以下、本発明の一実施の形態に係る車両の走行支援装置及び方法を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、車両に搭載される走行支援装置を例示して本発明を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の走行支援装置100の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る走行支援装置100は、自車位置検出装置110と、地図データベース120と、車速センサ130と、測距センサ140と、カメラ150と、駆動機構170と、制御装置180と、ヨーレートセンサ190とを備える。これら装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
自車位置検出装置110は、GPSユニットを備えている。自車位置検出装置110は、複数の衛星通信から送信される電波をロケータ(GPSアンテナ)により検出して、自車両の位置情報を、周期的に取得する。自車位置検出装置110は、取得した自車両の位置情報と、ジャイロセンサ(図示しない)から取得した角度変化情報と、車速センサ130から取得した車速とに基づいて、自車両の現在位置を検出する。また、自車位置検出装置110は、周知のマップマッチング技術を用いて、自車両の位置を検出することもできる。自車位置検出装置110により検出された自車両の位置情報は、制御装置180に出力される。
地図データベース120には、地図情報が格納されている。地図データベース120が記憶する地図情報には、各地図座標における道路の属性情報を含んでいる。道路の属性としては、例えば、カーブ、坂道、交差点、インターチェンジ、狭路、直線路、合流地点などが挙げられる。これらの道路の属性は一例であって、道路の属性を限定するものではない。道路の属性には、道路形状及び道路の勾配の情報が含まれている。また地図情報には、車線の中心線及び車線の曲率の情報を含んでいる。車線の中心線とは、車両の進行方向に沿う車線の中心線であって、車線単位で規定される。車線の曲率とは、車線の中心線における曲率であって、車線単位で規定される。また地図情報は、路面標示の情報及び道路標識の情報を含んでいる。路面標示としては、例えば停止線が挙げられるが、これに限定されない。道路標識としては、例えば、道路の制限速度を示す標識、車両停止を示す標識などが挙げられるが、これらに限定されない。また地図情報は、車両が走行時に遵守すべき交通規則情報を含んでいる。交通規則情報としては、例えば、経路上における一時停止、駐車/停車禁止、徐行、制限速度(法定速度)、車線変更禁止が挙げられるが、これらに限定されない。交通規則情報は、車線単位で規定される。なお、地図情報に含まれるこれらの情報は、ノードと、ノード間を接続するリンク(道路リンクともいう)により定義される。
車速センサ130は、ドライブシャフトなどの駆動系の回転速度を計測し、これに基づいて自車両の走行速度(以下、車速ともいう)を検出する。車速センサ130により検出された自車両の車速情報は制御装置180に出力される。ヨーレートセンサ190は、例えば車室内に装着され、自車両のヨーレート(旋回方向への回転角の変化速度)を検出する。ヨーレートセンサ190により検出された自車両のヨーレート情報は、制御装置180に出力される。リンクは車線レベルで識別される。
測距センサ140は、自車両の周囲に存在する対象物を検出する。また、測距センサ140は、自車両と対象物との相対距離および相対速度を演算する。測距センサ140により検出された対象物の情報は、制御装置180に出力される。なお、このような測距センサ140としては、レーザーレーダー、ミリ波レーダーなど(LRF等)を用いることができる。また、測距センサ140の数は特に限定されず、測距センサ140は、例えば、自車両の前方、側方、及び後方にそれぞれ設けられる。これにより、測距センサ140は、自車両の周囲全域に存在する対象物を検出する。
カメラ150は、自車両の周囲に存在する、道路及び/又は対象物等を撮像する。本実施形態において、カメラ150は、自車両の前方を撮像する。カメラ150により撮像された画像情報は、制御装置180に出力される。カメラ150は、自車両の前方を撮像するカメラ及び/又は自車両の側方を撮像するカメラである。
入力装置160は、ドライバーが操作可能な操作部材である。本実施形態において、ドライバーは入力装置160を操作することで、自動運転制御のオン/オフを設定することができる。なお、本実施形態に係る車両の自動運転制御では、自車両の前方に先行車両が存在する場合には、車間距離制御(先行車追従制御ともいう)が行われる。車間距離制御とは、自車両と先行車両との車間距離をドライバーが設定した車間距離に維持して、自車両が先行車両を追従するように、自車両を走行させる制御である。一方、自車両の前方に先行車両が存在しない場合には、ドライバーが設定した車速で自車両を走行させる速度制御が行われる。先行車両とは、自車両が走行する車線と同一車線上を自車両よりも前方で走行する車両であって、自車両に対して最も近い位置を走行する車両である。また、本実施形態において、ドライバーは入力装置160を操作することで、速度制御における自車両の設定車速(例えば、具体的な速度値)および車間距離制御における設定車間距離(たとえば、短、中、長の三段階)を設定することができる。
駆動機構170には、自車両を自動走行させるためのエンジン及び/又はモータ(動力系)、ブレーキ(制動系)およびステアリングアクチュエータ(操舵系)などが含まれる。本実施形態では、後述する自動運転制御が行われる際に、制御装置180により、駆動機構170の動作が制御される。
