以下、種々の例示的実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[基板処理システム]
まず、図1及び図2を参照して基板処理システム1(基板処理装置)の概略構成を説明する。基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象の基板は、例えば半導体のウェハWである。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。基板処理システム1は、塗布・現像装置2と、露光装置3と、プラズマ処理装置10と、制御装置100とを備える。露光装置3は、ウェハW(基板)上に形成されたレジスト膜(感光性被膜)を露光する装置である。具体的には、露光装置3は、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分に露光用のエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウェハW(基板)の表面にレジスト(薬液)を塗布してレジスト膜を形成する処理を行う。また、塗布・現像装置2は、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。プラズマ処理装置10は、レジスト膜の現像処理後に、ウェハWの表面Wa(図3参照)にプラズマを用いたエッチング処理を施す。例えば、プラズマ処理装置10は、レジスト膜の現像処理が行われることで形成されたレジストパターンをマスクとして、ウェハWのエッチング処理を行う。
(塗布・現像装置)
図1及び図2に示されるように、塗布・現像装置2(基板処理装置)は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6とを備える。
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのウェハWの導入及び塗布・現像装置2内からのウェハWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ウェハW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のウェハWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからウェハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウェハWを受け取ってキャリアC内に戻す。処理ブロック5は、複数の処理モジュール11,12,13,14を有する。
処理モジュール11は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール11は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりウェハWの表面上に下層膜を形成する。塗布ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をウェハW上に塗布する。熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
処理モジュール12は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール12は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。塗布ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液として、レジストを下層膜の上に塗布する。熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。これにより、ウェハWの表面にレジスト膜が形成される。
処理モジュール13は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール13は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。塗布ユニットU1は、上層膜形成用の処理液をレジスト膜の上に塗布する。熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
処理モジュール14は、現像ユニットU3と、熱処理ユニットU4と、照射ユニットU5と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール14は、現像ユニットU3、熱処理ユニットU4、及び照射ユニットU5により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。現像ユニットU3は、露光済みのウェハWの表面上に現像液を塗布する(供給する)ことによって、レジスト膜を部分的に除去する。換言すると、現像ユニットU3は、ウェハWの表面に凹凸パターンであるレジストパターンを形成する。現像ユニットU3は、現像液を洗い流すためにウェハWの表面にリンス液を供給する。また、現像ユニットU3は、レジストパターンの凹部内のリンス液を処理液に置き換えた後に、当該凹部内に補強材を形成する(図9(b)参照)。熱処理ユニットU4は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。現像処理に伴う熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。照射ユニットU5は、ウェハWの表面にエネルギー線を照射する機能を有しており、リンス液を除去するための処理の一部を行う。
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウェハWを昇降させる。
