JP2018153172A - インターロイキン−6ファミリーサイトカインに対するアンタゴニスト - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒトインターロイキン−6およびそのファミリーサイトカインのシグナル伝達に重要なヒトgp130受容体に結合し、かつ前記サイトカインのシグナル抑制が可能なアンタゴニストを提供すること。【解決手段】 ヒトgp130受容体の、少なくともVIILKYNIQYRおよび/またはDLKPFTEYVFRIRと結合可能な、インターロイキン−6ファミリーサイトカインに対するアンタゴニストにより、前記課題を解決する。【選択図】 図2

Description

本発明は、インターロイキン−6(IL−6)ファミリーサイトカインに対するアンタゴニストに関する。より詳しくは、IL−6およびその他IL−6ファミリーに属するサトカインのシグナル伝達に関わるヒトgp130受容体の細胞外領域に結合することでヒトgp130受容体を通したシグナル伝達を抑制可能なアンタゴニストに関する。
インターロイキン−6(IL−6)は、関節リウマチ、キャッスルマン病のような自己免疫疾患、骨格系の疾病、癌、心臓病、肥満、糖尿病、喘息、アルツハイマー病、および多発性硬化症等、多数の疾病に関与していると考えられている。これらは、IL−6シグナルの抑制がこれら疾病の治療に有益になり得る可能性を示唆している。
IL−6は、IL−6受容体(IL−6R)に結合し、次いで信号変換受容体であるgp130受容体を二量体化することで伝達される(非特許文献1)。また、IL−6Rおよびgp130受容体は細胞膜上だけではなく可溶形態でも存在しており生体内でIL−6のシグナルを伝達、抑制していると考えられている(非特許文献2)。さらにgp130受容体は、IL−6の他にIL−6ファミリーに属するインターロイキン11(IL−11)、インターロイキン27(IL−27)、白血球遊走阻止因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、カルジオトロフィン−1(CT−1)等のシグナル伝達にも関与している(非特許文献3)。
近年、モノクローナル抗体を利用した医薬品(抗体医薬品)の開発が進められている。例えば、リウマチによる炎症に対する抗体医薬品として腫瘍壊死因子(TNF−α)やIL−6Rに対する抗体医薬品が販売され高い治療効果を上げている。
Taga,T.et al.,Cell,58、573−581(1989) Narazaki,M.et al.,Blood,82,1120−1126(1993) Heinrich,P.C.et al.,Biochem.J.,334,297−314(1998)
本発明の課題は、ヒトインターロイキン−6およびそのファミリーサイトカインのシグナル伝達に重要なヒトgp130受容体に結合し、かつ前記サイトカインのシグナル抑制が可能なアンタゴニストを提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒトgp130受容体の細胞外領域の特定領域に結合することでIL−6ファミリーサイトカインのシグナルを抑制するアンタゴニストを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の第一の態様は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むヒトgp130受容体の、少なくとも以下の(1)および/または(2)に示すアミノ酸残基と結合可能な、インターロイキン−6ファミリーサイトカインに対するアンタゴニストである。
(1)配列番号1の252番目のバリンから262番目のアルギニンまでのアミノ酸残基
(2)配列番号1の288番目のアスパラギン酸から300番目のアルギニンまでのアミノ酸残基
また本発明の第二の態様は、アンタゴニストが抗体である、第一の態様に記載のアンタゴニストである。
また本発明の第三の態様は、抗体の重鎖相補性決定領域(CDR)1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3が、それぞれ以下に示すアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、第二の態様に記載のアンタゴニストである。
重鎖CDR1:配列番号18、配列番号28又は配列番号38に記載のアミノ酸配列
重鎖CDR2:配列番号19、配列番号29又は配列番号39に記載のアミノ酸配列
重鎖CDR3:配列番号20、配列番号30又は配列番号40に記載のアミノ酸配列
軽鎖CDR1:配列番号23、配列番号33又は配列番号43に記載のアミノ酸配列
軽鎖CDR2:配列番号24、配列番号34又は配列番号44に記載のアミノ酸配列
軽鎖CDR3:配列番号25、配列番号35又は配列番号45に記載のアミノ酸配列
また本発明の第四の態様は、抗体の重鎖CDRおよび軽鎖CDRのアミノ酸配列が、以下の(a)から(c)のいずれかである、第二又は三の態様に記載のアンタゴニストである。
(a)重鎖CDR1が配列番号18に、重鎖CDR2が配列番号19に、重鎖CDR3が配列番号20に、軽鎖CDR1が配列番号23に、軽鎖CDR2が配列番号24に、及び軽鎖CDR3が配列番号25に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(b)重鎖CDR1が配列番号28に、重鎖CDR2が配列番号29に、重鎖CDR3が配列番号30に、軽鎖CDR1が配列番号33に、軽鎖CDR2が配列番号34に、及び軽鎖CDR3が配列番号35に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(c)重鎖CDR1が配列番号38に、重鎖CDR2が配列番号39に、重鎖CDR3が配列番号40に、軽鎖CDR1が配列番号43に、軽鎖CDR2が配列番号44に、及び
軽鎖CDR3が配列番号45に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
また本発明の第五の態様は、抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列が、以下の(A)から(C)のいずれかである、第二〜四の態様いずれかに記載のアンタゴニストである。
(A)重鎖が配列番号16に、及び軽鎖が配列番号21に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(B)重鎖が配列番号26に、及び軽鎖が配列番号31に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(C)重鎖が配列番号36に、及び軽鎖が配列番号41に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
また本発明の第六の態様は、抗体の軽鎖フレームワーク領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号170の34番目のトリプトファンから48番目のチロシンまでのアミノ酸配列を含む、第二〜四の態様いずれかに記載のアンタゴニストである。
また本発明の第七の態様は、抗体の軽鎖可変(VL)領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号170に記載のアミノ酸配列を含む、第二〜四及び六の態様いずれかに記載のアンタゴニストである。
また本発明の第八の態様は、抗体の重鎖可変(VH)領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号142または配列番号152に記載のアミノ酸配列を含む、第二〜四、六及び七の態様いずれかに記載のアンタゴニストである。
また本発明の第九の態様は、抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列が、以下の(i)から(ix)のいずれかである、第二〜四の態様いずれかに記載のアンタゴニストである。
(i)VH領域が配列番号140に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(ii)VH領域が配列番号142に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172又は配列番号204の1番目から107番目に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(iii)VH領域が配列番号144に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(iv)VH領域が配列番号146に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(v)VH領域が配列番号148に、VL領域が配列番号158、配列番号162、配列番号164、配列番号166又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む(vi)VH領域が配列番号150に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(vii)VH領域が配列番号152に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170又は配列番号172に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(viii)VH領域が配列番号154に、VL領域が配列番号158、配列番号164又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(ix)VH領域が配列番号156に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(x)VH領域が配列番号212の1番目から120番目、VL領域が配列番号200、202又は206の1番目から107番目に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む

さらに本発明の第十の態様は、配列番号16、配列番号21、配列番号26、配列番号31、配列番号36又は配列番号41に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。
さらに本発明の第十一の態様は、第十の態様に記載のポリヌクレオチドを少なくとも含む、ベクターである。
さらに本発明の第十二の態様は、第十一の態様に記載のベクターで宿主を形質転換して得られる、形質転換体である。
さらに本発明の第十三の態様は、第十二の態様に記載の形質転換体を培養して抗体を発現させた後、前記形質転換体の培養物から発現した抗体を回収する、抗体の製造方法であ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアンタゴニストは、ヒトIL−6およびその他IL−6ファミリーに属するサイトカインのシグナル伝達に関わる、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトgp130受容体の、細胞外領域の少なくとも以下の(1)及び/又は(2):
(1)252番目のバリンから262番目のアルギニンまでのアミノ酸残基(具体的にはVIILKYNIQYRからなるアミノ酸残基)または、
(2)288番目のアスパラギン酸から300番目のアルギニンまでのアミノ酸残基(具体的にはDLKPFTEYVFRIR)
に示すアミノ酸残基と結合することでヒトgp130受容体を通したシグナル伝達を抑制可能なアンタゴニストであり、好ましくは前記(1)の残基および前記(2)の残基の両方に結合可能なアンタゴニストである。本発明のアンタゴニストはヒトgp130受容体の細胞外領域に結合し、かつヒトgp130受容体を通したシグナル伝達の抑制効果がある物質であれば特に制約はなく、その一例として低分子化合物、DNAアプタマー、RNAアプタマー、抗体、低分子化抗体が挙げられる。中でも抗体または低分子化抗体が好ましく、さらに好ましくは抗体である。
低分子化合物やDNA、RNAアプタマーを本発明のアンタゴニストとする場合は、有機合成反応を用いて製造することができ、化学反応後、各種クロマトグラフィーを用いることで精製することができる。
本明細書において抗体とは、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合で相互に連結された2本の重(H)鎖、および2本の軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子を意味する。重鎖はそれぞれ、重鎖可変(VH)領域および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2およびCH3)を含む。軽鎖はそれぞれ、軽鎖可変(VL)領域および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)で構成される。VH領域およびVL領域はさらに、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域と、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる高度に保存された領域とに分類される。CDRの定義は、Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest 第5版)、Chothia、AbM、contactの定義が最も一般的に使用されており、本明細書中のCDRはKabatの定義に基づいている。VH領域およびVL領域はそれぞれ、3つのCDRおよび4つのFRで構成されており、これらはアミノ末端からカルボキシ末端への方向でFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順番で配置されている。なお本発明の抗体はマウス、ラット、ヒト、ウサギ、トリ、ヤギ等由来の抗体でもよく、CDRを保存しFRを別の動物由来のアミノ酸残基に変更した改良抗体や、一つの抗体分子の中に二つの特異性を有する二重特異性抗体なども使用できる。さらにラクダ科動物由来の重鎖のみからなるVHH抗体も使用することができる。