制御装置180は、プロセッサを有したコンピュータであって、自車両の走行を制御するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
制御装置180は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、走行経路生成機能、目標車速計画値算出機能、車速プロファイル生成機能、曲率制限値設定機能、走行経路補正機能、自車両の走行を制御する走行制御機能(自動追従機能を含む)とを実現する。以下において、制御装置180が備える各機能について説明する。なお、制御装置180は、以下に説明する機能の他に、例えば自車位置を検出する推定する機能など、他の機能も有している。
制御装置180は、走行経路生成機能により、自車両が車線の中心線を走行するための経路を自車両の走行経路として生成する。走行経路とは、自車両がこれから走行する予定の経路であって、自車両の目的地までの経路である。制御装置180は、走行経路を車線単位で生成する。例えば、自車両の乗員が入力装置160を介して目的地を入力した場合、制御装置180は、地図データベース120に記憶される地図情報に基づいて、自車両の現在位置と目的地の位置関係から、自車両の現在位置から目的地までの走行経路を生成する。この際に、制御装置180は、地図情報に含まれる車線の中心線を参照して、走行経路を生成する。生成された走行経路は、車線の中心線で構成される。なお、走行経路を生成する際の道路の種別については特に限定されない。例えば、制御装置180は、自車両の乗員により有料道路の優先が設定された場合、有料道路を優先的に選択して、走行経路を生成する。
また、制御装置180は、生成された走行経路に対して、走行経路の曲率を演算する。制御装置180は、地図情報に含まれる車線の曲率の情報を参照することで、車線の中心線での曲率を演算することができる。走行経路生成機能により生成された走行経路と、走行経路生成機能により演算された走行経路の曲率は、RAM等の記憶装置に一時的に記憶される。
制御装置180は、目標車速計画値算出機能により、自車両が走行経路を走行することで自車両が遭遇する複数の事象(イベントともいう)それぞれに対して、目標車速計画値を算出する。目標車速計画値とは、時間に対する自車両の目標車速であって、事象ごとに算出される目標車速である。言い換えると、目標車速計画値とは、自車両が遭遇する事象に自車両が対応するために予め計画された、目標車速の連続値である。自車両が遭遇する事象とは、自車両の車速及び横加速度のうち少なくとも何れか一方に影響を与える事象である。自車両の車速に影響を与える事象としては、例えば、車両が停止線手前で停止すること、自車両が走行する道路の制限速度が変化すること、自車両が先行車両に追従すること、が挙げられる。また、自車両の横加速度に影響を与える事象としては、例えば、自車両が旋回することが挙げられる。本実施形態では、制御装置180は、一例として挙がった上記4つの事象それぞれに対して目標車速計画値を算出する。以降では、それぞれの目標車速計画値の算出方法について説明する。なお、自車両の旋回は、自車両の横加速度に影響を与える自車両の挙動であればよく、自車両の旋回という事象には、例えば、右折、左折、進路変更(車線変更)も含まれる。
制御装置180は、自車両を旋回させる場面での目標車速(旋回目標車速ともいう)を、目標車速計画値として算出する。本実施形態では、制御装置180は、自車両が旋回する際に発生する横加速度が最大となるように目標車速計画値を算出する。最大の横加速度とは、ドライバーが許容できる横加速度の範囲における上限値を示しており、予め設定された値である。旋回目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両は最大の横加速度が発生した状態で旋回する。例えば、制御装置180は、車線の中心線での曲率と最大の横加速度に基づいて、旋回目標車速を算出する。制御装置180は、車線の中心線での曲率が大きいほど(曲率半径が小さいほど)、旋回目標車速を遅く算出し、車線の中心線での曲率が小さいほど(曲率半径が大きいほど)、旋回目標車速を速く算出する。なお、制御装置180は、本願出願時に知られた旋回目標車速の算出方法を用いて、旋回目標車速を算出することができる。
また、本実施形態では、制御装置180は、横加速度に加えて、ヨーレートに基づいて旋回目標車速を算出する。例えば、制御装置180は、自車両が旋回する際のヨーレートが最大となるように目標車速計画値を算出する。最大のヨーレートとは、ドライバーが許容できるヨーレートの範囲における上限値を示しており、予め設定された値である。旋回目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両は最大のヨーレートが発生した状態で旋回する。
制御装置180は、自車両を停止線手前で停止させる場面での目標車速(停止線目標車速ともいう)を、目標車速計画値として算出する。本実施形態では、制御装置180は、自車両を停止させる際の目標車速に加えて、自車両が発進した後の目標車速も含めて、停止線目標車速として算出する。例えば、制御装置180は、自車両の進路方向の先に位置する停止線の情報を取得する。停止線は、例えば信号の付近の道路に引かれた線である。制御装置180は、測距センサ140、カメラ150等の車載センサの検出データに基づき、停止線の位置情報を取得する。地図データベース120に記録されている地図情報に停止線の位置情報が含まれている場合には、制御装置180は、地図情報から停止線の位置情報を取得してもよい。制御装置180は、現在の自車両の位置から停止線までの停止線距離を算出する。そして、制御装置180は、現在の自車両の車速と停止線距離とから停止線目標車速を算出する。停止線目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両は停止線手前で停止できる。
