以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。
<レンジフードの構成>
まず本発明の一実施の形態におけるレンジフードの構成について図1および図2を用いて説明する。
図1に示されるように、本実施の形態におけるレンジフード10は、たとえばコンロ(図示せず)の上方に配設されるものである。このレンジフード10は、本体ハウジング11、フードケース12、整流板13、内装パネル14などを有している。
本体ハウジング11は、箱形の形状を有している。本体ハウジング11の内部には、スピンナー1(取付アダプタ)、ファン部材4などが配置されている。本体ハウジング11の下端には、フードケース12が接続されている。フードケース12の下端には開口が設けられている。
フードケース12の開口の内側には、整流板13と内装パネル14とが装着されている。整流板13と内装パネル14との間の隙間は、本体ハウジング11の内部空間11a(図2)に通じている。
図2に示されるように、本体ハウジング11の内部空間11aには、スピンナー1と、ファン部材4、モータ6、ファンケーシング8などが配置されている。
ファンケーシング8の底面には吸込口8aが設けられている。ファンケーシング8の内部空間8bは、吸込口8aを通じて、整流板13と内装パネル14との間の隙間15に通じている。またファンケーシング8は、本体ハウジング11の外方に延出された排気ダクト(図示せず)に接続されている。
ファン部材4は、ファンケーシング8の内部空間8b内であって吸込口8aの上方に配置されている。ファン部材4は、ベース部材2と、排気用ファン3とを有している。
排気用ファン3は、たとえばシロッコファンである。この排気用ファン3は、複数のファンブレード3aと、上部支持板3bと、下部支持板3cとを有している。複数のファンブレード3aは、周方向に一定のピッチで配置されている。上部支持板3bは、複数のファンブレード3aの各々の上端を支持している。下部支持板3cは、複数のファンブレード3aの各々の下端を支持している。上部支持板3bおよび下部支持板3cの各々は、円環形状を有している。
ベース部材2は、上部支持板3bにおける円環形状の中心に固定されている。ベース部材2は、たとえばボルトなどにより上部支持板3bに着脱可能に取り付けられている。
モータ6は、たとえばAC(Alternating Current)モータである。モータ6は、モータ本体6aと、回転軸6bと、突出部6cとを有している。モータ本体6aは、本体ハウジング11に固定されている。モータ本体6aの一部は、ファンケーシング8の内部空間8b内に配置されている。回転軸6bは、ファンケーシング8の内部空間8b内においてモータ本体6aの下端から下方に延びている。突出部6cは、回転軸6bの外周面から径方向外方に向かって突き出している。
モータ6の回転軸6bには、ファン部材4が取り付けられている。ファン部材4に含まれるベース部材2は、モータ6の回転軸6bに嵌合する嵌合部2dを有している。ファン部材4の嵌合部2dがモータ6の突出部6cに嵌合することにより、ファン部材4は回転軸6bに対して相対回転不能に取り付けられている。
スピンナー1は、モータ6の回転軸6bに螺合により取り付けられている。またスピンナー1は、モータ6の回転軸6bに対して螺合により着脱可能であるとともに、ワンタッチ操作により着脱可能でもある。スピンナー1は、ファン部材4に対して相対回転可能となるようにファン部材4に取り付けられている。
<スピンナー、ファン部材およびモータの構成>
次に、上記スピンナー1、ファン部材4(ベース部材2、排気用ファン3)およびモータ6の詳細な構成について図3~図10を用いて説明する。
図3に示されるように、スピンナー1は、排気用ファン3の上部支持板3bの下方に配置されている。スピンナー1は、図2に示されるファン部材4をモータ6の回転軸6bに着脱するためのものである。
図4に示されるように、ファン部材4に含まれるベース部材2は、円筒部2aと、円環部2bと、フランジ部2cと、嵌合部2dと、貫通孔2eとを有している。
円筒部2aは、円筒形状を有している。円環部2bは、円筒部2aの下端において円筒部2aの外周面の全周から外方へ張り出している。円環部2bは、排気用ファン3の上部支持板3bにボルトなどの固定部材により固定される部分である。
