以下、添付図面を参照して、本実施形態に係るPOS端末について説明する。特に、本実施形態のPOS端末は、客が購入した商品の商品情報を登録する際に、軽減税率に対応する商品購入であるか否か、例えば、イートイン形式で商品登録するか、テイクアウト形式で商品登録するかの選択を効率的に行うものである。なお、POS端末は、商品販売データ処理装置の一例である。また、以下に説明する実施形態は、商品販売データ処理装置及びプログラムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。
(POS端末の概略構成の説明)
図1は、実施形態に係るPOS端末の外観斜視図である。POS端末2は、例えばスーパーマーケット等の店舗に設置されて、店員の操作によって、客が購入した商品の商品情報を登録する登録処理と、登録処理によって登録された商品の決済処理とを行う。
POS端末2は、ドロワ12と、キーボード13と、店員用モニタ14と、客用モニタ16と、レシートプリンタ17と、バーコードリーダ19とを備えている。ユーザインタフェースであるキーボード13及び店員用モニタ14は、POS端末2の上面に、キーボード13が手前側、店員用モニタ14が奥側に配置されている。
ドロワ12は、現金等を収納する引出しを備えている。POS端末2は、引出しの開閉動作を制御する。
キーボード13は、置数キー、クリアキー、戻りキー、小計キー、預り/現計キーなどの複数のキーを備えている。置数キーは、商品コードや金額等の数値を入力するためのテンキーである。クリアキーは、エラー発生時などに操作を取り消すためのキーである。戻りキーは、現在の操作をキャンセルして直前の画面に戻すためのキーである。小計キーは、売上登録を完了して売上合計金額の算出を宣言するためのキーである。預り/現計キーは、客から預かった金額を入力した後に押下して、釣銭額を算出するキーである。なお、預り/現計キーが押下されると、POS端末2は、ドロワ12の引き出しを開く、そして、店員は、客から渡された紙幣と硬貨をドロワ12に収容するとともに、ドロワ12から釣り銭を取り出して、客に渡す。
店員用モニタ14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスで構成されている。店員用モニタ14は、POS端末2を操作するキャッシャに対して、登録処理及び決済処理等の処理状態に応じた画面を表示する。
なお、店員用モニタ14を構成する表示デバイスの表面には、タッチパネル15が積層されている。タッチパネル15は、店員用モニタ14に表示された画面、又はボタン等に対するキャッシャの押下を検出して、押下された位置に応じて、POS端末2の動作を制御する。キャッシャは、キーボード13又はタッチパネル15のいずれかを用いて、必要な入力操作を行う。
レシートプリンタ17は、POS端末2の上面左側に配されて、客に手渡される明細票及びレシート(領収証)を印字する。また、レシートプリンタ17は、発行口18を備えて、印字した明細票及びレシートを発行する。レシートプリンタ17は、内部に設置したロール紙を、パルスモータ(非図示)等によって回転駆動されるローラにより搬送することによって、発行口18から送り出す方向に紙送りする。このとき、レシートプリンタ17は、例えばサーマルヘッド(非図示)によって、ロール紙に明細票及びレシートを印字する。なお、明細票に印字するデータである明細情報と、レシートに印字するデータであるレシート情報と、は後述するCPU31a(図2参照)が生成して、レシートプリンタ17に送信される。
客用モニタ16は、LCD等の表示デバイスで構成されており、POS端末2の上面奥側に設けられている。客用モニタ16は、表示面を客に向けて配置され、登録した商品の金額、合計金額等を表示する。
さらに、POS端末2には、商品に貼付されたバーコードから、当該バーコードが保持する商品コードを読み取るバーコードリーダ19が接続されている。バーコードリーダ19は、商品コードの受光信号をデコード(復号)して、バーコードが表現している商品コードを取得し、POS端末2のCPU31a(図2参照)に出力する。
(POS端末のハードウェア構成の説明)
次に、図2を用いて、POS端末2のハードウェア構成について説明する。図2は、POS端末のハードウェア構成の一例を示すハードウェアブロック図である。POS端末2は、図2に示すように、制御部31と、記憶部32と、I/O機器制御部34と、通信I/F35とを備える。
