JP7203062B2 - スパークプラグ用絶縁体、及びスパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ用絶縁体、及びスパークプラグ Download PDF

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Description

本発明は、スパークプラグ用絶縁体、及びスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関の点火装置として、スパークプラグが利用されている。この種のスパークプラグは、一般的に、アルミナ(Al)等のセラミックを主体とする縦長の円筒状の絶縁体(スパークプラグ用絶縁体)を備えている。絶縁体の中心には、火花ギャップを形成するための中心電極と、それに高圧を印加するための端子電極とを挿通するための細長い貫通孔が設けられている。このような絶縁体は、セラミックの原料粉末を所定の成形型を利用して圧縮成形し、得られた成形体を焼成することで得られる。
前記成形体は、ゴム製や金属製の成形型を利用して成形される。例えば、特許文献1には、ラバープレス法と呼ばれる一種の冷間静水圧プレス法による成形方法が示されている。この成形方法では、上記貫通孔を形成するためのプレスピンを配したゴム型のキャビティ内に前記原料粉末が充填され、ゴム型の外から液圧が印加されて前記原料粉末が加圧されることで成形体が得られる。
なお、成形体の製造に使用される原料粉末中には、細かな繊維等が異物として混入することがある。異物を含んだ成形体を焼成すると、得られた焼結体の中に、異物の焼失痕からなる空隙が形成されることがある。形成される空隙の大きさや量等によっては、絶縁体の強度や絶縁性が低下する虞があるため、原料粉末中の異物は、成形体を製造する前に通篩する等して除去される。
特開2000-58226号公報
ところで、絶縁体中に、異物に起因する空隙が形成された場合でも、性能上、問題ない場合もある。従来、絶縁体中に存在する空隙が、絶縁体の性能(耐電圧性等)にどのような影響を与えるか等について、詳しく検証されていないのが実情であった。
本発明の目的は、耐電圧性及び耐衝撃性に優れるスパークプラグ用絶縁体、及び前記スパークプラグ用絶縁体を備えるスパークプラグを提供することである。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 軸線方向に延びた貫通孔を含む筒状のアルミナ基焼結体からなり、前記軸線方向に対して垂直に切断された前記アルミナ基焼結体の切断面が、以下に示される条件(a)から(c)の全てを満たすスパークプラグ用絶縁体。
(a)前記切断面の全体を面積率で100%とした場合、その面内で観察される空隙の総面積率が1%以上5%以下である。
(b)前記切断面における前記空隙の1個あたりの最大面積が900μm以下である。
(c)前記空隙のうち面積が60μm以上のものが、アスペクト比が2以下である第1空隙と、前記アスペクト比が2より大きい第2空隙とからなり、前記切断面における第2空隙の総面積率に対する前記第1空隙の総面積率の割合が2以上である。
<2> 前記切断面において、前記第2空隙の長軸方向の両端を結ぶ線分Lと、前記線分Lの中点Gと前記軸線が配される中心Oとを通る直線Tと、があり、
前記線分Lと前記直線Tとがなす角のうち小さい方の大きさが45度以上90度以下である前記<1>に記載のスパークプラグ用絶縁体。
<3> 径方向に最も外側に張り出した突出部と、
前記突出部より前記軸線方向における先端側に配され、かつ外径の小さい先端部と、
前記突出部と前記先端部との間に配され、外径が前記突出部よりも小さくかつ前記先端部よりも大きい筒状の中胴部と、を有し、
前記中胴部の前記軸線に垂直な方向の厚さが2.6mm以下である前記<1>又は<2>に記載のスパークプラグ用絶縁体。
<4> 前記(a)における前記空隙の総面積率が1%以上3%以下である前記<1>から<3>の何れか1つに記載のスパークプラグ用絶縁体。
<5> 前記<1>から<4>の何れか1つに記載のスパークプラグ用絶縁体を備えるスパークプラグ。
本発明によれば、耐電圧性及び耐衝撃性に優れるスパークプラグ用絶縁体、及び前記スパークプラグ用絶縁体を備えるスパークプラグを提供することができる。
実施形態1のスパークプラグ1の一部破断説明図 軸線方向に対して垂直に切断されたアルミナ基焼結体の中胴部の切断面を模式的に表した説明図 切断面で観察される第1空隙及び第2空隙を模式的に表した説明図 絶縁体の製造方法を示すフロー図 成形体の成形工程において、造粒粉がラバープレス成形機のキャビティに充填される様子を示す説明図 成形体の成形工程において、造粒粉が充填されたキャビティ内にプレスピンが挿入される様子を示す説明図 成形体の成形工程において、造粒粉が充填されたキャビティ内が密封状態となった様子を示す説明図 成形体の成形工程において、ラバープレス成形機から成形体が取り出される様子を示す説明図 水中耐電圧試験により試験サンプルの貫通電圧を測定する方法を模式的に表した説明図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1~図3を参照しつつ説明する。本実施形態では、スパークプラグ1と共に、それに使用されるスパークプラグ用絶縁体2について例示する。なお、本明細書では、スパークプラグ用絶縁体2を、単に「絶縁体2」と表現する場合がある。