フランジ部2cは、円環部2bの下端において円環部2bの外周面の全周から外方へ張り出している。フランジ部2cは、後述する押さえ部材1hの内方張り出し部1hbと当接する部分である。
嵌合部2dは、円筒部2aの上端に設けられている。嵌合部2dは、複数の凸部と、複数の凹部とにより構成されている。複数の凸部の各々は、円筒部2aの上端から上方に突き出している。複数の凹部の各々は、凸部の上端から下方に窪んだ部分である。複数の凸部および複数の凹部は、凸部と凹部とが周方向に交互に並ぶように配置されている。この凹部は、回転軸6bから突き出した突出部6cが嵌め込まれる部分である。本実施の形態では、凸部および凹部は周方向にたとえば4つずつ配置されている。
貫通孔2eは、ベース部材2を貫通している。この貫通孔2eは、モータ6の回転軸6bを挿通可能に構成されている。
スピンナー1は、レバー部材1aと、レバー用付勢部材1bと、作動部材1cと、作動用付勢部材1dと、スピンナー本体1eと、カバー部材1fと、ナット部材1gと、押さえ部材1hとを有している。
スピンナー本体1eは、たとえば円形の縁部の全周が同一方向に折り曲げられた椀形状を有している。
レバー部材1aは、レバー本体1aaと、操作部1abと、付勢部材保持部1acと、係合凸部1agとを主に有している。レバー本体1aaには、貫通孔1adが設けられている。またレバー本体1aaには、ナット作動用凹部1aeが設けられている。
操作部1abは、スピンナー1およびファン部材4をレンジフード10に着脱する作業者が、その着脱作業時に操作する部分である。操作部1abは、レバー本体1aaの一方側部から側方へ延びている。
付勢部材保持部1acは、レバー本体1aaの他方側部に設けられている。付勢部材保持部1acが設けられたレバー本体1aaの他方側部は、操作部1abが取り付けられたレバー本体1aaの一方側部の反対側に位置している。係合凸部1agは、レバー本体1aaに設けられており、上方へ突き出している。
レバー用付勢部材1bはたとえばバネである。レバー用付勢部材1bは、レバー部材1aの付勢部材保持部1acに取り付けられている。
作動部材1cは、作動部本体1caと、爪部1cbとを有している。爪部1cbは、作動部本体1caの側部に設けられ、上方に突き出している。この作動部材1cを付勢する作動用付勢部材1dはたとえばバネである。
ナット部材1gは、ナット部本体1gaと、1対の突起部1gbとを有している。ナット部本体1gaには、貫通孔1gcが設けられている。この貫通孔1gcは、ナット部本体1gaを貫通している。
1対の突起部1gbの各々は、ナット部本体1gaの下端から下方に延びている。1対の突起部1gbは、貫通孔1gcを挟むように配置されている。1対の突起部1gbの各々は、レバー部材1aのナット作動用凹部1aeに挿入される部分である。
ナット部本体1gaには、1対の凹部1geが設けられている。1対の凹部1geの各々は、ナット部本体1gaの側部に設けられている。1対の凹部1geの各々は、側面視においてたとえばV字の形状を有している。
1対の凹部1geの一方は、1対の突起部1gbの一方が配置されたナット部本体1gaの一方側部に設けられている。また1対の凹部1geの他方は、1対の突起部1gbの他方が配置されたナット部本体1gaの他方側部に設けられている。
カバー部材1fは、カバー部本体1faと、収容部1fbとを有している。カバー部本体1faは、スピンナー本体1eに取り付けられる部分である。収容部1fbは、カバー部本体1faの上面に配置されており、内部にナット部材1gを収容可能な空間を有している。
押さえ部材1hは、円環形状を有しており、中央に貫通孔1hcを有している。貫通孔1hcは、ベース部材2の円筒部2aおよび円環部2bを挿入可能で、かつフランジ部2cを挿入不可能に構成されている。具体的には、貫通孔1hcの径は、円環部2bの径よりも大きく、かつフランジ部2cの径よりも小さい。
押さえ部材1hは、本体1haと、内方張り出し部1hbとを有している。本体1haは、円環形状を有している。内方張り出し部1hbは、本体1haの上端において本体1haの内周面から内周側へ張り出している。
内方張り出し部1hbの内周端が上記貫通孔1hcを構成している。このため内方張り出し部1hbの内径は貫通孔1hcの径に等しい。本体1haの内径は、ベース部材2におけるフランジ部2cの外径よりも大きい。