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でウェハWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたウェハWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からウェハWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
(現像ユニット)
続いて、図3を参照して、現像ユニットU3の一例について説明する。図3に示されるように、現像ユニットU3は、回転保持部20と、3つの液供給部30a,30b,30cとを備える。
回転保持部20は、回転駆動部21と、シャフト22と、保持部23とを有する。回転駆動部21は、制御装置100からの動作信号に基づいて動作し、シャフト22を回転させる。回転駆動部21は、例えば電動モータ等を動力源として内蔵している。保持部23は、シャフト22の先端部に設けられている。保持部23上にはウェハWが配置される。保持部23は、例えば吸着等によりウェハWを略水平に保持する。すなわち、回転保持部20は、ウェハWの姿勢が略水平の状態で、ウェハWの表面Waに対して垂直な中心軸(回転軸)周りでウェハWを回転させる。図3の例では、回転保持部20は、上方から見て反時計回りにウェハWを所定の回転数で回転させる。
液供給部30aは、ウェハWの表面Waに現像液L1を供給する。現像液L1は、レジスト膜Rに現像処理を施してレジストパターンを形成するための薬液である。例えば、レジスト膜Rに現像液L1が供給されることで、レジスト膜Rのうちの露光用のエネルギー線が照射した部分が反応して当該部分が除去される。液供給部30bは、ウェハWの表面Wa(レジストパターンが形成されたレジスト膜R)にリンス液L2を供給する。リンス液L2は、現像液を洗い流すことが可能な薬液であればよい。例えばリンス液L2は、水(純水)であってもよい。液供給部30a及び液供給部30bは、レジスト膜Rの現像処理を行う現像処理部を構成する。
液供給部30c(置換処理部)は、ウェハWの表面Waに処理液L3を供給する。処理液L3は、レジストパターンの凹部内に補強材を形成するための薬液である。処理液L3は、液体状態でウェハWに供給することができ、所定の処理(例えばウェハWの回転)により乾燥して固化する薬液であってもよい。例えば処理液L3は、ポリマーを溶媒に溶かした薬液であってもよい。ポリマーは、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)、及びポリメタクリル酸メチル(polymethylmethacrylate:PMMA)のうちの少なくとも1つを含有していてもよい。ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、又はポリビニルアルコールが用いられる場合、溶媒として水が用いられてもよい。ポリメタクリル酸メチルが用いられる場合、溶媒としてアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、メチルアルコール、エチルアルコール、キシレン、酢酸、メチルイソブチルケトン (methyl isobutyl ketone:MIBK)、メチルイソブチルカルビノール(methyl isobutyl carbinol:MIBC)、酢酸ブチル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(Propylene glycol methyl ether acetate:PGMEA)が用いられてもよい。
液供給部30a,30b,30cは、液源31と、バルブ33と、ノズル34と、配管35とをそれぞれ備える。液供給部30a,30b,30cの液源31は、バルブ33及び配管35を介してノズル34に薬液をそれぞれ供給する。液供給部30a,30b,30cのノズル34は、吐出口がウェハWの表面Waに向かうようにウェハWの上方にそれぞれ配置されている。ノズル34は、ウェハWの表面Waに向けて液源31から供給される薬液を吐出する。配管35は、液源31とノズル34との間を接続している。バルブ33は、配管35内の流路を開状態と閉状態とに切り替える。なお、現像ユニットU3は、ノズル34を水平方向に往復移動させる駆動機構(不図示)を備えていてもよい。
なお詳細構成の図は省略しているが、熱処理ユニットU4は、ウェハWに対する熱処理が可能な構成を有している。例えば、熱処理ユニットU4は、熱処理を行う処理空間を形成する開閉可能なチャンバーと、チャンバー内に収容され、ウェハWを支持しつつ加熱する熱板とを備える。上記チャンバーは、制御装置100の指示に応じて開閉する。上記熱板は、例えばヒータを内蔵しており、制御装置100によって熱板の温度が制御される。
(照射ユニット)
続いて、図4を参照して、照射ユニットU5の一例について説明する。図4に示されるように、照射ユニットU5は照射部42(低分子化処理部)を備える。
照射部42は、ウェハWの表面Wa(補強材)にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えば電子線、又は電磁波が用いられてもよい。照射部42は、その照射によって補強材に含有している分子間の結合数を減少させることが可能であれば、どのようなエネルギー線を照射してもよい。例えば、照射部42は、補強材に含まれるポリマーの重合度を減少させることが可能なエネルギー線を照射してもよい。エネルギー線の具体例としては、波長が100nm~400nmである紫外線が挙げられる。エネルギー線の波長は、170nm~180nmであってもよい。なお、エネルギー線の波長は上記の値に限定されるものではなく、例えば補強材の種別等に応じて使用するエネルギー線の波長が選択されてもよい。
