以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する部分を省略する。
[計量システムの構成]
図1~図3に示されるように、計量システム1は、計量装置2と、外部装置3と、を備えている。計量システム1は、計量に関するデータの記録及び読み出しが可能なシステムである。具体的には、計量システム1では、計量装置2によって物品S(被計量物)の計量が行われる。そして、物品Sの計量値と当該計量値がどのような状況で取得されたかを示す情報(以下、「計量値取得情報」という)とが関連付けられたデータ(以下、「計量データ」という)が、計量装置2から外部装置3へと送信され、外部装置3に記憶される。
計量装置2は、物品Sの重量を計量し、計量データを外部装置3に送信する。計量装置2は、いわゆる電子天秤、又は電子はかりである。計量装置2は、計量部21と、第1カメラ22A(第1撮像部、撮像部)と、表示操作部23(報知部、配置完了情報入力部、物品情報入力部)と、第2カメラ22B(第2撮像部、識別情報取得部、ユーザ情報取得部)と、コードリーダ24(取得部)と、環境センサユニット25(環境検知部)と、制御部26(第1制御部)と、記憶部27と、通信モジュール28(通信部、第1通信部)と、を有している。
計量部21は、計量面21b(支持部)に載置(支持)された物品Sの重量を計量する。計量面21bは、計量部21が有する計量台21aの上面である。計量部21は、計量面21bに載置された物品Sの重量をセンシングする重量センサである。ただし、計量部21の構成は上記に限られない。例えば、計量装置2は吊り下げ式の電子天秤等であってもよい。この場合、計量部21は、物品Sを支持する支持部として、物品Sを吊り下げるように支持する部分(例えばフック等)を有してもよい。本実施形態では、計量台21aが配置される空間は、風防体21cによって覆われている。風防体21cは、例えば、四角箱状を呈しており、透過性を有するガラス、プラスチック等からなる。
ここで、「重量を計量する」とは、図2に示されるように、計量面21bに直接載置された物品Sを計量する場合、及び、図3に示されるように、計量装置2が有する容器50に収容された物品Sの重量を計量する場合を含む。また、上述したように計量部21が吊り下げ式の電子天秤等である場合には、「重量を計量する」とは、フック等の吊り下げ部に直接吊り下げられた物品Sを計量する場合、及び、吊り下げ部に吊り下げられた容器50に収容された物品Sの重量を計量する場合を含む。容器50を用いる場合には、実際に測定された計量値から予め記憶された容器50の重量を風袋引きした値が、物品Sの重量の計量値として得られる。
容器50は、計量面21b上に配置されている。容器50は、本体部51と、提示部52と、を有している。本体部51は、物品Sが収容される部分である。本体部51は、例えば、矩形状の底壁部51aと、底壁部51aの縁部に立設された四角筒状の側壁部51bと、を有し、四角箱状を呈している。提示部52は、本体部51の1辺の側壁部51bの上端部から上方に向かって延在しており、例えば板状を呈している。提示部52の上端部は、本体部51の中心側に向かって傾いている。また、提示部52の外面には、識別コードIが設けられている。識別コードIは、例えばQRコード(登録商標)等、物品Sの識別情報を表すコードである。なお、本実施形態における「識別コード」は、バーコード等の1次元コード、QRコード(登録商標等)等の2次元コード等、様々な形態を含む。
第1カメラ22Aは、計量面21bに載置された物品Sを撮像することによって、被計量物画像P1(第1画像)を取得する。図4に示されるように、被計量物画像P1は、第1カメラ22Aによって撮像された物品Sを示す画像(すなわち、被写体として物品Sを含む画像)である。本実施形態では、第1カメラ22Aは、計量面21bよりも上方に位置するように、風防体21cの背面部分に設けられている。風防体21cの背面部分は、後述する表示操作部23が設けられた側(すなわち、後述するユーザUが対面する側)とは反対側の部分である。また、第1カメラ22Aは、物品Sが収容された容器50が計量面21bに載置されている場合、本体部51内の物品S及び提示部52に設けられた識別コードIの両方を撮像可能に構成されている。第1カメラ22Aは、例えばカラーカメラである。
表示操作部23は、計量装置2の正面側に設けられている。表示操作部23は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。表示操作部23は、物品Sの計量値等を表示する。表示操作部23は、制御部26の指示に従った内容を表示することによって、物品Sを計量する操作を行うユーザU(以下、「ユーザU」という)に、当該内容を報知する。また、表示操作部23は、ユーザUに操作されることによって、ユーザUから計量値取得情報の入力を受け付ける。ユーザUから入力される計量値取得情報の例としては、物品Sの計量条件(計量モード)を示す計量条件情報、計量面21bへの物品Sの載置(支持部への被計量物の配置)を完了したことを示す配置完了情報、物品Sを示す物品情報等が挙げられる。これらの情報の詳細については後述する。
本実施形態では、上述した計量モードは、通常計量モード、計量保証モード、個数はかりモード、及び被計量物判定モードを含んでいる。これらの計量モードの設定又は切替は、各モードを用いた計量を行う前(物品Sが計量面21bに載置される前)に、表示操作部23を介したユーザ操作により行われる。
通常計量モードは、計量面21bに載置された物品Sを計量するモードである。計量保証モードは、計量の実施に対して所定の条件が設けられたモードである。具体的には、計量保証モードでは、計量が完了した物品Sが計量面21bから降ろされて、計量値がゼロである初期状態を経由しなければ、新たな物品Sの計量が実行可能とならない制限が設けられている。すなわち、計量保証モードでは、1つ又は一組の物品Sの計量の後、当該物品Sを計量面21b上に残したまま、新たな物品Sを追加して計量することができないように設定されている。これにより、計量保証モードにおいては、1つ又は一組の物品S毎に個別に対応した1つの計量値を得ることが保証される。
個数はかりモードは、計量面21bに載置された複数の物品S(重量の個体差が比較的少ない物品)の個数を計数(個数計量)するモードである。個数はかりモードは、準備フェーズ及び個数計量フェーズの2段階のフェーズに分かれている。準備フェーズは、複数の物品Sの個数計量を実行するために必要な準備を行うフェーズである。具体的には、準備フェーズは、1個の物品Sを計量することによって、物品Sの1個あたりの計量値である単位計量値を取得するフェーズである。個数計量フェーズは、準備フェーズが完了した後に、複数の物品Sの個数計量を実行するフェーズである。
上述した配置完了情報は、計量モードが個数はかりモードの個数計量フェーズに設定されている場合に入力される情報であって、ユーザUが複数の物品Sの載置が完了したことを示す情報である。配置完了情報の入力は、ユーザUによって計量面21bに複数の物品Sが載置された後に、表示操作部23を介したユーザ操作により行われる。
上述した物品情報は、計量モードが個数はかりモードの準備フェーズに設定されている場合に入力される情報であって、個数計量の対象となる物品Sを示す情報である。物品情報は、個数はかりモードの準備フェーズで取得された単位計量値に関連付けられる情報であって、例えば単位計量値に対応する物品を識別するID、物品名等である。
被計量物判定モードは、通常計量モードの機能に加え、計量面21bに載置された物品Sが計量の対象の物品(計量されるべき物品)であるか否かを判定する機能を備えるモードである。
第2カメラ22Bは、ユーザUを撮像することによって、ユーザ画像P2(第2画像)を取得する。図5に示されるように、ユーザ画像P2は、第2カメラ22Bによって撮像されたユーザUを示す画像(すなわち、被写体としてユーザUを含む画像)である。本実施形態では、第2カメラ22Bは、表示操作部23上に設けられている。第2カメラ22Bは、例えばカラーカメラである。
コードリーダ24は、物品Sの識別コードを読み込むことにより、物品Sの識別情報を取得する。一例として、コードリーダ24は、識別コードとしてバーコード(図示省略)を読み込む。識別コードは、例えば、物品S、物品Sの包装、物品Sとは別のシート等に設けられている。本実施形態では、ユーザUがコードリーダ24に識別コードを読み取らせることによって、コードリーダ24が識別情報を取得する。
環境センサユニット25は、計量部21の周囲の環境を示す環境情報を取得するセンサの集合体である。具体的には、環境センサユニット25は、温度センサ、気圧センサ、及び湿度センサを含んでおり、これらのセンサによって計量部21の周囲の温度、気圧、及び湿度を検知する。環境情報は、環境センサユニット25によって検知された温度、気圧、及び湿度を含んでいる。
