この発明に係る眼科装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
本明細書において、「スプリッタ」は、所定の分割比でパワーを分割することにより入射光を2つの光に分割する光学素子又は光学系、互いに異なる複数の波長成分を有する入射光を互いに異なる2つの波長範囲の光に分割する光学素子又は光学系、又は、入射光を時分割で2つの光に分割する光学素子又は光学系を意味する。例えば、50:50の分割比で入射光を分割する「スプリッタ」は、ハーフミラー(ビームスプリッタ)の機能を実現する。例えば、入射光を波長分割する「スプリッタ」は、ダイクロイックビームスプリッタの機能を実現する。例えば、入射光を時分割する「スプリッタ」は、フリップミラー等の光路切替素子の機能を実現する。
なお、本明細書において、入射光を2つの光に分割し、且つ、可逆的に2つの入射光を合成する光学素子又は光学系を「スプリッタ」と表記する場合がある。また、本明細書において、2つの入射光を合成する光学素子又は光学系を「スプリッタ」と表記する場合がある。
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
実施形態に係る眼科装置は、光源からの光を用いて所定形状の測定光(照明光)を生成し、スプリッタにより光スキャナに導かれた測定光を偏向することにより測定光の照射位置(照射範囲)を移動させながら被検眼の所定部位を照射する(例えば、図1)。
被検眼からの測定光の戻り光は、スプリッタを介して、検出器を用いて受光される。戻り光の受光結果は、測定光の照射位置の移動タイミングに同期して、測定光の照射位置に対応した戻り光の受光位置における受光素子から読み出される。検出器により得られた測定光の戻り光の受光結果を用いて被検眼の所定部位のSLO画像(正面画像)を取得することが可能である。
また、スプリッタは、測定光を分割することにより得られた参照光と被検眼からの測定光の戻り光とを合成し(干渉させ)、合成光(干渉光)を生成する。検出器は、スプリッタにより生成された合成光を受光する。合成光の受光結果は、測定光の照射位置の移動タイミングに同期して、測定光の照射位置に対応した戻り光の受光位置における受光素子から読み出される。検出器により得られた合成光の受光結果を用いて被検眼の所定部位のOCT画像(断層像)を取得することが可能である。
これにより、光源、光スキャナ、及び検出器を共用化しつつ、被検眼の所定部位のSLO信号(又はSLO画像)とOCT信号(又はOCT画像)とを取得することが可能になる。特に、光源及び光スキャナを共用化することで、SLO信号とOCT信号、又はSLO画像とOCT画像とを高精度に位置合わせすることが可能になる。
いくつかの実施形態では、光源からの光を分割することにより測定光と参照光とが生成される。いくつかの実施形態では、光源からの光の光路を切り替えることにより測定光と参照光とが生成される。
いくつかの実施形態では、参照光に対して遮光制御を行うことで、戻り光の受光結果と合成光の受光結果とが単一の検出器により取得される。これにより、眼科装置の構成を大幅に簡略化することができる。
いくつかの実施形態では、戻り光を第1戻り光と第2戻り光とに分割し、検出器は、第1戻り光を検出する第1検出器と、第2戻り光と参照光との合成光を検出する第2検出器とを含む。これにより、SLO信号とOCT信号(又はSLO画像とOCT画像)を同時に取得することが可能になる。
いくつかの実施形態では、所定部位は、前眼部、又は後眼部である。前眼部には、角膜、虹彩、水晶体、毛様体、チン小帯などがある。後眼部には、硝子体、眼底又はその近傍(網膜、脈絡膜、強膜など)などがある。
実施形態に係る眼科装置の構成は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、実施形態に係る眼科装置は、所定形状の測定光を偏向し、スプリッタを介して被検眼に導かれた測定光の照射位置(照射範囲)を移動させながら被検眼の所定部位に照射する(例えば、図22)。
被検眼からの測定光の戻り光は、スプリッタを介して、検出器を用いて受光される。戻り光の受光結果は、測定光の照射位置の移動タイミングに同期して、測定光の照射位置に対応した戻り光の受光位置における受光素子から読み出される。検出器により得られた測定光の戻り光の受光結果を用いて被検眼の所定部位のSLO画像(正面画像)を取得することが可能である。
スプリッタは、測定光を分割することにより得られた参照光と被検眼からの測定光の戻り光とを合成し(干渉させ)、合成光(干渉光)を生成する。検出器は、スプリッタにより生成された合成光を受光する。合成光の受光結果は、測定光の照射位置の移動タイミングに同期して、測定光の照射位置に対応した戻り光の受光位置における受光素子から読み出される。検出器により得られた合成光の受光結果を用いて被検眼の所定部位のOCT画像(断層像)を取得することが可能である。
実施形態に係る眼科装置の制御方法は、実施形態に係る眼科装置においてプロセッサ(コンピュータ)により実行される処理を実現するための1以上のステップを含む。実施形態に係るプログラムは、プロセッサに実施形態に係る眼科装置の制御方法の各ステップを実行させる。
以下、実施形態に係る眼科装置が、主に、被検眼の眼底の画像を取得する場合について説明する。以下、実施形態に係る測定光を「照明光」と表記する。
<第1実施形態>
図1及び図2に、第1実施形態に係る眼科装置の構成例のブロック図を示す。図1は、第1実施形態に係る眼科装置の光学系の構成の概要を示すブロック図を表す。図2は、第1実施形態に係る眼科装置の制御系(処理系)の構成の概要を示すブロック図を表す。図2において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第1実施形態に係る眼科装置1は、パターン照明光学系PIと、スプリッタSPと、ミラーRMと、スキャン光学系SCと、対物レンズOBJと、検出器DEと、タイミング制御部TCとを含む。
パターン照明光学系PIは、所定形状の照明光(照明パターン、測定光)を生成する。パターン照明光学系PIは、光源と、所定形状の開口が形成されたスリットとを含み、光源からの光でスリットを照明することにより所定形状の照明光を出力する。パターン照明光学系PIは、可視領域又は赤外領域(近赤外領域)の照明光を生成する。
いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PIは、光源を備えたプロジェクタを含み、プロジェクタが所定形状の照明光を出力する。プロジェクタには、透過型液晶パネルを用いたLCD(Liquid Crystal Display)方式のプロジェクタ、反射型液晶パネルを用いたLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式のプロジェクタ、DMD(Digital Mirror Device)を用いたDLP(Ditigal Light Processing)(登録商標)方式のプロジェクタなどがある。
また、パターン照明光学系PIは、光源からの光を用いて照明光と参照光(分割光)とを生成する。いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PIは、光源からの光を分割することにより照明光と参照光とを生成する。いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PIは、照明光を分割することにより参照光を生成する。いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PIは、光源からの光の光路を切り替えることにより照明光と参照光とを出力する。
スプリッタSPは、パターン照明光学系PIにより生成された照明光を照明光路(測定光路)に導くと共に、参照光を参照光路に導く。照明光路には、スキャン光学系SCと、対物レンズOBJとが配置されている。参照光路には、ミラーRMが配置されている。
照明光路に導かれた照明光は、スキャン光学系SCにより偏向される。スキャン光学系SCは、1軸の光スキャナ、又は2軸の光スキャナを含む。例えば、パターン照明光学系PIにより生成される照明光の光束断面形状が1次元方向に伸びる形状である場合、スキャン光学系SCは、1軸又は2軸の光スキャナを含み、照明光を2次元的に偏向する。例えば、パターン照明光学系PIにより生成される照明光の光束断面形状が2次元方向に伸びる形状である場合、スキャン光学系SCは、1軸の光スキャナを含み、照明光を1次元的に偏向する。
スキャン光学系SCにより偏向された照明光は、対物レンズOBJにより屈折されて、被検眼Eの瞳孔を通じて眼内に入射し、被検眼Eの眼底Efに照射される。眼底Efに照射された照明光の戻り光は、対物レンズOBJ及びスキャン光学系SCを通過し、スプリッタSPに入射する。
参照光路に導かれた参照光は、ミラーRMにより反射され、スプリッタSPに戻る。ミラーRMは、参照光の光路に沿って移動可能である。ミラーRMを参照光の光路に沿って移動することにより、参照光の光路長を変更することが可能である。いくつかの実施形態では、参照光の光路長に代えて照明光の光路長が変更可能に構成される。いくつかの実施形態では、参照光の光路長及び照明光の光路長が変更可能に構成される。
スプリッタSPは、照明光路を経由した被検眼Eからの照明光の戻り光と、参照光路を経由した参照光との干渉光(合成光)を生成する。すなわち、スプリッタSPは、パターン照明光学系PIからの照明光をスキャン光学系SCに導くと共に、参照光と被検眼Eからの照明光の戻り光との干渉光を生成する。
検出器DEは、CMOSイメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又は時間遅延積分(Time Delayed Integration:TDI)センサを含む。検出器DEは、スプリッタSPを介して、照明光路を経由した被検眼Eからの照明光の戻り光と、スプリッタSPにより生成された干渉光とを検出する。検出器DEは、タイミング制御部TCからの制御を受け、ローリングシャッター方式、グローバルシャッター方式、又はTDI方式により受光結果を出力することが可能である。
タイミング制御部TCは、パターン照明光学系PI、スキャン光学系SC、及び検出器DEを制御する。タイミング制御部TCは、スキャン光学系SCを制御することにより被検眼Eにおける照明光の照射位置を移動させつつ、照明光の照射位置の移動タイミングに同期して、照射位置に対応した戻り光の受光位置における検出器DEの受光素子から戻り光又は合成光の受光結果を取得する。タイミング制御部TCの機能は、1以上のプロセッサにより実現される。
図2に示すように、眼科装置1の制御系は、制御部100を中心に構成されている。なお、制御系の構成の少なくとも一部が眼科装置1に含まれていてもよい。
制御部100は、眼科装置1の各部を制御する。制御部100は、主制御部101と、記憶部102とを含む。主制御部101は、プロセッサを含み、記憶部102に記憶されたプログラムに従って処理を実行することで、眼科装置1の各部の制御処理を実行する。例えば、制御部100は、図1のタイミング制御部TCの機能を実現する。
主制御部101は、パターン照明光学系PI、移動機構RMD、スキャン光学系SC、検出器DE、画像形成部200、及びデータ処理部230の各部を制御する。
パターン照明光学系PIの制御には、光源の点灯と消灯の切り替え、光源の出力光の波長領域の切り替え、光源の光量の変更、照明光の光束断面形状の制御などが含まれる。
移動機構RMDは、公知の機構により、ミラーRMを参照光の光路に沿って移動する。
スキャン光学系SCの制御には、照明光の偏向開始角度、偏向終了角度、偏向角度範囲、偏向速度、及び偏向周波数の少なくとも1つが含まれる。
検出器DEの制御には、ローリングシャッター制御、グローバルシャッター制御、TDI制御などがある。
画像形成部200は、検出器DEにより得られた戻り光又は干渉光の検出結果に基づいて、被検眼Eの画像を形成する。被検眼Eの画像には、正面画像と、断層像とが含まれる。
画像形成部200は、SLO画像形成部210と、OCT画像形成部220とを含む。SLO画像形成部210は、検出器DEにより得られた戻り光の検出結果に基づいて被検眼EのSLO画像(正面画像)を形成する。例えば、SLO画像形成部210は、戻り光の検出結果と、画素位置信号とに基づいてSLO画像を形成する。画素位置信号は、例えば、眼底Efにおける照明光の照射位置情報と、検出器DEにおいて戻り光を受光した受光素子の位置情報とから生成される。照射位置情報は、例えば、スキャン光学系SCの偏向制御情報から特定可能である。
OCT画像形成部220は、検出器DEにより得られた干渉光の検出結果に基づいて被検眼EのOCT画像(断層像)を形成する。例えば、OCT画像形成部220は、被検眼Eにおける照明光の入射位置毎に、検出器DEにより得られた干渉光の検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成し、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することによりOCT画像を形成する。
データ処理部230は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部200により形成された画像に対するデータ処理がある。この処理の例として、画像処理、画像解析、画像評価、診断支援などがある。
また、データ処理部230は、画像形成部200により形成された2以上のSLO画像を合成してSLO合成画像を形成することが可能である。SLO合成画像には、パノラマ画像、カラーSLO画像などがある。同様に、データ処理部230は、画像形成部200により形成された2以上の1次元OCT画像から2次元又は3次元OCT画像を形成することが可能である。
操作部110は、操作デバイスを含む。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。制御部100は、操作デバイスに対する操作内容を受け、この操作内容に対応した制御信号を各部に出力する。
表示部120は、表示デバイスを含む。表示デバイスは、液晶ディスプレイを含む。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
照明光は、実施形態に係る「測定光」の一例である。パターン照明光学系PIは、実施形態に係る「照射光学系」の一例である。スプリッタSPは、実施形態に係る「光分割合成部」の一例である。スキャン光学系SCは、実施形態に係る「光スキャナ」の一例である。SLO画像形成部210は、実施形態に係る「第1画像形成部」の一例である。OCT画像形成部220は、実施形態に係る「第2画像形成部」の一例である。
図3に、図1の眼科装置1の構成例のブロック図を示す。図3において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。パターン照明光学系PI1は、図1のパターン照明光学系PIの一例である。スプリッタSP1は、図1のスプリッタSPの一例である。検出器DE1は、図1の検出器DEの一例である。タイミング制御部TC1は、タイミング制御部TCの一例である。
スプリッタSP1は、穴鏡PMと、スプリッタBSと、ビームコンバイナBCと、ミラーMa、Mbとを含む。
穴鏡PMには、照明光又は照明光の戻り光が通過する穴部が形成されている。穴鏡PMは、パターン照明光学系PI1により生成された照明光の光路から、被検眼Eからの照明光の戻り光の光路を分離する。穴鏡PMに形成された穴部は、被検眼Eの虹彩と光学的に共役な位置に配置される。これにより、被検眼Eに照射される光と、被検眼Eからの戻り光とが瞳分割される。
いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PI1からの照明光が穴鏡PMに形成された穴部を通過し、照明光の戻り光が穴部の周辺領域において反射されてスプリッタBSに導かれる。
いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PI1からの照明光が穴部の周辺領域において反射されてスキャン光学系SCに導かれ、照明光の戻り光が穴部を通過してスプリッタBSに導かれる。
スプリッタBSは、穴鏡PMからの照明光の戻り光を第1戻り光と第2戻り光とに分割する。スプリッタBSの機能は、ビームスプリッタ、ダイクロイックビームスプリッタ、又はフリップミラー等の光路切替素子により実現される。
スプリッタBSにより分割された第1戻り光は、検出器DE1(SLO検出器DS)により受光される。検出器DE1におけるSLO検出器DSは、公知の走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)で用いられる検出器であってよい。スプリッタBSにより分割された第2戻り光は、ビームコンバイナBCに導かれる。
一方、パターン照明光学系PI1により生成された参照光もまた、スプリッタSP1に入射する。スプリッタSP1に入射した参照光は、ミラーMaにより反射されてミラーRMに導かれる。ミラーRMは、入射光の進行方向と反対方向に入射光を反射する。ミラーRMにより反射された参照光は、ミラーMbにより反射されてビームコンバイナBCに導かれる。
ビームコンバイナBCは、スプリッタBSにより分割された第2戻り光とミラーMbにより反射された参照光との干渉光を生成する。ビームコンバイナBCにより生成された干渉光は、検出器DE1(OCT検出器DO)により受光される。検出器DE1におけるOCT検出器DOは、公知の光干渉断層計(Optical Coherence Tomogprahy:OCT)で用いられる検出器であってよい。いくつかの実施形態では、ビームコンバイナBCの機能は、ファイバカプラにより実現される。いくつかの実施形態では、ビームコンバイナBCの機能は、OCT検出器DOの受光面に向けて第2戻り光を偏向する第1ミラーと、この受光面に向けて参照光を偏向する第2ミラーとにより実現される。
タイミング制御部TC1は、スキャン光学系SCに対して制御信号Ctscを出力し、SLO検出器DSに対して制御信号Ctdet1を出力し、OCT検出器DOに対して制御信号Ctdet2を出力し、パターン照明光学系PI1に対して制御信号Ctlsを出力する。それにより、被検眼Eにおける照明光の照射位置の移動タイミングに同期して、照明光の照射位置に対応した第2戻り光及び干渉光の受光位置における受光素子から受光結果が読み出される。
