JP7198302B2 - Pd-1を介した免疫チェックポイント阻害剤の生物活性試験法 - Google Patents

Pd-1を介した免疫チェックポイント阻害剤の生物活性試験法 Download PDF

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本発明は、高精度かつ簡便なPD-1を介した免疫チェックポイント阻害剤の生物活性試験法及びこれに用いる細胞株に関する。
Programmed cell Death-1(PD-1)は、T細胞、B細胞等の免疫細胞に発現しており、そのリガンドであるProgrammed cell Death 1- Ligand 1(PD-L1)との相互作用によって免疫抑制性シグナルを伝達する受容体である(非特許文献1)。
ナチュラルキラー(NK)細胞は、細胞傷害活性によってがん細胞の増殖を抑制するため、がん免疫において重要である。しかしながら、一部のNK細胞に発現するPD-1とがん細胞のもつPD-L1の結合によりNK細胞の機能低下を引き起こすことが報告されている(非特許文献2)。
2002年にマウスを用いた研究で、がん細胞の免疫回避機構にPD-1/PD-L1シグナルが関与し、同シグナルを阻害することでがん細胞の増殖が抑制されることが示された(非特許文献3)。その後の研究でもPD-1/PD-L1シグナルの阻害が良好な抗腫瘍作用を示したことから、PD-1/PD-L1シグナル阻害薬として、多くのPD-1又はPD-L1に対する治療用抗体が開発されている(非特許文献4)。今後、後続品も含めてPD-1/PD-L1を介する免疫チェックポイント阻害薬開発の需要は更に高まることが予想されるが、効率的な開発には薬効を評価するための適切なin vitro試験系が必要である。
PD-1/PD-L1分子間の結合阻害作用は、Enzyme-linked immuno-sorbent assay(ELISA)等で簡便に測定可能である。また、PD-1シグナルによって発現が調節されるルシフェラーゼ遺伝子を導入したT細胞株とPD-L1を発現させた標的細胞株を用いるレポーターアッセイ系が開発され、細胞間のPD-1/PD-L1シグナル伝達阻害作用についても簡便に測定可能となった(非特許文献5)。
しかしながら、上記の通り、PD-1/PD-L1シグナルの阻害による実際の細胞傷害活性の増強の測定については、動物実験又はがん患者由来細胞を用いる測定系で数週間要する方法が一般的であり、簡便に測定可能なin vitro試験系は現在存在しない(非特許文献6及び7)。
Gordon J.Freemanら,Engagement of the Pd-1 Immunoinhibitory Receptor by a Novel B7 Family Member Leads to Negative Regulation of Lymphocyte Activation., J. Exp Med.,第192巻(第7号),第1027-1034頁(2000年) Paola Vaccaら,Human natural killer cells and other innate lymphoid cells in cancer:Friends or foes?, Immunol Lett.,第201巻,第14-19頁(2018年) Yoshiko Iwaiら,Involvement of PD-L1 on tumor cells in the escape from host immune system and tumor immunotherapy by PD-L1 blockade., Proc Natl Acad Sci USA.,第99巻(19),第12293-7頁(2002年) Xin Linら,Progress in PD-1/PD-L1 pathway inhibitors: From biomacromolecules to small molecules., Eur J Med Chem.,第186巻,第111876頁(2020年) Lan Wangら,Development of a robust reporter gene assay to measure the bioactivity of anti-PD-1/anti-PD-L1 therapeutic antibodies., J Pharm Biomed Anal.,第145巻,第447-453頁(2017年) Raymond M Wongら,Programmed death-1 blockade enhances expansion and functional capacity of human melanoma antigen-specific CTLs., Int Immunol.,第9巻(10),第1223-34頁(2007年) Ross Stewartら,Identification and Characterization of MEDI4736, an Antagonistic Anti-PD-L1 Monoclonal Antibody., Cancer Immunol Res.,第3巻(9),第1052-62頁(2015年)
したがって、PD-1/PD-L1を介する免疫チェックポイント阻害薬の効率的な開発には薬効を評価するための適切なin vitro試験系が必要であり、さらなる信頼性のある効果的な体系的試験法の開発が望まれる。