制御部26は、プロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)等)、メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等)等を含んで構成されたコンピュータである。制御部26は、計量部21、第1カメラ22A、第2カメラ22B、表示操作部23、コードリーダ24、環境センサユニット25、記憶部27、及び通信モジュール28のそれぞれと電気的に接続されている。
制御部26は、計量装置2の各部の制御及び物品Sの計量に関する処理等を実施する。制御部26のメモリ(図示省略)には、各処理を実行するためのプログラム等のデータが記憶されている。処理の一例として、制御部26は、通信モジュール28を介して、計量値取得情報と計量値とが関連付けられた計量データを外部装置3に送信し、外部装置3から種々のデータを受信する。外部装置3に送信される計量データは、被計量物情報と、ユーザ情報と、計量条件情報と、環境情報と、時刻情報と、計量値と、を関連付けたデータである。被計量物情報は、物品Sを識別するための情報である。本実施形態では、被計量物情報は、第1カメラ22Aが撮像した被計量物画像P1、及び識別情報である。識別情報の取得元は、後述するように、設定された計量モードによって異なる。ユーザ情報は、ユーザUを識別するための情報である。本実施形態では、ユーザ情報は、第2カメラ22Bが撮像したユーザ画像P2である。計量条件情報は、計量部21の計量条件を示す。本実施形態では、計量条件情報は、ユーザUが表示操作部23に入力した計量モード等の情報である。環境情報は、環境センサユニット25によって検知された温度、気圧、及び湿度である。時刻情報は、計量値が取得された日付及び時刻を示す情報である。
また、制御部26は、計量部21により計量される物品Sの計量値を継続して監視することにより、安定状態になったことを検知する機能を有する。安定状態は、物品Sが計量面21bに載置された後、計量部21により計測される計量値が安定した状態である。ユーザUによって物品Sが計量台21aの計量面21bに載置された直後であったり、外部による衝撃が計量部21に加わったりすると、一時的に計量値の変化量(振れ幅)が大きくなり、時間が経過するにつれて計量値の変化量が小さくなる。安定状態は、物品Sの載置の後、所定の時間が経過することによって、計量値の変化量が予め定められた許容可能な範囲内に収まっている状態である。すなわち、「計量値が安定した」とは、計量値の変化量が一定範囲内にある状態を意味する。言い換えれば、「計量値が安定した」とは、計量値の変化量が収束している状態を意味する。
ここで、安定状態が検知される条件は、計量モードに応じて異なる。具体的には、上記条件は、計量モードが通常計量モード、個数はかりモード、又は被計量物判定モードに設定されている場合と、計量モードが計量保証モードに設定されている場合とで異なる。計量モードが通常計量モード等に設定されている場合、制御部26は、計量値の変化量が所定の値以上である状態から計量値の変化量が所定の値以下となった場合に、安定状態を検知する。具体的には、例えば、まず、第1物品S1が計量面21bに載置され、計量値がw1(≠0)で安定した状態となった場合に、制御部26は、安定状態と検知し、確定された計量値を取得する。そして、更に第2物品S2が計量面21bに載置され、計量値がw2(>w1)で安定した場合にも、制御部26は、安定状態と検知し、確定された計量値を取得する。一方、計量モードが計量保証モードに設定されている場合、制御部26は、計量が完了した第1物品S1が計量面21bから降ろされて、計量値がゼロである初期状態を経由しなければ、安定状態を検知しない。具体的には、例えば、第1物品S1の計量値(w1)が取得された後、第1物品S1を計量面21b上に残したまま第2物品S2が追加され、計量値がw2で安定した場合であっても、制御部26は安定状態を検知しない。
記憶部27は、情報の読み出し及び書き込みが可能な記録媒体である。記憶部27は、制御部26の指示に従い、情報を記憶する。本実施形態では、記憶部27は、個数はかりモードの準備フェーズ時に取得された単位計量値等を記憶する。
通信モジュール28は、制御部26の指示に従って、外部装置3と通信する。具体的には、通信モジュール28は、計量データを外部装置3に送信する。また、通信モジュール28は、外部装置3から送信された種々のデータを受信する。
[外部装置の構成]
外部装置3は、例えば、計量装置2と通信を行うように構成されたサーバである。外部装置3は、計量装置2から送信された計量データを記憶する。外部装置3は、通信モジュール31(第2通信部)と、制御部32(第2制御部)と、記憶部33と、を有している。
通信モジュール31は、有線又は無線の任意の通信ネットワークを介して、計量装置2の通信モジュール31と通信を行い、計量装置2から計量データを受信する。制御部32は、プロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)等)、メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等)等を含んで構成されたコンピュータである。
制御部32は、通信モジュール31及び記憶部33のそれぞれと電気的に接続されている。制御部32は、外部装置3の各部を制御し、後述する計量データに基づく処理等を実施する。制御部32のメモリ(図示省略)には、各処理を実行するためのプログラム、後述する画像認識に用いられるテンプレート等のデータが記憶されている。本実施形態では、上記テンプレートは、計量システム1を利用し得るユーザUの顔画像、計量対象として予定されている物品の画像等である。
記憶部33は、通信モジュール31により受信された計量データ等を記憶する。記憶部33は、情報の読み出し及び書き込みが可能な記録媒体である。記憶部33は、制御部32の指示に従い、情報を記憶する。
外部装置3は、外部装置3とは異なる外部端末4と通信可能に構成されている。外部端末4は、例えば、スマートデバイス(スマートフォン、タブレット端末等)、デスクトップPC、ノートPC等である。制御部32は、通信モジュール31を介して、外部端末4の指示に従い、記憶部33に記憶されているデータを外部端末4に送信する。すなわち、外部端末4から外部装置3に記憶されているデータを参照することが可能となっている。
[計量装置及び外部装置の動作]
[通常計量モード時の動作]
まず、図6を用いて、通常計量モード時の計量装置2の動作の一例について説明する。当該動作は、計量装置2のうち、計量部21、第1カメラ22A、表示操作部23、第2カメラ22B、コードリーダ24、環境センサユニット25、制御部26、及び通信モジュール28によって実現される。
まず、ステップS101で、制御部26が、表示操作部23を介してユーザUにより入力された計量モード(通常計量モード)を示す計量条件情報を取得する。これにより、計量モードが通常計量モードに設定される。続いて、ステップS102で、制御部26が、第2カメラ22Bにより撮像されたユーザ画像P2を取得する。第2カメラ22Bは、例えば、表示操作部23を介してユーザUにより入力された撮像動作の実行指示に従って撮像を実施する。続いて、ステップS103で、制御部26が、コードリーダ24により読み取られた識別情報を取得する。続いて、ステップS104で、ユーザUによって計量部21の計量面21bに物品Sが載置される。続いて、ステップS105で、制御部26が、物品Sの計量値が安定した安定状態となったか否かを監視する。制御部26は、安定状態を検知すると(ステップS105:YES)、ステップS106で、計量部21から、確定された計量値を取得すると共に、ステップS107で、確定された計量値が取得されたタイミングに物品Sを撮像するように第1カメラ22Aの動作を制御する。なお、「確定された計量値」とは、安定状態において取得された計量値であり、物品Sの重量として確定された(物品Sの重量として一定の信頼性が確保された)計量値を意味する。続いて、ステップS108で、制御部26が、環境センサユニット25から、環境情報を取得する。続いて、ステップS109で、制御部26が、被計量物画像P1と、ユーザ画像P2と、識別情報と、計量条件情報と、環境情報と、時刻情報と、計量値とを関連付けた計量データを生成する。続いて、ステップS110で、制御部26が、通信モジュール28を介して、ステップS109で生成した計量データを外部装置3に送信する。