図5は、スピンナー1によりファン部材4がモータ6の回転軸6bに取り付けられた状態を示している。図5に示されるように、ファン部材4がモータ6の回転軸6bに取り付けられた状態においては、ベース部材2の円筒部2aは上部支持板3bの貫通孔3baに挿入されている。このベース部材2の貫通孔2eには、回転軸6bが挿入されている。また回転軸6bの外周側に突き出した突出部6cは、ベース部材2の嵌合部2dに嵌合している。これによりベース部材2は回転軸6bに対して相対回転不能に取り付けられている。
またベース部材2の円環部2bには、排気用ファン3の上部支持板3bがボルトなどの固定部材(図示せず)により固定されている。これにより回転軸6bが回転すると、ベース部材2および排気用ファン3の双方が回転軸6bとともに回転する。
椀形状のスピンナー本体1eの上部には、カバー部材1fがボルトなどの固定部材(図示せず)によって取り付けられている。
スピンナー本体1eとカバー部材1fとの間の空間には、レバー部材1a、レバー用付勢部材1b、作動部材1c、作動用付勢部材1d、およびナット部材1gが配置されている。
レバー部材1aは、図5に示す第1スライド位置と、図9に示す第2スライド位置との間で左右方向にスライド可能である。レバー部材1aの操作部1abは、スピンナー本体1eの外方へ突き出している。レバー部材1aは、レバー用付勢部材1bにより操作部1abがスピンナー本体1eから突き出す側(図中右側)へ付勢されている。
作動部材1cは、レバー部材1aの下方に位置している。作動部材1cは、作動用付勢部材1dによりレバー部材1a側に付勢されている。
ナット部材1gは、レバー部材1aの上方に位置している。ナット部材1gの貫通孔1gcには回転軸6bの雄ネジ部6dが挿入されている。ナット部材1gの貫通孔1gcの壁面には雌ネジ部が形成されており、この雌ネジ部が回転軸6bの雄ネジ部6dと噛み合っている。
図6(A)に示されるように、ナット部材1gの貫通孔1gcは、ネジ穴RAと、穴部RBとを有している。ネジ穴RAと穴部RBとは、互いに連通している。
図6(B)に示されるように、ネジ穴RAは一点鎖線L1に沿って延びている。穴部RBは一点鎖線L2に沿って延びている。ネジ穴RAが延びる方向(一点鎖線L1の延びる方向)と穴部RBが延びる方向(一点鎖線L2が延びる方向)とは互いに傾斜している。
ネジ穴RAには、雌ネジが形成されている。この雌ネジは、互いに分離された上雌ネジ部と、下雌ネジ部とを有している。上雌ネジ部はネジ穴RAの上端に設けられており、下雌ネジ部はネジ穴RAの下端に設けられている。また上雌ネジ部はネジ穴RAの左右方向の一方側(たとえば図中右側)に設けられており、下雌ネジ部はネジ穴RAの左右方向の他方側(たとえば図中左側)に設けられている。ネジ穴RAの雌ネジ部は、回転軸6bの雄ネジ部6dが噛み合うことが可能なように構成されている。
一方、穴部RBの壁面には、ネジ部は形成されていない。また穴部RBの開口径はネジ穴RAの谷の径よりも大きく、かつ回転軸6bの雄ネジ部6dの外径よりも大きい。
図7に示されるように、レバー部材1aのレバー本体1aaには、1対のナット作動用凹部1aeが設けられている。1対のナット作動用凹部1aeは、貫通孔1adを挟むように配置されている。この1対のナット作動用凹部1aeのそれぞれは、ナット部材1gの左右1対の突起部1gbを挿入されるように構成されている。
図8に示されるように、1対のナット作動用凹部1aeの各々は、側面視においてV字の形状を有している。このV字形状のナット作動用凹部1aeの内部に、ナット部材1gの突起部1gbが挿入されている。
カバー部材1fの収容部1fbは、突起部1fcを有している。この突起部1fcは、ナット部材1gの凹部1geに挿入されている。ナット部材1gは、側面視において、突起部1fcの先端付近を中心にして回転可能である。
具体的には、レバー部材1aが左右方向にスライドすることにより、突起部1gbがレバー部材1aによって左右方向に動かされる。これによりナット部材1gが、突起部1gbの下端付近を中心として回転する。
このナット部材1gの回転は、図6(B)に示されるように、回転軸6bの軸方向(たとえば一点鎖線L1の延びる方向)に直交する直交方向を中心Cとする回転である。
