JP7205368B2 - 物体検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波の送受信により物体を検知する物体検知装置に関する。
従来、この種の装置としては、例えば特許文献1に記載の物体検知装置が提案されている。この物体検知装置は、車両に搭載され、垂直指向性の異なる2種の送信波を時間差で送信する送信部と、反射波を受信する受信部と、反射波から各送信波由来の周波数成分を抽出する抽出部と、周波数成分から物体を検知する検知部とを備える。
この物体検知装置は、所定の到達範囲とされた第1の送信波を送信した後、その反射波を受信する前に、路面に到達し、かつ第1の送信波よりも到達範囲の広い第2の送信波を送信し、これらの反射波を受信する構成とされる。また、第1の送信波の振幅レベルが、車両から所定の距離にある路面からの反射波の受信レベルが所定基準値以下となる設定とされる一方で、第2の送信波の振幅レベルは、当該路面からの反射波の受信レベルが所定基準値よりも大きくなる設定とされている。そして、この物体検知装置は、受信した反射波から各送信波の周波数成分を抽出し、反射波を受信した時間により当該路面からの反射波を認識すると共に、各送信波の周波数成分の受信タイミングにより、路面上の障害物を検知する。
特開2018-54581号公報
この種の物体検知装置においては、物体の検知精度をさらに向上することが求められている。例えば、上記の物体検知装置は、垂直指向性の異なる2種の送信波を用い、送信部の正面方向においては所定の高さ以上の障害物を検出できるが、これらの送信波が水平指向性も異なる場合には、水平方向における障害物の検出精度が不十分となり得る。
具体的には、2種の送信波の水平指向性が異なる場合、例えば、送信部に対して正面の方向にある物体と斜め前の方向にある物体とでは、それぞれの物体からの反射波の受信レベルが変化してしまう。つまり、送信部に対する物体の水平方向位置が変わると、当該物体からの反射波の受信レベルも変化することから、異なる水平方向位置において所定の高さ以上の物体を検知するためには、その水平方向位置に応じて受信レベルの基準値を変更しなければならない。しかしながら、周波数の異なる2種の送信波を送信するのみでは、この水平方向位置の変化を考慮することができず、正面方向以外の物体の検出精度を確保することができない。
本発明は、上記の点に鑑み、送信部に対する垂直方向に加えて、水平方向位置においても、物体の高さの検知精度が従来よりも高い物体検知装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の物体検知装置は、移動体に搭載され、物体を検知する物体検知装置(1)であって、駆動信号を生成する信号生成部(20)と、入力された駆動信号に応じて超音波を探査波として送信する送信部(10)と、超音波を受信して受信信号を生成する受信部(50)と、送信部に対する水平方向における物体の位置を取得する水平位置取得部(72)と、受信信号および物体の位置に基づいて物体の検知判定を行う信号判定部(70)と、送信部と受信部とを有してなる1つのみのソナー部(100)と、を備え、受信部は、少なくとも2つの指向性の異なる探査波の反射波を受信し、信号判定部は、受信信号に基づいて、水平方向における物体の位置と、物体の高さを算出し、高さの算出においては水平方向に応じて設定される閾値を用い、算出された高さが所定の閾値以上の場合に物体が存在すると判定水平位置取得部は、ソナー部が、第1位置、および第1位置と異なる第2位置における探査波の送受信により得られた受信信号に基づいて、物体の位置を取得し、水平位置取得部は、第1位置におけるソナー部、および第2位置におけるソナー部のそれぞれによる探査波の送受信により得られた受信信号に基づいて、物体の位置を取得し、第2位置は、移動体の移動により生じる
これによれば、指向性の異なる2つの探査波の送受信により得られる受信信号に加えて、水平位置取得部により物体の水平位置を取得し、物体の高さを算出する構成の物体検知装置となる。そして、水平位置取得部により、物体の水平位置を取得することで、指向性の異なる2種の探査波の送受信で得られる受信信号に基づく高さ算出の際に、物体の水平位置に応じて受信レベルの基準値を変更可能となる。つまり、水平方位が異なっていても、物体の高さ算出における基準値を水平位置に応じて変更できるため、物体の高さの算出精度が高く、従来よりも物体の検知精度が高い物体検知装置となる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態の物体検知装置の構成を示すブロック図である。 駆動信号の振幅および周波数の一例を示す図である。 送受信子の指向性の一例を示す図である。 物体の位置と垂直方位との関係を説明するための図である。 物体の位置と水平方位との関係を説明するための図である。 送受信子の指向性の他の一例を示す図である。 周波数の異なる2種の探査波の到達範囲の一例を示す図である。 垂直指向性の広い探査波を送信したときの反射波の振幅を示す図である。 垂直指向性の狭い探査波を送信したときの反射波の振幅を示す図である。 送受信子からの水平距離と垂直方位との関係を示す図である。 送受信子からの水平距離と振幅比との関係を示す図である。 判定の基準値と検知範囲とを示す図である。 水平方位の異なる2つの検知対象に対して、垂直指向性の広い探査波を送信したときの反射波の振幅の一例を示す図である。 水平方位の異なる2つの検知対象に対して、垂直指向性の狭い探査波を送信したときの反射波の振幅の一例を示す図である。 高低の周波数における垂直指向性の一例を示す図である。 高低の周波数における水平指向性の一例を示す図である。 図15、図16の指向性を有する高低の周波数に基づいて算出した、水平方位ごとの周波数比と物体の高さとの関係を示す図である。 1つのソナーによる検知対象への探査波の送信を示す図である。 2つのソナーによる検知対象への探査波の送信を示す図である。 図1の物体検知装置の動作処理例を示すフローチャートである。 解析範囲および振幅の抽出方法について説明するための図である。 送受信子からの直線距離と振幅レベルの減衰量との関係を示す図である。 周波数差が小さいときの振幅レベルの差を示す図である。 周波数差が大きいときの振幅レベルの差を示す図である。 送受信子の周波数特性を示す図である。 送受信子の周波数特性を示す図である。 第2実施形態の物体検知装置の構成を示すブロック図である。 第3実施形態の物体検知装置の構成を示すブロック図である。 第4実施形態の物体検知装置の構成を示すブロック図である。 送信子と受信子とが別体とされた例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態の物体検知装置1について、図1~図26を参照して説明する。
