以下では、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
図1に示す電力供給システム1は、系統電源Kからの電力や、太陽光を利用して発電された電力を負荷Hへと供給するものである。電力供給システム1は、集合住宅に設けられ、当該集合住宅の負荷H(例えば、複数の住宅の機器等)へと電力を供給する。電力供給システム1は、主として第一蓄電システム10、第二蓄電システム20、第三蓄電システム30、第一センサ41、第二センサ42、第三センサ43及びEMS50を具備する。以下では、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30をまとめて「蓄電システム」ということもある。また、第一センサ41、第二センサ42及び第三センサ43をまとめて「センサ」ということもある。
第一蓄電システム10は、太陽光を利用して発電された電力を蓄電したり、負荷Hへと供給するものである。第一蓄電システム10は、太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13を具備する。
太陽光発電部11は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部11は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部11は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
蓄電池12は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池12は、後述するハイブリッドパワコン13を介して太陽光発電部11と接続される。
ハイブリッドパワコン13は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電された電力及び蓄電池12から放電された電力を負荷Hに出力可能であると共に、太陽光発電部11で発電された電力及び系統電源Kからの電力を蓄電池12に出力可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11及び蓄電池12の性能や運転状態に関する情報を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン13は、系統電源Kから負荷Hへと電力を供給する電力経路Aの第一接続点P1と接続される。
このように構成される第一蓄電システム10のハイブリッドパワコン13は、後述する第一センサ41の検出結果等に基づいて、放電(出力)する電力を調整する負荷追従運転を行うことができる。
第二蓄電システム20は、第一蓄電システム10よりも電力経路Aの上流側の第二接続点P2にハイブリッドパワコン23が接続される点を除いて、第一蓄電システム10と同様に構成される。具体的には、第二蓄電システム20の太陽光発電部21、蓄電池22及びハイブリッドパワコン23は、それぞれ第一蓄電システム10の太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13に相当する。
第三蓄電システム30は、第二蓄電システム20よりも電力経路Aの上流側の第三接続点P3にハイブリッドパワコン33が接続される点を除いて、第一蓄電システム10と同様に構成される。具体的には、第三蓄電システム30の太陽光発電部31、蓄電池32及びハイブリッドパワコン33は、それぞれ第一蓄電システム10の太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13に相当する。
第一センサ41は、電力経路Aにおいて、第一接続点P1と第二接続点P2との間に設けられる。また、第一センサ41は、第一接続点P1の上流側(系統電源K側)に隣接するように(電力経路Aと他の蓄電システムとの接続点が介在しないように)設けられる。第一センサ41は、設けられた箇所を流通する電力(例えば、負荷H等へと供給される電力や、系統電源Kへと逆潮流される電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
第二センサ42は、電力経路Aにおいて、第二接続点P2と第三接続点P3との間に設けられる点を除いて、第一センサ41と同様に構成される。
第三センサ43は、電力経路Aにおいて、第三接続点P3と系統電源Kとの間に設けられる点を除いて、第一センサ41と同様に構成される。
EMS50は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS50は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。EMS50の記憶部には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS50の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力供給システム1を動作させることができる。
EMS50は、ハイブリッドパワコン13・23・33と電気的に接続される。EMS50は、所定の信号をハイブリッドパワコン13・23・33に送信し、蓄電池12・22・32の運転(例えば、蓄電池12・22・32の充放電等)を制御することができる。また、EMS50は、ハイブリッドパワコン13・23・33から所定の信号が入力可能に構成され、蓄電池12・22・32の蓄電残量(蓄電された電力量)、及び蓄電池12・22・32からの放電量を取得することができる。
以下では、前述の如く構成された電力供給システム1における電力の供給態様について、簡単に説明する。
本実施形態において、電力供給システム1における電力の供給態様には、蓄電システム10・20・30の蓄電池12・22・32の充放電の態様に応じて、2種類の態様が含まれる。より詳細には、電力の供給態様には、蓄電池12・22・32の充放電がEMS50からの指示を受けずに行われる態様(以下では「第一の態様」と称する)と、EMS50から指示を受けて行われる態様(以下では「第二の態様」と称する)と、が含まれる。第一の態様及び第二の態様は、任意に切り替え可能に構成される。
まず、第一の態様について説明する。
この場合、蓄電池12・22・32は、充放電可能な状態を維持している。そして、蓄電池12・22・32は、センサ41・42・43の検出結果に基づいて、負荷追従運転による充放電を行う。
具体的には、蓄電池12・22・32は、センサ41・42・43が負荷H側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出結果に基づいて放電を行う。また、蓄電池12・22・32は、センサ41・42・43が系統電源K側へ流れる電力を検出した場合に、当該検出結果に基づいて充電を行う。なお、蓄電池12・22・32は、センサ41・42・43が負荷H側及び系統電源K側へ流れる電力を検出しなかった場合には、充放電を行わない(待機する)。
こうして、例えば第一蓄電システム10において、第一センサ41が負荷H側へ流れる電力を検出した場合には、当該検出結果に基づいて、蓄電池12から放電された電力が電力経路Aへと流される。この場合、太陽光発電部11で発電された電力(発電電力)があれば、当該発電電力も電力経路Aへと流される。こうして、電力経路Aへ流された電力は負荷H側へ流れる。
また、例えば第一蓄電システム10において、第一センサ41が系統電源K側へ流れる電力を検出した場合には、当該検出結果に基づいて、太陽光発電部11で発電された電力が蓄電池12に充電される。なお、太陽光発電部11で発電された電力のうち、蓄電池12で充電しきれなかった電力は、電力経路Aへと流され、系統電源K側へ流れる。
また、例えば第一蓄電システム10において、第一センサ41が負荷H側及び系統電源K側へ流れる電力を検出しなかった場合には、太陽光発電部11で発電された電力は電力経路Aへと流されるが、蓄電池12は充放電を行わない。こうして、電力経路Aへ流された電力は負荷H側へ流れる。
