JP2015014935A - 電力制御システム及び電力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力系統の運用コストを上昇させることなく電力の需給バランスの改善に寄与する電力制御システム及び電力制御方法を提供する。【解決手段】蓄電池システムは所定時間の経過後に蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量を管理サーバに通知する。管理サーバは、蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として各蓄電池システムに通知する。【選択図】図1
Description
本発明は多数の蓄電池システムが連系された電力系統における電力の需給バランスを制御するための電力制御システム及び電力制御方法に関する。
一般に、需要家または需要家の受電設備に配電するための電力系統では、電力需要の変動に合せて電力供給量を変動させることで電力の需給バランスを保っている。但し、概ね1年間に数回程度の割合で電力需要が電力供給量の上限値に近づく電力需給逼迫が発生するため、電力会社は予備の発電所を設けることで電力需給逼迫を回避している。
しかしながら、このような対策では1年間に数回程度の割合で発生する電力需給逼迫を回避するためだけに予備の発電所を設置して維持しなければならず、電力系統の運用コストが上昇する問題がある。そこで、低コストで電力需給逼迫を回避できるデマンドレスポンスと呼ばれる技術が注目されている。
デマンドレスポンスとは、需要家に電力需要を変動させることで電力系統における電力の需給バランスを保つ手法を指す。電力会社は、電力需給逼迫が予想される時間帯に、通常よりも高い電気料金であるピーク時間帯料金(CPP: Critical Peak Pricing)を徴収する旨、あるいは節電を要請する旨を需要家に通知することで、需要家に電力需要を低減させる。デマンドレスポンスが有効に作用すれば、予備の発電所を設けなくても電力需給逼迫を回避できるため、電力系統の運用コストを低減できる。
なお、需要家とは、住宅、企業、ビルディング、工場等のように電力系統に接続される単位であり、該住宅、企業、ビルディング、工場等を管理する、電力会社と電力の需給契約を結んでいる個人、法人、団体等でもある。本明細書で「需要家」と称した場合、上記住宅、企業、ビルディング、工場等の電力系統に接続される単位、またはそれを管理する個人、法人、団体等の両方を指す場合もあり、いずれか一方を指す場合もある。また、電力系統とは、需要家に電力を供給するための、発電設備、変電設備、送電設備、配電設備等を統合したシステムを指す。
ところで、近年、リチウムイオン二次電池等の大容量の蓄電池が低コストで製造メーカ等から提供されるようになり、それに伴って大容量の蓄電池が家庭等でも普及し始めている。特にリチウムイオン二次電池は、電気自動車で使用され、該電気自動車の普及に伴う量産化によって更なるコストの低減が期待できるため、家庭等における大容量の蓄電池の普及がより進むと予想される。
一般に、家庭等に設置される大容量の蓄電池は、電力系統で停電が発生したときの補助電源、あるいは太陽光発電システム等の分散型電源で発電された電力を貯蔵するために使用される。また、大容量の蓄電池は、電力会社へ支払う電気料金を節約するためにも使用される。
例えば、停電時の補助電源として蓄電池を用いる場合、蓄電池は電力系統から送電される電力あるいは分散型電源で発電された電力で充電され、電力系統で停電が発生したときに放電されて各種の消費機器へ電力を供給する。また、電気料金の節約に蓄電池を用いる場合、電力会社が設定した時間帯別料金制度における電気料金の安い時間帯で充電され、電気料金が高い時間帯で放電される(例えば、特許文献1参照)。
上述したデマンドレスポンスが導入されると、需要家は、電力需給逼迫が予想される場合に所有する各消費機器で消費する電力を低減させる、あるいは消費機器の電源をオフして動作を停止させる必要がある。
しかしながら、例えばエアーコンディショナーや照明器具等は生活環境を快適にするための装置であり、これらの消費機器の消費電力を低減したり動作を停止したりすると、生活環境の快適性が損なわれることが多い。そのため、需要家は生活環境の快適性を優先して、ピーク時間帯料金の支払いを許容する、あるいは節電要請が通知されても消費電力を低減しないことが多々ある。したがって、デマンドレスポンスを導入しても、需要家が電力需要を低減するとは限らないため、電力需給逼迫を確実に回避できるとは言えない。