高精度かつ簡便な試験方法にするために、発明者らは鋭意研究の結果、新しくPD-1を発現させたNK細胞株及びPD-L1を発現させた標的細胞株を作製し、NK細胞株による標的細胞株の傷害活性を指標として治療用抗PD-1抗体及び抗PD-L1抗体の薬効を評価可能な試験系を開発し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
<1> PD-1(Programmed cell Death-1)を介した免疫チェックポイント阻害剤の生物活性をin vitroで試験する方法であって、
(i) PD-1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたナチュラルキラー(NK)活性を有するエフェクター細胞にさらに、IL-2発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞、
及び、
(ii)PD-L1(Programmed cell Death 1- Ligand 1)発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞、
を用い、
免疫チェックポイント阻害剤のPD-1/PD-L1シグナル阻害による細胞傷害活性の増強を測定することを特徴とする、免疫チェックポイント阻害剤の生物活性試験方法。
<2> 前記エフェクター細胞が、配列番号1で表される配列を有する遺伝子を挿入したPD-1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞にさらに、配列番号3で表される配列を有する遺伝子を挿入したIL-2発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞であることを特徴とする、<1>項に記載の方法。
<3> 前記NK-感受性標的がん細胞が、配列番号2で表される配列を有する遺伝子を挿入したPD-L1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞であることを特徴とする、<1>項に記載の方法、
ある。
本発明の免疫チェックポイント阻害剤の生物活性試験法は、PD-1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞にさらに、IL-2発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞、及び
PD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞、
を用い、免疫チェックポイント阻害剤のPD-1/PD-L1シグナル阻害による細胞傷害活性の増強を測定することを特徴とする、免疫チェックポイント阻害剤の生物活性試験方法であり、
下記(1)~(6)の工程を有することを特徴とする。
即ち、
(1)配列番号1で表される配列を有する遺伝子を挿入したPD-1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞にさらに、配列番号3で表される配列を有する遺伝子を挿入したIL-2発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞を提供する工程、
(2)工程(1)の培養液に被験物質を添加する工程、
(3)配列番号2で表される配列を有する遺伝子を挿入したPD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞を提供する工程、
(4)前記工程(3)のNK-感受性標的がん細胞をCr-51標識し、前記工程(2)の培養液に添加し、細胞を培養する工程、
(5)培養後、Cr-51量を測定する工程、
(6)細胞傷害活性を算出する工程、
からなる。
次に、本発明の方法の各工程について述べる。
本発明の方法において、エフェクター細胞及び標的細胞を用いるが、例えば、以下の通りである。
PD-1発現ナチュラルキラー(NK) 細胞の作製には、KHYG-1細胞株(以下、KHYG-1とする。JCRB0156、JCRB細胞バンク、大阪、日本)を宿主細胞として用いる。
PD-L1発現細胞の作製には、NK感受性のK562細胞株(以下、K562とする。RCB0027、理研BRC細胞バンク、茨城、日本)を宿主細胞として用いる。
KHYG-1細胞株の培養用培地には、非働化ウシ血清(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)及びIL-2(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)を含むRPMI1640培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)を用い、K562細胞株の培養用培地には、非働化ウシ血清を含むRPMI1640培地を用いる。各細胞は37℃、5% CO雰囲気下で維持するものとする。
その他、エフェクター細胞としては、NK細胞、キラーT細胞等を用いることができ、例えば、NK92(ATCC, CRL-2407)、NK92MI(ATCC, CRL-2408)等をはじめとするNK細胞を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、標的細胞としては、RPMI18226(JCRB0034)、HL-60(JCRB0085)、HT29(ATCC, HTB-38)等をはじめとするNK感受性の細胞が用いられ得るが、これらに限定されるものではない。