図1は、実施形態1のスパークプラグ1の一部破断説明図である。図1に示される上下方向に延びた直線(一点鎖線)は、スパークプラグ1の軸線AXを表す。図1の下側にスパークプラグ1の軸線AX方向先端側が配され、図1の上側にスパークプラグ1の軸線AX方向後端側が配される。以下、軸線AX方向の先端、後端をそれぞれ、単に「先端」、「後端」と表現する場合がある。なお、図1では、軸線AXから右側の部分にスパークプラグ1の外観が示され、軸線AXから左側の部分にスパークプラグ1の断面図が示される。
スパークプラグ1は、自動車のエンジン(内燃機関の一例)に取り付けられ、エンジンの燃焼室内の混合気に点火するために利用される。スパークプラグ1は、主として、絶縁体2、中心電極3、接地電極4、端子金具5、主体金具6、抵抗体7、シール部材8,9を備えている。
絶縁体(スパークプラグ用絶縁体)2は、内部に貫通孔21を含む軸線AX方向に延びた略円筒状の部材である。絶縁体2の詳細は、後述する。
主体金具6は、スパークプラグ1をエンジン(具体的には、エンジンヘッド)に取り付ける際に利用される部材であり、全体として軸線AX方向に延びた円筒形状をなし、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼材)によって構成される。主体金具6の先端側の外表面には、ネジ部61が形成されている。また、ネジ部61の後端(所謂、ネジ首)には、リング状のガスケットGが外嵌されている。更に、主体金具6の後端側には、主体金具6をエンジンに取り付ける際にレンチ等の工具を係合させるための工具係合部63が設けられている。そして、主体金具6の後端部には、径方向内側に屈曲された加締め部64が設けられている。
また、主体金具6は、内部に軸線AX方向に貫通する通し孔65を備えており、その通し孔65に挿通される形で、絶縁体2が主体金具6の内部で保持される。絶縁体2の後端は、主体金具6の後端から外側(図1の上側)へ大きく突出した状態となっている。これに対して、絶縁体2の先端は、主体金具6の先端から外側(図1の下側)へ僅かに突出した状態となっている。
主体金具6の内部に装着された状態において、絶縁体2の内部には中心電極3が配設されている。中心電極3は、軸線AX方向に沿って延びる棒状の中心電極本体31と、その中心電極本体31の先端に取り付けられる円柱状(円板状)のチップ(発火部)32とを備えている。中心電極本体31は、絶縁体2や主体金具6よりも長手方向の長さが短い部材であり、その先端側が外部に露出するように絶縁体2の貫通孔21で保持されている。中心電極本体31の後端は、絶縁体2の内部に収容されている。中心電極本体31は、ニッケル(Ni)又はニッケルを最も多く含むニッケル基合金(例えば、NCF600、NCF601等)によって構成される。なお、中心電極本体31は、ニッケル又はニッケル基合金製の鞘部(母材)と、その鞘部の内部に埋設された芯部とを含む2層構造であってもよい。その場合、芯部は、鞘部よりも熱伝導性に優れる銅(Cu)又は銅を最も多く含む銅基合金から形成されることが好ましい。
端子金具5は、軸線AX方向に延びる棒状の部材であり、絶縁体2の貫通孔21の後端側に挿し込まれる形で取り付けられている。端子金具5は、絶縁体2(貫通孔21)内において、中心電極3よりも後端側に配置されている。端子金具5は、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼)で構成される。なお、端子金具5の表面には、防食等の目的でニッケル等のメッキが施されてもよい。
端子金具5は、先端側に配される棒状の脚部51と、その脚部51の後端側に配される鍔部52と、その鍔部52よりも後端側に配されるキャップ装着部53とを備えている。脚部51は、絶縁体2の貫通孔21内に挿入されている。鍔部52は、絶縁体2の後端部から露出し、かつその後端部に係止する部分である。キャップ装着部53は、高圧ケーブルが接続されたプラグキャップ(不図示)が装着される部分であり、そのキャップ装着部53を介して、外部より火花放電を発生させるための高電圧が印加される。
抵抗体7は、絶縁体2の貫通孔21内において、端子金具5の先端(脚部51の先端)と中心電極3の後端(中心電極本体31の後端)との間に配置される。抵抗体7は、例えば、1kΩ以上の抵抗値(例えば、5kΩ)を有し、火花発生時の電波ノイズを低減する機能等を備えている。抵抗体7は、例えば、主成分であるガラス粒子と、ガラス以外のセラミック粒子と、導電性材料とを含む組成物によって構成される。