これに対して上記蓄電池の充放電を制御する技術にデマンドレスポンスを適用し、例えば電力系統における電力需要が少ない時間帯で蓄電池を充電させ、電力需要が多い時間帯で蓄電池を放電させれば、電力需要の変動を低減できる。この場合、消費機器の電力を低減したり動作を停止したりしなくても、電力需給逼迫の発生が抑制されるため、電力系統を安定して運用することが可能になる。
しかしながら、大容量の蓄電池の普及がさらに進むことで電力系統に連系される蓄電池の数が増大した場合、例えば電力需要に応じて電気料金を変動させるデマンドレスポンス(間接デマンドレスポンス)を導入すると、電気料金が安い時間帯に蓄電池の充電が集中して充電に用いる電力需要が増大することで、電力系統における電力の需給バランスが不安定になる可能性がある。
これは、一般的に、蓄電池及び該蓄電池の充放電を制御するパワーコンディショナーを備える蓄電池システムでは、電気料金を節約するために「電気料金が安い時間帯に、できるだけ早く充電を終了する」という充放電ポリシーが設定されているため、多くの蓄電池が同じ時間帯で充電することに起因する。
ここで、充電のための電力需要が増大することで電力需給逼迫の発生する可能性が高くなり、該電力需給逼迫を回避するために、例えば発電所を増設すると、上記間接デマンドレスポンスを導入しない場合よりも電力系統の運用コストが上昇してしまう。したがって、上記間接デマンドレスポンスは、電力需要の変動を低減するという蓄電池を利用したデマンドレスポンスの目的に反するため、多数の蓄電池が連系される電力系統では採用することができない。
本発明は上述したような背景技術の問題を解決するためになされたものであり、電力系統の運用コストを上昇させることなく電力の需給バランスの改善に寄与する電力制御システム及び電力制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の電力制御システムは、蓄電池を備える、電力系統に連系可能な複数の蓄電池システムと、
前記蓄電池システムとデータの送受信が可能に接続される管理サーバと、
を有し、
前記蓄電池システムは、
予め、所定時間の経過後に前記蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ管理サーバに通知し、
前記管理サーバは、
前記蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、
該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として前記蓄電池システムに通知する構成である。
前記蓄電池システムとデータの送受信が可能に接続される管理サーバと、
を有し、
前記蓄電池システムは、
予め、所定時間の経過後に前記蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ管理サーバに通知し、
前記管理サーバは、
前記蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、
該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として前記蓄電池システムに通知する構成である。
一方、本発明の電力制御方法は、蓄電池を備える、電力系統に連系可能な複数の蓄電池システムと、
前記蓄電池システムとデータの送受信が可能に接続される管理サーバと、
を有する電力系統における電力制御方法であって、
前記蓄電池システムが、
予め、所定時間の経過後に前記蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ管理サーバに通知し、
前記管理サーバが、
前記蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、
該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として前記蓄電池システムに通知する方法である。
前記蓄電池システムとデータの送受信が可能に接続される管理サーバと、
を有する電力系統における電力制御方法であって、