本明細書において低分子化抗体とは、抗原(例えば、ヒトgp130受容体)に特異的に結合する能力を保持する、抗体のフラグメントを意味する。例としては、
(i)Fabフラグメント:VL領域、VH領域、CL1ドメインおよびCH1ドメインからなるフラグメント
(ii)F(ab’)フラグメント:ヒンジ領域においてジスルフィド架橋で連結された2つのFabフラグメントを含むフラグメント
(iii)Fdフラグメント:VH領域およびCH1ドメインからなるフラグメント
(iv)Fvフラグメント:抗体の単一のアームのVL領域およびVH領域からなるフラグメント
が挙げられる。このうち(iv)Fvフラグメントの2つの領域であるVL領域およびVH領域は通常別々の遺伝子によってコードされているが、VL領域とVH領域とが対をなし、かつ合成リンカーを介して両領域が結合した態様(単鎖Fv(scFv))を遺伝子組換え技術を用いて作製してもよい。
本発明の抗体は、サブクラス(例えばヒトであれば4種類:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が存在)による限定は特になく、例えば、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)や補体依存性細胞傷害活性(CDC)の必要性に応じ、適宜選択すればよい。ADCCやCDCで目的細胞を死滅させることを目的とした抗体を作製する場合はADCCやCDCが高くなるサブクラスを選択すればよく、またADCCやCDCが不要な抗体を作製する場合はADCCやCDCが低くなるサブクラスを選択すればよい。なお抗体におけるADCCやCDCの増強または減少は、抗体の定常領域のアミノ酸残基を置換および、抗体に付加する糖鎖を変更することで行なってもよい。
前述した抗体や低分子化抗体はタンパク質であることから、これらタンパク質をコードするポリヌクレオチドをそのまま宿主細胞に導入しても構わないが、プロモーターやシグナルぺプチドを含む発現ベクターにクローニングし、当該ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体を培養することで製造すると好ましい。抗体や低分子化抗体をコードするポリヌクレオチドを設計する際は、形質転換させる宿主におけるコドンの使用頻度を考慮して変換するのが好ましい。一例として、宿主が大腸菌(Escherichia coli)の場合は、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないため(いわゆるレアコドンであるため)、それらのコドンを避けるように変換すればよい。コドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Databaseなど)を利用することによっても可能である。前記宿主細胞には特に限定はなく、一例として、哺乳動物細胞(CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞、HEK細胞、Hela細胞、COS細胞等)、酵母(Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha、Schizosaccharomyces japonicus、Schizosaccharomyces octosporus、Schizosaccharomyces pombe等)、昆虫細胞(Sf9、Sf21等)、大腸菌(JM109株、BL21(DE3)株、W3110株等)や枯草菌(Bacillus subtilis、Bacillus brevis)が挙げられる。中でも、抗体分子を発現させる場合は哺乳動物細胞が好ましく、CHO細胞が特に好ましい。
前記発現ベクターは、宿主に応じたプロモーターやシグナルペプチドを含んでいればよい。一例をあげると、哺乳動物を宿主として用いた場合、CMVプロモーター、SV40プロモーター、CAGプロモーター、EF1αプロモーターが例示でき、さらに各種分泌タンパク質に付加されているシグナルペプチドを組合せればよい。また宿主細胞に大腸菌を用いる場合にはT7プロモーター、trcプロモーター、lacプロモーターなどが例示でき、シグナルペプチドはPelB、DsbA、MalEおよびTorTが例示できる。また発現タンパク質をコードするポリヌクレオチドが導入された宿主細胞を選択するために、必要であれば抗生物質のような薬剤マーカーを前記発現ベクターに導入してもよい。さらにCHO細胞で高発現細胞株を作製するときに行なわれる遺伝子増幅のためのマーカー(例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子)を前記発現ベクターに含んでいてもよい。
形質転換体を培養することで発現した抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどを組み合わせることで、前記形質転換体の培養物から精製・回収することができる。
本発明の抗体の好ましい態様として、抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3が、それぞれ以下に示すアミノ酸配列を含む抗体が挙げられる。
重鎖CDR1:配列番号18、配列番号28又は配列番号38に記載のアミノ酸配列
重鎖CDR2:配列番号19、配列番号29又は配列番号39に記載のアミノ酸配列
重鎖CDR3:配列番号20、配列番号30又は配列番号40に記載のアミノ酸配列
軽鎖CDR1:配列番号23、配列番号33又は配列番号43に記載のアミノ酸配列
軽鎖CDR2:配列番号24、配列番号34又は配列番号44に記載のアミノ酸配列
軽鎖CDR3:配列番号25、配列番号35又は配列番号45に記載のアミノ酸配列
なお、本発明の抗体が前述したヒトgp130受容体中の特定領域(具体的には、配列番号1の252番目のバリンから262番目のアルギニンまでのアミノ酸残基および/または配列番号1の288番目のアスパラギン酸から300番目のアルギニンまでのアミノ酸残基)への結合能を有している限り、前記例示したアミノ酸配列において、アミノ酸の置換、欠失、挿入または付加が生じていてもよく、具体的には、抗体の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のアミノ酸配列は、前記例示したアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列であってよい。
また本発明の抗体のより好ましい態様として、抗体の重鎖CDRおよび軽鎖CDRのアミノ酸配列が、以下の(a)から(c)のいずれかである抗体が挙げられる。
(a)重鎖CDR1が配列番号18に、重鎖CDR2が配列番号19に、重鎖CDR3が配列番号20に、軽鎖CDR1が配列番号23に、軽鎖CDR2が配列番号24に、及び軽鎖CDR3が配列番号25に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(b)重鎖CDR1が配列番号28に、重鎖CDR2が配列番号29に、重鎖CDR3が配列番号30に、軽鎖CDR1が配列番号33に、軽鎖CDR2が配列番号34に、及び軽鎖CDR3が配列番号35に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(c)重鎖CDR1が配列番号38に、重鎖CDR2が配列番号39に、重鎖CDR3が配列番号40に、軽鎖CDR1が配列番号43に、軽鎖CDR2が配列番号44に、及び軽鎖CDR3が配列番号45に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
また本発明の抗体のさらにより好ましい態様として、抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列が、以下の(A)から(C)のいずれかである抗体が挙げられる。
(A)重鎖が配列番号16に、及び軽鎖が配列番号21に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(B)重鎖が配列番号26に、及び軽鎖が配列番号31に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(C)重鎖が配列番号36に、及び軽鎖が配列番号41に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
また本発明の抗体の別の態様として、抗体の重鎖および/または軽鎖のCDR以外のアミノ酸配列を、マウス抗体のアミノ酸配列からヒト抗体のアミノ酸配列へと変更した抗体(ヒト化抗体)が挙げられる(図4)。抗体全体におけるヒト抗体のアミノ酸配列の割合を増加させることにより、ヒト体内に適用した際に異物として排除されにくくなるというメリットが得られる。
具体的には、抗体の軽鎖可変(VL)領域中のフレームワーク領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号170の34番目のトリプトファンから48番目のチロシンまでのアミノ酸配列(具体的にはWFQQRPGQAPKVLIY)を含む抗体が挙げられる。
また本発明の抗体の別の好ましい態様として、抗体のVL領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号170に記載のアミノ酸配列を含む抗体が挙げられる。
また本発明の抗体のさらに別の態様として、抗体の重鎖可変(VH)領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号142又は配列番号152に記載のアミノ酸配列を含む抗体が挙げられる。
また本発明の抗体のさらに別の好ましい態様として、抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列が、以下の(i)から(ix)のいずれかである抗体が挙げられる。
(i)VH領域が配列番号140に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(ii)VH領域が配列番号142に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172又は配列番号204の1番目から107番目に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(iii)VH領域が配列番号144に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(iv)VH領域が配列番号146に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(v)VH領域が配列番号148に、VL領域が配列番号158、配列番号162、配列番号164、配列番号166又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む(vi)VH領域が配列番号150に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(vii)VH領域が配列番号152に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170又は配列番号172に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(viii)VH領域が配列番号154に、VL領域が配列番号158、配列番号164又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
(ix)VH領域が配列番号156に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
また、上記のヒト化抗体の重鎖および軽鎖の可変領域以外の定常領域はヒト抗体のサブクラスであるIgG1、IgG2、IgG3、IgG4のアミノ酸配列から選択し使用すればよい。
(x)VH領域が配列番号212の1番目から120番目、VL領域が配列番号200、202又は206の1番目から107番目に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む

さらに本発明の抗体は前述したアミノ酸配列に限定されるものではなく、機能特性が実質的に変化していない置換体(保守的アミノ酸置換体)も本発明の抗体に含まれる。保守的アミノ酸置換の一例として、バリン−ロイシン−イソロイシン間の置換、フェニルアラニン−チロシン間の置換、リシン−アルギニン間の置換、アラニン−バリン間の置換、グルタミン酸−アスパラギン酸間の置換、アスパラギン−グルタミン間の置換が挙げられる。
本発明のアンタゴニストは、ヒトgp130受容体の細胞外領域の特定領域に結合することでIL−6およびその他IL−6ファミリーに属するサイトカインのシグナルを抑制できるため、IL−6ファミリーサイトカインの異常によって引き起こされる疾病(例えば関節リウマチ等の自己免疫疾患)の治療に有用であることが期待される。
本発明の抗体のヒトgp130受容体に対する結合性評価結果を示す図である。 本発明の抗体(抗体A)のIL−6シグナル抑制確認結果を示す図である。 本発明の抗体(抗体B)のIL−6シグナル抑制確認結果を示す図である。 本発明の一実施態様に係る、ヒト化抗体の模式図を示す図である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