図8に示されるように、ナット部材1gの回転中心Cは、突起部1fcの下端が円弧形状の断面を有する場合には、その円弧の曲率中心に対応する。
ナット部材1gは、上記の回転により、図5に示す第1傾斜姿勢と、図9に示す第2傾斜姿勢との間で回転可能である。図5に示す第1傾斜姿勢においては、ナット部材1gのネジ穴RAに回転軸6bの雄ネジ部6dが挿入されている。この状態において、回転軸6bの雄ネジ部6dはネジ穴RAの雌ネジに噛み合っている。
また図9に示す第2傾斜姿勢においては、ナット部材1gの穴部RBに回転軸6bの雄ネジ部6dが挿入されている。この状態において、回転軸6bの雄ネジ部6dとネジ穴RAの雌ネジとの噛み合いは解除されている。またこの状態において、回転軸6bの雄ネジ部6dと穴部RBの壁面との間には隙間があり、回転軸6bの雄ネジ部6dは穴部RBの壁面に干渉していない。
上記のようにレバー部材1aによって、第1傾斜姿勢と第2傾斜姿勢との間でナット部材1gの姿勢を操作することができる。またレバー用付勢部材1bは、ナット部材1gが上記第1傾斜姿勢となるようにレバー部材1aを付勢している。
図10に示されるように、レバー部材1aの下部には、引っ掛け部1afが設けられている。この引っ掛け部1afは、作動部材1cの爪部1cbを引っ掛けるための部分である。爪部1cbがレバー部材1aに引っ掛けられることにより、ナット部材1gが第2傾斜姿勢を維持するように作動部材1cがレバー部材1aをロックすることができる(図12参照)。つまりナット部材1gが第2傾斜姿勢を維持するように作動部材1cはレバー部材1aをロックするように構成されている。
またナット部材1gの下部には、係合凸部1gdが設けられている。この係合凸部1gdは、レバー部材1aの係合凸部1ag(図7)と係合させるための部分である。
図5に示されるように、ナット部材1gが第1傾斜姿勢にある状態では、係合凸部1agは、係合凸部1gdと互いに係合する。
図9に示されるように、ナット部材1gが第2傾斜姿勢にある状態では、ナット部材1gの係合凸部1gdとレバー部材1aの係合凸部1agとの係合は解除され、係合凸部1gdと係合凸部1agとは互いに係合していない。
レバー部材1aの係合凸部1agは、図5に示すナット部材1gの第1傾斜姿勢から図9に示す第2傾斜姿勢に移行する際に、ナット部材1gが回転するための回転力をナット部材1gに付与するように構成されている。
図5に示されるように、押さえ部材1hの貫通孔1hcにベース部材2の円環部2bが挿通されている。これにより押さえ部材1hにおける内方張り出し部1hbの下面とベース部材2におけるフランジ部2cの上面とが互いに当接している。押さえ部材1hの本体1haは、ボルトなどの固定部材によってスピンナー本体1eに取り付けられている。
<スピンナーおよびファン部材の組立方法>
次に、上記スピンナー1およびファン部材4の組立方法について図4を用いて説明する。
図4に示されるように、スピンナー本体1eの内部に、レバー部材1a、作動部材1c、付勢部材1b、1dおよびナット部材1gが配置される。
具体的には、スピンナー本体1eの内部に作動用付勢部材1dが配置され、その作動用付勢部材1dにより作動部材1cが上方へ付勢されるように組み付けられる。作動部材1cの上にレバー部材1aが配置される。この際、レバー部材1aの操作部1abの端部がスピンナー本体1eの外部に位置づけられる。このレバー部材1aは、レバー用付勢部材1bにより操作部1abがスピンナー本体1eの外部へ突き出す方向に付勢されるように組み付けられる。このレバー部材1aの上に、ナット部材1gが配置される。この際、ナット部材1gの突起部1gbはレバー部材1aの凹部1geに挿入される。このナット部材1gの上に、カバー部材1fが配置される。この際、カバー部材1fの収容部1fb内にナット部材1gが収容される。この状態でカバー部材1fは、スピンナー本体1eの上部にたとえばボルトなどの固定部材により固定される。
上記により、レバー部材1a、作動部材1c、付勢部材1b、1d、スピンナー本体1e、カバー部材1fおよびナット部材1gを有する組立体1a~1gが組み立てられる。
押さえ部材1hの貫通孔1hcに、ベース部材2の円筒部2aおよび円環部2bが挿通される。これにより押さえ部材1hの内方張り出し部1hbの下面と、ベース部材2のフランジ部2cの上面とが互いに当接する。
