以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である情報処理装置1の外観構成の一例を示す図である。図1に示す情報処理装置1は、MFPとして構成される画像処理装置であり、スキャン機能、プリント機能及びコピー機能といった複数の機能を備えており、ユーザーによって選択された機能に対応するジョブを実行する。
情報処理装置1は、装置本体1aの上部に、スキャナ部2を有している。スキャナ部2は、自動原稿搬送装置(ADF)2aと、画像読取部2bとを備えている。自動原稿搬送装置2aは、ユーザーによってセットされる原稿を1枚ずつピックアップし、画像読取部2bによる画像読取位置へ自動搬送する。画像読取部2bは、自動原稿搬送装置2aによって搬送される原稿が画像読取位置を通過するときに原稿の画像を光学的に読み取り、その画像に対応する画像データを生成する。
また情報処理装置1は、装置本体1aの下部に、プリンタ部3を有している。プリンタ部3は、画像形成部3aと、給紙部3bとを備えている。給紙部3bは、例えば複数の給紙カセットを有し、各給紙カセットに印刷用紙などのシート材をストックしておくことができる。そして給紙部3bは、一つの給紙カセットからシート材を1枚ずつピックアップし、画像形成部3aによる画像転写位置へ自動搬送する。画像形成部3aは、給紙部3bによって搬送されるシート材が所定の画像転写位置を通過するときにシート材に対してトナー像を転写し、その後、シート材に対してトナーの定着処理を施す。そして画像形成部3aは、トナーを定着させたシート材を、装置本体1aの中央に形成された排出口4から排紙トレイ5上へ排出する。
また情報処理装置1は、装置本体1aの正面側に、操作パネル6を備えている。操作パネル6は、ユーザーが情報処理装置1に対する操作を行う際のユーザーインタフェースとなるものであり、ユーザーが操作可能な各種操作画面を表示すると共に、各種操作画面に対するユーザーによる操作を受け付ける。例えば、操作パネル6は、ユーザーによる機能選択操作を受け付け、さらにユーザーによって選択された機能に対する詳細なジョブの設定操作を受け付ける。そしてユーザーによる操作に基づいて操作パネル6に表示する画面を逐次更新する。この操作パネル6は、ユーザーによる手動操作を受け付け可能であると共に、ユーザーによる音声操作も受け付け可能である。
操作パネル6には、集音機能を有する複数のマイク7a,7bが設けられている。これらのマイク7a,7bは、情報処理装置1に対する音声操作を行うための音声入力部7である。また、複数のマイク7a,7bは、音声の指向性を検知できるようにするため、所定間隔を隔てた位置に設けられることが好ましい。尚、音声の指向性を検知する必要がない場合には、音声入力部7は、1つのマイクで構成されるものであっても構わない。
また情報処理装置1は、装置本体1aの正面側に、スピーカーなどで構成される音声出力部8を有している。音声出力部8は、ユーザーに対して様々な警告音を出力するためのものである。
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成及び機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置1は、上述したスキャナ部2、プリンタ部3、操作パネル6及び音声出力部8の他に、制御部10と、記憶部11と、通信インタフェース12とを備えている。
また、操作パネル6には、上述した音声入力部7の他に、表示部13と、操作入力部14とが設けられる。表示部13は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、ユーザーが操作可能な各種の操作画面を表示するものである。操作入力部14は、例えば表示部13の表示画面上に配置されるタッチパネルキーなどによって構成され、ユーザーによる手動操作を受け付けるものである。
記憶部11は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などによって構成される不揮発性の記憶デバイスである。この記憶部11には、予めプログラム17と、声紋情報18と、キーワード情報19とが記憶される。プログラム17は、コンピュータ読み取り可能なプログラムである。声紋情報18は、情報処理装置1に対して音声操作を行うことが許可されているユーザーごとの声紋の特徴が予め登録されている情報である。キーワード情報19は、音声操作として受け付け可能な複数のキーワードが登録された情報である。
図3及び図4は、キーワード情報19の一例を示す図である。まず図3に示すように、キーワード情報19には複数のグループ19aが登録されており、各グループ19aに対してキーワード19bが登録された情報である。図3の例では、キーワード情報19に、機能選択と、スキャン機能と、プリント機能と、コピー機能との4つのグループ19aが登録されており、各グループ19aに対して複数のキーワード19bが予め登録されている。ここで、機能選択のグループ19aは、情報処理装置1の複数の機能のうちからユーザーが使用しようとする機能を選択するための音声に対応する複数のキーワード110が登録されており、例えば、「スキャン」、「プリント」及び「コピー」という3つのキーワードが予め登録されている。
また、スキャン機能のグループ19aには、ユーザーがスキャン機能に対する設定操作などを行うための音声に対応する複数のキーワード120が登録されている。例えば、図4(a)に示すように、スキャン機能のグループには、ユーザーが読み取り解像度を設定するための音声に対応するキーワードや、スキャン機能で生成した画像データの送信宛先を設定するための音声に対応するキーワードなどが予め登録されている。つまり、スキャン機能のグループ19aには、ユーザーがスキャン機能を使用する際に音声操作として受け付け可能な複数のキーワードが予め登録されている。尚、送信宛先に関するキーワードは、ユーザーが追加登録することも可能である。
また、プリント機能のグループ19aには、ユーザーがプリント機能に対する設定操作などを行うための音声に対応する複数のキーワード130が登録されている。例えば、図4(b)に示すように、プリント機能のグループには、ユーザーがプリント対象となるデータ(ファイル)を指定するための音声に対応するキーワードや、用紙に関する設定を行うための音声に対応するキーワード、カラー設定を行うための音声に対応するキーワード、レイアウトに関する設定を行うためのキーワードなどが予め登録されている。つまり、プリント機能のグループ19aには、ユーザーがプリント機能を使用する際に音声操作として受け付け可能な複数のキーワードが予め登録されている。尚、プリント機能のグループ19aには、スキャン機能のグループ19aに登録されているキーワードと同じキーワードが登録されていても良い。
さらに、コピー機能に関するグループ19aには、ユーザーがコピー機能に対する設定操作などを行うための音声に対応する複数のキーワード140が登録されている。例えば、図4(c)に示すように、コピー機能のグループには、用紙に関する設定を行うための音声に対応するキーワードや、部数に関する設定を行うための音声に対応するキーワード、カラー設定を行うための音声に対応するキーワード、レイアウトに関する設定を行うためのキーワードなどが予め登録されている。つまり、コピー機能のグループ19aには、ユーザーがコピー機能を使用する際に音声操作として受け付け可能な複数のキーワードが予め登録されている。尚、コピー機能のグループ19aには、スキャン機能のグループ19aに登録されているキーワード、又は、プリント機能のグループ19aに登録されているキーワードと同じキーワードが登録されていても良い。