前記蓄電池システムが、
予め、所定時間の経過後に前記蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ管理サーバに通知し、
前記管理サーバが、
前記蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、
該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として前記蓄電池システムに通知する方法である。
本発明によれば、電力系統の運用コストを上昇させることなく電力の需給バランスの改善に寄与する電力制御システムが得られる。
次に本発明について図面を用いて説明する。
図1は本発明の電力制御システムの一構成例を示すブロック図であり、図2は図1に示した蓄電池システムの一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の電力制御システムは、電力系統1に連系される多数の蓄電池システム2を備え、各蓄電池システム2がインターネット等の公衆網3を介して管理サーバ4とデータの送受信が可能に接続された構成である。電力系統1には、蓄電池システム2だけでなく、太陽光発電システム、風力発電機、燃料電池システム等の分散型電源5、並びに電力を消費する多数の消費機器6が連系される。
図2に示すように、蓄電池システム2は、電力を蓄積または放出する蓄電池101と、蓄電池101を過充電、過放電、過電流等から保護する保護回路102と、蓄電池101と電力系統1とを連系可能にするための電力変換を行うと共に、蓄電池101に対する充電または蓄電池101からの放電を制御するパワーコンディショナー103と、保護回路102及びパワーコンディショナー103を含む蓄電池システム2全体の動作を制御する制御装置104とを有する。
蓄電池システム2は、電力線を介して電力系統1と連系され、電力系統1から供給される電力あるいは分散型電源5で発電された電力を用いて充電し、蓄電池101から電力を放電させることで消費機器6等へ電力を供給する。
保護回路102やパワーコンディショナー103は、蓄電池101の定格容量や充放電電流の最大値に応じて製造される周知の回路や装置である。
制御装置104は、通信回線を通じてインターネット等の公衆網3と接続され、該公衆網3を介して管理サーバ4とデータを送受信する。制御装置104は、保護回路102やパワーコンディショナー103の動作を制御すると共に、管理サーバ4とデータを送受信できればどのような装置でもよく、例えば情報処理装置(コンピュータ)で実現される。
消費機器6は、エアーコンディショナー、工作機械、照明器具等、需要家が所有する、電力を消費する各種の機械や電気機器であり、太陽光発電システム、風力発電機、燃料電池システム等の分散型電源5、蓄電池システム2あるいは電力系統1から供給される電力で動作する。
管理サーバ4は、例えば電力系統1を運用する電力会社等が管理するサーバ装置である。図1に示す管理サーバ4は、例えば図3に示すようなコンピュータによって実現できる。
図3に示すコンピュータは、プログラムにしたがって所定の処理を実行する処理装置10と、処理装置10に対してコマンドや情報等を入力するための入力装置20と、処理装置10の処理結果を出力するための出力装置30とを有する構成である。
処理装置10は、CPU11と、CPU11の処理で必要な情報を一時的に保持する主記憶装置12と、CPU11に本発明の処理を実行させるためのプログラムが格納される記録媒体13と、各蓄電池システムから通知される、蓄電池毎の定格容量、あるいは後述する充電電力需要量や放電電力量が格納されるデータ蓄積装置14と、主記憶装置12、記録媒体13及びデータ蓄積装置14とのデータ転送を制御するメモリ制御インタフェース部15と、入力装置20および出力装置30とのインタフェース装置であるI/Oインタフェース部16と、公衆網3を介して各蓄電池システム2とデータを送受信するための通信制御装置17とを備え、それらがバス18を介して接続された構成である。
処理装置10は、記録媒体13に記録されたプログラムにしたがって、後述する管理サーバ4としての処理を実行する。記録媒体13は、磁気ディスク、半導体メモリ、光ディスクあるいはその他の記録媒体であってもよい。データ蓄積装置14は、処理装置10内に備える必要はなく、独立した装置であってもよい。