押さえ部材1hの貫通孔1hcにベース部材2が挿通された状態で、押さえ部材1hの本体1haが上記組立体1a~1gにボルトなどの固定部材により固定される。これにより押さえ部材1hと上記組立体1a~1gよりなるスピンナー1が組み立てられる。
ベース部材2は、ベース部材2のフランジ部2cが上記組立体1a~1gと押さえ部材1hとの間で挟み込まれている。これによってベース部材2がスピンナー1から抜け落ちることが防止されている。またスピンナー1はベース部材2に固定されていないため、ベース部材2に対して相対回転可能である。
この後、ベース部材2の円筒部2aが、上部支持板3bの貫通孔3baに挿通される。この円筒部2aが貫通孔3baに挿通された状態で、上部支持板3bがベース部材2の円環部2bにボルトなどの固定部材により固定される。これによりベース部材2は上部支持板3bに相対回転不能に取り付けられる。
上記のように、スピンナー1およびファン部材4が組み立てられる。
なお図4においては、排気用ファン3の上部支持板3bのみが示されており、複数のファンブレード3aおよび下部支持板3cが示されていないが、上記組立の際には上部支持板3bには複数のファンブレード3aおよび下部支持板3cが組み付けられている。
<スピンナーとファン部材との組立体をレンジフードに取り付ける方法>
次に、上記のように組み立てられたスピンナー1およびファン部材4の組立体をレンジフード10に取り付ける方法について図11、図12などを用いて説明する。
なお図示の簡略化のため、図11および図12においては押さえ部材1h、ベース部材2、排気用ファン3などの図示は省略されている。
まずはスピンナー1とファン部材4との組立体をモータ6の回転軸6bにワンタッチで取り付ける方法について説明する。
図11に示される状態では、レバー部材1aがレバー用付勢部材1bにより付勢されることにより、操作部1abがスピンナー本体1eの外側に突き出している。またナット部材1gは上記第1傾斜姿勢をとっており、ナット部材1gの係合凸部1gdとレバー部材1aの係合凸部1agとが互いに係合している。
スピンナー1とファン部材4との組立体を回転軸6bにワンタッチで取り付ける場合には、この状態から操作部1abが、レバー用付勢部材1bの付勢力に抗してスピンナー本体1e内に押し込められる。
図8に示されるように、操作部1abがスピンナー本体1e内に押し込められることにより、レバー部材1aが図中左側へスライド移動する。これによりレバー部材1aのナット作動用凹部1aeがナット部材1gの突起部1gbを図中左方向に移動させる。これによりナット部材1gがたとえば時計回りに回転する。つまりナット作動用凹部1aeが突起部1gbにナット部材1gの回転力を付与する。
図11に示されるように、またレバー部材1aが図中左側へスライド移動することにより、レバー部材1aの係合凸部1agもナット部材1gの係合凸部1gdを介してナット部材1gに回転力を付与する。
図12に示されるように、上記によりレバー部材1aは図中左側へスライド移動し、かつナット部材1gは第2傾斜姿勢となる。またこの状態では、作動部材1cの爪部1cbは、引っ掛け部1afの操作部1ab側の端部に引っ掛けられる。
この爪部1cbと引っ掛け部1afとの係合により、レバー用付勢部材1bに付勢されたレバー部材1aがレバー用付勢部材1b(図中右側)へスライド移動することが防止される。これによりナット部材1gは第2傾斜姿勢を維持する。
図9に示されるように、レバー部材1aがレバー用付勢部材1b側へスライド移動し、かつナット部材1gが第2傾斜姿勢を維持した状態で、スピンナー1とファン部材4との組立体がレンジフードに取り付けられる。
具体的には、レバー部材1aがレバー用付勢部材1b側へスライド移動し、かつナット部材1gが第2傾斜姿勢を維持した状態で、ベース部材2の貫通孔2eにモータ6の回転軸6bが挿入される。これにより回転軸6bの雄ネジ部6dがナット部材1gの貫通孔1gcに挿入される。
ナット部材1gが第2傾斜姿勢にあるため、雄ネジ部6dは貫通孔1gcの穴部RB内に挿入される。この穴部RBは雄ネジ部6dの外径よりも大きな開口径を有している。このため雄ネジ部6dはナット部材1gと干渉することなく、貫通孔1gc内に挿入され得る。
さらに回転軸6bが挿入されることにより、回転軸6bが作動部材1cを作動用付勢部材1dの付勢力に抗して下方へ押し込む。作動部材1cが下方に押し込まれると、爪部1cbと引っ掛け部1afとの係合が解除される。
