JP7198045B2 - 試料調製方法、分析方法、品質管理方法及び装置 - Google Patents

試料調製方法、分析方法、品質管理方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを分析するための分析用試料を調製する方法、それを用いた分析方法及び品質管理方法、並びに装置に関する。
液体又は固体試料に含まれる全硫黄及び全ハロゲンの濃度を測定する方法としては、試料を酸素雰囲気下で燃焼させ、発生した気体を吸収液中に捕集し、この捕集液について、滴定により定量するフラスコ燃焼-滴定法や、イオンクロマトグラフィーにより定量する燃焼-イオンクロマトグラフ法等が用いられている。
あるいは、試料の燃焼分解は行わず、試料中に存在する測定可能な硫酸イオンやハロゲン化物イオンのみを測定し、この測定値を全硫黄及び全ハロゲンの濃度の指標とする方法が用いられている。
一方、上水処理や廃水処理等において、水中に酸素やオゾンを通気し、これに紫外線を照射して、水中の有機化合物を分解処理することが行われている。
例えば、非特許文献1には、合成洗剤であるアルキルベンゼンスルホン酸塩を、紫外線照射及びオゾン処理により水中から分解除去することが記載されている。また、特許文献1には、水中の窒素化合物及びリン化合物を、加温しながら、紫外線及びオゾンを用いて酸化分解する分析方法及び光酸化分解装置が記載されている。また、特許文献2には、気相中で試料を分解気化させて、気化物の分析を行うことによる有機物中の不純物分析法及び分析装置が記載されている。
特開平7-27758号公報(1995年1月31日公開) 特開平11-344440号公報(1999年12月14日公開)
衛生化学、Vol. 36(1990)、p.62-68
微量レベルの分析が求められる分野において、液体試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを低濃度で管理するために、これらの元素を高感度で精度よく定量し得る更なる分析方法が求められている。
したがって、本発明は、液体試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを高感度で分析するための分析用試料を調製する方法、それを用いた分析方法及び品質管理方法、並びに分析用試料調製装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、活性酸素種を用いて液体試料中の有機化合物を酸化分解することを特徴とする試料調製方法が上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
(1)液体試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを分析するための分析用試料を調製する方法であって、活性酸素種を用いて、前記液体試料中の有機化合物を酸化分解する工程を含むことを特徴とする試料調製方法。
(2)前記ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、上記(1)に記載の試料調製方法。
(3)前記ハロゲンは塩素であることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の試料調製方法。
(4)前記活性酸素種を用いて液体試料中の有機化合物を酸化分解する工程は、前記液体試料を、紫外線の照射下でオゾンと接触させることにより行うことを特徴とする、上記(1)~(3)のいずれかに記載の試料調製方法。
(5)前記オゾンは、無声放電方式で発生したオゾンであることを特徴とする、上記(4)に記載の試料調製方法。
(6)液体試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを分析する方法であって、上記(1)~(5)のいずれかに記載の試料調製方法によって取得した分析用試料中の硫黄及び/又はハロゲンを検出する検出工程を含むことを特徴とする分析方法。
(7)前記ハロゲンは塩素であり、前記検出工程は、イオンクロマトグラフ法によって検出することを特徴とする上記(6)に記載の分析方法。
(8)前記ハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素、又はそれらの組み合わせであり、前記検出工程は、イオンクロマトグラフ法と質量分析法又は誘導結合プラズマ質量分析法とを組み合わせて検出することを特徴とする上記(6)に記載の分析方法。