〔構成〕
本実施形態の物体検知装置1は、図1に示すように、送信部10、信号生成部20、送受信子30、受信部50および周波数分離部60を有してなるソナー部100を2つ有すると共に、制御部40と、信号判定部70とを備える。
物体検知装置1は、本実施形態では、制御部40により2つのソナー部100の駆動制御が行われ、これらのソナー部100で得られた振幅値が信号判定部70に出力されると共に、信号判定部70が振幅値に基づいて物体の検知判定を行う構成とされている。物体検知装置1は、超音波ソナー装置であって、例えば車両等の移動体に搭載されて、移動体の外部の物体を検知するものである。本実施形態では、自動車等の車両に搭載された例について説明する。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、2つのソナー部100のうち第1位置に搭載されたものを「第1ソナー部100A」と称し、第1位置とは異なる第2位置に搭載されたものを「第2ソナー部100B」と称することがある。ソナー部100A、100Bの座標等の配置関係の情報については、後述する記憶媒体に予め格納される。
送信部10は、超音波を探査波として送信するものであり、図1に示すように、送信回路11と送受信子30とにより構成される。送信部10は、送信回路11に信号生成部20からの駆動信号が入力される構成となっており、信号生成部20から入力された駆動信号に応じた探査波を送信する。駆動信号は、送受信子30を駆動するための電気信号であって、探査波の周波数に対応する周波数を有しており、例えば時間経過に伴って所定パターンで変化する交流信号とされる。
信号生成部20は、駆動信号として、超音波帯域の周波数を有するパルス信号を生成する。信号生成部20は、少なくとも2つの周波数を有する駆動信号を生成する。例えば、信号生成部20は、図2に示すように、周波数fの信号と周波数f(<f)の信号とを間欠的に生成する。信号生成部20が生成した駆動信号は、図1に示すように、送信回路11に入力される。信号生成部20は、後述する制御部40から、送信指示、駆動信号の設定情報、等が送信される。
送信回路11は、信号生成部20から入力された駆動信号に昇圧等の処理を施し、これにより生成された信号を出力する。送信回路11の出力信号は、送受信子30に入力される。
送受信子30は、送信部10の一部として機能し、送信回路11から入力された信号に応じて、車両の外側に向けて探査波を送信する。送受信子30は、例えば、駆動信号により駆動されることで励振される電気機械変換素子(例えば圧電素子等)を備えるマイクロホンで構成される。また、送受信子30は、受信部50の一部としても機能し、受信波の音圧に応じた電圧を出力する。
受信部50は、超音波を受信し、受信波の音圧に応じて受信信号を生成するものであり、図1に示すように、送受信子30と受信回路51とにより構成される。受信部50が生成した受信信号は、周波数分離部60で処理された後に信号判定部70に入力され、信号判定部70における物体の検知処理に用いられる。
受信回路51は、送受信子30の出力電圧に増幅等の処理を施すことで受信信号を生成し、出力する。受信回路51が生成した受信信号は、周波数分離部60に入力される。
周波数分離部60は、受信回路51からの受信信号にフィルタリング等の処理を施し、これにより生成された信号を出力する。周波数分離部60は、図1に示すように、BPF61a、61bと、振幅生成部62a、62bとを備える。
BPF61a、61bは、バンドパスフィルタであり、所定の周波数帯域の信号を通過させ、他の周波数帯域の信号を遮断するものである。BPF61a、61bの帯域は、制御部40からの入力信号によって設定される。BPF61a、61bの通過周波数帯域の中心周波数は、例えば、それぞれ、f、fとされている。受信回路51が生成した受信信号のうち、BPF61a、61bを通過した信号は、振幅生成部62a、62bに入力される。
振幅生成部62a、62bは、入力された信号の振幅値を算出する。振幅値は、例えば、入力信号のゼロtoピークの測定値、入力信号のピークtoピークの測定値、入力信号の実効値、入力信号をエンベロープ処理した値、入力信号を平均パワーへ変換した値などのうちのいずれかが用いられ得る。
BPF61a、61bおよび振幅生成部62a、62bにより、受信信号から2つの周波数f、fに対応する2つの振幅が抽出される。なお、以下の説明において、周波数f、fに対応する振幅をそれぞれA、Aとする。
信号判定部70は、受信信号に基づいて物体の検知判定を行うものであり、図1に示すように、振幅比算出部71と水平位置取得部72とにより構成される。信号判定部70は、振幅比算出部71が算出した振幅Aと振幅Aとの比である振幅比と、水平位置取得部72により得られる物体の水平方向位置とに基づいて、物体が存在するか否かの判定を行う。具体的には、信号判定部70は、振幅比と物体の水平位置とにより算出された物体の高さが所定の閾値以上であるか否かを判定する。信号判定部70の判定結果は、制御部40に送信される。
なお、後述する振幅比による物体の高さの算出に用いる閾値は、水平位置取得部72で取得した物体の水平位置に応じて適宜変更される。この理由および信号判定部70による判定の詳細については、後述する。また、物体の検知判定における物体の高さの閾値については、適宜変更されてもよい。
振幅比算出部71は、周波数分離部60から出力された信号に基づき、例えば、振幅比としてAr=A/Aを算出する。振幅比算出部71が算出した振幅比は、信号判定部70による物体の検知判定に用いられる。
水平位置取得部72は、送信部10に対する物体の水平位置の情報を取得するものである。検知対象の物体の3次元座標を(x、y、z)として、水平位置取得部72は、本実施形態では、2つのソナー部100における超音波信号の送受信により得られるx、y、zについての3つの数式に基づいて、物体の水平位置を算出する。