通信インタフェース12は、情報処理装置1をLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続し、そのネットワークを介して外部装置と通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース12が外部装置と通信を行う形態は、有線通信であっても良いし、無線通信であっても構わない。また、外部装置は、ローカルネットワークに設けられているパーソナルコンピュータ(PC)やサーバーであっても良いし、インターネットなどのクラウド上に設けられているサーバーであっても構わない。
制御部10は、例えば図示を省略するCPUとメモリとを備えて構成される。そしてCPUが記憶部11に記憶されているプログラム17を読み出して実行することにより、制御部10は、ログイン制御部20、音声認識部22、操作反映部23、ジョブ制御部24、オートリセット部25、オートリセット制御部27及び設定部29として機能する。
ログイン制御部20は、情報処理装置1の動作状態をログイン状態とログアウト状態との間で移行させる制御を行う。ログアウト状態は、ユーザーが情報処理装置1の各機能を利用することができない状態である。これに対し、ログイン状態は、ユーザーが情報処理装置1の各機能を利用することができる状態である。
ログアウト状態のとき、ログイン制御部20は、ユーザーによるログイン操作を受け付ける。すなわち、ログアウト状態において操作パネル6に対する手動操作又は音声操作が行われると、ログイン制御部20は、ユーザーを特定するためのユーザー認証を行う。そのユーザー認証において手動操作又は音声操作を行ったユーザーを特定することができると、ログイン制御部20は、特定したユーザーをログインユーザーとし、動作状態をログアウト状態からログイン状態へ移行させる。
例えば、ログアウト状態においてユーザーが操作パネル6に対する手動操作を行うと、操作パネル6の操作入力部14がユーザーの手動操作を検知する。ログイン制御部20は、操作入力部14を介してユーザーによって行われた手動操作の内容を示す操作情報を取得し、その操作情報に基づいてユーザー認証を行う。このとき、ログイン制御部20は、操作情報に含まれるユーザーIDやパスワードなどの識別情報が情報処理装置1に予め登録されている図示しないユーザー情報と一致するか否かを判定する。ユーザーが手動操作で入力した識別情報がユーザー情報に一致すると、ログイン制御部20は、ユーザー情報に基づいて操作パネル6を操作しているユーザーを特定することができる。そしてログイン制御部20は、特定したユーザーをログインユーザーと認定して情報処理装置1の動作状態をログアウト状態からログイン状態へと移行させる。
また例えば、ログアウト状態においてユーザーが情報処理装置1の近傍で予め定められたログイン用キーワードを音声で発すると、音声入力部7がその音声を検知し、検知した音声に対応する音声情報を出力する。ログイン制御部20は、ログアウト状態において音声入力部7から出力される音声情報を取得すると、その音声情報に基づいてユーザー認証を行う。音声情報に基づくユーザー認証を行うため、ログイン制御部20は、声紋認証部21を有している。
声紋認証部21は、音声入力部7から出力される音声情報に基づいて声紋認証を行い、音声を発したユーザーを特定する処理部である。声紋認証部21は、音声情報に基づいて入力音声の声紋を分析し、記憶部11の声紋情報18に登録されている声紋と一致するか否かを判定する。その結果、音声入力を行ったユーザーの声紋が声紋情報18に登録されている声紋の特徴に一致する場合、声紋認証部21は、声紋情報18に基づいて音声入力を行ったユーザーを特定する。したがって、ユーザーによる音声入力が行われた場合、ログイン制御部20は、声紋認証部21による声紋認証を介して音声入力を行ったユーザーを特定することができる。そしてログイン制御部20は、声紋認証部21によって特定されたユーザーをログインユーザーと認定し、情報処理装置1の動作状態をログアウト状態からログイン状態へと移行させる。
またログアウト状態においてユーザーによる手動操作又は音声操作を検知したにもかかわらず、手動操作又は音声操作を行ったユーザーを特定することができなかった場合、ログイン制御部20は、動作状態をログイン状態へ移行させず、ログアウト状態を継続させる。
尚、ログアウト状態においてユーザーの音声操作が検知され、その音声操作を行ったユーザーを特定することができた場合であっても、そのユーザーの発した音声が予め定められたログイン用キーワードに一致しなかった場合には、ログイン制御部20は、動作状態をログイン状態へ移行させず、ログアウト状態を継続させるようにしても良い。すなわち、音声操作に基づいてログアウト状態からログイン状態へ移行させる場合、ログイン制御部20は、音声を発したユーザーが情報処理装置1を使用する意図を有しているか否かをログイン用キーワードで判断するのである。これにより、情報処理装置1を使用する意図のないユーザーが情報処理装置1の近傍で音声を発した場合であったとしても、情報処理装置1をログイン状態へ移行させることなく、ログアウト状態を維持することができる。この場合において、ログイン用キーワードに一致するか否かの判断は、例えば後述する音声認識部22において行われるようにしても良い。
また、ログイン制御部20は、ログイン状態へ移行させた後、ログインユーザーによるログアウト操作を検知すると、動作状態をログイン状態からログアウト状態へ移行させる。この場合のログアウト操作は、ログインユーザーによる手動操作及び音声操作のいずれであっても良い。
情報処理装置1がログイン状態へ移行すると、ログインユーザーは、情報処理装置1の複数の機能のうちから使用する機能を選択し、その選択した機能に対する詳細な設定操作を行ったうえで、ジョブの実行を指示することができるようになる。このログイン状態では、制御部10において、主として、音声認識部22、操作反映部23、ジョブ制御部24、オートリセット部25及びオートリセット制御部27が機能する。
音声認識部22は、音声入力部7から出力される音声情報に基づいて音声認識処理を行うことにより、ユーザーの発した音声を認識する処理部である。すなわち、音声認識部22は、記憶部11からキーワード情報19を読み出し、音声入力部7に入力される音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致するか否かを判定するのである。音声認識部22において音声認識が行われることにより、音声入力部7に入力される音声が音声操作として有効な音声であるか否かを判断することができるようになる。そして音声認識部22は、音声認識の結果を操作反映部23とオートリセット制御部27とに出力する。特に、音声入力部7に入力された音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致すると判定した場合、音声認識部22は、音声認識の結果と共に、音声に一致するキーワードを出力する。
また音声認識部22は、ログアウト状態であるときに音声入力部7に音声が入力された場合に、その音声がログイン用キーワードに一致するか否かを判断し、その判断結果をログイン制御部20へ出力するようにしても良い。
操作反映部23は、ログイン状態においてユーザーによる手動操作又は音声操作を各部に反映させる処理部である。この操作反映部22は、ログイン状態においてユーザーによる手動操作又は音声操作を設定部29に反映させる。
