JP7208022B2 - シリカ粒子材料及びシリカ粒子材料分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、充填率が高くできるシリカ粒子材料及びシリカ粒子材料分散液に関する。
電子材料用フィラーとしてシリカ粒子材料が汎用されている。シリカ粒子材料は樹脂材料中などに分散された樹脂組成物とするなどして利用されている(特許文献1など)。シリカ粒子材料と樹脂材料との物理特性を比較すると、シリカ粒子材料の充填量を高くすることが望ましい。そのため、従来より充填率が高いシリカ粒子材料を提供することを目指して技術開発が行われている。
特開2007-51187号公報
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、高い充填率が実現できるシリカ粒子材料及びシリカ粒子材料分散液を提供することを解決すべき課題とする。
(1)上記課題を解決する本発明のシリカ粒子材料は、比表面積が10~150m/g、表面積の単位面積(m)あたりの吸油量が0.0003~0.01mL、全体の質量を基準としてカーボン量が0.5%以上であり、粒径が5nm~250nmであって、表面処理されている。
(2)上記課題を解決する本発明のシリカ粒子材料分散液は、メジアン径(D50)が150nm以下のシリカ粒子材料と前記シリカ粒子材料を分散する分散媒とからなり、X線小角散乱スペクトルのI100/半値幅が300以下である。
特に上述の本発明のシリカ粒子材料を採用することもできる。ここで、本明細書における「I100/半値幅」との語について説明する。「I100」とはX線小角散乱スペクトルにおける最も大きなピークのピークトップである。X線小角散乱スペクトルはシリカ粒子材料分散液について測定したものである。
具体的には、X線小角散乱スペクトルにおいて0.001°~1.0°まで、0.001°刻みで測定された強度の値(任意単位)に0.01を乗じた値の総和を100として強度の値を規格化する。強度のうち一番大きな値をI100とし、I100の強度値の半分をI50とする。I100が属するピークにおけるI50の強度でのピークの幅をI100の半値幅(単位°)と定義する。
(3)上記課題を解決する本発明のシリカ粒子材料は、シクロヘキサノンに対して、1対1の質量比で分散させた分散液におけるX線小角散乱スペクトルのI100/半値幅が300以下であって、メジアン径が150nm以下である。
上記構成を有するシリカ粒子材料は、高い充填率が実現できる。また上記構成を有するシリカ粒子材料分散液は、含有するシリカ粒子材料が高い充填率で含有されている。
試験例1~4のシリカ粒子材料分散液のX線小角散乱スペクトルである。 試験例5~8のシリカ粒子材料分散液のX線小角散乱スペクトルである。 試験例9~11のシリカ粒子材料分散液のX線小角散乱スペクトルである。
本発明のシリカ粒子材料及びシリカ粒子材料分散液について実施形態に基づいて以下詳細に説明を行う。本実施形態のシリカ粒子材料は電子材料用フィラーとして好適に利用することができる。本実施形態のシリカ粒子材料分散液はシリカ粒子材料をフィラーとして用いて製造される樹脂組成物を調製する際に好適に利用できる。
本実施形態のシリカ粒子材料は以下に記載の「その1」及び「その2」の構成のうちの少なくとも一方を有する。なお、シリカ粒子材料は、含有する無機物が80質量%以上SiO(シリカ)を含有している材料を意味し、好ましくは90質量%以上シリカを含有し、より好ましくは不可避不純物以外は全てシリカで構成されている。
(シリカ粒子材料:その1)
本実施形態のシリカ粒子材料は、比表面積が10~150m/gである。比表面積は窒素を用いたBET法により測定された値である。比表面積は上限値が150m/g、130m/g、100m/gであることができ、下限値が10m/g、20m/g、30m/gであることができる。比表面積はこれらの上限値及び下限値を任意に組み合わせることができる。
そして、表面積の単位面積(m)あたりの吸油量が0.0003~0.01mLである。本明細書中における吸油量の測定は以下の通りである。測定対象の粉末2gに対して亜麻仁油を滴下・混合を行ったときに、ペーストに変化したときの添加した亜麻仁油量から以下の換算式にて吸油量を算出した。終点付近における滴下は亜麻仁油を一滴ずつなじませながら行った。滴下・混合を繰り返し、シリカが粉体からペーストに変化した点を終点とした。その後、下記式を用いて、測定対象1g当りの亜麻仁油吸油量を算出し、得られた1gあたりの吸油量を測定対象の比表面積にて除することで表面積の単位面積(m)あたりの吸油量を算出する。
