JP2023181823A - レール破断検知装置 - Google Patents

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Tomohiro Kanaya
俊輔 白井
Shunsuke Shirai
尚知 中原
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Abstract

【課題】鉄道の軌道をなすレール対の左右レールを適宜短絡してインピーダンスボンドを不要にした軌道回路に対して帰線電流とは異なる検査信号を流してレールの破断状態と列車在線の有無とを検出しうるレール破断検知装置を実現する。【解決手段】レール対11&12等に付設された区間端短絡ライン22等や区間内短絡ライン21aa等と、該ラインに接続された巡回電路形成部材30と、該ラインに検査信号を送出する送信部40と、ライン21aa等から検査信号の分流信号k1等を測定する計測部81等と、不平衡化手段25とを備え、対をなす分流信号k1&k2等の測定値から不平衡率αを算出する判定部82等が、不平衡率αの経時変化から時間当たり変化率γを算出し、更に、それらα,γの変化に応じて在線状態と非在線状態とレール破断状態とのうち何れか一つの状態を選ぶようにする。【選択図】 図1

Description

この発明は、列車が走行するためのレールについてその破断状態と列車等の在線状態とを検出するレール破断検知装置に関する。
詳しくは、レール対からなる鉄道の軌道における通電区間の通電状態に基づいて該当区間に係るレール破断状態や列車在線状態を判別するレール破断検知装置に関する。
更に詳しくは、レール対の左右レールを適宜通電可能にしてインピーダンスボンドを不要にした軌道回路に対して電車走行時の帰線電流(電車電流,電気車電流)とは異なる検査信号を流してレールの破断状態に加え列車在線の有無をも検出しうるレール破断検知装置に関する。
なお、レール破断状態を示す情報としては、左右のレール(海側レール/山側レール,)に係る二つの測定値について「差を和で割った不平衡率α」や「電圧比をデシベルで表した平衡度」が典型的であるが、軌道回路の平衡状態・不平衡状態の具合・程度を表す物理量・数値であれば例えば両測定値の差など他の算出値であっても良いので、それらを総称して本願では「平衡状態値」や「平衡状態値k0」などと呼ぶ。
軌道回路を使用した従来のレール破断検知装置は(例えば非特許文献1参照)、帰線電流の流れていない夜間や架線停電時でもレール破断を検出することができるという利点があるものの、軌道の検知対象区間に対して一方の区間端から信号を送信して該信号を左右レールで一巡的に伝達させながら他方の区間端で受信することで軌間電圧の有無すなわち左右レール間の電圧の有無を調べてレール破断検知を行うものなので、左右のレールを単純に短絡することが出来ないという制約がある。
そのため、無線の使用等にて軌道回路を用いないで列車検知を行う列車制御システムを導入する際には、インピーダンスボンドの無い又は不要な無絶縁軌道回路に対しても使用することができるレール破断検知装置が望ましい。
そこで、左右のレールを帰線電流に対して適宜短絡してインピーダンスボンドを不要にした軌道回路に帰線電流とは異なる検査信号を流してレール破断状態を検出しうるレール破断検知装置を実現することが望まれていた。
もっとも、無線等利用にてインピーダンスボンド不要になった列車制御システムであっても、制御対象から外れがちな保守用車の置き忘れなども防ぐことが望まれることから、レール破断状態の検出にとどまらず、列車や保守用車の在線の有無をも簡便かつ適切に検出できるようにすることも望まれる。
そして、そのような要望を解決するものとして、レール破断の有無に加えて列車在線の有無をも簡便に検出しうるレール破断検知装置が開発されている(例えば特許文献1,2参照)。
本願発明は、そのようなレール破断検知装置の更なる改良に係るものなので、本欄においては、先ず、従前の改良を施した単線用の公知なレール破断検知装置20を説明し(例えば特許文献1,2の実施例1も参照)、次いで、やはり従前の改良を施した複線用の公知なレール破断検知装置70を説明する(例えば特許文献1の実施例5や特許文献2の実施例4も参照)。
[単線用の公知改良例1]
単線用の公知改良例1であるレール破断検知装置20について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図6(a)は、鉄道の軌道の典型例である複線10における四本のレール11~14の配置例を示している。また、図6(b)は、下りの単線部分(11&12)に設置されたレール破断検知装置20に係る概要ブロック図であり、図6(c)は、その計測部50と判定部60とに係る詳細ブロック図である。さらに、図7は、分流信号i1,i2の測定値k1,k2に基づいて得られる平衡状態値k0を軌道回路の不平衡率α(=|k1-k2|/(k1+k2)×100%)で示す模式図である。
レール破断検知装置20の設置先である鉄道の軌道は、下り線と上り線とが少し離れて並走する複線10が典型的なものであり(図6(a)参照)、そのうち下り線は、山側(進行列車からは左側)のレール11と海側(進行列車からは右側)のレール12とが並走するレール対11&12からなり、上り線は、山側(進行列車からは右側)のレール13と海側(進行列車からは左側)のレール14とが並走する別レール対13&14からなる。なお、単線では、何れか一方のレール対だけが設けられていて、それが上り下りに共用され、複々線等ではより多くのレール対が設けられていて、それらが使い分けられる。
レール破断検知装置20は(図6(b)参照)、複線10のうちレール対11&12に対して適用された基本構成のものであり、レール対11&12の複数箇所に例えば1kmといった適宜距離だけ離れて付設された複数の区間端短絡ライン21,22と、そのうちの区間端短絡ライン21に付設された不平衡化手段25と、一端が区間端短絡ライン21に接続され他端が区間端短絡ライン22に接続された巡回電路形成部材30と、この巡回電路形成部材30に対して検査信号i0を送出する送信部40と、巡回電路形成部材30を接続された区間端短絡ライン22のうち巡回電路形成部材30の接続箇所22cで両側に分けられる部分ライン22a,22bそれぞれについて検査信号i0に係る一対の分流信号i1,i2を測定する計測部50と、それらの測定値k1,k2から算出された平衡状態値k0に基づいてレール破断に係る判定を行う判定部60とを備えている。
区間端短絡ライン21は(図6(b)参照)、電線や銅板などの良導体からなり、一端が区間端11aの所でレール11に接続され、他端が区間端12aの所でレール12に接続されていて、区間端11a,12aの所で左右レール11,12を短絡するものとなっている。この区間端短絡ライン21には接続箇所21cの所で巡回電路形成部材30の一端が接続されていて、区間端短絡ライン21は、レール11の区間端11a寄りの部分ライン21aと、レール12の区間端12a寄りの部分ライン21bとに分けられる。
区間端短絡ライン22は(図6(b)参照)、これも良導体からなり、一端が区間端11bの所でレール11に接続され、他端が区間端12bの所でレール12に接続されていて、区間端11b,12bの所で左右レール11,12を短絡するものとなっている。この区間端短絡ライン22には接続箇所22cの所で巡回電路形成部材30の他端が接続されていて、区間端短絡ライン22は、レール11の区間端11b寄りの部分ライン22aと、レール12の区間端12b寄りの部分ライン22bとに分けられる。
巡回電路形成部材30は(図6(b)参照)、絶縁被覆された電線からなり、中間部位に送信部40の出力部が接続されている。その接続箇所で巡回電路形成部材30を二つの巡回電路形成ライン31,32に分けて、巡回電路形成部材30の両端部の接続状態を説明し直すと、一方の巡回電路形成ライン31は、上述した接続箇所21cの所で区間端短絡ライン21に接続され、他方の巡回電路形成ライン32は、上述した接続箇所22cの所で区間端短絡ライン22に接続されている。