設定部29は、ユーザーによる設定操作に基づいてジョブを実行するときの詳細な条件を設定する処理部である。ジョブの条件には、例えば、シート材の指定や、解像度の指定、カラー/モノクロの指定、レイアウトや部数などの出力態様の指定、などが含まれる。つまり、設定部29は、ログイン状態においてユーザーによる手動操作又は音声操作が検知された場合、操作反映部22からの指示に基づき、ユーザーによって指定された条件をジョブに設定するのである。このようにして、設定部29により設定されるジョブの条件を設定条件と呼ぶことがある。ジョブの設定条件には、デフォルトとして、初期の設定条件が予め定められている。そして設定部29は、ユーザーによって指定された条件に基づいて初期の設定条件を変更することにより、ユーザーの指示に基づくジョブの設定条件を生成し、そのジョブの設定条件を保持する。
また操作反映部22は、表示部13の表示画面をユーザーによる手動操作又は音声操作に基づいて更新することも可能である。例えば、情報処理装置1がログイン状態へ移行すると、表示部13には、設定部29において設定されるジョブの設定条件を表示する画面が表示される。操作反映部22は、そのような表示画面を制御する。
図5は、表示部13に表示される表示画面の階層構造の例を示す図である。情報処理装置1がログアウト状態であるとき、操作反映部23は、表示部13に初期画面G10を表示させた状態となる。この初期画面G10は、ユーザーに対してログインのための操作を促す画面となっており、手動操作又は音声操作でログインのための情報を入力することを案内する画面である。
情報処理装置1がログイン状態へ移行すると、操作反映部23は、まず表示部13に機能選択画面G11を表示させる。機能選択画面G11は、ログイン状態におけるトップ画面であり、スキャン機能、プリント機能及びコピー機能といった複数の機能のうちからユーザーが所望の機能を選択するための画面である。
表示部13に機能選択画面G11が表示されているときにユーザーがスキャン機能を選択すると、操作反映部23は、表示部13の表示画面をスキャン機能に関する設定操作を行うためのスキャン設定画面G20,G21,G22に遷移させる。これらのスキャン設定画面G20,G21,G22は階層構造となっている。そのため、操作反映部23は、機能選択画面G11から遷移させるときは最初に第1階層のスキャン設定画面G20を表示部13に表示させる。その後、第1階層のスキャン設定画面G20を表示しているときに所定の操作が行われると、操作反映部23は、第2階層のスキャン設定画面G21を表示部13に表示させる。さらに、第2階層のスキャン設定画面G21を表示しているときに所定の操作が行われると、操作反映部23は、第3階層のスキャン設定画面G22を表示部13に表示させる。このような画面遷移を行いつつ、操作反映部23は、ユーザーによって行われるスキャン機能に関する設定操作を表示画面に反映させていく。このようにして表示部13に表示されるスキャン機能に関する画面は、設定部29において設定されるスキャンジョブの設定条件(詳細設定)を反映させた画面となる。
また、表示部13に機能選択画面G11が表示されているときにユーザーがプリント機能を選択すると、操作反映部23は、表示部13の表示画面をプリント機能に関する設定操作を行うためのプリント設定画面G30,G31,G32に遷移させる。これらのプリント設定画面G30,G31,G32も階層構造となっている。そのため、操作反映部23は、機能選択画面G11から遷移させるときは最初に第1階層のプリント設定画面G30を表示部13に表示させる。その後、第1階層のプリント設定画面G30を表示しているときに所定の操作が行われると、操作反映部23は、第2階層のプリント設定画面G31を表示部13に表示させる。さらに、第2階層のプリント設定画面G21を表示しているときに所定の操作が行われると、操作反映部23は、第3階層のプリント設定画面G32を表示部13に表示させる。このような画面遷移を行いつつ、操作反映部23は、ユーザーによって行われるプリント機能に関する設定操作を表示画面に反映させていく。このようにして表示部13に表示されるプリント機能に関する画面は、設定部29において設定されるプリントジョブの設定条件(詳細設定)を反映させた画面となる。
さらに、表示部13に機能選択画面G11が表示されているときにユーザーがコピー機能を選択すると、操作反映部23は、表示部13の表示画面をコピー機能に関する設定操作を行うためのコピー設定画面G40,G41,G42に遷移させる。これらのコピー設定画面G40,G41,G42も階層構造となっている。そのため、操作反映部23は、機能選択画面G11から遷移させるときは最初に第1階層のコピー設定画面G40を表示部13に表示させる。その後、第1階層のコピー設定画面G40を表示しているときに所定の操作が行われると、操作反映部23は、第2階層のコピー設定画面G41を表示部13に表示させる。さらに、第2階層のコピー設定画面G41を表示しているときに所定の操作が行われると、操作反映部23は、第3階層のコピー設定画面G42を表示部13に表示させる。このような画面遷移を行いつつ、操作反映部23は、ユーザーによって行われるコピー機能に関する設定操作を表示画面に反映させていく。このようにして表示部13に表示されるコピー機能に関する画面は、設定部29において設定されるコピージョブの設定条件(詳細設定)を反映させた画面となる。
ログインユーザーによって手動操作が行われた場合、操作反映部23は、手動操作の内容に基づいて上記のような画面遷移を行うことで、手動操作の内容を表示画面に反映させる。また、ログインユーザーによって音声操作が行われた場合、操作反映部23は、音声認識部22から出力される音声に対応するキーワードに基づき、音声操作の内容を特定する。そして操作反映部23は、音声操作の内容に基づいて表示部13に表示すべき画面を決定し、その決定した画面に音声操作の内容を反映させて表示部13に表示させる。このようにしてログインユーザーの音声操作に基づく表示画面が表示部13に表示されるようになる。また、操作反映部23は、ユーザーによってジョブの実行が指示されると、ジョブ制御部24を動作させる。
ジョブ制御部24は、スキャナ部2、プリンタ部3及び通信インタフェース12を動作させることにより、ユーザーによって指定されたジョブの実行を制御するものである。ジョブ制御部24は、ジョブの実行を開始するとき、設定部29によって設定されているジョブの設定条件を取得し、その設定条件を反映させてジョブを実行する。
例えば、コピージョブの場合、ジョブ制御部24は、スキャナ部2とプリンタ部3とを駆動し、ユーザーによってセットされた原稿の読み取り動作を制御し、さらに原稿を読み取って生成された画像データに基づく画像形成動作を制御する。また、スキャンジョブの場合、ジョブ制御部24は、原稿を読み取って生成した画像データを記憶部11に保存したり、通信インタフェース12を介して外部装置へ送信したりすることができる。さらにプリントジョブの場合、ジョブ制御部24は、プリント対象となるデータを記憶部11から取得したり、或いは、通信インタフェース12を介して外部装置から取得したりすることが可能である。そしてジョブ制御部24は、プリンタ部3を駆動し、プリント対象となるデータに基づく画像形成動作を制御する。
