JP7208096B2 - カッティングペン - Google Patents
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Description
刃出し量の調整は、キャップに嵌合する治具を使用し、この治具とともにキャップをカッティングペン本体に対して回して行われる。治具には、カッティングペン本体に設けられた刃出し量毎の目印と合わせるための指標が設けられている。この指標がカッティングペン本体の目印と並ぶ位置まで治具が回ることによって、目印に対応する刃出し量で刃がキャップから突出する。
このカッティングペンにおいて、刃出し量の調整は、ピニオンギアがカッティングプロッタのラックに噛合する状態でカッティングペンがラックに沿って移動することによって行われる。ラックは、カッティングプロッタの突起部に設けられている。この突起部は、カッティングペンと同等の高さに形成されており、被切断媒体が載せられる作業ステージの近傍に配置されている。
本発明において、刃出し量は、第2のノック機構で刃出し量を0にした後、第1のノック機構によってカッティングペン本体に対する媒体押圧部材の往復動作の回数に基づいて規定される。この往復動作は、キャップ部が押し付けられる被押圧部に第1の移動ストロークだけカッティングペン本体が接近し、その後、カッティングペン本体が初期の位置に戻るノック動作として実施される。このため、使用者が上述したノック動作を適宜繰り返すことにより、刃出し量が正確に調整される。
<カッティングプロッタの構成>
図1に示すカッティングプロッタ1は、本発明に係るカッティングペン2を使用してシート状の被切断媒体3から図形や文字などを切り出すための装置である。以下において、このカッティングプロッタ1の構成を説明するうえで方向を示すにあたっては、被切断媒体3の搬送方向の上流側を前側(図1においては左下側)とし、搬送方向の下流側(図1においては右上側)を後側として行う。また、以下においては、被切断媒体3の搬送方向とは直交する水平方向を左右方向として説明する。すなわち、このカッティングプロッタ1を被切断媒体3の搬送方向の上流側から見た状態で左側をカッティングプロッタ1の左側とし、右側をカッティングプロッタ1の右側として説明する。
作業ステージ4の上方近傍には、カッティングペン2を保持するペンキャリッジ7が左右方向へ被切断媒体3の主面(上面)に沿って移動可能に設けられている。被切断媒体3のカッティングは、カッティングペン2が被切断媒体3に刺さった状態でペンキャリッジ7が左右方向に移動するとともに、被切断媒体3が搬送装置6によって駆動されて前側または後側に移動して行われる。
第1のノック部16は、図16に示すように、作業ステージ4の上面4aに開口する円形凹部21と、この円形凹部21の開口縁から下方に延びる一対の溝22とを有している。
第2のノック部17は、図17に示すように、作業ステージ4の上面4aと、この上面4aに開口する小孔23とによって構成されている。第3のノック部18は、図17に示すように、作業ステージ4の上面4aと、この上面4aに開口する長穴24とによって構成されている。長穴24は、左右方向に長く形成されている。第2のノック部17と第3のノック部18は、ペンキャリッジ7に取付けられたカッティングペン2が到達可能な範囲内で左右方向に並べて設けられている。第1~第3のノック部16~18の用途については後述する。
被切断媒体3は、ピンチローラ5と駆動ローラ25との間に挟まれた状態で駆動ローラ25が回転することによって、作業ステージ4に沿って前後方向に移動する。回転軸28の中間部には、被切断媒体3を上方から押さえるためのローラ(コイルばね)29が設けられている。
刃出し量制御部42は、カッティングペン2の刃出し量をカッティングプロッタ1によって調整するときに第1および第2の駆動装置27,31と第1および第2の押圧装置35,36との動作を制御する。
カッティングペン2は、図3および図4に示すように、これらの図において下側となる一端部から刃51が突出する筒状のカッティングペン本体52に後述する複数の部品が組み付けられて形成されている。
刃51は、詳細は後述するが、カッティングペン本体52の長手方向の一端部から突出している。以下において方向を説明するにあたって、その方向がカッティングペン本体52の長手方向と平行な方向である場合は、単に「上下方向」という。また、以下において位置を説明するにあたって、その位置がカッティングペン本体52の一端部側である場合は、単に「下側」といい、これとは反対側の位置を説明するにあたっては、単に「上側」という。
この実施の形態によるカッティングペン本体52は、図6に示すように、図6において下側に位置する筒状のカッター保持部53と、このカッター保持部53の上端部を閉塞するためのカバー部54とによって構成されている。
