JP7218101B2 - 光配向膜用ワニス及び液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光配向膜用ワニス及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、画素電極、薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成された第1基板と、第1基板と離間対向して配置された、カラーフィルタ等が形成された第2基板を備える。第1基板と第2基板の間には、液晶が封入されている。液晶は、第1基板及び第2基板にそれぞれ設けられた配向膜により配向される。
配向膜には、ポリイミド膜が使用されることが多い。このポリイミド膜を配向処理する方法として、近時、ラビング処理に加えて、ポリイミド膜に非接触で配向制御能を付与する光配向処理が採用されている。光配向処理は、ラビング処理と比較して、静電気の発生、基板表面の凹凸による不均一性等の問題が生じない。
光配向処理は、例えば、254nmから365nm領域の偏光紫外線をポリイミド膜に照射して、ポリイミド膜分子を偏光方向と平行な方向で切断することによって、ポリイミド膜に一軸異方性を付与する。液晶分子は、一軸異方性を付与されたポリイミド膜(配向膜)によって初期配向される。
配向膜を備える液晶表示装置を長時間駆動させた場合に、駆動時間の経過につれて液晶表示装置に焼付きが生じることがある。液晶表示装置の焼付きの1つとして、配向膜にDC電荷が蓄積することによって生じる残像(DC残像)がある。液晶表示装置のDC残像の発生は、配向膜の抵抗率を低下させ、配向膜のDC電荷の蓄積を抑制することによって、抑制又は防止できることが知られている。
例えば、特許文献1には、二層の配向膜であって、液晶と接する上層として低抵抗率のポリイミド層を、その上層を支持する下層として高抵抗率のポリイミド層を設けた液晶表示装置が開示されている。この二層の配向膜において、下層にはDC電荷が蓄積しにくく、上層はDC電荷が容易に抜けやすくなり、もってDC残像を抑制し得るとされている。
特開2011-085613号公報
しかしながら、上記二層の配向膜においては、上層の低抵抗率ポリイミド層の光配向性が低下してしまう虞がある。
一方、上層として高配向性のポリイミド層を、下層として低抵抗率のポリイミド層を設けた配向膜を備える液晶表示装置は、配向膜のDC電荷は抜けやすくなるが、その一方で印加されたDC電荷が配向膜中に取り込まれやすくなり、種々の不具合が生じる。
事実、本発明者らは、このような構成の配向膜を備える液晶表示装置について、フリッカが最小となる共通電圧を設定するために、すなわちVcomの初期値を決定するために、電圧を印加すると、当該配向膜がDC電荷を直ちに吸収し、初期Vcom値が不適切な値をとってしまうことを確認した。この不適切なVcom値の下でバックライト光を点灯させると、数分の短時間、例えば3分後に液晶表示装置にフリッカが生じてしまった。その時点で、フリッカが最小となるVcomを測定するとその値が初期値と異なっていた(Vcomの短時間でのドリフト)。
本発明の課題は、比較的光配向性が高く、液晶表示装置にDC残像を生じさせないか、生じさせても短時間で消失させ得る、及びVcomの短時間でのドリフトを生じさせないか、生じさせても当該ドリフトの量を比較的小さくし得る光配向膜を形成するためのワニスを提供することである。
本発明の他の課題は、上記配向膜を備える液晶表示装置を提供することである。
本発明の実施形態によれば、有機溶媒中に、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第1ポリアミド酸系化合物と、前記第1ポリアミド酸系化合物よりも高い極性を有する、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第2ポリアミド酸系化合物とを含有し、前記第1ポリアミド酸系化合物は、下記式(1):
Figure 0007218101000001

(式(1)中、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含み、前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(2):
Figure 0007218101000002

(式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)である)で表されるピロメリット酸二無水物由来の骨格、及び下記式(3):
Figure 0007218101000003

