以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態のプローバ10の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のプローバ10は、搬送物収納部12と、複数の測定部14と、搬送物収納部12と各測定部14との間で移動して搬送物(本実施形態ではウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)を搬送物収納部12内又は各測定部14内に搬送する搬送ユニット16と、搬送ユニット16を搬送物収納部12と各測定部14との間で移動させる移動装置22と、を備えている。
搬送物収納部12及び各測定部14は、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面が互いに対向した状態(すなわち、向かい合わせの状態)でY方向に一定間隔をおいて配置されている。
搬送ユニット16は、搬送物収納部12と各測定部14との間に配置されている。
搬送物収納部12は、複数のウエハを収納するウエハ収納部12a及び複数のプローブカードを収納するプローブカード収納部12bを含む。搬送物収納部12の数や配置形態は特に限定されず、本実施形態では、ウエハ収納部12a及びプローブカード収納部12bを含む4つの搬送物収納部12が、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面(図1中右側の面)を同一方向に向けた状態で水平方向(X軸方向)に配置されている。なお、搬送ユニット16によってアクセスされる側とは反対側(図1中左側)は、ウエハ又はプローブカード回収等の際に作業者によってアクセスされる。
複数の測定部14は、図8に示すように、搬送エリアA1とメンテナンスエリアA2との間に配置されている。複数の測定部14は、それぞれ、図1に示すように、X軸方向に延びる複数のフレーム、Y軸方向に延びる複数のフレーム及びZ軸方向に延びる複数のフレームを組み合わせることで構成された直方体形状の測定室(プローバ室とも称される)で、その内部には、図9、図10に示すように、ウエハを保持するウエハチャック18と、ヘッドステージ20と、ヘッドステージ20上に載置されたテストヘッド44と、ヘッドステージ20とテストヘッド44との間に配置されたポゴフレーム46と、プローブカードPCを保持する第1プローブカード保持機構(プローブカード保持部)36(図9、図10中省略)と、が配置されている。また、図11に示すように、各測定部14内部には、テストヘッド昇降機構48と、テストヘッド引出機構50と、ポゴフレーム昇降機構52と、ポゴフレーム引出機構54と、が配置されている。
図2は、各測定部14の正面図である。
測定部14の数や配置形態は特に限定されず、本実施形態では、図1、図2に示すように、水平方向(X軸方向)に配置された4つの測定部14からなる測定部群が鉛直方向(Z軸方向)に3段積み重ねられ、搬送ユニット16によってアクセスされる側の面(図1中左側の面)を同一方向に向けた状態で二次元的に配置されている。
各測定部14(搬送ユニット16によってアクセスされる側の面)には、搬送ユニット16のウエハ保持アーム16b(ウエハ用アーム:搬送物保持アーム)及びプローブカード保持アーム16c(プローブカード用アーム)が出入りする開口14aが形成されている。また、各測定部14のうち開口14aが形成された側とは反対側には、テストヘッド44及びポゴフレーム46を引き出すための開口14b(図8参照)が形成されている。各測定部14の開口14a及び14bが形成された面以外の面は閉塞されていてもよいし、開口が形成されていてもよい。
ウエハチャック18は、周知の温度調節装置(例えば、ウエハチャック18に内蔵されたヒートプレートやチラー装置等)により、高温又は低温の目標温度(検査温度)に調節される。
各測定部14内の環境は次のようにして制御される。例えば、各測定部14内の温度は、各測定部14内に配置されたウエハチャック18の温度によって目標温度(検査温度)に制御される。また、各測定部14内の湿度は、周知の機構によって各測定部14内に乾燥空気をパージすることによって目標湿度に制御される。また、各測定部14内の環境は、周知の機構によって各測定部14内に所定ガス(例えば、窒素ガス)をパージすることによって制御される。各測定部14では、後述の高温検査、低温検査、所定ガス(例えば、窒素ガス)雰囲気下での検査等の複数種類の検査が実施される。各測定部14内の環境は、各測定部14で実施される検査に応じた環境となるように各測定部14内の環境が制御される。なお、各測定部14で実施される検査は各測定部間で同一であってもよいし、相互に異なってもよい。
第1プローブカード保持機構36は、プローブカードPCを着脱自在に保持するための手段で、ウエハチャック18の上方、例えば、ヘッドステージ20側に設けられている。第1プローブカード保持機構36は、後述のプローブカード搬送機構によって当該第1プローブカード保持機構36まで搬送されたプローブカードPCを着脱自在に保持する。第1プローブカード保持機構36については周知である(例えば、特開2000-150596号公報参照)ため、これ以上の説明を省略する。
各測定部群には、第1プローブカード保持機構36に保持されたプローブカードPCとウエハチャック18に保持されたウエハとの相対的な位置合わせを行うアライメント装置38及びアライメント装置38を4つの測定部14間で相互に移動させる移動装置(図示せず)が配置されている。アライメント装置38は、これが配置された測定部群に含まれる4つの測定部14間で相互に移動されて、当該4つの測定部14間で共有される。アライメント装置38を4つの測定部14間で相互に移動させる移動装置については、例えば、特開2014-150168号公報に記載のものを適用することができる。
アライメント装置38は、第1プローブカード保持機構36に保持されたプローブカードPCとウエハチャック18に保持されたウエハとの相対的な位置合わせを行うための手段で、Z軸方向に昇降されるZ軸可動部38aやZ軸固定部38bやXY可動部38c等のウエハチャック18をX-Y-Z-θ方向に移動させる移動・回転機構で構成されている。アライメント装置38は、主に、X-Y-Z-θ方向に移動しながらウエハチャック18に保持されたウエハWをウエハチャック18上方に保持されたプローブカードPCのプローブに対して周知の方法でアライメントし、ウエハWとプローブとを電気的に接触させ、テストヘッドを介してウエハWの電気的特性検査を実施するために用いられる。
アライメント装置38は、測定部14内においてウエハチャック18を保持した状態で、開口14a近傍のプローブカード受取位置P1(図7(a)参照)と第1プローブカード保持機構36の下方の位置P2(図7(b)参照)との間で移動する。すなわち、アライメント装置38は、移動先の測定部14において、搬送エリアA1側とメンテナンスエリアA2側との間で移動する。この移動は、周知のアライメント装置移動装置(図示せず)によって実現される。
