JP7206772B2 - ヒトgp130受容体に対するヒト化抗体 - Google Patents

ヒトgp130受容体に対するヒト化抗体 Download PDF

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Description

本発明は、ヒトgp130受容体に結合することでヒトgp130受容体を介したシグナル伝達を抑制可能な抗体に関する。特に本発明は、抗ヒトgp130受容体マウス抗体のアミノ酸配列のうち、相補性決定領域以外のアミノ酸配列をヒト抗体由来のアミノ酸配列に置換し(ヒト化し)、かつヒトgp130受容体に対する親和性が前記マウス抗体と同等以上である抗体に関する。
インターロイキン-6(IL-6)は、関節リウマチやキャッスルマン病のような自己免疫疾患、骨格系の疾病、癌、心臓病、肥満、糖尿病、喘息、アルツハイマー病、多発性硬化症等、多数の疾病に関与していると考えられている。これらは、IL-6シグナルの抑制がこれら疾病の治療に有益になり得る可能性を示唆している。
IL-6は、IL-6受容体(IL-6R)に結合し、その複合体がgp130受容体に結合してできる三量体がさらに二量体化することで伝達される(非特許文献1)。また、IL-6Rおよびgp130受容体は細胞膜上だけではなく可溶形態でも存在しており生体内でIL-6のシグナルを伝達、抑制していると考えられている(非特許文献2)。さらにgp130受容体は、IL-6の他にIL-6ファミリーに属するインターロイキン11(IL-11)、インターロイキン27(IL-27)、白血球遊走阻止因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、カルジオトロフィン-1(CT-1)等のシグナル伝達にも関与している(非特許文献3)。
近年、モノクローナル抗体を利用した医薬品(抗体医薬品)の開発が進められている。例えば、リウマチによる炎症に対する抗体医薬品として腫瘍壊死因子(TNF-α)やIL-6Rに対する抗体医薬品が販売され高い治療効果を上げている。
通常モノクローナル抗体はマウス、ラット、ウサギ等由来の動物細胞を用いて作製される。そのため、それらモノクローナル抗体をそのままヒトに投与するとヒトの免疫系によって異物として認識される。特に一般的なマウスモノクローナル抗体をヒトに投与すると、ヒト抗マウス抗体(Human AntiMouse Antibody:「HAMA」)が産生され免疫応答が起こり異物として排除される。従って、マウス抗体をヒトに繰返し投与することはできない。このような抗体をヒトに投与するためには、抗体の特異性を保持したままHAMA応答を起こさないように抗体分子を改良する必要がある。
一般に、抗体(免疫グロブリン)は、分子量の大きな重鎖(H鎖)および分子量の小さな軽鎖(L鎖)から構成されている。重鎖と軽鎖は、ともにN末端から約110残基において可変領域と称されるアミノ酸配列の異なる領域を有しており、重鎖の可変領域はVH、軽鎖の可変領域はVLと表される。このVHとVLは3つのCDR(complementarity determining region:相補性決定領域)と立体構造の維持に働いている4つのFR(Framework region:フレームワーク領域)から構成されており、VHとVLが相対して静電的な結合を形成することにより、抗原結合部位が形成される。CDRの中でも特にアミノ酸配列の変異の頻度が高い領域を超可変領域といい、この重鎖の超可変領域と軽鎖の超可変領域が、抗体固有の抗原結合部位構造をつくりだし、抗原への親和性・特異性を決定する。
HAMA応答を避けるためにはヒトの抗体に構造が類似し、異物として認識されない抗体が必要である。これまでに、抗体の可変領域以外の領域である定常領域のみをヒト抗体の構造としたキメラ抗体、定常領域および可変領域中のCDR以外の部位をヒト抗体の構造としたヒト化抗体(図1)およびヒト抗体がある。ヒト抗体はヒトB細胞の不死化、ヒトB細胞から得た抗体遺伝子や人工的に作製したヒト抗体可変領域遺伝子を遺伝子組換えで発現させスクリーニングする方法、またはヒト抗体を作製可能なマウスを用いることにより作製される。ヒト化抗体はキメラ抗体に比べるとヒト抗体の構造により類似しているため、キメラ抗体に比べ免疫原性は低いと考えられている。
一般に抗体をヒト化する場合、ヒト化前の抗体のFRとアミノ酸配列が近いヒト抗体のFRを選択したり、計算化学を用いたシミュレーションでCDRの構造が崩れないようなヒト抗体のFRを選択したりすることで分子設計し作製する。しかしながら多くの場合、設計したヒト化抗体の親和性はヒト化前の抗体と比較して低下するため、親和性を維持したヒト化抗体を得るには多くの労力が必要である。
Boulanger J.M.,et al.,Science,300、2101-2104(2003) Narazaki M.et al.,Blood,82,1120-1126(1993) Heinrich P.C.et al.,Biochem.J.,334,297-314(1998)
本発明の課題は、ヒトgp130受容体に結合することでヒトインターロイキン-6およびそのファミリーサイトカインのシグナル伝達を阻害するマウス抗体が有するヒトgp130受容体に対する親和性を低下させることなく、相補性決定領域以外のアミノ酸配列をヒト抗体由来のアミノ酸配列に置換した(ヒト化した)抗ヒトgp130受容体抗体を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒトgp130受容体に結合することでヒトインターロイキン-6およびそのファミリーサイトカインのシグナル伝達を阻害するマウス抗体が有するヒトgp130受容体に対する親和性を低下させないヒト抗体由来のフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第一の態様は、重鎖可変(VH)領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列、または配列番号25に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列、を含むポリペプチドであり、軽鎖可変(VL)領域が配列番号76、77もしくは80に記載のアミノ酸配列、または配列番号76、77もしくは80に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列、を含むポリペプチドであり、かつヒトgp130受容体に対するKD値が0.6nM以下である、抗ヒトgp130受容体抗体である。
また本発明の第二の態様は、VL領域が配列番号76に記載のアミノ酸配列または配列番号76に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、ヒトgp130受容体に対するKD値が0.3nM以下である、第一の態様に記載の抗ヒトgp130受容体抗体である。
また本発明の第三の態様は、重鎖可変(VH)領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列、または配列番号25に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列、を含むポリペプチドであり、軽鎖可変(VL)領域が配列番号76、77もしくは80に記載のアミノ酸配列、または配列番号76、77もしくは80に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列、を含むポリペプチドであり、かつヒトIL-6シグナルおよびその他IL-6ファミリーに属するサイトカインのシグナルを抑制することができる、抗ヒトgp130受容体抗体である。
また本発明の第四の態様は、VH領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、VL領域が配列番号76、77または80に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、第一または第三の態様に記載の抗ヒトgp130受容体抗体である。
さらに本発明の第五の態様は、配列番号25に記載のアミノ酸配列、または配列番号25に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列、を含む抗ヒトgp130受容体抗体重鎖可変(VH)領域をコードするポリヌクレオチドである。
さらに本発明の第六の態様は、配列番号76、77もしくは80に記載のアミノ酸配列、または配列番号76、77もしくは80に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有するアミノ酸配列、を含む抗ヒトgp130受容体抗体軽鎖可変(VL)領域をコードするポリヌクレオチドである。
また本発明の第七の態様は、前記第五および/または第六の態様に記載のポリヌクレオチドを少なくとも含む、ベクターである。
また本発明の第八の態様は、前記第五の態様に記載のポリヌクレオチドを少なくとも含むベクター、および前記第六の態様に記載のポリヌクレオチドを少なくとも含むベクターで共形質転換し得られた、形質転換体である。
また本発明の第九の態様は、前記第五および第六の態様に記載のポリヌクレオチドを少なくとも含むベクターで形質転換し得られた、形質転換体である。
また本発明の第十の態様は、前記第八または第九の態様に記載の形質転換体を培養して抗ヒトgp130受容体抗体を発現させる工程と、前記形質転換体の培養物から発現した抗ヒトgp130受容体抗体を回収する工程とを含む、抗ヒトgp130受容体抗体の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において抗体とは、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合で相互に連結された2本の重鎖(H鎖)、および2本の軽鎖(L鎖)を含む免疫グロブリン分子を意味する。重鎖はそれぞれ、重鎖可変(VH)領域および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)を含む。軽鎖はそれぞれ、軽鎖可変(VL)領域および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)で構成される。VH領域およびVL領域はさらに、相補性決定領域(CDR)領域と、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる高度に保存された領域とに分類される。CDRの定義は、Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest 第5版(1991))、Chothia、AbM、contactの定義が一般的に使用されており、本明細書中のCDRはKabatの定義に基づいている。VH領域およびVL領域はそれぞれ、3つのCDRおよび4つのFRで構成されており、これらはアミノ末端からカルボキシ末端への方向でFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順番で配置されている。
本発明の抗体は、ヒトgp130受容体に特異的に結合しヒトIL-6およびその他IL-6ファミリーに属するサイトカインのシグナル伝達を阻害する、配列番号15に記載のアミノ酸配列からなる重鎖(H鎖)と配列番号20に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖(L鎖)とを有した抗ヒトgp130受容体マウスモノクローナル抗体のうち、CDR以外のアミノ酸配列をヒト抗体由来のアミノ酸配列に変換し(ヒト化し)、かつ前記マウスモノクローナル抗体が有するヒトgp130受容体に対する親和性(具体的には、KD値=0.6nM)と同等以上の抗体である。本発明の抗体の一例として、VH領域が配列番
号25に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、VL領域が配列番号76または77に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドである抗体があげられる。