制御部31は、POS端末2の全体の制御を司る。制御部31は、CPU(Central Processing Unit)31aと、ROM(Read Only Memory)31bと、RAM(Random Access Memory)31cと、を備える一般的なコンピュータの構成を有する。CPU31aは、ROM31bや記憶部32に記憶された各種プログラムを、RAM31cに展開する。CPU31aは、RAM31cに展開された各種プログラムに従って動作して、POS端末2の全体の制御を司る。
制御部31は、バスライン33を介して、記憶部32と、I/O機器制御部34と、通信I/F35と接続する。
記憶部32は、HDD(Hard Disk Drive)や、電源を切っても記憶情報が保持されるフラッシュメモリに代表される不揮発性メモリである。記憶部32は、制御プログラムP1を含むプログラム等を記憶する。制御プログラムP1は、POS端末2が備える機能を発揮させるためのプログラムである。
なお、制御プログラムP1は、ROM31bに予め組み込まれて提供されてもよい。また、制御プログラムP1は、制御部31にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、制御プログラムP1を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、制御プログラムP1を、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
また、記憶部32は、商品マスタM1と、税率マスタM2と、売上ファイルF1と、日付データD1と、イベントデータE1と、を記憶する。
商品マスタM1は、「商品コード」に対応付けて、「商品の名称」、「商品の価格」等を記憶したマスタファイルである。商品マスタM1の内容は日々更新されるため、通信I/F35を介して、ストアサーバ等から定期的に受信する。商品マスタM1の具体的なデータ構成については後述する(図3参照)。
税率マスタM2は、各税区分の「税区分ID」に対応付けて、「税区分名称」と「税率」とを記憶したマスタファイルである。税率マスタM2の具体的なデータ構成については後述する(図4参照)。
売上ファイルF1は、POS端末2が決済処理を行った結果を、売上履歴として記憶したファイルである。売上ファイルF1は、毎日営業終了後等の決まった時間に、通信I/F35を介して、ストアサーバに送信される。送信された売上ファイルF1は、ストアサーバにおいて、店舗の売上管理を行う際に使用される。
日付データD1は、少なくとも年月日を含むカレンダー情報を記憶する。なお、CPU31aは、元々カレンダー情報を有しているため、POS端末2は、必要に応じて、CPU31aから日付データD1を取得してもよい。なお、日付データD1は、本開示における日付情報の一例である。
イベントデータE1は、日付データD1に対応付けて、店舗に併設した施設、及び店舗近隣の施設で行われるイベント情報(イベントの内容及び開催時間)を記憶する。なお、イベントデータE1は、本開示におけるイベント情報の一例である。また、イベントデータE1は、税率設定に関する法令に係る情報、例えば、当該法令の施行日や施行される税率の内容等を記憶する。なお、POS端末2は、ストアサーバが適宜更新する最新の情報を、イベントデータE1として取得する。
I/O機器制御部34は、制御部31と各種周辺機器、すなわち、店員用モニタ14と、タッチパネル15と、キーボード13と、客用モニタ16と、バーコードリーダ19と、ドロワ12と、レシートプリンタ17とを接続する。I/O機器制御部34は、制御部31からの指令に基づいて、接続された各周辺機器を制御する。なお、各周辺機器の機能は、前記した通りである。
通信I/F35は、店舗内LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、ストアサーバと通信するためのインタフェースである。具体的には、POS端末2の制御部31は、通信I/F35を介してストアサーバと通信を行い、ストアサーバに格納されている商品マスタM1等を受信する。また、POS端末2の制御部31は、通信I/F35を介して、売上ファイルF1をストアサーバに送信する。
(商品マスタ及び税率マスタの構成の説明)
図3は、商品マスタのデータ構成を示す図である。図3に示すように、商品マスタM1は、各商品の「商品コード」に対応付けて、「商品名」や商品の「価格」等の商品情報を記憶する。商品コードは、商品毎に一意に設定される識別情報であり、商品の特定に用いられる。例えば、店舗では、商品に添付したラベルに、その商品に設定された商品コードを記載しておく。そして、POS端末2は、ラベルに記載された商品コードを、バーコードリーダ19等で入力する。POS端末2は、入力された商品コードで商品マスタM1を参照することで、商品の特定を行う。