なお、第一蓄電システム10を例示して説明を行ったが、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30においても同様である。
こうして、第一の態様においては、上述の如き蓄電池12・22・32の充放電の態様によって、上流側よりも下流側に位置する蓄電システムからの電力が優先して負荷Hへと供給され易くなる。そして、最も上流側に位置する第三蓄電システム30からの電力が供給されてもまだ負荷Hの消費電力に不足する場合には、不足する分の電力が系統電源Kから購入される。
次に、第二の態様について説明する。
この場合、蓄電池12・22・32は、対応するハイブリッドパワコン13・23・33を介したEMS50の指示によって充放電可能な状態が変更される。具体的には、EMS50の指示には、放電指示、充電指示及び待機指示が含まれる。
放電指示とは、蓄電池12・22・32を放電可能且つ充電不可能な状態に変更するものである。また、充電指示とは、蓄電池12・22・32を充電可能且つ放電不可能な状態に変更すると共に、実際に充電を開始させるものである。また、待機指示とは、蓄電池12・22・32を充放電不可能な状態に変更するものである。
こうして、例えばEMS50が第一蓄電システム10の蓄電池12に放電指示を行った場合には、当該蓄電池12は負荷追従運転による放電を行う。すなわち、第一センサ41が負荷H側へ流れる電力を検出した場合には、当該検出結果に基づいて、蓄電池12から放電された電力が電力経路Aへと流される。この場合、太陽光発電部11で発電された電力があれば、当該発電電力も電力経路Aへと流される。こうして、電力経路Aへ流された電力は負荷H側へ流れる。
また、例えばEMS50が第一蓄電システム10の蓄電池12に充電指示を行った場合には、当該蓄電池12は充電を開始する。蓄電池12は、太陽光発電部11で発電された電力があれば、当該発電電力を充電する。また、蓄電池12は、発電電力だけでは不足する場合や、発電電力が無い場合には、電力経路Aを流れる電力(例えば系統電源Kから購入した電力や、他の蓄電システムの太陽光発電部の発電電力)を充電する。
また、例えばEMS50が第一蓄電システム10の蓄電池12に待機指示を行った場合には、当該蓄電池12は充放電を行わない。
なお、第一蓄電システム10を例示して説明を行ったが、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30においても同様である。
こうして、第二の態様においては、上述の如き蓄電池12・22・32の充放電の態様によって、蓄電システムの位置(上流側や下流側)を問わず、任意の蓄電システムで充放電が行われる。
また、EMS50は、ハイブリッドパワコン13・23・33を介して、蓄電池12・22・32に放電指示及び待機指示を行うことができる。ここで、「放電指示」とは、蓄電池12・22・32を放電可能(負荷追従運転可能)な状態とすることをいい、「待機状態」とは、蓄電池12・22・32を放電不可能(負荷追従運転不可能)な状態とすることをいう。
また、EMS50は、前記記憶部に、電気料金プランに係る情報を記憶している。電気料金プランとは、系統電源Kからの電力の時刻ごとの買電単価(1kWhあたりの電気料金)を示すものである。なお、系統電源Kからの電力の買電単価には、系統電源K(電力会社)から購入する電力の時刻ごとの買電単価だけでなく、小売事業者から(小売事業者を介して)購入する電力の時刻ごとの買電単価も含まれる。
図2に示す電気料金プランにおいては、0~7時の買電単価は15[円/kWh]であり、7~10時の買電単価は25[円/kWh]であり、10~17時の買電単価は35[円/kWh]であり、17~24時の買電単価は25[円/kWh]である。
EMS50は、最も買電単価が低い時間帯(0~7時)に、系統電源Kからの電力を蓄電池12・22・32に充電させる。このように、電力料金の低い電力を蓄電池12・22・32に充電しておき、一方、最も買電単価が低い時間帯(0~7時)以外の時間帯(7~24時)には、蓄電池12・22・32からの放電を可能とし、負荷Hに放電された当該電力を供給する。これにより、電気料金の削減を図ることができる。
一方で、蓄電池12・22・32からの放電が可能な時間帯(7~24時)の開始時刻(7時)に蓄電池12・22・32の放電を開始すると、電力単価が最も高い時間帯(10~17時)に、蓄電池12・22・32の蓄電残量が不足してしまうおそれがある。一方、電力単価が最も高い時間帯(10~17時)の開始時刻(10時)に蓄電池12・22・32の放電を開始すると、蓄電池12・22・32の蓄電された電力を使い切れないおそれがある。
そこで、本実施形態に係る電力供給システム1においては、上記の課題を解決すべく、電気料金プランに係る情報(図2参照)や、過去の実績などに基づいて予測される、将来の電力需要(負荷Hの消費電力)及び太陽光発電部11・21・31の発電電力に基づいて、蓄電池12・22・32の放電を行う時間帯、及び当該時間帯における放電量を計画立案する放電計画制御を行う。
また、放電計画制御によって蓄電池12・22・32の放電量を計画立案しても、負荷Hの実際の消費電力及び太陽光発電部11・21・31の実際の発電電力は予測と異なる場合があり、この場合、実際に要求される蓄電池12・22・32からの放電量は、放電計画制御によって計画立案された蓄電池12・22・32の放電量と異なる(ずれる)こととなる。そこで、本実施形態に係る電力供給システム1においては、放電計画制御によって計画立案された蓄電池12・22・32の放電量と、実際に要求される蓄電池12・22・32からの放電量とのずれを、リアルタイムで(実際に放電を行う時に)補正するリアルタイム補正制御を行う。
以下では、図3から図10を用いて、EMS50による蓄電池12・22・32の放電制御について説明する。
図3は、蓄電池12・22・32の放電制御に係るメインフローを示している。図3に示すステップS10からS16のうち、ステップS10及びS11は、前述の放電計画制御に係る処理である。一方、ステップS12からS16は、前述のリアルタイム補正制御に係る処理である。放電計画制御(ステップS10及びS11)は、実際に蓄電池12・22・32からの放電を行う日(以下、「当日」ともいう)前に行われ、例えば当日の1日前の日(以下、「前日」ともいう)に行われる。
まず、ステップS10及びS11の放電計画制御について説明する。
図3に示すステップS10において、EMS50は、現在が放電許可量割当処理時刻であるか否かの判定を行う。ここで、「放電許可量割当処理時刻」とは、後述する放電許可量の割当処理(ステップS11)を行う時刻のことをいう。放電許可量割当処理時刻は、例えば、実際に蓄電池12・22・32からの放電を行う日(当日)の前日の23時に設定される。
EMS50は、現在が放電許可量割当処理時刻であると判定した場合(ステップS10で「YES」)、ステップS11に移行する。一方、EMS50は、現在が放電許可量割当処理時刻でないと判定した場合(ステップS10で「NO」)、ステップS12に移行する。
ステップS11において、EMS50は、放電許可量割当処理を行う。以下、図4を用いて、放電許可量割当処理について説明する。
ステップS20において、EMS50は、放電許可時間帯をグループ分けする。ここで、「放電許可時間帯」とは、蓄電池12・22・32に放電を許可する時間帯のことをいう。前述の如く、EMS50は、買電単価の最も低い時間帯(0~7時)を、蓄電池12・22・32に充電を行う充電時間帯に設定している(図2参照)。そして、EMS50は、買電単価の最も低い時間帯(充電時間帯)以外の時間帯(7~24時)を、「放電許可時間帯」に設定している。当該ステップS20において、EMS50は、放電許可時間帯(7~24時)を、系統電源Kからの電力の買電単価ごとにグループ分けする。