実施例1 可溶性ヒトgp130受容体の調製
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトgp130受容体のうち細胞外領域(配列番号1の1番目のメチオニンから619番目のグルタミン酸までの領域)を発現させるためのベクターを以下の方法で構築した。
(1−1)配列番号2に記載のジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase、dhfr)およびSV40のPolyAをコードする遺伝子を全合成し(Integrated DNA Technologies社に委託)プラスミドにクローニングした。
(1−2)(1−1)で作製したプラスミドで大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミドを抽出したのち、制限酵素SacIIで消化することで、dhfr−SV40PolyAをコードする遺伝子を調製しdhfr−SV40PolyA−P1と命名した。
(1−3)pIRESベクター(Clontech社製)を鋳型として、配列番号3(5’−TCCCCGCGGGCGGGACTCTGGGGTTCGAAATGACCG−3’)および配列番号4(5’−TCCCCGCGGGGTGGCTCTAGCCTTAAGTTCGAGACTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表1に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で30秒間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を25サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、pIRESベクターのうちネオマイシン耐性遺伝子を除いた領域を増幅した。
Figure 2018153172
(1−4)(1−3)で作製したPCR産物を精製後、制限酵素SacIIで消化し、(1−2)で調製したdhfr−SV40PolyA−P1とライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでdhfr遺伝子を含んだ発現ベクターpIRES−dhfrを得た。
(2)(1)で作製したpIRES−dhfrを鋳型として配列番号5(5’−ACGCGTCGACACTAGAAGCTTTATTGCGGTAGTTTATCAC−3’)および配列番号6(5’−ACGCGTCGACAGATCTGTCGAGCCAGTGAGCAAAAGGCC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表2に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で7分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、pIRES−dhfrベクターのCMVプロモーター遺伝子を除いた領域を増幅し、pIRES−dhfr−P1と命名した。
Figure 2018153172
(3)pEBMulti−Neo(和光純薬工業社製)を鋳型として、配列番号7(5’−ACGCGTCGACGGATCTCGACATTGATTATTGACTAG−3’)および配列番号8(5’−ACGCGTCGACCAAAATGATGAGACAGCACAATAACC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表3に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で2分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより、pEBMulti−Neoに含まれるCAGプロモーター(特許第2824433号公報)をコードする遺伝子を増幅し、CAG−P1と命名した。
Figure 2018153172
(4)(2)で作製したpIRES−dhfr−P1および(3)で作製したCAG−P1をそれぞれ制限酵素SalIで消化し、精製後ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでCAGプロモーター遺伝子を含んだ発現ベクターpCAG−dhfrを得た。
(5)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトgp130受容体のうち細胞外領域(配列番号1の1番目のメチオニンから619番目のグルタミン酸までの領域)をコードするポリヌクレオチドに、6個のヒスチジンをコードするオリゴヌクレオチド並びに制限酵素NheIおよびNotI認識配列を付加したポリヌクレオチド(配列番号9)を全合成し(FASMAC社に委託)プラスミドにクローニング後、当該プラスミドを用いて大腸菌JM109株を形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミドを抽出後、制限酵素NheIおよびNotIで消化し精製することでヒトgp130受容体の細胞外領域をコードする遺伝子を得た。
(6)(4)で作製したpCAG−dhfrを制限酵素NheIおよびNotIで消化し、(5)で作製したヒトgp130受容体の細胞外領域をコードする遺伝子をライゲーション後、当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換した。前記形質転換体の培養物からプラスミドを抽出することで、ヒトgp130受容体の細胞外領域を発現するための発現ベクターpCAG−hgp130を得た。
(7)(6)で作製したpCAG−hgp130をCHO細胞(DG44株)にNeonTransfection System(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて遺伝子導入した。その後、CD OptiCHO Medium(Thermo Fisher Scientific社製)で形質転換細胞を培養し、メトトレキサート(MTX)を用いて遺伝子増幅を行なった後、限外希釈法により安定な
可溶性ヒトgp130受容体タンパク質の生産細胞株を得た。
(8)(7)で得られた細胞株をCD OptiCHO Mediumおよび三角フラ
スコを用いてCOインキュベーター中で振盪培養(37℃、8%のCO)し、可溶性ヒトgp130受容体タンパク質を分泌発現させた。遠心分離によって細胞および不純物を除去し得られた上清を、AKTAprime plus(GEヘルスケア社製)を用いて、あらかじめ20mMのイミダゾールと150mMの塩化ナトリウムとを含んだ20mMのTris−HCl(pH7.4)で平衡化した1mLのHisTrap HPカラム(GEヘルスケア社製)に流速1mL/分でアプライした。前記平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.5Mのイミダゾール、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのTris−HCl(pH7.4)で溶出した。溶出液を限外ろ過膜で150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのTris−HCl(pH7.4)に緩衝液交換することで高純度な可溶性ヒトgp130受容体タンパク質を得た。
実施例2 抗gp130受容体抗体産生ハイブリドーマの作製
(1)実施例1で作製した可溶性gp130受容体タンパク質を、10日に1回50μgずつ、合計4回に渡りBALB/cマウスの腹腔に注射することで免疫を行なった。
(2)マウスから脾臓細胞を摘出し、マウス由来のミエローマ細胞(SP2/0株)とポリエチレングリコールを用いて融合させた。細胞融合後、HAT(Gibco社製)および10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)にて培養することでハイブリドーマを作製した。
(3)(2)で作製したハイブリドーマを96穴プレートにて培養し、その培養上清を下記に示すEnzyme−Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA)を用いることでヒトgp130受容体タンパク質に結合する抗体を分泌しているハイブリドーマが存在するウェルを選択した。
(3−1)実施例1で調製した可溶性ヒトgp130受容体を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellで固定化した(4℃で一晩)。固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(Becton Dickinson社製)および150mM塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(3−2)洗浄緩衝液(0.05%[w/v]のTween 20と150mMのNaClとを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で洗浄後、抗体を含んだハイブリドーマ上清を添加し、抗体と固定化組換えヒトgp130受容体タンパク質とを反応させた(30℃で1時間)。
(3−3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したペルオキシターゼで標識された抗マウス抗体(Bethyl社製)を100μL/wellで添加した。
(3−4)30℃で1時間反応し、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を50μL/wellで添加した。その後、1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(テカン社製)を用いて450nmの吸光度を測定し、測定値の高いハイブリドーマを選択した。
(4)(3)で選択したハイブリド−マについて、以下の操作を行なった。
(4−1)96穴プレートの各ウェルにマウス由来の抗ヒトgp130受容体モノクローナルAM64抗体(特開平3−219894号公報)を固定化した。
(4−2)各ウェルに、実施例1で調製した可溶性ヒトgp130受容体を加えて前記ヒトgp130受容体抗体と結合させた。
(4−3)各ウェルに、組換えヒトインターロイキン−6(IL−6)(和光純薬社製)と組換えヒトIL−6受容体(IL−6R)(PeproTech社製)との混合物、および各ハイブリド−マの培養液上清を同時に添加した。
(4−4)前記条件下でAM64抗体および可溶性ヒトgp130受容体を介して固定化されたIL−6Rに、モルモットにIL−6Rを免疫して製造した抗IL−6Rポリクローナル抗体およびアルカリフォスファターゼで標識した抗モルモットイムノグロブリン抗体を添加し、洗浄後、アルカリフォスファターゼ基質を添加することにより、添加した可溶性ヒトgp130受容体タンパク質に対する抗体のIL−6の結合阻害効果を測定した。
IL−6の結合阻害効果を示した3ウェルの細胞を限外希釈法にてモノクローン化し、3種類のハイブリドーマを得た。
実施例3 抗体各鎖の配列解析
(1)実施例2で得られた3種類のハイブリドーマから得られるモノクローナル抗体をそれぞれ抗体A、抗体B、抗体Cと名付けた。前記3種類のハイブリドーマをそれぞれ100μg/mLのカナマイシンおよび10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)10mLを添加した、90mmφの培養ディッシュにて培養した。培養上清をIsoStrip Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Kit(ロッシュ社製)を用いて各抗体のサブクラスを確認したところ、抗体AはH鎖がIgG1でL鎖がκ、抗体BはH鎖がIgG2bでL鎖がκ、抗体CはH鎖がIgG2aでL鎖がκであることを確認した。
(2)培養した細胞を回収し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて全RNAを抽出後、cDNA Library Construction Kit(タカラバイオ社製)を用いてcDNAライブラリーを作製した。
(3)(2)で作製したcDNAライブラリーを鋳型として、PCRにより抗体遺伝子を増幅した。
具体的には、抗体Aの重鎖(H鎖)遺伝子の増幅には、鋳型として抗体Aを発現するハイブリドーマのcDNAライブラリーを用い、PCRプライマーとして配列番号10(5’−GCATAGAATTCCCCGGG−3’)および配列番号11(5’−ATGAATGCGGCCGCTCATTTACCAGGAGAGTGGGAGAGGCTCTTC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。
また抗体Bおよび抗体Cの重鎖遺伝子の増幅には、鋳型として抗体Bまたは抗体Cを発現するハイブリドーマのcDNAライブラリーを用い、PCRプライマーとして配列番号10および配列番号12(5’−ATGAATGCGGCCGCTCATTTACCCGGAGWCCGGGAGAWGSTCTTMKTC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。
また抗体A、抗体Bおよび抗体Cの軽鎖(L鎖)の遺伝子の増幅には、鋳型として各抗体を発現するハイブリドーマのcDNAライブラリーを用い、PCRプライマーとして配列番号10および配列番号13(5’−ATGAATGCGGCCGCCTAACACTCATTCCTGTTGAAGCTCTTGAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。