カッター保持部53は、上下方向に並ぶ3つの機能部を有している。これらの機能部は、上下方向に最も長く形成された第1の筒状部55と、この第1の筒状部55の上側に設けられたフランジ部56および第2の筒状部57である。
外筒58と、内筒59と、仕切板60と、後述するフランジ部56および第2の筒状部57は、プラスチックを材料として一体成形により一体に形成されている。
第2の筒状部57とフランジ部56との境界部分の内周部には、段部76(図4参照)が形成されている。
カバー部54は、第2の筒状部57に嵌合する有底円筒状に形成されている。このカバー部54の内周部には、第2の筒状部57の貫通孔81に係止される爪82(図4参照)が設けられている。カバー部54は、爪82が貫通孔81に係止されることによって、カッター保持部53に固定される。カバー部54の上下方向の中間部には、図6に示すように、周方向{後述する回転体75(図7参照)の回転方向}に長い貫通穴83が形成されている。
カッティングペン本体52の中には、図4に示すように、このカッティングペン本体52の一端部(下端部)から突出する媒体押圧部材71と、この媒体押圧部材71と上下方向に並ぶ回転体75および第1のばね部材85と、媒体押圧部材71が貫通する第2のばね部材86などが収容されている。
この実施の形態による媒体押圧部材71は、図7において左側に示すように、5つの部材によって構成されている。これらの5つの部材とは、上下方向に延びる3本の爪を有する第1の軸部91と、この第1の軸部91の下端部に取付けられる円筒状の連結部92と、この連結部92に螺着される有底円筒状の媒体押圧用のキャップ部93と、第1の軸部91の上端部に接続される円筒状の第2の軸部94と、第1の軸部91と第2の軸部94との間に位置する第3のばね部材95などである。
キャップ部93の中央部には、刃51を通すために貫通孔93a(図4参照)が穿設されている。
第1のノック機構73は、上述した鋸歯状の歯77およびカム102と、後述する回転体75と、第1および第2のばね部材85,86とによって構成されている。この実施の形態による第1のノック機構73は、詳細は後述するが、媒体押圧部材71がカッティングペン本体52に対して予め定めた第1の移動ストロークで繰り返し往復することにより媒体押圧部材71の上下方向の位置を段階的に変えるものである。
2つの位置決め片107bは、カバー部54の板状突起84を両側から挟む状態で板状突起84と係合する。このため、荷重受け部材107は、カバー部54に対する回転が規制されるとともに、カバー部54に対して上下方向に移動自在になる。第2のノック機構74は、荷重受け部材107と、ねじりコイルばね106と、回転体75と、この回転体75の円柱105に下方から接触する第1の軸部91などによって構成されている。
第1のばね部材85のばね力は、このカッティングペン2で被切断媒体3を切断するときに媒体押圧部材71に加えられる押圧力より大きい。言い換えれば、第1のばね部材85のばね力は、媒体押圧部材71がカッティング動作によりカッティングペン本体52に対して上側に移動することを規制する大きさである。このため、媒体押圧部材71がカッティング時に被切断媒体3に押し付けられた状態でカッティングが正しく実行される。
ここで、第1のノック機構73と第2のノック機構74とによって刃出し量を変える手順を図10~図15によって説明する。
回転体75の連結片104が複数の鋸歯状の歯77からなる階段78の途中に位置している状態においては、回転体75が第1のばね部材85のばね力によって下方に向けて付勢されているために、図10に示すように、連結片104が位置決め面77aの最も低くなる位置に位置付けられている。また、この状態においては、回転体75がねじりコイルばねのばね力で第2の回転方向に付勢されている。この状態で媒体押圧部材71がカッティングペン本体52に対して上側に移動すると、第1の軸部91と回転体75とが第1のばね部材85のばね力に抗して一体に上側に移動するとともに、第2の軸部94が第2のばね部材86によって押されて追従する。この結果、図11に示すように、カム102が上側に移動し、連結片104に下方から接触する。
階段78の1段を越えるに足りる長さとは、図9に示すように、階段78の途中で互いに隣り合う歯77どうしの高低差Hより長くなる長さであって、第2の軸部94のストッパー片101が貫通孔81の上壁に当接することがない長さである。
以下においては、媒体押圧部材71が階段78の1段を越えるに足りる長さだけ上側に移動してその後に戻る往復動作を「第1のノック動作」という。この第1のノック動作が行われることにより、回転体75が階段78の1段に相当する角度だけ回転するとともに、階段78の1段の段差に相当するだけカッティングペン本体52に対して上側に移動する。
刃出し量の調整は、手動あるいは自動で行われる。手動で刃出し量を調整するためには、使用者がカッティングペン2を手で持ってカッティングプロッタ1の第1のノック部16に押し付けて行う。