そして、巡回電路形成部材30の一方31と区間端短絡ライン21の部分ライン21aとレール11と区間端短絡ライン22の部分ライン22aと巡回電路形成部材30の他方32とによって、検査信号i0のうち分流信号i1を流す一巡電路が形成されて、レール11のうち区間端11a,11bの間に位置する部分が検査区間11cになる。
また、巡回電路形成部材30の一方31と区間端短絡ライン21の部分ライン21bとレール12と区間端短絡ライン22の部分ライン22bと巡回電路形成部材30の他方32とによって、検査信号i0のうち分流信号i2を流す一巡電路が形成されて、レール12のうち区間端12a,12bの間に位置する部分が検査区間12cになる。
送信部40は(図6(b)参照)、帰線電流とは異なる検査信号i0を巡回電路形成部材30に対して送出するものであるが、検査信号i0が巡回電路形成部材30の先で二つの分流信号i1,i2に分かれるので、レール11側の一巡電路(31,21a,11c,22a,32)に分流信号i1を流すとともに、レール12側の一巡電路(31,21b,12c,22b,32)に分流信号i2を流すものとなっている。
架線は直流電化か交流電化(商用周波数)しかないため、帰線電流には直流や商用周波数(50Hz,60Hz)の交流が用いられるので、それよりも周波数が高くて周波数弁別が容易な交流信号が検査信号i0に適しているが、検査信号i0は、それに限定される訳でなく、帰線電流から弁別可能に異なるものであれば良い。
計測部50は(図6(b),(c)参照)、巡回電路形成部材30を接続された区間端短絡ライン22のうち接続箇所22cからレール11へ至る側の部分ライン22aに付設されていて部分ライン22aひいてはレール11側の一巡電路(31,21a,11c,22a,32)を流れる分流信号i1を測定する電流プローブ51(電流センサ,カレントトランスなど)と、区間端短絡ライン22のうち接続箇所22cからレール12へ至る側の部分ライン22bに付設されていて部分ライン22bひいてはレール12側の一巡電路(31,21b,12c,22b,32)を流れる分流信号i2を測定する電流プローブ52(電流センサ,カレントトランスなど)と、電流プローブ51の測定値k1(測定信号)と電流プローブ52の測定値k2(測定信号)とから平衡状態値k0(算出値)を求める算出部53~57とを具備したものである。
さらに、それらのうち算出部53~57は(図6(c)参照)、測定信号の状態で即ち検波等で交流を直流化する前のアナログ信号のまま処理することで測定値k1,k2の和電流を生成する加算部53と、やはり測定信号の状態で測定値k1,k2の差電流を生成する減算部54と、加算部53の和電流から検波等の処理を行って測定値k1,k2の加算値である和(k1+k2)を得る受信部55と、減算部54の差電流から検波等の処理を行って測定値k1,k2の減算値の絶対値である差|k1-k2|を得る受信部56と、上記の差|k1-k2|を上記の和(k1+k2)で割るという演算を行って平衡状態値k0(軌道回路の平衡度)の典型例である不平衡率αを算出する平衡状態値算出部57とを具備している。
判定部60は(図6(c)参照)、それらの測定値k1,k2から得られた平衡状態値k0具体的には不平衡率αを用いてレール破断と列車在線とに係る判定を行うために、分流信号i1,i2に係る不平衡状態がどのようになっているのかを判別する状態判別部61と、平衡状態も含む不平衡状態に係る現在の状態や直前から現在への状態遷移などに応じて「レール破断の有無」及び「列車在線の有無」に係る決定を行う決定部62とを具備している。これらの決定部62や状態判別部61更には上述の平衡状態値算出部57の具現化は、アナログ回路でもデジタル回路でもマイクロプロセッサ組込回路でも良い。
不平衡化手段25は(図6(b)参照)、対をなす分流信号i1,i2に係る平衡状態・不平衡状態がレール破断も列車在線も無い状態では所定の設定不平衡状態になるようにしておくためのものであり、区間端短絡ライン21の接続状態を不均等にする手法や区間端短絡ライン21にインピーダンス部材を介挿するといった公知のもので足りるので(例えば特許文献1の図3や特許文献2の図2参照)、ここでは図示を割愛したが、コイル等のインダクタンス部材の介挿が実施し易い。この手段による不平衡化の程度は、レール11,12の長さや材質などに起因して生じたレール11の検査区間11cのインピーダンスとレール12の検査区間12cのインピーダンスとの差による内在的な不平衡状態よりも大きくされる。
このような不平衡化手段25を具備したレール破断検知装置20における判定部60の判定手法について詳述する。図7は、分流信号i1,i2の測定値k1,k2に基づいて得られる平衡状態値k0を、より具体的には軌道回路の不平衡率α={|k1-k2|/(k1+k2)}を、百分率(パーセント%)で表示したものである。また、図7に示された複数の不平衡状態については、それぞれが幅を持つとともに、隣り合う不平衡状態の間には或る程度の間隙が確保されている。後者の間隙は、それを越えて他の不平衡状態に入るまでは状態遷移を認めないことで、状態遷移の認定・判定にヒステリシス特性を持たせ、それによって状態遷移の過剰検出を抑制可能にするためのものである。
数値例を交えて具体的に説明すると、レール破断が全く無く列車在線も無い状態では、不平衡化手段25の設定に対応した分だけ分流信号i1が分流信号i2より小さくなり、やはりその不平衡化設定対応分だけ測定値k1が測定値k2より小さくなり、平衡状態値k0が約12%になるので(図7の太い実線のうち列車非在線時に該当する左右両側部分を参照)、それを含む10.6%~14.4%の範囲に不平衡率α(平衡状態値k0)が入ると、「不平衡化手段25の不平衡化に対応した設定不平衡状態」になったと決定する。
その後は、不平衡率α(平衡状態値k0)が15.1%以上になって「設定不平衡状態よりも不平衡度合の大きい大不平衡状態」へ遷移した場合はレール破断とし、不平衡率α(平衡状態値k0)が9.9%以下になって「設定不平衡状態よりも不平衡度合の小さい小不平衡状態」へ遷移した場合は列車在線と判定するようになっている。
その状態で例えばレール12の検査区間12cにレール破断が発生して、レール破断が有り列車在線が無い状態になった場合は、上述の不平衡化設定対応分を超えて大きく分流信号i1が分流信号i2を上回り、同様に測定値k1が測定値k2を大きく上回って、不平衡率α(平衡状態値k0)が約40%を超えるので(図7の一点鎖線のうち列車非在線時に該当する左右両側部分を参照)、その場合は上述の「大不平衡状態」になったと決定するようになっている。
また、図示は割愛したが、レール11の検査区間11cが破断したときには、上述の不平衡化設定対応分を超えて分流信号i2が分流信号i1より大きくなり、不平衡率α(平衡状態値k0)の値が約30%になるので(図7の二点鎖線のうち列車非在線時に該当する左右両側部分を参照)、やはり上述した「大不平衡状態」になったと決定するようになっている。
なお、レール11,12が共に破断したときには、分流信号i1,i2の和である検査信号i0が一定値など所定値に達しないため、測定値k1,k2の和k1+k2も所定値から外れてしまうので、それを別に検出することで判別することができる。
以上は列車在線が無い状態におけるレール破断の状況に応じた判定手法であるが、列車15が検査区間11c,12cに存在しているときには、以下のように判定するようになっている。
先ず、レール破断が無いときは、不平衡化手段25による影響を緩和する向きに列車15の車軸を介して迂回電流idが流れて、分流信号i1と分流信号i2との差が小さくなり、測定値k1,k2が近づいて、平衡状態値k0が約5%になるので(図7の太い実線のうち列車在線時に該当する中央部分を参照)、それを含む0%~9.9%の範囲に不平衡率α(平衡状態値k0)が入ると、上述した「小不平衡状態」になったと決定する。