照射ユニットU5は、水平に支持したウェハWに対して、照射部42により上方から紫外線を出射する。例えば、照射部42は、紫外線を出射する光源を有している。光源の具体例としては、波長172nmの紫外線を出射するフッ化クリプトンエキシマ光源、波長193nmの紫外線を出射するフッ化アルゴンエキシマ光源、及び波長222nmの紫外線を出射するクリプトンクロライドエキシマ光源等が挙げられる。照射部42は、光源から出射されたエネルギー線をウェハWに向けて下方に出射するように構成されている。
(プラズマ処理装置)
続いて、図5を参照して、プラズマ処理装置10の一例について説明する。プラズマ処理装置10は、レジストパターンをマスクとしてウェハWに対してプラズマ処理を施す。換言すると、プラズマ処理装置10は、プラズマを用いたエッチング処理をウェハWに対して施すことで、ウェハWの一部をエッチングする。また、プラズマ処理装置10は、レジストパターンの凹部に形成された補強材に対してプラズマを用いたエッチング処理を施してもよい。なお、本明細書における「プラズマ処理を施す」又は「プラズマを用いたエッチング処理を施す」とは、プラズマ状態となったガスに、少なくともウェハWの表面Waを所定時間さらすことをいう。
プラズマ処理装置10は、搬送機構19を介して塗布・現像装置2に接続されている(図2参照)。搬送機構19は、塗布・現像装置2とプラズマ処理装置10との間でウェハWを搬送する。プラズマ処理装置10は、例えば平行平板型の装置である。図5に示されるように、プラズマ処理装置10は、処理部60と、電源部80と、排気部90とを備える。処理部60は、処理容器68と、静電チャック61と、サセプタ63と、支持台64と、上部電極73とを備える。
処理容器68は、導電性を有しており、略円筒状に形成されている。処理容器68には、接地線69が電気的に接続されており、処理容器68は接地されている。静電チャック61及びサセプタ63は、処理容器68内に設けられ、処理対象のウェハWを支持する。静電チャック61は、略円板状の部材であり、例えば一対のセラミックの間に静電チャック用の電極を挟みこんで形成されている。サセプタ63は、下部電極として機能し、静電チャック61の下面に設けられている。サセプタ63は、例えばアルミニウム等の金属により略円板状に形成されている。処理容器68の底部には支持台64が設けられ、サセプタ63は、この支持台64の上面に支持されている。静電チャック61の内部には電極(図示せず)が設けられており、当該電極に直流電圧を印加することにより生じる静電気力でウェハWが静電チャック61に吸着保持される。支持台64の内部には、冷媒が流れる冷媒流路(図示せず)が設けられており、冷媒の温度を制御することにより、静電チャック61で保持されているウェハWの温度が制御される。
電源部80は、高周波電源81,83と、整合器82,84とを備える。サセプタ63には、プラズマを生成するための高周波電源81が、整合器82を介して電気的に接続されている。高周波電源81は、例えば27~100MHzの周波数の高周波電力を出力するように構成されている。また、高周波電源81の内部インピーダンスと負荷インピーダンスは、整合器82によりマッチングされる。
また、ウェハWにバイアスを印加することでウェハWにイオンを引き込むために、サセプタ63には、高周波電源83が整合器84を介して電気的に接続されている。高周波電源83は、例えば400kHz~13.56MHzの周波数の高周波電力を出力するように構成されている。整合器84は、整合器82と同様に、高周波電源83の内部インピーダンスと負荷インピーダンスをマッチングさせるものである。これら高周波電源81,83、及び整合器82,84の動作は、制御装置100により制御される。
処理容器68の上部には、上部電極73が配置されている。上部電極73は、サセプタ63と対向するように設けられている。上部電極73は、処理容器68の上部に支持されており、処理容器68を介して接地されている。上部電極73内部の中央部には、略円板状に形成されたガス拡散室76が形成されている。上部電極73の下部には、処理容器68の内部に処理ガスを供給する複数のガス吐出孔77が、上部電極73の下部を貫通するように形成されている。
ガス拡散室76には、ガス供給管78が接続されている。ガス供給管78には、図5に示すようにガス供給源79が接続されており、ガス供給源79は、ガス供給管78を介してガス拡散室76に処理ガスを供給する。ガス拡散室76に供給された処理ガスは、ガス吐出孔77を通じて処理容器68内に導入される。ガス供給源79から供給される処理ガスは、不活性ガスを含んでいてもよい。不活性ガスとして、希ガス(例えばアルゴンガス)又は窒素ガスが用いられてもよい。
処理容器68の下方には、排気部90が配置されている。排気部90は、排気口91と、排気室92と、排気管93と、排気装置94とを備える。処理容器68の底面には排気口91が設けられている。排気口91の下方には、排気室92が形成されており、当該排気室92には排気管93を介して排気装置94が接続されている。したがって、排気装置94(例えば排気ポンプ)を駆動することにより、排気口91を介して処理容器68内を排気し、処理容器68内を所定の真空度まで減圧することができる。
(制御装置)
続いて、制御装置100の具体的な構成を例示する。制御装置100は、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御する。制御装置100は、表面Waに凹凸パターンが形成されているウェハWの凹部202内の液体を、固体状態の補強材220aに置き換えることと、補強材220aを固体状態に維持しつつ、補強材220aに含まれる分子間の結合数を減少させる低分子化処理をウェハWに対して施すこととを実行するように構成されている。
