本発明は以下を含む:
(1)睡眠障害を治療または予防するための方法であって、それを必要とする動物に治療的有効量の式(1)の化合物
またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。
(2)前記化合物が、式(1A)の化合物
またはその薬学的に許容可能な塩である、上記(1)の方法。
(3)前記化合物が、式(1B)の化合物
またはその薬学的に許容可能な塩である、上記(1)の方法。
(4)前記化合物が、式(1C)の化合物
またはその薬学的に許容可能な塩である、上記(1)~(3)のいずれか1つの方法。
(5)前記化合物が、式(1D)の化合物
である、上記(1)~(4)のいずれか1つの方法。
(6)前記化合物が、式(1E)の化合物
である、上記(1)~(4)のいずれか1つの方法。
(7)前記化合物が、式(1F)の化合物
である、上記(1)~(4)のいずれか1つの方法。
(8)前記睡眠障害が、不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(1)~(7)のいずれか1つの方法。
(9)前記アルコール誘発性睡眠障害が、不眠症型アルコール誘発性睡眠障害、日中眠気型アルコール誘発性睡眠障害、睡眠時随伴症型アルコール誘発性睡眠障害、混合型アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、アルコール中止に関連する不眠症、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(8)の方法。
(10)前記アルコール誘発性睡眠障害が治療される、上記(9)の方法。
(11)前記アルコール誘発性睡眠障害が予防される、上記(9)の方法。
(12)前記睡眠障害が、不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(1)~(8)のいずれか1つの方法。
(13)前記不眠状態が、不眠症、小児不眠症、深夜不眠症、短睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(12)の方法。
(14)前記不眠状態が治療される、上記(13)の方法。
(15)前記不眠状態が予防される、上記(13)の方法。
(16)前記過眠状態が、睡眠不足症候群である、上記(8)または(12)の方法。
(17)前記過眠状態が治療される、上記(16)の方法。
(18)前記過眠状態が予防される、上記(16)の方法。
(19)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、後退睡眠・覚醒相、前進睡眠・覚醒相、不規則睡眠・覚醒リズム、非24時間睡眠・覚醒リズム、交代勤務症候群、時差ぼけ、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(8)または(12)の方法。
(20)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が治療される、上記(19)の方法。
(21)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が予防される、上記(19)の方法。
(22)2日連続で前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の1日単回用量が投与された動物の睡眠効率が、プラセボが投与された動物の睡眠効率の少なくとも約1.10倍である、上記(1)~(21)のいずれか1つの方法。
(23)2日連続で前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の1日単回用量が投与された動物の持続性睡眠までの潜時が、プラセボが投与された動物の持続性睡眠までの潜時の多くとも約0.65倍である、上記(1)~(22)のいずれか1つの方法。
(24)2日連続で前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の1日単回用量が投与された動物の睡眠開始後の覚醒(WASO)が、プラセボが投与された動物のWASOの多くとも約0.50倍である、上記(1)~(23)のいずれか1つの方法。
(25)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与が、経口、非経口、静脈内、筋肉内、口腔内、歯肉、舌下、眼内、経皮、及び経粘膜から選択される少なくとも1つの経路による、上記(1)~(24)のいずれか1つの方法。
(26)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与が、経口、舌下、歯肉、または口腔内投与による、上記(25)の方法。
(27)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与が、経口または舌下投与による、上記(25)の方法。
(28)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投薬量が、前記投薬量が投与される前記動物の体重を基準として約0.003mg/kg/日~約100mg/kg/日である、上記(1)~(27)のいずれか1つの方法。
(29)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投薬量が、前記投薬量が投与される前記動物の体重を基準として約0.003mg/kg/日~約10mg/kg/日である、上記(25)~(28)のいずれか1つの方法。
(30)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投薬量が、前記投薬量が投与される前記動物の体重を基準として約0.003mg/kg/日~約5mg/kg/日である、上記(25)~(29)のいずれか1つの方法。
(31)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投薬量が、前記投薬量が投与される前記動物の体重を基準として約0.003mg/kg/日~約1.0mg/kg/日である、上記(25)~(30)のいずれか1つの方法。
(32)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投薬量が、約0.003mg/kg/日~約0.15mg/kg/日である、上記(25)~(31)のいずれか1つの方法。
(33)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投薬量が、約0.010mg/kg/日~約1.0mg/kg/日である、上記(25)~(32)のいずれか1つの方法。
(34)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投薬量が、約0.010mg/kg/日~約0.10mg/kg/日である、上記(25)~(33)のいずれか1つの方法。
(35)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の1日単回ヒト用量が、約0.05mg~約50mgである、上記(1)~(27)のいずれか1つの方法。
(36)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の前記1日単回ヒト用量が、約0.10mg~約15mgである、上記(35)の方法。
(37)前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩の前記1日単回ヒト用量が、約0.2mg~約6.0mgである、上記(35)または(36)の方法。
(38)前記化合物の遊離塩基が投与される、上記(1)~(4)及び(8)~(37)のいずれか1つの方法。
(39)前記化合物の薬学的に許容可能な塩が投与される、上記(1)~(37)のいずれか1つの方法。
(40)前記薬学的に許容可能な塩が、塩酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩である、上記(1)~(6)、(8)~(37)、及び(39)のいずれか1つの方法。
(41)前記薬学的に許容可能な塩が、p-トルエンスルホン酸塩である、上記(1)~(5)、(8)~(37)、(39)、及び(40)のいずれか1つの方法。
(42)前記薬学的に許容可能な塩が、モノトシル酸塩である、上記(41)の方法。
(43)睡眠障害の治療または予防のための薬剤の調製における、上記(1)~(4)、(6)、(7)、及び(38)~(42)のいずれか1つで定義された前記化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩または上記(5)で定義された前記化合物の使用。
(44)睡眠障害が治療される、上記(43)の使用。
(45)睡眠障害が予防される、上記(43)の使用。
(46)前記睡眠障害が、不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(43)~(45)のいずれか1つの使用。
(47)前記睡眠障害が、不眠症型アルコール誘発性睡眠障害、日中眠気型アルコール誘発性睡眠障害、睡眠時随伴症型アルコール誘発性睡眠障害、混合型アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、アルコール中止に関連する不眠症、またはそれらの任意の組み合わせであるアルコール誘発性睡眠障害である、上記(46)の使用。
(48)前記アルコール誘発性睡眠障害が、不眠症型アルコール誘発性睡眠障害である、上記(46)または(47)の使用。
(49)前記アルコール誘発性睡眠障害が、日中眠気型アルコール誘発性睡眠障害である、上記(46)または(47)の使用。
(50)前記アルコール誘発性睡眠障害が、睡眠時随伴症型アルコール誘発性睡眠障害である、上記(46)または(47)の使用。
(51)前記アルコール誘発性睡眠障害が、混合型アルコール誘発性睡眠障害である、上記(46)または(47)の使用。
(52)前記アルコール誘発性睡眠障害が、アルコール使用障害における不眠症である、上記(46)または(47)の使用。
(53)前記アルコール誘発性睡眠障害が、アルコール中止に関連する睡眠障害である、上記(46)または(47)の使用。
(54)前記アルコール誘発性睡眠障害が、アルコール中止に関連する不眠症である、上記(46)または(47)の使用。
(55)前記睡眠障害が、不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(43)~(45)のいずれか1つの使用。
(56)前記睡眠障害が、不眠症、小児不眠症、深夜不眠症、短睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである不眠状態である、上記(55)の使用。
(57)前記不眠状態が、不眠症である、上記(55)または(56)の使用。
(58)前記不眠状態が、小児不眠症である、上記(55)または(56)の使用。
(59)前記不眠状態が、深夜不眠症である、上記(55)または(56)の使用。
(60)前記不眠状態が、短睡眠障害である、上記(55)または(56)の使用。
(61)前記睡眠障害が、睡眠不足症候群である過眠状態である、上記(55)の使用。
(62)前記睡眠障害が、後退睡眠・覚醒相、前進睡眠・覚醒相、不規則睡眠・覚醒リズム、非24時間睡眠・覚醒リズム、交代勤務症候群、時差ぼけ、またはそれらの任意の組み合わせである概日リズム睡眠・覚醒障害である、上記(55)の使用。
(63)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、後退睡眠・覚醒相である、上記(55)または(62)の使用。
(64)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、前進睡眠・覚醒相である、上記(55)または(62)の使用。
(65)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、不規則睡眠・覚醒リズムである、上記(55)または(62)の使用。
(66)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、非24時間睡眠・覚醒リズムである、上記(55)または(62)の使用。
(67)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、交代勤務症候群である、上記(55)または(62)の使用。
(68)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、時差ぼけである、上記(55)または(62)の使用。
(69)睡眠障害を治療または予防するための薬学的組成物であって、上記(1)~(4)、(6)、(7)、及び(38)~(42)のいずれか1つで定義された前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩または上記(5)で定義された前記化合物を含む、前記薬学的組成物。
(70)前記睡眠障害が、不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(69)の薬学的組成物。
(71)前記アルコール誘発性睡眠障害が、不眠症型アルコール誘発性睡眠障害、日中眠気型アルコール誘発性睡眠障害、睡眠時随伴症型アルコール誘発性睡眠障害、混合型アルコール誘発性睡眠障害、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠障害、アルコール中止に関連する不眠症、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(70)の薬学的組成物。
(72)前記アルコール誘発性睡眠障害が治療される、上記(71)の薬学的組成物。
(73)前記アルコール誘発性睡眠障害が予防される、上記(71)の薬学的組成物。
(74)前記睡眠障害が、不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(69)または(70)の薬学的組成物。
(75)前記不眠状態が、不眠症、小児不眠症、深夜不眠症、短睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(69)または(74)の薬学的組成物。
(76)前記不眠状態が治療される、上記(75)の薬学的組成物。
(77)前記不眠状態が予防される、上記(75)の薬学的組成物。
(78)前記過眠状態が、睡眠不足症候群である、上記(69)または(74)の薬学的組成物。
(79)前記過眠状態が治療される、上記(78)の薬学的組成物。
(80)前記過眠状態が予防される、上記(78)の薬学的組成物。
(81)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が、後退睡眠・覚醒相、前進睡眠・覚醒相、不規則睡眠・覚醒リズム、非24時間睡眠・覚醒リズム、交代勤務症候群、時差ぼけ、またはそれらの任意の組み合わせである、上記(69)または(74)の薬学的組成物。
(82)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が治療される、上記(81)の薬学的組成物。
(83)前記概日リズム睡眠・覚醒障害が予防される、上記(81)の薬学的組成物。
(84)前記組成物が、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を更に含む、上記(69)~(83)のいずれか1つの薬学的組成物。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、約6.8のpHで好適な水溶解性を実証する。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の約6.8のpHにおける水溶解性は、少なくとも約20μM、少なくとも約25μM、少なくとも約30μM、少なくとも約32μM、少なくとも約33μM、少なくとも約34μM、少なくとも約35μM、少なくとも約36μM、少なくとも約37μM、少なくとも約40μM、少なくとも約45μM、少なくとも約50μM、少なくとも約55μM、少なくとも約60μM、少なくとも約70μMであるか、または約50μMを超える。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の約6.8のpHにおける水溶解性は、約20μM~約50μM超、約25μM~約50μM超、約30μM~約50μM超、約32μM~約50μM超、約33μM~約50μM超、約34μM~約50μM超、約35μM~約50μM超、約36μM~約50μM超、約37μM~約50μM超、約40μM~約50μM超、約20μM~約70μM、約25μM~約70μM、約30μM~約70μM、約32μM~約70μM、約33μM~約70μM、約34μM~約70μM、約35μM~約70μM、約36μM~約70μM、約37μM~約70μM、または約40μM~約70μMである。水溶液に不溶性である化合物は、<0.1μMの水溶解性を有することが留意されるべきである。この段落における約6.8のpHにおける水溶解性値は、本明細書の実施例7で提供される手順によって決定され得る。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、好適なラット代謝安定性を実証する。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物のラット代謝安定性は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、または少なくとも約95%である。この段落におけるラット代謝安定性値は、本明細書の実施例8で提供されるインビトロ手順によって決定され得る。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、好適なヒト代謝安定性を実証する。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物のヒト代謝安定性は、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、または少なくとも約95%である。この段落におけるヒト代謝安定性値は、本明細書の実施例8で提供されるインビトロ手順によって決定され得る。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、動物において好適な生物学的利用能を実証する。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の平均生物学的利用能は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%である。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の平均生物学的利用能は、約20%~約60%、約25%~約60%、約30%~約55%、約35%~約50%、約35%~約50%、約40%~約50%、または約40%~約45%である。この段落における平均生物学的利用能値は、本明細書の実施例9で提供される手順によって決定され得る。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、好適な非結合画分を実証する。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の非結合画分は、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、または少なくとも約70%である。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の非結合画分は、約25%~約90%、約25%~約80%、約30%~約80%、約35%~約80%、約40%~約80%、約45%~約80%、約50%~約80%、約55%~約80%、約60%~約80%、約60%~約75%、約62%~約75%、約62%~約73%、約63%~約72%、または約64%~約72%である。この段落における非結合画分値は、本明細書の実施例10で提供されるインビトロ手順によって決定され得る。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、動物において中枢神経系(「CNS」)血液脳関門を通る最小の透過性を実証する。そのような最小透過性化合物は、「末梢制限」と称される。この組織選択性に関連して、動物の血漿中を循環している化合物の量に対する動物の血液脳関門を越えてCNSに透過する化合物の量(例えば、脳ホモジネート全体中の化合物の量から決定される)の比としてKpとして定義することが有用である。
他の実施形態では、末梢制限された式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物のCNS:血漿比(またはKp)は、約1:3、約1:4、約1:5、約1:10、約1:15、約1:17、約1:20、約1:23、約1:24、約1:25、約1:26、約1:27、約1:30、約1:35、約1:37、約1:38、約1:40、約1:42、約1:45、約1:50、約1:60、約1:100、約1:250、約1:500、約1:1,000、約1:5,000、または約1:10,000である。他の実施形態では、末梢制限された式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物のCNS:血漿比は、約1:3~約1:250、約1:4~約1:250、約1:5~約1:100、約1:10~約1:50、約1:15~約1:60、約1:20~約1:50、約1:23~約1:45、または約1:25~約1:40である。この段落におけるCNS:血漿比の値は、本明細書の実施例11で提供されるインビボ手順によって決定され得る。
式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、当該技術分野で知られているインビトロ及びインビボ法、例えば、本明細書の実施例11に開示されているインビボ法を使用してCNSに透過する能力について試験され得る。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の所定の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、例えば、Wang et al.(“Evaluation of the MDR-MDCK cell line as a permeability screen for the blood-brain barrier,”Int. J.Pharm.288(2):349-359(2005))に開示されているメイディンダービーイヌ腎臓(「MDCK」)細胞ライントランスポートアッセイによって測定される血液脳関門透過性傾向の減少を示す。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、好適なラットタンパク質結合を実証する。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物のラットタンパク質結合は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約42%、少なくとも約44%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、または少なくとも約55%である。他の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物のラットタンパク質結合は、約15%~約75%、約20%~約75%、約30%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約40%~約60%、約42%~約59%、約44%~約57%、約46%~約55%、約48%~約53%、または約49%~約52%である。この段落におけるラットタンパク質結合値は、本明細書の実施例12で提供されるインビトロ手順によって決定され得る。
5.1 睡眠の段階
哺乳類の睡眠は、2つの区別可能なタイプ:非急速眼球運動(「NREM」)睡眠及び急速眼球運動(「REM」)睡眠に分けられる。NREM睡眠は更に、一般的に段階N1からN3と称される一連の区別可能な段階に分けられる。段階N1または軽い睡眠は、一般に、目覚めていることと眠っていることの間の移行と見なされる。段階N1は、目覚めている状態から眠っている状態への移行中の呼吸及び心拍数の減速によって特徴付けられる。段階N2または真の睡眠は、典型的には段階N1に続き、ベースライン睡眠とみなされ、眠っている時間のおよそ半分を占める。段階N2は、筋肉弛緩、眼球運動の減少または制限、及び身体運動の減少または制限によって特徴付けられる。段階N3は、「デルタ」または「徐波」睡眠と称され、一般に最も深く且つ最も回復的な睡眠段階であると認識されている。段階N3は、呼吸及び心拍数の更なる減速によって特徴付けられる。段階N3からの覚醒は困難であり得る。図5C~18Cの目的のため、特定の図に包含される24時間の期間について、NREM睡眠の割合は、100×(その24時間の期間中のNREM睡眠の時間数)/24として計算される。
時に夢睡眠と称されるREM睡眠は、睡眠者が鮮やかな夢を見ているときに特徴的な急速眼球運動を伴う活発な睡眠段階からなる。REM睡眠は、その筋緊張のより区別可能な減少及び身体運動がないことにより、別個の睡眠タイプとして認識されている;しかしながら、REM睡眠中に呼吸及び心拍数は増加し、不規則になる場合がある。図5B~18Bの目的のため、特定の図に包含される24時間の期間について、REM睡眠の割合は、100×(その24時間の期間中のREM睡眠の時間数)/24として計算される。
これらの睡眠のタイプ及び段階の各々は、はっきりとしたEEGパターンを有し、一晩の睡眠にわたって、睡眠者は一般にこれらのタイプ及び段階を何度も繰り返す。睡眠の過程にわたって各30秒単位の時間は「エポック」と称される場合があり、睡眠中に得られたEEGパターンに基づいて、睡眠技術者は睡眠のタイプ及び/または段階(または覚醒の指定)を各々のそのようなエポックに割り当てることができる。
