JP7210146B2 - 日焼け止め化粧料 - Google Patents
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有機紫外線吸収剤を配合せずに、金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム)のみを紫外線遮蔽剤として配合することで高い紫外線防御能を有する日焼け止め化粧料を得ようとすると必然的に、金属酸化物の配合量がさらに増加する。また、1種類の金属酸化物のみで高い紫外線防御能を得るにはさらに大量に配合することが必要になるので、酸化チタンと酸化亜鉛などの2種類以上を併用して、効率的に紫外線防御能を得ることが多い。
しかし、微粒子金属酸化物を大量に配合した場合、その配合量が増加すればする程、塗布後の白浮きと呼ばれる欠点が出現する。
しかし疎水化処理酸化亜鉛や酸化チタンを配合すると、皮膚に対して乾燥感を与えてしまうことがあるという欠点も指摘されている。
すなわち、本発明は、有機紫外線吸収剤を含まない日焼け止め化粧料であって、疎水化処理金属酸化物の粉末を含有し、高い紫外線防御能と肌の保湿性を有し、使用後に洗浄する際、高い洗浄性を有する油中水型乳化日焼け止め化粧料を提供することを課題とする。
(1)有機紫外線吸収剤を含まない日焼け止め化粧料であって、以下の(A)~(C)を含有する油中水型乳化日焼け止め化粧料。
(A)疎水化処理微粒子酸化亜鉛及び疎水化処理微粒子酸化チタン
(B)水溶性高分子化合物
(C)体積平均粒子径が1μm以上の球状粉体
(2)(B)が、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、キサンタンガム、カンテン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シロキクラゲ多糖体、ヒアルロン酸ナトリウムから選択される1以上の物質である(1)に記載の日焼け止め化粧料。
(3)(C)が(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、ポリメタクリル酸メチルから選択される1以上の物質で形成された球状粉体である(1)又は(2)に記載の日焼け止め化粧料。
(4)(C)の球状粉体の体積平均粒子径が2~30μmである(1)~(3)のいずれかに記載の日焼け止め化粧料。
本発明の構成成分(配合成分)について説明する。
(A)成分:疎水化処理微粒子酸化チタン及び疎水化処理微粒子酸化亜鉛
疎水化処理金属酸化物は、亜鉛、チタン、アルミ、鉄、セリウムなどの金属原子の酸化物の粉体にシリコーンオイル、脂肪酸、アルキルシランなどにより表面処理を行い、水への溶出を低減したものがあるが、本発明においては、疎水化処理微粒子酸化チタン及び疎水化処理微粒子酸化亜鉛を用いる。
疎水化処理された当該粉末は、油中水型乳化日焼け止め化粧料の油中に分散して存在することになる。疎水化処理剤の種類としては制限されないが、例えば、脂肪酸、高級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素、トリグリセライド、エステル、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、フッ素化合物、アシルアミノ酸などが挙げられる。
本発明に使用する微粒子酸化亜鉛の疎水化処理剤は、アルキルトリエトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、パーフルオロアルキルリン酸、(アクリル酸アルキル/ジメチルシリコーン)コポリマー、パルミチン酸デキストリン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、メチコン、ジメチコン、高分子シリコーン、アクリロイルジメチルタウレートナトリウム/メタクリルアミドラウリル酸コポリマー、ハイドロゲンジメチコン、アシルグルタミン酸などが挙げられる。
また、微粒子酸化チタンの場合には、アルキルトリエトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、パーフルオロアルキルリン酸、(アクリル酸アルキル/ジメチルシリコーン)コポリマー、パルミチン酸デキストリン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、メチコン、ジメチコン、高分子シリコーン、アクリロイルジメチルタウレートナトリウム/メタクリルアミドラウリル酸コポリマー、ハイドロゲンジメチコン、アシルグルタミン酸などが挙げられる。
疎水化処理の方法は特に限定されず常法に従って表面処理される。例えば、オクチルトリエトキシシラン又はジメチルポリシロキサン、ハイドロゲンジメチコン中で酸化亜鉛を、一定時間、混合撹拌し、これをろ過することによって、疎水化処理した酸化亜鉛を製造することができる。疎水化処理した酸化チタンも同様の方法により製造することができる。
