以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[医療システム1]
図1に示すように、医療システム1は、鑑査支援装置100、調剤支援システム200及びレセプトシステム300などを備える。前記鑑査支援装置100、前記調剤支援システム200、及び前記レセプトシステム300は、LAN又はインターネット等のネットワークN1を介して通信可能に接続される。
[調剤支援システム200]
前記調剤支援システム200は、電子カルテシステム又は処方オーダーシステムなどの上位システムから処方データを受信する。前記処方データには、例えば患者ID、患者氏名、性別、年齢、病棟、担当医師、担当薬剤師などの基本情報、及び患者に処方する薬品の種類(薬品名称、薬品ID、YJコード、GS1コードなど)、用量、用法、服用開始日、服用期間、及び服用終了日などの薬品情報が含まれる。そして、前記調剤支援システム200は、前記処方データに基づいて、錠剤分包機及び散薬分包機などの調剤機器で使用される調剤データを生成し、前記調剤機器に送信する。
ここで、前記調剤支援システム200は、前記処方データを予め設定された記憶装置に共有可能な状態で記憶する。これにより、前記鑑査支援装置100は、前記調剤支援システム200の前記記憶装置から前記処方データを取得することが可能である。また、前記調剤支援システム200から前記鑑査支援装置100に能動的に前記処方データが送信されることも考えられる。前記調剤支援システム200から取得される前記処方データは、例えば前記調剤支援システム200で編集されたオリジナルフォーマット形式のデータであってもよい。なお、前記鑑査支援装置100が取得する前記処方データは、前記調剤支援システム200が前記上位システムから取得した処方データに限らず、前記調剤支援システム200において前記処方データに基づいて生成された前記調剤データであってもよい。
[レセプトシステム300]
前記レセプトシステム300は、電子カルテシステム又は処方オーダーシステムなどの上位システムから診療内容及び処方データなどの診療データを受信する。そして、前記レセプトシステム300は、前記診療データに基づく医療費の計算及び請求書の発行などのレセプト業務を支援するために用いられる。
ここで、前記レセプトシステム300は、前記処方データを予め設定された記憶装置に共有可能な状態で記憶する。これにより、前記鑑査支援装置100は、前記レセプトシステム300の前記記憶装置から前記処方データを取得することが可能である。また、前記レセプトシステム300から前記鑑査支援装置100に能動的に前記処方データが送信されることも考えられる。前記レセプトシステム300から取得される前記処方データは、例えばNSIPS仕様で定められたテキストファイルフォーマットである。
[鑑査支援装置100]
図1及び図2に示すように、前記鑑査支援装置100は、制御部10、表示部20、操作部30、記憶部40、秤量装置50、情報読取部60、及び撮影部70などを備える。前記鑑査支援装置100は、病院、老健施設、又は薬局などの医療機関において、前記処方データに基づいて調剤された薬品の最終鑑査を行う薬剤師等の医療従事者の業務を支援するために用いられる。なお、前記秤量装置50、前記情報読取部60、及び前記撮影部70は、例えばUSB、RS232C、又はBluetooth(登録商標)などの通信規格に従って前記制御部10と通信可能に接続される。
前記表示部20及び前記操作部30は、前記制御部10によって制御されることにより、ユーザーに情報を表示すると共に、ユーザーの操作を受け付けるユーザインターフェースである。前記表示部20は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどを有しており、前記操作部30は、前記表示部20に配置されるタッチパネルなどを有する。具体的に、前記鑑査支援装置100において、前記制御部10は、前記表示部20に各種の操作キーを表示させ、前記操作キーの操作を前記操作部30が有する前記タッチパネルで検出することによりユーザー操作を受け付ける。なお、前記操作部30は、マウス又はキーボードなどを含むものであってもよい。さらに、前記操作部30は、音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声操作入力部を有するものであってもよい。
また、前記鑑査支援装置100は、図2に示すように、前記鑑査支援装置100に対して開閉可能なカバー部材90を備える。具体的に、前記カバー部材90は、前記秤量装置50の一端において回動支持部91によって回動可能に支持されることにより、前記鑑査支援装置100に対して開閉可能である。そして、前記カバー部材90には、前記制御部10、前記表示部20、前記操作部30、及び前記記憶部40を含むタブレット端末80が配置されている。このように、前記鑑査支援装置100では、前記カバー部材90に前記タブレット端末80が配置されることにより、前記鑑査支援装置100の小型化が図られている。
ここで、前記タブレット端末80は、前記表示部20の表示面が前記カバー部材90の内面側に露出する姿勢で前記カバー部材90によって支持されている。これにより、図2に示すように、前記カバー部材90が開かれている場合には、前記表示部20及び前記操作部30が、前記秤量装置50の秤量部51~54と対峙した状態となる。そのため、ユーザーは、前記表示部20及び前記操作部30と前記秤量装置50の秤量部51~54とを一度に見渡すことができる状態で視線を大きく動かすことなく鑑査作業を行うことができる。
前記記憶部40には、前記制御部10によって前記調剤支援システム200又は前記レセプトシステム300等から取得された前記処方データが記憶される。例えば、前記制御部10は、予め定められたタイミングで前記調剤支援システム200又は前記レセプトシステム300等の記憶装置内の共有フォルダを参照し、前記共有フォルダに未取得の処方データが存在する場合にその処方データを取得する。
また、前記記憶部40には、医薬品マスター及び患者マスター等の各種データベースが記憶されている。前記医薬品マスター及び前記患者マスターは、前記調剤支援システム200又は前記レセプトシステム300等との連動によって更新可能である。前記医薬品マスターには、薬品コード、規格量、ホストコード、薬品名称、薬品一般名称、JANコード、RSSコード、YJコード(個別医薬品コード)、GS1コード、薬瓶コード、剤形コード(散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、形態コード、劇薬・管理薬品種類(向精神薬、麻薬)、管理(車高、金庫、冷所など)、及び単位(調剤単位)などの情報が含まれる。また、前記医薬品マスターには、単位量(単一)当たりの重量(裸錠)、PTPシート1枚当たりの重量、PTP上部1錠分の耳付き重量、PTP上部1錠分の耳なし重量、PTPシート1枚当たりの個数(錠数)、及び薬品画像(裸薬、包装品)のファイル名称などの情報も含まれる。なお、PTPシートは、複数の錠剤又は複数のカプセルが個別に収容される包装材である。PTPシートは、本発明の「薬剤シート」の一例である。一方、前記患者マスターには、患者各々の患者コード、患者氏名、生年月日、及び性別などの情報が含まれる。
なお、図12は、前記医薬品マスターを参照又は編集するためのマスターメンテナンス画面D13の一例を示す図である。前記制御部10は、ユーザー操作に応じて前記マスターメンテナンス画面D13を前記表示部20に表示させることが可能である。図12は、前記マスターメンテナンス画面D13に前記医薬品マスターが表示された状態を示している。また、前記制御部10は、ユーザー操作に応じて前記医薬品マスター及び前記患者マスターなどの内容を変更することも可能である。ところで、前記制御部10は、前記鑑査支援装置100の電源投入時又は省電力モードからの復帰時などに、前記表示部20及び前記操作部30を用いて入力されるユーザーID及びパスワードなどに基づいてユーザー認証を実行することにより前記鑑査支援装置100の使用者を特定することが可能である。また、前記鑑査支援装置100において、前記制御部10は、ユーザー操作などに応じて予めユーザーごとの使用権限を設定することが可能である。例えば、ユーザーごとに、「一般」、「管理者」、「保守管理者」、「応援」、「研修」、及び「テクニシャン」などの権限種類を設定することが考えられる。そして、前記制御部10は、前記使用者として特定されたユーザーに対応する前記権限種類に応じて、前記鑑査支援装置100で実行可能な処理を変更することが考えられる。例えば、前記医薬品マスターの編集を行うマスターメンテナンス、日次更新の操作、鑑査履歴の照会操作などは、前記権限種類のうち「一般」、「管理者」、又は「保守管理者」のみによって実行可能である。また、ソフトウェアの設定、ハードウェアの設定、及びマザーマスター定期更新などは、前記権限種類のうち「管理者」又は「保守管理者」のみによって実行可能である。なお、前記マザーマスターは、例えば前記鑑査支援装置100のメーカー等から提供される薬品のデータベースである。また、前記権限種類によって各処理の一部のみを実行可能とすることも考えられる。例えば、前記ハードウェアの設定について、前記権限種類のうち「管理者」は天秤校正のみが使用可能であると設定されることが考えられる。また、前記制御部10が、前記権限種類ごとではなくユーザーごとに実行可能な処理を設定可能な構成も考えられる。
さらに、前記記憶部40には、前記制御部10によって実行される鑑査支援プログラムが記憶されている。前記鑑査支援プログラムは、例えば前記ネットワークN1を介してダウンロードされ、又はディスクドライブによって記録メディアから読み出されて前記記憶部40にインストールされる。そして、前記制御部10は、前記鑑査支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより、秤量特定部11、単位重量取得部12、単位換算処理部13、照合処理部14、目視鑑査処理部15、鑑査完了通知部16、表示処理部17、及び撮影処理部18として機能する。また、前記制御部10の一部又は全部は、ASIC等の電子回路であってもよい。なお、前記制御部10が有する各処理部の動作については後段のフローチャートと共に説明する。
前記秤量装置50は、4つの秤量部51~54を備え、薬品の重量を秤量するために用いられる。前記秤量部51~54による秤量結果は、前記制御部10に入力される。以下、本実施形態では、説明の便宜上、不特定の前記秤量部51~54を示す場合に「秤量部5N」と称することがある。なお、本実施形態では、前記秤量装置50が、4つの秤量部51~54を備える構成を例に挙げて説明するが、前記秤量装置50は、少なくとも1つの秤量部5Nを備えるものであればよい。
図2及び図3に示すように、前記秤量部5Nは、秤量皿55、ロードセル56、及び載置部57を備える。なお、図3は、前記秤量皿55を取り外した状態を示す図である。
前記秤量皿55は、前記載置部57に載置して用いられ、前記秤量皿55には、秤量対象の薬品が載置される。なお、前記秤量皿55各々は、図2に示すように、一方の対角線上の角部551と他方の対角線上の角部552との丸みの半径が異なる。具体的に、一対の前記角部551は、前記角部552に比べて半径が小さく、例えば一方の前記角部551はユーザーにより前記秤量皿55が持ち上げられる際に把持され、他方の前記角部551は前記秤量皿55上の薬品を薬袋に収容する際に前記薬袋に差し込まれる。なお、前記秤量皿55は、前記角部551及び前記角部552が同一半径の丸みを有する構成であってもよい。
また、前記秤量皿55の底面と前記載置部57の上面とのいずれか一方又は両方に、前記秤量皿55の底面と前記載置部57の上面との摩擦抵抗を高めるための滑り止め部材が設けられていることが考えられる。これにより、前記鑑査支援装置100では、前記載置部57に載置された前記秤量皿55の揺れが抑制され、前記秤量皿55を用いた秤量を安定して行うことができる。なお、前記滑り止め部材は、後述の大皿58に設けられてもよい。
前記ロードセル56は、前記載置部57を支持しており、前記載置部57に載置される秤量対象物の重量を測定する荷重変換器である。前記鑑査支援装置100では、前記秤量皿55が前記載置部57に載置されることにより、前記秤量皿55に載置された薬品の重量が前記ロードセル56によって秤量される。前記ロードセル56としては、例えば定格容量が300g又は500gのように小さく秤量精度が高いロードセルが用いられる。なお、前記秤量皿55及び前記載置部57が一体に構成されていることも他の実施形態として考えられる。
なお、前記秤量装置50では、前記ロードセル56による秤量結果に前記秤量皿55及び前記載置部57の重量が含まれる。そのため、前記制御部10は、前記ロードセル56を用いた秤量時に風袋引を実行し、前記ロードセル56の秤量結果から前記秤量皿55及び前記載置部57などの風袋重量を引いた値を前記秤量皿55に載置された薬品の秤量結果として取得する。なお、前記風袋重量は、前記鑑査支援装置100の出荷時に初期設定されているが、前記鑑査支援装置100でも任意のタイミングで前記風袋重量を再設定することが可能である。また、前述したように前記秤量皿55及び前記載置部57のいずれか一方又は両方に前記滑り止め部材が設けられる場合には、前記滑り止め部材の重量も前記風袋重量に含まれる。
また、図4に示すように、前記秤量装置50では、複数の前記秤量皿55に代えて前記秤量皿55よりもサイズの大きい大皿58を用いて薬品の秤量を行うことが可能である。前記大皿58は、複数の前記秤量部51~54に亘って載置可能である。具体的に、前記大皿58の底面には複数の前記秤量部51~54の前記載置部57に対応する位置に凸部581が設けられている。そして、前記秤量装置50では、図3に示すように前記秤量皿55が取り外された後、図4に示すように前記大皿58の前記凸部581各々が複数の前記秤量部51~54の前記載置部57各々に載置される。これにより、例えば前記秤量部51~54の前記ロードセル56の定格容量が500gである場合、前記秤量装置50では、前記大皿58を用いることによって合計2.0kgまでの秤量が可能になる。また、前記大皿58は、複数の前記秤量皿55に代えて複数の前記秤量部51~54の前記載置部57に載置される利用形態に限らず、複数の前記秤量皿55が前記載置部57に載置されたままの状態で複数の前記秤量皿55に亘って載置されることも考えられる。これにより、ユーザーが前記秤量皿55各々を着脱する必要がないため利便性が向上する。なお、前記大皿58の前記凸部581と前記載置部57及び前記秤量皿55とは、前記大皿58が4つの前記秤量部51~54の前記載置部57又は前記秤量皿55に載置された状態で安定する形状を有する。