5.2 睡眠障害
上記のように、1つの分類体系下で6つの広い睡眠障害のカテゴリー:(i)不眠症、(ii)過眠症、(iii)睡眠時随伴症、(iv)概日リズム睡眠・覚醒障害、(v)睡眠関連呼吸障害、及び(vi)睡眠運動障害が特定されている。これらの広いカテゴリーの各々の中で複数のサブカテゴリーが認識されている。各カテゴリー及びサブカテゴリーは、「病態」として定義される。例えば、不眠症の病態は、眠りに落ちることまたは眠り続けることができないことを含む。不眠症の病態には、不眠症の病態から区別するために時に睡眠開始不眠症、不眠障害、または「原発性不眠症」としても知られる不眠症(「成人」不眠症)、すなわち、成人が所望の睡眠開始時に眠りに落ちることができないこと;小児不眠症、すなわち、例えば、ベッドに入ることに対する拒絶または親がベッドのそばを離れることに難色を示すことによる、子供が眠り続けることまたは眠りに落ちることができないこと;睡眠維持不眠症、夜中不眠症、深夜目覚め(または「MOTN」目覚め)、及び/または夜間の目覚めとしても知られる深夜不眠症(または「MOTN」不眠症)、すなわち、夜中に起きた後に睡眠を再開することが困難であること;及び短睡眠障害、すなわち、1夜当たり6時間未満の睡眠の後に回復したと感じ、意識がはっきりとしている成人が含まれる。成人不眠症は早期不眠症としても知られており、LPSの延長により評価され得る。成人不眠症/早期不眠症/不眠障害/原発性不眠症は、疾患または物質の使用/乱用によって引き起こされるものではない。MOTN不眠症は、WASOの延長及び/または目覚めの数(「NAW」)の増加により評価され得る。
また上記のように、別の分類体系下では、10個の広い睡眠障害の一次カテゴリー:(1)不眠障害、(2)過眠障害、(3)ナルコレプシー、(4)呼吸関連睡眠障害、(5)概日リズム睡眠・覚醒障害、(6)ノンレム睡眠覚醒障害、(7)悪夢障害、(8)REM睡眠行動障害、(9)むずむず脚症候群、及び(10)物質/薬剤誘発性睡眠障害が特定されている。複数のサブカテゴリーがこれらの広いカテゴリーの各々の中で認識されている。各カテゴリー及びサブカテゴリーはまた、「病態」として定義される。例えば、物質/薬剤誘発性睡眠障害の病態は、独立した臨床上の注意の正当な理由となるのに十分に重度であり且つ物質、例えば、アルコール(すなわち、エチルアルコール)の薬理学的作用に主に関連していると判断された顕著な睡眠異常を伴う。物質/薬剤誘発性睡眠障害の病態には、不眠症型物質/薬剤誘発性睡眠障害、日中眠気型物質/薬剤誘発性睡眠障害、睡眠時随伴症型物質/薬剤誘発性睡眠障害、及び混合型物質/薬剤誘発性睡眠障害が含まれる。混合型は、存在するがいずれも優勢的ではないこれらの睡眠異常に関連した症状の1つを超えるタイプに関する。それ故、治療及び/または予防され得る病態には、アルコール誘発性睡眠障害及びそのサブカテゴリー:不眠症型アルコール誘発性睡眠障害、日中眠気型アルコール誘発性睡眠障害、睡眠時随伴症型アルコール誘発性睡眠障害、及び混合型アルコール誘発性睡眠障害のいずれか/全てが含まれる。アルコール誘発性睡眠障害では、アルコールの中毒またはアルコールからの離脱の証拠があり、睡眠障害はその中毒、中止、または離脱に関連する。治療及び/または予防され得る他の同類の病態には、アルコール使用障害における不眠症、アルコール中止に関連する睡眠異常、及び/またはアルコール中止に関連する不眠症が含まれる。
時に過眠障害としても知られている過眠症の病態は、過度の眠気を引き起こす。過眠症を有する人々は、エネルギー不足である場合があり、はっきりと考えることが困難である場合があり、及び/または仕事中または運転中などの不都合な時または危険な時でさえ眠りに落ちる場合がある。過眠症の病態には、ナルコレプシー、すなわち、いくつかの体系下では主要な病態として分類される突然の制御できない睡眠発作の潜在性を伴う圧倒的な疲労感;特発性過眠症、すなわち、睡眠に対する抑制できない衝動の生涯にわたる毎日の期間、例えば、24時間の期間で12~14時間;クライン・レビン症候群、すなわち、反復性の(1年に1度を超える)過剰な眠気を伴う2日から5週の期間;睡眠不足症候群、すなわち、夜に十分な睡眠をとることができず、睡眠遮断をもたらす規則的支障;及び長睡眠障害、すなわち、正常で良好な質であるが、同様の状況にある(例えば、同様の年齢の)他人よりもはるかに長い規則的睡眠が含まれる。
睡眠時随伴症の病態は、睡眠中もしくは眠りに入っている間、または目を覚ましている間に発生する望ましくない経験または事象を伴う。行動は複雑であり得、他人には意図的に見える場合があるが、睡眠者は事象の間は眠っているままであり、しばしば、それが起こったという記憶を有しない。睡眠時随伴症の病態には、錯乱性覚醒、すなわち、目覚めた時または目覚めた直後の奇妙な混乱した行動;時に非REM睡眠覚醒障害としても知られる夢遊病、すなわち、まだ眠っている間にベッドから起きて歩くこと、及び目覚めた場合に彼または彼女がどのように目覚めた場所に到着したかを知らないこと(いくつかの体系下では主要な病態として分類される);時に非REM睡眠覚醒障害としても知られる夜驚症、すなわち、強い恐れを有するが恐ろしい夢の記憶がほとんどないか全くない覚醒(いくつかの体系下では主要な病態として分類される);睡眠中食事障害、すなわち、部分的にのみ目覚めている間に無茶食いし、その無茶食いの記憶がほとんどないか全くないこと;REM睡眠行動障害、すなわち、例えば、眠っている間にパンチまたは連打することによって鮮明な夢を行動で示すこと(いくつかの体系下では主要な病態として分類される);睡眠まひ、すなわち、眠りに落ちる際または目覚める際に身体を動かすことができないこと;時に悪夢障害としても知られる悪夢、すなわち、眠りに落ちることの恐れまたは眠りに戻ることの困難性を引き起こし得る恐れ、恐怖及び/または苦悩の強い感情を喚起する夢(いくつかの体系下では主要な病態として分類される);夜尿症、すなわち、膀胱が充満しているときに排出のために目覚めることの失敗;睡眠幻覚、すなわち、非常に現実的であり、しばしば目に見えるようであるが他の感覚も伴い得る想像事象;頭内爆発音症候群、すなわち、眠りに落ちる直前または目覚める直前に大きな想像上の騒音が聞こえること;及び寝言、すなわち、眠っている間のしばしば大きな、時に無意味な喋りが含まれる。
概日リズム睡眠・覚醒障害の病態は、通常の日中/夜間サイクル及び/または24時間時計と調和していない睡眠時間を伴う。概日リズム睡眠・覚醒障害の病態には、遅延睡眠・覚醒相、すなわち、睡眠パターンが2時間以上遅延しているために睡眠が夜遅く行われ、朝遅く目覚める場合;前進睡眠・覚醒相、すなわち、通常の就寝時刻の数時間前に眠りに入り、それに対応してより早く起床すること;不規則睡眠・覚醒リズム、すなわち、睡眠パターンが非常に混乱しているため、明確な睡眠・覚醒スケジュールがないこと;非24時間睡眠・覚醒リズム、すなわち、睡眠者の睡眠時間が毎日より遅くシフトするため、経時的に所望の睡眠パターンと一致しなくなり得ること;交代勤務症候群、すなわち、睡眠の質が悪くなるような周期的に変化する開始及び終了時間を伴う勤務スケジュール及び疲労または消耗の一貫した感情の発達を有すること;及び時差ぼけ、すなわち、複数の時間帯を横切って移動した後の睡眠スケジュールの調整の困難性が含まれる。
時に呼吸関連睡眠障害としても知られる睡眠関連呼吸障害の病態は、睡眠中の呼吸の困難性を伴う。睡眠関連呼吸障害の病態には、閉塞性睡眠時無呼吸、すなわち、気道の閉塞による睡眠中の呼吸の停止;いびき、すなわち、喉の奥における組織の振動によって引き起こされる睡眠中に大きな騒音を立てること;中枢性睡眠時無呼吸、すなわち、気道の閉塞によってではなく、脳または心臓の問題によって引き起こされる睡眠中の呼吸の減少または停止;小児睡眠時無呼吸、すなわち、喉と比較した場合、扁桃腺及びアデノイドの大きなサイズによる小児における睡眠中の呼吸の停止;幼児睡眠時無呼吸、すなわち、未熟な脳幹または他の医学的病態に起因する発達上の問題による幼児における睡眠中の呼吸の停止;及び睡眠に関連するうめき声、すなわち、睡眠中の呼気によって引き起こされるうめき声に似た長期の騒音を立てることが含まれる。
睡眠運動障害の病態は、睡眠中または睡眠前の運動を伴う。これらの疾患は、眠りに落ちること、眠り続けること、及び/または安らかな睡眠を得ることの困難性を引き起こし得る。睡眠運動障害の病態には、むずむず脚症候群、すなわち、心地よくなること及び眠りに落ちることが困難となる、横たわっているときの脚の内側のヒリヒリまたは痒み(いくつかの体系下では主要な病態として分類される);周期性四肢運動症候群、すなわち、睡眠を邪魔する典型的には下腿の一連の制御することができない反復性の筋肉運動;睡眠時脚けいれん、すなわち、睡眠中の筋肉収縮及び締め付けによって引き起こされる足または脚における痛みの突然の強い感触;及び睡眠リズム運動症候群、すなわち、眠っているかまたは眠りに落ちる間に繰り返される身体運動、例えば揺動、頭部強打または頭部回転が含まれる。
5.3 ORL-1発現
ORL-1受容体を発現することが可能な細胞を含む組織の例には、脳、脊髄、精管、及び胃腸管組織が含まれるがこれらに限定されない。ORL-1受容体を発現する細胞をアッセイするための方法は当該技術分野において知られている;例えば、Shimohigashi et al.,“Sensitivity of Opioid Receptor-like Receptor ORL1 for Chemical Modification on Nociceptin,a Naturally Occurring Nociceptive Peptide,”J.Biol.Chem.271(39):23642-23645(1996);Narita et al.,“Identification of the G-protein Coupled ORL1 Receptor in the Mouse Spinal Cord by [35S]-GTPγS Binding and Immunohistochemistry,”Brit.J.Pharmacol.128:1300-1306(1999);Milligan,“Principles:Extending the Utility of [35S]GTPγS Binding Assays,”TIPS 24(2):87-90(2003);及びLazareno,“Measurement of Agonist-stimulated [35S]GTPγS Binding to Cell Membranes,”Methods in Molecular Biology 106:231-245(1999)を参照されたい。
哺乳動物種はORL-1受容体発現において相違を示すことが知られている。例えば、側坐核及び尾状核被殻において、齧歯動物は、比較的低レベルのORL-1受容体発現を有する(Florin et al.,“Autoradiographic localization of [3H]nociceptin binding sites in the rat brain,”Brain Res.880:11-16(2000);Neal et al.,“Opioid receptor-like(ORL1)receptor distribution in the rat central nervous system:Comparison of ORL1 receptor mRNA expression with 125I-[14Tyr]-orphanin FQ binding,”J.Compar.Neurol.412(4):563-605(1999))。対照的に、サル及びヒトは、これらの領域において中等度から高レベルの発現を有する(Bridge et al.,“Autoradiographic localization of 125I[14Tyr]nociceptin/orphanin FQ binding sites in Macaque primate CNS,”Neurosci.118:513-523(2003);Berthele et al.,“[3H]-Nociceptin ligand-binding and nociception opioid receptor mRNA expression in the human brain,”Neurosci.121:629-640(2003))。別の例では、齧歯動物は、小脳皮質において比較的低レベルのORL-1受容体発現を有する一方で、サル及びヒトはこれらの領域において中程度から高レベルの発現を有する。その上、齧歯動物は、前頭前野皮質(「PFC」)の層I及びIIにおいて比較的低レベルのORL-1の発現を有する一方で、ヒトはPFCの層I及びIIにおいて中程度から高レベルの発現を有する。それ故、上記のような参考文献は、ORL-1発現及びタンパク質局在化における顕著な上記の脊椎種の相違を開示しており、それは生理学的に重要であり得る。
脳の視床下部の神経核の1つであるSCNが、ヒトの睡眠サイクルの主な制御因子であることはよく知られている(Richardson,“The Human Circadian System in Normal and Disordered Sleep,”J.Clin.Psychiatry 66(Suppl.9):3-9(2005))。SCNは概日リズムと一緒に興奮する神経細胞のネットワークから構成されている。ORL-1受容体の内因性リガンドであるノシセプチンは、シリアンハムスターのSCNに一方的に注射された場合、SCNニューロンの活性及び概日時計の光に対する反応を調節した(Allen et al.,J.Neurosci.19(6):2152-2160(1999))。ORL-1アゴニスト(W-212393)は、SCNニューロンの周期的興奮の抑制によってラットの概日体温リズムの位相前進を誘導した(Teshima et al.,Br.J.Pharmacol.146(1):33-40(2005))。これらの参考文献は、脳内のORL-1受容体を調節することが、例えば、睡眠などの概日関連プロセスに影響を及ぼし得ることを実証している。
視床下部の一部は、血液脳関門によって部分的にのみ保護されていることも認識されている(De la Torre,J.Neurol.Sci.12(1):77-93(1971))。理論によって拘束されることを望まないが、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、ヒトにおけるSCNまたは他の関連する神経核へのアクセスを獲得し、その中のORL-1受容体を刺激し、SCNニューロンまたは他の関連する神経核の周期的興奮パターンの調節を介して疲労及び/または眠気を生成することができることが可能である。
本開示によれば、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)のいくつかの化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)のいくつかの化合物もしくはその溶媒和物は、ヒトのORL-1受容体での部分アゴニストである。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、ヒトのORL-1受容体での部分アゴニスト及びヒトのミュー、カッパ、及び/またはデルタオピオイド受容体でのアンタゴニストである。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、ヒトのORL-1受容体での部分アゴニスト及びヒトのμオピオイド受容体でのアンタゴニストである。
5.4 定義
式(1)、(1A)、(1B)、(1C)の化合物及びそれらの薬学的に許容可能な塩及び/または溶媒和物、及び式(1D)、(1E)、(1F)の化合物及びそれらの溶媒和物、ならびにそれらの使用方法と関連して使用される場合、本明細書で使用される用語は以下の意味を有する。
「就寝時間」(「TIB」)という用語は、その開始からその終了までの意図された睡眠エピソード全体の継続時間(例えば、分単位)を指す。TIBはしばしば、固定された継続時間、例えば、480分のものである。
「総睡眠時間」(「TST」)という用語は、NREM(段階N1からN3の全てを含む)またはREM睡眠のいずれかに費やされた全ての時間区分(例えば、分単位)合計を指す。
「睡眠効率」(「SE」)という用語は、不眠症の対象における睡眠ポリグラフ検査によって測定され、REM及びNREM睡眠で眠っているのに費やされたTIBの割合を指し、次の比:TST/TIBとして計算される。あるいは、SEは、この比に100を乗じることによって百分率として表され得る。SEは、夜全体を通した睡眠維持の尺度であり、それ故、SEの評価はまた、とりわけ、長期LPSの評価及び/または長期WASOの評価を含む。
「持続性睡眠までの潜時」(「LPS」)という用語は、TIBの開始から任意の睡眠段階における中断しない少なくとも10分の期間の開始までの時間(例えば、分単位)を指す。LPSは、睡眠までの「スピード」の尺度である。
「総覚醒時間」(「TWT」)という用語は、TIBについて、起きている、すなわち、どの睡眠段階にもないエポックの(例えば、分単位)総時間を指す。
「睡眠中の覚醒」(「WDS」)という用語は、TIB中の持続性睡眠の開始(任意の睡眠段階の睡眠エポックの少なくとも連続10分として定義される)後で且つ(任意の睡眠段階の)睡眠の最終エポックの開始前に生じる覚醒に費やされるエポックの総時間(例えば、分単位)を指す。
「睡眠後の覚醒」(「WAS」)という用語は、TIBの終了までの(任意の睡眠段階の)最終睡眠エポックの終結後の覚醒に費やされた時間の継続時間(例えば、分単位)を指す。
「睡眠開始後の覚醒」(「WASO」)という用語は、WDSとWASの合計を指す。WASOは夜全体を通した睡眠維持の別の尺度である。
「目覚めの数(「NAW」)という用語は、30秒を超える期間の目覚めが生じる持続性睡眠の開始後の回数を指す。
「REM潜時」という用語は、TIBの開始からREM睡眠の最初のエポックの開始までの時間(例えば、分単位)を指す。
図5A~18Aの目的のため、特定の図に包含される24時間の期間について、「覚醒状態」の百分率は、100×(その24時間の期間中の覚醒(すなわち、REM睡眠またはNREM睡眠のいずれでもない)に費やされた時間数)/24として計算される。
「動物」という用語には、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えばコンパニオンアニマルまたは家畜、例えば、ウシ、サル、ヒヒ、チンパンジー、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、ネズミ、ラット、ウサギまたはモルモットが含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、動物はヒトである。
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本明細書で使用される場合、式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物から調製され得る任意の薬学的に許容可能な塩であるか、または酸及び式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物の塩基性官能基、例えば窒素基から形成される塩を含む式(1D)、(1E)、または(1F)として本明細書で示される薬学的に許容可能な塩である。例示的な塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))が含まれるがこれらに限定されない。「薬学的に許容可能な塩」という用語にはまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物、及び薬学的に許容可能な無機または有機塩基から調製される塩が含まれる。好適な塩基には、ナトリウム、カリウム、セシウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア及び有機アミン、例えば、N-メチル-N-エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、(tert-ブチルアミノ)メタノール、及びトリス-(ヒドロキシメチル)アミンなどの非置換またはヒドロキシ置換モノ、ジ、またはトリアルキルアミン;ジシクロヘキシルアミン;ピリジン;ピコリン;モノ-、ビス-、またはトリス-(2-ヒドロキシ-(C1-C3)アルキルアミン)、例えばモノ-、ビス-、またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、及びN,N-ジ-[(C1-C3)アルキル]-N-(ヒドロキシ-(C1-C3)アルキル)-アミン、例えばN,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;アミノ酸、例えばアルギニン及びリシン;アミノ酸誘導体、例えばコリン(すなわち、2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウム)、アミノ酸セリンの誘導体;及び類似物が含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩、硫酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩、またはフマル酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩は塩酸塩または硫酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩は塩酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩は硫酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はナトリウム塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はカリウム塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はフマル酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はパラ-トルエンスルホン酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩はコリン塩である。
別の実施形態では、薬学的に許容可能なパラ-トルエンスルホン酸塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1.0当量のパラ-トルエンスルホン酸、例えば、一実施形態では約0.8~約1.2当量のパラ-トルエンスルホン酸、別の実施形態では約0.9~約1.1当量のパラ-トルエンスルホン酸、別の実施形態では約0.93~約1.07当量のパラ-トルエンスルホン酸、別の実施形態では約0.95~約1.05当量のパラ-トルエンスルホン酸、別の実施形態では約0.98~約1.02当量のパラ-トルエンスルホン酸、または別の実施形態では約0.99~約1.01当量のパラ-トルエンスルホン酸を含有する。別の実施形態では、薬学的に許容可能なパラ-トルエンスルホン酸塩は、約1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1当量のパラ-トルエンスルホン酸を含有する、すなわち、モノトシル酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能なパラ-トルエンスルホン酸塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1当量のパラ-トルエンスルホン酸を含有する。別の実施形態では、薬学的に許容可能なパラ-トルエンスルホン酸塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び1当量のパラ-トルエンスルホン酸を含有する。式(1C)の化合物のモノトシル酸塩、すなわち、式(1D)の化合物は以下の通りである:
別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩酸塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1.0当量の塩酸、例えば、一実施形態では約0.8~約1.2当量の塩酸、別の実施形態では約0.9~約1.1当量の塩酸、別の実施形態では約0.93~約1.07当量の塩酸、別の実施形態では約0.95~約1.05当量の塩酸、別の実施形態では約0.98~約1.02当量の塩酸、または別の実施形態では約0.99~約1.01当量の塩酸を含有する。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩酸塩は、約1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1当量の塩酸を含有する、すなわち、一塩酸塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩酸塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1当量の塩酸を含有する。別の実施形態では、薬学的に許容可能な塩酸塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び1当量の塩酸を含有する。式(1C)の化合物の一塩酸塩は、式(1E)の化合物である。本開示の方法で使用するための式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物の酸付加塩は、様々な既知の方法による各化合物と適切な酸との反応によって調製され得ることを当業者は認識する。