(式(3)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Kは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まない光配向膜用ワニスが提供される。
本発明の他の実施形態によれば、配向膜がある第1基板と、前記第1基板の前記配向膜側に対向して配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層とを備え、前記配向膜は上述した光配向膜用ワニスのイミド化物を含む液晶表示装置が提供される。
実施形態に係る液晶表示装置の概略平面図である。 図1のii-ii線に沿った一部破断概略断面を拡大して示す図である。 実施形態に係る二層構造の光配向膜の構成を示す模式図である。 DC残像の検査パターンを示す図である。
以下、いくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、先行する図に関して説明したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
<液晶表示装置>
まず、実施形態に係る液晶表示装置DSPを、図1及び図2を参照して説明する。図1は、液晶表示装置DSPの概略平面図、図2は、図1のii-ii線に沿った一部破断概略断面を拡大して示す図である。
本実施形態においては、液晶表示装置DSPの短辺に平行な方向を第1方向Xとし、液晶表示装置DSPの長辺に平行な方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yに垂直な方向を第3方向Zとしている。第1方向X及び第2方向Yは、本実施形態では互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。
また、本実施形態においては、第3方向Zの正の向きを上又は上方と定義し、第3方向Zの負の向きを下又は下方と定義する。さらに、液晶表示装置DSPを上方から見ることを平面視と定義する。平面視での液晶表示装置DSPは、平面図(図1)に見られる。
図1に示すように、液晶表示装置DSPは、表示パネルPNLと、フレキシブルプリント回路基板1と、ICチップ2と、回路基板3とを備えている。表示パネルPNLは、液晶表示パネルであり、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、後述する液晶層LCと、シールSEと、遮光層LSと、スペーサSP1~SP4とを備えている。
第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、互いに離間対向して配置されている。第1基板SUB1は、第2基板SUB2と対向する領域と、第2基板SUB2よりも第2方向Yに延出した実装部MAとを有する。言い換えると、第1基板SUB1の実装部MAは、第2基板SUB2の端縁よりも外側に延出している。
フレキシブルプリント回路基板1は、第1基板SUB1の実装部MAに実装されている。ICチップ2は、フレキシブルプリント回路基板1に電気的に接続されている。なお、ICチップ2は、実装部MAに実装されてもよい。ICチップ2は、画像を表示する表示モードにおいて画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバDDを内蔵している。また、図示した例では、ICチップ2は、表示装置DSPへの物体の接近又は接触を検出するタッチセンシングモードを制御するタッチコントローラTCを内蔵している。図中において、ICチップ2は一点鎖線で示し、ディスプレイドライバDD及びタッチコントローラTCは点線で示している。回路基板3は、フレキシブルプリント回路基板1の第2方向Yの後半部に、電気的に接続され、フレキシブルプリント回路基板1を通して第1基板SUB1に駆動信号を伝送する。
第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、実装部MAを除く第1基板SUB1の周縁部と第2基板SUB2の周縁部とにおいて、枠状に形成されたシールSEにより接着されている。枠状のシールSEは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に一定のセルギャップを規定している。シールSEの内側には、液晶が封入され、後述する液晶層LCを形成している。
また、枠状のシールSEは、非表示部NDAを規定している。遮光層LSは、平面視でシールSEと重畳する位置に設けられている。図1において、シールSEが配置された領域と、遮光層LSが配置された領域とでは、互いに異なる斜線で示し、シールSEと遮光層LSとが重畳する領域はクロスハッチングで示している。遮光層LSは、第2基板SUB2に設けられている。
スペーサSP1~SP4は、第1基板SUB1と第2基板SUB2と非表示部NDAにそれぞれ枠状に設けられている。スペーサSP1は、第2基板SUB2の最外周に位置している。スペーサSP2は、スペーサSP1よりも表示部DA側に位置している。スペーサSP1及びSP2は、シールSEと重畳している。スペーサSP3及びSP4は、シールSEよりも表示部DA側に位置している。スペーサSP1~SP4は、枠状のシールSEとともに第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に一定のセルギャップを規定している。スペーサSP1~SP4は、例えば第2基板SUB2に設けられているが、第1基板SUB1に設けられてもよい。
非表示部NDAは、その内側に画像を表示する表示部DAを規定している。表示部DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。
本実施形態の表示パネルPNLは、第1基板SUB1の背面側からの光を選択的に透過させることで画像を表示する透過表示機能を備えた透過型、第2基板SUB2の前面側からの光を選択的に反射させることで画像を表示する反射表示機能を備えた反射型、あるいは、透過表示機能及び反射表示機能を備えた半透過型のいずれであってもよい。
また、表示パネルPNLの詳細な構成について、ここでは説明を省略するが、表示パネルPNLは、基板主面に沿った横電界を利用する表示モード、基板主面の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、基板主面に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モード、さらには、上記の横電界、縦電界、及び傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応したいずれの構成を備えていてもよい。ここでの基板主面とは、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面と平行な面である。
図2に示すように、第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と、絶縁膜11~16と、信号線S1及びS2と、金属配線ML1及びML2と、共通電極CEと、画素電極PEを備えている。なお、図2に示す例は、横電界を利用する表示モードの一つであるFFS(Fringe Field Switching)モードが適用された例に相当する。
第1絶縁基板10は、ガラス基板、可撓性の樹脂基板のような光透過性の基板である。第1絶縁基板10の下面には、偏光板PL1を含む光学素子OD1が接着されている。なお、光学素子OD1は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層などを備えていてもよい。光学素子OD1の下には、照明装置ILが設けられている。
絶縁膜11は、第1絶縁基板10の上に配置され、絶縁膜12は、絶縁膜11の上に配置され、絶縁膜13は、絶縁膜12の上に配置されている。絶縁膜11~13は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの絶縁性の無機材料によって形成された無機絶縁膜であり、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
信号線S1及びS2は、同じ絶縁膜13の上に配置されている。これら信号線は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、クロム(Cr)などの金属材料や、上記の金属材料を組み合わせた合金などによってそれぞれ形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。一例では、信号線S1、S2は、それぞれ、チタン(Ti)を含む層、アルミニウム(Al)を含む層、及びチタン(Ti)を含む層がこの順に積層された積層体である。
絶縁膜14は、絶縁膜13、信号線S1及びS2の上に、それらを覆うようにして配置されている。絶縁膜14は、例えば、アクリル樹脂などの絶縁性の有機材料によって形成された有機絶縁膜である。
金属配線ML1及びML2は、同じ絶縁膜14の上に配置されている。金属配線ML1及びML2は、上記の金属材料や、上記の金属材料を組み合わせた合金などによって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。一例では、金属配線ML1及びML2は、それぞれ、チタン(Ti)を含む層、アルミニウム(Al)を含む層、及びチタン(Ti)を含む層がこの順に積層された積層体、あるいは、モリブデン(Mo)を含む層、アルミニウム(Al)を含む層、及びモリブデン(Mo)を含む層がこの順に積層された積層体である。
絶縁膜15は、絶縁膜14、金属配線ML1及びML2の上に、それらを覆うようにして配置されている。絶縁膜15は、例えば、絶縁膜14と同様に、アクリル樹脂などの絶縁性の有機材料によって形成された有機絶縁膜である。なお、絶縁膜15は、無機絶縁膜であってもよい。
共通電極CEは、絶縁膜15の上に配置されている。共通電極CEは、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明な導電材料によって形成された透明電極である。
絶縁膜16は、共通電極CEの上に配置されている。絶縁膜16は、絶縁膜11~13と同様に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの絶縁性の無機材料によって形成された無機絶縁膜であり、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
画素電極PEは、絶縁膜16の上に配置されている。画素電極PEは、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成された透明電極である。
画素電極PE及び絶縁膜16の上には、それらを覆うようにして第1配向膜AL1が設けられている。第1配向膜AL1は、2.0×1013Ω・cm以上の抵抗率を有することが好ましい。第1配向膜AL1の詳細な構成については後述する。
第2基板SUB2は、第2絶縁基板20と、カラーフィルタCFと、遮光膜BMと、オーバーコート層OCとを備えている。
第2絶縁基板20は、第1絶縁基板10と同様に、ガラス基板、可撓性の樹脂基板のような光透過性の基板である。第2絶縁基板20には、偏光板PL2を含む光学素子OD2が接着されている。なお、光学素子OD2は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層などを備えていてもよい。
カラーフィルタCFは、第2絶縁基板20の第1基板SUB1と対向する側に位置している。カラーフィルタCFは、緑色のカラーフィルタセグメントCFGを備え、これに赤色及び青色のカラーフィルタセグメントCFR、CFBが隣接している。カラーフィルタCFは、画素電極PEと対向する位置に配置され、各カラーフィルタセグメント間にそれらの混色を防止する遮光膜BMが配置されている。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。オーバーコート層OCは、透明な樹脂によって形成されている。
オーバーコート層OCの第1基板SUB1と対向する側には、第2配向膜AL2が設けられている。第2配向膜AL2は、2.0×1013Ω・cm以上の抵抗率を有することが好ましい。第2配向膜AL2の詳細な構成については後述する。
液晶層LCは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の間に位置し、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に保持されている。液晶層LCは、液晶分子LMを備えている。液晶層LCは、ポジ型(誘電率異方性が正)の液晶材料、あるいは、ネガ型(誘電率異方性が負)の液晶材料によって構成されている。
このような表示パネルPNLにおいては、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていないオフ状態において、液晶分子LMは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の間で所定の方向に初期配向している。このようなオフ状態では、照明装置ILから表示パネルPNLに向けて照射された光は、光学素子OD1及び光学素子OD2によって吸収され、暗表示となる。一方、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されたオン状態においては、液晶分子LMは、電界により初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。このようなオン状態では、照明装置ILからの光の一部は、光学素子OD1及び光学素子OD2を透過し、明表示となる。
実施形態に係る配向膜(第1配向膜AL1、第2配向膜AL2)は、光配向膜用ワニスを基板(第1基板SUB1、第2基板SUB2)上に塗布し、加熱してポリイミド膜に変換し、そのポリイミド膜に偏光紫外線を照射することにより配向制御能が付与されている。いくつかの実施形態において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、光配向膜用ワニスのイミド化物(光配向膜)である。
<光配向膜用ワニス>
実施形態に係る光配向膜用ワニスは、有機溶媒中に、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第1ポリアミド酸系化合物と、前記第1ポリアミド酸系化合物よりも高い極性を有する、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第2ポリアミド酸系化合物とを含有する。
ポリアミド酸は、後述するようにテトラカルボン酸化合物(テトラカルボン酸二無水物)とジアミン化合物とを反応させることによって合成することができる。ポリアミド酸エステルは、当該ポリアミド酸をエステル化することによって合成することができる。
そのため、第1及び第2ポリアミド酸系化合物は、それぞれテトラカルボン酸化合物由来の骨格とジアミン化合物由来の骨格とを有する。
<第1ポリアミド酸系化合物>
実施形態に係る第1ポリアミド酸系化合物は、下記式(1):
Figure 0007218101000004