本発明のPD-1及びPD-L1安定発現細胞株作製において、例えば、PD-1発現遺伝子導入用のレンチウイルスベクターを作製するために、配列番号1に記載の配列の遺伝子を、ピューロマイシン(Puromycin)耐性遺伝子を含むpLVSIN(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)に挿入し、pLVSIN-PD-1-Purを作製する。
本発明に用いられる遺伝子配列の配列番号1は、以下の通りである。
Figure 0007198302000001
本発明のPD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスベクターの作製において、配列番号2に記載の配列の遺伝子を、ピューロマイシン耐性遺伝子を含むpLVSIN(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)に挿入し、pLVSIN-PD-L1-Purを作製する。
本発明に用いるIL-2発現遺伝子導入用のレンチウイルスベクターの作製において、配列番号3に記載の配列の遺伝子を、ハイグロマイシン(Hygromycin)耐性遺伝子を含むpLVSIN に挿入し、pLVSIN-IL2-Hygを作製する。
本発明に用いられる遺伝子配列の配列番号2は、以下の通りである。
Figure 0007198302000002
本発明に用いられる遺伝子配列の配列番号3は、以下の通りである。
Figure 0007198302000003
上記の各遺伝子導入用のレンチウイルスベクターは、pLentiviral High Titer Packaging Mix(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)を用いて作製する。即ち、pLVSIN-PD-1-Pur、pLVSIN-PD-L1-PurもしくはpLVSIN-IL2-Hygとパッケージングミックスを、TransIT(登録商標)-293トランスフェクション導入試薬(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)を用いてLenti-X(登録商標)293T細胞(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)へ同時にトランスフェクションする。トランスフェクションした細胞を、37℃、5% CO雰囲気下で48時間培養する。その後、培養液上清を取得し、簡易レンチウイルス量測定試薬であるLenti-X(登録商標) GoStix(登録商標)Plus(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)を用いてウイルス力価を測定する。5×10IFU/mL以上のウイルス力価が確認できた培養液上清を、DISMIC-25ASフィルター(0.44μm、東洋ろ紙株式会社、東京、日本)を用いて細胞デブリを除去し、ろ過液を細胞への感染用のウイルス液として用いる。しかしながら、本発明に係る方法の好ましい実施態様として挙げた上記具体的方法及び細胞株に限定されるものではない。
本発明の方法に用いるPD-1発現遺伝子を挿入するためのレンチウイルスベクターは、NK活性を有するエフェクター細胞に感染させる。例えば、PD-1発現遺伝子を挿入するためのレンチウイルスベクターを、KHYG-1に感染させ、ピューロマイシン(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)12.5μg/mLを含む培地で培養し、増殖した細胞を、PD-1発現KHYG-1とする。PD-1発現の確認の方法は、後述の通りである。また、KHYG-1は、培養にIL-2添加が必須であるが、IL-2不含でも培養可能とするためIL-2を強制発現させることを目的として、PD-1発現KHYG-1に、さらにIL-2発現遺伝子を挿入するためのレンチウイルスベクターを感染させ、ハイグロマイシンBゴールド(インビボゲン社、カリフォルニア州、米国)250μg/mL及びピューロマイシン12.5μg/mLを含む培地で培養する。増殖しPD-1及びIL-2発現を確認した細胞を、PICK-1細胞とする。しかしながら、一例として挙げた上記具体的方法に限定されるものではない。
本発明の方法に用いるPD-L1を挿入するためのレンチウイルスベクターは、NK-感受性標的がん細胞に感染させる。例えば、PD-L1を挿入するためのレンチウイルスベクターを、K562に感染させ、ピューロマイシン12.5μg/mLを含む培地で培養し、増殖しPD-L1の発現を確認した細胞をPD-L1/K562とする。しかしながら、本発明に係る方法の好ましい実施態様として挙げた上記具体的方法及び細胞株に限定されるものではない。
PD-1及びPD-L1の発現確認方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により確認される。
PD-1発現確認用の抗体として、例えば、PE標識されたマウス抗ヒトCD279(PD-1)(BDバイオサイエンス社、ニュージャージー州、米国)を用いる。
PD-L1発現確認用の抗体として、例えば、FITC標識されたマウス抗ヒト CD274(PD-L1)(BDバイオサイエンス社、♯558065)を用いる。