第1のノック部16の円形凹部21は、キャップ部93の下端部が嵌合し、この嵌合状態からキャップ部93が下方へ移動することを規制する。
第1のノック部16の溝22は、カッティングペン本体52の一対のストッパー61を挿入可能な形状に形成され、このストッパー61が作業ステージ4の上面4aより下方に移動することを許容する。
手動による刃出し量の調整は、先ず、第2のノック動作を1回だけ行って刃出し量を0とする。その後、第1のノック動作を所望の刃出し量となるような回数だけ行う。
刃出し量が自動で調整されるときは、カッティングプロッタ1の第2および第3のノック部17,18にカッティングペン2が押し付けられる。
第2のノック部17の小孔23は、キャップ部93が作業ステージ4の上面4aに当接する状態で刃51が挿入可能な形状に形成されている。
第2のノック部17は、キャップ部93と連結部92とが下方へ移動することを規制するとともに、カッティングペン本体52のストッパー61が作業ステージ4の上面4aより下方へ移動することを規制する。
第3のノック部18は、キャップ部93と連結部92が下方へ移動することを規制するとともに、ストッパー61が作業ステージ4の上面4aより下方へ移動することを許容する。
制御装置15に目標とする刃出し量が入力されると、制御装置15に予め記憶されている動作手順に基づいて第2の駆動装置31と第1および第2の押圧装置35,36とが動作し、第1のノック動作と第2のノック動作とが実施される。
第1のノック動作が実施されると、先ず、カッティングペン2が下降し、キャップ部93が作業ステージ4の上面4aに当たる。このとき、第1および第2の押圧装置35,36は、カッティング時より大きな押圧力をカッティングペン2に加える。
上述した実施の形態によるカッティングペン2において、刃出し量は、第2のノック機構74によって刃出し量を0にした後、第1のノック機構73による往復動作の回数に基づいて規定される。この往復動作は、キャップ部93が第1または第2のノック部16,17(被押圧部)に押し付けられる状態でカッティングペン本体52が第1または第2のノック部16,17に接近し、その後、初期の位置に戻るノック動作として実施される。このため、使用者が上述したノック動作を所望の刃出し量となる回数だけ実施することにより、刃出し量が正確に調整される。
したがって、この実施の形態によれば、使用者の目視による判断に依存することなく、しかも、カッティングペン2を使用することなく刃出し量が正確に調整されるカッティングペン2を提供できる。
これらの第2または第3のノック部17,18は、作業ステージ4の一部を利用して形成することができるから、作業ステージ4に対して被切断媒体3を出し入れする作業の邪魔になることはないものである。
このカッティングペン2は、カッティングプロッタ1の作業ステージ4が広く開放された状態でカッティングプロッタ1を使用して刃出し量を調整できるものである。
このため、カッティング時に刃出し量が不必要に変わることがない。したがって、この実施の形態によるカッティングペン2は、安定したカッティングを行うことができるものとなる。
この実施の形態による媒体押圧部材71は、第2の筒状部57の周方向に並ぶ複数のカム102を有している。これらのカム102は、周方向の一方に向かうにしたがって次第にカッティング本体の下側に向かって傾斜するカム面102aを有している。
この実施の形態による回転体75は、上述した位置決め面77aに第1のばね部材85のばね力によって上側から押し付けられる連結片104を有している。
この実施の形態による回転体75は、第2の筒状部57に周方向の複数の位置で支持された状態で回転する。このため、回転体75がカッティングペン本体52に対して傾斜することなく円滑に回転する。したがって、この実施の形態によるカッティングペン2は、刃出し量の調整が円滑に行われるものとなる。
回転体75の指標は、カッティングペン本体52の貫通穴83を通して露出する。回転体75の回転方向における指標の位置は、刃出し量と連動して変化する。このため、この実施の形態によるカッティングペン2は、刃出し量を指標の位置に基づいて確認できるものとなる。
Claims (7)
- 刃が長手方向の一端部から突出する筒状のカッティングペン本体と、
前記刃が通る貫通孔が穿設されたキャップ部を有し、このキャップ部が前記カッティングペン本体の前記一端部から突出する状態で前記カッティングペン本体の中に前記長手方向へ移動自在に挿入された媒体押圧部材と、
前記カッティングペン本体内に設けられ、前記媒体押圧部材が前記カッティングペン本体に対して前記長手方向において予め定めた第1の移動ストロークで繰り返し往復することにより前記カッティングペン本体に対する前記媒体押圧部材の前記長手方向の位置を前記長手方向の他端部側に段階的に変える第1のノック機構と、