別の実施形態では、薬学的に許容可能なコリン塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1.0当量のコリン、例えば、一実施形態では約0.8~約1.2当量のコリン、別の実施形態では約0.9~約1.1当量のコリン、別の実施形態では約0.93~約1.07当量のコリン、別の実施形態では約0.95~約1.05当量のコリン、別の実施形態では約0.98~約1.02当量のコリン、または別の実施形態では約0.99~約1.01当量のコリンを含有する。別の実施形態では、薬学的に許容可能なコリン塩は、約1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1当量のコリンを含有する、すなわち、一コリン塩である。別の実施形態では、薬学的に許容可能なコリン塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び約1当量のコリンを含有する。別の実施形態では、薬学的に許容可能なコリン塩は、1当量の式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物及び1当量のコリンを含有する。式(1C)の化合物の一コリン塩は、式(1F)の化合物である。本開示の方法で使用するための式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物の塩基付加塩は、様々な既知の方法による各化合物と適切な塩基との反応によって調製され得ることを当業者は認識する。
本明細書で提供される本開示の方法はまた、式(1)、(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物の任意の溶媒和物の使用を包含する。「溶媒和物」は当該技術分野で一般に知られており、本明細書では式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物と溶媒分子との組み合わせ、物理的会合及び/または溶媒和であるとみなされる。この物理的会合は、水素結合を含む様々な程度のイオン及び共有結合を含み得る。溶媒和物が化学量論タイプのものである場合、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物に対する溶媒分子の固定比が存在し、例えば、[溶媒分子]:[式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物の分子]のモル比がそれぞれ2:1、1:1または1:2である場合、二溶媒和物、一溶媒和物または半溶媒和物である。他の実施形態では、溶媒和物は非化学量論タイプのものである。例えば、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物の結晶は、結晶格子の構造空隙、例えば、チャネル内に溶媒分子を含有し得る。所定の例では、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれているときに単離され得る。それ故、「溶媒和物」は、本明細書で使用される場合、溶液相及び単離可能な溶媒和物の両方を包含する。
本開示の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物は、例えば水、メタノール、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒と溶媒和した形態として存在し得、本開示は、式(1)、(1A)、(1B)、及び(1C)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、ならびに式(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物の溶媒和した及び溶媒和していない形態の両方を含むことが意図される。「水和物」は溶媒和物の特定のサブグループに関するので、すなわち、溶媒分子が水である場合、水和物は本開示の溶媒和物内に含まれる。一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物が一水和物として、例えば、水:[式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物]のモル比が約1:1、例えば、一実施形態では0.91:1~1.09:1、別の実施形態では0.94:1~1.06:1、別の実施形態では0.97:1~1.03:1、及び別の実施形態では0.985:1~1.015:1(各前記実施形態は、もしあれば、存在し得る表面水を考慮していない)である遊離塩基として存在する。
溶媒和物は、本開示を考慮して既知の技術に従って作製され得る。例えば、Caira et al.,“Preparation and Crystal Characterization of a Polymorph,a Monohydrate,and an Ethyl Acetate Solvate of the Antifungal Fluconazole,”J.Pharmaceut.Sci.,93(3):601-611(2004)は、フルコナゾールと酢酸エチル及び水との溶媒和物の調製を記載している。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの同様の調製は、Van Tonder et al.,“Preparation and Physicochemical Characterization of 5 Niclosamide Solvates and 1 Hemisolvate,”AAPS Pharm.Sci.Tech.,5(1):Article 12(2004)、及びBingham et al.,“Over one hundred solvates of sulfathiazole,”Chem.Comm.,pp.603-604(2001)によって記載されている。一実施形態では、非限定的なプロセスは、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物を、所望の量の溶媒(有機、水またはその混合物)に約20℃を超え約25℃以下の温度で溶解すること、溶液を結晶を形成するのに十分な速度で冷却すること、及び既知の方法、例えば、濾過によって結晶を単離することを含む。分析技術、例えば、赤外分光法は、溶媒和物の結晶中の溶媒の存在を示すために使用され得る。
本明細書で提供される本開示の方法はまた、1つ以上の水素、炭素または他の原子が、水素、炭素または他の原子の放射性同位体で置き換えられている、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の使用を包含する。そのような「放射性標識された」式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、その各々が本開示によって包含され、代謝薬物動態研究及び結合アッセイにおける研究及び/または診断ツールとして有用である。「放射性」は、本明細書で使用される場合、その比放射能が環境レベルの放射能を上回るように少なくとも1つの放射性原子を含む化合物を意味する。本開示の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物に組み込まれ得る放射性同位体の例には、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、及び18Oなどの水素、炭素、窒素、及び酸素の同位体が含まれる。一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の放射性標識された化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の放射性標識された化合物もしくはその溶媒和物は、1個、2個、3個、4個、またはそれ以上の放射性同位体を含有し、その各々は、水素、炭素、窒素、及び酸素から独立して選択される。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の放射性標識された化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の放射性標識された化合物もしくはその溶媒和物は、1個または2個の放射性同位体を含有し、その各々は、3H、14C、及び15Nから独立して選択される。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の放射性標識された化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の放射性標識された化合物もしくはその溶媒和物は、1個の放射性同位体を含有し、それは、3H、14C、及び15Nから選択される。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の放射性標識された化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の放射性標識された化合物もしくはその溶媒和物は、1個の放射性同位体を含有し、それは3Hである。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の放射性標識された化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の放射性標識された化合物もしくはその溶媒和物は、1個の放射性同位体を含有し、それは14Cである。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の放射性標識された化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の放射性標識された化合物もしくはその溶媒和物は、1個の放射性同位体を含有し、それは15Nである。
本開示の方法において使用するための放射性標識された化合物は、当該技術分野で知られている方法によって調製され得る。例えば、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)のトリチウム化された化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)のトリチウム化された化合物もしくはその溶媒和物は、例えば、トリチウムでの触媒脱ハロゲン化によって、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の特定の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物にトリチウムを導入することによって調製され得る。この方法は、好適な触媒、例えば、Pd/Cの存在下で、塩基の存在または非存在下で、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の好適にハロゲンで置換された前駆体をトリチウムガスと反応させることを含み得る。トリチウム化された化合物を調製するための他の好適な方法は、Filer,“The Preparation and Characterization of Tritiated Neurochemicals,”Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Buncel et al.,eds.,Chapter 6,pp.155-192(1987)で見ることができる。14C標識化合物は、14C炭素を有する出発材料を用いることによって調製され得る。13C及び/または15Nで同位体濃縮された、例えば、ピペラジンを含有する化合物は、図5A及び米国特許第7,355,045 B2号の関連記載に記載されているように調製され得る。
式(1)、(1A)、もしくは(1B)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1つ以上の不斉中心を含有し得、それ故、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じさせ得る。特に他に示されない限り、本開示は、全てのそのような可能な形態を有する化合物ならびにそれらのラセミ体及び分割体、及びそれらの全ての混合物を包含する。特に他に示されない限り、全ての「互変異性体」、例えば、ラクタム-ラクチム、尿素-イソ尿素、ケトン-エノール、アミド-イミド酸、エナミン-イミン、アミン-イミン、及びエナミン-エニミン互変異性体は同様に本開示に包含されることが意図される。
本明細書で使用される場合、「立体異性体」、「立体異性体形態」という用語、及び本明細書で使用される関連用語は、空間におけるそれらの原子の配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体についての一般用語である。それは、エナンチオマー及び互いの鏡像ではない1つを超えるキラル中心を有する化合物の異性体(「ジアステレオマー」)を含む。
「キラル中心」という用語は、4つの異なる基が結合している炭素原子を指す。
「エナンチオマー」または「エナンチオマーの」という用語は、その鏡像に重ね合わせることができず、したがってエナンチオマーが一方の方向に偏光面を回転させ、その鏡像が反対方向に偏光面を回転させる場合に光学的に活性な分子を指す。
「ラセミの」という用語は、光学的に不活性である等量のエナンチオマーの混合物を指す。
「分割」という用語は、分子の2つのエナンチオマー形態のうちの一方の分離または濃縮または枯渇を指す。式(1)、(1A)、または(1B)の化合物の光学異性体は、キラルクロマトグラフィーまたは光学活性な酸または塩基からのジアステレオマー塩の形成などの既知の技術によって得ることができる。
光学純度は、エナンチオマー過剰率(「%ee」)及び/またはジアステレオマー過剰率(%de)を単位として記述することができ、各々は以下の適切な式によって決定される:
「有効量」という用語は、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を投与することによって睡眠障害を治療または予防するための方法に関連して使用される場合、治療効果を提供する動物に投与される化合物の量を指す。
「有効量」という用語は、第2の治療剤と関連して使用される場合、第2の治療剤の治療効果を提供するための量を意味する。
ORL-1受容体に関して本明細書で使用される「調節する」、「調節すること」という用語、及び関連する用語は、(i)受容体を阻害または活性化すること、または(ii)受容体活性の正常な調節に直接的または間接的に影響を及ぼすことからの動物における薬物動態反応(例えば、不眠症)の媒介を意味する。受容体活性を調節する化合物には、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、混合アゴニスト/アンタゴニスト、混合部分アゴニスト/アンタゴニスト及び受容体活性の調節に直接的または間接的に影響を及ぼす化合物が含まれる。
本明細書で使用される場合、受容体に結合し且つ内因性リガンドの調節効果(複数可)を模倣する化合物は、「アゴニスト」として定義される。本明細書で使用される場合、受容体に結合し且つアゴニストとして部分的にのみ有効である化合物は、「部分アゴニスト」として定義される。本明細書で使用される場合、受容体に結合するが調節効果を生じず、しかしむしろ受容体への別の薬剤の結合を遮断する化合物は、「アンタゴニスト」として定義される。(Ross et al.,“Pharmacodynamics:Mechanisms of Drug Action and the Relationship Between Drug Concentration and Effect,”in Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics pp.31-43(Goodman et al.,eds.,10th Ed.,McGraw-Hill,New York 2001)を参照されたい)。
本明細書で使用される「の治療」、「治療すること」という用語、及び関連する用語は、有効量の式(1)、(1A)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の投与による病態またはその症状の改善、減少、遅延、または停止を含む。いくつかの実施形態では、治療することは、例えば、病態またはその症状のエピソードの全体的な頻度を減少させること、または病態またはその症状の重症度を低減することを含む。
本明細書で使用される「の予防」、「予防すること」という用語、及び関連する用語は、有効量の式(1)、(1A)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の投与による病態またはその症状の開始の回避を含む。
「障害」には本明細書に定義されている病態が含まれるがこれらに限定されない。一実施形態では、障害は、睡眠不足の、または睡眠不足もしくは眠りに落ちることもしくは眠り続けることの困難性に由来する病態または症状に関する。
本明細書で使用される投与される「用量」、「投薬量」、及び関連する用語の重量による量は、式(1)、(1A)、(1B)、または(1C)の化合物の遊離酸及び遊離塩基形態、すなわち、無塩形態を指す。例えば、式(1)の化合物の無塩形態の10.0mgの用量は、10.0mgが実際に投与されることを意味する。しかしながら、例として、例えば、式(1)の化合物の一塩酸塩すなわちモルで1:1の塩酸塩(すなわち、式(1E)の化合物)の10.0mg用量は、10.84mgの前記化合物が実際に投与されることを意味し、その10.84mgは、10.00mgの式(1)の化合物の無塩形態(0.0229ミリモル)及び0.84mgの塩酸(0.0229ミリモル)を提供する。また、例として、例えば、式(1)の化合物の一ナトリウム塩の10.0mg用量は、10.57mgの前記化合物が実際に投与されることを意味し、その10.57mgは、10.00mgの式(1)の化合物の無塩形態(0.0229ミリモル)及び0.57mgのナトリウム(0.0229ミリモル)を提供する。同様に、例えば、式(1C)の化合物のモノトシル酸塩(モルで1:1のパラ-トルエンスルホン酸塩)の10.00mg用量は、13.93mgの前記化合物が実際に投与されることを意味し、その13.93mgは、10.00mgの式(1C)の化合物の無塩形態(0.0229ミリモル)及び3.93mgのパラ-トルエンスルホン酸(0.0229ミリモル)を提供する。
「UI」という用語は、尿失禁を意味する。「IBD」という用語は、炎症性腸疾患を意味する。「IBS」という用語は、過敏性腸症候群を意味する。「ALS」という用語は、筋萎縮性側索硬化症を意味する。
本明細書で使用される「N/A」という用語は、適用可能ではないことを意味する。
本明細書で使用される「SD」という用語は、標準偏差を意味する。
本明細書で使用される「LSM」という用語は、最小二乗平均を意味する。
本明細書で使用される「STDE」という用語は、標準誤差を意味する。
描かれている化学構造と化学名の一致に関して疑義がある場合には、描かれている化学構造が支配する。
明確性のために、別々の実施形態の文脈で説明されている本開示の様々な特徴はまた、本明細書で他に具体的に除外されていない限り、単一の実施形態で組み合わせて提供され得る。逆に、簡潔性のため、単一の実施形態の文脈で説明されている本開示の様々な特徴はまた、本明細書で他に具体的に除外されていない限り、別々に及び/または任意の好適な副次的組み合わせで提供され得る。
5.5 式(1)、(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物の治療的使用
本開示によれば、式(1)、(1A)、(1B)、及び(1C)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに式(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物またはその溶媒和物は、病態の治療または予防の必要がある動物に投与される。
一実施形態では、有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、ORL-1受容体の活性を調節することによって治療可能なまたは予防可能な睡眠障害を治療または予防するために使用され得る。
有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、「成人」不眠症、小児不眠症、深夜不眠症、及び短睡眠障害などの不眠症;睡眠不足症候群などの過眠症;後退睡眠・覚醒相、前進睡眠・覚醒相、不規則睡眠・覚醒リズム、非24時間睡眠・覚醒リズム、交代勤務症候群、及び時差ぼけなどの概日リズム睡眠・覚醒障害;またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない睡眠障害を治療または予防するために使用され得る。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物によって治療または予防され得る他の睡眠障害には、この段落で既に言及されていない種類の睡眠異常、食物アレルギー不眠症、アルコール依存性睡眠障害、及び/またはアルコール誘発性睡眠障害が含まれる。
アルコール関連睡眠障害に関連して、DSM-5はまた、アルコール誘発性睡眠障害を主要な診断として提示しており、睡眠障害を4つのタイプ:不眠症、日中眠気、睡眠時随伴症、及び混合型に細分化している。それは、アルコール誘発性睡眠障害が典型的には、「不眠症型」、すなわち、「眠りに落ちることまたは睡眠を維持することの困難性、頻繁な夜間の目覚め、または非回復性睡眠」によって特徴付けられる睡眠障害として起こることを開示する。具体的には、Conroyは、アルコール摂取が夜間の睡眠に対して「二相性」効果を有することを開示している。すなわち、夜の早期部分では、アルコール用量は、より短いLPS及び段階N3睡眠の継続時間の増加を伴う即時の鎮静効果を提供し得る。しかしながら、夜の後期部分では、睡眠の質が低下し、NAWがより大きくなる。更に別の参考文献は、アルコール依存患者において実質的に全てのタイプの睡眠問題、典型的には、長いLPS、低いSE、短いTST、段階N3睡眠の継続時間の短縮、睡眠パターンの断片化、及び睡眠構造の重度の乱れが生じると結論づけている(Landolt et al.,“Sleep Abnormalities During Abstinence in Alcohol-Dependent Patients:Aetiology and Management,”CNS Drugs 15(5):413-425(2001))。
短期間(数週間)または長期間(数年間)のいずれか断酒しているアルコール中毒者でさえ、LPSの上昇、頻繁なMOTN目覚め、及び不十分な睡眠の質などの持続性睡眠の異常を経験する場合がある。複数の試験の結果を要約すると、Browerは、2~8週間禁酒していたアルコール中毒者は、非アルコール中毒者よりも悪い睡眠を示す、すなわち、TST、SE、及び段階N3睡眠に費やされる時間は一般に大幅に減少した一方で、段階N1睡眠の時間は通常増加し、LPSは有意に増加したことを結論付けている。その上、睡眠異常は、アルコール摂取の終了後1~3年間持続する場合がある。例えば、Browerは、睡眠段階の変化、短時間の覚醒、及びREM睡眠の乱れの増加として表される睡眠の断片化は、禁酒を確立した後1~3年間持続する場合があると結論付けている。REM睡眠時間の短縮は、負の認知的結果、例えば、不十分な手続き学習に関連していると理解される。
その上、アルコールの摂取は、血液から有害な物質を濾過し、身体が必要とするホルモン、タンパク質、及び酵素などの様々な物質を生成する重要な臓器であるヒトの肝臓を損傷し得ると認識されている。アルコール関連肝疾患(「ALD」)は、アルコールの過剰摂取によって引き起こされる。その最も穏やかな形態である脂肪症または脂肪肝は、肝機能をより困難にする肝細胞内の脂肪の過剰な蓄積によって特徴付けられる。脂肪症から発症し得るALDのより重度の形態は、慢性または急性のいずれかのアルコール性肝炎である。それは肝細胞の破壊を伴う肝臓の炎症または腫れとして現れ、肝機能を更により難しいものとする。過剰なアルコール摂取から発症し得るALDの最も重度の形態はアルコール性肝硬変である。それは、正常な肝臓組織の非生存瘢痕組織での置き換えによって特徴付けられる。アルコール性肝硬変は、肝機能の関連する重度の機能障害のために生命を脅かす疾患であり得る。
それ故、アルコール使用障害、アルコール依存、アルコール誘発性睡眠障害、及び/またはアルコール中止に関連する睡眠障害または異常、例えば、不眠症を治療するための安全且つ有効な薬剤に対する満たされていない必要性が依然として存在する。1つの望ましい実施形態では、肝臓が脂肪症、アルコール性肝炎、及び/またはアルコール性肝硬変の形態のアルコール誘発性損傷を患っている場合であっても、そのような薬剤は依然として有効に機能するであろう。
本開示はまた、細胞内でORL-1受容体機能を活性化するための方法であって、ORL-1受容体を発現することが可能な細胞を、細胞内でORL-1受容体機能を活性化するのに有効な量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物と接触させることを含む、方法に関する。この方法は、睡眠障害を治療または予防するのに有用な化合物を選択するためのアッセイの一部としてインビトロで使用するために適合され得る。代替的には、その方法は、動物内の細胞を、有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物と接触させることによって、インビボで(すなわち、ヒトなどの動物において)使用するために適合され得る。一実施形態では、その方法は、そのような治療または予防を必要とする動物における睡眠障害を治療または予防するのに有用である。
5.6 治療的/予防的投与及び本開示の組成物