オートリセット部25は、ログイン状態において所定の時間が経過した場合にそれまでにユーザーによって設定された設定条件を自動的にリセットするオートリセットを行う処理部である。すなわち、オートリセット部25は、ログイン状態において所定の時間が経過すると、設定部29において設定されているジョブの設定条件を初期の設定条件に戻す処理を行う。これにより、設定部29で管理されているジョブの設定条件が初期状態に戻る。また、オートリセット部25は、ジョブ設定条件を初期の設定条件に戻すことに伴い、さらに表示部13の表示画面を初期画面G10に戻す処理も行う。
このオートリセット部25は、ログインユーザーによる前回の操作が行われてからの経過時間が所定の時間となった場合にオートリセットを行う。そのため、オートリセット部25は、カウント部26を備えている。カウント部26は、ログインユーザーによる前回の操作が行われてからの経過時間をカウントする処理部である。カウント部26には、オートリセットを作動させるまでにカウントする時間が予め定められている。ただし、その所定時間は、変更可能である。カウント部26は、ログイン状態へ移行することに伴ってカウント動作を開始し、ログイン状態の期間中においては常時カウント動作を継続する。そしてオートリセット部25は、カウント部26によるカウント値(計測時間)が所定の時間に達すると、オートリセットを作動させるタイミングであると判断する。
オートリセット部25は、オートリセットを行うとき、設定部29に対してジョブの設定条件を初期の設定条件に戻すことを指示する。これにより、設定部29は、ログインユーザーによって指定されたジョブの設定条件をクリアし、初期の設定条件に戻す。また、オートリセット部25は、オートリセットを行うとき、上述した各設定画面においてログインユーザーがそれまでに設定した設定値を全てクリアしてデフォルト値に戻す。また、オートリセット部25は、動作状態をログイン状態からログアウト状態へ自動的に移行させる。したがって、オートリセット部25によるオートリセットが作動すると、ログインユーザーによるログアウト操作がなくても、情報処理装置1は、自動的にログアウト状態へ戻り、表示部13の表示画面が初期画面G10に戻る。
オートリセット制御部27は、ログイン状態においてオートリセット部25を制御する処理部である。特にこのオートリセット制御部27は、ログインユーザーが音声操作を行うことができるログイン状態においてオートリセット部25によるオートリセットの機能を有効に作動させるための制御を行う。すなわち、オートリセット制御部27は、ログイン状態において音声入力部7に音声が入力されると、音声認識部22による音声認識の結果に基づき、オートリセットが作動するまでの時間を変更することによってオートリセットの機能を有効に作動させるのである。
オートリセット制御部27は、音声入力部7に音声が入力され、音声認識部22によって入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードであると判定された場合と、キーワード情報19に登録されているキーワードではないと判定された場合とで、オートリセットが行われる条件が互いに異なる条件となるように変更する。例えば、音声認識部22によって入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードであると判定された場合、オートリセット制御部27は、入力音声が有効な音声操作のための音声であると判断し、オートリセットが作動し難い条件に変更する。これに対し、音声認識部22によって入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードではないと判定された場合、オートリセット制御部27は、入力音声が有効な音声操作のための音声ではないと判断し、オートリセットが作動し易い条件に変更する。ただし、音声認識部22によって入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードではないと判定された場合、オートリセット制御部27は、オートリセットが作動するための条件を変更しないようにしても良い。
具体的な例を挙げると、オートリセット部25のカウント部26が所定時間をカウントしているときに音声入力部7に音声が入力され、音声認識部22によって入力音声がキーワード情報19に登録されていると判定された場合、オートリセット制御部27は、カウント部26によるカウントをリセットする。つまり、カウント部26がそれまでにカウントしているカウント値を0に初期化するのである。これにより、オートリセットが作動するまでの時間が延長されることになるため、オートリセットが作動し難い条件に変更される。
また、オートリセット制御部27は、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードであると判定された場合、カウント部26がカウントする所定時間を延長設定するようにしても良い。この場合も、オートリセットが作動するまでの時間が延長されることになるため、オートリセットが作動し難い条件に設定変更することができる。
一方、オートリセット部25のカウント部26が所定時間をカウントしているときに音声入力部7に音声が入力され、音声認識部22によって入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードではないと判定された場合、オートリセット制御部27は、カウント部26のカウントをリセットすることなく、そのままカウントを継続させる。これにより、入力音声に対応するキーワードを特定することができなかった場合には、入力音声に対応するキーワードを特定することができた場合よりも、早いタイミングでオートリセットが作動するようになる。
また、オートリセット制御部27は、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードではないと判定された場合、カウント部26がカウントする所定時間を短縮設定するようにしても良い。この場合、オートリセットが作動するまでの時間が短縮されることになるため、より早いタイミングでオートリセットが作動するようになる。
また、オートリセット制御部27は、表示部13にログインユーザーによる音声操作又は手動操作の内容が反映された画面が表示されている状態において、操作入力部14に対して手動操作による入力がなされず、且つ、音声入力部7に対して音声が入力されないとき、カウント部26によるカウントを継続させる。つまり、オートリセット制御部27は、手動操作及び音声操作の無入力状態が継続するときには、カウント部26によるカウントを継続させるのである。したがって、ログイン状態であるときにログインユーザーによる前回の手動操作又は音声操作が行われてから所定時間が経過するまでの間に次の手動操作又は音声操作が行われなかった場合は、オートリセット部25によるオートリセットが行われ、ジョブの設定条件が初期の設定条件に戻ると共に、表示部13の表示画面が初期画面G10に戻る。
このように情報処理装置1は、ログイン状態において音声入力部7に音声が入力されると、その入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致するか否かを判定し、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致すれば有効な音声操作であると判断する。これに対し、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致しない場合、情報処理装置1は、入力音声を有効な音声操作であるとは判断しない。そして、情報処理装置1は、有効な音声操作であると判断すればオートリセットが作動するまでの時間を延長するのに対し、有効な音声操作でないと判断すればオートリセットのためのカウントを継続してオートリセットが正常に作動するように制御する。
