JP7217207B2 - アンテナ装置およびマンホール蓋の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の実施例1について、図1~図8を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1におけるアンテナ装置の要部の斜視図である。図2は、図1に示す実施例1を上から見た場合の上面図である。図3は、図1に示す実施例1のA-A’断面を示す断面図である。図4は、図1に示す実施例1の動作原理を説明するための図である。図5~図8は、マンホール蓋の切欠部における形状例を示すものである。
まず、図1~図4により本発明の実施例1のアンテナ装置を説明する。図1において、マンホール10は、地中に埋設されるマンホール本体2(以下、本体と称する。)と、本体2の地表面側の開口を覆う(塞ぐ)ためのマンホール蓋1とで構成されている。なお、これらの図では、マンホール蓋1を本体2の開口21に取付け(嵌め込み)たり取外すため、及び蓋を固定するために利用する鍵穴等は省略している。
次に、この実施例1におけるスロットアンテナ(空隙部3)の機能原理について図4を用いて説明する。図4において、マンホール10内部に設置された無線装置5は、そのアンテナ51から図示しないセンサの検出データを含んだ電波を放射する。この電波は、空隙部3の長さがL=λ/2となるように形成されたスロットアンテナにおいて共振し、外部空間に再放射される。このようにしてスロットアンテナは中継アンテナとしての役目を果たすので、マンホール蓋1による電波の減衰はほとんどない。再放射された電波は、外部の基地局20に受信され、基地局20を介して図示しないサーバに伝送される。このように、空隙部3の縁部の長さをλ/2としたスロットアンテナを有することにより、無線装置5による電波の到達距離を長くすることができ、確実に基地局20に到達するようになる。
図2は、図1の実施例1を上から見た図である。図2のスロット状の空隙部3は、本体2とマンホール蓋1との間に形成されている。ここで、時計方向で示した矢印Xは、マンホール蓋1の回動可能であることを表示したものである。マンホール蓋1を本体2に取付ける(載置する)際に、マンホール蓋1を電波が基地局に届きやすいように、適切にX方向に回動させながら取付ける。もちろん半時計方向に回動しても良い。具体的には、マンホール蓋1を基地局20に向けて強い電波を放出するように調整する。このような調整を行うことにより確実に基地局に電波が到達できるようになる。この場合、本実施例では、スロットアンテナを簡単に形成できるだけでなく、マンホール蓋1の回動のみで電波放出の方位を調整することができる。なお、図3は、図1のA-A’断面図であり、マンホール内部に無線装置が配置され、マンホール蓋1の縁部に空隙部3が形成されていることを示す。なお、内部の状況を検出する各種センサはここでは省略している。
すでに述べたように、マンホール蓋の切欠部11の所定の長さLは、基本的には使用する電波の波長をλとすると、L=λ/2の長さとする。これは、L=λ/2の長さとすることにより励振され最も効率よく電波を放出できるからである。ところで、この長さLは、切欠部11で形成される空隙部3内に誘電体である樹脂を充填することにより、励振する周波数が異なることが知られている。そのため、この実施例1において、樹脂を充填する場合には、その長さLを所定長さに調節する必要がある。すなわち、樹脂を充填しない場合に対して、樹脂を充填する場合には長さLは樹脂の誘電率等に対応して短くした所定の長さとする。スリット状の空隙部3に樹脂を充填することにより、マンホール蓋1に形成する切欠部11の長さLを短くすることができるので、その分だけマンホール蓋1の強度はより強くなる。また、樹脂を充填することにより、雨水やほこり等がマンホール内部に流入することを防ぐことができ、内部の無線装置やセンサ等を保護するのに有用である。
次に、空隙部3の幅について説明する。図1の実施例では、マンホール蓋の縁の切欠部11により形成される空隙部3の幅は、マンホール蓋の厚み方向(図の上下方向)で同じであり、この幅Gは、1~10mmの範囲内としている。そして、マンホール蓋1の厚さ方向において空隙部の幅が同じになるようにしている。
次に、実施例1におけるマンホール蓋1の切欠部11の成形方法について説明する。本発明では、マンホール蓋1の縁部に所定長さの切欠部11を形成する必要がある。この場合、切欠部11は、切削加工等でも形成することができるが、マンホール蓋の材料は鋳鉄が用いられる場合が多く、鋳鉄は硬いので加工が大変であり、均質な切欠部11を成形することは困難である。大量のマンホール蓋の製造方法としては良い方法とは言えない。