貫通孔21内における抵抗体7の先端と、中心電極3の後端との間には隙間が設けられており、その隙間を埋める形で、導電性のシール部材8が配設されている。また、貫通孔21内における抵抗体7の後端と、端子金具5の先端との間にも隙間が設けられており、その隙間を埋める形で、導電性のシール部材9が配設されている。各シール部材8,9は、例えば、B-SiO系等のガラス粒子と、金属粒子(Cu,Fe等)とを含む導電性の組成物によって構成される。
接地電極4は、全体的には途中で略L字状に折れ曲がった板片からなり、その後端部42が主体金具6の先端に接合される。そして、その先端部41が中心電極3の先端部(チップ32)との間隔を保ちつつ対向するように配される。接地電極4と主体金具6とは、例えば、互いに抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接技術によって接合される。これにより、接地電極4と主体金具6とは、互いに電気的に接続される。接地電極4は、例えば、主体金具6と同様、ニッケル又はニッケル基合金からなる。
中心電極3の先端部にあるチップ32と、接地電極4の先端部41との間には、隙間Sがあり、中心電極3と接地電極4との間に高電圧が印加されると、その隙間Sにおいて、概ね軸線AXに沿った形で、火花放電が発生する。チップ32は、発火部として、中心電極3の先端部に取り付けられる部材であり、円柱状(円板状)をなしている。チップ32は、イリジウム(Ir)を主成分とするイリジウム基合金からなり、中心電極本体31の下端に対して、抵抗溶接やレーザ溶接等により接合される。
次いで、絶縁体2について詳細に説明する。絶縁体2は、全体的には、軸線AX方向に細長く延びた円筒状をなしており、図1に示されるように、内部に軸線AX方向に延びた貫通孔21を含む。絶縁体2は、アルミナを主成分とする筒状(円筒状)のアルミナ基焼結体によって構成される。絶縁体2は、径方向に最も外側に張り出した突出部22と、突出部22より軸線AX方向における先端側に配され、かつ外径の小さい先端部23と、突出部22と先端部23との間に配され、外径が突出部22よりも小さくかつ先端部23よりも大きい筒状の中胴部24とを備えている。
突出部22は、軸線AX方向における絶縁体2の略中央に配され、円環状をなしている。突出部22の内部にある貫通孔21には、抵抗体7が配設されている。先端部23は、後端側から先端側に向けて徐々に外径及び内径がそれぞれ小さくなる先細り状の円筒体である。先端部23の内部にある貫通孔21には、中心電極3の中心電極本体31が配設されている。
なお、突出部22の後端側には、軸線AX方向に延びた筒状(円筒状)の後側筒部25が接続されている。後側筒部25の内部にある貫通孔21には、端子金具5が備える棒状の脚部51等が配設されている。
このような絶縁体2は、軸線AX方向に対して垂直に切断された任意の切断面200を観察した際に、以下に示される条件(a)から(c)の全ての満たすように構成されている。
ここでは、図2を参照しつつ、軸線AX方向に対して垂直に切断された絶縁体2の中胴部24の切断面200を例に挙げて説明する。図2は、軸線AX方向に対して垂直に切断された絶縁体2の中胴部24の切断面200を模式的に表した説明図である。切断面200は、予め鏡面状に研磨した鏡面研磨面の状態で観察される。観察対象とする切断面200は、1つの中胴部24に対して、1箇所設定される。なお、切断面200の面積(面積率)、空隙28の面積、空隙28の総面積(総面積率)、空隙28のアスペクト比等の各情報の取得や条件(a)~(c)の各判断は、コンピュータ上で実行される公知の画像解析ソフトを利用して行われる。
<条件(a)>
切断面200の全体を面積率で100%とした場合、その面内で観察される空隙28の総面積率が1%以上5%以下である。空隙28の総面積率は、1つの中胴部24について、10箇所の視野(例えば、255μm×195μm)でそれぞれ観察された空隙28における総面積率の平均値である。
<条件(b)>
前記切断面200における前記空隙28の1個あたりの最大面積が900μm以下である。ここでの最大面積は、1つの中胴部24について、1箇所の切断面200における10箇所の視野でそれぞれ観察された空隙28の中で、最も大きな空隙の面積に相当する。
<条件(c)>
前記空隙28のうち面積が60μm以上のものが、アスペクト比が2以下である第1空隙28Aと、前記アスペクト比が2より大きい第2空隙28Bとからなり、前記切断面200における第2空隙28Bの総面積率に対する前記第1空隙28Aの総面積率の割合が2以上である。アスペクト比は、後述するように、空隙28の短軸方向における長さに対する空隙28の長軸方向における長さの割合である。空隙28の短軸方向及び長軸方向は、互いに垂直に交わるように設定される。また、ここでのアスペクト比は1つの中胴部24について、1箇所の切断面200における10箇所の視野でそれぞれ観察された空隙28(第1空隙28A、第2空隙28B)についてのアスペクト比の平均値である。