それらの活性により、式(1)、(1A)、(1B)、及び(1C)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに式(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物またはその溶媒和物は、有利には、ヒト及び獣医学において有用である。上述したように、式(1)、(1A)、(1B)、及び(1C)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに式(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物またはその溶媒和物は、それを必要とする動物における病態を治療または予防するのに有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、及び(1C)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに式(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物またはその溶媒和物は、それを必要とする動物における病態を治療するのに有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、及び(1C)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに式(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物またはその溶媒和物は、それを必要とする動物における病態を予防するのに有用である。別の実施形態では、本開示の式(1)、(1A)、(1B)、及び(1C)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、ならびに式(1D)、(1E)、及び(1F)の化合物またはその溶媒和物は、オピオイド及び/またはORL-1受容体の調節を必要とする任意の動物に投与され得る。
動物に投与される場合、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む組成物の成分として投与され得る。
投与方法には、皮内、筋肉内、腹腔内、非経口、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、経粘膜、口腔内、歯肉、舌下、眼内、脳内、膣内、経皮(例えば、パッチによる)、直腸内、吸入によって、または特に耳、鼻、目、または皮膚への局所が含まれるがこれらに限定されない。別の実施形態では、投与方法には、静脈注射、経口、または吸入によるものが含まれるがこれらに限定されない。別の実施形態では、投与方法は経口である。別の実施形態では、投与方法は静脈注射である。別の実施形態では、投与方法は吸入による。投与方法は医師の裁量に委ねられる。いくつかの場合では、投与は、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の血流中への放出をもたらす。他の場合では、投与は、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の局所的放出のみをもたらす。
所定の実施形態では、脳室内、髄腔内、もしくは硬膜外注射、または浣腸を含む任意の好適な経路によって式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を中枢神経系または胃腸管内に導入することが望ましい場合がある。脳室内注射は、例えば、オンマヤ貯留槽などの貯留槽に取り付けられた脳室内カテーテルによって容易化され得る。
肺内投与はまた、例えば、吸入器またはネブライザー、及びエアロゾル化剤を有する製剤の使用によって、またはフルオロカーボンもしくは合成肺表面活性剤中での灌流によって用いられ得る。所定の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、伝統的なバインダー及び賦形剤、例えばトリグリセリドを有する坐剤として製剤化され得る。
本開示の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が注射(例えば、連続注入またはボーラス注射)によって非経口投与用に組み込まれる場合、非経口投与用製剤は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、エマルションの形態であり得る。そのような製剤は、1つ以上の安定化剤、懸濁剤、分散剤、緩衝液などの薬学的に必要な添加剤を更に含み得る。本開示の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物はまた、注射可能な製剤として再構築用粉末の形態であり得る。
別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、ベシクル、特にリポソームで送達され得る(Langer,“New Methods of Drug Delivery,”Science 249:1527-1533(1990);及びTreat et al.,“Liposome Encapsulated Doxorubicin Preliminary Results of Phase I and Phase II Trials,”pp.317-327 and 353-365 in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer(1989)を参照されたい)。
また別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、制御放出システムまたは持続放出システムで送達され得る。制御または持続放出薬学的組成物は、それらの非制御または非持続放出対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善するという共通の目的を有し得る。一実施形態では、制御もしくは持続放出組成物は、長期間にわたって病態またはその症状を治療または予防するために最小量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む。制御または持続放出組成物の利点には、薬物の活性の延長、投与頻度の減少、及びコンプライアンスの向上が含まれる。また、制御または持続放出組成物は、作用の発現の時間または他の特徴、例えば式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の血中レベルに遊離に影響を及ぼし得、それ故、有害な副作用の発生を低減し得る。
制御または持続放出組成物は、所望の治療的または予防的効果を即座に生成し得る量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を最初に放出し、長期間にわたってこのレベルの治療的または予防的効果を維持するための他の量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を徐々に且つ持続的に放出し得る。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の一定レベルを身体内で維持するために、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、身体から代謝及び排泄されている式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の量を置換する速度で剤形から放出され得る。活性成分の制御または持続放出は、pHの変化、温度の変化、酵素の濃度もしくは利用可能性、水の濃度もしくは利用可能性、または他の生理学的条件もしくは化合物を含むがこれらに限定されない様々な条件によって刺激され得る。また別の実施形態では、制御または持続放出システムは、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の標的の近く、例えば、脊柱または脳に配置され得るので、全身用量の一部しか必要としない。
式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の投与は、制御放出または持続放出手段によってまたは当業者に知られている送達装置によってであり得る。例には、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、及び第5,733,566号に記載されているものを含むがこれらに限定されず、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。当業者に知られている多数の他の制御放出または持続放出送達装置(例えば、Goodson,“Dental Applications,”in Medical Applications of Controlled Release,Vol.2,Applications and Evaluation,Langer and Wise,eds.,CRC Press,Chapter 6,pp.115-138(1984),以下「Goodson」を参照されたい)が使用され得る。Langer,Science 249:1527-1533(1990)による総説で論述されている他の制御または持続放出システムが使用され得る。一実施形態ではポンプが使用され得る(Langer,Science 249:1527-1533(1990);Sefton,“Implantable Pumps,”in CRC Crit.Rev.Biomed.Eng.14(3):201-240(1987);Buchwald et al.,“Long-term,Continuous Intravenous Heparin Administration by an Implantable Infusion Pump in Ambulatory Patients with Recurrent Venous Thrombosis,”Surgery 88:507-516 (1980);及びSaudek et al.,“A Preliminary Trial of the Programmable Implantable Medication System for Insulin Delivery,”New Engl.J.Med.321:574-579(1989))。別の実施形態では、ポリマー材料が使用され得る(Goodson;Smolen et al.,“Drug Product Design and Performance,”Controlled Drug Bioavailability Vol.1,John Wiley and Sons,New York(1984);Langer et al.,“Chemical and Physical Structure of Polymers as Carriers for Controlled Release of Bioactive Agents:A Review,”J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.C23(1):61-126 (1983);Levy et al.,“Inhibition of Calcification of Bioprosthetic Heart Valves by Local Controlled-Release Diphosphonate,”Science 228:190-192(1985);During et al.,“Controlled Release of Dopamine from a Polymeric Brain Implant:In Vivo Characterization,”Ann.Neurol.25:351-356(1989);及びHoward et al.,“Intracerebral drug delivery in rats with lesion-induced memory deficits,”J.Neurosurg.71:105-112 (1989)を参照されたい)。
そのような剤形は、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透システム、多層コーティング、微粒子、多粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはそれらの組み合わせを使用する1つ以上の活性成分の制御放出または持続放出を提供するために使用され得る。本明細書に記載されているものを含む、当業者に知られている好適な制御または持続放出製剤は、本開示の活性成分と共に使用するために容易に選択され得る。それ故、本開示は、限定されないが、制御または持続放出に適合された錠剤、カプセル剤、ジェルキャップ剤、及びカプレット剤などの経口投与に好適な単一の単位剤形を包含する。
組成物は、動物への適切な投与のための形態を提供するように、任意で、しかし好ましくは、好適な量の薬学的に許容可能な賦形剤を更に含み得る。そのような薬学的賦形剤は、希釈剤、懸濁剤、可溶化剤、結合剤、崩壊剤、保存剤、着色剤、滑沢剤などであり得る。薬学的賦形剤は、液体、例えば水、または石油、動物、植物、または合成由来のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む油であり得る。薬学的賦形剤は、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素などであり得る。また、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤、及び着色剤が使用され得る。一実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、動物に投与するときに無菌である。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が静脈内投与される場合、水は特に有用な賦形剤である。生理食塩水溶液ならびにデキストロース及びグリセロール水溶液もまた、特に注射用溶液のための液体賦形剤として用いられ得る。好適な薬学的賦形剤にはまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、などが含まれる。組成物はまた、所望の場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝液を含有し得る。経口剤形を製剤化するために使用され得る薬学的に許容可能な担体及び賦形剤の具体例は、参照により本明細書に組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients,(Amer.Pharmaceutical Ass’n,Washington,DC,1986)に記載されている。好適な薬学的賦形剤の他の例は、参照により本明細書に組み込まれるRadebough et al.,“Preformulation,”pp.1447-1676 in Remington’s Pharmaceutical Sciences Vol.2 (Gennaro,ed.,19th Ed.,Mack Publishing,Easton,PA,1995)に記載されている。
組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、口腔内崩壊錠(ODT)または舌下錠などの錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、液体を含有するカプセル剤、粉末、持続放出製剤、坐剤、エマルション、エアロゾル、スプレー、懸濁液、微粒子、多粒子、急速溶解フィルムの形態または経口もしくは粘膜投与用の他の形態、または使用に好適な任意の他の形態を取り得る。一実施形態では、組成物は、ODTの形態である(例えば、米国特許第7,749,533号及び第9,241,910号を参照されたい)。別の実施形態では、組成物は、舌下錠の形態である(例えば、米国特許第6,572,891号及び第9,308,175号を参照されたい)。別の実施形態では、組成物は、カプセル剤の形態である(例えば、米国特許第5,698,155号を参照されたい)。別の実施形態では、組成物は、従来の手法で製剤化される口腔内投与に好適な形態、例えば、錠剤、ロゼンジ、ゲル、パッチ、またはフィルムとしてである(例えば、Pather et al.,“Current status and the future of buccal drug delivery systems,”Expert Opin.Drug Deliv.5(5):531-542(2008)を参照されたい)。別の実施形態では、組成物は、Padula et al.,“In Vitro Evaluation of Mucoadhesive Films for Gingival Administration of Lidocaine,”AAPS PharmSciTech14(4):1279-1283(2013)によって開示されているように、歯肉投与に好適な形態、例えば、ポリビニルアルコール、キトサン、ポリカルボフィル、ヒドロキシプロピルセルロース、またはEudragitS-100を含むポリマーフィルムとしてである。別の実施形態では、組成物は眼内投与に好適な形態である。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、ヒトへの経口投与に適合された組成物として習慣的手順に従って製剤化される。経口で送達される式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、例えば、錠剤、カプセル、ジェルキャップ、カプレット、ロゼンジ、水性もしくは油性溶液、懸濁液、顆粒、微粒子、多粒子、粉末、エマルション、シロップ、またはエリキシルの形態であり得る。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が経口錠剤に組み込まれる場合、そのような錠剤は、圧縮されてもよく、粉薬錠剤であってもよく、腸溶コーティングされてもよく、糖コーティングされてもよく、フィルムコーティングされてもよく、複数圧縮されてもよく、または複数の層状であり得る。固体経口剤形を作製するための技術及び組成物は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(Lieberman et al.,eds.,2nd Ed.,Marcel Dekker,Inc.,1989 and 1990)に記載されている。錠剤(圧縮及び成形)、カプセル(硬及び軟ゼラチン)及び丸剤を作製するための技術及び組成物はまた、King,“Tablets,Capsules,and Pills,”pp.1553-1593 in Remington’s Pharmaceutical Sciences (Osol,ed.,16th Ed.,Mack Publishing,Easton,PA,1980)によって記載されている。
液体経口剤形には、1種以上の好適な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味剤、着色剤、香味剤などを任意に含有する水溶液及び非水性溶液、エマルション、懸濁液、及び溶液及び/または非発泡性顆粒から再構築された懸濁液が含まれる。液体経口剤形を作製するための技術及び組成物は、Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems(Lieberman et al.,eds.,2nd Ed.,Marcel Dekker,Inc.,1996 and 1998)に記載されている。
式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の経口投与される化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、薬学的に口当たりの良い調製物を提供するために、1種以上の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーンオイル、またはチェリーなどの香味剤;着色剤;及び保存剤を含有し得る。その上、錠剤または丸剤の形態では、組成物は、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせるためにコーティングされ得、それによって長期間にわたって持続作用を提供する。浸透活性駆動化合物を取り囲む選択的透過性膜も経口投与される組成物に好適である。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルを取り囲む環境からの流体は、駆動化合物によって吸収され、それは膨張して開口部を介して薬剤または薬剤組成物を移動させる。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤の急上昇プロファイルとは対照的に、本質的にゼロ次の送達プロファイルを提供し得る。モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料も使用され得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、及び炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含み得る。一実施形態では、賦形剤は薬学的グレードのものである。
式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が非経口で注射されるべき場合、それは、例えば、等張性無菌溶液の形態であり得る。代替的には、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が吸入されるべき場合、それは、乾燥エアロゾルに製剤化され得るか、または水性もしくは部分的に水性の溶液に製剤化され得る。
別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、静脈内投与のために製剤化され得る。所定の実施形態では、静脈内投与用の組成物は滅菌等張水性緩衝液を含む。必要な場合、組成物はまた可溶化剤を含み得る。静脈内投与のための式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、注射の部位の痛みを低減するためのベンゾカインまたはプリロカインなどの局所麻酔剤を任意に含み得る。一般に、成分は、別々にまたは単位剤形で混合して一緒に、例えば、活性薬剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封容器中の乾燥凍結粉末または無水濃縮物としてのいずれかで供給される。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が注入によって投与されるべき場合、それは、例えば、滅菌薬学的グレードの水または生理食塩水を含有する注入ボトルで投薬され得る。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が注入によって投与される場合、投与前に成分が混合され得るように注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
病態の治療または予防のために有効な式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の量は、標準的な臨床技術によって決定され得る。また、最適な投薬量範囲を特定するのを助けるためにインビトロ及び/またはインビボアッセイが任意に用いられ得る。用いられる正確な用量はまた、例えば、投与経路及び病態の重篤度にも依存し、医師の判断及び/または各動物の状況に従って決定され得る。その他の例では、とりわけ、治療されている動物の体重及び身体状態(例えば、肝機能及び腎機能)、治療されるべき障害、症状の重篤度、投薬間隔の頻度、有害な副作用の存在、及び利用される特定の化合物に応じて変動が必然的に生じる。
式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の好適な有効投薬量は、一実施形態では1日当たり約0.0002mg/kg~約25mg/kg(動物の体重)、別の実施形態では約0.00025mg/kg/日~約20mg/kg/日、別の実施形態では約15mg/kg/日~約600mg/kg/日、別の実施形態では約20mg/kg/日~約600mg/kg/日、別の実施形態では約25mg/kg/日~約600mg/kg/日、及び別の実施形態では約30mg/kg/日~約600mg/kg/日である。別の実施形態では、有効投薬量は、約10.0mg/kg/日以下である。所定の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の好適な有効投薬量は、約0.0002mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.002mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.003mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.0005mg/kg/日~約5.0mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約2.5mg/kg/日、約0.002mg/kg/日~約2.0mg/kg/日、または約0.002mg/kg/日~約1.0mg/kg/日である。別の実施形態では、有効投薬量は、約1.0mg/kg/日以下である。所定の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の好適な有効投薬量は、約0.001mg/kg/日~約1.0mg/kg/日、約0.002mg/kg/日~約0.8mg/kg/日、約0.0025mg/kg/日~約0.5mg/kg/日、約0.003mg/kg/日~約0.15mg/kg/日、約0.006mg/kg/日~約0.12mg/kg/日、または約0.010mg/kg/日~約0.10mg/kg/日である。これらの投薬量について、「日」という用語は、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の投与時に開始する24時間のサイクルを意味することを理解されたい。例えば、通常の一晩の睡眠サイクルの場合、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が午後9:30に投与される場合、そのときはその「日」は次の暦の日の午後9:29に終了する。別の例では、交代勤務者の睡眠サイクルの場合、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が午前8:15に投与される場合、そのときはその「日」は次の暦の日の午前8:14に終了する。