作製した細胞を回収(遠心:4℃、300×g、5分)し、PBSで1回洗浄(遠心:4℃、300×g、5分)する。洗浄後、1×10細胞/mLとなるように1% BSA含有PBSに懸濁させ、マイクロチューブに50μLずつ添加する。その後、抗体を10μLずつ添加混合し、4℃、1時間反応させる。反応後、0.5mLのPBSで2回洗浄(遠心:4℃、300×g、5分)した後、0.5mLのPBSに懸濁し、フローサイトメーターにて蛍光強度を測定するものとする。
PD-1の発現確認のアイソタイプコントロールとして、例えば、PE標識されたマウス IgG1、κ アイソタイプコントロール(BDバイオサイエンス社、ニュージャージー州、米国)が用いられるが、これに限定されるものではない。
PD-L1の発現確認アイソタイプコントロールとして、例えば、FITC標識された マウスIgG1、 κ アイソタイプコントロール(BDバイオサイエンス社、ニュージャージー州、米国)が用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明によるPD-1及びPD-L1安定発現細胞株作製が有効に行われることを示すものとして、後述する実施例2のフローサイトメトリーにより、PICK-1のPD-1発現と、PD-L1/K562のPD-L1の発現が確認できる。フローサイトメトリーの結果、PICK-1の細胞表面にPD-1の発現が確認でき、PD-L1/K562の細胞表面に、上記方法においてPD-L1の発現が確認できる(図1及び図2)。
IL-2産生確認は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により確認される。
上記のPD-1/IL-2発現KHYG-1(PICK-1)を、24時間培養し、遠心分離(4℃、300×g、5分)した後の培養上清を、IL-2産生量測定用のサンプルとする。IL-2産生量の確認は、Human simple step ELISAキット(アブカム(Abcam)社製、ab174444)を用いて、キットの定める方法に従い実施する。
IL-2産生確認の対照としては、例えば、IL-2不含の培地でKHYG-1細胞を用いるが、これに限定されるものではない。
本発明による細胞株における有効なIL-2産生を確認するものとして、後述する実施例3において、KHYG-1は、IL-2不含の培地では増殖できず、24時間培養後の培地中IL-2の濃度は定量下限以下である結果を示す。一方、PICK-1はIL-2不含培地でも増殖し、24時間培養後の、培地中IL-2産生量(pg/mL)は、59.7±16.4であり、IL-2産生が確認された結果を得ている(図3)。
本発明の試験により測定・評価する対象物質は、PD-1阻害剤(抗PD-1抗体)及びPD-L1阻害剤(抗PD-L1抗体)である。
当該抗PD-1抗体として、例えば、ニボルマブ(一般名)、ペムブロリズマブ(一般名)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該抗PD-L1抗体として、例えば、アテゾリズマブ(一般名)、アベルマブ(一般名)、デュルバルマブ(一般名)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アイソタイプコントロールとしてヒトIgG(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
抗PD-1抗体による細胞傷害活性の増強の測定用として、例えば、治療用抗PD-1抗体であるニボルマブ(10mg/mL)を、培地を用いて希釈し、200μg/mL溶液を調製し、以下、公比10で5濃度調製する。
一方、抗PD-L1抗体による細胞傷害活性の増強の測定用として、例えば、治療用抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブ(10mg/mL)を、培地を用いて希釈し、20μg/mL溶液を調製し、以下、公比10で5濃度調製する。
細胞障害性測定における細胞が100%死滅対照区(Max release)用として、10%トリトン(Triton)X-100/PBSを培地に懸濁させ、0.4%溶液を調製する。
PD-1/PD-L1シグナルの阻害による細胞傷害活性の増強の測定
上述のPD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞を、遠心分離(300×g、4分)し、上清を除去して1×10の細胞を回収する。その後、それぞれ100μLの培地に懸濁し、Cr-51クロム酸ナトリウム(51Cr)を添加(50μCi)した後、1時間培養してCr-51標識する。
PICK-1を、回収し、培地で1回洗浄後細胞数をカウントし、1×10細胞/mLに調製し、96ウェルU底プレートに50μL/ウェルを添加(5×10細胞/ウェル)する。
その後、Cr-51標識したPD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞を、1mLの培地で4回洗浄(遠心:300g×3分)した後、培地に懸濁させ細胞濃度を測定して1×10細胞/mLに調製する。その後細胞懸濁液を96ウェルプレートに50μL/ウェル添加(5×10細胞/ウェル、E/T=10)し、前述の抗体調製液を終濃度で、10ng/mL~100000ng/mLになるように100 μL/ウェル添加し、混合する。