図3は、切断面200で観察される第1空隙28A及び第2空隙28Bを模式的に表した説明図である。第1空隙28Aは、切断面200で観察される空隙28のうち、面積が60μm以上であり、かつアスペクト比が2以下の空隙28からなる。第1空隙28Aのアスペクト比は、短軸方向における長さL1aに対する長軸方向における長さL2aの割合(L2a/L1a)として求められる。なお、長軸とは、空隙のうち直線距離が最大となる方向に沿った軸であり、短軸は、長軸に直交する軸である。図3に示される第1空隙28Aは、粒状をなしている。一方、第2空隙28Bは、切断面200で観察される空隙28のうち、面積が60μm以上であり、かつアスペクト比が2より大きい空隙28からなる。第2空隙28Bのアスペクト比は、短軸方向における長さL1bに対する長軸方向における長さL2bの割合(L2b/L1b)として求められる。図3に示される第2空隙28Bは、細長く延びた糸状をなしている。
アルミナ基焼結体20の切断面200が、上記条件(a)から(c)の全てを満たすと、優れた耐電圧性及び耐衝撃性が得られる。
本実施形態の絶縁体2は、更に、以下に示される条件(d)を満たすことが好ましい。
<条件(d)>
前記切断面200において、前記第2空隙28Bの長軸方向の両端を結ぶ線分Lと、前記線分Lの中点Gと前記軸線が配される中心Oとを通る直線Tと、があり、前記線分Lと前記直線Tとがなす角のうち小さい方の大きさが45度以上90度以下である。
ここで、図2を参照しつつ、条件(d)について説明する。なお、条件(d)の判断も、上述したその他の条件(a)等と同様、コンピュータ上で実行される公知の画像解析ソフトを利用して行われる。
図2の切断面200には、空隙28として、糸状をなした第2空隙28Bが示されている。そのような第2空隙28Bに対して、長軸方向の両端を結ぶように線分Lが設定される。そして、その線分Lに対して中点Gが設定される。また更に、このように設定された中点Gと、軸線AXが配される切断面200の中心Oとを通るように、直線Tが設定される。このように設定された線分Lと直線Tとがなす角が求められる。条件(d)では、それらがなす角のうち、小さい方の角θの大きさが、45度以上90度以下であることが求められる。
絶縁体2の切断面200において観察される第2空隙28Bが、条件(a)から(c)を満たすと共に、更に条件(d)を満たすと、第2空隙28Bを介した電流の伝播への影響がより小さく、耐電圧性能が改善される。
なお、上述した条件(a)において、前記空隙28の総面積率が1%以上3%以下であることが好ましい。前記空隙28の総面積率がこのような範囲であると、空隙28の伝播頻度が減少するため、耐電圧性能がより改善される。
また、本実施形態の絶縁体2において、中胴部24の軸線AXに垂直な方向の厚さ(つまり、中胴部24を構成する周壁の厚み)は2.6mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましい。中胴部24は、その周りに主体金具6のネジ部61が配置される等の理由で、絶縁体2の中でも、厚み(肉厚)を小さくすることが求められる部分である。本実施形態の場合、中胴部24の厚みが、このような範囲であっても、絶縁体2の耐電圧性及び耐衝撃性が確保される。
次いで、本実施形態の絶縁体2の製造方法について説明する。本実施形態の絶縁体2は、上述した条件(a)から(c)等を満たすように製造されたものである。絶縁体2の製造方法としては、最終的に得られる絶縁体2が条件(a)から(c)等を満たすものであれば特に制限はない。ここでは、絶縁体2の製造方法の一例を、図4を参照しつつ説明する。
図4は、絶縁体2の製造方法を示すフロー図である。絶縁体2の製造方法は、図4に示されるように、スラリー作製工程S1、造粒工程S2、通篩工程S3、成形工程S4、研削工程S5及び焼成工程S6を備えている。
<スラリー作製工程>
スラリー作製工程は、原料粉末、バインダー及び溶媒を混合してスラリーを作製する工程である。原料粉末は、主成分として、焼成によりアルミナに転化する化合物の粉末(以下、Al化合物粉末)が使用される。Al化合物粉末としては、例えば、アルミナ粉末が使用される。
Al化合物粉末の平均粒径は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、0.1μm~5.0μmである。なお、平均粒径は、レーザ回折法(日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布測定装置、製品名「MT-3000」)により測定した値である。
Al化合物粉末は、焼成後のアルミナ基焼結体の質量(酸化物換算)を100質量%としたときに、酸化物換算で89質量%以上となるように調製されることが好ましい。
本発明の目的を損なわない限り、原料粉末には、Al化合物粉末以外の粉末が含まれてもよい。