アライメント装置移動装置は、プローブカードPCの受取に際して目標温度に加熱されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38をプローブカード受取位置P1まで移動させ、プローブカードPCの第1プローブカード保持機構36への搬送に際してプローブカードPC及び目標温度に加熱されたウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38を位置P2まで移動させる。
アライメント装置38は、第2プローブカード保持機構40(カードリフタとも称される)を備えている。
第2プローブカード保持機構40は、プローブカード保持アーム16cからプローブカードPCを受け取り、これを保持するための手段で、例えば、ウエハチャック18を取り囲んだ状態でZ軸可動部38aに取り付けられた保持部40a(例えば、リング状部材又は複数のピン)と、当該保持部40aをZ軸可動部38aに対してZ軸方向に昇降させる昇降機構(図示せず)と、によって構成されている。
プローブカードPCの受け取り及び保持は、アライメント装置38がプローブカード受取位置P1に移動した状態で、保持部40aをZ軸可動部38aに対してZ軸方向に上昇させてプローブカードPC(下面外周縁)に当接させ、このZ軸方向に上昇する保持部40aでプローブカードPCをプローブカード保持アーム16cから持ち上げることで実現される。プローブカードPCは、ウエハチャック18の直上で保持される。
プローブカード搬送機構は、第2プローブカード保持機構40によって保持されたプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送するための手段で、例えば、アライメント装置38に設けられた、Z軸方向に昇降されるZ軸可動部38aによって構成されている。
プローブカードPCの第1プローブカード保持機構36への搬送は、アライメント装置38が位置P2に移動した状態で、Z軸可動部38aをZ軸方向に上昇させることで実現される。
図3は搬送ユニット16の斜視図、図4は搬送ユニット16の概略構成を表す縦断面図である。
搬送ユニット16は、搬送物収納部12と各測定部14との間でX軸方向及びZ軸方向に移動してウエハW又はプローブカードPCを搬送物収納部12内又は各測定部14内に搬送し装填するための手段で、図3及び図4に示すように、ウエハW及びプローブカードPCを収納する筐体であって、ウエハW及びプローブカードPC(ウエハ保持アーム16b及びプローブカード保持アーム16c)が出入りする開口16fが形成された筐体16aを備えている。筐体16aは、直方体形状で、その内部には、ウエハ保持アーム16bと、プローブカード保持アーム16cと、各アーム16b、16cを個別に移動させるアーム移動機構(図示せず)と、筐体16a内の環境を制御する環境制御手段16dと、筐体16a内の環境を検出するセンサ16eと、が配置されている。搬送ユニット16の数は特に限定されず、本実施形態では、1つの搬送ユニット16を用いている。図1には2つの搬送ユニット16が描かれているが、これは、1つの搬送ユニット16が搬送物収納部12(プローブカード収納部12b)にアクセスしている様子(図1中右下に描かれた搬送ユニット16参照)及び測定部14にアクセスしている様子(図1中左上に描かれた搬送ユニット16参照)を表している。
ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持するための手段で、例えば、筐体16a内に設けられたガイドレール(図示せず)に沿って水平方向に移動可能に筐体16a内に配置されている。ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持した状態で当該ウエハWとともに筐体16a内に収納される。
プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持するための手段で、例えば、筐体16a内に設けられたガイドレール(図示せず)に沿って水平方向に移動可能に筐体16a内に配置されている。プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持した状態で当該プローブカードPCとともに筐体16a内に収納される。プローブカードPCの外周部にはリング状のカードホルダCHが取り付けられる。具体的には、プローブカードPCはカードホルダCHの段部に嵌合してピンやネジ等により位置決め固定されて一体化されている。また、カードホルダCHに代えて、プローブカードPCの外周部にはリング状のシールリングが嵌め込み装着されていてもよい。なお、カードホルダCHまたはシールリングは、前述の第2プローブカード保持機構40の保持部40aによってプローブカードPCを支持するための支持面を構成している。
搬送ユニット16によってプローブカードPCを搬送する場合、プローブカードPCを搭載可能なカード搬送トレイを用いてプローブカードPCの搬送を行うようにしてもよい。カード搬送トレイは、カード搬送トレイに搭載されたプローブカードPCと当接してプローブカードPCの位置を規制する規制部材を備えている。規制部材は、例えば、プローブカードPCの外周部に当接するリング部材により構成されるが、必ずしもこれに限定される必要はない。
図17から図22は、カード搬送トレイを用いたプローブカードPCの搬送方法を説明するための説明図である。この搬送方法は、カード搬送トレイとプローブカード保持アーム16cとをペア(1対)にしてプローブカードPCの搬送を行う方法である。なお、ここでは、プローブカードPCの外周部には前述のカードホルダCHまたはシールリングが取り付けられていない場合を示したが、必ずしもこれに限定される必要はなく、プローブカードPCの外周部にカードホルダCHまたはシールリングが取り付けられていてもよい。
まず、図17に示すように、搬送ユニット16を搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(プローブカードPCを引き渡し可能な位置)まで移動させる。このとき、搬送ユニット16のプローブカード保持アーム16cには、プローブカードPCを搭載したカード搬送トレイ80が保持されているものとする。
次に、図18に示すように、プローブカード保持アーム16cを測定部14内に進出させて、プローブカード保持アーム16cに保持されたカード搬送トレイ80(プローブカードPCを搭載したカード搬送トレイ80)をアライメント装置38のウエハチャック18に受け渡す。これにより、ウエハチャック18には、プローブカードPCを搭載したカード搬送トレイ80が載せられた状態となる。