商品マスタM1は、更に、商品が軽減税率対象商品であるかを示す識別情報を記憶する。軽減税率とは、政府により定義された、生活に最低限必要な物品に対して、消費税の税率を軽減する、税制上の制度である。
なお、特定商品については、消費形態によって、標準税率に対応する税金が課せられる場合と、軽減税率に対応する税金が課せられる場合とがある。例えば、購入した商品(飲食料品)を、飲食設備を設置した場所で飲食する(イートイン)場合には標準税率に対応する消費税(例えば10%)が課せられる。一方、購入した商品(飲食料品)を持ち帰る(テイクアウト)場合には、軽減税率に対応する消費税(例えば8%)が課せられる。
図4は、税率マスタのデータ構成を示す図である。図4に示すように、税率マスタM2は、各税区分の「税区分ID」に対応付けて、「税区分名称」と「税率」とを記憶する。「税区分ID」は、税の区分毎に一意に設定された識別情報である。本実施形態では、前記したように、商品の購入形式に応じて課せられる消費税の種別を税区分としている。具体的には、イートイン形式と、テイクアウト形式とのそれぞれにかかる消費税の税率を、税区分として区分けしている。「税区分名称」は、「税区分ID」で識別される税区分の名称を示す。図4では、「税区分名称」として、持ち帰りを表す「テイクアウト」と、店内飲食を表す「イートイン」とを設定した例を示している。また、「税率」は、「税区分ID」に適用される消費税の税率を示す。
(POS端末の機能構成の説明)
図5は、POS端末の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。POS端末2の制御部31は、制御プログラムP1をRAM31cに展開して動作させることによって、図5に示すデフォルト税率設定部41と、商品登録処理部42と、税率変更設定部43と、税率変更設定解除部44と、表示制御部45と、税額算出部46と、印字制御部47と、属性取得部48と、を機能部として実現する。
デフォルト税率設定部41は、取引開始時に、特定商品の取引に係る税率を、第1の購入形式に対応する第1の税率、又は第2の購入形式に対応する、前記第1の税率と一意に関連付けられた第2の税率のいずれかに設定する。なお、第1の購入形式は、例えば、特定商品をイートイン形式で購入する場合であり、第1の税率は10%である。第2の購入形式は、例えば、特定商品をテイクアウト形式で購入する場合であり、第2の税率は8%である。また、軽減税率が施行されていない場合は、第1の購入形式に対応する第1の税率は8%であって、第2の購入形式及び第2の税率は存在しない。なお、デフォルト税率設定部41は、本開示における初期設定手段の一例である。
商品登録処理部42は、販売する商品を登録する登録処理を行う。
税率変更設定部43は、特定商品の税率の設定を、デフォルト税率設定部41が設定した税率の設定から、当該税率と一意に関連付けられた税率の設定に変更する。具体的には、デフォルトの税率が第1の税率に設定されていた場合は、デフォルト税率設定部41は、税率の設定を第2の税率に変更する。一方、デフォルトの税率が第2の税率に設定されていた場合は、デフォルト税率設定部41は、税率の設定を第1の税率に変更する。なお、税率変更設定部43は、本開示における設定変更手段の一例である。
税率変更設定解除部44は、税率変更設定部43によって変更された税率の設定を解除して、変更前の設定に戻す。なお、税率変更設定解除部44は、本開示における設定変更解除手段の一例である。
表示制御部45は、商品登録時に、イートイン形式に対応する税率計算を行っているか、テイクアウト形式に対応する税率計算を行っているかを示す情報を、店員用モニタ14に表示する。また、表示制御部45は、商品登録時に、イートイン形式に対応する税率計算を行っているか、テイクアウト形式に対応する税率計算を行っているかを示す情報を、客用モニタ16に表示する。なお、表示制御部45は、本開示における表示手段の一例である。
税額算出部46は、1取引の間において、税率変更設定部43による税率の変更設定がなされるまでの間、又は税率変更設定解除部44による税率の設定変更の解除がなされるまでの間は、当該変更設定前又は当該設定変更の解除前に設定されていた税率に基づいて、特定商品の税額を算出する。なお、税額算出部46は、本開示における税額算出手段の一例である。