上記においては、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードであれば有効な音声操作のための音声であると判断し、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードでなければ有効な音声操作のための音声ではないと判断する場合を例示した。ところが、キーワード情報19には多数のキーワードが登録されるため、情報処理装置1の近傍でログインユーザーとは異なる他のユーザーが音声を発した場合にその音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致してしまう可能性がある。特にログインユーザーが一の機能を選択している状態で他のユーザーが別の機能を操作するための音声を発した場合、そのような他のユーザーの音声によってログインユーザーが選択した機能が別の機能に切り替わってしまうと、ログインユーザーにとって操作を継続することが困難になり、操作性が著しく低下する。また、ログインユーザーがログアウト操作を行うことなく、情報処理装置1から離れてしまった場合に、他のユーザーによって別の機能がそのまま使用されることを防ぐことも必要である。このような問題は、上述のように、音声認識部22において入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードであると判定されたか、という観点で有効な音声操作を判断するだけでは対処することができない。
そこで、オートリセット制御部27は、ユーザーによって複数の機能のうちから一の機能が選択されている状態のときには、上述のように音声認識部22において入力音声が単にキーワード情報19に登録されているキーワードであると判定されたか否かを判断するのではなく、入力音声が現在選択されている一の機能のグループに属するキーワードであると判定されたか否かを判断するようにしても良い。例えば、ユーザーによってスキャン機能が選択されている場合、オートリセット制御部27は、音声認識部22によって入力音声がスキャン機能のグループに属するキーワード120(図3参照)であると判定された場合に有効な音声操作であると判断し、音声認識部22によって入力音声がスキャン機能のグループに属するキーワード120でないと判定された場合に有効な音声操作ではないと判断するのである。このような判断を行うことにより、上述の問題を解決することができる。また、ユーザーによって現在選択されている機能とは異なる機能を操作するための音声が入力されたときには、無効な音声操作としてオートリセットのためのカウントを継続させることにより、オートリセットを正常に作動させることができる。
また、ログインユーザー以外の他のユーザーが情報処理装置1の近傍に存在するときには、そのような他のユーザーによって情報処理装置1が不正使用されることを抑制する必要がある。そのため、オートリセット制御部27は、音声入力部7に入力された音声が有効な音声操作のための音声ではないと判断すると、それ以降、ログインユーザーが使用できる機能を制限するようにしても良い。すなわち、オートリセット制御部27は、操作反映部23に対して機能制限を指示することにより、操作反映部23にログインユーザーが使用できる機能を制限させるのである。
例えば、オートリセット制御部27は、ログインユーザーがその時点で操作を行っている機能とは異なる機能への切り替えを制限する。一例を挙げると、ログインユーザーがスキャン機能を選択して設定操作を行っているときに、音声入力部7に音声が入力され、その入力音声が有効な音声操作のための音声ではないと判断した場合、オートリセット制御部27は、コピー機能やプリント機能への切り替えを制限する。これにより、ログインユーザーとは異なるユーザーによって情報処理装置1の機能が利用されてしまうことを抑制することができる。また、現在使用中の機能については継続的な使用を許可することにより、ログインユーザーは、所望の機能を使用し続けることができる。
また例えば、オートリセット制御部27は、通信インタフェース12を介して外部装置との通信が行われることを制限するようにしても良い。一例を挙げると、ログインユーザーがスキャン機能を選択して設定操作を行っているときに、音声入力部7に音声が入力され、その入力音声が有効な音声操作のための音声ではないと判断した場合、オートリセット制御部27は、画像データの出力宛先として外部装置が指定されることを禁止するのである。これにより、ログインユーザーとは異なるユーザーの指示によって秘密情報などが流出してしまうことを抑制することができる。
また例えば、オートリセット制御部27は、セキュリティの高い情報へのアクセスを制限するようにしても良い。一例を挙げると、ログインユーザーがプリント対象となるデータを通信インタフェース12経由で外部から取得しようとしているときに、音声入力部7に音声が入力され、その入力音声が有効な音声操作のための音声ではないと判断した場合、オートリセット制御部27は、セキュリティの高い情報が格納されている記憶デバイスへのアクセスを制限するのである。尚、外部の記憶デバイスに限らず、記憶部11に対するアクセスを制限するようにしても良い。このようにセキュリティの高い情報へのアクセスを制限することにより、ログインユーザーとは異なるユーザーの指示によって秘密情報などが流出してしまうことを抑制することができる。
また例えば、オートリセット制御部27は、音声入力部7による音声入力の受け付けを停止し、音声操作による使用を制限するようにしても良い。つまり、オートリセット制御部27は、音声操作による情報処理装置1の使用を禁止するのである。この場合、ログインユーザーは、手動操作のみで情報処理装置1を使用することができる。
また例えば、オートリセット制御部27は、ログイン状態において音声が入力された場合において入力音声が有効な音声操作のための音声ではないと判断すると、音声出力部8を介して警告音を出力するようにしても良い。この場合の警告音としては、例えば「無効な音声入力が認識されました。」というような音声によるものであっても良い。これにより、ログインユーザーは、キーワード情報19には登録されていない音声が認識されたことを把握することができる。また、情報処理装置1の周囲にいるユーザーも、情報処理装置1においてキーワード情報19に登録されていない音声が検知されたことを把握することができる。
また、上述した声紋認証部21は、ログイン状態への移行後においても、音声入力部7に対して音声が入力される度に、音声入力部7から音声情報を取得し、その音声情報に基づいて声紋認証を行うようにしても良い。ログイン状態において行う声紋認証は、音声入力部7に入力される音声が現在音声操作を行っているログインユーザーによって発せられた音声であるか否かを判定する認証である。そのため、ログイン状態において音声入力部7に音声が入力されると、オートリセット制御部27は、声紋認証部21による認証結果に基づき、入力音声を発したユーザーがログインユーザーであるか否かを判断することができる。したがって、オートリセット制御部27は、声紋認証において入力音声を発したユーザーがログインユーザーであることが特定されなかった場合には、入力音声が有効な音声操作のための音声ではないと判断するようにしても良い。
また上記においては、主として、音声入力部7に音声が入力される度に音声認識部22が音声認識を行う例を説明した。しかし、これに限られるものではない。例えば音声認識部22は、音声入力部7に音声が入力された場合、入力音声の音量レベルや指向性などを判定し、所定の条件下で発せられた音声であれば音声認識を行うようにしても良い。
