JP7202514B2 - 速度提示方法とそれを用いる車両 - Google Patents
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Description
前記車両の速度が、前記各速度範囲の最低速度を超え、かつ其々が前記各最低速度を下回らない走行を継続する限り、前記各速度範囲に対応づけした音源または楽曲を継続して出力して、前記音源または前記楽曲の各々の出力を重畳させることで、出力している前記音源または前記楽曲の種類数を聴覚で判断可能とし、音源または楽曲の前記種類数から、前記車両の速度が属する速度範囲の段階を定量的に判断できるようにする車両の速度計は、
各速度範囲で分担する音源や音階が異なるとともに、音源または楽曲の各々の出力が重畳して出力するようにしているため、それ等の種類数から何段目の速度範囲で車両が走行しているか定量的に判断でき、速度計を見ることなく走行する車両の速度を速度範囲の下からの段階数として把握が可能になる。これにより、これまでの視覚による速度計の確認の頻度を減少させることができるため、速度計確認による前方不注意の時間を減少させることが可能になり、事故の低減に寄与できる速度計を提供できる効果がある。
各速度範囲で分担する各音源や各音階の出力を低下させても、それ等の種類数の認識を維持できる。このため、この特性を利用して、これ等の内の走行する車両の速度が属する速度範囲を除いた各速度範囲の各出力は低下させ、現在の走行速度が属する速度範囲を提示する音源や音階の繰返しの出力を大きく維持して聞きやすくする。これにより、走行する車両の速度把握がより明確になる効果がある。
周期的に出力レベルの増大した音源または楽曲の種類数を順次数えることで、容易に各速度範囲で分担する音源や音階の重複の数が分かる。このため、特別な音楽的な才能や訓練をすることなく聴覚による速度提示が利用可能になる効果がある。
制限速度を越えている度合いを聴覚で常に理解が可能である。このため、必要とする速度計を目視する回数をあえて減少させて車両を走行させようとする心理が原因で、思わぬ速度違反を犯してしまう事があるが、これに対して、本願の速度計を用いると罰金や違反点数を運転者の聴覚情報として常に意識させることが可能になり、速度違反の防止や法令順守の心理の回復に効果がある。
なお、この仕組みは車両に通常の速度計とともに併設するものであり、従来からの速度計を車両から排除するものではない。
制御部10では音源・楽譜等の記憶部12からのデータ読取を行うとともに、必要なデータの演算を行い、表示部11がそのマン・マシンインタフェースを司る。更に楽器等の信号発生部13を制御し、音源の選択や音量を指示する。ここで、記憶部12での記憶情報は音声圧縮情報MP3や歌詞や楽譜やMIDIのような音楽情報であることもある。楽器等信号発生部13で生成されたデータはD/Aコンバータ14を介してデジタル信号をアナログ信号に変換し、更にアンプ部15で増幅してスピーカ16から車内に出力される。
また、右側の縦軸では速度0で最も少ない周波数であり、例えば音源の周波数は100ヘルツである。速度がS1で最も周波数は高くなり、その間は直線的に周波数が増加する特性である。速度がS1を超えると直ちに最も少ない周波数である100ヘルツになる。この説明では音源の繰返し数(左側の縦軸)と周波数(右側の縦軸)の両者の説明を同時にしたが、文章が煩雑になるとともに周波数(右側の縦軸)の説明は繰返し数(左側の縦軸)の説明と重複するため以後は省略する。なお、ここでの音源としては例えばサイン波や矩形波や楽器の音などがあり、周波数としてはそれ等の音源をフーリエ変換した際の最大出力となる周波数を示すとする。
繰返し数(左側の縦軸)を用いた説明をつづけると、太い破線21は別の音源の速度領域であり、その範囲はS1からS2まである。S1で繰返し数がゼロであり、S2に向かって繰返しは増大しS2で最大となり、S2を越えると繰返しは直ちにゼロとなる。
これ等と同様に細い一点鎖線22の音源はS2とSn-1の範囲を速度領域とし、太い一点鎖線23の音源はSn-1とSnの範囲を速度領域とし、細い直線24の音源はSnから上の速度領域を受け持つ。ただし、細い直線24の音源はSnの途中までを図示しており、説明もそれに対応している。
これ等の繰返し特性も細い破線20や太い破線21で説明したと同様に速度の増加に対して繰返しが増大する特性を示す。
また、細い破線20はドの音程のみ、太い破線21はミの音程のみ、細い一点鎖線22はドとミの組合せ、太い一点鎖線23はソのみの音程、細い直線24はドとミとソの音程の組合せ、などと音を組合せることで速度範囲を提示する方法も可能である。