次に、図7を用いて、通常計量モード時の外部装置3の動作の一例について説明する。まず、ステップS201で、制御部32が、通信モジュール31を介して、計量データを計量装置2から受信する。続いて、ステップS202で、制御部32が、ステップS201で受信した計量データに含まれる被計量物画像P1に基づいて、撮像された物品Sを認識する。物品Sの認識は、例えば制御部32内のメモリに記憶されているテンプレートのデータを用いた公知の画像認識処理により実施される。当該画像認識処理を実施することにより、計量データに含まれる物品Sの識別情報と被計量物画像P1とによるダブルチェックが行われるため、精度良く物品Sが特定される。続いて、ステップS203で、制御部32が、ステップS202で認識した認識結果と、ステップS201で受信した計量データとを関連付けた取得データを生成する。続いて、ステップS204で、制御部32が、ステップS203で生成した取得データを、記憶部33に記憶する。
[計量保証モード時の動作]
次に、図8を用いて、計量保証モード時の計量装置2の動作の一例について説明する。当該動作は、計量装置2のうち、計量部21、第1カメラ22A、表示操作部23、第2カメラ22B、コードリーダ24、環境センサユニット25、制御部26、及び通信モジュール28によって実現される。一例として、第1物品S1を計量した後に第2物品S2を計量する場面について説明する。
まず、ステップS301で、計量装置2が、第1物品S1を計量する。ここでいう「計量装置2が、第1物品S1を計量する」とは、ステップS101と同様に、制御部26が、計量モード(ここでは計量保証モード)を示す計量条件情報を取得することにより、計量モードが計量保証モードに設定された後に、計量装置2が、通常計量モード時のステップS102~S110まで(ユーザ画像P2の取得から、計量データを外部装置3に送信するまで)と同様の動作を実施することを意味する。続いて、ステップS302で、制御部26が、計量部21から取得する計量値がゼロになったか否かを監視する。ユーザUによって第1物品S1が計量面21bから降ろされて、制御部26が、計量値が0になったことを検知すると(ステップS302:YES)、計量装置2が第2物品S2を計量可能な状態となる。続いて、ステップS303で、計量装置2が、第2物品S2を計量する。ここでいう「計量装置2が、第2物品S2を計量する」とは、例えば、ユーザUによって計量部21の計量面21bに第2物品S2が載置されることにより(通常計量モード時のステップS104に相当)、計量装置2が、通常計量モード時のステップS105~S110まで(確定された計量値の取得から、計量データを外部装置3に送信するまで)と同様の動作を実施することを意味する。言い換えれば、計量保証モードでは、第1物品S1が計量面21bに載置されている限り(すなわち、計量値がゼロである状態を経由しない限り)、計量部21が第2物品S2を計量可能な状態とはならない。なお、必要に応じて、ステップS303では、ユーザUによる第2物品S2の載置の前に、ユーザ画像P2が取得されてもよいし(通常計量モード時のステップS102に相当)、識別情報が取得されてもよい(通常計量モード時のステップS103に相当)。なお、計量保証モード時における外部装置3の動作は、通常計量モード時の動作(図7のステップS201~S204の動作)と同様である。
[個数はかりモード時の動作]
[準備フェーズ時の動作]
次に、図9を用いて、個数はかりモードの準備フェーズ時の計量装置2の動作の一例について説明する。当該動作は、計量装置2のうち、計量部21、第1カメラ22A、表示操作部23、第2カメラ22B、制御部26、記憶部27、及び通信モジュール28によって実現される。
まず、ステップS401で、制御部が、表示操作部23を介してユーザUにより入力された計量モード(ここでは個数はかりモードの準備フェーズ)を示す計量条件情報を取得する。これにより、計量モードが個数はかりモードの準備フェーズに設定される。続いて、ユーザUは、表示操作部23を操作することにより物品情報を入力する。これにより、ステップS402で、制御部26は、表示操作部23を介してユーザUにより入力された物品情報を取得する。続いて、ステップS403で、ユーザUによって計量部21の計量面21bに1個の物品Sが載置される。続いて、ステップS404で、制御部26が、計量値が安定した安定状態となったか否かを監視する。制御部26は、安定状態を検知すると(ステップS404:YES)、ステップS405で、計量部21から確定された計量値を取得することによって、物品Sの単位計量値を取得する。続いて、ステップS406で、制御部26が、物品情報に対応する識別コードIを生成する。続いて、ステップS407で、記憶部27が、ステップS406で生成した識別コードIと、ステップS405で取得した物品Sの単位計量値とを関連付けた情報を記憶する。続いて、ステップS408で、ユーザUによる操作に応じて、制御部26が、計量装置2に電気的に接続された印刷装置(図示省略)に、生成した識別コードIを出力する。当該印刷装置により、識別コードIが印刷される。なお、計量装置2が印刷機能を備え、計量装置2自体が識別コードIを印刷してもよい。また、本実施形態では、印刷された識別コードIは、ユーザUにより、容器50の提示部52に貼り付けられる。なお、準備フェーズは、物品Sの種類毎に最初の1回だけ実施されればよい。すなわち、準備フェーズを実施済みの物品S(すなわち、単位計量値及び識別コードIを取得(生成)済みの物品S)について個数計量を実施したい場合には、既に取得済みの単位計量値及び識別コードIを用いて後述する個数計量フェーズを実施すればよい。
[個数計量フェーズ時の動作]
次に、図10を用いて、個数はかりモードの個数計量フェーズ時の計量装置2の動作の一例について説明する。当該動作は、計量装置2のうち、計量部21、第1カメラ22A、表示操作部23、第2カメラ22B、環境センサユニット25、制御部26、記憶部27、及び通信モジュール28によって実現される。また、以下の説明では、容器50に収容された複数の物品Sを個数計量するものとする。
ステップS501~S503の処理は、基本的にはステップS101、S102、及びS104の処理と同様である。ただし、ステップS501では、制御部26は、計量モード(ここでは個数はかりモードの個数計量フェーズ)を示す計量条件情報を取得する。これにより、計量モードが個数はかりモードの個数計量フェーズに設定される。続いて、計量対象となる物品Sの配置を完了したユーザUは、表示操作部23を操作することにより配置完了情報を入力する。これにより、ステップS504で、制御部26が、表示操作部23を介してユーザUにより入力された配置完了情報を取得する。ステップS505~S508の処理は、基本的には、ステップS105~S108の処理と同様である。ただし、容器50の提示部52には、上記ステップS408により印刷された識別コードIが貼りつけられているため、ステップS507では、第1カメラ22Aが、物品S及び提示部52に設けられた識別コードIの両方を撮像する。すなわち、第1カメラ22Aにより、物品S及び識別コードIの両方を被写体として含む被計量物画像P1(図4参照)が得られる。
続いて、ステップS509で、制御部26が、ステップS508で第1カメラ22Aが撮像した被計量物画像P1のうち識別コードIを抽出することによって、識別情報を取得する。続いて、ステップS510で、制御部26が、抽出した識別コードIと記憶部27に記憶された識別コード(準備フェーズにおいて生成及び記憶された識別コード)とを照合する。具体的には、制御部26は、記憶部27に記憶された識別コードの中から、抽出した識別コードIと一致する識別コードを探索し、当該識別コードに対応する単位計量値を取得する。続いて、ステップS511で、制御部26が、ステップS506で確定された物品Sの計量値と、ステップS510で取得した単位計量値とを比較することによって、計量面21b上に載置された物品Sを個数計量する。
続いて、ステップS512で、表示操作部23が、ステップS511で個数計量した計数結果を表示操作部23に出力する。続いて、ステップS513で、制御部26が、被計量物画像P1と、ユーザ画像P2と、識別情報と、計量条件情報と、環境情報と、時刻情報と、計量値と、計数結果とを関連付けた計量データを生成する。続いて、ステップS514で、制御部26が、通信モジュール28を介して、計量データを外部装置3に送信する。なお、個数はかりモードの個数計量フェーズ時における外部装置3の動作は、通常計量モード時の動作(図7のステップS201~S204の動作)と同様である。
[被計量物判定モード時の動作]
次に、図11を用いて、被計量物判定モード時の計量装置2の動作の一例について説明する。当該動作は、計量装置2のうち、計量部21、第1カメラ22A、表示操作部23、第2カメラ22B、環境センサユニット25、制御部26、及び通信モジュール28によって実現される。