(式(1)中、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含む。含窒素複素環式骨格は、カルバゾール骨格又はアクリジン骨格であり得る。
上記式(1)におけるJがカルバゾール骨格を有する基である場合、第1ポリアミド酸系化合物は、下記式(1-1):
Figure 0007218101000005

(式(1-1)中、R及びRは、それぞれ独立に、H、又はアルキル基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含む。
上記式(1)におけるJがアクリジン骨格を有する基である場合、第1ポリアミド酸系化合物は、下記式(1-2):
Figure 0007218101000006
(式(1-2)中、R3及びR4は、それぞれ独立に、H、又はアルキル基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含む。
いくつかの実施形態において、第1ポリアミド酸系化合物は、下記式(4-1):
Figure 0007218101000007

(式(4-1)中、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)であり、Rは、それぞれ、水素又はアルキル基である)で表されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格を含む。Rがアルキル基である場合、Rは、例えば1個~6個の炭素原子を有するアルキル基である。アルキル基としては、メチル基が特に好ましい。
第1ポリアミド酸系化合物において、第1ポリアミド酸系化合物中のテトラカルボン酸化合物由来の骨格を100モル%としたときに、第1ポリアミド酸系化合物中の上記式(4-1)で表されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格は、50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。
別の実施形態において、第1ポリアミド酸系化合物は、上記式(4-1)で示されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格に加えて、下記式(4-2):
Figure 0007218101000008

(式(4-2)中、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)であり、Xは、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、鎖式骨格、又は芳香族基である)で表されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格を含んでもよい。
第1ポリアミド酸系化合物において、全てのテトラカルボン酸化合物由来の骨格を100モル%としたときに、上記式(4-2)で表されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格は、50モル%未満であり、好ましくは20モル%未満である。
上記式(4-2)において、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格は、例えばシクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン骨格、2-メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン骨格であり、鎖式骨格は、例えばブチル骨格であり、芳香族基は、例えばベンゼン環である。
上述したように、第1ポリアミド酸系化合物は、上記式(1)で表されるジアミン化合物由来の骨格と、上記式(4-1)、又は上記式(4-1)及び(4-2)で表されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格とを含み得るため、下記式(5-1)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000009

式(5-1)において、Rは、式(4-1)に関して定義した通りであり、R及びRは、式(4-1)に関して定義した通りであり、Jは、式(1)に関して定義した通りである。
別の実施形態において、第1ポリアミド酸系化合物は、上記式(5-1)で示される構造単位に加えて、下記式(5-2)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000010

式(5-2)において、Xは、式(4-2)に関して定義した通りであり、R及びRは、式(4-2)に関して定義した通りであり、Jは、式(1)に関して定義した通りである。
<第1ポリアミド酸系化合物の製造>
第1ポリアミド酸系化合物は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物(テトラカルボン酸二無水物)とを常法により反応させることによってポリアミド酸として製造することができる。
ポリアミド酸エステルは、ポリアミド酸に、例えばN,N-ジメチルホルムアミドジアルキルアセタールを反応させることによって製造することができる。あるいは、ポリアミド酸エステルは、特開2000-273172号公報に記載された方法によっても製造することができる。
第1ポリアミド酸系化合物の合成に用いるジアミン化合物は、下記式(6):
Figure 0007218101000011

(式(6)中、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表されるジアミン化合物である。含窒素複素環式骨格は、カルバゾール骨格又はアクリジン骨格であり得る。
上記式(6)におけるJがカルバゾール骨格を有する基である場合、第1ポリアミド酸系化合物の合成に用いるジアミン化合物は、下記式(6-1):
Figure 0007218101000012