これによりレバー部材1aはレバー用付勢部材1bの付勢力により操作部1abがスピンナー本体1eの外部へ突き出す方向(図中右側)にスライド移動する。
レバー部材1aが上記のようにスライド移動することにより、図5に示されるように、ナット部材1gが反時計回りに回転して第1傾斜姿勢となる。これによりナット部材1gのネジ穴RAの雌ネジ部が回転軸6bの雄ネジ部6dに噛み合う。またレバー用付勢部材1bの付勢力によりナット部材1gの雌ネジ部と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合い状態が維持される。これによりスピンナー1およびファン部材4は、ネジ部の締め上げ無しにワンタッチ操作でモータ6の回転軸6bに固定される。
なおスピンナー1はベース部材2に対して相対回転可能に取り付けられている。このため上記のようにスピンナー1およびファン部材4の組立体が回転軸6bに取り付けられた状態において、スピンナー1をベース部材2および回転軸6bに対して相対的に回転させることができる。これにより、ナット部材1gの雌ネジ部と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合いがさらに締め上げられてもよい。
また回転軸6bから突き出た突出部6cとファン部材4の嵌合部2dとが互いに嵌合することにより、ファン部材4は回転軸6bに対して相対回転不能に取り付けられている。このため回転軸6bがモータ本体6aから駆動力を受けて回転すると、ファン部材4は回転軸6bとともに回転する。
なおスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bからワンタッチ操作で取り外す際には、図5に示される状態から、レバー部材1aの操作部1abがスピンナー本体1eの内部へ押し込まれるように操作される。この押し込み操作により、図9に示されるように、レバー部材1aがレバー用付勢部材1b側(図中左側)にスライド移動する。これによりナット部材1gが第2傾斜姿勢となって、ナット部材1gの雌ネジ部と回転軸6bの雄ネジ部6dとの噛み合い状態が解除される。このためスピンナー1をベース部材2および回転軸6bに対して相対的に回転させることなく、レバー部材1aの操作部1abを押し込むようにスライド操作しながらスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bから引き抜くというワンタッチ操作で、スピンナー1およびファン部材4を回転軸6bから取り外すことができる。
次に、スピンナー1とファン部材4との組立体をモータ6の回転軸6bに螺合により取り付ける方法について説明する。
図11に示される状態では、上記のとおりナット部材1gは上記第1傾斜姿勢をとっている。このためスピンナー1とファン部材4との組立体をモータ6の回転軸6bに螺合により取り付ける場合には、この状態で、ベース部材2の貫通孔2eにモータ6の回転軸6bが挿入される。
図5に示されるように、回転軸6bにおける雄ネジ部6dの先端がナット部材1gに達した時点から、回転軸6bに対してスピンナー1が相対的に回転される。この回転によりナット部材1gの雌ネジ部が回転軸6bの雄ネジ部6dにねじ込まれる。これによりスピンナー1とファン部材4との組立体をモータ6の回転軸6bに螺合により取り付けることができる。
またスピンナー1およびファン部材4を回転軸6bから螺合により取り外す際には、図5に示される状態から、スピンナー1がベース部材2および回転軸6bに対して相対的に回転される。ナット部材1gの雌ネジ部と回転軸6bの雄ネジ部6dとの螺合状態が解除されるまでスピンナー1が回転軸6bなどに対して回転されることにより、スピンナー1およびファン部材4を回転軸6bから取り外すことができる。
<作用効果>
次に、本実施の形態におけるスピンナー1(取付アダプタ)およびレンジフード10の効果について説明する。
