JP7203282B1 - 量子カスケードレーザ装置の製造方法及び量子カスケードレーザ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
バリア層とウエル層が交互に複数層形成された活性領域を有する量子カスケードレーザ装置の製造方法であって、
前記バリア層及び前記ウエル層の積層数をそれぞれ少なくともn層と設定するステップと、
前記ウエル層及び前記ウエル層に隣接するバリア層の一対を被覆層対として、前記活性領域に第1被覆層対から第n被覆層対までのn個の被覆層対を設定するステップと、
電子がトンネル可能な基準バリア層の層厚をdb0及び前記基準バリア層よりも厚い層厚を有する基準ウエル層の層厚をdw0とそれぞれ設定するステップと、
正の実数である係数a1から係数anまでのn個の係数をそれぞれ設定するステップと、
前記n個の被覆層対について、k番目(1≦k≦n)の被覆層対の前記ウエル層の層厚をak×dw0及び前記バリア層の層厚をak×db0とそれぞれ設定するステップと、
一端側に設けられた前記バリア層を始端バリア層、他端側に設けられた前記バリア層を終端バリア層として、ゼロから前記ウエル層の伝導帯端までのエネルギー値を有する電子を前記始端バリア層へ仮想的に入射させるステップと、
前記終端バリア層から透過する前記電子の透過率のエネルギー依存性を算出するステップと、
前記電子の透過率が局所的に極大となる局所極大値のエネルギー値及び前記局所極大値の個数を算出するステップと、
前記局所極大値ごとに、前記局所極大値のエネルギー値を初期値としてシュレディンガー方程式を解くことにより、前記シュレディンガー方程式の固有値及び固有関数を算出するステップと、
前記局所極大値ごとに算出された前記固有値に基づき、レーザ発振波長を設定するステップと、を備え、
以上の各ステップを用いて量子カスケードレーザ装置を製造する。
基板と、
前記基板上に形成された第1光閉じ込め層と、
前記第1光閉じ込め層上に形成され、複数のステージからなるコア領域と、
前記コア領域上に形成された第2光閉じ込め層と、
前記第2光閉じ込め層上に形成されたクラッド層と、を備え、
前記ステージは、
バリア層とウエル層が交互に少なくともそれぞれn層ずつ積層され、一端側に設けられた前記バリア層を始端バリア層、他端側に設けられた前記バリア層を終端バリア層とする活性領域と、
前記活性領域に電子を注入するインジェクタ領域を備え、
ゼロから前記ウエル層の伝導帯端までのエネルギー値を有する電子を前記始端バリア層へ仮想的に入射させることにより前記終端バリア層から透過する前記電子の透過率のエネルギー依存性を算出し、前記電子の透過率が局所的に極大となる局所極大値のエネルギー値及び前記局所極大値の個数を算出し、前記局所極大値ごとに、前記局所極大値のエネルギー値を初期値としてシュレディンガー方程式を解くことにより前記シュレディンガー方程式の固有値及び固有関数を算出し、前記局所極大値ごとに算出された前記固有値に基づき決定されたレーザ波長を有することを特徴とする。
図1は、実施の形態1に係る量子カスケードレーザ装置500を示す概観図である。実施の形態1に係る量子カスケードレーザ装置500は、裏面側n電極1、n型InP基板2、n型InPバッファ層3、n型GaInAs第1光閉じ込め層4、30~40の各ステージ(stage)から成るコア領域5、n型GaInAs第2光閉じ込め層6、n型InPクラッド層7、n型GaInAsコンタクト層8及び表面側n電極9で構成される。コア領域5を構成するステージ300の個数が30~40の一例を示したが、ステージ300の個数は一例に限られるわけではなく、所望のレーザ特性によって適宜、個数を調整すれば良い。