例えば、3つの数式のうち2つは、第1ソナー部100から得られる「物体と第1ソナー部100の送信部10との距離」の関数、および「2つの周波数の振幅差または振幅比」の関数である。残り1つの数式は、例えば、第2ソナー部100から得られる「物体と第2ソナー部100の送信部10との距離」の関数、または「2つの周波数の振幅差または振幅比」の関数とされる。この詳細については、後述する。
制御部40、信号判定部70等は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROM等に記憶されたプログラムに従って各種演算等の処理を実行する。ROM等には、EEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリも含まれる。ROMおよびRAMは、非遷移的実体的記憶媒体である。
以上が、本実施形態の物体検知装置1の基本的な構成である。
次に、物体検知装置1による物体検知について、順を追って説明する。
〔直線距離の算出〕
まず、TOF(Time of Flightの略)による物体とソナーとの直線距離の算出について説明する。
この種の物体検知装置は、ソナーからの探査波の送信からその反射波の受信までの時間、すなわちTOFに基づき、物体とソナーとの直線距離Lを算出できる。例えば、探査波が超音波である場合において、音速をcとすると、直線距離Lは、L=c×TOF/2の式により算出される。
しかしながら、この方法では、物体とソナーとの直線距離が判明するものの、物体の高さを調べることが困難である。物体とソナーとの直線距離が判明しても、例えば、検知された物体が、物体検知装置が搭載された車両に衝突する可能性がある壁等の障害物であるか、もしくは車体に衝突する可能性の少ない、低い段差等であるかについては、判定することができない。
本発明者らは、鋭意検討の結果、超音波である探査波の周波数と指向性との関係に着目し、障害物となる物体と他の物体との識別を可能にする構成を考案した。
〔探査波の周波数と指向性〕
続いて、探査波の周波数と指向性との関係について、図3~図7を参照して説明する。なお、図3、図6では、後述する方位が0°のときの振幅レベルを破線で示している。また、図4に示す「路面段差」とは、例えば輪止め等、通路の路面からの突出高さが小さい段差を指し、車体に衝突する可能性のある「障害物」として検知される必要性が低い物体である。
マイクロホン等で構成される送受信子30は、例えば図3に示すように、垂直方位および水平方位が大きくなるにつれて探査波の振幅レベルが小さくなる指向性特性を持っている。
垂直方位は、図4に示すように、鉛直方向を法線方向とする水平面であって送受信子30を通る面と、送受信子30と物体とを結ぶ直線とのなす角度で定められる。図4に示す例では、送受信子30の正面に位置する壁W1は、垂直方位が0°である。路面段差は、垂直方位が0°より大きい。なお、車両が天井のある通路に位置する場合において、天井に図示しない梁等の天井段差があるとき、天井段差の垂直方位も0°よりも大きくなる。
水平方位は、図5に示すように、上記の送受信子30を通る水平面において、送受信子30の正面方向と、送受信子30と物体とを結ぶ直線とのなす角度で定められる。図5に示す例では、送受信子30の正面に位置する壁W1および路面段差は、水平方位が0°である。送受信子30の斜め前方に位置する壁W2は、水平方位が0°よりも大きい。
送受信子30とは異なる高さに向かって進む探査波は、送受信子30から水平面に平行な方向に進む探査波に比べて、その振幅レベルが小さい。したがって、送受信子30とは異なる高さにある物体からの反射波は、送受信子30の正面に位置する物体からの反射波に比べて、その振幅レベルが小さくなる。これは、上記した垂直方位だけでなく、水平方位についても同様である。
ここで、指向性特性は、送受信子30の送信面の大きさ、送信波の波長、送信面の振動モード、等により変わることが知られている。送信面の大きさが一定である場合には、送信信号の周波数を変えることにより、指向性を変えることができる。また、振動モードが同じである場合、一般的には、図3に示すように、周波数の高いfは、周波数の低いfに比べて、その指向性が狭くなる。なお、周波数差が小さい場合、振動モードが同じであることが多い。
ただし、2種の探査波の周波数差が大きいと、送信面の振動モードが変化する場合があり、周波数の高低と指向性の狭広との関係が逆転することがある。振動モードによっては、例えば、図6に示すように、周波数の高いfは、周波数の低いfに比べて、その指向性が広くなり得る。
また、図3または図6に示すように、垂直方位が大きいほど、周波数の違いによる指向性の差が大きくなり、垂直方位が小さいほど、周波数の違いによる指向性の差が小さくなる。言い換えると、物体の垂直方位が大きいほど、周波数の違いによる反射波の振幅レベルの差が大きくなり、物体の垂直方位が小さいほど、周波数の違いによる反射波の振幅レベルの差が小さくなる。
なお、車両に取り付けられたソナーによる、車載型の物体検知装置1は、垂直方位の指向性(垂直指向性)が狭くなる一方で、水平方位の指向性(水平指向性)は広くなるように設定され得る。この場合には、図3および図6に示されているように、周波数の違いによる指向性の違いは、垂直方向に表れ、水平方向では、垂直方向に比べてその違いが小さくなる。
このように、探査波の周波数の違いに伴う、反射波の受信信号の振幅レベルの違いの発生態様は、物体の垂直方位によって変化する。例えば、送受信子30が図3に示す特性を有する場合には、周波数の違いに伴う指向性の違いによって、図7に示すように探査波が届く範囲が変化する。
なお、図7に示す領域Rは、指向性が広い低周波数fの探査波の到達範囲である。領域Rは、指向性が狭い高周波数fの探査波の到達範囲である。つまり、垂直指向性の広い探査波は、送受信子30の正面の壁等に加え、路面等にも到達しやすい。一方、垂直指向性の狭い探査波は、送受信子30の正面の壁等には到達するが、路面や通路の天井等の垂直方位が大きい部分には到達しにくい。また、ここでいう高周波数、低周波数とは、相対的な周波数の高低を意味する。
〔振幅比に基づく物体検知〕
振幅比に基づく物体の検知について、図8~図12を参照して説明する。なお、ここでは、水平方位0°における物体の検知を代表例として説明する。
