JP7212429B2 - レール破断検知装置 - Google Patents

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Description

この発明は、列車が走行するためのレールについてその破断状態を検知するレール破断検知装置に関する。
詳しくは、レール対からなる鉄道の軌道における送電端から受電端への通電状態に基づいて両端間のレール破断状態を示す情報を取得するレール破断検知装置に関する。
軌道回路は(例えば非特許文献1参照)、二本のレールが列車の車輪と車軸とで電気的に短絡することを利用して送電端(一端,始端)から送電した電力が受電端(他端,終端)に届くか否かに応じて列車の在線/非在線を検出する列車検知機能を発揮するものであるが、その機能だけでなく、次のレール破断検知機能も発揮することができる。
すなわち、列車の走行等による過大な応力を軌道が受けて亀裂・破断・折損といったレール破断障害が発生したときも、そこの通電状態が悪化して、列車非在線状態であっても受電側の電圧や電流が低下したり更には途絶するといった状況に至るため、受電信号からレール破断状態の情報を得るというレール破断検知機能も発揮することができる。
そのような軌道回路装置の機能のうち後者のレール破断検知機能を主要機能とするものがレール破断検知装置であり、例えば、軌道回路の並走レールの双方について交流電流を測定できるようになった人力走行式の軌道回路電流測定装置や(例えば特許文献1参照)、軌道回路のレール対における送電端の電圧および電流に加えて受電端の電圧も測定して故障部位を高い確度で切り分けるようになった軌道回路故障部位特定装置(例えば特許文献2参照)、更には、三本以上並設の多数レールからレール対を選出して通電状態を調べることで異常レールを特定するようになった異常レール特定装置(例えば特許文献3参照)などが開発され実用に供されている。
一方、列車検知機能に関しては、GPS(Global Positioning Satellite)衛星などを利用して列車位置を検出することで軌道回路を省けるようにした列車位置検知装置や(例えば特許文献4参照)、GPS測位に加えて運転情報に基づく位置推定も行うようになった列車位置同期システム(例えば特許文献5参照)、更には、列車位置を車軸計から取得する無線式踏切警報システム(例えば特許文献6参照)なども開発されている。
このような列車位置検知機能を備えた列車運行システムでは、軌道回路が無くても列車の運行が適正に行われる。
また、車軸検知器を用いることでも軌道回路不要で列車を検知することができる。
特開2010-234875号公報 特開2011-207449号公報 特開2011-207453号公報 特開2008-247217号公報 特開2009-234349号公報 特開2011-195117号公報
鉄道技術者のための信号概論「軌道回路」 社団法人「日本鉄道電気技術協会」出版、平成17年5月20日 改訂版2刷発行、p.3~5
そして、このように軌道回路を用いないで列車の在線や位置を検知する謂わば軌道回路不使用の列車検知システムが増えつつあるが、そのような列車検知システムを採用した鉄道区間では、レールの破断を検知する手段が別に必要である。
もっとも、例えば軌道回路不使用の列車検知システムを導入したけれども未だ軌道回路が残っている設備更新区間などであれば、既存の軌道回路をレール破断検知にだけ用いるといったことで比較的容易に、すなわち維持費は別として大きな設備追加費用を掛けることなく、対処することができる。
これに対し、継続使用可能な軌道回路が残っていない鉄道区間や、そもそも軌道回路が設置されていなかった新設の路線などについては、レール破断検知のために、軌道回路やその他のレール破断検知装置を新たに設置するか、例えば夜間など継続的に列車の走行が無いときにレール破断検知可能な検測車を走行させる、といった対策を強化することが望まれる。
しかしながら、そのような対策のうち、例えば後者の検測車走行方式については、検知時期が夜間等に限られるうえ、検測車走行などの保守作業の負担が重く、検測車の増設や設備の管理維持などの負担も重い。
また、軌道回路を用いない常設のレール破断検知装置については、開発や実用化を待たざるを得ず、直ぐには実施できない。
そのため、使用実績のある軌道回路を設置するのがレール破断検知機能を具現化する早道であると言えるが、その際に従来と同様の態様で導入するのでは、軌道回路不使用の列車検知システムを導入したことの価値が損なわれる。
そこで、レール破断検知機能を主たる機能とすることで、軌道回路を低コストで設置できるようにすることが基本的な課題となる。
とはいえ、軌道回路を前提とした常設のレール破断検知装置については、軌道回路不使用の列車検知システムを敷設したところへ、軌道回路を従来構成のまま追加設置するのはコスト負担が重い。
具体的には、軌道回路において離隔している始端(送電端)と終端(受電端)とから電圧や電流などの測定値を得る装置では(例えば特許文献2参照)、両端間に亘る長い信号ケーブル等の付設費や維持費が無視できない。そのような離隔端間で切替を同期させるための追加設備も、有線のものであれ(例えば特許文献3実施例1参照)、無線のものであれ(例えば特許文献3実施例5参照)、追加費用を無視できるものではない。
これに対し、軌道回路において始端から離隔している終端はバンドパスフィルタ等で短絡しておいて、始端の所だけで送電に加えて測定まで総て行う装置では(例えば特許文献3実施例2~4参照)、ケーブル等の付設は無用であるが、レール破断状態を部分破断の段階で確度良く検出すべく測定機能を強化するには、それなりにコストが嵩む。開発後の期間が短くて普及も使用実績も大きくはないので、未だ単価が十分には下がっていない。単価を抑えようとすると設置台数が増え、設置台数を抑制しようと両端間の距離が長くても機能するように性能強化を図ると単価が上がってしまう、というジレンマもある。
そこで、レール対に対して始端(送電端)から交流信号を送り込みながらそことは別の終端(受電端)で受信してこの受信信号に応じてレール破断状態を判定するという長期慣用の軌道回路方式を踏襲したレール破断検知装置について、列車検知機能が必須で無い環境で使用されるようになったことを勘案して、より低廉に設置することができる構成のものを実現することが技術的な課題となる。
本発明のレール破断検知装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
並走する複数のレール対のうち何れか一つの第一レール対について設定された送電端において前記第一レール対に接続されると前記送電端から信号送信を行う送信器と、受信器とを備えたレール破断検知装置において、