(式(6-1)中、R及びRは、それぞれ独立に、H、又はアルキル基である)で表される。式(6-1)で示される、カルバゾール骨格を有するジアミン化合物の例は、2,7-ジアミノカルバゾール、及び3,6-ジアミノカルバゾールを含む。
上記式(6)におけるJがアクリジン骨格を有する基である場合、第1ポリアミド酸系化合物の合成に用いるジアミン化合物は、下記式(6-2):
Figure 0007218101000013
(式(6-2)中、R3及びR4は、それぞれ独立に、H、又はアルキル基である)で表される。式(6-2)で示される、アクリジン骨格を有するジアミン化合物の例は、2,7-ジアミノアクリジン、及び3,6-アクリジンを含む。
第1ポリアミド酸系化合物の合成に用いるテトラカルボン酸化合物(テトラカルボン酸二無水物)は、特に制限はない。テトラカルボン酸二無水物としては、シクロブタン骨格を有するテトラカルボン酸二無水物、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、鎖式骨格、又は芳香族基を有するテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
シクロブタン骨格を有するテトラカルボン酸二無水物は、下記式(7-1)で示すことができる。
Figure 0007218101000014

式(7-1)において、Rは、式(4-1)に関して定義した通りである。
式(7-1)で示される、シクロブタン骨格を有するテトラカルボン酸二無水物の例は、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含む。シクロブタン骨格を有するテトラカルボン酸二無水物は、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、又は1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物であることが好ましい。
シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、鎖式骨格、又は芳香族基を有するテトラカルボン酸二無水物は、下記式(7-2)で示すテトラカルボン酸二無水物であり得る。
Figure 0007218101000015

式(7-2)において、Xは、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、鎖式骨格、又は芳香族基である。
式(7-2)で示される、Xが、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格を有するテトラカルボン酸二無水物の例は、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸2;3,5;6-二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸2,3;5,6-二無水物、及び3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3二無水物を含む。
式(7-2)で示される、Xが、鎖式骨格を有するテトラカルボン酸二無水物は、例えばメソ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物である。
式(7-2)で示される、Xが、芳香族基を有するテトラカルボン酸二無水物は、例えばピロメリット酸二無水物である。
<第2ポリアミド酸系化合物>
実施形態に係る第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(2):
Figure 0007218101000016

(式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)である)で表されるピロメリット酸二無水物由来の骨格、及び下記式(3):
Figure 0007218101000017

(式(3)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Kは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まない。
いくつかの実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(8):
Figure 0007218101000018

(式(8)中、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)であり、Xは、シクロブタン骨格、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格又は鎖式骨格である)で表されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格を含む。
上記式(8)において、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格は、例えばシクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン骨格、2-メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン骨格であり、鎖式骨格は、例えばブチル骨格であり、芳香族基は、例えばベンゼン環である。
いくつかの実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(9):
Figure 0007218101000019

(式(9)中、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まない。含窒素複素環式骨格は、カルバゾール骨格又はアクリジン骨格であり得る。
いくつかの実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(10-1):
Figure 0007218101000020

(式(10-1)中、Lは、Ar、又はAr-M-Arであり、Ar、Ar、及びArは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Mは第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有しない有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含む。
いくつかの実施形態において、Mは、酸素、窒素、硫黄、炭素及び水素、又はそれら2つ以上の組合せからなる有機基である。
別の実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物は、上記式(10-1)で示されるジアミン化合物由来の骨格に加えて、下記式(10-2):
Figure 0007218101000021

(式(10-2)中、Lは、酸素及び/又はフッ素を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含んでもよい。
上述したように、第2ポリアミド酸系化合物は、上記式(8)で表されるテトラカルボン酸化合物由来の骨格と、上記式(10-1)及び/又は(10-2)で表されるジアミン化合物由来の骨格とを含み得るため、下記式(11-1)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000022

式(11-1)において、Xは、式(8)に関して定義した通りであり、R及びRは、式(8)に関して定義した通りであり、Lは、式(10-1)に関して定義した通りである。
別の実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物は、上記式(11-1)で示される構造単位に加えて、下記式(11-2)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000023

式(11-2)において、Xは、式(8)に関して定義した通りであり、R及びRは、式(8)に関して定義した通りであり、Lは、式(10-2)に関して定義した通りである。
第2ポリアミド酸系化合物は、第1ポリアミド酸系化合物よりも高い極性を有する。いくつかの実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物は、上記式(11-1)で示される構造単位に加えて、上記式(11-2)で示す構造単位(繰り返し単位)を有するため、第1ポリアミド酸系化合物よりも高い極性、すなわち大きな表面エネルギーを有するようになる。
ポリアミド酸エステルとポリアミド酸が共存する場合、ポリアミド酸がポリアミド酸エステルよりも大きな表面エネルギーを有する。すなわち、第1ポリアミド酸系化合物がポリアミド酸エステル、第2ポリアミド酸系化合物がポリアミド酸である場合、第2ポリアミド酸系化合物は、第1ポリアミド酸系化合物よりも大きな表面エネルギーを有する。
<第2ポリアミド酸系化合物の製造>
第2ポリアミド酸系化合物は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物(テトラカルボン酸二無水物)とを常法により反応させることによってポリアミド酸として製造することができる。
ポリアミド酸エステルは、第1ポリアミド酸系化合物に関して記載した製造方法に準じて、製造することができる。
第2ポリアミド酸系化合物の合成に用いるジアミン化合物は、下記式(12):
Figure 0007218101000024

(式(12)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Kは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物を含まない。
いくつかの実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物の合成に用いるジアミン化合物は、上記式(6)で表されるジアミン化合物を含まない。
いくつかの実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物の合成に用いるジアミン化合物は、下記式(13-1):
Figure 0007218101000025

(式(13-1)中、Lは、式(10-1)に関して定義した通りである)で表されるジアミン化合物を含む。
式(13-1)で示されるジアミン化合物の例は、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、3,5-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノ-2-メトキシベンゼン、2,5-ジアミノ-p-キシレン、1,3-ジアミノ-4-クロロベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸、1,4-ジアミノ-2,5-ジクロロベンゼン、4,4’-ジアミノ-1,2-ジフェニルエタン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビベンジル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’―ジメチルジフェニルメタン、2,2’-ジアミノスチルベン、4,4’-ジアミノスチルベン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5-ビス(4-アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2-ビス[(4-アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’-ビス(4-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルアミン、2,4-ジアミノジフェニルアミン、1,8-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノアントラキノン、1,3-ジアミノピレン、1,6-ジアミノピレン、1,8―ジアミノピレン、2,7-ジアミノフルオレン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、1,2-ビス(4-アミノフェニル)エタン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェニル)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサン、1,7-ビス(4-アミノフェニル)ヘプタン、1,8-ビス(4-アミノフェニル)オクタン、1,9-ビス(4-アミノフェニル)ノナン、1,10-ビス(4-アミノフェニル)デカン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8-ビス(4-アミノフェノキシ)オクタン、1,9-ビス(4-アミノフェノキシ)ノナン、1,10-ビス(4-アミノフェノキシ)デカン、ジ(4-アミノフェニル)プロパン-1,3-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ブタン-1,4-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ペンタン-1,5-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ヘキサン-1,6-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ヘプタン-1,7-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)オクタン-1,8-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)ノナン-1,9-ジオエート、ジ(4-アミノフェニル)デカン-1,10-ジオエート、1,3-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕プロパン、1,4-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ブタン、1,5-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ペンタン、1,6-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘキサン、1,7-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘプタン、1,8-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]オクタン、1,9-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ノナン、及び1,10-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]デカンを含む。さらに、式(13-1)で示されるジアミンの例を以下に示す(以下の例において、nは、1~10の整数である)。
Figure 0007218101000026
Figure 0007218101000027
別の実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物の合成に用いるジアミン化合物は、下記式(13-2):
Figure 0007218101000028