(9)上記(6)~(8)のいずれかに記載の分析方法よって検出された液体試料中の硫黄及び/又はハロゲンの量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程を含むことを特徴とする品質管理方法。
(10)上記(1)~(5)のいずれかに記載の試料調製方法を実施するための装置であって、液体試料を活性酸素種と接触させる接触部を備えることを特徴とする装置。
(11)オゾンを発生させるオゾン発生部、及び、紫外線を照射する紫外線ランプをさらに備えることを特徴とする、上記(10)に記載の装置。
本発明の一態様によれば、試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを高感度で分析するための分析用試料を調製する方法、それを用いた分析方法及び品質管理方法、並びに分析用試料調製装置を提供することができる。
実施例1で使用した試料調製装置の概略図である。 各時間経過後にガス吸収瓶から回収した水溶液について、イオンクロマトグラフ法により測定した硫酸イオン(SO 2-)の濃度変化を示すグラフである。 各時間経過後にガス吸収瓶から回収した水溶液について、イオンクロマトグラフ法により測定したメタンスルホン酸(MSA)の濃度変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.試料調製方法〕
本発明に係る試料調製方法は、液体試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを分析するための分析用試料を調製する方法であって、活性酸素種を用いて、前記液体試料中の有機化合物を酸化分解する工程を含む。
(液体試料)
本発明において、液体試料とは、水系試料、すなわち水を含む試料物質であって、溶液であっても懸濁液であってもよい。液体試料の具体例としては、微量の硫黄及び/又はハロゲンを含む可能性のある水系試料であって、例えば、燃料電池からの排水、シリコンウェハの洗浄液、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイスの洗浄液、有機ELデバイスの基板から剥離した有機薄膜を含む水溶液又は懸濁液、及びこれらの希釈液等が挙げられる。
本発明の一態様によれば、全有機炭素(TOC)が1000ppm未満、例えば、700ppm未満、さらには0~500ppmであって、全硫黄及び/又は全ハロゲンが僅かngオーダーである液体試料であっても、高感度で精度よく定量することができる。また、液体試料のTOCを上記範囲に調製することにより、試料中の有機化合物の酸化分解が完了するまでの時間を短縮することができる。なお、液体試料中のTOCは、例えば、燃焼酸化-赤外線吸収法、湿式酸化-赤外線吸収法、又は、湿式紫外線酸化-ガス透過膜導電率測定法等によって測定することができる。
しかしながら、液体試料中に含まれる硫黄やハロゲンがngオーダーと微量である場合、液体試料を乾燥・燃焼させるフラスコ燃焼-滴定法や燃焼-イオンクロマトグラフ法の定量下限値は0.X%オーダー又はμgオーダーであるため、これらの従来の燃焼法では、多量の試料を供試しなければならないが、多量の液体試料を燃焼させることは難しく、またブランク値を下げることが難しく、これら液体試料の微量定量に適用するには限界がある。そのため、例えば、燃料電池排水の分析方法として、一般的には、排水中のハロゲン化物イオンや硫酸イオンといった無機イオンのみを定量し、その値を燃料電池の分解劣化の指標とすることが行われている。あるいは、特定元素の分析に特化した分析装置を用いることなども知られているが、複数成分の一斉分析に対応していないため、一度の前処理と分析で複数成分の情報を得ることができない。
これに対し、本発明によれば、共存する目的成分以外の有機物も一緒に分解することができるため、夾雑物の影響を受けにくく、且つ、低いブランク値が達成され得るため、微量定量が可能である。さらに一度の前処理と分析で、複数成分の一斉分析が可能である。
(硫黄及び/又はハロゲン)
本発明において、分析対象は、硫黄及び/又はハロゲンであり、本発明によれば、試料に含まれる全硫黄及び/又は全ハロゲンを定量することができる。ハロゲンとしては、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等が挙げられ、好ましくは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)である。