次に、図19に示すように、プローブカード保持アーム16cを搬送ユニット16内に収容する。その後、Z軸可動部38aをZ軸方向に上昇させることで、ウエハチャック18をヘッドステージ20に近づくように移動させ、カード搬送トレイ80に搭載されたプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36に保持させる。これにより、プローブカードPCは測定部14(ヘッドステージ20)に対して装着された状態となる。また、図20に示すように、ウエハチャック18には、カード搬送トレイ80のみが載せられた状態となっている。
次に、図21に示すように、プローブカード保持アーム16cを測定部14内に進出させて、ウエハチャック18に載せられたカード搬送トレイ80を、プローブカード保持アーム16cに受け渡す。
次に、図22に示すように、カード搬送トレイ80を保持したプローブカード保持アーム16cを搬送ユニット16内に収容する。
以上のようにして、搬送ユニット16から測定部14へのプローブカードPCの搬送が行われる。なお、測定部14(ヘッドステージ14)に装着されたプローブカードPCを取り外して搬送ユニット16へ搬送する手順は、図17から図22に示した搬送方法とは逆の順序で行われればよいので、ここでは説明を省略する。
各アーム16b、16cの数や配置形態は特に限定されず、本実施形態では、図4に示すように、2つのウエハ保持アーム16b及び1つのプローブカード保持アーム16cが上下3段に配置されている。また、搬送ユニット16は測定部14に搬送物を搬送した後に各アーム16b、16cを使用して、搬送物を測定部14に装填する。
アーム移動機構は、周知の機構、例えば、筐体16aに設けられた駆動モータ(図示せず)で構成されている。この駆動モータを正逆回転させることにより、各アーム16b、16cは、水平方向に個別に往復移動して筐体16aに形成された開口16fを介して出入りする。
搬送ユニット16は、エアカーテン形成手段42を備えている。
エアカーテン形成手段42は、筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンを形成して筐体16a内を密閉又は略密閉空間とするための手段で、例えば、周知のエア噴射口によって構成されている。
エア噴射口の数、形状、配置形態は特に限定されず、本実施形態では、図4に示すように、複数のエア噴射口が下向きにエア噴射する姿勢で開口16fの上端縁近傍に当該上端縁に沿って(図4中紙面に直交する方向に)配置されている。
筐体16a内の環境は次のようにして制御される。例えば、筐体16a内の温度及び湿度は、各測定部14内に乾燥空気(高温又は低温乾燥空気)又は所定ガス(窒素ガス)をパージすることによって所定ガス雰囲気下、目標温度及び湿度に制御される。これは、周知の環境制御手段16d、例えば、ヒータ及び冷却器(クーラ)を含む温調気体供給源、送風機、及び、送風機(いずれも図示せず)と筐体16aとを連結した管路(図示せず)によって実現される。環境制御手段16dは、除湿器を含んでいてもよい。温調気体供給源で温度(及び湿度)調整された気体(高温又は低温乾燥空気)は、送風機により管路を介して筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内は密閉又は略密閉された空間となる。筐体16a内に供給される気体の供給源とエア噴射口から噴射される気体の供給源は同一であってもよいし、異なっていてもよい。筐体16aの開口16fが形成された面以外の面は閉塞されていてもよいし、開口が形成されていてもよい。環境制御手段16dは、筐体16aに取り付けられていてもよいし、アーム16b、16cに取り付けられていてもよい。
センサ16eは、筐体16a内の環境を検出するセンサで、例えば、温度センサや湿度センサである。センサ16eは、環境制御手段16dに含まれていてもよい。
環境制御手段16dは、搬送物の搬送先の環境に応じた環境となるように筐体16a内の環境を制御する。具体的には、環境制御手段16dは、センサ16eの検出結果に基づき、筐体16a内を目標の環境に制御する。例えば、環境制御手段16dは、センサ16eの検出結果に基づき、筐体16a内の温度及び湿度が目標の温度及び湿度となるように温調気体供給源を制御する。この環境制御手段16dの機能は、例えば、センサ16e及び温調気体供給源(ヒータ及び冷却器)が電気的に接続されたコントローラ(図示せず)によるフィードバック制御によって実現される。なお、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とは、一体であってもよい。すなわち、一つの装置において、開口16fを塞ぐように下向きにエア噴射口が設けられ、且つ、筐体16a内の環境を制御するための乾燥空気のエア噴射口が設けられてもよい。ここで、筐体16a内の環境を制御するための乾燥空気のエア噴射口は、噴射する乾燥空気が筐体16a内でよく循環するような向きに設けられることが好ましい。環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とを一体にすることにより、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42を設けるためのスペースが少なくなり、筐体16aの空間を有効に使用することができる。また、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42とを一体にすることにより、環境制御手段16dとエアカーテン形成手段42との間でヒータ、冷却器(クーラ)を含む温調気体供給源、及び送風機などを共通にすることができる。
図5は移動装置22の斜視図、図6は移動装置22の部分拡大斜視図である。
移動装置22は、搬送ユニット16を搬送物収納部12と各測定部14との間でX軸方向及びZ軸方向に移動させるための手段で、例えば、図5、図6に示すように、搬送物収納部12と各測定部14との間において各測定部14の配置方向である水平方向(X軸方向)に移動する第1可動体24、第1可動体24を水平方向(X軸方向)に移動させる第1可動体移動機構(図示せず)、第1可動体24に各測定部14の配置方向である鉛直方向(Z軸方向)に移動可能に取り付けられ、かつ、搬送ユニット16を鉛直軸(Z軸)を回転中心として回転可能に支持する第2可動体26、第2可動体26を鉛直方向(Z軸方向)に移動させる第2可動体移動機構(図示せず)、第2可動体26に取り付けられ、かつ、搬送ユニット16を鉛直軸(Z軸)を回転中心として回転させる搬送ユニット回転機構28によって構成されている。
第1可動体24は、例えば、上下一対の矩形フレーム24aそれぞれの四隅をZ軸方向に延びる4本のフレーム24bで連結することで構成されたフレーム体で、その下部が搬送物収納部12と各測定部14との間のベース34上に互いに平行に配置されたX軸方向に延びる2本のガイドレール30に移動可能に連結されている。