穴鏡PMは、実施形態に係る「光分割部」の一例である。スプリッタBSは、実施形態に係る「第1スプリッタ」の一例である。SLO検出器DSは、実施形態に係る「第1検出器」の一例である。OCT検出器DOは、実施形態に係る「第2検出器」の一例である。ミラーMa、Mb、及びミラーRMは、実施形態に係る「第2光路長変更部」の一例である。
図4に、図1の眼科装置1の別の構成例のブロック図を示す。図4において、図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。スプリッタSP2は、図1のスプリッタSPの一例である。
図4における眼科装置1の構成が図3における眼科装置1の構成と異なる点は、ミラーRM、Ma、Mbの位置である。すなわち、図3では、パターン照明光学系PI1とビームコンバイナBCとの間の参照光路においてミラーRMが配置されるように、ミラーMa、Mbが配置される。これに対して、図4では、スプリッタBSとビームコンバイナBCと間の照明光路(測定光路)においてミラーRMが配置されるように、ミラーMa、Mbが配置される。
すなわち、図4において、スプリッタBSにより分割された第1戻り光は、検出器DE1(SLO検出器DS)に導かれ、スプリッタBSにより分割された第2戻り光は、ミラーMaに導かれる。第2戻り光は、ミラーMaにより反射されてミラーRMに導かれる。ミラーRMにより反射された第2戻り光は、ミラーMbにより反射されてビームコンバイナBCに導かれる。
ビームコンバイナBCは、パターン照明光学系PI1からの参照光とミラーMbにより反射された第2戻り光との干渉光を生成する。ビームコンバイナBCにより生成された干渉光は、検出器DE1(OCT検出器DO)に導かれる。
図4において、ミラーMa、Mb、及びミラーRMは、実施形態に係る「第1光路長変更部」の一例である。
第1実施形態に係る眼科装置1では、波長掃引光源を用いて照明光が生成される。以下では、眼科装置1が図3に示すようにミラーRMが配置される場合について説明するが、眼科装置1が図4に示すようにミラーRMが配置されていてもよい。
図5に、図3の眼科装置1の構成例のブロック図を示す。図5において、図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
パターン照明光学系PI1は、波長掃引光源LSaと、ビームスプリッタBSaと、虹彩絞りIAと、スリットFSとを含む。
波長掃引光源LSaは、所定の波長範囲内で出射光の波長を時間的に変化させる。波長掃引光源LSaは、スウェプトソースOCT(Swept Source OCT)に用いられる公知の波長掃引光源であってよい。
ビームスプリッタBSaは、波長掃引光源LSaからの光を照明光と参照光とに分割する。ビームスプリッタBSaにより分割された照明光は、虹彩絞りIAに導かれる。ビームスプリッタBSaにより分割された参照光は、スプリッタSP1のミラーMaに導かれる。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタBSaの機能は、フリップミラー等の光路切替素子により、波長掃引光源LSaからの光を照明光と参照光とに時間的に分割することで実現される。
虹彩絞りIAは、被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置に配置される。虹彩絞りIAには、例えば、光軸から外れた位置に開口部が形成されている。虹彩絞りIAに形成された開口部を通過した照明光は、スリットFSに導かれる。
スリットFSは、被検眼Eにおける計測部位と光学的に略共役な位置に配置される。スリットFSには、被検眼Eの計測部位における照射形状を規定する開口部が形成されている。スリットFSに形成された開口部を通過した照明光は、スプリッタSP1の穴鏡PMに導かれる。
なお、検出器DE1では、OCT検出器DOとして、スウェプトソースタイプのOCTで用いられるOCT検出器DO1が用いられる。
以下、第1実施形態に係る眼科装置1の具体的な構成例について説明する。
[光学系の構成]
図6~図13に、第1実施形態に係る眼科装置の構成例を示す。図6は、第1実施形態に係る眼科装置1の光学系の構成例を表す。図7は、光軸Oの方向からみたときの図6の虹彩絞り21の構成例を模式的に表す。図8は、照明光の光束断面形状を模式的に表す。図9は、図6の虹彩絞り21の説明図を表す。図10は、側面又は上面からみたときの図6の虹彩絞り21と図6のスリット22の構成例を表す。図11は、図6の波長掃引光源10aの説明図を表す。図12は、図6のリレーレンズ系RL1の構成例を表す。図13は、図6のリレーレンズ系RL2の構成例を表す。図12及び図13では、リレーレンズ系RL1が3つのレンズを含む場合を示すが、リレーレンズ系RL1を構成するレンズの数に限定されない。また、図13では、リレーレンズ系RL2が2つのレンズを含む場合を示すが、リレーレンズ系RL2を構成するレンズの数に限定されない。図6~図13において、同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
眼科装置1は、波長掃引光源10aと、照明光学系20と、光スキャナ30と、投影光学系35と、撮影光学系40と、撮像装置50とを含む。図6では、撮影光学系40は、光スキャナ30を含む。いくつかの実施形態では、光スキャナ30(及び対物レンズ46)は、撮影光学系40の外部に設けられる。いくつかの実施形態では、照明光学系20は、波長掃引光源10a、及び投影光学系35の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、撮影光学系40は、撮像装置50を含む。
(波長掃引光源10a)
波長掃引光源10aは、共振器を含むレーザー光源を含み、所定の波長範囲内で出射光の波長を時間的に変化させる。例えば、波長掃引光源10aは、1000nm~1100nmの波長範囲内で中心波長を高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。
波長掃引光源10aからの光は、ビームスプリッタ65により照明光と参照光とに分割される。ビームスプリッタ65により分割された照明光は、照明光学系20に導かれる。ビームスプリッタ65により分割された参照光は、ミラー64に導かれる。なお、ビームスプリッタ65は、照明光学系20から穴鏡45までの間の任意の位置に配置されてよい。
いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ65に代えてフリップミラーが配置される。フリップミラーは、波長掃引光源10aからの光の光路を所定の切り替えタイミング毎に交互に切り替えて、波長掃引光源10aからの光を照明光として照明光学系20に導いたり、波長掃引光源10aからの光を参照光としてミラー64に導いたりする。
(照明光学系20)
照明光学系20は、ビームスプリッタ65により分割された照明光を用いてスリット状の照明光を生成する。照明光学系20は、生成された照明光を投影光学系35に導く。
照明光学系20は、虹彩絞り21と、スリット22と、リレーレンズ系RL1、RL2とを含む。リレーレンズ系RL1は、投影光学系35のリレーレンズ41とスリット22との間に配置されている。リレーレンズ系RL2は、虹彩絞り21とスリット22との間に配置されている。
虹彩絞り21(具体的には、後述の開口部)は、被検眼Eの虹彩(瞳孔)と光学的に略共役な位置に配置可能である。虹彩絞り21には、光軸Oから離れた位置に1以上の開口部が形成されている。
リレーレンズ系RL2は、1以上のレンズを含み、虹彩絞り21に形成された開口部を通過した照明光をスリット22に導く。
スリット22(具体的には、後述の開口部)は、被検眼Eの眼底Efと光学的に略共役な位置に配置可能である。例えば、スリット22には、後述するイメージセンサ51A又はイメージセンサ51Bからローリングシャッター方式で読み出されるライン方向(ロウ方向)に対応した方向に開口部が形成されている。
リレーレンズ系RL1は、1以上のレンズを含み、スリット22に形成された開口部を通過した照明光を投影光学系35に導く。
以上のように、照明光学系20では、ビームスプリッタ65を透過した照明光は、虹彩絞り21に形成された開口部を通過し、リレーレンズ系RL2を透過し、スリット22に形成された開口部を通過し、リレーレンズ系RL1を透過する。リレーレンズ系RL1を透過した光は、投影光学系35に導かれる。
(投影光学系35)
投影光学系35は、スリット状に形成された照明光を被検眼Eの眼底Efに導く。実施形態では、投影光学系35は、後述の光路結合部材としての穴鏡45により撮影光学系40の光路と結合された光路を介して照明光を眼底Efに導く。
投影光学系35は、リレーレンズ41、黒点板42、反射ミラー43、リレーレンズ44を含む。リレーレンズ41、44のそれぞれは、1以上のレンズを含む。
(黒点板42)
黒点板42は、対物レンズ46のレンズ表面又はその近傍と光学的に略共役な位置に配置される。これにより、対物レンズ46のレンズ表面からの反射光が波長掃引光源10aに導光されることを防ぐことができる。
このような投影光学系35では、スリット状に形成された照明光は、リレーレンズ41を透過し、黒点板42を通過し、反射ミラー43により反射され、リレーレンズ44を通過して穴鏡45に導かれる。
(撮影光学系40)
撮影光学系40は、投影光学系35を導かれてきた照明光を被検眼Eの眼底Efに導くと共に、眼底Efからの照明光の戻り光を撮像装置50に導く。
撮影光学系40では、投影光学系35からの照明光の光路と、眼底Efからの照明光の戻り光の光路とが結合される。これらの光路を結合する光路結合部材として穴鏡45を用いることで、照明光とその戻り光とを瞳分割することが可能である。
撮影光学系40は、穴鏡45、対物レンズ46、合焦レンズ47、リレーレンズ48、及び結像レンズ49を含む。リレーレンズ48は、1以上のレンズを含む。実施形態では、撮影光学系40は、穴鏡45と対物レンズ46との間に配置された光スキャナ30を含む。
穴鏡45には、撮影光学系40の光軸に配置される穴部が形成される。穴鏡45の穴部は、被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置に配置される。穴鏡45は、穴部の周辺領域において、投影光学系35からの照明光を対物レンズ46に向けて反射する。このような穴鏡45は、撮影絞りとして機能する。
すなわち、穴鏡45は、照明光学系20(投影光学系35)の光路と穴部を通過する光軸の方向に配置された撮影光学系40の光路とを結合すると共に、穴部の周辺領域において反射された照明光を眼底Efに導くように構成される。
光スキャナ30は、被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置に配置される。光スキャナ30は、穴鏡45により反射されたスリット状の照明光(スリット22に形成された開口部を通過したスリット状の光)を偏向する。具体的には、光スキャナ30は、被検眼Eの虹彩又はその近傍をスキャン中心位置として所定の偏向角度範囲内で偏向角度を変更しつつ、眼底Efの所定の照明範囲を順次に照明するためのスリット状の照明光を偏向し、対物レンズ46に導く。光スキャナ30は、照明光を1次元的又は2次元的に偏向することが可能である。
1次元的に偏向する場合、光スキャナ30は、所定の偏向方向を基準に所定の偏向角度範囲で照明光を偏向するガルバノスキャナを含む。2次元的に偏向する場合、光スキャナ30は、第1ガルバノスキャナと、第2ガルバノスキャナとを含む。第1ガルバノスキャナは、撮影光学系40(照明光学系20)の光軸に直交する水平方向に照明光の照射位置を移動するように照明光を偏向する。第2ガルバノスキャナは、撮影光学系40(照明光学系20)の光軸に直交する垂直方向に照明光の照射位置を移動するように、第1ガルバノスキャナにより偏向された照明光を偏向する。光スキャナ30による照明光の照射位置を移動するスキャン態様としては、例えば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャンなどがある。
合焦レンズ47は、図示しない移動機構により撮影光学系40の光軸方向に移動可能である。移動機構は、後述の制御部100からの制御を受け、合焦レンズ47を光軸方向に移動する。これにより、被検眼Eの状態に応じて、穴鏡45の穴部を通過した照明光の戻り光を撮像装置50のイメージセンサ51A又はイメージセンサ51Bの受光面に結像させることができる。
このような撮影光学系40では、投影光学系35からの照明光は、穴鏡45に形成された穴部の周辺領域において光スキャナ30に向けて反射される。穴鏡45の周辺領域において反射された照明光は、光スキャナ30により偏向され、対物レンズ46により屈折されて、被検眼Eの瞳孔を通じて眼内に入射し、被検眼Eの眼底Efを照明する。
眼底Efからの照明光の戻り光は、対物レンズ46により屈折され、光スキャナ30を通過し、穴鏡45の穴部を通過し、合焦レンズ47を透過し、リレーレンズ48を透過し、結像レンズ49により撮像装置50に導かれる。
(撮像装置50)
撮像装置50は、イメージセンサ51A、51Bを含む。イメージセンサ51Aは、例えば、1次元的又は2次元的に配列されたCMOSイメージセンサを含む。イメージセンサ51Bは、例えば、1以上のバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)を含む。イメージセンサ51A、51Bのそれぞれは、ピクセル化された受光器としての機能を実現する。イメージセンサ51A、51それぞれの受光面(検出面、撮像面)は、計測部位としての眼底Efと光学的に略共役な位置に配置可能である。
撮影光学系40と撮像装置50との間には、ビームスプリッタ61とビームコンバイナ62とが配置されている。いくつかの実施形態では、撮像装置50は、ビームスプリッタ61及びビームコンバイナ62の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、撮影光学系40は、ビームスプリッタ61及びビームコンバイナ52の少なくとも1つを含む。
結像レンズ49を透過した被検眼Eからの照明光の戻り光は、ビームスプリッタ61により第1戻り光と第2戻り光とに分割される。第1戻り光は、イメージセンサ51Aにより受光される。イメージセンサ51Aにより得られた受光結果は、例えば、後述の制御部100からの制御を受け、ローリングシャッター方式により読み出される。第2戻り光は、ビームコンバイナ62に導かれる。
いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ61に代えてフリップミラーが配置される。フリップミラーは、戻り光の光路を切り替えて、戻り光を第1戻り光としてイメージセンサ51Aに導いたり、戻り光を第2戻り光としてビームコンバイナ62に導いたりする。
一方、ビームスプリッタ65により分割された参照光(分割光)は、ミラー64によりリトロリフレクタ(retroreflector)70に導かれる。リトロリフレクタ70は、入射光を、入射方向と平行に、入射方向の反対の方向に反射する。リトロリフレクタ70は、後述の制御部100からの制御を受け、入射光の入射方向に沿って移動可能である。リトロリフレクタ70によって反射された参照光は、ミラー63によってビームコンバイナ62に導かれる。
ビームコンバイナ62は、ビームスプリッタ61からの第2戻り光とミラー63からの参照光との干渉光を生成する。ビームコンバイナ62の機能は、ファイバカプラにより実現される。いくつかの実施形態では、ビームコンバイナ62は、第2戻り光を偏向する第1ミラーと参照光を偏向する第2ミラーとにより実現される。ビームコンバイナ62により生成された干渉光は、イメージセンサ51Bにより受光される。イメージセンサ51Bにより得られた受光結果は、例えば、後述の制御部100からの制御を受け、ローリングシャッター方式により読み出される。
図6において、波長掃引光源10aは、波長掃引光源LSaに対応する。波長掃引光源10a及び照明光学系20は、パターン照明光学系PI又はパターン照明光学系PI1に対応する。ビームスプリッタBSaは、ビームスプリッタ65に対応する。穴鏡45は、穴鏡PMに対応する。ビームスプリッタ61は、スプリッタBSに対応する。ビームコンバイナ62は、ビームコンバイナBCに対応する。ミラー64、63、及びリトロリフレクタ70は、ミラーMa、Mb、RMに対応する。イメージセンサ51Aは、SLO検出器DSに対応する。イメージセンサ51Bは、OCT検出器DO又はOCT検出器DO1に対応する。光スキャナ30は、スキャン光学系SCに対応する。
(虹彩絞り21)
ここで、被検眼Eの虹彩における照明光の入射位置(入射形状)を規定する開口部が形成される虹彩絞り21について説明する。
例えば、図7に示すように虹彩絞り21に開口部を形成することにより、光軸Oに被検眼Eの瞳孔中心が配置されたとき、瞳孔中心から偏心した位置(具体的には、瞳孔中心を中心とする点対称の位置)から照明光を眼内に入射させることが可能である。
虹彩絞り21には、被検眼Eにおける照明光の経路における反射部位において照明光の光束断面(照明光束断面)と被検眼E(眼底Ef)からの戻り光の光束断面(撮影光束断面)とが分離するように1以上の開口部が形成される。上記の反射部位において照明光束断面と撮影光束断面とが分離されていれば、虹彩絞りに形成される開口部の形状に限定されない。反射部位として、角膜(角膜前面、角膜後面)、水晶体前面、水晶体後面などがある。
例えば、虹彩絞り21には、図7に示すように、1以上の開口部21A、21Bが形成されている。開口部21A、21Bは、光軸Oの位置を通りスリット22の長手方向に対応した方向に伸びる直線に対して線対称に形成される。
開口部21A、21Bのそれぞれは、弓形(circular segment)形状である。弓形は、円又は楕円の劣弧と、この劣弧の弦とで囲まれた領域である。弓形形状の弦の方向は、スリット22に形成される開口部の長手方向に対応した方向に略平行である。
虹彩絞り21を用いて被検眼Eを照明する場合、被検眼Eの瞳上には、例えば、図8に示すように光束断面が形成される。
図8において、虹彩絞り21に形成された開口部21A、21Bを通過した光は、瞳上において、例えば光束断面IR1、IR2を形成するように眼内に入射する。光束断面IR1は、例えば、開口部21Aを通過した光の光束断面である。光束断面IR2は、例えば、開口部21Bを通過した光の光束断面である。
眼内に入射し、眼底Efにより反射された戻り光(撮影光)は、瞳上において、例えば、光束断面PRを形成し、撮影光学系40に導かれる。