PCRは、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
Figure 2018153172
(4)(3)で得られたPCR産物を精製し、制限酵素EcoRIとNotIで消化後、あらかじめ制限酵素EcoRIとNotIで消化した発現ベクターpAP3neo(タカラバイオ社製)にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。
(5)得られた形質転換体を100μg/mLのアンピシリンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(QIAGEN社製)を用いて、各抗体の重鎖または軽鎖を発現可能なベクターpAP−AH(抗体A重鎖)、pAP−AL(抗体A軽鎖)、pAP−BH(抗体B重鎖)、pAP−BL(抗体B軽鎖)、pAP−CH(抗体C重鎖)およびpAP−CL(抗体C軽鎖)を抽出した。
(6)(5)で作製した発現ベクターのうち、抗体各鎖をコードする遺伝子周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBigDye Terminator Ver.3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(Applied Biosystems社製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号14(5’−TAATACGACTCACTATAGGG−3’)または配列番号15(5’−ATTAACCCTCACTAAAGGGCG−3’)に記載の配列からなるオゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
発現ベクターpAP−AHで発現される抗体A重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号16に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号17に、それぞれ示す。なお配列番号16に記載の配列からなる抗体A重鎖ポリペプチドのうち相補性決定領域(complementarity−determining region:CDR)は、50番目のアスパラギン酸(Asp)から54番目のアスパラギン酸(Asp)までの領域(配列番号18、CDR1)、69番目のアスパラギン酸(Asp)から85番目のアスパラギン酸(Asp)までの領域(配列番号19、CDR2)および118番目のトレオニン(Thr)から128番目のチロシン(Tyr)までの領域(配列番号20、CDR3)である。
発現ベクターpAP−ALで発現される抗体A軽鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号21に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号22に、それぞれ示す。なお配列番号21に記載の配列からなる抗体A軽鎖ポリペプチドのうちCDRは、46番目のアスパラギン(Asn)から55番目のチロシン(Tyr)までの領域(配列番号23、CDR1)、71番目のロイシン(Leu)から77番目のセリン(Ser)までの領域(配列番号24、CDR2)および110番目のグルタミン(Gln)から118番目のトレオニン(Thr)までの領域(配列番号25、CDR3)である。
発現ベクターpAP−BHで発現される抗体B重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号26に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号27に、それぞれ示す。なお配列番号26に記載の配列からなる抗体B重鎖ポリペプチドのうちCDRは、50番目のアスパラギン酸(Asp)から54番目のヒスチジン(His)までの領域(配列番号28、CDR1)、69番目のアルギニン(Arg)から85番目のアスパラギン酸(Asp)までの領域(配列番号29、CDR2)および116番目のアラニン(Ala)から127番目のチロシン(Tyr)までの領域(配列番号30、CDR3)である。
発現ベクターpAP−BLで発現される抗体B軽鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号31に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号32に、それぞれ示す。なお配列番号31に記載の配列からなる抗体B軽鎖ポリペプチドのうちCDRは、44番目のアルギニン(Arg)から58番目のグルタミン(Gln)までの領域(配列番号33、CDR1)、74番目のバリン(Val)から80番目のセリン(Ser)までの領域(配列番号34、CDR2)および113番目のグルタミン(Gln)から121番目のトレオニン(Thr)までの領域(配列番号35、CDR3)である。
発現ベクターpAP−CHで発現される抗体C重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号36に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号37にそれぞれ示す。なお配列番号36に記載の配列からなる抗体C重鎖ポリペプチドのうちCDRは、50番目のアラニン(Ala)から54番目のセリン(Ser)までの領域(配列番号38、CDR1)、69番目のトレオニン(Thr)から85番目のグリシン(Gly)までの領域(配列番号39、CDR2)および118番目のフェニルアラニン(Phe)から124番目のチロシン(Tyr)までの領域(配列番号40、CDR3)である。
発現ベクターpAP−CLで発現される抗体C軽鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号41に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号42にそれぞれ示す。なお配列番号41に記載の配列からなる抗体C軽鎖ポリペプチドのうちCDRは、44番目のリジン(Lys)から52番目のアラニン(Ala)までの領域(配列番号43、CDR1)、70番目のトリプトファン(Trp)から76番目のトレオニン(Thr)までの領域(配列番号44、CDR2)および109番目のグルタミン(Gln)から117番目のトレオニン(Thr)までの領域(配列番号45、CDR3)である。
実施例4 組換え抗体のgp130受容体への結合性評価
(1)50μg/mLのカナマイシンおよび10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)を添加した6ウェルプレートを用いて、各ウェルにCOS1細胞株を添加し、37℃、5%COの条件で培養した。
(2)細胞がコンフルエントになった後、各ウェル内の培地を0.5mLのOpti−MEM(Thermo Fisher Scientific社製)に交換した。
(3)培地交換後、実施例3で得た抗体Aの重鎖遺伝子を含んだ発現ベクターおよび軽鎖遺伝子を含んだ発現ベクター(pAP−AH、pAP−AL)、抗体Bの重鎖遺伝子を含んだ発現ベクターおよび軽鎖遺伝子を含んだ発現ベクター(pAP−BH、pAP−BL)または抗体Cの重鎖遺伝子を含んだ発現ベクターおよび軽鎖遺伝子を含んだ発現ベクター(pAP−CH、pAP−CL)各1μgと8μLのLipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific社製)との複合体を含んだOpti−MEM培地を各ウェルに250μL加え37℃、5%COの条件で2日間培養し抗体A、抗体Bおよび抗体Cのタンパク質を得た。
(4)(2)で得られた抗体のヒトgp130受容体に対する結合性を、実施例2(3)に記載のELISA法で評価した。
結果を図1に示す。黒棒はヒト可溶性gp130受容体を固定化したとき(gp130(+))の、白棒は前記gp130受容体を固定化していないとき(gp130(−)、ネガティブコントロール)の、それぞれ結果である。抗体A、抗体B、抗体C、いずれも可溶性ヒトgp130受容体に結合することが確認された。このことから抗体A(配列番号16に記載のアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号21に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖とを有した抗体)、抗体B(配列番号26に記載のアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号31に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖とを有した抗体)および抗体C(配列番号36に記載のアミノ酸配列からなる重鎖と、配列番号41に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖とを有した抗体)は、いずれもヒトgp130受容体と結合することがわかる。
実施例5 抗体精製
(1)実施例2で得た3種類のハイブリドーマを、30mLのHybridoma−SFM培地(Thermo Fisher Scientific社製)が入った5枚の150mmφディッシュ(住友ベークライト社製)で、それぞれ培養した。培養後、遠心分離により培養上清を取得した。
(2)(1)で得られた上清を、AKTAprime plus(GEヘルスケア社製)を用いて、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのTris−HCl(pH7.4)で平衡化した1mLのHiTrap Protein G HP Columns(GEヘルスケア社製)に流速1mL/分でアプライした。
(3)前記平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH2.8)で溶出した。なお得られた溶出液は、溶出液量の1/4量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を加えることでpHを中性付近に戻した。
この精製により、高純度の抗体Aを約5mg、抗体Bを約20mg、抗体Cを約2mg、それぞれ得た。
実施例6 エピトープマッピング
(1)配列番号1に記載のヒトgp130受容体のアミノ酸配列のうち、124番目のロイシン(Leu)から324番目のアスパラギン酸(Asp)までの領域(全201アミノ酸残基)に対して、2アミノ酸残基のギャップで当該領域をカバーするよう、15アミノ酸残基からなるオリゴペプチドを計94本合成した(表5、配列番号46から配列番号139に記載のアミノ酸配列からなるオリゴペプチド)。
Figure 2018153172
(2)(1)で合成した94本のペプチドをマイクロアレイスライドにリンカーを付加して固定化した。
(3)実施例5で精製した抗体A、抗体Bおよび抗体Cを10μg/mL、1μg/mL、0.5μg/mLまたは0.1μg/mLとなるようBlocking buffer(Pierce社製)で希釈し、前記マイクロアレイスライドに添加した。
(4)30℃で1時間静置した後、洗浄緩衝液(150mMの塩化ナトリウム、0.1%のTween 20を含んだTris−HCl(pH7.2))で洗浄し、2次抗体としてDyLight 650を結合したanti mouse IgG(H+L)(Thermo Fisher Scientific社製)をBlocking bufferで1μg/mLに希釈した上で添加した。
(5)30℃で1時間静置し、洗浄緩衝液で洗浄し乾燥後、Genepix Scanner 4200AL(Molecular Devices社製)にて蛍光をスキャンした。
各抗体10μg/mLの時の結果を表6に示す。今回検討した抗体(抗体A、抗体B、抗体C)はいずれも配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号127および配列番号128に記載のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドに対して高い結合性(高い蛍光強度)を有していた。配列番号108、配列番号109および配列番号110に記載のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドの共通領域は配列番号1に記載のヒトgp130受容体アミノ酸配列のうち252番目から262番目までの領域(具体的にはVIILKYNIQYR)であり、配列番号127および配列番号128に記載のアミノ酸配列からなるオリゴペプチドの共通領域は配列番号1に記載のヒトgp130受容体アミノ酸配列のうち288番目から300番目までの領域(具体的にはDLKPFTEYVFRIR)である。以上の結果から、今回検討した抗体(抗体A、抗体B、抗体C)はいずれもヒトgp130受容体(配列番号1)のVIILKYNIQYR領域(配列番号1の252番目から262番目までの領域)およびDLKPFTEYVFRIR領域(配列番号1の288番目から300番目までの領域)を少なくとも認識していることがわかる。
Figure 2018153172
実施例7 抗体によるIL−6シグナル抑制
(1)ヒトIL−6に感受性があり、かつヒトIL−6の添加により細胞増殖が促進される細胞株である7−TD−1(文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトを介して、理研BRCから提供されたRIKEN BRC Cell Bank No.RCB1190)を10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)で培養した。
