JP7207107B2 - 薄肉鋳片の製造方法 - Google Patents

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本発明は、双ロール式連続鋳造装置を用いた、薄肉鋳片の製造方法に関するものである。
金属の薄肉鋳片を製造する方法として、内部に水冷構造を有する冷却ロールを備え、回転する一対の冷却ロールと、冷却ロール両端に配置した一対のサイド堰とで囲まれる空間に溶融金属プール部を形成し、溶融金属プール部に溶融金属を供給し、冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させ、一対の冷却ロールの外周面にそれぞれ形成された凝固シェル同士を、冷却ロール間隔が最小となる位置(ロールキス点)で接合し、圧下して所定の厚さの薄肉鋳片を製造する双ロール式(双ドラム式ともいう。)連続鋳造装置が提供されている。このような双ロール式連続鋳造装置は、各種金属において適用されている。
溶融金属プール部への溶融金属の供給は、溶融金属プール部に浸漬したノズルによって行われる。ノズルの下端付近の溶融金属浸漬部位の、前記冷却ロールと対面する側に吐出孔が設けられ、ノズル上方から供給された溶融金属は、吐出孔を通して溶融金属プール部に供給される。
溶融金属プール部に供給される溶融金属は、脱酸生成物などの非金属介在物を含んでおり、溶融金属プール部で浮上して表面(湯面)に停滞する。また、溶融金属プール部の湯面は大気との遮断が十分ではなく、溶融金属の成分の一部が酸化物となる。これら湯面で生成した酸化物及び湯面に浮上した非金属介在物は、湯面において浮遊スカム層を形成する。
双ロール鋳造のメニスカス(湯面)で生成するスカム(酸化膜)は、鋳片内に取り込まれると材質劣化の原因になり、ロール/溶鋼間に取り込まれると表層欠陥につながる。そのため、スカムに起因する品質の低下を防止するため、種々の提案がなされている。
特許文献1には、メニスカス近傍にシールケースを設置し、メニスカスでの酸化防止を図る発明が開示されている。しかし、冷却ロールが回転することから、シールケースと鋳型間に隙間が必要であり、完全なシールは困難であった。特許文献2には、メニスカスに障壁板を設置し、ロール方向へのスカムの移動を阻害する発明が開示されている。しかし、ロールと障壁板の間で酸化して生成したスカムは巻き込まれやすい。また、メニスカスが空気中にさらされているため、スカムが生成しやすい。特許文献3には、サイド堰に穴をあけ、スカムを排出する発明が開示されている。しかし、湯面高さが変動した場合、スカムの排出ができず、溶鋼が排出され、制御が困難である。
特許文献4には、浸漬ノズルが外ノズルとその内部の内ノズルで形成される場合において、外ノズル(蓋形状)を湯面に浮かべ、メニスカスと大気の接触を防止する発明が開示されている。しかし、湯面高さ変動によりノズル位置も変わることになり、溶鋼流動が乱れて板厚変動が生じる。特許文献5には、外ノズルによりメニスカスで滞留が生じないようにし、大気との接触を最小化する発明が開示されている。しかし、ノズル下部での滞留により溶鋼温度が低下し、地金の生成や等軸晶が成長し、板厚不均一を引き起こしやすい。
特開平1-271037号公報 特開平6-106304号公報 特開平8-155592号公報 特開平3-297542号公報 特開2009-220129号公報
本発明は、双ロール連続鋳造でのスカムの巻き込みを抑制し、内部品質、表面品質に優れた鋳片を製造することができる、薄肉鋳片の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
