以下、図面を参照して物品搬送システム10の構成について説明する。図1は、物品搬送システム10全体の構成例を示す図である。物品搬送システム10は、物品を収容する梱包箱14と、当該梱包箱14を搬送する物品搬送ロボット12と、物品搬送ロボット12の運行を制御する管理センタ16と、を有している。物品搬送ロボット12は、梱包箱14を保持可能であり、一般的な道路や屋内通路を自律走行可能な移動ロボットである。また、梱包箱14は、物品搬送ロボット12の形態に合わせて予め用意された箱である。この梱包箱14は、後に詳説するように、単一の物品搬送ロボット12で保持可能なサイズの小型箱14sと、二つの物品搬送ロボット12で保持される収容箱14rと、がある。こうした梱包箱14は、配送元110の個人や企業に貸与されるものであり、物品の配送後は、配送先112から回収され、再利用される。
図示例では、この物品搬送ロボット12は、物品を、配送元110から中継所100、あるいは、中継所100から配送先112へ搬送する。具体的には、管理センタ16は、配送元110の個人や企業、あるいは、物流の中継所100から物品搬送の依頼を受け付ける。こうした搬送依頼は、例えば、インターネットを介した通信により送られる。搬送依頼を受け付ければ、管理センタ16は、物品搬送ロボット12を配送元110に移動させる。物品搬送ロボット12は、配送元110において、物品が収容された梱包箱14を受け取り、配送元110の最寄りの中継所100に搬送する。
配送元110の最寄りの中継所100から配送先112の最寄りの中継所100まで、梱包箱14は、運送トラック102等を利用する一般的な物流システムを用いて運送される。配送先112の最寄りの中継所100から配送先112まで、梱包箱14は、再び、物品搬送ロボット12を用いて搬送される。このとき、管理センタ16は、中継所100あるいは配送先112の個人や企業等から、配送希望時間等のリクエストを受け付けてもよい。物品搬送ロボット12は、管理センタ16からの指示により、物品が収容された梱包箱14を中継所100から配送先112へと搬送する。配送先112において、物品が梱包箱14から取り出されれば、物品搬送ロボット12は、空になった梱包箱14を回収する。
なお、ここで説明した物品搬送システム10の利用形態は一例であり、適宜、変更されてもよい。例えば、上述の例では、梱包箱14を、中継所100を経由して、配送先112に配送している。しかし、物品搬送ロボット12は、配送元110から受け取った物品を、中継所100を経ることなく、直接、配送先112へ搬送してもよい。また、上述の例では、梱包箱14を配送元110に「貸与」しているが、梱包箱14は、配送元110が買い取る形態としてもよい。
次に、この物品搬送システム10を構成する物品搬送ロボット12について図2~図4を参照して説明する。図2は、物品搬送ロボット12の斜視図であり、図3は、梱包箱14として小型箱14sを保持した状態の物品搬送ロボット12の斜視図である。さらに、図4は、物品搬送ロボット12および梱包箱14の電気的構成を示すブロック図である。なお、以下の各図において、「Fr」、「Up」、「Rh」は、それぞれ、物品搬送ロボット12の前方、上方、右側方を示す。
物品搬送ロボット12は、機械的には、車輪等を有した走行部18と、当該走行部18の上側に設けられる保持部20と、に大別される。走行部18は、図2、図3に示すように、片側3つ、左右合わせて六つの車輪を有している。物品搬送ロボット12には、この六つの車輪を回転駆動させる走行モータ40(図2、図3では図示せず、図4参照)が搭載されている。走行モータ40は、各車輪ごとに設けられてもよいし、一部の車輪にのみ設けられてもよい。なお、走行部18は、一般的な道路や屋内の通路を走行できるのであれば、その構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、車輪の個数は、六つに限らず、四つでもよいし、六つより多くてもよい。また、車輪に替えて、他の走行機構、例えば、キャタピラ等の商品名で知られている無限軌道等を設けてもよい。