また、レール破断が有っても列車15が破断箇所と計測側(22)との間に在線しているときには、破断側の分流信号i2が列車15の車軸を介して他のレール11に流れて他の分流信号i1へ合流する。このように分流信号i1,i2が不平衡化手段25を迂回して流れるため、分流信号i1,i2ひいては測定値k1,k2に大差が生じないので、上述の「小不平衡状態」になる。
これに対し、列車15が破断箇所と非計測側(21)との間に在線しているときには、破断側の分流信号i2の流れが阻害されるので、上述の「大不平衡状態」になる。
そして、このような場合分けに基づいて、判定部60は、分流信号i1,i2の値から求めた不平衡率α(平衡状態値k0)が「設定不平衡状態」にあると判別したときにはレール対11&12の検査区間11c,12cが『レール破断が無く列車在線も無い状態』にあると決定し、分流信号i1,i2の値が「大不平衡状態」にあると判別したときにはレール対11&12の検査区間11c,12cが『レール破断が有り列車在線が不明な状態』にあると決定し、分流信号i1,i2の値が「小不平衡状態」にあると判別したときにはレール対11&12の検査区間11c,12cが『列車が在線している状態』にあると決定するようになっている。
このような構成からなる単線用の公知改良例1のレール破断検知装置20について、その使用態様及び動作を説明する。
列車がレール対11&12の検査区間11c,12cに在線していない場合のうち、レール破断の無い正常状態では、左右のレールに元から存在していたインピーダンスのバラツキによる謂わば内在不平衡より不平衡化手段25の不平衡化の方が明確に大きくて、分流信号i1,i2から得られた不平衡率α(平衡状態値k0)が12%近傍の「設定不平衡状態」になるので(図7の太い実線のうち列車非在線時に該当する左右両側部分を参照)、『レール破断が無く列車在線も無い状態』という的確な判定が出る。
列車がレール対11&12の検査区間11c,12cに在線していない場合のうち、レールが破断した状態では、レール破断の発生したレール12には僅かな電流しか流れないため、不平衡化手段25の不平衡化を超える大きな不平衡が発現して、分流信号i1,i2から得られた不平衡率α(平衡状態値k0)が30%や40%を超える「大不平衡状態」になるので(図7の一点鎖線や二点鎖線のうち列車非在線時に該当する左右両側部分を参照)、『レール破断が有る状態』というレール破断確定の判定が出る。
列車がレール対11&12の検査区間11c,12cに在線している場合のうち、レール破断の無い正常状態では、列車15の車軸による左右レールの短絡によって分流信号i1,i2の値が近づき、それから得られた不平衡率α(平衡状態値k0)が5%近傍の「小不平衡状態」になるので(図7の太い実線のうち列車在線時に該当する中央部分を参照)、『列車が在線している状態』という列車在線確定の判定が出る。
列車がレール対11&12の検査区間11c,12cに在線している場合のうち、レール破断の有る状態では、繰り返しとなる詳細な説明は割愛するが、要するに列車位置とレール破断位置との関係に応じて上述した「小不平衡状態」か「大不平衡状態」になり(図7の一点鎖線や二点鎖線のうち列車在線時に該当する中央部分を参照)、「小不平衡状態」のときには『列車が在線している状態』という判定が出、「大不平衡状態」のときには『レール破断が有る状態』という判定が出る。
このようにして列車在線有りの判定かレール破断有りの判定が出た場合は、保守用車の置き忘れの有無を確認したり、レール破断箇所を探索したりして、安全を確認する。
[複線用の公知改良例2]
複線用の公知改良例2であるレール破断検知装置70について、その具体的な構成を、図8を引用して説明する。
このレール破断検知装置70が上述した公知改良例1のレール破断検知装置20と相違するのは、レール対11&12に係る検査区間11c,12cに検査区間11e,12eが加えられた点と、別レール対13&14に検査区間13c,14cと検査区間13e,14eとが加えられた点である。これらを第1改造点と呼ぶ。また、レール破断検知装置70がレール破断検知装置20と相違する第2改造点は、別レール対13&14の一方のレール13の検査区間13cに加えて他方のレール14の検査区間14cも巡回電路形成部材30に組み込まれている点と、別レール対13&14について計測部50及び判定部60と同様の計測部50a及び判定部60aが設置されている点である。
第1改造点を詳述すると、レール11については、区間端11aから区間中央位置になった送信点11aaを挟んで区間端11bと検査区間11cとの反対側に区間端11dと検査区間11eとが設定され、レール12については、区間端12aから区間中央位置になった送信点12aaを挟んで区間端12bと検査区間12cとの反対側に区間端12dと検査区間12eとが設定され、レール13については、区間中央位置の送信点13aaを挟んで区間端13bと検査区間13cとの反対側に区間端13dと検査区間13eとが設定され、レール14については、区間中央点の送信点14aaを挟んで区間端14bと検査区間14cとの反対側に区間端14dと検査区間14eとが設定されている。また、それらに随伴して、送信点11aaと送信点12aaとを結ぶ短絡ライン21は区間内短絡ライン21aaになり、送信点13aaと送信点14aaとを結ぶ接続線23は区間内短絡ライン23aaになっている。
さらに、区間端11dと区間端12dとが区間端短絡ライン26にて接続されてそこでも左右レール11,12が短絡されるとともに、区間端13dと区間端14dとが区間端短絡ライン27にて接続されてそこでも左右レール13,14が短絡され、更に区間端13bと区間端14bとが区間端短絡ライン24にて接続されてそこでも左右レール13,14が短絡される。また、巡回電路形成ライン33の一端が接続箇所22cの所で区間端短絡ライン22に接続され他端が接続箇所24cの所で区間端短絡ライン24に接続されるとともに、巡回電路形成ライン34の一端が接続箇所26cの所で区間端短絡ライン26に接続され他端が接続箇所27cの所で区間端短絡ライン27に接続されている。
そして、それらの区間端短絡ライン26,27に対しても、やはり上述した不平衡化手段25と同様の不平衡化手段が付設されている(なお、図では同じ符号“25”を付している)。
また、区間端短絡ライン21に付設されていた不平衡化手段25は、区間端短絡ライン22に移設されている。
さらに、電流プローブ51,52の接続先が、区間端短絡ライン22から、区間端短絡ライン21から位置付けの変わった区間内短絡ライン21aaへ、変更されている。
第2改造点を詳述すると、レール13の送信点13aaとレール14の送信点14aaとが区間内短絡ライン23aaによって短絡されるとともに、巡回電路形成ライン32の接続先が区間内短絡ライン23aaの中間の接続箇所23cになっている。
しかも、区間端短絡ライン22と同様の区間端短絡ライン24が区間端短絡ライン22の近くで別レール対13&14に対して接続されて、レール13の区間端13bとレール14の区間端14bとが区間端短絡ライン24によって短絡されるとともに、巡回電路形成ライン33の接続先が区間端短絡ライン24の中間の接続箇所24cになっている。
これにより、レール14の検査区間14cもレール13の検査区間13cと並列状態で巡回電路形成部材30に組み込まれるとともに、別レール対13&14の左右レールについても帰線電流が短絡されることになる。
また、上述した区間端短絡ライン24に対しても、上述した不平衡化手段25と同様の不平衡化手段が付設されている(図示に際しては同じ符号“25”を付している)。
さらに、区間内短絡ライン23aaのうち巡回電路形成ライン32の接続箇所23cよりもレール13の送信点13aa寄り部分には電流プローブ58(電流センサ,カレントトランスなど)が付設されて、レール13の検査区間13cを流れる分流信号i3が測定されるとともに、区間端短絡ライン23のうち接続箇所23cよりもレール14の区間端14a寄り部分には電流プローブ59(電流センサ,カレントトランスなど)が付設されて、レール14の検査区間14cを流れる分流信号i4が測定されるようになっている。分流信号i3の測定値k3や分流信号i4の測定値k4に基づき計測部50aと判定部60aによって別レール対13&14の破断に係る判定を行うようにもなっている。