図6に示されるように、制御装置100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、熱処理制御部101と、現像制御部102と、照射制御部103と、エッチング制御部104とを備える。熱処理制御部101は、熱処理ユニットU4を制御する。現像制御部102は、現像ユニットU3内の液供給部30a,30b,30cそれぞれのバルブ33及び回転駆動部21を制御する。照射制御部103は、照射ユニットU5内の照射部42を制御する。エッチング制御部104は、プラズマ処理装置10内の排気装置94及び高周波電源81,83を制御する。各部の処理内容の詳細については後述する。
制御装置100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御装置100は、図7に示される回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124とを有する。ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の基板処理手順を制御装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に従って、制御対象の部材との間で電気信号の入出力を行う。
制御装置100が複数の制御用コンピュータで構成される場合、熱処理制御部101、現像制御部102、照射制御部103、及びエッチング制御部104がそれぞれ、個別の制御用コンピュータによって実現されていてもよい。あるいは、これらの各機能モジュールがそれぞれ、2つ以上の制御用コンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。これらの場合、複数の制御用コンピュータは、互いに通信可能に接続された状態で、後述する基板処理手順を連携して実行してもよい。なお、制御装置100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御装置100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
[基板処理手順]
続いて、基板処理方法の一例として、基板処理システム1において実行される基板処理手順を説明する。制御装置100は、例えば以下の手順で塗布・現像処理を含む基板処理を実行するように基板処理システム1を制御する。まず制御装置100は、キャリアC内のウェハWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このウェハWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
次に制御装置100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール11内の塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このウェハWの表面Wa上に下層膜を形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、下層膜が形成されたウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このウェハWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
次に制御装置100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール12内の塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このウェハWの下層膜上にレジスト膜Rを形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このウェハWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
次に制御装置100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このウェハWのレジスト膜R上に上層膜を形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ウェハWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
次に制御装置100は、棚ユニットU11に収容されたウェハWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。そして、露光装置3において、ウェハWに形成されたレジスト膜Rに露光処理が施される。その後制御装置100は、露光処理が施されたウェハWを露光装置3から受け入れて、当該ウェハWを棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
次に制御装置100は、棚ユニットU11のウェハWを処理モジュール14の熱処理ユニットU4に搬送するように搬送装置A3を制御する。そして、制御装置100は、現像処理に伴う熱処理、及び現像処理を含む処理手順(以下、「現像処理手順」という。)を実行するように制御を行う。これにより、ウェハWの表面Waにレジストパターンが形成される。現像処理手順の詳細は後述する。その後、制御装置100は、レジストパターンをマスクとしてウェハWに対してプラズマを用いたエッチング処理を施すようにプラズマ処理装置10を制御する。以上で塗布・現像処理を含む基板処理が完了する。
(現像処理手順)
続いて、図8~図10を参照して、現像処理手順の一例について説明する。図8は、現像処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、制御装置100は、ステップS01を実行する。ステップS01では、熱処理制御部101が、露光処理が施されたウェハWに、所定の温度にて所定時間の熱処理を施すように熱処理ユニットU4を制御する。そして、制御装置100は、現像前の熱処理が施されたウェハWを現像ユニットU3に搬送するように搬送装置A3を制御する。