このとき、開口部21A、21Bは、照明光の光束断面IR1、IR2と撮影光の光束断面PRとが分離するように形成される。
被検眼Eの眼内の各部における照明光束断面と撮影光束断面とは、図9に示すように形成される。図9は、光スキャナ30が所定の偏向角度で偏向するときのフットプリントFP1~FP3を模式的に表す。フットプリントFP1は、角膜面における光束断面を表す。フットプリントFP2は、水晶体前面(虹彩面)(又は撮影絞り面)における光束断面を表す。フットプリントFP3は、水晶体後面における光束断面を表す。
水晶体前面(虹彩面)(又は撮影絞り面)は虹彩絞り21と光学的に略共役な位置に配置されるため、フットプリントFP2に示すように、図9と同様の照明光束断面IR12、IR22と撮影光束断面PR2とが形成される。照明光束断面IR12、IR22の形状は、虹彩絞り21に形成された開口部21A、21Bの形状とほぼ同様である。撮影光束断面PR2の形状は、撮影絞り(穴鏡45に形成された開口部)の形状とほぼ同様である。虹彩絞り21と光学的に略共役な位置では、フットプリントFP2のように照明光束断面と撮影光束断面とが分離される。
虹彩絞り21と光学的に非共役な角膜面では、照明光束断面IR11、IR21と撮影光束断面PR1とがスリット22の長手方向に対応した方向に広がる(フットプリントFP1)。一方、スリット22の短手方向に対応した方向における照明光束断面IR11、IR21と撮影光束断面PR1との相対関係は変化しない。
同様に、虹彩絞り21と光学的に非共役な水晶体後面では、照明光束断面IR13、IR23と撮影光束断面PR3とがスリット22の長手方向に対応した方向に広がる(フットプリントFP3)。一方、スリット22の短手方向に対応した方向における照明光束断面IR13、IR23と撮影光束断面PR3との相対関係は変化しない。
虹彩絞り21と光学的に非共役な位置では、光スキャナ30により照明光の偏向角度が変化すると、照明光束断面と撮影光束断面の位置がスリット22の短手方向に対応した方向に移動する。偏向角度が変化しても、フットプリントFP1、FP3に示すような照明光束断面と撮影光束断面との相対関係が維持される。
従って、虹彩絞り21に形成される開口部21Aは、図9に示すように、照明光束断面(光束断面IR1)の下端と撮影光束断面(光束断面PR)の上端との距離(スリット22の短手方向に対応した方向の距離)d1が所定の第1距離以上になるように形成されることが求められる。同様に、虹彩絞り21に形成される開口部21Bは、図8に示すように、照明光束断面(光束断面IR2)の上端と撮影光束断面(光束断面PR)の下端との距離d2が所定の第2距離以上であることが求められる。ここで、第1距離は第2距離と同じであってよい。更に、虹彩絞り21に形成される開口部21A、21Bは、図9に示すように、スリット22の短手方向に対応した方向の距離d3が所定の第3距離以上になるように形成されることが求められる。
すなわち、開口部21A、21Bの内径の形状は、照明光束断面の形状及び撮影光束断面の形状に寄与しない。
以上のように、虹彩絞り21に、被検眼Eの角膜、水晶体前面、及び水晶体後面において照明光束断面と撮影光束断面とが分離するように開口部21A、21Bが形成される。それにより、不要な散乱光の影響を受けることなく、簡素な構成で、コントラストが強い眼底Efの高画質の画像を取得することが可能である。
特に、開口部21A、21Bの形状を図7に示す形状にすることで、照明光の光量を増大させることができ、より高画質の画像を取得することが可能になる。
また、図10に示すように、波長掃引光源10a(ビームスプリッタ65)と虹彩絞り21との間には、光学素子24が配置される。光学素子24は、虹彩と光学的に略共役な位置に配置可能である。光学素子24は、ビームスプリッタ65を透過した照明光を偏向する。光学素子24は、虹彩絞り21に形成された開口部21A(又は開口部21B)とスリット22に形成された開口部とを結ぶ方向の光量分布が最大になるように照明光を偏向する。このような光学素子の例として、プリズム、マイクロレンズアレイ、又はフレネルレンズなどがある。図10では、虹彩絞り21に形成された開口部ごとに光学素子24が設けられているが、1つの素子で虹彩絞り21に形成された開口部21A、21Bを通過する光を偏向するように構成されていてもよい。
また、波長掃引光源10aと虹彩絞り21に形成された開口部との間の相対位置を変更することにより、虹彩絞り21に形成された開口部を通過する光の光量分布を変更することが可能である。
(スリット22)
次に、被検眼Eの眼底Efにおける照明光の照射パターンを規定する開口部が形成されるスリット22について説明する。
スリット22は、移動機構(後述の移動機構22D)により照明光学系20の光軸方向に移動可能である。移動機構は、後述の制御部100からの制御を受け、スリット22を光軸方向に移動する。例えば、制御部100は、被検眼Eの状態に応じて移動機構を制御する。これにより、被検眼Eの状態(具体的には、屈折度数、眼底Efの形状)に応じてスリット22の位置を移動することができる。
いくつかの実施形態では、スリット22は、被検眼Eの状態に応じて、光軸方向に移動されることなく開口部の位置及び形状の少なくとも1つを変更可能に構成される。このようなスリット22の機能は、例えば液晶シャッターにより実現される。
(リレーレンズ系RL1)
図6では、バーダル(Badal)の原理に従って光学系が構成される。具体的には、リレーレンズ系RL1、リレーレンズ41、44、及び対物レンズ46は、バーダル光学系を構成する。これにより、被検眼Eの屈折度数にかかわらず、眼底Efにおけるスリット像の大きさを一定にすることができる。
図12に示すように、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置F1が、被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置に配置される。
すなわち、上記のように被検眼Eの虹彩と略共役な位置に配置された光スキャナ30が、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置F1又はその近傍に配置される。従って、被検眼Eの屈折度数に応じてスリット22が光軸方向に移動された場合でも、被検眼Eの屈折度数にかかわらず、眼底Efに投影されるスリット像(スリット22に形成された開口部を通過した光により形成される像)の大きさは変化しない。これは、スリット22が光軸方向に移動しても、眼底Efへのスリット像の投影倍率が変化しないことを意味する。
以上のように、第1実施形態によれば、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置F1(又はその近傍)に光スキャナ30を配置することにより、リレーレンズ系RL1、リレーレンズ41、42、及び対物レンズ46でバーダル光学系が構成される。
それにより、被検眼Eの屈折度数にかかわらず、被検眼Eの視軸に対するスリット像の投影画角(投影倍率)(スリット22の長手方向及び短手方向)を一定にすることができる。その結果、被検眼Eの屈折度数にかかわらず、スリット像の大きさが変化しないため、光スキャナ30の偏向動作速度を一定にすることが可能になり、光スキャナ30の制御を簡素化することができる。
また、被検眼Eの屈折度数にかかわらず、被検眼Eの視軸に対するスリット像の投影画角(投影倍率)が一定であるため、被検眼Eの屈折度数にかかわらず、眼底Efにおけるスリット像の照度を一定にすることができる。
更に、眼科装置においてあらかじめ決められた撮影画角で画像を取得する場合に、上記のように投影倍率が一定であるため、所定の大きさのスリット像を取得するために設けられたスリット22の長手方向の長さにマージンを設ける必要がなくなる。
(リレーレンズ系RL2)
また、図6に示すように、リレーレンズ系RL2が、スリット22と虹彩絞り21との間に配置される。
図13に示すように、リレーレンズ系RL2の前側焦点位置F2又はその近傍に、虹彩絞り21が配置される。
すなわち、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置F1は虹彩絞り21と光学的に略共役な位置であり、リレーレンズ系RL2の前側焦点位置F2には虹彩絞り21が配置される。従って、虹彩絞り21から(後側焦点位置F1に配置された)光スキャナ30までの投影倍率は、リレーレンズ系RL1の焦点距離f1とリレーレンズ系RL2の焦点距離f2で決定される。このとき、投影倍率は、(f1/f2)である。
実施形態に係る眼科装置は、被検眼Eの虹彩上に所定の大きさで虹彩絞り21の像を形成する必要がある。被検眼Eの虹彩から対物レンズ46を経由して光スキャナ30までの投影倍率が既知の投影倍率であるとき、光スキャナ30上に所定の大きさの虹彩絞り21の像を投影すればよい。このとき、虹彩絞り21から光スキャナ30までの投影倍率は、リレーレンズ系RL1の焦点距離f1とリレーレンズ系RL2の焦点距離f2で決定される。従って、焦点距離f1、f2の少なくとも一方を変更することで、被検眼Eの虹彩上に所定の大きさで虹彩絞り21の像を容易に形成することが可能になる。いくつかの実施形態では、焦点距離f1を固定したまま、焦点距離f2だけが変更される。
焦点距離f1は、リレーレンズ系RL1の合成焦点距離である。いくつかの実施形態では、リレーレンズ系RL1は、屈折度が異なる複数のレンズを含み、リレーレンズ系RL1を構成するレンズの少なくとも1つを変更することにより焦点距離f1を変更する。いくつかの実施形態では、リレーレンズ系RL1を構成するレンズの少なくとも1つは、屈折度が変更可能なレンズである。焦点距離が変更可能なレンズには、液晶レンズ、液体レンズ、アルバレツレンズなどがある。焦点距離f1を変更する場合でも、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置が被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置(瞳共役位置)に配置される。
焦点距離f2は、リレーレンズ系RL2の合成焦点距離である。いくつかの実施形態では、リレーレンズ系RL2は、屈折度が異なる複数のレンズを含み、リレーレンズ系RL2を構成するレンズの少なくとも1つを変更することにより焦点距離f2を変更する。いくつかの実施形態では、リレーレンズ系RL2を構成するレンズの少なくとも1つは、屈折度が変更可能なレンズである。焦点距離f2を変更する場合でも、リレーレンズ系RL2の前側焦点位置が被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置(瞳共役位置)に配置される。
また、眼底Efの撮影のために、高輝度な光を発する光源であることが望ましい。しかしながら、汎用的に入手可能な光源(量産されている光源)は、発光面のサイズ(発光面積、出力光束断面サイズ)が限られており、光源の発光面のサイズに対応した投影倍率で虹彩絞り21の像を光スキャナ30上に投影する必要がある。
この実施形態によれば、焦点距離f1、f2の少なくとも一方を変更することで、虹彩絞り21から光スキャナ30までの投影倍率を変更することができるため、任意の大きさの虹彩絞り21の像を光スキャナ30上に所望の大きさで投影することができる。それにより、光源の発光面のサイズが異なる場合でも、焦点距離f1、f2の少なくとも一方を変更するだけで光スキャナ30上に所望の大きさの虹彩絞り21の像を投影することができ、光学系の設計自由度が向上する。特に、焦点距離f1を固定し、焦点距離f2だけを変更することで、被検眼Eの屈折度数の変化に対するスリット22の移動量(屈折度数の変化に対するスリット22の移動の感度)を固定することができ、光学系の設計自由度をより一層向上させることができる。
更に、実施形態によれば、リレーレンズ系RL1を構成する1以上のレンズの有効径を小さくすることができる。
その理由は、光スキャナ30と虹彩絞り21との間には、被検眼Eの眼底Efと光学的に略共役な位置に配置されるスリット22が配置されている。スリット22は、被検眼Eの屈折度数に応じて光軸方向に移動可能である。ここで、虹彩絞り21から光スキャナ30までの投影倍率は、光スキャナ30とリレーレンズ系RL1との第1距離と、虹彩絞り21とリレーレンズ系RL1との第2距離で決定されるため、第1距離を短くすると、第2距離も短くする必要がある。しかしながら、スリット22の光軸方向の移動スペースを確保しつつ、虹彩との共役関係及び眼底Efとの共役関係を維持する必要があるため、第1距離が長くなり、リレーレンズ系RL1の有効径が大きくなる。この実施形態によれば、リレーレンズ系RL2を設けることにより、第1距離を短くしても、リレーレンズ系RL2を用いて投影倍率を調整することが可能になる。それにより、スリット22の光軸方向の移動スペースを確保し、且つ、虹彩との共役関係及び眼底Efとの共役関係を維持しつつ、第1距離を短くすることが可能になり、リレーレンズ系RL1を構成する1以上のレンズの有効径を小さくすることができる。
また、リレーレンズ系RL1を構成する1以上のレンズの有効径を小さくすることができるので、光スキャナ30から波長掃引光源10aまでの光学系の長さを小さくすることができる。
[制御系の構成]
図14に、第1実施形態に係る眼科装置1の制御系の構成例のブロック図を示す。図14において、図2又は図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図14に示すように、眼科装置1の制御系は、制御部100を中心に構成されている。なお、制御系の構成の少なくとも一部が眼科装置1の光学系に含まれていてもよい。
(制御部100)
制御部100は、眼科装置1の各部を制御する。制御部100は、主制御部101と、記憶部102とを含む。制御部100は、タイミング制御部TC、TC1の機能を実現する。主制御部101は、プロセッサを含み、記憶部102に記憶されたプログラムに従って処理を実行することで、眼科装置1の各部の制御処理を実行する。
(主制御部101)
主制御部101は、波長掃引光源10a、移動機構10D、70Dの制御、照明光学系20の制御、光スキャナ30の制御、撮影光学系40の制御、撮像装置50の制御、画像形成部200の制御、及びデータ処理部230の制御を行う。
波長掃引光源10aの制御には、光源の点灯や消灯の切り替え、光源の出力光の波長領域の切り替え、光源の光量の変更などが含まれる。
移動機構10Dは、制御部100からの制御を受け、公知の機構により、波長掃引光源10aの位置及び向きの少なくとも1つを変更する。主制御部101は、虹彩絞り21及びスリット22に対する波長掃引光源10aの相対位置及び相対向きの少なくとも1つを変更することが可能である。
移動機構70Dは、制御部100からの制御を受け、公知の機構により、リトロリフレクタ70を参照光の光路に沿って移動する。これにより、参照光の光路長が変更される。従って、測定光の光路長と参照光の光路長との差を変更することが可能になり、ビームコンバイナ62により生成される干渉光に基づいて生成されるOCT画像における注目部位をフレーム内の所望の位置に配置することが可能になる。
照明光学系20の制御には、移動機構22Dの制御が含まれる。移動機構22Dは、スリット22を照明光学系20の光軸方向に移動する。主制御部101は、被検眼Eの状態に応じて移動機構22Dを制御することにより、被検眼Eの状態に対応した位置にスリット22を配置する。被検眼Eの状態として、眼底Efの形状、屈折度数、眼軸長などがある。屈折度数は、例えば、特開昭61-293430号公報又は特開2010-259495号公報に開示されているような公知の眼屈折力測定装置から取得可能である。眼軸長は、公知の眼軸長測定装置、又は光干渉断層計の測定値から取得可能である。
例えば、屈折度数に対して照明光学系20の光軸におけるスリット22の位置があらかじめ関連付けられた第1制御情報が記憶部102に記憶されている。主制御部101は、第1制御情報を参照して屈折度数に対応したスリット22の位置を特定し、特定された位置にスリット22が配置されるように移動機構22Dを制御する。
ここで、スリット22の移動に伴い、スリット22に形成された開口部を通過する光の光量分布が変化する。このとき、上記のように、主制御部101は、移動機構10Dを制御することにより、波長掃引光源10aの位置及び向きを変更することが可能である。
例えば、図11に示すように、被検眼Eの状態に応じて、移動前のスリット22´の位置からスリット22の位置が移動される。これにより、スリット22に形成された開口部を通過する光の光量分布が変化する。
このとき、主制御部101が移動機構10Dを制御することにより、虹彩絞り21と波長掃引光源10aとの相対位置が変化する。虹彩絞り21に形成された開口部21A、21Bと波長掃引光源10aとの相対位置を変更することで、開口部21A、21Bを通過する光の光量分布が変更される。更に、スリット22に形成された開口部における、虹彩絞り21の開口部21A、21Bを通過した光の光量分布が変更される。
主制御部101は、被検眼Eの状態としての被検眼Eの屈折度数、スリット22の移動後の位置(又は基準位置に対するスリット22の移動方向及び移動量)に基づいて移動機構10Dを制御することが可能である。
例えば、屈折度数、スリット22の移動後の位置(又は基準位置に対するスリット22の移動方向及び移動量)に対して波長掃引光源10aの位置及び向きの少なくとも1つがあらかじめ関連付けられた第2制御情報が記憶部102に記憶されている。主制御部101は、第2制御情報を参照して、屈折度数又はスリット22の移動後の位置に対応した波長掃引光源10aの位置及び向きの少なくとも1つを特定し、特定された位置又は向きに波長掃引光源10aが配置されるように移動機構10Dを制御する。
図14において、光スキャナ30の制御には、スキャン範囲(スキャン開始位置及びスキャン終了位置)及びスキャン速度の制御が含まれる。いくつかの実施形態では、スウェプトソースタイプのOCTを実行する場合、制御部100は、光スキャナ30により偏向された照明光の照射位置が少なくとも所定の波長掃引範囲を掃引する時間だけ留まるように、光スキャナ30を制御する。
撮影光学系40の制御には、移動機構47Dの制御が含まれる。移動機構47Dは、合焦レンズ47を撮影光学系40の光軸方向に移動する。主制御部101は、イメージセンサ51A又はイメージセンサ51Bを用いて取得された画像の解析結果に基づいて移動機構47Dを制御することが可能である。また、主制御部101は、後述の操作部110を用いたユーザの操作内容に基づいて移動機構47Dを制御することが可能である。