[1]回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって溶融金属プール部を形成し、前記溶融金属プール部に浸漬するノズルから溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置を用いる薄肉鋳片の製造方法であって、
前記冷却ロールの回転軸に垂直な面から見て、前記溶融金属プール部の湯面が前記冷却ロールの周面と接する位置を周面位置Pとし、前記冷却ロールの回転中心を回転中心Oとし、周面位置Pと回転中心Oを結ぶ線分が水平方向となす角度を鋳造弧角θ(°)と置き、
前記ノズルの下端位置と同一高さにおける前記冷却ロールの周面位置を周面位置Qとし、周面位置Qと回転中心Oを結ぶ線分が水平方向となす角度をノズル弧角φ(°)と置き、
ノズル弧角φが下記(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
θ/2+5°≧φ≧θ/2-5° (1)
R×(1-cosφ)-L/2≧0 (2)
ただし、R(mm)は冷却ロールの半径、L(mm)はノズル下端位置でのノズルの厚み(鋳片厚み方向)である。
[2]平面視において、溶融金属プール部の湯面が冷却ロール、サイド堰と交わって形成する矩形の面積を湯面全面積、前記湯面が前記ノズルの外周面と交わって形成する部分の面積をノズル面積とし、前記ノズル面積が前記湯面全面積に占める面積割合をノズル占有面積率(%)とし、
ノズル占有面積率を25~65%とすることを特徴とする[1]に記載の薄肉鋳片の製造方法。
本発明は、双ロール式連続鋳造装置を用いる薄肉鋳片の製造方法において、溶融金属プール部におけるノズル下端の位置を深くすることにより、スカムの巻き込みを抑制し、内部品質、表面品質に優れた鋳片を製造することができる。
本発明の連続鋳造方法を示す部分概略側面図であり、(B)は(A)の部分拡大図である。 従来の連続鋳造方法を示す部分概略側面図である。 本発明の連続鋳造方法を説明する概略図であり、(A)は平面図、(B)は(A)からノズル断面を排除した図、(C)は側面図である。 鋳造弧角θとノズル弧角φとの関係において、本発明の範囲を示す図である。 ノズル弧角φと、ノズル下端とロール周面との水平方向距離dとの関係について、ノズル下端部の厚みL毎に示した図である。
本発明が対象とする双ロール式連続鋳造装置は、図1、図2に示すように、回転する一対の冷却ロール1と一対のサイド堰2によって溶融金属プール部5を形成し、溶融金属プール部5に浸漬するノズル3から溶融金属を供給し、冷却ロール1の周面7に凝固シェル10を形成・成長させて薄肉鋳片11を製造する。図1、図2は、冷却ロール1の回転軸に垂直な面から見た図であり、ここでは側面図という。
ここで、鋳造弧角θとノズル弧角φを定義する。
冷却ロール1の回転軸に垂直な面から見て(側面視において)、溶融金属プール部5の湯面6が冷却ロール1の周面7と接する位置を周面位置Pとし、冷却ロール1の回転中心を回転中心Oとし、周面位置Pと回転中心Oを結ぶ線分が水平方向となす角度を鋳造弧角θと置く。
同じく側面視において、溶融金属プール部5に浸漬するノズル3のノズル下端21と同一高さにおける冷却ロール1の周面位置を周面位置Qとし、周面位置Qと回転中心Oを結ぶ線分が水平方向となす角度をノズル弧角φと置く。
さらに、ノズル下端21において、ノズル下端21と、ノズル下端21水平方向の凝固シェル10の液相側界面との間の距離について定める。ノズル下端21におけるノズルの厚み(鋳片厚み方向41)をLとおき、冷却ロール1の半径をRと置く。図1に示すように、ノズル下端21と、ノズル下端に水平方向の凝固シェル界面との間の距離をdとおくと、dは以下のように記載することができる。ここで、鋳造する鋳片厚み/2と周面位置Qでの凝固シェル厚みとの差は小さく、両者は相互に相殺するものとして(3)式には含めていない。
d=R×(1-cosφ)-L/2 (3)