前記情報読取部60は、バーコード(JAN、GS1)等の一次元コード又はQRコード(登録商標)等の二次元コードのような識別情報を読取可能であり、読み取られた前記識別情報を前記制御部10に入力するバーコードリーダーである。
具体的に、前記情報読取部60は、処方データを識別するために薬袋に記載されている識別情報(以下「処方識別情報」と称する)を読み取る際に用いられる。前記処方識別情報は、前記調剤支援システム200によって前記薬袋に印刷される。例えば、前記処方識別情報には、前記処方データを識別するための処方番号、及び前記処方データに含まれる同一の前記薬袋に収容されるべき同一用法単位の処方データ(以下、Rpデータと称する)を識別するためのRp番号などが含まれる。なお、前記処方識別情報は、前記処方データ及び前記Rpデータを識別することが可能な情報であればオーダー情報などの他の情報であってもよい。
また、前記情報読取部60は、薬品を識別するために分包紙又はPTPシートなどの薬品の包装材に記載されている識別情報(以下「薬品識別情報」と称する)を読み取るためにも用いられる。前記薬品識別情報は、例えばJANコード、RSSコード、YJコード、又はGS1コードなどである。
そして、前記制御部10は、前記処方識別情報が前記薬袋から前記情報読取部60によって読み取られた場合に、前記処方識別情報に対応する処方データを前記記憶部40から取得することが可能である。また、前記制御部10は、前記薬品識別情報が前記包装材から前記情報読取部60によって読み取られた場合に、前記薬品識別情報に対応する薬品の種類を前記医薬品マスターに基づいて特定することが可能である。さらに、前記制御部10は、作業者による後述の処方表示領域A15(図6参照)における薬品の選択操作に応じて、前記医薬品マスターに予め登録されている薬品のいずれかを選択することも可能である。なお、薬品の種類には、規格量が異なる同一薬品も異なる種類の薬品として含まれる。例えば、「メマリー錠5mg」、「メマリー錠10mg」、及び「メマリー錠20mg」は、薬品名が同じであるが規格量が異なるため、それぞれ異なる種類の薬品として扱われる。
前記撮影部70は、図2に示すように、カメラ本体部710と前記カメラ本体部710を保持する保持部材720とを備える。前記カメラ本体部710は、被写体の静止画又は動画を撮影するために用いられるデジタルカメラである。前記鑑査支援装置100では、前記制御部10からの制御指示に従って前記撮影部70による画像撮影が行われ、撮影画像が前記撮影部70から前記制御部10に送信される。なお、前記撮影部70で捉えられる撮影範囲の動画情報が前記制御部10に入力され、前記制御部10によって前記動画情報から静止画が取得されることも考えられる。この場合には、前記制御部10では、前記撮影部70の撮影範囲内の状況を前記動画情報に基づいて随時判断することができる。
[鑑査支援処理]
以下、図5のフローチャートを参照しつつ、前記鑑査支援装置100において、前記制御部10が前記鑑査支援プログラムに従って実行する鑑査支援処理の手順の一例について説明する。具体的に、前記鑑査支援処理は、前記鑑査支援装置100の電源投入、又は省電力モードからの復帰により前記制御部10によって開始される。また、前記鑑査支援処理は、前記鑑査支援装置100がシャットダウンされる際、又は所定時間以上操作がなく省電力モードに移行する際に終了する。なお、前記鑑査支援装置100の電源投入時又は省電力モードからの復帰時、前記制御部10は、前記表示部20及び前記操作部30を用いたユーザーID及びパスワードなどの入力によるユーザー認証を実行することにより前記鑑査支援装置100の使用者を特定する。
<ステップS11>
まず、ステップS11において、前記制御部10は、前記表示部20に予め定められた処方鑑査画面D10を表示させる。ここに、図6は、前記処方鑑査画面D10の一例を示す図である。図6に示すように、前記処方鑑査画面D10には、未処理情報キーK11、分包紙選択キーK12、目視鑑査キーK13、大皿使用キーK14、風袋引キーK15、メニューキーK16、鑑査完了キーK17、撮影キーK18、及び画像表示キーK19などの操作キーが表示される。また、前記処方鑑査画面D10には、秤量表示領域A11~A14及び処方表示領域A15が表示される。なお、前記処方鑑査画面D10には、前記ユーザー認証によって認証されたユーザーの名称も認証者として表示される。また、前記制御部10は、例えばユーザーの名称の近傍が操作された場合に、前記ユーザー認証を再度行うための認証画面を表示させ、その後のユーザーID及びパスワードなどの入力に応じて認証者を切り替えることが可能である。
前記未処理情報キーK11は、前記処方鑑査画面D10に鑑査が完了していない未処理の処方データの一覧を表示させるための操作キーである。前記制御部10は、前記未処理情報キーK11の操作に応じて、図7に示すように、未処理の処方データの一覧が示される未処理表示領域A21を前記処方鑑査画面D10に表示させる。前記未処理表示領域A21には、未処理の処方データを識別するための情報として、処方日、患者名、総Rp数、及び引換券番号などの情報が一覧表示される。
なお、前記未処理表示領域A21には、検索操作領域A22及び詳細表示キーK21が表示されている。前記制御部10は、前記検索操作領域A22で選択された項目及び前記検索操作領域A22で入力された入力文字に応じて前記処方データを検索し、検索結果を表示させる。例えば、図7は、前記検索操作領域A22で「日付」の項目が選択され、「20131130」の文字が入力されている場合の表示例を示しており、前記未処理表示領域A21には、処方日が2013年11月30日の処方データの一覧が検索結果として表示されている。一方、前記制御部10は、前記詳細表示キーK21が操作されると、前記詳細表示キーK21が表示されている箇所の処方データについて詳細情報を表示させる。前記詳細情報には、例えば処方データに含まれる一又は複数の同一用法単位のRpデータのそれぞれの内容(薬品名称、用法、1日量など)が含まれる。なお、前記Rpデータ各々には、用法が同一であって同一の薬袋に収容される1種類又は複数種類の処方薬品の情報が含まれる。
前記目視鑑査キーK13は、前記処方表示領域A15に表示されている前記処方データについて目視鑑査処理を実行するための操作キーである。前記制御部10は、前記処方データに含まれる一又は複数の薬品が選択された状態で前記目視鑑査キーK13が操作された場合に、図8に示すように、前記処方表示領域A15で選択されている前記薬品各々について目視鑑査を実行するための目視鑑査画面D11を前記表示部20に表示させる。図8に示すように、前記目視鑑査画面D11には、前記薬品ごとに対応して薬品情報表示領域A31、薬品画像表示領域A32、目標値表示領域A33、及び鑑査時入力領域A34が表示されている。
具体的に、前記制御部10は、前記処方表示領域A15で選択されていた目視鑑査対象薬品の薬品名称などを処方データ又はRpデータから読み出して前記薬品情報表示領域A31に表示する。また、前記制御部10は、前記目視鑑査対象薬品の薬品画像を前記医薬品マスターから読み出して前記薬品画像表示領域A32に表示する。さらに、前記制御部10は、前記目視鑑査対象薬品の目標値を処方データ又はRpデータから読み出して表示する。なお、前記制御部10は、前記鑑査時入力領域A34に入力される数値を前記目視鑑査対象薬品に対応付けて鑑査履歴として前記記憶部40に記憶させる。ここで、前記鑑査時入力領域A34に表示される「錠」、「g」、「包」、「カプセル」などの単位は、前記医薬品マスターで薬品ごとに予め設定された単位である。なお、前記目視鑑査画面D11に全ての前記目視鑑査対象薬品が表示できない場合、前記制御部10は、前記目視鑑査画面D11における左右のフリック操作、又は矢印キーの操作に応じて、前記目視鑑査対象薬品の表示をスクロールして表示させる。
そして、前記目視鑑査画面D11において、確認キーK31が操作されると、前記制御部10は、前記目視鑑査画面D11に表示中の前記目視鑑査対象薬品の目視鑑査が終了したものとして処理し、前記記憶部40に鑑査履歴として記憶する。このように、前記目視鑑査処理では、前記目視鑑査対象薬品の薬品名称、薬品画像及び目標値などの情報が前記目視鑑査画面D11に表示されるため、ユーザーは前記目視鑑査画面D11を参照して前記目視鑑査対象薬品の目視鑑査を容易に行うことができる。
また、図6に戻り、前記大皿使用キーK14は、前記大皿58を用いて前記秤量鑑査処理を実行するための操作キーである。前記制御部10は、前記大皿使用キーK14の操作に応じて、図9に示すように、前記秤量表示領域A11~A14に代えて、1つの秤量表示領域A41を前記処方鑑査画面D10に表示させる。なお、前記制御部10は、例えば前記秤量表示領域A11~A14をグレーアウトすること又は非表示にすることが考えられる。前記秤量表示領域A41には、前記秤量部51~54の全ての秤量値の合計が秤量結果として表示される。また、前記秤量表示領域A41には、後述の秤量鑑査処理において、前記大皿58を用いたときの秤量結果と前記処方データとの照合結果が表示される。これにより、前記鑑査支援装置100では、前記秤量皿55各々で秤量が困難な多量の薬品又はサイズが大きい薬品でも、前記大皿58を用いて秤量鑑査を実行することが可能である。
前記風袋引キーK15は、前記秤量装置50における前記秤量部51~54各々に対応する風袋引の風袋重量の設定値を更新する風袋引処理の開始操作に用いられる。例えば、ユーザーは、前記大皿58を使用する際に、前記大皿58を前記秤量部51~54に載置してから前記風袋引キーK15を操作する。これにより、前記制御部10は、前記秤量部51~54各々の現在の秤量値を前記秤量部51~54各々の風袋重量として設定する。従って、前記制御部10は、前記秤量部51~54で秤量される秤量値から前記風袋重量を引くことにより、前記大皿58に載置された薬品の重量を秤量することが可能になる。このとき、前記秤量皿55各々の上に重ねて前記大皿58が載置される場合には、風袋重量に4つの前記秤量皿55の重量も含まれることになる。なお、前記大皿58から前記秤量皿55に変更される場合にも前記風袋引キーK15が操作されて前記秤量皿55に対応する風袋重量が設定される。
前記メニューキーK16は、前記鑑査支援装置100の各種機能のメニューを表示させるための操作キーである。前記制御部10は、前記メニューキーK16の操作に応じて、初期設定、マスター登録、環境設定、ソフトウェアのバージョン更新、又は履歴照会などの操作を行うためのメニュー画面を表示させる。
前記鑑査完了キーK17は、前記鑑査支援装置100において、前記処方鑑査画面D10に現在表示されているRpデータのうち鑑査が完了していない薬品について、後述の目視鑑査処理又は秤量鑑査処理を実行することなく鑑査を終了させる際に操作される。前記制御部10は、前記鑑査完了キーK17の操作に応じて、前記処方鑑査画面D10に現在表示されているRpデータのうち鑑査が完了していない薬品についても鑑査を完了とし、その履歴を前記記憶部40に記憶した後、前記Rpデータの鑑査を終了する。これにより、薬剤師が目視により適正であると判断可能な未鑑査の薬品が残っている場合でも、前記鑑査完了キーK17を操作して表示中の前記Rpデータの鑑査を完了させることにより、鑑査業務の迅速化を図ることが可能である。なお、前記鑑査完了キーK17が操作されることにより鑑査が強制的に完了とされた場合、前記制御部10は、前記表示部20に鑑査が完了した旨を示す鑑査完了画面を表示させることが考えられる。前記鑑査完了画面では、前記Rpデータのうち後述の秤量鑑査処理で鑑査された秤量鑑査済み薬品には予め定められた第1色のチェックマークが付され、後述の目視鑑査処理で鑑査された目視鑑査済み薬品には前記第1色とは異なる予め定められ第2色のチェックマークが付される。また、前記Rpデータのうち前記秤量鑑査処理又は前記目視鑑査処理で鑑査されていない未鑑査薬品については、前記秤量鑑査済み薬品及び前記目視鑑査済み薬品と区別可能な態様(例えばチェックマークなし)で表示される。なお、前記鑑査完了画面では、前記鑑査完了画面で前記秤量鑑査済み薬品、前記目視鑑査済み、及び前記未鑑査薬品を区別することができればよく、例えば各々の背景色が異なるものであってもよい。
前記撮影キーK18は、前記撮影部70による撮影画像を記録するための操作キーである。前記制御部10は、前記撮影キーK18の操作に応じて前記撮影部70に画像の撮影を実行させる。そして、前記制御部10は、撮影画像を前記処方鑑査画面D10に現在表示されているRpデータが属する処方データに関連付けて鑑査履歴として前記記憶部40に記録する。これにより、前記制御部10は、前記記憶部40に記憶された前記撮影画像を前記処方データごとに表示させることが可能である。なお、前記制御部10が、前記撮影画像をRpデータごとに関連付けて前記記憶部40に記憶させることも他の実施形態として考えられる。
ここに、図10は、前記鑑査支援装置100における鑑査履歴を参照するための鑑査履歴照会画面D12の一例を示す図である。前記鑑査履歴照会画面D12には、前記記憶部40に記憶されている鑑査履歴を抽出するための条件が入力可能な抽出条件表示領域A51、抽出結果を表示する一覧表示領域A52、及び前記一覧表示領域A52で選択された鑑査履歴の内容が表示される履歴内容表示領域A53が表示されている。具体的に、前記抽出条件表示領域A51では、鑑査期間(鑑査日時)、処方日、患者名、薬品名、薬剤師名、及び黄色判定有無の入力が可能である。そして、前記制御部10は、前記抽出条件表示領域A51で入力された条件に合致する鑑査履歴を前記記憶部40から読み出して前記鑑査履歴照会画面D12に一覧表示する。なお、前記履歴内容表示領域A53において、目標欄には、処方データに対応する薬品の目標値(錠、カプセル、枚などの値)が表示され、鑑査欄には、前記鑑査支援装置100で秤量された薬品の秤量値を薬品の単位に換算した換算値(錠、カプセル、枚などの値)が表示される。但し、処方薬品のうち後述の目視鑑査処理で鑑査が行われた薬品の鑑査欄には「目視」の文字が表示される。また、前記鑑査履歴照会画面D12では、前記一覧表示領域A52で選択された処方データの鑑査履歴として前記記憶部40に記憶された前記撮影部70による撮影画像のサムネイル画像が前記処方鑑査画面D10と同様に前記画像表示キーK19として表示されている。なお、前記撮影部70により前記処方箋、前記薬袋、及び前記薬品が撮影されていた場合には、その撮影画像のサムネイル画像も前記画像表示キーK19として表示される。前記制御部10は、前記画像表示キーK19の操作に応じて、前記画像表示キーK19に対応する前記撮影画像を前記鑑査履歴照会画面D12上に拡大表示させる。