(式(13-2)中、Lは、式(10-2)に関して定義した通りである)で表されるジアミン化合物を含む。
上記式(13-2)で示されるジアミン化合物としては、上記式(13-1)で示されるジアミン化合物において酸素を含有する有機基を有するジアミン化合物、又は上記式(13-1)で示されるジアミン化合物中の芳香族基にフッ素を含有する有機基(フルオロ基など)を導入したジアミン化合物を用いることができる。
第2ポリアミド酸系化合物の合成に用いるテトラカルボン酸化合物は、ピロメリット酸二無水物を含まない。
いくつかの実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物の合成に用いるテトラカルボン酸化合物は、下記式(14):
Figure 0007218101000029

(式(14)中、Xは、式(8)に関して定義した通りである)で表されるテトラカルボン酸二無水物を含む。
第2リアミド酸系化合物の合成に用いるテトラカルボン酸化合物(テトラカルボン酸二無水物)としては、シクロブタン骨格を有するテトラカルボン酸二無水物、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、又は鎖式骨格を有するテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
第2ポリアミド酸系化合物の合成に用いるシクロブタン骨格、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、又は鎖式骨格を有するテトラカルボン酸化合物としては、第1ポリアミド酸系化合物の合成に用いるシクロブタン骨格、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、又は鎖式骨格を有するテトラカルボン酸化合物を用いることができる。
<有機溶媒>
第1及び第2ポリアミド酸系化合物を溶解又は分散させる有機溶媒として、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、及び4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、及びブチルセロソルブが使用できる。
<配向膜>
実施形態に係る光配向膜用ワニスは、第2ポリアミド酸系化合物が、第1ポリアミド酸系化合物よりも高い極性、すなわち大きな表面エネルギーを有するので、第1ポリアミド酸系化合物と第2ポリアミド酸系化合物は相分離する。
図2を参照すると、このような第1及び第2ポリアミド酸系化合物を含有する光配向膜用ワニスを第1基板SUB1の共通電極CE及び絶縁膜16の上に塗布すると、第2ポリアミド酸系化合物の方が、画素電極PEを形成するITOやIZOと、絶縁膜16を形成するシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁材料との親和性が高いので、第2ポリアミド酸系化合物が下層となり、第1ポリアミド酸系化合物が上層を構成して液晶層LCと接するようになる。
また、光配向膜用ワニスを第2基板SUB2のオーバーコート層OCの上に塗布すると、第2ポリアミド酸系化合物の方が、有機樹脂を用いたオーバーコート層OCとの親和性が高いので、第2ポリアミド酸系化合物が下層を構成してオーバーコート層OCと接し、第1ポリアミド酸系化合物は、上層を形成して液晶層LCと接するようになる。
塗布対象に塗布し、二相に分離した光配向膜用ワニスを200℃程度の温度で加熱することによってイミド化し、イミド化後の二層膜に光配向処理を行って配向膜、すなわち光配向膜を提供する。光配向処理は、波長254nmから365nm領域の偏光紫外線をイミド化膜に照射することによって行うことができる。光配向処理したイミド化膜を備える第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、さらに200℃程度の温度で加熱してもよい。
図3は、実施形態に係る二層構造の光配向膜(第1配向膜AL1)を示す模式図である。第1配向膜AL1は、絶縁膜16の上に形成され、上層AL1-1とその上層を支持する下層AL1-2とから形成されている。ここで、第1配向膜AL1の上層AL1-1と下層AL1-2の境界は明確ではないので、図3では、それらの境界を点線で示している。
実施形態に係る光配向膜用ワニスは、第1ポリアミド酸系化合物が、第2ポリアミド酸系化合物よりも多量に存在することが好ましく、二層構造の配向膜のうち上層が占める割合が多くなり、上層が下層よりも厚くなる。
いくつかの実施形態において、光配向膜用ワニスは、第1ポリアミド酸系化合物と第2ポリアミド酸系化合物の重量比が、6:4から8:2までであることが好ましい。
このようにして形成した二層構造の光配向膜は、極性が低い第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物が、上層(液晶側)を形成し、極性が高い第2ポリアミド酸系化合物のイミド化物が、下層(絶縁基板側)に形成する。
いくつかの実施形態において、上層を形成する第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物(ポリイミド)は、下記式(15-1)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000030

式(15-1)において、Rは、式(4-1)に関して定義した通りであり、Jは、式(1)に関して定義した通りである。
別の実施形態において、第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物は、上記式(15-1)で示される構造単位に加えて、下記式(15-2)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000031

式(15-2)において、Xは、式(4-2)に関して定義した通りであり、Jは、式(1)に関して定義した通りである。
いくつかの実施形態において、下層を形成する第2ポリアミド酸系化合物のイミド化物(ポリイミド)は、下記式(16-1)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000032

式(16-1)において、Xは、式(8)に関して定義した通りであり、Lは、式(10-1)に関して定義した通りである。
別の実施形態において、第2ポリアミド酸系化合物のイミド化物は、上記式(16-1)で示される構造単位に加えて、下記式(16-2)で示す構造単位(繰り返し単位)を有する。
Figure 0007218101000033