具体的には、EMS50は、買電単価が同じである時間帯が同じグループとなるように、放電許可時間帯(7~24時)を、各グループm(m=1、2、・・・)にグループ分けする。本実施形態においては、EMS50は、放電許可時間帯(7~24時)を、買電単価が35[円/kWh]である時間帯(10~17時)と、買電単価が25[円/kWh]である時間帯(7~10時及び17~24時)とにグループ分けする。ここでは、買電単価が35[円/kWh]である時間帯(10~17時)をグループ1(m=1)、買電単価が25[円/kWh]である時間帯(7~10時及び17~24時)をグループ2(m=2)とする。
EMS50は、当該ステップS20の処理を行った後、ステップS21に移行する。
ステップS21において、EMS50は、放電要求量mを算出する。ここで、「放電要求量」とは、蓄電池12・22・32に要求される放電量(負荷Hの消費電力を賄うために必要な蓄電池12・22・32からの放電量)を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における放電要求量であることを示している。
放電要求量mは、過去の実績などに基づいて予測される当日の負荷Hの消費電力(負荷Hの消費電力の予測値)と、過去の実績などに基づいて予測される太陽光発電部11・21・31の発電電力(太陽光発電部11・21・31の発電電力の予測値)との差によって算出される。放電要求量mは、グループmの各時刻において放電要求量を算出し、グループmの各時刻の放電要求量を合算することにより算出される。
したがって、グループmにおける太陽光発電部11・21・31の発電電力の予測値が、グループmにおける負荷Hの消費電力の予測値以上である場合(つまり、太陽光発電部11・21・31の発電電力だけで負荷Hの消費電力を賄えると予測される場合)には、放電要求量mは0となる。一方、グループmにおける太陽光発電部11・21・31の発電電力の予測値が、グループmにおける負荷Hの消費電力の予測値未満である場合(つまり、太陽光発電部11・21・31の発電電力だけでは負荷Hの消費電力を賄えないと予測される場合)には、放電要求量mは、グループmにおける負荷Hの消費電力の予測値から、グループmにおける太陽光発電部11・21・31の発電電力の予測値を差し引くことによって算出される。すなわち、(放電要求量m)=(グループmにおける負荷Hの消費電力の予測値)-(グループmにおける太陽光発電部11・21・31の発電電力の予測値)である。
本実施形態においては、図10に示すように、グループ1(10~17時)の放電要求量1は3000[Wh]、グループ2(7~10時及び17~24時)の放電要求量2は4000[Wh]であるものとする。
EMS50は、当該ステップS21の処理を行った後、ステップS22に移行する。
ステップS22において、EMS50は、放電許可量m,n決定処理を行う。ここで、「放電許可量」とは、蓄電池12・22・32に許可される放電量(蓄電池12・22・32の放電量の上限値)を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における放電許可量であることを示している。また、添え字の「n」は、各蓄電池n(蓄電池n=蓄電池12、蓄電池22、蓄電池32)の放電許可量であることを示している。すなわち、放電許可量m,n決定処理は、ステップS21で算出した放電要求量mに対して、各蓄電池nからどれだけ放電を許可するかを決定するものである。換言すれば、放電許可量m,n決定処理は、ステップS21で算出した放電要求量mに対して、各グループmの期間において各蓄電池nに放電量を割り当てるものである。なお、放電許可量m,n決定処理の詳細については、後述する。
なお、EMS50は、ステップS21及びS22の処理を、買電単価が高いグループから順に繰り返し行う。すなわち、買電単価が最も高いグループ1(買電単価が35[円/kWh]である10~17時)について、ステップS21及びS22の処理の処理を行い、当該処理が終了すると、次に、買電単価が2番目に高いグループ2(買電単価が25[円/kWh]である7~10時及び17~24時)について、ステップS21及びS22の処理を行う。このようにして全てのグループmについて、ステップS21及びS22の処理を行う。
EMS50は、全てのグループmについてステップS21及びS22の処理を行った後、ステップS23に移行する。
ステップS23において、EMS50は、予備放電可能量nを算出する。ここで、「予備放電可能量」とは、後述するリアルタイム補正制御(ステップS12からS16までの処理)において、ステップS22で決定した放電許可量m,nを超えて割り当て可能な放電量を示すものである。この処理において、EMS50は、放電許可量m,n決定処理(ステップS22)完了後の残放電可能量n(詳細はステップS22の説明において後述する)を、予備放電可能量nとする。
すなわち、放電許可量nを割り当ててもなお、蓄電池nの放電可能量が0にならない場合には、予備放電可能量nが発生する。一方、放電許可量nを割り当てると、蓄電池nの放電可能量が0になる場合には、予備放電可能量nは発生しない(0となる)。このようにして算出された予備放電可能量nは、後述するリアルタイム補正制御(ステップS12からS16までの処理)において用いられる。
EMS50は、当該ステップS23の処理を行った後、図4に示す放電許可量割当処理(すなわち、図3に示すステップS11)を終了する。EMS50は、当該ステップS11の処理を行った後、図3に示すメインフローを終了する。
次に、図5を用いて、放電許可量m,n決定処理(図4に示すステップS22)の詳細について説明する。
ステップS30において、EMS50は、放電可能量m,n算出処理を行う。ここで、「放電可能量」とは、蓄電池12・22・32から放電可能な電力量を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における放電可能量であることを示している。また、添え字の「n」は、各蓄電池n(蓄電池n=蓄電池12、蓄電池22、蓄電池32)の放電可能量であることを示している。すなわち、放電可能量m,n算出処理は、各グループmの期間において、各蓄電池nからどれだけ放電可能であるかを算出するものである。なお、放電可能量m,n算出処理の詳細については、後述する。
本実施形態においては、図10に示すように、グループ1(10~17時)の放電許可量割当前において、蓄電池12の放電可能量1,12は4000[Wh]、蓄電池22の放電可能量1,22は3000[Wh]、蓄電池32の放電可能量1,32は1000[Wh]であり、各蓄電池nの放電可能量1,nの合計(総放電可能量)は8000[Wh]であるものとする。
EMS50は、当該ステップS30の処理を行った後、ステップS31に移行する。
なお、EMS50は、以下のステップS31からS37までの処理を、ステップS30で算出した放電可能量m,nの少ない蓄電池nから順に繰り返し行う。すなわち、放電可能量m,nが最も小さい蓄電池nについて、ステップS31からS37までの処理を行い、当該処理が終了すると、放電可能量m,nが2番目に小さい蓄電池nについて、ステップS31からS37までの処理を行う。このようにして全ての蓄電池nについて、ステップS31からS37までの処理を行う。
ステップS31において、EMS50は、総放電可能量mを算出する。ここで、「総放電可能量」とは、各蓄電池nの放電可能量の合計を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における放電可能量であることを示している。総放電可能量mは、放電許可量m,n(後述するステップS34又はS35で決定されるもの)が未決定の蓄電池nの放電可能量m,nを合計することによって算出される。EMS50は、当該ステップS31の処理を行った後、ステップS32に移行する。
ステップS32において、EMS50は、蓄電池nに対する放電要求量m,nを算出する。放電要求量m,nは、放電要求量m×(放電可能量m,n/総放電可能量m)によって算出される。すなわち、放電要求量m,nは、ステップS21で算出した放電要求量m(グループmの期間における放電要求量)を、放電可能量m,n(グループmの期間における蓄電池nの放電可能量)が総放電可能量m(グループmの期間における総放電可能量)に対して占める割合を乗じることによって算出される。これにより、放電可能量nに応じて、各蓄電池nに放電要求量m,nが設定されることとなる。