以上、実施の形態1に係る量子カスケードレーザ装置の設計方法によると、予め活性領域の構造における固有値の個数及び各固有値の近似値を算出した上で、この近似値を初期値として用いてシュレディンガー方程式を解くので、初期値の無い場合よりもシュレディンガー方程式を容易に解くことが可能となり、各固有値に対応する波動関数が容易に得られる結果、活性領域の構造に対する遷移波長を簡易に推定できるため、量子カスケードレーザ装置の活性領域の設計が簡易になるという効果を奏する。
一般的な量子カスケードレーザ装置の活性領域は、ウエル層及びバリア層のそれぞれの組成比が一定で、ウエル層及びバリア層の層厚を変えた構造となっている。一方、実施の形態2に係る量子カスケードレーザ装置は、電子がトンネル可能な層厚である基準バリア層の層厚db0及び基準バリア層よりも厚い層厚である基準ウエル層の層厚dw0を用いると共に、活性領域110を構成するウエル層とこのウエル層の上部または下部で隣接するバリア層とを一対の被覆層対と見なして、同一被覆層対のウエル層及びバリア層の層厚は、基準ウエル層の層厚dw0と基準バリア層の層厚db0に正の実数である同一の係数をそれぞれ乗じて同一の正の実数倍であると設定する。
実施の形態2の変形例1に係る量子カスケードレーザ装置は、活性領域120が3層のウエル層で構成される。図15は、実施の形態2の変形例1に係る量子カスケードレーザ装置の活性領域120が3層のウエル層で構成される場合の無バイアス時の伝導帯バンド構造を表す模式図である。
正の実数からなる係数a1、a2、a3は、任意の値をとり得る。実施の形態2の変形例2に係る量子カスケードレーザ装置の活性領域120aは、a1=1.0、a2=0.8、a3=0.8、つまり、GaInAs第1ウエル層42の層厚d1及びAlInAs第1バリア層43の層厚d2が基準ウエル層及び基準バリア層とそれぞれ同一の層厚である以外の、各ウエル層、及びAlInAs始端バリア層41及びAlInAs終端バリア層47を除く各バリア層は、基準ウエル層及び基準バリア層の層厚にそれぞれ0.8を乗じた層厚となる各層で構成される。
以上、実施の形態2に係る量子カスケードレーザ装置によると、ウエル層及びこのウエル層と隣接するバリア層とを一対の被覆層対として、同一被覆層対のウエル層厚及びバリア層厚は、基準ウエル層厚及び基準バリア層厚に正の実数である同一の係数をそれぞれ乗じて設定するので、層厚を決めるパラメータを減らすことができるため、ウエル層及びバリア層厚の設定が容易になるので、レーザ発振波長の設計が容易な量子カスケードレーザ装置が得られるという効果を奏する。
図20は、実施の形態3に係る量子カスケードレーザ装置の活性領域130の無バイアス時の伝導帯バンド構造である。活性領域130は、層厚が2.0nmでありAl組成比が0.48であるAl0.48In0.52As始端バリア層51、層厚がd1(d1=a1×dw0)でありGa組成比が0.47であるGa0.47In0.53As第1ウエル層52、層厚がd2(d2=a1×db0)でありAl組成比が0.48であるAl0.48In0.52As第1バリア層53、層厚がd3(d3=a2×dw0)でありGa組成比が0.47であるGa0.47In0.53As第2ウエル層54、層厚がd4(d4=a2×db0)でありAl組成比が0.48であるAl0.48In0.52As第2バリア層55、層厚がd5(d5=a3×dw0)でありGa組成比が0.47であるGa0.47In0.53As第3ウエル層56、層厚が2.0nmでありAl組成比が0.48であるAl0.48In0.52As終端バリア層57の各層で構成される。
正の実数からなる係数a1、a2、a3は、任意の値をとり得る。実施の形態3の変形例1に係る量子カスケードレーザ装置の活性領域130aは、a1=1.0、a2=0.8、a3=0.8、つまり、GaInAs第1ウエル層52の層厚d1及びAlInAs第1バリア層53の層厚d2が基準ウエル層及び基準バリア層とそれぞれ同一の層厚である以外の、各ウエル層、及びAlInAs始端バリア層51及びAlInAs終端バリア層57を除く各バリア層は、基準ウエル層及び基準バリア層の層厚にそれぞれ0.8を乗じた層厚となる各層で構成される。
