のランダムな指数変数に応じて分布する。
X~Exp(λ)[2]
また、ある微生物についての大気時間が500~100リードの間であると仮定すると、我々は、λ=1/500及びλ=1/1000を有する。我々は、P(500<X<1000)の確率に関心があるため、P(x<1000)-p(x≦500)の計算を行う。これは、感染を患っていない確率を表したものである。我々は、これより速いインターバルを望むため、P(X≦500)の計算を行う。ここで、500番目のリードが再び微生物リードであれば、我々が行っていることは、
Figure 0007220711000002
で計算される。従って、この特定の種について500~1000のインターバルを与えられた500リードの宿主の後、微生物リードが見られる可能性が非常に高い。しかしながら、10リード後にすぐ第2の微生物リードがみられた場合、10シグナル(比較対象リード)後に微生物リードを見ているため、
Figure 0007220711000003
を計算し、P(X≦10)に関心があるため、1-P(X>10)=0.019となる。従って、10シグナル後に微生物を検出する可能性は極めて低く、微生物が10シグナル後に検出された場合、臨床医に報告する必要がある。
双方のアプローチでは、一連のイベントと結果として生じる待機時間分析を与えられたイベントの固定且つ任意の量に確率を結びつけることは、感染症診断又は一般的な診断において説明されない。一般的に、データ生成が異なるチャンネル又はブロックに分離可能であれば、我々は、その試験を個々のチャンネルに再び並列化することができる(すなわち、各チャンネルを個々に試験し、各チャンネルを別個の実験として処置する)ため、結果を導くまでの時間を最短化することができる。これもまた、エンドポイント試験を使用して行うことはできず、本明細書に記載の方法がエンドポイントを基本とする試験と対照的に、より高いスループットに拡張可能であることを意味する。
本発明は、特に、以下を提供する。
1.被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
(a)前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、
(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、
(c)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することとを含む方法。
2.被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
(a)前記被検体から得られる生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって得られるシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することと、
(b)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することとを含む方法。
3.前記方法は、前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが前記被検体中に見られる確率についての有意性スコアを演算することをさらに含む項目1又は2に記載の方法。
4.前記特定の微生物についての前記スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物が前記被検体に存在すると判定される項目3に記載の方法。
5.前記特定の微生物についての前記スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物が前記被検体の疾病の原因に関連すると判定される項目3に記載の方法。
6.前記特定の微生物についての前記スコアが僅かなシーケンスリードにおいて閾値を超える場合、前記微生物の存在による前記疾病が深刻であると考えられる項目5に記載の方法。
7.被検体における病態の有無を判定する方法であって、
(a)前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、
(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記コントロール被検体にマップするか否かを判定することと、
(c)前記コントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードとマップしない比較対象シーケンスリードとの数を経時的に判定することとを含む方法。
8.前記方法はさらに、前記コントロール被検体にマップしない比較対象シーケンスリードの数と、前記コントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、前記コントロール被検体にマップしない比較対象シーケンスリードが被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することをさらに含む項目7に記載の方法。
9.前記スコアが閾値以上であるとき、前記病態が前記被検体に存在すると判定される項目8に記載の方法。
10.前記病態は、癌である項目7~9のいずれか一項に記載の方法。
11.前記癌は、遺伝的異常を原因とする項目10に記載の方法。
12.前記病態は、微生物を原因とする感染である項目7~9のいずれか一項に記載の方法。
13.前記微生物は、ウィルス、バクテリア、菌類、又は寄生虫である項目12に記載の方法。
14.前記生物試料は、全血、血清、血漿、羊水、滑液、濃縮液、組織又は細胞スメア、組織又は細胞スワブ、尿、組織、唾液、排泄物、消化管分泌物、リンパ液、及び洗浄液より選択される項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
15.前記被検体は、脊椎動物であり、好ましくは、ヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、マウス、又はラット等の哺乳動物である項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
16.前記被検体は、ヒトである項目15に記載の方法。
17.前記シーケンシングは、分子ハイスループットシーケンス分析によって実施される項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.前記方法は、前記特定の微生物又は前記病態が前記被検体に存在すると判定されるとき、前記特定の微生物又は前記病態を原因とする疾病の治療をする既知の薬学的に活性の化合物を前記被検体に投与することをさらに含む項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
19.被検体中の微生物を原因とする感染症の診断方法であって、
(a)前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、
(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、
(c)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することと、
(d)前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することとを含み、前記特定の微生物についての前記スコアが閾値以上であるとき、前記微生物は感染症の原因となっていると判定される方法。