例えば、音声認識部22は、音声入力部7によって音声が検知された場合、その音声が情報処理装置1の近傍で発せられた音声であるか否かを音声の音量レベルに基づいて判定する。音声の音量レベルが所定レベル以上であれば、情報処理装置1の近傍で発せられた音声であると判定することができ、反対に音声の音量レベルが所定レベル未満であれば、情報処理装置1から離れた場所で発せられた音声であると判定することができる。そして音声認識部22は、情報処理装置1の近傍で発せられた音声である場合に、その音声に基づく音声認識を行うのである。つまり、情報処理装置1から離れた場所で発せられた音声は情報処理装置1に対する音声操作を行うための音声ではないため、音声認識部22は、そのような音声に基づく音声認識を省略するのである。これにより、情報処理装置1において音声認識のための処理負担を軽減することができるという利点がある。
また例えば、音声認識部22は、音声入力部7によって音声が検知された場合、その音声が情報処理装置1に向かって発せられた音声であるか否かを判定する。すなわち、音声認識部22は、複数のマイク7a,7bのそれぞれが検出する音量レベルに基づいて音声の指向性を分析し、その音声が情報処理装置1に向かって発せられた音声であるか否かを判定するのである。その結果、情報処理装置1に向かって発せられた音声である場合、音声認識部22は、その音声に基づく音声認識を行い、キーワード情報19に登録されているキーワードであるか否かの判定を行う。つまり、情報処理装置1に向かって発せられていない音声は情報処理装置1に対する音声操作を行うための音声ではないため、音声認識部22は、そのような音声に基づく音声認識を省略するのである。これにより、情報処理装置1において音声認識のための処理負担を軽減することができるという利点がある。尚、音声の指向性の判定は、上述した情報処理装置1の近傍で発せられた音声であるか否かの判定と共に行うようにしても良い。
次に、上記のように構成される情報処理装置1の具体的な動作について説明する。図6乃至図8は、情報処理装置1において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。これらのフローチャートに示す処理手順は、制御部10のCPUによって行われる処理手順である。情報処理装置1は、この処理を開始すると、まず情報処理装置1を使用しようとするユーザーのログイン操作に基づいてユーザー認証処理を行い(ステップS1)、ユーザー認証に成功したか否かを判断する(ステップS2)。ここで、ユーザー認証においてユーザーを特定することができた場合にはユーザー認証が成功となり、ユーザーを特定することができなかった場合にはユーザー認証が失敗となる。ユーザー認証に失敗した場合(ステップS2でNO)、この処理は終了する。
ユーザー認証に成功すると(ステップS2でYES)、情報処理装置1は、ログイン操作を行ったユーザーをログインユーザーと認定し、動作状態をログイン状態へ移行させる(ステップS3)。そして情報処理装置1は、オートリセットのためのカウント動作を開始する(ステップS4)。
その後、情報処理装置1は、音声入力を検知したか否かを判断し(ステップS5)、音声入力を検知しなかった場合には(ステップS5でNO)、オートリセットのためのカウント動作を継続させる(ステップS6)。一方、音声入力を検知した場合(ステップS5でYES)、情報処理装置1は、音声認識を行う(ステップS7)。この音声認識により、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致するか否かが判定される。情報処理装置1は、音声認識を行うと、ログインユーザーによる機能選択操作が既に行われているか否かを判断する(ステップS8)。
機能選択操作が未だ行われていない場合(ステップS8でNO)、情報処理装置1は、音声認識(ステップS7)において入力音声が機能選択用のキーワード110に一致すると判定されたか否かを判断する(ステップS9)。入力音声が機能選択用のキーワード110に一致しない場合(ステップS9でNO)、情報処理装置1は、オートリセットのためのカウント動作を継続させる(ステップS6)。また、入力音声が機能選択用のキーワード110に一致する場合(ステップS9でYES)、情報処理装置1は、ログインユーザーによって選択された機能を特定し(ステップS10)、表示部13の表示画面を特定した機能の設定画面に遷移させる(ステップS11)。これにより、情報処理装置1は、ログインユーザーによる機能選択操作が既に行われた状態に変わる。そして表示部13には、スキャン設定画面G20、プリント設定画面G30及びコピー設定画面G40のうちの、ログインユーザーによって選択された機能に対応する設定画面が表示される。その後、情報処理装置1による処理は、ステップS13へ進む。
機能選択操作が既に行われている場合(ステップS8でYES)、情報処理装置1は、音声操作反映処理を実行する(ステップS12)。この音声操作反映処理では、音声認識(ステップS7)の結果に基づいて有効な音声操作であるか否かが判断され、有効な音声操作である場合にはその音声操作を情報処理装置1へ反映させる処理が行われる。尚、この音声操作反映処理の詳細については後述する。音声操作反映処理において有効な音声操作であると判断され、音声操作を反映させる処理が終了すると、情報処理装置1は、カウント部26によるカウントをリセットする(ステップS13)。これにより、カウント部26においてそれまでにカウントされているカウント値が0に初期化され、オートリセットが作動するまでの時間が延長される。
続いて、情報処理装置1は、操作入力部14に対する手動入力を検知したか否かを判断し(ステップS14)、手動入力を検知しなかった場合には(ステップS14でNO)、オートリセットのためのカウント動作を継続させる(ステップS15)。一方、手動入力を検知した場合(ステップS14でYES)、情報処理装置1は、手動操作反映処理を実行する(ステップS16)。この手動操作反映処理では、ログインユーザーによる手動操作を情報処理装置1へ反映させる処理が行われる。尚、手動操作反映処理の詳細については後述する。情報処理装置1は、手動操作反映処理を行った後、カウント部26によるカウントをリセットする(ステップS17)。これにより、カウント部26においてそれまでにカウントされているカウント値が0に初期化され、オートリセットが作動するまでの時間が延長される。
次に、情報処理装置1は、カウント部26において所定時間のカウントが終了したか否かを判断する(ステップS18)。所定時間のカウントが終了していない場合(ステップS18でNO)、未だオートリセットを作動させるタイミングではない。そのため、情報処理装置1による処理は、上述したステップS5に戻り、再び音声入力又は手動入力を受け付ける状態となる。
これに対し、所定時間のカウントが終了している場合(ステップS18でYES)、情報処理装置1は、オートリセット処理を行う(ステップS19)。すなわち、情報処理装置1は、設定部29において保持されているジョブの設定条件を初期の設定条件に戻し、さらに表示部13の表示画面を初期画面G10に戻す。そして情報処理装置1は、動作状態をログイン状態からログアウト状態へ自動的に移行させる。したがって、オートリセットが行われる直前に、秘密情報を含む画像や宛先情報などのようなセキュリティの高い情報が表示部13に表示されていたとしても、情報処理装置1においてオートリセットが作動することにより、それらの情報が表示されなくなるので、秘密情報の流出を防止することができる。