前記受信器が前記の複数のレール対のうち何れか他の一つの第二レール対について設定された受電端において前記第二レール対に接続されると前記受電端から信号受信を行うようになっており、前記第一レール対と前記第二レール対との双方について設定された中継箇所において前記の両レール対の双方に接続されると共振周波数の交流信号を前記第一レール対から前記第二レール対へ伝達する直列共振回路部が具備されており、前記送信器が前記共振周波数の交流信号を送出しうるものであり、前記送信器と前記中継箇所との離隔距離が前記送信器と前記受信器との離隔距離よりも大きく、前記受信器と前記中継箇所との離隔距離も前記送信器と前記受信器との離隔距離より大きいことを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段2)、上記解決手段1のレール破断検知装置であって、
前記中継箇所と前記直列共振回路部とが複数具備されており、それら複数の直列共振回路部で共振周波数が互いに異なっており、それら複数の共振周波数の交流信号の何れをも前記送信器が送出しうるようになっていることを特徴とする。
さらに、本発明のレール破断検知装置は(解決手段3)、上記解決手段2のレール破断検知装置であって、
前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第1通電経路が、前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか他の一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第2通電経路に対して、部分的に重複しているものとして、前記第1通電経路に係る前記送信器から前記受信器への通電状態が異常状態であると、前記第1通電経路については異常状態であると判定するとともに、前記第2通電経路から前記第1通電経路の重複部分を除いた残部経路については不明と判定する判定手段が設けられている、ことを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段4)、上記解決手段2のレール破断検知装置であって、
前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第1通電経路が、前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか他の一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第2通電経路に対して、部分的に重複しているものとして、前記第1通電経路に係る前記送信器から前記受信器への通電状態が正常状態であって前記第2通電経路に係る前記送信器から前記受信器への通電状態が異常状態のときには、前記第1通電経路については正常状態であると判定するとともに、前記第2通電経路から前記第1通電経路の重複部分を除いた残部経路に異常が生じていると判定する判定手段が設けられている、ことを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段5)、上記解決手段1~4のレール破断検知装置であって、
前記第一レール対および前記第二レール対に係る列車在線情報を取得する列車在線情報取得手段と、前記列車在線情報と前記受信器の受信値との組データを時系列で保持するデータ保持手段とが設けられていることを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段6)、上記解決手段5のレール破断検知装置であって、
前記組データを前記データ保持手段に保持させるときに又は前記組データをデータ保持手段から読み出したときに前記組データの系列において前後の組データについて列車位置の変化分が一定になるように前記組データに対して変換処理を施すデータ処理手段が設けられていることを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段7)、上記解決手段5,6のレール破断検知装置であって、
前記組データを波形図で画面表示する手段が設けられていることを特徴とする。
このような本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段1)、送信器が第一レール対に接続されるのに対し受信器が第二レール対に接続されるので、送信器と受信器との接続対象レール対が異なっているが、中継箇所に直列共振回路部が導入されたことで、共振周波数の交流信号なら第一レール対から第二レール対へ中継される。
しかも、そのような直列共振回路部による交流信号の中継では、直流成分や電車電流さらには周波数の異なる他の信号電流といった不所望な電流成分はカットされるので、レール破断検知装置が複数のレール対に対して接続されても不都合なことは生じない。
そのため、送信器から第一レール対と中継箇所の直列共振回路部と第二レール対とを経て受信器に至る通電経路において第一レール対にも第二レール対にも破断や部分断裂といった異常が無ければ、共振周波数の交流信号が送信器から送出されると、その交流信号が上記の通電経路を経由して適正レベルで受信器に届くのに対し、上記の通電経路に破断などの異常が生じると受信信号が受信できなくなったり受信できても受信信号のレベルが明らかに低下することから、受信信号の状態に基づいて上記の通電経路におけるレール破断の状態を検知することができる。
さらに、送信器と中継箇所と受信器との位置関係についても従来と異なる条件が課されていて、送信器と受信器とが互いの近くに配置されるに対し、中継箇所ひいては直列共振回路部の位置が送信器からも受信器からも遠い状態になる。
そして、その配置状態では、必然的に中継箇所が信号の折り返し箇所になるため、それだけではレール破断や列車在線があっても第一,第二レール対の何れが該当するのかまでは分からないが、第一,第二レール対の通電部分を併せた長さが送受信可能な範囲に収まっていれば所望の長さのレール対についてレール破断状態を調べることができる。
しかも、上述の配置状態では、送信器と受信器とについては両器が近づいたため、両器間で受信信号の送受や同期信号の送受などを行うにしても、両器間に亘る信号ケーブル等の付帯設備の負担は、軽くて済む。
したがって、この発明によれば、長期慣用の軌道回路方式を踏襲しながらも、より低廉に設置可能なレール破断検知装置を実現することができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段2)、中継箇所と直列共振回路部とを複数化して通電経路ひいてはレール破断検知対象を増やすとともに、それぞれの直列共振回路部の共振周波数を異ならせたうえで、何れの共振周波数の交流信号も送信されるようにもしたことにより、総ての通電経路がレール破断の検知対象になる。