疎水化処理酸化亜鉛及び疎水化処理酸化チタンの粒子径は、微粒子化されているものが好ましく、1次粒子の平均粒子径が0.001~0.3μmであるものが特に好ましい。
市販の疎水化処理微粒子酸化亜鉛を含む原料としては、ハイドロゲンジメチコン疎水化処理微粒子酸化亜鉛をトコフェロール、シクロペンタシロキサン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンに分散させた「LZ-021」(テイカ株式会社)を例示できる。
市販の疎水化処理微粒子酸化チタンを含む原料としては、ハイドロゲンジメチコン、ジメチコン、水酸化Al、含水シリカで疎水化処理した微粒子酸化チタンを、シクロペンタシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸に分散させた「FLT-01」(テイカ株式会社)、あるいはハイドロゲンジメチコン、水酸化Al、シリカで疎水化処理した酸化チタンをシクロペンタシロキサン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンに分散させた「コスメサーブWP-40TSF」(大日本化成株式会社)を例示できる。これらの原料はいずれも油性原料として本発明の日焼け止め化粧料の調製に当たって使用可能である。
本発明に用いる水溶性高分子物質としては、糖類やアミノ酸、アクリル酸等が重合したもの、またはその誘導体等の有機物系高分子物質や、コロイド性含水ケイ酸アルミニウムなど無機物系高分子物質をいう。これらの物質は、いずれも水に水和し粘性を示すものであれば本発明に使用可能である。このような物質として、本発明に使用する代表的な物質としては、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。様々な剤形への応用のしやすさから、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリアクリレート-13、シロキクラゲ多糖体及びヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩から選択される1種又は2種以上を使用する。(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、キサンタンガム、カンテン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸ナトリウム、シロキクラゲ多糖体から選択される1種又は2種以上が好ましく、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、キサンタンガム、カンテン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シロキクラゲ多糖体から選択される1種又は2種以上が特に好ましい。
水溶性高分子化合物を本発明の化粧料に配合する場合は、合計で、油中水型乳化日焼け止め化粧料全量に対して、0.01~2質量%であり、好ましくは、0.02~1質量%、特に好ましくは、0.05~0.2質量%である。
本発明に配合する球状粉体とは粉体を構成する粒子が球状を呈するものをいう。
球状とは、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸があっても、粒子の全体形状が球状と判断できるものであれば、本発明でいう「球状」に該当する。また本発明の球状粒子とは、真球に限定するものではなく、球状粉体を構成する粒子の短径/長径の比、すなわち楕円率が、1.5以下のものが好ましく、1.2以下のものがより好ましく、1.1以下のものがさらに好ましい。
球状粉体を構成する粒子材質としては、シリカ、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等の無機粉体、結晶セルロース、ナイロンパウダー、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、エチルエステル)等の有機粉体、シロキサン結合が三次元的に伸びた網状構造をなし、ケイ素原子1個にメチル基が結合した無機と有機との中間的構造を有するポリメチルシルセスキオキサン粉末等が挙げられる。
本発明にあっては、球状粉体の粒子を構成する成分は、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、ポリメタクリル酸メチルが好ましく、特に好ましくは(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーである。また球状粉体を構成する粒子の体積平均粒子径は、1μm以上の必要がある。好ましくは2~30μmである。