なお、上記蓄電池システム2が備える制御装置104を情報処理装置で実現する場合、該情報処理装置は、プログラムが異なることを除けば、図3に示したコンピュータと同様の構成で実現できる。
このような構成において、本発明では、予め各蓄電池システム2から管理サーバ4に対して、例えば翌日に蓄電池101に充電させたい電力量(以下、「充電電力需要量」と称す)を通知する。一般的に、蓄電池101の充電に必要な電力量は、該蓄電池101が満充電になるまでの電力量に等しい。そのため、予め蓄電池101の定格容量を管理サーバ4へ報告している場合、制御装置104は、上記充電電力需要量に代えてDOD(Depth of Discharge(放電深度):定格容量に対する放電量の比)あるいはSOC(State of Charge(充電率):定格容量に対する残りの電力量比)等の値を管理サーバへ通知してもよい。
なお、蓄電池システム2から管理サーバ4へ通知する充電電力需要量は、翌日の値に限定されるものではない。充電電力需要量は、管理サーバ4が各蓄電池システム2から取得した充電電力需要量に基づいて処理する時間を十分に確保できればよく、所定時間の経過後の値、例えば半日後の値であってもよく、数日後の値であってもよい。その場合、蓄電池システム2は、充電電力需要量と共に充電日を指定すればよい。
管理サーバ4は、各蓄電池システム2から通知された充電電力需要量に基づき、指定された充電日における電力需給の見通し(予測)を考慮して、該充電日(例えば翌日)に各蓄電池システム2に充電させるための充電パターン(総充電電力曲線:充電する時間帯毎における総充電電力量)を決定する。このとき、管理サーバ4は、充電電力需要量を通知した全ての蓄電池システム2を複数のグループに分割し、グループ毎に総充電電力曲線を決定してもよい。
また、管理サーバ4は、決定した総充電電力曲線にしたがって各蓄電池システム2に充電させるためのデマンドレスポンス情報を生成し、該デマンドレスポンス情報を各蓄電池システム2に送信する。デマンドレスポンス情報としては、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線(以下、「リアルタイムプライス曲線」と称す)を用いる。
次に上記総充電電力曲線の決定方法及びリアルタイムプライス曲線の決定方法について説明する。
まず、管理サーバ4は、蓄電池システム2毎に割り当てる単位時間当たりの充電電力である単位充電電力P1を決定する。単位充電電力P1が決まると、図4に示すように各蓄電池システム2の充電電力需要量からそれぞれの充電継続時間を算出できる。図4の斜線で示す長方形の面積は蓄電池システム2から通知された充電電力需要量に相当し、長方形の縦方向の長さは単位充電電力P1であり、長方形の横方向の長さは充電継続時間である。図4に示す例では、第1の蓄電池の方が第2の蓄電池よりも充電電力需要量が大きいため、第1の蓄電池の充電継続時間が長くなっている。
このように充電継続時間と単位充電電力P1の面積で表される充電電力需要量を充電継続時間が長いものから順に積上げていくと、図5に示すような充電電力需要量を積算した分布図が描ける。この積上げた長方形の上面をなぞる線(図5では破線301)は持続曲線(Duration Curve)と呼ばれる。
複数の蓄電池101を同時に充電する際に必要な単位時間当たりの総充電電力は、上記単位充電電力P1に蓄電池101の数を掛けた値である。そのため、単位充電電力P1の値によって持続曲線の最大値を調整できる。すなわち、上記単位充電電力P1の値によって総充電電力の最大値を制御できる。
また、蓄電池101自体は、その充電時間帯が制限されないため、図5の長方形で示す蓄電池毎の充電電力需要量は、その形状や面積を変えなければ時間軸上で移動させてもよく、例えば図6の曲線302で示すように時間帯や形状を変更できる。
そこで、管理サーバ4は、電力系統1における充電日の電力需給の見通し(予測)に基づき、例えば電力需給逼迫が発生しないように単位充電電力P1の値を決定して上記持続曲線を生成し、さらに該持続曲線から蓄電池毎の充電電力需要量を時間軸上で移動させて充電時間帯や形状を変更することで、上記総充電電力曲線を決定する。
例えば、夜間に電力系統1における電力需要が低下する場合、該電力需要が低下する時間帯やそのときに供給可能な電力量に応じて、単位充電電力P1の値を決定し、さらに持続曲線の形状や充電時間帯を変更することで総充電電力曲線を決定する。