上記以外に、細胞傷害活性の算出用に、Spontaneous release(PD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞の自発的Cr-51放出量)、Max release(PD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞が全て死滅した時のCr-51放出量)測定区を設定する。Spontaneous release測定ウェルには、培地を150μL/ウェル添加する。Max release測定ウェルには、培地を100μL/ウェルと0.4%トリトン溶液を50μL/ウェル添加し混合する。
37℃で4時間培養後、上清50μLを測定用チューブに採取し、ガンマカウンター(2480 WIZARD2オートガンマカウンター、パーキンエルマー社製)を用いて測定する。
細胞傷害活性の増強の測定の際のアイソタイプコントロールは、例えば、ヒトIgGを用いるが、これに限定されるものではない。
被験物質の細胞傷害活性のデータ解析方法は、例えば、以下の式により算出される。
Figure 0007198302000004
解析ソフトは、例えば、市販解析ソフト(GraphPad PRISM(商標登録)Ver.5.03、GraphPad Software)を用いて50%有効濃度(EC50)を算出するが、当該ソフトに限定されるものではない。
PD-1/PD-L1シグナルの阻害による細胞傷害活性の増強の測定方法の有効性は、以下の通りである。実施例4において、エフェクター細胞にPICK-1を用い、ターゲット細胞にPD-L1/K562を用いたNK活性測定系にニボルマブを添加した系では、細胞傷害活性の増強が認められ、EC50(ng/mL)は、423±83と算出された(表1、図4)。同NK活性測定系にアテゾリズマブを添加した系においても、細胞傷害活性の増強が認められ、EC50(ng/mL)は、30±7と算出された(表1、図4)。
それに対し、アイソタイプコントロールであるヒトIgGを加えた系では、細胞傷害活性が認められず、EC50は算出されなかった(図4)。
本発明の方法に用いる細胞について、エフェクターとなるNK細胞には、高いNK活性を有するKHYG-1を用い、ターゲットとなるがん細胞にはK562を用いた。レンチウイルスを用いてKHYG-1にはPD-1を強制発現させ、K562にはPD-L1を発現させた。
なお、PD-1強制発現KHYG-1にはIL-2非存在下でも培養できるように、2次改変としてさらにIL-2を強制発現させた。
PD-1及びPD-L1の発現確認をフローサイトメトリーにて行った結果、PD-1強制発現KHYG-1の細胞表面には強いPD-1発現が認められ、PD-L1/K562の細胞表面にも同様に強いPD-L1の発現が確認できた。
IL-2の産生確認は、ELISAを用いて行い、通常のKHYG-1ではIL-2不含培地では増殖せず、24時間培養後のIL-2産生が確認できなかったが、IL-2を強制発現させたPD-1強制発現KHYG-1はIL-2不含培地でも増殖し、24時間培養後の、培地中IL-2産生量(pg/mL)は59.7±16.4であり、IL-2産生が確認され、IL-2不含の培地においても増殖可能となった。
PD-1及びIL-2を強制発現させたKHYG-1をPICK-1と名づけ、PICK-1をエフェクターとし、PD-L1/K562をターゲットとしたNK活性測定系を構築し、NK活性を指標とした治療用抗PD-1抗体(ニボルマブ)及び治療用抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ)の細胞傷害活性の増強作用を測定した。アイソタイプコントロールは、ヒトIgGを用いたが、アイソタイプコントロールでは細胞傷害活性の増強は認められなかった(図4)。一方で、PICK-1-PD-L1/K562のNK活性測定系に抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体を添加したところ、NK活性の増強が認められ、EC50値(ng/mL)はそれぞれ423±83及び30±7と算出された。
これらの結果は、本発明に係る試験系がNK活性を指標として抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体の細胞傷害活性の増強を測定が可能であり、免疫チェックポイント阻害剤の評価がin vitroで可能であることを示している。
本発明は、これまでに報告のないNK活性を指標としたin vitroでの治療用抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体の細胞傷害活性の増強の測定法の開発を目的として、PICK-1及びPD-L1/K562を用いた新規in vitro細胞傷害活性増強測定系を開発したものである。本発明に係る細胞により、治療用抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体のNK活性増強作用が確認されたことから、本発明に係る試験系は、NK活性を指標として抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体の細胞傷害活性の増強を測定可能であり、PD-1を介した免疫チェックポイント阻害剤の薬効評価に有用な試験法である。