(活性酸素種)
本発明において、活性酸素種は、大気中の酸素よりも高い反応性を有する酸素含有化合物を指し、例えば、ヒドロキシラジカル(OH)、スーパーオキシドイオン(O )等の酸素イオン等が含まれる。
これらの活性酸素種は、水系試料中で、紫外線と酸化剤(例えば、オゾン(O)、酸素(O)、過酸化水素(H))との反応により発生させることができる。あるいは、水系試料に紫外線を直接照射することによっても発生させることができる。水系試料中で紫外線とオゾンとを反応させることにより、発生する活性酸素種による高い分解速度が得られるため、特に好ましい。
オゾンを発生する方法としては、放電法、ランプ法等の慣用の手法を用いることができるが、高濃度のオゾンを清浄に発生させることができるため、無声放電方式が望ましい。また、清浄なオゾンを得るために、オゾン発生装置に供給する酸素ガスは高純度であることが好ましく、例えば純度99%以上であり、99.9%以上であることが特に好ましく、99.9999%以上であることがさらに好ましい。無声放電方式で酸素ガスを供給してオゾンを発生させた場合、得られるオゾン含有ガス中のオゾン濃度は、数%(数万ppm)オーダーであり、例えば、オゾン濃度が5ppm以上、特に100ppm以上の高濃度オゾン含有ガスを供給することが可能であり、更には400ppm以上のオゾン含有ガスを供給することができる。本発明の試料調製方法において、清浄且つ高濃度のオゾン含有ガスを用いることにより、低いブランク値が得られ、また、反応速度を高めることができる。なお、ガス中のオゾン濃度は、検知管等により測定することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る試料調製装置(1)の一例を示す図である。図1において、オゾン発生装置(3)から送達されるオゾン含有ガスは、ガス吸収瓶〔接触部(2)〕において、液体試料中に通気され、有機化合物の酸化分解反応に寄与した後に、トラップ管(4)(ガス吸収瓶からの排気の湿気を除去する)を経てオゾンキラー(5)(オゾン分解排気装置)に排気される。
(紫外線)
有機化合物の酸化分解工程において、液体試料中に導入されたオゾン(O)又は過酸化水素(H)に紫外線を照射することによって以下の反応が起こり、液体試料中に、酸化分解能を有する活性酸素種が発生すると考えられる。
Figure 0007198045000001
液体試料中に通気される活性酸素種の反応性を高めるために、照射する紫外線は、特に活性酸素種を発生しやすい200~280nmに波長をもつ近紫外線が用いられ、より好ましくは253.7~254nmの波長をもつ紫外線が用いられる。
紫外線の光源としては、エキシマランプ、水銀ランプ等の紫外線ランプが挙げられ、例えば、253.7nmの紫外線ランプを好適に使用することができる。具体的には、三共電気株式会社製の紫外線ランプGPL27、ウシオ電機株式会社製UL0-6DQ等が挙げられる。また、照射する積算光量としては、所望の量の活性酸素種を発生させるのに有効な量であればよく、適宜設定することができる。
別法として、有機化合物の酸化分解工程において、液体試料中に導入された酸素(O)に紫外線(184.9nm)を照射することによって乖離反応が起こり、オゾンが生成される。次いで、上記と同様にして、生成したオゾンに紫外線を照射することによって、液体試料中に酸化分解能を有する活性酸素種を発生させてもよい。
別法として、有機化合物の酸化分解工程において、液体試料に紫外線(184.9nm)を直接照射することによって、液体試料中に酸化分解能を有する活性酸素種を発生させてもよい。
Figure 0007198045000002
(酸化分解反応)
液体試料と活性酸素種とを接触させることにより、試料中の有機化合物が酸化分解される。
液体試料における活性酸素種の好適な濃度は、試料中に含まれる有機化合物濃度やpH等に応じて異なり、所望の反応速度が得られるように適宜設定することができる。例えば、液体試料中にオゾン含有ガスを通気する場合、その通気量は、液体試料の有機化合物濃度及びpH、並びに、オゾン含有ガスのオゾン濃度、液体試料中のオゾン溶存率等に応じて、適宜設定することができる。