本実施形態においては、グループ1(10~17時)の蓄電池12に対する放電要求量1,12は、放電要求量1(3000[Wh])×{放電可能量1,12(4000[Wh])/総放電可能量1(8000[Wh])}の算出式により、1500[Wh]と算出される。同様の計算により、グループ1(10~17時)の蓄電池22に対する放電要求量1,22は1125[Wh]、蓄電池32に対する放電要求量1,32は375[Wh]と算出される。
EMS50は、当該ステップS32の処理を行った後、ステップS33に移行する。
ステップS33において、EMS50は、放電要求量m,n≦放電可能量m,nであるか否かを判定する。ここで、放電要求量m,nは、ステップS32で算出したものである。また、放電可能量m,nは、ステップS30で算出したものである。EMS50は、放電要求量m,n≦放電可能量m,nであると判定した場合(ステップS33で「YES」)、ステップS34に移行する。一方、EMS50は、放電要求量m,n≦放電可能量m,nでないと判定した場合(ステップS33で「NO」)、ステップS35に移行する。
なお、ステップS33で「YES」の場合とは、放電可能量m,nによって放電要求量m,nを満たす(賄う)ことができることを示している。一方、ステップS33で「NO」の場合とは、放電可能量m,nによって放電要求量m,nを満たす(賄う)ことができないことを示している。
ステップS34において、EMS50は、放電許可量m,nを決定する。この処理において、EMS50は、ステップS32で算出した放電要求量m,nを放電許可量m,nとする。
一方、ステップS35において、EMS50は、ステップS34と異なる方法で放電許可量m,nを決定する。この処理において、EMS50は、ステップS30で算出した放電可能量m,nを放電許可量m,nとする。
本実施形態においては、各蓄電池nにおいて、放電要求量m,n≦放電可能量m,nであるので(ステップS33で「YES」)、図10に示すように、グループ1(10~17時)の蓄電池12に対する放電許可量1,12は放電要求量1,12と同じ1500[Wh]、蓄電池22に対する放電許可量1,22は放電要求量1,22と同じ1125[Wh]、蓄電池32に対する放電許可量1,32は放電要求量1,32と同じ375[Wh]となり、各蓄電池nの放電許可量1,nの合計(総放電許可量)は3000[Wh]となる。
EMS50は、ステップS34又はステップS35の処理を行った後、ステップS36に移行する。
ステップS36において、EMS50は、蓄電池nの残りの放電可能量nを算出する。図5に示す放電許可量m,n決定処理は、買電単価が高いグループmから順にグループの数だけ繰り返すものであるので(図4参照)、放電可能量nのうち、前のグループで既に割り当てた放電許可量は使用できないためである。すなわち、当該ステップS36の処理は、ステップS31からS33及びS35で用いる放電可能量nを更新する処理ともいえる。残りの放電可能量nは、前のグループの放電許可量m,n割当前の放電可能量nから、放電許可量m,nを差し引くことによって算出される。
本実施形態においては、グループ2(7~10時及び17~24時)の蓄電池12の残りの放電可能量2,12は、グループ1の割当前の放電可能量1(4000[Wh])から、グループ1における蓄電池12の放電許可量1,12(1500[Wh])を差し引くことにより、2500[Wh]と算出される。同様の計算により、蓄電池22の放電可能量2,22は1875[Wh]、蓄電池32の放電可能量2,32は625[Wh]と算出され、各蓄電池nの放電可能量2,nの合計(総放電可能量)は5000[Wh]と算出される。
EMS50は、当該ステップS36の処理を行った後、ステップS37に移行する。
ステップS37において、EMS50は、残りの放電要求量mを算出する。ステップS31からS35の処理は、蓄電池nの台数分繰り返すものであるので、放電要求量mの一部は、前の蓄電池nで既に割り当てた放電許可量によって賄われているからである。すなわち、当該ステップS37の処理は、ステップS31からS34で用いる放電要求量mを更新する処理ともいえる。残りの放電要求量mは、ステップS21で算出した放電要求量mから、ステップS34又はS35で割当済の放電許可量m,nを差し引くことによって算出される。
なお、グループ1について放電許可量決定処理(ステップS22)が終了すると、次にグループ2について放電許可量決定処理(ステップS22)が行われるのであるが、グループ2における蓄電池nの放電許可量2,nは、ステップS36で算出された残りの放電可能量n(放電可能量2,12=2500[Wh]、放電可能量2,22=1875[Wh]、放電可能量2,32=625[Wh])を用いて算出される(ステップS31からS33及びS35)。よって、ステップS32において、グループ2(7~10時及び17~24時)の蓄電池12に対する放電要求量2,12は2000[Wh]、蓄電池22に対する放電要求量2,22は1500[Wh]、蓄電池32に対する放電要求量2,32は500[Wh]と算出される。放電要求量m,n≦放電可能量m,nであるので(ステップS33で「YES」)、図10に示すように、グループ2(7~10時及び17~24時)の蓄電池12に対する放電許可量2,12は放電要求量2,12と同じ2000[Wh]、蓄電池22に対する放電許可量2,22は放電要求量2,22と同じ1500[Wh]、蓄電池32に対する放電許可量2,32は放電要求量2,32と同じ500[Wh]となり、各蓄電池nの放電許可量2,nの合計(総放電許可量)は4000[Wh]となる。
EMS50は、全ての蓄電池nについてステップS31からS37までの処理を行うことにより、図5に示す放電許可量m,n決定処理(すなわち、図4に示すステップS22)を終了し、ステップS23に移行する。ステップS23の処理については、前述のとおりである。
なお、前述の如く、ステップS23において、EMS50は、放電許可量m,n決定処理(ステップS22)完了後の残放電可能量nを、予備放電可能量nとする。蓄電池12の予備放電可能量12は、グループ2の割当前の放電可能量1(2500[Wh])から、グループ2における蓄電池12の放電許可量1,12(2000[Wh])を差し引くことにより、500[Wh]と算出される。同様の計算により、蓄電池22の予備放電可能量22は375[Wh]、蓄電池32の予備放電可能量32は125[Wh]と算出される。
次に、図6を用いて、放電可能量m,n算出処理(図5に示すステップS30)の詳細について説明する。
ステップS40において、EMS50は、放電可能量n<(放電能力n)×(グループmに属する時間)であるか否かを判定する。前述の如く、「放電可能量n」とは、蓄電池nから放電可能な電力量を示すものである。また、「放電能力n」は、蓄電池nの単位時間(1hr)当りの最大放電量を示すものである。また、「グループmに属する時間」とは、グループmの総時間を示すものであり、例えば、グループ1(10~17時)に属する時間は、7時間である。
EMS50は、放電可能量n<(放電能力n)×(グループmに属する時間)であると判定した場合(ステップS40で「YES」)、ステップS41に移行する。一方、EMS50は、放電可能量n<(放電能力n)×(グループmに属する時間)でないと判定した場合(ステップS40で「NO」)、ステップS42に移行する。
なお、ステップS40で「YES」の場合とは、グループmに属する時間の間、蓄電池nから最大能力(最大放電量)で放電すれば、蓄電池nが放電不可能となることを示している。一方、ステップS40で「NO」の場合とは、グループmに属する時間の間、蓄電池nから最大能力(最大放電量)で放電してもなお、蓄電池nが放電可能であることを示している。
ステップS41において、EMS50は、グループmにおける蓄電池nの放電可能量(放電可能量m,n)を決定する。EMS50は、蓄電池nの放電可能量(放電可能量n)を放電可能量m,nとする。