これ等はいずれも速度の絶対値の提示ではなく、設定した範囲の低速側にあるか高速側にあるか、またはその中間かを繰返し音で提示するだけで曖昧性がある。また、それぞれの音源や音程がどの速度範囲を示しているか運転者が事前に覚えなくてはならない弱点がある。しかし、車両の発進時に行う加速時には何段階音色や音程の変化があったかで、どこの範囲の速度域で走行しているかが理解できるし、ほぼ一定速で走行中はその速度が低下しているのか、増加しているのかは繰返し数の変化や音色の変化で判断が十分できる。もちろん、この速度提示方法では慣れを必要とするため、使用初期の場合は速度把握が困難な場合がある。
以降の説明では、これ等の問題を解決して、走行する車両の速度あるいは速度範囲をできるだけ定量的に把握可能とする音による速度計を説明する。
次の段階で判断120に移り、ここで走行速度がS1~S2の範囲にあるか判断し、否定であれば次の判断130に移るが、肯定であれば図2の音源21の出力を121で行い、122で出力レベルの調整をする。このような処理が次の判断130やそれ以降の判断150までにおいても判断120と同様になされ図2の特性を持つ各種音源が出力される。
速度判定の最後の段階として、車両には設計上の最高速度Smがあるため、それ以上の走行速度であるかを160で判断し、否定であれば162の判断に移る。160の判断が肯定であれば最大速度であることを161で警告する。次に車両の運転の継続を判断162で行い、肯定であれば、判断110に戻る。これが、否定であればこの処理を163で終了する。このようにして、運転者に聴覚による速度情報が提供される。
次に、速度と音源の繰返し数の算出方法について図6を用いて説明する。図6は図2の特性図の一部を切出した1つの音源の特性であり、横軸は走行速度、縦軸は音源の繰返し数であり、実線が計画した特性である。走行速度SからS+aまでの範囲における特性でSでは繰返しがゼロでありS+aで最大繰返しPとなり、その間は線形に繰返しが増加する。この途中の速度Sxにおける繰返しPxは以下の式で表せる。
[数1]
Px=(Sx-S)/a×P
線形の繰返しの場合はこの式を用いて各走行速度における音源の繰返しを決定する。Pxをゼロにさせないようにするには、右辺に最低の繰返し数を加算して算出することになる。また、図4のように非線形の特性の場合はその関数を適用することになる。
ここでは特定の速度範囲をド、ミ、ソの3音階が順次強調出力する例で説明したが、他の速度範囲でも音源や音階の数を異にして同様にその重なり数の把握から、走行速度を聴覚のみで把握可能になる。以上の説明をした図12は図11の音源20,21,22の波形の位相をずらせて出力増加をしていることと同じである。また、この波形は矩形波で示したが、サイン波や三角波の形状であってもかまわない。
この一連の処理により図8における細い破線20に相当する音源の出力がなされる。
114の出力レベルの調整完了後は図8における次の速度領域に相当する太い破線21の音を出力するための処理である。これは基本的には前述の110の判断と同じであり、異なるのは判断する速度と出力する音源の選択が異なる。以下は説明が重複になるが念のため説明する。
判断120で速度がS1以上であるかを判断する。否定であれば162の判断に移るが、肯定であれば速度がSn-1以上かを121で判断し、否定であれば音源21による(走行速度―S1)に対応する繰返し数の音を122で出力し、124の出力レベル調整に移る。121の判断で速度がSn-1以上であり肯定の場合は123の処理で音源21の繰返し数を速度S2―S1に相当する周期に固定する。この出力に関しても124で出力レベルを調整する。これにより図8の音源21の出力がなされる。
こうした処理を次の速度領域以降でも同様に繰り返すことで、図7における音源22以降の音の出力が可能になる。
図10のフローチャートの最後になる判断160では速度Sm以上か判断するが、これ以降はこれまでと処理内容が異なり、肯定であれば車両の設計上の最大速度であることを運転者に警告する161の処理に移り162の判断に移る。判断160が否定であれば162の判断に直接移り、車両の運転の有無を判断する。これが肯定であれば判断110にもどるが、肯定であればこの一連の処理の終了を162のストップで行う。
以上のようにして、図8を出力するための処理がなされる。
また、図9や図10の出力に関しても一連の処理はほぼ同じでよいが、図11のフローチャートの中の判断や処理を調整する必要がある。これ等についての細述は省略する。
