JP7206187B2 - 金属構成要素及び官能性ポリマーマトリックスでできている複合材 - Google Patents
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Description
周知のように、タイヤ走行中に超高応力を受けるこれらのプライを補強するというそれらの機能を効率的に発揮させるために、スレッド状の金属補強要素は、高耐疲労性、高引張強度、高耐摩耗性、高耐食性及び周囲ゴムへの強い接着力等の非常に多くの時には相反する技術基準を満たさなければならず、かつこられの性能品質を可能な限り長く超高レベルで維持できなければらならい。
それらの調査研究中に、出願人会社は、様々な金属について言及した課題を解決できるようにする解決策を発見した。
本発明は、本発明の複合材を含むタイヤにも関する。
本説明では、表現「aとbの間」によって表される値のいずれの区間も、aより大きいからbより小さいに及ぶ値の範囲を意味し(すなわち、限界a及びbは除外され)、一方、表現「a~b」によって表される値のいずれの区間も、aからbまでに及ぶ値の範囲を意味する(すなわち、厳密な限界a及びbを含む)。
本説明では、明確に別段の指示がない限り、示した全ての百分率(%)は質量%である。部で表現した化合物の含量は質量部である。
「少なくとも構成要素及びポリマーマトリックスをベースとする」複合材という表現は、該構成要素及びポリマーマトリックスを含む複合材であって、ポリマーマトリックスは、複合材製造の種々の段階中、特にポリマーマトリックスの架橋中又はポリマーマトリックスの架橋前の複合材の調製中に、該構成要素の金属表面と反応できた、複合材を意味するものと理解すべきである。
言及した、ゴム組成物の調製に関与する化合物は、化石起源又はバイオ起源のものであり得る。バイオ起源の場合、それらは部分的に若しくは完全にバイオマスから生じるか又はバイオマス由来の再生可能出発材料から得ることができる。ポリマー、可塑剤、フィラー等を特に取り上げる。
本特許出願では、(メタ)アクリラートという単語は、区別せずにアクリラート又はメタクリラートを表す。
本発明の複合材は、少なくとも、ポリマーマトリックスと、金属表面、すなわち金属でできている表面を示す構成要素とをベースとする。ポリマーマトリックスは、複合材中に存在するポリマー(すなわち、高分子鎖)の全てを表す。構成要素の金属表面は、構成要素の表面の全て又は一部であり得、ポリマーマトリックスと接触する、すなわち、ポリマーマトリックスの1つ以上のポリマーと接触するように意図される。
本発明によれば、構成要素は完全に又は部分的にポリマーマトリックスで被覆される。
本発明によれば、構成要素の一部のみが金属性であり、この部分が少なくとも金属表面を成しているか、或いは金属性であるのは構成要素の全体である。好ましくは、構成要素は全体的に金属でできている。
本発明の第2の代替形態によれば、構成要素は1種の同一材料でできており、この場合、構成要素は、金属表面の金属と同一の金属でできている。
本発明の有利な実施形態によれば、金属表面は、鉄、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、コバルト又はニッケルを含む。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、金属表面の金属は、鉄、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、コバルト、ニッケル及びこれらの金属の少なくとも1つを含む合金から成る群より選択される金属である。合金は、例えば、二元又は三元合金、例えば鋼、青銅及び黄銅等であり得る。好ましくは、金属表面の金属は、鉄、銅、スズ、亜鉛又はこれらの金属の少なくとも1つを含む合金である。さらに好ましくは、金属表面の金属は、鋼、黄銅(Cu-Zn合金)又は青銅(Cu-Sn合金)である。
金属表面が鋼でできているとき、鋼は好ましくは炭素鋼又はステンレス鋼である。鋼が炭素鋼であるとき、その炭素含量は、好ましくは0.01%と1.2%の間又は0.05%と1.2%の間、或いは0.2%と1.2%の間、特に0.4%と1.1%の間である。鋼がステンレス鋼であるとき、それは好ましくは少なくとも11%のクロム及び少なくとも50%の鉄を含む。