また、例えば、昼間に太陽光発電システムや風力発電機等の分散型電源5で発電され、各消費機器6で消費できない余剰電力が発生する場合、該余剰電力の発生パターンに合わせて、単位充電電力P1の値を決定し、さらに持続曲線の形状や充電時間帯を変更することで総充電電力曲線を決定する。
管理サーバ4は、総充電電力曲線302を決定すると、該総充電電力曲線302を上下に反転させた(鏡像関係にある)曲線303(図6参照)を、上記単位電力当りの電気料金曲線(リアルタイムプライス曲線)として各蓄電池システム2に通知する。このとき、管理サーバ4は上記単位充電電力P1の値も併せて各蓄電池システム2に通知する。
蓄電池システム2は、リアルタイムプライス曲線303を受信し、さらに上記単位充電電力P1が指定されると、予め管理サーバ4へ通知した充電電力需要量から単位充電電力P1で決まる充電継続時間を算出し、充放電ポリシーにしたがって充電コストが最小となる充電時間帯を選択して蓄電池101を充電する。
例えば、図6に示す充電電力需要量305を通知した蓄電池システム2では、指定された単位充電電力P1及び必要な充電継続時間から時間帯305’で充電したときに電気料金が最も安くなる。同様に、図6に示す充電電力需要量304を通知した蓄電池システムでは、時間帯304’で充電したときに電気料金が最も安くなる。
図6に示す充電電力需要量304及び305と、時間帯304'及び305'とは、総充電電力曲線302とリアルタイムプライス曲線303と同様に鏡像関係にある。そのため、各蓄電池システム2がリアルタイムプライス曲線303に基づいて充電コストが最小となる充電時間帯を選択して蓄電池101をそれぞれ充電すると、各蓄電池システム2による総充電電力が総充電電力曲線302と一致するように変動する。
したがって、各蓄電池システム2に単位充電電力P1及びリアルタイムプライス曲線303を通知することで、予め管理サーバ4が各蓄電池システム2から通知された充電電力需要量に基づいて設定した充電パターン(総充電電力曲線:充電する時間帯毎における総充電電力量)と一致するように総充電電力を制御できる。すなわち、電力系統1における総充電電力の最大値や充電時間帯をリアルタイムプライス曲線によって制御することが可能であり、充電のための電力需要の変動を抑制できる。そのため、電力系統1における電力の需給バランスの改善に寄与する電力管理システムが得られる。
また、全ての蓄電池システム2を複数のグループに分割し、グループ毎にリアルタイムプライス曲線を設定すれば、例えば多数の蓄電池システム2をグループ毎に異なる時間帯に分散して充電させることができるため、充電のための電力需要の変動をさらに抑制することが可能になる。
なお、上記説明では、リアルタイムプライス曲線303を総充電電力曲線302との相対値で示しているが、実際のリアルタイムプライス曲線303は具体的な電気料金の変化で通知しなければならない。リアルタイムプライス曲線303は、例えば総充電電力量の平均の電気料金が、電力系統における平均の電気料金と均衡するように設定すればよい。
次に本実施形態の具体例について説明する。
以下では、定格容量が1kWhの蓄電池101が500台連系された電力系統1において、リアルタイムプライス曲線と総充電電力曲線とをそれぞれシミュレーションにより求めた結果を示す。
以下のシミュレーションでは、500台の各蓄電池101のSOCをそれぞれ乱数で設定する。このとき、各SOCに対応する蓄電池101の台数は、図7で示すような度数分布(正規分布)となる。
ここで、蓄電池101毎の単位充電電力P1を0.1kWとしたとき、蓄電池101毎のSOC及び定格容量1kWhからそれぞれの充電継続時間を計算し、持続曲線を生成すると図8に示すようになる。
また、図8に示す持続曲線に基づいて作成したリアルタイムプライス曲線の一例を図9(a)に示し、他の例を図10(a)に示す。
図9(a)は、図8に示した持続曲線に基づいて、形状が同一であり、充電させる時間帯が異なるリアルタイムプライス曲線が作成できることを示したものであり、例えば3種類のリアルタイムプライス曲線の一例を示している。
上述したように総充電電力曲線は、その形状を変更することが可能であり、該総充電電力曲線と鏡像関係にあるリアルタイムプライス曲線もその形状を変更することが可能である。図10(a)は、図8に示した持続曲線に基づいて、形状が異なり、かつ充電させる時間帯も異なるリアルタイムプライス曲線が作成できることを示したものであり、例えば3種類のリアルタイムプライス曲線の一例を示している。