ステップS601~S610の処理は、基本的にはステップS101~S110の処理と同様である。ただし、ステップS601では、制御部26が、計量モード(ここでは被計量物判定モード)を示す計量条件情報を取得する。これにより、計量モードが被計量物判定モードに設定される。また、ステップS603で取得される識別情報は、以下のように取得される。まず、識別コードが印刷された紙等が、第2カメラ22Bによって撮像される。第2カメラ22Bによる撮像は、ユーザUにより入力された撮像動作の実行指示に従って実施される。続いて、制御部26が、第2カメラ22Bによって撮像された画像から識別コードを抽出する。これにより、識別情報が取得される。続いて、ステップS611で、制御部26が、後述する外部装置3の動作におけるステップS703の処理の判定結果を、通信モジュール28を介して外部装置3から受信(取得)する。続いて、ステップS612で、表示操作部23が、ステップS610で受信した判定結果を表示することにより、判定結果を出力する。これにより、ユーザUに判定結果が報知される。
次に、図12を用いて、被計量物判定モード時の外部装置3の動作の一例について説明する。まず、ステップS701で、制御部32が、通信モジュール31を介して、計量データを計量装置2から受信する。続いて、ステップS702で、制御部32が、被計量物画像P1に基づいて、例えば制御部32内のメモリに記憶されているデータを用いて公知の画像認識処理を実行することにより、撮像された物品Sを認識する。このとき、制御部32は、画像認識の精度を向上させるために、物品Sの像が物品Sの真上から撮像された場合の形状に近づくように、被計量物画像P1に対して補正処理を実施してから画像認識処理を実行してもよい。これは、第1カメラ22Aが計量面21bに対して斜め上方に配置されている都合上、被計量物画像P1に含まれる物品Sの像が実際の形状から変形しているためである。なお、被計量物画像P1に複数の物品Sの像が含まれている場合、制御部32は、被計量物画像P1において物品Sごとの画像を抽出し、抽出された画像のそれぞれを、物品Sの像が物品Sの真上から撮像された場合の形状に近づくように補正処理(パース補正)を実施してから画像認識処理を実行してもよい。また、本補正処理は、ステップS202で実行されてもよい。
続いて、ステップS703で、制御部32が、識別情報、被計量物画像P1、及び計量値に基づいて、ステップS701で受信した計量データに含まれる識別情報が示す物品(計量すべき物品)と、計量部21が計量した物品Sとが同一であるか否かを判定する。制御部32のメモリのデータベースには、物品名、物品の重量、物品の画像情報等が、計量の対象となり得る物品ごとに関連付けられて記憶されている。制御部32は、例えば、ステップS702の画像認識により認識された物品SとS701で受信した計量データに含まれる識別情報が示す物品とが一致し、且つ計量データに含まれる計量値(計量部21が計量した計量値)と当該データベースに記憶された当該物品の重量との差が予め定めた閾値内である場合に、物品Sと当該物品とが同一であると判定する。なお、計量面21bに載置される物品Sが複数である場合は、制御部32は、画像認識により認識された複数の物品Sと識別情報が示す複数の物品とが一致し、且つ計量部21が計量した計量値(すなわち、複数の物品Sの合計値)と、上記データベースに記憶された複数の物品の重量の合計値との差が予め定めた閾値であるか否かを判定する。
続いて、ステップS704で、制御部32が、通信モジュール31を介して、ステップS703で判定した判定結果を計量装置2に送信する。続いて、ステップS705で、制御部32が、計量データに含まれるユーザ画像P2に基づいて、例えば制御部32内のメモリに記憶されているユーザUの顔画像のデータを用いて公知の画像認識処理を実行することにより、撮像されたユーザUを認識する。続いて、ステップS706で、制御部32が、ステップS703で判定した認識結果と、ステップS705で認識したユーザUと、ステップS701で受信した計量データとを関連付けた取得データを生成する。続いて、ステップS707で、制御部32が、ステップS706で生成した取得データを記憶部33に記憶する。
なお、上述したように、ステップS704で外部装置3から計量装置2に判定結果が送信されると、計量装置2では、表示操作部23により判定結果が出力される(ステップS612)。
ここで、ステップS702及びS703の処理の一例について説明する。図13に示される被計量物画像P1には、複数の物品A、B及びCの像が含まれている。物品A、B、及びCは、例えば、医療機関で処方される錠剤であって、長方形状を呈している。また、計量データに含まれる識別情報は、例えば医療機関で処方される処方箋のデータ(処方されるべき錠剤の種類、錠剤の個数等)である。ユーザUは、例えば処方箋を処方する薬剤師である。ステップS702で、制御部32が、被計量物画像P1に基づいて、公知の画像認識処理を実行することにより、撮像された物品A、B、及びCを認識する。具体的には、まず、制御部32は、被計量物画像P1において、物品Aを含む部分画像A1、物品Bを含む部分画像B1、及び物品Cを含む部分画像C1を抽出する。そして、制御部32は、抽出された部分画像A1を物品Aの像が物品Aの真上から撮像された場合の形状に近づくように補正してから、画像認識処理を実行する。具体的には、制御部32は、部分画像A1に含まれる物品Aの像を、長方形状に補正する。制御部32は、部分画像B1及び部分画像C1に対しても同様の画像認識処理を実行する。続いて、ステップS703で、制御部32が、ステップS702で認識された複数の物品A、B、及びCと計量データに含まれる識別情報が示す複数の物品とが一致し、且つ計量部21が計量した複数の物品A、B、及びCの合計の計量値と、制御部32のデータベースに記憶された複数の物品の重量の合計値との差が予め定めた閾値内であるか否かを判定する。この例では、識別情報が示す複数の物品が複数の物品A、B、及びCと同一であるため、制御部32は、計量データに含まれる識別情報が示す複数の物品と、計量部21が計量した複数の物品A、B、及びCとが同一であると判定する。
[外部端末との連動モード時の動作]
次に、図14を用いて、外部端末4との連動モード時の外部装置3の動作の一例について説明する。連動モードとは、外部装置3と外部端末4とが通信することによって、外部装置3に記憶されたデータを外部端末4によって参照可能となるモードである。連動モードは、例えば、外部端末4の指示が外部装置3に入力されることにより設定される。なお、記憶部33には、例えばステップS201~S204の外部装置3の一連の動作によって、取得データが記憶されているものとする。
まず、ステップS801で、制御部32が、取得データが記憶部33に所定の期間蓄積されたか否かを監視する。所定の期間は、例えば1か月程度である。取得データが所定の期間蓄積された場合(ステップS801:YES)、ステップS802で、制御部32が、取得データを分析する。本実施形態では、制御部32は、取得データを分析することにより、種々の分析処理を実行する。例えば、制御部32は、取得データに含まれる環境情報に基づいて、環境センサユニット25が故障しているか否か、計量装置2の配置場所の環境が計量に適しているか否か等を分析及び判定してもよい。続いて、ステップS803で、制御部32は、ステップS802で分析した分析結果と取得データとを関連付けたデータ(以下、「分析データ」という)を生成する。続いて、ステップS804で、制御部32は、通信モジュール31を介して、ステップS803で分析した分析結果を外部端末4に送信する。これにより、外部端末4では、受信された分析結果を含む計量に関する情報が参照可能となる。
[作用及び効果]
計量システム1は、計量装置2と、外部装置3と、を備える。計量装置2は、物品Sの重量を計量する計量部21と、計量部21から物品Sの計量値を取得する制御部26と、制御部26の指示に従って、外部装置3と通信する通信モジュール28と、を有する。制御部26は、計量値取得情報と計量値とを関連付けた計量データを、通信モジュール28を介して外部装置3に送信する。外部装置3は、通信モジュール28と通信を行うように構成され、計量装置2から計量データを受信する通信モジュール31と、通信モジュール31により受信された計量データを記憶する記憶部33と、計量データに基づく処理を実行する制御部32と、を有する。
計量装置2では、計量部21によって物品Sの重量が計量されると、計量値と計量値取得情報とを関連付けた計量データが、外部装置3に送信され、計量データ(本実施形態では、計量データを含む取得データ)が外部装置3の記憶部33に記憶される。その結果、外部装置3に記憶された計量データを計量後に参照することにより、計量値が取得された状況を把握することが可能となる。従って、計量システム1又は計量装置2によれば、計量のトレーサビリティを確保することができる。
特に、計量装置2では、制御部26が、被計量物情報と、ユーザ情報と、計量条件情報と、環境情報と、時刻情報と、計量値と、を関連付けた計量データを外部装置3に送信する。これにより、物品Sの計量値が取得された状況を把握するための様々な情報を、計量後に確認することが可能となるため、計量のトレーサビリティを更に向上させることができる。