以上説明したように、本発明の実施例1では、マンホール蓋の一部に切欠部を形成し、このマンホール蓋を取付けることによりスロットアンテナを形成することができ、そのスロットアンテナにより電波を確実に外部空間に放出することが可能となる。これにより電波到達距離を長くすることができる。この実施例1の装置では、スロットアンテナを用意し、そのアンテナをと設置する必要はなくなり、マンホール蓋を設置する(取付ける)ことのみでスロットアンテナが構成できるので、簡単で低コストのアンテナ装置を実現することができる。マンホールは非常に多数設置されており、かつ多種類(種々の大きさ、種々の形状)のものが存在するため、マンホール蓋に切欠部を形成するだけで、スロットアンテナを実現できることのメリットは非常に大きい。また、マンホール蓋を取付ける際に回動させることにより、外部の基地局に電波が届きやすくなるように電波放出の方位(指向性)を調整できる。さらに、空隙部3に樹脂を充填することによりマンホール蓋の切欠部の長さを短くすることができる。
次に、本発明の実施例2について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の実施例2のアンテナ装置の概略を示す斜視図である。この実施例2は、上述した実施例1と基本的に同様の構成であるが、実施例2ではマンホール蓋1に複数の切欠部を有し、本体2側とマンホール蓋1の切欠部によって形成される空隙部によるスロットアンテナが複数形成されている点で異なる。したがって、ここでは、その違いを中心に説明し、その他の説明は省略する。
次に、本発明の実施例3について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施例3のアンテナ装置の概略を示す斜視図である。この実施例3は、上述した実施例1と基本的に同様の構成であるが、実施例3ではマンホール蓋1に2つの切欠部を有し、本体2側とマンホール蓋1の切欠部によって形成される空隙部(スロットアンテナ)が2つ形成されている点で異なる。したがって、ここでは、その違いを中心に説明し、その他の説明は省略する。
本発明は、上述した本発明の一実施例限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において種々の変形が含まれる。すなわち、本発明は、マンホールにおけるデータ伝送を行うためのアンテナ装置に限られるものではなく、内部空間と外部空間とを仕切るための導電製の蓋または扉と、内部空間内に設置される無線装置と、前記外部空間に設置され、前記無線装置との間で電波の送受信を行う基地局と、を有するアンテナ装置に対して広く適用することができる。
Claims (11)
- 内部空間を構成する構造体と、該構造体の外部空間を仕切るための蓋又は扉と、前記内部空間に設置された無線装置と、前記外部空間に設置され前記無線装置との間で電波の送受信を行う基地局と、を有するアンテナ装置であって、
前記蓋又は前記扉の縁に所定長さを有する少なくとも1つの切欠部を形成し、前記蓋又は前記扉を前記構造体に取付けてできる空隙部をスロットアンテナとしたアンテナ装置。 - 請求項1記載のアンテナ装置において、前記切欠部は複数有していることを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項2記載のアンテナ装置において、複数の前記切欠部の長さが同じ長さであることを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項2記載のアンテナ装置において、複数の前記切欠部の長さが異なる長さであり、前記無線装置が複数周波数の前記電波を発する場合に、複数の前記切欠部の長さは、前記複数周波数にそれぞれ共振可能となる所定の長さであることを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項1記載のアンテナ装置において、前記切欠部に誘電体を充填したことを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項1記載のアンテナ装置において、前記空隙部の幅が、前記蓋又は前記扉の厚さ方向で異なるように前記切欠部を形成したことを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項1記載のアンテナ装置において、前記空隙部の幅が、前記切欠部の長さ方向で異なるように前記切欠部を形成したことを特徴とするアンテナ装置。
- 請求項1記載のアンテナ装置において、前記構造体はマンホールであり、前記蓋はマンホール蓋であることを特徴とするアンテナ装置。
- マンホールに取付けるマンホール蓋の製造方法であって、
前記マンホール蓋を前記マンホールに取付けた際に、スロットアンテナを形成するための所定長さの切欠部が形成される鋳型を用意し、
前記鋳型に溶融金属を注入して前記マンホール蓋を鋳造すること、
を特徴とするマンホール蓋の製造方法。 - 請求項9記載のマンホール蓋の製造方法において、前記鋳型は、前記切欠部を複数有する前記マンホール蓋を製造するように構成されたものであることを特徴とするマンホール蓋の製造方法。
- 請求項9記載のマンホール蓋の製造方法において、前記鋳型は、前記切欠部の前記マンホール蓋の厚さ方向において傾斜又は階段状となるような構成にしていることを特徴とするマンホール蓋の製造方法。
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