本発明の特定実施形態によれば、構成要素は、少なくとも1ミリメートルに等しい長さを示す。長さは構成要素の最大寸法を意味するものと理解される。少なくとも1ミリメートルに等しい長さを有する構成要素としては、例えば車両用タイヤに用いられる補強要素、例えばスレッド状要素(モノフィラメント又はコード)及び非スレッド状要素等が挙げられる。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、複合材は、構成要素が補強要素を構成し、かつポリマーマトリックスが補強要素を被覆する、補強構造体である。
本発明の特定実施形態によれば、官能性ジエンポリマーは、いくつかの前記官能基を有する。
読者は、ジエンポリマーはジエン単位を含み、かつ一般的に少なくとも部分的にジエンモノマー(2つの共役又は非共役炭素-炭素二重結合を有するモノマー)に由来するポリマー(すなわちホモポリマー又はコポリマー)を意味するものと理解すべきであることに注意されたい。
さらに詳細には、ジエンポリマーは、共役ジエンモノマーのいずれかのホモポリマー、共役ジエンモノマーのいずれかのコポリマー又はその混合物を意味し、共役ジエンモノマーは4~12個の炭素原子を有するものと理解される。
好ましくは、官能性ジエンポリマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3-ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びその混合物から成るポリマーの群より選択される。1,3-ブタジエン又はイソプレンコポリマーとして、1,3-ブタジエン又はイソプレンとスチレン又は(メタ)アクリラートの共重合の結果として生じるものに特に言及することができる。当業者は、本発明の要件に有用な官能性ジエンポリマーとしてのポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3-ブタジエンコポリマー又はイソプレンコポリマーが上記定義どおりの1つ以上の官能基を有することを明確に理解する。
本発明のいずれか1つの実施形態によれば、官能性ジエンポリマー中のジエン単位は、好ましくは、官能性ジエンポリマーの50質量%超、さらに好ましくは70質量%超に相当する。
官能基は、官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の末端又は官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の末端以外にあり得る。官能基が官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の末端以外にあるとき、それはペンダントである。
本発明の特定実施形態によれば、官能基は、排他的に官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の鎖端、特に官能性ジエンポリマーのポリマー鎖の一端だけ又は両端にある。
官能性ジエンポリマーは、当業者に周知の方法で合成可能である。例えば、以下の方法が挙げられるが、これらに限定されない:
-特許出願WO 2016079411に記載のように1,3-ジエンと本発明の要件に有用な官能基を有する(メタ)アクリラートとのラジカル共重合、この共重合の後に官能基の部分的又は完全な加水分解反応が続く可能性がある;
-文書J. Polym. Sc., 1952, 8, 255-256、又は特許出願FR 1403732に記載のように1,3-ジエンとビニルホスホナートのラジカル共重合;
-それぞれ、文書Adv. Synth. Cat., 2008, 350(3), 431-438、及びPolym. Bull., 1998, 41, 145-151に記載のように官能基を有するチオールのホスホリレーション又はラジカル付加によるジエンポリマーの修飾;
-例えば、番号FR15/62885で出願された特許出願に記載のように、鎖端に求核基を有するジエンポリマーの、該官能基と求電子基を同時に有する化合物による修飾。