また、図6に戻り、前記画像表示キーK19は、前記処方表示領域A15に表示されている処方データの鑑査履歴として前記記憶部40に記憶される前記撮影部70による撮影画像のサムネイル画像である。なお、図6及び図10では、前記画像表示キーK19の下にサムネイル画像の名称として「画像1」~「画像4」が表示されているが、サムネイル画像の名称として「Rp番号」及び「連番」が用いられることも考えられる。例えば、Rp番号が「01」である場合、一つ目の画像の名称は「01-1」、二つ目の画像の名称は「01-2」となる。また、前記制御部10は、前記画像表示キーK19の操作に応じて、前記画像表示キーK19に対応するサムネイル画像を拡大して表示させる。
前記秤量表示領域A11~A14は、前記秤量部51~54にそれぞれ対応する表示領域であり、前記秤量表示領域A11~A14には、前記秤量部51~54による秤量結果が表示される。ここで、前記表示部20において、前記秤量表示領域A11~A14は、前記秤量部51~54と同じ配列で前記表示部20に表示されている。例えば、前記秤量部51に対応する前記秤量表示領域A11は、前記秤量部51と同じく左上に配置され、前記秤量部52に対応する前記秤量表示領域A12は、前記秤量部52と同じく右上に配置されている。このように、前記制御部10は、前記秤量部51~54各々に対応する前記秤量表示領域A11~A14を前記秤量部51~54各々と同じ配列で前記表示部20に表示させる。係る表示処理は、前記制御部10の前記表示処理部17によって実行される。以下、本実施形態では、説明の便宜上、不特定の前記秤量表示領域A11~A14を示す場合に「秤量表示領域A1M」と称することがある。
前記処方表示領域A15は、患者名及び患者コードと共に、表示対象のRpデータに含まれる処方薬品の薬品名称及び薬品画像の一覧が表示される表示領域である。なお、前記医薬品マスターに薬品画像が登録されていない薬品については薬品画像に代えて「画像なし」の文字が表示される。また、前記処方表示領域A15では、前記Rpデータに含まれる処方薬品が鑑査対象として選択可能であり、選択された一又は複数の処方薬品はチェックマークが付されて選択状態となる。また、前記情報読取部60によって薬品識別情報が読み取られた場合にも、その薬品識別情報に対応する処方薬品はチェックマークが付されて鑑査対象として選択された状態となる。なお、前記処方表示領域A15に表示されている前記処方薬品のうち後述の目視鑑査処理で既に鑑査が行われた薬品は背景色が他の薬品とは異なる色で表示される。
<ステップS12~S13>
次に、ステップS12~S13において、前記制御部10は、前記鑑査支援装置100における鑑査対象となる処方データを特定するための操作が実行されたか否かを判断する。具体的に、前記ステップS12において、前記制御部10は、薬袋に記載されている前記処方識別情報が前記情報読取部60によって読み取られたか否かを判断する。また、前記ステップS13において、前記制御部10は、未処理一覧から処方データを選択する操作が行われたか否かを判断する。そして、前記制御部10は、前記処方データが特定されると(S12又はS13:Yes側)、処理をステップS14に移行させる。
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部10は、前記ステップS12又は前記ステップS13で特定された処方データを読み出す。具体的に、前記ステップS12で薬袋から前記処方識別情報が読み取られた場合、前記制御部10は、前記処方識別情報に対応する前記Rpデータを前記記憶部40から読み出す。即ち、前記制御部10は、前記情報読取部60で読み取られる薬袋の前記処方識別情報に基づいて鑑査対象の前記処方データを取得することができる。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記照合処理部14によって実行される。なお、前記制御部10は、前記未処理表示領域A21の前記詳細表示キーK21の操作に応じて表示される前記詳細情報においてRpデータが選択された場合に、そのRpデータを鑑査対象として特定することも考えられる。
また、前記ステップS13で未処理の処方データが選択された場合、前記制御部10は、その選択された処方データを前記記憶部40から読み出す。即ち、前記制御部10は、ユーザー操作に応じて複数の前記処方データから鑑査対象の前記処方データを選択することが可能である。ここに、係る処理は、前記制御部10の照合処理部14によって実行される。
なお、図6は、前記ステップS13で未処理の処方データが選択された場合の前記処方鑑査画面D10の表示例である。前記ステップS13で処方データが選択された場合には、前記処方データに複数のRpデータが含まれている場合でも鑑査対象のRpデータが特定されない。そのため、図6に示すように、前記処方表示領域A15には、前記処方データに含まれているRpデータのうち現在表示対象のRpデータを示すための指定RpNo.「1/3」が表示されている。
例えば、前記指定RpNo.「1/3」は、前記処方データに3つのRpデータが含まれており、現在1つ目のRpデータが表示されている状態を示している。そして、前記制御部10は、前記処方表示領域A15に表示されている「+」及び「-」の操作、又は数値の直接入力操作によって前記指定RpNo.を変更し、変更後の前記指定RpNo.に対応するRpデータを前記処方表示領域A15に表示させる。また、前記制御部10は、前記情報読取部60によって薬品の包装材から前記薬品識別情報が読み取られた場合に、前記処方表示領域A15に表示されている処方データから、前記薬品識別情報に対応する薬品を含むRpデータを検索し、そのRpデータを前記処方表示領域A15に表示させる。
一方、前記ステップS12で薬袋から前記処方識別情報が読み取られた場合には、前記処方識別情報により鑑査対象となるRpデータが特定可能である。そのため、前記ステップS12で薬袋から前記処方識別情報が読み取られた場合、前記処方鑑査画面D10では、前記処方識別情報に対応するRpデータが表示され、前記処方表示領域A15における前記指定RpNo.の表示は省略される。
<ステップS15>
続いて、ステップS15において、前記制御部10は、前記処方データ又は前記Rpデータに予め目視鑑査処理で鑑査を行う薬品として設定された目視鑑査設定薬品が存在する場合に(S15:Yes側)、処理をステップS151に移行させ、後述の目視鑑査処理を実行する。この場合、前記目視鑑査設定薬品が目視鑑査の対象となる目視鑑査対象薬品として特定される。前記目視鑑査設定薬品は、例えば薬品の包装材にバーコードが付されていない薬品、又は、水物及び練り物などが混合調剤された薬品などである。なお、前記処方データ又は前記Rpデータに前記目視鑑査対象薬品として扱う薬品が存在しない場合(S15:No側)、処理はステップS16に移行する。また、前記ステップS15が省略されることも他の実施形態として考えられる。
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部10は、目視鑑査を開始するための操作が行われると(S16:Yes側)、処理をステップS151に移行させ、目視鑑査を開始するための操作が行われていなければ(S16:No側)、処理をステップS17に移行させる。具体的に、前記制御部10は、前記処方鑑査画面D10に表示されている一又は複数の処方薬品が選択された状態で前記目視鑑査キーK13が操作された場合に、前記目視鑑査を開始するための操作が行われたと判断する。この場合、前記処方鑑査画面D10で選択された一又は複数の処方薬品が目視鑑査対象薬品として特定される。
<ステップS17>
ステップS17において、前記制御部10は、薬品の包装材である分包紙から前記薬品識別情報が読み取られた場合(S17:Yes側)、処理をステップS171に移行させ、後述の目視鑑査処理を実行する。なお、例えば前記分包紙には、前記分包紙で一包化された薬品に対応する前記薬品識別情報がQRコード(登録商標)などのコードによって記録されている。また、前記制御部10は、分包紙から前記薬品識別情報が読み取られていない場合(S17:No側)、処理をステップS18に移行させる。
<ステップS18>
ステップS18において、前記制御部10は、薬品の包装材であるPTPシートから前記薬品識別情報が読み取られた場合(S18:Yes側)、前記薬品識別情報に対応する処方薬品を秤量鑑査対象薬品として特定し、処理をステップS19に移行させて後述の秤量鑑査処理を実行する。また、前記制御部10は、PTPシートから前記薬品識別情報が読み取られていない場合(S18:No側)、処理を前記ステップS16に戻す。なお、前記薬品識別情報が読み取られた場合であっても、前記薬品識別情報に対応する薬品が秤量鑑査処理を行わない薬品として予め登録されている場合、又は前記薬品識別情報に対応する薬品の単位量当たりの重量が前記医薬品マスターに記憶されていない場合には、前記制御部10が処理をステップS151に移行させることも他の実施形態として考えられる。
また、前記制御部10は、前記薬品識別情報が読み取られていない場合(S18:No側)であっても、前記処方鑑査画面D10に表示されている薬品が1つだけ選択され、予め定められた秤量鑑査処理の開始操作が行われた場合に、処理をステップS19に移行させてその薬品を対象として秤量鑑査処理を実行することも可能である。例えば、前記秤量鑑査処理の開始操作は、前記薬品の表示領域の長押し操作、又は前記処方鑑査画面D10に表示される秤量鑑査キー(不図示)の操作などである。一方、前記秤量鑑査処理の開始操作も行われない場合、処理は前記ステップS16に戻される。なお、前記秤量鑑査処理の開始操作が任意に行われる対象薬品は、例えば前記薬品識別情報が包装材に付されていない薬品、複数のシートが1つの包装体となっている薬品、及び錠剤分包機で一包化された分包後の薬品などである。
<ステップS151、S171>
ステップS151又はステップS171において、前記制御部10は、前記目視鑑査対象薬品についてユーザーが薬品画像を目視で確認するための業務を支援する目視鑑査処理を実行する。ここに、前記目視鑑査処理は、前記制御部10の前記目視鑑査処理部15によって実行される。
前記目視鑑査処理において、前記制御部10は、まず前記表示部20に前記目視鑑査画面D11(図8参照)を表示させる。前記制御部10は、前記ステップS15~S17で特定された一又は複数の処方薬品を前記目視鑑査対象薬品として、前記目視鑑査画面D11に表示させる。具体的に、前記制御部10は、前記ステップS17で分包紙の前記薬品識別情報が読み取られた場合には、前記薬品識別情報に基づいて前記分包紙に収容されている一又は複数の薬品を前記目視鑑査対象薬品として特定する。そして、前記制御部10は、前記目視鑑査対象薬品の薬品名称、薬品画像(裸錠画像)、及び目標値などを、前記処方データ、前記Rpデータ、又は前記医薬品マスターから読み出して前記目視鑑査画面D11に表示する。その後、前記目視鑑査画面D11の前記確認キーK31が操作されると、前記制御部10は、前記目視鑑査画面D11に表示中の前記目視鑑査対象薬品の目視鑑査が終了したものとして処理し、前記記憶部40に鑑査履歴として記憶する。また、前記制御部10が、前記目視鑑査画面D11の表示後、予め設定された所定時間が経過した場合に目視鑑査が終了したものと判断して前記目視鑑査画面D11を自動で消すことも考えられる。さらに、前記制御部10が、前記目視鑑査画面D11を表示させた後、自動的に前記薬品画像各々の拡大画面を順にポップアップ表示させて所定時間後に消すことも考えられる。
ところで、前記制御部10が、前記目視鑑査画面D11の表示中に前記情報読取部60によってPTPシートから前記薬品識別情報が読み取られた場合に、前記目視鑑査画面D11に表示されている薬品のうち前記薬品識別情報に対応する薬品について、前記薬品識別情報による照合が行われた旨を鑑査履歴として前記記憶部40に記憶させることが考えられる。これにより、例えばPTPシートから除包された薬品が錠剤分包機又は散薬分包機などで前記分包紙に分包された場合に、その除包後のPTPシートからGS1コードなどを前記情報読取部60によって読み取ることにより、前記分包紙で分包されている薬品のうち少なくとも一部の薬品についての目視鑑査の手間が軽減される。例えば、このように前記目視鑑査における前記薬品識別情報の照合処理の結果は、図10における前記履歴内容表示領域A53の「バーコード確認」の結果に反映される。
なお、前記ステップS17で分包紙の前記薬品識別情報が読み取られた場合には、前記目視鑑査処理において、ユーザーが分包紙内の薬品と前記目視鑑査画面D11とを参照して鑑査を行う必要がある。これに対し、例えば前記錠剤分包機又は前記散薬分包機のような調剤機器において前記分包紙に印刷される前記薬品識別情報に、前記分包紙に収容される全薬品の薬品名、剤形、調剤量(重量又は数量)、及び患者情報などの内容に関する分包情報が含まれていることが考えられる。そこで、前記制御部10は、前記ステップS17で分包紙の前記薬品識別情報が読み取られた場合に、前記薬品識別情報に含まれる前記分包情報と前記処方データとを照合し、その照合結果が一致した場合には、目視鑑査処理及び秤量鑑査処理を実行することなく、前記分包紙に収容されている薬品各々の鑑査を完了とすることが考えられる。これにより、前記調剤機器で分包紙に分包された薬品についての目視鑑査の手間を軽減することができる。
<ステップS172>
前記ステップS171の実行後、ステップS172において、前記制御部10は、秤量鑑査設定がONに設定されているか否かを判断し、前記秤量鑑査設定がONに設定されている場合は(S172:Yes側)、処理をステップS19に移行させる。一方、前記秤量鑑査設定がOFFに設定されている場合(S172:No側)、前記制御部10は処理をステップS20に移行させる。前記秤量鑑査設定は、前記ステップS17で分包紙から前記薬品識別情報が読み取られた場合に、前記目視鑑査処理と共に前記秤量装置50を用いる秤量鑑査処理を実行するか否かに関する設定である。前記制御部10は、前記鑑査支援装置100の環境設定時などにおけるユーザー操作に応じて前記秤量鑑査設定の内容を任意に変更可能である。