本実施の形態によれば、ナット部材1gは、第1傾斜姿勢(図5)と第2傾斜姿勢(図9)との間で回転可能で、第1傾斜姿勢において回転軸6bの雄ネジ部6dと噛み合う雌ネジ部(ネジ穴RA)と、第2傾斜姿勢において雄ネジ部6dと雌ネジ部との噛み合いが解除されるように回転軸6bを挿通する穴部RBとを有している。このためレバー部材1aでナット部材1gの姿勢を第1傾斜姿勢に操作することにより、スピンナー1を回転軸6bの雄ネジ部6dに螺合により着脱することが可能となる。またレバー部材1aでナット部材1gの姿勢を第2傾斜姿勢に操作することにより、回転軸6bの雄ネジ部6dとナット部材1gの雌ネジ部(ネジ穴RA)との係合を解除した状態でスピンナー1を回転軸6bに着脱することが可能となる。上記のようにレバー部材1aが油汚れ、錆などにより他の部材(たとえばスピンナー本体1e)と固着した場合でも、レバー部材1aを操作せずに、スピンナー1を螺合により回転軸6bに対して着脱することができる。よって油汚れ、錆などによる固着が生じてもファンの着脱が容易である。
また本実施の形態によれば図6(A)、(B)に示されるように、ナット部材1gは、雌ネジ部が形成されたネジ穴RAを有している。ネジ穴RAと穴部RBとは互いに連通している。ネジ穴RAが延びる方向(一点鎖線L1の延びる方向)と穴部RBの延びる方向(一点鎖線L2の延びる方向)とが互いに傾斜している。これによりナット部材1gを回転させることで、回転軸6bの雄ネジ部6dを、ナット部材1gが第1傾斜姿勢にあるときにはネジ穴RAに挿通し、かつ第2傾斜姿勢にあるときには穴部RBに挿通することが可能となる。これにより上記のような螺合による着脱およびワンタッチでの着脱が可能となる。
また本実施の形態によれば図6(B)に示されるように、ナット部材1gは、回転軸6bの軸方向(たとえば一点鎖線L1の延びる方向)に直交する直交方向を中心Cとして回転することにより第1傾斜姿勢と第2傾斜姿勢との間で回転する。図8に示されるように、ナット部材1gは、突起部1gbを有しており、レバー部材1aは突起部1gbを移動させることによりナット部材1gを直交方向を中心Cとして回転させる。このように突起部1gbをレバー部材1aで移動させることによりナット部材1gの上記直交方向を中心Cとした回転操作が容易となる。
また本実施の形態によれば図5に示されるように、レバー部材1aは、係合凸部1agを有している。係合凸部1agは、ナット部材1gが第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に移行する際に、ナット部材1gが上記直交方向を中心C(図8)として回転するための回転力をナット部材1gに付与するように構成されている。これにより、ナット部材1gを第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢へ移行させるための操作力を効果的にナット部材1gに伝えることができる。
また本実施の形態によれば図12に示されるように、ナット部材1gが第2傾斜姿勢を維持するように作動部材1cはレバー部材1aをロックする。これによりナット部材1gを第2傾斜姿勢で保持することができる。よってナット部材1gが第2傾斜姿勢にある状態で回転軸6bをナット部材1gの穴部RBに挿入する操作が容易となる。
また本実施の形態によれば図12に示されるように、作動部材1cは、レバー部材1aに引っ掛ける爪部1cbを有している。爪部1cbがレバー部材1aに引っ掛けられることにより、ナット部材1gが第2傾斜姿勢を維持するように作動部材1cがレバー部材1aをロックする。これにより作動部材1cの爪部1cbをレバー部材1aに引っ掛けるという簡易な構成で、ナット部材1gが第2傾斜姿勢を維持するように作動部材1cによってレバー部材1aをロックすることが可能となる。
上記実施の形態においては、排気用ファン3を回転させる駆動源としてモータ6について説明したが、駆動源はモータ6に限定されず、排気用ファン3を回転可能なものであればよい。
また上記実施の形態においては、図5に示されるように、回転軸6bとスピンナー1とは、回転軸6bの回転方向に対して回転軸6bとスピンナー1との螺合が締まるように構成されている。具体的には回転軸6bの雄ネジ部6dが回転軸6bの回転方向に対して逆ネジとなっている。これにより回転軸6bの回転により回転軸6bとスピンナー1とが強固に締結されることになる。
また上記実施の形態においては、スピンナー1がファン部材4に相対回転可能に取り付けられた構成について説明したが、スピンナー1はファン部材4と別体であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。