図11では、物体が衝突可能性のある所定の高さ以上の壁である場合における理論値(計算値)を破線で示し、物体が路面段差である場合の理論値(計算値)を一点鎖線で示している。図12では、A=Aのときの振幅比を破線で示している。
垂直指向性の広い探査波を送信した場合には、図8に示すように、送受信子30の正面の壁W1からの反射波と、路面の段差等からの反射波との間で、振幅に大きな違いは生じない。一方、垂直指向性の狭い探査波を送信した場合には、図9に示すように、送受信子30の正面の壁W1からの反射波と、路面の段差等からの反射波との間で、振幅に大きな違いが生じる。具体的には、送受信子30の正面の壁W1からの反射波に比べて、路面の段差等からの反射波の振幅が、格段に小さくなる。
上記の性質を利用し、物体の検知判定に用いるため、振幅比算出部71は、低周波数fの振幅Aと高周波数fの振幅Aとの振幅比Arを算出する。そして、信号判定部70は、送受信子30における周波数fと周波数fとの指向性特性に応じて、振幅比Arが所定の基準値以上であるか否か、または所定の基準値以下であるか否かについて判定する。
例えば、図3に示すように、送受信子30における周波数fの指向性が周波数fの指向性よりも広い場合には、信号判定部70は、振幅比Arが所定の基準値以上であるか否かを判定する。一方、図6に示すように、送受信子30における周波数fの指向性が周波数fの指向性よりも狭い場合には、信号判定部70は、振幅比Arが所定の基準値以下であるか否かを判定する。これらのいずれの場合においても、肯定判定のときには、所定の高い以上の物体が所定の検知範囲内にあることを意味し、否定判定のときには、所定の高い以上の物体が所定の検知範囲内の外にあることを意味する。
ここでいう「所定の検知範囲」とは、送受信子30の指向軸を中心として、所定の高さおよび幅を有する領域である。「指向軸」とは、送受信子30からの直線距離を変化させたときの、探査波強度が最高となる点の軌跡と略一致する直線である。「指向軸」は、典型的には、送受信子30の中心軸と略一致する。また、「所定の高さおよび幅」は、送受信子30からの直線距離に応じて変化し得る。「所定の検知範囲」の、指向軸と直交する仮想平面による断面形状は、典型的には円形である。
なお、上記では、振幅比Ar=A/Aである例について説明したが、振幅比Ar=A/Aであってもよい。この場合には、信号判定部70は、例えば、送受信子30における指向性が周波数f<周波数fのとき、振幅比Arが所定の基準値以上であるか否かを判定する。一方、送受信子30における指向性が周波数f>周波数fのときには、信号判定部70は、振幅比Arが所定の基準値以下であるか否かを判定する。この場合であっても、肯定判定では、所定の高い以上の物体が所定の検知範囲内にあることを意味し、否定判定では、所定の高い以上の物体が所定の検知範囲内にないことを意味する。
また、振幅比としてAR=K×log(A/A)=K×log(A)-K×log(A)を用いてもよい。振幅比ARは、「対数振幅比AR」とも称され得る。定数Kは、典型的には20である。定数Kが20である場合、対数振幅比ARは、「デシベル差」とも称され得る。すなわち、「振幅比」は、2つの振幅同士の算術的な除算値には限定されず、デシベル差をも含む概念である。
路面段差の垂直方位は、図10に示すように、送受信子30からの水平距離が短いほど大きい。そのため、送受信子30の正面の壁W1からの反射波についての振幅比は、図11に示すように、送受信子30からの水平距離によらずほぼ一定である。これに対し、路面等からの反射波についての振幅比は、送受信子30からの水平距離が短いほど小さくなる。
このことを考慮して、振幅比Arと比較する基準値は、例えば図12に示すように、送受信子30からの直線距離が短いほど小さくなるように設定される。なお、この直線距離は、TOFに基づいて算出され得る。送受信子30が図3に示す特性を有する場合には、信号判定部70は、振幅比ArすなわちA/Aが所定の基準値以上であるか否かを判定する。肯定判定の場合には、物体が検知範囲の中にあることを意味し、否定判定の場合には、物体が検知範囲の外にあることを意味する。
なお、図11に示す残響範囲は、探査波の送信による送受信子30の残響が検出される範囲である。TOFから測定した直線距離が所定値よりも短い場合には、信号判定部70は、受信信号が残響によるものと判定し、物体の検知判定を行わない。
〔物体検知における水平位置による補正〕
物体検知における水平位置による補正について、図13~図17を参照して説明する。図15、図16では、低周波数fの指向性を破線で、高周波数fの指向性を一点鎖線で示している。図17では、水平方位ごとに振幅比とこれにより算出される物体の高さとの関係をシミュレートした結果を示しており、水平方位0°を実線で、水平方位30°を破線で、水平方位45°を一点鎖線で示している。
上記では、指向性の異なる2種の探査波を用い、これらの反射波の振幅比に基づいて物体を検知できることについて説明した。しかしながら、2種の探査波において、垂直指向性だけでなく、水平指向性も異なる場合には、検知対象の水平位置(水平方位)の違いにより振幅レベルも変化してしまい、物体の判別が困難となり得る。
具体的には、図5に示すように、水平方位0°に段差が存在し、水平方位20°に壁W2が存在する場合を想定する。この場合、指向性の広い探査波を送信したとき、振幅レベルが水平方位により変化する結果、図13に示すように、水平方位0°にある段差からの反射波と、水平方位20°にある壁W2からの反射波との間で、振幅に大きな違いは生じないことがある。また、指向性の狭い探査波を送信したときについても、図14に示すように、水平方位0°にある段差からの反射波と、水平方位20°にある壁W2からの反射波との間で、振幅に大きな違いは生じない状態となり得る。
つまり、この場合、水平方位0°の路面段差と水平方位20°にある壁W2との間において、これらの高さが異なるにも関わらず、その振幅比がほとんど変わらないこととなるため、単に振幅比だけでは、これらの物体の判別をすることができない。
また、本発明者らは、図15および図16に示すように、垂直指向性および水平指向性の異なる周波数f、fの探査波を例に、これらの反射波の周波数比と物体の高さとの相関関係のシミュレートを行った。その結果、図17に示すように、物体の高さは、同じ振幅比であっても、物体の水平方位ごとに異なることが判明した。