本発明の方法に用いる安定細胞株のPD-1発現確認試験結果を示す図である(図中、白抜き曲線で示した細胞の集団は抗ヒトPD-1抗体の試験結果を、黒塗りつぶし曲線で示した細胞の集団は、アイソタイプコントロールの試験結果を示す)。 本発明の方法に用いる安定細胞株のPD-L1発現確認試験結果を示す図である(図中、白抜き曲線で示した細胞の集団は抗ヒトPD-L1抗体の試験結果を、黒塗りつぶし曲線で示した細胞の集団は、アイソタイプコントロールの試験結果を示す)。 本発明の方法に用いる安定細胞株のIL-2発現確認試験結果を示す図である(図中、PICK-1は、本発明によるPD-1/IL-2発現KHYG-1細胞を用いたときの0時間及び24時間後のIL-2発現量を、比較例としてKHYG-1細胞を用いたときの0時間及び24時間後のIL-2発現量を示す。)。 本発明の方法による、抗PD-1抗体及び抗PD-L1抗体による細胞障害活性の増強測定結果を示す図である(図中、黒丸は抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ)添加、白抜き丸は抗PD-1抗体(ニボルマブ)添加、黒三角はアイソタイプコントロール(ヒトIgG)添加の結果を示す。)。
材料と方法
抗体
抗PD-1抗体としてニボルマブ(一般名)(小野薬品工業株式会社、大阪、日本)を用いた。抗PD-L1抗体としてアテゾリズマブ(一般名)(Selleckchem.com, テキサス州、米国)を用いた。アイソタイプコントロールとしてヒトIgG(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)を用いた。
細胞
PD-1発現ナチュラルキラー(NK) 細胞の作製には、KHYG-1細胞株(以下、KHYG-1とする。JCRB0156、JCRB細胞バンク、大阪、日本)を宿主細胞として用いた。
PD-L1発現細胞の作製には、NK感受性のK562細胞株(以下、K562とする。RCB0027、理研BRC細胞バンク、茨城、日本)を宿主細胞として用いた。
KHYG-1細胞株の培養用培地には、非働化ウシ血清(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)及びIL-2(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)を含むRPMI1640培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)を用い、K562細胞株の培養用培地には、非働化ウシ血清を含むRPMI1640培地を用いた。
各細胞は37℃、5% CO雰囲気下で維持した。
実施例1
PD-1及びPD-L1安定発現細胞株作製
(1) PD-1発現遺伝子導入用のレンチウイルスベクターを作製するために、配列番号1に示した配列の遺伝子を、ピューロマイシン(Puromycin)耐性遺伝子を含むpLVSIN(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)に挿入し、pLVSIN-PD-1-Purを作製した。
(2) PD-L1発現遺伝子導入用のレンチウイルスベクターを作製するために、配列番号2に示した配列の遺伝子を、ピューロマイシン耐性遺伝子を含むpLVSIN(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)に挿入し、pLVSIN-PD-L1-Purを作製した。
(3) IL-2発現遺伝子導入用のレンチウイルスベクターを作製するために、配列番号3に示した配列の遺伝子を、ハイグロマイシン(Hygromycin)耐性遺伝子を含むpLVSIN に挿入し、pLVSIN-IL2-Hygを作製した。
(4) 各遺伝子導入用のレンチウイルスベクターは、pLentiviral High Titer Packaging Mix(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)を用いて作製した。pLVSIN-PD-1-Pur、pLVSIN-PD-L1-PurもしくはpLVSIN-IL2-Hygとパッケージングミックスを、TransIT(登録商標)-293トランスフェクション導入試薬(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)を用いてLenti-X(登録商標)293T細胞(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)へ同時にトランスフェクションした。トランスフェクションした細胞を、37℃、5% CO雰囲気下で48時間培養した。その後、培養液上清を取得し、簡易レンチウイルス量測定試薬であるLenti-X(登録商標) GoStix(登録商標)Plus(タカラバイオ株式会社、滋賀、日本)を用いてウイルス力価を測定した。5×10IFU/mL以上のウイルス力価が確認できた培養液上清を、DISMIC-25ASフィルター(0.44μm、東洋ろ紙株式会社、東京、日本)を用いて細胞デブリを除去し、ろ過液を細胞への感染用のウイルス液として用いた。