また前記可変領域(VH領域およびVL領域)のうちFR領域については、ヒトgp130受容体への結合能(具体的にはKD値が0.6nM以下)またはヒトIL-6およびその他IL-6ファミリーに属するサイトカインのシグナルを抑制する活性が保持される限り、1または数残基のアミノ酸置換、欠失、挿入または付加(以下、まとめて「改変」という)が生じてもよい。当該改変の割合は可変領域全体に対し10%以下(すなわち、VH領域では配列番号25に記載のアミノ酸配列に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性、VL領域では配列番号76、77または80に記載のアミノ酸配列に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性)であればよく、5%以下であれば好ましく、2%以下であればより好ましい。
また前記可変領域(VH領域およびVL領域)のうち、CDR(具体的には、H鎖CDR1:配列番号17[配列番号15では50番目から54番目、配列番号25では31番目から35番目までのアミノ酸残基]、H鎖CDR2:配列番号18[配列番号15では69番目から85番目、配列番号25では50番目から66番目までのアミノ酸残基]、H鎖CDR3:配列番号19[配列番号15では118番目から128番目、配列番号25では99番目から109番目までのアミノ酸残基]、L鎖CDR1:配列番号22[配列番号20では46番目から55番目、配列番号76、77および80では24番目から33番目までのアミノ酸残基]、L鎖CDR2:配列番号23[配列番号20では71番目から77番目、配列番号76、77および80では49番目から55番目までのアミノ酸残基]、L鎖CDR3:配列番号24[配列番号20では110番目から118番目、配列番号76、77および80では88番目から96番目までのアミノ酸残基])については原則改変しないが、ヒトgp130受容体への結合能(具体的にはKD値が0.6nM以下)またはヒトIL-6およびその他IL-6ファミリーに属するサイトカインのシグナル伝達を阻害する活性が保持される限り、1または数残基の改変が生じてもよい。当該改変の割合は、好ましくは各CDRに対し30%以下(ただし、前記FR領域における改変と併せ、可変領域全体に対する改変の割合が10%以下、以下同じ)であり、より好ましくは20%以下であり、更により好ましくは10%以下である。
なお前述したアミノ酸置換には、機能特性が実質的に変化していない置換(保守的アミノ酸置換)も含まれる。保守的アミノ酸置換の一例として、バリン-ロイシン-イソロイシン間の置換、フェニルアラニン-チロシン間の置換、リジン-アルギニン間の置換、アラニン-バリン間の置換、グルタミン酸-アスパラギン酸間の置換、アスパラギン-グルタミン間の置換があげられる。
本発明の抗体のうち、VL領域を配列番号76に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドとすると、マウス抗体よりもヒトgp130受容体に対する親和性が向上(KD値0.3nM以下)するため、本発明の抗体の好ましい態様といえる。なおVL領域が配列番号76に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の相同性を有した(VL領域全体に対して10%以内のアミノ酸置換が生じた)ポリペプチドであっても、前記親和性(ヒトgp130受容体に対するKD値が0.3nM以下)を有している限り、本発明の抗体の好ましい態様に含まれる。
抗ヒトgp130受容体マウス抗体をヒト化して本発明の抗体を取得する際、最も重要な点は、ヒト抗体由来のFR領域アミノ酸配列の選択である。ヒト化抗体の作製法は、今までにいくつかの報告がなされているが、おおよそ3つの方法に分けることができる。1つ目の方法は、既に三次元構造の明らかとなったヒト抗体フレームを用いる方法である(Riechmann L.et al.,Nature 332,323-327(1988);Tempst,PR.et al.,Protein Engineering,7,1501-1507(1994))。2つ目の方法は、データベースにより、目的のマウス抗体可変領域と最も高いホモロジーを持つヒト抗体可変領域を選択し、そのフレームを用いる方法である(Queen C.et al.,Proc Natl Acad Sci USA,86,10029-10033(1989))。3つ目の方法は、ヒト抗体のフレームで最も共通に用いられるアミノ酸を選択する方法である(Kettleborough CA.et al.,Protein Engineering4,773-783(1991))。なお、本明細書実施例においては前記2つ目の方法を選択しているが、本発明の抗体は他の方法を用いても取得可能である。
本発明の抗体のうち、VH領域およびVL領域以外の定常領域には特に限定はない。例えばヒトであればH鎖の定常領域には4種類:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が存在し、L鎖の定常領域には2種類:κ鎖、λ鎖ありこれらから選択すればよい。H鎖の定常領域は生体内で抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)や補体依存性細胞傷害活性(CDC)の強さに影響を与えることが知られており、その必要性に応じ、適宜選択すればよい。ADCCやCDCで目的細胞を死滅させることを目的とした抗体を作製する場合はADCCやCDCが高くなるサブクラスを選択すればよく、またADCCやCDCが不要な抗体を作製する場合はADCCやCDCが低くなるサブクラスを選択すればよい。なお抗体におけるADCCやCDCの増強または減少は、抗体の定常領域のアミノ酸残基を置換および/または抗体に付加する糖鎖を変更することで行なってもよい。
また、本発明の抗体は小型化してもよい。小型化抗体とは、抗原(例えば、ヒトgp130受容体)に特異的に結合する能力を保持する、抗体のフラグメントを意味する。例としては、
(i)Fabフラグメント:VL領域、VH領域、CL1ドメインおよびCH1ドメインからなるフラグメント
(ii)F(ab’)フラグメント:ヒンジ領域においてジスルフィド架橋で連結された2つのFabフラグメントを含むフラグメント
(iii)Fdフラグメント:VH領域およびCH1ドメインからなるフラグメント
(iv)Fvフラグメント:抗体の単一のアームのVL領域およびVH領域からなるフラグメント
が挙げられる。このうち(iv)Fvフラグメントの2つの領域であるVL領域およびVH領域は通常別々の遺伝子によってコードされているが、VL領域とVH領域とが対をなし、かつ合成リンカーを介して両領域が結合した態様(単鎖Fv(scFv))を遺伝子組換え技術を用いて作製してもよい。
前述した抗体や小型化抗体はタンパク質であることから、これらタンパク質をコードするポリヌクレオチドをそのまま宿主細胞に導入しても構わないが、プロモーターやシグナルぺプチドを含む発現ベクターにクローニングし、当該ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体を培養することで製造すると好ましい。抗体や小型化抗体をコードするポリヌクレオチドを設計する際は、形質転換させる宿主におけるコドンの使用頻度を考慮して変換するのが好ましい。一例として、宿主が大腸菌(Escherichia coli)の場合は、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないため(いわゆるレアコドンであるため)、それらのコドンを避けるように変換すればよい。コドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Databaseなど)を利用することによっても可能である。前記宿主細胞には特に限定はなく、一例として、哺乳動物細胞(CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞、HEK細胞、Hela細胞、COS細胞等)、酵母(Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha、Schizosaccharomyces japonicus、Schizosaccharomyces octosporus、Schizosaccharomyces pombe等)、昆虫細胞(Sf9、Sf21等)、大腸菌(JM109株、BL21(DE3)株、W3110株等)や枯草菌(Bacillus subtilis、Bacillus brevis)が挙げられる。中でも、抗体分子を発現させる場合は哺乳動物細胞が好ましく、CHO細胞が特に好ましい。
前記発現ベクターは、宿主に応じたプロモーターやシグナルペプチドを含んでいればよい。一例をあげると、哺乳動物を宿主として用いた場合、CMVプロモーター、SV40プロモーター、CAGプロモーター、EF1αプロモーターが例示でき、さらに各種分泌タンパク質に付加されているシグナルペプチドを組合せればよい。また宿主細胞に大腸菌を用いる場合にはT7プロモーター、trcプロモーター、lacプロモーターなどが例示でき、シグナルペプチドはPelB、DsbA、MalEおよびTorTが例示できる。また発現タンパク質をコードするポリヌクレオチドが導入された宿主細胞を選択するために、必要であれば抗生物質のような薬剤マーカーを前記発現ベクターに導入してもよい。さらにCHO細胞で高発現細胞株を作製するときに行なわれる遺伝子増幅のためのマーカー(例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子)を前記発現ベクターに含んでいてもよい。
本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを、発現ベクターにクローニングし、当該
ベクターで宿主を形質転換して、本発明の抗体を発現可能な形質転換体を作製する際、
本発明の抗体のVH領域を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および本発明の抗体のVL領域を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、それぞれ異なる発現ベクターにクローニング後、当該二つのベクターで宿主を形質転換して作製してもよく、
本発明の抗体のVH領域を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび本発明の抗体のVL領域を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、一つの発現ベクターにクローニング後、当該一つのベクターで宿主を共形質転換して作製してもよい。
形質転換体を培養することで発現した抗体は、前記形質転換体の培養物から、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどを組み合わせて精製・回収することで製造できる。
本発明の抗体は、抗ヒトgp130受容体マウス抗体のアミノ酸配列のうち、相補性決定領域以外のアミノ酸配列をヒト抗体由来のアミノ酸配列に置換した抗体であり、前記マウス抗体と比較し、免疫原性が大幅に低下している。一方、本発明の抗体が有するヒトgp130受容体に対する親和性は、前記マウス抗体と同等以上である。したがって本発明の抗体は、IL-6ファミリーサイトカインの異常によって引き起こされる疾病(例えば関節リウマチ等の自己免疫疾患)の治療に有用であることが期待される。
マウス抗体および本発明の抗体(ヒト化抗体)の模式図である。 ヒト化した小型化抗体によるヒトIL-6シグナルの阻害効果を示した図である。 実施例15で用いた発現ベクターpEFdのベクターマップである。 ヒト化抗体によるヒトIL-6シグナルの阻害効果を示した図である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
実施例1 可溶性ヒトgp130受容体の調製
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトgp130受容体のうち細胞外領域(配列番号1の1番目のメチオニンから619番目のグルタミン酸までの領域)を発現させるためのベクターを以下の方法で構築した。