ステップS42において、EMS50は、ステップS41と異なる方法でグループmにおける蓄電池nの放電可能量(放電可能量m,n)を決定する。EMS50は、(放電能力n)×(グループmに属する時間)を放電可能量m,nとする。
なお、EMS50は、ステップS40からS42までの処理を、蓄電池nの台数分繰り返す。このようにして全ての蓄電池nについて、ステップS40からS42までの処理を行う。EMS50は、全ての蓄電池nについてステップS40からS42までの処理を行うことにより、図6に示す放電可能量m,n算出処理(図5に示すステップS30)を終了する。
EMS50は、図6に示す放電可能量m,n算出処理(図5に示すステップS30)を終了した後、ステップS31に移行する。ステップS31以降の処理については、前述のとおりである。
このようにして、ステップS10及びS11によって構成される放電計画制御は完了する(図3参照)。この放電計画制御によって前日に計画立案された放電を行う時間帯及び放電量(図5に示すステップS34又はS35で決定された放電許可量)に基づいて、当日に蓄電池nからの放電が行われる。
前述したように、当日の負荷Hの消費電力の予測値及び太陽光発電部11・21・31の発電電力の予測値から、各蓄電池12・22・32に要求される放電量(放電要求量)を算出したうえで(図4に示すステップS21)、各蓄電池12・22・32に許可する放電量(放電許可量)を決定する(図4に示すステップS22)。その際に、ステップS21及びS22の処理を買電単価の高いグループから順に行うことにより(図4参照)、必ずしも放電を許可する時間帯(放電許可時間帯)の開始時刻(7時)から放電を開始させるのではなく、買電単価の高いグループ(買電単価が35[円/kWh]である時間帯(10~17時))から優先的に放電を行う(放電許可量を割り当てる)こととなる。
これにより、最も放電を行うべき買電単価の最も高い時間帯(10~17時)に蓄電池12・22・32の蓄電残量が不足して放電ができないといった事態を回避することができる。したがって、買電単価の高い時間帯における系統電源Kからの購入電力量を減らすことができ、ひいては、電気料金の削減を図ることができる。
また、ステップS21及びS22においては、買電単価の最も高いグループの時間帯に放電許可量を割り当てても放電可能量がなお残っている場合、次に買電単価の高いグループの時間帯に放電許可量を割り当てる。よって、必ずしも買電単価の最も高いグループの時間帯(10~17時)の開始時刻(10時)から放電を開始させるのではなく、当該開始時刻(10時)から放電要求量に対して放電許可量を割り当てても放電可能量が余剰する場合には、買電単価の最も高いグループの時間帯(10~17時)より前の時間帯(7~10時)にも放電許可量を割り当てることができる。したがって、7~10時に放電を行わなかったことにより、蓄電池12・22・32に蓄電された電力を使いきれないという事態の回避を図ることができる。
また、本実施形態においては、図5に示すステップS32で示した算出式によって、総放電可能量に対して各蓄電池12・22・32の放電可能量が占める割合に応じて、各蓄電池12・22・32に放電要求量を割り当て、放電可能量が放電要求量以上である場合(ステップS33でYES)には、割り当てた当該放電要求量を放電許可量とするものであるため(ステップS34)、放電可能な全ての蓄電池12・22・32に放電許可量が割り当てられることとなる。
このように放電可能な蓄電池12・22・32が分散されることにより、負荷Hの消費電力の急激な変動があった場合、蓄電池12・22・32の1台当りの放電量の変動が少なくてすむ。よって、負荷Hの消費電力の急激な変動に対応し易くすることができる。
また当日、EMS50は、原則として、放電計画制御で割り当てた放電許可量を上限として蓄電池12・22・32の負荷追従運転を行うが、各蓄電池12・22・32の放電能力(単位時間当たりの最大放電量)には限界があるため、負荷Hの消費電力の急激な増加により、少ない蓄電池台数ではこれに対応しきれない(負荷Hの消費電力を賄えない)おそれがある。これに対して、本実施形態においては、放電を行う蓄電池台数が多くなり易く(放電可能な蓄電池12・22・32が分散され易く)、これに伴って最大放電量の合計も多くなり易い。したがって、負荷Hの消費電力の急激な増加があった場合でも、これに対応する(負荷Hの消費電力を賄う)ことが容易となる。
なお、本実施形態においては、図5に示すステップS32で示した算出式によって、総放電可能量に対して各蓄電池12・22・32の放電可能量が占める割合に応じて、各蓄電池12・22・32に放電要求量を割り当て、放電可能量が放電要求量以上である場合(ステップS33でYES)には、割り当てた当該放電要求量を放電許可量とするものとしたが(ステップS34)各蓄電池12・22・32の放電可能量をそのまま放電許可量としてもよい。この場合、放電可能量の多い蓄電池12・22・32から優先的に放電許可量の割当を行うと、少ない蓄電池台数で放電要求量を満たすことができるため、放電を行う蓄電池台数が少なくなり易い。
これに対して、本実施形態においては、蓄電池12・22・32の放電可能量から各蓄電池12・22・32に放電許可量を割り当てる際、この割当を放電可能量の少ない蓄電池12・22・32から優先的に行う(図5参照)。このように、放電可能量の少ない蓄電池12・22・32から優先的に割当を行うと、放電要求量を満たすために、放電許可量が割り当てられた蓄電池12・22・32(放電が許可された蓄電池12・22・32)の台数が多くなり易い(放電可能な蓄電池12・22・32が分散される)。よって、負荷Hの消費電力の急激な変動に対応し易く、かつ、負荷Hの消費電力の急激な増加があった場合でも、これに対応する(負荷Hの消費電力を賄う)ことが容易となる。
また、放電可能量は、各蓄電池12・22・32の蓄電残量及び放電能力、並びにグループmに属する時間を考慮して、実際には放電不可能な値とならないようにしている(図6参照)。これにより、放電許可量が実際に放電可能な放電量を超えて、必要以上に割り当てられないようにすることができる。
次に、図3に示すステップS12からS16のリアルタイム補正制御について説明する。前述したように、当日は、EMS50は、第一センサ41、第二センサ42及び第三センサ43の検出結果に基づいて蓄電池12・22・32の負荷追従運転を行うのであるが、原則として、蓄電池からの放電量は、ステップS11の放電計画制御で割り当てた放電許可量を上限とする。但し、当日の負荷Hの実際の消費電力や太陽光発電部11・21・31の実際の発電電力は予測値とずれる場合があるので、以下のリアルタイム補正制御により、放電量の補正を適宜行う。
ステップS12において、EMS50は、現在が放電許可時間帯であるか否かの判定を行う。前述の如く、「放電許可時間帯」とは、蓄電池12・22・32に放電を許可する時間帯のことをいう。本実施形態において、放電許可時間帯は、買電単価の最も低い時間帯(0~7時)以外の時間帯(7~24時)に設定されている。
EMS50は、現在が放電許可時間帯であると判定した場合(ステップS12で「YES」)、ステップS13に移行する。一方、EMS50は、現在が放電許可時間帯でないと判定した場合(ステップS12で「NO」)、図3に示すメインフローを終了する。
ステップS13において、EMS50は、現在がグループmの終了時刻であるか否かの判定を行う。ここで、「グループmの終了時刻」とは、グループmが完全に終了する時刻を示すものであり、例えばグループ2のように複数の時間帯に分かれている場合には、最も後半の時間帯の終了時刻(グループ2の場合、24時)がグループmの終了時刻となる。EMS50は、現在がグループmの終了時刻でないと判定した場合(ステップS13で「NO」)、ステップS16に移行する。
ステップS16において、EMS50は、放電制御処理を行う。以下、図8を用いて、放電制御処理について説明する。