<ステップS19>
そして、ステップS19において、前記制御部10は、前記秤量部5Nによる秤量結果と前記処方データとを照合する照合処理を含む秤量鑑査処理を実行する。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記照合処理部14によって実行される。具体的に、前記ステップS19において、前記制御部10は、前記薬品識別情報に対応する新たな前記秤量鑑査処理を起動した後、処理をステップS20に移行させる。即ち、前記制御部10は、前記ステップS18で前記薬品識別情報が読み取られるごとに、前記薬品識別情報に対応する前記秤量鑑査処理を個別に開始させる。従って、複数のPTPシートから前記薬品識別情報が順次読み取られた場合には、前記制御部10によって複数の前記秤量鑑査処理が起動され、それらの前記秤量鑑査処理が並列して実行されることになる。また、前記秤量鑑査設定がONである場合には、前記分包紙から前記薬品識別情報が読み取られる場合にも、その都度前記秤量鑑査処理が個別に開始されることになる。
<ステップS20>
その後、ステップS20において、前記制御部10は、前記ステップS12で特定された前記Rpデータ、又は前記ステップS13で特定された前記処方データに含まれている処方薬品の全てについて鑑査が完了したか否かを判断する。具体的に、前記制御部10は、前記Rpデータ又は前記処方データに含まれる全ての薬品について前記目視鑑査処理及び前記秤量鑑査処理のいずれかよる鑑査が完了したか否かを判断する。ここで、前記制御部10は、前記処方薬品の全てについて鑑査が完了したと判断すると(S20:Yes側)、処理をステップS21に移行させる。また、前記制御部10は、鑑査が完了していない処方薬品が残存していると判断すると(S20:No側)、処理を前記ステップS16に戻す。
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部10は、前記Rpデータ又は前記処方データについての鑑査が完了した旨の鑑査完了通知を前記表示部20に表示させ、処理を前記ステップS11に戻す。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記鑑査完了通知部16によって実行される。これにより、ユーザーは、前記表示部20の表示を参照することにより、前記Rpデータ又は前記処方データの鑑査が完了した旨を明確に把握することができる。また、前記鑑査支援装置100が、前記ネットワークN1を介してプリンターに接続されていることも考えられる。この場合、前記制御部10は、前記ステップS21において、前記鑑査が完了した前記Rpデータ又は前記処方データについての鑑査の実施記録を、前記プリンターを用いて印刷可能であることが考えられる。前記鑑査の実施記録には、例えば患者情報(患者氏名、患者ID、年齢、性別など)、用法、薬品、鑑査結果(秤量結果、目標値、照合結果など)などが含まれる。具体的に、前記制御部10は、前記ステップS21において鑑査の実施記録を自動的に印刷すること、又は前記鑑査完了通知が表示されている画面におけるユーザー操作に応じて鑑査の実施記録を印刷することが考えられる。なお、前記制御部10は、鑑査の実施記録を自動的に印刷するか否かを予めユーザー操作に応じて設定することも可能である。また、前記制御部10は、前記プリンターを用いて前記Rpデータ又は前記処方データに基づいて薬袋が印刷可能であることも考えられる。
なお、前記制御部10が、前記ステップS13で前記処方データが特定された場合に、前記処方データに含まれるRpデータについての鑑査が完了するごとに鑑査完了通知を前記表示部20に表示させることも考えられる。これにより、前記Rpデータの単位で鑑査が行われることになり、同一の薬袋に収容するべき処方薬品ごとに纏めて鑑査を行うことが可能となる。
[秤量鑑査処理]
続いて、図11を参照しつつ、前記ステップS19で開始される秤量鑑査処理について説明する。
<ステップS30>
まず、ステップS30において、前記制御部10は、前記PTPシート又は前記分包紙から読み取られた前記薬品識別情報に対応する薬品が、前記処方表示領域A15に表示されている鑑査対象の処方データ又はRpデータに含まれているか否かを判断する。ここで、前記薬品識別情報に対応する薬品が鑑査対象の処方データ又はRpデータに含まれていると判断されると(S30:Yes側)、処理はステップS31に移行する。一方、前記薬品識別情報に対応する薬品が鑑査対象の処方データ又はRpデータに含まれていないと判断されると(S30:No側)、前記制御部10は、処理をステップS301に移行する。なお、鑑査対象が処方データである場合であっても、予めRpデータごとに鑑査を実行する旨の設定が行われている場合には、前記制御部10が、前記ステップS30で読み取られた前記薬品識別情報に対応する薬品が前記処方表示領域A15に現在表示中のRpデータに含まれているか否かを判断することが考えられる。
<ステップS301>
ステップS301において、前記制御部10は、エラーメッセージを前記表示部20に表示させた後、前記秤量鑑査処理を終了させる。例えば前記エラーメッセージには、前記情報読取部60で読み取られた前記薬品識別情報が前記処方データ又は前記Rpデータと一致しない旨の警告が含まれる。
<ステップS31>
ステップS31において、前記制御部10は、前記ステップS17又は前記ステップS18で読み取られた前記薬品識別情報に対応する薬品の単位量当たりの重量(以下「単位重量」という)を前記記憶部40に記憶されている前記医薬品マスターから取得する。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記単位重量取得部12によって実行される。なお、前記制御部10は、外部の記憶装置から前記薬品の単位重量を取得するものであってもよい。例えば、前記薬品識別情報が錠剤である場合には、前記錠剤の単位量当たりの重量が前記医薬品マスターから読み出される。
ところで、前記単位重量が1.6g未満である場合には誤差の影響が大きくなる。そこで、前記制御部10は、前記ステップS31で取得した単位重量が1.6gのような所定値未満である場合に、前記秤量表示領域A11~A14の背景色を予め定められた薄い黄色などに変更することが考えられる。これにより、ユーザーは、前記単位重量が小さいことに注意を払いつつ鑑査業務を行うことができる。また、前記処方データ又は前記Rpデータに服用量又は用法が異なる同一薬品が含まれることが考えられる。この場合、前記制御部10は、例えば初回は前記薬品識別情報に対応する同一薬品のうち前記処方表示領域A15に表示されている最上位の薬品を秤量鑑査対象薬品として特定し、次以降は鑑査が未完了の薬品のうち前記処方表示領域A15に表示されている最上位の薬品を秤量鑑査対象薬品として特定する。また、他の実施形態として、前記制御部10は、前記ステップS31で取得した単位重量が予め設定された許容最大値以上である場合にも同様に、前記秤量表示領域A11~A14の背景色を予め定められた薄い黄色などに変更することが考えられる。
<ステップS32>
次に、ステップS32において、前記制御部10は、前記秤量部5Nのいずれかの秤量値が0から増加したか否かを判断する。ここで、前記制御部10は、前記秤量部51~54のいずれかの秤量部5Nの秤量値が0から増加したと判断した場合(S32:Yes側)、処理をステップS33に移行させる。一方、前記制御部10は、前記秤量部51~54の秤量値が0から変化していないと判断した場合(S32:No側)、処理をステップS35に移行させる。
<ステップS33>
ステップS33において、前記制御部10は、前記ステップS32で秤量値が0から増加した前記秤量部5Nを前記ステップS17又はS18で特定された前記薬品識別情報に対応付ける秤量部として特定する。即ち、前記制御部10は、前記情報読取部60による前記薬品識別情報の読み取り後に秤量値が0から増加した一又は複数の前記秤量部5Nを前記薬品識別情報に対応付ける秤量部として特定する。ここに、係る特定処理は、前記制御部10の前記秤量特定部11によって実行される。例えば、前記薬品識別情報が読み取られた後、次に前記薬品識別情報が読み取られるまでの間に複数の前記秤量部5Nの秤量値が0から増加した場合には、その複数の前記秤量部5Nが先に読み取られていた前記薬品識別情報に対応付けられる。これにより、ユーザーは、同種の薬品の束を複数に分けて前記秤量部5Nに載置させることが可能である。
このように構成された前記鑑査支援装置100では、前記制御部10が、前記秤量部5Nのうち秤量値が0よりも大きい値から増加した秤量部が存在する場合には(S32:No側)、その秤量部を前記薬品識別情報に対応付ける秤量部として特定しない。従って、前記制御部10は、一つ前に読み取られた前記薬品識別情報に対応付けるべき前記秤量部5Nによる秤量と、次に読み取られた前記薬品識別情報に対応付けるべき前記秤量部5Nによる秤量とが同時に進行する場合であっても、それらの秤量部5Nを区別して前記薬品識別情報に対応付けることが可能である。
また、前記制御部10は、前記ステップS33で前記薬品識別情報に対応する前記秤量部5Nが特定された後、後述のステップS35又はステップS36で前記薬品識別情報に対応する前記秤量部5Nが確定するまでの間に前記秤量部5Nの秤量値が0に戻った場合には、前記秤量部5Nと前記薬品識別情報との対応付けを解除する。この場合、前記制御部10は、前記秤量部5Nに対応する前記秤量表示領域A1Mにおける表示もリセットする。
<ステップS34>
ステップS34において、前記制御部10は、前記ステップS33で特定された前記秤量部5Nによる秤量値に応じた薬品量の表示を開始する。具体的に、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量結果を予め定められた単位に換算し、前記秤量部5Nに対応する前記秤量表示領域A1Mに表示させる。その後、前記秤量部5Nの秤量結果は継続的に更新されて前記秤量表示領域A1Mに表示される。なお、前記秤量結果の表示のリアルタイム更新は、前記秤量部5Nの秤量結果が安定して確定するまで実行される。ここに、前記秤量部5Nによる秤量結果を前記ステップS31で取得された前記単位重量に基づいて予め定められた単位に換算する処理は、前記制御部10の前記単位換算処理部13によって実行される。また、予め定められた単位に換算された前記秤量部5Nによる秤量結果を前記秤量表示領域A1Mに表示させる処理は、前記制御部10の前記表示処理部17によって実行される。なお、前記秤量結果の換算後の薬品の単位(錠、カプセル、包、枚、gなど)は、例えば前記処方データで用いられる薬品の単位(錠、カプセル、包、枚、gなど)と同じである。
ところで、前記鑑査支援装置100では、前記秤量部5Nによる秤量の精度(レンジ)が切り替え可能であることが考えられる。具体的に、前記秤量部5Nは、前記ロードセル56を用いて秤量される秤量値を前記制御部10に入力する秤量制御部を備えることが考えられる。なお、前記秤量制御部は、例えばASIC又はMPUなどの制御部である。そして、前記秤量制御部は、前記制御部10からの制御指示に応じて、前記秤量部5Nの前記ロードセル56の秤量結果として前記制御部10に入力する秤量値の小数点の桁数を変更することが考えられる。例えば、前記秤量制御部は、前記制御部10からの制御指示に応じて、小数点第一位までの精度で秤量値を前記制御部10に入力する第1レンジモードと、小数点第二位までの精度で秤量値を前記制御部10に入力する第2レンジモードとを切り替えて実行可能であることが考えられる。
このような構成では、前記制御部10が、前記秤量制御部の動作モードを、状況に応じて前記第1レンジモード又は前記第2レンジモードに切り替えることが可能である。例えば、前記制御部10は、通常は、前記秤量部5Nの前記秤量制御部を前記第2レンジモードで動作させることにより、前記秤量部5Nから小数点第二位までの精度で秤量値を取得する。一方、前記鑑査支援装置100の使用環境として、例えば風又は振動などの影響により前記秤量部5Nの秤量値の小数点第二位の値が安定しづらい環境も想定される。そこで、前記制御部10は、予め設定された所定時間が経過しても前記秤量部5Nの秤量値の小数点第二位の値が安定しない場合には、前記秤量部5Nの前記秤量制御部を前記第1レンジモードで動作させることにより、前記秤量部5Nから小数点第一位までの精度で秤量値を取得することが考えられる。この場合、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量値の小数点第一位が安定した場合に、その秤量値を秤量結果として取得することになる。また、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量値の小数点第二位の値が前記所定時間経過後も安定しない状況が、所定期間の間に所定回数繰り返し発生した場合には、前記秤量部5Nの前記秤量制御部の通常時の初期動作モードを前記第2レンジモードから前記第1レンジモードに変更することも考えられる。
<ステップS35>
ステップS35において、前記制御部10は、前記情報読取部60によって他の薬品に対応する前記薬品識別情報が読み取られたか否かを判断する。ここで、前記制御部10は、他の薬品に対応する前記薬品識別情報が読み取られたと判断すると(S35:Yes側)、処理をステップS351に移行させる。
また、前記制御部10は、他の薬品に対応する前記薬品識別情報が読み取られていないと判断すると(S35:No側)、処理をステップS36に移行させる。これにより、前記秤量鑑査処理において、前記制御部10は、前記情報読取部60による前記薬品識別情報の読み取り後、前記情報読取部60により異なる前記薬品識別情報が読み取られるまでの間に(S35:Yes側)、秤量値が0から増加した一又は複数の前記秤量部5Nを前記薬品識別情報に対応する秤量部として特定することになる(S33)。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記秤量特定部11によって実行される。
<ステップS36>