周波数の異なる複数の交流信号の送信は、時分割で択一的に行うことも、重畳させて並列的に行うことも、それらを混在させて行うことも可能である。
何れにしても送信器での周波数選択に応じて通電経路ひいてはレール破断検知対象が選出されるため、複数のレール区間に係るレール破断状態を一組の送信器と受信器とで検査することもできる。
更に複数の中継箇所をなるべく離して設けて二つ以上のレール区間の大部分が重複しないようにすれば、一組の送信器と受信器とで検査することのできるレール破断検知範囲が拡大されるため、更なるコストダウンを望むこともできる。
さらに、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段3,4)、複数の通電経路ひいてはレール破断検知対象が部分的に重複している状態では、重複部分のレール破断状態が残部経路の通電状態に影響する場合のあることを反映した場合分けを伴って、レール破断状態の判定がなされるようにもしたことにより、判定の精度が向上する。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段5)、列車検知が行われて列車在線情報や列車位置情報が利用できる場合には、その情報のうちレール破断検知対象の第一,第二レール対に係る情報が列車在線情報取得手段や列車位置情報取得手段によって取得され、その又はそれらの情報と受信器の受信値との組データがデータ保持手段によって時系列や位置系列で保持される。そのため、時刻を遡ってデータの処理や表示などが行えるので、リアルタイムでは確認や判断が難しい現象であっても、じっくり確認等することができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段6)、列車位置情報を利用したデータ変換処理が組データに対して施されることにより、組データの系列において前後の組データに係る列車位置の変化分が一定になる。
これにより、組データから列車走行速度の影響が取り除かれる又は軽減されるので、組データに基づいてレール破断の状態や位置を探るのが容易になる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段7)、組データが画面表示手段によって波形図で画面表示されるようにしたことにより、受信信号の変化が、見やすい波形として視認されるため、分かりやすい。
列車不在で受信信号が列車の影響を受けることなく通常は概ね一定値を示して正常か異常かといったレール破断状態を示している場合も、列車在線で受信信号が列車の影響を受けている場合も、受信信号ひいては通電状態を目視で容易に確認することができる。
そして、列車在線で通電状態が列車の影響を受けているときには、列車の通過に伴って受信信号の波形が変わるとともに、その変形の仕方や程度がレール破断の進み具合に応じて変化するので、その波形を目視した者はレール破断状態を推測することができる。
さらに、列車不在時に異常が見つかっているときには、受信信号の波形変化にレール破断の兆候が見られた時期に列車が第一,第二レール対のうち何れを走行したのかを確認することで、第一,第二レール対のうち何れが異常なのかを切り分けることもできる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段6引用7)、画面表示が単なる時系列にとどまらず列車走行位置基準の位置系列でなされるようにもしたことにより、列車の走行速度の違いや速度変化による波形の変形や相違が縮小や解消されるため、表示波形が視認し易くなるとともに判断の確度が高まることにもなる。
本発明の実施例1について、レール破断検知装置の構造と使い方を示す図である。 本発明の実施例2について、レール破断検知装置の構造と使い方を示す図である。 本発明の実施例2について、(a)~(c)いずれも信号の周波数を複数化する具体例を示す図である。 本発明の実施例3について、レール破断検知装置の構造と使い方を示す図である。 本発明の実施例4について、レール破断検知装置の構造と使い方を示す図である。 受信信号のレベル変動を示す画面表示例であり、(a)が正常レールを列車が走行したときの受信信号のレベル変動を示し、(b)が破断レールを列車が走行したときの受信信号のレベル変動を示している。
このような本発明のレール破断検知装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1~4により説明する。
図1に示した実施例1は、上述した解決手段1(出願当初の請求項1)を具現化したものであり、図2~3に示した実施例2は、上述した解決手段2(出願当初の請求項2)を具現化したものであり、図4に示した実施例3は、上述した解決手段3~4(出願当初の請求項3~4)を具現化したものであり、図5~6に示した実施例4は、上述した解決手段5~7(出願当初の請求項5~7)を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、筐体などの機械部や,電気信号送受回路などの電気部については、詳細な図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心にブロック図などで示した。
本発明のレール破断検知装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、レール破断検知装置10の構造と使い方を示す図である。
レール破断検知装置10は、送信器11と受信器12と直列共振回路13と直列共振回路14とを具備したものであり、次のような鉄道設備に設置されるようになっている。
即ち、設置対象となりうる鉄道では、少なくとも二対以上のレール対が並走しており、図示の例では、下り線の第一レール対2と上り線の第二レール対5とが並走している。
それらのうち、一方の第一レール対2は、一定間隔で並んだレール3とレール4とからなり、他方の第二レール対5は、一定間隔で並んだレール6とレール7とからなる。
そして、一方の第一レール対2については適宜箇所に送電端15が設定され、他方の第二レール対5については近くに受電端18が設定され、第一レール対2と第二レール対5との双方については遠くに中継箇所16が設定される。
それらの設定箇所の位置関係を更に説明すると、特にレール長手方向における位置関係を詳しく説明すると、送電端15と受電端18との離隔距離D1は、短いほど望ましく、理想的には0mであるが、実用上は数m程度に収まっていれば良い。