また、計量装置2は、計量面21bに載置された物品Sを撮像する第1カメラ22Aを備えている。制御部26は、計量値が取得されたタイミングに物品Sを撮像するように第1カメラ22Aの動作を制御する。計量データは、被計量物情報を含む。被計量物情報は、計量値が取得されたタイミングに第1カメラ22Aによって撮像された物品Sを示す被計量物画像P1を含む。これにより、計量値が取得されたタイミングにおける物品Sの状態を視覚的に確認することが可能な計量データが、外部装置3に記憶される。その結果、計量後に計量データを参照することにより、計量部21により取得された計量値がどのような状態の物品Sに対して取得されたものであるかを特定することが可能となる。また、外部装置3では、制御部32が、計量データに含まれる被計量物画像P1に対して画像認識処理を実行することにより、被計量物画像P1に含まれる物品Sを認識し、画像認識処理の認識結果を記憶部33に記憶する。計量後に認識結果を参照することにより、計量部21により取得された計量値がどの物品Sに対して取得されたものであるかを自動的に特定することが可能となる。そのため、計量のトレーサビリティの確保のために、例えばユーザUが手動で物品Sの識別名称等の情報を外部装置3に送信する手間が省かれる。従って、上記構成によれば、利便性の向上を図り且つ計量のトレーサビリティを的確に確保することができる。
特に、計量システム1では、計量装置2から外部装置3に送信される計量データに物品Sの識別情報が更に含まれているため、当該計量データに含まれる物品Sの識別情報と画像認識処理の認識結果とによるダブルチェックが行われる。これにより、精度良く物品Sが特定される。
また、計量装置2は、物品Sの識別情報を取得するコードリーダ24を備えている。被計量物情報は、コードリーダ24によって取得された識別情報を含む。これにより、計量の対象とされた物品Sを識別することが可能な計量データが、外部装置3に記憶される。その結果、計量後に計量データを参照することにより、計量部21により取得された計量値がどのような物品Sに対して取得されたものであるかを特定することが可能となる。従って、上記構成によれば、計量のトレーサビリティを的確に確保することができる。
また、計量装置2は、ユーザUを撮像する第2カメラ22Bを備えている。計量データは、ユーザ情報を含む。ユーザ情報は、第2カメラ22Bによって撮像されたユーザUを示すユーザ画像P2を含む。これにより、計量作業を行ったユーザUを特定することが可能な計量データが、外部装置3に記憶される。その結果、計量後に計量データを参照することにより、計量部21により取得された計量値がどのユーザUによって取得されたものであるかを特定することが可能となる。従って、上記構成によれば、計量のトレーサビリティを的確に確保することができる。さらに、本実施形態では、外部装置3において、制御部32が、計量データに含まれるユーザ画像P2に対して画像認識処理を実行することにより、ユーザ画像P2に含まれるユーザUを認識し、画像認識処理の認識結果を記憶部33に記憶する。これにより、計量部21により取得された計量値がどのユーザUによって取得されたものであるかが自動的に特定され、特定された当該ユーザUを計量後に参照することが可能となる。そのため、計量のトレーサビリティの確保のために、例えばユーザUが手動でユーザUの識別ID等の情報を外部装置3に送信する手間が省かれる。従って、上記構成によれば、利便性の向上を図り且つ計量のトレーサビリティを的確に確保することができる。
また、計量装置2は、計量部21の周囲の温度、気圧、及び湿度を検知する環境センサユニット25を備えている。計量データは、環境情報を含む。環境情報は、環境センサユニット25によって検知された温度、気圧、及び湿度を含む。これにより、計量が行われた際の環境情報を特定することが可能な計量データが、外部装置3に記憶される。その結果、計量後に計量データを参照することにより、計量部21により取得された計量値がどのような環境下で取得されたものであるかを特定することが可能となる。従って、上記構成によれば、計量のトレーサビリティを的確に確保することができる。
また、計量装置2は、被計量物判定モード時(図11及び図12参照)において、計量の対象である物品の識別情報を取得する識別情報取得部として第2カメラ22Bを備えている。制御部26は、識別情報を更に関連付けた計量データを、通信モジュール28を介して外部装置3に送信する。具体的には、第2カメラ22Bによって識別コードが撮像され、識別コードを制御部26が抽出することによって、識別情報が取得される。これにより、計量値と被計量物画像P1とが関連付けられた計量データに、計量の対象である物品(すなわち、計量されるべき物品)の識別情報が更に付加される。すなわち、計量値(すなわち、被計量物画像P1の被写体である物品Sについて得られた計量値)が計量の対象である物品(すなわち、識別情報により識別される物品)について正しく得られたものであるか否かを確認可能な計量データが、外部装置3に記憶される。従って、上記構成によれば、計量のトレーサビリティを的確に確保することができる。すなわち、計量作業が適切に行われたか否かを事後的に追跡することが可能となる。
また、外部装置3では、被計量物判定モード時(図11及び図12参照)において、制御部32が、識別情報、物品Sの画像認識処理の認識結果、及び計量値に基づいて、計量データに含まれる識別情報が示す物品Sと、計量部21が計量した物品Sとが同一であるか否かを判定し、判定結果を記憶部33に記憶する。具体的には、制御部32は、被計量物画像P1に基づいて画像認識により認識された物品Sと計量データに含まれる識別情報が示す物品とが一致し、且つ計量データに含まれる計量値と制御部32のデータベースに記憶された当該物品の重量との差が予め定めた閾値内であるか否かを判定し、判定結果を記憶部33に記憶する。これにより、例えば計量の対象である物品Sとは異なる物品Sが誤って計量された場合に、そのことを計量後に参照することが可能となる。従って、上記構成によれば、計量のトレーサビリティを的確に確保することができる。
特に、外部装置3では、図13に示される物品A、B、及びCのような錠剤等、外観では種類の判別がつきにくい類似品が多く存在する物品Sを計量する場合であっても、被計量物画像P1に基づいた認識結果のみならず物品Sの計量値も判定の対象とするため、高精度な判定を行うことができる。また、上記構成では、制御部32が、物品Sの像が物品Sの真上から撮像された場合の形状に近づくように、被計量物画像P1の補正処理を実施してから画像認識処理を実行するため、上記判定の精度を向上させることができる。
また、計量装置2は、制御部26の指示に従った内容を表示(報知)する表示操作部23を備えている。外部装置3では、制御部32が、計量データに基づく判定結果であって、識別情報が示す物品と計量部21が計量した物品Sとが同一であるか否かを示す判定結果を、通信モジュール31を介して計量装置2に送信する。制御部26は、上記判定結果を、通信モジュール28を介して外部装置3から取得(受信)する。そして、表示操作部23が、上記判定結果に従った内容を表示することによって当該内容をユーザUに報知する。上記構成によれば、例えば計量の対象である物品とは異なる物品Sが誤って計量された場合に、そのことをユーザUに報知することにより、ユーザUに適切な対処を促すことができる。例えば、上記構成は、上述したように、錠剤である物品A、B、及びCを薬剤師であるユーザUが利用する場合等に有用である。具体的には、処方すべき錠剤(物品A、B、及びC)の取り違い等がないか等が薬剤師(ユーザU)に報知されることにより、薬剤師が誤った錠剤を患者に処方することを未然に防ぐことができる。このように、上記構成は、計量される物品の取り違えが重大な問題を引き起こす可能性がある場合において、特に有効である。
また、計量装置2は、被計量物判定モード時(図11及び図12参照)において、ユーザ情報を取得するユーザ情報取得部として第2カメラ22Bを備えている。計量データは、第2カメラ22Bによって取得されたユーザ情報(ユーザ画像P2)を含んでいる。外部装置3では、制御部32が、上記判定結果とユーザ情報とを関連付けて記憶部33に記憶する。これにより、計量作業の適否(すなわち、計量の対象である物品が正しく物品Sとして選択されたか否か)と当該計量作業を行ったユーザUとを関連付けた計量データが、外部装置3に記憶される。その結果、計量のトレーサビリティの更なる向上を図ることができる。例えば、当該計量データを参照することによって、計量ミス(計量の対象である物品の取り違え)が多いユーザUを特定し、当該ユーザUに注意喚起すること等が可能となる。
また、計量装置2では、計量値が安定した安定状態が検知されたことに応じて、制御部26によって確定された計量値が取得され、第1カメラ22Aによって物品Sが撮像される。安定状態は、計量面21bに載置された物品Sの振動がない又は振動が少ない状態である。そのため、計量装置2によれば、信頼性の高い計量値を物品Sの重量として確定すると共に、ブレが防止された高品質な被計量物画像P1を取得することができる。