前述のとおり、溶融金属プール部5への溶融金属の供給は、溶融金属プール部5に浸漬したノズル3によって行われる。溶融金属に浸漬しているノズル3の下端付近の、冷却ロール1と対面する側に吐出孔4が設けられ、ノズル上方からノズル内部に供給された溶融金属は、吐出孔4を通して溶融金属プール部5に供給される。
溶融金属プール部5における吐出孔4の深さについては、種々の品質及び操業上の要請に基づいて従来から最適化されていた。吐出孔4はノズル3の下端付近に設けられるため、吐出孔4の深さに対応してノズル下端21位置の深さが定まり、結果としてノズル弧角φに影響を及ぼす。吐出孔4の位置を深くするほど、ノズル下端21位置も深くなるのでノズル弧角φが小さくなる。ノズル下端21位置が深くなり、ノズル弧角φが小さくなるほど、ノズル下端21の位置において、凝固シェル界面とノズルとの水平方向距離dが小さくなる((3)式参照)。
双ロール式の連続鋳造において、鋳造の時間経過とともに、溶融金属プール部5に浸漬したノズル3の表面には地金が付着する。特にノズル下端21位置のノズル表面に地金が付着すると、地金が付着した厚みの分だけ、実質的にノズル下端21におけるノズルの厚み(鋳片厚み方向41)が増大することとなる。ノズル下端部に付着した地金が、冷却ロール1の周面7に形成された凝固シェル10に接触すると、鋳造トラブルの原因となる。そのため、図2に示すように、ノズル下端21の位置における凝固シェル界面との水平方向距離dについては極力大きく取り、たとえ地金が付着しても凝固シェル10と接触しないように対応が取られていた。具体的には、溶融金属プール部5でのノズル下端21位置の深さをあまり深くしないように、即ちノズル弧角φをあまり小さくしないような配置としていた。鋳造弧角θとの対比では、φ>θ/2+5°となるような配置が採用されていた。
ノズル3に供給された溶融金属は、ノズル側面の吐出孔4から溶融金属プール部5内に吐出する。吐出孔4から吐出する溶融金属流31は冷却ロール1の周面7に到達し、周面7に沿って溶融金属プール部5の湯面6まで駆け上がる(図2参照)。湯面6に到達した溶融金属流は左右(冷却ロール1の回転軸方向)に流れ方向を変え、溶融金属プール部5に戻っていく流路を形成する。
このように形成される溶融金属の駆け上がりが、薄肉鋳片へのスカム巻き込みに影響する状況について評価を行った。溶融金属プール部5の湯面6に形成されたスカムが薄肉鋳片に取り込まれる状況については、水モデル実験を行って評価した。冷却ロール1とノズル3を模した水モデル実験装置を形成し、溶融金属プール部5の溶融金属を模して水を用い、湯面には有機物(ゴマ等)を浮遊させて浮遊スカム層に模した。また、流体の流動について数値流体解析を行った。数値流体解析は、具体的には市販の汎用数値流体解析ソフトを用い、流動・伝熱・凝固を考慮した解析を行い、溶融金属プール内の温度分布を解析した。
双ロール連続鋳造として従来用いられている、鋳造弧角θが50°、ノズル弧角φが40°の場合について評価を行ったところ、ノズルから吐出する溶融金属流が冷却ロール周面で駆け上がり流を形成する結果として、湯面の変動が大きく、その結果として鋳片へのスカム巻き込みが発生していることが明らかとなった。また、溶融金属プール部の深い位置43(ノズル下端部よりも下部)で溶鋼が滞留し、当該深い位置43の溶融金属の温度が低下することも判明した(図2参照)。深い位置での溶融金属の温度低下が起こると、凝固組織が等軸晶組織となり、板厚精度が悪化する原因となる。