(2)培養後、セルカウントを行ない、1×10cells/ウェル(培地1mL)となるよう、24ウェルプレートへ加えた。
(3)ヒトIL−6(和光純薬社製)を終濃度で50ng/mLとなるようウェルに加え、さらに実施例5で精製した抗体Aまたは抗体Bを終濃度で500ng/ウェルまたは1000ng/ウェルとなるよう加えた後、当該24ウェルプレートを37℃、5%COの条件で2日間静置培養した。
(4)(3)の培養後、ヒトIL−6未添加、ヒトIL−6のみ添加、ヒトIL−6および抗体(抗体Aまたは抗体B)を添加したウェルの細胞数を自動細胞測定装置Countness(Thermo Fisher Scientific社製)にて測定した。
抗体Aを用いたときの細胞数測定結果を図2に、抗体Bを用いたときの細胞数測定結果を図3に、それぞれ示す。ヒトIL−6を添加することでウェル中の7−TD−1細胞数がヒトIL−6未添加時と比較して増加していることから、7−TD−1はヒトIL−6により細胞数が増殖することが確認できた。一方、ヒトIL−6を添加したウェルに抗体Aまたは抗体Bを添加した場合、いずれも抗体未添加時と比較しウェル中の7−TD−1の増殖は抑制され、かつ当該抑制度合いは抗体の添加量に依存した結果となった(図2および図3)。以上の結果から、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトgp130受容体のうち、252番目のバリン(Val)から262番目のアルギニン(Arg)までのアミノ酸残基(具体的にはVIILKYNIQYR)および/または288番目のアスパラギン酸(Asp)から300番目のアルギニン(Arg)までのアミノ酸残基(具体的にはDLKPFTEYVFRIR)と少なくとも結合する抗体である、抗体Aおよび抗体Bはヒトgp130受容体に結合することでIL−6のシグナル伝達を抑制できることがわかる。
実施例8 抗体Aの親和性測定
(1)実施例5で調製した抗体A溶液を、限外ろ過にて濃縮しながらHBS−EP+緩衝液(GEヘルスケア社製)に置換後、HBS−EP+緩衝液(GEヘルスケア社製)にて16μg/mL、8μg/mL、4μg/mL、2μg/mL、1μg/mL、0.5μg/mL、0.25μg/mLおよび0.125μg/mLに希釈した。
(2)実施例1で調製したヒトgp130受容体を10mMの酢酸緩衝液(pH5.0)で10μg/mLとなるように希釈し、センサーチップCM5(GEヘルスケア社製)へアミンカップリング法を用いて固定化した(固定化量10RU相当)。
(3)ヒトgp130を固定化したチップへ(1)で調製した抗体A希釈溶液を接触時間200秒、解離時間800秒、流速30μL/分の条件で流し、固定化したヒトgp130受容体との相互作用をBiacoreT200(GEヘルスケア社製)を用いて測定した。解析ソフトにて親和性の解析を行なった結果、抗体Aの親和性はka=1.74×10[1/Ms]、kd=1.16×10−4[1/s]、KD=6.67×10−10[M]となり、高い親和性を有していることが確認できた。
実施例9 ヒト化抗体遺伝子の作製
(1)配列番号16に記載のアミノ酸配列のうち20番目のグルタミン酸から139番目のセリンまでのアミノ酸残基からなる、抗体Aの重鎖可変(VH)領域中のフレームワーク領域(FR)、および配列番号21に記載のアミノ酸配列のうち23番目のグルタミンから129番目のアルギニンまでのアミノ酸残基からなる、抗体Aの軽鎖可変(VL)領域中のフレームワーク領域(FR)を、マウス抗体のアミノ酸残基からヒト抗体のアミノ酸残基に変更したもの(以下、ヒト化抗体Aともいう)を、統合計算化学システム「MOE」(Chemical Computing Group社製)を用いて設計した。
設計した9種類のヒト化抗体AのVH領域(AH1からAH9)および8種のヒト化抗体AのVL領域(AL1からAL8)のうち、AH1のアミノ酸配列を配列番号140に、AH1をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号141に、AH2のアミノ酸配列を配列番号142に、AH2をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号143に、AH3のアミノ酸配列を配列番号144に、AH3をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号145に、AH4のアミノ酸配列を配列番号146に、AH4をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号147に、AH5のアミノ酸配列を配列番号148に、AH5をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号149に、AH6のアミノ酸配列を配列番号150に、AH6をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号151に、AH7のアミノ酸配列を配列番号152に、AH7をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号153に、AH8のアミノ酸配列を配列番号154に、AH8をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号155に、AH9のアミノ酸配列を配列番号156に、AH9をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号157に、AL1のアミノ酸配列を配列番号158に、AL1をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号159に、AL2のアミノ酸配列を配列番号160に、AL2をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号161に、AL3のアミノ酸配列を配列番号162に、AL3をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号163に、AL4のアミノ酸配列を配列番号164に、AL4をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号165に、AL5のアミノ酸配列を配列番号166に、AL5をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号167に、AL6のアミノ酸配列を配列番号168に、AL6をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号169に、AL7のアミノ酸配列を配列番号170に、AL7をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号171に、AL8のアミノ酸配列を配列番号172に、AL8をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号173に、それぞれ示す。
(2)(1)で設計した、ヒト化抗体AのVH領域をコードするポリヌクレオチド(配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155、配列番号157に記載の配列からなるポリヌクレオチド)に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)およびNheI認識配列(GCTAGC)を付加したポリヌクレオチド、またはVL領域をコードするポリヌクレオチド(配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171および配列番号173に記載の配列からなるポリヌクレオチド)に制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)およびBsiWI認識配列(CGTACG)を付加し、クローニング後にフレームシフトをしないように調整したポリヌクレオチドをそれぞれ全合成(FASMAC社に委託)し、それぞれプラスミドにクローニングした。
(3)実施例1で作製したpCAG−dhfrを鋳型として配列番号174(5’−TTTAAATCAGCGGCCGCGCAGCACCATGGCCTGAAATAACCTCTG−3’)および配列番号175(5’―GCAAGTAAAACCTCTACAAATGTGGTAAACGATCGCTCCGGTGCCCGT―3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で1分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより増幅したPCR産物(SV40プロモーター、dhfr、SV40のPolyAまでの領域を)をdhfr−P1と命名した。
Figure 2018153172
(4)ヒト抗体の重鎖定常領域を含んだpFUSEss−CHIg−hG1(InvivoGen社製)、ヒト抗体の軽鎖定常領域を含んだpFUSE2ss−CLIg−hk(InvivoGen社製)および(3)で作製したdhfr−P1をそれぞれ制限酵素NotIおよびPvuIで消化・精製し、ライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでSV40プロモーター、dhfr、SV40のPolyAを含んだpFUSEss−CHIg−hG1、pFUSE2ss−CLIg−hkを得た。pFUSEss−CHIg−hG1にSV40プロモーター、dhfrおよびSV40のPolyAを組込んだプラスミドをpFU−CHIg−dhfrと命名し、pFUSE2ss−CLIg−hkにSV40プロモーター、dhfrおよびSV40のPolyAを組込んだプラスミドをpFU−CLIg−dhfrと命名した。
(5)(2)で作製した、ヒト化抗体AのVH領域をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドで大腸菌JM109株をそれぞれ形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミド抽出後、制限酵素EcoRIおよびNheIで消化することで、ヒト化抗体AのVH領域をコードするポリヌクレオチド(配列番号141、配列番号143、配列番号145、配列番号147、配列番号149、配列番号151、配列番号153、配列番号155および配列番号157に記載の配列からなるポリヌクレオチド)を調製した。
(6)(4)で作製したpFU−CHIg−dhfrを制限酵素EcoRIおよびNheIで消化・精製後、(5)で調製したポリヌクレオチドとライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、ヒト化抗体Aの重鎖(H鎖)を発現するプラスミドを作製した。
作製したプラスミドのうち、AH1(配列番号140)をコードするポリヌクレオチド(配列番号141)を含むプラスミドをpFU−AH1と命名し、AH2(配列番号142)をコードするポリヌクレオチド(配列番号143)を含むプラスミドをpFU−AH2と命名し、AH3(配列番号144)をコードするポリヌクレオチド(配列番号145)を含むプラスミドをpFU−AH3と命名し、AH4(配列番号146)をコードするポリヌクレオチド(配列番号147)を含むプラスミドをpFU−AH4と命名し、AH5(配列番号148)をコードするポリヌクレオチド(配列番号149)を含むプラスミドをpFU−AH5と命名し、AH6(配列番号150)をコードするポリヌクレオチド(配列番号151)を含むプラスミドをpFU−AH6と命名し、AH7(配列番号152)をコードするポリヌクレオチド(配列番号153)を含むプラスミドをpFU−AH7と命名し、AH8(配列番号154)をコードするポリヌクレオチド(配列番号155)を含むプラスミドをpFU−AH8と命名し、AH9(配列番号156)をコードするポリヌクレオチド(配列番号157)を含むプラスミドをpFU−AH9と命名した。
(7)(2)で作製した、ヒト化抗体AのVL領域をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドで大腸菌JM109株をそれぞれ形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミド抽出後、制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化することで、ヒト化抗体AのVL領域をコードするポリヌクレオチド(配列番号159、配列番号161、配列番号163、配列番号165、配列番号167、配列番号169、配列番号171および配列番号173に記載の配列からなるポリヌクレオチド)を調製した。
(8)(4)で作製したpFU−CLIg−dhfrを制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化・精製後、(7)で調製したポリヌクレオチドとライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでヒト化抗体Aの軽鎖(L鎖)を発現するプラスミドを作製した。
作製したプラスミドのうち、AL1(配列番号158)をコードするポリヌクレオチド