式(16-2)において、Xは、式(8)に関して定義した通りであり、Lは、式(10-2)に関して定義した通りである。
上層を形成する第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物は、上記式(15-1)、又は上記式(15-1)及び(15-2)に示すような、含窒素複素環式骨格を有する基を含むジアミン化合物由来の骨格を含む構造単位を有し、当該ジアミン化合物由来の骨格は、例えば、波長254nmから365nm領域の偏光紫外線を吸収しやすい。そのため、第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物は、偏光紫外線により容易に配向性が付与され、当該第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物を含む配向膜は比較的光配向性が高い。
また、上層を形成する第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物は、含窒素複素環式骨格を有する基を含むジアミン化合物由来の骨格中にアミノ基を含むため、比較的低い抵抗率を示す。加えて、下層を形成する第2ポリアミド酸系化合物のイミド化物は、上記式(16-1)、又は上記式(16-1)及び(16-2)に示すような構造単位を有し、ピロメリット酸二無水物由来の骨格、及び上記式(12)で表されるジアミン化合物に由来する骨格を含まないため、下層を形成するイミド化物は、比較的高い抵抗率を示す。
そのため、光配向膜は、上層を形成するイミド化物が比較的低い抵抗率を示し、下層を形成するイミド化物が比較的高い抵抗率を示すので、下層にはDC電荷が蓄積しにくく、上層はDC電荷が容易に抜けやすくなる。もって当該光配向膜は、液晶表示装置にDC残像を生じさせないか、生じさせても短時間で消失させ得る、及びVcomの短時間でのドリフトを生じさせないか、生じさせても当該ドリフト量が比較的小さくし得る。
なお、上記実施形態において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が本発明の光配向膜用ワニスから形成されるが、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の少なくとも一方が、本発明の光配向膜用ワニスから形成されていればよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、初めに、ポリアミド酸系化合物の合成例を記載する。
ポリアミド酸系化合物の合成例
合成例1
ジアミン化合物としての2,7-ジアミノカルバゾール(DAC)110モル部のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液と、テトラカルボン酸化合物としての1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(DMCBDA)100モル部のNMP溶液と、有機溶媒としてのブチルセロソルブとを混合し、室温で8時間反応させて、第一級アミンを両末端に有するポリアミド酸を生成させた。未反応のジアミン化合物を除去して、固形分濃度15質量%の所望のポリアミド酸溶液を得た。
合成例2
合成例1において、ジアミン化合物としてのDAC110モル部の代わりに、2,7-ジアミノアクリジン(DAA)110モル部を用いた以外は、合成例1に関して記載した製造方法に準じて、固形分濃度15質量%の所望のポリアミド酸溶液を得た。
合成例3
合成例1において、ジアミン化合物としてのDAC110モル部の代わりに、p-フェニレンジアミン(PDA)110モル部を用いた以外は、合成例1に関して記載した製造方法に準じて、固形分濃度15質量%の所望のポリアミド酸溶液を得た。
合成例4
合成例1において、ジアミン化合物としてのDAC110モル部の代わりに、4,4’-ジアミノジフェニルアミン(APA)110モル部を用いた以外は、合成例1に関して記載した製造方法に準じて、固形分濃度15質量%の所望のポリアミド酸溶液を得た。
合成例5
ジアミン化合物としてのDPE110モル部のNMP溶液と、テトラカルボン酸化合物としての1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)50モル部及びメソ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(BDA)50モル部のNMP溶液と、有機溶媒としてのブチルセロソルブとを混合し、室温で8時間反応させて、第一級アミンを両末端に有するポリアミド酸を生成させた。未反応のジアミン化合物を除去して、固形分濃度15質量%の所望のポリアミド酸溶液を得た。
合成例6
合成例5において、ジアミン化合物としてのDPE110モル部の代わりに、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(DPM)110モル部を用いた以外は、合成例5に関して記載した製造方法に準じて、固形分濃度15質量%の所望のポリアミド酸溶液を得た。
合成例7
合成例5において、ジアミン化合物としてのDPE110モル部の代わりに、APA110モル部を用いた以外は、合成例5に関して記載した製造方法に準じて、固形分濃度15質量%の所望のポリアミド酸溶液を得た。
以上述べた合成例1から合成例7までで合成したポリアミド酸系化合物の合成に用いたテトラカルボン酸化合物及びジアミン化合物を下記表1に記載する。
Figure 0007218101000034
例1~例6
下記表2に示す上層成分及び下層成分を重量比7:3の比率で混合し、例1~例6の塗布液(光配向膜用ワニス)を調製した。
図2に示す構造の液晶表示装置の第1基板SUB1の第1配向膜AL1及び第2基板SUB2の第2配向膜AL2を塗布すべき領域に、例1の塗布液を膜厚が100nmとなるように塗布し、230℃、10分間加熱してイミド化を行なった。イミド化率は、いずれも80%であった。
各イミド化膜に対し、254nmから365nm領域の偏光紫外線を、電極角に対して80°の方向に照射して光配向処理を行なった。光配向処理には、ショートアーク光源(ウシオ電機製、UXM-5000BY)を使用した。光配向処理における偏光紫外線の照射量は、約1.5J/cmであった。照射量は積算照度計(ウシオ電機製、UVD-S254センサ)での値である。
光配向処理後のイミド化膜を、230℃、30分間加熱して光配向膜を形成した。こうして形成した光配向膜を第1基板SUB1及び第2基板SUB2を用いて、一方の基板に形成した光配向膜の周縁にシールを設け、液晶材料を滴下し封入するようにして、他方の基板の光配向膜と対向するように張り合わせて、液晶セルを作製した。第1基板SUB1及び第2基板SUB2のギャップは3μmとした。液晶としては、ネガ型の液晶材料(Δn=0.11)を用いた。
作製した液晶セルの両面に偏光板をクロス二コルとなるように貼り合わせ、常法により例1の液晶表示装置を製造した。照明装置は、10000cm/cmのYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)-LED光源を使用した。駆動電圧は、電圧-輝度特性を取得し、最大輝度の22%となる電圧(2.2V)に設定した。例2~例6の液晶表示装置を、例1の液晶表示装置の製造方法に準じて製造した。
<評価1:短時間におけるVcomドリフト量測定>
例1の液晶表示装置から50cm離れた場所に輝度測定器(トプコムテクノハウス社製、BM-5AS)を設置した。照明装置点灯下、オシロスコープ(テクトロニクス社製)を用いて輝度の連続出力(アナログ出力)を確認し、フリッカが最も少なくなる電圧(初期値のVcom)に設定した。この設定値をオフセットDC電圧とした。
外部ファンクションジェネレータを用いて、30Hz矩形波の駆動周波数を例1の液晶表示装置に入力した。30秒後に、オシロスコープを用いてフリッカが最も少なくなる電圧(Vcom)を測定し、その後オフセットDC電圧に戻し、例1の液晶表示装置への30Hz矩形波の駆動周波数の入力を再開した。このようなVcom測定を3分間実施し、各時間におけるVcom測定値と、初期値のVcomとの差において最大の値をVcomドリフト量として算出した。例2~例6の液晶表示装置についても、上述したようにVcomドリフト量を算出した。結果を下記表2に記載する。
<評価2:DC残像(焼付き)消失時間>
評価1の測定条件において、例1~例6の液晶表示装置に、図4に示す白と黒(図中斜線で示す)のチェッカーフラグパターンを4時間表示させた。各チェッカーパターンは、一辺5mmの正方形であった。白は最大輝度(256/256階調)であり、黒は最少輝度(0/256階調)である。4時間後、各液晶表示装置に、最大輝度の1%となる電圧を印加し画面全体に3/256階調のグレー表示をさせると、4時間表示時の白表示部と黒表示部で輝度が異なる現象が観察された。両表示部の輝度変化率:
{(a-b)/b}×100
(式中、aは、白表示部の輝度であり、bは、黒表示部の輝度である)を残像強度とした。この数値が1%以上あると、人間の目には残像として認識される。
上記チェッカーフラグパターンを4時間連続点灯した後のグレー表示における残像強度の経時変化を測定し、チェッカーフラグパターンの残像が消えるまでの時間を焼付き消失時間とした。
<評価3:光配向膜の抵抗率測定>
表層にITO膜が形成された無アルカリガラス基板(表面抵抗≦30Ω/sq、ITO膜厚90nm、ジオマテック製)のITO層上に、例1~例6の塗布液それぞれを、膜厚が200nmとなるように塗布し、230℃、10分間加熱してイミド化を行なった。
各イミド化膜に対し、254nmから365nm領域の偏光紫外線を、光配向処理を行なった。光配向処理には、ショートアーク光源(ウシオ電機製、UXM-5000BY)を使用した。光配向処理における偏光紫外線の際の照射量は、約7J/cmであった。照射量は積算照度計(ウシオ電機製、UVD-S254センサ)での値である。