例えば、振幅比1.4を基準値とした場合、信号判定部70は、水平方位0°の場合には、高さ0.2m以上の物体を検知できる一方で、水平方位30°の場合には、高さ0.5m以上の物体を検知できるが、0.5m未満の物体を検知できない。
この結果は、水平方位が異なる場合において、同一の所定高さ以上の物体を検知するためには、水平方位に応じて基準値を適宜変更する必要があることを意味する。例えば、異なる水平方位において、高さ0.2m以上の物体を検知する構成とする場合には、振幅比の基準値は、水平方位0°については1.4、水平方位30°については3.0、水平方位45°については6.6とされる必要がある。
逆に言えば、物体の水平位置を取得し、物体の水平位置に応じた振幅比の基準値を設定した上で、算出した振幅比が基準値以上または基準値以下であるかを判定することで、いずれの水平方位であっても、所定の高さ以上の物体を検知できることになる。
そこで、本実施形態の物体検知装置1は、異なる水平方位において同一の所定高さ以上の物体を検知するため、水平位置取得部72により物体の水平方位(水平位置)を取得し、これに応じて、振幅比の基準値を補正して物体の高さを算出する構成とされる。
なお、上記した水平方位ごとの振幅比と物体の高さとの相関データは、例えばデータテーブル化され、記憶媒体に格納されており、必要に応じてCPUから読み込まれる。
〔水平位置取得部による水平位置の算出〕
水平位置取得部72による物体の水平位置の取得について、図18、図19を参照して説明する。
なお、図18、図19では、便宜的に、検知対象の物体Xの3次元座標を(x、y、z)とし、第1ソナー部100Aを構成する第1の送受信子30の3次元座標を(x1、y1、z1)としている。図19では、第2ソナー部100Bを構成する第2の送受信子30の3次元座標を(x2、y2、z2)とすると共に、見易くするため、第2ソナー部100Bの送受信子30からの2つの探査波のうち1つを省略している。
図18に示すように、検知対象の物体に、送受信子30から2つの指向性を有する探査波を送信し、これらの反射波を計測する2周波計測によって、物体に対して2つの式が得られる。具体的には、第1ソナー部100Aによる2周波計測により、以下に示す、物体と第1の送受信子30との間の距離D1の関数、および第1ソナー部100Aでの振幅比R1の関数の2つの数式が得られる。
D1=d(x-x1、y-y1、z-z1)・・・(1)
R1=r(x-x1、y-y1、z-z1)・・・(2)
しかしながら、未知数がx、y、zの3つであるため、上記の2式のみでは、x、y、zを算出できず、物体の水平位置を求めることができない。そこで、本実施形態では、第1ソナー部100Aとは異なる位置に搭載された第2ソナー部100Bによる2周波計測により、さらに、以下に示す(3)または(4)の数式を加えて、物体の水平位置の座標を取得する。
D2=d(x-x2、y-y2、z-z2)・・・(3)
R2=r(x-x2、y-y2、z-z2)・・・(4)
なお、(3)式は、物体と第2の送受信子30との間の距離D2の関数である。(4)式は、第2ソナー部100Bでの振幅比R2の関数である。
また、物体の水平位置の座標計算は、(A)連立方程式として算出する、(B)d関数において、2つのソナー部100による計測が同一平面であると仮定し、Z=0として、D1、D2からx、yを算出する、の2つが挙げられるが、どちらで行われてもよい。(A)の場合には、算出処理が複雑になるため、計算コストがかかるものの、正確な数値が得られる。(B)の場合には、近似により算出処理が簡便化されるため、計算コストが下がり、処理効率が高くなる利点がある。車載用途のように部品点数をできるだけ少なくすることが望まれる場合には、処理効率を優先する(B)の算出方式が好ましい。
〔動作処理例〕
次に、物体検知装置1における動作処理の一例について、図20、図21を参照して説明する。
受信部50が生成する受信信号の振幅が所定の振幅閾値よりも大きくなると、CPUは、ステップS1の処理を実行する。ステップS1では、周波数分離部60は、受信信号を2つの周波数f、fに対応する周波数成分に分離し、分離された2つの周波数f、fに対応する周波数成分のそれぞれにおける振幅A、Aを抽出する。
例えば、所定の時間範囲を解析範囲として、周波数分離部60は、受信信号のうち解析範囲に含まれる部分から振幅A、Aの抽出を行う。解析範囲は、例えば図21に示すように、受信信号の振幅が振幅閾値を超えた時刻を基準として設定される。また、解析範囲を、受信信号の振幅がピークをとる時刻、あるいは、受信信号の立ち上がり開始時刻を基準として設定してもよい。また、解析範囲を、基準とされた時刻から一定時間としてもよいし、基準とされた時刻の前後の一定時間としてもよい。解析範囲の基準時刻を、受信信号の振幅ではなく、受信信号の立ち上がり開始時刻等の所定時刻とすることで、判定精度がより一層向上し得る。
周波数分離部60は、例えば図21に示すように、BPF61aを通過した受信信号の振幅波形のうち解析範囲に含まれる部分から、振幅生成部62aにより、周波数fに対応する振幅Aを抽出する。また、周波数分離部60は、BPF61bを通過した受信信号の振幅波形のうち解析範囲に含まれる部分から、振幅生成部62bにより、周波数fに対応する振幅Aを抽出する。
ステップS2では、振幅比算出部71は、振幅比Arを算出する。続いて、ステップS3では、前述のように、水平位置取得部72は、第1ソナー部100Aおよび第2ソナー部100Bにおける2周波計測により得られた3つの数式を用いて、物体の水平位置を算出する。
ステップS4では、信号判定部70により前述したように振幅比Arと基準値との比較が行い、振幅比Arが所定範囲内にあるか否かを判定する。
ステップS4にて肯定判定の場合、CPUは、処理をステップS5に進める。ステップS5では、信号判定部70は、例えば、物体の水平位置に応じたデータテーブルにより、振幅比Arに対する基準値を水平位置ごとに設定する。その上で、信号判定部70は、振幅比が水平位置に対応した閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS5にて肯定判定の場合、信号判定部70は、制御部40に反射波情報を送信して、受信処理を終了する。反射波情報として、例えば、反射波に含まれる周波数のパターン、TOF、波高値等が送信される。制御部40は、送信された反射波情報に応じて、衝突回避動作等を行う。