印字制御部47は、店舗の店名や連絡先、商品登録処理部42が登録した各商品の商品名、価格、税額等をレシートプリンタ17によってレシート用紙に印字する。
属性取得部48は、記憶部32が記憶する日付データD1とイベントデータE1の中から、店舗の運営に係る属性情報を取得する。店舗の運営に係る属性情報とは、例えば、税率設定に関する法令の施行日や、店舗近隣の施設で行われるイベント情報等である。なお、属性取得部48は、本開示における取得手段の一例である。本実施形態において、属性取得部48は、具体的な属性情報として、当日の税制度の状況と、店舗に併設した施設及び店舗近隣の施設における、当日のイベントの開催情報と、を取得する。すなわち、当日の税制度の状況と、当日のイベントの開催情報と、は本開示における属性情報の一例である。
(税率の初期設定方法の説明)
図6を用いて、POS端末2が、税率の初期設定を行って、デフォルトの税率を決定する方法について説明する。図6は、デフォルトの税率設定を決定する方法を説明する図である。特に、図6は、例えば野球場に併設した、飲食料品を販売する店舗に設置されたPOS端末2を例にあげて、デフォルトの税率を設定する方法を説明する図である。
デフォルト税率設定部41は、販売日当日の税制度の状況と、販売日当日の客の消費行動と、に基づいてデフォルトの税率設定を行う。
販売日当日の税制度の状況、例えば、税制度の変更日等は、予め告知された具体的な設定税率を、日付データD1と対応付けたイベントデータE1として、記憶部32に記憶しておくものとする。
野球場に併設した店舗、又は店舗に隣接するイベント会場でイベントが開催される日には、殆どの客は、当該店舗で購入した飲食料品を、野球場や近隣のイベント会場内で消費、すなわちイートインする。したがって、イベント開催日には、POS端末2は、イートイン形式に対応する税率計算を行う場合が多い。
一方、野球場に併設した店舗、又は店舗に隣接するイベント会場でイベントが開催されない日には、殆どの客は、当該店舗で購入した飲食料品を、会場外で消費、すなわちテイクアウトする。したがって、イベント非開催日には、POS端末2は、テイクアウト形式に対応する税率で税率計算を行う場合が多い。
そのため、本実施形態のPOS端末2は、イベントデータE1から取得した、販売日当日のイベントの有無を、デフォルトの税率設定に活用する。具体的には、当日がイベント開催日である場合は、デフォルトの税率をイートイン形式に対応する税率に設定する。また、当日がイベント非開催日である場合は、デフォルトの税率をテイクアウト形式に対応する税率に設定する。
図6に示すテーブルT1は、記憶部32が記憶する日付データD1とイベントデータE1とを対応付けたテーブルの一例である。すなわち、テーブルT1は、年月日に対応する税制度の状況とイベント情報の有無とを示す。例えば、テーブルT1は、2019年10月1日に軽減税率が施行されることを示している。なお、図6には記載しないが、テーブルT1は、軽減税率が施行されることによって、イートイン形式で商品を購入した際には10%の消費税が課税されることと、テイクアウト形式で商品を購入した際には8%の消費税が課税されることとを記憶しているものとする。
デフォルト税率設定部41は、テーブルT1を参照することによって、取引開始時のデフォルトの税率を設定する。
具体的には、商品の販売日が2019年10月1日以前である場合は、軽減税率が施行される前であるため、デフォルト税率設定部41は、イートイン形式に対応する税率とテイクアウト形式に対応する税率はともに8%であると認識する。したがって、デフォルト税率設定部41は、イベントの開催の有無に関わらず、デフォルトの設定税率を8%に設定する。すなわち、第2の購入形式に対応する第1の税率を8%に設定する。さらに、デフォルト税率設定部41は、第2の購入形式に対応する第2の税率は存在しないものと設定する。
また、商品の販売日が2019年10月1日以降である場合、デフォルト税率設定部41は、イベントデータE1から、2019年10月1日に軽減税率が施行されて、イートイン形式に対応する税率が10%であり、テイクアウト形式に対応する税率が8%であると認識する。そして、デフォルト税率設定部41は、イベント開催日については、デフォルトの設定税率を10%に設定する。すなわち、第1の購入形式に対応する第1の税率を10%に設定する。さらに、デフォルト税率設定部41は、第2の購入形式に対応する第2の税率を8%に設定する。