送電端15と中継箇所16との離隔距離D2は、送信器11と受信器12とによる送受信可能距離の最大値の半分以下であり、通常は1km~2km程度の何れかである。受電端18と中継箇所16との離隔距離D3も、送信器11と受信器12とによる送受信可能距離の最大値の半分以下であり、上述した離隔距離D2と同程度である。
そのため離隔距離D3も離隔距離D2も離隔距離D1より桁違いに大きい。
送信器11は、通常は10kHz~20kHz程度のうち何れかの周波数の交流信号を送出しうるものであり、既製の軌道回路用送信器と同様のもので足りることが多い。
そして、送信器11の出力端子対の一方が送電端15における一方の接続点15Aで第一レール対2の一方のレール3に接続されるとともに、送信器11の出力端子対の他方が送電端15における他方の接続点15Bで第一レール対2の他方のレール4に接続されると、送電端15から第一レール対2へ交流信号を送出できるようになる。
受信器12は、送信器11が送出する可能性のある交流信号の周波数範囲に属する信号を受信しうるものであり、既製の軌道回路用受信器と同様のもので足りることが多い。そのため、実績があって原価も適度な既製品を採用することも可能であり、更には既設のものや予備のものが余っているような場合にそれを有効使用することも可能である。
そして、受信器12の入力端子対の一方が受電端18における一方の接続点18Aで第二レール対5の一方のレール7に接続されるとともに、受信器12の入力端子対の他方が受電端18における他方の接続点18Bで第二レール対5の他方のレール6に接続されると、受電端18から交流信号を受信できるようになる。
直列共振回路部13&14は、直列共振回路13と直列共振回路14とからなり、中継箇所16に設けられる。
直列共振回路13,14は、何れも、共振周波数の交流信号は通過させるが、他の周波数成分や直流成分は通過させないものである。コイルとコンデンサとを直列に接続した基本構成の回路を図示したが、上記の機能を発揮する直列回路であれば、例えばスイッチなど他の構成のものであっても良い。
それらのうち直列共振回路14は中継箇所16において一端が接続点16Aでレール3に接続されるとともに他端が接続点17Aでレール7に接続され、直列共振回路13は中継箇所16において一端が接続点16Bでレール4に接続されるとともに他端が接続点17Bでレール6に接続される。そして、何れの直列共振回路13,14も、共振周波数の交流信号を第一レール対2から第二レール対5へ伝達するものとなる。
その共振周波数の交流信号がレール破断の検知に使用されるため、送信器11には、上記の共振周波数の交流信号を送出しうるものが採用される。
この実施例1のレール破断検知装置10について、その使用態様及び動作を、上述した図1を引用して説明する。
送信器11と送電端15とを上述のように接続するとともに、受信器12と受電端18をも上述のように接続し、更に直列共振回路部13&14についても上述のように接続すると、レール破断検知装置10を使用する準備が調う。
具体的には(図1の細い二点鎖線を参照)、送信器11の接続ラインと、送電端15の接続点15Aと、第一レール対2のレール3と、中継箇所16における接続点16Aと直列共振回路14と接続点17Aと、第二レール対5のレール7と、受電端18の接続点18Aと、受信器12の接続ラインと、受電端18の接続点18Bと、第二レール対5のレール6と、中継箇所16における接続点17Bと直列共振回路13と接続点16Bと、第一レール対2のレール4と、送電端15の接続点15Bと、送信器11の接続ラインとを一巡する通電経路が形成される。
その状態で、送信器11と受信器12とを稼動させると、送信器11から上記通電経路へ共振周波数の交流信号が送出されるとともに、その信号の受信が受信器12によって行われる。そして、第一レール対2と第二レール対5とのうち通電経路に含まれる部分にレール破断が無く列車の去来も無ければ、共振周波数の交流信号が受信器12に届いて適正レベルで検出されるので、レール破断の無いことが判明する。これに対し、第一レール対2と第二レール対5とのうち通電経路に含まれる部分にレール破断が有ると列車の去来が無くても、共振周波数の交流信号が受信器12に届かず適正レベルでは検出されないので、レール破断の生じていることが判明する。
本発明のレール破断検知装置の実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図2は、レール破断検知装置20の構造と使い方を示す図である。
レール破断検知装置20は、上述した実施例1のレール破断検知装置10について、破断検知対象を概ね二倍に拡大するために部分的な改造を施したものであり、相違点を中心に説明する。
主な相違点の一つ目は、中継箇所26が追加設定されて中継箇所が複数化されるとともに、中継箇所26に設置される直列共振回路部23&24が追加されたことである。この実施例では、新たな中継箇所26が、送電端15及び受電端18を間にして、既存の中継箇所16に対して(図では右側)、反対側に位置する(図では左側)。
直列共振回路部23&24は、直列共振回路23と直列共振回路24とからなり、直列共振回路23,24は、何れも上述した直列共振回路13,14と同様のもので良いが、共振周波数が異なっており、直列共振回路13,14が通過させる共振周波数f1の交流信号は直列共振回路23,24が通過させず、直列共振回路23,24が通過させる共振周波数f2の交流信号は直列共振回路13,14が通過させないようになっている。
それらのうち直列共振回路24は中継箇所26において一端が接続点26Aでレール3に接続されるとともに他端が接続点27Aでレール7に接続され、直列共振回路23は中継箇所26において一端が接続点26Bでレール4に接続されるとともに他端が接続点27Bでレール6に接続される。
そして、何れの直列共振回路23,24も、固有の共振周波数f2の交流信号を第一レール対2から第二レール対5へ伝達するものとなる。
レール破断検知装置20がレール破断検知装置10と異なる点の二つ目は、送信器11が送信器21になった点と、それに併せて制御装置22が追加された点である。
送信器21は、直列共振回路13,14の共振周波数f1の交流信号を送出することも、直列共振回路23,24の共振周波数f2の交流信号を送出することもできるものであり、それら複数の交流信号を重畳させて出力するようにして良く、単体で何れか一つの周波数を交互に選択するようにしても良いが、この例では、制御装置22から与えられた指令に応じて何れか一つの周波数を選択するようになっている。