次に、制御装置100は、ステップS02を実行する。ステップS02では、現像制御部102が、ウェハWの表面Waに形成されているレジスト膜Rに現像液L1を供給するように現像ユニットU3を制御する。例えば、現像制御部102は、所定回転数にてウェハWが回転するように回転駆動部21を制御しつつ、液供給部30aのバルブ33を開状態とすることでノズル34から現像液L1を吐出させる。これにより、ウェハWの表面Waに、凸部201と凹部202とを有するレジストパターン200が形成される(図9(a)参照)。なお、レジスト膜Rのうちの除去されなかった部分(例えば露光処理時に感光されなかった部分)が凸部201となり、レジスト膜Rのうちの除去された部分(互いに隣り合う凸部201同士の間の空間)が凹部202となる。
次に、制御装置100は、ステップS03を実行する。ステップS03では、現像制御部102が、ウェハWの表面Waにリンス液L2を供給するように現像ユニットU3を制御する。例えば、現像制御部102は、所定回転数にてウェハWが回転するように回転駆動部21を制御しつつ、液供給部30bのバルブ33を開状態とすることでノズル34からリンス液L2を吐出させる。図9(a)に示されるように、現像制御部102は、吐出されたリンス液L2の一部(リンス液210)がウェハWの表面Wa上に残る程度にウェハWの回転を回転駆動部21に継続させるか、ウェハWの回転を停止させる。この際、図9(a)の例のように、凹部202内がリンス液210で全て満たされていてもよい。なお、リンス液210の高さは図9(a)の例に限定されるものではなく、凹部202内の少なくとも一部がリンス液210で満たされていればよい。
次に、制御装置100は、ステップS04を実行する。ステップS04では、現像制御部102が、表面Wa上にリンス液210が残るウェハWに処理液L3を供給するように現像ユニットU3を制御する。例えば、現像制御部102は、所定回転数にてウェハWが回転するように回転駆動部21を制御しつつ、液供給部30cのバルブ33を開状態とすることでノズル34から処理液L3を吐出させる。これにより、表面Wa上のリンス液210がウェハW外に押し出され、リンス液210が処理液L3に置き換えられる。例えば置換後には、凹部202内が液体(処理液L3の一部)で全て満たされていてもよい。なお、凹部202内の少なくとも一部が処理液L3で満たされていればよい。
次に、制御装置100は、ステップS05を実行する。ステップS05では、現像制御部102が、凹部202内を埋めている処理液L3を乾燥させるように現像ユニットU3を制御する。例えば、現像制御部102は、液体状態である処理液L3が固体状態となるまで、回転駆動部21を制御してウェハWを回転させる。これにより、図9(b)に示されるように、凹部202内に固体状態の補強材220aが形成される。例えば処理液L3がポリマーを含んでいる場合、ウェハWを回転乾燥させることで、処理液L3中において分散していた多数のポリマーが絡み合う。これにより、凹部202内に固体状態の補強材220aが形成される。この場合、現像ユニットU3の液供給部30cと回転保持部20とは置換処理部を構成する。
ステップS04,S05が実行されることで、凹部202内のリンス液210が、固体状態である補強材220aに置き換えられる。この際、図9(b)の例のように、凹部202内のほぼ全ての空間を埋めるように、凹部202内に補強材220aが形成されてもよい。一例として、補強材220aの高さが凸部201の高さに略等しくなる程度に、凹部202内に補強材220aが形成されてもよい。なお、補強材220aの高さは図9(b)の例に限定されるものではなく、凹部202内の少なくとも一部が補強材220aで満たされていればよい。また、補強材220aは、凸部201の高さ(凹部202の深さ)を超える高さで形成されていてもよい。そして、制御装置100は、凹部202内に補強材220aが形成されているウェハWを、照射ユニットU5に搬送するように搬送装置A3を制御する。
次に、制御装置100は、ステップS06を実行する。ステップS06では、照射制御部103が、補強材220aにエネルギー線を照射するように照射ユニットU5を制御する。例えば、照射制御部103は、ウェハWの表面Wa全体にエネルギー線を照射するように照射部42を制御する。エネルギー線の種類は、処理液L3の種類(補強材220aに含まれるポリマーの種類)によって定められてもよい。補強材220aにエネルギー線が照射されることにより、補強材220aが固体状態に維持されたまま(補強材220aが液体状態となることなく)、補強材220aに含まれる分子間の結合数が減少する。例えば補強材220aがポリマーを含む場合、ポリマーの重合度が減少する。一例としては、補強材220aに含まれる各ポリマーが、当該ポリマーの重合度(例えば、数千~数万)よりも少ない重合度(例えば数十~数百)を有する複数のポリマーに分解されてもよい。なお、補強材220aに含まれる各ポリマーが、構成単位が1、2、又は3個である複数のモノマー、ダイマー、又はトリマーに分解されてもよい。
このように、照射制御部103は、補強材220aにエネルギー線を照射させることで、補強材220aを固体状態に維持しつつ、補強材220aに含まれる分子間の結合数(例えばポリマーの重合度)を減少させる低分子化処理をウェハWに施す。これにより、図9(c)に示されるように、低分子化処理が施された補強材220a(以下、「補強材220b」という。)が凹部202に形成される。照射制御部103は、低分子化処理を施す際には、レジストパターン200よりも補強材220bが昇華しやすいレベルまで、補強材220aに含まれる分子間の結合数を減少させてもよい。