光配向処理後のイミド化膜を、230℃、30分間加熱して光配向膜を形成した。
無アルカリガラス基板上に形成された光配向膜上に、直径0.8mmの円形のアルミ電極、及び当該円形の電極の周囲に、離間したC字状のアルミ電極(ガードリング付きアルミ円形電極)を、膜厚0.3μmとなるようにマスク真空蒸着により形成した。
C字状のアルミ電極の外周側にある光配向膜の一部を除去し、ITO層の一部を露出させた。ITO層の一部を露出させた部分に、プローブとの接触を安定させるための銀ペーストを塗布した。この基板を光配向膜の抵抗率測定用の基板とした。
このような抵抗率測定用の基板を、照度10000cd/mのLEDバックライト上に無アルカリガラス基板をバックライト側にして配置し、ハイレジスタンスメータ(アジレント製4339B)の陽極側のプローブを円形のアルミ電極に当て、ハイレジスタンスメータの陰極側のプローブを銀ペースト部分に当て、0.2V~2Vの電圧を0.2V間隔で10秒おきに印加し、電流値を2端子法で測定した。この測定は、温度25℃、相対湿度60%で行なった。
横軸をV、縦軸をI、プロットの傾きの逆数をRとして、次式により抵抗率ρ[Ωcm]を算出した。
ρ=R・S/d
式中、dは、光配向膜の膜厚(200nm)であり、Sは、電極の面積(2cm)である。結果を下記表2に併記する。
以上、評価1~3の結果に基づいて、例1~例6を以下の4段階で評価した。
A:液晶表示装置にDC残像を生じさせても5分未満の短時間で消失させ、Vcomの短時間(3分間)でのドリフト量が比較的小さかった。
B:液晶表示装置にDC残像を生じさせても30分未満の一定時間で消失させ、Vcomの短時間(3分間)でのドリフト量が比較的小さかった。
C:液晶表示装置にDC残像を生じさせ、2時間以上の長時間経過しても消失しなかった。
D:液晶表示装置にDC残像を生じさせても5分未満の短時間で消失させたが、Vcomの短時間(3分間)でのドリフト量が大きかった。
結果を表2に併記する。
Figure 0007218101000035
例1、例2の液晶表示装置の光配向膜を形成するために用いた光配向膜用ワニスは、上層を形成するポリアミド酸系化合物が、上記式(1)で表されるジアミン化合物由来の骨格をそれぞれ含み、例3、例4の液晶表示装置の光配向膜を形成するために用いた光配向膜用ワニスは、上層を形成するポリアミド酸系化合物が、上記式(1)で表されるジアミン化合物由来の骨格をそれぞれ含まない。上記式(1)で表されるジアミン化合物由来の骨格を有するポリアミド酸系化合物を含む例1、例2の光配向膜用ワニスから形成された光配向膜を備える液晶表示装置は、上記式(1)で表されるジアミン化合物由来の骨格を有するポリアミド酸系化合物を含まない例3、例4の光配向膜用ワニスから形成された光配向膜を備える液晶表示装置と比較して、DC残像を生じさせても短時間で消失された。
例1、例5の液晶表示装置の光配向膜を形成するために用いた光配向膜用ワニスは、下層を形成するポリアミド酸系化合物が、上記式(2)で表されるピロメリット酸二無水物由来の骨格、及び上記式(3)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まず、例6の液晶表示装置の光配向膜を形成するために用いた光配向膜用ワニスは、下層を形成するポリアミド酸系化合物が、上記式(3)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含む。上記式(2)で表されるピロメリット酸二無水物由来の骨格、及び上記式(3)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まない例5、例6の光配向膜用ワニスから形成された光配向膜を備える液晶表示装置は、上記式(3)で表されるジアミン化合物由来の骨格を有するポリアミド酸系化合物を含む例7の光配向膜用ワニスから形成された光配向膜を備える液晶表示装置と比較して、下層を形成するイミド化物の抵抗率が比較的低くなり、Vcomの短時間でのドリフトの量が比較的小さくなった。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
有機溶媒中に、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第1ポリアミド酸系化合物と、前記第1ポリアミド酸系化合物よりも高い極性を有する、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第2ポリアミド酸系化合物とを含有し、
前記第1ポリアミド酸系化合物は、下記式(1):
Figure 0007218101000036
(式(1)中、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表されるジアミン化合物
由来の骨格を含み、
前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(2):
Figure 0007218101000037
(式(2)中、R 及びR は、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)である)で表されるピロメリット酸二無水物由来の骨格、及び下記式(3):
Figure 0007218101000038
(式(3)中、Ar 及びAr は、それぞれ独立に、芳香族基であり、Kは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まない光配向膜用ワニス。
[2]
前記含窒素複素環式骨格は、カルバゾール骨格又はアクリジン骨格である[1]に記載の光配向膜用ワニス。
[3]
前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(9):
Figure 0007218101000039
(式(9)中、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まない[1]又は[2]に記載の光配向膜用ワニス。
[4]
前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(10-2):
Figure 0007218101000040
(式(10-2)中、L は、酸素及び/又はフッ素を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含む[1]~[3]のいずれか一項に記載の光配向膜用ワニス。
[5]
前記第1ポリアミド系化合物は、下記式(5-1):
Figure 0007218101000041
(式(5-1)中、Raは、それぞれ、水素又はアルキル基であり、R 及びR は、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)であり、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表される構造単位を有する[1]~[4]のいずれか一項に記載の光配向膜用ワニス。
[6]
前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(11-1):
Figure 0007218101000042
(式(11-1)中、X は、シクロブタン骨格、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格又は鎖式骨格であり、R 及びR は、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)であり、L は、Ar 、又はAr -M-Ar であり、Ar 、Ar 、及びAr は、それぞれ独立に、芳香族基であり、Mは第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有しない有機基である)で表される構造単位を有する[1]~[5]のいずれか一項に記載の光配向膜用ワニス。
[7]
配向膜がある第1基板と、
前記第1基板の前記配向膜側に対向して配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と
を備え、
前記配向膜は[1]~[6]のいずれか一項に記載の光配向膜用ワニスのイミド化物を含む液晶表示装置。
[8]
前記配向膜は上層と下層とを含み、当該上層が前記前記第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物を含み、当該下層が前記前記第2ポリアミド酸系化合物のイミド化物を含む[7]に記載の液晶表示装置。
[9]
前記上層は、前記下層よりも厚い[7]又は[8]に記載の液晶表示装置。
[10]
前記配向膜は、2.0×10 13 Ω・cm以上の抵抗率を有する[7]~[9]のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
DSP…液晶表示装置 PNL…表示パネル 1…フレキシブルプリント回路基板 2…ICチップ 3…回路基板 SUB1…第1基板 SUB2…第2基板 MA…実装部 LC…液晶層 LM…液晶分子 SE…シール LS…遮光層 SP1~SP4…スペーサ DA…表示部 NDA…非表示部 PX…画素 IL…照明装置 第1偏光板…PL1 第2偏光板…PL2 第1光学素子…OD1 第2光学素子…OD2 10…第1絶縁基板 11~16…絶縁膜 20…第2絶縁基板 BM…遮光膜 AL1…第1配向膜 AL2…第2配向膜 ML1、ML2…金属配線 S1、S2…信号線 CF…カラーフィルタ OC…オーバーコート層 CE…共通電極 PE…画素電極 上層…AL1-1 下層…AL1-2