この場合、レール対11&12の検査区間11c(12c)についてレール破断の有無や列車在線の有無に係る検出が行えるのに加えて同じレール対11&12の別の検査区間11e(12e)や別レール対13&14の検査区間13c(14c),13e(14e)についてもレール破断の有無や列車在線の有無に係る検出が行える。
そして、それに要する設備については、計測部と判定部はレール対11&12用の一セット(50&60)と別レール対13&14用の一セット(50a&60a)とで計二セット設置されるが、送信部40は送信パワーの大きな一台で済ませる。
そのため、設備費も設置作業費も節約することができる。
このようなレール破断検知装置70の動作を説明するが(図9,図10参照)、説明の明瞭化や簡素化のため検査信号i0等の伝達を双方向の片側だけ述べる。そうすると、送信部40から巡回電路形成部材30に送出された検査信号i0が、巡回電路形成ライン31と区間内短絡ライン21aaを経て、レール11の検査区間11cの分流信号i1とレール12の検査区間12cの分流信号i2の組と、レール11の検査区間11eの分流信号i5とレール12の検査区間12eの分流信号i6の組とに分かれる。
それから分流信号i1,i2の組が巡回電路形成ライン33で合わさってから再びレール13の検査区間13cの分流信号i3とレール14の検査区間14cの分流信号i4とに分かれ、分流信号i5,i6の組が巡回電路形成ライン34で合わさってから再びレール13の検査区間13eの分流信号i7とレール14の検査区間14eの分流信号i8とに分かれる。
それから、それらi3,i4,i7,i8は、区間内短絡ライン23aaで合わさり、電路形成ライン32では検査信号i0になって送信部40に戻る。
そのような信号伝達状態において、レール破断がどこにも無く列車在線も無ければ(図9(a)を参照)、分流信号i1と分流信号i2とが延いては該当する平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になり(図7の実線グラフの両端部を参照)、分流信号i3と分流信号i4とが延いては該当する平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になり、分流信号i5と分流信号i6とが延いては該当する平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になり、分流信号i7と分流信号i8とが延いては該当する平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になる。
そして、分流信号i1,i5の和電流(i1+i5)と分流信号i2,i6の和電流(i2+i6)とが延いては該当する平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になり、分流信号i3,i7の和電流(i3+i7)と分流信号i4,i8の和電流(i4+i8)とが延いては該当する平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になる。
そうすると、和電流(i1+i5)の測定値k1と和電流(i2+i6)の測定値k2とに係る平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になるため、判定部60によって、レール11の検査区間11c,11e及びレール12の検査区間12c,12eについては、「設定不平衡状態」になるので、『レール破断が無く列車在線も無い状態』という判定が出る。
また、和電流(i3+i7)の測定値k3と和電流(i4+i8)の測定値k4とに係る平衡状態値(不平衡率α)が設定不平衡状態になるため、判定部60aによって、レール13の検査区間13c,13e及びレール14の検査区間14c,14eについても、「設定不平衡状態」になるので、『レール破断が無く列車在線も無い状態』という判定が出る。
これに対し、レール対11&12に係る何れかの検査区間11c,11e,12c,12eの何処か例えば検査区間12eにレール破断12xが発生すると(図9(b)参照)、繰り返しとなる煩雑な説明は割愛するが、平衡状態値(不平衡率α)が大不平衡状態になるので(図5において海側レール12の破断に対応している一点鎖線グラフの両端部を参照)、『レール破断が有る』との判定が出る。
また、レール対11&12に係る何れかの検査区間11c,11e,12c,12eの何処か例えば検査区間11e,12eに列車が進入すると、やはり簡潔に述べると、平衡状態値(不平衡率α)が小不平衡状態になるので(図7の実線グラフのうち列車進入位置と送信点との中間部分を参照)、『列車在線が有る』といった判定が出る。
このように、レール破断検知装置70(複線用の公知改良例2)にあっては、複線10の検査区間11c,11e,12c,12e,13c,13e,14c,14eについてレール破断の有無や列車在線の有無を検出することができる。
また、レール破断検知装置70(複線用の公知改良例2)は、検査信号i0の送受信に直接的に関わる巡回電路形成ライン31,32と区間内短絡ライン21aa,23aaとが検査区間の外端(11b,11dなど)でなく内側(11aa,12aaなど)に位置しているので、レール長手方向へ繋げて設置するのが容易なものにもなっている。
特開2021-046163号公報 特開2021-066353号公報
鉄道技術者のための信号概論「軌道回路」 社団法人「日本鉄道電気技術協会」出版、平成17年5月20日 改訂版2刷発行、p.3~5
複線用の公知改良例2として上述したレール破断検知装置70は、要約すると、「鉄道の軌道をなすレール対11&12,13&14の複数箇所に付設されて夫々の付設箇所で前記レール対の左右レールについて帰線電流を短絡させる複数の区間端短絡ライン22,26,24,27及び区間内短絡ライン21aa,23aaと、前記区間端短絡ライン及び前記区間内短絡ラインに接続されて前記レール対と共に巡回する電路を形成する巡回電路形成部材30(31,32,33,34)と、前記巡回電路形成部材30を介して前記区間内短絡ライン21aa,23aaに対して帰線電流とは異なる検査信号を送出する送信部40と、前記区間内短絡ライン21aa,23aaについて巡回電路形成部材30の接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号k1&k2,k3&k4を測定する計測部50,50aと、対をなす前記分流信号の釣り合い状態をレール破断の無い状態では平衡状態から遠ざける又は不平衡状態にする不平衡化手段25と、対をなす前記分流信号の測定値に基づいてレール破断と列車在線とに係る判定を行う判定部60,60aとを備えているレール破断検知装置」と言える。
更に、前記判定部が、対をなす前記分流信号について平衡状態にあるのか不平衡状態にあるのかを判別して、前記不平衡化手段の不平衡化に対応した設定不平衡状態にあると判別したときにはレール破断が無く列車在線も無い状態であると決定し、前記不平衡化手段の不平衡化に対応した設定不平衡状態よりも不平衡度合の大きい大不平衡状態にあると判別したときにはレール破断が有ると決定し、前記不平衡化手段の不平衡化に対応した設定不平衡状態よりも不平衡度合の小さい小不平衡状態にあると判別したときには列車が在線していると決定することで、レール破断等に係る判定が出されるようになっている。
そのようなレール破断検知装置70を試作して複線10に設置し、そこに列車や保守用車を走行させて模試や実験を行ったところ、新幹線や特急といった高速電車の走行速度に匹敵する高速走行時であれ、それより遅い保守用車の走行速度に該当する低速走行時であれ、不平衡率α(平衡状態値k0)が大不平衡状態なのか小不平衡状態なのかそれらの中間の設定不平衡状態なのかに応じてレール破断状態なのか列車走行状態なのか何れでも無い通常状態なのかを分別することができた(図7参照)。