デフォルト税率設定部41は、このようにして、図6のテーブルT2に示すように、取引開始時の税率(デフォルトの税率)と、税率変更設定部43による税率の変更設定がなされた場合の税率、すなわち変更設定時の税率とを設定する。
なお、イベントデータE1が、イベントの開催時間を含んでいる場合には、同じ販売日であっても、時刻に応じてデフォルトの設定税率を変更することが可能である。例えば、同じイベント開催日であっても、イベント開始時刻の2時間前からイベント終了時刻までの間の時刻に取引が開始された場合は、イートイン形式に対応する税率(10%)をデフォルトの設定税率とすることができる。一方、それ以外の時刻に取引が開始された場合は、テイクアウト形式に対応する税率をデフォルトの設定税率にすることができる。
(POS端末の画面表示の説明)
図7Aから図7Eを用いて、POS端末2が、店員用モニタ14と、客用モニタ16とに表示する画面表示の内容を説明する。図7Aから図7Eは、取引の間に店員用モニタ及び客用モニタに表示される画面の一例を示す図である。図7Aから図7Eの各図は、店員用モニタ14(タッチパネル15)に表示される画面と、客用モニタ16に表示される画面と、を併記したものである。なお、店員用モニタ14と客用モニタ16とは、図1に示すようにほぼ同サイズであるが、説明の便宜上、大きさを変えて記載している。
まず、図7Aを用いて、店員用モニタ14と客用モニタ16とに表示される各種情報について説明する。
店員用モニタ14には、商品情報表示ウインドウW1と、購入金額表示ウインドウW2と、操作ウインドウW3と、10キーウインドウW4と、の4種類のウインドウが表示される。
商品情報表示ウインドウW1は、POS端末2の商品登録処理部42が商品登録した商品情報を表示する。商品情報表示ウインドウW1は、具体的には、商品コード50aと、商品名50bと、単価50cと、購入点数50dと、値引額50eと、購入金額50fと、内税・外税50gと、標準税率・軽減税率50hと、税率設定状態50iとを表示する。
商品コード50aは、登録された商品の商品コードを示す。商品名50bは、登録された商品の商品名を示す。単価50cは、登録された商品の単価を示す。購入点数50dは、同じ商品が複数登録された場合の点数を示す。
さらに、値引額50eは、登録された商品の値引額を示す。購入金額50fは、登録された1種類の商品についての小計金額を示す。内税・外税50gは、登録された商品が内税商品であるか外税商品であるかを示す。登録された商品が内税商品である場合、内税・外税50gには「内」が表示される。また、登録された商品が外税商品である場合、内税・外税50gには「外」が表示される。標準税率・軽減税率50hは、登録された商品が標準税率の対象商品か軽減税率の対象商品かを示す。標準税率・軽減税率50hに実際に情報が表示された例は後述する(図7B,図7C,図7D参照)。
税率設定状態50iは、POS端末2が、テイクアウト又はイートインの設定が、デフォルト設定になっていることを示す情報である。図7Aの例では、デフォルト設定であるイートイン形式に対応する税率(10%)が設定されていることを示す。
そして、図7Aでは、欄70aに、実際に登録された商品に係る情報が表示される。
購入金額表示ウインドウW2は、POS端末2の商品登録処理部42が商品登録した結果に基づく購入金額等を表示する。
操作ウインドウW3は、POS端末2を操作するための操作キーを表示する。図7Aの例では、操作ウインドウW3は、店員用モニタ14の最下部に表示された操作ウインドウW3aと、店員用モニタ14の右上部に表示された操作ウインドウW3bとを含む。操作ウインドウW3に表示された操作キーを押下したことは、タッチパネル15によって検出された、POS端末2に送信される。そして、POS端末2は、押下された操作キーに対応する処理を行う。
なお、操作ウインドウW3aには、主にPOS端末2の保守管理を行うための操作キーが表示される。操作ウインドウW3bには、主にPOS端末2に登録処理と決済処理とを行わせるための操作キーが表示される。
なお、操作キーの一部は、キーボード13(図1参照)に配置してもよい。また、操作性を向上させるために、同じ操作キーを、操作ウインドウW3とキーボード13の両方に設定して、いずれの操作部によっても操作できるようにしてもよい。