また、計量装置2では、第1カメラ22Aが、物品S及び容器50の提示部52に設けられた識別コードIの両方を撮像可能に構成されており、制御部26が、第1カメラ22Aが撮像した被計量物画像P1に含まれる識別コードIに基づいて、物品Sを識別する。上記構成では、物品Sを撮像する機能及び識別コードIを読み取る機能の両方を第1カメラ22Aが有するため、識別コードIを読み取る装置を第1カメラ22Aとは別に設ける必要がない。これにより、計量装置2の部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
特に、計量装置2では、物品Sを収容する容器50の一部である提示部52に識別コードIが設けられている。そのため、物品Sが収容されると共に識別コードIが付加された容器50を計量面21bに載置するだけで、第1カメラ22Aにより物品S及び識別コードIの両方を撮像することが可能な構成を容易に実現できる。
また、計量装置2では、個数はかりモードの準備フェーズ時(図9参照)において、物品Sの識別コードと物品Sの単位計量値とを関連付けた情報が記憶部27に記憶される。また、個数計量フェーズ時(図10参照)において、制御部26が、第1カメラ22Aが撮像した被計量物画像P1から識別コードIを抽出し、抽出された識別コードIに対応する単位計量値を記憶部27から取得し、計量部21から取得された物品Sの計量値と単位計量値とを比較することにより、計量面21b上に配置された物品Sの個数を計数する。上記構成では、識別コードIの抽出に連動して単位計量値が取得され、当該単位計量値に基づいて物品Sの個数計量が実行される。従って、上記構成によれば、個数計量の自動化を図ることができる。
また、計量装置2では、個数はかりモードの準備フェーズ時(図9参照)において、1個の物品Sを計量する操作を行うユーザUから、物品Sを示す物品情報の入力を、物品情報入力部としての表示操作部23が受け付ける。制御部26は、表示操作部23が受け付けた物品情報に対応する識別コードを生成すると共に、識別コードと物品Sの単位計量値とを関連付けた情報を記憶部27に記憶させる。上記構成によれば、計量装置2自体を用いて、上述した個数計量の自動化を実現するための前処理(すなわち、準備フェーズ)を行うことが可能となる。
また、計量装置2では、個数はかりモードの個数計量フェーズ時(図10参照)において、表示操作部23が、ユーザUから配置完了情報の入力を受け付ける。そして、制御部26は、表示操作部23が配置完了情報を取得し、且つ安定状態が検知されたことに応じて、確定された計量値を取得すると共に、第1カメラ22Aに物品Sを撮像させる。上記構成によれば、例えば計量装置2を用いて個数計量を行う場合に、複数の物品Sの計量面21bへの載置が完了してから計量及び撮像が行われることが保証される。これにより、個数計量を適切に行うことができる。
また、計量装置2では、制御部26が、計量保証モード時(図8参照)において、計量値がゼロである状態から、物品Sが計量面21bに載置されることにより計量値が変化した後、計量値が安定した場合に、安定状態を検知する。上記構成によれば、計量面21bに何も載置されていない初期状態(すなわち計量値がゼロである状態)を経てから計量面21bに物品Sが載置されてから計量が行われることが保証される。これにより、例えば複数の物品Sを1つずつ順番に個別に計量する必要がある場合に、このような計量作業をユーザUに適切に実施させることができる。また、複数の物品Sを1つずつ順番に計量面21b上に載せ替えて個別に計量するため、1つ又は一組の物品S毎に個別に対応した1つの計量値を得ること、及び第1カメラ22Aによって物品Sが個別に撮像されることが保証される。
また、計量システム1では、外部端末4との連動モード時において、取得データが所定の期間蓄積された場合、制御部32が、取得データを分析し、通信モジュール31を介して、分析結果を外部端末4に送信する。上記構成によれば、外部端末4で受信された分析結果が参照可能となるため、計量のトレーサビリティを更に向上させることができる。
[変形例]
本開示は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、計量データが、被計量物情報(被計量物画像P1及び識別情報)と、ユーザ情報(ユーザ画像P2)と、計量条件情報(計量モードの情報)と、環境情報(温度、気圧、及び湿度)と、時刻情報と、計量値(個数はかりモードの場合には、計数結果を更に含む)と、を関連付けたデータであったが、計量データは、被計量物情報、ユーザ情報、計量条件情報、及び環境情報の少なくとも一つと、計量値とを関連付けたデータであればよい。
また、上記実施形態では、被計量物情報は、被計量物画像P1及び識別情報の両方を含んでいたが、被計量物情報は、被計量物画像P1及び識別情報の一方のみであってもよい。
また、ユーザ情報は、ユーザUを示す情報であればよく、上記実施形態で例示されたユーザ画像P2に限定されない。一例として、ユーザ情報は、表示操作部23を介してユーザUにより入力された情報(例えばユーザID等)であってもよい。
また、計量条件情報は、上記形態で例示された各計量モードに限定されない。一例として、計量条件情報は、被計量物として動物の重量を計量するための動物計量モード(計量面21b上で動物が動いても安定した計量値が得られるように調整されたモード)等を含み得る。また、このように、計量装置2の計量対象となる被計量物は、無生物(物品S)だけでなく、生体を含み得る。
また、上記実施形態では、計量装置2が、計量部21と、第1カメラ22Aと、表示操作部23と、第2カメラ22Bと、コードリーダ24と、環境センサユニット25と、制御部26と、記憶部27と、通信モジュール28とを有している構成を例示した。しかし、計量装置2の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、計量装置2は、少なくとも計量部21と、制御部26と、通信モジュール28とを有していればよい。また、計量装置2は、上述した全ての計量モードに対応している必要はなく、計量装置2が対応している計量モードの実施に必要となる機能のみを有していればよい。
また、取得部は、物品Sの識別情報を取得するものであればよく、上記実施形態で例示されたコードリーダ24に限定されない。一例として、取得部は、第1カメラ22Aであってもよい。その場合、識別情報が、容器50の提示部52に設けられた識別コードIが撮像された被計量物画像P1から、識別コードIを抽出することにより取得されてもよい。また、一例として、取得部は、第2カメラ22Bであってもよい。その場合、識別情報が、第2カメラ22Bによって識別コードが撮像された画像から、識別コードを抽出することによって取得されてもよい。また、一例として、取得部は、表示操作部23であってもよい。その場合、識別情報が、ユーザUから表示操作部23への入力を受け付けることによって取得されてもよい。
また、第1カメラ22A及び第2カメラ22Bは、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、第1カメラ22A及び第2カメラ22Bは、上下左右に可動可能に構成されていてもよいし、第1カメラ22A及び第2カメラ22Bの角度が調整可能に構成されていてもよい。また、第1カメラ22Aは、風防体21cの形状に沿って可動可能に構成されていてもよい。その場合、物品Sの像が適切に取得された被計量物画像P1を取得することができる。また、第1カメラ22Aは、例えば、風防体21cの最上部に設けられていてもよい。その場合、計量面21bに載置された物品Sを高い位置から撮像することができるため、物品Sの全体が把握されやすい被計量物画像P1を取得することができる。また、第1カメラ22Aは、風防体21cにおいて、計量面21bに対して垂直な方向から計量面21bを撮像する位置(すなわち、計量面21bの真上の位置)に設けられていてもよい。或いは、第1カメラ22Aは、必要に応じて(例えば被計量物判定モードに設定された場合等において)、風防体21cの内壁面に沿って計量面21bの真上の位置まで移動し、計量面21bに垂直な方向から計量面21bを撮像するように構成されてもよい。上記構成によれば、例えば被計量物判定モードにおいて、物品Sの像が物品Sの真上から撮像されるため、画像認識処理の精度を更に向上させることができる。
また、報知部は、制御部26の指示に従った内容を報知するものであればよく、上記実施形態で例示された表示操作部23に限定されない。一例として、報知部は、音声を発生させるスピーカー、光を発するランプ等であってもよいし、また、表示操作部23、スピーカー、ランプ等を組み合わせたものであってもよい。