好ましくは、官能基はホスホン酸官能基、ホスホン酸半酸官能基又はそれらの塩の1つである。
本発明のいずれか1つの実施形態によれば、官能基のR基は好ましくはアルキル、さらに好ましくは1~3個の炭素原子を含むアルキル、もっとさらに好ましくはメチルである。
官能性ジエンポリマー中の官能基の含量は、好ましくは官能性ジエンポリマー1g当たり0.01~3ミリ当量(meq/g)、さらに好ましくは0.15~2meq/gの範囲である。これらの含量範囲は、本発明の実施形態のいずれにも適用することができる。
ポリマーマトリックスは、官能性ジエンポリマーに加えて、好ましくはポリマーマトリックスの少なくとも70質量%に相当するジエンエラストマー、DEを含む。ジエンエラストマーは、1種以上のジエンエラストマーを意味し、それらのミクロ構造又はそれらのマクロ構造は互いに異なると理解されている。
ジエンエラストマー(或いは「ゴム」、これらの2つの用語は同義とみなされる)は、既知の様式でそのミクロ構造の点から上記ジエンポリマーと解釈されなければならない。
当業者に周知の官能化剤、カップリング剤又は星状分岐化剤を用いて、それ自体公知の方法で、ジエンエラストマーDEを星状分岐化、カップリング、官能化又は非官能化することができる。
本発明の1つの特定実施形態によれば、ジエンエラストマーDE及び官能性ジエンポリマーは、ポリマーマトリックスの少なくとも90質量%に相当する。この実施形態は、複合材からの引き剥がしに対して良い抵抗性を得ながら、同時に天然ゴムの場合のようにジエンエラストマーDEに固有の特性、例えば弾性、粘着性、伸張下の結晶化というその特性から利益を得るためのタイヤ用途に特に有利である。ポリマーマトリックスは、好ましくは官能性ジエンポリマー及びジエンエラストマーDEから成り、これにより、ゴム組成物の接着特性と他の特性、特に機械的特性との間の最良の折衷を得ることができる。この特定実施形態、及びその優先的な変形も、本発明の他のいずれか1つの実施形態と組み合わせることができる。
一般的に補強フィラーを用いて、ポリマーマトリックスの例えば粘着性又は剛性を改善する。補強フィラーは、ジエンポリマー、さらに詳細にはエラストマーを含有するポリマーマトリックスを補強するその能力が知られているフィラーである。補強フィラーは典型的に、タイヤの製造に使用できるゴム組成物に慣例的に使用される補強フィラーである。補強フィラーは、既知の方法でカップリング剤と組み合わせる、例えばカーボンブラック等の有機フィラー、シリカ等の無機補強フィラーであり、或いはこれらの2タイプのフィラーの混合物である。補強フィラーは、好ましくはカーボンブラックである。
該補強フィラーは、典型的にナノ粒子から成り、その(質量)平均径は、1マイクロメートル未満、一般的に500nm未満、最も一般的には20と200nmの間、特にかつさらに好ましくは20と150nmの間である。
補強フィラー含量は、複合材に想定される用途に応じて、また補強フィラーの性質、特にそのBET比表面積の値に応じて、当業者により選択される。例えば、タイヤにおいて特にタイヤの補強構造体又は補強材として複合材を適用するためには、補強フィラー含量は、100部のポリマーマトリックス当たり20部~80部に及ぶ範囲内であるのが好ましい20部未満では、ポリマーマトリックスの補強が不十分であり得る。80部を超えると、ポリマーマトリックスのヒステリシス上昇のリスクがあり、複合材を熱くする可能性があり、これは複合材の性能低下につながり得る。
厳密な意味での加硫系は、硫黄(又は硫黄供与剤)及び一般的に一次加硫促進剤をベースとする。後述するように、例えば第1の非生産段階中及び/又は生産段階中に組み込まれるこのベース加硫系に、種々の既知の二次加硫促進剤又は加硫活性化剤、例えば酸化亜鉛、ステアリン酸若しくは同等の化合物等、又はグアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)を添加してよい。硫黄は、ポリマーマトリックス100部当たり0.5~12部、特に1~10部の範囲の好ましい含量で使用される。一次加硫促進剤は、ポリマーマトリックス100部当たり0.5部と10部の間、さらに好ましくはポリマーマトリックス100部当たり0.5部と5部の間の好ましい含量で使用される。硫黄、特にチアゾール型促進剤、同様にそれらの誘導体、並びにチウラム及び亜鉛ジチオカルバマート型の促進剤の存在下でのジエンポリマー、特にジエンエラストマーの加硫用促進剤として作用できるいずれの化合物をも(一次又は二次)活性化剤として利用してよい。好ましくは、スルフェンアミド型の一次促進剤を利用する。