ここで、本明細書における「昇華」とは、補強材220bが固体状態から液体状態を経ずに気体状態に遷移することをいう。この「昇華」には、固体状態から気体状態への状態変化(固相から気相への変化)に加え、補強材220bが化学変化を伴って固体状態から気体状態に遷移することも含む。例えば、化学変化を伴って固体状態から気体状態に遷移することには、補強材220bに対してプラズマを用いたエッチング処理を施すことで、補強材220bがエッチングされることを含む。ここでの「昇華しやすさ」は、補強材220bを昇華させるための環境下における昇華しやすさ(例えば単位時間あたりの昇華する量)を意味する。例えば、レジストパターン200よりも補強材220bが昇華しやすい状態とは、補強材220bをエッチングするためのプラズマ処理の条件下において、レジストパターン200に比べて、補強材220bがよりエッチングされる状態である。
図10には、ポリメタクリル酸メチルを含有するポリマーが処理液L3に含まれる場合のポリマー内の結合数(重合度)の変化の様子が例示されている。補強材220aに含まれる各ポリマーの重合度が「L+M+N・・・」(L,M,Nは正の整数)で示されている。照射ユニットU5において補強材220aにエネルギー線が照射することで、モノマー間を結合する主鎖である「C-CH2」結合のいくつかが切れる。この結果、補強材220bでは、モノマーの構成単位が「L」である化合物(例えば重合度が「L」であるポリマー)、モノマーの構成単位が「M」である化合物、及びモノマーの構成単位が「N」である化合物等が形成される。例えば、エネルギー線の照射により重合度が減少した複数のポリマーが形成される場合、重合度が減少することで、物質が安定した状態から、より昇華されやすい性質へと変化する。
次に、制御装置100は、補強材220bが形成されたウェハWを熱処理ユニットU4に搬送するように搬送装置A3を制御する。そして、制御装置100は、ステップS07を実行する。ステップS07では、熱処理制御部101が、現像液L1の供給による現像処理が施されたウェハWに、所定の温度にて所定時間の熱処理を施すように熱処理ユニットU4を制御する。そして、制御装置100は、現像後の熱処理が施されたウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このウェハWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7及び搬送装置A1を制御する。その後、制御装置100は、キャリアC内のウェハWをプラズマ処理装置10に搬送するように搬送機構19を制御する。
次に、制御装置100は、ステップS08を実行する。ステップS08では、エッチング制御部104が、補強材220bにプラズマを用いたエッチング処理を施すようにプラズマ処理装置10を制御する。ステップS08では、まず、レジストパターン200が形成されている表面Waが上方を向くように、ウェハWが静電チャック61に載置される。そして、エッチング制御部104は、ガス供給源79から処理容器68内にプラズマ生成用の処理ガスが供給されるように、プラズマ処理装置10を制御する。処理ガスは、例えば処理液L3に含まれるポリマーの種類に応じて定められてもよい。その後、エッチング制御部104は、高周波電源81と高周波電源83とにより、下部電極であるサセプタ63に高周波電力が連続的に印加されるように、電源部80を制御する。これにより、上部電極73と静電チャック61との間において、高周波電界が形成される。
高周波電界が形成されることで、処理容器68内に処理ガスのプラズマが発生し、当該プラズマにより補強材220bに対してエッチング処理が施される。この際、補強材220aに対して低分子化処理が施されて補強材220bが形成されているので、レジストパターン200よりも補強材220bが昇華しやすい状態となっている。このため、レジストパターン200(凸部201)はエッチングされずに、補強材220bがエッチングされる。これにより、図9(d)に示されるように、凹部202内の補強材220bが昇華して除去される。このように、プラズマ処理装置10は、低分子化処理が施された補強材(補強材220b)を昇華させて除去する除去部を構成する。以上により、一連の現像処理手順が終了する。
ステップS03~ステップS08の処理を行うことで、ウェハWの表面Wa上からリンス液210が除去される。この現像処理手順では、ウェハWの表面Wa上に吐出されたリンス液210が補強材220a(補強材220b)に一度置き換えられ、補強材220bがエッチングにより除去される(昇華する)ことで、ウェハWの表面Wa上からリンス液210が除去される。凹部202内の状態を見ると、液体(リンス液210)が入った状態から固体(補強材220a,220b)が入った状態に遷移した後に、固体が入った状態から気体(大気等)が入った状態に遷移している。
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る基板処理方法は、表面Waに凹凸パターンが形成されているウェハWの凹部202内の液体を、固体状態の補強材220aに置き換えることと、補強材220aを固体状態に維持しつつ、補強材220aに含まれる分子間の結合数を減少させる低分子化処理をウェハWに対して施すことと、を含む。
基板処理システム1は、表面Waに凹凸パターンが形成されているウェハWの凹部202内の液体を、固体状態の補強材220aに置き換える置換処理部と、補強材220aを固体状態に維持しつつ、補強材220aに含まれる分子間の結合数を減少させる低分子化処理をウェハWに対して施す低分子化処理部と、を備える。
この基板処理方法及び基板処理システム1では、凹凸パターンの凹部202内の液体が固体状態の補強材220aに置き換えられ、その補強材220aに低分化処理が施される。補強材220aを低分子化することで、凹凸パターンを残したまま、補強材220a(補強材220b)を除去することができ得るウェハWが形成される。補強材220bを除去することで凹部202内から物質が除去されるので、リンス液210等の液体が凹部202から除去される。