ステップS4またはステップS5にて否定判定の場合には、ステップS6が実行されずに受信処理が終了する。すなわち、振幅比Arと基準値との比較結果、または、受信信号の振幅と振幅閾値との比較結果によって、所定の高さ以上の物体が検知範囲の内にないと判定された状況においては、衝突回避動作等が行われずに、受信処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態の物体検知装置1は、2つの周波数を有する探査波を送信し、受信信号から周波数ごとに振幅を抽出し、抽出した2つの振幅比を算出する。そして、水平位置取得部72により物体の水平位置を取得した後、信号判定部70は、その水平位置に応じて振幅比の基準値(閾値)を設定し、振幅比と基準値との対比を行うことで、物体が所定の高さ以上であるか否かを判定する。これにより、車体に接触する可能性のある物体と他の物体とを判別することができる。
なお、超音波は、空気中を伝播中に、風および温度ムラ等による空気の揺らぎの影響を受けることで、振幅が変動する。この振幅の変動量は、同じ伝播経路を同じ時刻に伝播した超音波に対しては同じように作用する。一方、互いに周波数の異なる2つの超音波の発信開始からこれらの同じ物体による反射波の受信終了までの時間は、空気の揺らぎの変化速度に対して極めて短い。このため、互いに周波数の異なる2つの超音波の発信は、空気の揺らぎの変化速度に対しては、ほぼ同じタイミングであるものと取り扱うことが可能である。これは、反射波の受信についても同様である。よって、ほぼ同じタイミングで送信され同じ物体から反射してきた2つ周波数の超音波における、反射波が受けた振幅変動量は、ほぼ同じとなる。したがって、2つの周波数の反射波について、振幅の比を取ることにより、空気の揺らぎの影響をキャンセルすることができる。そのため、2つの周波数に対応する2つの振幅を比較する方法では、空気揺らぎ等による振幅レベルの変化の影響を緩和し、物体の判定精度を向上させることができる。
〔直線距離と振幅レベルの減衰量〕
次に、反射波の振幅レベルと物体との直線距離との関係について、図22を参照して説明する。
図22では、「f」は、周波数fにおける振幅すなわち受信電圧VrLを示す。また、「f」は、周波数fにおける振幅すなわち受信電圧VrHを示す。
反射波の振幅は、図22に示すように、物体との距離が大きいほどその減衰が大きい。また、その減衰量は、周波数が高いほど大きくなる。これに対して、本実施形態のように振幅比を用いる方法では、距離によって発生する減衰量の影響を低減し、物体の判定精度を向上させることができる。
周波数の違いにより発生する距離に応じて発生する減衰量の差は、周波数から理論的に導くこともできる。信号判定部70において、TOFから算出された物体との直線距離に応じて、振幅の比較に用いる基準値を理論的に求めた減衰量差で補正することで、周波数の差が大きく減衰量の差が大きいときにも、判定精度を向上させることができる。また、信号判定部70において、2つの振幅を該直線距離に応じて補正した後に比較することでも、同様に判定精度を向上させることができる。図22に示すような距離減衰特性は、実測または理論式によって求めることができ、基準値や振幅の補正量は、この距離減衰特性に基づいて設定することができる。
〔周波数の選定〕
図23、図24に示すように、周波数fとfとの差が大きいほど、指向性の差が大きくなるため、反射波の振幅レベルの差が大きくなり、物体が検知範囲にあるか否かの判定精度が向上する。しかしながら、周波数f、fが送受信子30の共振帯域から外れると、探査波の振幅および受信感度が低下して、長距離検知性能が低下する。したがって、検知性能を維持しつつ判定精度を向上させるためには、これら2つの周波数のうちの一方を共振周波数よりも高く設定し、他方を共振周波数よりも低く設定することが望ましい。さらには、送受信子30の共振帯域の上限値と下限値とをそれぞれf、fとして選定することがより望ましい。
例えば、送受信子30の共振周波数をfとし、fを中心周波数として、中心周波数±3%の範囲を共振帯域とする場合には、中心周波数+3%をfとし、中心周波数-3%をfとすることが望ましい。
また、本実施形態のように周波数fの探査波と周波数fの探査波とを間欠的に送信する場合には、2つの探査波の間隔が長いと、空気揺らぎ等による振幅A、Aの変動量に差が生じやすい。そのため、2つの探査波の間隔を短くすることが望ましい。
また、長距離検知性能は、2つの周波数の探査波のうち振幅が小さい方がボトルネックとなって決まる。そのため、送受信子30の正面にある物体からの反射波の振幅が、図25に示すように周波数fとfとで等しくなるように、2つの周波数を設定することが望ましい。
例えば、送受信子30の正面において、周波数f、fに対応する探査波の振幅レベルが等しくなるように、または、送受信子30の正面に位置する物体からの反射波の振幅レベルが等しくなるように駆動信号を生成することが望ましい。なお、ここでの振幅レベルが等しいことには、振幅レベルが完全に等しいことだけでなく、振幅レベルが略等しいことも含まれる。
送受信子30の正面に位置する物体からの反射波の振幅レベルが異なる場合、例えば振幅比をAR=20log(A/A)として、AR≠0となる場合には、この振幅比ARに基づいて計測結果の振幅比を補正すればよい。あるいは、振幅比の判定に用いる基準値を振幅比ARだけオフセットすればよい。
また、高い周波数fの超音波は、低い周波数fの超音波よりも距離減衰が大きいので、長距離検知の場合には、図26に示すように、周波数fの探査波の振幅が周波数fの探査波の振幅より大きくなるように、周波数f、fを選定してもよい。
また、物体の高さを判定する性能を重視する場合には、指向性の差が最大となるように周波数f、fを選定することが望ましい。ただし、周波数f、fが送受信子30の帯域から外れると長距離検知性能が低下するため、この場合にも送受信子30の帯域に含まれるように周波数f、fを選定することが望ましい。