20.プログラムコードを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、実行時、プロセッサにより、項目1~19のいずれか一項に記載の前記方法を実施する指示を備える記憶媒体。
21.コンピュータシステムであって、項目1~19のいずれか一項に記載の前記方法を実施するように構成されたプロセッサを備えるコンピュータシステム。
本発明は、さらに、以下を提供する。
B1.被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
(a)前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、
(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、
(c)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することとを含む方法。
B2.被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
(a)前記被検体から得られる生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって得られるシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することと、
(b)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することとを含む方法。
B3.前記方法は、前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが前記被検体中に見られる確率についての有意性スコアを演算することをさらに含む項目B1又はB2に記載の方法。
B4.被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップするシーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを経時的に判定するステップを含み、
前記特定の微生物にマップするシーケンスリードと前記ある種にマップするシーケンスリードとは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝上オフとを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象のシーケンスリードが前記1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することによって得られ、前記シーケンスリードは、前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって作成される方法。
B5.被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
(a)特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とを経時的に判定するステップであって、前記シーケンスリードは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較し、シーケンスリードが前記1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することによって得られ、前記シーケンスリードは、前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって生成されるステップと、
(b)前記特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップするシーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することとを含む方法。
B6.前記特定の微生物についての前記有意性スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物は、前記被検体に存在すると判定される項目B3~B5のいずれか一項に記載の方法。
B7.前記特定の微生物についての前記有意性スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物は、前記被検体の疾病の原因と関連すると判定される項目B3~B5のいずれか一項に記載の方法。
B8.前記特定の微生物についての前記有意性スコアが僅かなシーケンスリードにおいて閾値を超える場合、前記微生物の存在による前記疾病が深刻であると考えられる項目B7に記載の方法。
B9.被検体における病態の有無を判定する方法であって、
(a)前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、
(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、
(c)前記コントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードとマップしない比較対象シーケンスリードとの数を経時的に判定することとを含む方法。
B10.前記方法は、前記コントロール被検体にマップしない比較対象シーケンスリードの数と、前記コントロール被検体にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、前記コントロール被検体にマップしない比較対象のシーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することをさらに含む項目B9に記載の方法。
B11.被検体における病態の有無を判定する方法であって、
前記コントロール被検体にマップしないシーケンスリードの数と、前記コントロール被検体にマップするシーケンスリードの数とに基づき、前記コントロール被検体にマップしないシーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを経時的に演算するステップを含み、
前記コントロール被検体にマップするシーケンスリードと前記コントロール被検体にマップしないシーケンスリードとは、シーケンスリードを、同一種別のコントロール被検体からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記コントロール被検体にマップするか否かを判定することによって得られ、前記シーケンスリードは、前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって作成される方法。
B12.前記有意性スコアが閾値以上であるとき、前記病態は、前記被検体に存在すると判定される項目B10又はB11に記載の方法。
B13.前記病態は、癌である項目B9~B12のいずれか一項に記載の方法。
B14.前記病態は、微生物を原因とする感染である項目B9~B12のいずれか一項に記載の方法。
B15前記方法は、前記特定の微生物又は前記病態が前記被検体に存在すると判定されるとき、前記特定の微生物又は前記病態を原因とする疾病の治療をする既知の薬学的に活性な化合物を前記被検体に投与することをさらに含む項目B1~B14のいずれか一項に記載の方法。
B16.被検体中の微生物を原因とする感染症の診断方法であって、