(配列番号159)を含むプラスミドをpFU−AL1と命名し、AL2(配列番号160)をコードするポリヌクレオチド(配列番号161)を含むプラスミドをpFU−AL2と命名し、AL3(配列番号162)をコードするポリヌクレオチド(配列番号163)を含むプラスミドをpFU−AL3と命名し、AL4(配列番号164)をコードするポリヌクレオチド(配列番号165)を含むプラスミドをpFU−AL4と命名し、AL5(配列番号166)をコードするポリヌクレオチド(配列番号167)を含むプラスミドをpFU−AL5と命名し、AL6(配列番号168)をコードするポリヌクレオチド(配列番号169)を含むプラスミドをpFU−AL6と命名し、AL7(配列番号170)をコードするポリヌクレオチド(配列番号171)を含むプラスミドをpFU−AL7と命名し、AL8(配列番号172)をコードするポリヌクレオチド(配列番号173)を含むプラスミドをpFU−AL8と命名した。
実施例10 ヒト化抗体Aのヒトgp130受容体への結合性評価
(1)実施例9(6)で作製したヒト化抗体AのH鎖を発現するプラスミド100ngおよび実施例9(8)で作製したヒト化抗体AのL鎖を発現するプラスミド100ngを加えた25μLのOpti−MEM培地(Thermo Fisher Scientific社製社製)と、1μLのLipofectamine2000(Thermo Fisher Scientific社製社製)を含んだ25μLのOpti−MEM培地とを混合し室温で20分間静置した。
(2)96穴培養プレートを用いて10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地で培養したCOS1細胞(アフリカミドリザルの腎線維芽細胞)の培地を、90μLのOpti−MEM培地に交換し、(1)に記載の抗体発現プラスミドとLipofectamine2000を含んだOpti−MEM培地を加えることでトランスフェクションを行ない、37℃、5%CO環境下で2日間静置することでヒト化抗体Aを発現させた。
(3)発現させたヒト化抗体Aのヒトgp130受容体に対する結合性を実施例2(3)に記載のELISA法と同様の方法を用いて確認した。ELISA法はヒト化抗体を検出するためにぺルオキシターゼ標識された抗ヒト抗体(Bethyl社製)を使用した以外は実施例2(3)に記載と同様の方法を用いた。
結果を表8に示す。表8において、数値はELISAの吸光度であり、その数値が大きいほどgp130に対する結合性が強いことを表している。表8より、ヒト化抗体AのVH領域とVL領域との組み合わせが、AH1(配列番号140)−AL7(配列番号170)、AH2(配列番号142)−AL1(配列番号158)、AH2(配列番号142)−AL2(配列番号160)、AH2(配列番号142)−AL3(配列番号162)、AH2(配列番号142)−AL4(配列番号164)、AH2(配列番号142)−AL5(配列番号166)、AH2(配列番号142)−AL6(配列番号168)、AH2(配列番号142)−AL7(配列番号170)、AH2(配列番号142)−AL8(配列番号172)、AH3(配列番号144)−AL1(配列番号158)、AH3(配列番号144)−AL2(配列番号160)、AH3(配列番号144)−AL3(配列番号162)、AH3(配列番号144)−AL4(配列番号164)、AH3(配列番号144)−AL5(配列番号166)、AH3(配列番号144)−AL6(配列番号168)、AH3(配列番号144)−AL7(配列番号170)、AH4(配列番号146)−AL7(配列番号170)、AH5(配列番号148)−AL1(配列番号158)、AH5(配列番号148)−AL3(配列番号162)、AH5(配列番号148)−AL4(配列番号164)、AH5(配列番号148)−AL5(配列番号166)、AH5(配列番号148)−AL7(配列番号170)、AH6(配列番号150)−AL7(配列番号170)、AH7(配列番号152)−AL1(配列番号158)、AH7(配列番号152)−AL2(配列番号160)、AH7(配列番号152)−AL3(配列番号162)、AH7(配列番号152)−AL4(配列番号164)、AH7(配列番号152)−AL5(配列番号166)、AH7(配列番号152)−AL6(配列番号168)、AH7(配列番号152)−AL7(配列番号170)、AH7(配列番号152)−AL8(配列番号172)、AH8(配列番号154)−AL1(配列番号158)、AH8(配列番号154)−AL4(配列番号164)、AH8(配列番号154)−AL7(配列番号170)およびAH9(配列番号156)−AL7(配列番号170)においてヒトgp130受容体との結合性を確認できた。このことから抗体のフレームワーク領域(FR)をマウス抗体のアミノ酸残基からヒト抗体のアミノ酸残基へ変更しても、抗原との結合性を示すヒト化抗gp130受容体抗体が得られることがわかる。
表8の結果から、今回検討したヒト化抗体AのVL領域のうち、AL7(配列番号170)は、今回検討したすべてのヒト化抗体AのVH領域との組合せで高いヒトgp130受容体との結合性を示していた。そこでAL7(配列番号170)と今回設計した他のヒト化抗体AのVL領域(AL1からAL6およびAL8)とでFRのアミノ酸配列を比較したところ、配列番号170の34番目から48番目までのアミノ酸配列の領域で特徴的な配列を見出した(表9)。このことから、配列番号170の34番目から48番目のアミノ酸配列を含む軽鎖FRを有した抗体は、ヒトgp130受容体に対する抗体として好ましい態様であることが示唆される。
Figure 2018153172
Figure 2018153172
実施例11 ヒト化抗体Aの親和性評価
実施例10でヒトgp130受容体への結合性を示したヒト化抗体AのVH領域とVL領域との組み合わせのうち、AH2(配列番号142)−AL3(配列番号162)およびAH2(配列番号142)−AL4(配列番号164)の組み合わせについて親和性を測定した。
(1)実施例9で作製したpFU−AH2、pFU−AL3およびpFU−AL4で形質転換された大腸菌JM109株をそれぞれ培養し、プラスミドを抽出することでpFU−AH2、pFU−AL3およびpFU−AL4を得た。
(2)12μgのpFU−AH2および12μgのpFU−AL3、または12μgのpFU−AH2および12μgのpFU−AL4を加えた、1.5mLのOpti−MEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)と、60μLのLipofectamine2000(Thermo Fisher Scientific社製社製)を含んだ1.5mLのOpti−MEM培地を混合し、室温で20分間静置した。
(3)90mmφの培養ディッシュ(住友ベークライト社製)を用いて10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地で培養したCOS1細胞(アフリカミドリザルの腎線維芽細胞)の培地を、9mLのOpti−MEM培地に交換し、上記のpFU−AH2およびpFU−AL3の組み合わせ、またはpFU−AH2およびpFU−AL4の組み合わせと、Lipofectamine2000を含んだOpti−MEM培地とを加えることでトランスフェクションを行ない、37℃、5%CO環境下で3日間静置することで、AH2−AL3およびAH2−AL4を発現させた。
(4)(3)で発現させたAH2−AL3およびAH2−AL4を含む培養液から遠心分離することで細胞を除去した培養上清を、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化した1mLのTOYOPEARL AF−rProteinA−650F(東ソー社製)にアプライした。10mLの150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸(pH3.0)で溶出し精製した。精製後直ちに溶出量の1/4量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)を加えることでpHを中性に戻した。
(5)精製したAH2−AL3およびAH2−AL4を、限外ろ過にて濃縮しながらHBS−EP+緩衝液(GEヘルスケア社製)に置換し、HBS−EP+緩衝液(GEヘルスケア社製)にて16μg/mL、8μg/mL、4μg/mL、2μg/mL、1μg/mL、0.5μg/mL、0.25μg/mLおよび0.125μg/mLに希釈した。
(6)実施例1で調製したヒトgp130受容体を10mMの酢酸緩衝液(pH5.0)へ10μg/mLとなるように希釈し、センサーチップCM5(GEヘルスケア社製)へアミンカップリング法を用いて固定化した(固定化量266RU相当)。
(7)ヒトgp130受容体固定化センサーチップへ(5)で調製した各濃度のAH2−AL3およびAH2−AL4希釈溶液を接触時間230秒、解離時間800秒、流速30μL/分の条件で流し、固定化したヒトgp130受容体との相互作用をBiacoreT200(GEヘルスケア社製)を用いて測定した。
解析ソフトにて親和性の解析を行なった結果、AH2−AL3の親和性はka=7.0
6×10[1/Ms]、kd=2.68×10−4[1/s]、KD=3.80×10
−9[M]であり、AH2−AL4の親和性はka=6.27×10[1/Ms]、k
d=2.89×10−4[1/s]、KD=4.61×10−9[M]であった。このこ
とから、ヒト化抗体AH2−AL3およびヒト化抗体AH2−AL4の親和性は、実施例
8に記載のヒト化前の抗体A(マウス抗体)の親和性(KD=6.67×10−10[M
])とほぼ同等の親和性を有していることが確認された。
実施例12 L鎖フレームライブラリーの作製
(1)配列番号21に記載のアミノ酸配列のうち23番目のグルタミン(Gln)から129番目のアルギニン(Arg)までのアミノ酸残基からなる、抗体Aの軽鎖可変(VL)領域中のフレームワーク領域(FR)をヒト化した抗体のアミノ酸残基を、統合計算化学システム「MOE」(Chemical Computing Group社製)を用いて5種設計した。
設計したヒト化抗体AのVL領域(AL9からAL13)のうち、AL9のアミノ酸配列を配列番号176に、AL9をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号177に、AL10のアミノ酸配列を配列番号178に、AL10をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号179に、AL11のアミノ酸配列を配列番号180に、AL11をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号181に、AL12のアミノ酸配列を配列番号182に、AL12をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号183に、AL13のアミノ酸配列を配列番号184に、AL13をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号185に示した。
(2)配列番号177、179、181、183および185に記載のポリヌクレオチドに制限酵素EcoRI認識配列(GAATTC)およびBsiWI認識配列(CGTACG)を付加し、クローニング後にフレームシフトをしないように調整したポリヌクレオチドをそれぞれ全合成(FASMAC社に委託)し、それぞれプラスミドにクローニングした。
(3)(2)で作製した、ヒト化抗体AのVL領域をコードする5種類のポリヌクレオチドをそれぞれ含むプラスミドで大腸菌JM109株をそれぞれ形質転換した。得られた形質転換体を培養し、プラスミド抽出後、制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化することで、5種類のヒト化抗体AのVL領域をコードするポリヌクレオチド(配列番号177、179、181、183および185に記載の配列からなるポリヌクレオチド)を調製した。
(4)実施例9(4)で作製したpFU−CLIg−dhfrを制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化・精製後、調製した5種類のヒト化抗体AのVL領域をコードするポリヌクレオチドとそれぞれライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでヒト化抗体AのL鎖を発現するプラスミドを作製した。
作製したプラスミドのうち、AL9(配列番号176)をコードするポリヌクレオチド(配列番号177)を含むプラスミドをpFU−AL9と命名し、AL10(配列番号178)をコードするポリヌクレオチド(配列番号179)を含むプラスミドをpFU−AL10と命名し、AL11(配列番号180)をコードするポリヌクレオチド(配列番号181)を含むプラスミドをpFU−AL11と命名し、AL12(配列番号182)をコードするポリヌクレオチド(配列番号183)を含むプラスミドをpFU−AL12と命名し、AL13(配列番号184)をコードするポリヌクレオチド(配列番号185)を含むプラスミドをpFU−AL13と命名した。
(5)ヒト抗体の軽鎖定常領域を含んだプラスミドpFUSE2ss−CLIg−hk(InvivoGen社製)を鋳型として配列番号186(5’−GACAGATCTGCTCCGGTGCCCGTCAGTGGGCAGAG−3’)および配列番号187(5’−TAGGCGGCCGCTCCCTCTAACACTCTCCCCTGTTGAAG−3’)に記載のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてとしてPCRを行なった。具体的には表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(6)(5)で得られたプロモーター、IL−2分泌シグナル、ヒトIgκ鎖をコードする遺伝子を含んだPCR産物を精製後、制限酵素BglIIおよびNotIで消化し、同制限酵素で消化した実施例1(4)で作製したpCAG−dhfrとライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、培養した形質転換体からプラスミドを抽出することでヒト抗体の軽鎖定常領域を発現可能なpEF-hLを得た。