(1-1)配列番号2に記載のヌクレオチド配列からなるジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase、dhfr)およびSV40のPolyAをコードする遺伝子の5’末端側および3’末端側に制限酵素SacII認識配列(CCGCGG)を付加した遺伝子を全合成し(Integrated DNA Technologies社に委託)、プラスミドにクローニングした。
(1-2)(1-1)で作製したプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミドを抽出したのち、制限酵素SacIIで消化することで、dhfr-SV40PolyAをコードする遺伝子を調製しdhfr-SV40PolyA-P1と命名した。
(1-3)pIRESベクター(Clontech社製)を鋳型として、配列番号3(5’-TCC[CCGCGG]GCGGGACTCTGGGGTTCGAAATGACCG-3’)および配列番号4(5’-TCC[CCGCGG]GGTGGCTCTAGCCTTAAGTTCGAGACTG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号3および配列番号4中の角かっこは制限酵素SacII認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表1に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で30秒間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を25サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、pIRESベクターのうちネオマイシン耐性遺伝子を除いた領域を増幅した。
Figure 0007206772000001
(1-4)(1-3)で作製したPCR産物を精製後、制限酵素SacIIで消化し、(1-2)で調製したdhfr-SV40PolyA-P1とライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでdhfr遺伝子を含んだ発現ベクターpIRES-dhfrを得た。
(2)(1)で作製したpIRES-dhfrを鋳型として配列番号5(5’-ACGC[GTCGAC]ACTAGAAGCTTTATTGCGGTAGTTTATCAC-3’)および配列番号6(5’-ACGC[GTCGAC]AGATCTGTCGAGCCATGTGAGCAAAAGGCC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号5および配列番号6中の角かっこは制限酵素SalI認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表1に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で7分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、pIRES-dhfrベクターのCMVプロモーター遺伝子を除いた領域を増幅し、pIRES-dhfr-P1と命名した。
(3)pEBMulti-Neo(富士フイルム和光純薬社製)を鋳型として、配列番号7(5’-ACGC[GTCGAC]GGATCTCGACATTGATTATTGACTAG-3’)および配列番号8(5’-ACGC[GTCGAC]CAAAATGATGAGACAGCACAATAACC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号7および配列番号8中の角かっこは制限酵素SalI認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表1に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で2分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、pEBMulti-Neoに含まれるCAGプロモーター(特許第2824433号公報)をコードする遺伝子を増幅し、CAG-P1と命名した。
(4)(2)で作製したpIRES-dhfr-P1および(3)で作製したCAG-P1をそれぞれ制限酵素SalIで消化し、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでCAGプロモーター遺伝子を含んだ発現ベクターpCAG-dhfrを得た。
(5)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトgp130受容体のうち細胞外領域(配列番号1の1番目のメチオニンから619番目のグルタミン酸までの領域)をコードするポリヌクレオチドに、6個のヒスチジンをコードするオリゴヌクレオチドならびに制限酵素NheI認識配列(GCTAGC)およびNotI認識配列(GCGGCCGC)を付加したポリヌクレオチド(配列番号9)を全合成し(FASMAC社に委託)、プラスミドにクローニング後、当該プラスミドを用いて大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミドを抽出後、制限酵素NheIおよびNotIで消化し精製することでヒトgp130受容体の細胞外領域をコードする遺伝子を得た。
(6)(4)で作製したpCAG-dhfrを制限酵素NheIおよびNotIで消化し、(5)で作製したヒトgp130受容体の細胞外領域をコードする遺伝子をライゲーション後、当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換した。前記形質転換体の培養物からプラスミドを抽出することで、ヒトgp130受容体の細胞外領域を発現するための発現ベクターpCAG-hgp130を得た。
(7)(6)で作製したpCAG-hgp130をCHO細胞(DG44株)にNeon Transfection System(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて遺伝子導入した。その後、CD OptiCHO Medium(Thermo Fisher Scientific社製)で形質転換細胞を培養し、メトトレキサート(MTX)を用いて遺伝子増幅を行なった後、限外希釈法により安定な可溶性ヒトgp130受容体タンパク質の生産細胞株を得た。
(8)(7)で得られた細胞株をCD OptiCHO Mediumおよび三角フラスコを用いてCOインキュベーター中(37℃、8%のCO)で振盪培養し、可溶性ヒトgp130受容体タンパク質を分泌発現させた。得られた培養上清を20mMのイミダゾールと150mMの塩化ナトリウムとを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で透析した後、遠心分離によって細胞および不純物を除去し得られた上清を、AKTAprime plus(GEヘルスケア社製)を用いて、あらかじめ20mMのイミダゾールと150mMの塩化ナトリウムとを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化した1mLのHisTrap HPカラム(GEヘルスケア社製)に流速1mL/分でアプライした。前記平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.5Mのイミダゾール、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で溶出した。溶出液を限外ろ過膜で150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に緩衝液交換することで高純度な可溶性ヒトgp130受容体タンパク質を得た。
実施例2 抗gp130受容体抗体産生ハイブリドーマの作製
(1)実施例1で作製した可溶性ヒトgp130受容体タンパク質を、10日に1回50μgずつ、合計4回に渡りBALB/cマウスの腹腔に注射することで免疫を行なった。
(2)マウスから脾臓細胞を摘出し、マウス由来のミエローマ細胞(SP2/0株)とポリエチレングリコールを用いて融合させた。細胞融合後、HAT(Gibco社製)および10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)にて培養することでハイブリドーマを作製した。
(3)(2)で作製したハイブリドーマを96穴プレートにて培養し、その培養上清を下記に示すEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)を用いることでヒトgp130受容体タンパク質に結合する抗体を分泌しているハイブリドーマが存在するウェルを選択した。
(3-1)実施例1で調製した可溶性ヒトgp130受容体を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellで固定化した(4℃で一晩)。固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(Becton Dickinson社製)および150mM
化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(3-2)洗浄緩衝液(0.05%[w/v]のTween 20と150mMのNaClとを含む20mM トリス塩酸緩衝液緩衝液(pH7.4))で洗浄後、抗体を含んだハイブリドーマ上清を添加し、抗体と固定化組換えヒトgp130受容体タンパク質とを反応させた(30℃で1時間)。
(3-3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したペルオキシターゼで標識された抗マウス抗体(Bethyl社製)を100μL/wellで添加した。
(3-4)30℃で1時間反応し、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を50μL/wellで添加した。その後、1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(テカン社製)を用いて450nmの吸光度を測定し、測定値の高いハイブリドーマを選択した。
(4)(3)で選択したハイブリド-マについて、以下の操作を行なった。
(4-1)96穴プレートの各ウェルにマウス由来の抗ヒトgp130受容体モノクローナルAM64抗体(特開平3-219894号公報)を固定化した。
(4-2)各ウェルに、実施例1で調製した可溶性ヒトgp130受容体を加えて前記ヒトgp130受容体抗体と結合させた。
(4-3)各ウェルに、組換えヒトインターロイキン-6(IL-6)(富士フイルム和光純薬社製)と組換えヒトIL-6受容体(IL-6R)(PeproTech社製)との混合物、および各ハイブリド-マの培養液上清を同時に添加した。
(4-4)前記条件下でAM64抗体および可溶性ヒトgp130受容体を介して固定化されたIL-6Rに、モルモットにIL-6Rを免疫して製造した抗IL-6Rポリクローナル抗体およびアルカリフォスファターゼで標識した抗モルモットイムノグロブリン抗体を添加し、洗浄後、アルカリフォスファターゼ基質を添加することにより、添加した可溶性ヒトgp130受容体タンパク質に対する抗体のIL-6の結合阻害効果を測定した。
(4-5)(4-4)でIL-6の結合阻害効果を示した細胞を限外希釈法にてモノクローン化し、ハイブリドーマを得た。得られたハイブリドーマから得られるモノクローナル抗体を、抗体Aと命名した。
(5)下記に示す方法で抗体Aを調製した。
(5-1)(4)で得られた、抗体Aを産生するハイブリドーマを、30mLのHybridoma-SFM培地(Thermo Fisher Scientific社製)が入った5枚の150mmφディッシュ(住友ベークライト社製)で、それぞれ培養した。培養後、遠心分離により培養上清を取得した。