単回用量として投与される式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の好適な有効投薬量は、約0.06mg~約600mg、約0.05mg~約50mg、約0.12mg~約600mg、約0.10mg~約30mg、約0.10mg~約20mg、約0.10mg~約15mg、約0.10mg~約10mg、約0.10mg~約8mg、約0.10mg~約7mg、約0.15mg~約30mg、約0.15mg~約20mg、約0.15mg~約15mg、約0.15mg~約10mg、約0.15mg~約8mg、約0.15mg~約7mg、約0.18mg~約9mg、約0.18mg~約6mg、約0.18mg~約4.0mg、約0.2mg~約30mg、約0.2mg~約20mg、約0.2mg~約15mg、約0.2mg~約10mg、約0.2mg~約8mg、約0.2mg~約7mg、約0.2mg~約6.0mg、約0.2mg~約4.0mg、約0.2mg~約3.0mg、約0.2mg~約2.0mg、約0.2mg~約1.0mg、約0.5mg~約6.0mg、約0.5mg~約4.0mg、約0.5mg~約3.0mg、約0.5mg~約2.0mg、約0.5mg~約1.0mg、約0.6mg~約6.0mg、または約0.6mg~約4.0mgであるが、それは、所定の実施形態では、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.100mg、約0.120mg、約0.125mg、約0.150mg、約0.175mg、約0.200mg、約0.225mg、約0.250mg、約0.275mg、約0.30mg、約0.35mg、約0.40mg、約0.45mg、約0.50mg、約0.55mg、約0.60mg、約0.65mg、約0.70mg、約0.75mg、約0.80mg、約0.85mg、約0.90mg、約0.95mg、約1.00mg、約1.25mg、約1.50mg、約1.75mg、約2.00mg、約2.25mg、約2.50mg、約2.75mg、約3.00mg、約3.25mg、約3.50mg、約3.75mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約5.5mg、約6.0mg、約6.5mg、約7.0mg、約7.5mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約12mg、約12.5mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約70mg、約100mg、約120mg、約150mg、約175mg、または約200mgである。当業者に知られているように、ヒト動物の場合、1日単回用量(mg)は、mg用量を、ヒト動物の当該技術分野で認識されている平均質量である60kgで除することによってmg/kg/日に変換され得る。例えば、1.25mgの1日単回ヒト用量は、約0.021mg/kg/日の投薬量にそのように変換される。
本明細書に記載の有効投薬量は、投与される総量を指す;すなわち、1種を超える式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が投与される場合、有効投薬量は投与される総量に相当する。
投与は単回投薬としても分割投薬としてもよい。一実施形態では、有効用量または投薬量は、必要な場合に(必要に応じて)のみ、例えば、睡眠を容易に達成することができない場合において、または深夜の目覚め後に睡眠に容易に戻ることができない時に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、病態が緩和されるまで、例えば、睡眠の準備において、約24時間毎に投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために2日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために3日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために4日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために5日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために6日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために7日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために8日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために9日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために10日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために最大で12日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために12日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために最大で14日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために14日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために最大で21日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために21日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために最大で28日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために28日連続で睡眠の準備において投与される。別の実施形態では、単回有効用量または投薬量が、病態を緩和するために少なくとも28日連続で睡眠の準備において投与される。
一実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約60分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約45分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約30分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約20分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約20分前以内に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約15分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約15分前以内に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約10分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約10分前以内に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約5分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約5分前以内に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約2分前に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約2分前以内に投与される。別の実施形態では、有効用量または投薬量は、動物の習慣的就寝時刻の中央値の約1分前に投与される。
一実施形態では、本開示による式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、薬剤として使用される。別の実施形態では、前記組成物を含有する薬剤を調製するために使用され得る、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物が開示される。
別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、睡眠障害の治療または予防における薬剤として有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、睡眠障害が不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである睡眠障害の治療または予防における薬剤として有用である。
別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、睡眠障害の治療における薬剤として有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、睡眠障害が不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである睡眠障害の治療における薬剤として有用である。
別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、睡眠障害の予防における薬剤として有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、睡眠障害が不眠状態、過眠状態、概日リズム睡眠・覚醒障害、アルコール誘発性睡眠障害、またはそれらの任意の組み合わせである睡眠障害の予防における薬剤として有用である。
別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、不眠状態の治療または予防における薬剤として有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、不眠状態の治療における薬剤として有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、不眠状態の予防における薬剤として有用である。
別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、アルコール誘発性睡眠障害の治療または予防における薬剤として有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、アルコール誘発性睡眠障害の治療における薬剤として有用である。別の実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、アルコール誘発性睡眠障害の予防における薬剤として有用である。
これらの使用のいずれかの場合、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物は、薬剤中に第2の治療剤を更に含み得る。
病態の治療または予防をそれを必要とする動物において行うための方法は、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物(すなわち、第1の治療剤)第2の治療剤を、投与される動物に共投与することを更に含み得る。一実施形態では、第2の治療剤は有効量で投与される。
第2の治療剤の有効量は、その薬剤に応じて当業者に知られている。しかしながら、本開示を考慮して第2の治療剤の最適有効量範囲を決定することは十分に当業者の視野の範囲内である。式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物及び組み合わされた第2の治療剤は、同じ病態を治療するのに追加的または相乗的のいずれかで作用し得るか、またはそれらは、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が病態を治療または予防し、且つ第2の治療剤がその病態と同じまたは異なり得る別の障害を治療または予防するように互いに独立して作用し得る。本開示の一実施形態では、病態(例えば、睡眠障害)の治療のために第2の治療剤が動物に共投与される場合、最小有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、第2の治療剤が投与されない場合のその最小有効量よりも少ない場合がある。この実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物及び第2の治療剤は、病態を治療または予防するのに相乗的に作用し得る。
一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物及び有効量の第2の治療剤を含む単一の組成物として第2の治療剤と同時に投与される。代替的には、有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を含む組成物及び有効量の第2の治療剤を含む第2の組成物が同時に投与される。別の実施形態では、有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、有効量の第2の治療剤の投与の前または後に投与される。この実施形態では、第2の治療剤がその治療効果を発揮している間に式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が投与されるか、または式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物が病態を治療または予防するためにその治療効果を発揮している間に第2の治療剤が投与される。
第2の治療剤は、オピオイドアゴニスト、非オピオイド鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症剤、抗片頭痛剤、第2の鎮静剤もしくは催眠剤、Cox-II阻害薬、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、制吐剤、β-アドレナリンブロッカー、抗けいれん剤、抗鬱剤、Ca2+チャネルブロッカー、抗がん剤、UIを治療または予防するための薬剤、不安を治療または予防するための薬剤、記憶障害を治療または予防するための薬剤、肥満症を治療または予防するための薬剤、便秘を治療または予防するための薬剤、咳を治療または予防するための薬剤、下痢を治療または予防するための薬剤、高血圧を治療または予防するための薬剤、てんかんを治療または予防するための薬剤、拒食症/悪液質を治療または予防するための薬剤、薬物乱用を治療または予防するための薬剤、潰瘍を治療または予防するための薬剤、IBDを治療または予防するための薬剤、IBSを治療または予防するための薬剤、中毒性障害を治療または予防するための薬剤、パーキンソン病及びパーキンソニズムを治療または予防するための薬剤、脳卒中を治療または予防するための薬剤、発作を治療または予防するための薬剤、掻痒状態を治療または予防するための薬剤、精神病を治療または予防するための薬剤、ハンチントン舞踏病を治療または予防するための薬剤、ALSを治療または予防するための薬剤、認知障害を治療または予防するための薬剤、片頭痛を治療または予防するための薬剤、嘔吐を抑制するための薬剤、ジスキネジアを治療または予防するための薬剤、鬱病を治療または予防するための薬剤、またはそれらの任意の混合物であり得るがこれらに限定されない。
有用なオピオイドアゴニストの例には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、それらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
所定の実施形態では、オピオイドアゴニストは、コデイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、モルヒネ、トラマドール、オキシモルホン、それらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらの任意の混合物である。
有用な非オピオイド鎮痛剤の例には、非ステロイド性抗炎症剤、例えばアスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシン酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オクスピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルリサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。他の好適な非オピオイド鎮痛剤には、以下の鎮痛剤、解熱剤、非ステロイド性抗炎症薬の非限定的な化学的種類;アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、及びオルサラジンを含むサリチル酸誘導体;アセトアミノフェン及びフェナセチンを含むパラ-アミノフェノール誘導体;インドメタシン、スリンダク、及びエトドラクを含むインドール及びインデン酢酸;トルメチン、ジクロフェナク、及びケトロラクを含むヘテロアリール酢酸;メフェナム酸及びメクロフェナム酸を含むアントラニル酸(フェナメート);オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)、及びピラゾリジンジオン(フェニルブタゾン、オキシフェンタルタゾン)を含むエノール酸;ナブメトンを含むアルカノン;それらの薬学的に許容可能な塩;またはそれらの任意の混合物が含まれる。NSAIDsのより詳細な説明については、Insel,“Analgesic-Antipyretic and Anti-inflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout,”pp.617-657 in Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Goodman et al.,eds.,9th Ed.,McGraw-Hill,New York 1996)、及びHanson,“Analgesic,Antipyretic and Anti-Inflammatory Drugs,”pp.1196-1221 in Remington:The Science and Practice of Pharmacy Vol.II(Gennaro,ed.,19th Ed.,Mack Publishing,Easton,PA,1995)(本明細書によってそれらの全体が参照により組み込まれる)を参照されたい。
有用な第2の鎮静剤または催眠剤の例には、ロラゼパム、テマゼパム、及びトリアゾラムを含むベンゾジアゼピン;フェノバルビタール、ペントバルビタール、及びセコバルビタールを含むバルビツール酸塩;ザレプロン、ゾルピデム、及びゾピクロンを含むいわゆる「z薬」;ラメルテオン;スボレキサント;それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
有用なCox-II阻害剤及び5-リポキシゲナーゼ阻害剤の例、ならびにそれらの組み合わせは、米国特許第6,136,839号に記載されており、これは本明細書によってその全体が参照により組み込まれる。有用なCox-II阻害剤の例には、セレコキシブ、DUP-697、フロスリド、メロキシカム、6-MNA、L-745337、ロフェコキシブ、ナブメトン、ニメスリド、NS-398、SC-5766、T-614、L-768277、GR-253035、JTE-522、RS-57067-000、SC-58125、SC-078、PD-138387、NS-398、フロスリド、D-1367、SC-5766、PD-164387、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
有用な抗片頭痛剤の例には、アルピロプリド、ブロモクリプチン、ジヒドロエルゴタミン、ドラセトロン、エルゴコルニン、エルゴコルニニン、エルゴクリプチン、エルゴノビン、麦角、エルゴタミン、フルメドロキソンアセテート、フォナジン、ケタンセリン、リスリド、ロメリジン、メチルエルゴノビン、メチセルジド、メトプロロール、ナラトリプタン、オキセトロン、ピゾチリン、プロプラノロール、リスペリドン、リザトリプタン、スマトリプタン、チモロール、トラゾドン、ゾルミトリプタン、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
有用な抗けいれん剤の例には、アセチルフェネツリド、アルブトイン、アロキシドン、アミノグルテチミド、4-アミノ-3-ヒドロキシ酪酸、アトロラクタミド、ベクラミド、ブラメート、臭化カルシウム、カルバマゼピン、シノロミド、クロメチアゾール、クロナゼパム、デシメミド、ジエタジオン、ジメタジオン、ドキセニトロイン、エテロバルブ、エタジオン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フルオレソン、ガバペンチン、5-ヒドロキシトリプトファン、ラモトリギン、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、メフェニトイン、メホバルビタール、メタルビタール、メテトイン、メトスクシミド、5-メチル-5-(3-フェナントリル)-ヒダントイン、3-メチル-5-フェニルヒダントイン、ナルコバルビタール、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェネタルビタール、フェネツリド、フェノバルビタール、フェンスクシミド、フェニルメチルバルビツール酸、フェニトイン、フェテニレートナトリウム、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、プロガビド、臭化ナトリウム、ソラナム、臭化ストロンチウム、スクロフェニド、スルチアム、テトラントイン、チアガビン、トピラメート、トリメタジオン、バルプロ酸、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミド、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
有用なCa2+チャネルブロッカーの例には、ベプリジル、クレンチアゼム、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、ベラパミル、アムロジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エホニジピン、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノン、ファントファロン、ペルヘキシリン、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
UIを治療または予防するのに有用な治療剤の例には、プロパンテリン、イミプラミン、ヒヨスチアミン、オキシブチニン、ジシクロミン、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
不安を治療または予防するのに有用な治療剤の例には、アルプラゾラム、ブロチゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、デモキセパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルマゼニル、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、及びトリアゾラムなどのベンゾジアゼピン;ブスピロン、ゲピロン、イプサピロン、チオスピロン、ゾルピコン、ゾルピデム、及びザレプロンなどの非ベンゾジアゼピン剤;精神安定剤、例えばバルビツール酸塩、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メホバルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、及びチオペンタール;メプロバメート及びチバメートなどのプロパンジオールカルバメート;それらの薬学的に許容可能な塩;またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
下痢を治療または予防するのに有用な治療剤の例には、ジフェノキシレート、ロペラミド、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
てんかんを治療または予防するための有用な治療剤の例には、カルバマゼピン、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリジン、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、バルプロ酸、トリメタジオン、ベンゾジアゼピン、γビニルGABA、アセタゾラミド、フェルバメート、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
薬物乱用を治療または予防するための有用な治療剤の例には、メタドン、デシプラミン、アマンタジン、フルオキセチン、ブプレノルフィン、オピエートアゴニスト、3-フェノキシピリジン、酢酸レボメタジル塩酸塩、セロトニンアゴニスト、それらの薬学的に許容可能な塩、またはそれらの任意の混合物が含まれるがこれらに限定されない。