第1可動体移動機構は、周知の移動機構、例えば、第1可動体24に連結されたボールネジやこれを回転させる駆動モータ(いずれも図示せず)等で構成されている。この駆動モータを正逆回転させることにより、第1可動体24(搬送ユニット16)は、ガイドレール30に沿ってX軸方向に移動する。もちろん、これに限らず、第1可動体移動機構は、第1可動体24を自走させるための機構、例えば、第1可動体24に設けられた車輪及びこれを回転させる駆動モータであってもよい。
第2可動体26は、第1可動体24に互いに平行に配置されたZ軸方向に延びる2本のガイドレール32に移動可能に連結されている。
第2可動体移動機構は、周知の移動機構、例えば、第2可動体26に連結されたボールネジやこれを回転させる駆動モータ(いずれも図示せず)等で構成されている。この駆動モータを正逆回転させることにより、第2可動体26(搬送ユニット16)は、ガイドレール32に沿ってZ軸方向に移動する。もちろん、これに限らず、第2可動体移動機構は、第2可動体26を自走させるための機構、例えば、第2可動体26に設けられた車輪及びこれを回転させる駆動モータであってもよい。
搬送ユニット回転機構28は、周知の回転機構、例えば、第2可動体26に設けられた回転軸(鉛直軸)及びこれを回転させる駆動モータ28a等で構成されている。搬送ユニット16は、その上面が回転軸(鉛直軸)に固定されている。この駆動モータ28aを正逆回転させることにより、搬送ユニット16は、鉛直軸(Z軸)を回転中心として180°回転し、各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fが搬送物収納部12又は各測定部14に対向した状態となる。
テストヘッド44は、ウエハ上に形成された半導体素子の検査の際に用いられる被メンテナンス装置(経時的にメンテナンスが実施される装置)で、ポゴフレーム46のポゴピン46bに電気的に接続される複数の端子(図示せず)を含む。
テストヘッド44は、テストヘッド保持機構によって保持されている。
テストヘッド保持機構は、図11に示すように、ベース56及びベース56上に固定されたY軸方向に延びる2本のテストヘッド用ガイドレール58によって構成されている。テストヘッド44は、テストヘッド用ガイドレール58にスライド移動可能に連結されている。そして、テストヘッド保持機構(ベース56)は、Z軸方向に延びる鉛直ガイドレール(図示せず)に移動可能に連結されている。ベース56には、テストヘッド44をベース56(及びテストヘッド用ガイドレール58)に対してロック(固定)するロック機構(図示せず)が設けられている。ロック機構は、例えば、テストヘッド44に対して係合し又は係合が解除される爪部等の係合部によって構成されている。
テストヘッド昇降機構48は、テストヘッド44を昇降させるための手段で、例えば、テストヘッド用シリンダ(エア又は油圧シリンダ)等のアクチュエータによって構成されている。シリンダは、例えば、一端がベース56側に連結され、他端がヘッドステージ20側に連結されている。シリンダはブレーキ付きであってもよい。このアクチュエータによってテストヘッド保持機構(ベース56)が鉛直ガイドレールに沿ってZ軸方向に昇降されることにより、テストヘッド44は、ロック機構によってロックされた状態でテストヘッド用ガイドレール58とともにZ軸方向に昇降されてポゴピン接続位置P3(図10参照)又はテストヘッド引出位置P4(図12(a)参照)に移動する。
ポゴピン接続位置P3は、テストヘッド44の端子とポゴフレーム46のポゴピン46bとが電気的に接続される位置である。テストヘッド引出位置P4は、テストヘッド44を引き出す際に、テストヘッド44がポゴフレーム46のポゴピン46b(及び後述の位置決めピン60a)に接触しないように(かつ、後述のポゴフレーム46の上昇スペースが確保されるように)考慮された位置である。
テストヘッド引出機構50(テストヘッドスライド機構)は、テストヘッド引出位置P4まで上昇されたテストヘッド44をメンテナンスエリアA2側に引き出すための手段で、例えば、テストヘッド用ガイドレール58によって構成されている。
テストヘッド引出位置P4まで上昇されたテストヘッド44は、作業者がロック機構によるロックを解除してこれを手前に引き寄せることで、テストヘッド用ガイドレール58に沿ってY軸方向にスライド移動して開口14bを介してメンテナンスエリアA2側に引き出される(図12(b)参照)。これにより、テストヘッド44のメンテナンス(例えば、テストヘッド内部の基板交換等)が可能となる。
メンテナンスが終了したテストヘッド44は、作業者によってテストヘッド用ガイドレール58に沿ってテストヘッド引出位置P4までY軸方向にスライド移動された後、鉛直ガイドレールに沿ってポゴピン接続位置P3まで下降する。その際、テストヘッド44は、図10に示すように、テストヘッド位置決め機構60によってポゴフレーム46に対して位置決めされた状態で当該ポゴフレーム46の上方、すなわち、ポゴピン接続位置P3に配置される。
テストヘッド位置決め機構60は、テストヘッド44をポゴフレーム46に対して位置決めするための手段で、例えば、位置決めピン60a及び当該位置決めピン60aが当接する凹部60bによって構成されている。位置決めピン60aは、ポゴフレーム46側に設けられていてもよいし、テストヘッド44側に設けられていてもよい。位置決めピン60aがポゴフレーム46側に設けられている場合、位置決めピン60aが当接する凹部60bは、テストヘッド44側に設けられる。一方、これとは逆に、位置決めピン60aがテストヘッド44側に設けられている場合、位置決めピン60aが当接する凹部60bは、ポゴフレーム46側に設けられる。
ポゴフレーム46は、ウエハ上に形成された半導体素子の検査の際に用いられる被メンテナンス装置(経時的にメンテナンスが実施される装置)で、図10に示すように、ポゴフレーム本体46aと当該ポゴフレーム本体46aに保持された複数のポゴピン46bによって構成されている。ポゴピン46bの上端部はポゴフレーム本体46aの上面から突出しており、ポゴピン46bの下端部はポゴフレーム本体46aの下面から突出している。ポゴピン46bは、テストヘッド44の端子に電気的に接続されるとともに、第1プローブカード保持機構36によって保持されたプローブカードPCのプローブに電気的に接続される。
ポゴフレーム46は、ポゴフレーム保持機構によって保持されている。
ポゴフレーム保持機構は、図11に示すように、ベース62及びベース62上に固定されたY軸方向に延びる2本のポゴフレーム用ガイドレール64によって構成されている。ポゴフレーム46は、ポゴフレーム用ガイドレール64にスライド移動可能に連結されている。そして、ポゴフレーム保持機構(ベース62)は、Z軸方向に延びる鉛直ガイドレール(図示せず)に移動可能に連結されている。ベース62には、ポゴフレーム46をベース62(及びポゴフレーム用ガイドレール64)に対してロック(固定)するロック機構(図示せず)が設けられている。ロック機構は、例えば、ポゴフレーム46に対して係合し又は係合が解除される爪部等の係合部によって構成されている。