(5-2)(5-1)で得られた上清を、AKTAprime plus(GEヘルスケア社製)を用いて、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化した1mLのHiTrap Protein G HP Columns(GEヘルスケア社製)に流速1mL/分でアプライした。
(5-3)前記平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH2.8)で溶出した。なお得られた溶出液は、溶出液量の1/4量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を加えることでpHを中性付近に戻した。当該精製により、高純度の抗体Aを約5mg得た。
実施例3 抗体遺伝子の配列解析
(1)実施例2(4)で得られた、抗体Aを産生するハイブリドーマを100μg/mLのカナマイシンおよび10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)10mLを添加した、90mmφの培養ディッシュにて培養した。培養上清をIsoStrip Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Kit(ロッシュ社製)を用いて各抗体のサブクラスを確認したところ、抗体AはH鎖がIgG1でL鎖がκであることを確認した。
(2)培養した細胞を回収し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて全RNAを抽出後、cDNA Library Construction Kit(タカラバイオ社製)を用いてcDNAライブラリーを作製した。
(3)(2)で作製したcDNAライブラリーを鋳型として、PCRにより抗体遺伝子を増幅した。
具体的には、抗体Aの重鎖(H鎖)遺伝子の増幅には、鋳型として抗体Aを発現するハイブリドーマのcDNAライブラリーを用い、PCRプライマーとして配列番号10(5’-GCATA[GAATTC]CCCGGG-3’)および配列番号11(5’-ATGAAT[GCGGCCGC]TCATTTACCAGGAGAGTGGGAGAGGCTCTTC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチド(配列番号10中の角かっこは制限酵素EcoRI認識配列を示し、配列番号11中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示している)を用いた。
また抗体Aの軽鎖(L鎖)の遺伝子の増幅には、鋳型として抗体Aを発現するハイブリドーマのcDNAライブラリーを用い、PCRプライマーとして配列番号10および配列番号12(5’-ATGAAT[GCGGCCGC]CTAACACTCATTCCTGTTGAAGCTCTTGAC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチド(配列番号12中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示している)を用いた。
PCRは、表2に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
Figure 0007206772000002
(4)(3)で得られたPCR産物を精製し、制限酵素EcoRIとNotIで消化後、あらかじめ制限酵素EcoRIとNotIで消化した発現ベクターpAP3neo(タカラバイオ社製)にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。
(5)得られた形質転換体を100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(QIAGEN社製)を用いて、抗体Aの重鎖を発現可能なベクターpAP-AH、および軽鎖を発現可能なベクターpAP-ALを抽出した。
(6)(5)で作製した発現ベクターのうち、抗体AのH鎖、L鎖をコードする遺伝子周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBigDye Terminator Ver.3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(Applied Biosystems社製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号13(5’-TAATACGACTCACTATAGGG-3’)または配列番号14(5’-ATTAACCCTCACTAAAGGGCG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
発現ベクターpAP-AHで発現される抗体A重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号15に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号16に、それぞれ示す。なおKabatの定義によれば、配列番号15に記載の配列からなる抗体A重鎖ポリペプチドのうち相補性決定領域(complementarity-determining region:CDR)は、50番目のアスパラギン酸(Asp)から54番目のアスパラギン酸(Asp)までの領域(配列番号17、CDR1)、69番目のアスパラギン酸(Asp)から85番目のアスパラギン酸(Asp)までの領域(配列番号18、CDR2)および118番目のトレオニン(Thr)から128番目のチロシン(Tyr)までの領域(配列番号19、CDR3)である。
発現ベクターpAP-ALで発現される抗体A軽鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号20に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号21に、それぞれ示す。なお配列番号20に記載の配列からなる抗体A軽鎖ポリペプチドのうちCDRは、46番目のアスパラギン(Asn)から55番目のチロシン(Tyr)までの領域(配列番号22、CDR1)、71番目のロイシン(Leu)から77番目のセリン(Ser)までの領域(配列番号23、CDR2)および110番目のグルタミン(Gln)から118番目のトレオニン(Thr)までの領域(配列番号24、CDR3)である。
実施例4 抗体AのVH領域のヒト化
配列番号15に記載のアミノ酸配列のうち20番目のグルタミン酸(Glu)から139番目のセリン(Ser)までのアミノ酸残基が、抗体Aの重鎖可変(VH)領域である。また前述した通り、配列番号15に記載のアミノ酸配列のうち50番目のアスパラギン酸(Asp)から54番目のアスパラギン酸(Asp)が抗体AのH鎖のCDR1、69番目のアスパラギン酸(Asp)から85番目のアスパラギン酸(Asp)が抗体AのH鎖のCDR2、118番目のトレオニン酸(Thr)から128番目のチロシン(Tyr)が抗体AのH鎖のCDR3である。そこで、20番目のグルタミン酸(Glu)から49番目のトレオニン(Thr)までのフレームワーク領域(FR)1、55番目のトリプトファン(Trp)から68番目のグリシン(Gly)までのFR2、86番目のリジン(Lys)から117番目のアルギニン(Arg)までのFR3、および129番目のトリプトファン(Trp)から139番目のセリン(Ser)までのFR4のアミノ酸配列について、ヒト抗体由来のアミノ酸配列を設計し、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(1)前述した4つのFRのアミノ酸配列について、マウス抗体(抗体A)のアミノ酸配列からヒト抗体のアミノ酸配列に変更したもの(以下、ヒト化抗体Aともいう)を、統合計算化学システム「MOE」(Chemical Computing Group社製)を用いて設計した。設計したヒト化抗体AのVH領域(hAH1)のアミノ酸配列を配列番号25に、hAH1をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号26に示した。
(2)(1)で設計した、ヒト化抗体AのVH領域(hAH1)をコードするポリヌクレオチド(配列番号26に記載の配列からなるポリヌクレオチド)に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)およびNheI認識配列(GCTAGC)を付加し、かつクローニング後にフレームシフトをしないように調整したポリヌクレオチドを全合成(FASMAC社に委託)し、それぞれプラスミドにクローニングした。
(3)実施例1(4)で作製したpCAG-dhfrを鋳型として配列番号27(5’-TTTAAATCA[GCGGCCGC]GCAGCACCATGGCCTGAAATAACCTCTG-3’)および配列番号28(5’ーGCAAGTAAAACCTCTACAAATGTGGTAAA[CGATCG]CTCCGGTGCCCGTー3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号27中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示し、配列番号28中の角かっこは制限酵素PvuI認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表3に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で1分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより増幅したPCR産物(SV40プロモーター、dhfr、SV40のPolyAまでの領域を)をdhfr-P1と命名した。
Figure 0007206772000003
(4)ヒト抗体の重鎖定常領域を含んだpFUSEss-CHIg-hG1(InvivoGen社製)、ヒト抗体の軽鎖定常領域を含んだpFUSE2ss-CLIg-hk(InvivoGen社製)および(3)で作製したdhfr-P1をそれぞれ制限酵素NotIおよびPvuIで消化・精製し、ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、SV40プロモーター、dhfrおよびSV40のPolyAを含んだpFUSEss-CHIg-hG1およびpFUSE2ss-CLIg-hkを得た。pFUSEss-CHIg-hG1にSV40プロモーター、dhfrおよびSV40のPolyAを組込んだプラスミドをpFU-CHIg-dhfrと命名し、pFUSE2ss-CLIg-hkにSV40プロモーター、dhfrおよびSV40のPolyAを組込んだプラスミドをpFU-CLIg-dhfrと命名した。
(5)(2)で作製した、hAH1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミド抽出後、制限酵素EcoRIおよびNheIで消化することで、hAH1をコードするポリヌクレオチド(配列番号26に記載の配列を含んだポリヌクレオチド)を調製した。
(6)(4)で作製したpFU-CHIg-dhfrを制限酵素EcoRIおよびNheIで消化・精製後、(5)で調製したポリヌクレオチドとライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、ヒト化抗体Aの重鎖(H鎖)を発現するプラスミドを作製した。
作製したプラスミドのうち、hAH1(配列番号25)をコードするポリヌクレオチド(配列番号26)を含むプラスミドをpFU-hAH1と命名した。
実施例5 小型化抗体(Fab)発現ベクターの構築(その1)
下記に示す方法で、hAH1および抗体AのL鎖を発現可能なベクターを構築した。