撮像装置50の制御には、イメージセンサ51A、51Bの制御(ローリングシャッター制御)が含まれる。イメージセンサ51A、51Bの制御には、後述のリセット制御、露光制御、電荷転送制御、出力制御などが含まれる。また、リセット制御に要する時間Tr、露光制御に要する時間(露光時間)Te、電荷転送制御に要する時間Tc、出力制御に要する時間Tout等を変更することが可能である。
以下、イメージセンサ51Aを例に、実施形態に係るローリングシャッター制御について説明する。
イメージセンサ51Aは、上記のように、CMOSイメージセンサを含む。この場合、イメージセンサ51Aは、ロウ方向に配列された複数のピクセル(受光素子)群がカラム方向に配列された複数のピクセルを含む。具体的には、イメージセンサ51Aは、2次元的に配列された複数のピクセルと、複数の垂直信号線と、水平信号線とを含む。各ピクセルは、フォトダイオード(受光素子)と、キャパシタとを含む。複数の垂直信号線は、ロウ方向(水平方向)に直交するカラム方向(垂直方向)のピクセル群毎に設けられる。各垂直信号線は、受光結果に対応した電荷が蓄積されたピクセル群と選択的に電気的に接続される。水平信号線は、複数の垂直信号線と選択的に電気的に接続される。各ピクセルは、戻り光の受光結果に対応した電荷を蓄積し、蓄積された電荷は、例えばロウ方向のピクセル群毎に順次読み出される。例えば、ロウ方向のライン毎に、各ピクセルに蓄積された電荷に対応した電圧が垂直信号線に供給される。複数の垂直信号線は、選択的に水平信号線と電気的に接続される。垂直方向に順次に上記のロウ方向のライン毎の読み出し動作を行うことで、2次元的に配列された複数のピクセルの受光結果を読み出すことが可能である。
このようなイメージセンサ51Aに対してローリングシャッター方式で戻り光の受光結果を取り込む(読み出す)ことにより、ロウ方向に延びる所望の仮想的な開口形状に対応した受光像が取得される。このような制御については、例えば、米国特許第8237835号明細書等に開示されている。
図15に、実施形態に係る眼科装置1の動作説明図を示す。図15は、眼底Efに照射されるスリット状の照明光の照射範囲IPと、イメージセンサ51Aの受光面SRにおける仮想的な開口範囲OPとを模式的に表す。
例えば、制御部100は、照明光学系20により形成されたスリット状の照明光を光スキャナ30を用いて偏向する。それにより、眼底Efにおいて、スリット状の照明光の照射範囲IPがスリット方向(例えば、ロウ方向、水平方向)と直交する方向(例えば、垂直方向)に順次に移動される。
イメージセンサ51Aの受光面SRでは、制御部100によって読み出し対象のピクセルをライン単位で変更することによって、仮想的な開口範囲OPが設定される。開口範囲OPは、受光面SRにおける照明光の戻り光の受光範囲IP´又は受光範囲IP´より広い範囲であることが望ましい。制御部100は、照明光の照射範囲IPの移動制御に同期して、開口範囲OPの移動制御を実行する。それにより、不要な散乱光の影響を受けることなく、簡素な構成で、コントラストが強い眼底Efの高画質の画像を取得することが可能である。
図16及び図17に、イメージセンサ51Aに対するローリングシャッター方式の制御タイミングの一例を模式的に示す。図16は、イメージセンサ51Aに対する読み出し制御のタイミングの一例を表す。図17は、照明光の照射範囲IP(受光範囲IP´)の移動制御タイミングを図16の読み出し制御タイミングに重畳させて表したものである。図16及び図17において、横軸はイメージセンサ51Aのロウ数、縦軸は時間を表す。
なお、図16及び図17では、説明の便宜上、イメージセンサ51Aのロウ数が1920であるものとして説明するが、実施形態に係る構成はロウ数に限定されるものではない。また、図17において、説明の便宜上、スリット状の照明光のスリット幅(ロウ方向の幅)が40ロウ分であるものとする。
ロウ方向の読み出し制御は、リセット制御と、露光制御と、電荷転送制御と、出力制御とを含む。リセット制御は、ロウ方向のピクセルに蓄積されている電荷の蓄積量を初期化する制御である。露光制御は、フォトダイオードに光を当てて、受光量に対応した電荷をキャパシタに蓄積させる制御である。電荷転送制御は、ピクセルに蓄積された電荷量を垂直信号線に転送する制御である。出力制御は、複数の垂直信号線に蓄積された電荷量を水平信号線を介して出力する制御である。すなわち、図16に示すように、ロウ方向のピクセルに蓄積された電荷量の読み出し時間Tは、リセット制御に要する時間Tr、露光制御に要する時間(露光時間)Te、電荷転送制御に要する時間Tc、出力制御に要する時間Toutの和である。
図16では、ロウ単位で読み出し開始タイミング(時間Tcの開始タイミング)をシフトさせることで、イメージセンサ51Aにおける所望の範囲のピクセルに蓄積された受光結果(電荷量)が取得される。例えば、図16に示すピクセル範囲が1フレーム分の画像である場合、フレームレートFRが一意に決まる。
この実施形態では、複数のロウ数分のスリット幅を有する照明光の眼底Efにおける照射位置を、眼底Efにおいてカラム方向に対応する方向に順次にシフトさせる。
例えば、図17に示すように、所定のシフト時間Δt毎に、照明光の眼底Efにおける照射位置をカラム方向に対応する方向にロウ単位でシフトさせる。シフト時間Δtは、イメージセンサ51Aにおけるピクセルの露光時間Teを照明光のスリット幅(例えば、40)で分割することにより得られる(Δt=Te/40)。この照射位置の移動タイミングに同期させて、シフト時間Δt単位でロウ毎にピクセルの各ロウの読み出し開始タイミングを遅延させて開始させる。これにより、簡素な制御で、且つ、短時間に、コントラストが強い眼底Efの高画質の画像を取得することが可能になる。
いくつかの実施形態では、イメージセンサ51Aは、1以上のラインセンサにより構成される。
いくつかの実施形態では、イメージセンサ51Bについても、イメージセンサ51Aと同様に、ローリングシャッター制御が行われる。
図14において、画像形成部200に対する制御には、ローリングシャッター方式により撮像装置50から読み出された受光結果に基づいて任意の開口範囲に対応した受光像を形成させる制御が含まれる。
画像形成部200は、主制御部101(制御部100)からの制御を受けてローリングシャッター方式によりイメージセンサ51A又はイメージセンサ51Bから読み出された受光結果に基づいて、任意の開口範囲に対応した受光像を形成する。画像形成部200は、開口範囲に対応した受光像を順次に形成し、形成された複数の受光像から被検眼Eの画像を形成することが可能である。
画像形成部200は、SLO画像形成部210と、OCT画像形成部220とを含む。
SLO画像形成部210は、イメージセンサ51Aにより得られた受光結果に基づいて被検眼Eの正面画像(SLO画像、例えば眼底像)を形成する。SLO画像形成部210は、受光結果と、画素位置信号とに基づいて正面画像を形成する。
OCT画像形成部220は、イメージセンサ51Bにより得られた干渉光の受光結果に基づいて被検眼Eの断層像(OCT画像)を形成する。例えば、波長掃引光源10aにより所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成されたクロックに基づいて、イメージセンサ51Bから入力される受光結果がサンプリングされる。OCT画像形成部220は、例えば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、サンプリングデータに基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成し、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより断層像を形成する。
画像形成部200は、1以上のプロセッサを含み、記憶部等に記憶されたプログラムに従って処理を行うことで、上記の機能を実現する。
データ処理部230の制御には、撮像装置50から取得された受光結果に対する各種の画像処理や解析処理が含まれる。画像処理には、受光結果に対するノイズ除去処理、受光結果に基づく受光像に描出された所定の部位を識別しやすくするための輝度補正処理がある。解析処理には、合焦状態の特定処理などがある。
データ処理部230は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部200により形成された画像に対するデータ処理がある。この処理の例として、画像処理、画像解析、画像評価、診断支援などがある。データ処理部230は、例えば、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。また、データ処理部230は、正面画像や断層像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。データ処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼Eのボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
また、データ処理部230は、ボリュームデータからCモード画像、プロジェクション画像、シャドウグラムなどを形成することができる。Cモード画像は、例えば指定された断面上の画素(ピクセル、ボクセル)を3次元データセットから選択することにより形成される。プロジェクション画像は、3次元データセットを所定方向(Z方向、深さ方向、軸方向)に投影することによって形成される。シャドウグラムは、3次元データセットの一部(例えば特定層に相当する部分データ)を所定方向に投影することによって形成される。
データ処理部230は、1以上のプロセッサを含み、記憶部等に記憶されたプログラムに従って処理を行うことで、上記の機能を実現する。
いくつかの実施形態では、光学素子24は、虹彩絞り21に形成された開口部に対して、位置及び向きの少なくとも1つを変更可能である。例えば、主制御部101は、光学素子24を移動させる移動機構を制御することにより、位置及び向きの少なくとも1つを変更することが可能である。
(記憶部102)
記憶部102は、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。コンピュータプログラムには、眼科装置1を制御するための演算プログラムや制御プログラムが含まれる。
(操作部110)
操作部110は、操作デバイス又は入力デバイスを含む。操作部110には、眼科装置1に設けられたボタンやスイッチ(たとえば操作ハンドル、操作ノブ等)や、操作デバイス(マウス、キーボード等)が含まれる。また、操作部110は、トラックボール、操作パネル、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでいてよい。
(表示部120)
表示部120は、画像形成部200により生成された被検眼Eの画像を表示させる。表示部120は、LCD(Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイなどの表示デバイスを含んで構成される。また、表示部120は、眼科装置1の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、操作部110と表示部120は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部110は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部110に対する操作内容は、電気信号として制御部100に入力される。また、表示部120に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部110とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。いくつかの実施形態では、表示部120及び操作部110の機能は、タッチスクリーンにより実現される。
(その他の構成)
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、更に、固視投影系を含む。例えば、固視投影系の光路は、図1に示す光学系の構成において、撮影光学系40の光路に結合される。固視投影系は、内部固視標又は外部固視標を被検眼Eに提示することが可能である。内部固視標を被検眼Eに提示する場合、固視投影系は、制御部100からの制御を受けて内部固視標を表示するLCDを含み、LCDから出力された固視光束を被検眼Eの眼底に投影する。LCDは、その画面上における固視標の表示位置を変更可能に構成されている。LCDにおける固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの眼底における固視標の投影位置を変更することが可能である。LCDにおける固視標の表示位置は、操作部110を用いることによりユーザが指定可能である。
いくつかの実施形態では、眼科装置1は、アライメント系を含む。いくつかの実施形態では、アライメント系は、XYアライメント系と、Zアライメント系とを含む。XYアライメント系は、装置光学系(対物レンズ46)の光軸に交差する方向に装置光学系と被検眼Eとの位置合わせを行うために用いられる。Zアライメント系は、眼科装置1(対物レンズ46)の光軸の方向に装置光学系と被検眼Eとの位置合わせを行うために用いられる。
例えば、XYアライメント系は、被検眼Eに輝点(赤外領域又は近赤外領域の輝点)を投影する。データ処理部230は、輝点が投影された被検眼Eの前眼部像を取得し、取得された前眼部像に描出された輝点像とアライメント基準位置との変位を求める。制御部100は、求められた変位がキャンセルされるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを光軸の方向と交差する方向に相対的に移動させる。
例えば、Zアライメント系は、装置光学系の光軸から外れた位置から赤外領域又は近赤外領域のアライメント光を投影し、被検眼Eの前眼部で反射されたアライメント光を受光する。データ処理部230は、装置光学系に対する被検眼Eの距離に応じて変化するアライメント光の受光位置から、装置光学系に対する被検眼Eの距離を特定する。制御部100は、特定された距離が所望の作動距離になるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを光軸の方向に相対的に移動させる。
いくつかの実施形態では、アライメント系の機能は、装置光学系の光軸から外れた位置に配置された2以上の前眼部カメラにより実現される。例えば、特開2013-248376号公報に開示されているように、データ処理部230は、2以上の前眼部カメラで実質的に同時に取得された被検眼Eの前眼部像を解析して、公知の三角法を用いて被検眼Eの3次元位置を特定する。制御部100は、装置光学系の光軸が被検眼Eの軸に略一致し、かつ、被検眼Eに対する装置光学系の距離が所定の作動距離になるように図示しない移動機構により装置光学系と被検眼Eとを3次元的に相対的に移動させる。
なお、第1実施形態では、イメージセンサ51A及びイメージセンサ51Bの少なくとも1つを用いてローリングシャッター方式により受光結果を取り込む場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。第1実施形態では、例えば、イメージセンサ51A及びイメージセンサ51Bの少なくとも1つを用いてグローバルシャッター方式又はTDI方式により受光結果を取り込むように構成されていてもよい。
リレーレンズ系RL1は、実施形態に係る「第1リレーレンズ系」の一例である。リレーレンズ系RL2は、実施形態に係る「第2リレーレンズ系」の一例である。移動機構22Dは、実施形態に係る「第1移動機構」の一例である。移動機構10Dは、実施形態に係る「第2移動機構」の一例である。光学素子24の位置及び向きの少なくとも1つを変更する移動機構(不図示)は、実施形態に係る「第3移動機構」の一例である。
[動作]
次に、眼科装置1の動作について説明する。
図18に、第1実施形態に係る眼科装置1の動作例のフロー図を示す。記憶部102には、図18に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部101は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図18に示す処理を実行する。
ここでは、図示しないアライメント系により被検眼Eに対して装置光学系のアライメントが完了し、図示しない固視投影系により所望の固視位置に導くように被検眼Eの眼底に対して固視標が投影されているものとする。
(S1:屈折度数を取得)
まず、主制御部101は、外部の眼科測定装置又は電子カルテから被検眼Eの屈折度数を取得する。
(S2:スリットの位置を変更)
次に、主制御部101は、ステップS1において取得された被検眼Eの屈折度数に応じて、照明光学系20の光軸におけるスリット22の位置を変更する。
具体的には、主制御部101は、記憶部102に記憶された第1制御情報を参照して屈折度数に対応したスリット22の位置を特定し、特定された位置にスリット22が配置されるように移動機構22Dを制御する。
(S3:光源の位置又は向きを変更)
続いて、主制御部101は、ステップS2において光軸における位置が変更されたスリット22の新たな位置に応じて、波長掃引光源10aの位置及び向きの少なくとも1つを変更する。
具体的には、主制御部101は、記憶部102に記憶された第2制御情報を参照して、屈折度数又はスリット22の移動後の位置に対応した波長掃引光源10aの位置及び向きの少なくとも1つを特定する。その後、主制御部101は、特定された位置又は向きに波長掃引光源10aが配置されるように移動機構10Dを制御する。
(S4:照明光を照射)
次に、主制御部101は、波長掃引光源10a及び照明光学系20によりスリット状の照明光を生成させ、光スキャナ30の偏向制御を開始させることにより、眼底Efにおける所望の照射範囲に対する照明光の照射を開始させる。照明光の照射が開始されると、上記のように、スリット状の照明光が所望の照射範囲内で順次に照射される。
(S5:受光結果を取得)
主制御部101は、上記のように、ステップS4において実行された眼底Efにおける照明光の照射範囲に対応したイメージセンサ51A、51Bの開口範囲におけるピクセルの受光結果を取得する。
(S6:次の照射位置?)