(1gあたりの吸油量)=亜麻仁油滴定量(mL)/測定対象の粉末の質量(g)
シリカ粒子材料は、粒径が5nm~250nmである。粒径は上限値が230nm、200nm、130nmであることができ、下限値が10nmであることができる。粒径の上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。シリカ粒子材料の粒子は複数種類の粒径をもつ粒子の混合物であることが好ましく、特に、概ね単分散の粒度分布をもつ粒子材料を3つ以上の粒径で組み合わせて構成されていることが望ましい。組み合わせる粒子材料は、10nm、50nm、100nmなどが挙げられる。
本実施形態のシリカ粒子材料は、表面処理がなされている。表面処理は特に限定しないが、炭素を含有する表面処理剤を用いて行う。表面処理剤としてはシラン化合物、シラザン類などが挙げられる。例えば、ビニルシラン、フェニルシラン、アミノフェニルシラン、メタクリルシラン、アルキルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。
表面処理剤の反応量は、シリカ粒子材料の全体の質量を基準として炭素量が0.5%以上になるように選択され、好ましくは炭素量が1.0%以上になるように選択される。表面処理剤の反応量の上限は特に限定されないが、表面処理により粒径が大きくなって後述した粒径範囲から外れないことが必要である。
表面処理後に上述した比表面積、粒度分布になるようなシリカ粒子原料を調製し、表面処理を行うことで本実施形態のシリカ粒子材料になる。シリカ粒子原料はどのように製造しても良いが、例えばゾルゲル法、アルコキシド法、VMC法(爆燃法)、溶融法が挙げられる。最初から粒度分布や比表面積の値が必要な範囲に収まっているような製造方法もあれば外れるような製造方法もあり、いずれであっても採用できる。必要な範囲から外れるような場合には適正な分級手段(気相中での遠心式、篩分け、沈降速度の違いなど)にて必要な範囲となるように調節する。
(シリカ粒子材料:その2)
シリカ粒子材料は、シクロヘキサノンに対して、1対1の質量比で分散させた分散液におけるX線小角散乱スペクトルのI100/半値幅が300以下である。充填率が高いシリカ粒子材料、低いシリカ粒子材料をそれぞれ幾つか用意して上記条件での「X線小角散乱スペクトルのI100/半値幅」を測定した結果、300以下となる範囲で高い充填性が実現できることが分かった。「X線小角散乱スペクトルのI100/半値幅」の値は上限値として250、100、85が採用できる。
「X線小角散乱スペクトルのI100/半値幅」については上述した通りである。X線小角散乱スペクトルの測定条件は、X線源としてシンクロトロン放射光(あいちシンクロトロンセンター BL8S3:X線エネルギー12keV)、検出器はR-AXISを用いて行った。X線源からのカメラ長は4mであり、測定試料は直径1mmの石英チューブ内に収納して測定を行った。
シリカ粒子材料は、メジアン径が150nm以下であり、特に130nm以下、110nm以下とすることができる。シリカ粒子材料の製造方法は、「その1」にて説明した方法などが採用できる。更に、「その1」にて説明したように表面処理を行うこともできる。
(シリカ粒子材料分散液)
本実施形態のシリカ粒子材料分散液は、上述したシリカ粒子材料(その2)を分散媒に分散させた分散液である。シリカ粒子材料としては上述したシリカ粒子材料(その1)の特徴を全て備えるものであっても良い。
分散媒としては液体であれば特に限定しない。シクロヘキサノンなどの有機溶媒や、硬化前の熱硬化樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステルなど)でも良い。
分散媒とシリカ粒子材料との混合比は特に限定しない。粘度が許容範囲である限りシリカ粒子材料の含有量を増加させることが望まれる。例えば全体の質量基準でシリカ粒子材料を50%以上、55%以上、60%以上含有させることが望ましい。
(その他)
本実施形態のシリカ粒子材料や、シリカ粒子材料分散液に含有されるシリカ粒子材料は複数種類の粒径をもつシリカを混合して調製することもできる。例えば10nm~200nm程度のD50をもつシリカを適正な比率で混合することができる。具体例としては10nm、50nm、100nmのD50を持つシリカを、全体を100質量部としたときに、10nmのシリカを0~30質量部程度、50nmのシリカを0~90質量部程度、100nmのシリカを0~95質量部程度混合することができる。
本発明のシリカ粒子材料及びシリカ粒子材料分散液について実施例に基づいて以下詳細に説明を行う。