(1)pFU-hAH1を鋳型として配列番号29(5’-GAG[CCATGG]GCCAGGTTCAACTCCAGCAACCAGG-3’)および配列番号30(5’ーATT[AAGCTT]ATTTATCGTCGTCATCTTTATAATCGCCACAAGATTTGGGCTCAACTTTCー3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号29中の角かっこは制限酵素NcoI認識配列を示し、配列番号30中の角かっこは制限酵素HindIII認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表3に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で15秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRによりhAH1にFab発現に必要な定常領域およびFLAGタグ(DYKDDDDK)を付加したアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを増幅し、得られたPCR産物をhAH1-FLAG-Pと命名した。
(2)(1)で得られたhAH1-FLAG-PおよびpET26b(ノバジェン社製)をそれぞれ制限酵素NcoIおよびHindIIIで消化し、精製後にライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでhAH1を含んだpET-hAH1を得た。
(3)(2)で得られたpET-hAH1を鋳型として、配列番号31(5’-ATT[GAATTC]TATGAAATACCTGCTGCCGACCGC-3’)および配列番号32(5’ーATT[AAGCTT]<GCGGCCGC>TTATTTATCGTCGTCATCTTTATAATCGー3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号31中の角かっこは制限酵素EcoRI認識配列を示し、配列番号32中の角かっこは制限酵素HindIII認識配列を、山かっこは制限酵素NotI認識配列をそれぞれ示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表3に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRによりPelBシグナル+hAH1+定常領域の一部+FLAGタグ(DYKDDDDK)のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを増幅し、得られたPCR産物をPelB-hAH1-Pと命名した。
(4)(3)で得られたPelB-hAH1-PおよびpUC118(タカラバイオ社製)をそれぞれ制限酵素EcoRIおよびHindIIIで消化し、精製後、ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでhAH1を含んだpUC-hAH1を得た。
(5)実施例3(5)で得たpAP-ALを鋳型として、配列番号33(5’-GCC[CTCGAG]CAAAGTGTTCTCCAGTCTCCAGC-3’)および配列番号34(5’ーATA[AAGCTT]CTAACACTCATTCCTGTTGAAGCTCー3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号33中の角かっこは制限酵素XhoI認識配列を示し、配列番号34中の角かっこは制限酵素HindIII認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより抗体AのL鎖のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを増幅し、得られたPCR産物をAL-Pと命名した。
Figure 0007206772000004
(6)pET26b(ノバジェン社製)を鋳型として配列番号35(5’-TAT[GCGGCCGC]GGGAATTGTGAGCGGATAACAATTCC-3’)および配列番号36(5’ーGAGAACACTTTG[CTCGAG]GGCCATCGCCGGCTGGGCAGCGAGー3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号35中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示し、配列番号36中の角かっこは制限酵素XhoI認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で15秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより遺伝子発現に必要なリボソームバインディングサイトおよびPelBシグナルをコードするポリヌクレオチドを増幅し、得られたPCR産物をPelB-Pと命名した。
(7)(5)で得られたAL-Pおよび(6)で得られたPelB-Pはオーバーラップする部分を含んでいる。そこでこれら2つ(AL-PおよびPelB-P)を鋳型として配列番号35および配列番号34に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表5に示す組成の反応液を調製し、当該反応液
を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で15秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより遺伝子発現に必要なリボソームバインディングサイト、PelBシグナルおよびALをコードするポリヌクレオチドを増幅し、得られたPCR産物をPel-AL-Pと命名した。
Figure 0007206772000005
(8)(7)で得られたPel-AL-Pおよび(4)で得られたpUC-hAH1をそれぞれ制限酵素NotIおよびHindIIIで消化し、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでhAH1、ヒトIgG1の定常領域の一部および抗体A(マウ
ス)のL鎖を含んだFab発現ベクターpUC-Fab-hAH1mALを得た。
実施例6 小型化抗体(Fab)発現ベクターの構築(その2)
実施例5(8)で得られたpUC-Fab-hAH1mALはH鎖がヒト化されている一方、L鎖は抗体A(マウス)のL鎖を使用している。したがって、前記ヒト化H鎖(hAH1)を抗体A(マウス)のH鎖に置換することで小型化マウス抗体A発現ベクターを作製した。
(1)実施例3(5)で得たpAP-AHを鋳型として、配列番号37(5’-AGTG[TGGCCA]AAGAGGTCCTGCTGCAACAGTCTGG-3’)および配列番号38(5’ーTCA[GCGGCCGC]TTATTTATCGTCGTCATCTTTATAATCACCACAATCCCTGGGCACAATー3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号37中の角かっこは制限酵素MscI認識配列を示し、配列番号38中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示している)を用いてPCRを行なった。具体的には、表3に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で1分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより増幅したPCR産物(マウス抗体AのH鎖+FLAGタグ)をmAH-Pと命名した。
(2)(1)で得られたmAH-Pおよび実施例5(8)で得られたpUC-Fab-hAH1mALをそれぞれ制限酵素MscIおよびNotIで消化、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換
体からプラスミドを抽出することで抗体AのH鎖の一部および抗体AのL鎖を含んだFab発現ベクターpUC-Fab-mAHmALを得た。
実施例7 小型化抗体(Fab)の調製
実施例5および6で得られた発現ベクターから、以下に示す方法で小型化抗体を発現させた。
(1)実施例5(8)で得たpUC-Fab-hAH1mALまたは実施例6(2)で得たpUC-Fab-mAHmALで形質転換された大腸菌株JM109を、0.1%(w/v)のグルコースおよび100μg/Lのカルベニシリンを添加した3mLの2×YT培地(16g/Lトリプトン、10g/Lイーストエキストラクト、5g/L塩化ナトリウム)にそれぞれ植菌し37℃で一晩、振盪培養した。
(2)培養した各形質転換体を1サンプルあたり4本の100mLのバッフルフラスコに20mLの0.1%(w/v)のグルコースおよび100μg/Lのカルベニシリンを添加した2×YT培地に各200μL植菌し、37℃で3時間振盪培養した。
(3)培養温度を30℃に変更し30分間振盪培養した後に、終濃度で1mMとなるようにIPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)を添加し更に20時間培養した。培養終了後、4℃で8000rpm、20分間遠心することで菌体と培養上清を分離し、培養上清を得た。
(4)(3)の培養で得られた培養上清から以下の方法で小型化抗体を精製した。
(4-1)150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化した0.5mLの抗FLAG M2アフィニティーゲル(シグマアルドリッチ社製)に、(3)の培養で得られた培養上清を添加した。
(4-2)(4-1)で平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)4mLで溶出した。溶出後すぐに溶出液の1/4量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を添加することでpHを中性領域に戻した。
(4-3)(4-2)で中性化した溶出液を、10KDaカットの限外ろ過膜(ミリポア社製)で150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に緩衝液交換しながら濃縮した。
前記方法により高純度に精製した、pUC-Fab-mAHmAL(実施例6)から発現した小型化マウス抗体Aを約0.3mg、およびpUC-Fab-hAH1mAL(実施例5)から発現したH鎖がヒト化H鎖(hAH1)、L鎖が抗体A(マウス)のL鎖である小型化抗体(以降、hAH1mALともいう)を約0.1mg、それぞれ調製した。
実施例8 小型化抗体(Fab)が有する親和性
(1)実施例7(4)で調製した各小型化抗体を、HBS-EP+緩衝液(GEヘルスケア社製)にて8μg/mL、4μg/mL、2μg/mL、1μg/mL、0.5μg/mL、0.25μg/mLおよび0.125μg/mLに希釈した。
(2)実施例1で調製したヒトgp130受容体を10mMの酢酸緩衝液(pH5.0)で10μg/mLとなるように希釈し、センサーチップCM5(GEヘルスケア社製)へアミンカップリング法を用いて固定化した(固定化量352RU相当)。
(3)ヒトgp130受容体を固定化したチップへ(1)で調製した各小型化抗体の希釈溶液を接触時間200秒、解離時間800秒、流速30μL/分、温度25℃の条件で流し、固定化したヒトgp130受容体との相互作用をBiacoreT200(GEヘルスケア社製)にて測定した。測定後のチップは0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で洗浄することで再生した。
得られた測定結果を解析ソフトにて親和性の解析を行なった結果、小型化マウス抗体Aの親和性はka=1.41×10[1/Ms]、kd=8.42×10-5[1/s]、KD=5.98×10-10[M](0.60nM)であり、小型化マウス抗体AのうちVH領域をヒト化した小型化抗体hAH1mALの親和性はka=1.78×10[1/Ms]、kd=8.21×10-5[1/s]、KD=4.60×10-10[M](0.46nM)であった。このことからgp130受容体に対するhAH1mALの親和性はマウス由来の抗体(抗体A)とほぼ同等であることが分かった。
実施例9 抗体AのVL領域のヒト化(配列設計)