ポゴフレーム昇降機構52は、ポゴフレーム46を昇降させるための手段で、例えば、ポゴフレーム用シリンダ(エア又は油圧シリンダ)等のアクチュエータによって構成されている。シリンダは、例えば、一端がベース62側に連結され、他端がヘッドステージ20側に連結されている。シリンダはブレーキ付きであってもよい。このアクチュエータによってポゴフレーム保持機構(ベース62)が鉛直ガイドレールに沿ってZ軸方向に昇降されることにより、ポゴフレーム46は、ロック機構によってロックされた状態でポゴフレーム用ガイドレール64とともにZ軸方向に昇降されてプローブ接続位置P5(図12(a)参照)又はポゴフレーム引出位置P6(図13(a)参照)に移動する。
プローブ接続位置P5は、ポゴフレーム46のポゴピン46bと第1プローブカード保持機構36に保持されたプローブカードのプローブ(図示せず)とが電気的に接続される位置である。ポゴフレーム引出位置P6は、ポゴフレーム46を引き出す際に、ポゴフレーム46(ポゴピン46b)がプローブカードのプローブ(及び後述の位置決めピン66a)に接触しないように考慮された位置である。
ポゴフレーム引出機構54(ポゴフレームスライド機構)は、ポゴフレーム引出位置P6まで上昇されたポゴフレーム46をメンテナンスエリアA2側に引き出すための手段で、例えば、ポゴフレーム用ガイドレール64によって構成されている。
ポゴフレーム引出位置P6まで上昇されたポゴフレーム46は、作業者がロック機構によるロックを解除してこれを手前に引き寄せることで、ポゴフレーム用ガイドレール64に沿ってY軸方向にスライド移動して開口14bを介してメンテナンスエリアA2側に引き出される(図13(b)参照)。これにより、ポゴフレーム46のメンテナンス(例えば、ポゴピン交換等)が可能となる。
メンテナンスが終了したポゴフレーム46は、作業者によってポゴフレーム用ガイドレール64に沿ってポゴフレーム引出位置P6までY軸方向にスライド移動された後、鉛直ガイドレールに沿ってプローブ接続位置P5まで下降する。その際、ポゴフレーム46は、図12(a)に示すように、ポゴフレーム位置決め機構66によってヘッドステージ20に対して位置決めされた状態で当該ヘッドステージ20の上方、すなわち、プローブ接続位置P5に配置される。
ポゴフレーム位置決め機構66は、ポゴフレーム46をヘッドステージ20に対して位置決めするための手段で、例えば、位置決めピン66a及び当該位置決めピン66aが当接する凹部66bによって構成されている。位置決めピン66aは、ポゴフレーム46側に設けられていてもよいし、ヘッドステージ20側に設けられていてもよい。位置決めピン66aがポゴフレーム46側に設けられている場合、位置決めピン66aが当接する凹部66bは、ヘッドステージ20側に設けられる。一方、これとは逆に、位置決めピン66aがヘッドステージ20側に設けられている場合、位置決めピン66aが当接する凹部66bは、ポゴフレーム46側に設けられる。
なお、アライメント装置38、アーム移動機構、環境制御手段16d、移動装置22(第1可動体移動機構、第2可動体移動機構、搬送ユニット回転機構28)、テストヘッド昇降機構48、ポゴフレーム昇降機構52等の各装置、機構は、不図示の制御手段(コントローラ等)による制御によって駆動される。
次に、本実施形態のプローバ10における搬送ユニット16の動作例について説明する。
<ウエハ搬送動作例>
まず、搬送ユニット16がウエハWをウエハ収納部12aから検査(例えば、高温検査又は低温検査)が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
まず、ウエハ収納部12aにアクセス可能な位置(ウエハWを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをウエハ収納部12aに対向させる。
次に、ウエハ保持アーム16bをウエハ収納部12a内に進出させて当該ウエハ収納部12aから1枚のウエハWを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整された気体が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(ウエハWを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。
次に、ウエハ保持アーム16bをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内にY軸方向に進出させてウエハチャック18にウエハWを装填(ロード)する。図14中の右側の矢印は搬送物(ここではウエハW)の搬送方向を表している。ウエハ保持アーム16bは、ウエハWを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内に進出する。
装填(ロード)されたウエハWは、真空吸着によりウエハチャック18に保持される。そして、ウエハWがウエハチャック18によって検査温度に達するまで待機し、検査温度に達すると、アライメント装置38がX-Y-Z-θ方向に移動しながらウエハチャック18に保持されたウエハWをウエハチャック18上方に保持されたプローブカードPCのプローブに対して周知の方法でアライメントし、次いで、ウエハチャック18がアライメント装置38の作用によってZ軸方向に移動してウエハWとプローブとを電気的に接触させることで、ポゴフレーム46(ポゴピン46b)及びテストヘッド44を介してウエハWの電気的特性検査が実施される。
このように、ウエハ収納部12aから搬送先の測定部14内にウエハを搬送するまでの時間を利用して搬送ユニット16内の環境を制御して搬送先の測定部14での検査温度との差を少なくすることにより、従来技術と比べ、搬送先の測定部14内でウエハを検査温度に近づけるための待機時間を短縮する(又は無くす)ことができる。これにより、測定部14でのスループット(単位時間あたりの処理能力)を向上させることができる。
<プローブカード搬送動作例>
次に、搬送ユニット16がプローブカードPCをプローブカード収納部12bから検査(例えば、高温検査又は低温検査)が実施される測定部14内に搬送する場合の動作例について説明する。
まず、プローブカード収納部12bにアクセス可能な位置(プローブカードPCを取り出し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fをプローブカード収納部12bに対向させる。