ステップS36において、前記制御部10は、前記ステップS33で前記薬品識別情報に対応する前記秤量部5Nが特定されてから予め設定された所定時間が経過したか否かを判断する。ここで、前記制御部10は、前記所定時間が経過したと判断すると(S36:Yes側)、処理をステップS351に移行させ、前記所定時間が経過するまでの間は(S36:No側)、処理を前記ステップS32に戻す。
なお、本実施形態では、前記所定時間が経過した場合にも前記秤量鑑査対象薬品に前記秤量部5Nを割り当てるための処理(S33)が実行されなくなり、前記秤量鑑査対象薬品に対応する前記秤量部5Nが確定する場合について説明するが、これに限らない。例えば、前記制御部10が、所定の確定キーなどの操作に応じて前記秤量鑑査対象薬品に対応する前記秤量部5Nを確定可能な構成も考えられる。また、前記制御部10が、前記ステップS37における後述の照合処理を前記ステップS33以後から随時実行し、前記秤量鑑査対象薬品に対応する前記秤量部5Nの秤量結果が前記処方データに一致したことを条件に前記秤量鑑査対象薬品に対応する前記秤量部5Nを確定可能な構成も考えられる。
<ステップS351>
ステップS351において、前記制御部10は、前記ステップS33で前記薬品識別情報に対応する秤量部として特定された一又は複数の前記秤量部5Nの全ての秤量値が確定したか否かを判断する。なお、前記秤量部5Nの秤量値は、例えば前記秤量部5Nの秤量値が所定時間変動せず安定していた場合に確定する。ここで、前記制御部10は、全ての前記秤量部5Nの秤量値が確定したと判断すると(S351:Yes側)、処理をステップS37に移行させ、全ての前記秤量部5Nの秤量値が確定するまでの間は(S351:No側)、前記ステップS351の判断を繰り返し実行する。
<ステップS37>
ステップS37において、前記制御部10は、前記ステップS33で同一の薬品に対応する秤量部として特定された一又は複数の前記秤量部5Nによる秤量結果の合計を算出し、その合計値と前記処方データとを照合する。具体的に、前記制御部10は、前記ステップS34で予め定められた単位に換算された前記秤量部5N各々の秤量結果の合計が前記処方データで示された目標値である処方数量と一致するか否かを判断する。
例えば、前記処方データに示されている前記秤量鑑査対象薬品の目標値が9錠である場合であって、前記秤量鑑査対象薬品の単位重量が2.2gである場合、前記秤量部5Nによる秤量値が19.8gである場合に前記秤量部5Nに載置されている薬品数量が9錠となる。これに対し、前記制御部10は、前記秤量部5Nによる秤量値と前記単位重量とに基づいて算出される薬品数量が8.5錠以上9.4錠以下である場合には照合結果が一致であると判断し、8.4錠以下又は9.5錠以上である場合には照合結果が不一致であると判断することが考えられる。即ち、前記制御部10は、前記薬品数量の小数点第一位を四捨五入して照合を行うことが考えられる。なお、前記制御部10が前記照合処理において許容する誤差は予め設定することが可能であり、前記小数点第一位の四捨五入はその一例に過ぎない。例えば、前記制御部10が、前記秤量結果が目標値±0.1錠又は目標値±0.2錠などである場合に照合結果が一致であると判断することが考えられる。
また、前記秤量鑑査対象薬品に対応付けられた前記秤量部5Nが複数存在する場合、前記制御部10は、前記処方データ又は前記Rpデータにおける前記秤量鑑査対象薬品の総錠数と、複数の前記秤量部5Nの秤量値が換算された錠数の合計とを照合する。これにより、ユーザーは、1つの前記秤量鑑査対象薬品について複数の前記秤量部5Nを用いる場合でも、特別な操作を必要とすることなく、1つの前記秤量部5Nを用いる場合と同様の手順で任意の数の前記秤量部5Nに前記秤量鑑査対象薬品を載置して簡単に秤量鑑査を行うことができる。なお、前記秤量鑑査対象薬品に対応付けられた前記秤量部5Nが複数存在する場合の照合手法として、前記制御部10は、前記処方データ又は前記Rpデータにおける前記秤量鑑査対象薬品の総錠数を前記秤量鑑査対象薬品に対応するPTPシート1枚当たりの個数で除算することにより求められたPTPシートの枚数にPTPシート1枚当たりの重量を乗算した総重量値と、複数の前記秤量部5Nの秤量値の合計との差が予め定められた許容誤差未満であるか否かを判断することも考えられる。
ところで、前記秤量鑑査対象薬品が錠剤又はカプセルである場合、前記制御部10は、前記秤量鑑査対象薬品に対応して前記医薬品マスターに記憶されている前記PTPシート1枚当たりの個数と前記処方データ又は前記Rpデータとに基づいて前記秤量鑑査対象薬品のPTPシートの枚数及び1枚に満たない端数の有無を算出することが考えられる。そして、前記制御部10は、前記PTPシートの枚数と端数の有無とに応じて、前記PTPシートの耳の重量として予め設定された所定値を前記目標値に加算することが考えられる。
例えば、前記制御部10は、前記端数が存在する場合には耳ありと判断して耳の重量を加算することが考えられる。これにより、前記目標値が前記PTPシートの耳の重量を考慮した値に近似し、前記照合が高い精度で実行される。なお、PTPシートの端数が存在する場合に、耳あり又は耳なしのいずれで計算するかが予め選択可能な構成も考えられる。また、前記制御部10は、前記PTPシートの端数について、常に耳ありと判断して耳の重量を前記目標値に加算し、照合結果が一致でない場合に、「端数に耳が存在しますか」のように耳の有無が原因で照合結果が不一致である可能性を示唆するメッセージを表示させることも考えられる。
また、前記鑑査支援装置100では、前記制御部10により、前記表示部20に端数のPTPシートにおける耳の有無の状態を入力するための「耳なし」及び「耳あり」の操作キーが表示されることが考えられる。そして、「耳なし」の操作キーの操作が前記操作部30で検出された場合には、前記制御部10が、端数が生じているPTPシートに耳が存在しないものとし、「耳あり」の操作キーの操作が前記操作部30で検出された場合には、前記制御部10が、端数が生じているPTPシートに耳が存在するものとして秤量値と目標値との照合を行うことが考えられる。
さらに、前記制御部10は、前記PTPシートの枚数に応じて、予め輪ゴムの重量として設定された所定値を前記目標値に加算することが考えられる。例えば、前記PTPシートの枚数が0枚以上2枚以下である場合は予め定められた小サイズの輪ゴムの重量、記PTPシートの枚数が3枚以上5枚以下である場合は予め定められた中サイズの輪ゴムの重量、記PTPシートの枚数が6枚以上10枚以下である場合は予め定められた大サイズの輪ゴムの重量を前記所定値として前記目標値に加算することが考えられる。これにより、前記目標値が前記PTPシートを束ねる輪ゴムの重量を考慮した値に近似し、前記照合が高い精度で実行される。例えば、前記制御部10は、前記鑑査支援装置100の初期設定として、「耳の重量(0-99.99)」、「輪ゴム(大)の重量(0-99.99)」、「輪ゴム(中)の重量(0-99.99)」、「輪ゴム(小)の重量(0-99.99)」、「輪ゴム適用シート数(小:0.0-2.0、中:3.0-5.0、大:6.0-10.0など)」、「1包化の重量鑑査(行う、行わないなど)」、「QR重量データ(1日当り、1包当りなど)」、「鑑査単位(RP単位、処方単位など)」、「g表示時の小数第3位の扱い(四捨五入、切り捨てなど)」、「分包品QR読込時の輪ゴム重量(加算する、加算しないなど)」などをユーザー操作に応じて設定可能である。また、前記制御部10は、前記鑑査支援装置100の初期設定として、前記秤量部51~前記秤量部54各々による秤量時の輪ゴムの初期選択状態を示す「秤1輪ゴム選択デフォルト値」、「秤2輪ゴム選択デフォルト値」、「秤3輪ゴム選択デフォルト値」、「秤4輪ゴム選択デフォルト値」、前記大皿58を使用する秤量時の輪ゴムの初期選択状態を示す「大皿輪ゴム選択デフォルト値」、前記秤量部51~前記秤量部54各々による秤量時の端数の有無の初期選択状態を示す「秤1端数有無選択デフォルト値」、「秤2端数有無選択デフォルト値」、「秤3端数有無選択デフォルト値」、「秤4端数有無選択デフォルト値」、薬品の単位量(単一)当りの値を計測するときに秤量される薬品の個数を示す「薬品単一当りの計測時の秤量個数(0-999)」などをユーザー操作に応じて設定可能である。
また、前記鑑査支援装置100では、前記制御部10により、前記表示部20にPTPシートを束ねる輪ゴムの大きさ又は種類などを入力するための「ゴム大」、「ゴム中」、「ゴム小」、「ゴムなし」などの操作キーが表示されることが考えられる。この場合、「ゴム大」、「ゴム中」、「ゴム小」、「ゴムなし」などの操作キーの操作に応じて、前記制御部10がPTPシートに使用されている輪ゴムの大きさを切り替えることが考えられる。これにより、PTPシートと共に前記秤量部5Nに載置された輪ゴムの重量を考慮して秤量値と目標値との照合を行うことができる。特に、PTPシートを束ねる際に使用する輪ゴムの大きさ又は種類は、PTPシートの枚数だけではなく、PTPシートの大きさに応じて異なることも考えられる。そのため、PTPシートの枚数だけで輪ゴムの大きさ又は種類などが一義的に定まらない場合がある。これに対し、前述したように「ゴム大」、「ゴム中」、「ゴム小」、「ゴムなし」などの操作キーの操作に応じて輪ゴムの大きさ又は種類を任意に選択可能な構成では、ユーザーが実際のPTPシートに使用されている輪ゴムを見て輪ゴムの大きさ又は種類などを設定することができる。また、例えば複数のPTPシートを輪ゴムで束ねている場合に、そのPTPシートの束を複数に分けて複数の前記秤量部5Nに載置させる場合には、いずれかの秤量部5Nだけに輪ゴムが載置されることが考えられる。特に、輪ゴムを必要としない枚数のPTPシートが載置される前記秤量部5Nに輪ゴムが載置されることが考えられる。また、PTPシートの枚数が「ゴム小」に対応するものであっても、そのPTPシートが「ゴム大」の輪ゴムと共に前記秤量部5Nに載置されることが考えられる。この場合でも、前述したように「ゴム大」、「ゴム中」、「ゴム小」、「ゴムなし」などの操作キーの操作に応じて輪ゴムの大きさ又は種類を任意に選択可能な構成では、ユーザーが実際のPTPシートと共に輪ゴムが載置されているか否かに応じて前記秤量部5N各々に対応する輪ゴムの有無、大きさ又は種類などを設定することができる。
なお、前記PTPシートの耳の重量の前記目標値に対する反映方法(計算方法)、及び前記輪ゴムの重量の前記目標値に対する反映方法(計算方法)は、薬局又は医療機関ごとに異なるため、これらの反映方法が予め設定可能であることが考えられる。例えば、前記PTPシートの耳の重量の前記目標値の反映方法として耳付きに対応する第1内規に基づく第1演算式と、耳なしに対応する第2内規に基づく第2演算式とが設定されており、前記制御部10が、前記PTPシートの耳付きが選択された場合は前記第1内規に対応する前記第1演算式に基づいて前記目標値又は秤量値を補正し、前記PTPシートの耳なしが選択された場合は前記第2内規に対応する前記第2演算式に基づいて前記目標値又は秤量値を補正することが考えられる。また、前記PTPシートの調剤方法として、例えば「1錠の場合には耳を残す」のように耳の残し方が規定されていることがある。そのため、前記PTPシートの耳の残し方に従って秤量値と目標値との照合を行った結果、適正でなかった場合には、耳の残し方が適正でない可能性を前記表示部20への表示などによって報知することが考えられる。例えば、処方データに基づいて調剤するべきPTPシートの枚数に1錠分の端数が生じている場合には、その1錠分のPTPシートには耳が残っているはずであるため、1錠分のPTPシートに耳が存在するものとして秤量値と目標値との照合を行うことが考えられる。これにより、前記PTPシートの耳の残し方が遵守されていない可能性がある旨をユーザーに伝えることができ、教育的機能を実現することができる。
<ステップS38>
ステップS38において、前記制御部10は、前記ステップS37における照合結果が一致である場合には(S38:Yes側)、処理をステップS39に移行させ、前記ステップS37における照合結果が一致しない場合には(S38:No側)、処理をステップS381に移行させる。
<ステップS381>
ステップS381において、前記制御部10は、前記ステップS33で同一の薬品に対応する秤量部として特定された一又は複数の秤量部5N各々に対応する前記秤量表示領域A1Mにエラーメッセージを表示させる。例えば、前記エラーメッセージは、「鑑査対象薬品の実測値が、上限値又は下限値を超過(又は不足)しています。鑑査を承認する場合はOKキーを押して下さい。再秤量を行う場合は、キャンセルキーを押して下さい」などである。また、前記制御部10は、前記エラーメッセージと共に、OKキー及びキャンセルキーを前記表示部20に表示させる。そして、前記制御部10は、前記OKキーが操作された場合には、前記秤量鑑査対象薬品の鑑査が完了したと判断する。一方、前記キャンセルキーが操作された場合、前記制御部10は、「鑑査対象薬品を取り出し、再度秤量して下さい」のようなメッセージを表示させ、処理を前記ステップS31に移行させる。
<ステップS39>
ステップS39において、前記制御部10は、前記ステップS33で同一の薬品に対応する秤量部として特定された一又は複数の前記秤量部5N各々に対応する前記秤量表示領域A1Mに、秤量値確定後の前記秤量部5Nに対応する秤量結果を予め定められた単位に換算した数量を表示させると共に、照合結果が一致である旨を表示させる。このように、前記秤量部5Nによる秤量結果及び前記ステップS38による照合結果を前記秤量表示領域A1Mに表示させる処理は前記制御部10の前記表示処理部17によって実行される。なお、前記大皿58を用いている場合、前記制御部10は、前記秤量表示領域A41(図9参照)に前記照合結果を表示させる。また、前記ステップS39において、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量結果である秤量値、及びその秤量値を薬品の単位に換算した換算値(錠、カプセル、枚などの単位の値)のいずれか一方又は両方を前記処方データと共に鑑査履歴として前記記憶部40に記憶する。これにより、前記制御部10は、前記鑑査履歴照会画面D12に前記鑑査履歴を表示させる際に、前記処方データの内容と共に前記秤量値又は前記換算値などを表示させることが可能である。