特に、本実施形態のPOS端末2は、操作ウインドウW3(W3b)の中に、税種別宣言キー60aを備える。税種別宣言キー60aは、現在の税率設定の変更を宣言するキーである。すなわち、図7Aの状態で税種別宣言キー60aを押下すると、POS端末2は、イートイン形成に対応する税率(10%)で税額計算を行う設定から、テイクアウト形式に対応する税率(8%)で税額計算を行う設定に変更される。なお、操作ウインドウW3に表示する操作キーの種類と配置位置は、POS端末2によって、自由に設定することができる。
10キーウインドウW4は、同じ商品を複数個登録する場合や、客から受け取った金額を入力する場合等、数値入力を行う場合に使用する10キーを表示する。また、10キーウインドウW4は、小計キー及び預り/現計キー等を表示する。なお、10キーウインドウW4に表示した操作キーは、キーボード13に配置してもよい。
そして、店員用モニタ14が図7Aの状態にあるとき、表示制御部45は、客用モニタ16に、デフォルト設定であるイートイン形式で税額計算を行っていることを示す情報を表示する。さらに、表示制御部45は、客用モニタ16に、商品を持ち帰る場合は店員に申し出る旨を示す情報を表示する。
次に、図7Bを用いて、客が購入する商品を、イートイン設定で登録した場合のPOS端末2の画面状態を説明する。
図7Bでは、欄70bに、実際に登録された商品に係る情報が表示される。この場合、登録された商品は、イートインの対象商品(特定商品)であるため、標準税率・軽減税率50hの項目に、イートインを示す「食」が表示される。
また、図7Bの状態では、POS端末2は、デフォルト設定であるイートイン形式に対応する税率(10%)が設定されているため、図7Aに引き続き、税率設定状態50iは、軽減税率の設定が、デフォルトであるイートイン形式に対応する設定になっていることを示す。また、税種別宣言キー60aには、図7Aに引き続き、「テイクアウト」という表記がなされる。
なお、客用モニタ16の表示は、図7Aの状態が維持される。
図7Cは、客の申し出により、税率計算のデフォルト設定、すなわちイートイン設定を解除した状態の一例を示す画面例である。
店員は、客からの「商品を持ち帰る」という申し出を受けて、税種別宣言キー60a(図7B)を押下する。すると、税率変更設定部43は、デフォルト税率設定部41が設定した税率の設定(イートイン設定:税率10%)から、当該税率とは異なる税率の設定(テイクアウト設定:税率8%)に変更する。このとき表示制御部45は、税種別宣言キー60aを、「イートイン」の表記がなされた税種別宣言キー60bに変更する。
さらに、表示制御部45は、POS端末2のデフォルトの税率設定(イートイン設定)が解除されたため、税率設定状態50i(図7B)を消去する。なお、現在の税率設定状態をよりわかり易くするために、図7Cにおいて、税率設定状態50iを、「テイクアウト」として表示してもよい。
また、表示制御部45は、客用モニタ16に、テイクアウト形式で税額を計算していることを示す情報を表示する。さらに、表示制御部45は、客用モニタ16に、店内で飲食する場合は店員に申し出る旨を示す情報を表示する。
図7Dは、デフォルト設定が解除されて、テイクアウト設定に変更された状態において、テイクアウトの対象商品を商品登録した場合の画面例である。
すなわち、図7Dに示すように、欄70cに、実際に登録された商品に係る情報が表示される。この場合、登録された商品は、テイクアウトの対象商品(特定商品)であるため、標準税率・軽減税率50hの項目に、テイクアウトによる軽減税率に対応することを示す「軽」が表示される。
なお、客用モニタ16の表示は、図7Cの状態が維持される。
(POS端末が行う処理の流れの説明)
図8は、実施形態に係るPOS端末が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、図8を用いて、ステップS10からステップS16で構成されるメインルーチンの処理の流れを説明する。
デフォルト税率設定部41は、税率のデフォルト設定処理を行う(ステップS10)。なお、税率のデフォルト設定処理の内容については後述する(図9参照)。
表示制御部45は、店員用モニタ14と客用モニタ16とに、税率設定状態を表示する(ステップS11)。具体的には、表示制御部45は、店員用モニタ14に税率設定状態50iを表示する(図7B参照)。また、表示制御部45は、客用モニタ16に、税率設定状態に応じた情報を表示する(図7A,図7C参照)。
商品登録処理部42は、客が購入する商品を登録する商品登録処理を行う(ステップS12)。