制御装置180は、道路の制限速度が変化した場面での目標車速(制限目標車速ともいう)を、目標車速計画値として算出する。道路とは、自車両が走行する道路である。道路の制限速度が変化する場面としては、例えば、高速道路において自車両が本線に合流する場面(道路の制限速度が上がる方向に変化する場面)、高速道路において自車両が本線から降りる場面(道路の制限速度が下がる方向に変化する場面)が挙げられる。制御装置180は、地図情報に含まれる交通規則情報を参照して、走行経路において制限速度が切り替わる地点を特定する。制御装置180は、自車両が特定した地点を通過する前に、制限目標車速を算出する。制限目標車速に基づく車速制御が実行された場合、道路の制限速度が変化しても、自車両は対応する制限速度で走行することができる。
制御装置180は、自車両が先行車両に追従する場面での目標車速(先行車追従目標車速ともいう)を、目標車速計画値として算出する。先行車追従目標車速とは、自車両と先行車両との車間距離を維持しつつ、自車両が先行車両を追従するための目標車速である。例えば、制御装置180は、カメラ150等の車載センサを用いて先行車両の車速情報を取得し、先行車両の車速情報に基づき、先行車追従目標車速を算出する。なお、自車両と先行車両との車間距離がドライバーにより設定されている場合には、制御装置180は、設定された車間距離を維持するように、先行車追従目標車速を算出する。先行車追従目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両は、自車両と先行車両との車間距離を維持しつつ、先行車両を追従することができる。制御装置180は、本願出願時に知られた先行車追従目標車速の算出方法を用いて、先行車追従目標車速を算出することができる。
制御装置180は、現在の時刻から所定時間経過するまでに自車両が遭遇する事象、又は自車両が現在位置から所定距離を走行するまでに自車両が遭遇する事象に対して、目標走行計画値を算出する。所定時間及び所定距離は、実験的に求められた時間又は距離であって、予め設定されている。これらの時間又は距離は、例えば、自車両の周囲の状況が変化しても自車両の挙動には小さな影響で済むような値に設定される。所定距離としては、例えば、200m程度が挙げられるが、これに限定されない。
ここで、図2を用いて、制御装置180が算出する目標車速計画値の一例について説明する。図2は、制御装置180が算出する目標車速計画値の一例である。図2において、横軸は時間を示し、縦軸は目標車速を示す。目標車速は、自動運転制御の下で制御されている車速に相当する。なお、図2に示す各目標車速の大きさは一例であって、目標車速の大きさの関係性を規定するものではない。
図2の例では、制御装置180は、時刻t0の時点で、先行車目標車速、旋回目標車速、停止線目標車速、及び制限目標車速の種別が異なる4つの目標車速計画値を算出する。図2に示す4つの目標車速計画値が算出される場面としては、先行車両への追従、自車両の旋回、停止線手前での停止、及び制限速度の変化の4つの事象が複数同時又は連続して起こる場面が挙げられる。
例えば、自動運転制御により自車両を先行車両に追従させるために、制御装置180は、現在の自車両の車速及び先行車両の車速に基づいて、図2に示す先行車追従目標車速を算出する。図2に示す先行車目標車速に基づく車速制御が実行された場合、時刻t0以降、自車両は先行車両に対して車間距離を所定距離だけ維持しながら追従することができる。なお、図2において、先行車追従目標車速は他の3つの目標車速と比べて実線で表示されている期間が短い。これは、先行車両の車速は時間に応じて変化するため、時刻t0の時点での先行車両の車速に基づいて算出された先行車目標車速の時間範囲は、その他の3つの目標車速の時間範囲に比べて短いためである。
また例えば、自車両及び先行車両の前方には交差点があり、自車両を当該交差点で左折させるために、制御装置180は、現在の自車両の車速及び最大の横加速度に基づいて、図2に示す旋回目標車速を算出する。図2に示す旋回目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両には最大の横加速度が発生しつつ、自車両は交差点を左折することができる。図2の例では、旋回目標車速は、時刻t0から所定時間経過後に下がり始め、時刻t1と時刻t2の間で最も小さくなる。そして、旋回目標車速は、目標車速が最も小さくなった時刻以降、上がり始める。
また例えば、自車両の前方に位置する交差点には停止線が引かれ、この交差点の信号機の表示が赤色を示している場合、自車両を停止線手前で停止させるために、制御装置180は、自車両の現在位置から停止線までの距離と現在の自車両の車速に基づいて、図2に示す停止線目標車速を算出する。図2に示す停止線目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両は停止線手前で停止することができる。図2の例では、停止線目標車速は、時刻t0から下がり始め、時刻t1でゼロとなる。そして、停止線目標車速は、時刻t1から時刻t2の間でゼロを維持し、時刻t2で所定の目標車速に上がる。なお、時刻t2は、信号機の表示が赤色から青色に変わる時刻を示す。
また例えば、交差点での左折の前後において、自車両が走行する道路の制限速度が変化するため、自車両の車速を変化する制限速度に対応させるために、制御装置180は、図2に示す制限目標車速を算出する。図2に示す制限目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両は、左折の前後において道路の制限速度で走行することができる。図2の例では、制限目標車速は、時刻t1と時刻t2との間で切り替わる。なお、図2に示す制限目標車速が切り替わる時刻は、自車両が道路の制限速度が変わる地点を通過した時刻を示す。