次に、プローブカード保持アーム16cをプローブカード収納部12b内に進出させて当該プローブカード収納部12bから1枚のプローブカードPCを取り出し、筐体16a内に収納する。これとともに、搬送先の測定部14の環境に応じた環境となるように筐体16a内の環境が制御される。具体的には、温調気体供給源で温度調整された気体が筐体16a内に供給されるとともに、エア噴射口から噴射されて筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンが形成される。これにより、筐体16a内が密閉又は略密閉空間とされる。
次に、搬送先の測定部14にアクセス可能な位置(プローブカードPCを引き渡し可能な位置)まで搬送ユニット16を移動させ、かつ、搬送ユニット16を180°回転させて各アーム16b、16cが出入りする搬送ユニット16に形成された開口16fを搬送先の測定部14に対向させる。
次に、プローブカード保持アーム16cをエアカーテンが形成された搬送ユニット16側の開口16f及び測定部14側の開口14aを介して測定部14内にY軸方向に進出させる(図7(a)参照)。プローブカード保持アーム16cは、プローブカードPCを保持した状態で、エアカーテンで閉塞された状態の開口16fを通過して測定部14内にY軸方向に進出する。図14中の右側の矢印は搬送物(ここではプローブカードPC)の搬送方向を表している。
次に、第2プローブカード保持機構40の保持部40aによって、プローブカード保持アーム16cからプローブカードPCを受け取り、これを保持させる。具体的には、ウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38がプローブカード受取位置P1に移動した状態で、保持部40aをZ軸可動部38aに対してZ軸方向に上昇させてプローブカードPC(下面外周縁)に当接させ、このZ軸方向に上昇する保持部40aでプローブカードPCをプローブカード保持アーム16cから持ち上げる。これにより、プローブカードPCは、保持部40aに受け渡され、当該保持部40aによってウエハチャック18の直上で保持される。
次に、プローブカードPC及びウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38を位置P2まで移動させる(図7(b)参照)。
次に、プローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送する(図7(b)参照)。具体的には、ウエハチャック18を保持した状態のアライメント装置38が位置P2に移動した状態で、Z軸可動部38a(第2プローブカード保持機構40)をZ軸方向に上昇させることで、第2プローブカード保持機構40によって保持されたプローブカードPCを第1プローブカード保持機構36まで搬送する。第1プローブカード保持機構36まで搬送されたプローブカードPCは、当該第1プローブカード保持機構36によって着脱自在に保持される。
<テストヘッド引出動作例>
次に、テストヘッド44をメンテナンスエリアA2側に引き出す場合の動作例について説明する。
まず、図12(a)に示すように、テストヘッド昇降機構48によって、テストヘッド保持機構(ベース56)をポゴピン接続位置P3からテストヘッド引出位置P4に上昇させる。これにより、テストヘッド44は、ロック機構によってロックされた状態で、ベース56に固定されたテストヘッド用ガイドレール58とともに、テストヘッド引出位置P4に移動する。
次に、作業者が、ロック機構によるロックを解除した後、テストヘッド引出位置P4まで上昇されたテストヘッド44を手前に引き寄せる。これにより、テストヘッド44は、図12(b)に示すように、テストヘッド用ガイドレール58に沿ってY軸方向にスライド移動して開口14bを介してメンテナンスエリアA2側に引き出される。これにより、テストヘッド44のメンテナンス(例えば、テストヘッド内部の基板交換等)が可能となる。図14中の左側の矢印は被メンテナンス装置(ここではテストヘッド44)の引出方向(及び押入方向)を表している。
次に、メンテナンスが終了したテストヘッド44をポゴピン接続位置P3に戻す場合の動作例について説明する。
まず、作業者が、メンテナンスが終了したテストヘッド44をテストヘッド用ガイドレール58に沿って押し込んでテストヘッド引出位置P4までY軸方向にスライド移動させ、その位置において、ロック機構によるロックを実施する。
次に、テストヘッド昇降機構48によって、テストヘッド保持機構(ベース56)をテストヘッド引出位置P4からポゴピン接続位置P3に下降させる。これにより、テストヘッド44は、ロック機構によってロックされた状態で、ベース56に固定されたテストヘッド用ガイドレール58とともに、ポゴピン接続位置P3に移動する。その際、テストヘッド44は、図10に示すように、テストヘッド位置決め機構60によってポゴフレーム46に対して位置決めされた状態で当該ポゴフレーム46の上方、すなわち、ポゴピン接続位置P3に配置される。これにより、テストヘッド44の端子とポゴフレーム46のポゴピン46bとの位置合わせが実施されるため、両者を精度良く電気的に接続することができる。
以上のように、被メンテナンス装置(ここではテストヘッド44)の引出方向(図14中の左側の矢印参照)と搬送物(ウエハW又はプローブカードPC)の搬送方向(図14中の右側の矢印参照)とがY軸方向に関し一直線状であるため、高精度が求められるテストヘッド44のポゴフレーム46に対する位置決めの際に考慮しなくてはならないアッベ誤差を抑制すること(又は無くすこと)ができる。特に、メンテナンスが終了したテストヘッド44をポゴピン接続位置P3に戻す場合に、X軸方向に関する位置決めの精度が低下するのを抑制することができる。
<ポゴフレーム引出動作例>
次に、ポゴフレーム46をメンテナンスエリアA2側に引き出す場合の動作例について説明する。
まず、図12(a)に示すように、テストヘッド昇降機構48によって、テストヘッド保持機構(ベース56)をポゴピン接続位置P3からテストヘッド引出位置P4に上昇させる。これにより、テストヘッド44は、ロック機構によってロックされた状態で、ベース56に固定されたテストヘッド用ガイドレール58とともに、テストヘッド引出位置P4に移動する。これにより、ポゴフレーム46の上昇スペースSが確保される。
次に、図13(a)に示すように、ポゴフレーム昇降機構52によって、ポゴフレーム保持機構(ベース62)をプローブ接続位置P5からポゴフレーム引出位置P6に上昇させる。これにより、ポゴフレーム46は、ロック機構によってロックされた状態で、ベース62に固定されたポゴフレーム用ガイドレール64とともに、ポゴフレーム引出位置P6に移動する。
次に、作業者が、ロック機構によるロックを解除した後、ポゴフレーム引出位置P6まで上昇されたポゴフレーム46を手前に引き寄せる。これにより、ポゴフレーム46は、図13(b)に示すように、ポゴフレーム用ガイドレール64に沿ってY軸方向にスライド移動して開口14bを介してメンテナンスエリアA2側に引き出される。これにより、ポゴフレーム46のメンテナンス(例えば、ポゴピン交換等)が可能となる。図14中の左側の矢印は被メンテナンス装置(ここでポゴフレーム46)の引出方向(及び押入方向)を表している。