本発明の複合材は、ジエンポリマー、特にエラストマーを含有するポリマーマトリックスに習慣的に分散される通常の添加剤の全て又は一部を含んでもよい。当業者は、複合材の想定される用途に応じて添加剤を選択する。例えば、タイヤにおける複合材、特にタイヤの補強構造体又は補強材としての用途では、添加剤として、顔料、保護剤、例えば抗オゾンワックス、化学的オゾン化防止剤、酸化防止剤等、可塑剤又は送達剤(delivery agent)が挙げられる。
補強フィラー、架橋系及び添加剤は、一般的にそれらを構成要素がポリマーマトリックスと接触する前にポリマーマトリックス中に組み込むことによってポリマーマトリックス内に分布される。例えば、任意選択で前述の添加剤の存在下、機械的混合、特に熱機械的混合によって補強フィラーをポリマーマトリックス中に組み込むことができる。当業者は、ポリマーマトリックスの温度感度、その粘度及び補強フィラーの性質に応じて混合温度をが慎重に選択する。架橋系は典型的に、架橋が起こる温度より低い温度でポリマーマトリックス中に組み込まれて、ポリマーマトリックスの架橋前に架橋剤がポリマーマトリックス中に分散し、その後に複合材を成形できるようにする。一般的に、架橋系は、ポリマーマトリックスに補強フィラー及び他の添加剤を組み込んだ後にポリマーマトリックスに組み込まれる。
本発明の複合材は、未加工状態(ポリマーマトリックスの架橋前)又は硬化状態(ポリマーマトリックスの架橋後)であってよい。複合材は、構成要素が、上記補強フィラー、架橋系及び他の添加剤が任意選択で中に組み込まれたポリマーマトリックスと接触した後に硬化される。
-中に補強フィラー、架橋系及び他の添加剤を任意選択で分散させたポリマーマトリックスの2つの層を作製する工程、
-これらの2つの層間に構成要素を置くことによって構成要素を2つの層で挟む工程、
-必要に応じて、複合材を硬化させる工程。
これとは別に、層の一部に構成要素を置くことによって複合材を製造可能であり、層は、層自体の上に折り畳まれて構成要素を覆い、このようにして構成要素がその全長又はその長さの一部にわたって挟まれる。
カレンダー加工によって層を作製してもよい。複合材の硬化中に、特に加硫又はペルオキシドによってポリマーマトリックスが架橋される。
複合材をタイヤの補強材として使用することを意図するとき、複合材の硬化は一般的にタイヤケーシングの硬化中に起こる。
実例として、かつ限定ではなく与える本発明のいくつかの典型的実施形態の下記説明を読めば、本発明の上記特徴、及び他のこともより良く理解されるであろう。
II.1-本発明の要求に有用な官能性ジエンポリマーの調製:
プロトンNMR分析:
プロトンNMR分析を用いて合成生成物の構造、特に使用又は合成したポリマーのミクロ構造を決定する。官能性ジエンポリマー中のホスホナート、ホスホン酸半酸又はホスホン酸基の含量は、官能性ジエンポリマー1g当たりのミリ当量(meq/g)で与える。
スペクトルは、5mmのBBIz-grad「広帯域」プローブを備えたBruker 500 MHz分光計で得る。定量1H NMR実験は、シンプルな30°パルスシーケンス及び各取得間3秒の反復時間を使用する。サンプルを重水素化クロロホルム(CDCl3)又は重水素化メタノール(MeOD)に溶かす。
サイズ排除クロマトグラフィー、すなわちSECを用いてポリマーのマクロ構造を決定する。SECは、多孔性ゲルを詰めたカラムを通して溶液中の高分子をそれらのサイズに従って分離できるようにする。高分子は、それらの流体力学的容積に従って分離され、最もかさ高いものが最初に溶出する。
絶対的方法ではないが、SECは、ポリマーのモル質量の分布を把握できるようにする。市販の標準物質から種々の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を決定することができ、多分子性又は多分散指数(PI=Mw/Mn)は「Moore」較正により算出可能である。