(7)実施例9で作製した8種類のヒト化L鎖(pFU−AL1、pFU−AL2、pFU−AL3、pFU−AL4、pFU−AL5、pFU−AL6、pFU−AL7、およびpFU−AL8)ならびに(2)で作製した5種類のヒト化L鎖(pFU−AL9、pFU−AL10、pFU−AL11、pFU−AL12およびpFU−AL13)を各50ng/μLとなるように混合したものを鋳型とし、配列番号188(5’−CACTTGTCACGAATTC−3’)、189(5’−AACGTGAGCTCCTCCGTAACCTC−3’)、191(5’−CTGACCTCCAATCTGGCATCT−3’)および193(5’−CAGCAGTGGTCCACCAATCCCTTGAC−3’)のいずれかに記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号190(5’−GAGGTTACGGAGGAGCTCACGTT−3’)、192(5’−AGATGCCAGATTGGAGGTCAG−3’)、194(5’−GTCAAGGGATTGGTGGACCACTGCTG−3’)および195(5’−GTGCAGCCACCGTACG−3’)のいずれかに記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとしてPCRを行なった。具体的には表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で30秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
配列番号188に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号190に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR1をコードしておりAL−FR1と命名した。また配列番号189に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号192に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR2をコードしておりAL−FR2と命名した。また配列番号191に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号194に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR3をコードしておりAL−FR3と命名した。また配列番号193に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号195に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして得られたPCR産物はヒト化L鎖の可変領域にある4つのFRのうちFR4をコードしておりAL−FR4と命名した。
(8)(7)で得られたPCR産物を精製した後、これら各1μLの混合物を鋳型とし、配列番号188に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号195に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとしてPCRを行なった。具体的には表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(9)(8)で得られたPCR産物を精製後、制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化し、同様に制限酵素EcoRIおよびBsiWIで消化し精製した(6)で作製したpEF−hLとライゲーションした。
(10)(9)で得られたライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、50μg/mLのカルベニシリンを含んだLBプレート培地に散布することで、抗体AのL鎖フレーム領域がヒト化されライブラリーとなったヒト化L鎖フレームライブラリーのコロニーを得た。
実施例13 ヒト化L鎖フレームライブラリースクリーニング
(1)実施例3で作製したpAP−AH(抗体A重鎖、ヒト化前のマウス抗体)を鋳型とし配列番号196(5’−AGATGCTAGCACCATGGGATGGAGCTGGATC−3’)および配列番号197(5’−AAGGGCGGCCGCTCATTTACCAGGAGAGTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で1分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより増幅したPCR産物(配列番号16に記載の抗体A重鎖のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド)をAH−Pと命名した。
(2)実施例3で作成したpAP−AL(抗体A軽鎖、ヒト化前のマウス抗体)を鋳型とし配列番号198(5’−AGATGCTAGCACCATGGATTTTCAAGTGC−3’)および配列番号199(5’−AAGGGCGGCCGCCTAACACTCATTCCTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行なった。具体的には、表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で1分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。このPCRにより増幅したPCR産物(配列番号21に記載の抗体A軽鎖のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド)をAL−Pと命名した。
(3)(1)で作製したAH−Pおよび(2)で作製したAL−Pを精製後、制限酵素NheIおよびNotIで消化し、同様に制限酵素NheIおよびNotIで消化し精製した実施例1で作製したpCAG−dhfrとライゲーションした。当該ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し50μg/mLのカルベニシリンを含んだLB培地で培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで抗体AのH鎖を発現するプラスミドpCAG−AHおよび抗体AのL鎖を発現するプラスミドpCAG−ALを作製した。
(4)100μg/mLのカルベニシリンを含んだ2xYTが1.5mL/ウェル入った96穴ディープウェルに実施例12で得たL鎖フレームライブラリーのコロニーをピックアップし37℃、1000rpmで一晩振盪培養した。培養後、2000rpmで20分間遠心することで集菌し、Direct Prep96Kit(キアゲン社製)を用いてプラスミドを調製した。
(5)実施例9で作製した重鎖可変(VH)領域がAH2(配列番号142)であるヒト化抗体AのH鎖発現プラスミドpFU−AH2を150ng、(4)で調製したヒト化L鎖フレームライブラリー発現プラスミドを2μLおよび0.2μLのP3000試薬(Thermo Fisher Scientific社製)を含んだ20μLのOpti−MEMと0.2μLのLipofectamine3000(Thermo Fisher Scientific社製)を含んだ20μLのOpti−MEMとを混合し15分間室温で静置した。当該混合物を50μg/mLのカナマイシンおよび10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて96ウェルプレートで37℃、5%COの条件で培養し、コンフルエントになったCOS1細胞の培養上清を90μLのOpti−MEMに交換した後に加え37℃、5%COの条件下で2日間静置培養することで、ヒト化抗体Aを発現させた。
(6)発現させたヒト化抗体Aのヒトgp130受容体への結合性を、検出に用いる標識抗体を抗ヒト抗体(Bethyl社製)にした以外は実施例2(3)に記載のELISAと同様の方法で評価した。ヒト化L鎖フレームライブラリーから約1400クローンを評価した結果、ヒトgp130受容体と結合性を示した49クローンを得た。
(7)実施例9で作製したpFU−AH2を250ng、(6)で選択したヒト化A抗体のL鎖発現クローンをプラスミドとして250ng、および1μLのP3000試薬を含んだ50μLのOpti−MEMと1μLのLipofectamine3000を含んだ50μLのOpti−MEMとを混合し、15分室温で静置した後、当該混合物を50μg/mLのカナマイシンおよび10%(w/v)のウシ血清を含んだDMEM培地を用いて24ウェルプレートで37℃、5%COの条件でCOS1細胞を培養した。
(8)コンフルエントになった細胞の培養上清を400μLのOpti−MEMに交換した後、37℃、5%COの条件下で2日間静置培養することで、ヒト化抗体Aを発現させた。
(9)(5)および(6)に記載と同様な方法で、(3)で作製したpCAG−AH、pCAG−ALを用いてコントロールであるマウス抗体Aも発現させた。
(10)アミンカップリングキットを用いて、実施例1に記載の方法で調製したヒトgp130受容体を、センサーチップCM5(GEヘルスケア社製)へ固定化し(固定化量:4023RU相当)、(8)で発現させたヒト抗体Aおよび(9)で発現させたマウス抗体Aを接触時間200秒、解離時間800秒、流速30μL/分の条件で前記固定化したセンサーチップCM5へ流し、固定化したヒトgp130受容体との相互作用をBiacoreT200(GEヘルスケア社製)にて測定した。前記測定結果に基づき、固定化したヒトgp130受容体と結合したヒト化抗体Aとの解離特性がマウス抗体Aと比較し解離が遅い、ヒト化抗体AのL鎖をスクリーニングし、4種類のクローンを得た。
前記方法で得られた、ヒト化抗体AのL鎖を発現するクローンをAL−4F1、AL−6E6、AL−13H10およびAL−14A10と命名した。またAL−4F1が有するヒト化抗体L鎖発現プラスミドをpFU−AL−4F1と命名し、AL−6E6が有するヒト化抗体L鎖発現プラスミドをpFU−AL−6E6と命名し、AL−13H10が有するヒト化抗体L鎖発現プラスミドをpFU−AL−13H10と命名し、AL−14A10が有するヒト化抗体L鎖発現プラスミドをpFU−AL−14A10と命名した。pFU−AL−4F1で発現するヒト化抗体L鎖AL−L4F1のアミノ酸配列を配列番号200に、AL−L4F1をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号201に、pFU−AL−6E6で発現するヒト化抗体L鎖AL−L6E6のアミノ酸配列を配列番号202に、AL−L6E6をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号203に、pFU−AL−13H10で発現するヒト化抗体L鎖AL−L13H10のアミノ酸配列を配列番号204に、AL−L13H10をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号205に、pFU−AL−14A10で発現するヒト化抗体L鎖AL−L14A10のアミノ酸配列を配列番号206に、AL−L14A10をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号207に、それぞれ示す。
実施例14 ヒト化抗体AH2−L13H10の親和性測定
(1)実施例13で得られたヒト化抗体L鎖発現プラスミドのうちpFU−AL−13H10を選択し、当該プラスミド2μgと実施例9で作製した重鎖可変(VH)領域がAH2(配列番号142)であるヒト化抗体AのH鎖発現プラスミドpFU−AH2 1μgとを混合し、NeonTransfection System(Thermo Fisher Scientific社製)を用いたエレクトロポレーション(1700V、20ms、1回)でCHO細胞(DG44株)に遺伝子導入した。
(2)遺伝子導入細胞をCD OptiCHO Mediumにて三角フラスコで振盪培養(37℃、8%のCO、130rpm)し、ヒト化抗体AH2‐L13H10を分泌発現させた。
(3)得られた培養液中に含まれる細胞および不純物を遠心分離により除去し、得られた上清を、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのTris−HCl(pH7.4)で平衡化したプロテインAゲル(東ソー社製)1mLを充填したオープンカラムにアプライした。
(4)前記平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出した。なお前記溶出液は当該溶出液の1/4量の1M Tris−HCl(pH8.0)を加えることでpHを中性にした。
(5)中性にした溶出液を限外ろ過で濃縮し、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのTris−HCl(pH7.4)に緩衝液交換することでヒト化抗体AH2−L13H10タンパク質を得た。
(6)280nmの吸光にて濃度測定を行ない、吸光係数=1.4としてヒト化抗体タンパク質濃度を算出後、アミンカップリングキットを用いて、実施例1に記載の方法で調製したヒトgp130受容体を、センサーチップCM5(GEヘルスケア社製)へ固定化し(固定化量:389RU相当)、(2)で調製したヒト化抗体(AH2−L13H10)を接触時間200秒、解離時間800秒、流速30μL/分の条件で流し、固定化したヒトgp130受容体との相互作用をBiacore T200(GEヘルスケア社製)にて測定した。