主制御部101は、次に照明光で照射すべき照射位置があるか否かを判定する。主制御部101は、順次に移動される照明光の照射範囲があらかじめ決められた眼底Efの撮影範囲を網羅したか否かを判定することにより、次に照明光で照射すべき照射位置があるか否かを判定することが可能である。
次に照明光で照射すべき照射位置があると判定されたとき(S6:Y)、眼科装置1の動作はステップS4に移行する。次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されたとき(S6:N)、眼科装置1の動作はステップS7に移行する。
(S7:画像を形成)
ステップS6において、次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されたとき(S6:N)、主制御部101は、ステップS5において照明光の照射範囲を変更しつつ繰り返し取得された受光結果から被検眼Eの画像を画像形成部200に形成させる。
例えば、画像形成部200は、正面画像の形成と断層像の形成とを並列に実行する。この場合、SLO画像形成部210は、ステップS4~ステップS6の処理の繰返し回数分の互いに照明光の照射範囲(イメージセンサ51Aの受光面SRにおける開口範囲)が異なる複数の受光結果を照射範囲の移動順序に基づいて合成する。それにより、眼底Efの1フレーム分の眼底像が形成される。また、OCT画像形成部220は、ステップS4~ステップS6の処理の繰返し回数分の互いに照明光の照射範囲が異なる複数の受光結果を照射範囲の移動順序に基づいて合成する。それにより、眼底Efの1フレーム分の断層像が形成される。
いくつかの実施形態では、ステップS7でにおいて、画像形成部200は、正面画像及び断層像の一方を形成した後に、他方を形成する。いくつかの実施形態では、ステップS7でにおいて、画像形成部200は、正面画像及び断層像のいずれか1つを形成する。
いくつかの実施形態では、ステップS4では、隣接する照射範囲との重複領域が設けられるように設定された照射範囲に照明光が照射される。それにより、ステップS7では、互いの重複領域が重なるように画像を合成することで1フレーム分の眼底像が形成される。
以上で、眼科装置1の動作は終了である(エンド)。
以上説明したように、第1実施形態によれば、光源、スキャン光学系、及び検出器を共用しつつ、照明光の戻り光及び干渉光に基づいて被検眼Eの正面画像及び断層像を形成するようにしたので、簡素な構成で、被検眼を詳細に観察することが可能になる。特に、SLO検出器とOCT検出器とを別個に設けることで、戻り光及び干渉光を同時に受光しつつ、被検眼Eの正面画像及び断層像を形成することが可能になる。
また、正面画像及び断層像を取得するための光源等を共用するようにしたので、取得された被検眼Eの正面画像及び断層像を、高精度に位置合わせすることが可能になる。これにより、被検眼Eの注目部位を詳細に観察することが可能になる。
更に、ローリングシャッター方式により少なくともスキャン光学系及び検出器を同期制御するようにしたので、簡素な構成で、高画質の画像を取得することが可能になる。
<第1実施形態の変形例>
実施形態に係る眼科装置の構成は、第1実施形態で説明した構成に限定されない。例えば、SLO検出器DSは、互いに異なる2以上の波長領域の戻り光を個別に受光するように構成されていてもよい。
図19に、第1実施形態の変形例に係るSLO検出器の構成例のブロック図を示す。第1実施形態の変形例に係る眼科装置は、SLO検出器DS又はイメージセンサ51Aに代えて本変形例に係るSLO検出器DS1を含む。
SLO検出器DS1は、イメージセンサ51Aa、51Ab、51Acと、ダイクロイックビームスプリッタ52Aa、52Abとを含む。ダイクロイックビームスプリッタ52Aaは、照明光の戻り光のうち第1波長領域の光をイメージセンサ51Aaに導き、第1波長領域と異なる第2波長領域の光を透過させる。ダイクロイックビームスプリッタ52Abは、第2波長領域の光のうち第3波長領域の光をイメージセンサ51Abに導き、第3波長領域と異なる第4波長領域の光を透過させる。これにより、イメージセンサ51Aa、51Ab、51Acは、互いに異なる波長領域の光を受光する。
SLO画像形成部210は、イメージセンサ51Aaにより得られた受光結果に基づいて第1正面画像を形成し、イメージセンサ51Abにより得られた受光結果に基づいて第2正面画像を形成し、イメージセンサ51Acにより得られた受光結果に基づいて第3正面画像を形成する。SLO画像形成部210は、第1正面画像、第2正面画像、及び第3正面画像のうち2以上の画像を合成することにより合成画像を形成することが可能である。
いくつかの実施形態では、白色光源からの光を用いて照明光を生成することで、RGBの各色成分の正面画像が形成される。
<第2実施形態>
第1実施形態で説明したスウェプトソースタイプ以外の他のタイプ(スペクトラルドメインタイプ又はタイムドメインタイプ)のOCTを用いる眼科装置に、実施形態に係る構成を適用することが可能である。
以下、第1実施形態との相違点を中心に、第2実施形態について説明する。
図20に、第2実施形態に係る眼科装置1aの構成例のブロック図を示す。図20において、図5と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第2実施形態に係る眼科装置1aの構成が図5に示す眼科装置1の構成と異なる点は、パターン照明光学系PI1に代えてパターン照明光学系PI2が設けられている点と、検出器DE1に代えて検出器DE2が設けられている点と、タイミング制御部TC1に代えてタイミング制御部TC2が設けられている点である。
パターン照明光学系PI2の構成が図5に示すパターン照明光学系PI1の構成と異なる点は、波長掃引光源LSaに代えて広帯域光源LSbが設けられている点である。広帯域光源は、例えば、スーパールミネセントダイオード(SLD)又は発光ダイオード(LED)を含む。広帯域光源は、例えば、近赤外領域の波長を有し、かつ、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する低コヒーレンス光を出力する。
検出器DE2の構成が図5に示す検出器DE1の構成と異なる点は、OCT検出器DO1に代えて、分光器SPO及びOCT検出器DO2が設けられている点である。
分光器SPOは、ビームコンバイナBCにより生成された干渉光を分光する。例えば、分光器SPOは、干渉光を回折格子によってスペクトル成分に分解する。分光器SPOによってスペクトル成分に分解された干渉光は、OCT検出器DO2により受光される。
タイミング制御部TC2は、公知のスペクトラルドメインタイプのOCTを実行するように各部を制御する。
以下、第2実施形態に係る眼科装置1aの具体的な構成例について説明する。
図21に、第2実施形態に係る眼科装置1aの光学系の構成例を示す。図21において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
図21では、図6の波長掃引光源10aに代えて広帯域光源10bが設けられている。また、図6の撮像装置50に代えて設けられた撮像装置50aが設けられている。撮像装置50aは、イメージセンサ51Aと、分光器53Bと、イメージセンサ51B1とを含む。
すなわち、広帯域光源10bは、図20の広帯域光源LSbに対応する。ビームスプリッタ61により分割された第1戻り光は、イメージセンサ51Aにより受光される。分光器53Bは、ビームコンバイナ62により生成された干渉光を回折格子によってスペクトル成分に分解する。イメージセンサ51B1は、分光器53Bによってスペクトル成分に分解された干渉光を受光する。イメージセンサ51B1は、例えば、ラインセンサであり、干渉光の複数のスペクトル成分を検出して電気信号(検出信号)を生成する。
なお、第2実施形態では、参照光の光路長を変更する図20に示す構成を例に説明したが、第2実施形態に係る構成を、照明光の光路長を変更する図4に示す構成に適用することが可能である。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
上記の実施形態では、スプリッタSPを介して入射した照明光を偏向することで被検眼Eに照明光を照射する場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されない。第3実施形態では、スキャン光学系SCにより偏向された照明光がスプリッタSPを介して被検眼Eに照射される。
以下、第1実施形態との相違点を中心に、第3実施形態について説明する。
図22に、第3実施形態に係る眼科装置の構成例のブロック図を示す。図22において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第3実施形態に係る眼科装置1bは、第1実施形態に係る眼科装置1と同様に、パターン照明光学系PIと、スキャン光学系SCと、スプリッタSPと、ミラーRMと、対物レンズOBJと、検出器DEと、タイミング制御部TCとを含む。
眼科装置1bの構成が図1に示す眼科装置1の構成と異なる点は、スキャン光学系SCとスプリッタSPの配置である。すなわち、眼科装置1bでは、パターン照明光学系PIにより生成された照明光が、スキャン光学系SCにより偏向され、偏向された照明光がスプリッタSPにより対物レンズOBJに導かれる光とミラーRMに導かれる光とに分割される。
具体的には、パターン照明光学系PIは、光源からの光を用いて照明光と参照光とを生成する。パターン照明光学系PIにより生成された照明光は、スキャン光学系SCに入射する。スキャン光学系SCは、パターン照明光学系PIからの照明光を偏向し、偏向された照明光をスプリッタSPに導く。スプリッタSPは、スキャン光学系SCにより偏向された照明光を照明光路(測定光路)に導くと共に、参照光を参照光路に導く。照明光路には、対物レンズOBJが配置されている。参照光路には、ミラーRMが配置されている
スプリッタSPを透過した照明光は、対物レンズOBJにより屈折されて、被検眼Eの瞳孔を通じて眼内に入射し、被検眼Eの眼底Efに照射される。眼底Efに照射された照明光の戻り光は、対物レンズOBJを通過し、スプリッタSPに入射する。
参照光路に導かれた参照光は、ミラーRMにより反射され、スプリッタSPに戻る。
スプリッタSPは、照明光路を経由した被検眼Eからの照明光の戻り光と、参照光路を経由した参照光との干渉光(合成光)を生成する。すなわち、スプリッタSPは、パターン照明光学系PIからの照明光を被検眼Eに導くと共に、参照光と被検眼Eからの照明光の戻り光との干渉光を生成する。
検出器DEは、スプリッタSPを介して、照明光路を経由した被検眼Eからの照明光の戻り光と、スプリッタSPにより生成された干渉光とを検出する。検出器DEは、第1実施形態と同様に、タイミング制御部TCからの制御を受け、ローリングシャッター方式、グローバルシャッター方式、又はTDI方式により受光結果を出力することが可能である。
図23に、図22の眼科装置1bの構成例のブロック図を示す。図23において、図3又は図22と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
穴鏡PMには、照明光又は照明光の戻り光が通過する穴部が形成されている。穴鏡PMは、スキャン光学系SCにより偏向された照明光の光路から、被検眼Eからの照明光の戻り光の光路を分離する。
いくつかの実施形態では、スキャン光学系SCにより偏向された照明光が穴鏡PMに形成された穴部を通過し、照明光の戻り光が穴部の周辺領域において反射されてスプリッタBSに導かれる。
いくつかの実施形態では、スキャン光学系SCにより偏向された照明光が穴部の周辺領域において反射されて対物レンズOBJに導かれ、照明光の戻り光が穴部を通過してスプリッタBSに導かれる。
スプリッタBSは、穴鏡PMからの照明光の戻り光を第1戻り光と第2戻り光とに分割する。
スプリッタBSにより分割された第1戻り光は、検出器DE1(SLO検出器DS)により受光される。スプリッタBSにより分割された第2戻り光は、ビームコンバイナBCに導かれる。
一方、パターン照明光学系PI1により生成された参照光もまた、スプリッタSP1に入射する。スプリッタSP1に入射した参照光は、ミラーMaにより反射されてミラーRMに導かれる。ミラーRMは、入射光の進行方向と反対方向に入射光を反射する。ミラーRMにより反射された参照光は、ミラーMbにより反射されてビームコンバイナBCに導かれる。
ビームコンバイナBCは、スプリッタBSにより分割された第2戻り光とミラーMbにより反射された参照光との干渉光を生成する。ビームコンバイナBCにより生成された干渉光は、検出器DE1(OCT検出器DO)により受光される。
タイミング制御部TC1は、スキャン光学系SCに対して制御信号Ctscを出力し、SLO検出器DSに対して制御信号Ctdet1を出力し、OCT検出器DOに対して制御信号Ctdet2を出力し、パターン照明光学系PI1に対して制御信号Ctlsを出力する。それにより、被検眼Eにおける照明光の照射位置の移動タイミングに同期して、照明光の照射位置に対応した第2戻り光及び干渉光の受光位置における受光素子から受光結果が読み出される。
図24に、図22の眼科装置1bの別の構成例のブロック図を示す。図24において、図4又は図23と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図24に示す眼科装置1bの構成が図23に示す眼科装置1bの構成と異なる点は、図4と同様に、ミラーRM、Ma、Mbの位置である。
すなわち、図24において、スプリッタBSにより分割された第1戻り光は、検出器DE1(SLO検出器DS)に導かれ、スプリッタBSにより分割された第2戻り光は、ミラーMaに導かれる。第2戻り光は、ミラーMaにより反射されてミラーRMに導かれる。ミラーRMにより反射された第2戻り光は、ミラーMbにより反射されてビームコンバイナBCに導かれる。
ビームコンバイナBCは、パターン照明光学系PI1からの参照光とミラーMbにより反射された第2戻り光との干渉光を生成する。ビームコンバイナBCにより生成された干渉光は、検出器DE1(OCT検出器DO)に導かれる。
第3実施形態に係る眼科装置1bにおいても、第1実施形態と同様に、波長掃引光源を用いて照明光が生成される。以下では、眼科装置1bにおいて図23に示すようにミラーRMが配置される場合について説明するが、眼科装置1bにおいて図24に示すようにミラーRMが配置されていてもよい。
図25に、図23の眼科装置1bの構成例のブロック図を示す。図25において、図5又は図23と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図25に示すように、第3実施形態においても、図5と同様に、波長掃引光源を用いて光学系が構成される。
以下、第3実施形態に係る眼科装置1bの具体的な構成例について説明する。
図26に、第3実施形態に係る眼科装置1bの光学系の構成例を示す。図26において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図26に示す光学系の構成が図6に示す光学系の構成と異なる点は、光スキャナ30の配置位置と、ビームスプリッタ65とミラー64との間にミラー66が配置されている点である。具体的には、光スキャナ30は、投影光学系35と照明光学系20との間に配置されている。