次に、メンテナンスが終了したポゴフレーム46をプローブ接続位置P5に戻す場合の動作例について説明する。
まず、作業者が、メンテナンスが終了したポゴフレーム46をポゴフレーム用ガイドレール64に沿って押し込んでポゴフレーム引出位置P6までY軸方向にスライド移動させ、その位置において、ロック機構によるロックを実施する。
次に、ポゴフレーム昇降機構52によって、ポゴフレーム保持機構(ベース62)をポゴフレーム引出位置P6からプローブ接続位置P5に下降させる。これにより、ポゴフレーム46は、ロック機構によってロックされた状態で、ベース62に固定されたポゴフレーム用ガイドレール64とともに、プローブ接続位置P5に移動する。その際、ポゴフレーム46は、図12(a)に示すように、ポゴフレーム位置決め機構66によってヘッドステージ20に対して位置決めされた状態で当該ヘッドステージ20の上方、すなわち、プローブ接続位置P5に配置される。これにより、ポゴフレーム46のポゴピン46bとプローブカードのプローブとの位置合わせが実施されるため、両者を精度良く電気的に接続することができる。
以上のように、被メンテナンス装置(ここではポゴフレーム46)の引出方向(図14中の左側の矢印参照)と搬送物(ウエハW又はプローブカードPC)の搬送方向(図14中の右側の矢印参照)とがY軸方向に関し一直線状であるため、高精度が求められるポゴフレーム46のヘッドステージ20に対する位置決めの際に考慮しなくてはならないアッベ誤差を抑制すること(又は無くすこと)ができる。特に、メンテナンスが終了したポゴフレーム46をプローブ接続位置P5に戻す場合に、X軸方向に関する位置決めの精度が低下するのを抑制することができる。
また、従来技術においては、ポゴフレームを上昇させることなくポゴフレームを引き出す構成であるため、ポゴフレームを引き出す前に、プローブカードを測定部(セル)から搬出しなければならなかったのに対して、本実施形態においては、ポゴフレーム46をポゴフレーム引出位置P6まで上昇させてプローブカードから離間させた後、当該ポゴフレーム引出位置P6まで上昇されたポゴフレーム46を引き出す構成であるため、プローブカードPCを測定部14から搬出することなく、ポゴフレーム46を引き出すことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、被メンテナンス装置(例えば、テストヘッド及びポゴフレームのうち少なくとも一方)及び被メンテナンス装置を引き出す引出機構を備えた複数の測定部14と、搬送物(例えば、ウエハ及びプローブカードのうち少なくとも一方)の搬送先の測定部にアクセス可能な位置まで移動して搬送物を搬送先の測定部14内に搬送する搬送ユニット16と、を備えたプローバ10において、被メンテナンス装置の引出方向と搬送物の搬送方向とを一直線状とすることで(図14参照)、高精度が求められる被メンテナンス装置の位置決めの際に考慮しなくてはならないアッベ誤差を抑制すること(又は無くすこと)ができる。
すなわち、テストヘッド44がポゴピン接続位置P3に配置され、かつ、ポゴフレーム46がプローブ接続位置P5に配置された状態で、ポゴフレーム46に対してプローブカードPCを、プローブカードPCに対してウエハWを位置決めする必要があるが、これら位置決めが必要な構成を一直線状に搬送することで、アッベ誤差を抑制できる。また本実施形態では、これら位置決めが必要な構成を一直線状に搬送することで、一直線状における位置決めは省略することができるので、より位置決めが容易となる。また本実施形態では、被メンテナンス装置の引出方向と搬送物の搬送方向とが一直線状であるので、テストヘッドを回動させてテストヘッド下のポゴピンを暴露させてメンテナンスを行う技術に対してテストヘッドの回動スペースが無い分、省スペースである。
また、従来技術においては、テストヘッドを引き出す引出機構を備えておらず、テストヘッドを引き出すことが出来なかったのに対して、本実施形態においては、テストヘッド昇降機構48及びテストヘッド引出機構50を備えており、これによって、テストヘッド44を引き出すことができる。
次に、測定部14に装填(ロード)される他の態様に関して説明する。上述した例では、測定部14に装填される搬送物(ウエハW又はプローブカードPC)は、搬送ユニット16により搬送エリアA1側から装填されることを説明したが(図14を参照)、測定部14に装填される他の態様では、測定部14にロードされる搬送物は、装填部70によりメンテナンスエリアA2側から装填される。
図15は、測定部14にメンテナンスエリアA2側から搬送物(ウエハW及びプローブカードPC)が装填されることを表す上面図である。図15に示されるように、測定部14にメンテナンスエリアA2側から搬送物が装填される場合には、装填部70により測定部14に搬送物が装填される。装填部70には、上述した搬送ユニット16のような搬送手段を設けて搬送物を搬送してもよいし、プローバ10のユーザ又は設置者が手動により、搬送物を装填部70に搬送して、その後装填部70により測定部14に装填してもよい。装填部70は、特に限定されるものではなく公知の装填手段を採用することができる。例えば装填部70は、引出機構により搬送物を測定部へ装填してもよいし、搬送ユニット16のようにアームにより搬送物を測定部へ装填してもよい。
このように、測定部14には、搬送エリアA1側から及びメンテナンスエリアA2側から、搬送物を装填することが可能である。例えば、プローブカードPCを測定部14に装填する場合には、搬送ユニット16は、搬送物が半導体素子の検査用である場合には搬送物を測定部14へ装填し、装填部70は、搬送物が測定部14の位置の校正に用いられる場合には搬送物を測定部14へ装填する。
また例えば、搬送物は測定部14への装填が高頻度である場合は搬送エリアA1側から測定部14へ装填され、搬送物は測定部14への装填が低頻度である場合はメンテナンスエリア側から測定部14へ装填される。ここで、高頻度及び低頻度はユーザのプローバ10の使用態様によって異なるものであるが、例えば高頻度はウエハWの測定時に毎回交換が必要な搬送物であり、低頻度は例えばメンテナンス時又はプローバ10の設置時(立ち上げ時)に装填が必要な搬送物である。
また例えば、搬送ユニット16は、搬送物が環境の制御が必要な場合には搬送物を測定部14へ装填し、装填部70は、搬送物が環境の制御が必要でない場合には搬送物を測定部14へ装填する。上述したように、搬送エリアA1においては搬送ユニット16の環境制御手段16dにより環境調整が行われるので、温度調整又は湿度調整が必要な搬送物を測定部14へ装填する場合には、搬送物は測定部14に搬送エリアA1側から装填される。