図16は横軸の車両の走行速度に対して音源等の出力レベルを縦軸に示す特性図であり、速度に対して割当てた楽器や声等信号(以下、音源とする)の出力特性を示す。横軸の車両の速度は0(ゼロ)からSnまでの目盛が刻んである。実線20で示す音源20は速度0からS1までを分担領域としており、速度0で最大出力とし、S1で出力がゼロになる直線の出力波形である。細い破線21は別の音源の分担領域(0からS2まで)であり、0とS2で出力がゼロで、S1において最大出力となる三角波形の出力をする。同様に太い破線22、細い一点破線23、太い二点破線24、細い実線25は各々別の音源に対応し、各速度領域で出力する。
この特性図のような出力特性で、各音源では楽曲を演奏するようにさせると、例えば速度S1では音源21(例えばバイオリン)の音による演奏が聞こえるが、速度を上げると音源21の音は速度S2に向かって次第に出力を下げ、それに伴い音源22(例えばピアノ)の音の演奏が強くなり、速度S2では音源21の音は消え、音源22の音のみの演奏になる。この様にすることで、車両がS1かたS2まで増速した際にS1に近い側の速度であるか、S2に近い側の速度であるかを2つの音源の強さで聴覚的に判断が可能になる。もちろんある程度の慣れを必要とするが、車両にはもともと速度計が付いているため音源と速度の関係は両者を見比べることで比較的容易に理解可能になり、速度計を見なくても走行速度が理解できるようになる。
次の段階で判断120に移り、走行速度が0~S2の範囲にあるか判断され、否定であれば次の判断130に移るが、肯定であれば音源31の出力を121で行い、122で出力レベルの調整し、判断120に戻る。次の判断130やそれ以降の判断150においても判断120と同様な処理が繰返される。
ここで、例えば走行速度が0~S1の間では110と120の判断が両者共に肯定になると音源30と音源31が出力をする。その出力は図16の特性図の0~S1の間の実線30と破線31となる。具体的には走行速度が0からS1に向かって次第に上昇するに従い音源30の音は小さくなり、音源31の音は大きくなる。ところが走行速度がS1~S2の間では110の判断は否定になるため出現せず、120の判断と130の判断の肯定で音源31と音源32が出力状態となる。その出力は図14のS1~S2の間の破線31と太い破線32のようになり、走行速度の上昇に伴い音源31は次第に弱くなり、音源32の音が大きくなる。このように走行速度の上昇に伴い選択される音源が変わり、一般的に記述すれば150の判断で音源nを151で出力し、その出力レベルを151で調整する。ここで車両には設計上の最高速度Smがあるため、それ以上の走行速度であるかを160で判断し、肯定であれば最大速度であることを161で警告する。次に車両の運転の継続を162判断で行い、肯定であれば、110の判断に戻る。また、否定であれば163で終了する。
このようにすることで、速度に合わせて少なくても2つの音源が選択され両者の音源の組合せから車両の走行速度がどの速度の間にあり、かつ両者の音の相対的強弱から大よその速度が聴覚のみを使用して類推可能になる。
[数2]
Hx=(1-(|Sx-S|)/a)H
ここで、式中のSx-Sを挟む2本の縦棒は絶対値を意味している。この式を用いて各走行速度における音源の出力レベルを決定する。
Claims (4)
- 車両の速度を複数の段階的な速度範囲で区切り、前記各速度範囲に対応づけした音源または楽曲による演奏を車内に出力して運転者に速度提示をする速度計において、
前記車両の速度が、前記各速度範囲の最低速度を超え、かつ其々が前記各最低速度を下回らない走行を継続する限り、前記各速度範囲に対応づけした音源または楽曲を継続して出力して、前記音源または前記楽曲の各々の出力を重畳させることで、出力している前記音源または前記楽曲の種類数を聴覚で判断可能とし、音源または楽曲の前記種類数から走行する車両の現在の速度に対応する速度範囲の段階数を定量的に判断可能とすることを特徴とする車両の速度計
- 走行する車両の速度が属する速度範囲に対応して出力される音源または楽曲の出力レベルを、前記速度範囲より低速側の全ての速度範囲に対応して出力される各音源または各楽曲の出力レベルより、大きくすることを特徴とする請求項1に記載の速度計
- 走行する車両の速度が属する速度範囲に対応して出力される音源または楽曲の出力と、前記速度範囲より低速側の全ての速度範囲に対応して出力される各音源または各楽曲の出力の強度を周期的に、かつ各々独立に増大させ、更に前記各出力を周期的に増大させるタイミングをずらすことを特徴とする請求項1に記載の速度計
- 道路交通法上の交通違反の点数一覧表の中の速度超過の項目が示す速度の範囲を、速度範囲として用いることを特徴とする請求項1および請求項2および請求項3に記載の速度計
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