そこで、従来は用いられていなかった、φ≦θ/2+5°となるようなノルズ弧角となるようにノズル下端位置を低下させ、同じように水モデル実験と数値流体解析とを行った。図1にその一例を示す。その結果、ノズル3の吐出孔4からの流れに起因する駆け上がり流については、冷却ロール1の周面7を駆け上がって湯面6に到達する段階では流れの勢いが低下し、駆け上がり流に起因する湯面変動が減少することがわかった。ノズル下端21位置の低下に伴って吐出孔4の位置も低下し、吐出した溶融金属流31が冷却ロール1の周面7を駆け上がって湯面6に到達するまでの距離が増大し、それによって湯面位置での流れの勢いが低下したものと推定される。これにより、駆け上がり流に起因するスカムの巻き込みの低減が期待できることがわかった。また、吐出孔4から吐出して冷却ロール1の周面7に到達した後、冷却ロール1の周面7に沿って上昇する流れに加え、冷却ロール1の周面7に沿って下降する流れが形成される。このような下降流に起因して、溶融金属プール部5の深い位置43に流れ込む溶融金属の滞留が解消され、深い位置43の溶融金属の温度が上昇することも確認された。
実際の連続鋳造で適用した結果、後述の実施例で明らかにするように、φ≦θ/2+5°となるようなノズル弧角φとなるようにノズル下端位置を配置することにより、鋳片の表面品質、内部品質ともに向上し、スカム巻き込み低減効果が得られていることが確認された。また、鋳片中心付近の凝固組織において、等軸晶比率が減少し、板厚の均一性が向上していることが確認された。
一方、ノズル弧角φを小さくしすぎ、φ<θ/2-5°となると、ノズル3による抜熱が大きく、ノズル3への付着地金が発達しやすくなるとともに、冷却ロール1の周面7に形成された凝固シェル10に地金が接近しすぎるため、ノズル3に付着した地金が薄肉鋳片11に取り込まれ、板厚不均一や鋳片破断の原因となる。そこで本発明は、
θ/2+5°≧φ≧θ/2-5° (1)
と規定することとした。
前記(3)式から明らかなように、ノズル下端21と凝固シェル界面との水平方向距離dは、ノズル弧角φのみならず、ノズル下端21におけるノズルの厚みL(鋳片厚み方向)によっても影響を受ける。そこでさらに、冷却ロールの半径をRとして、
R×(1-cosφ)-L/2≧0 (2)
と規定した。
R=600mm(φ1200mm)の冷却ロールの場合、鋳造弧角θ35~60°の範囲では、ノズルを(1)式下限に設定したときのノズル弧角φは12.5~25°である(図4の破線)。ここにノズル下端の厚みLが28~90mmのノズルをセットした場合、ノズル下端部の厚みL=28mmでのノズル下端と凝固シェル間の距離は0~40mm程度(図5の破線)であり、ノズル3と凝固シェル界面の間の距離dはノズル弧角φがばらついても大きく変化はない。ただし、ノズル3と凝固シェル10が接触すると鋳造ができないため、(2)式を満たすようにノズルをセットする。この時、好ましくは(2)式左辺が10mm以上、より好ましくは40mm以上だとより鋳造が安定する。
次に、平面視において、溶融金属プール部5の湯面6が冷却ロール1、サイド堰2と交わって形成する矩形24(図3(B)参照)の面積を湯面全面積、湯面6がノズル3の外周面と交わって形成する断面25(図3(A)参照)の面積をノズル面積とし、ノズル面積が湯面全面積に占める面積割合をノズル占有面積率(%)として、ノズル占有面積率が及ぼす影響について評価した。平面視において、図3に示すように、溶融金属プール部5の湯面6が冷却ロール1の周面7と接する位置を湯面の縁22とし、両冷却ロールの湯面の縁22と、両サイド堰の内側23とによって形成される矩形24の面積(図3(B))が、湯面全面積となる。
ノズル面積(図3(A)の断面25の面積)が小さくなることにより、ノズル占有面積率が小さくなると、溶融金属プール部5の湯面6が雰囲気と接触する湯面露出部26(図3(A)参照)の面積(以下「湯面純面積」という。)が大きくなる。その結果として、湯面6で形成されるスカムの発生量が多くなり、鋳片表層及び内部へのスカム巻き込み量が多くなる。本発明においては、ノズル占有面積率を25%以上とすることにより、スカムの発生量を抑えてより良好な鋳片を製造できることがわかった。