ところで、前記鑑査支援装置100に、USB、RS232C、又はBluetooth(登録商標)などの通信規格に従ってプリンターが接続されることも考えられる。この場合、前記制御部10は、前記ステップS39又はステップS381において、前記プリンターに前記ステップS37による秤量結果を印字出力させることが考えられる。なお、前記印字出力で出力されるジャーナルには、例えば、鑑査開始日時、処方番号、引換券番号、患者ID、患者氏名、診療科、鑑査者、処方データ、及びRpデータが印字される。また、前記ジャーナルでは、前記処方データ又は前記Rpデータに含まれる薬品識別情報としてJANコードが印刷されることが考えられる。なお、前記制御部10が、GS1コードをJANコードに変換して印字出力可能な構成も考えられる。
<ステップS40>
続いて、ステップS40において、前記制御部10は、前記撮影部70による撮影画像の記録タイミングを待ち受ける(S40:No側)。具体的に、前記制御部10は、4つの前記秤量部51~54の全ての秤量値が確定した場合、或いは、前記処方データ又は前記Rpデータに処方薬として含まれる全ての薬品について前記秤量鑑査処理が終了した場合(前記処方データ又は前記Rpデータに他の薬品が鑑査対象として残っていない場合)に、前記撮影部70による撮影画像を記録すると判断し(S40:Yes側)、処理をステップS41に移行させる。前記処方データ又は前記Rpデータに処方薬として含まれる全ての薬品について前記秤量鑑査処理が終了した場合とは、例えば前記Rpデータに6種類の処方薬が含まれる場合であって、まず4つの前記秤量部51~54を用いて4種類の処方薬についての秤量が行われた後、残りの2種類の処方薬について2つの前記秤量部5Nを用いた秤量が行われた場合である。なお、全ての前記秤量部51~54の照合処理が完了した後に代えて、全ての前記秤量部51~54の秤量値が安定した時点で前記撮影部70による撮影が行われることも考えられる。
<ステップS41>
ステップS41において、前記制御部10は、前記撮影部70による撮影画像を記録し、前記撮影画像を前記処方鑑査画面D10に表示されている前記処方データ又は前記Rpデータに対応付けて前記鑑査履歴として前記記憶部40に記憶させる。なお、前記撮影部70は、全ての前記秤量部51~54の前記秤量皿55を同時に撮影する。また、前記秤量部51~54に前記大皿58が載置されている場合には、前記大皿58が撮影される。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記撮影処理部18によって実行される。これにより、前述したように、前記鑑査履歴照会画面D12などによって前記鑑査履歴を参照する際に前記撮影画像を確認することが可能である。このように全ての前記秤量部51~54の秤量値が安定した後に全ての前記秤量部51~54が同時に撮影されるため、前記鑑査支援装置100による鑑査の証拠として有効な撮影画像が記憶される。即ち、前記記録タイミングが到来した時点では1度の撮影のみが実行される。なお、前記秤量鑑査処理ごとに個別のタイミングで前記撮影部70による撮影が行われることも他の実施形態として考えられる。
また、前記制御部10は、前記撮影部70による撮影画像を記録した後、前記撮影画像から前記秤量部51~54各々に対応して予め定められた領域の画像を抽出することも他の実施形態として考えられる。
<ステップS42>
その後、ステップS42において、前記制御部10は、前記ステップS33において行われた全ての前記薬品識別情報と前記秤量部5Nとの対応付けを解除する。これにより、前記制御部10は、前記薬品識別情報との対応付けが解除された前記秤量部5Nを用いて、次の薬品についての秤量鑑査処理を実行することが可能となる。なお、前記制御部10は、前記薬品識別情報との対応付けが解除された前記秤量部5Nに対応する前記秤量表示領域A1Mの表示をリセット(消去)する。
以上説明したように、前記鑑査支援装置100を用いれば、薬品のPTPシートなどの包装材から薬品識別情報が読み取られるごとに前記秤量鑑査処理(S19)が開始され、前記処方データ又は前記Rpデータに含まれる処方薬品の鑑査を連続且つ並列で行うことが可能である。そのため、例えば前記処方薬品各々の鑑査作業及び前記処方薬品各々の薬袋への収容作業を効率的且つ正確に行うことが可能となる。
また、前記秤量鑑査処理では、薬品の包装材から前記薬品識別情報が読み取られた後、異なる薬品の包装材から前記薬品識別情報が読み取られるまでの間に秤量値が0から増加した前記秤量部5Nが前記秤量鑑査対象薬品に対応する秤量部として特定される。そのため、一の前記薬品識別情報に対応する前記秤量部5Nの秤量値が安定する前に、他の前記薬品識別情報を前記情報読取部60で読み取らせて他の前記秤量部5Nによる秤量を開始させることが可能である。従って、ユーザーは、前記処方データ又は前記Rpデータに含まれる複数種類の薬品についての鑑査を効率的且つ正確に実行することができる。
具体的に、前記鑑査支援装置100は、4つの前記秤量部51~54を備える構成であるが、前記秤量部51~54を用いる前記秤量鑑査処理が個別に実行される。例えば、前記Rpデータに4種類の錠剤が処方薬として含まれている場合、ユーザーは、1つ目の錠剤のPTPシートの前記薬品識別情報を前記情報読取部60で読み取って前記秤量部5NにPTPシートを載置する。その後、ユーザーは、2つ目の錠剤のPTPシートの前記薬品識別情報を前記情報読取部60で読み取って前記秤量部5NにPTPシートを載置する。このとき、2つ目の錠剤のPTPシートの前記薬品識別情報の読み取りは、1つ目の秤量部5Nの秤量値が安定する前であってもよい。そして、前記薬品識別情報各々について開始された前記秤量鑑査処理各々では、前記秤量部5Nによる秤量結果に基づく鑑査結果が前記秤量表示領域A1Mに表示される。また、ユーザーは、その後も続けて3つ目の錠剤のPTPシートの前記薬品識別情報を前記情報読取部60で読み取って前記秤量部5NにPTPシートを載置し、4つ目の錠剤のPTPシートの前記薬品識別情報を前記情報読取部60で読み取って前記秤量部5NにPTPシートを載置する。このとき、前記秤量部5N各々による秤量結果と前記処方データ又は前記Rpデータとの照合は、前記薬品識別情報が読み取られたときに個別に開始される。そのため、前記秤量部5N各々による照合処理が順次終了することになる。従って、4種類全ての錠剤のPTPシートを前記秤量部5Nに載置してから全ての前記秤量部5Nによる秤量結果の照合を行う場合に比べて、最後(4番目)のPTPシートを前記秤量部5Nに載置させてから前記鑑査支援装置100による秤量鑑査処理が終了するまでの時間を短縮することができる。
一方、前記鑑査支援装置100は、4つの前記秤量部51~54を備えるものであるため、そのままでは5種類の薬品が前記Rpデータに含まれる場合に、5つ目の薬品のPTPシートの前記薬品識別情報を前記情報読取部60で読み取ってもそのPTPシートを載置することができない。そこで、前記制御部10が、前記秤量部5Nによる秤量結果と前記処方データ又は前記Rpデータとの照合が終了するごとに前記秤量部5Nと前記薬品識別情報との対応付けを解除することが他の実施形態として考えられる。これにより、前記鑑査支援装置100が有する前記秤量部51~54の数より多い5種類以上の薬品が前記Rpデータに含まれる場合であっても、前記秤量部51~54を繰り返し使用することにより5種類以上の薬品の秤量鑑査を並行して順次実行することが可能である。即ち、ユーザーは、1つ目~4つ目のいずれかの薬品に対応する前記秤量鑑査処理が終了した時点で5つ目の薬品の前記薬品識別情報を前記情報読取部60で読み取って前記秤量部5NにPTPシートを載置することができ、先に鑑査が終了した薬品については先に薬袋に収容していくことが可能である。従って、ユーザーは、前記秤量部5Nの数よりも多い種類の前記PTPシートの鑑査を効率的且つ正確に実行することができる。但し、この場合には、前記ステップS40~S41における撮影を行うことができない。そのため、この種の構成は、例えば前記鑑査支援装置100が前記撮影部70による撮影画像の記録機能を有していない場合、前記記録機能が無効に設定されている場合、前記撮影画像の記録タイミングが前記撮影キーK18の操作である場合、又は前記撮影画像の記録タイミングが前記秤量部5Nの秤量結果の処方データとの照合が終了することである場合などに好適である。
[他の機能]
以下、前記鑑査支援装置100が備える他の機能について説明する。なお、前記鑑査支援装置100は、下記の複数の機能のうち一又は複数の機能を備えるものであればよい。
[シート鑑査機能]
PTPシートのように包装材に収容された薬品の重量には、薬品自体の重量誤差に加えて、前記包装材の重量誤差が含まれる。よって、前記秤量部5Nに載置される薬品の総量が多くなるほど、薬品の総量を誤判定しやすくなる。
これに対し、前記鑑査支援装置100が、包装材に収容された秤量対象薬品の錠数の判定精度の向上を図ることが可能なシート鑑査機能を備えることが考えられる。具体的には、前記制御部10が、前記鑑査支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記シート鑑査機能を具現する。
例えば、前記秤量部5Nにより42錠の薬品(錠剤又はカプセル)を秤量する場合、その秤量結果には、薬品自体の重量誤差に加えて、薬品を収容する包装材の重量誤差が含まれる。よって、例えば、1錠当たりの重量の誤差が2.5%であった場合、前記秤量結果には2.5%×42錠=1.05錠分の誤差が含まれることになる。その結果、前記秤量部5Nに43錠の薬品が載せられていると誤判定されてしまう。
本実施形態では、上記のような誤判定を抑制するために、秤量対象薬品を、規定錠数の前記秤量対象薬品が収容される薬剤シートに収容されているグループと、前記薬剤シートの一部が切り取られた端数シートに収容されているグループとに分け、グループごとに錠数の判定が行われる。以下では、前記薬剤シートが、図13に示されるようなPTPシートP10である場合を例に挙げて説明する。PTPシートP10には、方向D1及び方向D1に直交する方向D2に沿って、規定錠数の秤量対象薬品が格子状に配置されている。なお、図13における方向D1は第1方向の一例であり、方向D2は第2方向の一例である。
本実施形態において42錠の薬品が秤量される場合、まず、任意の一又は複数の前記秤量部5Nに、全てのPTPシートP10が載置される。例えば、図14に示されるように、秤量部53に4枚のPTPシートP10が載置される。なお、この時点では、秤量部53に端数シートP20は載置されない。この状態で、前記制御部10は、秤量部53による秤量値(第1の秤量結果の一例)に基づいて、秤量部53に載置されている秤量対象薬品の錠数をPTPシートP10の単位で判定する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部10がシート判定処理部の一例である。
例えば、前記制御部10は、秤量部53による秤量値を1錠当たりの重量で除算した結果に基づいて、秤量部53に載置されているPTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数を判定する。前記1錠当たりの重量としては、例えば、PTPシートP10の1枚当たりの重量をPTPシートP10の1枚当たりの錠数で除算した結果が用いられてもよい。もしくは、前記医薬品マスターにPTPシートP10の耳P1(図13参照)の重量の情報が含まれている場合には、PTPシートP10の1枚当たりの重量から耳P1の重量を減算した結果を、PTPシートP10の1枚当たりの錠数で除算することによって、前記1錠当たりの重量が算出されてもよい。ここでは、PTPシートP10の1枚当たりの錠数が10錠であるので、前記制御部10は、10の整数倍のいずれかとして秤量対象薬品の錠数を判定する。例えば、前記制御部10は、前記秤量結果が35錠以上45錠未満の重量を示している場合は、前記秤量部53に40錠の薬品が載せられていると判定し、前記秤量結果が45錠以上55錠未満の重量を示している場合は、前記秤量部53に50錠の薬品が載せられていると判定する。なお、前記「35」、「45」及び「55」は、錠数の判定に用いられる閾値の一例に過ぎず、他の値が用いられてもよい。
ところで、1錠当たりの重量の誤差が2.5%であった場合、図14に示される秤量部53の秤量結果には2.5%×40錠=1錠分の誤差が含まれることになる。しかしながら、前記制御部10は、PTPシートP10の1枚当たりの錠数(ここでは10錠)の整数倍として秤量対象薬品の錠数を判定するので、前記秤量部53に41錠の薬品が載せられていると誤判定してしまうことがない。すなわち、前記制御部10は、前記秤量部53に40錠の薬品が載せられていると判定することができる。その結果、図15に示されるように、処方鑑査画面D10の秤量表示領域A13に、判定結果として「40錠」と表示される。このように、本実施形態によれば、秤量対象薬品の錠数の判定精度の向上を図ることが可能である。なお、図15に示される秤量表示領域A13には、処方データ又はRpデータから読み出された秤量対象薬品の目標錠数(ここでは、42錠)が表示される。
PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定が完了すると、続いて、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定が行われる。具体的に、前記制御部10は、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定が完了したことに応じて、前記風袋引処理を実行する。そして、前記制御部10は、例えば図16に示されるようなメッセージ画面D14を表示部20に表示させて、端数シートP20を同一の秤量部(ここでは、4枚のPTPシートP10が載せられている秤量部53)に載せるように促す。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部10が報知処理部の一例である。
続いて、図17に示されるように、ユーザーによって秤量部53に1枚の端数シートP20が追加で載置される。この状態で、前記制御部10は、秤量部53による秤量値(第2の秤量結果の一例)に基づいて、秤量部53に載置されている秤量対象薬品の錠数を1錠単位で判定する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部10が端数判定処理部の一例である。例えば、前記制御部10は、秤量部53による秤量値(前記風袋引処理が実行された後の秤量値)を1錠当たりの重量で除算した結果に基づいて、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数を判定する。