ポリマーの調製:分析前にポリマーサンプルの特定処理は行わない。1vol%のジイソプロピルアミン、1vol%のトリエチルアミン及び0.1vol%の蒸留水を含有するテトラヒドロフラン(THF)に約1g/lの濃度で、又はクロロホルムに約1g/lの濃度でポリマーサンプルを単に溶かすだけである。次に、注入前に0.45μmのポロシティーを有するフィルターを通して溶液を濾過する。
SEC分析:使用装置はWaters Allianceクロマトグラフである。溶出溶媒は、ポリマーの溶解に用いた溶媒に応じて、テトラヒドロフラン+1vol%のジイソプロピルアミン+1vol%のトリエチルアミン又はクロロホルムである。流量は0.7mL/分、システムの温度は35℃であり、分析時間は90分である。順番に商品名Styragel HMW7、Styragel HMW6E及び2つのStyragel HT6Eを有する4つのWatersカラムのセットを使用する。
注入するポリマーサンプルの溶液の体積は100μlである。検出器はWaters 2410示差屈折計であり、クロマトグラフデータを利用するソフトウェアはWaters Empowerシステムである。
算出される平均分子量は、「PSS Ready Cal-Kit」の市販ポリスチレン(PS)標準物質から作成された較正曲線に対するものである。
・P(O)(OH)2官能基を有するSBRポリマー:C1の合成:
下記手順に従い、スチレン、ブタジエン及びジメチル(メタクリロイルオキシ)メチルホスホナート(MAP)の三元重合後のホスホナート官能基の二加水分解によってC1ポリマーを調製する。
三元重合:前もって下記フィラーを調製する:
スチレン中0.7Mのtert-ドデシルメルカプタン(RSH)の溶液:3.3mlのスパージした(sparged)RSH及び16.7mlのスチレンを250mlのボトルに導入する。
100g/lのレゾルシノール:200mlの水中20gのレゾルシノールを250mlのボトルに導入する。
225mlの水を750mlのステイニー(Steinie)ボトルに導入する。1.25g(5phr)のヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)及び300mg(1.2phr)のK2S2O8を第2の750mlボトルに導入する。2本のボトルを10分間スパージする。ダブルニードルにより水を第2のボトルに移す。スチレン中0.7Mの320μl(0.7eq/K2S2O8)のRSH、6mlのMAP、5.5mlのスチレン及び22mlのブタジエンを該ボトルに導入する。60%の転化率に達するようにボトルを40℃の浴に3時間15分入れる。それを2.44mlの100g/lのレゾルシノール溶液で停止させる。次に1/1(体積で)のアセトンン/メタノール混合物でポリマーを凝固させる。それをオーブン内で60℃にてトレイ内で一晩乾燥させる。このターポリマーは、Mnが47800のエラストマーである。
二ツ口丸底フラスコ内で、ターポリマー[スチレン/ブタジエン/MAP]をクロロホルムに溶かし(固形分=13質量%)、周囲温度で磁気撹拌にさらす。滴下漏斗を用いて、アルゴン流下でブロモトリエチルシラン(PO(OMe)2官能基1個につき2.5当量)を滴加する。添加終了時に、アルゴン流を取り除き、周囲温度で8時間撹拌したままにする。反応終了時に、周囲温度に戻してからメタノール中でターポリマーを凝固させる。分離させてから上澄みメタノールを除去する。次にオーブンエア内で周囲温度にてポリマーを乾燥させる。合成収率は定量的である。
最終生成物は、加水分解前のターポリマーと同じMnを有するエラストマーであり、そのP(O)(OH)2官能基含量は1.30meq/gである。
下記手順に従い、イソプレンと半加水分解MAPの共重合によってC2ポリマーを調製する:
イソプレン(95モル%/モノマーの合計)、半加水分解MAP(5モル%/モノマーの合計)、メチルエチルケトン(MEK)(固形分=45質量%)及びAIBN(1モル%/モノマーの合計)を(オープンカバー)オートクレーブ反応器に導入する。反応器を閉じる。機械的撹拌にさらし、2つのガス入口及び出口弁を用いて5分間アルゴン流又は窒素流を通す。弁を閉じて反応器を70℃で16時間置く。重合終了時、生成物は下記2つの形態である:
-半加水分解MAPホモポリマーである固相;
-[イソプレン/半加水分解MAP]コポリマーである液相。
コポリマーはメタノール中で凝固しないので、液相を固相から分離し、単に蒸発除去する。合成収率は22%である。
最終生成物は液体ポリマーであり、そのP(O)(OH)(OMe)官能基含量は0.34meq/gである。
下記手順に従い、イソプレンとMAPの共重合後のホスホナート官能基の一加水分解によってC3ポリマーを調製する。
共重合:イソプレン(96モル%/モノマーの合計)、MAP(4モル%/モノマーの合計)、トルエン(固形分=65質量%)及びAIBN(0.5モル%/モノマーの合計)を(オープンカバー)オートクレーブ反応器に導入する。反応器を閉じる。機械的撹拌にさらし、2つのガス入口及び出口弁を用いて5分間アルゴン流又は窒素流を通す。弁を閉じて反応器を70℃で16時間置く。重合終了時、コポリマーをメタノール中で凝固させる。分離させてから上澄みメタノールを除去する。コポリマーをTHFに溶かしてから、減圧下ロータリーエバポレーターで溶媒を蒸発させて除去する。コポリマーは、Mnが6800の液体ポリマーである。合成収率は20%である。
最終生成物は、加水分解前のポリマーと同じMnを有する液体ポリマーであり、そのP(O)(OH)(OMe)官能基含量は0.73meq/gである。
下記手順に従い、イソプレンとMAPの共重合後のホスホナート官能基の一加水分解によってC4ポリマーを調製する。
共重合:イソプレン(85モル%/モノマーの合計)、MAP(15モル%/モノマーの合計)、トルエン(固形分=60質量%)及びAIBN(1モル%/モノマーの合計)を(オープンカバー)オートクレーブ反応器に導入する。反応器を閉じる。機械的撹拌にさらし、2つのガス入口及び出口弁を用いて5分間アルゴン流又は窒素流を通す。弁を閉じて反応器を70℃で16時間置く。重合終了時、コポリマーをメタノール中で凝固させる。分離させてから上澄みメタノールを除去する。コポリマーをTHFに溶かしてから、減圧下ロータリーエバポレーターで溶媒を蒸発させて除去する。コポリマーは、Mnが12500の液体ポリマーである。合成収率は26%である。
最終生成物は、加水分解前のポリマーと同じMnを有する液体ポリマーであり、そのP(O)(OH)(OMe)官能基含量は1.76meq/gである。
・10-カルボキシルデシルホスホン酸(カルボキシルC11ホスホン酸)である化合物:
α,ω-二加水分解ポリブタジエン、カルボキシルC11ホスホン酸(ヒドロキシル官能基1個につき2.1当量)及びトルエンを一ツ口丸底フラスコに導入する。丸底フラスコにディーンスターク装置を装着して140℃で24時間置く。反応はホスホン酸による自触媒反応である。反応の過程で生じた水は、トルエンとの共沸混合物の形成によってディーンスターク装置で除去される(反応平衡のシフト)。
反応終了時に、官能性ポリブタジエンをエタノール中で凝固させる。60℃で加熱処理することによってポリマーを乾燥させる。この手順に従って、液体ポリマーであるポリマーM1~M3を合成する。
一ツ口丸底フラスコ内で、170mlのトルエンに30.0gのα,ω-二加水分解ポリブタジエン及び5.3g(2当量、すなわち、OH官能基1個につき1当量)のカルボキシルC11ホスホン酸半エステルを溶かす。丸底フラスコにディーンスターク装置を装着し、140℃で磁気撹拌にさらす。140℃で8時間後に完全変換する。反応の終了時に、真空下のエバポレーションによってトルエンを除去する。最終生成物M4は液体ポリマーである。
修飾反応に用いる化合物10-カルボキシルデシルメチルホスホン酸は、下記プロトコルに従って、10-カルボキシルデシルジメチルホスホン酸(カルボキシルC11ジメチルホスホナート)の一加水分解により調製する:
一ツ口丸底フラスコ内で、17.0gのカルボキシルC11ジメチルホスホナートを110mlのアセトンに溶かす。19.5g(2.25当量)のヨウ化ナトリウムを加える。50℃で16時間磁気撹拌にさらす。反応中に白色沈殿が現れる:それは、ナトリウム塩形態のカルボキシルC11ホスホン酸半エステルMEである。反応終了時に、沈殿物を濾別してからそれをアセトンで2回洗浄する。この粉末を500mlのジクロロメタンに懸濁させ、ホスホン酸ナトリウムをホスホン酸に変換させるために50mlの1M塩酸を滴加する。周囲温度で2時間撹拌したまにしてから、混合物を分離漏斗に移す。塩素化相を清水で洗浄する。無水硫酸ナトリウム上で乾燥させる。濾過する。真空下のエバポレーションによってジクロロメタンを除去する。合成収率は60%である。最終生成物は白色蝋様粉末であり;その構造を1H NMRにより特徴づける。
用いたα,ω-二加水分解ポリブタジエンは、Cray Valleyが販売する製品である。表1は、本発明の要求に有用な官能性ポリマーの調製用α,ω-二加水分解ポリブタジエンの市販リファレンスを示す。
金属表面を有する個々のスレッド部分を架橋ポリマーマトリックスから引き出すのに必要な力を測定する試験によって、ポリマーマトリックスと構成要素との間の結合の質を判定する。この目的のため、一方で、金属表面を有する構成要素としての金属性の個々のスレッドを含有する試験片の形態で、及び他方で、架橋ポリマーマトリックスを含むエラストマー混合物の形態で、複合材を調製する。
このために、ポリマーマトリックスを含むエラストマー混合物を前もって調製する。
調製するエラストマー混合物は、ポリマーマトリックスに用いるミクロ構造、マクロ構造及び官能性ジエンポリマー含量のため、ポリマーマトリックスによって互いに異なる。全てのエラストマー混合物について、ポリマーマトリックスは、天然ゴムと官能性ジエンポリマーの混合物から成り、官能性ジエンポリマーは、例に従ってポリマーマトリックスの5、10、15又は25質量%に相当する。ポリマーマトリックスに用いる官能性ジエンポリマー、及びその含量を下表3~6に示す。.
エラストマー混合物を調製するため、後記プロトコルに従って補強フィラー、カーボンブラック(N326)、架橋系、及びペルオキシド(ジクミルペルオキシド)をポリマーマトリックスに組み込む。カーボンブラック含量は、ポリマーマトリックス100部当たり50部であり、ペルオキシド含量は、ポリマーマトリックス100部当たり5部である。
天然ゴム、カーボンブラック及び官能性ジエンポリマーを順次内部ミキサーに導入する(最終充填度:約70容積%)。この内部ミキサーの初期容器温度は約60℃である。次に、最大「滴下」温度が約150℃に達するまで熱機械的作業を行う(非生産段階)。結果として生じる混合物を回収し、冷却してから、30℃にて外部ミキサー(ホモフィニッシャー)で該混合物に架橋系を組み込み、全て混合する(生産段階)。
このように調製されたエラストマー混合物を用いて、下記プロトコルに従って試験片の形態の複合材を調製する:
硬化前に互いに適用された2つのプレートから成るゴムのブロックを調製する。ブロックの2つのプレートは、同一のエラストマー混合物から成る。ブロックの調製中に、個々のスレッドを未加工状態の2つのプレート間に、等距離おいてトラップし、これらのプレートの両側に、その後の引張試験のために十分な長さを有する個々のスレッド端を突出させたまままにする。次に、個々のスレッドを含むブロックを、目標とする試験条件に適応し、かつ当業者の裁量に任された型の中に置く;例として、この場合、5.5トンの圧力下で複合材に応じて25分~60分で変動する時間、ブロックを160℃で硬化させる。
個々のスレッドは、普通(すなわち非被覆)鋼又は黄銅若しくは青銅で被覆された鋼である。それらの直径は、直径が1.30mmである青銅は別として1.75mmであり;黄銅被膜の厚さは200nm~1μm、青銅被膜の厚さは50nm~0.1μmである。
-官能性ジエンポリマーC1、C2、C3、C4、M1、M2、M3及びM4のどれを使用したか
-ポリマーマトリックス中の官能性ジエンポリマーの質量分率
-個々のスレッドの金属表面の金属。
例えば1aのように、数字の後に小文字を付して各試験片を参照する。1という数字は1官能性ジエンポリマーに対応する。小文字は、個々のスレッドの金属表面の金属の性質を示す:黄銅はa、鋼はb、青銅はcである。
このように調製された試験片は、本発明の複合材に相当する。
接着試験:
硬化の結論に関して、各部分を所与の速度及び所与の温度(例えば、この場合、100mm/分及び周囲温度)で個々に試験できるようにするため、結果として生じる架橋ブロック及び個々のスレッドから成る試験片を適切な引張試験機のジョー間に置く。