本実施形態によれば、物体検知装置1は、周波数が異なることでその指向性の異なる2つの探査波による2周波計測を2つのソナー部100で行い、物体の水平位置を取得しつつ、物体から指向性の異なる2つの反射波の振幅比を算出する。また、複数の周波数に対応する反射波の受信信号における振幅に基づいて物体の検知判定を行うことで、空気揺らぎ等による振幅レベルの変化の影響を緩和することができる。そして、物体検知装置1は、物体の水平位置に応じてこの振幅比の基準値を変更した上で、物体の検知判定を行うことにより、水平方位における物体の高さの検出精度が従来よりも高い構成となる。
(第2実施形態)
第2実施形態の物体検知装置1について、図27を参照して説明する。
本実施形態の物体検知装置1は、図27に示すように、送信部10、信号生成部20、送受信子30、受信部50および周波数分離部60を有してなるソナー部100を1つのみ有する構成とされている。そして、水平位置取得部72は、本実施形態では、物体検知装置1が搭載された車両の移動前後において受信部50が受信した反射波に基づいて、送信部10に対する物体の水平位置情報を取得する構成とされている。本実施形態の物体検知装置1は、上記の点において上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
ソナー部100は、本実施形態では、物体検知装置1が搭載された車両の移動前後において、送受信子30から指向性の異なる2種の探査波を送信した後、その反射波を受信する。つまり、本実施形態では、車両の移動前におけるソナー部100の位置が「第1位置」に相当し、車両の移動後におけるソナー部100の位置が「第2位置」に相当する。言い換えると、第2位置は、車両等の移動体の移動により生じる位置ともいえる。
水平位置取得部72は、本実施形態では、例えば、水平位置取得部72は、第1位置における物体との距離、および第2位置における物体との距離に基づき、三辺測量により物体のxy座標(すなわち平面座標)を算出し、水平位置を取得してもよい。この場合、水平位置取得部72は、算出の簡略化のため、第1位置および第2位置における測距距離が同一平面であると仮定し、z座標をゼロとして平面座標を算出する。
これにより、ソナー部100を1つのみ有する構成であっても、水平位置取得部72は、検知対象の物体の水平位置を取得することが可能となる。
なお、車両の移動位置は、例えば、舵角センサにより得られる舵角、車速センサ等により得られる車速、ジャイロセンサにより得られる角速度等の情報に基づいて取得され得るが、これに限定されるものではない。
本実施形態によれば、物体検知装置1が搭載された移動体の移動前後における2周波計測を行い、算出した2種の反射波の振幅比と、物体の水平位置とに基づいて、物体の検知判定をすることにより、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、ソナー部100が1つ有する構成であれば足りるため、部品点数が少なくなり、製造コストの低減効果も得られる。
(第3実施形態)
第3実施形態の物体検知装置1について、図28を参照して説明する。
本実施形態の物体検知装置1は、図28に示すように、上記第2実施形態と同様に、ソナー部100を1つのみ有する構成とされている。そして、ソナー部100は、本実施形態では、指向性切替部80をさらに有してなる。また、水平位置取得部72は、本実施形態では、指向性切替部80による送受信子30の位置変更前後における2周波計測に基づいて、物体の水平位置を算出する。本実施形態の物体検知装置1は、上記の点において上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
ソナー部100は、本実施形態では、指向性切替部80により、探査波の送信方向が変更されることが可能な構成とされている。ソナー部100は、指向性切替部80により第1位置または第2位置とされ、その指向性が切り替えられる。言い換えると、第2位置は、本実施形態では、指向性切替部80により生じるともいえる。
水平位置取得部72は、1つのソナー部100を用いた、第1位置および第2位置それぞれにおける2周波計測により、物体の水平位置を取得する。
指向性切替部80は、例えば、送受信子30の向きを変更するための駆動部とされる。この場合、ソナー部100は、「首振りソナー」と称され得る。
また、指向性切替部80は、例えば、ソナー部100が複数の送信部10を備える構成とされる場合には、探査波を送信する送信部を切り替える切替部とされてもよい。この場合、ソナー部100は、「ソナーアレイ」と称され得る。
いずれの場合であっても、指向性切替部80の作動により探査波の送信方向を切り替えることが可能となる。
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、上記第2実施形態と同様に、部品点数が少なくなり、製造コストの低減効果も期待される。
(第4実施形態)
第4実施形態の物体検知装置1について、図29を参照して説明する。
本実施形態の物体検知装置1は、上記第2実施形態と同様に、ソナー部100を1つのみ有する構成とされると共に、移動体の外部情報を取得する外部情報取得部90をさらに備える。そして、水平位置取得部72は、外部情報取得部90から物体の水平位置を取得する。本実施形態の物体検知装置1は、これらの点が上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
外部情報取得部90は、例えば、車両の外部を撮影するカメラや、LiDAR(Light Detection and Rangingの略)等のように超音波とは異なる第2の探査波の送受信を行う任意のセンサとされる。外部情報取得部90は、撮像もしくは第2の探査波の送受信により、少なくともソナー部100による探査波の送信方向の所定範囲を含む所定領域の情報を取得する。外部情報取得部90は、例えば三辺測量等の公知の方法により、物体の水平位置を算出する構成とされ得る。
なお、外部情報取得部90は、撮像等により得られる信号を水平位置取得部72に出力する構成とされてもよく、この場合には、水平位置取得部72が外部情報取得部90から得られた信号に基づいて物体の水平位置を算出する。
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
(他の実施形態)
本発明は、実施例に準拠して記述されたが、本発明は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範疇や思想範囲に入るものである。