ところが、設定条件を種々変えながら実験を繰り返したところ、列車走行中に短時間ではあるが一時的に不平衡率αが小不平衡状態から設定不平衡状態になることが判明した。
しかし、例え設定不平衡状態への遷移は一時的なものであっても不所望な誤検知を招きかねない。そして更なる状況把握のため、列車走行速度を下げてみたところ設定不平衡状態に遷移している状態の継続時間が長くなり、さらには、該当箇所に列車を停止させると不所望な遷移状態(設定不平衡状態)が継続してしまうことも判明した。
そこで、送信点からの距離を横軸に採り縦軸に不平衡率αを採ったグラフにて確認したところ(図10参照)、列車走行時に送信点近傍で不平衡率αが本来の小不平衡状態から不所望な設定不平衡状態へ遷移してしまう「列車検知不可能区間」が存在する、ということが判明した。
そして、そのような送信点近傍の列車検知不可能区間に保守用車等が止まり続けると、その状況は通常では考えられないが完全には否定できないので念のため考慮すると、線路上への車両等の置き忘れといった不所望な事態の見逃しを招くことにもなりかねない。
このため、上述の列車検知不可能区間についても列車等停止状態まで含めて列車走行状態なのか通常状態なのかを分別できるように改良することが基本的な技術課題となる。
しかも、その際、コストアップ等の回避や抑制のため計測部等の拡張を回避しつつ、判定部の機能の変更や拡張にて改良を具現化することも更なる技術課題となる。
そして、そのような技術課題の解決に役立ちそうな判定材料として着目した事象が、区間端の列車進入出位置と区間内の送信点とにおける小不平衡状態と設定不平衡状態との状態遷移状況の相違である。
そのような判定材料の具体例を図10のグラフで示すと、列車走行時の白抜き実線グラフにおける列車進入点・進出点と列車検知不可能区間とに係る非水平部分の斜度の相違が該当する。
しかしながら、その斜度は、変位(距離の差)当たりの不平衡率αの変化率β(以下、変位当たり変化率βという)であり、その変位当たり変化率βは列車進入点・進出点や列車検知不可能区間とにおける非水平部分における縦軸方向の不平衡率の差Δαを横軸方向の距離の差Δmで除して得られるものである。
そのため、走行体の精密な位置情報も速度情報も持たないレール破断検知装置にとっては、変位当たり変化率βは算出することが困難である。
そこで、そのような物理量(β)でなく計測や算出の可能な他の物理量を用いることにより、列車等が送信点近傍の列車検知不可能区間に留まっているのか検査区間から出たのかをレール破断検知装置が判別できるように改良することが具体的な技術課題となる。
本発明のレール破断検知装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
鉄道の軌道をなすレール対の複数箇所に付設されて夫々の付設箇所で前記レール対の左右レールについて帰線電流を短絡させる複数の区間端短絡ライン及び区間内短絡ラインと、前記区間端短絡ライン及び前記区間内短絡ラインに接続されて前記レール対と共に巡回する電路を形成する巡回電路形成部材と、前記巡回電路形成部材を介して前記区間内短絡ラインに対して帰線電流とは異なる検査信号を送出する送信部と、前記区間内短絡ラインについて巡回電路形成部材の接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定する計測部と、対をなす前記分流信号の釣り合い状態をレール破断の無い状態では平衡状態から遠ざける又は不平衡状態にする不平衡化手段と、対をなす前記分流信号の測定値に基づいてレール破断と列車在線とに係る判定を行う判定部とを備えているレール破断検知装置において、
前記不平衡状態の度合いを比率で示す不平衡率を前記分流信号の測定値から算出する手段と、前記不平衡率の経時変化に基づいてその時間当たり変化率を算出する手段とを具備し、前記判定手段が前記不平衡率と前記時間当たり変化率との変化に応じて在線状態と非在線状態とレール破断状態とのうち何れか一つの状態を選択するようになっていることを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段2)、上記解決手段1のレール破断検知装置であって、前記判定手段が、動作開始時には、前記不平衡率に係る大中小の分類に応じて前記在線状態と前記非在線状態と前記レール破断状態とから何れか一つを選出して初期状態に採用するようになっている、ことを特徴とする。
さらに、本発明のレール破断検知装置は(解決手段3)、上記解決手段2のレール破断検知装置であって、前記判定手段が、前記不平衡率に係る大中小の分類に加えて、前記時間当たり変化率に係る大小の分類も、遷移先状態の選択要因とするものである、ことを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段4)、上記解決手段3のレール破断検知装置であって、前記判定手段が、前記在線状態のときには、前記不平衡率の分類が小の間は前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記非在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移するようになっている、ことを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段5)、上記解決手段3のレール破断検知装置であって、前記判定手段が、前記非在線状態のときには、前記不平衡率の分類が中の間は前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移するようになっている、ことを特徴とする。
また、本発明のレール破断検知装置は(解決手段6)、上記解決手段3のレール破断検知装置であって、前記判定手段が、
前記レール破断状態のときには、前記不平衡率の分類が大の間は前記レール破断状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になったときには前記非在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が小になったときには前記在線状態に状態遷移し、
前記在線状態のときには、前記不平衡率の分類が小の間は前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記非在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移し、
前記非在線状態のときには、前記不平衡率の分類が中の間は前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移するようになっている、ことを特徴とする。
このような本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段1)、元々利用可能な不平衡率(α)から算出しうる時間当たり変化率(γ)を用いて状態判別がなされるようにしたことにより、算出困難な変位当たり変化率(β)を用いなくても、列車等が送信点近傍の列車検知不可能区間に留まっているのか検査区間から出たのかをレール破断検知装置が判別できる。
したがって、この発明によれば、上述の具体的な技術課題を解決することができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段2)、動作開始時の一瞬だけは、不平衡率(α)の経時変化に基づく時間当たり変化率(γ)が取得できないので、不平衡率(α)だけで初期状態が仮決めされるが、時間当たり変化率(γ)は在線状態(小不平衡状態)と非在線状態(設定不平衡状態)との選別のために導入されたものであり最も重要なレール破断状態(大不平衡状態)の選別には影響しないので、課題解決手段を簡便に具現化することができる。