非ステロイド性抗炎症剤、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、制吐剤、β-アドレナリンブロッカー、抗鬱剤、及び抗がん剤の例は当該技術分野で知られており、当業者によって選択され得る。記憶障害、肥満、便秘、咳、高血圧、食欲不振/悪液質、潰瘍、IBD、IBS、中毒性障害、パーキンソン病及びパーキンソニズム、脳卒中、発作、掻痒状態、精神病、ハンチントン舞踏病、ALS、認知障害、片頭痛、ジスキネジア、鬱病を治療または予防するため、及び/または嘔吐を治療、予防または抑制するための有用な治療剤の例には、当該技術分野で知られているものが含まれ、当業者によって選択され得る。
本開示の組成物は、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を、薬学的に許容可能な担体または賦形剤と混合することを含む方法によって調製される。混合は、化合物(または誘導体)及び薬学的に許容可能な担体または賦形剤を混合するために知られている方法を使用して達成され得る。一実施形態では、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物は、有効量で組成物中に存在する。
5.7 キット
本開示は更に、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の動物に対する取り扱い及び投与を簡略化し得るキットを提供する。
本開示の典型的なキットは、式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の単位剤形を含む。一実施形態では、単位剤形は、有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物及び薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含有する、無菌であり得る第1の容器を含む。キットは、病態を治療または予防するための式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物の使用を指示するラベルまたは印刷された指示書を更に含み得る。キットは、第2の治療剤の単位剤形、例えば、有効量の第2の治療剤及び薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含有する第2の容器を更に含み得る。別の実施形態では、キットは、有効量の式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物、有効量の第2の治療剤及び薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含有する容器を含む。第2の治療剤の例には、上記で列挙したものが含まれるがこれらに限定されない。
本開示のキットは、単位剤形を投与するのに有用な装置を更に含み得る。そのような装置の例には、注射器、点滴袋、パッチ、吸入具、及び浣腸袋が含まれるがこれらに限定されない。
5.8 他の化合物
本明細書で言及される他の化合物には:
が含まれる。
化合物405の合成(実施例9、欄103~108)及び所定の関連特性(実施例18、欄116~117)は、とりわけ、米国特許第8,476,271号に開示されており、これは本明細書によってその全体が参照により組み込まれる。化合物405Kは、化合物405の一カリウム塩である;それは当業者に知られている方法によって調製された。化合物W-212393の合成(実施例18、欄20)及び所定の特性(実験例1~3及び5、欄22~22)は、とりわけ、米国特許第7,566,728号に開示されており、これは本明細書によってその全体が参照により組み込まれる。本出願における実施例を通して、化合物W-212393の遊離塩基、すなわち、非塩形態が使用された。
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されており、本明細書に記載され、特許請求されている本発明を特に限定するものとして解釈されるべきではない。当業者の視野の範囲内であろう現在知られているまたは後に開発される全ての均等物の置換、及び製剤の変更または実験設計の変更を含む本発明のそのような類型は、本明細書に組み込まれる発明の範囲内であるとみなされるべきである。
6.実施例
以下の所定の実施例は、睡眠障害の治療または予防を、そのような治療を必要とする動物に式(1)、(1A)、(1B)、もしくは(1C)の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、または式(1D)、(1E)、もしくは(1F)の化合物もしくはその溶媒和物を投与することによって行うための方法に関する。
6.1 実施例1:ヒト治験プロトコル
不眠障害を有する対象において、睡眠効率(「SE」)、持続性睡眠までの潜時(「LPS」)、睡眠開始後の覚醒(「WASO」)、及び総睡眠時間(「TST」)に対する化合物(1D)の効果を評価する第1相の無作為化二重盲検単一施設交差入院及び外来患者試験を実施した。試験では、約24人の完遂者(すなわち、投薬期間1及び2の両方を完了した対象)を達成するために最大で約40人の対象を無作為化した。対象は、睡眠障害(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Edition,American Psychiatric Association Publishing,Arlington,VA(2013)(“DSM-5”)によって定義される)を有し、重大な医学的または精神医学的既往歴を他に有しない年齢が18~60歳男性及び女性を包括的に含んでいた。
この試験では、10日間の治療期間中、およそ5日間の間隔を空けた2つの別々の投薬期間(投薬期間1及び2)の各々において、経口投与される化合物(1D)またはプラセボの2夜連続投薬を使用した。化合物(1D)を0.5%w/wメチルセルロース(METHOCEL A4C Premium,Dow Chemical Co.,Midland,MI)を含む水性懸濁液で経口投与した。10mgの用量は、投薬バイアルから化合物(1D)の懸濁液、続いて投薬バイアルの4回以上の滅菌水灌注すすぎ液(1回のすすぎ液当たり20mL)及び合計240mLとなる十分な水を投与することによって達成され、各対象は彼らの習慣的な就寝時刻の中央値の30分前に投薬される。化合物(1D)の水性懸濁液に合わせるためのプラセボを同様に経口投与した。プラセボは、0.5%w/wメチルセルロース(METHOCEL A4C Premium)も含むコーンスターチ(UNI-PURE FL,Ingredion Germany GmbH,Hamburg,Germany)の水性懸濁液からなっていた。
試験は3つの期間:(1)無作為化前(最大28日)、(2)治療(10日)、及び(3)追跡調査からなっていた。
(1)無作為化前期間プロトコルは、スクリーニング来診とそれに続く合格対象についてのベースライン来診からなり、各々は以下の通り詳細に記載されている。
スクリーニング来診の間(-28~-8日目)、バイタルサイン、病歴、睡眠歴及び精神科歴、臨床検査結果、妊娠検査結果、薬物スクリーニング結果、コロンビア自殺重症度評価尺度(「C-SSRS」)評価、ならびにECGを得た。禁止薬剤のウォッシュアウトが必要とされた場合、このウォッシュアウトはスクリーニング中に完了させた。スクリーニング来診を成功裏に完了した対象は、習慣的就寝時間の中央値を評価することができるように、ベースライン来診の前の最低7日間連続して完了した睡眠習慣日記を受領した。
ベースライン来診の間(-7~-5日目)、対象は-7日目の午後または夕方に臨床施設に到着した。その時、彼らは2夜連続の滞在を開始し、その間、各対象は最初の夜(夜1)に8時間の連続PSG記録を受けて、適格性基準を評価し、睡眠時無呼吸または覚醒を伴う周期的四肢運動を有する対象を除外した。合格対象は、2日目の夜(夜2)に更に8時間の連続PSG記録を受け、これは、ベースライン期間の夜1及び2で得られたデータの平均に基づいて対象が睡眠適格基準を満たしたかどうかを決定した。ベースライン来診の間、対象はまた、この試験で使用された精神測定試験(例えば、デジタル記号置換試験(「DSST」)、精神運動不眠症タスク(「PVT」)、及びカロリンスカ眠気尺度(「KSS」))を実行し、気分状態-標準(「POMS-標準」)及び睡眠後質問票のプロファイルを把握した。対象の睡眠の質及び量に関する知覚を評価するために、睡眠後質問票は、「昨夜、あなたはベッドに入って光が消えてから眠りに落ちるまでに何分かかりましたか」、「あなたは夜の間に何回起きましたか」、及び「1が不良であり、10が優である1~10のスケールで、あなたは昨夜のあなたの睡眠の質をどう評価しますか」などの質問をした。ベースライン来診後に全ての適格基準を満たした対象は、治療期間(投薬期間1及び2)に入るためにおよそ7日後に戻った。
使用されたPSG記録手順の要約は以下の通りである。EEG電極のための標準的な配置は、睡眠のスコア化のためのAASMマニュアル(Berry et al.,“The AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events:Rules,Terminology and Technical Specifications,”Version 2.0.3,American Academy of Sleep Medicine,Darien,IL,(2014))に準じて、A1-A2ラベルのM1-M2への変化を除き、国際10-20システム(例えば、Jasper,“The ten-twenty electrode system of the international federation,”Electroencephalography Clin.Neurophys.10:371-375(1958)を参照されたい)に従って導き出された。このシステムは、電極が、目印の解剖箇所に対して測定される関係で配置されることを必要とする。EOG、顎下EMG電極、前脛骨筋EMG電極、及び気流センサーの標準的な配置は、睡眠のスコアのためのAASMマニュアルと一致していた。
EEG記録に使用される電極は、EEG記録に使用することが意図された標準的な金または銀カップ電極であった。これらの電極は直径およそ4~10mmであり、適切なコネクタを有する細いワイヤに接続された。EOG及びEMG記録に使用された電極は、適切なコネクタを有する細いワイヤに電極を接続することを可能にするスナップオンコネクタを有するおよそ12mmの直径の自己接着性電極であった。ECG記録に使用された電極は、適切なコネクタを有する細いワイヤに電極を接続することを可能にするスナップオンコネクタを有するおよそ12mmの直径の自己接着性電極であった(例えば、3M RED DOT電極またはMEDITRACE電極)。
電極との接触点における頭皮及び皮膚表面を、綿棒を使用して製造業者の推奨に従って頭皮及び皮膚表面の両方に低刺激性研磨洗浄剤を適用することによって電極の配置前に徹底的に洗浄した。研磨された表面を拭くためにイソプロピルアルコールを使用した。次いで少量の導電性EEGペーストを頭皮または皮膚表面及びカップ電極に適用した。顔面または身体の毛が所望の部位に存在したときは、必要とされる電極配置からのわずかな逸脱が可能であった場合、電極を隣接領域に移動させ、そうでなければ顔面または身体の毛を除去した。
全てのEEG、EOG、顎下EMG、四肢EMG、及びECG電極の電気インピーダンスは5kオーム未満であった;商業的に利用可能なインピーダンスメーターを使用して記録の開始前に電気インピーダンスをチェックした。デジタルPSGシステムは、「消灯」の45分前に実施された各PSG記録の前に較正された。較正は、既知の電圧の内部で生成された入力信号の使用を含み、それは生理学的データが測定及び定量化されたベンチマークとして機能した。デジタルPSG較正設定は以下の通りである:
EEG信号の取得は、高周波フィルタ設定のおよそ3倍の最小サンプリング率で行われた。具体的には、指定された高周波フィルタ設定を使用して収集されたEEGの最小サンプリング率は、1秒当たり少なくとも100サンプル、すなわち100Hzであった。256Hzを超えるサンプリング率は使用されなかった。全てのPSGデータの最小保存率は200Hzであった。
生物学的較正または「生体較正」は、ベッドで仰向けにある対象が静かに目を覚ましたまま横になり、PSG信号の質が評価され得るように特定の動作または運動を特定の順序で実施する手順である。消灯の15分前に生体較正を実施した。しかしながら、生体較正手順の完了直後に、対象は起きて、消灯の前に「落ち着く」ための妥当な時間を残すために起き上がるように指示された。対象は、頭部または身体の動きが生体較正信号を不明瞭にする作為をもたらさないように、生体較正手順が実施されている間、不必要に彼らの頭部または身体を動かさないように指示された。以下のスケジュールに従ってPSGの夜に生体較正手順を実施した:
特定の順序で示された18チャネルの記録のPSG「スクリーニングモンタージュ」を夜1に使用した。特定の順序で示された12チャネルの記録の「治療モンタージュ」を夜2及び治療夜に使用した。以下の電極の逸脱または位置をスクリーニングモンタージュから除外して治療モンタージュを得た:左前脛骨筋、右前脛骨筋、鼻/口気流(サーミスタ)、鼻気流(鼻圧トランスデューサ)、呼吸インダクタンスプレチスモグラフィ、及び呼吸インダクタンスプレチスモグラフィ。
(2)10日間の治療期間は、およそ5日間離れた2つの投薬期間(投薬期間1及び2)を含んでいた。継続的な適格性が確認されたら、1日目のチェックイン時に対象を治療に関して無作為化した。投薬期間1(1~3日目)及び投薬期間2(8~10日目)の各々は、2夜連続の滞在からなり、その間、対象はその投薬期間の両方の晩に同じ試験薬(化合物(1D)またはプラセボのいずれか)を投与された。試験無作為化スケジュールに従って各投薬期間中に各対象の習慣的就寝時間の中央値(睡眠日記から決定される最も近い1/4時間)の30分前に試験薬を投与した。各試験期間中の試験における全ての対象について、顕微鏡検査による尿検査を最初の投薬後に実施し、試験薬の2回目の用量の投与前に結果を評価した。C-SSRSは1日目及び8日目のチェックイン時及び3日目及び10日目の退院前にも投与された。
試験薬の晩時間の投薬後、対象は8時間の連続的なPSG記録を受けた。翌日の残留効果をDSST、KSS、POMS標準、及びPVTによって評価し、これらは全て、「点灯」からおよそ30分後に開始して指定された順序で収集された。PSG記録後、点灯の30分後から開始し、その後90分毎に消灯後およそ16時間、全ての試験(点灯時に一度投与されたPOMS標準を除く)を臨床単位で投与した。各対象はまた、主観的印象が彼らの睡眠の質及び量について評価され得るように、点灯後に1回睡眠質問票を完成させた。各投薬期間中の2回目の夜の投薬の前に、対象はあらゆる残留眠気について評価された。継続的な鎮静作用を示した対象については、2回目の夜の投薬を差し控えた。残留症状が最小限になるまで対象はクリニックに残った。
投薬期間1からの退院(3日目)の前に、対象は顕微鏡法、化学及び血液学による尿検査を収集した。
各投薬期間において、初回投薬直後に24時間の採尿を開始した。各期間における2回目の投薬後に血液を採取して、薬物及び場合によりその代謝産物の濃度を決定した。
(3)追跡期間(16~19日目)は、前回の来診以来の有害作用及び併用薬剤/療法の使用を監視するために、試験薬の最後の投薬から7~10日後に完了した電話を含んでいた。
6.2 実施例2:統計方法
一般に、分類変数は、対象の数(「n」)及び百分率によって要約された。連続変数は、欠損していない観測値の数(「n」)、平均、標準偏差(「SD」)、平均の標準誤差、中央値、ならびに最小値及び最大値によって要約された。
全分析集団(「FAP」)は、無作為化され、1回用量の試験薬を投与された対象の群であった。各治療群について試験薬への曝露を行った。有効性についての分析集団はFAPであった。
有効性評価項目-主要な有効性変数は、PSGによって測定されるSEに対する化合物(1D)の影響であった。要約及び分析の目的のため、PSGから得られた平均SEを治療毎に対象毎に使用した。それは、治療期間またはベースライン当たり1日目及び2日目のSEの平均をとることによって導き出された。各治療期間中の2回のPSG夜を比較前に平均した。これらの日のうちの1日のみのデータが利用可能であった場合、利用可能なデータはその期間の測定値として採用した。ベースライン、ポストベースライン、及びSEのベースラインの変化を記述統計学を使用することによって治療群毎に要約した。化合物(1D)対プラセボを比較するための統計分析は、期間、順序、及び固定効果としての治療、ランダム効果としての順序内の対象、及び共変量としてのSEのベースライン測定を含む混合モデルアプローチを使用することによって実施した。0.05の両側有意水準を比較のために使用した。
対象は8時間のPSG記録を受け、PSGが収集され、中央リーダーによってスコア化された。睡眠段階は、30秒のエポックに基づくAASM標準基準に従ってスコア化された。LPS、REM潜時、NAW、TST、WASO、ならびにN1、N2、N3、及びREMの段階の合計分を含む睡眠ポリグラフ検査パラメータを、2つの治療期間(化合物(1D)対プラセボ)の間で比較した。睡眠後質問票によって測定された睡眠の質及び睡眠の深さもまた、2つの治療期間(化合物(1D)対プラセボ)の間で比較した。
ベースライン、ポストベースライン、及びWASOのベースラインからの変化を記述統計学を使用することによって治療群毎に要約した。その分析は、期間、順序、及び固定効果としての治療、ランダム効果としての順序内の対象、及び共変量としてのWASOのベースライン測定を含む混合モデルアプローチを使用することによって実施した。
他の副次的変数(LPS;TST;N1、N2、N3、及びREMの段階の合計分;REM潜時;PSGにより測定されるNAW;ならびに睡眠後質問票によって測定される睡眠の質及び深さ)を要約し、WASOパラメータについて上記で詳述したように分析した。DSST、KSS、POMS標準、及びPVTによって測定された翌日の残留効果パラメータは、記述統計学を使用して要約された。
欠損データの取り扱い-ベースラインからの変化の分析のために、ベースラインは一般に、予定通りの6日目またはそれより前の投薬前評価として定義された。この値が利用できなかった場合、投薬前の最後の欠損していない値を使用した。そうでなければ、欠損観察値は無作為に欠損として扱われ、データ補完は実施されなかった。
サンプルサイズの測定-サンプルサイズの推定値を裏付ける理論的根拠は、Scharf et al.(“A multicenter,placebo-controlled study evaluating zolpidem in the treatment of chronic insomnia,”J.Clin.Psychiatry 55(5):192-199(1994))によって公表されたPSG試験の結果から導き出された。慢性不眠症においてPSGによって測定した10mgのゾルピデムの低用量群についての平均パーセントSEは典型的には、プラセボ群よりも7%高く、25~40分の増加を表している。その上、Roth et al.(“A 2-night,3-period,crossover study of ramelteon’s efficacy and safety in older adults with chronic insomnia,”Curr.Med.Res.Opin.23(5):1005-1014(2007))の公表物において、活性及びプラセボの間の差のSDはおよそ9であった。SEについてのORL-1活性用量に関する既存の情報の非存在下において、この試験では、10のSDを分散の控え目な推定値として使用した。
安全性-対象の有害作用(「AE」)をMedical Dictionary for Regulatory Activities(“MedDRA”,version 16.1)を使用して好ましい用語及び関連するシステム器官クラス(「SOC」)に分類した。治療中発生AE(「TEAE」)は、試験薬の最初の投薬後に開始するかまたは重症度が増大するAEとして定義された。試験薬の最初の投薬後に発生するAEは、TEAEと見なされ、投与された最も直近の治療に割り当てられた。安全性集団のSOC内にネストされたMedDRAの好ましい用語によって各治療群のAEの発生率を提示することによって治療緊急AEを要約した。
6.3 実施例3:睡眠効率の結果
上記の実施例1及び2に記載された期間の各々について得られた全SEデータセットは、以下の表1における二重線の上に提供されている;スクリーニング及び治療についての編集及び分析は、表1における二重線の下に表示されている。
表1:1夜当たりの投薬後8時間の睡眠効率(「SE」)の概要(全分析集団)
以下の表2は、SE測定の結果を要約している:図1における棒チャートはSEのグラフ表示を提供し、「平均」棒は各試験期間の夜1及び夜2の評価の平均を表す。
図1及び表2におけるデータから明らかなように、主要な有効性変数である睡眠効率は、治療群において有意に増加し、11.8分のLSM増加効果を示した。
6.4 実施例4:持続性睡眠までの潜時の結果
上記の実施例1及び2に記載された期間の各々について得られた全LPSデータセットは、以下の表3における二重線の上に提供されている;スクリーニング及び治療についての編集及び分析は、表3における二重線の下に表示されている。
表3:1夜当たりの持続性睡眠までの潜時(「LPS」)(分)の概要(全分析集団)
以下の表4は、LPS測定の結果を要約している:図2における棒チャートはLPSのグラフ表示を提供し、「平均」棒は各試験期間の夜1及び夜2の評価の平均を表す。
図2及び表4におけるデータから明らかなように、副次的有効性変数である持続性睡眠までの潜時は、治療群において有意に減少し、17.4分のLSM減少効果を示した。
6.5 実施例5:睡眠開始後の覚醒の結果
上記の実施例1及び2に記載された期間の各々について得られた全WASOデータセットは、以下の表5における二重線の上に提供されている;スクリーニング及び治療についての編集及び分析は、表5における二重線の下に表示されている。
表5:1夜当たりの睡眠開始後の覚醒(「WASO」)(分)の概要(全分析集団)
以下の表6は、WASO測定の結果を要約している:図3における棒チャートはWASOのグラフ表示を提供し、「平均」棒は各試験期間の夜1及び夜2の評価の平均を表す。
図3及び表6におけるデータから明らかなように、副次的有効性変数である睡眠開始後の覚醒は、治療群において有意に減少し、38.5分のLSM減少効果を示した。
6.6 実施例6:総睡眠時間の結果
上記の実施例1及び2に記載された期間の各々について得られた全TSTデータセットは、以下の表7における二重線の上に提供されている;スクリーニング及び治療についての編集及び分析は、表7における二重線の下に表示されている。
表7:1夜当たりの総睡眠時間(「TST」)(分)の概要(全分析集団)
以下の表8は、TST測定の結果を要約している:図4における棒チャートはTSTのグラフ表示を提供し、「平均」棒は各試験期間の夜1及び夜2の評価の平均を表す。
図4及び表8におけるデータから明らかなように、副次的有効性変数である総睡眠時間は、治療群において有意に増加し、ほぼ1時間:56.7分のTST増加効果を示した。
6.7 実施例7:化合物(1F)、405K、及びW-212393の溶解性のインビトロアッセイ
化合物の水溶解性はしばしば望ましい特徴である。例えば、化合物の水溶解性により、その化合物を、動物に投与され得る様々な剤形により容易に製剤化することが可能になる。化合物が血液に十分に可溶性ではない場合、それは血液から沈殿する場合があり、したがって、動物の薬物への曝露は投与用量に対応しない。水溶解性は、化合物が動物の血液中に沈殿しない可能性を高め、化合物の標的部位での曝露を予測する能力を高める。
溶解性を決定した最初の手順は以下の通りであった。化合物をジメチルスルホキシドに溶解させて、DMSOストック溶液中の10mM試験化合物を提供した。96ウェルv底プレート(0.5mL/ウェル)の小型マグネチックスターラーを含有する32ウェルの各々に、約6.8のpHを有する400μLの日本薬局方崩壊試験溶液番号2(「JP2」)を添加した。4μLの試験化合物ストック溶液を各ウェルに添加し、プレートをプレートスターラー上に置き、溶液を約25℃の温度で約16時間混合した。次いで、全てのウェルからの溶液を、スターラーを有しない新しいプレートの対応するウェルに移した。新しいプレートを約25℃の温度で1,200の相対遠心力で10分間遠心分離した。
サンプルプレートは以下のように調製した。各々の新しいプレートウェルからの化合物/JP2上清の50μL部分を、浅い96ウェルのv底LC-MSサンプルプレートの対応するウェルに移した。各々の新しいプレートウェルからの化合物/JP2上清の別の150μL部分をポリカーボネートフィルタープレート(Millipore MSSLBPC10)の対応するウェルに移し、Millipore真空マニホールドを使用して濾過し、濾液を浅いウェル受領プレートで収集した。各々の受領プレートウェルからの濾液50μLを、LC-MSサンプルプレートの対応するウェルに移した。各サンプルプレートウェルに50μLのHPLCグレードメタノールを添加し、溶液を混合し、ウェルをセプタムで封止した。
LC-MS参照プレートもまた、500μLのメタノール、次いで500μLの水で順次希釈したDMSO中の10mMの各化合物の溶液1μLを含有する複数のウェルを用いて調製した。
各サンプルプレートウェルからの化合物溶液10μLをUV検出器を有するLC-MS装置に注入し、282nm(30nm幅)、244nm(20nm幅)、及び223nm(6nm幅)におけるピークのピーク面積を得た。その試験化合物についての5μLの参照標準も注入し、同じピークの面積を得た。装置のMS部分を使用して正しいピークが分析されたことを確認した。複数のサンプル及び参照測定から、各ピーク波長について平均の化合物の溶液濃度を計算し、次いで全波長での結果を平均して表にした最終溶解性の結果を提供した。
各化合物の溶解性を決定する第2の手順は、6.8のpHを有する50mMのリン酸緩衝液がJP2に置き換わり、遠心分離を省略し、撹拌の完了後に次いで各ウェルの内容物全体をメタノールのその容量の2倍で希釈したことを除き上述の通りであった。その後、2倍容量のメタノールで希釈した。分析は、上述した3つのピークでのUV検出を用いたHPLCによるものであった。決定されたピーク面積から、各ピーク波長について平均の化合物の溶液濃度を計算し、全波長での結果を平均した。10μMの試験化合物参照標準を三重に作製し、各波長について決定された面積を平均した。試験化合物の溶解性は以下のように計算した:
以下の表9は、化合物(1F)、化合物405K、及び化合物W-212393の遊離塩基についての溶解性測定の結果を要約している。2つの別々の測定からの結果(それぞれ上述の方法の各々による)が化合物(1F)及び405Kについて提示されている。
化合物(1F)は水溶液中で高度に可溶性であった。例えば、約6.8のpHにおいて、化合物(1F)は少なくとも35μMの水溶解性を有していた。対照的に、化合物405Kは、約6.8のpHにおいて、平均で約6.5μMの比較的低い水溶解性を有していた。このpHにおけるその水溶解性は、多くとも、約0.19の化合物(1F)の溶解度[6.5/35=0.19、6.5/50=0.13]であった。
6.8 実施例8:化合物(1F)、405K、及びW-212393の代謝安定性のインビトロアッセイ
化合物(1F)、405K、及びW-212393の比較インビトロ代謝安定性は、例えば、米国特許第9,290,488号(本明細書によってその全体が参照により組み込まれる)の実施例14に開示されている手順に従ってヒト肝臓ミクロソームまたはラット肝臓ミクロソームへの曝露の際に決定した。Crj;CDラットまたはヒトからの肝臓ミクロソームを2μMの各試験化合物と共にインキュベートし;その後、上清を、存在する試験化合物の濃度についてHPLC-MSによって分析した。
プールされた20mg/mLのヒト肝臓ミクロソームをXenoTech LLC(Lexena、KS、カタログ番号H0610)から入手した。ラット肝臓ミクロソームは、8週齢のCrj:CD(SD)オスラットから得た。代替的に及び所望の場合、ラット肝臓ミクロソームは、例えば、XenoTech(プールされたSprague-Dawleyラット肝臓ミクロソーム、20mg/mL、カタログ番号R1000)から商業的に入手することができる。β-NADPH(β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド2’-ホスフェート還元四ナトリウム塩水和物)は、Oriental Yeast Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から入手した。
2μMの初期濃度で存在する各試験化合物を、50mMのトリス-HCl緩衝液(7.4pH)、150mMのKCl、10mMのMgCl2、及び1mMのβ-NADPHの懸濁液中の0.5mg/mLのヒトミクロソームまたはラットミクロソームのいずれかの存在下で37℃でインキュベートした。試験化合物の100倍濃縮溶液をミクロソーム調製物の1つに添加してインキュベートを開始した。37℃での0分または30分のいずれかのインキュベートの後、2倍容量のアセトニトリル/メタノールの1/1混合物を添加することによってインキュベートを終了させた。その後、ミクロソーム調製物からのタンパク質及び他の巨大分子を遠心分離によって除去した。全てのインキュベートを二重に行った。
HPLC-MS装置を使用してインキュベートの0分または30分後に平均試験化合物濃度を決定した。HPLCシステムは、インライン脱気器、温度制御オートサンプラー、及びカラムオーブンを備えたWaters2795分離モジュール(Waters Corp.,Milford,MA)からなっていた。分析カラムは、Waters ATLANTIS C18 3.5μm、2.1mm×20mmカラムであった。質量分析器は、陽イオン化モードで作動し且つステンレス鋼スプレーキャピラリーを利用するエレクトロスプレーイオン化源を備えたWatersZQ、単一四重極質量分光計であった。
各インキュベート後に得られた5μL容量の上清を、約25℃の温度に維持された上述の逆相カラムに注入し、溶媒勾配(溶媒Aは0.1%ギ酸水溶液であり、溶媒Bはアセトニトリルである)を使用して溶出した。HPLC溶出条件は以下の通りであった:5%の溶媒B(残りは溶剤Aである);続いて0.1分で90%の溶媒Bへの直線勾配;続いて2.9分間の90%の溶媒B:続いて0.1分で5%の溶媒Bへの勾配。次いで次の注入の前に1.5分間カラムを5%/95%の溶媒B/溶媒Aで平衡化した。流速は0.4mL/分で一定に維持した。MSは選択されたイオン記録モードで操作された。キャピラリーエネルギー及びコーンエネルギーは、それぞれ1.5~2.5kV及び20~40Vであった。
ヒト肝臓ミクロソームまたはラット肝臓ミクロソームのいずれかの存在下での30分のインキュベート後に残存している試験化合物の割合を、0分及び30分のインキュベート後の平均試験化合物濃度の測定から計算した。
以下の表10は、化合物(1F)、405K、及び化合物W-212393についての代謝安定性測定の結果を要約している。
表10における結果から分かるように、肝臓ミクロソーム源のいずれか1つへの曝露の際の化合物W-212393の代謝安定性は、100%(すなわち、未代謝化合物の値)を有意に下回っていた。例えば、ヒト肝臓ミクロソームへの曝露の際の化合物W-212393の代謝安定性、すなわち、0分のインキュベート後に存在する初期量に対する30分のインキュベート後に残存する化合物の量(初期量の百分率として表される)はわずか27.3%であった。対照的に、ヒト肝臓ミクロソームへの曝露の際の化合物(1F)の代謝安定性は、はるかに大きく、98.7%、すなわち約3.6倍高かった(98.7%/27.3%)。別の例では、ラット肝臓ミクロソームへの曝露の際の化合物W-212393の代謝安定性はわずか58.4%であった。対照的に、ラット肝臓ミクロソームへの曝露の際の化合物(1F)の代謝安定性95.3%は、約1.6倍高かった(95.3%/58.4%)。これらのインビトロの結果に基づいて、化合物(1F)はインビボで肝臓による代謝に抵抗するのに有効であり、それ故、より利用可能であることは、化合物W-212393よりもORL-1受容体調節において有効であると考えられる。
6.9 実施例9:化合物(1C)/(1E)、405K、及びW-212393の生物学的利用能のインビボアッセイ
各測定には、Charles River Laboratories Japan,Inc.から入手したオスのスプラーグドーリー[Crl:CD(SD)]ラットを使用した。ラットは試験化合物投与の日に8週齢であった。イソフルラン麻酔下で、試験化合物投与の少なくとも3日前にカニューレチューブを頸静脈に挿入するための手術をラットに最初に施した。血液サンプリング装置の状態及び手術後のそれらの体重変化に基づいて、更なる試験のためにラットを選択した。
試験される各化合物をメチルセルロース水溶液で2匹のラットに1回経口投与した。メチルセルロース400cP(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)が全ての投与に使用されたメチルセルロースであった。経口投与用の各製剤を作製するために、適量の試験化合物を瑪瑙乳鉢に量り取り、0.5w/v%メチルセルロース水溶液ビヒクルで懸濁して、0.2mg/mLの濃度の試験を受ける化合物の懸濁液を提供した。
ラットは、非絶食状態で無麻酔下で1mg/kgで経口投薬された。抗凝固剤(0.89MのEDTA-2K及び20%ヘパリン)を含有する1mLシリンジを使用して頸部カニューレを通して血液(0.2mL/サンプル)を投薬後の様々な時点(0.25、0.5、1、2、4、6、8、及び24時間)で採取した。各サンプリング後、置換液(0.2mLの生理食塩水)を頸部カニューレを通して投与した。得られた血液サンプルを約4℃の温度で3,500rpmで10分間遠心分離して血漿を得た。その後、各血漿サンプルをチューブに移し、後の後処理及び分析のために冷凍庫内で保存した。
血漿サンプルのタンパク質沈殿後に得られた上清を、タンデム質量分光検出(「LC-MS-MS」)を用いた液体クロマトグラフィーによって分析して、各時点での試験化合物の濃度を決定した。このようにして分析されたサンプルは、内部標準なしで調製された。そのため、分析方法は、同一条件下で様々な既知量の検体が混入されたブランク(すなわち、投与されていない)血漿の分析から構築された検量線を利用した。この情報から、薬物動態学的パラメータ、特に生物学的利用能は、非コンパートメントモデルに基づいてWINNONLINソフトウェア(Certara,L.P.,Princeton,NJ)を使用して計算された。
化合物(1)に関して、この実施例では複数の測定を行った(離塩基化合物(1C)を用いるもの及び一塩酸塩化合物(1E)を用いるもの)。これを示すために、化合物(1C)/(1E)という表示が使用される。以下の表11は、化合物(1C)/(1E)、405K、及びW-212393についての生物学的利用能の測定の結果を要約している。複数の測定からの平均生物学的利用能が表11に提供されている。平均に続く括弧内の数字は、平均が得られた測定の数を示している。化合物(1C)/(1E)について、平均が得られた生物学的利用能の測定結果は、低い25.7%から高い58.5%の範囲であった。
表11における結果から分かるように、平均生物学的利用能は、化合物W-212393については化合物(1C)/(1F)と比較して著しく低かった。具体的には、化合物(1C)/(1E)の生物学的利用能は、平均で41.4%であった。対象的に、化合物W-212393の平均生物学的利用能は2.1%であった。それ故、とりわけ、受容体調節に生物学的利用可能な化合物(1C)/(1E)の量は、少なくとも約20倍高かった(41.4%/2.1%=19.7)。全ての14実験からの化合物(1C)/(1E)について測定された最も低い生物学的利用能値25.7%でさえ、生物学的利用可能な化合物(1C)/(1E)の量は依然として化合物W-212393よりも少なくとも約12倍高かった(25.7%/2.1%=12.2)。
6.10 実施例10:遊離未結合化合物(1F)及びW-212393のインビトロアッセイ
ラット血清への化合物(1F)またはW-212393のインビトロ結合の程度は、例えば、米国特許第9,290,488号(本明細書によってその全体が参照により組み込まれる)の実施例15に開示されている手順に従って受容体活性を調節するための遊離非結合化合物の利用可能性の評価として決定した。透析セルの一方のチャンバに試験化合物を含有するラットからの血清を他方のチャンバでリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)で透析し;その後、各チャンバからの上清を、存在する試験化合物の濃度について分析した。
0.5mg/kgの各試験化合物を、1/1のN,N-ジメチルアセトアミド/1,2-プロパンジオール中に可溶化した。ラット(Crl:CD(SD)、オス、給餌済)の頸静脈に挿入されたカニューレを介して採取された全血の凝固及び遠心分離(4℃で10分間3000rpm)後に、対照ラット血清が上清生成物として得られた。50μLの各試験化合物溶液を1.2mLの対照ラット血清に添加した。血清サンプル中の各試験化合物の最終濃度は、適切な容量のPBSを添加することによって2μg/mLに調整された。平衡透析に好適なセルを測定に使用した。SPECTRA/POR透析膜(12,000~14,000Daの分子量カットオフを有する、Spectrum Laboratories,Inc.,Rancho Dominguez,CA)は、透析セルを2つのチャンバに分離した。試験化合物を含有する血清サンプルの500μLアリコートを透析セルの一方のチャンバ(血清チャンバ)に適用した。PBSの500μLアリコートを透析セルの他方のチャンバ(PBSチャンバ)に適用した。透析試験は各試験化合物について二重に行った。
37℃で24時間の平衡透析の後、透析セルの血清チャンバから30μLの液体を採取し、これに270μLの新鮮なPBSを添加した(この組み合わせをサンプル「A」と指定した)。次いで、透析セルのPBSチャンバから270μLの液体を採取し、これに30μLの対照ラット血清を添加した(すなわち、どの試験化合物にも曝露されていないラット血清、この組み合わせをサンプル「B」と指定した)。5~10倍容量のメタノールをサンプルA及びBの各々に添加した。その後、各々をメタノールと激しく混合し、次いで遠心分離した(4℃で10分間3000rpm)。各上清をLC-MS-MSによって分析した。
各試験化合物について、サンプルA及びBの各々に存在する試験化合物の平均量をLC-MS-MS分析によって得られたピーク面積から決定した。その後、遊離未結合試験化合物の割合を、サンプルBから測定した試験化合物の量をサンプルA及びサンプルBから測定した試験化合物の量の合計で除した比から計算した。
以下の表12は、化合物(1F)及びW-212393についての遊離未結合化合物画分測定の結果を要約しており、「未結合画分(%)」は血漿タンパク質に結合していない遊離化合物の百分率である。複数の測定からの結果は、化合物(1F)について提供されている。
表12における結果から分かるように、遊離未結合化合物画分は、化合物W-212393については化合物(1F)と比較して著しく低かった。具体的には、化合物(1F)の遊離未結合化合物画分は、平均で67.5%であった。対照的に、化合物W-212393の遊離未結合化合物画分は、0.1%未満であった。それ故、とりわけ、受容体調節に利用可能な化合物(1F)の量は、平均で、化合物W-212393よりも少なくとも約675倍多かった(67.5%/0.1%)。
6.11 実施例11化合物(1C)、405K、及びW-212393の脳透過性のインビボアッセイ
ラット脳ホモジネートとラット血漿との間の化合物(1C)、405K、またはW-212393のインビボ分布を測定した。この方法では、血漿と脳ホモジネートとの混合物がマトリックスを含んでおり、それをLC-MS-MSによって分析した。
0.5mg/kgの各試験化合物を、1/1のN,N-ジメチルアセトアミド/1,2-プロパンジオール中に可溶化して、ブレンドを提供した。そのブレンドを麻酔したラット(Crl、CD(SD)、オス、給餌済)に1回静脈内投与した。投薬後30分で、全血を各麻酔したラットの腹部大動脈から採取し、脳を速やかに取り出した。
水(3倍重量)を添加した後、POLYTRONホモジナイザー(Kinematica,Inc.,Bohemia,NY)を使用して脳を25%(w/w)ホモジネートとして調製した。測定に対するマトリックスの影響を最小限にするために、次いで脳ホモジネートサンプルに、以下の遠心分離条件を使用して得られた等量の対照(すなわち、投薬されていない)ラット血漿を添加した。
全血の遠心分離(4℃で10分間3,500rpm)によって投薬されたラットの血漿サンプルを採取した。測定に対するマトリックスの影響を再度最小にするために、血漿サンプルに、無傷対照(すなわち、未投薬の)ラットからの脳抽出物を用いること以外は上述のように調製された等量の対照脳ホモジネートを添加した。
5~10倍容量のメタノールを脳ホモジネートサンプル及び上記で調製した血漿サンプルに添加した。激しい混合の後、遠心分離によって各々から得られた上清をLC-MS-MSによって分析した。各々の脳ホモジネートサンプル及び血漿サンプル中の試験化合物のピーク面積を測定した。試験される各化合物について、脳ホモジネートサンプル及び血漿サンプルの各々に存在する化合物の平均量をLC-MS-MS分析によって得られたピーク面積から決定した。その後、以下のように脳ホモジネートサンプル(MPA
脳)の平均ピーク面積及び血漿サンプル(MPA
血漿)の平均ピーク面積からK
p値を計算した。
以下の表13は、化合物(1C)、405K、及びW-212393についての脳透過測定の結果を要約している。2つの別個の測定の群からの結果は、化合物(1C)について提供されている。
表13における結果から分かるように、化合物W-212393の脳透過性は化合物(1C)と比較して著しく高かった。具体的には、化合物W-212393の脳透過性は0.5であった。対象的に、化合物(1C)の脳透過性は平均で0.033であった。それ故、化合物W-212393の脳透過の量は、化合物(1C)の脳透過よりも少なくとも約15倍高かった(0.5/0.033=15.2)。化合物(1C)について測定された最大の脳透過値であっても、化合物W-212393の脳透過の量は、化合物(1C)の脳透過よりも少なくとも約13倍高かった(0.5/0.040=12.5)。
6.12 実施例12:化合物(1F)、405K、及びW-212393のタンパク質結合のインビトロアッセイ
ラット血漿への化合物(1F)、405K、またはW-212393のインビトロ結合の程度は、各化合物、すなわち、受容体活性の調節に利用できない化合物のタンパク質結合の評価として決定された。透析セルの一方のチャンバに試験化合物を含有するラットからの血漿を他方のチャンバでPBSで透析し;その後、各チャンバからの上清を、存在する試験化合物の濃度について分析した。
平衡透析に好適なセルを測定に使用した。実施例10に記載された透析膜(12,000~14,000Daの分子量カットオフを有する)は透析セルを2つのチャンバに分離した。透析セルに入れる前に、膜を精製水及びPBSに浸した。
各試験化合物の静脈内製剤4μLをラット血漿996μLに添加し(後者は実施例10に記載の手順によってヘパリン及びEDTAを含有するシリンジを使用して得られた)、2μg/mLの試験化合物濃度を有する血漿サンプルを提供した。450μLの血漿サンプルを透析セルの一方のチャンバ(血漿チャンバ)に適用した。PBSの450μLアリコートを透析セルの他方のチャンバ(PBSチャンバ)に適用した。透析試験は各試験化合物について二重に行った。
37℃で24時間の平衡透析の後、透析セルの血漿チャンバから30μLの液体を採取し、これに270μLの新鮮なPBSを添加した(この組み合わせをサンプル「1」と指定した)。次いで、透析セルのPBSチャンバから270μLの液体を採取し、これに30μLの対照ラット血漿を添加した(すなわち、どの試験化合物にも曝露されていないラット血漿、この組み合わせをサンプル「2」と指定した)。その後、各サンプルをよく混合し、次の分析工程まで冷凍庫内で保存した。
タンパク質が冷凍庫内で沈殿した後、このようにして得られた各上清を未結合の試験化合物についてLC-MS-MSによって分析した。各試験化合物について、サンプル1及び2の各々に存在する試験化合物の平均量をLC-MS-MS分析によって得られたピーク面積から決定した。その後、ラットタンパク質結合(「RPB」)試験化合物の割合を以下のように計算した:
以下の表14は、化合物(1F)、405K、及びW-212393についてのラットタンパク質結合測定の結果を要約している。複数の測定からの結果は、化合物(1F)について提供されている。
表14における結果から分かるように、ラットタンパク質結合化合物の量は、化合物(1F)については化合物405Kと比較して低かった。具体的には、化合物(1F)の結合化合物画分は平均で52%であった。対照的に、化合物405Kの結合化合物画分は約86%であった。化合物W-212393は血漿中で不安定であることが証明された;それは測定の過程で分解したので、出発分子構造の存在は上清中で測定することができなかった。
6.13 実施例13:化合物(1D)、405、及びW-212393のインビボ機能観察総合評価。
化合物(1D)を0.5w/v%メチルセルロース水溶液で0(ビヒクル対照)、60、300、及び600mg/kgの用量レベルで6匹のラット/群に1回経口投与して、機能観察総合評価(「FOB」)を使用することによってCNSに対する影響を評価した。FOBは投薬前及び投薬後最大24時間行った。対照動物(6匹のラット)は、同様の手法で0.5w/v%メチルセルロース水溶液ビヒクル(以下「0.5%MC」)を投与された。メチルセルロース400cP(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan)が全ての投与に使用されたメチルセルロースであった。ビヒクル中の試験物質の濃度及び均一性の分析及び検証は、当業者に知られている方法によって行われた。測定された試験物質濃度は、公称濃度の100.7~102.0%であり、相対標準偏差は1.0%または2.0%であった。
受領時に4週齢のオスのCrl:CD(SD)ラットは、Charles River Laboratories Japan,Inc.から入手した。それらを2週間(受領から投薬の1日前まで)22.1~23.6℃の温度で12時間の明暗サイクルに順応させた。ラットをケージに入れている間、飲料水を自由に提供した。動物は、それらを前の晩から少なくとも16時間絶食させた場合は、投薬前を除いて食物に自由にアクセス可能とした。投薬の日に、食物は投薬後8時間で提供した。
順応期間中に身体状態または体重に異常を示さないラットの体温を30~60分の間隔で2回測定した。体重が178~220gであり、個々の平均体温が37℃~39℃の範囲であり、2つの値の間の変動がより少ない6週齢のラットを試験のために優先的に選択した。選択したラットを、体温に基づく層別無作為化手順を使用して6匹の群に無作為に分けた。
単回投与は、投薬の日(投薬前)のその体重に基づいて計算した各ラットについての投薬量で行った。投薬製剤を、スターラーで徹底的に撹拌しながら適切なサイズの無菌の使い捨てポリプロピレン注射器に吸い込み、次いで胃挿管チューブを使用して強制経口投与によりラットに投与した。以下の複数の時点でラットの観察を3人の観察者によって行い、その観察者は全員投薬中は動物室の外にいた:投薬前及び投薬後0.5(任意)、1、2、4、6(任意)、8(任意)、及び24(任意)時間。観察者1は、ホームケージ及びハンドヘルド観察ならびに体温測定値を記録した。観察者2は、オープンフィールド観察を記録した。観察者3は、感覚運動反射についての観察を記録した。表15は、観察者によって認められた特定の観察パラメータを提供している。
平均群値及びSDを数値データ(体温、瞳孔サイズ、後肢着地開脚、握力)について計算し、データをバートレット検定を使用して分散の均一性について分析した(有意水準5%)。分散が群間で均一であった場合、ダネット検定を対照群と試験物質群の間で行った。バートレット検定に基づいて分散が不均一であった場合、ダネット型の平均順位検定を行った。対照群との差を両側5%有意水準で評価し、p<0.05またはp<0.01として示した。予定された時点での体温及び瞳孔サイズについて投薬前の値との差を計算し、平均値及びSDとして示した。これらの値に関して統計分析は行われなかった。
対照と任意の化合物(1D)治療群との間には、体温、瞳孔サイズ、後肢着地開脚、または前肢握力において統計的に有意な差は認められなかった。投薬後4または8時間で、300及び600mg/kg群の各々で1匹のラットに自発運動量の減少が観察された;しかしながら、これらの時点でのこの知見は、投薬後4~8時間の間に1または2匹の対照ラットにおいても観察されたので、治療に関連しないと考えられた。要約すると、化合物(1D)を最大で600mg/kg経口投薬した後のいずれの時点においても、ホームケージ、ハンドヘルド、オープンフィールド、または感覚運動反射の観察項目において化合物(1D)の治療に関連した変化は認められなかった。
結論として、化合物(1D)は最大で600mg/kgでラットの一般的な身体状態または行動に影響を及ぼさなかったので、その無有害作用量(「NOAEL」)はこの試験では600mg/kgであった。
観察者は、上述の手順に従って化合物405を投与した際の以下の表16における有害作用を認めた。
10mg/kgでは、投薬された6匹のラットのうち1匹のみに接触反応の増加が観察された。その上、それは穏やかで一過性の効果であったため、これはわずかな生理学的な意義にすぎないものである可能性が高かった。しかしながら、より重度のFOBパラメータ異常はより高い用量で明白であった:30、100、及び300mg/kgでの噛み付き行動及び30及び300mg/kgでの跳躍。これらの観察されたFOB異常に照らして、この試験において化合物405のNOAELは10mg/kgであると結論付けられた。
観察者は、上述の手順にも従って化合物W-212393を投与した際の以下の表17における有害作用を認めた。
表17:化合物W-212393の投与で観察された有害作用
300mg/kgの化合物W-212393の用量では、全てのラットについて重度のFOBパラメータ異常が観察された。そのため、大幅に低い用量(1及び3mg/kg)で追加の評価を実施した。3mg/kgの用量で観察されたFOB異常とは異なり、1mg/kgの用量の化合物W-212393は、一般的行動または神経行動機能に影響を及ぼさなかった。この試験では、化合物W-212393のNOAELは1mg/kgであると結論付けられた。
6.14 実施例14化合物(1D)のインビボ反復投与は、覚醒状態を減少させ、NREM睡眠を増加させた
化合物(1D)を0.5w/v%メチルセルロース水溶液で30mg/kgの用量レベルで7日間ラットに1日1回経口投与した後、8日目に投与を中止し、その脳波に対する影響(EEGを介して)及び四肢運動(EMGを介して)を評価した。対照動物は同様の手法で0.5%のMCを投与された。使用されたメチルセルロースならびに投与された化合物(1D)溶液の濃度及び均一性の分析及び確認は実施例13に記載した通りであった。