試験片から該部分を引き裂くための「引き剥がし」力を測定することによって接着レベルを特徴づける。
結果は、試験する試験片と性質が同一の個々のスレッドを含有し、かつポリマーマトリックスが天然ゴムから成るエラストマー混合物を含有するコントロール試験片に対してベース100で表してある(言い換えれば、ポリマーマトリックス中の官能性ジエンポリマーの質量分率はコントロール試験片において0%である)。官能性ジエンポリマーの非存在の場合を除き、試験片及びそれを構成するエラストマー混合物をも、それぞれ、他の試験片及びエラストマー混合物と同一の方法で調製する。
接着試験において100よりずっと高い値を提示するので、本発明の複合材は、鋼製のスレッド要素の場合にも黄銅製及び青銅製のスレッド要素の場合にも、すなわち鉄、銅、亜鉛又はスズを含むスレッド要素の場合に非常に改善された引き剥がし抵抗性を示す。
この改善された引き剥がし抵抗性は、官能性ジエンポリマーのミクロ構造及びマクロ構造に関係なく全てのマトリックスについて観察される。それは、5質量%の官能性ジエンポリマーが導入されるとすぐに観察される。
ジエンエラストマー及び鋼又は黄銅又は青銅をベースとする複合材の製造においては一般的に必要ないずれの硫化工程の非存在下でも複合材の性能の改善が観察されると認めることも注目に値する。
Claims (10)
- 少なくとも、金属表面を示す構成要素と、ジエンエラストマーDEと官能性ジエンポリマーのエラストマー混合物を含むポリマーマトリックスとをベースとする複合材であって、前記金属表面は、前記ポリマーマトリックスと接触しており、前記官能性ジエンポリマーは、少なくとも1つの官能基を有するジエンポリマーであり、前記官能基は、ホスホン酸官能基、ホスホン酸半酸官能基、ホスホン酸ジエステル官能基又はホスホン酸若しくはホスホン酸半酸官能基の塩である、前記複合材。
- 前記金属表面が、鉄、銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、コバルト又はニッケルを含む、請求項1に記載の複合材。
- 前記金属表面の金属が、鋼、黄銅又は青銅である、請求項1又は2に記載の複合材。
- 前記構成要素が、スレッド又はコードである、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記官能性ジエンポリマーが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3-ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びその混合物から成るポリマーの群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記ジエンエラストマーDEが、90質量%超の1,4-cis結合を有するポリイソプレンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記官能性ジエンポリマーが、前記ポリマーマトリックスの最大で30質量%に相当する、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合材。
- 前記ポリマーマトリックスに分布した補強フィラーをも含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合材。
- 該複合材が、補強要素と、前記補強要素が中に埋め込まれているカレンダー加工ゴムとを含む補強製品であって、各補強要素が、請求項1~8のいずれか1項に記載の金属表面を示す構成要素からなり、かつ、前記カレンダー加工ゴムが請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマーマトリックスを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合材。
- 請求項1~9のいずれか1項に記載の複合材を含むタイヤ。
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