シリカ粒子原料として、アドマナノYC100C-SM1(メジアン径100nm、アドマテックス製ナノシリカ、比表面積30m/g、以下「100nm粒子」と称する)、YA050C-SM1(メジアン径50nm、アドマテックス製ナノシリカ、比表面積60m/g、以下「50nm粒子」と称する)、YA010C-SM1(メジアン径10nm、アドマテックス製ナノシリカ、比表面積300m/g、以下「10nm粒子」と称する)を使用した。これらのシリカ粒子原料は、全て3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランによる表面処理がなされている。
(試験1)
・試験例1
100nm粒子95質量部、50nm粒子0質量部、10nm粒子5質量部の配合量で均一混合して製造したシリカ粒子材料を本試験例の試験試料とした。吸油量、比表面積、カーボン量の測定を実施した。吸油量の測定は前述の方法にて行った。比表面積は窒素を用いたBET法にて測定を行った。カーボン量は炭素分析装置で測定した。配合量及び測定結果を表1に示す。また、表1に示す配合量で同様の操作を行い試験例2~11の試験試料を調製し、同様に測定結果を表1に示す。ここで、これら試験例の試験試料は、メジアン径が10nm、50nm、100nmの粒子を混合しているため、メジアン径は10nm~100nmの範囲内に入っている。
Figure 0007208022000001
各試験例のシリカ粒子材料についてシクロヘキサノンを分散媒として分散液(シリカ粒子材料分散液)を製造した(表2)。得られた各試験例の分散液について、X線小角散乱スペクトルを測定し上述の方法にてI100/半値幅の値を算出した(図1~3)。また各試験例の分散液について粘度及び分散されているシリカ粒子材料の粒径(D50)を測定した(表2)。粘度の測定は振動式粘度計(ビスコメイトVM-1G、山一電機社製)に分散液を40mLセットした状態で測定した。なお、シリカ粒子材料の含有割合は製造した分散液の粘度が200mPa・s以下になるように1質量%刻みで検討した最大値である(例えば56質量%では400mPa・s、55質量%では200mPa・sであった場合には55質量%とした)。
Figure 0007208022000002
表1及び2から明らかなように、試験例1~9及び11については単位面積(m)あたりの吸油量が0.0003~0.01mLの範囲であった。この単位面積あたりの吸油量の大小はカーボン量と逆の相関をしていた。
また、I100/半値幅の値が300以下である試験例1~9は、300を超える試験例10及び11と比べて充填率を高くしても粘度が高くならなかった。試験例10の分散液の粘度が試験例5、7、8と比べて小さくなってはいるが、試験例5、7、8は試験例10よりも充填率が高かった。また、試験例11は他の試験例より充填率を高くすることができなかった。
(試験2)
試験例2、3、5、9、10、11の試験試料と樹脂材料:新日鉄住金化学株式会社製の液状BPA型・BPF型高純度エポキシ樹脂ZX-1059とをそれぞれの試験試料が表3に記載の含有量になるように混合・分散して分散媒が樹脂材料であるシリカ粒子材料分散液(樹脂組成物)を調製した。得られた樹脂組成物についてシェアレート1s-1の場合と測定装置の最大値とにおける粘度を測定した。粘度の測定はレオメーター粘度計(TA Instruments製 ARES-G2)を用いて行った。結果を表3に示す。
Figure 0007208022000003
表3より明らかなように、ダイラタンシ指数が1を超えている試験例2、3、5、9はI100/半値幅の値が、ダイラタンシ指数が1未満であった試験例10及び11と比べて300以下と小さく、I100/半値幅の値がダイラタンシ指数に関連することが明らかになった。ダイラタンシ指数が1を超えているということはシリカ粒子の充填効率が高いことを意味する。

Claims (3)

  1. 比表面積が52~150m/g、表面積の単位面積(m)あたりの吸油量が0.0003~0.0065mL、全体の質量を基準としてカーボン量が0.5%以上であり、粒径が5nm~250nmである表面処理されたシリカ粒子材料。
  2. シクロヘキサノンに対して、1対1の質量比で分散させた分散液におけるX線小角散乱スペクトルのI100/半値幅が300以下であって、メジアン径が150nm以下である請求項1に記載のシリカ粒子材料。
  3. 請求項1又は2に記載のシリカ粒子材料と、
    前記シリカ粒子を分散する分散媒と、
    を有するシリカ粒子材料分散液。
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