前記第1の移動ストロークより長い第2の移動ストロークで前記媒体押圧部材が前記カッティングペン本体に対して前記長手方向の他端部側に移動することにより前記媒体押圧部材を前記長手方向の一端部側に最も移動した初期の位置に一度に戻す第2のノック機構とを備えていることを特徴とするカッティングペン。 - 請求項1記載のカッティングペンにおいて、
前記第1のノック機構は、
前記媒体押圧部材が前記第1の移動ストロークで移動して行われる前記媒体押圧部材の往復動作が前記長手方向に延びる軸線を中心とする回転動作に変換されて所定角度だけ予め定めた第1の回転方向に回転し、この回転に伴って前記カッティングペン本体に対する前記長手方向の位置が変わる回転体と、
前記回転体を前記一端部側に向けて付勢し、前記カッティングペン本体によって規制される停止位置に保持する第1のばね部材と、
前記媒体押圧部材が前記回転体に前記一端部側から押し付けられた状態で前記回転体と一体に前記長手方向に移動するように前記媒体押圧部材を前記他端部側に向けて付勢する第2のばね部材とを備え、
前記第2のノック機構は、
前記回転体が前記第1の回転方向に回転することにより弾性変形するねじりコイルばねをさらに備え、前記媒体押圧部材が前記第1のばね部材のばね力に抗して前記第2の移動ストロークで前記カッティングペン本体に対して前記他端部側に移動して前記停止位置から前記他端部側に移動することにより前記ねじりコイルばねのばね力で前記回転体が前記第1の回転方向とは反対方向である第2の回転方向に回転する構成が採られていることを特徴とするカッティングペン。 - 請求項2記載のカッティングペンにおいて、
前記第1のばね部材のばね力は、前記媒体押圧部材がカッティング動作により前記カッティングペン本体に対して前記他端部側に移動することを規制する大きさであることを特徴とするカッティングペン。 - 請求項2または請求項3記載のカッティングペンにおいて、
前記カッティングペン本体は、前記回転体と同一軸線上に位置する円筒部を有し、
前記円筒部は、前記長手方向とは直交する方向から見て、前記第1の回転方向に向かうにしたがって次第に前記他端部側に位置するように階段状に並ぶ複数の鋸歯状の歯を有し、
前記複数の鋸歯状の歯の各々は、前記第1の回転方向に向かうにしたがって次第に前記一端部側に向かって傾斜する位置決め面と、前記長手方向に延びるガイド面とをそれぞれ有し、
前記媒体押圧部材は、前記第1の回転方向に並ぶ複数のカムを有し、
これらのカムは、前記第1の回転方向に向かうにしたがって次第に前記一端部側に向かって傾斜するカム面を有し、
前記回転体は、前記位置決め面に前記第1のばね部材のばね力によって前記他端部側から押し付けられるとともに、前記カム面が前記第2のばね部材のばね力によって前記一端部側から押し付けられる連結片を有し、
前記媒体押圧部材が前記カッティングペン本体に対して前記第1の移動ストロークで前記他端部側に移動することによって、前記連結片が前記カム面により押されながら前記ガイド面に沿って前記他端部側に移動し、前記ガイド面の先端を越えた状態で前記カム面および前記位置決め面に沿って前記第1の回転方向に移動することを特徴とするカッティングペン。 - 請求項4記載のカッティングペンにおいて、
前記媒体押圧部材は、
前記キャップ部が前記一端部に設けられて他端部が前記回転体の軸心部に回転自在に接触する第1の軸部と、
前記回転体を回転自在かつ前記長手方向へ移動自在に支持するとともに前記カム面が設けられた筒状部を有し、前記第1の軸部に前記一端部側へのみ移動自在に支持されて前記第2のばね部材のばね力を受ける第2の軸部と、
前記第2の軸部を前記第1の軸部に対して前記長手方向の他端部側へ付勢する第3のばね部材と、
前記第1の軸部が前記第1の移動ストロークを越えて前記カッティングペン本体に対して前記他端部側に移動することにより前記第2の軸部の移動を規制する規制部材とを備え、
前記第1の軸部が前記第2の移動ストロークで前記他端部側に移動することにより、前記回転体の前記連結片が前記カム面から前記他端部側に離れ、前記回転体が前記ねじりコイルばねのばね力で前記第2の回転方向に回転することを特徴とするカッティングペン。 - 請求項4または請求項5記載のカッティングペンにおいて、
前記カッティングペン本体の前記一端部には、前記長手方向へ突出するストッパーが設けられ、
前記長手方向において、前記ストッパーの先端と、前記カッティングペン本体から突出して停止した自然状態にある前記キャップ部の先端との間の距離は、前記第1の移動ストロークに相当する距離であることを特徴とするカッティングペン。 - 請求項4~請求項6のいずれか一つに記載のカッティングペンにおいて、
前記複数の鋸歯状の歯は、前記円筒部を周方向に分割する複数の領域にそれぞれ設けられ、
前記連結片は、前記領域毎に設けられていることを特徴とするカッティングペン。
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