本発明の一態様において、酸化分解反応は、常温常圧下で好適に行うことができる。または、液体試料中に有機化合物及び十分量のオゾンが溶解・溶存し、且つ、オゾンの反応性を高める範囲で、適宜に加温及び/又は加圧することもできる。
また、活性酸素種による酸化分解の進行程度及び完了は、例えば、液体試料中の全有機炭素(TOC)を測定することにより確認することができる。
〔2.分析方法〕
上記の試料調製方法によって取得した分析用試料中に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを検出することにより、液体試料中の全硫黄及び/又は全ハロゲンを定量することができる。
硫黄及び/又はハロゲンの検出工程において使用する分析方法は、硫黄及び測定対象とするハロゲンの種類に応じて適宜選択することができる。特に、全イオン及び全ハロゲンを安定なイオンの状態まで酸化分解することにより、イオンクロマトグラフ法(IC)、質量分析法(MS)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICPMS)等の高感度測定法と組み合わせて、ngレベルの微小量の定量が可能となる。イオンクロマトグラフ法による分析測定は、複数成分を一斉分析することが可能であり、また、共存する成分は互いに影響を受けにくいため、高感度で精度よい定量が可能である。例えば、全硫黄については、酸化分解反応により生成した硫酸イオン(SO 2-)をイオンクロマトグラフ法で測定することにより、定量することができる。また、全塩素については、酸化分解反応により生成した塩化物イオン(Cl)をイオンクロマトグラフ法で測定することにより、定量することができる。また、全臭素及び/又は全ヨウ素については、酸化分解反応により生成した臭化物イオン(Br)及び臭素酸イオン(BrO )及び/又はヨウ素酸イオン(IO )を、イオンクロマトグラフ法と誘導結合プラズマ質量分析法と組み合わせたイオンクロマトグラフ-誘導結合プラズマ質量分析法(IC-ICPMS)で測定することにより、定量することができる。また、酸化分解反応により生成した硫酸イオン(SO 2-)、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、臭素酸イオン(BrO )、ヨウ素酸イオン(IO )を一斉に定量する測定法として、イオンクロマトグラフ法と質量分析法とを組み合わせたイオンクロマトグラフ-質量分析法(IC-MS)を用いることができる。
〔3.品質管理方法〕
本発明に係る品質管理方法は、上述した本発明に係る分析方法によって検出された液体試料中の全硫黄及び/又は全ハロゲンの量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程を包含することを特徴としている。換言すれば、本発明に係る品質管理方法は、上述した本発明に係る試料調製方法によって取得した分析用試料中の全硫黄及び/又は全ハロゲンを検出する検出工程と、上記検出工程において検出された全硫黄及び/又は全ハロゲンの量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程とを包含するものである。
本発明の品質管理方法によれば、液体試料又はそれが由来する製品の品質管理を行うことができる。
例えば、液体試料が燃料電池からの排水(生成水)である場合、本発明に係る品質管理方法を用いれば、燃料電池の分解劣化の程度を精度よく推察することができ、品質管理を行うことができる。
また、液体試料がシリコンウェハの洗浄液、有機ELデバイスの洗浄液、有機ELデバイスの基板から剥離した有機薄膜を含む水溶液又は懸濁液である場合も同様に、本発明に係る品質管理方法を用いれば、不純物の混入を高感度で検出し、評価することができる。
上述したように、本発明に係る分析方法によれば、液体試料中に含まれる微量の硫黄及び/又はハロゲンを精確に分析することができる。このため、本発明に係る品質管理方法によれば、液体試料またはそれが由来する製品の品質をより厳密に管理することができる。したがって、本発明に係る品質管理方法は、厳密な品質管理が求められる、燃料電池や電子部品の品質管理に適している。
〔4.装置〕
本発明に係る装置は、上述した本発明に係る試料調製方法を実施するための装置であり、液体試料を活性酸素種と接触させる接触部を備えることを特徴とする。接触部においては、液体試料を活性酸素種と接触させることにより、液体試料に含まれる有機化合物を酸化分解し、試料中の全硫黄及び/又は全ハロゲンを一斉分析可能な分析用試料として調製することができる。