配列番号20に記載のアミノ酸配列のうち23番目のグルタミン(Gln)から127番目のロイシン(Leu)までのアミノ酸残基が抗体Aの軽鎖可変(VL)領域である。また前述した通り、配列番号20に記載のアミノ酸配列のうち46番目のアスパラギン(Asn)から55番目のチロシン(Tyr)までが抗体AのL鎖のCDR1、71番目のロイシン(Leu)から77番目のセリン(Ser)までが抗体AのL鎖のCDR2、110番目のグルタミン(Gln)から118番目のトレオニン(Thr)までが抗体AのL鎖のCDR3である。そこで、23番目のグルタミン(Gln)から45番目のシステイン(Cys)までのフレームワーク領域(FR)1、56番目のトリプトファン(Trp)から70番目のチロシン(Tyr)までのFR2、78番目のグリシン(Gly)から109番目のシステイン(Cys)までのFR3、および119番目のフェニルアラニン(Phe)から127番目のロイシン(Leu)までのFR4のアミノ酸配列について、ヒト抗体由来のアミノ酸配列を設計し、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(1)前述した4つのFRのアミノ酸配列をマウス抗体のアミノ酸配列からヒト抗体のアミノ酸配列に変更したもの(以下、ヒト化抗体Aともいう)を、統合計算化学システム「MOE」(Chemical Computing Group社製)を用いて設計した。設計した13種のヒト化抗体AのVL領域(それぞれAVL1からAVL13と命名)のうち、AVL1のアミノ酸配列を配列番号39に、AVL1をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号40に、AVL2のアミノ酸配列を配列番号41に、AVL2をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号42に、AVL3のアミノ酸配列を配列番号43に、AVL3をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号44に、AVL4のアミノ酸配列を配列番号45に、AVL4をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号46に、AVL5のアミノ酸配列を配列番号47に、AVL5をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号48に、AVL6のアミノ酸配列を配列番号49に、AVL6をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号50に、AVL7のアミノ酸配列を配列番号51に、AVL7をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号52に、AVL8のアミノ酸配列を配列番号53に、AVL8をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号54に、AVL9のアミノ酸配列を配列番号55に、AVL9をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号56に、AVL10のアミノ酸配列を配列番号57に、AVL10をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号58に、AVL11のアミノ酸配列を配列番号59に、AVL11をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号60に、AVL12のアミノ酸配列を配列番号61に、AVL12をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号62に、AVL13のアミノ酸配列を配列番号63に、AVL13をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号64に、それぞれ示す。
(2)配列番号40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62および64に記載のポリヌクレオチドに、制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)およびBsiWI認識配列(CGTACG)をそれぞれ付加し、かつクローニング後にフレームシフトをしないように調整したポリヌクレオチドを全合成(FASMAC社に委託)し、それぞれプラスミドにクローニングした。
(3)(2)で作製した、ヒト化抗体AのVL領域をコードする13種類のポリヌクレオチドをそれぞれ含むプラスミドで大腸菌JM109株をそれぞれ形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミド抽出後、制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化することで、13種類のヒト化抗体AのVL領域をコードするポリヌクレオチド(配列番号40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62および64に記載の配列からなるポリヌクレオチド)を調製した。
(4)実施例4(4)で作製したpFU-CLIg-dhfrを制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化・精製後、(3)で調製した13種類のヒト化抗体AのVL領域をコードするポリヌクレオチドとそれぞれライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでヒト化抗体AのL鎖を発現するプラスミドを作製した。
作製したプラスミドのうち、AVL1(配列番号39)をコードするポリヌクレオチド(配列番号40)を含むプラスミドをpFU-AL1と命名し、AVL2(配列番号41)をコードするポリヌクレオチド(配列番号42)を含むプラスミドをpFU-AL2と命名し、AVL3(配列番号43)をコードするポリヌクレオチド(配列番号44)を含むプラスミドをpFU-AL3と命名し、AVL4(配列番号45)をコードするポリヌクレオチド(配列番号46)を含むプラスミドをpFU-AL4と命名し、AVL5(配列番号47)をコードするポリヌクレオチド(配列番号48)を含むプラスミドをpFU-AL5と命名し、AVL6(配列番号49)をコードするポリヌクレオチド(配列番号50)を含むプラスミドをpFU-AL6と命名し、AVL7(配列番号51)をコードするポリヌクレオチド(配列番号52)を含むプラスミドをpFU-AL7と命名し、AVL8(配列番号53)をコードするポリヌクレオチド(配列番号54)を含むプラスミドをpFU-AL8と命名し、AVL9(配列番号55)をコードするポリヌクレオチド(配列番号56)を含むプラスミドをpFU-AL9と命名し、AVL10(配列番号57)をコードするポリヌクレオチド(配列番号58)を含むプラスミドをpFU-AL10と命名し、AVL11(配列番号59)をコードするポリヌクレオチド(配列番号60)を含むプラスミドをpFU-AL11と命名し、AVL12(配列番号61)をコードするポリヌクレオチド(配列番号62)を含むプラスミドをpFU-AL12と命名し、AVL13(配列番号63)をコードするポリヌクレオチド(配列番号64)を含むプラスミドをpFU-AL13と命名した。
実施例10 抗体AのVL領域のヒト化(フレームライブラリー作製)
実施例9で得られたヒト化抗体AのVL領域をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドから、以下に示す方法によりフレームライブラリーを作製した。
(1)実施例9で作製した13種類のヒト化抗体AのL鎖がクローニングされたプラスミドのうち、pFU-AL1、pFU-AL2、pFU-AL3、pFU-AL4、pFU-AL5、pFU-AL6、pFU-AL7、pFU-AL8およびpFU-AL9をそれぞれ50ng/μLとなるように混合したものを鋳型とし、配列番号65(5’-ATTA[CTCGAG]GACATTCAGATGACTCAGTCT-3’)および配列番号66(5’-GAGGTTACGGAGGAGCTCACGTT-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(配列番号65中の角かっこは制限酵素XhoI認識配列を示している)としPCRを行なった。PCRは表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で30秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR1をコードしておりこれをAL-FR1Aと命名した。
(2)実施例9で作製した13種類のヒト化抗体AのL鎖がクローニングされたプラスミドのうち、pFU-AL10、pFU-AL11およびpFU-AL12をそれぞれ50ng/μLとなるように混合したものを鋳型とし、配列番号67(5’-ATTA[CTCGAG]GAGATTGTGCTGACTCAGTCTCCAG-3’)および配列番号66に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(配列番号67中の角かっこは制限酵素XhoI認識配列を示している)としPCRを(1)と同様に行なった。得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域(VL領域)にある4つのFRのうちFR1をコードしておりこれをAL-FR1Bと命名した。
(3)実施例9で作製した13種類のヒト化抗体AのL鎖がクローニングされたプラスミドのうち、pFU-AL13を50ng/μLとなるように調整したものを鋳型とし、配列番号68(5’-ATTA[CTCGAG]GAGCTGGTGCTGACTCAGAG-3’)および配列番号66に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(配列番号68中の角かっこは制限酵素XhoI認識配列を示している)としPCRを(1)と同様に行なった。得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域(VL領域)にある4つのFRのうちFR1をコードしておりこれをAL-FR1Cと命名した。
(4)実施例9で作製した13種類のヒト化抗体AのL鎖がクローニングされたプラスミドを各50ng/μLとなるように混合したものを鋳型とし、配列番号69(5’-AACGTGAGCTCCTCCGTAACCTC-3’)および配列番号70(5’-AGATGCCAGATTGGAGGTCAG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとした以外は(1)と同様の方法でPCRを行なった。得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR2をコードしておりAL-FR2と命名した。
(5)実施例9で作製した13種類のヒト化抗体AのL鎖がクローニングされたプラスミドを各50ng/μLとなるように混合したものを鋳型とし、配列番号71(5’-CTGACCTCCAATCTGGCATCT-3’)および配列番号72(5’-GTCAAGGGATTGGTGGACCACTGCTG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとした以外は(1)と同様の方法でPCRを行なった。得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR3をコードしておりAL-FR3と命名した。
(6)実施例9で作製した13種類のヒト化抗体AのL鎖がクローニングされたプラスミドを各50ng/μLとなるように混合したものを鋳型とし、配列番号73(5’-CAGCAGTGGTCCACCAATCCCTTGAC-3’)および配列番号74(5’-GAT[AAGCTT]CTAACACTCTCCCCTGTTGAAGCT-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマー(配列番号74中の角かっこは制限酵素HindIII認識配列を示している)とした以外は(1)と同様の方法でPCRを行なった。得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR4および定常領域をコードしておりAL-FR4と命名した。