リンス液210等の液体を凹部内から除去(乾燥)する際に、ウェハWを所定の回転数で回転させて遠心力によって液体を振り切って除去することが行われている。この場合、凹部202内は、液体(リンス液)が入った状態から気体(大気)が入った状態へと遷移する。この遷移する過程において、複数の凹部202のうちの一部の凹部に液体が残ることで表面張力によりパターン(凸部201)が倒れてしまうおそれがある。本実施形態の基板処理方法及び基板処理システム1では、液体が入った状態から気体が入った状態への遷移が凹部202内で行われないので、凹凸パターンの一部の凹部に液体が残ることに起因するパターン倒れが発生し難い。すなわち、この基板処理方法及び基板処理システム1は、パターン倒れの抑制に有効である。
以上の実施形態では、低分子化処理を施す際には、凹凸パターンよりも補強材220bが昇華しやすいレベルまで、補強材220a内の分子間の結合数を減少させている。この場合、凹凸パターンを残したまま、補強材220bをより確実に除去し得る基板が形成される。
以上の実施形態に係る基板処理方法は、低分子化処理が施された補強材(補強材220b)を昇華させて除去することを更に含む。補強材220bは、低分子化処理が施されているので、凹凸パターンよりも昇華されやすい。このため、凹凸パターンを残して、補強材220bを昇華させて除去することができる。この方法では、凹部202内の液体を除去する(乾燥させる)際に、凹部202内が液体、固体、及び気体とこの順に遷移するので、凹部202内に液体が入った状態から気体が入った状態に遷移することに起因するパターン倒れを抑制することが可能となる。
以上の実施形態では、補強材220bを昇華させて除去することは、補強材220bに対してプラズマを用いたエッチング処理を施すことを含む。この場合、補強材220bは低分子化処理が施されているので、凹凸パターンを残したまま、プラズマを用いたエッチング処理により固体状態の補強材220bを昇華させることができる。補強材220bに対するプラズマを用いたエッチング処理は、プラズマ処理装置10によって行われる。このため、レジストパターン200をマスクとしたウェハWに対するエッチング処理だけでなく、補強材220bに対するエッチング処理にもプラズマ処理装置10を活用できるので、基板処理システム1の構成の簡素化が図られる。
以上の実施形態では、補強材220aに置き換えることは、ウェハWの表面Waに処理液L3を供給することで、凹部202内の液体を当該処理液L3に置き換えることと、処理液L3を乾燥させて凹部202内に補強材220aを形成することとを含む。この場合、凹部202内の状態を液体が入った状態から固体が入った状態に遷移させることが容易である。
以上の実施形態では、凹凸パターンは、露光処理が行われたレジスト膜Rに現像処理が施されることで形成されたレジストパターン200である。この場合、現像を行うための現像液L1をリンス液L2で洗い流す際に、当該リンス液L2の除去に起因したパターン倒れが抑制される。
以上の実施形態では、補強材220a(処理液L3)は、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、紫外線硬化樹脂、及びポリメタクリル酸メチルのうちの少なくとも一つを含有するポリマーを含む。この場合、補強材220bに含まれるポリマーの重合度が、補強材220aに含まれるポリマーの重合度よりも減少する。重合度が減少することで物質は反応しやすい状態となるので、凹凸パターンが反応しない条件にて、補強材220aを反応(昇華)させて除去することが可能となる。
重合度が小さく反応しやすいポリマーを含む処理液を供給することも考えられるが、このような処理液は不安定な状態であり、供給前及び供給後を含めて当該処理液の取扱いが困難である。上記実施形態では、重合度が大きいポリマー(例えば重合度が数千~数万)から重合度が小さいポリマー(例えば重合度が数十から数百)に分解することで、供給時の処理液の取扱いが容易となる。また、処理液を乾燥させる際に、重合度が大きいポリマー同士が絡まって固体状態の補強材220aが形成されるので、凹部内の物質を液体から固体に遷移させることが容易である。なお、処理液に含有される物質の種類によっては、凸部201の表面に薄膜が形成され、レジストパターン200の粗さを低減できる可能性もある。
(変形例)
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
基板処理システム1は、凹部202内の液体を固体状態の補強材に置き換える置換処理部、補強材に低分子化処理を施す低分子化処理部、及びこれらを制御可能な制御装置を備えていればどのようなものであってもよい。基板処理システム1において、プラズマ処理装置10は、塗布・現像装置2内に設けられていてもよい。
処理モジュール12は、照射ユニットU5におけるエネルギー線の照射に応じて架橋を促進する架橋剤を含むレジスト膜を形成してもよい。この場合、ステップS06において、ウェハWの表面Wa全面にエネルギー線が照射すると、補強材220aに低分子化処理が施されると共に、レジスト膜から形成されている凸部201内において架橋反応が促進され、当該凸部201が硬化する。
この変形例に係る基板処理方法では、低分子化処理を施すことは、補強材220aに対してエネルギー線を照射することを含む。レジスト膜は、エネルギー線の照射に応じて架橋を促進する架橋剤を含む。この場合、低分子化処理を施すためのエネルギー線の照射に伴って凸部201が硬化する。このため、補強材220bとレジストパターン200との間の選択比(コントラスト比)が上がり、凹部202内の補強材220bを、レジストパターン200を残しつつ除去することが容易である。また、低分子化処理のためのエネルギー線の照射を凸部201の硬化にも有効利用できる。