再び図1に戻り、制御装置180が実現する機能について説明する。制御装置180は、車速プロファイル生成機能により、目標車速計画値算出機能により算出された複数の目標車速計画値に対して調停処理を実行する。そして、制御装置180は、調停結果として得られた目標車速の連続値を車速プロファイルとして生成する。具体的には、制御装置180は、「各時刻において最小の目標車速を優先させる」という調停ルールに従って、車速プロファイルを生成する。例えば、制御装置180は、複数の目標車速計画値から、時刻ごとに最小の目標車速を抽出することで、各時刻における目標車速の最小値で構成される車速プロファイルを生成する。
ここで、図3を用いて、制御装置180が生成する車速プロファイルの一例について説明する。図3は、図2に示す複数の目標車速計画値に対して、制御装置180が生成した車速プロファイルの一例である。図3に示す先行車追従目標車速、旋回目標車速、停止線目標車速、及び制限目標車速は、図2に示すものと同じため、これらの説明については図2を用いて行った説明を援用する。
図3に示すように、制御装置180は、複数の目標車速計画値から、各時刻における最小の目標車速を抽出することで、最小の目標車速の連続値で表される車速プロファイルを生成する。例えば、時刻t0~時刻t2の間では、停止線目標車速が最小の目標車速に該当するため、制御装置180は、先行車追従目標車速、旋回目標車速、停止線目標車速、及び制限目標車速から、停止線目標車速を抽出する。また時刻t2から時刻t3の間では、旋回目標車速が最小の目標車速に該当するため、制御装置180は、先行車追従目標車速、旋回目標車速、停止線目標車速、及び制限目標車速から、旋回目標車速を抽出する。また時刻t3以降では、制限目標車速が最小の目標車速に該当するため、制御装置180は、先行車追従目標車速、旋回目標車速、停止線目標車速、及び制限目標車速から、制限目標車速を抽出する。そして、制御装置180は、抽出された各時刻における最小の目標車速から、車速プロファイルを生成する。
ここで、車速プロファイルにおける目標車速の連続性について説明する。図2及び図3を用いて説明したように、自車両が走行経路を走行することで自車両が遭遇する事象が複数存在する場合、車速プロファイルは、特定の目標車速計画値ではなく、複数の目標車速計画値で構成される。そのため、車速プロファイルを構成する目標車速の種別は時間に応じて変化し(図3参照)、目標車速の種別が変化する時刻では、目標車速が不連続に変化する恐れがある。図3の例では、時刻t2において最小の目標車速に該当する目標車速計画値が停止線目標車速から旋回目標車速に切り替わる。時刻t2では目標車速の不連続な切り替わりとして目標車速変化量ΔV2が発生する。不連続に変化する目標車速に基づく車速制御が実行された場合、自車両は目標車速の不連続な切り替わりに対応することができず、挙動が不安定になるという問題がある。
そこで本実施形態では、制御装置180は、単位時間あたりの目標車速の変化量が許容範囲を超えた場合、単位時間あたりの目標車速の変化量が許容範囲内となるように、車速プロファイルを補正する。具体的には、制御装置180は、自車両が最大加速度で加速した場合の加速度勾配(実現可能加速度勾配ともいう)、又は自車両が最大減速度で減速した場合の減速度勾配(実現可能減速度勾配)を算出する。そして、制御装置180は、単位時間あたりの目標車速の変化量が許容範囲を超える時刻から、実現可能加速度勾配又は実現可能減速度勾配で最小の目標車速に到達するように、車速プロファイルを補正する。図3の例では、制御装置180は、時刻t2から所定時間をかけて最小の目標車速(制限目標車速)に到達するための加速度勾配(点線)を算出する。制御装置180は、加速度勾配を含むように、車速プロファイルを補正する。なお、車速プロファイルを補正するか否かを判定するための許容範囲は、予め設定された範囲である。
また、本実施形態では、制御装置180は、車速プロファイルを生成した時点における自車両の車速と目標車速の最小値とを比較し、自車両の車速と目標車速の最小値との差分が許容範囲を超えている場合についても、車速プロファイルを補正する。図3の例では、時刻t0において、現在の自車両の車速と目標車速の最小値との差分として、目標車速変化量ΔV0が発生する。制御装置180は、時刻t2から所定時間をかけて最小の目標車速(制限目標車速)に到達するための加速度勾配(点線)を算出する。制御装置180は、加速度勾配を含むように、車速プロファイルを補正する。
なお、制御装置180は、自車両が走行している道路の環境情報を踏まえて、加速度勾配又は減速度勾配を算出してもよい。道路の環境情報としては、例えば、道路勾配、道路の曲率半径、道路の渋滞情報などが挙げられる。例えば、制御装置180は、地図データベース120に記憶される地図情報から、自車両が走行している道路の勾配情報を取得する。制御装置180は、自車両が実施に道路を走行した際の加速度勾配又は減速度勾配を算出してもよい。これにより、より実際の状況に即した車速プロファイルを生成することができる。