ところで、1錠当たりの重量の誤差が2.5%であった場合、秤量部53による秤量結果には2.5%×2錠=0.05錠分の誤差が含まれることになる。しかしながら、0.05錠分の誤差は微小であるため、前記制御部10は、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数が例えば3錠であると誤判定してしまうことがない。すなわち、前記制御部10は、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数が2錠であると判定することができる。その結果、図18に示されるように、処方鑑査画面D10の秤量表示領域A13に、判定結果として「2錠」と表示される。このように、本実施形態によれば、秤量対象薬品の錠数の判定精度の向上を図ることが可能である。なお、図18に示される秤量表示領域A13には、端数シートP20分の目標錠数(ここでは、2錠)が表示される。端数シートP20分の目標錠数は、図15に示される目標錠数(すなわち、処方データ又はRpデータから読み出された前記秤量対象薬品の目標錠数である42錠)から、図15に示される換算値(すなわち、40錠)を減算することによって算出される。また、秤量表示領域A13には、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定結果と、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定結果との合計(ここでは「42錠」)が、合計換算値として表示される。
なお、前記シート鑑査機能が有効な状態では、図15及び図18に示されるように、前記処方鑑査画面D10の前記秤量表示領域A11~A14に「シート」及び「端数」を切り換えるための操作キーK41が表示される。そして、前記制御部10は、前記秤量表示領域A11~A14各々における前記操作キーK41の操作に応じて、前記秤量部51~54ごとに、シートモードと端数モードとを交互に切り換える。前記シートモードは、上述のようにシート単位で錠数が判定される動作モードであり、前記端数モードは、1錠単位で錠数が判定される動作モードである。秤量対象に1枚以上のPTPシートP10が含まれている場合、ユーザーは、任意の一又は複数の前記秤量表示領域A1Mの操作キーK41を「シート」に設定した状態で、対応する一又は複数の秤量部5NにPTPシートP10を載置する。その後、図14~図18に示される一連の処理が実行される。一方、秤量対象にPTPシートP10が含まれていない場合は、ユーザーは、任意の一又は複数の前記秤量表示領域A1Mの操作キーK41を「端数」に設定した状態で、対応する一又は複数の秤量部5Nに端数シートP20を載置する。その結果、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数が判定される。
なお、他の実施形態では、操作キーK41が「シート」に設定された場合に、図19に示されるように、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定結果を示すシート表示領域A131と、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定結果を示す端数表示領域A132とが、秤量表示領域A1Mに同時に表示されてもよい。なお、図19は、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定処理中の秤量表示領域A13の一例である。このように、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定処理中は、端数表示領域A132がグレーアウトされてもよい。これにより、ユーザーは、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定処理中であることを容易に認識することができる。
次に、図20を参照しつつ、前記シート鑑査機能が有効な状態における前記秤量鑑査処理(図11)について説明する。
前記シート鑑査機能が有効な状態では、図11の前記ステップS33で前記薬品識別情報に対応する前記秤量部5Nが特定された後、前記制御部10は、処理を図20のステップS51に移行させる。
<ステップS51>
ステップS51において、前記制御部10は、前記ステップS33で特定された前記秤量部5Nに対応する前記秤量表示領域A1Mの操作キーK41が「シート」に設定されているか否かを判断する。ここで、前記制御部10は、前記操作キーK41が「シート」に設定されていると判断すると(S51:Yes側)、処理をステップS52に移行させる。一方、前記制御部10は、前記操作キーK41が「端数」に設定されていると判断すると(S51:No側)、処理をステップS58に移行させる。
<ステップS52>
ステップS52において、前記制御部10は、前記ステップS33で特定された前記秤量部5Nによる秤量値に応じた秤量対象薬品の錠数の表示を開始する。具体的に、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量結果に基づいて、秤量対象薬品の錠数をPTPシートP10の単位(例えば10錠単位)で判定する。例えば、前記制御部10は、前記ステップS31(図11)において、前記秤量対象薬品に対応するPTPシート1枚当たりの重量(基準重量)及びPTPシート1枚当たりの錠数(規定錠数)を前記医薬品マスターから取得する。ここに、係る取得処理を実行するときの前記制御部10が取得処理部の一例である。そして、ステップS52において、前記制御部10は、取得された前記基準重量及び前記規定錠数とに基づいて、前記秤量部5Nに載置されている前記秤量対象薬品の錠数を判定する。そして、前記制御部10は、判定された前記秤量対象薬品の錠数を、前記秤量部5Nに対応する前記秤量表示領域A1Mに表示させる。その後、前記秤量部5Nの秤量結果に応じて前記判定結果が継続的に更新されて、前記秤量表示領域A1Mに表示される。なお、前記判定結果の表示のリアルタイム更新は、前記秤量部5Nの秤量結果が安定して確定するまで実行される。また、判定された秤量対象薬品の錠数を前記秤量表示領域A1Mに表示させる処理は、前記制御部10の前記表示処理部17によって実行される。
<ステップS53>
ステップS53において、前記制御部10は、前記ステップS33で特定された前記秤量部5Nの秤量値が確定したか否かを判断する。なお、前記秤量部5Nの秤量値は、例えば前記秤量部5Nの秤量値が所定時間変動せず安定していた場合に確定する。ここで、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量値が確定したと判断すると(S53:Yes側)、処理をステップS54に移行させる。一方、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量値が確定するまでの間は(S53:No側)、前記ステップS53の判断を繰り返し実行する。
<ステップS54>
ステップS54において、前記制御部10は、確定した前記秤量部5Nの秤量値(第1の重量)と、前記ステップS52で判定された秤量対象薬品の錠数に対応する前記秤量対象薬品の重量(第2の重量)とが予め設定されたエラー報知条件を満たすか否かを判断する。具体的に、前記制御部10は、前記第1の重量と前記第2の重量との誤差が、予め定められた許容範囲内である場合に、前記エラー報知条件を満たすと判断する。
例えば、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量よりも重く、且つ前記第1の重量と前記第2の重量との誤差が、予め定められた許容誤差よりも大きい場合には前記エラー報知条件を満たすと判断し、前記第1の重量が前記第2の重量よりも重く、且つ前記第1の重量と前記第2の重量との誤差が前記許容誤差以下である場合には前記エラー報知条件を満たさないと判断してもよい。この場合、前記許容誤差は、前記秤量対象薬品の1錠分以上の重量に相当する任意の重量(例えば、前記秤量対象薬品の2.5錠分の重量など)に設定される。例えば、前記許容誤差が前記秤量対象薬品の2.5錠分の重量に設定されているとすると、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量に対して前記秤量対象薬品の1錠分又は2錠分だけ重い場合は、誤差が許容範囲内であると判断する。なぜなら、前記秤量部5NにはPTPシートP10だけが載置されているはずであり、端数シートP20(特に、収容されている薬品の錠数が少ない端数シートP20)も一緒に載置されている可能性は低いと考えられるからである。そこで、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量に対して前記秤量対象薬品の1錠分又は2錠分の重量だけ重いとしても、それは、前記秤量部5Nに載置されているPTPシートP10の重量と、前記医薬品マスターに含まれているPTPシート1枚当たりの重量との誤差が原因であると判断する。これにより、エラーの報知頻度が少なくなるため、鑑査作業の効率を向上させることが可能である。なお、前記許容誤差は、PTPシート1枚当たりの重量に対する比率で設定されてもよい。
また、例えば、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量よりも軽く、且つ前記第1の重量と前記第2の重量との誤差が、予め定められた許容誤差よりも大きい場合には前記エラー報知条件を満たすと判断し、前記第1の重量が前記第2の重量よりも軽く、且つ前記第1の重量と前記第2の重量との誤差が前記許容誤差以下である場合には前記エラー報知条件を満たさないと判断してもよい。この場合、前記許容誤差は、前記秤量対象薬品の1錠分以上の重量に相当する任意の重量(例えば、前記秤量対象薬品の1.5錠分の重量など)に設定される。例えば、前記許容誤差が前記秤量対象薬品の1.5錠分の重量に設定されているとすると、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量に対して前記秤量対象薬品の1錠分だけ軽い場合は、誤差が許容範囲内であると判断し、前記第1の重量が前記第2の重量に対して前記秤量対象薬品の2錠分以上軽い場合は、誤差が許容範囲を超えていると判断する。ところで、図21に示されるように、前記秤量部5Nに載置されているPTPシートP10の中に、誤って端数シートP20(特に、収容されている薬品の錠数が多い端数シートP20)が混ざっている可能性がある。しかしながら、PTPシート1枚当たりの錠数よりも1錠だけ少ない薬品が収容されている端数シートP20が混ざる可能性は非常に低い。なぜなら、PTPシートP10に含まれている薬品が1錠分だけ患者に提供される場合、まず、図13に示される方向D1(すなわち、PTPシートP10において耳P1が設けられている辺に沿った方向、PTPシートP10の短辺に沿った方向、及びPTPシートP10に設けられているミシン目P2に沿った方向のいずれかの方向)に沿って2錠分の端数シートP20がPTPシートP10から切り離され、次に、その2錠分の端数シートP20が2つの端数シートP20に切り離されるからである。そこで、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量に対して前記秤量対象薬品の1錠分だけ軽いとしても、それは、前記秤量部5Nに載置されているPTPシートP10の重量と、前記医薬品マスターに含まれているPTPシート1枚当たりの重量との誤差が原因であると判断する。一方、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量に対して前記秤量対象薬品の2錠分以上軽い場合は、前記秤量部5Nに載置されているPTPシートP10の中に、誤って端数シートP20が混ざっている可能性があると判断する。これにより、エラーの報知頻度が少なくなるため、鑑査作業の効率を向上させることが可能である。
なお、前記許容誤差は、PTPシートP10において前記方向D1に沿って並ぶ前記秤量対象薬品の錠数に応じて異なる値に設定されてもよい。例えば、PTPシートP10において前記方向D1に沿って並ぶ前記秤量対象薬品の錠数をN錠(Nは2以上の整数)としたとき、前記許容誤差は、前記秤量対象薬品の(N-1)錠分の重量よりも大きく、且つ前記秤量対象薬品のN錠分の重量よりも小さい値に設定されてもよい。例えば、PTPシートP10において前記方向D1に沿って並ぶ前記秤量対象薬品の錠数が3錠である場合は、前記許容誤差は、前記秤量対象薬品の2錠分の重量よりも大きく、且つ前記秤量対象薬品の3錠分の重量よりも小さい値(例えば、前記秤量対象薬品の2.5錠分の重量)に設定されてもよい。その結果、前記制御部10は、前記第1の重量が前記第2の重量に対して前記秤量対象薬品の1錠分又は2錠分だけ軽いとしても、それは、前記秤量部5Nに載置されているPTPシートP10の重量と、前記医薬品マスターに含まれているPTPシート1枚当たりの重量との誤差が原因であると判断する。これにより、エラーの報知頻度が少なくなるため、鑑査作業の効率を向上させることが可能である。
なお、前記制御部10は、前記第2の重量として、前記ステップS52で判定された秤量対象薬品の錠数に対応する前記秤量対象薬品の重量の代わりに、前記処方データ又は前記Rpデータに基づいて算出されるPTPシートP10の目標重量を用いてもよい。例えば、前記制御部10は、前記医薬品マスターに記憶されているPTPシート1枚当たりの錠数と前記処方データ又は前記Rpデータとに基づいてPTPシートP10の目標枚数を算出し、前記目標枚数に前記医薬品マスターに記憶されているPTPシート1枚当たりの重量を乗算することによって前記目標重量を算出することができる。そして、前記制御部10は、前記ステップS54において、前記第1の重量と前記目標重量とが予め設定されたエラー報知条件を満たすか否かを判断してもよい。
<ステップS55>