(a)前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、
(b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、
(c)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することと、
(d)前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを演算することとを含み、
前記特定の微生物についての前記有意性スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物が前記感染症の原因となると判定される方法。
B17.プログラムコードを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、実行時、プロセッサにより、項目B1~B16のいずれか一項に記載の前記方法を実施する指示を備える記憶媒体。
B18.コンピュータシステムであって、項目B1~B16のいずれか一項に記載の前記方法を実施するように構成されたプロセッサを備えるコンピュータシステム。
B19.被検体中の微生物を原因とする疾病又は感染の治療方法であって、有意性スコアが閾値以上である微生物の成長を阻害する化合物を、前記被検体に投与することを含み、前記有意性スコアは、項目B3~B8のいずれか一項によって計算される方法。

Claims (10)

  1. 被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
    (a)前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行い、複数の核酸シーケンスリードを得ることと、
    (b)ステップ(a)で得られたシーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記1つ以上のデータベース内に含まれる種にマップするか否かを判定することと、
    (c)特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とを経時的に判定することと、
    (d)前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードの数と、ある種にマップする比較対象シーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップする比較対象シーケンスリードが前記被検体中に見られる確率についての有意性スコアを経時的に演算することとを含む方法であって、前記特定の微生物についての前記有意性スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物は、前記被検体に存在すると判定される方法。
  2. 被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
    特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップするシーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを経時的に演算するステップであって、前記特定の微生物についての有意性スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物が前記被検体中に存在すると判定されるステップと、
    前記特定の微生物にマップするシーケンスリードと前記ある種にマップするシーケンスリードとは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象のシーケンスリードが前記1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することによって得られ、前記シーケンスリードは、前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって作成される方法。
  3. 被検体中の微生物の有無を判定する方法であって、
    (a)特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とを経時的に判定するステップであって、前記シーケンスリードは、シーケンスリードを、同一種のコントロール被検体からの遺伝情報と、複数の微生物からの遺伝情報とを備える1つ以上のデータベースと比較し、シーケンスリードが前記1つ以上のデータベースに含まれる種にマップするか否かを判定することによって得られ、前記シーケンスリードは、前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって生成されるステップと、
    (b)前記特定の微生物にマップするシーケンスリードの数と、ある種にマップするシーケンスリードの数とに基づき、前記特定の微生物にマップするシーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを経時的に演算するステップであって、前記特定の微生物についての有意性スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物が前記被検体中に存在すると判定されるステップとを含む方法。
  4. 前記特定の微生物についての前記有意性スコアが閾値以上であるとき、前記特定の微生物は、前記被検体の疾病の原因と関連すると判定される請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記特定の微生物についての前記有意性スコアが僅かなシーケンスリードにおいて閾値を超える場合、前記微生物の存在による前記疾病が深刻であると考えられる請求項4に記載の方法。
  6. 被検体における病態の有無を判定する方法であって、
    ントロール被検体にマップしないシーケンスリードの数と、前記コントロール被検体にマップするシーケンスリードの数とに基づき、前記コントロール被検体にマップしないシーケンスリードが前記被検体に見られる確率についての有意性スコアを経時的に演算するステップであって、前記有意性スコアが閾値以上であるとき、前記病態が前記被検体中に存在すると判定されるステップを含み、
    前記コントロール被検体にマップするシーケンスリードと前記コントロール被検体にマップしないシーケンスリードとは、シーケンスリードを、同一種別のコントロール被検体からの遺伝情報を備える1つ以上のデータベースと比較して、比較対象シーケンスリードが前記コントロール被検体にマップするか否かを判定することによって得られ、前記シーケンスリードは、前記被検体から得られた生物試料に存在する核酸のシーケンシングを行うことによって作成される方法。
  7. 前記病態は、癌である請求項6に記載の方法。
  8. 前記病態は、微生物を原因とする感染である請求項6に記載の方法。
  9. プログラムコードを記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、実行時、プロセッサにより、請求項1~8のいずれか一項に記載の前記方法を実施する指示を備える記憶媒体。
  10. コンピュータシステムであって、請求項1~8のいずれか一項に記載の前記方法を実施するように構成されたプロセッサを備えるコンピュータシステム。
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