バインダーは、原料粉末の成形性の向上等を目的として、スラリー中に添加される。このようなバインダーとしては、ポリビニルアルコール、水性アクリル樹脂、アラビアゴム、デキストリン等の親水性結合剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダーの配合量は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、原料粉末100質量部に対して、0.1質量部~7質量部の割合で配合され、好ましくは1質量部~5質量部の割合で配合される。
溶媒は、原料粉末等を分散させる等の目的で使用される。溶媒としては、例えば、水、アルコール等が挙げられる。それらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒の配合量は、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、原料粉末100質量部に対して、40質量部~120質量部の割合で配合され、好ましくは50質量部~100質量部の割合で配合される。
なお、スラリーには、必要に応じて、原料粉末、バインダー及び溶媒以外の他の成分が配合されてもよい。
スラリーの混合には、公知の攪拌・混合装置等を利用することができる。
<造粒工程>
造粒工程S2は、原料粉末等を含むスラリーから、球状の造粒粉を作製する工程である。スラリーから造粒粉を作製する方法としては、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、例えば、スプレードライ法が挙げられる。スプレードライ法では、所定のスプレードライヤー装置を利用して、スラリーを噴霧乾燥することにより、所定の粒径を備えた造粒粉が得られる。なお、造粒粉の平均粒径は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はないが、例えば、30μm~200μmが好ましく、50μm~150μmがより好ましい。なお、造粒粉の平均粒径は、Al化合物粉末の平均粒径と同様の装置を利用して測定することができる。
<通篩工程>
通篩工程S3は、造粒粉を、所定の目開きを有する篩を通過させることで、造粒粉中に含まれる異物等を除去する工程である。例えば、上述したスラリーの状態で、所定の篩を通過させると、スラリー中に含まれている異物の多くは、溶媒(水等)に押し流される形で、原料粉末等と共に、篩を通過してしまう。これに対して、この通篩工程S3では、造粒粉の状態で、通篩を行うと共に、篩を振動させることで篩上での粉末堆積が抑制される。なお、比較的、アスペクト比の大きな異物(例えば、アスペクト比が2)は、造粒粉が篩上に堆積して篩の網の面への加重が大きくなると、篩の目開きを通るような向きをとるように強制され、又は篩の目開きに収まる大きさに変形される等によって押し込まれて、篩を通過してしまうことがある。このような大きな異物は、篩に投入する造粒粉の量(投入量)を適宜、制御することにより、除去することができる。
通篩工程S3で使用される篩の目開きは、例えば、造粒粉の平均粒径に対して、200%~800%の大きさとなるように設定される。より具体的には、篩の目開きは、例えば、100μm以上600μm以下の範囲に調整される。
また、通篩工程S3において、篩に対する造粒粉の投入量(1時間当たりの投入量)は、例えば、700kg/時間以上1300kg/時間以下の範囲で調整される。
この通篩工程S3において、原料粉末(造粒粉)中に含まれる異物がある程度、除かれる。
<成形工程>
成形工程S4は、上述した通篩工程S3後に得られた造粒粉を、成形型を利用して所定形状に成形することで成形体を得る工程である。成形工程S4は、ラバープレス成形や金型プレス成形等によって行われる。ここでは、ラバープレス成形によって成形体を得る工程を説明する。
図5~図8には、ラバープレス成形機を用いた成形体の成形工程が示されている。図5は、成形体の成形工程S4において、造粒粉GPがラバープレス成形機100のキャビティ101に充填される様子を示す説明図である。ここで、先ずラバープレス成形機100について簡単に説明する。ラバープレス成形機100は、軸線CL方向に沿って延びるキャビティ101を有する円筒状の内ゴム型102と、内ゴム型102の外周に設けられる円筒状の外ゴム型103と、外ゴム型103の外周に設けられる成形機本体104と、キャビティ101の下側開口部を塞ぐための底蓋105及び下側ホルダー106とを備えている。
成形機本体104には、液体流路107が設けられており、その液体流路107を介して、液圧を外ゴム型103の外周面に対して径方向に付与することで、キャビティ101を径方向に縮小させることができる。
成形工程S4では、先ず、ラバープレス成形機100のキャビティ101内に、造粒粉GPが充填される。例えば、キャビティ101の上方に配置されたホッパー108を利用して、所定量の造粒粉GPがキャビティ101内に充填される。なお、造粒粉GPをキャビティ101内に均一に充填する等の目的で、内ゴム型102及び外ゴム型103に対して、振動が加えられてもよい。