(1)例えば、上記各実施形態では、ソナー部100が、送信部10の送信子と受信部50の受信子とが一体とされた送受信子30を備える例について説明した。しかしながら、図30に示すように、ソナー部100は、送受信子30の代わりに、送信子31と受信子32とを有し、送信部10が送信回路11と送信子31とにより構成され、受信部50が受信回路51と受信子32とにより構成されてもよい。
(2)制御部40は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えた周知のマイクロコンピュータに限定されない。例えば、制御部40は、上記のような動作を可能に構成されたデジタル回路、例えばゲートアレイ等のASIC(APPLICATION SPECIFIC INTEGRATED CIRCUITの略)であってもよい。信号判定部70等についても同様である。
1 物体検知装置
10 送信部
20 信号生成部
50 受信部
70 判定部
72 水平位置取得部
80 指向性切替部
90 外部情報取得部
100 ソナー部

Claims (4)

  1. 移動体に搭載され、物体を検知する物体検知装置(1)であって、
    駆動信号を生成する信号生成部(20)と、
    入力された前記駆動信号に応じて超音波を探査波として送信する送信部(10)と、
    超音波を受信して受信信号を生成する受信部(50)と、
    前記送信部に対する水平方向における前記物体の位置を取得する水平位置取得部(72)と、
    前記受信信号および前記物体の位置に基づいて、前記物体の検知判定を行う信号判定部(70)と
    前記送信部と前記受信部とを有してなる1つのみのソナー部(100)と、を備え、
    前記受信部は、少なくとも2つの指向性の異なる前記探査波の反射波を受信し、
    前記信号判定部は、前記受信信号に基づいて、前記水平方向における前記物体の位置と、前記物体の高さを算出し、前記高さの算出においては前記水平方向に応じて設定される閾値を用い、算出された前記高さが所定の閾値以上の場合に前記物体が存在すると判定
    前記水平位置取得部は、前記ソナー部が、第1位置、および前記第1位置と異なる第2位置における前記探査波の送受信により得られた前記受信信号に基づいて、前記物体の位置を取得し、
    前記水平位置取得部は、前記第1位置における前記ソナー部、および前記第2位置における前記ソナー部のそれぞれによる前記探査波の送受信により得られた前記受信信号に基づいて、前記物体の位置を取得し、
    前記第2位置は、前記移動体の移動により生じる、物体検知装置。
  2. 移動体に搭載され、物体を検知する物体検知装置(1)であって、
    駆動信号を生成する信号生成部(20)と、
    入力された前記駆動信号に応じて超音波を探査波として送信する送信部(10)と、
    超音波を受信して受信信号を生成する受信部(50)と、
    前記送信部に対する水平方向における前記物体の位置を取得する水平位置取得部(72)と、
    前記受信信号および前記物体の位置に基づいて、前記物体の検知判定を行う信号判定部(70)と、
    前記送信部と前記受信部とを有してなる1つのみのソナー部(100)と、を備え、
    前記受信部は、少なくとも2つの指向性の異なる前記探査波の反射波を受信し、
    前記信号判定部は、前記受信信号に基づいて、前記水平方向における前記物体の位置と、前記物体の高さとを算出し、前記高さの算出においては前記水平方向に応じて設定される閾値を用い、算出された前記高さが所定の閾値以上の場合に前記物体が存在すると判定し
    前記水平位置取得部は、前記ソナー部が、第1位置、および前記第1位置と異なる第2位置における前記探査波の送受信により得られた前記受信信号に基づいて、前記物体の位置を取得し、
    前記ソナー部は、前記探査波の送信方向を切り替える指向性切替部(80)を有してなり、
    前記第2位置は、前記指向性切替部により生じる物体検知装置。
  3. 移動体に搭載され、物体を検知する物体検知装置(1)であって、
    駆動信号を生成する信号生成部(20)と、
    入力された前記駆動信号に応じて超音波を探査波として送信する送信部(10)と、
    超音波を受信して受信信号を生成する受信部(50)と、
    前記送信部に対する水平方向における前記物体の位置を取得する水平位置取得部(72)と、
    前記受信信号および前記物体の位置に基づいて、前記物体の検知判定を行う信号判定部(70)と、
    前記送信部と前記受信部とを有してなる2つのソナー部(100)と、を備え、
    前記受信部は、少なくとも2つの指向性の異なる前記探査波の反射波を受信し、
    前記信号判定部は、前記受信信号に基づいて、前記水平方向における前記物体の位置と、前記物体の高さとを算出し、前記高さの算出においては前記水平方向に応じて設定される閾値を用い、算出された前記高さが所定の閾値以上の場合に前記物体が存在すると判定し、
    前記水平位置取得部は、前記ソナー部が、第1位置、および前記第1位置と異なる第2位置における前記探査波の送受信により得られた前記受信信号に基づいて、前記物体の位置を取得し、
    前記第1位置に配置された前記ソナー部を第1ソナー部(100A)とし、前記第2位置に配置された前記ソナー部を第2ソナー部(100B)として、
    前記水平位置取得部は、前記第1ソナー部および前記第2ソナー部による前記探査波の送受信により得られた前記受信信号に基づいて、前記物体の位置を取得し、
    前記第1ソナー部が送信する前記探査波は、前記第2ソナー部が送信する前記探査波とは指向性が異なっている、物体検知装置。
  4. 前記駆動信号は、少なくとも2つの周波数を有し、
    前記信号判定部は、前記受信信号から前記少なくとも2つの周波数に対応する少なくとも2つの振幅を抽出し、該少なくとも2つの周波数の振幅比または差を算出した後、前記振幅比または差および前記物体の位置に基づいて前記物体の高さを算出し、前記高さが所定の閾値以上の場合に前記物体が存在すると判定する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の物体検知装置。
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