各蓄電池システム2が、通知されたリアルタイムプライス曲線に基づいて充電コストが最小となる(電気料金が最も安くなる)充電時間帯を選択して充電を実施すると、例えば図9(a)に示すリアルタイムプライス曲線が通知された場合は、それらと形状及び時間帯が一致する図9(b)で示すような総充電電力曲線が得られる。
同様に、図10(a)に示すリアルタイムプライス曲線が通知された場合は、それらと形状及び時間帯が一致する図10(b)で示すような総充電電力曲線が得られる。
なお、上記説明では、電力系統1に連系される各蓄電池システム2の充電動作を制御する例を示したが、本発明は各蓄電池システム2の放電動作を制御する場合にも適用可能である。但し、現在、日本では需要家が備える蓄電池101から放電された電力を該需要家側から電力線を介して電力系統1へ供給する逆潮流が許可されていない。しかしながら、今後、このような逆潮流が許可されれば、本発明は蓄電池システム2の放電動作を制御する場合にも有用である。
放電動作を制御する場合、各蓄電池システム2は管理サーバ4に対して、所定時間の経過後に蓄電池101から放電させたい放電電力量を通知する。管理サーバ4は、各蓄電池システム2から通知された放電電力量に基づき、電力系統1における電力需給の見通し(予測)を考慮して、蓄電池システム2毎に割り当てる単位時間当たりの放電電力である単位放電電力を決定すると共に、各蓄電池101から放電させる放電パターン(総放電電力曲線:放電する時間帯毎の総放電電力量)を決定し、該総放電電力曲線にしたがって放電させるためのデマンドレスポンス情報を生成して各蓄電池システム2に送信する。デマンドレスポンス情報には、単位電力量当たりの買い取り電気料金の変化を示す買取電気料金曲線(リアルタイムプライス曲線)を用いる。買取電気料金曲線(リアルタイムプライス曲線)には、例えば図11で示すように総放電電力曲線802と並行関係な曲線803を用いればよい。
蓄電池システム2は、管理サーバ4から上記単位放電電力及びリアルタイムプライス曲線が通知されると、該リアルタイムプライス曲線に基づき、買い取り電気料金が最大となる放電時間帯を選択して蓄電池101をそれぞれ放電させる。
このように各蓄電池システム2の放電動作に本発明と適用することで、予め管理サーバ4が各蓄電池システム2から通知された放電電力量に基づいて設定した放電パターンと一致するように総放電電力を制御できる。したがって、電力系統1における総放電電力の最大値や放電時間帯をリアルタイムプライス曲線によって制御することが可能になり、電力系統1に対する各蓄電池システム2からの電力供給量を制御できる。そのため、電力系統1における電力の需給バランスの改善に寄与する電力管理システムが得られる。また、上述した蓄電池システム2の充電動作の制御手法と放電動作の制御手法とを併用し、電力需給に応じて蓄電池システム2を充電または放電させれば、電力系統1おける電力の需給バランスを改善できる。
以上説明したように本発明によれば、管理サーバ4から各蓄電池システム2に通知するリアルタイムプライス曲線によって電力系統1における総充電電力の最大値や充電時間帯を制御できるため、充電のための電力需要の変動を抑制できる。そのため、電力系統1における電力の需給バランスの改善に寄与する電力管理システムが得られる。
また、各蓄電池システム2へリアルタイムプライス曲線によるインセンティブを与えることで電力需要の変動を抑制するデマンドレスポンスを実現できるため、予備の発電所を設ける等の電力系統の運用コストを上昇させることがなく、電力系統1における電力の需給バランスを改善できる。
1 電力系統
2 蓄電池システム
3 公衆網
4 管理サーバ
5 分散型電源
6 消費機器
10 処理装置
11 CPU
12 主記憶装置
13 記録媒体
14 データ蓄積装置
15 メモリ制御インタフェース部
16 I/Oインタフェース部
17 通信制御装置
18 バス
20 入力装置
30 出力装置
101 蓄電池
102 保護回路
103 パワーコンディショナー
104 制御装置
2 蓄電池システム
3 公衆網
4 管理サーバ
5 分散型電源
6 消費機器
10 処理装置
11 CPU
12 主記憶装置
13 記録媒体
14 データ蓄積装置