次に、税額算出部46は、登録された商品が特定商品である場合に、税率変更設定部43又は税率変更設定解除部44によって設定された税率に基づいて、ステップS12で登録された商品の税額を算出する(ステップS13)。なお、図8には記載しないが、登録された商品が特定商品でない場合は、税額算出部46は、標準税率で税額を算出する。
表示制御部45は、登録が完了した商品に係る情報を店員用モニタ14に表示する(ステップS14)。
商品登録処理部42は、全ての商品の登録が完了したかを判定する(ステップS15)。全ての商品の登録が完了したと判定される(ステップS15:Yes)とステップS16に進む。一方、全ての商品の登録が完了したと判定されない(ステップS15:No)とステップS11に戻る。
ステップS15において、Yesと判定されると、印字制御部47は、レシートプリンタ17に対して、取引結果を印字してレシートを発行することを指示する(ステップS16)。その後、POS端末2は、図8の一連の処理を終了する。
なお、POS端末2は、前記したメインルーチンの処理を行いながら、図8に示す2種類の割込処理を実行する。
第1の割込処理は、POS端末2に対して、設定されている税率設定を変更する指示を与える処理である。
具体的には、税率変更設定部43は、デフォルトの税率設定がなされている状態で、税種別宣言キー60aが押下されたかを判定する(ステップS20)。税種別宣言キー60aが押下されたと判定される(ステップS20:Yes)と、ステップS21に進む。一方、税種別宣言キー60aが押下されたと判定されない(ステップS20:No)と、割込処理を終了してメインルーチンに戻る。
ステップS20においてYesと判定されると、税率変更設定部43は、税率設定を変更する(ステップS21)。その後、割込処理を終了してメインルーチンに戻る。
第2の割込処理は、POS端末2に対して、税率設定変更を解除する指示を与える処理である。
具体的には、税率変更設定解除部44は、税率変更設定がなされた状態で、税種別宣言キー60aが押下されたかを判定する(ステップS30)。税種別宣言キー60aが押下されたと判定される(ステップS30:Yes)と、ステップS31に進む。一方、税種別宣言キー60aが押下されたと判定されない(ステップS30:No)と、割込処理を終了してメインルーチンに戻る。
ステップS30においてYesと判定されると、税率変更設定解除部44は、税率変更設定を解除する(ステップS31)。その後、割込処理を終了してメインルーチンに戻る。
(税率のデフォルト設定処理の流れの説明)
次に、図9を用いて、税率のデフォルト設定処理の流れを説明する。図9は、実施形態に係るPOS端末が行う税率のデフォルト設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
デフォルト税率設定部41は、記憶部32から、日付データD1及びイベントデータE1を取得する(ステップS40)。
デフォルト税率設定部41は、CPU31aが有するカレンダー情報に基づく当日の日付が軽減税率適用日であるかを判定する(ステップS41)。当日が軽減税率適用日であると判定される(ステップS41:Yes)とステップS42に進む。一方、当日が軽減税率適用日であると判定されない(ステップS41:No)とステップS44に進む。なお、当日が軽減税率適用日であるかは、日付データD1が示す当日の日付に対応するイベントデータE1を参照することによって判定する。
ステップS41においてYesと判定されると、デフォルト税率設定部41は、当日がイベント開催日であるかを判定する(ステップS42)。当日がイベント開催日であると判定される(ステップS42:Yes)とステップS43に進む。一方、当日がイベント開催日であると判定されない(ステップS42:No)とステップS44に進む。なお、当日がイベント開催日であるかは、日付データD1が示す当日の日付に対応するイベントデータE1を参照することによって判定する。
ステップS42においてYesと判定されると、デフォルト税率設定部41は、イートインの税率(10%)を税率のデフォルト値として設定する(ステップS43)。その後、図9の処理を終了して、メインルーチンのステップS11に戻る。
ステップS41又はステップS42においてNoと判定されると、デフォルト税率設定部41は、テイクアウトの税率(8%)を税率のデフォルト値として設定する(ステップS44)。その後、図9の処理を終了して、メインルーチンのステップS11に戻る。
なお、図8のフローチャートには明示しないが、図9に示した税率のデフォルト設定処理は、当日、図8に示すメインルーチンを最初に動作させたときのみ実行すればよい。当該メインルーチンを2回目以降に実行する際には、最初の動作で設定して記憶された税率のデフォルト値が適用される。