照明光学系20では、ビームスプリッタ65を透過した照明光は、虹彩絞り21に形成された開口部を通過し、リレーレンズ系RL2を透過し、スリット22に形成された開口部を通過し、リレーレンズ系RL1を透過する。リレーレンズ系RL1を透過した光は、光スキャナ30により偏向され、投影光学系35に導かれる。ここで、第1実施形態と同様に、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置が被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置に配置されるため、光スキャナ30(偏向面)は、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置又はその近傍に配置される。
投影光学系35では、光スキャナ30により偏向された照明光は、リレーレンズ41を透過し、黒点板42を通過し、反射ミラー43により反射され、リレーレンズ44を通過して穴鏡45に導かれる。
撮影光学系40では、投影光学系35からの照明光は、穴鏡45に形成された穴部の周辺領域において対物レンズ46に向けて反射される。穴鏡45の周辺領域において反射された照明光は、対物レンズ46により屈折されて、被検眼Eの瞳孔を通じて眼内に入射し、被検眼Eの眼底Efを照明する。
眼底Efからの照明光の戻り光は、対物レンズ46により屈折され、穴鏡45の穴部を通過し、合焦レンズ47を透過し、リレーレンズ48を透過し、結像レンズ49を通過し、ビームスプリッタ61により第1戻り光と第2戻り光とに分割される。第1戻り光は、撮像装置50のイメージセンサ51Aにより受光される。第2戻り光は、ビームコンバイナ62に導かれる。ビームコンバイナ62は、第2戻り光と参照光との干渉光を生成する。生成された干渉光は、撮像装置50のイメージセンサ51Bにより受光される。
第3実施形態に係る眼科装置1bの動作は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第4実施形態>
第3実施形態で説明したスウェプトソースタイプ以外の他のタイプ(スペクトラルドメインタイプ又はタイムドメインタイプ)のOCTを用いる眼科装置に、実施形態に係る構成を適用することが可能である。
以下、第3実施形態との相違点を中心に、第4実施形態について説明する。
図27は、第4実施形態に係る眼科装置の構成例のブロック図を示す。図27において、図20又は図25と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第4実施形態に係る眼科装置1cの構成が図25に示す眼科装置1bの構成と異なる点は、パターン照明光学系PI1に代えてパターン照明光学系PI2が設けられている点と、検出器DE1に代えて検出器DE2が設けられている点と、タイミング制御部TC1に代えてタイミング制御部TC2が設けられいる点である。
パターン照明光学系PI2の構成が図25に示すパターン照明光学系PI1の構成と異なる点は、波長掃引光源LSaに代えて広帯域光源LSbが設けられている点である。
検出器DE2の構成が図25に示す検出器DE1の構成と異なる点は、OCT検出器DO1に代えて、分光器SPO及びOCT検出器DO2が設けられている点である。
分光器SPOは、ビームコンバイナBCにより生成された干渉光を分光する。例えば、分光器SPOは、干渉光を回折格子によってスペクトル成分に分解する。分光器SPOによってスペクトル成分に分解された干渉光は、OCT検出器DO2により受光される。
タイミング制御部TC2は、公知のスペクトラルドメインタイプのOCTを実行するように各部を制御する。
なお、第4実施形態では、参照光の光路長を変更する図27に示す構成を例に説明したが、第4実施形態に係る構成を、照明光の光路長を変更する図4に示す構成に適用することが可能である。
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第5実施形態>
実施形態に係る眼科装置の構成は、上記の実施形態で説明した構成に限定されるものではない。第5実施形態では、参照光に対する遮光制御を行うことにより、単一の検出器を用いて被検眼Eからの照明光の戻り光と干渉光とを検出することができる。
以下、第1実施形態との相違点を中心に、第5実施形態について説明する。
図28に、第5実施形態に係る眼科装置の構成例のブロック図を示す。図28において、図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第5実施形態に係る眼科装置1dの構成が図3に示す眼科装置1の構成と異なる点は、スプリッタSP1に代えてスプリッタSP3が設けられている点と、検出器DE1に代えて検出器DE3が設けられている点と、タイミング制御部TC1に代えてタイミング制御部TC3が設けられている点である。
スプリッタSP3は、穴鏡PMと、ビームコンバイナBCと、ミラーMa、Mbと、遮光板SHDとを含む。
穴鏡PMは、パターン照明光学系PI1により生成された照明光の光路から、被検眼Eからの照明光の戻り光の光路を分離する。穴鏡PMに形成された穴部は、被検眼Eの虹彩と光学的に共役な位置に配置される。
いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PI1からの照明光が穴鏡PMに形成された穴部を通過し、照明光の戻り光が穴部の周辺領域において反射されてビームコンバイナBCに導かれる。
いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PI1からの照明光が穴部の周辺領域において反射されてスキャン光学系SCに導かれ、照明光の戻り光が穴部を通過してビームコンバイナBCに導かれる。
パターン照明光学系PI1により生成された参照光もまた、スプリッタSP3に入射する。スプリッタSP3に入射した参照光は、ミラーMaにより反射されてミラーRMに導かれる。ミラーRMは、入射光の進行方向と反対方向に入射光を反射する。ミラーRMにより反射された参照光は、ミラーMbにより反射されてビームコンバイナBCに導かれる。
遮光板SHDは、参照光の光路に挿脱可能に設けられている。図28では、遮光板SHDは、パターン照明光学系PI1とミラーMaとの間の参照光の光路に対して挿脱可能に設けられている。遮光板SHDは、参照光の光路に配置されているとき参照光を遮断する。遮光板SHDの機能は、参照光を偏向してミラーMaに到達しないようにするミラーにより実現されてもよい。
ビームコンバイナBCは、穴鏡PMからの照明光の戻り光と、ミラーMbにより反射された参照光との干渉光を生成する。ビームコンバイナBCにより生成された干渉光は、検出器DE3により受光される。検出器DE3は、公知の光干渉断層計で用いられる検出器であってよい。
これにより、参照光の光路の遮光板SHDが配置されているとき、ビームコンバイナBCには戻り光のみが入射するため、ビームコンバイナBCは、被検眼Eからの照明光の戻り光を検出器DE3に導く。また、参照光の光路から遮光板SHDが退避されているとき、ビームコンバイナBCは、戻り光と参照光との干渉光を生成し、生成された干渉光を検出器DE3に導く。
タイミング制御部TC3は、スキャン光学系SCに対して制御信号Ctscを出力し、検出器DE3に対して制御信号Ctdetを出力し、パターン照明光学系PI1に対して制御信号Ctlsを出力する。それにより、被検眼Eにおける照明光の照射位置の移動タイミングに同期して、照明光の照射位置に対応した戻り光及び干渉光の受光位置における受光素子から受光結果が読み出される。
図29に、第5実施形態に係る眼科装置1dの光学系の構成例を示す。図29において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図29に示す光学系の構成が図6に示す光学系の構成と異なる点は、遮光板80と、撮像装置50bである。
遮光板80は、公知の移動機構により、ビームスプリッタ65により分割された参照光の光路に対して挿脱可能である。
撮像装置50bは、イメージセンサ51Cを含む。イメージセンサ51Cは、イメージセンサ51Bと同様に、1次元的又は2次元的に配列された1以上のバランスドフォトダイオードを含んでよい。
図30に、第5実施形態に係る眼科装置1dの制御系の構成例のブロック図を示す。図30において、図14と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図30に示すように、眼科装置1dの制御系は、制御部100dを中心に構成されている。なお、制御系の構成の少なくとも一部が眼科装置1dの光学系に含まれていてもよい。
(制御部100d)
制御部100dは、眼科装置1dの各部を制御する。制御部100dは、主制御部101dと、記憶部102dとを含む。制御部100dは、タイミング制御部TC3の機能を実現する。主制御部101dは、プロセッサを含み、記憶部102dに記憶されたプログラムに従って処理を実行することで、眼科装置1dの各部の制御処理を実行する。
(主制御部101d)
主制御部101dは、波長掃引光源10a、移動機構10D、70D、80Dの制御、照明光学系20の制御、光スキャナ30の制御、撮影光学系40の制御、撮像装置50bの制御、画像形成部200の制御、及びデータ処理部230の制御を行う。
図30に示す制御系の構成が図14に示す制御系の構成と異なる点は、移動機構80Dに対して制御を行う点と、撮像装置50に代えて撮像装置50bに対して制御を行う点である。
移動機構80Dは、制御部100dからの制御を受け、公知の機構により、参照光の光路に対して挿脱されるように遮光板80を移動する。いくつかの実施形態では、移動機構80Dは、参照光の光路に対して交差する方向に遮光板80を移動する。いくつかの実施形態では、移動機構80Dは、参照光の光路に略平行な回動軸を中心とする円周上に穴部が形成されたターレット板を回動軸を中心に回動する。
撮像装置50bの制御には、イメージセンサ51Cの制御(ローリングシャッター制御)が含まれる。イメージセンサ51Cの制御には、リセット制御、露光制御、電荷転送制御、出力制御などが含まれる。また、リセット制御に要する時間Tr、露光制御に要する時間(露光時間)Te、電荷転送制御に要する時間Tc、出力制御に要する時間Tout等を変更することが可能である。
次に、眼科装置1dの動作について説明する。
図31及び図32に、第5実施形態に係る眼科装置1dの動作例のフロー図を示す。記憶部102dには、図31及び図32に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。主制御部101dは、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図31及び図32に示す処理を実行する。
ここでは、図18と同様に、図示しないアライメント系により被検眼Eに対して装置光学系のアライメントが完了し、図示しない固視投影系により所望の固視位置に導くように被検眼Eの眼底に対して固視標が投影されているものとする。
(S11:遮光板を配置)
まず、主制御部101dは、移動機構80Dを制御することにより、遮光板80を参照光の光路に配置させる。
(S12:屈折度数を取得)
次に、主制御部101dは、ステップS1と同様に、外部の眼科測定装置又は電子カルテから被検眼Eの屈折度数を取得する。
(S13:スリットの位置を変更)
続いて、主制御部101dは、ステップS2と同様に、ステップS12において取得された被検眼Eの屈折度数に応じて、照明光学系20の光軸におけるスリット22の位置を変更する。
具体的には、主制御部101dは、記憶部102dに記憶された第1制御情報を参照して屈折度数に対応したスリット22の位置を特定し、特定された位置にスリット22が配置されるように移動機構22Dを制御する。
(S14:光源の位置又は向きを変更)
続いて、主制御部101dは、ステップS3と同様に、ステップS13において光軸における位置が変更されたスリット22の新たな位置に応じて、波長掃引光源10aの位置及び向きの少なくとも1つを変更する。
具体的には、主制御部101dは、記憶部102dに記憶された第2制御情報を参照して、屈折度数又はスリット22の移動後の位置に対応した波長掃引光源10aの位置及び向きの少なくとも1つを特定する。その後、主制御部101dは、特定された位置又は向きに波長掃引光源10aが配置されるように移動機構10Dを制御する。
(S15:照明光を照射)
次に、主制御部101dは、ステップS4と同様に、照明光学系20によりスリット状の照明光を生成させ、光スキャナ30の偏向制御を開始させることにより、眼底Efにおける所望の照射範囲に対する照明光の照射を開始させる。照明光の照射が開始されると、上記のように、スリット状の照明光が所望の照射範囲内で順次に照射される。
(S16:受光結果を取得)
主制御部101dは、ステップS5と同様に、ステップS15において実行された眼底Efにおける照明光の照射範囲に対応したイメージセンサ51Cの開口範囲におけるピクセルの受光結果を取得する。ステップS16では、被検眼Eに照射された照明光の戻り光の受光結果が取得される。
(S17:次の照射位置?)
主制御部101dは、ステップS6と同様に、次に照明光で照射すべき照射位置があるか否かを判定する。主制御部101dは、順次に移動される照明光の照射範囲があらかじめ決められた眼底Efの撮影範囲を網羅したか否かを判定することにより、次に照明光で照射すべき照射位置があるか否かを判定することが可能である。
次に照明光で照射すべき照射位置があると判定されたとき(S17:Y)、眼科装置1dの動作はステップS15に移行する。次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されなかったとき(S17:N)、眼科装置1dの動作はステップS18に移行する。
(S18:正面画像を形成)
ステップS17において、次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されたとき(S17:N)、主制御部101dは、ステップS16において照明光の照射範囲を変更しつつ繰り返し取得された受光結果から被検眼Eの画像を画像形成部200に形成させる。
具体的には、画像形成部200は、正面画像を形成する。この場合、SLO画像形成部210は、ステップS15~ステップS17の処理の繰返し回数分の互いに照明光の照射範囲(イメージセンサ51Cの受光面における開口範囲)が異なる複数の受光結果を照射範囲の移動順序に基づいて合成する。それにより、眼底Efの1フレーム分の眼底像が形成される。
(S19:遮光板を退避)
続いて、主制御部101dは、移動機構80Dを制御することにより、参照光の光路から遮光板80を退避させる。
(S20:照明光を照射)
次に、主制御部101dは、ステップS15と同様に、照明光学系20によりスリット状の照明光を生成させ、光スキャナ30の偏向制御を開始させることにより、眼底Efにおける所望の照射範囲に対する照明光の照射を開始させる。照明光の照射が開始されると、上記のように、スリット状の照明光が所望の照射範囲内で順次に照射される。
(S21:受光結果を取得)
主制御部101dは、ステップS16と同様に、ステップS20において実行された眼底Efにおける照明光の照射範囲に対応したイメージセンサ51Cの開口範囲におけるピクセルの受光結果を取得する。ステップS21では、被検眼Eに照射された照明光の戻り光と参照光との干渉光の受光結果が取得される。
(S22:次の照射位置?)