また、物品搬送ロボット12には、走行部18での自律走行を助けるために通信I/F36およびセンサ群38(いずれも図2、図3では図示せず、図4参照)も設けられている。通信I/F36は、外部機器と通信するためのもので、携帯電話会社等が提供する回線を利用したモバイルデータ通信や、ブルートゥース(登録商標)等を利用した中距離または近距離無線通信のためのハードウェアを含む。通信相手の外部機器としては、例えば、管理センタ16や中継所100等に設置された通信端末、個人が所有する携帯通信端末、他の物品搬送ロボット12等が含まれる。物品搬送ロボット12は、この通信I/F36を介して、物品の搬送に関係する各種情報、例えば、目的地情報や道路状況等を取得する。また、物品搬送ロボット12は、通信I/F36を介して、管理センタ16等に、必要な情報、例えば、物品の搬送状況等を送信する。
センサ群38は、物品搬送ロボット12の走行状態および周辺環境を検知する1以上のセンサを含む。こうしたセンサ群38は、例えば、速度センサ、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線センサ、LiDAR、超音波センサ、GPSセンサ、加速度センサ、およびジャイロセンサの少なくとも一つを含む。後述するロボットコントローラ34(図4参照)は、センサ群38で検知された検知結果および通信I/F36を介して取得された情報に基づいて、走行モータ40を駆動する。
保持部20は、走行部18の上側に設けられており、規定サイズの梱包箱14を保持する。この保持部20は、図2に示すように、前後方向に貫通した角形リング状であり、幅方向に間隔をあけて立脚する一対のサポート柱22と、一対のサポート柱22の上端同士を接続する上横部材24と、一対のサポート柱22の下端同士を接続する下横部材26と、を有する。梱包箱14は、図3に示すように、この角形リング状の保持部20の内側に配置され、保持される。なお、上述した通り、梱包箱14は、そのサイズによって、小型箱14sと、収容箱14rと、に大別され、図3では、保持部20で小型箱14sを保持した様子を示している。
一対のサポート柱22それぞれの対向面には、複数(図示例では五つ)のサポートレール28が、高さ方向に間隔をあけて設けられている。このサポートレール28は、梱包箱14を摺動可能に下側から支える。一対のサポート柱22それぞれの対向面には、さらに、ロックピン30も設けられている。各ロックピン30は、幅方向に進退可能であり、進出することで梱包箱14の一部と係合する。なお、図2では、一番下側のロックピン30のみが進出しており、その他のロックピン30は、退避している。かかるロックピン30が、梱包箱14に係合することで、梱包箱14の落下や盗難が防止される。
物品搬送ロボット12には、ロックピン30を進退させるためのロックアクチュエータ46(図4参照)が設けられている。このロックアクチュエータ46の構成は、電子制御できるものであれば、特に限定されず、ロックアクチュエータ46は、例えば、ソレノイドアクチュエータ等の電磁シリンダや、空圧シリンダや、油圧シリンダ、リニアモータ等を有してもよい。
サポート柱22の対向面には、さらに、RFIDリーダライタ48が搭載されている。また、梱包箱14の側壁のうち、当該RFIDリーダライタ48と対向する箇所には、RFタグ52(図4参照)が固着されている。RFIDリーダライタ48は、電磁界や電波等を用いた近距離の無線通信を利用して、このRFタグ52に情報を記録したり、RFタグ52に記録された情報を読み込んだりする。
ここで、RFタグ52に記録される情報は、例えば、配送に関する配送情報、例えば、配送元110および配送先112の住所情報や希望配達時間等を含んでもよい。ここで、従来の配送では、こうした配送情報は、箱の表面に貼着される伝票に記載される。しかし、上述した通り、本例の物品搬送ロボット12は、梱包箱14の一部を外部に露出させた状態で搬送する。そのため、配送情報を記載した伝票を箱の表面に貼着させていると、搬送の過程で、配送情報が不特定多数の人間に見られてしまうおそれがあった。一方、本例のように、RFタグ52に配送情報を記録しておけば、梱包箱14の一部が外部に露出していたとしても、周囲の人間は、配送情報を把握することはできない。なお、こうしたRFタグ52を設けた場合、その分、コストが増加するという問題がある。しかし、本例の梱包箱14は、繰り返し使用するため、RFタグ52の追加に伴う、配送1回あたりのコストアップを、小さく抑えることができる。