再び図1に戻り、制御装置180が実現する機能について説明する。制御装置180は、曲率制限値設定機能により、車速プロファイルに対して走行経路の曲率制限値を設定する。曲率制限値とは、走行経路の曲率の範囲における上限値である。制御装置180は、後述する目標走行経路生成機能により、曲率制限値を超えない範囲内の値で走行経路の曲率を設定することができる。制御装置180は、曲率制限値設定機能により、車速プロファイルのそれぞれの位置に対して、車速プロファイルの目標車速に応じて曲率制限値を設定する。これにより、車速プロファイルに沿って曲率制限値を連続的に設定することができる。具体的には、制御装置180は、車速プロファイルを構成する目標車速の値が小さいほど曲率制限値を大きく設定する。曲率制限値が大きく設定されることで、走行経路の曲率範囲は広がる。つまり、走行経路において目標車速の値が小さい地点ほど曲率半径の範囲は小さくなる。一方、制御装置180は、車速プロファイルを構成する目標車速の値が大きいほど曲率制限値を小さく設定する。曲率制限値が小さく設定されることで、走行経路の曲率範囲が狭くなる。つまり、走行経路において目標車速の値が大きい地点ほど走行経路の曲率半径の範囲は大きくなる。なお、制御装置180は走行経路上の地点に対して曲率制限値を設定するが、曲率制限値の設定にあたり、まず制御装置180は、時間に対する目標車速から距離に対する目標車速に車速プロファイルを変換する。この車速プロファイルの変換については後述する。
図4は、目標車速と曲率制限値との関係性を説明するための図である。図4において、横軸は目標車速を示し、縦軸は曲率制限値を示す。図4に示すように、目標車速が低いほど、曲率制限値は大きくなる(曲率半径の範囲は小さくなる)。一方、目標車速が高いほど、曲率制限値は小さくなる(曲率半径の範囲は大きくなる)。なお、図4では、目標車速が所定速度以下の場合(低速領域)には曲率制限値が所定値に維持され、目標車速が所定速度以上の場合(高速領域)には曲率制限値が所定値に維持されているが、目標車速の低速領域及び高速領域において曲率制限値は一定値に維持されなくてもよい。
図3に示すように、車速プロファイルは時間に対する目標車速で表されているため、制御装置180は、車速プロファイルを距離に対する目標車速で表すようにデータの置き換え処理を行う。例えば、制御装置180は、所定時刻での車速プロファイルの目標車速に対して、自車両が当該目標車速で走行する走行経路上の地点を特定する。そして、制御装置180は、特定された走行経路上の地点に対して、図4に示す目標車速と曲率制限値との関係性を用いて、当該地点の目標車速に対応した曲率制限値を設定する。制御装置180は、車速プロファイルにおける各時刻に対して曲率制限値の設定処理を繰り返すことで、走行経路上の全ての地点に対して、曲率制限値を設定することができる。
制御装置180は、走行経路補正機能により、曲率制限値設定機能により設定された曲率制限値に基づいて、走行経路生成機能により生成された走行経路を補正することで、自車両が走行経路に沿って走行するための目標走行経路を設定する。例えば、制御装置180は、車線の中心線での曲率(道路形状に基づく曲率)を、曲率制限値設定機能により設定された曲率制限値を超えない範囲の曲率に置き換えることで、走行経路を補正し、曲率が補正された走行経路を目標走行経路として設定する。なお、制御装置180が設定する曲率は、曲率制限値を超えない範囲内であればよく、特に限定されるものではない。
制御装置180は、走行制御機能により、駆動機構170を制御することで、自車両が目標走行経路を走行するように、自車両の走行の全部または一部を自動で行う自動運転制御を実行する。例えば、制御装置180は、自車両の前方に先行車両が存在する場合には、エンジン及びブレーキなどの駆動機構170の動作を制御することで、車間距離設定機能により設定された車間距離だけ先行車両から離れて自車両を走行させる車間距離制御を実行する。また例えば、制御装置180は、自車両の前方に先行車両が存在しない場合には、エンジン及びブレーキなどの駆動機構170の動作を制御することで、ドライバーが設定した所定の設定速度で自車両を走行させる速度走行制御を実行する。なお、走行制御機能による自動運転制御は、各国の交通法規を遵守した上で実行される。
次に、自車両の走行を支援するための制御処理を説明する。図5は、本実施形態の制御処理のフローを示すブロック図である。なお、以下に説明する走行制御処理は、制御装置180により実行される。また、以下に説明する走行制御処理は、イグニッションスイッチ又はパワースイッチがオンになった場合に開始し、イグニッションスイッチ又はパワースイッチがオフとなるまで所定の周期で(たとえば10ミリ秒ごとに)繰り返し実行される。
また以下においては、ドライバーにより自動運転制御が入力(オン)されている場面を例示して説明する。すなわち、自車両の前方に先行車両が存在する場合には、ドライバーが設定した設定車間距離だけ先行車両から離れた状態で、自車両を追従する自動追従制御が実行される。
ステップS1にて、制御装置180は、走行経路生成機能により、走行経路を生成する。走行経路は、自車両が車線の中心を走行するための自車両の走行経路である。例えば、制御装置180は、地図データベース120に記憶された地図情報、自車位置検出装置110により検出された自車両の現在位置、及び入力装置160を介して入力された目的地に基づいて、走行経路を生成する。
ステップS2にて、制御装置180は、目標車速計画値算出機能により、自車両が遭遇する複数の事象それぞれに対して、目標車速計画値を算出する。例えば、先行車両が存在する場合、制御装置180は、自車両と先行車両との車間距離を維持しながら追従するための目標車速を、目標車速計画値として算出する。また例えば、自車両の進行方向の前方に停止線が存在する場合、制御装置180は、自車両が停止線の手前で停止するための目標車速を、目標車速計画値として算出する。また例えば、自車両が交差点を左折する場合、制御装置180は、左折により発生する横加速度が許容範囲内とするための目標車速を、目標車速計画値として算出する。また例えば、自車両が道路の制限速度が変化する地点を通過する場合、制御装置180は、自車両が対応した制限速度で走行するための目標車速を、目標車速計画値として算出する。