さらに、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段3)、時間当たり変化率(γ)に基づく分類は、送信点を含む列車検知不可能区間と送信点から離れた区間端とに係る物性値の違いを利用するものであるから、遷移先状態の選択には大小の分類で足りるので、課題解決手段を簡便に具現化することができる。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段4)、在線状態にあるときの状態遷移については、不平衡率(α)が小の間は従来通り在線状態を維持し、不平衡率(α)が大になったときにも従来通りレール破断状態へ遷移するが、不平衡率(α)が中になったときには、従来のように直ちに非在線状態へ遷移するのでなく、更に時間当たり変化率(γ)の確認も行われて、時間当たり変化率(γ)が大のときには非在線状態へ遷移する一方、時間当たり変化率(γ)が小のときには従来と異なり状態変化無しとみなして在線状態を維持するようになっている。
これにより、時間当たり変化率(γ)が小になる列車検知不可能区間に列車が入っているときにも、正しく在線状態が維持される。そのため、このレール破断検知装置にあっては、列車等が送信点近傍の列車検知不可能区間に留まっていても在線状態が正しく判別される。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段5)、非在線状態にあるときの状態遷移については、不平衡率(α)が中の間は従来通り非在線状態を維持し、不平衡率(α)が大になったときにも従来通りレール破断状態へ遷移するが、不平衡率(α)が小になったときには、従来のように直ちに在線状態へ遷移するのでなく、更に時間当たり変化率(γ)の確認も行われて、時間当たり変化率(γ)が大のときには在線状態へ遷移する一方、時間当たり変化率(γ)が小のときには従来と異なり状態変化無しとみなして非在線状態を維持するようになっている。これにより、列車検知不可能区間も含めて検査区間の中に列車が存在していなければ非在線状態が維持される。そのため、このレール破断検知装置にあっては、列車等が検査区間に留まっていないことが正しく判別される。
また、本発明のレール破断検知装置にあっては(解決手段6)、上述したように不平衡率(α)と時間当たり変化率(γ)とに基づいて在線状態と非在線状態とを的確に判別することができるのに加えて、不平衡率(α)に基づいてレール破断状態も的確に判別することができる。
本発明の実施例1について、レール破断検知装置の構造を示し、(a)が鉄道の軌道の典型例である複線部分に設置されたレール破断検知装置に係る概要ブロック図であり、(b)がレール破断検知装置の判定部の機能を示す状態遷移図である。 (a),(b)何れも晴天時の高速走行に係る特性グラフであり、(a)は、高速な列車の通過時の不平衡率αを縦軸にとり、経過時間tを横軸にとって、不平衡率αの経時変化を示したグラフであり、(b)は、その際における「不平衡率αの時間当たり変化率γ」を縦軸にとり、送信点からの距離を横軸にとって、時間当たり変化率γの遷移状態を走行位置基準で示したグラフである。 同様に(a)が不平衡率αの経時変化を示すとともに(b)が時間当たり変化率γの走行位置毎の変化を示すが、何れも雨天時の高速走行に係る特性グラフである。 同様に(a)が不平衡率αの経時変化を示すとともに(b)が時間当たり変化率γの走行位置毎の変化を示すが、何れも晴天時の低速走行に係る特性グラフである。 同様に(a)が不平衡率αの経時変化を示すとともに(b)が時間当たり変化率γの走行位置毎の変化を示すが、何れも雨天時の低速走行に係る特性グラフである。 背景技術を示す従来のレール破断検知装置のうち単線用の公知改良例1に係り、(a)が鉄道の軌道の典型例である複線におけるレールの配置例を示し、(b)が単線部分に設置されたレール破断検知装置に係る概要ブロック図であり、(c)が計測部と判定部とに係る詳細ブロック図である。 軌道回路の平衡状態を不平衡率で示す模式図である。 背景技術を示す従来のレール破断検知装置のうち複線用の公知改良例2に係り、レール破断検知装置の構造を示すブロック図である。 上記の公知改良例2に係り、レール破断検知装置の動作状態を示し、(a)が通常状態(設定不平衡状態)であり、(b)がレール破断状態(大不平衡状態)であり、(c)が列車検知状態の(小不平衡状態)である。 上記の公知改良例2に係り、送信点からの距離を横軸に採り縦軸に不平衡率を採ったグラフである。
このような本発明のレール破断検知装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1~5に示した実施例1は、上述した解決手段1~6(出願当初の請求項1~6)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、詳細で煩雑な回路の図示は割愛し、簡明化等のため、ブロック図を多用して、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
本発明のレール破断検知装置の実施例1について、その具体的な構成を、図1を引用して説明する。
図1(a)は、レール破断検知装置80の構造を示し、鉄道の軌道の典型例である複線部分11~14に設置されたレール破断検知装置80に係る概要ブロック図である。
図1(b)は、該装置80のうち判定部82の機能を示す状態遷移図である。
図2(a)~図5(a)は、何れも、不平衡率αを縦軸にとり、経過時間tを横軸にとって、列車通過時の不平衡率αの経時変化を示したグラフである。
図2(b)~図5(b)は、不平衡率αの時間当たり変化率γを縦軸にとり、送信点からの距離を横軸にとって、時間当たり変化率γの遷移状態を走行位置基準で示したグラフである。
それらのうち、図2は晴天下で高速走行したときのものであり、図3は雨天下で高速走行したときのものであり、図4は晴天下で低速走行したときのものであり、図5は雨天下で低速走行したときのものである。
レール破断検知装置80は(図1(a)参照)、既述した複線用の公知改良例2であるレール破断検知装置70の一部を改造したものであり、そのレール破断検知装置70と相違するのは、既述の計測部50,51aがそれぞれ計測部81,81aになった点と、既述の判定部60,60aがそれぞれ判定部82,82aになった点である。
また、計測部81や判定部82と計測部81aや判定部82aとの相違点も、既述のレール破断検知装置70と同様であり、計測対象や判定対象がレール対11&12なのか別レール対13&14なのかという点である。
そこで、繰り返しとなる説明は割愛し、計測部81と判定部82について詳述する。
計測部81は(図1(a)参照)、不平衡状態の度合いを比率で示す不平衡率αを既述の計測部50と同じく分流信号i1,i2の測定値k1,k2から式[|k1-k2|/(k1+k2)×100%]で算出することに加え、不平衡率αの経時変化度である時間当たり変化率γも算出するようになっている。その時間当たり変化率γは、理論的には不平衡率αの時間微分であるが、実用的には不平衡率αの時間差分で算出される。その際に、局所的な移動平均といった種々のノイズ対策も施されるが、その具体的な手法は公知のものでも足りるので、詳細な説明は割愛する。また、既述のように変位当たり変化率βが不平衡率αの距離微分なのに対し、時間当たり変化率γは不平衡率αの時間微分なので、時間当たり変化率γは、列車等の精密な位置情報や速度情報が無くても毎時の不平衡率αから容易に算出することができる。
判定部82は(図1(a)参照)、下り線のレール対11&12の検査区間11c,12c,11e,12eに列車が存在しない非在線状態と、それらの検査区間11c~12eの何処かに列車が存在している在線状態と、それらの検査区間11c~12eの何れかのレールに破断が存在しているレール破断状態とを切り分けるようになっている。また、不平衡率αの変化に応じて状態遷移を行うだけでなく、時間当たり変化率γの変化にも応じて状態遷移を行うことにより、不平衡率αと時間当たり変化率γとの組データの変化に応じて在線状態と非在線状態とレール破断状態とのうち何れか一つの状態を選択するようになっている。なお、状態遷移の認定・判定に際しては既述のようにヒステリシス特性が考慮されるようにもなっているが、ここでは、説明の煩雑化を回避するために、該特性には言及しない。