なお、ここでは、配送情報をRFタグ52に記録する例を挙げたが、無関係の人間が配送情報を容易に認識できないのであれば、他の形態でもよい。例えば、RFタグ52に替えて、配送情報を示すバーコードを梱包箱14に付着してもよい。この場合、物品搬送ロボット12は、バーコードリーダーを有する。また、各梱包箱14に、固有の識別番号を持たせておくとともに、管理センタ16に、この識別番号と配送情報とを対応付けて記録したデータベースを設けてもよい。この場合、物品搬送ロボット12は、梱包箱14の配送情報が必要な場合には、管理センタ16に、当該梱包箱14の識別番号とともに配送情報のリクエストを送信すればよい。
物品搬送ロボット12には、スピーカ44(図4参照)も設けられている。このスピーカ44は、物品搬送ロボット12の周囲の人に情報を提示するために設けられている。したがって、スピーカ44は、例えば、配送先112や配送元110にいるユーザに操作手順を示すガイダンス音声を出力したり、走行中に周囲の人々へ注意を喚起する音声を出力したりする。
物品搬送ロボット12には、さらに、当該物品搬送ロボット12に設けられた各種電気機器に電力を供給するバッテリ42(図4参照)も設けられている。このバッテリ42は、物品搬送ロボット12から着脱自在であり、必要に応じて、物品搬送ロボット12の外部において充電される。
物品搬送ロボット12の駆動は、ロボットコントローラ34(図4参照)により制御される。ロボットコントローラ34は、少なくとも、プロセッサ34aと、メモリ34bと、を有するマイクロコンピュータである。ロボットコントローラ34の各機能は、プロセッサ34aがメモリ34bに格納されたプログラムを実行することにより実現される。なお、プロセッサ34aは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また、ロボットコントローラ34を構成するプロセッサ34aは、物理的に一つである必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサで構成されてもよい。同様に、メモリ34bも、物理的に一つの要素である必要はなく、物理的に離れた位置に存在する複数のメモリで構成されてもよい。また、メモリは、半導体メモリ(例えばRAM、ROM、ソリッドステートドライブ等)および磁気ディスク(例えば、ハードディスクドライブ等)の少なくとも一つを含んでもよい。
梱包箱14は、物品を収容するための箱であり、物品搬送ロボット12の保持部20で保持可能な箱である。この梱包箱14は、上述した通り、繰り返し使用することが想定されており、比較的、堅牢な構成となっている。この梱包箱14には、上述した通り、RFタグ52が固着されている。
さらに、梱包箱14には、発信器54(図4参照)も固着されている。発信器54は、位置追跡信号を出力するもので、例えば、GPS発信器である。かかる発信器54を梱包箱14に固着しておくことで、梱包箱14の位置を追跡できる。すなわち、繰り返し述べているように、本例の梱包箱14は、繰り返し使用することを想定した貸与形式の箱である。かかる梱包箱14が、ユーザから返却されない場合には、発信器54からの位置追跡信号に基づいて、梱包箱14の位置を特定し、返却を求めるために物品搬送ロボット12を当該梱包箱14のもとに送ってもよい。なお、発信器54は、その駆動電力を供給する電池を有しているが、当該電池は、使い切りタイプの一次電池でもよいし、充放電可能な二次電池でもよい。発信器54に二次電池を設けた場合、物品搬送ロボット12には、当該二次電池を無線で充電できる無線充電器を搭載してもよい。この場合、物品搬送ロボット12は、梱包箱14を保持部20で保持している期間を利用して、二次電池を充電してもよい。