受領時6週齢のオスのCrl:CD(SD)ラットは、Charles River Laboratories Japan,Incから入手した。22~24℃の温度で、それらを少なくとも5日間、午前6時から午後6時まで光を点灯させて12時間の光暗サイクルに順応させた。飲料水及び食物は自由に提供された。意識のある自由に動く齧歯動物からのEEG及びEMGデータを記録するために設計された遠隔測定送信機(TL10M3-F50-EEE、Data Sciences International,Inc.,Shanghai)を使用した。イソフルラン麻酔ラットにおいて、遠隔測定送信機を腹腔内に移植し、リード線を皮下トンネルを通して背頸部を介して外部に出した。ラットを定位固定フレーム上に置き、脳アトラスに従ってEEG電極を移植した。EEG電極を頭頂皮質(ブレグマ[頭頂骨及び前頭骨を結合する矢状及び冠状縫合が一緒になる頭蓋骨の点または領域]から後部:1.8mm、側部:±3.5mm)及び後頭皮質(ブレグマから後部:5.2mm、側部:±2.0mm)の硬膜上に置いた。EMG記録用の2つのステンレス鋼ワイヤをラットの背側頸部筋肉内に移植した。各EEG電極及びステンレスワイヤは、遠隔測定送信機のリード線にはんだ付けされ、これは急速自己硬化性アクリル樹脂(ADFA,Shofu,Inc.,Kyoto,Japan)で頭蓋骨に固定された。手術後、各ラットをその尾に記された通し番号によって独自に特定した。抗生物質(0.1mLのマイシリンゾル/ラット[Meiji Seika Pharma Co.,Ltd.,Tokyo)及び鎮痛剤(0.05mLの塩酸ブプレノルフィン/kg[0.2mgのレペタン/mL、Otsuka Pharmaceutical Co.,Ltd.,Rockville,MD])を手術の日に開始して4日間ラットに筋肉内投与して、それぞれ、感染を予防し、痛みを軽減した。回復期間(手術後少なくとも5日)の間、最初の投薬日まで、ラットをそれらの記録ケージにおいて上述したように再度順応させた。
投薬期間の最初の日を1日目と指定し、2~7日目に毎日投薬を続けた。ラットは1日目に8~10週齢であった。連続的なEEG及びEMGの記録(DATAQUEST A.R.T.記録ソフトウェア[Data Sciences International Inc.,Tokyo]を使用)は、期間の1、4、及び7日目の投薬の1時間前に開始し、1及び4日目の投薬後少なくとも24時間、及び7日目の投薬後少なくとも48時間続けた。EEG/EMG記録のためのサンプリング周波数は500Hzであった。表18に示される交差実験投薬設計を使用して、ビヒクルで処理されたラットと比較した場合のEEG/EMG分析による睡眠・覚醒サイクルに対する化合物(1D)の影響を評価した。
実施例13に記載されているように、試験物質投与は経口強制投与によるものであり、各々の名目上200gのラットについての投薬量は、投薬の日のその正確な体重に基づいて投薬前に計算した。投薬は午後5:30と午後5:50との間に行われた。投与が行われなかった7日間のウォッシュアウト期間を期間14.1と14.2の間に用いた。
この試験の目的のため、収集されたEEG/EMGデータを20秒の長いエポックに構造化した。各エポックを、覚醒状態、REM睡眠、またはNREM睡眠のいずれかとして分析ソフトウェア(SLEEPSIGN,Kissei Comtec Co.,Ltd.,Nagano,Japan)によってスコア化した。自動スコア化が正しかったことの確認として、全てのエポックについてのデータを手動で調べた。各睡眠段階に費やされた時間の割合は、分析ソフトウェアによって1時間毎及び3時間毎の「時間ブロック」について計算した。この試験の目的のため、いずれの時間ブロックについても、NREM睡眠に費やされた時間の割合とREM睡眠に費やされた時間の割合との合計は、睡眠に費やされた時間の割合、すなわち、睡眠・覚醒サイクルの睡眠部分に属し、覚醒状態に費やされた時間の割合は、非睡眠に費やされた時間の割合、すなわち、睡眠・覚醒サイクルの覚醒部分に属し、NREM睡眠、REM睡眠、及び覚醒状態に費やされた時間の合計は100%に等しかった。試験中に死亡したか、またはエポック分析に影響を及ぼした可能性がある騒音に曝露されたラットからの結果は除外した。得られた結果は平均値±STDEとして表した。統計分析は、対応のないスチューデントのt検定を使用してSAS分析ソフトウェア(Release 9.4,SAS Institute Japan,Ltd.,Tokyo)によって実施した。試験から得られた結果は図5~12に図示されている。図5~図12において、特定のデータ点またはバーに隣接する記号+は、そのデータ点またはバーについて、p<0.05の対応のないスチューデントのt検定によるビヒクルとの有意差があることを示している。また、これらの図において、特定のデータ点またはバーに隣接する記号*は、そのデータ点またはバーについて、p<0.01の対応のないスチューデントのt検定によるビヒクルとの有意差があることを示している。
1日目では、図5Aは、1時間の「時間ブロック」に集められた覚醒状態に費やされた時間の割合が、ビヒクル群と比較して投薬後約13時間(「消灯期間」、すなわち、化合物(1D)の投与後約0.5時間~約13時間)の間の多くの時点で減少傾向を示し、投薬から4時間後において著しく減少したことを図示している。具体的には、4時間において覚醒状態の量(約52%)は、ビヒクル群の約81%と比較した場合に有意に減少した。同時に、図5Cは、望ましいNREM睡眠に費やされた時間の割合が、ビヒクル群と比較して消灯期間中の多くの時点で増加傾向を示し、投薬から4及び5時間後において有意に増加したことを実証している。具体的には、4及び5時間において、NREM睡眠の量(それぞれ約41%及び54%)は、各々をビヒクル群と比較した場合(それぞれ約17%及び31%)、有意に増加した。図5Bは、あまり望ましくないREM睡眠に費やされた時間の割合がしばしば減少し、投薬から7時間後では有意に減少したこと、すなわち、ビヒクルの約7.3%と比較して30mg/kgの化合物(1D)では約2.5%に減少したことを示している。これらのデータは、1日目の化合物(1D)の単回30mg/kg用量が、特に消灯期間中に睡眠増強効果を有し、睡眠を誘発したという証拠を提供する。
3時間の「時間ブロック」に集められた1日目の覚醒状態、REM睡眠、及びNREM睡眠の割合の量が図6に示されている。図6Aによれば、投薬後3~6時間で、覚醒状態の総量(約47%)は、ビヒクル群の約65%と比較した場合、化合物(1D)の投与で有意に減少した。図6Cによれば、NREM睡眠の総量(約46%)は、ビヒクル群の約30%と比較した場合に有意に増加した。図6Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がなかったことを図示している。これらのデータはまた、1日目の化合物(1D)の単回30mg/kg用量が、特に消灯期間中に睡眠増強効果を有し、睡眠を誘発したという証拠を提供する。
4日目では、図7Aは、図5Aと同様に、覚醒状態に費やされた時間の割合が、消灯期間中の多くの時点で減少傾向を再び示したことを図示している。同時に、図7Cは、NREM睡眠に費やされた時間の割合が、ビヒクル群と比較して、4日目の消灯期間中の多くの時点で増加傾向を示し、投薬後4時間で有意に増加した(すなわち、ビヒクルの約20%と比較して30mg/kg/日の化合物(1D)では約42%)ことを実証している。図7Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がなかったことを図示している。図8Aから、投薬後3~6時間で覚醒状態の総量(約55%)は再び有意に減少した一方で、図8Cによれば、NREM睡眠の総量は再び有意に増加した(約41%)(各々をビヒクル群と比較した場合(それぞれ約78%及び19%))ことが認められ得る。図8Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がなかったことを図示している。
7日目では、図9は、覚醒状態に費やされた時間の割合が、消灯期間中のいくつかの時点で減少傾向を示したことを図示している。同時に、図9Cは、望ましいNREM睡眠に費やされた時間の割合がまた、ビヒクル群と比較して7日目の消灯期間中のいくつかの時点で増加傾向を示したことを図示している。図9Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がなかったことを図示している。図10Aから、投薬後3~6時間で覚醒状態の総量は減少傾向を再び示した一方で、図10Cによれば、NREM睡眠の総量はビヒクル群と比較した場合に増加傾向を再び示したことが認められ得る。図10Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がなかったことを図示している。
7日の期間にわたる化合物(1D)の投与の結果は、最小のタキフィラキシー、すなわち、薬物の連続投薬に対する反応の減少により、継時的に有効性が低くなることを実証している。図5~10から、望ましくは、30mg/kg/日の化合物(1D)の投与または反復投与は、消灯期間後の時間(「点灯期間」、すなわち、投与後約13時間~約24時間)中に覚醒状態に費やされた時間の割合またはNREM睡眠に費やされた時間の割合のいずれにも有意な悪影響を及ぼさなかったことも認められ得る。それ故、7日間の反復投与は、30mg/kg/日の化合物(1D)用量ではラットにおいて耐性または残存効果のいずれも誘発しなかった。
まとめると、これらのデータは、化合物(1D)の30mg/kg/日用量の投与がラットにおいて有意な睡眠増強効果をもたらすことを実証した。
化合物(1D)の7日目の最終投与から約25時間後に開始した8日目についての図11Aに示されたデータは、覚醒状態に費やされた時間の割合がいくつかの時点、例えば、27、35、及び46時間で有意に増加した一方で、図11Cによれば、NREM睡眠に費やされた時間の割合は、ビヒクル群と比較した場合、消灯及び点灯期間中の同じ時点で有意に減少したことを示している。これらのデータは場合により、30mg/kg/日の化合物(1D)を7日間繰り返し投与した後、1日間投薬を中止すると、ラットにおいて8日目の反跳不眠症が誘発されたことを示唆していると解釈される可能性がある。しかしながら、そのような解釈は他の知見と矛盾する。例えば、図11Bは、化合物(1D)の先行投与が8日目においてREM睡眠に費やされた時間に影響を及ぼさなかったことを図示している。その上、図12A~12Cから、化合物(1D)の先行投与は、消灯期間のほとんどの間で有意な効果を及ぼさず、8日目において覚醒状態及びNREM睡眠の割合量に対して初期消灯期間(24~27時間)中にのみ有意な効果を及ぼし、それぞれ前者を増加させ、後者を減少させたことが認められ得る。
6.15 実施例15:ゾルピデムと比較した化合物(1D)のインビボ投与
化合物(1D)を、実施例14に記載されたように0.5w/v%メチルセルロース水溶液でラット集団に10mg/kgまたは100mg/kgのいずれかの用量レベルで1回経口投与し、その脳波(EEGによる)及び四肢運動(EMGによる)に対する影響を評価した。対照ラットは、0.5%MCビヒクルまたは0.5%MC中10mg/kgの睡眠緩和薬ゾルピデム(Sigma-Aldrich Japan K.K.,Tokyo)の陽性対照のいずれかを同様の手法で1回経口で投与された。酒石酸ゾルピデムに関する2017年3月の処方情報によれば、推奨されるヒト単回投与経口用量は、5または10mgのいずれか、すなわち、60kgのヒトの場合、それぞれ0.083または0.17mg/kgであることに留意されたい。以前の研究では、10mg/kgのゾルピデムの単回経口用量よりもはるかに多い場合、ラットにおけるNREM睡眠の誘導が予想されることが明らかにされた。この実施例において他に逆に開示されていない限り、この実施例の実験手順は実施例14に記載されている通りであった。
EEG及びEMGの記録は、投薬の1時間前に開始し、投薬後少なくとも24時間続けた。表19に示される交差実験投薬設計を使用して、ビヒクルで処理されたラットと比較した場合のEEG/EMG分析による睡眠・覚醒サイクルに対する化合物(1D)またはゾルピデムの影響を評価した。
期間15.1と15.2、期間15.3と15.4、及び期間15.5と15.6の間に7日間のウォッシュアウト期間を用いた。試験から得られた結果が図13~18に図示されている。図13~図18において、特定のデータ点またはバーに隣接する記号+は、そのデータ点またはバーについて、p<0.05の対応のないスチューデントのt検定によるビヒクルとの有意差があることを示している。また、これらの図では、特定のデータ点またはバーに隣接する記号*は、そのデータ点またはバーについて、p<0.01の対応のないスチューデントのt検定によるビヒクルとの有意差があることを示しており、特定のデータ点またはバーに隣接する記号Δは、そのデータ点またはバーについて、p<0.001の対応のないスチューデントのt検定によるビヒクルとの有意差があることを示している。
10mg/kg用量の化合物(1D)では、図13Aは、1時間の「時間ブロック」に集められた覚醒状態に費やされた時間の割合は、ビヒクル群と比較して、消灯期間中に化合物(1D)の投薬から2、5、及び8時間後で低かったことを図示している。しかしながら、覚醒状態は、投薬から6時間後、すなわち、消灯期間中、及び投薬から15時間後、すなわち、点灯期間中に、ビヒクル群と比較して有意に増加した。図13Cは、NREM睡眠に費やされた時間の割合が、ビヒクル群と比較して、化合物(1D)の投薬から2、5、及び8時間後により高かったことを図示している。しかしながら、NREM睡眠は、ビヒクル群と比較した場合、投薬から6及び15時間後で有意に減少した。図13Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がないことを図示している。また、それぞれ図14A~14Cに示されるように、データが3時間の「タイムブロック」に集められた場合、覚醒状態、REM睡眠、及びNREM睡眠の割合の量に比較的小さな影響があり、有意な変化はなかった。まとめると、これらのデータは、化合物(1D)の単回10mg/kg用量の投与が、ラットにおいて小さな睡眠増強効果を有することを示唆していた。
100mg/kg用量の化合物(1D)では、図15Aは、覚醒状態に費やされた時間の割合が、ビヒクル群と比較した場合、消灯期間中の投薬から3及び5時間後ならびに点灯期間中の投薬から17時間後で有意に減少したことを図示している。図15Cは、NREM睡眠に費やされた時間の割合が、ビヒクル群と比較した場合、消灯期間中の投薬から3、4、5、及び7時間後ならびに点灯期間中の投薬から17及び18時間後で有意に増加したことを図示している。図15Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がないことを図示している。それぞれ図16A及び16Cに示されるように、データを3時間のブロックに集めた場合、覚醒状態及びNREM睡眠の割合量において同等の有意な変化が明らかであった-0~3、3~6、及び15~18時間での覚醒状態の有意な増加及び0~3、3~6、6~9、及び15~18時間でのNREM睡眠の有意な減少。図16Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がないことを図示している。まとめると、これらのデータは、化合物(1D)の単回100mg/kg用量の投与が、特に消灯期間中にラットにおいて有意な睡眠増強効果を有することを実証した。
10mg/kg用量のゾルピデムでは、図17Aは、覚醒状態に費やされた時間の割合が、消灯期間中に投薬から1及び10時間後で、各々をビヒクル群と比較した場合(それぞれ約79%及び71%)、有意に減少した(それぞれ約46%及び43%)ことを図示している。また、覚醒状態に費やされた時間の割合は、点灯期間中に投薬から15時間後で、ビヒクル群と比較した場合(約51%)、有意に増加した(約69%)。図17Cは、NREM睡眠に費やされた時間の割合が、消灯期間中に投薬から1時間後で有意に増加し、点灯期間中に投薬から15時間後で有意に減少した(それぞれ約53%及び30%)(ビヒクル群と比較した場合(それぞれ約18%及び47%))ことを図示している。図17Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がないことを図示している。データが3時間のブロックに集められた図18C及び18Aはそれぞれ、ビヒクル群と比較した場合、投薬から0~3時間後でNREM睡眠の有意な増加を確認し、投与から0~12時間後の期間にわたって覚醒状態の減少傾向を図示している。図18Bは、REM睡眠に費やされた時間の割合に対する比較的小さな影響があり、有意な影響がないことを図示している。まとめると、これらの結果は、10mg/kgのゾルピデムの単回用量が、睡眠増強効果を提供し、消灯期間中に睡眠を誘発することを実証した。これらの結果はまた、これらの条件下で実施された実験が、ラットにおいて化合物(1D)の睡眠増強効果を検出するのに十分に感知できることを実証した。
6.16 実施例16:化合物(1D)の安全率
実施例13は、最大で600mg/kgの用量でもラットの一般的な身体状態または行動に影響がないことから、化合物(1D)のNOAELは少なくとも600mg/kgであることを実証した。10mg/kgの用量の化合物(1D)が小さな睡眠増強効果を有することを示した実施例15とは対照的に、実施例14は、化合物(1D)が30mg/kgの用量で不眠症の緩和/NREM睡眠の誘発に有効であることを実証した。これらの実施例によって提供されたデータから、化合物(1D)の安全率は少なくとも20倍、すなわち、(>600mg/kg)/30mg/kgであることが決定され得る。
6.17 実施例17:化合物(1C)、405、及びW-212393の結合効力及び活性反応
ORL-1、ミュー-オピオイド、カッパ-オピオイド、及びデルタ-オピオイド受容体に対する化合物(1C)または405、これらの化合物の遊離酸及び遊離塩基形態の結合効力Kiを、放射性リガンド用量-置換アッセイによって米国特許第8,476,271号の実施例18で決定した。同様に、ORL-1受容体に対する化合物W-212393、この化合物の遊離塩基形態の結合効力を、米国特許第8,476,271号の実施例18及びそれが言及するその実施例で提供されている手順に従って決定し、その全ては本明細書によってそれらの全体が参照により組み込まれる。結合効力の結果は表20に要約されている。
ORL-1、ミュー-オピオイド、及びカッパ-オピオイド受容体に対する化合物(1C)及び405の活性反応は、機能的[35S]GTPγS結合アッセイによって米国特許第8,476,271号の実施例18で決定された。同様に、ORL-1受容体に対する化合物W-212393の活性反応を、米国特許第8,476,271号の実施例18及びそれが言及するその実施例で提供されている手順に従って決定し、その全ては本明細書によってそれらの全体が参照により組み込まれる。活性反応の結果は表21に要約されている。
表21におけるORL-1のE最大の結果から、約47~48%の値を有する化合物(1C)及び405はそれぞれ部分アゴニストであることが分かる。対照的に、約103%のE最大を有する化合物W-212393はアゴニスト、すなわち、完全アゴニストである。
6.18 実施例18:ヒトにおける化合物(1D)のインビボ血漿濃度
化合物(1D)の血漿濃度を、メチルセルロース懸濁液の形態の化合物(1D)の3、10、または30mgの単回経口用量の投与後最大36時間ヒトにおいて評価した。4人の健康な男性対象に各用量を投与した。
図19Aは、各用量:3、10、及び30mgでの線形時間(時)に対する線形スケールでの化合物(1D)のヒト血漿濃度のプロットを提供している。図19Bは、各用量において線形時間に対する対数スケールでの化合物(1D)のヒト血漿濃度のプロットにおける同じ結果を提供している。図19Aに示される標的血漿曝露は、ラットモデル化結果からの対象の80%における有効用量に関する。
そのようなプロットから得られた薬物動態学的情報を以下の表22に要約しており、AUCtは、投与時から、面積の増加が測定可能であった最終予定サンプリング時点(すなわち、3mg用量では12時間、10mg用量では4人の対象のうち3人については18時間(他の対象については12時間)、及び30mg用量では18時間)までで決定された曲線下面積を表し;AUC無限は、投与時から無限時に対する外挿までで決定された曲線下面積を表し;C最大は、化合物(1D)の最大血漿濃度であり;t最大は、C最大が達成される時間であり;t1/2は半減期であり;CV%はパーセント単位の変動係数である。
表22:化合物(1D)のヒト投与に関する薬物動態学的概要統計
表22における結果は、3回の投薬にわたって化合物(1D)の急速な胃腸吸収があることを実証している。特に、平均t最大は、3回の投薬にわたって同様であり、すなわち、1.6、1.5及び1.8時間であり、約1時間の最小から約3時間の最大の範囲であった。表22における結果はまた、短い最終排出半減期があることを実証している。特に、平均t1/2は短く、3回の投薬にわたって同様であり、すなわち、2.3、2.6及び2.8時間であり、約2.1時間の最小から約3.2時間の最大の範囲であった。
6.19 実施例19:動物における放射性標識化合物(1D)のインビボクリアランス
ラット、イヌ、及びサルからの化合物(1D)のクリアランスは、放射性標識形態の化合物について動物からの排泄物サンプル(及び必要に応じて対照)を分析することによって決定した。
具体的には、液体シンチレーションカウンティング(「LSC」)を全放射性標識化合物(1D)材料、すなわち、元または親化合物及びその代謝産物の測定のために使用した。合成された放射性標識化合物(1D)は、分子のキノキサリン骨格のフェニル基炭素原子として14Cを含み、本明細書では[14C]-化合物(1D)として表示される。薬物動態学的試験のために放射性標識として14Cを使用することは認識されている技術であり、環構造への放射性標識の埋め込みは、放射性標識の移動または交換を非化合物(1D)関連分子に制限するために行われた。合成された[14C]-化合物(1D)のロットについての比放射能は、HPLCによって測定される98.5%を超える放射化学純度を有し、2.50MBq/mg(67.6μCi/mg)[材料が遊離塩基形態として存在すべきであった場合は3.49MBq/mg(94.4μCi/mg)]であった。合成された放射性標識[14C]-化合物(1D)は、使用前に-80℃の温度で遮光して保存された。
実験動物への[14C]-化合物(1D)の(適切なビヒクル、例えば、メチルセルロース懸濁液での)経口投与後、排泄物サンプルを特定の時間間隔にわたって採取した。投薬後に尿サンプルを一定の間隔で採取した。糞便サンプルを可溶化する前に均質化及び希釈した。液体シンチレーション液をそれに添加した後、これらのサンプルのアリコートをカウントした。排泄サンプル中の放射能の検出限界は、LSCによって決定されるように(ブランクサンプルからの)環境カウントの2倍に設定した。[14C]-化合物(1D)は、約25℃の温度で尿中で約4~5時間安定であり、4℃で冷蔵して保持した場合、最大で15日間(ラットの尿)及び36日間(イヌの尿)安定であった。ラットの尿からの[14C]-化合物(1D)の回収率は典型的には約91.6~約99.1%であった。イヌの尿からの[14C]-化合物(1D)の回収率は典型的には約100.9~約105.0%であった。
ラットに与えられた[14C]-化合物(1D)の経口用量は急速に吸収され、広く分布し、急速に排出された。ラットの経口投薬後に最も高い[14C]-化合物(1D)量を有する臓器は肝臓及び腎臓であった。しかしながら、実施例8より言及されるべきであるが、放射性標識化合物はラット肝臓中に現れ、その理由はその中の高い血流であるが、非放射性標識化合物(1F)はラット肝臓ミクロソームまたはヒト肝臓ミクロソームのいずれかによって無視できるほど代謝された。投薬後72時間で任意のラットの組織において微量レベルのみの(定量化の限界未満の)[14C]-化合物(1D)誘導放射能が認められた。
試験した全ての種において検出された[14C]-化合物(1D)の主要な代謝産物はなかった。数個の少量の代謝産物のみが、動物の胆汁、尿、及び糞便中のタンデム質量分光検出を有する高速液体クロマトグラフィー(「HPLC-MS-MS」)によって同定された。これらの代謝産物は、6-水酸化物、1-水酸化物、脱炭酸塩、及び+2型の[14C]-化合物(1D)であった。
1週間の試験において、[14C]-化合物(1D)の排出は、オスのラット及びサルでは主に糞便によるものであったが、イヌでは尿及び糞便の両方によるものであった。以下の表23は、平均%排出が[14C]-化合物(1D)として投与された14Cの量に対する回収された14Cの量の比の平均から決定される結果の要約を提供している。
表23:経口投薬の168時間以内の[
14C]-化合物(1D)由来放射能の排出%。
より短い継続時間の試験では、メスのラットはオスのラットよりも尿を介して化合物(1D)のより多くを排出した。以下の表24はこれらの結果を要約している。
表24:経口投薬の48時間以内の化合物(1D)由来放射能の排出(%)
しかしながら、表24におけるデータから、排出された総量はオス及びメスのラットについて実質的に同一であったことが留意されるべきである。
この実施例から分かるように、総平均排出%は、試験された全ての種について極めて高く、約95%の低い値から本質的に100%の範囲であった。要約すると、この実施例における結果から明らかなように、[14C]-化合物(1D)は試験された全ての動物種においてインビボで不十分に代謝された。
6.20 実施例20:ヒトにおける化合物(1D)のインビボ腎クリアランス
化合物(1D)の腎クリアランスを、メチルセルロース懸濁液の形態の化合物(1D)の3、10、または30mgの単回経口用量の投与後最大36時間ヒトにおいて評価した。4人の健康な男性対象に各用量を投与した。以下の表25は、平均腎臓クリアランス、化合物(1D)の変化せずに排泄された平均総量、及び変化せずに排泄された平均用量百分率の形態で結果を提供している。
表25における結果は、化合物(1D)がヒト尿中に大部分は変化せずに排泄されたことを実証した。また、糸球体濾過に加えて活発な腎尿細管分泌があった。特に、3mgの経口用量の化合物(1D)は、胃腸管から水性懸濁液から本質的に完全に吸収され、3及び10mgの用量では、化合物(1D)の比較的急速な吸収及び排出があった。
本発明は、本発明のいくつかの態様の例示として意図される実施例に開示された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではなく、機能的に同等な任意の実施形態は本発明の範囲内にある。実際に、本明細書で示され、記載されたものに加えて本発明の種々の変更は当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。多数の参考文献が引用されており、その開示全体は全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。