図27は、実施の形態3の変形例2に係る量子カスケードレーザ装置の活性領域140の無バイアス時の伝導帯バンド構造である。実施の形態3の変形例2に係る量子カスケードレーザ装置では、最終バリア層も一対として取り扱っている点に特徴がある。
図31は、実施の形態の変形例3に係る量子カスケードレーザ装置の活性領域150の無バイアス時の伝導帯バンド構造である。
以上、実施の形態3に係る量子カスケードレーザ装置によると、ウエル層及びこのウエル層と隣接するバリア層とを一対の被覆層対として、同一被覆層対のウエル層厚及びバリア層厚は基準ウエル層厚及び基準バリア層厚に正の実数である同一の係数をそれぞれ乗じて設定するので、ウエル層及びバリア層の層厚を決めるパラメータを減らすことができるため、ウエル層及びバリア層厚の設定が容易になる結果、レーザ発振波長の設計が容易な量子カスケードレーザ装置が得られるという効果を奏する。
Claims (9)
- バリア層とウエル層が交互に複数層形成された活性領域を有する量子カスケードレーザ装置の製造方法であって、
前記バリア層及び前記ウエル層の積層数をそれぞれ少なくともn層と設定するステップと、
前記ウエル層及び前記ウエル層に隣接するバリア層の一対を被覆層対として、前記活性領域に第1被覆層対から第n被覆層対までのn個の被覆層対を設定するステップと、
電子がトンネル可能な基準バリア層の層厚をdb0及び前記基準バリア層よりも厚い層厚を有する基準ウエル層の層厚をdw0とそれぞれ設定するステップと、
正の実数である係数a1から係数anまでのn個の係数をそれぞれ設定するステップと、
前記n個の被覆層対について、k番目(1≦k≦n)の被覆層対の前記ウエル層の層厚をak×dw0及び前記バリア層の層厚をak×db0とそれぞれ設定するステップと、
一端側に設けられた前記バリア層を始端バリア層、他端側に設けられた前記バリア層を終端バリア層として、ゼロから前記ウエル層の伝導帯端までのエネルギー値を有する電子を前記始端バリア層へ仮想的に入射させるステップと、
前記終端バリア層から透過する前記電子の透過率のエネルギー依存性を算出するステップと、
前記電子の透過率が局所的に極大となる局所極大値のエネルギー値及び前記局所極大値の個数を算出するステップと、
前記局所極大値ごとに、前記局所極大値のエネルギー値を初期値としてシュレディンガー方程式を解くことにより、前記シュレディンガー方程式の固有値及び固有関数を算出するステップと、
前記局所極大値ごとに算出された前記固有値に基づき、レーザ発振波長を設定するステップと、を備え、
以上の各ステップを用いて量子カスケードレーザ装置を製造する量子カスケードレーザ装置の製造方法。 - 基板と、
前記基板上に形成された第1光閉じ込め層と、
前記第1光閉じ込め層上に形成され、複数のステージからなるコア領域と、
前記コア領域上に形成された第2光閉じ込め層と、
前記第2光閉じ込め層上に形成されたクラッド層と、を備え、
前記ステージは、
バリア層とウエル層が交互に少なくともそれぞれn層ずつ積層され、一端側に設けられた前記バリア層を始端バリア層、他端側に設けられた前記バリア層を終端バリア層とする活性領域と、
前記活性領域に電子を注入するインジェクタ領域を備え、
ゼロから前記ウエル層の伝導帯端までのエネルギー値を有する電子を前記始端バリア層へ仮想的に入射させることにより前記終端バリア層から透過する前記電子の透過率のエネルギー依存性を算出し、前記電子の透過率が局所的に極大となる局所極大値のエネルギー値及び前記局所極大値の個数を算出し、前記局所極大値ごとに、前記局所極大値のエネルギー値を初期値としてシュレディンガー方程式を解くことにより前記シュレディンガー方程式の固有値及び固有関数を算出し、前記局所極大値ごとに算出された前記固有値に基づき決定されたレーザ波長を有することを特徴とする量子カスケードレーザ装置。 - 前記ウエル層及び前記ウエル層に隣接するバリア層の一対を被覆層対として、前記活性領域に第1被覆層対から第n被覆層対までのn個の被覆層対が含まれ、