(5) PD-1発現遺伝子を挿入するためのレンチウイルスベクターを、KHYG-1に感染させ、ピューロマイシン(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、マサチューセッツ州、米国)12.5μg/mLを含む培地で培養し、増殖した細胞を、PD-1発現KHYG-1とした。PD-1発現の確認の方法は、後述の通りである。また、KHYG-1は、培養にIL-2添加が必須であるが、IL-2不含でも培養可能とするためIL-2を強制発現させることを目的として、PD-1発現KHYG-1に、さらにIL-2発現遺伝子を挿入するためのレンチウイルスベクターを感染させ、ハイグロマイシンBゴールド(インビボゲン社、カリフォルニア州、米国)250μg/mL及びピューロマイシン12.5μg/mLを含む培地で培養し、増殖しPD-1及びIL-2発現を確認した細胞を、PICK-1細胞と名づけ、試験に用いた。
(6) PD-L1を挿入するためのレンチウイルスベクターを、K562に感染させ、ピューロマイシン12.5μg/mLを含む培地で培養し、増殖しPD-L1の発現を確認した細胞をPD-L1/K562とした。
実施例2
PD-1及びPD-L1の発現確認
(1) PD-1発現確認用の抗体として、PE標識されたマウス抗ヒトCD279 (PD-1)(BDバイオサイエンス社、ニュージャージー州、米国)を用いた。
(2) PD-L1発現確認用の抗体として、FITC標識されたマウス抗ヒト CD274(PD-L1)(BDバイオサイエンス社、♯558065)を用いた。
(3) 実施例1(5)又は(6)で作製した細胞を回収(遠心:4℃、300×g、5分)し、PBSで1回洗浄(遠心:4℃、300×g、5分)した。洗浄後、1×10細胞/mLとなるように1% BSA含有PBSに懸濁させ、マイクロチューブに50μLずつ添加した。その後、抗体を10μLずつ添加混合し、4℃、1時間反応させた。反応後、0.5mLのPBSで2回洗浄(遠心:4℃、300×g、5分)した後、0.5mLのPBSに懸濁させ、フローサイトメーターにて蛍光強度を測定した。
比較例1
実施例2(1)のPD-1発現確認用の抗体に代えてアイソタイプコントロールとして、PE標識されたマウス IgG1、κ アイソタイプコントロール(BDバイオサイエンス社、ニュージャージー州、米国)を用い、実施例2(3)の操作を行った。
比較例2
実施例2(2)のPD-L1発現確認用の抗体に代えてアイソタイプコントロールとして、FITC標識された マウスIgG1、 κ アイソタイプコントロール(BDバイオサイエンス社、ニュージャージー州、米国)を用い、実施例2(3)の操作を行った。
実施例3
IL-2産生確認
実施例1(5)のPD-1/IL-2発現KHYG-1(PICK-1)を、24時間培養し、遠心分離(4℃、300×g、5分)した後の培養上清を、IL-2産生量測定用のサンプルとした。IL-2産生量の確認は、Human simple step ELISAキット(アブカム(Abcam)社製、ab174444)を用いて、キットの定める方法に従い実施した。
比較例3
PD-1/IL-2発現KHYG-1(PICK-1)に代えてIL-2不含の培地で野生型(WT)KHYG-1細胞を用いる以外は実施例3と同様の操作を行い、IL-2産生量測定を行った。
実施例4
PD-1/PD-L1シグナルの阻害による細胞傷害活性の増強の測定
(1) 抗PD-1抗体による細胞傷害活性の増強を測定用として、治療用抗PD-1抗体であるニボルマブ(10mg/mL)を、培地を用いて希釈し、200μg/mL溶液を調製し、以下、公比10で5濃度調製した。
(2) 一方、抗PD-L1抗体による細胞傷害活性の増強を測定用として、治療用抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブ(10mg/mL)を、培地を用いて希釈し、20μg/mL溶液を調製し、以下、公比10で5濃度調製した。
(3) 細胞障害性測定における細胞が100%死滅対照区(Max release)用として、10%トリトン(Triton)X-100/PBSを培地に懸濁し、0.4%溶液を調製した。
(4) 実施例1(6)のPD-L1/K562を、遠心分離(300×g、4分)し、上清を除去して1×10の細胞を回収した。その後、それぞれ100μLの培地に懸濁し、Cr-51クロム酸ナトリウム(51Cr)を添加(50μCi)した後、1時間培養して51Cr標識した。
実施例1(5)のPICK-1を、回収し、培地で1回洗浄後細胞数をカウントし、1×10細胞/mLに調製し、96ウェル U底プレートに50μL/ウェルを添加(5×10細胞/ウェル)した。
その後、51Cr標識したPD-L1/K562を、1mLの培地で4回洗浄(遠心:300g×3分)した後、培地に懸濁させ細胞濃度を測定して1×10細胞/mLに調製した。その後細胞懸濁液を96ウェルプレートに50μL/ウェル添加(5×10細胞/ウェル、E/T=10)し、前述の抗体調製液を終濃度で、10ng/mL~100000ng/mLになるように100 μL/ウェル添加し、混合した。
上記以外に、細胞傷害活性の算出用に、Spontaneous release(PD-L1/K562の自発的51Cr放出量)、Max release(PD-L1/K562が全て死滅した時の51Cr放出量)測定区を設定した。Spontaneous release測定ウェルには、培地を150μL/ウェル添加した。Max release測定ウェルには、培地を100μL/ウェルと0.4%トリトン溶液を50μL/ウェル添加し混合した。