以上説明したように、実施形態のPOS端末2(商品販売データ処理装置)は、デフォルト税率設定部41(初期設定手段)が、取引開始時に、特定商品の取引に係る税率を、第1の購入形式に対応する第1の税率、又は第2の購入形式に対応する、第1の税率と一意に関連付けられた第2の税率のいずれかに設定する。そして、税率変更設定部43(設定変更手段)が、第1の税率又は第2の税率の設定から、第2の税率又は第1の税率に変更するまでの間は、税額算出部46(税額算出手段)は、設定変更前の税率設定に基づいて、特定商品の税額を算出する。また、税率変更設定解除部44(設定変更解除手段)が、税率の設定を解除して、変更前の設定に戻すまでの間は、税額算出部46(税額算出手段)は、設定変更解除前の税率設定に基づいて、特定商品の税額を算出する。そして、表示制御部45(表示手段)は、設定されている税率を、店員用モニタ14と客用モニタ16とに表示する。したがって、特定商品を登録する都度、税率の確認を行う必要がないため、軽減税率の対象商品の商品登録操作を簡略化することができる。
また、実施形態のPOS端末2(商品販売データ処理装置)は、属性取得部48(取得手段)が、店舗の運営に係る属性情報を取得する。そして、デフォルト税率設定部41(初期設定手段)は、属性取得部48が取得した属性情報に基づいて、第1の税率又は第2の税率を、取引開始時の税率に設定する。したがって、店舗を利用する客の消費行動に基づいて、より多くの客に適用されると予測される税率を、デフォルトの税率とすることができる。
また、実施形態のPOS端末2(商品販売データ処理装置)において、属性情報は、税率設定に関する法令の施行日である。したがって、当日適用される税率に基づいて、デフォルトの税率を設定することができる。
また、実施形態のPOS端末2(商品販売データ処理装置)において、属性情報は、店舗近隣で行われるイベント情報である。したがって、イベントの開催、非開催等の客の消費行動に影響を与える情報に基づいて、デフォルトの税率を設定することができる。
また、実施形態のPOS端末2(商品販売データ処理装置)において、第1の購入形式は、特定商品を店舗内で消費する購入形式であって、第2の購入形式は、特定商品を持ち帰る購入形式である。したがって、同じ商品を購入した場合に、イートイン形式の税率(標準税率)を適用するか、テイクアウト形式の税率(軽減税率)を適用するかの設定に係る商品登録操作を簡略化することができる。
なお、本実施形態では、イートイン時とテイクアウト時で税率が異なる場合を例にあげて説明したが、本発明が適用できるのは、この場面に限定されない。例えば、本発明は、同じ商品を単品で購入した場合と、まとめ買いした場合とで税率が異なるような場合にも適用することができる。このような場合、属性情報として、来店客の過去の消費行動の履歴を用いることができる。そして、過去の履歴から、まとめ買いの客が多い場合は、デフォルトの税率設定として、まとめ買いに対応する税率を設定しておくことができる。
また、本実施形態は、特定商品を購入した際に、第1の購入形式と第2の購入形式とで税率が異なる場合(すなわち、税率の設定が2種類の場合)について説明したが、税率の設定が3種類以上の場合であっても適用することができる。
例えば、特定商品の購入個数と消費形態とを合わせて税率が設定される例が想定される。すなわち、特定商品の購入個数が5個未満かつイートインの場合には税率が15%、購入個数が5個以上かつイートインの場合には税率が10%、購入個数が5個未満かつテイクアウトの場合には税率が12%、購入個数が5個以上かつテイクアウトの場合には税率が8%に設定されるような場合である。この場合、税率の設定が4種類である。
このような場合であっても、POS端末2(商品販売データ処理装置)は、デフォルト税率設定部41が、イベントデータE1や過去の消費者の消費行動等に基づいてデフォルトの税率を設定する。そして、税率変更設定部43(設定変更手段)は、特定商品の購入個数及び消費形態に応じて一意に関連付けられた税率の設定に変更することができる。さらに、税率変更設定解除部44(設定変更解除手段)は、税率の設定を解除して、変更前の税率の設定に戻すか、又は特定商品の購入個数及び消費形態に応じて一意に関連付けられた税率の設定に戻すことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。