ここで、上述した通り、梱包箱14は、そのサイズによって、小型箱14sと、収容箱14rと、に分類される。小型箱14sは、図3に示すように、単一の物品搬送ロボット12で保持可能な平面サイズを有している。すなわち、小型箱14sの幅方向寸法は、一対のサポート柱22の対向距離より僅かに小さい。また、小型箱14sの奥行き寸法は、当該小型箱14sをサポートレール28に載置した際に、当該小型箱14sが落下しない程度の寸法である。かかる小型箱14sの場合、単一の物品搬送ロボット12で保持可能であるため、気楽に用いることができる。
ただし、搬送対象の物品の中には、小型箱14sに収まりきらない、大型の物品もある。かかる大型の物品も搬送可能とするために、本例では、小型箱14sに比べて奥行き寸法が大幅に大きい、収容箱14rを用意している。これについて図5から図7を参照して説明する。図5は、収容箱14rの斜視図である。また、図6は、収容箱14rを2台の物品搬送ロボット12で搬送する様子を示す斜視図であり、図7は、収容箱14rを回収する様子を示す斜視図である。
収容箱14rは、前後方向に貫通した角型トンネル状の中間部材62と、当該中間部材62の前後方向両端に接続された一対の端部ユニット60と、を有している。前側および後側の端部ユニット60は、互いに同一構成を有している。各端部ユニット60は、前後方向に貫通した角形筒状であり、その前後方向端面の開口は、物品を出し入れするための取り出し開口68として機能する。この取り出し開口68は、端部ユニット60に設けられた蓋体66により、開閉自在に覆われる。本例において、蓋体66は、幅方向一端にヒンジ軸を有した片開き式である。ただし、蓋体66は、取り出し開口68を開閉できるのであれば、片開き式に限らず、他の形態、例えば、両開き式や折り戸式等でもよい。
また、搬送過程で、収容箱14rから物品が抜き取られることを防止するために、蓋体66の開閉を規制する何らかのロック機構(図示せず)を設けてもよい。このロック機構は、物品搬送ロボット12や管理センタ16等でコントロール可能な電子キーでもよい。また、このロック機構は、予め設定された暗証番号と一致するようにダイヤルを回すことで解錠できる機械式のダイヤル式ロックでもよい。この場合、暗証番号は、配送元110や管理センタ16等で自由に設定し、設定された暗証番号を配送先112に通知すればよい。また、端部ユニット60の側面には、物品搬送ロボット12のロックピン30が係合する係合凹部64が形成されている。収容箱14rが保持部20にセットされた後に、ロックピン30がサポート柱22から進出して係合凹部64に嵌まり込むことで、収容箱14rの保持部20からの落下や盗難が防止される。
図6に示すように、物品の搬送過程では、一つの物品搬送ロボット12に一つの端部ユニット60が保持される。また、収容箱14rの中間部材62は、後述する通り、前後方向に折り畳み可能であり、物品の搬送後に空の収容箱14rを回収する際には、図7に示すように、中間部材62を前後方向に折り畳まれた状態で、一つの物品搬送ロボット12に、前側および後側の二つの端部ユニット60が保持される。したがって、端部ユニット60の奥行き寸法は、一つの物品搬送ロボット12で二つの端部ユニット60を同時に搬送できる程度の大きさである。例えば、前側の端部ユニット60の奥行き寸法と、後側の端部ユニット60の奥行き寸法の合計値は、保持部20の奥行き寸法の3倍未満としてもよい。
なお、本例では、前後の端部ユニット60を、互いに同一構成としているが、これら二つの端部ユニット60は、互いに異なる構成であってもよい。例えば、蓋体66は、前側の端部ユニット60または後側の端部ユニット60のいずれか一方にのみ、設けられ、他方は、完全閉塞されていてもよい。また、RFタグ52や発信器54等も前側または後側の一方の端部ユニット60にのみ設けられてもよい。
中間部材62は、前後方向に貫通するトンネル状部材であり、当該中間部材62の内部空間に大型の物品が収容される。中間部材62は、図5に示すように、正面視で矩形であり、一対の側壁70Sと、一対の側壁70Sの下端を連結する底壁70B(図5では見えず)と、一対の側壁70Sの上端を連結する天壁70Tと、を有している。この中間部材62は、前後方向に貫通したトンネル形状となる展開状態と、その周壁(すなわち側壁70S、天壁70Tおよび底壁70B)を前後方向に折り重ねた折畳状態と、に変更可能である。こうした折り畳みを可能にするために、中間部材62は、堅牢な素材からなる複数の剛性シートを柔軟シートで連結して構成される。図5において、薄墨ハッチング箇所は、剛性シートが存在する箇所を示しており、濃墨ハッチング箇所は、剛性シートが無く、柔軟シートのみが存在する箇所を示している。柔軟シートのみが存在する箇所は、容易に折れ曲がる折り目として機能する。