前記n個の被覆層対は、予め設定され電子がトンネル可能な基準バリア層の層厚db0及び予め設定され前記基準バリア層よりも厚い層厚を有する基準ウエル層の層厚dw0と、予め設定された正の実数である係数a1から係数anまでのn個の係数を用いて、前記n個の被覆層対についてk番目(1≦k≦n)の被覆層対の前記ウエル層の層厚をak×dw0及び前記バリア層の層厚をak×db0とそれぞれ設定されることを特徴とする請求項2に記載の量子カスケードレーザ装置。 - 前記n層が3層または4層であることを特徴とする請求項2または3に記載の量子カスケードレーザ装置。
- 基板と、
前記基板上に形成された第1光閉じ込め層と、
前記第1光閉じ込め層上に形成され、複数のステージからなるコア領域と、
前記コア領域上に形成された第2光閉じ込め層と、
前記第2光閉じ込め層上に形成されたクラッド層と、を備え、
前記ステージは、
バリア層とウエル層が交互に少なくともそれぞれn層ずつ積層され、一端側に設けられた前記バリア層を始端バリア層、他端側に設けられた前記バリア層を終端バリア層とする活性領域と、
前記活性領域に電子を注入するインジェクタ領域を備え、
前記ウエル層及び前記ウエル層に隣接するバリア層の一対を被覆層対として、前記活性領域に第1被覆層対から第n被覆層対までのn個の被覆層対が含まれ、
前記n個の被覆層対は、予め設定され電子がトンネル可能な基準バリア層の層厚db0及び予め設定され前記基準バリア層よりも厚い層厚を有する基準ウエル層の層厚dw0と、予め設定された正の実数である係数a1から係数anまでのn個の係数を用いて、前記n個の被覆層対についてk番目(1≦k≦n)の被覆層対の前記ウエル層の層厚をak×dw0及び前記バリア層の層厚をak×db0とそれぞれ設定され、
前記n個の係数anの中で、少なくとも1つの係数は他の係数とは異なる数値であることを特徴とする量子カスケードレーザ装置。 - 前記nが3の場合は、係数anは、a1=1.0、a2=0.8、a3=0.8、または、a1=1.0、a2=0.9、a3=0.8、であることを特徴とする請求項5に記載の量子カスケードレーザ装置。
- 前記nが4の場合は、係数anは、a1=1.0、a2=0.9、a3=0.9、a4=0.9、または、a1=0.8、a2=1.1、a3=0.7、a4=1.2、であることを特徴とする請求項5に記載の量子カスケードレーザ装置。
- 前記ウエル層がGaInAs層で構成され、前記バリア層がAlInAs層で構成されることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の量子カスケードレーザ装置。
- 前記コア領域は、30以上40以下の個数の前記ステージで構成されることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の量子カスケードレーザ装置。
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M. R. SOULBY, ET AL.: "Probing diagonal laser transitions in InGaAs/AlInAs/InP quantum cascade lasers", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol. 106, JPN6022025822, 30 December 2009 (2009-12-30), US, pages 123106, XP012127366, ISSN: 0004905445, DOI: 10.1063/1.3273479 * |
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