(7)(1)、(4)、(5)および(6)で得られたPCR産物(AL-FR1A、AL-FR2、AL-FR3およびAL-FR4)を鋳型とし、配列番号65および配列番号74に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行なった。具体的には、表5に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。AL-FR1A、AL-FR2、AL-FR3およびAL-FR4はそれぞれオーバーラップする領域を含んでおり、得られたPCR産物はL鎖フレーム領域がヒト化されライブラリー化された抗体AのL鎖をコードしておりこれをhAL1Aと命名した。
(8)(2)、(4)、(5)および(6)で得られたPCR産物(AL-FR1B、AL-FR2、AL-FR3およびAL-FR4)を鋳型とし、配列番号67および配列番号74に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーにした以外は(7)と同様の方法でPCRを行ない、得られたPCR産物はL鎖フレーム領域がヒト化されライブラリー化された抗体AのL鎖をコードしておりこれをhAL1Bと命名した。
(9)(3)、(4)、(5)および(6)で得られたPCR産物(AL-FR1C、AL-FR2、AL-FR3およびAL-FR4)を鋳型とし、配列番号68および配列番号74に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーにした以外は(7)と同様の方法でPCRを行ない、得られたPCR産物はL鎖フレーム領域がヒト化されライブラリー化された抗体AのL鎖をコードしておりこれをhAL1Cと命名した。
(10)(7)、(8)および(9)で得られたPCR産物である、hAL1A、hAL1BおよびhAL1Cをそれぞれ精製後、制限酵素XhoIおよびHindIIIで消化し、同様に制限酵素XhoIおよびHindIIIで消化し精製した実施例5(8)で作製したpUC-Fab-hAH1mALとライゲーションした。得られたライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、100μg/mLのカルベニシリンを含んだLBプレート培地に散布することで、抗体AのL鎖フレーム領域がヒト化されライブラリーとなったヒト化L鎖フレームライブラリーのコロニーを得た。
実施例11 ヒト化抗体Aのスクリーニング(その1)
(1)実施例10で得られたヒト化L鎖フレームライブラリーのコロニーを、あらかじめ100μL/mLのカルベニシリンおよび0.1%(w/v)のグルコースを含んだ2×YT培地を各ウェルに200μL入れた96穴ディープウェルプレートに植菌し、37℃、1300rpmで一晩振盪培養した。
(2)あらかじめ100μL/mLのカルベニシリンおよび0.1%(w/v)のグルコースを含んだ2×YT培地を各ウェルに500μL入れた96穴ディープウェルプレートに(1)で培養した形質転換体を25μL植菌し、37℃、1300rpmで2時間振盪培養した。
(3)温度を30℃に変え、0.5時間振盪培養した後、11mMのIPTG(IsoPropyl β-D-1-ThioGalactopyranoside)、100μL/mLのカルベニシリンおよび0.1%(w/v)のグルコースを含んだ2×YT培地を25μL/ウェル加えた(IPTGは終濃度で0.5mM)。37℃、1300rpmで一晩振盪培養した後、4℃、2500rpmで20分間遠心することで小型化抗体(Fab)の形で発現したヒト化抗体Aを含んだ培養上清を得た。
(4)試料として(3)で得られた培養上清を、検出用抗体としてペルオキシターゼで標識された抗FLAGタグ抗体(ロックランドイムノケミカルズ社製)を、それぞれ使用した以外は、実施例2(3)の記載と同様な方法でELISAを行ない、ヒトgp130受容体と結合能を示すクローンを選択した。選択したクローンを培養し、プラスミドを抽出した。
(5)試料として(4)で得られたプラスミドを、シーケンスプライマーとして配列番号75(5’-CACCTTCCACTGTACTTTGGC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ使用した以外は、実施例3(6)の記載と同様な方法で配列解析を行なった。
配列解析の結果、抗体AのL鎖可変領域が配列番号76および配列番号77に記載のアミノ酸配列であるL鎖を得た。配列番号76に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(配列番号78)を含むFab発現ベクターをpUC-Fab-hAH1hAL1と命名し、配列番号77に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(配列番号79)を含むFab発現ベクターをpUC-Fab-hAH1hAL2と命名した。なおこれら発現ベクター中に含まれるVH領域をコードするポリヌクレオチドは、ヒト化抗体AのVH領域であるhAH1(配列番号25)をコードするポリヌクレオチドであることから、発現する小型化抗体(Fab)はVH領域、VL領域、ともにヒト化されている。
実施例12 ヒト化抗体Aが有する親和性(その1)
(1)実施例11で得られた発現ベクターpUC-Fab-hAH1hAL1およびpUC-Fab-hAH1hAL2でそれぞれ形質転換された大腸菌JM109株を、実施例7(1)から(3)と同様の方法で培養してFabを発現させ、実施例7(4)と同様の方法で精製・濃縮した。pUC-Fab-hAH1hAL1から得られる、VH領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列からなり、VL領域が配列番号76に記載のアミノ酸配列からなる小型化抗体(以降、hAH1hAL1ともいう)を約20μg、およびpUC-Fab-hAH1hAL2から得られる、VH領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列からなり、VL領域が配列番号77に記載のアミノ酸配列からなる小型化抗体(以降、hAH1hAL2ともいう)を約10μg、それぞれ取得した。
(2)センサーチップCM5へのヒトgp130受容体の固定化量を235.2RUとした以外は実施例8と同様の方法で、hAH1hAL1およびhAH1hAL2のヒトgp130受容体に対する親和性を測定した。
結果、小型化抗体hAH1hAL1の親和性はka=2.57×10[1/Ms]、kd=5.60×10-5[1/s]、KD=2.18×10-10[M](0.22nM)であった。また小型化抗体hAH1hAL2の親和性はka=1.19×10[1/Ms]、kd=7.05×10-5[1/s]、KD=5.94×10-10[M](0.59nM)であった。
小型化マウス抗体A(ヒト化前のマウス抗体)が有する親和性(KD値0.60nM、実施例8)と比較し、hAH1hAL1が有する親和性は向上(KD値0.22nM)しており、hAH1hAL2が有する親和性もほぼ同等(KD値0.59nM)であることがわかる。したがって、VH領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、VL領域が配列番号76または77に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドである抗体は、CDR以外のアミノ酸がヒト化されており、かつヒト化前のマウス抗体と同等以上のヒトgp130受容体に対する親和性を有していることがわかる。中でもVH領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、VL領域が配列番号76または77に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドである抗体は、ヒト化前のマウス抗体よりもヒトgp130受容体に対する親和性も向上していることから、IL-6ファミリーサイトカインの異常によって引き起こされる疾病(例えば関節リウマチ等の自己免疫疾患)の治療用抗体の候補となり得ると考えられる。
実施例13 ヒト化抗gp130受容体小型化抗体によるIL-6シグナル抑制
(1)ヒトIL-6に感受性があり、かつヒトIL-6の添加により細胞増殖が促進される細胞株である7-TD-1(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCから提供されたRIKEN BRC Cell Bank No.RCB1190)を10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)で培養した。
(2)培養後、セルカウントを行ない、1×10cells/ウェル(培地1mL)となるよう、24ウェルプレートへ加えた。
(3)ヒトIL-6(富士フイルム和光純薬社製)を終濃度で50ng/mLとなるようウェルに加え、実施例7で調製した小型化マウス抗体Aおよび実施例13で調製したhAH1hAL1およびhAH1hAL2を終濃度で150又は500ng/mLとなるよう加えた後、当該24ウェルプレートを37℃、5%COの条件で10日間静置培養した。
(4)(3)の培養後、ヒトIL-6未添加、ヒトIL-6のみ添加、ヒトIL-6および抗体(各小型化抗体またはヒト抗体)を添加したウェルの細胞数を自動細胞測定装置Countness(Thermo Fisher Scientific社製)にて測定した。
細胞数測定結果を図2に示した。図2(A)から(D)に示したようにヒトIL-6を添加することでウェル中の7-TD-1細胞数がヒトIL-6未添加時と比較して増加していることから、7-TD-1はヒトIL-6により細胞数が増殖することが確認できた。一方、図2(A)に示したようにヒトIL-6を添加したウェルに小型化マウス抗体Aを添加した場合、添加した小型化抗体濃度依存的にウェル中の7-TD-1の増殖は抑制されたことから小型化マウス抗体Aはヒトgp130受容体に結合することでIL-6のシグナル伝達を抑制できることがわかる。また図2(B)および(C)に示したように、ヒト化小型化抗体A(hAH1hAL1およびhAH1hAL2)においても添加したヒト化小型化抗体濃度依存的にウェル中の7-TD-1の増殖は抑制されたことから、ヒト化小型化抗体A(hAH1hAL1およびhAH1hAL2)はヒトgp130受容体に結合することでIL-6のシグナル伝達を抑制できることがわかる。なお図2(D)に示したように、ヒトgp130受容体に特異的でないヒトIgG1(hIgG1)(シグマ社製)を添加してもウェル中の7-TD-1の増殖は抗体添加量に依存せずに阻害されないことから、ヒトgp130受容体に特異性のない抗体ではヒトIL-6のシグナルを抑制できないことがわかる。
実施例14 ヒト化抗体Aのスクリーニング(その2)
(1)実施例11に記載のスクリーニングを行なうことでヒトgp130受容体と結合能を示したヒト化小型化抗体Aを発現するクローンを選択した。選択したクローンを培養し、プラスミドを抽出後、配列番号75に記載のオリゴヌクレオチドをシーケンスプライマーとして実施例3(6)の記載と同様な方法で配列解析を行なった。
(2)配列解析の結果、L鎖可変領域が配列番号80に記載のアミノ酸配列であるL鎖を得た。得られた可変領域のアミノ酸配列が配列番号80に記載のヒト化L鎖をhAL3と命名し、配列番号80に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(配列番号81)を含むFab発現ベクターをpUC-Fab-hAH1hAL3と命名した。
実施例15 ヒト化抗体A発現ベクターの作製
(1)実施例14で得たpUC-Fab-hAH1AL3を鋳型として、配列番号82(5’-GCCTCTTCCCGGGCCGACATTCAGATGACTC-3’)および配列番号83(5’-AAT[GCGGCCGC]TACTAACACTCTCCCCTGTTGAAGC-3’)(配列番号83中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示している)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で30秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、hAL3をコードする遺伝子を増幅し精製後に得られたPCR産物をhAL3-P1と命名した。