Claims (9)

  1. 有機溶媒中に、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第1ポリアミド酸系化合物と、前記第1ポリアミド酸系化合物よりも高い極性を有する、ポリアミド酸又はポリアミド酸エステルである第2ポリアミド酸系化合物とを含有し、
    前記第1ポリアミド酸系化合物は、下記式(1):
    Figure 0007218101000043
    ここで、式(1)中、Jは、アクリジン骨格を有する基であり、当該アクリジン骨格を有する基を持つ前記第1ポリアミド酸系化合物は下記式(1-2):
    Figure 0007218101000044
    式(1-2)中、R及びRは、それぞれ独立に、H、又はアルキル基である)
    で表されるジアミン化合物由来の骨格を含み、
    前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(2):
    Figure 0007218101000045
    (式(2)中、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)である)で表されるピロメリット酸二無水物由来の骨格、及び下記式(3):
    Figure 0007218101000046
    (式(3)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Kは、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格をそれぞれ含まない光配向膜用ワニス。
  2. 前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(9):
    Figure 0007218101000047
    (式(9)中、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含まない請求項1に記載の光配向膜用ワニス。
  3. 前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(10-2):
    Figure 0007218101000048
    (式(10-2)中、Lは、酸素及び/又はフッ素を含有する有機基である)で表されるジアミン化合物由来の骨格を含む請求項1又は2に記載の光配向膜用ワニス。
  4. 前記第1ポリアミド系化合物は、下記式(5-1):
    Figure 0007218101000049
    (式(5-1)中、 は、それぞれ、水素又はアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)であり、Jは、含窒素複素環式骨格を有する基である)で表される構造単位を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の光配向膜用ワニス。
  5. 前記第2ポリアミド酸系化合物は、下記式(11-1):
    Figure 0007218101000050
    (式(11-1)中、Xは、シクロブタン骨格、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格又は鎖式骨格であり、R及びRは、それぞれ独立に、-COOH又はCOOR(ここで、Rは、アルキル基である)であり、Lは、Ar、又はAr-M-Arであり、Ar、Ar、及びArは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Mは第一級アミノ基及び第二級アミノ基を含有しない有機基である)で表される構造単位を有する請求項1~4のいずれか一項に記載の光配向膜用ワニス。
  6. 配向膜がある第1基板と、
    前記第1基板の前記配向膜側に対向して配置された第2基板と、
    前記第1基板と前記第2基板との間に配置された液晶層と
    を備え、
    前記配向膜は請求項1~5のいずれか一項に記載の光配向膜用ワニスのイミド化物を含む液晶表示装置。
  7. 前記配向膜は上層と下層とを含み、当該上層が前記第1ポリアミド酸系化合物のイミド化物を含み、当該下層が前記第2ポリアミド酸系化合物のイミド化物を含む請求項6に記載の液晶表示装置。
  8. 前記上層は、前記下層よりも厚い請求項7に記載の液晶表示装置。
  9. 前記配向膜は、2.0×1013Ω・cm以上の抵抗率を有する請求項6~8のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
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