制御装置22は、周波数を切り替える指令を自動で又は手動操作等に応じて作成するものであり、その指令を送信器21へ送出するようになっている。ここでは、二者択一の指令を作成できれば足りるので、簡素なスイッチ回路でも良い。
ここで複数の共振周波数f1,f2を制御装置22の指令に応じて使い分ける回路構成例を三つほど挙げるが(図3参照)、何れの構成でも、送信器21は、制御装置22の指令に応じて切り替わるスイッチSWを具備するとともに、共振周波数f1,f2の二種類の交流信号を生成できるか流用できるようになっている。
そして、一例目のものでは(図3(a)参照)、送信器21が制御装置22の指令に応じて信号出力を控えるか共振周波数f1の交流信号を出力するか共振周波数f2の交流信号を出力するか何れかを行うようになっており、受信器12は、直流はカットするが共振周波数f1,f2の何れも通過させるバンドパスフィルタBPFを具備している。この構成例では、制御装置22の指令を受信器12に与える必要がないうえ、受信器12のバンドパスフィルタBPFが一つなので、受信器12の構成が比較的簡素なもので済む。
また、二例目のものは(図3(b)参照)、送信器21が一例目と同様のものであるが、受信器12は、共振周波数f1だけ通過させるバンドパスフィルタBPF(f1)と、共振周波数f2だけ通過させるバンドパスフィルタBPF(f2)と、制御装置22の指令に応じて使用するバンドパスフィルタを切り替えるスイッチSWも具備している。この構成例では、送信器21から送信されている交流信号の共振周波数と異なる周波数のノイズを受信器12が受信しても誤検出に至る可能性が低い。
さらに、三例目のものは(図3(c)参照)、送信器21が共振周波数f1,f2の交流信号をミックスしてから制御装置22の指令に応じて送信するようになっており、受信器12は、共振周波数f1だけ通過させるバンドパスフィルタBPF(f1)と、共振周波数f2だけ通過させるバンドパスフィルタBPF(f2)とを具備していて、それらを同時に稼動させるとともに、それらの出力を並列で出力するようになっている。この構成例では、複数区間に係るレール破断検知を並行処理することができる。
なお、それらの例では、制御装置22の指令が送信器21にだけ送られて受信器12には送られないものと(図3(a),(c)参照)、制御装置22の指令が送信器21を経由して受信器12にも送られるものとを示したが(図3(b)参照)、送信器21と受信器12との双方に制御装置22の指令を送る場合は、受信器12を経由して送信器21にも送られるようにしても良く、受信器12と送信器21それぞれに対して制御装置22から送られるようにしても良い。
この実施例2のレール破断検知装置20について、その使用態様及び動作を、上述した図2を引用して説明する。
送信器21と送電端15とを上述のように接続し、受信器12と受電端18をも上述のように接続し、更に直列共振回路部13&14に加えて直列共振回路部23&24についても上述のように接続すると、レール破断検知装置20を使用する準備が調う。
追加された中継箇所26について詳述すると(図2の細い二点鎖線を参照)、送信器21の接続ラインと、送電端15の接続点15Aと、第一レール対2のレール3と、中継箇所26における接続点26Aと直列共振回路24と接続点27Aと、第二レール対5のレール7と、受電端18の接続点18Aと、受信器12の接続ラインと、受電端18の接続点18Bと、第二レール対5のレール6と、中継箇所26における接続点27Bと直列共振回路23と接続点26Bと、第一レール対2のレール4と、送電端15の接続点15Bと、送信器21の接続ラインとを一巡する通電経路が形成される。
その状態で、制御装置22と送信器21と受信器12とを稼動させると、そして、そのときに直列共振回路13,14の共振周波数を選択する指示が制御装置22から送信器21へ送られると、送信器21から中継箇所16経由の通電経路と中継箇所26経由の通電経路とに向けて直列共振回路13,14の共振周波数の交流信号が送出されるとともに、その信号の受信が受信器12によって行われる。
そのときの交流信号は中継箇所26では遮断されて中継箇所16だけを通過するので、第一レール対2のうち送電端15と中継箇所16との間に位置する部分と、第二レール対5のうち受電端18と中継箇所16との間に位置する部分とについて、受信器12の受信レベルに応じてレール破断の有無を確認することができる。
これに対し、制御装置22と送信器21と受信器12とを稼動させたときに、直列共振回路23,24の共振周波数を選択する指示が制御装置22から送信器21へ送られると、やはり送信器21から中継箇所16経由の通電経路と中継箇所26経由の通電経路とに向けて直列共振回路23,24の共振周波数の交流信号が送出されるとともに、その信号の受信が受信器12によって行われる。
そのときの交流信号は中継箇所16では遮断されて中継箇所26だけを通過するので、第一レール対2のうち送電端15と中継箇所26との間に位置する部分と、第二レール対5のうち受電端18と中継箇所26との間に位置する部分とについて、受信器12の受信レベルに応じてレール破断の有無を確認することができる。
こうして、レール破断検知装置20にあっては、上述した10と同じく一組の送受信器しか装備していないにも関わらず、そして、送信器21及び受信器12が図3(a),(b)の構成のときには時分割であり、送信器21及び受信器12が図3(c)の構成のときには連続的であるが、いずれにしても、レール破断検知装置10のときと比べると概ね二倍に増えた範囲について、レール破断状態を検知することができる。
本発明のレール破断検知装置の実施例3について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図4は、レール破断検知装置30の構造と使い方を示す図である。
レール破断検知装置30は、上述したレール破断検知装置10の破断検知対象区間(図1のD2,D3を参照)を、区間1と区間2と区間3とに細分化するために(図4参照)、上述した実施例2のレール破断検知装置20について(図2参照)、部分的な改造を施したものである(図4参照)。以下、その相違点を中心に説明する。
レール破断検知装置30が上述したレール破断検知装置20と相違するのは、中継箇所16,26に加えて中継箇所36が追加された点と、それらの中継箇所16,26,36が送電端15及び受電端18の一方(図では右方)に並べられて送電端15及び受電端18からみて近くから遠くへ適宜な間隔を保って配置されるようになっている点と、制御装置22が判定手段も具備した制御装置32になっている点である。