双ロール連続鋳造において、鋳造されてロールキス点8から下方に引き抜かれる薄肉鋳片11の単位時間鋳造量と、ノズル3から供給される溶融金属の供給量とをバランスさせ、溶融金属プール部5の溶融金属量が一定となるように調整を行っている。具体的には、溶融金属プール部5の湯面の縁22の位置を常時計測する。溶融金属プール部の溶融金属量の増減により、湯面の縁22の位置が変動するので、湯面の縁22の位置が一定となるよう、ノズル3への溶融金属の供給量を制御している。
溶融金属プール部5を占める溶融金属の体積が変動したときの、湯面変動量について検討する。湯面高さが変動したとき、湯面高さ変動に起因する溶融金属プール部の体積変動量は、湯面高さ変動量と前記湯面純面積との積にほぼ一致する。従って、鋳片引き抜き量とノズルからの溶融金属供給量がアンバランスとなって溶融金属プール部を占める溶融金属の体積が変動したとき、湯面高さの変動量は、体積変動量を湯面純面積で除した値となる。そのため、湯面純面積が小さくなりすぎると、溶融金属プール部の溶融金属量変動に対応した湯面高さの変動量が大きくなりすぎ、それが原因で湯面変動現象が増大し、スカム巻き込みの原因となる。本発明においては、ノズル占有面積率を65%以下とすることにより、湯面高さの変動に起因するスカムの巻き込み量を抑えてより良好な鋳片を製造できることがわかった。そこで本発明において好ましくは、前記定義したノズル占有面積率を25~65%とする。
なお、本発明を適用する双ロール式連続鋳造において、スカムの生成を低減するためには、鋳造前におけるノズルの予熱を十分に行うことが好ましい。また、ノズルやサイド堰などの耐火物からの溶鋼の抜熱抑制を目的に耐熱シート等を用いても良い。この材質はZrO2などの熱伝導率の低い材質を用いることが好ましい。
タンディッシュ容量:5t、冷却ロールの半径R:600mm、鋳造幅(両サイド堰内側間の距離)=鋳片幅:800mm、鋳造雰囲気:Ar、鋳片厚み:2.0mmの双ロール式連続鋳造装置を用いて、単位時間当たりの鋳造量:1.1t/分として連続鋳造を行った。なお、鋳造は鋳造弧角θが表1に示す値で一定になるように制御した。鋳造弧角θは、鋳造時にカメラで湯面を観察し、湯面画像から判断した。
ノズル形状とノズル下端の浸漬深さを種々変更し、連続鋳造を行った。表1に、ノズル弧角φ、ノズル下端位置の厚みL、湯面位置におけるノズルの厚み、鋳片幅方向42でのノズルの幅、ノズル占有面積率を示す。表1には併せて、鋳造弧角θによって求めた(1)式左辺、(1)式右辺の値、及びノズル弧角φとノズル下端位置でのノズル厚みLから求めた(2)式左辺の値を示している。
ノズル3の耐火物の材質としてCaO・ZrO2、Al23、MgO、CaO、SiO2、ZrO2、SiC,C,BNの単成分またはこれらの複合成分からなる耐火物で作製してもよい。今回はノズルをAl23+C系で作製した。
鋳造した溶融金属は溶鋼であり、その品種としてアルミ脱酸鋼(Fe-0.001質量%C-0.01質量%Si-0.15質量%Mn-0.008質量%P-0.005質量%S-0.03質量%Al)を用いた。
品質評価として、1.表面清浄性(スカム流入抑制状況)、2.内部品質(スカム巻き込み状況)、3.鋳造性(シェル破れの有無)、4.鋳片厚みの均一性、を評価した。
1.表面清浄性(スカム流入状況):鋳造開始から4分後の位置の薄肉鋳片の板幅方向の表面欠陥数を調査し、表面欠陥(面積3.0m2あたり)が7超であれば表面清浄性「×」、3超7以下であれば表面清浄性「△」、3以下であれば表面清浄性「○」と評価した。
2.内部品質(スカム巻き込み状況):鋳造開始から4分後の位置の薄肉鋳片の板幅方向の切断面を光学顕微鏡で観察し、鋳片内部にスカムの巻き込みが(断面積3200mm2あたり)7個超あれば内部品質「×」、7個以下であれば内部品質「○」とした。