Figure 0007206772000006
(2)(1)で得られたhAL3-P1を鋳型として、配列番号84(5’-CTA[GAATTC]GCCACCATGACCCGGCTGACC-3’)および配列番号83(配列番号84中の角かっこは制限酵素EcoRI認識配列を示している)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、配列番号85に記載のアミノ酸配列からなるシグナル配列(MTRLTVLALLAGLLASSRA)をhAL3に付加するため、配列番号85に記載のアミノ酸配列をコードする配列番号86(5’-ATGACCCGGCTGACCGTGCTGGCCCTGCTGGCTGGCCTGCTCGCCTCTTCCCGGGCC-3’)に記載のポリヌクレオチドを添加してPCRを行なった。具体的には、表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で30秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、hAL3をコードする遺伝子に配列番号85に記載のシグナル配列をコードする遺伝子を付加した遺伝子を増幅し精製後に得られたPCR産物をhAL3-P2と命名した。
Figure 0007206772000007
(3)(2)で得られたhAL3-P2および図3に記載の発現ベクター(pEFd)をそれぞれ制限酵素EcoRIおよびNotIで消化し、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで動物細胞においてhAL3を発現可能なpEFd-hAL3を得た。なお、図3に記載のpEFdベクターは配列番号88に記載のEF1αプロモーターのうち621番目のグアニンから798番目のグアニンまでのヌクレオチドが欠損しているプロモーター(EFd pro)を有しており、SV40のpolyAおよびdhfr遺伝子も有している。
配列番号75および84をプライマーとして実施例3(6)の記載と同様な方法で配列解析を行なった。pEFd-hAL3のhAL3周辺のアミノ酸配列を配列番号87に示す。配列番号87に記載の配列のうち、1番目のメチオニン(Met)から19番目のアラニン(Ala)までがシグナル配列であり、20番目のアスパラギン酸(Asp)から125番目のリジン(Lys)までがhAL3の可変領域であり、126番目のアルギニン(Arg)から232番目のシステイン(Cys)までがhAL3の定常領域である。
(4)実施例4で作製したpFU-hAH1を鋳型として、配列番号89(5’-GCCTCTTCCCGGGCCCAGGTTCAACTCCAG-3’)および配列番号90(5’-AAT[GCGGCCGC]TATCATTTACCCGGAGACAGGGAGAG-3’)(配列番号89中の角かっこは制限酵素NotI認識配列を示している)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、hAH1全長をコードする遺伝子を増幅し精製後に得られたPCR産物をhAH1-P1と命名した。
(5)(4)で得られたhAH1-P1を鋳型として、配列番号84および配列番号90に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、配列番号85に記載のアミノ酸配列からなるシグナル配列(MTRLTVLALLAGLLASSRA)をhAH1に付加するため、配列番号86に記載のポリヌクレオチドを添加してPCRを行なった。具体的には、表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、hAH1をコードする遺伝子に配列番号85に記載のシグナル配列をコードする遺伝子を付加した遺伝子を増幅し精製後に得られたPCR産物をhAH1-P2と命名した。
(6)(5)で得られたhAH1-P2および図3に記載の発現ベクター(pEFd)をそれぞれ制限酵素EcoRIおよびNotIで消化し、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで動物細胞においてhAH1を発現可能なpEFd-hAH1を得た。
配列番号84、配列番号91(5’-GAGTTCCACGACACCGTCAC-3’)、配列番号92(5’-GCTAGCACCAAGGGCCCATC-3’)および配列番号93(5’-CGGGAGGAGATGACCAAGAAC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして実施例3(6)の記載と同様な方法で配列解析を行なった。pEFd-hAH1のhAH1周辺のアミノ酸配列を配列番号94に示す。配列番号94に記載の配列のうち、1番目のメチオニン(Met)から19番目のアラニン(Ala)までがシグナル配列であり、20番目のグルタミン(Gln)から139番目のアラニン(Ala)までがhAH1の可変領域であり、140番目のアラニン(Ala)から469番目のリジン(Lys)までがhAH1の定常領域である。
実施例16 ヒト化抗体Aが有する親和性(その2)
(1)実施例15で作製したpEFd-hAL3およびpEFd-hAH1を調製し、CHO細胞(DG44株)にNeonTransfection System(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて遺伝子導入した。その後、40mL/LのGlutaMAX(Thermo Fisher Scientific社製)を含んだCD OptiCHO Medium(Thermo Fisher Scientific社製)を用いてシャーレ培養を行なった。遺伝子導入した細胞が増殖した時点で125mLのフラスコ(Corning社製)に20mLの40mL/LのGlutaMAXを含んだCD OptiCHO Mediumを加えCOインキュベーター中で振盪培養(37℃、8%のCO、130rpm)した。
(2)培養と上清回収を繰り返すことで得られた約80mLの培養液を、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化した1mLのMabSelect Sure LX(GEヘルスケア社製)添加した。その後、平衡化で用いた緩衝液で洗浄を行ない、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)4mLで溶出した。溶出液に1Mのトリス塩酸緩衝液(pH8.0)1mLを速やかに加えることでpHを中性領域にし、限外ろ過膜で濃縮、緩衝液交換を行なうことでH鎖がhAH1、L鎖がhAL3の全長のヒト化抗gp130受容体抗体(以降、hAH1hAL3と命名する)を約0.74mg得た。
(3)センサーチップCM5へのヒトgp130受容体の固定化量を376RUとした以外は実施例8と同様の方法でヒト化抗体hAH1hAL3の親和性を測定した。
結果、hAH1hAL3の親和性はka=1.24×10[1/Ms]、kd=7.25×10-5[1/s]、KD=5.85×10-10[M](0.59nM)であった。
本結果ならびに実施例8および12の結果をまとめて表8に示す。ヒト化抗体hAH1hAL3が有する親和性(KD値0.59nM)は、小型化マウス抗体A(KD値0.60nM、実施例8)およびヒト化小型化抗体hAH1hAL2(KD値0.59nM、実施例12)が有する親和性と同等であることがわかる。したがって、VH領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、VL領域が配列番号80に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドである抗体は、CDR以外のアミノ酸がヒト化されており、かつヒト化前のマウス抗体と同等のヒトgp130受容体に対する親和性を有していることがわかる。
Figure 0007206772000008
実施例17 ヒト化抗gp130受容体抗体によるIL-6シグナル抑制
(1)ヒトIL-6の添加により細胞増殖が促進される細胞株である7-TD-1を10%(w/v)のウシ血清を含んだRPMI-1640培地(富士フイルム和光純薬社製)で培養した。培養後、セルカウントを行ない、1×10cells/ウェル(培地1mL)となるよう、24ウェルプレートへ加えた。
(2)ヒトIL-6(富士フイルム和光純薬社製)を終濃度で50ng/mLとなるよう添加し、実施例16で調製したヒト化抗体hAH1hAL3、実施例2で調製した抗体A、およびヒトIgG1(hIgG1)(シグマ社製)を、それぞれ終濃度で100ng/mL、500ng/mL、1000ng/mLとなるよう加えた後、当該24ウェルプレートを37℃、5%COの条件で3日間静置培養した。
(3)培養後、ヒトIL-6未添加、ヒトIL-6のみ添加、ヒトIL-6および各抗体を添加したウェルの細胞数を自動細胞測定装置Countness(Thermo Fisher Scientific社製)にて測定した。
細胞数測定結果を図4に示した。図4(A)から(C)に示したようにヒトIL-6を添加することでウェル中の7-TD-1細胞数がヒトIL-6未添加時と比較し増加した。ヒトgp130受容体抗体に特異的でないヒトIgG1(hIgG1)を加えても7-TD-1細胞の増殖は抑制されなかった(図4(C))。一方で、ヒト化抗体hAH1hAL3(図4(A))や抗体A(図4(B))は添加した抗体濃度依存的に7-TD-1細胞の増殖が抑制されたことから、これら抗体はヒトgp130受容体に結合することでIL-6のシグナル伝達を抑制できることがわかる。すなわちヒト化抗体hAH1hAL3は抗体Aと同等のIL-6シグナル阻害能を有していることが確認された。

Claims (6)

  1. 重鎖可変(VH)領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
    軽鎖可変(VL)領域が配列番号76、77または80に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
    かつヒトgp130受容体に対するKD値が0.6nM以下である、
    抗ヒトgp130受容体抗体。
  2. VL領域が配列番号76に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、ヒトgp130受容体に対するKD値が0.3nM以下である、請求項1に記載の抗ヒトgp130受容体抗体。
  3. 重鎖可変(VH)領域が配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
    軽鎖可変(VL)領域が配列番号76、77または80に記載のアミノ酸配列含むポリペプチドであり、
    かつヒトIL-6シグナルおよびその他IL-6ファミリーに属するサイトカインのシグナルを抑制することができる、
    抗ヒトgp130受容体抗体。
  4. 配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む抗ヒトgp130受容体抗体重鎖可変(VH)領域をコードするポリヌクレオチドを少なくとも含むベクター、および配列番号76、77または80に記載のアミノ酸配列を含む抗ヒトgp130受容体抗体軽鎖可変(VL)領域をコードするポリヌクレオチドを少なくとも含むベクターで共形質転換し得られた、形質転換体。
  5. 配列番号25に記載のアミノ酸配列を含む抗ヒトgp130受容体抗体重鎖可変(VH)領域をコードするポリヌクレオチド、および配列番号76、77または80に記載のアミノ酸配列を含む抗ヒトgp130受容体抗体軽鎖可変(VL)領域をコードするポリヌクレオチドを少なくとも含むベクターで形質転換し得られた、形質転換体。
  6. 請求項またはに記載の形質転換体を培養して抗ヒトgp130受容体抗体を発現させる工程と、前記形質転換体の培養物から発現した抗ヒトgp130受容体抗体を回収する工程とを含む、抗ヒトgp130受容体抗体の製造方法。
    以上
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