次いで、図6に示されるように、キャビティ101内にプレスピン109が挿入される。図6は、成形体の成形工程S4において、造粒粉GPが充填されたキャビティ101内にプレスピン109が挿入される様子を示す説明図である。プレスピン109の後端部側には上側ホルダー110が設けられており、プレスピン109の挿入が終了すると、その上側ホルダー110がキャビティ101の上側開口部に嵌め込まれる(図7参照)。このようにしてキャビティ101が密封状態となる。図7は、成形体の成形工程S4において、造粒粉GPが充填されたキャビティ101内が密封状態となった様子を示す説明図である。
なお、他の実施形態においては、キャビティ101内に先にプレスピン109を挿入し、プレスピン109と内ゴム型102との間に形成される隙間に造粒粉GPを充填し、その後、キャビティ101の上側開口部を密封状態で塞ぐようにしてもよい。
続いて、密封状態のキャビティ101内に充填された造粒粉GPが、縮径するように弾性変形した内ゴム型102及び外ゴム型103によって加圧される。液体流路45aを介して液圧を印加することで、内ゴム型102及び外ゴム型103の外周側から圧力が印加され、キャビティ10が縮小して、キャビティ10内の造粒粉GPが圧縮され、所定形状に成形された成形体Mが得られる。
成形工程S4では、内ゴム型102及び外ゴム型103を外周側から印加する圧力(プレス昇圧速度)を所定の値に調整することで、造粒粉GP中に混在している異物(特に、第2空隙28B)の向き(方位性)を制御することができる。キャビティ101内の造粒粉GPに印加される圧力(プレス昇圧速度)を、例えば、12MPa/sec以上100Pa/sec以下の範囲に調整することにより、上述した条件(d)等を満たす絶縁体2を作製することができる。このようにプレス昇圧速度を適宜、調整することにより、最終的にアルミナ基焼結体20(絶縁体2)中に形成される第2空隙28Bの向き(方位性)を、条件(d)を満たすように制御することができる。
なお、所定の圧力を印加した後、液圧の付与を解除することにより、内ゴム型102及び外ゴム型103が弾性復帰し、縮小していたキャビティ101が元の形状(サイズ)に戻る。
図8は、成形体の成形工程S4において、ラバープレス成形機100から成形体Mが取り出される様子を示す説明図である。図8に示されるように、圧力の印加が解除された後、プレスピン109が、ラバープレス成形機100から軸線CL方向に引き上げられる。その際、プレスピン109と共に、造粒粉CPが圧縮されて形成された成形体Mが、キャビティ101から抜き取られる。その後、プレスピン109を成形体Mに対して相対回転させることにより、プレスピン109が成形体Mから抜き取られる。プレスピン109が抜き取られることで、成形体M内に形成された孔部HLは、最終的に、絶縁体2の貫通孔21となる。
なお、成形工程S4後に得られる成形体Mの先端側及び後端側には、それぞれ加工取り代m1,m2が設けられている。そのため、それらの加工取り代m1,m2の除去や成形体Mの表面を研磨等するために、研削工程S5が行われる。
<研削工程>
研削工程S5は、成形工程S4後に得られた成形体Mの加工取り代m1,m2の除去や成形体Mの表面を研磨等する工程である。研削工程S5では、レジノイド砥石等を研削することにより、加工取り代m1,m2の除去や成形体Mの表面の研磨等が行われる。このような研削工程S5により、成形体Mの形状が整えられる。
<焼成工程>
焼成工程S6は、研削工程S5により形状が整えられた成形体Mを焼成して、絶縁体2を得る工程である。焼成工程S6では、例えば、大気雰囲気下で、1450℃以上1650℃以下で1~8時間焼成する。焼成後、成形体Mを冷却することにより、アルミナ基焼結体20が得られる。
以上のようにして、本実施形態のスパークプラグ用絶縁体2として利用されるアルミナ基焼結体20が得られる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(試験サンプルの作製)
上記実施形態1で例示したスパークプラグの絶縁体と、基本的な構成が同じである絶縁体(以下、試験サンプル)を、上記実施形態1と同様の製造方法で作製した。試験サンプルの中胴部は、円筒状であり、その厚み(肉厚)は、2.60mmである。なお、試験サンプルの製造時において、成形型によるプレス昇圧速度は、12MPa/secに設定した。
(水中耐電圧の測定)
以下に示される水中耐電圧試験を行い、貫通電圧の測定を行った。具体的な内容は以下の通りである。図9は、水中耐電圧試験により試験サンプルTの貫通電圧を測定する方法を模式的に表した説明図である。図9に示されるように、先ず、試験サンプルT(スパークプラグの絶縁体2)に対する試験前準備として、絶縁体2の先端部23に第1シリコーンチューブT30を装着し、その状態で、先端部23内の貫通孔21に、絶縁を目的としてシリコーンゴムT31を注入して固化させた。なお、中心電極3は、固化したシリコーンゴムT31と接触しないように、予めその長さが、切断等によって調整されている。