また例えば、搬送物の種類に応じて搬送ユニット16による装填又は装填部70による装填を分けてもよい。すなわち、搬送物であるウエハW及びプローブカードPCは様々な用途及び種類のものが使用されるので、そのウエハW及びプローブカードPCの用途及び種類に応じて、搬送ユニット16による装填又は装填部70による装填を分けてもよい。
例えば、プローブカードPCには、ウエハWの検査測定を行うための測定用プローブカード及びウエハW等の位置の校正を行う校正用プローブカードがある。そして、例えば校正用プローブカードは装填部70により装填され、測定用プローブカードは搬送ユニット16により装填される。
このように、搬送物及びプローバ10の使用状況に応じて、測定部14への搬送物の装填する側を変えることによって、より効率のよい検査を行うことができる。
ここで本願の装填とは、プローブカードPC又はウエハWを測定部14に装置することである。また、上述した搬送ユニット16による装填及び装填部70による装填は、被メンテナンス装置の引出方向及び前記搬送物の搬送方向に対して一直線状に配置されていることが好ましい。なお、図15中の矢印は装填部70が行う装填方向を表している。
図16は、校正用プローブカードの一例を示す概念図である。図16(a)は校正用プローブカード72のプローブ側の上面図であり、図16(b)は校正用プローブカード72の側面図である。図16に示された校正用プローブカード72は、校正用プローブカード本体72aとプローブ72bから校正されている。校正用プローブカード72は、全体で18本のプローブ72bを有し、2本で対(一組)になり、中心に一組、校正用プローブカード72の外周に沿って45°間隔で一組ずつ配置されている。校正用プローブカード72は、測定部14の位置合わせ、アライメントに用いられる。したがって、例えばプローバ10の立ち上げ時又は設置時に校正用プローブカード72を使用して測定部14の位置合わせを行う。
次に、変形例について説明する。
本実施形態では、テストヘッド昇降機構48、テストヘッド引出機構50、ポゴフレーム昇降機構52、及び、ポゴフレーム引出機構54を用いた構成を例示したが、これに限らず、テストヘッド昇降機構48及びテストヘッド引出機構50のみを用いてもよいし、ポゴフレーム昇降機構52及びポゴフレーム引出機構54のみを用いてもよい。
また、本実施形態では、ポゴフレーム昇降機構52を用い、これによって上昇された状態のポゴフレーム46を引き出す構成を例示したが、これに限らず、ポゴフレーム昇降機構52を省略してもよい。すなわち、従来技術と同様のポゴフレーム引出機構を用い、ポゴフレーム46を上昇させることなくポゴフレーム46を引き出すように構成してもよい。
また、本実施形態では、搬送ユニット16の各アーム16b、16cが筐体16aに形成された開口16fを介して出入りする構成を例示したが、これに限らず、例えば、搬送ユニット16の筐体16aのうち開口16fが形成された側とは反対側の面に同様の開口(図示せず)を形成し、各アーム16b、16cが、水平方向に個別に往復移動して開口16f及びその反対側の開口を介して出入りするように構成してもよい。このようにすれば、搬送ユニット回転機構28を省略することができる。そして、搬送ユニット回転機構28を省略したにもかかわらず、すなわち、搬送ユニット16を回転させることなく、各アーム16b、16cによる搬送物収納部12又は各測定部14へのアクセスを実現できる。この場合、搬送ユニット16の筐体16aに形成された開口16fを閉塞するエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段42に加えて、当該開口16fの反対側に形成された開口を閉塞するエアカーテンを形成する同様のエアカーテン形成手段を搬送ユニット16に設けることで、筐体16a内を密閉又は略密閉空間とすることができ、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態では、各測定部14が水平方向(X軸方向)及び鉛直方向(Z軸方向)に二次元的に配置された構成を例示したが、これに限らず、各測定部14は、水平方向(X軸方向)に一列にのみ配置されていてもよいし、鉛直方向(Z軸方向)に一列にのみ配置されていてもよい。各測定部14を水平方向(X軸方向)に一列にのみ配置することで、第2可動体移動機構を省略できる。また、各測定部14を鉛直方向(Z軸方向)に一列にのみ配置することで、第1可動体移動機構を省略できる。
また、本実施形態では、1つの搬送ユニット16及び1つの移動装置22を用いた構成を例示したが、これに限らず、複数の搬送ユニット16及び複数の移動装置22を用いてもよい。このようにすれば、各測定部14でのスループットをさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、ウエハ保持アーム16b及びプローブカード保持アーム16cを用いた構成を例示したが、これに限らず、ウエハ保持アーム16bのみを用いてもよいし、プローブカード保持アーム16cのみを用いてもよい。
また、本実施形態では、搬送ユニット16に各アーム16b、16cを設けた構成を例示したが、これに限らず、搬送物収納部12側及び各測定部14側に各アーム16b、16c(又はこれに相当するアーム)を設けてもよい。これによっても、各アームによって搬送物収納部12又は測定部14から搬送物を取り出して搬送ユニット16内に収納することができ、かつ、搬送ユニット16から搬送物を取り出して搬送物収納部12又は測定部14に引き渡すことができる。
また、本実施形態では、筐体16aに形成された開口16fをエアカーテンで閉塞する構成を例示したが、これに限らず、搬送物の取り出しの際又は引き渡しの際に開かれ、搬送物の搬送中に閉じられるシャッターや扉等の開口開閉手段を搬送ユニット16に設け、この開口開閉手段によって開口16fを開閉するように構成してもよい。また、各測定部14に形成された開口14aを同様のエアカーテンで閉塞するように構成してもよいし、または、同様の開口開閉手段で開口14aを開閉するように構成してもよい。
以上説明したように、被メンテナンス装置及び被メンテナンス装置を引き出す引出機構を備えた複数の測定部と、搬送物の搬送先の測定部にアクセス可能な位置まで移動して搬送物を搬送先の測定部内に搬送する搬送ユニットと、を備えたプローバにおいて、被メンテナンス装置の引出方向と搬送物の搬送方向とを一直線状とすることで、高精度が求められる被メンテナンス装置の位置決めの際に考慮しなくてはならないアッベ誤差を抑制するという考え方は、上記実施形態のプローバのみならず、被メンテナンス装置及び被メンテナンス装置を引き出す引出機構を備えた複数の測定部と、搬送物の搬送先の測定部にアクセス可能な位置まで移動して搬送物を搬送先の測定部内に搬送する搬送ユニットと、を備えたあらゆる種類のプローバに適用することができる。
以上、本発明のプローバについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。