また、そのような判定部82の機能は、状態遷移図にて簡潔かつ明瞭に示すことができるので(図1(b)参照)、その図を参照しながら判定部82の機能を詳述する。
先ず、動作開始時には、不平衡率αは直ちに取得できるが、不平衡率αの時間差分にて算出される時間当たり変化率γの取得は一瞬だが遅れるので、不平衡率αの値に応じて初期状態が振り分けられる。具体的には(図7と図1(b)とを参照)、不平衡率αが例えば9.9%未満の小不平衡状態(以下、単に「小」と約す)のときには検査区間11c~12eの状態が「在線状態」とされ、不平衡率αが例えば10.0%~15.0%の設定不平衡状態(以下、単に「中」と約す)のときには検査区間11c~12eの状態が「非在線状態」とされ、不平衡率αが例えば15.1%超の大不平衡状態(以下、単に「大」と約す)のときには検査区間11c~12eの状態が「レール破断状態」とされるようになっている。
その後は(図1(b)参照)、不平衡率αが大になると時間当たり変化率γが大小いずれであろうと検査区間11c~12eの状態がレール破断状態とされる。この「レール破断状態」のときには、不平衡率αが大のうちは検査区間11c~12eの状態がレール破断状態とされ続け、不平衡率αが中になると検査区間11c~12eの状態が非在線状態に遷移し、不平衡率αが小になると、検査区間11c~12eの状態が在線状態に遷移するようになっている。そのため、列車等がレール破断箇所より送信点11aa,12aaに近づいたときには列車等の在線検出が優先されるとともに、レール破断状態が線路の修理等にて解消されたときには、そのレール状態に対して自動で対応できるものとなっている。
そのようなレール破断状態と異なり、在線状態と非在線状態では、状態遷移先の判定に際して、上述のような不平衡率αに係る大中小の分類に加えて、時間当たり変化率γに係る大小の分類も、遷移先状態の選択要因となっている(図1(b)参照)。
具体的には、想定される晴雨等の環境条件や列車等の走行速度といった変動要因をも考慮して、列車進入出位置における時間当たり変化率γの最低値(図3のγ=5.3参照)と送信点における時間当たり変化率γの最高値(図2のγ=4.5参照)との中間値(例えば4.9)に対する大小比較が先ず行われ、それから時間当たり変化率γの値が中間値(=4.9)より大きければその時間当たり変化率γは「大」に分類され、時間当たり変化率γの値が中間値(=4.9)より小さければその時間当たり変化率γは「小」に分類されるようになっている。
なお、時間当たり変化率γの最低値(γ=5.3)について詳述すると、これには、晴天時の高速走行に係る図2におけるγ=6.4や6.5と、雨天時の高速走行に係る図3におけるγ=5.3や5.4と、晴天時の低速走行に係る図4におけるγ=6.4や6.5と、雨天時の低速走行に係る図5におけるγ=5.3や5.4とのうち、最も小さな値である図3の「5.3」が該当する。
また、時間当たり変化率γの最高値(γ=4.5)には、図2におけるγ=4.5と、図3におけるγ=4.2と、図4におけるγ=2.3と、図5におけるγ=2.1とのうち、最も大きな値である図2の「4.5」が該当する。
そして、「非在線状態」では、不平衡率αが中のうちは検査区間11c~12eの状態が非在線状態とされ続けるが、不平衡率αが大になると検査区間11c~12eの状態がレール破断状態とされる。さらに、不平衡率αが小になったときには、それだけで直ちに状態遷移するのでなく、時間当たり変化率γの大小も調べて、時間当たり変化率γが小のときには、時間当たり変化率γが送信点通過時の値に該当していて状態変化が無いとみなせることから、状態遷移せずに非在線状態を維持する。そして、不平衡率αが小になるとともに時間当たり変化率γが大になったときに在線状態へ状態を遷移させるようになっている。
これに対し、「在線状態」では、不平衡率αが小のうちは検査区間11c~12eの状態が在線状態とされ続けるが、不平衡率αが大になると検査区間11c~12eの状態がレール破断状態とされる。さらに、不平衡率αが中になったときには、それだけで直ちに状態遷移するのでなく、時間当たり変化率γの大小も調べて、時間当たり変化率γが小のときには、やはり時間当たり変化率γが送信点通過時の値に該当していて状態変化が無いとみなせることから、状態遷移せずに在線状態を維持する。そして、不平衡率αが中になるとともに時間当たり変化率γが大になったときに在線状態へ状態を遷移させるようになっている。
この実施例1のレール破断検知装置80について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
上述したように図2(a)~図5(a)は列車通過時の不平衡率αの経時変化を示したグラフであり、図3(b)~図5(b)は時間当たり変化率γの遷移状態を走行位置基準で示したグラフであり、更に、図2は晴天下で高速走行したときのものであり、図3は雨天下で高速走行したときのものであり、図4は晴天下で低速走行したときのものであり、図5は雨天下で低速走行したときのものである。
なお、高速走行時の速度は新幹線等の260km/h超を想定しており、低速時の速度はその半分程度を想定しており、何れも保守用車より高速である。そのため、保守用車が新幹線等の監視システムの対象外であっても、レール破断検知装置80なら保守用車の在線・非在線まで検出することが可能である。以下、場合分けして詳述する。
先ず、レール破断が無く且つ列車走行も無い通常状態の場合、不平衡率αが中を維持し時間当たり変化率γが小を維持し続けるので、判定部82から非在線状態という的確な判定が出される(図1(b)参照)。
これに対し、列車走行が無くて非在線状態だったときにレール破断が発生した場合、不平衡率αが中から大に変化するので、判定部82からレール破断状態という的確な判定が出される(図1(b)参照)。なお、そのレール破断が修理されると、不平衡率αが中に戻るので、判定部82の判定が適切な在線状態になる(図1(b)参照)。
また、列車が検査区間内に居て在線状態だったときにレール破断が発生した場合も、不平衡率αが小から大に変化するので、判定部82からレール破断状態という的確な判定が出される(図1(b)参照)。詳述すると、送信点から見て在線位置より手前の位置で破断したときには直ちに破断が検知され、送信点から見て在線位置より後方で破断したときには、直ちにではないが、列車が送信点を通過すると、不平衡率αが小から大に変化するので、そこで破断が検知される。
そして、レール破断が存在するうちは不平衡率αが大のままで判定部82からレール破断状態という判定が出続けるが、レール破断が修理されると、列車在線のままであれば不平衡率αが小に戻るため判定部82の判定が適切な在線状態に戻り、列車が既に片付けられていれば不平衡率αが中に戻るため判定部82の判定が適切な非在線状態に戻る(図1(b)参照)。
さらに、レール破断が無い状態で列車が検査区間に進入した場合、高速走行であれ低速走行であれ晴天時であれ雨天時であれ何れの状況下でも(図2~図5参照)、先ず検査区間への列車進入時に、不平衡率αが中から小に変化するとともに(各図の(a)の左端部を参照)、時間当たり変化率γが上述の中間値(=4.9)より大きな値になるので(各図の(b)の左端部を参照)、判定部82の判定が適切な在線状態になる(図1(b)参照)。
そして、列車が列車進入位置と列車検知不可能区間との間にいるうちは、前進ばかりか一時停止や後退があっても、不平衡率αが小のままなので、判定部82の判定が適切な在線状態を維持する(図1(b)参照)。
それから、列車が列車検知不可能区間に進入すると、不平衡率αが中になるが(図2(a)~図5(a)の中央部を参照)、時間当たり変化率γが小のままなので、判定部82の判定が適切な在線状態を維持する(図1(b)参照)。そして、列車が列車検知不可能区間から出ると、そのときの進行方向が前進であれ後退であれ、不平衡率αが小に戻るので(図2(a)~図5(a)における中央部と両端部との中間部分を参照)、判定部82の判定が適切な在線状態を維持する(図1(b)参照)。