中継箇所36には、直列共振回路33と直列共振回路34とからなる直列共振回路部33&34が設けられており、直列共振回路33,34は、何れも上述した直列共振回路13,14や直列共振回路23,24と同様のもので良いが、それら三組の直列共振回路では互いに共振周波数が異なっている。
それらの直列共振回路33,34は、中継箇所16,26と同様に、中継箇所36の接続点36A,36Bで第一レール対2に接続され、中継箇所36の接続点37A,37Bで第二レール対5に接続されるようになっている。
そして、そのように接続されると、繰り返しとなる詳細で煩雑な説明は割愛して簡潔に説明するが、送信器21から送電端15と第一レール対2と中継箇所16と第二レール対5と受電端18とを経由して受信器12に戻る区間1対応の通電経路と、送信器21から送電端15と第一レール対2と中継箇所26と第二レール対5と受電端18とを経由して受信器12に戻る区間1~2対応の通電経路と、送信器21から送電端15と第一レール対2と中継箇所36と第二レール対5と受電端18とを経由して受信器12に戻る区間1~3対応の通電経路とが形成されるようになっている。この場合、区間1対応の通電経路は区間1において区間1~2対応の通電経路と区間1~3対応の通電経路とに対して部分的に重複したものとなり、区間1~2対応の通電経路は区間1と区間2とにおいて区間1~3対応の通電経路に対して部分的に重複したものとなる。
制御装置32は、受信器12から受信信号をそのまま又はレベル抽出した信号値などを入力するようになっており、更にその受信レベルに基づいて送信器21から受信器12への通電状態が正常状態であるか異常状態であるかを判別する判定手段も追加されているので、そのような処理に適したマイクロプロセッサ等の情報処理装置が採用されている。
その判定手段は、区間1対応の通電経路と区間1~2対応の通電経路と区間1~3対応の通電経路とについて受信レベルが適正であれば区間1~3の全域で通電状態が正常でありレール破断が無いと判定するが、何れかで受信レベルが適正でないときには、通電状態が異常であると判定するが、区間毎に細分化して判別するようにもなっている。
具体的には、区間1対応の通電経路(解決手段3の第1通電経路)に係る送信器21から受信器12への通電状態が異常状態であったときには、区間1対応の通電経路についてはレール破断の異常があると判定するとともに、区間2~3対応の通電経路(解決手段3の残部経路)についてはレール破断が有るのか無いのか不明であると判定するようになっている。
また、区間1対応の通電経路(解決手段4の第1通電経路)に係る送信器21から受信器12への通電状態は正常状態であるが、区間1~2対応の通電経路(解決手段3の第1通電経路)に係る送信器21から受信器12への通電状態が異常状態であるときには、区間1対応の通電経路(解決手段4の第1通電経路)についてはレール破断が無い正常状態であると判定するとともに、区間2対応の通電経路(解決手段4の残部経路および解決手段3の第1通電経路)についてはレール破断の異常があると判定し、更に区間3対応の通電経路(解決手段3の残部経路)についてはレール破断が有るのか無いのか不明と判定するようになっている。
さらに、区間1~2対応の通電経路(解決手段4の第1通電経路)に係る送信器21から受信器12への通電状態は正常状態であるが、区間1~3対応の通電経路に係る送信器21から受信器12への通電状態が異常状態であるときには、区間1~2対応の通電経路(解決手段4の第1通電経路)についてはレール破断が無い正常状態であると判定するとともに、区間3対応の通電経路(解決手段4の残部経路)についてはレール破断の異常があると判定するようになっている。
この実施例3のレール破断検知装置30について、その使用態様及び動作を、上述した図4を引用して説明する。
送信器21と送電端15とを上述のように接続し、受信器12と受電端18をも上述のように接続し、更に直列共振回路部13&14,23&24に加えて直列共振回路部33&34についても上述のように接続すると、レール破断検知装置30を使用する準備が調う。
そして、レール破断検知装置30を稼動させると、繰り返しとなる煩雑な説明は割愛して簡潔に述べると、区間1対応の通電経路に対する送受信と、区間1~2対応の通電経路に対する送受信と、区間1~3対応の通電経路に対する送受信とが、適宜なタイミングで切り替えられながら繰り返し行われる。
そして、上述したように、第一レール対2及び第二レール対5のうち区間1に属する部分と、第一レール対2及び第二レール対5のうち区間2に属する部分と、第一レール対2及び第二レール対5のうち区間3に属する部分とについて、レール破断の無い正常状態なのか、レール破断の異常がある状態なのか、レール破断が有るのか無いのか不明な状態なのかが判別される。
そのため、レール破断検知対象範囲を区間1と区間2と区間3とに細分化してレール破断の発生状況が検出される。
本発明のレール破断検知装置の実施例4について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図5は、レール破断検知装置40の構造と使い方を示す図である。
また、図6は、区間2を含む範囲の軌道を列車が通り抜けたときに区間2に係る測定によって得られた受信信号のレベル変動を示す画面表示例であり、(a)が正常レールを列車が走行したときの受信信号のレベル変動を示し、(b)が破断レールを列車が走行したときの受信信号のレベル変動を示している。
レール破断検知装置40は、上述したレール破断検知装置20を改造したものであり、上述したように送電端15から第一レール対2へ交流信号を送出する送信器21と、第二レール対5から受電端18を介して交流信号を受信する受信器12と、中継箇所16において第一レール対2と第二レール対5とに対して交流信号を中継する直列共振回路部13&14と、中継箇所26において第一,第二レール対2,5に対して交流信号を中継する直列共振回路部23&24とを備えている。
また、レール破断検知装置40は、制御装置22の機能を強化した制御装置32の機能を更に強化した制御装置42と、それと一体化しても良いが本例では他のレール破断検知装置や列車運行管理用装置などと連動しやすいように場合によっては一体化しやすいように制御装置42とは別体のコンピュータ等で構成された情報処理装置43をも具備したものとなっている。
制御装置42は、上述した切替手段や判定手段に加えて、計時用の時計と、所定周期で受信器12から受信信号を入力してその値そのままかレベル値を情報処理装置43へ随時電送するデータ送信手段とを具備している。