剛性シートは、切断および屈曲が容易にできない剛性素材、例えば、金属や硬質プラスチック、炭素繊維強化プラスチック等で構成される。また、柔軟シートは、切断が困難な一方で、容易に屈曲できる素材、例えば、アラミド繊維等からなる防刃布や、炭素繊維を織ったカーボンクロス等で構成される。また、収容箱14rは、外部に露出した状態で搬送されるため、中間部材62を構成する素材は、防水性も有する。
中間部材62の側壁70Sには、当該側壁70Sの上端から下端まで延び、ファスナ76で開閉可能な切れ目74(図10参照)が形成されている。このファスナ76は、展開状態では閉鎖され、折畳状態では、開封される。ここで、ファスナ76は、スライダに連結された引き手を作業者が摘まんで引っ張ることで開閉される。本例では、このファスナ76の引き手を、中間部材62の内側に配置している。かかる構成とすることで、展開状態かつ取り出し開口68が閉鎖されている状態では、ファスナ76を開けることができない。そして、これにより、切れ目74からの物品の抜き取りを防止できる。なお、こうしたファスナ76は、閉鎖時において、水の浸入を防止できる防水ファスナでもよい。また、ファスナ76は、手動で開閉されてもよいし、何らかの電動機構で自動で開閉されてもよい。例えば、ファスナ76は、そのスライダに直進アクチュエータが組み込まれ、電動で開閉可能なオートファスナでもよい。
こうした収容箱14rは、別の見方をすると、フラットに折り畳み可能な1以上のエレメント78を前後に繋げて構成されている。図8は、一つのエレメント78のみを抜き出した斜視図である。各エレメント78の側面の前後方向中心には上下に伸びる切れ目74が形成されている。この切れ目74には、上述した通り、ファスナ76が設けられている。また、側面の四隅からは切れ目74に向かって45度の傾斜で伸びる四つの第一折り目72aが設けられており、側面は、この第一折り目72aに沿って内側に折り込み可能となっている。天面および底面の前後方向中心には、幅方向に延びる第二折り目72bが形成されており、天面および底面は、当該第二折り目72bに沿って内側に折り込み可能となっている。
こうしたエレメント78は、ファスナ76を開けた上で折り目72a,72bに沿って織り込むことで、当該エレメント78を構成する複数の面が前後方向に折り重なったシート状になる。図5に示す例では、中間部材62は、二つのエレメント78を有するが、一つの中間部材62が有するエレメント78の個数は、特に限定されず、一つでもよいし、三つ以上でもよい。複数のエレメント78を前後方向に繋げた場合、各エレメント78の繋ぎ目は、第三折り目72c(図11参照)となる。また、中間部材62には、側壁70S、天壁70T、底壁70Bの境界線である第四折り目72d(図11参照)も存在する。
次に、こうした収容箱14rの折り畳みについて図9から図12を参照して説明する。図9は、展開状態の、図12は、折畳状態の収容箱14rを示している。また、図10は、折り畳み途中の収容箱14rを示している。さらに、図11は、折り目72の折り方向を示す図である。図11において、一点鎖線は、谷折り線を、二点鎖線は、山折り線を示している。
収容箱14rを、折り畳む場合には、まず、側壁70Sに設けられたファスナ76を下ろして、切れ目74を開封する。続いて、側壁70S、天壁70T、および、底壁70Bを、折り目72に沿って内側に折り込む。具体的には、図11に示すように、第三折り目72cおよび第四折り目72dは、山折りとし、第一折り目72aおよび第二折り目72bは、谷折りとする。そして、最終的に、図12に示すように、側壁70S、天壁70T、底壁70Bを前後方向に折り重ねる。この状態になれば、中間部材62の前後方向寸法が大幅に低減される。その一方で、折畳状態における中間部材62の正面視外寸は、展開状態における中間部材62の正面視外寸と、同じである。そのため、折畳状態でも、中間部材62は、一対の端部ユニット60で挟まれ、外側に飛び出さない。その結果、収容箱14rは、折り畳んだとしても、角形リング状の保持部20の内側に問題なく配置できる。