ステップS3にて、制御装置180は、車速プロファイル生成機能により、ステップS2で算出された目標車速計画値に対して調停処理を実行し、車速プロファイルを生成する。例えば、ステップS2にて図2に示す4つの目標車速計画値が算出された場合、制御装置180は、4つの目標車速計画値から、各時刻における最小の目標車速を抽出することで、最小の目標車速の連続値で表される車速プロファイル(例えば、図3に示す車速プロファイル)を生成する。また、図2に示す時刻t0及び時刻t2のように、単位時間あたりの目標車速の変化量が許容範囲を超える時刻がある場合、制御装置180は、実現可能加速度勾配又は実現可能減速度勾配を算出する。そして、制御装置180は、実現可能加速度勾配又は実現可能減速度勾配で最小の目標車速に到達するように、車速プロファイルを補正する(例えば、図3に示す点線箇所)。
ステップS4にて、制御装置180は、曲率制限値設定機能により、ステップS3で生成された車速プロファイルに対して走行経路の曲率制限値を設定する。制御装置180は、車速プロファイルを構成する目標車速の値が小さいほど、曲率制限値を大きく設定する。一方、制御装置180は、車速プロファイルを構成する目標車速の値が大きいほど、曲率制限値を小さく設定する。
ステップS5にて、制御装置180は、走行経路補正機能により、ステップS4で設定された曲率制限値に基づいて、ステップS1で生成された走行経路を補正することで、目標走行経路を設定する。例えば、制御装置180は、曲率制限値を超えない範囲の曲率を設定し、車線の中心線での曲率を、設定された曲率に置き換えることで、目標走行経路を設定する。これにより、曲率制限値が反映された目標走行経路が設定される。
ステップS6にて、制御装置180は、ステップS5で設定された目標走行経路に基づいて、自車両の車両制御を実行する。制御装置180は、走行制御機能により、自車両がステップS5で設定された目標走行経路に沿って走行するように、自動運転制御を実行する。例えば、制御装置180は、目標走行経路を走行するための操舵角指令値を演算する。そして、制御装置180は、操舵角指令値を駆動機構170に出力する。
次に、比較例に係る走行支援装置を用いて、上記の制御フローで制御した場合の、自車両の走行を説明する。
比較例に係る走行支援装置は、本実施形態に係る走行支援装置100と比べて、走行経路の曲率制限値の設定方法が異なる。比較例に係る走行支援装置では、走行経路の曲率制限値は、所定時刻での自車両の車速(例えば、現在の自車両の車速)に基づいて設定される。
図6は、高速道路の合流シーン(制限速度が変化するシーン)での自車両の走行を説明するための図である。図6(A)は、目標車速と曲率制限値の関係性を示し、図6(B)は、図6(A)に示す曲率制限値に基づいて設定された目標走行経路に沿って自車両が走行した場合の走行軌跡を示す。図6において、高速道路の制限速度は市街地の制限速度よりも速いものとする。
比較例に係る走行支援装置では、走行経路の曲率制限値は、現在の自車両の車速(市街地の制限速度)に基づいて設定される。このため、図6(A)に示すように、曲率制限値は、位置にかかわらず市街地の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲大/曲率半径の範囲小)で一様となる。一方、高速道路の制限速度に合わせるために、自車両Vは車速制御により加速する。曲率制限値が実際の自車両の車速に対応せず、図6(B)に示すように、自車両Vは挙動の変化が大きくなるように走行し、自車両Vの乗員に違和感を与える。
一方、本実施形態に係る走行支援装置100では、曲率制限値は、車速プロファイル(合流前の所定区間内で、市街地の制限速度から高速道路の制限速度に推移する目標車速)に対して設定された値である。このため、曲率制限値は、市街地の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲大/曲率半径の範囲小)から高速道路の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲小/曲率半径の範囲大)に推移する。これにより、高速道路の制限速度に合わせるために、自車両が車速制御により加速しても、曲率制限値が実際の自車両の車速に対応しているため、図6(B)に示すように、自車両Vは比較例の場合に比べて挙動の変化が小さくなるように走行することができ、自車両Vの乗員に与える違和感を抑制できる。
図7は、高速道路から降りた後にランプ路を走行するシーン(自車両が走行する道路の制限速度が変化し、その後自車両が旋回するシーン)での自車両の走行を説明するための図である。図7(A)は、目標車速と曲率制限値の関係性を示し、図7(B)は、図7(A)に示す曲率制限値に基づいて設定された目標走行経路に沿って自車両が走行した場合の走行軌跡を示す。図7において、高速道路の制限速度は市街地の制限速度よりも速いものとする。
比較例に係る走行支援装置では、曲率制限値は、現在の自車両の車速(高速道路の制限速度)に基づいて設定される。このため、図7(A)に示すように、曲率制限値は、位置にかかわらず高速道路の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲小/曲率半径の範囲大)で一様となる。一方、市街地の制限速度に合わせるために、自車両は車速制御により減速する。曲率制限値が実際の自車両の車速に対応せず、図7(B)に示すように、自車両Vはランプ路におけるカーブに対してインコースを走行してしまい、滑らかにカーブを走行することができない。また、カーブに対してインコースを走行することで、自車両Vの乗員に違和感を与える。