主制御部101dは、ステップS17と同様に、次に照明光で照射すべき照射位置があるか否かを判定する。
次に照明光で照射すべき照射位置があると判定されたとき(S22:Y)、眼科装置1dの動作はステップS20に移行する。次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されなかったとき(S22:N)、眼科装置1dの動作はステップS23に移行する。
(S23:正面画像を形成)
ステップS22において、次に照明光で照射すべき照射位置がないと判定されたとき(S22:N)、主制御部101dは、ステップS21において照明光の照射範囲を変更しつつ繰り返し取得された受光結果から被検眼Eの画像を画像形成部200に形成させる。
具体的には、画像形成部200は、断層像を形成する。この場合、OCT画像形成部220は、ステップS20~ステップS22の処理の繰返し回数分の互いに照明光の照射範囲(イメージセンサ51Cの受光面における開口範囲)が異なる複数の受光結果を照射範囲の移動順序に基づいて合成する。それにより、眼底Efの1フレーム分の断層像が形成される。
以上で、眼科装置1dの動作は終了である(エンド)。
以上説明したように、第5実施形態によれば、光源、スキャン光学系、及び検出器(特に、イメージセンサ)を共用しつつ、照明光の戻り光及び干渉光に基づいて被検眼Eの正面画像及び断層像を形成するようにしたので、簡素な構成で、被検眼を詳細に観察することが可能になる。
また、正面画像及び断層像を取得するための光源等を共用するようにしたので、取得された被検眼Eの正面画像及び断層像を、高精度に位置合わせすることが可能になる。これにより、被検眼Eの注目部位を詳細に観察することが可能になる。
更に、ローリングシャッター方式により少なくともスキャン光学系及び検出器を同期制御するようにしたので、簡素な構成で、高画質の画像を取得することが可能になる。
<第6実施形態>
第5実施形態で説明したスウェプトソースタイプ以外の他のタイプ(スペクトラルドメインタイプ又はタイムドメインタイプ)のOCTを用いる眼科装置に、実施形態に係る構成を適用することが可能である。
以下、第5実施形態との相違点を中心に、第6実施形態について説明する。
図33に、第6実施形態に係る眼科装置1eの構成例のブロック図を示す。図33において、図20又は図28と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第6実施形態に係る眼科装置1eの構成が図28に示す眼科装置1dの構成と異なる点は、パターン照明光学系PI1に代えてパターン照明光学系PI2が設けられている点と、検出器DE3に代えて検出器DE4が設けられている点と、タイミング制御部TC3に代えてタイミング制御部TC4が設けられている点である。
検出器DE4の構成が図28に示す検出器DE3の構成と異なる点は、分光器SPO及び検出器DO3が設けられている点である。
分光器SPOは、ビームコンバイナBCからの照明光の戻り光又は干渉光を分光する。例えば、分光器SPOは、戻り光又は干渉光を回折格子によってスペクトル成分に分解する。分光器SPOによってスペクトル成分に分解された干渉光は、検出器DO3により受光される。
タイミング制御部TC4は、公知のスペクトラルドメインタイプのOCTを実行するように各部を制御する。
以下、第6実施形態に係る眼科装置1eの具体的な構成例について説明する。
図34に、第6実施形態に係る眼科装置1eの光学系の構成例を示す。図34において、図29又は図33と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
図34では、図29の波長掃引光源10aに代えて広帯域光源10bが設けられている。また、図29の撮像装置50bに代えて設けられた撮像装置50dが設けられている。撮像装置50dは、分光器53Bと、イメージセンサ51C1とを含む。
すなわち、広帯域光源10bは、図29の広帯域光源LSbに対応する。分光器53Bは、図33の分光器SPOに対応する。イメージセンサ51C1は、図33の検出器DO3に対応する。
参照光の光路に遮光板80が配置されているとき、ビームコンバイナ62は、撮影光学系40からの照明光の戻り光をそのまま撮像装置50dに導く。一方、参照光の光路から遮光板80が退避されているとき、ビームコンバイナ62は、ミラー63からの参照光と撮影光学系40からの照明光の戻り光とを干渉させて干渉光を生成し、生成された干渉光を撮像装置50dに導く。
分光器53Bは、ビームコンバイナ62からの照明光の戻り光又は干渉光を回折格子によってスペクトル成分に分解する。イメージセンサ51C1は、分光器53Bによってスペクトル成分に分解された干渉光を受光する。イメージセンサ51C1は、例えば、ラインセンサであり、干渉光の複数のスペクトル成分を検出して電気信号(検出信号)を生成する。
例えば、SLO画像形成部210は、イメージセンサ51C1により得られた受光結果に対して、分光器53Bにより分解されたスペクトル成分を再合成し、再合成された結果に基づいてSLO画像を形成する。例えば、OCT画像形成部220は、イメージセンサ51C1により得られた受光結果に対して、フーリエ変換処理等を施し、画像化することでOCT画像を形成する。
なお、第6実施形態では、参照光の光路長を変更する図34に示す構成を例に説明したが、第6実施形態に係る構成を、照明光の光路長を変更する図4に示す構成に適用することが可能である。
第6実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第7実施形態>
第5の実施形態又は第6の実施形態では、スプリッタSPを介して入射した照明光を偏向することで被検眼Eに照明光を照射する場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されない。第7実施形態では、第3実施形態と同様に、スキャン光学系SCにより偏向された照明光がスプリッタSPを介して被検眼Eに照射される。
以下、第5実施形態との相違点を中心に、第7実施形態について説明する。
図35に、第7実施形態に係る眼科装置1fの構成例のブロック図を示す。図35において、図28と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第7実施形態に係る眼科装置1fの構成が図28に示す眼科装置1dの構成と異なる点は、スキャン光学系SCとスプリッタSP3の配置である。すなわち、眼科装置1fでは、パターン照明光学系PI1により生成された照明光が、スキャン光学系SCにより偏向され、偏向された照明光がスプリッタSP3により対物レンズOBJに導かれる光とミラーRMに導かれる光とに分割される。
穴鏡PMには、照明光又は照明光の戻り光が通過する穴部が形成されている。穴鏡PMは、スキャン光学系SCにより偏向された照明光の光路から、被検眼Eからの照明光の戻り光の光路を分離する。
いくつかの実施形態では、スキャン光学系SCにより偏向された照明光が穴鏡PMに形成された穴部を通過し、照明光の戻り光が穴部の周辺領域において反射されてビームコンバイナBCに導かれる。
いくつかの実施形態では、スキャン光学系SCにより偏向された照明光が穴部の周辺領域において反射されて対物レンズOBJに導かれ、照明光の戻り光が穴部を通過してビームコンバイナBCに導かれる。
ビームコンバイナBCは、穴鏡PMからの照明光の戻り光と、ミラーMbにより反射された参照光との干渉光を生成する。ビームコンバイナBCにより生成された干渉光は、検出器DE3により受光される。
これにより、参照光の光路の遮光板SHDが配置されているとき、ビームコンバイナBCには戻り光のみが入射するため、ビームコンバイナBCは、被検眼Eからの照明光の戻り光を検出器DE3に導く。また、参照光の光路から遮光板SHDが退避されているとき、ビームコンバイナBCは、戻り光と参照光との干渉光を生成し、生成された干渉光を検出器DE3に導く。
タイミング制御部TC3は、スキャン光学系SCに対して制御信号Ctscを出力し、検出器DE3に対して制御信号Ctdetを出力し、パターン照明光学系PI1に対して制御信号Ctlsを出力する。それにより、被検眼Eにおける照明光の照射位置の移動タイミングに同期して、照明光の照射位置に対応した戻り光及び干渉光の受光位置における受光素子から受光結果が読み出される。
以下、第7実施形態に係る眼科装置1fの具体的な構成例について説明する。
図36に、第7実施形態に係る眼科装置1fの光学系の構成例を示す。図36おいて、図34又は図35と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
図36に示す光学系の構成が図34に示す光学系の構成と異なる点は、光スキャナ30の配置位置と、ビームスプリッタ65とミラー64との間にミラー66が配置されている点である。具体的には、光スキャナ30は、投影光学系35と照明光学系20との間に配置されている。
照明光学系20では、ビームスプリッタ65を透過した照明光は、虹彩絞り21に形成された開口部を通過し、リレーレンズ系RL2を透過し、スリット22に形成された開口部を通過し、リレーレンズ系RL1を透過する。リレーレンズ系RL1を透過した光は、光スキャナ30により偏向され、投影光学系35に導かれる。ここで、第1実施形態と同様に、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置が被検眼Eの虹彩と光学的に略共役な位置に配置されるため、光スキャナ30(偏向面)は、リレーレンズ系RL1の後側焦点位置又はその近傍に配置される。
投影光学系35では、光スキャナ30により偏向された照明光は、リレーレンズ41を透過し、黒点板42を通過し、反射ミラー43により反射され、リレーレンズ44を通過して穴鏡45に導かれる。
撮影光学系40では、投影光学系35からの照明光は、穴鏡45に形成された穴部の周辺領域において対物レンズ46に向けて反射される。穴鏡45の周辺領域において反射された照明光は、対物レンズ46により屈折されて、被検眼Eの瞳孔を通じて眼内に入射し、被検眼Eの眼底Efを照明する。
眼底Efからの照明光の戻り光は、対物レンズ46により屈折され、穴鏡45の穴部を通過し、合焦レンズ47を透過し、リレーレンズ48を透過し、結像レンズ49を通過し、ビームコンバイナ62を介して撮像装置50bのイメージセンサ51Cにより受光される。
遮光板80がビームスプリッタ65とミラー64との間の参照光の光路に配置されているとき、ビームコンバイナ62は、照明光の戻り光をイメージセンサ51Cに導く。遮光板がビームスプリッタ65とミラー64との間の参照光の光路から退避されているとき、ビームコンバイナ62は、照明光の戻り光と参照光との干渉光を生成し、生成された干渉光をイメージセンサ51Cに導く。
第7実施形態に係る眼科装置1fの動作は第5実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、第7実施形態によれば、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第8実施形態>
第7実施形態で説明したスウェプトソースタイプ以外の他のタイプ(スペクトラルドメインタイプ又はタイムドメインタイプ)のOCTを用いる眼科装置に、実施形態に係る構成を適用することが可能である。
以下、第7実施形態との相違点を中心に、第8実施形態について説明する。
図37に、第8実施形態に係る眼科装置1gの構成例のブロック図を示す。図37において、図33又は図35と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第8実施形態に係る眼科装置1gの構成が図35に示す眼科装置1fの構成と異なる点は、パターン照明光学系PI1に代えてパターン照明光学系PI2が設けられている点と、検出器DE3に代えて検出器DE4が設けられている点と、タイミング制御部TC3に代えてタイミング制御部TC4が設けられている点である。
検出器DE4の構成が図35に示す検出器DE3の構成と異なる点は、分光器SPO及び検出器DO3が設けられている点である。
分光器SPOは、ビームコンバイナBCからの照明光の戻り光又は干渉光を分光する。例えば、分光器SPOは、戻り光又は干渉光を回折格子によってスペクトル成分に分解する。分光器SPOによってスペクトル成分に分解された干渉光は、検出器DO3により受光される。
タイミング制御部TC4は、公知のスペクトラルドメインタイプのOCTを実行するように各部を制御する。
以下、第8実施形態に係る眼科装置1gの具体的な構成例について説明する。
図38に、第8実施形態に係る眼科装置1gの光学系の構成例を示す。図38において、図36又は図37と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明する。
図38では、図36の波長掃引光源10aに代えて広帯域光源10bが設けられている。また、図36の撮像装置50bに代えて設けられた撮像装置50dが設けられている。撮像装置50dは、分光器53Bと、イメージセンサ51C1とを含む。
すなわち、広帯域光源10bは、図37の広帯域光源LSbに対応する。分光器53Bは、図37の分光器SPOに対応する。イメージセンサ51C1は、図37の検出器DO3に対応する。
参照光の光路に遮光板80が配置されているとき、ビームコンバイナ62は、撮影光学系40からの照明光の戻り光をそのまま撮像装置50dに導く。一方、参照光の光路から遮光板80が退避されているとき、ビームコンバイナ62は、ミラー63からの参照光と撮影光学系40からの照明光の戻り光とを干渉させて干渉光を生成し、生成された干渉光を撮像装置50dに導く。
分光器53Bは、ビームコンバイナ62からの照明光の戻り光又は干渉光を回折格子によってスペクトル成分に分解する。イメージセンサ51C1は、分光器53Bによってスペクトル成分に分解された干渉光を受光する。イメージセンサ51C1は、例えば、ラインセンサであり、干渉光の複数のスペクトル成分を検出して電気信号(検出信号)を生成する。
なお、第8実施形態では、参照光の光路長を変更する図38に示す構成を例に説明したが、第8実施形態に係る構成を、照明光の光路長を変更する図4に示す構成に適用することが可能である。
第8実施形態によれば、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第9実施形態>
実施形態に係る眼科装置の構成は、上記の実施形態又はその変形例に係る眼科装置の構成に限定されるものではない。
以下、第1実施形態との相違点を中心に、第9実施形態について説明する。
図39に、第9実施形態に係る眼科装置の構成例のブロック図を示す。図39において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第9実施形態に係る眼科装置1hの構成が図1に示す眼科装置1の構成と異なる点は、スプリッタSPに代えてスプリッタSP4が設けられている点と、OCT光学系300及びダイクロイックミラーDMが設けられている点と、タイミング制御部TCに代えてタイミング制御部TC5が設けられている点である。
スプリッタSP4は、パターン照明光学系PIからの照明光を透過してスキャン光学系SCに導くと共に、スキャン光学系SCからの照明光の戻り光を検出器DEに向けて反射する。
ダイクロイックミラーDMは、スキャン光学系SCと対物レンズOBJとの間に配置されている。ダイクロイックミラーDMは、スキャン光学系SCからの照明光を透過して対物レンズOBJに導くと共に、対物レンズOBJからの照明光の戻り光をスキャン光学系SCに導く。ダイクロイックミラーDMは、OCT光学系300からの測定光を反射して対物レンズOBJに導くと共に、対物レンズOBJからの測定光の戻り光を反射してOCT光学系300に導く。
OCT光学系300は、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、測定光をダイクロイックミラーDMに導き、測定光の戻り光と参照光との干渉光を検出する。OCT光学系300は、公知のスウェプトソースタイプのOCTを実行するための光学系、又は公知のスペクトラルドメインタイプのOCTを実行するための光学系を含む。
第9実施形態によれば、例えばローリングシャッター方式により、不要な散乱光の影響を受けることなく、簡素な構成で、コントラストが強い眼底Efの高画質の画像を取得することができる。更に、このような高画質の画像を取得可能な眼科装置において、OCTも実行することができる。
<第10実施形態>
第1実施形態~第8実施形態では、正面画像を取得するための光源と断層像を取得するための光源とを共用する場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
以下、第1実施形態との相違点を中心に、第10実施形態について説明する。
図40に、第10実施形態に係る眼科装置1jの構成例のブロック図を示す。図40において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第10実施形態に係る眼科装置1jの構成が図1に示す眼科装置1の構成と異なる点は、パターン照明光学系PIに代えてパターン照明光学系PI3が設けられている点である。