次いで、第1シリコーンチューブT30よりも、内径が大きい第2シリコーンチューブ32を用意し、その第2シリコーンチューブ32の内側に、第1シリコーンチューブT30を装着した先端部23が配置されるように、第2シリコーンチューブ32を、絶縁体2の突出部T22に装着した。そして、第2シリコーンチューブ32と、第1シリコーンチューブ30との間に形成される隙間T33を、食塩水(濃度:1質量%)T34で浸した。また、後側筒部25の後端側から、内部の貫通孔21に対して、図9に示されるように、中心電極3及び端子金具5を挿し込む形で装着した。そして、試験サンプルT(絶縁体2)の軸線方向において、中胴部の略中央の位置となり、かつ先端が食塩水T34に接触するように、第2シリコーンチューブ32に、試験針T35を取り付けた。このように取り付けた試験針T35をアース側とし、試験サンプルT(絶縁体2)の後端から露出した端子金具5に、後述する条件で、高電圧を印加した。具体的には、オシロスコープを見ながら、開始電圧(20kV)から30kVまで、1kV/secで昇圧した。開始電圧から1kVずつ昇圧させ、各電圧で10秒間保持し、貫通した電圧を記録した。なお、水中耐電圧試験の際、高電圧側の配線は、なるべく空気中に配置し、絶縁物上には必要最小限の部分を載置した。また、中心電極3及び端子金具5は、すべての試験サンプルTの試験について、同じものを使用した。結果は、表1に示した。
(耐衝撃性の評価)
各試験サンプルに対して、JIS B7733に規定されるシャルピー試験を行い、試験サンプル(絶縁体)が破断する破断エネルギーの測定を行った。具体的な内容は、以下の通りである。まず、試験サンプルである絶縁体を使用して、上記実施形態1で例示したものと同様の構成のスパークプラグ(以下、試験用スパークプラグ)を作製した。その試験用スパークプラグの軸線方向を上下方向として、先端側を下方に向け、試験台に設けられたネジ孔に試験用スパークプラグの主体金具のネジ部を螺合させて固定した。また、固定した試験用スパークプラグの軸線方向の上方に軸支点を有するハンマーを旋回可能に設けた。そして、ハンマーの先端を持ち上げてリリースし、自由落下によりハンマーを旋回させ、ハンマーの先端を絶縁体の後端より略1mmの部位に衝突させた。このハンマーの持ち上げ角度(軸線方向に対する角度)を、所定角度ずつ大きくしながらハンマーの先端を試験用スパークプラグの絶縁体に衝突させた。このような操作を繰り返し、絶縁体に破断が生じた際の持ち上げ角度に基づいて絶縁体の破断エネルギーを求めた。結果は、表1に示した。
(切断面の観察)
得られた試験サンプルの中胴部を、軸線方向に対して垂直に切断し、得られた切断面を、鏡面状に研磨した後、その切断面における空隙(第1空隙、第2空隙等)を観察した。このような切断面の観察を、1つの試験サンプルの中胴部に対して、軸線方向において異なる位置で、合計10箇所行った。そして、合計10箇所の切断面の観察結果から、以下に示される3つの項目(A),(B),(C)の各値を求めた。
(A)切断面の全体を面積率で100%とした場合、その面内で観察される空隙の総面積率(空隙率)(%)
(B)切断面における空隙の1個あたりの最大面積
(C)空隙のうち面積が60μm以上のものを、アスペクト比が2以下である第1空隙と、アスペクト比が2より大きい第2空隙とに分け、切断面における第2空隙の総面積率に対する第1空隙の総面積率の割合
なお、上記項目(A)の総面積率(空隙率)、及び項目(C)の割合(第1空隙の面積率/第2空隙の面積率)は、合計10箇所の切断面における各値の平均値である。また、上記項目(B)の最大面積は、合計10箇所の切断面のうち、もっとも大きな空隙の最大面積(最大値)である。結果は、表1に示した。
〔実施例2~8及び比較例1~4〕
プレス昇圧速度を、表1に示される値に設定等すること以外は、実施例1と同様にして、実施例2~8及び比較例1~4の試験サンプルを作製した。
得られた試験サンプルについて、実施例1と同様、上記「水中耐電圧の測定」、「耐衝撃性の評価」、及び「切断面の観察」を行った。それらの結果は、表1に示した。
なお、実施例6~8の切断面の観察では、実施例1と同様、3つの項目(A)~(C)の各値を求めると共に、更に下記項目(D)の値も求めた。結果は、表1に示した。
(D)切断面において、第2空隙の長軸方向の両端を結ぶ線分Lと、線分Lの中点Gと軸線が配される中心Oとを通る直線Tとがなす角のうち、小さい方の角θの大きさ(°)
Figure 0007203062000001
表1に示されるように、実施例1~実施例8では、水中耐電圧が45kV以上であり、耐電圧性(絶縁性)に優れることが確かめられた。特に、実施例2~実施例4に示されるように、切断面における空隙の総面積率が1.0%以上5.0%以下の場合、シャルピー破断エネルギーが1.05Jであり、耐衝撃性に優れていることも確かめられた。
比較例1は、空隙のうち面積が60μm以上のものを、アスペクト比が2以下である第1空隙と、アスペクト比が2より大きい第2空隙とに分けた際に、切断面における第2空隙の総面積率に対する第1空隙の総面積率の割合が、1となる場合である。つまり、比較例1では、切断面内に存在する第2空隙の割合が、実施例1等と比べて、多くなっている。このような比較例2では、水中耐電圧が43kVとなり、耐電圧性が低いことが確かめられた。