ステップS55において、前記制御部10は、前記第1の重量と前記第2の重量との間の誤差に関するエラーを報知する。例えば、前記制御部10は、前記ステップS33で特定された前記秤量部5Nに対応する前記秤量表示領域A1Mにエラーメッセージを表示させる。ここに、係る報知処理を実行するときの前記制御部10が報知処理部の一例である。そして、前記制御部10は、処理を前記ステップS42(図11)に移行させる。例えば、前記エラーメッセージは、「鑑査対象薬品の実測値に、許容範囲を超える誤差が含まれています。鑑査を承認する場合はOKキーを押して下さい。再秤量を行う場合は、キャンセルキーを押して下さい」などである。また、前記制御部10は、前記エラーメッセージと共に、OKキー及びキャンセルキーを前記表示部20に表示させる。そして、前記制御部10は、前記OKキーが操作された場合には、処理をステップS56に移行させる。一方、前記キャンセルキーが操作された場合、前記制御部10は、「鑑査対象薬品を取り出し、再度秤量して下さい」のようなメッセージを表示させ、処理を前記ステップS31に移行させる。
<ステップS56>
ステップS56において、前記制御部10は、PTPシートP10に含まれている前記秤量対象薬品の錠数の判定結果(すなわち、前記秤量表示領域A1Mに最終的に表示されている錠数)を前記RAMに一時的に記憶させる。
<ステップS57>
ステップS57において、前記制御部10は、風袋引処理を実行する。これにより、風袋重量の設定値が再設定され、前記秤量部5Nによる秤量値が0gとなる。
<ステップS58>
ステップS58において、前記制御部10は、PTPシートP10が載置されている前記秤量部5Nの上に、端数シートP20を追加で載せるように促す。例えば、前記制御部10は、図16に示されるようなメッセージ画面D14を表示部20に表示させる。なお、前記メッセージ画面D14は、前記秤量部5Nの秤量値が増加したことに応じて自動的に閉じられる。
<ステップS59>
ステップS59において、前記制御部10は、前記秤量部5Nに追加で載置された端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の表示を開始する。具体的に、前記制御部10は、前記秤量部5Nによる秤量値(すなわち、前記ステップS57において風袋引処理された後の秤量値)に基づいて、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数を1錠単位で判定する。そして、前記制御部10は、判定された前記秤量対象薬品の錠数を、前記秤量部5Nに対応する前記秤量表示領域A1Mに表示させる。このとき、前記秤量表示領域A1Mには、端数シートP20分の目標錠数が表示される。端数シートP20分の目標錠数は、処方データ又はRpデータから読み出された前記秤量対象薬品の目標錠数から、PTPシートP10に含まれている前記秤量対象薬品の錠数の判定結果(すなわち、前記ステップS56で前記RAMに一時的に記憶されている判定結果)を減算することによって算出される。その後、前記秤量部5Nの秤量結果に応じて前記判定結果が継続的に更新されて、前記秤量表示領域A1Mに表示される。なお、前記判定結果の表示のリアルタイム更新は、前記秤量部5Nの秤量結果が安定して確定するまで実行される。
<ステップS60>
ステップS60において、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量値が確定したか否かを判断する。なお、前記秤量部5Nの秤量値は、例えば前記秤量部5Nの秤量値が所定時間変動せず安定していた場合に確定する。ここで、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量値が確定したと判断すると(S60:Yes側)、処理をステップS61に移行させる。一方、前記制御部10は、前記秤量部5Nの秤量値が確定するまでの間は(S60:No側)、前記ステップS60の判断を繰り返し実行する。
<ステップS61>
ステップS61において、前記制御部10は、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定結果(すなわち、前記秤量表示領域A1Mに最終的に表示されている錠数)が、端数シートP20分の目標錠数と一致しているか否かを判断する。ここで、前記制御部10は、前記判定結果が前記目標錠数と一致していると判断すると(S61:Yes側)、処理をステップS63に移行させる。一方、前記制御部10は、前記判定結果が前記目標錠数と一致していないと判断すると(S61:No側)、処理をステップS62に移行させる。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記照合処理部14によって実行される。なお、前述のように、前記シートP20分の目標錠数は、処方データ又はRpデータから読み出された前記秤量対象薬品の目標錠数から、PTPシートP10に含まれている前記秤量対象薬品の錠数の判定結果を減算することによって算出される。したがって、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定結果が、端数シートP20分の目標錠数と一致しているということは、前記秤量部5Nに載置されている前記秤量対象薬品の合計錠数が、処方データ又はRpデータから読み出された前記秤量対象薬品の目標錠数と一致していることを意味する。
<ステップS62>
ステップS62において、前記制御部10は、前記秤量表示領域A1Mにエラーメッセージを表示させる。例えば、前記エラーメッセージは、「鑑査対象薬品の錠数が、目標錠数と一致していません。鑑査を承認する場合はOKキーを押して下さい。再秤量を行う場合は、キャンセルキーを押して下さい」などである。そして、前記制御部10は、処理を前記ステップS42(図11)に移行させる。
<ステップS63>
一方、ステップS63において、前記制御部10は、PTPシートP10に含まれている前記秤量対象薬品の錠数の判定結果と、端数シートP20に含まれている前記秤量対象薬品の錠数の判定結果との合計値を算出する。そして、前記制御部10は、前記合計値を、前記秤量部5Nに載置されている前記秤量対象薬品の合計錠数として前記秤量表示領域A1Mに表示する。そして、前記制御部10は、処理を前記ステップS40(図11)に移行させる。
なお、本実施形態では、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数が判定された後に、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数が判定されるが、他の実施形態では、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数が判定された後に、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数が判定されてもよい。この場合、前記制御部10は、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定が完了したことに応じて、PTPシートP10を同一の秤量部5Nに載せるように促してもよい。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部10が報知処理部の一例である。
また、本実施形態では、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定と、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定とが、同一の前記秤量部53により異なるタイミングで取得される秤量値に基づいて行われるが、本発明はこれに限定されない。他の実施形態では、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定と、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定とが、異なる前記秤量部5Nにより取得される秤量値に基づいて行われてもよい。この場合、PTPシートP10に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定と、端数シートP20に含まれている秤量対象薬品の錠数の判定とが、並行して行われてもよい。例えば、図22及び図23に示されるように、前記操作キーK41が「シート」に設定されている前記秤量表示領域A13に対応する前記秤量部53にPTPシートP10が載置されると同時に、前記操作キーK41が「端数」に設定されている前記秤量表示領域A11に対応する前記秤量部51に端数シートP20が載置されてもよい。この場合、前記制御部10は、前記秤量部53による秤量値(第1の秤量結果)に基づいて、前記秤量部53に載置されている秤量対象薬品の錠数をPTPシートP10の単位(例えば、10錠単位)で判定するとともに、前記秤量部51による秤量値(第2の秤量結果)に基づいて、前記秤量部51に載置されている秤量対象薬品の錠数を1錠単位で判定する。
[台形補正機能及び撮影制御機能]
ところで、前記撮影部70は、図2にも示されているように、前記秤量部51~54各々に対して斜め方向から画像を撮影する姿勢で設けられる。この場合、前記撮影部70によって撮影される前記秤量部51~54各々の画像は台形状に変形したものとなる。そこで、前記制御部10は、前記撮影部70によって撮影される撮影画像P(図24参照)について台形補正処理を実行する台形補正機能を有することが考えられる。
なお、前記台形補正処理については従来周知の技術を利用すればよいが、例えば図24に示すように、前記鑑査支援装置100に、前記撮影部70の撮影範囲内の位置において相互に離間する複数の補正指標部502が設けられてもよい。そして、前記制御部10が、前記撮影部70による撮影画像に存在する複数の前記補正指標部502に基づいて前記撮影部70による撮影画像Pの台形補正処理を実行してもよい。ここに、係る台形補正処理は、前記制御部10の前記撮影処理部18によって実行される。具体的に、前記制御部10は、前記補正指標部502を画像マッチングなどによって検出する。そして、前記制御部10は、図25に示すように、前記補正指標部502が予め定められた矩形状の頂点となる位置関係になるように前記撮影部70による撮影画像Pについて射影変換による台形補正を実行する。
さらに、前記ステップS41において、前記撮影部70による撮影画像Pを記録する際に、ユーザーの手などの遮蔽物が前記撮影部70の撮影範囲内に存在すると、前記秤量部5N各々を正常に撮影することができない。そこで、前記制御部10は、前記撮影部70による撮影画像Pに遮蔽物が存在する場合に前記撮影部70による撮影画像Pの記録を制限してもよい。
具体的に、図24に示すように、前記鑑査支援装置100では、前記秤量装置50の上面501において、前記秤量部51~54の外側を囲むように連続的に形成された目印線503が設けられてもよい。そして、前記制御部10は、前記ステップS41における前記撮影部70による撮影画像Pから前記目印線503を検出し、前記目印線503上に前記目印線503を遮蔽する遮蔽物が存在するか否かを判断する。ここで、前記遮蔽物が存在しない場合には、前記制御部10は、前記撮影部70による撮影画像P(前記台形補正処理済みの撮影画像P)を前記処方データ又は前記Rpデータに対応付けて前記記憶部40に保存する。
ところで、前記撮影部70による撮影の際に、光の加減又は前記遮蔽物によって、前記補正指標部502を検出することができず、前記台形補正処理に失敗することがある。この場合、前記制御部10は、前記表示部20に「撮影に失敗しました」のようなエラーメッセージを表示させると共に、ユーザー操作に応じて、前記撮影部70に前記秤量部51~54を再度撮影させることが考えられる。しかしながら、この場合、前記台形補正処理に失敗する度に、ユーザーが前記エラーメッセージの確認及び撮影操作を行う必要があり、ユーザーにとって手間である。また、鑑査作業の効率も低下してしまう。
そこで、上記のような不便を解消するために、前記制御部10は、前記ステップS41において、撮影タイミングの異なる複数の撮影画像Pを前記撮影部70に撮影させ、これら複数の撮影画像Pに基づいて前記台形補正処理を行ってもよい。ここに、係る処理は、前記制御部10の前記撮影処理部18によって実行される。例えば、前記制御部10は、予め定められたタイミングから予め定められた時間(例えば2秒間)が経過するまでの間、一定の時間間隔(例えば0.5秒間隔)で前記撮影部70に複数の撮像画像Pを撮影させてもよい。もしくは、前記制御部10は、前記撮影部70から出力される動画情報から任意の複数のフレームの静止画を撮影画像Pとして取得してもよい。なお、前記予め定められたタイミングは、例えば、前記記録タイミングであってもよい。また、前記制御部10は、前記予め定められたタイミングに先立って、前記撮影部70による静止画又は動画の撮影を開始させてもよい。
前記制御部10は、撮影タイミングの異なる前記複数の撮影画像Pの中から、前記台形補正処理に成功する撮影画像P(すなわち、前記台形補正処理を正常に施すことが可能な撮影画像P)を抽出する。例えば、前記制御部10は、前記複数の撮影画像Pのうち、前記補正指標部502を検出することが可能な撮影画像Pを、前記台形補正処理に成功する撮影画像Pとして抽出する。なお、このとき、前記制御部10は、前記台形補正処理に成功することに加えて、前記遮蔽物が存在しない撮影画像Pを抽出してもよい。
前記制御部10は、上記のようにして抽出された撮影画像Pに対して前記台形補正処理を実行し、当該撮影画像Pを前記処方鑑査画面D10に表示されている前記処方データ又は前記Rpデータに対応付けて前記鑑査履歴として前記記憶部40に記憶させる。
このように、撮影タイミングの異なる複数の撮影画像Pの中から前記台形補正処理に成功する撮影画像Pが抽出されるので、前記台形補正処理に成功する確率を高めることができる。その結果、前記エラーメッセージが表示される頻度が少なくなるため、鑑査作業の効率を向上させることが可能である。
なお、前記複数の撮影画像Pの中から前記台形補正処理に成功する撮影画像Pを抽出する際の処理時間を短縮するために、前記制御部10は、例えば、前記撮影画像P各々の縮小画像を生成し、前記縮小画像各々に含まれる前記補正指標部502を画像マッチングなどによって検出することによって、前記台形補正処理に成功する撮影画像Pを抽出してもよい。すなわち、前記制御部10は、撮影タイミングの異なる複数の撮影画像Pの縮小画像を生成する縮小処理部として機能してもよい。これにより、縮小前の撮影画像Pに対して画像マッチングなどを行う場合と比較して、処理すべき画素数が減るため、処理時間が短縮される。