ステップS60において、EMS50は、現在の住宅総負荷量を取得する。ここで、「住宅総負荷量」とは、各住宅における負荷量(各住宅の負荷H(負荷H1、H2、H3)の消費電力)の合計値を示すものである。EMS50は、当該ステップS60の処理を行った後、ステップS61に移行する。
ステップS61において、EMS50は、現在のPV総発電量を取得する。ここで、「PV総発電量」とは、太陽光発電部11・21・31によって発電される電力量の合計を示すものである。EMS50は、当該ステップS61の処理を行った後、ステップS62に移行する。
ステップS62において、EMS50は、現在の放電要求量を算出する。現在の放電要求量は、ステップS60で算出した現在の住宅総負荷量から、ステップS61で算出した現在のPV総発電量を差し引くことによって算出される。すなわち、(放電要求量)=(現在の住宅総負荷量)-(現在のPV総発電量)となる。EMS50は、当該ステップS62の処理を行った後、ステップS63に移行する。
ステップS63において、EMS50は、放電要求量>0であるか否かを判定する。EMS50は、放電要求量>0であると判定した場合(ステップS63で「YES」)、ステップS64に移行する。一方、EMS50は、放電要求量>0でないと判定した場合(ステップS63で「NO」)、図8に示す放電制御処理を終了する。
なお、ステップS63で「YES」の場合とは、蓄電池12・22・32から放電することができる(放電が必要である)ことを示している。一方、ステップS63で「NO」の場合とは、蓄電池12・22・32からの放電が不要であることを示している。
ステップS64において、EMS50は、全蓄電池(蓄電池12・22・32)の残放電許可量m,nを算出する。ここで、「残放電許可量」とは、ステップS11の放電計画制御で(前日に)割り当てた放電許可量の残存分を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における残放電許可量であることを示している。また、添え字の「n」は、各蓄電池n(蓄電池n=蓄電池12、蓄電池22、蓄電池32)の残放電許可量であることを示している。
残放電許可量m,nは、ステップS11で割り当てられた放電許可量m,nから、実放電量m,nを減ずることによって算出される。ここで、「実放電量」とは、蓄電池12・22・32からの実際の放電量を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における実放電量であることを示している。また、添え字の「n」は、各蓄電池n(蓄電池n=蓄電池12、蓄電池22、蓄電池32)の実放電量であることを示している。
EMS50は、当該ステップS64の処理を行った後、ステップS65に移行する。
ステップS65において、EMS50は、ステップS64で算出した残放電許可量m,n<0であるか否かを判定する。EMS50は、残放電許可量m,n<0であると判定した場合(ステップS65で「YES」)、ステップS66に移行する。一方、EMS50は、残放電許可量m,n<0でないと判定した場合(ステップS65で「NO」)、ステップS64に移行する。
なお、ステップS65で「YES」の場合とは、ステップS11で割り当てた放電許可量(及び太陽光発電部11・21・31の発電電力)によって実放電量を賄えていることを示している。一方、ステップS65で「NO」の場合とは、ステップS11で割り当てた放電許可量(及び太陽光発電部11・21・31の発電電力)では実放電量を賄えていないことを示している。
ステップS66において、EMS50は、放電許可量追加割当処理を行う。放電許可量追加割当処理は、ステップS11で割り当てた放電許可量を超えて、放電許可量を追加割当する処理である。以下、図9を用いて、放電許可量追加割当処理について説明する。
ステップS70において、EMS50は、追加放電要求量m,nを算出する。ここで、「追加放電要求量」とは、追加で蓄電池12・22・32に要求する放電量を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における追加放電要求量であることを示している。また、添え字の「n」は、各蓄電池n(蓄電池n=蓄電池12、蓄電池22、蓄電池32)の追加放電要求量であることを示している。追加放電要求量m,nは、例えば、現在の系統電源Kからの購入電力や、グループmの残り時間等によって算出される。
EMS50は、当該ステップS70の処理を行った後、ステップS71に移行する。
ステップS71において、EMS50は、予備放電可能量n>0であるか否かを判定する。予備放電可能量nは、図4に示すステップS23で算出されたものである。EMS50は、予備放電可能量n>0であると判定した場合(ステップS71で「YES」)、ステップS72に移行する。一方、EMS50は、予備放電可能量n>0でないと判定した場合(ステップS71で「NO」)、ステップS73に移行する。
ステップS72において、EMS50は、追加割当可能量m,nを算出する。ここで、「追加割当可能量」とは、追加で蓄電池12・22・32に割り当て可能な放電量を示すものである。そして、添え字の「m」は、ステップS20でグループ分けした各グループmの期間における追加割当可能量であることを示している。また、添え字の「n」は、各蓄電池n(蓄電池n=蓄電池12、蓄電池22、蓄電池32)の追加割当可能量であることを示している。この処理において、EMS50は、予備放電可能量nを追加割当可能量m,nとする。
一方、ステップS73において、EMS50は、ステップS72と異なる方法で追加割当可能量m,nを算出する。この処理において、EMS50は、放電許可量L,nを追加割当可能量とする。ここで、「放電許可量L,n」とは、該当蓄電池nに割り当てられた放電許可量のうち、最も安い買電単価のグループLでの放電許可量を示すものである。本実施形態においては、最も安い買電単価のグループLは、買電単価が25[円/kWh]であるグループ2(7~10時及び17~24時)である。
EMS50は、ステップS72又はステップS73の処理を行った後、ステップS74に移行する。
ステップS74において、EMS50は、追加割当可能量m,n≧追加放電要求量m,nであるか否かを判定する。EMS50は、追加割当可能量m,n≧追加放電要求量m,nであると判定した場合(ステップS74で「YES」)、ステップS75に移行する。一方、EMS50は、追加割当可能量m,n≧追加放電要求量m,nでないと判定した場合(ステップS74で「NO」)、ステップS76に移行する。
なお、ステップS74で「YES」の場合とは、ステップS72又はS73で算出した追加割当可能量m,nで、ステップS70で算出した追加放電要求量m,nを賄えることを示している。一方、ステップS74で「NO」の場合とは、ステップS72又はS73で算出した追加割当可能量m,nでは、ステップS70で算出した追加放電要求量m,nを賄えないことを示している。
ステップS75において、EMS50は、追加割当する放電許可量m,nを決定する。この処理において、EMS50は、ステップS70で算出した追加放電要求量m,nを、追加割当する放電許可量m,nとする。
一方、ステップS76において、EMS50は、ステップS75と異なる方法で追加割当する放電許可量m,nを決定する。この処理において、EMS50は、ステップS72又はS73で算出した追加割当可能量m,nを、追加割当する放電許可量m,nとする。
EMS50は、ステップS75又はステップS76の処理を行った後、ステップS77に移行する。
ステップS77において、EMS50は、実放電量m,nを初期化する。これにより、実放電量m,n=0となる。EMS50は、当該ステップS77の処理を行った後、ステップS78に移行する。
ステップS78において、EMS50は、予備放電可能量n>0であるか否かを判定する。EMS50は、予備放電可能量n>0であると判定した場合(ステップS78で「YES」)、ステップS79に移行する。一方、EMS50は、予備放電可能量n>0でないと判定した場合(ステップS78で「NO」)、ステップS80に移行する。