15 メモリ制御インタフェース部
16 I/Oインタフェース部
17 通信制御装置
18 バス
20 入力装置
30 出力装置
101 蓄電池
102 保護回路
103 パワーコンディショナー
104 制御装置
Claims (7)
- 蓄電池を備える、電力系統に連系可能な複数の蓄電池システムと、
前記蓄電池システムとデータの送受信が可能に接続される管理サーバと、
を有し、
前記蓄電池システムは、
予め、所定時間の経過後に前記蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ管理サーバに通知し、
前記管理サーバは、
前記蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、
該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として前記蓄電池システムに通知する電力制御システム。 - 前記管理サーバは、
前記蓄電池システムに、前記電気料金曲線と共に前記蓄電池毎に割り当てる単位時間当たりの充電電力である単位充電電力を通知し、
前記蓄電池システムは、
前記管理サーバから通知された前記電気料金曲線及び前記単位充電電力に基づいて充電コストが最小となる充電時間帯を選択し、該充電時間帯にて前記充電電力需要量に相当する電力量を前記蓄電池に充電する請求項1記載の電力制御システム。 - 蓄電池を備える、電力系統に連系可能な複数の蓄電池システムと、
前記蓄電池システムとデータの送受信が可能に接続される管理サーバと、
を有する電力系統における電力制御方法であって、
前記蓄電池システムが、
予め、所定時間の経過後に前記蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ管理サーバに通知し、
前記管理サーバが、
前記蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、
該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として前記蓄電池システムに通知する電力制御方法。 - 前記管理サーバが、
前記蓄電池システムに、前記電気料金曲線と共に前記蓄電池毎に割り当てる単位時間当たりの充電電力である単位充電電力を通知し、
前記蓄電池システムが、
前記管理サーバから通知された前記電気料金曲線及び前記単位充電電力に基づいて充電コストが最小となる充電時間帯を選択し、該充電時間帯にて前記充電電力需要量に相当する電力量を前記蓄電池に充電する請求項3記載の電力制御方法。 - 電力系統に連系される蓄電池を備えた複数の蓄電池システムとデータの送受信が可能に接続されるサーバ装置であって、
前記蓄電池システムから通知される、所定時間の経過後に蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ記憶するデータ蓄積装置と、
前記蓄電池システムから通知された充電電力需要量に基づき、各蓄電池に充電するための時間帯毎の総充電電力量である総充電電力曲線を決定し、該総充電電力曲線と鏡像関係にある曲線を、単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線として前記蓄電池システムに通知する処理装置と、
を有するサーバ装置。 - 前記処理装置は、
前記蓄電池システムに、前記電気料金曲線と共に前記蓄電池毎に割り当てる単位時間当たりの充電電力である単位充電電力を通知する請求項5記載のサーバ装置。 - 蓄電池と、
前記蓄電池を電力系統と連系可能にするパワーコンディショナーと、
予め、所定時間の経過後に前記蓄電池に充電させたい電力量である充電電力需要量をそれぞれ管理サーバに通知し、前記サーバ装置から単位電力量当たりの電気料金の変化を示す情報である電気料金曲線及び前記蓄電池毎に割り当てられた単位時間当たり充電電力である単位充電電力が通知されると、該電気料金曲線及び単位充電電力に基づいて充電コストが最小となる充電時間帯を選択し、該充電時間帯にて前記充電電力需要量に相当する電力量を前記蓄電池に充電する、公衆網を介して前記サーバ装置とデータの送受信が可能に接続される制御装置と、
を有する蓄電池システム。
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