情報処理装置43は、計時用の時計と、図示しない外部の列車運行管理用装置などから第一レール対2と第二レール対5とに係る列車位置情報を取得する列車位置情報取得手段と、制御装置42からデータ送信手段にて電送されて来たデータ即ち上述した受信器12の受信値と上述した列車位置情報と時刻情報とを組データにしてそれを時系列で次々に蓄積するデータ保持手段と、その蓄積された組データの系列について時刻情報を基準として単純に時系列で読み出す時系列基準データ処理と組データに対して変換処理を施して読み出す位置系列基準データ処理とのうち何れかのデータ処理を選択的に行うデータ処理手段と、それで読み出された一連の組データを波形図風にして画面に表示する画面表示手段と、制御装置42の時計の時刻と情報処理装置43の時計の時刻とを合わせる時刻調整機能とを具備している。
それらの手段はソフトウェアを多用して該当機能が具現化されており、データ処理手段による時系列基準データ処理では、組データの系列に含まれる時刻値が基本的に昇順になっているので而も大抵は増分一定なので指定時刻範囲等の該当分を並び順に読み出すことで足りるが、データ処理手段による位置系列基準データ処理では、列車の走行速度が変化したり場合によって列車が行きつ戻りつすることもあるので、位置の値の大小に応じて組データの並びを入れ替えたり適宜な補間演算を行ったりして、組データの系列において前後の組データについて列車位置の変化分が一定になるように変換処理が施される。
この実施例4のレール破断検知装置40について、その使用態様及び動作を、上述した図5,図6を引用して説明する。
送信器21の出力する交流信号の周波数を切り替えて図5の区間2と区間3とについて交互に受信器12の受信信号のレベル変化ひいては該当区間のレール破断状態を調べることができるのは上述した通りなので、以下、列車位置情報と受信レベルとの組データの系列とに基づいてなされる画面表示について説明する。
位置系列基準データ処理が施された組データの画面表示では(図6参照)、適宜な基準位置からの距離(例えばkm単位)などで通過列車の位置が横軸に表示され(図6では図5との対応付けのため2A,2B等の符号を代用表示)、縦軸には受信レベル変動量がとられ、例えば正常時からの減衰量が対数的(dB単位)に表示される。
先ず、区間2,3の何れにもレール破断が無い状態では、列車9が通過区間2,3の何れを通過したときも画面表示波形が同様のものとなる。
例えば区間2がレール破断検知対象にされて通電中の線路を列車9が通過したときに得られたデータに基づく画面表示波形は(図6(a)参照)、列車9が第一レール対2を走行したときも第二レール対5を走行したときも同様になるが、ここでは、列車9が第一レール対2を区間1,2,3の順に走行したときの状態を詳述する。
列車9が区間2の一方の隣接区間1へ走行して来ると、そこでは列車9が中継箇所26に近づくにつれて(図5の列車位置2A参照)、交流信号が区間2の通電経路から分流して列車9の車軸で短絡されることによって生じる受信レベルの低下が徐々に増加する(図6(a)の左部分の右下がり波形部分を参照)。
そして、列車9が中継箇所26を通過して区間2に入ると、その間は(図5の列車位置2B参照)、受信レベルが大きく低下したままになる(図6(a)の中央の略一定の波形部分を参照)。
それから、列車9が送電端15を通過して区間3に入ると、それ以後は(図5の列車位置2C,2Dを参照)、車軸短絡への分流による受信レベルの低下が徐々に減少して受信レベルが正常値に戻る(図6(a)の右部分の右上がり波形部分を参照)。
列車9が第二レール対5を走行して区間2を通過したときも、レール破断が無ければ、走行方向が逆になることや(図5の列車位置5D,5C,5B,5A参照)、区間2,3の境界が厳密には送電端15から受電端18になるといった現場での相違はあるが、列車位置基準の画面表示はほとんど同じになる(図6(a)参照)。
これに対し、レール破断が生じると、例えば区間3において第二レール対5に破断(5X)が生じたとすると(図5参照)、対応する画面表示波形が変わってくる。
順を追って詳述すると、区間2がレール破断検知対象にされて該当部分が通電されている第二レール対5を列車9が通過したときに得られたデータに基づく画面表示波形は(図6(b)参照)、列車9が区間3のうち破断箇所5Xより手前にいて区間2に対して破断箇所5Xより遠い状態では(図5の列車位置5Dを参照)、車軸短絡への分流による受信レベルの低下が無いか有っても小さいので、受信レベルがほぼ正常値になる(図6(b)の右端部分の水平な波形部分を参照)。
そして、列車9が破断箇所5Xを越えて区間2に近づくと(図5の列車位置5Cを参照)、車軸短絡への分流が一気に発生するため、受信レベルが急激に低下する(図6(b)の右部分の垂直な波形部分を参照)。
それからは、列車9が受電端18に近づくにつれて車軸短絡への分流による受信レベルの低下が徐々に増加する(図6(a)の右部分の左下がり波形部分を参照)。
そして、列車9が受電端18を通過して区間2に入ると(図5の列車位置5Bを参照)、その間は、傾きが少し出るものの受信レベルが大きく低下したままになり(図6(b)の中央の波形部分を参照)、列車9が中継箇所26を通過して区間1に入ると、それ以後は(図5の列車位置5Aを参照)、車軸短絡への分流による受信レベルの低下が徐々に減少して受信レベルが正常値に戻る(図6(b)の左部分の左上がり波形部分を参照)。
このように、レール破断を検知している区間の外であって近い箇所にレール破断が生じると(図5参照)、そこの受信レベルに特有の急峻な変動が発現するので、その位置を画面で確認することで容易に破断箇所5Xを特定することができる(図6(b)参照)。
また、この構成では(図5参照)、検知対象区間を区間2から区間3に切り替えることができるので、検知対象区間が区間3になっているときに取得しておいた組データの系列から区間3等の列車通過時のデータを選出して、受信レベル変動の画面波形を調べることで、隣の区間2の破断箇所を特定することもできる。
[その他]
上記の実施例4では、列車走行位置基準の画面表示を例示したが(図6参照)、図示のように明瞭な波形が示されず波形が不自然に乱れているときには、時刻情報基準の画面表示に切り替えて、該当箇所における受信レベル変動を時系列で確認すると良い。
通過列車が速度を急に変えたり更には行きつ戻りつしたような場合などには、列車走行位置基準の画面表示波形が不連続になったりするので、誤判定の回避に役立つ。
上記の実施例4では、時々刻々変化する列車の走行位置を示す列車位置情報を取得する列車位置情報取得手段が設けられていたが、そのような列車位置情報が得られない状況では、列車位置情報より大まかな例えば区画単位でしか列車の有無を把握できない列車在線情報であっても取得できるのであれば、その列車在線情報を取得する列車在線情報取得手段を列車位置情報取得手段に代えて設けても良い。