一方、本実施形態に係る走行支援装置100では、曲率制限値は、車速プロファイル(高速道路を下りる前の所定区間内で、高速道路の制限速度から市街地の制限速度に推移する目標車速)に対して設定された値である。このため、曲率制限値は、高速道路の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲小/曲率半径の範囲大)から市街地の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲大/曲率半径の範囲小)に推移する。これにより、市街地の制限速度に合わせるために、自車両が車速制御により減速しても、曲率制限値が実際の自車両の車速に対応しているため、図7(B)に示すように、自車両Vは比較例の場合に比べてランプ路のカーブに対して車線の中央線寄りを走行することができ、自車両Vの乗員に与える違和感を抑制できる。
図8は、交差点に設けられた停止線で停止し、その後交差点を左折するシーンでの自車両の走行を説明するための図である。図8(A)は、目標車速と曲率制限値の関係性を示し、図8(B)は、図8(A)に示す曲率制限値に基づいて設定された目標走行経路に沿って自車両が走行した場合の走行軌跡を示す。
比較例に係る走行支援装置では、走行経路の曲率制限値は、現在の自車両の車速(市街地の制限速度)に基づいて設定される。このため、図8(A)に示すように、曲率制限値は、位置にかかわらず市街地の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲大/曲率半径の範囲小)で一様となる。一方、停止線手前で停止するために、自車両は車速制御により減速する。曲率制限値が実際の自車両の車速に対応せず、図8(B)に示すように、自車両Vは停止線の垂線に対して斜めに停止してしまい、自車両Vの乗員に対して違和感を与える。
一方、本実施形態に係る走行支援装置100では、曲率制限値は、車速プロファイル(停止線目標車速に沿ってゼロになるまで減速し続け、その後旋回目標車速に沿って所定速度まで推移する目標車速)に対して設定された値である。具体的には、車速プロファイルにおいて、停止線までの区間では停止線目標車速の影響が支配的になり、停止線以降の区間では旋回目標車速の影響が支配的となる。このため、曲率制限値は、停止線の手前においては大きくなるように推移し、停止線の位置で最大となる。また曲率制限値は、停止線以降において徐々に小さくなるように推移する。曲率制限値が実際の自車両の車速に対応しているため、図8(B)に示すように、自車両Vは停止線の垂線と一致するように停止することができ、自車両Vの乗員に与える違和感を抑制できる。
図9は、高速道路において自車両が先行車両に対して追従を開始し、その後自車両が旋回するシーンでの自車両の走行を説明するための図である。図9(A)は、目標車速と曲率制限値の関係性を示し、図9(B)は、図9(A)に示す曲率制限値に基づいて設定された目標走行経路に沿って自車両が走行した場合の走行軌跡を示す。
比較例に係る走行支援装置では、走行経路の曲率制限値は、現在の自車両の車速(高速道路の制限速度)に基づいて設定される。このため、図9(A)に示すように、曲率制限値は、位置にかかわらず高速道路の制限速度に対応する曲率制限値(曲率の範囲小/曲率半径の範囲大)で一様となる。一方、先行車両に対して車間距離を維持しながら追従するため、自車両は車速制御により減速する。曲率制限値が実際の自車両の車速に対応せず、図9(B)に示すように、自車両Vは高速道路のカーブに対してインコースを走行してしまい、滑らかにカーブを走行することができない。また、カーブに対してインコースを走行することで、自車両Vの乗員に違和感を与える。
一方、本実施形態に係る走行支援装置100では、曲率制限値は、車速プロファイル(先行車追従目標車速に沿って緩やかに加速し、その後旋回目標車速に沿って加速する目標車速)に対して設定された値である。具体的には、車速プロファイルにおいて、カーブの手前の区間までは先行車目標車速の影響が支配的になり、カーブに進入した以降では旋回目標車速の影響が支配的となる。このため、曲率制限値は、カーブに進入するまでは徐々に減少するように推移し、その後より大きな減少量で減少するように推移する。曲率制限値が実際の自車両の車速に対応しているため、先行車両V1に対して所定の車間距離を維持しながら追従しても、図9(B)に示すように、自車両Vは比較例の場合に比べて高速道路のカーブに対して車線の中央線寄りを走行することができ、自車両Vの乗員に与える違和感を抑制できる。
以上のように、本実施形態では、制御装置180は、自車両が走行経路を走行することで自車両が遭遇する複数の事象それぞれに対して、時間に対する自車両の目標車速を示す目標車速計画値を算出し、複数の目標車速計画値から抽出された、各時刻における最小の目標車速を用いて、目標車速の連続値で表される車速プロファイルを生成する。そして、制御装置180は、車速プロファイルに対して走行経路の曲率制限値を設定し、曲率制限値に基づいて、自車両が走行経路に沿って走行するための目標走行経路を設定し、目標走行経路に沿って自車両を走行させる。曲率制限値の設定について、制御装置180は、車速プロファイルのそれぞれの位置に対して、車速プロファイルの目標車速に応じて曲率制限値を設定する。これにより、車速プロファイルに沿って曲率制限値を連続的に設定することができる。複数の事象が同時多発的に又は連続的に発生しても、走行経路の曲率制限値は実際の自車両の車速に対応した値に設定することができ、自車両を滑らかに走行させることができる。
また、本実施形態では、制御装置180は、道路の制限速度が変化する事象に対して、道路の制限速度に基づいて、目標車速計画値を算出する。これにより、制限速度に対応した曲率制限値を設定することができる。例えば、制限速度が比較的低い市街地では曲率制限値を比較的大きく設定し、右左折する機会が比較的多い市街地においても自車両を目標走行経路に沿って滑らかに走行させることができる。また例えば、制限速度が比較的高い高速道路では曲率制限値を小さく設定し、直線路の割合が多い高速道路において自車両を目標走行経路に沿って滑らかに走行させることができる。