ステップS79において、EMS50は、予備放電可能量nを更新する。この処理において、EMS50は、更新前の予備放電可能量nから追加割当した放電許可量m,nを減ずることにより、予備放電可能量nを更新する。
一方、ステップS80において、EMS50は、放電許可量L,nを更新する。この処理において、EMS50は、更新前の放電許可量L,nから追加割当した放電許可量m,nを減ずることにより、放電許可量L,nを更新する。
EMS50は、ステップS79又はS80の処理を行った後、図9に示す放電許可量追加割当処理(すなわち、図8のステップS66)を終了する。
再び図8を参照する。EMS50は、ステップS64からS66までの処理を、蓄電池nの台数分繰り返す。このようにして全ての蓄電池nについて、ステップS64からS66までの処理を行う。EMS50は、全ての蓄電池nについてステップS64からS66までの処理を行った後、ステップS67に移行する。
ステップS67において、EMS50は、追加割当されていない蓄電池nの中で残放電可能量m,nが多い蓄電池nから順に必要台数だけ蓄電池nに放電指示を行う。これにより、蓄電残量の均一化を図ることができる。追加割当されていない蓄電池nからの放電では足りない場合は、追加割当した蓄電池nの中で放電許可量m,nが多い蓄電池nから順に必要台数だけ放電指示を行い、残りの蓄電池nは待機指示を行う。
EMS50は、当該ステップS67の処理を行った後、図8に示す放電制御処理(すなわち、図3のステップS16)を終了する。
再び図3を参照する。ステップS13において、EMS50は、現在がグループmの終了時刻であると判定した場合(ステップS13で「YES」)、ステップS14に移行する。
ステップS14において、EMS50は、余剰放電許可量割当処理を行う。ここで、「余剰放電許可量」とは、図3に示すステップS11の放電許可量割当処理及び(必要に応じて)図8に示すステップS66の放電許可量追加割当処理で割り当てた放電許可量のうち、実際に蓄電池12・22・32に要求される放電量に対して余剰する放電許可量を示すものである。なお、余剰放電許可量割当処理の詳細については、後述する。
EMS50は、当該ステップS14の処理を行った後、ステップS15に移行する。
ステップS15において、EMS50は、実放電量m,nを初期化する。これにより、実放電量m,n=0となる。
なお、EMS50は、ステップS15の処理を、蓄電池nの台数分繰り返す。このようにして全ての蓄電池nについて、ステップS15の処理を行う。EMS50は、全ての蓄電池nについてステップS15の処理を行った後、ステップS16に移行する。ステップS16の処理については、前述のとおりである。
以下、図7を用いて、余剰放電許可量割当処理(図3に示すステップS14)について説明する。図7に示す余剰放電許可量割当処理は、余剰放電許可量を予備放電可能量とする、又は元のグループに戻す処理である。
ステップS50において、EMS50は、余剰放電許可量m,n>0であるか否かを判定する。前述の如く、「余剰放電許可量」とは、ステップS11等で割り当てた放電許可量のうち、実際に蓄電池12・22・32に要求される放電量に対して余剰する放電許可量を示すものである。EMS50は、余剰放電許可量m,n>0であると判定した場合(ステップS50で「YES」)、ステップS51に移行する。一方、EMS50は、余剰放電許可量m,n>0でないと判定した場合(ステップS50で「NO」)、再びステップS50に戻り、次の蓄電池について当該ステップS50の処理を行う。
なお、ステップS50で「YES」の場合とは、ステップS11等で割り当てた放電許可量(及び太陽光発電部11・21・31の発電電力)によって、負荷Hの実際の消費電力を賄うことができたことを示している。一方、ステップS50で「NO」の場合とは、ステップS11等で割り当てた放電許可量(及び太陽光発電部11・21・31の発電電力)では、負荷Hの実際の消費電力を賄うことができなかったことを示している。
ステップS51において、EMS50は、放電許可量を追加割当したか否かを判定する。この処理において、EMS50は、図9に示す放電許可量追加割当処理(図8に示すステップS66)を行ったか否かを判定する。EMS50は、放電許可量を追加割当したと判定した場合(ステップS51で「YES」)、ステップS54に移行する。一方、EMS50は、放電許可量を追加割当していないと判定した場合(ステップS51で「NO」)、ステップS52に移行する。
なお、ステップS50で「YES」、かつ、ステップS51で「YES」の場合とは、他のグループ又は予備放電可能量からの追加割当があり、そのうえで放電許可量の余剰が生じたことを示している。一方、ステップS50で「YES」、かつ、ステップS51で「NO」の場合とは、他のグループ又は予備放電可能量からの追加割当がされておらず、終了時刻となったグループm(図3に示すステップS13参照)に対して、ステップS11で割り当てられた放電許可量だけで余剰が生じたことを示している。
ステップS52において、EMS50は、未終了のグループがあるか否かを判定する。この処理において、EMS50は、未終了のグループ、すなわち、現時点において終了時刻が未だ経過していないグループがあるか否かを判定する。例えばグループ2のように複数の時間帯に分かれている場合には、EMS50は、最も後半の時間帯の終了時刻(グループ2の場合、24時)が未だ経過していないグループがあるか否かを判定する。EMS50は、未終了のグループがあると判定した場合(ステップS52で「YES」)、ステップS53に移行する。一方、EMS50は、未終了のグループがないと判定した場合(ステップS52で「NO」)、ステップS57に移行する。
ステップS53において、EMS50は、未終了のグループのうち、買電単価が最も高いグループxの放電許可量x,nに余剰放電許可量m,nを加算する。EMS50は、当該ステップS53の処理を行った後、再びステップS50に戻り、次の蓄電池について当該ステップS50の処理を行う。
一方、ステップS54において、EMS50は、他のグループから追加割当したか否かを判定する。EMS50は、他のグループから追加割当したと判定した場合(ステップS54で「YES」)、ステップS55に移行する。一方、EMS50は、他のグループから追加割当していないと判定した場合(ステップS54で「NO」)、ステップS57に移行する。
なお、ステップS54で「YES」の場合とは、他のグループ(買電単価の最も安いグループL)から追加割当を行ったこと(図9に示すステップS73)を示している。一方、ステップS54で「NO」の場合とは、予備放電可能量から追加割当を行ったこと(図9に示すステップS72)を示している。
ステップS55において、EMS50は、元のグループが未終了であるか否かを判定する。この処理において、EMS50は、追加割当元のグループ(買電単価の最も安いグループL)が未終了であるか否かを判定する。EMS50は、元のグループが未終了であると判定した場合(ステップS55で「YES」)、ステップS56に移行する。一方、EMS50は、元のグループが未終了でないと判定した場合(ステップS55で「NO」)、ステップS57に移行する。
ステップS56において、EMS50は、余った放電許可量m,nを元のグループ(買電単価の最も安いグループL)に戻す。この処理において、EMS50は、当該処理前の放電許可量L,nに余剰放電許可量m,nを足し合わせることにより、当該処理後の放電許可量L,nとする。
一方、ステップS57において、EMS50は、余った放電許可量m,nを予備放電可能量nに戻す。この処理において、EMS50は、当該処理前の予備放電可能量nに余剰放電許可量m,nを足し合わせることにより、当該処理後の予備放電可能量nとする。
なお、EMS50は、ステップS50からS57までの処理を、蓄電池nの台数分繰り返す。このようにして全ての蓄電池nについて、ステップS50からS57までの処理を行う。EMS50は、全ての蓄電池nについてステップS50からS57までの処理を行うことにより、図7に示す余剰放電許可量割当処理(すなわち、図3のステップS14)を終了し、図3に示すステップS15に移行する。ステップS15以降の処理は、前述のとおりである。
