JP7208805B2 - バイオフィルム分散剤 - Google Patents
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Description
バイオフィルムは様々な産業分野で問題を引き起こす。例えば、家庭や工場の給排水設備・水循環システム等に形成されたバイオフィルムは、配管のぬめりやつまり、悪臭、処理能力低下の原因となる。また、腐食等、設備の劣化を引き起こす。
さらに、バイオフィルムは微生物汚染の原因となる。例えば、温泉施設等に形成されたバイオフィルムは危害菌生育の温床となり、感染症を引き起こす。医療分野では、透析等のチューブや内視鏡等の医療器具に形成されたバイオフィルムが院内感染の原因となる。また、ヒト口腔内でバイオフィルムが形成されると、齲蝕や歯周病の原因となる。
しかしながら、浮遊状態にある微生物と比較してバイオフィルムを形成している微生物は薬剤耐性を持つこと、また、バイオフィルム内部への薬剤の浸透が不十分であることから、バイオフィルムに対して薬剤はその効果を発揮し難いことが知られている。加えて、薬剤で殺菌しても既に形成したバイオフィルムは短時間で除去されない。
そこで、バイオフィルムの形成を抑制する方法やバイオフィルムを除去する方法が種
々検討され、例えば、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)を用いる方法が報告されているが、その効果は十分とはいえない。
また、特許文献3には、ピログルタミン酸又は5-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸が銀イオンに配位した錯体が抗菌抗かび作用を有することが記載されている。
〔1〕下記一般式(1):
で表される化合物又はその塩を有効成分とするバイオフィルム分散剤。
〔2〕〔1〕記載のバイオフィルム分散剤をバイオフィルムと接触させることを含む、バイオフィルムの分散方法。
で表される。
一般式(1)中、XはNH又はOを示し、この定義から、一般式(1)で表される化合物の具体例としては、次のピログルタミン酸(1a)及び5-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸(1b)が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物又はその塩は、溶媒和物であっても無溶媒和物であってもよく、いずれも包含される。溶媒和物の好ましい例としては、水和物、アルコール和物或いはアセトン和物等が挙げられる。また、一般式(1)で表される化合物又はその塩には、光学異性体が存在するが、いずれかの光学異性体であっても、光学異性体の混合物であってもよい。
本発明において、一般式(1)で表される化合物又はその塩は、各々単独で用いてもよく、いずれか2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
従って、一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バイオフィルム分散剤となり得、またこれを製造するために使用することができる。また、一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バイオフィルムが形成された物質に対して、そのバイオフィルムを分散させるために使用することができる。
ここで、「使用」は、生体(ヒト又は非ヒト動物)における使用である場合、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
本発明においては、非生体に形成されたバイオフィルムに好適であり、さらには上記給排水設備・水循環システム等の水が流されるか又は水が貯留される設備において形成されたバイオフィルムに好適である。
本発明においては、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属細菌のバイオフィルムの分散に適し、さらには緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のバイオフィルムの分散に適する。
また、その他の薬効成分としては、抗菌剤が好ましい。ここで、本発明において「抗菌」とは、微生物を死滅させる「殺菌」、「滅菌」、微生物の発生、発育、増殖を抑える「静菌」、「制菌」いずれの概念も含む語である。
本発明においては、バイオフィルムの起因菌に対して、抗菌活性を示す濃度で又は抗菌活性を示すことのない濃度で、一般式(1)で表される化合物又はその塩を使用することができる。
本発明のバイオフィルム分散剤が適用される水(水が流されるか又は水が貯留される設備における水等)の中に本発明のバイオフィルム分散剤を添加してバイオフィルムを分散させる場合、その添加量は、水の中の一般式(1)で表される化合物又はその塩の濃度(一般式(1)で表される化合物換算)として、100ppm以上、更に300ppm以上、更に1000ppm以上が好ましく、また、1質量%以下が好ましい。
R2A寒天培地上で培養した黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus NBRC13276をR2A液体培地「ダイゴ」(日本製薬株式会社製)で30℃、15時間静置培養した。得られた培養液の濁度(OD600)を測定し、OD600=1.0 1/106希釈相当の懸濁液を調製した。24wellプレート(日本ベクトンディキンソン製)の各ウェルに調製した懸濁液 1.0mLを添加し、30℃、48時間静置培養してウェル底面にバイオフィルムを形成した。
培養液を静かに抜き取りDPBS (14190250, Thermo Fisher社製) 1.0mLで洗浄した後、下記表に示す試験化合物のDPBS溶液 1.0mLを添加し、30℃で3時間静置した。試験化合物溶液を静かに抜き取り液中に分散したバイオフィルムを除去した。残存したバイオフィルムを0.1%クリスタルバイオレット水溶液で15分間染色した後、ピペットで染色液を静かに抜き取った。さらにDPBS 1.0mLを静かに添加し、静置10分後にピペットで静かに抜き取る洗浄を2回行った。エタノール 1.0mLで溶出し、溶出液 200uLを96wellプレートに移してプレートリーダーでλ=595nmの吸光度Abs595を測定した。各4wellのAbs595平均値を表に示した。括弧内には、Abs595をもとに以下の方法で算出されるバイオフィルム除去率を記載した。
バイオフィルム除去率(%)
={1-(試験化合物添加群 Abs595/DPBSコントロールAbs595)}×100
水冷塔冷却水から単離したバイオフィルム起因菌であるSphingopyxis属細菌についても同条件で培養・評価したところ、ピログルタミン酸及び5-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸において同様のバイオフィルム分散効果が得られた。
Claims (8)
- グラム陽性菌又はグラム陰性菌のバイオフィルムを分散させる請求項1記載のバイオフィルム分散剤。
- シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、又はスタフィロコッカス(Staphylococcus)属細菌のバイオフィルムを分散させる請求項1記載のバイオフィルム分散剤。
- 緑膿菌又は黄色ブドウ球菌のバイオフィルムを分散させる請求項1記載のバイオフィルム分散剤。
- 非生体に形成されたバイオフィルムを分散させる請求項1~4のいずれか1項記載のバイオフィルム分散剤。
- 水が流されるか又は水が貯留される設備において形成されたバイオフィルムを分散させる請求項1~4のいずれか1項記載のバイオフィルム分散剤。
- 請求項1~6のいずれか1項記載のバイオフィルム分散剤を非生体に形成されたバイオフィルムと接触させることを含む、バイオフィルムの分散方法。
- バイオフィルムが、水が流されるか又は水が貯留される設備において形成されたバイオフィルムである請求項7記載のバイオフィルムの分散方法。
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