次に図7は、音声操作反映処理(図6のステップS12)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1は、音声操作反映処理を開始すると、上述した音声認識(ステップS7)において、入力音声が、現在選択されている機能のグループに属するキーワードに一致すると判定されたか否かを判断する(ステップS20)。例えば、ログインユーザーによってスキャン機能が選択されていれば、入力音声がスキャン機能のグループに属するキーワード120に一致すると判定されたか否かを判断する。また、ログインユーザーによってプリント機能が選択されていれば、入力音声がプリント機能のグループに属するキーワード130に一致すると判定されたか否かを判断する。さらに、ログインユーザーによってコピー機能が選択されていれば、入力音声がコピー機能のグループに属するキーワード140に一致すると判定されたか否かを判断する。
その結果、入力音声が現在選択されている機能のグループに属するキーワードに一致しないと判定された場合(ステップS20でNO)、情報処理装置1は、オートリセットのためのカウント動作を継続させる(ステップS21)。このとき、情報処理装置1は、音声出力部8から警告音を出力するようにしても良い。この場合の警告音としては、例えば「無効な音声入力が認識されました。」というような音声によるものであっても良い。そして情報処理装置1は、機能制限フラグがオフであるか否かを判断し(ステップS23)、オフであれば(ステップS23でYES)、機能制限フラグをオンにする(ステップS24)。このとき、ログインユーザーに対して制限される機能を警告音で報知するようにしても良い。尚、機能制限フラグが既にオン状態であれば、ステップS24の処理はスキップする。その後、情報処理装置1による処理は、音声操作反映処理を抜けて図6のステップS5へと進む。
また、入力音声が現在選択されている機能のグループに属するキーワードに一致すると判定された場合(ステップS20でYES)、情報処理装置1は、音声認識において特定されたキーワードに基づいて音声操作の内容を特定する(ステップS25)。音声操作の内容を特定すると、情報処理装置1は、機能制限フラグがオンであるか否かを判断する(ステップS26)。
機能制限フラグがオンである場合(ステップS26でYES)、情報処理装置1は、ステップS25で特定された音声操作の内容が現在選択されている機能を別の機能に切り替える操作であるか否かを判断する(ステップS27)。音声操作の内容が現在選択されている機能を別の機能に切り替える操作ではない場合(ステップS27でNO)、情報処理装置1は、音声操作の内容が外部装置と通信を行う操作であるか否かを判断する(ステップS28)。音声操作の内容が外部装置と通信を行う操作でない場合(ステップS28でNO)、情報処理装置1は、音声操作の内容がセキュリティの高い情報へアクセスする操作であるか否かを更に判断する(ステップS29)。
音声操作の内容が現在選択されている機能を別の機能へ切り替える操作であった場合(ステップS27でYES)、情報処理装置1による処理はステップS30へ進む。また、音声操作の内容が外部装置と通信を行う操作であった場合(ステップS28でYES)、又は、音声操作の内容がセキュリティの高い情報へアクセスする操作であった場合(ステップS29でYES)にも、情報処理装置1による処理はステップS30へ進む。そして情報処理装置1は、カウント部26によるカウント動作を継続させる(ステップS30)。このとき、情報処理装置1は、警告音を出力し、使用することが制限された機能に対する操作が行われたことを報知するようにしても良い。
そして情報処理装置1は、自動ログアウトさせるか否かを判断する(ステップS31)。例えば、情報処理装置1は、使用制限された機能に対して行われた操作回数を記憶しておき、その操作回数が所定回数を超えた場合に自動ログアウトを行うと判断するようにしても良い。そして自動ログアウトさせる必要がないと判断した場合(ステップS31でNO)、情報処理装置1による処理は、音声操作反映処理を抜けて図6のステップS5へと進む。また、自動ログアウトを行うと判断すると(ステップS31でYES)、情報処理装置1は、機能制限フラグを初期状態であるオフに戻す(ステップS32)。その後、情報処理装置1による処理は、音声操作反映処理を抜けて図6のステップS19へ進み、オートリセット処理が行われる。
一方、機能制限フラグがオフであった場合(ステップS26でNO)、情報処理装置1による処理はステップS33へ進む。また、機能制限フラグがオンであっても、音声操作の内容が現在選択されている機能を別の機能に切り替える操作ではなく(ステップS27でNO)、外部装置と通信を行う操作ではなく(ステップS28でNO)、さらにセキュリティの高い情報へアクセスする操作でもない場合(ステップS29でNO)、情報処理装置1による処理は同様にステップS33へ進む。そして情報処理装置1は、ステップS25で特定された音声操作を情報処理装置1へ反映させることを許可し(ステップS33)、ログインユーザーによって行われた音声操作の内容をジョブの設定条件に反映させる処理を実行する(ステップS34)。このとき、表示部13の表示画面にも音声操作の内容を反映させる処理が行われる。これにより、情報処理装置1において、ログインユーザーによる音声操作に基づく設定内容がジョブの設定条件として反映されるのである。以上で、音声操作反映処理が終了する。
次に図8は、手動操作反映処理(図6のステップS16)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1は、手動操作反映処理を開始すると、操作入力部14に対して行われた手動操作の内容を特定する(ステップS40)。音声操作の場合と異なり、手動操作の場合は操作入力部14に対するユーザーのタッチ位置などに基づいて手動操作の内容を特定することができる。情報処理装置1は、手動操作の内容を特定すると、その手動操作を許可し(ステップS41)、特定した手動操作の内容をジョブの設定条件に反映させる処理を実行する(ステップS42)。以上で、手動操作反映処理が終了する。
尚、図8では、手動操作が行われた場合に機能制限フラグがオンであってもその手動操作の内容を情報処理装置1に反映させる例を説明した。しかし、ログインユーザーが情報処理装置1を使用した後にログアウト操作を行うことなく情報処理装置1から離れてしまっていることも考えられる。そのような場合には、手動操作を常に許可すると、ログインユーザーとは異なるユーザーが手動操作を行うことによって情報処理装置1が不正に使用される可能性がある。そのため、手動操作が行われた場合にも、音声操作の場合と同様に、機能制限フラグがオンであれば、ユーザーが使用できる機能を制限するようにしても良い。
次に、情報処理装置1が音声認識を行うとき、入力音声の音量レベルと指向性とを判定して音声認識を行う場合の動作について説明する。図9は、音声認識の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートに基づく処理は、例えば図6のステップS7の処理と置き換えることもできる。情報処理装置1は、音声認識のための処理を開始すると、まず入力された音声の音量レベルを判定し(ステップS50)、その音量レベルが所定レベル以上であるか否かを判断する(ステップS51)。入力された音声の音料レベルが所定レベル未満である場合(ステップS51でNO)、情報処理装置1は、さらに音声の指向性を判定し(ステップS52)、情報処理装置1に向かって発せられた音声であるか否かを判断する(ステップS53)。