また、本実施形態では、制御装置180は、自車両の操舵角が変化する事象に対して、予め設定された許容範囲内の自車両の横加速度に基づいて、目標車速計画値を算出する。これにより、自車両が旋回した際に発生する横加速度を許容範囲内にすることができ、車線の曲率半径に応じて、自車両を滑らかに走行させることができる。
また、本実施形態では、制御装置180は、予め設定された許容範囲内の自車両のヨーレートに基づいて、目標車速計画値を算出する。これにより、自車両が旋回した際のヨーレートを許容範囲内にすることができ、車線の曲率半径に応じて、自車両を滑らかに走行させることができる。
また、本実施形態では、制御装置180は、自車両が停止線の手前で停止する事象に対して、自車両の停止予定位置までの距離に基づいて、目標車速計画値を算出する。これにより、停止位置に向かうにつれて曲率制限値を大きくすることができ、停止線の垂線に対して自車両が傾いて停止することを抑制できる。
また、本実施形態では、制御装置180は、自車両が先行車両に追従する事象に対して、先行車両の車速に基づいて、目標車速計画値を算出する。これにより、先行車両の車速に応じた曲率制限値を設定することができる。例えば、先行車両が減速した場合には、先行車両の減速に伴い曲率制限値を大きく設定することができ、自車両の挙動を変化しやすくすることができる。
また、本実施形態では、車速プロファイルは、自車両の車速が最小の目標車速に到達するまでの目標車速(加速度勾配又は減速度勾配)を含む。これにより、走行経路上において不連続な曲率制限値の変化点が発生することを防ぐことができ、自車両の挙動が大きく変化することを抑制できる。
また、本実施形態では、制御装置180は、単位時間あたりの目標車速の変化量が所定の範囲内に収まるように、車速プロファイルを生成する。これにより、走行経路上において曲率制限値の不連続な変化点が発生することを防ぐことができ、自車両を滑らかに走行させることができる。
また、本実施形態では、制御装置180は、車速プロファイルを構成する目標車速の値が小さいほど、曲率制限値を大きく設定し、車速プロファイルを構成する目標車速の値が大きいほど、曲率制限値を小さく設定する。これにより、例えば、自車両が減速する場合、自車両の挙動は変化しやすくなる。また例えば、自車両が加速する場合、自車両の挙動は変化しにくくなる。
また、本実施形態では、制御装置180は、現在の時刻から所定時間経過するまでに自車両が遭遇する事象、又は自車両が現在位置から所定距離を走行するまでに自車両が遭遇する事象に対して、目標走行計画値を算出する。これにより、自車両の車速等に影響を与える事象が連続的に発生しても、走行経路上において曲率が滑らかに変化するように曲率制限値を算出することができ、自車両を滑らかに走行させることができる。
また、本実施形態では、自車両が走行経路を走行することで遭遇する事象は、少なくとも、道路の制限速度が変化する事象、自車両の操舵角が変化する事象、自車両が停止線の手前で停止する事象、及び自車両が先行車両に追従する事象の4種類の事象を含む。多種多様な走行シーンに対して、4種類の事象のいずれか又は各事象の組み合わせを用いて、曲率制限値を設定することができる。その結果、多種多様な走行シーンに対して、自車両を滑らかに走行させることができる。
また、本実施形態では、制御装置180は、自車両が走行している道路又は自車両が走行する予定の道路の環境情報を取得し、環境情報に基づいて、車速プロファイルにおける自車両の加速度勾配又は減速度勾配を設定する。これにより、より実際の状況に即した車速プロファイルを生成することができる。その結果、走行経路における曲率制限値の推移をより滑らかにすることができ、自車両の挙動が変化する可能性をさらに低減できる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述の実施形態の変形例として、制御装置180は、車速プロファイルに基づいて、自車両の車速制御を実行してもよい。図3の例を用いて説明すると、例えば、制御装置180は、時刻t0~所定時刻までは、加速度勾配に基づく車速制御を実行し、所定時刻から時刻t2の間では停止線目標車速に基づく車速制御を実行し、時刻t2~時刻t3の間では加速度勾配に基づく車速制御を実行してもよい。これにより、曲率制限値と自車両の車速を対応させることができ、自車両を走行経路に沿ってより滑らかに走行させることができる。
また、制御装置180は、停止線など、車速制御に影響する地物が自車両の進路方向の先にある場合には、現在の時刻より所定時間先の車速を、先読み車速として演算してもよい。言い換えると、制御装置180は、現在よりも先の時間における車速を予測してもよい。
図3の例を用いて説明すると、例えば、時刻t0から加速度勾配に従って車速制御を実行すると、自車両は一旦加速し、その後、停止線手前で停止するために停止線目標車速に従って減速するため、自車両には不要な加速が発生する。そこで、制御装置180は、時刻t0から所定時間(先読み時間ともいう)先の目標車速を先読み車速として演算し、先読み車速に基づいて車速制御を実行してもよい。例えば、時刻t0から所定時間先の目標車速は停止線目標車速に従って減速するため、制御装置180は、時刻t0から所定時間かけて停止線目標車速に到達するための減速度勾配を算出する。そして、制御装置180は、時刻t0からの所定時間の間は、減速度勾配に基づく車速制御を実行してもよい。また、制御装置180は、減速度勾配を含む車速プロファイルに対して曲率制限値を設定してもよい。先読み車速を含めた車両プロファイルを生成することで、目標車速の推移がより滑らかになり、走行経路上において、曲率制限値の推移をより滑らかにすることができる。その結果、自車両をより滑らかに走行させることができる。