さらに、列車が進行して区間端11b,12b又は11d,12dに到達し更に検査区間11c,12c又は11e,12eから出ると、不平衡率αが小から中に変化するとともに(図2(a)~図5(a)の両端部を参照)、時間当たり変化率γが上述の中間値(=4.9)より大きな値になるので(各図の(b)の両端部を参照)、判定部82の判定が適切な非在線状態になる(図1(b)参照)。
こうして、このレール破断検知装置80にあっては、下り線のレール対11&12の検査区間11c~12eに係るレール破断状態に加えて列車在線状態ひいては保守用車の残置まで検出することができる。
また、繰り返しとなる煩雑な説明は割愛するが、上り線の別レール対13&14の検査区間13c~14eに係るレール破断状態に加えて列車在線状態ひいては保守用車の残置まで検出することもできる。
[その他]
上記の判定部82(図1(b)参照)では、開始時にたまたま列車等が列車検知不可能区間に存在していた場合には初期状態として非在線状態が選択されてしまう可能性があるが、その場合には、列車検知不可能区間の列車在線状態を確認させる警報を出したり、その確認結果の操作入力等に応じて必要なら非在線状態から在線状態へ状態を遷移させる、といった拡張機能もレール破断検知装置80に装備するのが望ましい。
もっとも、そのような拡張機能を実装していない場合でも、開始時には先ず線路の状態や安全を確認するための保守用車などを要員監視下で一巡走行させれば、それによって自動的に、判定部82の状態が適切な状態に設定し直される。
上記の公知改良例ひいては実施例では、計測部50が測定値k1,k2の加算や減算を測定信号の状態で専用回路にて行ってから受信するようになっていたが(図1(c)参照)、それらの測定信号をそれぞれ先に受信し、その後に適宜な専用演算回路や汎用プロセッサ等にて処理するようにしても良い。また、計測部50と判定部60が別ブロックになっていたが、両部の機能を発揮することができれば、ハードウェアが分かれている必要は無く、例えば判定部60と平衡状態値算出部57とが一プロセッサで具現化されていても良く、それら60,57に加えて加算部53や減算部54さらには受信部55,56まで一プロセッサで具現化されていても良い。
10 複線(鉄道)
11&12 レール対(左右レール,軌道)
11,12 レール
12x レール破断
13&14 別レール対(左右レール,軌道)
13,14 レール(別レール)
11a,12a,13a,14a 区間端
11aa,12aa,13aa,14aa 送信点(区間内)
11b,12b,13b,14b 区間端
11c,12c,13c,14c 検査区間
11d,12d,13d,14d 区間端
11e,12e,13e,14e 検査区間
15 列車
20 レール破断検知装置
21,22,24,26,27 区間端短絡ライン(接続線)
21aa(21),23aa(23) 区間内短絡ライン(送信線)
21a,21b,22a,22b 部分ライン
21c,22c,23c,24c,26c,27c 接続箇所(分流点・合流点)
25,25a,25b,25c 不平衡化手段
30 巡回電路形成部材
31,32,33,34 巡回電路形成ライン(接続線)
40 送信部
50,50a 計測部
51,52 電流プローブ
53 加算部
54 減算部
55,56 受信部
57 平衡状態値算出部
58,59 電流プローブ
60,60a 判定部
61 状態判別部
62 決定部
70 レール破断検知装置
80 レール破断検知装置
81,81a 計測部
82,82a 判定部
i0 検査信号
i1,i2,i3,i4,i5,i6,i7,i8 分流信号
k1,k2,k3,k4 測定値(測定信号)
k0 平衡状態値(算出値)
α 不平衡率(算出値)
β 変位当たり変化率(算出値)
γ 時間当たり変化率(算出値)

Claims (6)

  1. 鉄道の軌道をなすレール対の複数箇所に付設されて夫々の付設箇所で前記レール対の左右レールについて帰線電流を短絡させる複数の区間端短絡ライン及び区間内短絡ラインと、前記区間端短絡ライン及び前記区間内短絡ラインに接続されて前記レール対と共に巡回する電路を形成する巡回電路形成部材と、前記巡回電路形成部材を介して前記区間内短絡ラインに対して帰線電流とは異なる検査信号を送出する送信部と、前記区間内短絡ラインについて巡回電路形成部材の接続箇所の両側で前記検査信号に係る一対の分流信号を測定する計測部と、対をなす前記分流信号の釣り合い状態をレール破断の無い状態では平衡状態から遠ざける又は不平衡状態にする不平衡化手段と、対をなす前記分流信号の測定値に基づいてレール破断と列車在線とに係る判定を行う判定部とを備えているレール破断検知装置において、
    前記不平衡状態の度合いを比率で示す不平衡率を前記分流信号の測定値から算出する手段と、前記不平衡率の経時変化に基づいてその時間当たり変化率を算出する手段とを具備し、前記判定手段が前記不平衡率と前記時間当たり変化率との変化に応じて在線状態と非在線状態とレール破断状態とのうち何れか一つの状態を選択するようになっている、ことを特徴とするレール破断検知装置。
  2. 前記判定手段が、動作開始時には、前記不平衡率に係る大中小の分類に応じて前記在線状態と前記非在線状態と前記レール破断状態とから何れか一つを選出して初期状態に採用するようになっている、ことを特徴とする請求項1記載のレール破断検知装置。
  3. 前記判定手段が、前記不平衡率に係る大中小の分類に加えて、前記時間当たり変化率に係る大小の分類も、遷移先状態の選択要因とするものである、ことを特徴とする請求項2記載のレール破断検知装置。
  4. 前記判定手段が、前記在線状態のときには、前記不平衡率の分類が小の間は前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記非在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移するようになっている、ことを特徴とする請求項3記載のレール破断検知装置。
  5. 前記判定手段が、前記非在線状態のときには、前記不平衡率の分類が中の間は前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移するようになっている、ことを特徴とする請求項3記載のレール破断検知装置。
  6. 前記判定手段が、前記レール破断状態のときには、前記不平衡率の分類が大の間は前記レール破断状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になったときには前記非在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が小になったときには前記在線状態に状態遷移し、
    前記在線状態のときには、前記不平衡率の分類が小の間は前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が中になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記非在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移し、
    前記非在線状態のときには、前記不平衡率の分類が中の間は前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になっても前記時間当たり変化率が小であれば前記非在線状態を維持し、前記不平衡率の分類が小になり而も前記時間当たり変化率が大になったときには前記在線状態に状態遷移し、前記不平衡率の分類が大になったときには前記レール破断状態に状態遷移するようになっている、ことを特徴とする請求項3記載のレール破断検知装置。
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