そうすることによりレール破断箇所を区画単位で推定することが可能になる。
上記の実施例4では、データ処理手段が組データの系列において前後の組データについて列車位置の変化分が一定になるように組データに対して変換処理を施す時期が、画面表示に先立って組データをデータ保持手段から読み出したときになっていたが、その時期は必須なものでなく、組データをデータ保持手段に保持させるときに上述の変換処理が実行されるようになっていても良い。
上記の実施例4では、図2のレール破断検知装置20をベースにしてレール破断検知装置40を構成したが、図4のレール破断検知装置30をベースにしてレール破断検知装置40を構成することも可能であり、その場合、区間3についてレール破断が検出されたときには区間1,2に係るレール破断検知時の組データに上述のデータ処理と画面表示とを適用することにより、区間3におけるレール破断の位置を推定することができる。
また、図1のレール破断検知装置10をベースにしてレール破断検知装置40を構成することも可能であり、その場合、通電経路に係るレール破断検知時の組データに上述のデータ処理と画面表示とを適用することにより、通電経路の隣に位置するレール部分にレール破断が有ればその位置を推定することができる。
本発明のレール破断検知装置は、上述したように列車検知機能が必須で無い環境で使用されるようになったことを勘案して主にコストダウンを図ったものであるが、軌道回路方式を踏襲していて、軌間短絡を検出する能力があるので、軌道上にモーターカーなどが置き忘れられているといった状態の検出に役立つこともある。
2…第一レール対、 3,4…レール、
5…第二レール対、 6,7…レール、 9…列車、
10…レール破断検知装置、
11…送信器、 12…受信器、
13…直列共振回路(直列共振回路部)、
14…直列共振回路(直列共振回路部)、
15…送電端、 15A,15B…接続点、
16…中継箇所、 16A,16B,17A,17B…接続点、
18…受電端、 18A,18B…接続点、D1,D2,D3…離隔距離、
20…レール破断検知装置、
21…送信器、 22…制御装置、
23,24…直列共振回路(直列共振回路部)、
26…中継箇所、 26A,26B,27A,27B…接続点、
30…レール破断検知装置、
32…制御装置、 33,34…直列共振回路(直列共振回路部)、
36…中継箇所、 36A,36B,37A,37B…接続点、
40…レール破断検知装置、
42…制御装置、 43…情報処理装置

Claims (7)

  1. 並走する複数のレール対のうち何れか一つの第一レール対について設定された送電端において前記第一レール対に接続されると前記送電端から信号送信を行う送信器と、受信器とを備えたレール破断検知装置において、
    前記受信器が前記の複数のレール対のうち何れか他の一つの第二レール対について設定された受電端において前記第二レール対に接続されると前記受電端から信号受信を行うようになっており、前記第一レール対と前記第二レール対との双方について設定された中継箇所において前記の両レール対の双方に接続されると共振周波数の交流信号を前記第一レール対から前記第二レール対へ伝達する直列共振回路部が具備されており、前記送信器が前記共振周波数の交流信号を送出しうるものであり、前記送信器と前記中継箇所との離隔距離が前記送信器と前記受信器との離隔距離よりも大きく、前記受信器と前記中継箇所との離隔距離も前記送信器と前記受信器との離隔距離より大きいことを特徴とするレール破断検知装置。
  2. 前記中継箇所と前記直列共振回路部とが複数具備されており、それら複数の直列共振回路部で共振周波数が互いに異なっており、それら複数の共振周波数の交流信号を前記送信器が択一的に送出しうるようになっていることを特徴とする請求項1記載のレール破断検知装置。
  3. 前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第1通電経路が、前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか他の一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第2通電経路に対して、部分的に重複しているものとして、前記第1通電経路に係る前記送信器から前記受信器への通電状態が異常状態であると、前記第1通電経路については異常状態であると判定するとともに、前記第2通電経路から前記第1通電経路の重複部分を除いた残部経路については不明と判定する判定手段が設けられている、ことを特徴とする請求項2記載のレール破断検知装置。
  4. 前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第1通電経路が、前記送信器から前記第一レール対と前記中継箇所の何れか他の一つと前記第二レール対とを経由して前記受信器に至る第2通電経路に対して、部分的に重複しているものとして、前記第1通電経路に係る前記送信器から前記受信器への通電状態が正常状態であって前記第2通電経路に係る前記送信器から前記受信器への通電状態が異常状態のときには、前記第1通電経路については正常状態であると判定するとともに、前記第2通電経路から前記第1通電経路の重複部分を除いた残部経路に異常が生じていると判定する判定手段が設けられている、ことを特徴とする請求項2記載のレール破断検知装置。
  5. 前記第一レール対および前記第二レール対に係る列車在線情報を取得する列車在線情報取得手段と、前記列車在線情報と前記受信器の受信値との組データを時系列で保持するデータ保持手段とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載されたレール破断検知装置。
  6. 前記組データを前記データ保持手段に保持させるときに又は前記組データをデータ保持手段から読み出したときに前記組データの系列において前後の組データについて列車位置の変化分が一定になるように前記組データに対して変換処理を施すデータ処理手段が設けられていることを特徴とする請求項5記載のレール破断検知装置。
  7. 前記組データを波形図で画面表示する手段が設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載されたレール破断検知装置。
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