また、識別情報取得部は、計量の対象である物品の識別情報を取得するものであればよく、上記実施形態で例示された第2カメラ22Bに限定されない。一例として、識別情報取得部は、第1カメラ22Aであってもよい。その場合、識別情報が、第1カメラ22Aによって撮像された被計量物画像P1から識別コードIを抽出することによって取得されてもよい。また、一例として、識別情報取得部は、コードリーダ24であってもよい。その場合、識別情報が、物品S等に付されたバーコードを読み取ることによって取得されてもよい。また、一例として、識別情報取得部は、表示操作部23であってもよい。その場合、識別情報が、ユーザUから表示操作部23への入力を受け付けることによって取得されてもよい。
上記実施形態では、環境センサユニット25が、計量部21の周囲の温度、気圧、及び湿度を検知する構成を例示したが、環境センサユニット25は、計量部21の周囲の温度、気圧、及び湿度の少なくとも一つを検知すればよい。また、環境情報は、計量部21の周囲の環境を示す情報であればよく、例えば、計量部21の周囲の温度、気圧、及び湿度の少なくとも一つを含んでいればよい。
上記実施形態では、被計量物判定モードにおいて、制御部32が、ユーザ画像P2に基づいて公知の画像認識を実行することによりユーザUを認識する処理を実行した。しかし、ユーザUの上記認識処理は、他の計量モードでも実行されてもよい。
上記実施形態では、各計量モードにおいて、外部装置3が撮像された物品Sを認識する処理を行い、被計量物判定モードにおいて、外部装置3が計量データに含まれる識別情報が示す物品と、計量部21が計量した物品Sとが同一であるか否かを判定する処理を実行した。しかし、上記各処理は、計量装置2(制御部26)が実行してもよい。
上記実施形態では、外部装置3が、計量データに含まれる被計量物画像P1に基づいて、撮像された物品Sを認識する画像認識処理を実施した。しかし、当該画像認識処理は、計量データに識別情報が含まれていないときにのみ実施してもよい。
また、上述した各計量モードのフローチャート(図6~図12)に示した各処理は、適宜省略されてもよい。また、各処理の順序は、適宜入れ替えられてもよい。例えば、計量装置2が単一の計量モード(例えば通常計量モード)のみを備える場合には、ステップS101の処理(計量モードを取得する処理)は省略される。また、計量データにユーザ画像P2、識別情報又は環境情報を含めない場合には、ステップS102、S103又はS108の処理は省略されてもよい。また、安定状態を検知する処理(ステップS105)も省略されてもよい。例えば、一定期間における物品Sの計量値の連続的な変化を観察したい場合もあり得る。このような場合、制御部26は、計量部21により計量された計量値を、安定状態でないときも含めて一定期間定期的に取得し続け、取得された複数の計量値の各々に対応する計量データを生成し、外部装置3に送信してもよい。この場合、時系列データとしての計量データが外部装置3に記憶される。例えば、被計量物である物品Sが経時的に変化する物体であり、計量データが被計量物画像P1を含む場合には、物品Sの状態変化に伴ってどのように計量値が変化したかを追跡することが可能となる。
(第1変形例)
計量モードは上述した各計量モードに限られない。図15及び図16に示される第1変形例において、計量モードは、非改ざん証明モードを含んでいる。非改ざん証明モードは、計量値が改ざんされていないことを証明可能なモードである。具体的には、非改ざん証明モードは、ハッシュ値を生成し、生成したハッシュ値と、計量値を含むデータとを関連付けた情報を暗号化し、暗号化した上記情報(以下、「暗号データ」という)を記憶部27に記憶するモードである。これにより、事後的に計量値を参照する際に、計量値が改ざんされているか否かをハッシュ値に基づいて確認することが可能となる。ハッシュ値の生成方法の詳細については後述する。
図15に示されるように、第1変形例では、記憶部27は、対象データ領域271と、ログデータ領域272と、を含んでいる。対象データ領域271は、暗号データを記憶する領域である。ログデータ領域272は、対象データ領域271におけるデータ(この例では暗号データ)の追加(記憶部27への新規保存)、編集、及び削除等の操作履歴を示すログ情報を記憶する領域である。例えば、暗号データが対象データ領域271に追加されると、制御部26が、操作の内容(この例では暗号データの追加)と当該操作の日時とを関連付けたログ情報を生成し、当該ログ情報をログデータ領域272に記憶する。
ここで、図15及び図16を用いて、非改ざん証明モード時の計量装置2の動作の一例について説明する。当該動作は、計量装置2のうち、計量部21、第1カメラ22A、表示操作部23、第2カメラ22B、コードリーダ24、環境センサユニット25、及び制御部26によって実現される。
ステップS901~S909の処理は、基本的にはステップS101~S109の処理と同様である。ただし、ステップS901では、制御部26が、計量モード(ここでは非改ざん証明モード)を示す計量条件情報を取得する。これにより、計量モードが非改ざん証明モードに設定される。
続いて、ステップS910で、制御部26が、ハッシュ値を生成する。具体的には、制御部26は、ステップS907で第1カメラ22Aが撮像した被計量物画像P1と、ステップS906で取得した計量値と、を関連付けたデータ(以下、「ハッシュ値生成用データ」という)に基づいて、ハッシュ値を生成する。一例として、制御部26のメモリには、ハッシュ値の生成に用いるためのハッシュ関数が記憶されている。制御部26は、ハッシュ値生成用データを当該ハッシュ関数に入力することで、ハッシュ値を得る。
続いて、ステップS911で、制御部26が、ステップS910で生成したハッシュ値、及び計量データを、周知の暗号化処理によって暗号化する。一例として、制御部26は、ハッシュ値と計量データとを関連付けた情報を暗号化することにより、暗号データを生成する。続いて、ステップS912で、制御部26が、ステップS912で生成された暗号データを、対象データ領域271に記憶する。続いて、ステップS913で、制御部26が、ログ情報(具体的には、暗号データが対象データ領域271に記憶された旨を示す情報)を、ログデータ領域272に記憶する。
以上のように、第1変形例の計量装置2では、制御部26が、第1カメラ22Aが撮像した被計量物画像P1と、計量値と、を関連付けたハッシュ生成用データに基づいてハッシュ値を生成し、被計量物画像P1と、計量値と、ハッシュ値と、を関連付けた情報(暗号データ)を記憶部27に記憶させる。これにより、計量値と、当該計量値がどのような状況で取得されたかを示す情報(具体的には、被計量物画像P1)とが考慮されてハッシュ値が生成されるので、単に計量値のみに基づいてハッシュ値を生成する場合よりも唯一性が高いハッシュ値を得ることができる。そして、そのようなハッシュ値が、計量値と被計量物画像P1とに関連付けられて記憶部27に記憶されるので、計量値及び被計量物画像P1が改ざんされていないかを事後的に確認することが可能となる。
なお、非改ざん証明モードにおける処理は、上記に限られない。例えば、制御部26は、計量値及び被計量物画像P1に対してユーザ情報及び時刻情報の少なくとも一つを更に関連付けたデータを、ハッシュ値生成用データとしてもよい。この構成によれば、計量部21により取得された計量値が、どのユーザによって取得されたものであるか、及びどの日付及び時刻に取得されたものであるかの少なくとも一方を特定することが可能なデータを、非改ざん証明を行うことが可能な態様で保存することができる。
また、制御部26は、計量値及び被計量物画像P1に対して時刻情報及び計量装置IDを更に関連付けたデータを、ハッシュ値生成用データとしてもよい。ここで、計量装置IDは、計量装置2を一意に識別可能な情報である。一般的に、ある日時に1台の計量装置によって得られる計量値は1つである。従って、上記構成によれば、唯一性が非常に高いハッシュ値を得ることができる。
制御部26は、計量データ毎(すなわち、1組の計量データ及びハッシュ値が得られる毎)に暗号化してもよいし、複数組の計量データ及びハッシュ値をまとめて暗号化してもよい。また、制御部26は、計量データとハッシュ値とを別々に暗号化することにより、計量データを示す暗号データ、及びハッシュ値を示す暗号データを別々のデータとして生成してもよい。
ステップS911の処理は省略されてもよい。この場合、制御部26は、計量データとハッシュ値とを関連付けた情報を、暗号化せずに対象データ領域271に記憶してもよい。
なお、上記第1変形例では、計量データとハッシュ値とを関連付けた情報(図15及び図16の例では暗号データ)に対する操作(追加、編集、削除等)のログ(履歴)を記憶するための方式として、ログ取得対象のデータを記憶するための対象データ領域271を設ける方式が採用されたが、当該方式に代えて、以下の方式が採用されてもよい。すなわち、制御部26は、ログ取得対象である個々のデータ(例えば、ユーザ操作によってログ取得対象として指定された暗号データ)にタグを付与し、タグが付与されたデータに対する操作(追加、編集、削除等)が行われた際に、当該操作を示すログ情報をログデータ領域272に記憶するように構成されてもよい。後者の方式によれば、対象データ領域271を設ける必要がなくなる。また、例えばユーザ操作によって指定された特に重要なデータのみをログ取得対象として扱うことが可能となる。