3.鋳造性(シェル破れの有無):鋳造完了までに鋳込めたものを鋳造性「○」、途中で破断したものを鋳造性「×」と評価した。
4.鋳片厚みの均一性:鋳造開始から4分後の位置の薄肉鋳片の板幅方向の板厚を、マイクロメータを用いて10mmピッチで測定し、最大板厚と最小板厚の板厚差を平均板厚で割った指標である鋳片板厚変動率が10%超のものを板厚精度「×」、10%以下のものを板厚精度「〇」と評価した。
結果を表1に示す。
Figure 0007207107000001
本発明例1~9は、鋳造条件が本発明の好適範囲であり、鋳造結果はいずれも良好であった。
本発明例10は、湯面位置でのノズル厚みが120mmと薄いノズルを用いた結果、ノズル占有面積率が25%未満と好適範囲から外れ、メニスカス表面でのスカムの生成が多いことに起因してロール表面へのスカムの巻き込みが若干発生し、表面清浄性が「△」であったが品質上問題ない範囲であり、鋳造性、内部品質、厚み均一性は良好であった。
本発明例11は、湯面位置でのノズル厚みが350mm、ノズル幅が700mmと湯面でのノズル面積が大きいノズルを用いたため、ノズル占有面積率が65%超と好適範囲から外れ、湯面変動が若干発生したことに起因して表面清浄性が「△」であったが品質上問題ない範囲であり、鋳造性、内部品質、厚み均一性は良好であった。
比較例1は、ノズル弧角φが(1)式下限未満であり、ノズルが凝固シェルと接触し、シェル破れが発生して鋳造停止した。
比較例2は、ノズル弧角φが(1)式上限超であり、スカムがロール表面およびメニスカスで巻き込まれ、内部品質が悪化した。また、薄肉鋳片に等軸晶が生成し、板厚不均一が発生した。ノズル直下の深い位置43での温度が低下したためと考えられる。
1 冷却ロール
2 サイド堰
3 ノズル
4 吐出孔
5 溶融金属プール部
6 湯面
7 周面
8 ロールキス点
10 凝固シェル
11 薄肉鋳片
21 ノズル下端
22 湯面の縁
23 サイド堰の内側
24 矩形
25 断面
26 湯面露出部
31 溶融金属流
41 鋳片厚み方向
42 鋳片幅方向
43 深い位置

Claims (2)

  1. 回転する一対の冷却ロールと一対のサイド堰によって溶融金属プール部を形成し、前記溶融金属プール部に浸漬するノズルから溶融金属を供給し、前記冷却ロールの周面に凝固シェルを形成・成長させて薄肉鋳片を製造する双ロール式連続鋳造装置を用いる薄肉鋳片の製造方法であって、
    前記冷却ロールの回転軸に垂直な面から見て、前記溶融金属プール部の湯面が前記冷却ロールの周面と接する位置を周面位置Pとし、前記冷却ロールの回転中心を回転中心Oとし、周面位置Pと回転中心Oを結ぶ線分が水平方向となす角度を鋳造弧角θ(°)と置き、
    前記ノズルの下端位置と同一高さにおける前記冷却ロールの周面位置を周面位置Qとし、周面位置Qと回転中心Oを結ぶ線分が水平方向となす角度をノズル弧角φ(°)と置き、
    ノズル弧角φが下記(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とする薄肉鋳片の製造方法。
    θ/2+5°≧φ≧θ/2-5° (1)
    R×(1-cosφ)-L/2≧0 (2)
    ただし、R(mm)は冷却ロールの半径、L(mm)はノズル下端位置でのノズルの厚み(鋳片厚み方向)である。
  2. 平面視において、溶融金属プール部の湯面が冷却ロール、サイド堰と交わって形成する矩形の面積を湯面全面積、前記湯面が前記ノズルの外周面と交わって形成する部分の面積をノズル面積とし、前記ノズル面積が前記湯面全面積に占める面積割合をノズル占有面積率(%)とし、
    ノズル占有面積率を25~65%とすることを特徴とする請求項1に記載の薄肉鋳片の製造方法。
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