比較例2は、切断面における空隙の総面積率の値が小さく、0.7%の場合である。このような比較例2は、耐電圧性に優れるものの、シャルピー破断エネルギーが0.65Jであり、耐衝撃性が低いことが確かめられた。なお、試験サンプルの切断面における空隙の総面積率の大きさは、耐衝撃性に影響を与えているものと推測される。
比較例3は、切断面における空隙の総面積率の値が大きく、6.0%の場合である。このような比較例3は、耐衝撃性に優れるものの、耐電圧性が低いことが確かめられた。
比較例4は、切断面における空隙の最大面積が1200μmの場合である。このような比較例4は、耐電圧性が低いことが確かめられた。
以上のような各実施例、各比較例の結果より、上述した条件(a)から(c)を導き出すことができる。
また、表1に示されるように、上記角θが45°以上の場合(実施例7、実施例8)、上記角θが30°の場合(実施例6)と比べて、水中耐電性の値が大きくなっている。これにより、上記角θの大きさが45度以上90度以下であると、更に耐電圧性に優れることが確かめられた。以上の結果より、上述した条件(d)を導き出すことができる。
〔実施例9~11及び比較例5,6〕
プレス昇圧速度を、表2に示される値に設定等すると共に、中胴部の厚み(肉厚)を表2に示される値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9~11及び比較例5,6の試験サンプルを作製した。
得られた試験サンプルについて、実施例1と同様、上記「水中耐電圧の測定」、及び「切断面の観察」を行った。それらの結果は、表2に示した。
Figure 0007203062000002
実施例9~実施例11は、上記実施例1等よりも試験サンプルの中胴部の厚みが小さい場合である。中胴部の厚みが小さい場合であっても、実施例9~実施例11は、上述した条件(a)から(c)を満たすため、耐電圧性に優れることが確かめられた。なお、実施例9~実施例11の水中耐電圧の結果は、実施例1の結果よりも低い値となっているが、これは、中胴部の大きさによって要求される性能(耐電圧性)の違いによるものである。
比較例5及び比較例6は、空隙のうち面積が60μm以上のものを、アスペクト比が2以下である第1空隙と、アスペクト比が2より大きい第2空隙とに分けた際に、切断面における第2空隙の総面積率に対する第1空隙の総面積率の割合が、1となる場合である。つまり、切断面内に存在する第2空隙の割合が、実施例9等と比べて、多くなっている。このような比較例5,6は、耐電圧性が低いことが確かめられた。
1…スパークプラグ、2…スパークプラグ用絶縁体、20…アルミナ基焼結体、21…貫通孔、22…突出部、23…先端部、24…中胴部、25…後側筒部、28…空隙、28A…第1空隙、28B…第2空隙、200…切断面、3…中心電極、4…接地電極、5…端子金具、7…抵抗体、8,9…シール部材

Claims (5)

  1. 軸線方向に延びた貫通孔を含む筒状のアルミナ基焼結体からなり、前記軸線方向に対して垂直に切断された前記アルミナ基焼結体の切断面が、以下に示される条件(a)から(c)の全てを満たすスパークプラグ用絶縁体。
    (a)前記切断面の全体を面積率で100%とした場合、その面内で観察される空隙の総面積率が1%以上5%以下である。
    (b)前記切断面における前記空隙の1個あたりの最大面積が900μm以下である。
    (c)前記空隙のうち面積が60μm以上のものが、アスペクト比が2以下である第1空隙と、前記アスペクト比が2より大きい第2空隙とからなり、前記切断面における第2空隙の総面積率に対する前記第1空隙の総面積率の割合が2以上である。
  2. 前記切断面において、前記第2空隙の長軸方向の両端を結ぶ線分Lと、前記線分Lの中点Gと前記軸線が配される中心Oとを通る直線Tと、があり、
    前記線分Lと前記直線Tとがなす角のうち小さい方の大きさが45度以上90度以下である請求項1に記載のスパークプラグ用絶縁体。
  3. 径方向に最も外側に張り出した突出部と、
    前記突出部より前記軸線方向における先端側に配され、かつ外径の小さい先端部と、
    前記突出部と前記先端部との間に配され、外径が前記突出部よりも小さくかつ前記先端部よりも大きい筒状の中胴部と、を有し、
    前記中胴部の前記軸線に垂直な方向の厚さが2.6mm以下である請求項1又は請求項2に記載のスパークプラグ用絶縁体。
  4. 前記(a)における前記空隙の総面積率が1%以上3%以下である請求項1から請求項3の何れか一項に記載のスパークプラグ用絶縁体。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載のスパークプラグ用絶縁体を備えるスパークプラグ。
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