ところで、中間部材62を折り畳み可能とするのであれば、中間部材62をアコーディオンのふいごのような角型蛇腹部材とすることも考えられる。こうした角型蛇腹部材も、内側に織り込まれるエレメントを複数繋げて構成される。しかし、角型蛇腹部材では、切れ目74が形成されていない。そのため、側壁70Sを大きく変形させることができない。その結果、角型蛇腹部材の場合、一つのエレメントの長さを短くせざるを得ず、折畳状態で前後方向に折り重なるシートの枚数が多くなる。そして、これにより、折り重なるシートの枚数が多くなると、その分、折畳状態における前後方向寸法が大きくなり、スペース効率の悪化を招く。一方、本例では、上述したように、側壁70Sに切れ目74を設けているため、側壁70Sを大きく変形させることができる。そして、これにより、一つのエレメントの長さを長くでき、折畳状態で前後方向に折り重なるシートの枚数を低減できる。そして、結果として、折畳状態における前後方向寸法を大幅に低減できる。
次に、以上のような収容箱14rを用いた大型の物品の搬送について説明する。大型の物品を搬送する際には、当該物品を、展開状態の収容箱14rに収容する。収容箱14rとしては、中間部材62の長さが異なるものが複数種類、用意されている。ユーザは、この複数種類の収容箱14rの中から、搬送したい物品のサイズに応じた収容箱14rを選択し、物品を収容する。収容後は、物品の抜き取りを防止するために、蓋体66をロックしておく。
物品を収容した収容箱14rは、二つの物品搬送ロボット12により保持される。すなわち、図6に示すように、前側の端部ユニット60が、一つの物品搬送ロボット12の保持部20に配置され、後側の端部ユニット60が、もう一つの物品搬送ロボット12の保持部20に配置される。このとき、各物品搬送ロボット12は、サポート柱22に設けられたロックピン30を進出させ、端部ユニット60の係合凹部64にロックピン30を係合させる。
この状態になれば、二つの物品搬送ロボット12は、互いに連携しながら自律的に移動し、収容箱14rごと物品を搬送する。なお、二つの物品搬送ロボット12は、互いに独立して移動制御されてもよいし、一方の物品搬送ロボット12を他方の物品搬送ロボット12に追従移動させてもよい。例えば、前側の物品搬送ロボット12と後側の物品搬送ロボット12との距離が常に一定になるように、後側の物品搬送ロボット12を、前側の物品搬送ロボット12に追従させてもよい。
収容箱14rが、配送先112に到達すれば、物品搬送ロボット12は、ロックピン30を後退させる。これにより、収容箱14rが、物品搬送ロボット12から取り出せる。配送先112のユーザは、収容箱14rを開けて内部の物品を取り出す。物品が取り出され、収容箱14rが空になれば、物品搬送ロボット12は、この空の収容箱14rを再利用するために回収する。この回収時には、収容箱14rは、折り畳まれる。収容箱14rを折り畳む際には、ファスナ76を開けた上で、折り目72に沿って中間部材62を内側に折り込む。収容箱14rが折畳状態になれば、図7に示すように、1台の物品搬送ロボット12の保持部20に、一対の端部ユニット60を同時に載せる。
ここで、収容箱14rが、前後方向に大きい展開状態のままでは、空であっても、当該収容箱14rの搬送に2台の物品搬送ロボット12が必要となる。一方、本例のように、収容箱14rを、前後方向に小さい折畳状態とすれば、1台の物品搬送ロボット12で収容箱14rを搬送でき、もう1台の物品搬送ロボット12は、他の荷物の搬送が行える。これにより、物品搬送ロボット12の利用効率をより向上できる。
なお、これまで説明した構成は、一例であり、適宜、変更されてもよい。例えば、上述の説明では、収容箱14rの中間部材62を、角型トンネル状としているが、中間部材62は、角型に限らず、断面円形でもよい。また、中間部材62は、切れ目74を有さない構成でもよい。また、物品搬送ロボット12も、二つの端部ユニット60を同時に保持できるのであれば、その構成は、適宜、変更されてもよい。