制御装置100は、ステップS06の処理において、エネルギー線の照射に加えて、補強材220aに熱エネルギーを与えることで、補強材220aに低分子化処理を施してもよい。例えば、照射制御部103は、照射ユニットU5において、ウェハWを後述の熱板43上に載置させて当該ウェハWを加熱することによって、補強材220aに熱エネルギーを与えてもよい。この場合、照射ユニットU5は加熱部41(低分子化処理部)を更に備えていてもよい(図4参照)。
加熱部41は、レジストパターン200の凹部202内に形成された補強材220aを加熱する。例えば加熱部41は、熱板43と、昇降機構44とを有する。熱板43は水平に配置されたウェハWを支持し、加熱するための板状の加熱要素である。例えば熱板43は、熱源として複数のヒータを内蔵している。ヒータの具体例としては、電熱線式のヒータ等が挙げられる。
昇降機構44は、熱板43の上においてウェハWを昇降させる。例えば昇降機構44は、複数(例えば3本)の昇降ピン45と昇降駆動部46とを有する。複数の昇降ピン45は、熱板43を貫通するように上方に突出している。昇降駆動部46は複数の昇降ピン45を昇降させ、その先端部を熱板43の上部に出没させる。これにより、熱板43上においてウェハWを昇降させることが可能となっている。
照射制御部103は、昇降駆動部46により昇降ピン45を下降させた状態で、熱板43によりウェハWを加熱するように加熱部41を制御してもよい。また、照射制御部103は、昇降駆動部46を駆動することでウェハWを上昇させた状態(照射部42に近づけた状態)で、表面Waへエネルギー線を照射するように照射部42を制御してもよい。なお、加熱部41及び照射部42は、必ずしも一つのユニットとして構成されていなくてよく、互いに独立したユニットとして構成されていてもよい。
あるいは、制御装置100(照射制御部103)は、ウェハWに対してエネルギー線の照射に代えて、熱エネルギーの付与を行うことで、補強材220aに対して低分子化処理を施してもよい。この場合、照射ユニットU5において照射部42が省略されてもよい。あるいは、制御装置100は、上記の照射ユニットU5に代えて熱処理ユニットU4において補強材220aに熱エネルギーを与えることで、低分子化処理を行ってもよい。
ポリメタクリル酸メチルを含有するポリマーを含む補強材220aに熱エルギーが付与されると、エネルギー線を照射した場合と同様に、「C-CH2」結合の一部が切れることとで、分子間の結合数が減少する(図10参照)。このように、熱エネルギーの付与により分子間の結合数が減少した複数の化合物が形成されることで、物質が安定した状態から、より昇華されやすい性質へと変化する。
凹部202内に形成される補強材220a,220bの高さは、レジストパターン200(凸部201)と同程度であってもよく、凸部201よりも低くてもよい。補強材220a,220bの高さは、凸部201よりも高くてもよい。この場合、凹部202内に位置する補強材220a(補強材220b)同士は、凸部201よりも上方で膜状の補強材により互いに接続されていてもよい。このように、補強材220a,220bが凹部202内の少なくとも一部を埋めていればよい。
制御装置100は、ステップS08の処理において、プラズマを用いたエッチング処理に代えて、補強材220bが形成されているウェハWをプラズマ処理装置10の処理容器68内に置くことによって、当該補強材220bを昇華(蒸発)させてもよい。つまり、制御装置100は、ウェハWを減圧された空間に置くことによって補強材220bを昇華させる処理を行ってもよい。あるいは、制御装置100は、プラズマ処理装置10の減圧された空間(処理容器68内)にウェハWを置くことで補強材220bの一部を昇華させることに加えて、プラズマを用いたエッチング処理により、補強材220bの残りの部分を昇華させてもよい。これらの場合であっても、レジストパターン200をマスクとしたウェハWのエッチング処理だけでなく、補強材220bに対するエッチング処理にもプラズマ処理装置10を活用できるので、基板処理システム1の構成の簡素化が図られる。
基板処理システム1は、プラズマ処理装置10に代えて、減圧された空間(実質的に真空状態である空間)を形成することが可能な減圧ユニット(除去部)を備えていてもよく、当該減圧ユニットにて補強材220bの除去が行われてもよい。当該減圧ユニットが、塗布・現像装置2内に設けられてもよい。この場合、塗布・現像装置2において上述の現像処理手順が全て行われてもよい。減圧空間にて補強材220bを昇華させる場合、制御装置100は、ステップS06の低分子化処理にて、低分子化処理後にウェハWを減圧空間に置いた際にレジストパターン200に比べて、補強材220bがより昇華する状態となるように分子間の結合数(例えばポリマー重合度)を減少させてもよい。
これらの変形例に係る基板処理方法では、補強材220bを昇華させて除去することは、ウェハWを減圧された空間に置くことによって補強材220bを昇華させることを含む。補強材220bは低分子化処理が施されているので、ウェハWを減圧された空間に置くことで、凹凸パターンを残したまま、固体状態の補強材220bを液体状態を介さずに蒸発させることができる。
現像ユニットU3は、凹部202内のリンス液を固体状態の補強材に置き換える際に、凹部202内のリンス液を乾燥させることなく(凹部202内を空にすることなく)、リンス液を補強材に置き換えればよい。例えば、現像ユニットU3は、ポリマーを含む粉末状の物質を表面Wa上のリンス液に供給し、固形物を沈殿させた後にリンス液を除去してもよい。あるいは、現像ユニットU3は、ポリマーを含む粉末状の物質を表面Wa上のリンス液に溶かして、当該物質が溶けているリンス液を乾燥させることで、リンス液を固化させてもよい。
処理対象の基板は半導体ウェハに限られず、例えばガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)などであってもよい。