また、制御部26は、暗号データを外部装置3に送信してもよい。すなわち、計量装置2で取得された暗号データは、外部装置3で一括管理されてもよい。また、上述した制御部26及び記憶部27による第1変形例の処理は、外部装置3によって実行されてもよい。例えば、外部装置3の制御部32が、計量装置2から受信した計量データに基づいてハッシュ値を算出し、計量データ及びハッシュ値(或いは計量データ及びハッシュ値を暗号化することで得られた暗号データ)を記憶部33に記憶してもよい。
(第2変形例)
図17に示されるように、第2変形例に係る計量装置2は、インターフェースINを生成する機能を含んでいる。インターフェースINは、一定期間における物品Sの計量値の連続的な変化を時系列に沿って示すインターフェースである。
インターフェースINは、画像表示領域D1(第1表示領域)と、計量値表示領域D2(第2表示領域)と、を含んでいる。画像表示領域D1は、所定の計測期間において第1カメラ22Aが物品Sを撮像することにより取得された動画PVを表示する領域である。計量値表示領域D2は、計測期間における計量値時系列データを表示する領域である。計量値時系列データは、計測期間における計量値の時系列データである。計量値表示領域D2は、背景領域BKと、プロット線PLと、を含んでいる。背景領域BKは、所定の表示態様によって表現される。プロット線PLは、計測期間における計量値時系列データを表す。プロット線PLは、背景領域BK上に重畳して表示される。計量値表示領域D2の詳細については後述する。
ここで、インターフェースINの生成方法について説明する。まず、第1カメラ22Aが、計測期間において物品Sを撮像する。計測期間は、例えば、物品Sが計量面21bに載置されてから所定の期間が経過するまでの期間である。所定の期間は、例えば、数分である。なお、計測期間の始期は、物品Sが計量面21bに載置される前の時点であってもよい。例えば、計測期間の始期は、表示操作部23を介してユーザUにより指定されてもよいし、始期を示す信号(撮像開始のトリガとなる信号)を制御部26が外部装置3から受信した時点であってもよい。計測期間の終期についても、計測期間の始期と同様に、ユーザUにより指定されてもよいし、終期を示す信号を制御部26が外部装置3から受信した時点であってもよい。また、計量部21は、計測期間において物品Sを計量する。つまり、第2変形例における計量装置2では、安定状態でない期間を含んだ物品Sの動画PV及び計量値を一定期間取得し続ける。
続いて、制御部26が、第1カメラ22Aから、計測期間における動画PVを取得し、計量部21から計量値時系列データを取得する。図17に示される例では、第1カメラ22Aに撮像される物品Sは、粉薬である。続いて、制御部26は、画像表示領域D1と、計量値表示領域D2と、を含むインターフェースINを生成する。図17の例では、インターフェースINは、画像表示領域D1と、画像表示領域D1の下方に配置された計量値表示領域D2と、計量値表示領域D2の下方に配置された再生アイコンBAと、計量値表示領域D2上で横方向にスライド可能に構成されたシークバーBrと、によって構成される。
ここで、制御部26は、各時刻に対応する背景領域BKの表示態様を、各時刻における計量値時系列データの値に応じて設定する。具体的には、制御部26は、計量値時系列データの値が安定している安定期間R1に対応する背景領域BKに、安定期間であることを示す第1表示態様を適用する。計量値時系列データの値は、プロット線PLが示す値に対応している。安定期間R1は、上述した安定状態が続いている期間である。
また、制御部26は、計量値時系列データの値が安定していない非安定期間R2に対応する背景領域BKに、非安定期間であることを示す第2表示態様を適用する。第2表示態様は、第1表示態様とは異なる態様である。第1表示態様及び第2表示態様の例としては、色、パターン等が挙げられる。すなわち、第1表示態様は、第2表示態様とは異なる色又はパターンによって構成され得る。
続いて、制御部26は、生成したインターフェースINを、記憶部27に記憶する。記憶されたインターフェースINは、例えば、表示操作部23を介してユーザUにより選択されることにより、表示操作部23に表示される。そして、表示操作部23を介してユーザUにより再生アイコンBAが選択されることにより、画像表示領域D1には、計測期間における動画PVが再生表示される。動画PVが再生されている状態で再生アイコンBAが再度選択されると、動画PVの再生が停止(一時停止)する。計量値表示領域D2には、計測期間における計量値時系列データを示すプロット線PL、及び安定期間R1及び非安定期間R2のそれぞれに対応する背景領域BKが表示される。また、表示操作部23を介してユーザUによりシークバーBrが操作されることにより、動画PVの再生位置が制御される。
なお、制御部26は、生成したインターフェースINを外部装置3に送信してもよい。すなわち、計量装置2で生成されたインターフェースINは、外部装置3で一括管理されてもよい。また、上述した制御部26の第2変形例の処理は、外部装置3によって実行されてもよい。例えば、外部装置3の制御部32が、計量装置2から計量データを受信し、受信された計量データに含まれる計量値時系列データ及び動画に基づいてインターフェースINを生成し、当該インターフェースINを記憶部33に記憶してもよい。
以上のように、第2変形例の計量装置2では、第1カメラ22Aは、所定の計測期間において物品Sを撮像することにより、物品Sを被写体として含む動画PVを取得する。また、制御部26は、計量部21から、計測期間における計量値の時系列データである計量値時系列データを取得し、画像表示領域D1と計量値表示領域D2とを含むインターフェースINを生成する。そして、制御部26は、各時刻に対応する背景領域BKの表示態様を、各時刻における計量値時系列データの値に応じて設定する。第2変形例によれば、時系列に沿った計量値の推移、及び物品Sの状態を把握できると共に、背景領域BKの表示態様によって計量値の状態を視覚的且つ直感的に把握することが可能なインターフェースINが提供される。
より具体的には、制御部26は、計量値時系列データの値が安定している安定期間R1に対応する背景領域BKに第1表示態様を適用し、計量値時系列データの値が安定していない非安定期間R2に対応する背景領域BKに第1表示態様とは異なる第2表示態様を適用する。上記構成によれば、計量値時系列データの値が安定している期間及び安定していない期間を背景領域の表示態様によって容易に識別することができる。
なお、他の例として、制御部26は、計量値時系列データの値が適正である適正期間に対応する背景領域BKに適正期間であることを示す第3表示態様を適用し、計量値時系列データの値が適正でない非適正期間に対応する背景領域BKに非適正期間であることを示す第4表示態様を適用してもよい。第4表示態様は、第3表示態様とは異なる態様である。第3表示態様及び第4表示態様の例としては、色、パターン等が挙げられる。すなわち、第3表示態様は、第4表示態様とは異なる色又はパターンによって構成され得る。また、適正期間とは、計量値時系列データの値が予め定められた適正範囲に含まれる期間である。一方、非適正期間とは、計量値時系列データの値が適正範囲外である期間である。適正範囲は、例えば、表示操作部23を介してユーザUによって事前に登録され得る。
なお、適正範囲が上限を持つ場合、非適正期間は、計量値時系列データの値が適正範囲よりも大きい期間(以下「第1期間」)を含む。適正範囲が下限(0より大きい値)を持つ場合、非適正期間は、計量値時系列データの値が適正範囲よりも小さい期間(以下「第2期間」)を含む。また、適正期間が上記の上限及び下限の両方を持つ場合、非適正期間は、第1期間及び第2期間の両方を含む。この場合、制御部26は、第1期間及び第2期間を識別可能にするために、第1期間に対応する表示態様(第4表示態様)と、第2期間に対応する表示態様(第4表示態様)とを互いに異ならせてもよい。すなわち、非適正期間に適用される第4表示態様は、複数の表示態様を含み得る。
上記構成によれば、計量値時系列データの値が適正であるか否かを背景領域の表示態様によって容易に識別することができる。
なお、上述した第1変形例及び第2変形例の計量装置2は、互いに物理的又は論理的に分離している複数の装置によって構成されてもよい。例えば、計量装置2が備える機能部のうち、制御部26及び記憶部27は、はかりの機能を有する装置(計量部21を有する装置)とは異なる一又は複数のコンピュータによって実現されてもよい。また、計量装置2は、第1変形例及び第2変形例の両方の構成を有していてもよい。