解析ソフトにて親和性の解析を行なった結果、ヒト化抗体AH2−13H10の親和性はka=8.93×10[1/Ms]、kd=2.03×10−4[1/s]、KD=2.27×10−9[M]となり、高い親和性を有していることが確認できた。ヒト化抗体AH2−13H10の親和性は、実施例11で作製したヒト化抗体AH2−AL3およびAH2−AL4のKD値(AH2−AL3:3.80×10−9[M]、AH2−AL4:4.61×10−9[M]よりも低く、より高い親和性を有していた。
実施例15 VH領域の改良と親和性測定
(1)実施例9で作製した重鎖可変(VH)領域がAH2(配列番号142)であるヒト化抗体AのH鎖発現プラスミドpFU−AH2を鋳型とし、配列番号208(5’−CACTTGTCACGAATTCGCAGGTTCAACTCCAGCAACCAGG−3’)または配列番号209(5’−GCGGTTTACTACTGCGCTCGTACCTACTAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号210(5’−GTAGTAGGTACGAGCGCAGTAGTAAACCGC−3’)または配列番号211(5’−GGCCCTTGGTGCTAGCCGCAGAAACAGTAACGAGGGTACC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとしてPCRを行なった。具体的には表10に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で30秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
配列番号208に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号210に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして得られたPCR産物をAH2−2P1と命名し、配列番号209に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号211に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして得られたPCR産物をAH2−2P2と命名した。
Figure 2018153172
(2)(1)で作製したAH2−2P1とAH2−2P2の精製産物を鋳型とし、配列番号208に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとし、配列番号211に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとしてPCRを行なった。具体的には表7に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をAH2−2P3とした。
(3)AH2−2P3および実施例9(4)で作製したpFU−CLIg−dhfrを制限酵素EcoRIおよびNheIで消化後、精製し、AH2−2P3とpFU−CLIg−dhfrとをライゲーションした。
(4)ライゲーション産物で大腸菌JM109株を形質転換し、ゼオシンを含んだLB培地で培養した形質転換体からプラスミドを抽出することで、ヒト化抗体AH2−2を含んだpFU−AH2−2を得た。配列解析の結果、pFU−AH2−2にクローニングしたヒト化抗体AのH鎖であるAH2−2のアミノ酸配列を配列番号212に、AH2−2をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号213に示した。配列番号212に記載のAH2−2のアミノ酸配列のうちVH領域(1番目のグルタミン(Gln)から120番目のアラニン(Ala)まで)のアミノ酸配列は、配列番号142に記載のVH領域アミノ酸配列(AH2)のうち97番目のトレオニン(Thr)をアラニン(Ala)に置換したアミノ酸配列と同一である。
(5)実施例13で得られたpFU−AL−4F1、pFU−AL−6E6およびpFU−AL−14H10を各2μgと(2)で作製したpFU−AH2−2を1μgとをそれぞれ混合し、実施例14(1)と同様の方法でCHO細胞(DG44株)へ遺伝子導入した。
(6)遺伝子導入したCHO細胞から実施例14(2)から(5)と同様の方法で、ヒト化抗体AH2−2AL4F1、AH2−2L6E6、AH2−2L14H10タンパク質を調製した。
(7)実施例14(6)と同様な方法でタンパク質濃度を算出後、ヒトgp130受容体を固定化したセンサーチップCM5(GEヘルスケア社製)を用いて、実施例14(6)と同様の方法でヒト化抗体Aの親和性を測定した。
結果、AH2−2AL4F1の親和性はka=1.11×10[1/Ms]、kd=2.21×10−4[1/s]、KD=1.98×10−9[M]であり、AH2−2L6E6の親和性はka=2.11×10[1/Ms]、kd=2.09×10−4[1/s]、KD=9.91×10−10[M]であり、AH2−2L14A10の親和性はka=1.55×10[1/Ms]、kd=2.02×10−4[1/s]、KD=1.30×10−9[M]であった。ヒト化抗体AH2−2L4F1、AH2−2L6E6、AH2−2L14A10の親和性は、いずれも実施例14で作製したヒト化抗体AH2−L13H10のKD値(KD=2.27×10−9[M])とほぼ同様の親和性であり、実施例11で作製したヒト化抗体AH2−AL3およびAH2−AL4のKD値(AH2−AL3:3.80×10−9[M]、AH2−AL4:4.61×10−9[M]よりも低く、より高い親和性を有していた。
実施例11(AH2−AL3およびAH2−AL4)、実施例14(AH2−L13H10)ならびに本実施例(AH2−2L4F1、AH2−2L6E6、およびAH2−2L14A10)で作製したヒト化抗体Aが有する親和性と、ヒト化前の抗体A(マウス抗体)が有する親和性(実施例8)とを比較した表を表11に示す。実施例14および本実施例で作製したヒト化抗体はいずれも、実施例11で作製したヒト化抗体と同様、ヒト化前の抗体A(マウス抗体)の親和性とほぼ同等の親和性を有していることが確認された。
Figure 2018153172

Claims (13)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトgp130受容体の、少なくとも以下の(1)および/または(2)に示すアミノ酸残基と結合可能な、インターロイキン−6ファミリーサイトカインに対するアンタゴニスト。
    (1)配列番号1の252番目のバリンから262番目のアルギニンまでのアミノ酸残基
    (2)配列番号1の288番目のアスパラギン酸から300番目のアルギニンまでのアミノ酸残基
  2. アンタゴニストが抗体である、請求項1に記載のアンタゴニスト。
  3. 抗体の重鎖相補性決定領域(CDR)1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3が、それぞれ以下に示すアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のアンタゴニスト。
    重鎖CDR1:配列番号18、配列番号28又は配列番号38に記載のアミノ酸配列
    重鎖CDR2:配列番号19、配列番号29又は配列番号39に記載のアミノ酸配列
    重鎖CDR3:配列番号20、配列番号30又は配列番号40に記載のアミノ酸配列
    軽鎖CDR1:配列番号23、配列番号33又は配列番号43に記載のアミノ酸配列
    軽鎖CDR2:配列番号24、配列番号34又は配列番号44に記載のアミノ酸配列
    軽鎖CDR3:配列番号25、配列番号35又は配列番号45に記載のアミノ酸配列
  4. 抗体の重鎖CDRおよび軽鎖CDRのアミノ酸配列が、以下の(a)から(c)のいずれかである、請求項2又は3に記載のアンタゴニスト。
    (a)重鎖CDR1が配列番号18に、重鎖CDR2が配列番号19に、重鎖CDR3が配列番号20に、軽鎖CDR1が配列番号23に、軽鎖CDR2が配列番号24に、及び軽鎖CDR3が配列番号25に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (b)重鎖CDR1が配列番号28に、重鎖CDR2が配列番号29に、重鎖CDR3が配列番号30に、軽鎖CDR1が配列番号33に、軽鎖CDR2が配列番号34に、及び軽鎖CDR3が配列番号35に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (c)重鎖CDR1が配列番号38に、重鎖CDR2が配列番号39に、重鎖CDR3が配列番号40に、軽鎖CDR1が配列番号43に、軽鎖CDR2が配列番号44に、及び
    軽鎖CDR3が配列番号45に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
  5. 抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列が、以下の(A)から(C)のいずれかである、請求項2〜4いずれかに記載のアンタゴニスト。
    (A)重鎖が配列番号16に、及び軽鎖が配列番号21に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (B)重鎖が配列番号26に、及び軽鎖が配列番号31に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (C)重鎖が配列番号36に、及び軽鎖が配列番号41に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
  6. 抗体の軽鎖フレームワーク領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号170の34番目のトリプトファンから48番目のチロシンまでのアミノ酸配列を含む、請求項2〜4いずれかに記載のアンタゴニスト。
  7. 抗体の軽鎖可変(VL)領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号170に記載のアミノ酸配列を含む、請求項2〜4及び6のいずれかに記載のアンタゴニスト。
  8. 抗体の重鎖可変(VH)領域のアミノ酸配列が、少なくとも配列番号142又は配列番号152に記載のアミノ酸配列を含む、請求項2〜4、6及び7のいずれかに記載のアンタゴニスト。
  9. 抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列が、以下の(i)から(ix)のいずれかである、請求項2〜4いずれかに記載のアンタゴニスト。
    (i)VH領域が配列番号140に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (ii)VH領域が配列番号142に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170、配列番号172又は配列番号204の1番目から107番目にそれぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (iii)VH領域が配列番号144に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (iv)VH領域が配列番号146に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (v)VH領域が配列番号148に、VL領域が配列番号158、配列番号162、配列番号164、配列番号166又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む(vi)VH領域が配列番号150に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (vii)VH領域が配列番号152に、VL領域が配列番号158、配列番号160、配列番号162、配列番号164、配列番号166、配列番号168、配列番号170又は配列番号172に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (viii)VH領域が配列番号154に、VL領域が配列番号158、配列番号164又は配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (ix)VH領域が配列番号156に、VL領域が配列番号170に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
    (x)VH領域が配列番号212の1番目から120番目、VL領域が配列番号200、202又は206の1番目から107番目に、それぞれ記載のアミノ酸配列を含む
  10. 配列番号16、配列番号21、配列番号26、配列番号31、配列番号36又は配列番号41に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
  11. 請求項10に記載のポリヌクレオチドを少なくとも含む、ベクター。
  12. 請求項11に記載のベクターで宿主を形質転換して得られる、形質転換体。
  13. 請求項12に記載の形質転換体を培養して抗体を発現させた後、前記形質転換体の培養物から発現した抗体を回収する、抗体の製造方法。
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