パターン照明光学系PI3は、観察用光源LS1と、OCT光源LS2とを含む。観察用光源LS1は、可視領域の波長成分を有する光を出力する。OCT光源LS2は、近赤外領域の波長成分を有する光を出力する。パターン照明光学系PI3は、観察用光源LS1からの出力光とOCT光源LS2からの出力光とを切り替えて出力することで、図1と同様のスリット状の照明光を生成する。いくつかの実施形態では、パターン照明光学系PI3は、観察用光源LS1からの出力光とOCT光源LS2からの出力光とを同時に出力して生成された合成照明光から図1と同様のスリット状の照明光を生成する。この場合、観察用光源LS1は、例えば、赤外領域の波長成分(OCT光源LS2からの出力光の波長領域に対して波長分離可能な波長成分)を有する光を出力する。例えば、上記の実施形態と同様に、観察用光源LS1からの出力光の戻り光の検出結果が得られる。例えば、従来の眼底カメラと同様の手法で観察用光源LS1からの出力光の戻り光を波長分離して検出することで観察画像が得られる。
スプリッタSPは、パターン照明光学系PI3により生成された照明光を照明光路(測定光路)に導くと共に、参照光を参照光路に導く。照明光路には、スキャン光学系SCと、対物レンズOBJとが配置されている。参照光路には、ミラーRMが配置されている。
照明光路に導かれた照明光は、スキャン光学系SCにより偏向される。
スキャン光学系SCにより偏向された照明光は、対物レンズOBJにより屈折されて、被検眼Eの瞳孔を通じて眼内に入射し、被検眼Eの眼底Efに照射される。眼底Efに照射された照明光の戻り光は、対物レンズOBJ及びスキャン光学系SCを通過し、スプリッタSPに入射する。
参照光路に導かれた参照光は、ミラーRMにより反射され、スプリッタSPに戻る。ミラーRMは、参照光の光路に沿って移動可能である。
スプリッタSPは、照明光路を経由した被検眼Eからの照明光の戻り光と、参照光路を経由した参照光との干渉光(合成光)を生成する。すなわち、スプリッタSPは、パターン照明光学系PI3からの照明光をスキャン光学系SCに導くと共に、参照光と被検眼Eからの照明光の戻り光との干渉光を生成する。
検出器DEは、スプリッタSPを介して、照明光路を経由した被検眼Eからの照明光の戻り光と、スプリッタSPにより生成された干渉光とを検出する。検出器DEは、タイミング制御部TC5からの制御を受け、ローリングシャッター方式、グローバルシャッター方式、又はTDI方式により受光結果を出力することが可能である。
タイミング制御部TC5は、少なくともパターン照明光学系PI3、スキャン光学系SC、及び検出器DEを制御する。タイミング制御部TC5は、スキャン光学系SCを制御することにより被検眼Eにおける照明光の照射位置を移動させつつ、照明光の照射位置の移動タイミングに同期して、照射位置に対応した戻り光の受光位置における検出器DEの受光素子から戻り光又は合成光の受光結果を取得する。
[作用]
実施形態に係る眼科装置について説明する。
いくつかの実施形態に係る眼科装置(例えば、眼科装置1)は、照射光学系(例えば、パターン照明光学系PI)と、光スキャナ(例えば、光スキャナ30、スキャン光学系SC)と、光分割合成部(例えば、スプリッタSP)と、検出器とを含む。照射光学系は、光源(波長掃引光源、広帯域光源)を含み、光源からの光を用いて測定光(照明光)を生成する。光スキャナは、測定光を偏向し、偏向された測定光を被検眼(E)に導く。光分割合成部は、測定光を光スキャナに導くと共に、光源からの光から生成された参照光(分割光)と被検眼からの測定光の戻り光との干渉光を生成する。検出器は、光分割合成部を介して戻り光及び干渉光を検出する。
このような態様によれば、照射光学系により光源からの光を用いて生成された照明光は、光分割合成部により光スキャナに導かれ、光スキャナにより偏向されて被検眼に照射される。被検眼からの照明光の戻り光は、光分割合成部に入射する。光分割合成部は、照明光の戻り光と光源からの光から生成された参照光との干渉光を生成する。検出器は、光分割合成部を介して戻り光及び干渉光を検出する。それにより、光源と光スキャナと検出器とを共用しつつ、種々の観点で被検眼を観察するための戻り光と干渉光とを検出することができるので、簡素な構成で、被検眼を詳細に観察することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態に係る眼科装置(例えば、眼科装置1b)は、照射光学系(例えば、パターン照明光学系PI)と、光スキャナ(例えば、光スキャナ30、スキャン光学系SC)と、光分割合成部(例えば、スプリッタSP)と、検出器(例えば、検出器DE)とを含む。照射光学系は、光源(波長掃引光源、広帯域光源)を含み、光源からの光を用いて測定光(照明光)を生成する。光スキャナは、測定光を偏向する。光分割合成部は、光スキャナにより偏向された測定光を被検眼(E)に導くと共に、光源からの光から生成された参照光(分割光)と被検眼からの測定光の戻り光との干渉光を生成する。検出器は、光分割合成部を介して戻り光及び干渉光を検出する。
このような態様によれば、照射光学系により光源からの光を用いて生成された照明光は、光スキャナにより偏向され、光分割合成部を介して被検眼に照射される。被検眼からの照明光の戻り光は、光分割合成部に入射する。光分割合成部は、照明光の戻り光と、光源からの光から生成された参照光との干渉光を生成する。検出器は、光分割合成部を介して戻り光及び干渉光を検出する。それにより、光源と光スキャナと検出器とを共用しつつ、種々の観点で被検眼を観察するための戻り光と干渉光とを検出することができるので、簡素な構成で、被検眼を詳細に観察することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、照射光学系は、光源からの光を測定光と参照光とに分割する
。
このような態様によれば、パワーを分割したり、波長範囲を分割したりすることで参照光を生成することができる。それにより、眼科装置の構成をより簡素化することができる。
いくつかの実施形態では、照射光学系は、光源からの光の光路を切り替えることにより測定光と参照光を出力する。
このような態様によれば、光路を切り替えることで測定光と参照光とを生成することができる。それにより、眼科装置の構成をより簡素化することができる。
いくつかの実施形態は、測定光及び参照光の少なくとも1つの光路に対して挿脱可能に構成された遮光板(例えば、遮光板SHD、80)を含み、検出器は、上記少なくとも1つの光路に遮光板が配置された状態で戻り光を検出すると共に、上記少なくとも1つの光路から遮光板が退避された状態で干渉光を検出する。
このような態様によれば、測定光及び参照光の少なくとも1つの光路に対して遮光板が配置されているとき、光分割合成部は戻り光を検出器に導き、測定光及び参照光の少なくとも1つの光路から遮光板が退避されているとき、光分割合成部は干渉光を検出器に導く。それにより、戻り光と干渉光とを単一の検出器を用いて検出することが可能になる。従って、眼科装置の構成をより簡素化することができる。
いくつかの実施形態では、光分割合成部は、測定光の光路と戻り光の光路とを分割する光分割部(例えば、穴鏡PM)と、光分割部により分割された戻り光を第1戻り光と第2戻り光とに分割する第1スプリッタ(例えば、スプリッタBS)と、参照光と第2戻り光との干渉光を生成するビームコンバイナ(例えば、ビームコンバイナBC)と、を含み、検出器は、第1スプリッタにより分割された第1戻り光と、ビームコンバイナにより生成された干渉光とを検出する。
このような態様によれば、検出器は、第1スプリッタにより戻り光を分割することにより得られた第1戻り光を検出し、参照光と第1スプリッタにより戻り光を分割することにより得られた第2戻り光との干渉光を検出する。それにより、簡素な構成で、第1戻り光と干渉光とを生成することが可能になり、眼科装置の構成をより簡素化することができる。
いくつかの実施形態では、光分割部は、光軸が通過する穴部が形成された穴鏡(例えば、穴鏡PM、45)を含み、穴部は、被検眼の虹彩と光学的に略共役な位置に配置される。
このような態様によれば、簡素な構成で照明光と戻り光を瞳分割することが可能になり、眼内に入射する照明光の光量と被検眼からの照明光の戻り光の光量とを十分に確保し、高精細な画像又は高精度な計測信号を取得可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、検出器は、第1戻り光を検出する第1検出器(例えば、SLO検出器DS)と、干渉光を検出する第2検出器(例えば、OCT検出器DO)と、を含む。
このような態様によれば、第1戻り光と干渉光とを並列に検出することが可能になり、構成を簡素化しつつ、短時間で被検眼の注目部位を詳細に観察可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、光分割合成部は、第1スプリッタとビームコンバイナとの間に配置され、第2戻り光の光路長を変更する第1光路長変更部(例えば、ミラーMa、Mb、RM)を含む。
このような態様によれば、簡素な構成で、測定光の光路長と参照光の光路長との差を変更することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、光分割合成部は、参照光の光路に配置され、参照光の光路長を変更する第2光路長変更部(例えば、ミラーMa、Mb、RM)を含む。
このような態様によれば、簡素な構成で、測定光の光路長と参照光の光路長との差を変更することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態は、検出器により得られた戻り光の検出結果に基づいて被検眼の正面画像(SLO画像)を形成する第1画像形成部(例えば、SLO画像形成部210)と、検出器により得られた干渉光の検出結果に基づいて被検眼の断層像(OCT画像)を形成する第2画像形成部(例えば、OCT画像形成部220)と、を含む。
このような態様によれば、被検眼の正面画像と断層像とを取得することが可能になり、簡素な構成で、被検眼を詳細に観察することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、光源は、波長掃引光源を含む。
このような態様によれば、スウェプトソースタイプのOCTを実行することにより被検眼の断層像を取得することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、光源は、広帯域光源を含み、検出器は、干渉光を分光する分光器(例えば、分光器SPO)を含む。
このような態様によれば、スペクトラルドメインイプのOCTを実行することにより被検眼の断層像を取得することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、照射光学系は、光源からの光を用いてスリット状の測定光を生成し、被検眼の計測部位における測定光の照射位置に対応した戻り光の受光結果を取得するようにローリングシャッター方式で検出器を制御する制御部(例えば、制御部100)を含む。
このような態様によれば、ローリングシャッター方式により、不要な散乱光の影響を受けることなく、簡素な構成で、コントラストが強い被検眼の高画質の画像を取得することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態では、照射光学系は、計測部位と光学的に略共役な位置に配置可能なスリット状の開口部が形成されたスリット(例えば、スリット22)と、光源とスリットとの間に配置され、被検眼の虹彩と光学的に略共役な位置に配置可能な虹彩絞り(例えば、虹彩絞り21)と、を含む。
このような態様によれば、照明光と照明光の戻り光とを瞳分割することができる。それにより、簡素な構成で、注目部位の計測に必要な照度を確保し、被検眼の高画質の画像を取得することが可能な眼科装置を提供することができる。
いくつかの実施形態は、スリットを照射光学系の光軸方向に移動する第1移動機構(例えば、移動機構22D)を含み、制御部は、被検眼の屈折度数に基づいて第1移動機構を制御する。
このような態様によれば、スリットを被検眼の屈折度数に応じて移動するようにしたので、照明光を効率よく被検眼の注目部位に導くことが可能になる。それにより、広がり角が広い安価な光源を用いた場合でも、簡素な構成で、注目部位の計測に必要な照度を確保し、被検眼の状態に影響されることなく被検眼の高画質の画像を取得することが可能になる。
いくつかの実施形態は、光源の位置及び向きの少なくとも1つを変更する第2移動機構(移動機構10D)を含み、制御部は、第1移動機構により移動されたスリットの位置に応じて、第2移動機構を制御する。
このような態様によれば、被検眼の屈折度数に応じて光源とスリットとの位置関係が変更された場合でも、光源とスリットの開口部とを結ぶ方向の光量分布を変更することができる。それにより、被検眼の屈折度数に影響されることなく、所望の照度で被検眼の
注目部位を照明することが可能になる。
いくつかの実施形態では、照射光学系は、光スキャナとスリットとの間に配置された第1リレーレンズ系(例えば、リレーレンズ系RL1)を含み、第1リレーレンズ系の後側焦点位置が、虹彩と光学的に略共役な位置である。
このような態様によれば、バーダルの原理に従って第1リレーレンズ系から被検眼の虹彩に至る光学系を構成することができる。それにより、被検眼の屈折度数に応じてスリットが光軸方向に移動された場合でも、被検眼の屈折度数にかかわらず、被検眼の注目部位に投影されるスリット像の大きさは変化しない。これは、スリットが光軸方向に移動しても、注目部位へのスリット像の投影倍率が変化しないことを意味する。その結果、被検眼の屈折度数にかかわらず、光スキャナの偏向動作速度を一定にすることが可能になり、光スキャナの制御を簡素化することができる。また、被検眼の屈折度数にかかわらず、被検眼の視軸に対するスリット像の投影画角(投影倍率)が一定であるため、被検眼の屈折度数にかかわらず、注目部位におけるスリット像の照度を一定にすることができる。更に、眼科装置においてあらかじめ決められた撮影画角で画像を取得する場合に、投影倍率が一定であるため、スリットの長手方向の長さにマージンを設ける必要がなくなる。
いくつかの実施形態では、光スキャナは、後側焦点位置又はその近傍に配置される。
このような態様によれば、光学系のサイズを小型化しつつ被検眼の屈折度数にかかわらず、光スキャナの偏向動作速度を一定にすることが可能になり、光スキャナの制御を簡素化することができる。
いくつかの実施形態は、スリットと虹彩絞りとに間に配置された第2リレーレンズ系(リレーレンズ系RL2)を含み、第2リレーレンズ系の前側焦点位置又はその近傍に、虹彩絞りが配置される。
このような態様によれば、第1リレーレンズ系の焦点距離又は第2リレーレンズ系の焦点距離を変更することで、虹彩絞りから光スキャナまでの投影倍率を変更することができるため、任意の大きさの虹彩絞りの像を光スキャナ上に所望の大きさで投影することができる。それにより、光源の発光面のサイズが異なる場合でも、光スキャナ上に所望の大きさの虹彩絞りの像を投影することができ、光学系の設計自由度が向上する。
いくつかの実施形態では、虹彩絞りには、被検眼の角膜、水晶体前面、及び水晶体後面において測定光の光束断面と被検眼からの戻り光の光束断面とが分離するように、測定光が通過する1以上の開口部が形成されている。
このような態様によれば、被検眼に入射する照明光と被検眼からの戻り光とを高精度に瞳分割することで、簡素な構成で、被検眼の注目部位の計測に必要な照度を確保し、被検眼の状態に影響されることなく被検眼の高画質の画像を取得することが可能になる。
いくつかの実施形態では、1以上の開口部のそれぞれは、弓形形状であり、弓形形状の弦の方向は、スリットを通過した光により形成されるスリット像の長手方向に略平行である。
このような態様によれば、簡素な構成で、照明光の光量を増大させ、よりコントラストが強い高画質の画像を取得することが可能である。
以上に示された実施形態又はその変形例は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
上記の実施形態において、眼科装置は、例えば、眼軸長測定機能、眼圧測定機能、光干渉断層撮影(OCT)機能、超音波検査機能など、眼科分野において使用可能な任意の機能を有していてもよい。なお、眼軸長測定機能は、光干渉断層計等により実現される。また、眼軸長測定機能は、被検眼に光を投影し、当該被検眼に対する光学系のZ方向(前後方向)の位置を調整しつつ眼底からの戻り光を検出することにより、当該被検眼の眼軸長を測定するようにしてもよい。眼圧測定機能は、眼圧計等により実現される。OCT機能は、光干渉断層計等により実現される。超音波検査機能は、超音波診断装置等により実現される。また、このような機能のうち2つ以上を具備した装置(複合機)に対してこの発明を適用することも可能である。
いくつかの実施形態では、上記の眼科装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。このようなプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な非一時的な(non-transitory)任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD-ROM/DVD-RAM/DVD-ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
第1実施形態~第10実施形態、及び第1実施形態の変形例において説明した構成を任意に組み合わせることが可能である。