球状粉体の配合量は、0.01~15質量%、好ましくは0.1~10質量%、特に好ましくは0.5~7質量%である。
本発明の日焼け止め化粧料には、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、その他の成分を配合することができる。このような成分としては、水、高級アルコール類、脂肪酸類、エステル類、ステロール類、ステロール脂肪酸エステル類、炭化水素類、油脂類、シリコーンオイル、保湿剤、界面活性剤、水溶性高分子、植物エキス、ビタミン類、酸化防止剤、防菌防腐剤、消炎剤、昆虫忌避剤、生理活性成分、塩類、キレート剤、中和剤、pH調整剤、香料等を配合することが可能である。
<実施例1~16>
下記表1に実施例1~16の配合組成を示した。なお、(A)成分は、化粧品用として販売されている疎水化処理微粒子金属酸化物分散物を用いたため、表中の表示は疎水化処理金属酸化物と分散溶媒に分けて表示した。なお、日焼け止め化粧料のSPFは、50以上になるように配合成分を調整している。表中に記載の(C)成分の粒子径は体積平均粒子径である。
得られた日焼け止め化粧料の洗浄性評価
上腕内側部の皮膚上に日焼け止め化粧料を0.03g滴下し、3cm×3cmに塗り広げ、ボディシャンプーを泡立てた上で手の平で数回擦り、15℃~25℃の水で洗浄する。その後、軽く水気を拭き取り10分間乾燥させる。乾燥後、目視にて素肌との白さの違い、さらに指で触って感じるきしみ感から塗膜状態を確認し、白く残っている部分が少ない、またはきしみ感が少ないほど洗浄性が高いと評価した。
○:洗浄性が高い。
△:洗浄前後で塗膜状態に変化があるものの、洗浄性がやや低い。
×:洗浄前後で塗膜状態の変化が少なく、洗浄性が低い。
・官能評価
上腕内側部の皮膚上に日焼け止め化粧料を0.03g滴下し、3cm×3cmに塗り広げ、15分後に塗布している部位を指で触って、粉っぽさの無さやしっとり感から得られる保湿性を官能評価した。
○:粉っぽさを感じず、しっとり感が得られ保湿性が高い。
△:粉っぽさが若干感じられるが、しっとり感があり保湿性がある。
×:粉っぽさが感じられ、しっとり感も感じにくいので、保湿性が低い。
洗浄性評価及び保湿性評価の結果は、表1の最下段に示した。
下記表2に比較例1~6の配合組成を示した。なお、比較例1~3は(B)成分の水溶性高分子化合物を配合しない組成、比較例4は(C)成分の球状粉体を配合しない組成、比較例5は(B)(C)成分を配合しない組成、比較例6は平均粒子径が0.5μmの球状粉体を配合した組成である。(A)成分は、化粧品用として販売されている疎水化処理微粒子金属酸化物分散物を用いたため、表中の表示は疎水化処理金属酸化物と分散溶媒に分けて表示した。なお、日焼け止め化粧料のSPFは、実施例と同様に50以上になるように配合成分を調整している。
実施例と同様に洗浄性と保湿性を評価した。
評価結果は表2の最下段に示した。
また比較例6の試験結果から(C)成分は、粒子径が0.5μmを超える必要があることが判明した。
本発明の化粧料と比較例の化粧料の皮膚角層水分量に及ぼす効果を評価した。
実施例及び比較例の代表的な化粧料として、実施例11及び比較例3の組成を任意に選択し、次の測定方法で評価した。
得られた日焼け止め化粧料を肌に塗布することによる角層の水分量の変化を測定して評価した。まず、上腕内側部を洗浄した後10分間馴化し、皮表角層水分量測定装置(株式会社ヤヨイ製、装置名:SKICON-200EX)で水分量を測定した。試料を測定箇所に0.03g滴下し、3cm×3cmに塗り広げ、15分後に試料塗布部の水分量を測定した。試料を塗布していない角層の水分量と、試料塗布部の角層の水分量を比較し、試料塗布部の角層水分量が70μS以上増加している場合に保湿性が高い「〇」と評価した。水分量の増加が70μS未満の場合は保湿性が低い「×」と評価した。
評価結果を下記の表3に示した。
一方比較例3の化粧料は、B成分を配合しない組成である。このため、官能評価と同様に皮膚角層の水分量は殆ど増加しないことがわかった。
Claims (2)
- 有機紫外線吸収剤を含まない日焼け止め化粧料であって、以下の(A)~(C)を含有
する油中水型乳化日焼け止め化粧料。
(A)化粧料全量に対する含有量が5~45質量%の疎水化処理微粒子酸化亜鉛及び疎水化処理微粒子酸化チタン
(B)ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(C)体積平均粒子径が1μm以上の球状粉体であって、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、ポリメタクリル酸メチルから選択される1以上の物質で形成された球状粉体 - (C)の球状粉体の体積平均粒子径が2~30μmである請求項1に記載の日焼け止め化粧料。
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