そして情報処理装置1は、入力された音声の音量レベルが所定レベル以上である場合(ステップS51でYES)、又は、入力された音声が情報処理装置1に向かって発せられた音声である場合(ステップS53でYES)、入力された音声に基づく音声認識処理を行う(ステップS64)。そして情報処理装置1は、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致したか否かを判断する(ステップS55)。入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致する場合(ステップS55でYES)、情報処理装置1は、入力音声に対応するキーワードを特定する(ステップS56)。このとき、情報処理装置1は、入力音声に対応するキーワードが属するグループを予め特定しておくようにしても良い。一方、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致しない場合(ステップS55でNO)、情報処理装置1は、入力音声に対応するキーワードの特定が不可能であることを決定する(ステップS57)。したがって、入力音声は、有効な音声操作のための音声として認定されない。
また、情報処理装置1は、入力された音声の音量レベルが所定レベル未満であり(ステップS51でNO)、且つ、入力された音声が情報処理装置1に向かって発せられた音声でない場合(ステップS53でNO)、音声認識を行うことなく、入力音声に対応するキーワードの特定が不可能であることを決定する(ステップS57)。つまり、この場合も、入力音声は、有効な音声操作のための音声として認定されない。したがって、情報処理装置1から離れた場所で発せられた音声や、情報処理装置1に向かって発せられていない音声が、情報処理装置1に対する有効な音声操作として処理されることはない。
次に、情報処理装置1が音声認識を行うとき、声紋認証部21における声紋認証においてログインユーザーが発した音声であることが特定されることを条件としてキーワードを特定する場合の動作について説明する。図10は、音声認識の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートに基づく処理は、例えば図6のステップS7の処理と置き換えることもできる。情報処理装置1は、この音声認識のための処理を開始すると、まず入力音声に基づく音声認識を行い(ステップS60)、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致するか否かを判断する(ステップS61)。
入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致すると(ステップS61でYES)、情報処理装置1は、入力音声に基づく声紋認証を行い(ステップS63)、入力音声を発したユーザーがログインユーザーであるか否かを判定する(ステップS64)。その結果、入力音声を発したユーザーがログインユーザーである場合(ステップS64でYES)、情報処理装置1は、音声認識の結果に基づき入力音声に対応するキーワードを特定する(ステップS65)。
一方、入力音声がキーワード情報19に登録されているキーワードに一致しなかった場合(ステップS61でNO)、又は、声紋認証によって入力音声を発したユーザーがログインユーザーではないと判定された場合(ステップS64でNO)、情報処理装置1は、入力音声に対応するキーワードの特定が不可能であることを決定する(ステップS62)。つまり、この場合、入力音声は、有効な音声操作のための音声として認定されない。したがって、入力音声に基づく声紋認証においてログインユーザーの発した音声であることが特定されなかった場合には、音声認識においてキーワードが特定されなかった場合と同様に、入力音声が、情報処理装置1に対する有効な音声操作として処理されることはない。
尚、図10に示したように、声紋認証の結果に基づいてキーワードを特定する処理は、例えば図9に示したフローチャートに組み込むことも可能である。
以上のように本実施形態の情報処理装置1は、ログインユーザーが使用可能なログイン状態において所定の時間が経過した場合にログイン状態からログアウト状態へ自動的に移行させることによってオートリセットを行う構成であり、そのようなオートリセット機能を制御するためのオートリセット制御部27を備えている。そしてオートリセット制御部27は、ログイン状態において音声入力部7に音声が入力された場合に行われる音声認識において、入力音声がキーワード情報19に予め登録されているキーワードであると判定された場合と、入力音声がキーワード情報19に予め登録されているキーワードでないと判定された場合とで、オートリセットが作動するまでの時間を変更するようにしている。そのため、情報処理装置1は、装置周辺で発せられる雑音を検知したとしても、そのような雑音を音声操作のために発せられた音声と区別してオートリセット機能を制御することが可能であり、オートリセット機能を有効に作動させることができるという利点がある。
またオートリセット制御部27は、ログイン状態において行われる音声認識により入力音声がキーワード情報19に登録されていないと判定された場合に、ユーザーが操作できる機能を制限するようにしている。そのため、ログインユーザーとは異なるユーザーによって情報処理装置1が不正に使用されてしまうことを防止することができるという利点もある。
以上、本発明に関する好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば上記実施形態では、情報処理装置1がMFPとして構成される画像処理装置である場合を例示したが、それに限られるものではない。すなわち、情報処理装置1は、画像処理装置以外の他の情報機器であっても構わない。
また上記実施形態では、情報処理装置1が表示部13を備えており、音声操作に基づいて表示部13の表示画面が更新される場合を例示した。しかし、情報処理装置1は、表示部13を備えていないものであっても構わない。すなわち、オートリセット部25は、オートリセットを作動させることにより、設定部29において設定されているジョブの設定条件だけをリセットするものであっても構わない。
また上記実施形態では、情報処理装置1がユーザーによる手動操作と音声操作との双方を受け付けることが可能である場合を例示したが、それに限られるものでもない。すなわち、情報処理装置1は、音声操作のみを受け付け可能な装置であっても構わない。
また上記実施形態では、ユーザーが情報処理装置1を使用するときには、情報処理装置1がユーザー認証を行ってログイン状態へ移行させた後に、ログインユーザーによる音声操作を受け付ける場合を例示した。しかし、これに限られるものでもない。すなわち、情報処理装置1は、ログイン状態へ移行させることなく、ユーザーによる音声操作を受け付けるものであっても構わない。
また上記実施形態では、制御部10のCPUによって実行されるプログラム17が予め記憶部11に格納されている場合を例示した。しかし、プログラム17は、例えば通信インタフェース12などを介して情報処理装置1にインストールされるものであっても構わない。この場合、プログラム17は、インターネットなどを介してダウンロード可能な態様で提供されるものであっても良いし、また、CD-ROMやUSBメモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された態様で提供されるものであっても構わない。