37℃で4時間培養後、上清50μLを測定用チューブに採取し、ガンマカウンター(2480 WIZARD2オートガンマカウンター、パーキンエルマー社製)を用いて測定した。
比較例4
実施例4のアイソタイプコントロールとして、ヒトIgGを用い、PD-1/PD-L1抗体と同じ方法で希釈調製し、実施例4(4)の操作を行った。
実施例5
データ解析
次式から細胞傷害活性を算出した。
Figure 0007198302000005
市販解析ソフト(GraphPad PRISM(商標登録)Ver.5.03、GraphPad Software)を用いて50%有効濃度(EC50)を算出した。
結果
PD-1及びPD-L1安定発現細胞株作製
実施例2のフローサイトメトリーにより、PICK-1のPD-1発現と、PD-L1/K562のPD-L1の発現を確認した。フローサイトメトリーの結果、PICK-1の細胞表面にPD-1の発現が確認でき、PD-L1/K562の細胞表面にPD-L1の発現を確認した。(図1及び図2)。
IL-2産生確認
実施例3において、KHYG-1は、IL-2不含の培地では増殖できず、24時間培養後の培地中IL-2の濃度は定量下限以下であった。一方、PICK-1はIL-2不含培地でも増殖し、24時間培養後の、培地中IL-2産生量(pg/mL)は、59.7±16.4であり、IL-2産生が確認された。(図3)
PD-1/PD-L1シグナルの阻害による細胞傷害活性の増強の測定
実施例4において、エフェクター細胞にPICK-1を用い、ターゲット細胞にPD-L1/K562を用いたNK活性測定系にニボルマブを添加した系では、細胞傷害活性の増強が認められ、EC50(ng/mL)は、423±83と算出された(表1、図4)。同NK活性測定系にアテゾリズマブを添加した系においても、細胞傷害活性の増強が認められ、EC50(ng/mL)は、30±7と算出された(表1、図4)。
それに対し、アイソタイプコントロールであるヒトIgGを加えた系では、細胞傷害活性が認められず、EC50は算出されなかった(図4)。
表1.抗PD-1抗体及び抗PD-L1抗体の抗腫瘍活性結果.
Figure 0007198302000006
本発明は、これまでに報告のないNK活性を指標としたin vitroでの治療用抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体の細胞傷害活性の増強の測定法の開発を目的として、本発明において作製されたPICK-1及びPD-L1/K562を用いた新規in vitro細胞傷害活性増強測定系を開発した。本発明に係る細胞により治療用抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体のNK活性増強作用が確認されたことから、本発明に係る試験系は、NK活性を指標として抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体の細胞傷害活性の増強を測定可能であり、PD-1を介した免疫チェックポイント阻害剤の薬効評価に有用な試験法である。
本発明に係る試験系は、NK活性を指標として抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体の細胞傷害活性の増強を測定可能であり、PD-1を介した免疫チェックポイント阻害剤の薬効評価に有用な試験法である。

Claims (3)

  1. PD-1(Programmed cell Death-1)を介した免疫チェックポイント阻害剤の生物活性をin vitroで試験する方法であって、
    (i) PD-1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたナチュラルキラー(NK)活性を有するエフェクター細胞にさらに、IL-2発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞、
    及び、
    (ii)PD-L1(Programmed cell Death 1- Ligand 1)発現遺伝子導入用のレンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞、
    を用い、
    免疫チェックポイント阻害剤のPD-1/PD-L1シグナル阻害による細胞傷害活性の増強を測定することを特徴とする、免疫チェックポイント阻害剤の生物活性試験方法
  2. 前記エフェクター細胞が、配列番号1で表される配列を有する遺伝子を挿入したPD-1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞にさらに、配列番号3で表される配列を有する遺伝子を挿入したIL-2発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK活性を有するエフェクター細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記NK-感受性標的がん細胞が、配列番号2で表される配列を有する遺伝子を挿入したPD-L1発現遺伝子導入用レンチウイルスで感染させたNK-感受性標的がん細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の方法
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