このように、EMS50は、原則として、前日に行った放電計画制御(図3に示すステップS10及びS11)によって割り当てられた放電許可量を上限として、蓄電池n(蓄電池12・22・32)からの放電を行う。そして、負荷Hの実際の消費電力(ステップS60で取得される住宅総負荷量)及び太陽光発電部11・21・31の実際の発電電力(ステップS61で取得されるPV総発電量)によって算出される、実際に要求される蓄電池12・22・32からの放電量(ステップS62で算出される放電要求量)と、予測した放電要求量に対して割り当てられた放電許可量(ステップS34、S35等参照)とのずれを補正する。
具体的には、実際に要求される蓄電池12・22・32からの放電量が、割り当てられた放電許可量を上回る場合、適宜、放電許可量の追加割当処理を行うことで、系統電源Kからの購入電力を減らすことができ、電気料金の削減を図ることができる。一方、実際に要求される蓄電池12・22・32からの放電量が、割り当てられた放電許可量を下回る場合、その余剰分(余剰放電許可量)を別の時間帯に充てることで、蓄電池12・22・32の蓄電された電力を有効に使用することができ、蓄電池12・22・32の蓄電された電力が本来使用できたにもかかわらず、使い切れずに余剰してしまうといった事態の回避を図ることができる。
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、系統電源Kからの電力を充放電可能な蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))と、前記蓄電装置に要求される放電量である放電要求量を予測するEMS50(要求量予測部)と、予測された前記放電要求量に対して、前記蓄電装置に許可される放電量である放電許可量を割り当てるEMS50(割当部)と、を具備し、前記EMS50(割当部)は、前記蓄電装置に放電を許可する時間帯である放電許可時間帯を、前記系統電源Kからの電力の買電単価ごとに複数のグループmにグループ分けし、前記買電単価の高いグループの前記放電要求量に対して優先的に放電許可量を割り当てる(ステップS20からS22)ものである。
このように構成することにより、系統電源Kからの買電単価に応じて蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))の放電を行うことで電気料金を削減することができる。
また、本実施形態に係る電力供給システム1は、前記蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))が放電可能な放電量である放電可能量を予測するEMS50(可能量予測部)を具備し、前記蓄電装置は複数設けられ、前記EMS50(要求量予測部)は、前記蓄電装置の前記放電可能量の合計である総放電可能量に対して前記蓄電装置それぞれの前記放電可能量が占める割合に応じて、前記蓄電装置それぞれについて前記放電要求量を算出し、前記EMS50(割当部)は、前記蓄電装置の前記放電可能量が当該蓄電装置の前記放電要求量以上である場合、前記放電要求量を当該蓄電装置の前記放電許可量とする(ステップS32及びS34)ものである。
このように構成することにより、放電可能な全ての蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))に放電許可量を割り当てることができるため、負荷の消費電力の変化に対応し易くすることができる。
また、前記EMS50(割当部)は、前記蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))の前記放電可能量が当該蓄電装置の前記放電要求量未満である場合、前記放電可能量を当該蓄電装置の前記放電許可量とする(ステップS35等)ものである。
このように構成することにより、蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))の放電可能量に応じた放電許可量とすることができる。より詳細には、放電可能量が放電要求量に満たない場合、放電要求量がそのまま放電許可量として割り当てられると、実際には供給不可能な量が放電許可量として割り当てられてしまうという事態が生じ得る。しかし、本発明においては、放電可能量が放電要求量に満たない場合、放電要求量をそのまま放電許可量とするのではなく、放電可能量を放電許可量とすることで、このような事態を防ぐことができる。
また、前記EMS50(可能量予測部)は、前記蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))の単位時間当たりの最大放電量に、前記グループmの総時間を乗じた値を算出し、前記蓄電装置の前記放電可能量が前記値以上である場合、前記値を前記放電可能量とする(ステップS42)ものである。
このように構成することにより、グループmの総時間に応じた放電可能量とすることができる。より詳細には、実際には供給不可能な量が放電可能量として決定されるのを防ぐことができ、ひいては、実際には供給不可能な量が放電許可量として割り当てられるのを防ぐことができる。
また、前記EMS50(割当部)は、前記放電可能量の少ない前記蓄電装置に対して優先的に前記放電許可量を割り当てる(ステップS31からS37)ものである。
このように構成することにより、放電が許可された蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))の台数が多くなり易く、これにより負荷の消費電力の変化に対応し易くすることができる。
また、前記EMS50(割当部)によって決定された前記放電許可量を上限として、実際に前記蓄電装置(第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32))に要求される放電量に応じて前記蓄電装置からの放電量を制御するハイブリッドパワコン13・23・33及びEMS50(制御部)を具備し、前記EMS50(割当部)は、前記放電許可量を割り当ててもなお前記放電可能量が余剰する場合、その余剰分を予備放電可能量として記憶し、前記EMS50(制御部)は、前記EMS50(割当部)によって決定された前記放電許可量では実際に前記蓄電装置に要求される放電量を賄えない場合、前記予備放電可能量を上限として前記放電許可量の追加割当を行う(ステップS23)ものである。
このように構成することにより、予測した放電要求量に対して割り当てられた放電許可量と、実際に要求される放電量とのずれを補正することができる。
なお、本実施形態に係る第一蓄電システム10(蓄電池12)、第二蓄電システム20(蓄電池22)及び第三蓄電システム30(蓄電池32)は、蓄電装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るEMS50は、要求量予測部、割当部、可能量予測部及び制御部の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、電力供給システム1は、集合住宅に設けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィス等に設けられるものであってもよい。
また、電力供給システム1は、太陽光を利用して発電する太陽光発電部11・21・31を具備するものとしたが、燃料電池であってもよく、また他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。また、電力供給システム1は、必ずしも太陽光発電部11・21・31を具備するものでなくてもよい。
また、本実施形態において蓄電システムの台数は、3台であるものとしたが、任意の台数とすることができ、例えば1台であってもよい。
また、本実施形態においては、当日にリアルタイム補正制御(図3に示すステップS12からS16)を行うものとしたが、本発明において当該リアルタイム補正制御は必須の構成ではない。