(接触部)
接触部の構成は、液体試料を収容することができ且つ液体試料に活性酸素種を十分に接触させることができる構成であれば特に限定されない。
例えば、接触部は、液体試料及び活性酸素種のいずれとも反応性が低く、且つ分析対象成分の溶出がない任意の材料からなる反応容器を含む。特に、紫外線を反応容器の外側から照射する場合、反応容器は、紫外線を透過させる材料からなることが好ましく、具体的には、無機ガラス製容器等が好適に用いられる。無機ガラスとしては、特に限定されないが、例えば、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ほう珪酸ガラス等を挙げることができる。この中でも、特に、254nm付近の紫外光の透過率が高く、不純物の少ない高純度のものを入手できるという点で、石英ガラスが好適に用いられる。
無機ガラス製容器の形状は、液体試料を収容することができ且つ液体試料に活性酸素種を十分に接触させることができる形状であれば特に限定されないが、例えば、ガス吸収瓶等を挙げることができる。
(活性酸素種供給部)
本発明の一態様において、装置は、接触部に活性酸素種を供給する供給部を備える。具体的には、活性酸素種がオゾンに由来する場合、供給部としてオゾン発生部を備える。オゾン発生部において、オゾンを発生する方法としては、放電法、ランプ法等の慣用の手法を用いることができるが、高濃度のオゾンを清浄に発生させることができるため、無声放電方式が望ましい。また、活性酸素種が過酸化水素水に由来する場合は、汚染防止のために、不純物の混入が少ない電子工業薬品グレードの過酸化水素水を用いることが望ましい。
(紫外線ランプ)
本発明の一態様において、装置は、接触部において液体試料に紫外線を照射する紫外線ランプを備えていてよい。紫外線ランプとしては、所望の波長及び光量に応じて任意の紫外線ランプを適宜選択することができる。例えば、253.7nmの紫外線ランプを好適に使用することができる。具体的には、三共電気株式会社製の紫外線ランプGPL27、ウシオ電機株式会社製UL0-6DQ等が挙げられる。
(清浄化部)
本発明の一態様において、装置は、活性酸素種供給部と接触部との間に、活性酸素種を清浄化する清浄化部を備えていてよい。これによって、活性酸素種を、液体試料と接触させる前に清浄化することができる。具体的には、活性酸素種がオゾンである場合、清浄化部において、オゾン発生部で発生したオゾンを純水と接触させることにより、オゾンをさらに清浄化することができる。容器の形状は、純水を収容することができ且つ純水に活性酸素種を十分に接触させることができる形状であれば特に限定されないが、例えば、ガス吸収瓶等を挙げることができる。
(配管)
活性酸素種供給部、清浄化部及び接触部等をつなぐ配管としては、配管由来の不純物が発生しにくい材料、例えば、禁油仕様のステンレス鋼(SUS)等を用いることが好ましい。配管として一般的に用いられる可撓性のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブやシリコンチューブ等は、フッ素や有機酸等の配管由来物質が混入し得る。したがって、これらを使用する場合は、接続部のみといった最小限の使用に留めることが好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
硫黄(S)を含有する有機化合物であるメタンスルホン酸(MSA)に、夾雑成分としてエタノール(EtOH)を添加した水溶液について、以下の方法により、MSA及びEtOHの酸化分解を行った。
本実施例で使用した試料調製装置(1)の概略図を、図1に示す。図1に示す装置は、無声放電方式によるオゾン発生装置(3)の出口に石英製ガス吸収瓶(接触部(2))に接続し、ガス吸収瓶からの排気の湿気を除去するトラップ管(4)を経て、オゾンキラー(5)へ繋ぐ試料調製装置である。
図1に示す装置において、オゾン発生装置(3)で発生したオゾン含有ガス(濃度0.X~Xppm程度)を、約1L/minの通気量で、SUS製配管を通じて、100ng/mLのMSA水溶液に10μg/mLのEtOHを添加した水溶液30mLを収容する石英製ガス吸収瓶〔接触部(2)〕に所定時間通気することにより、MSA及びEtOHの酸化分解を行った。
オゾン含有ガスは、純度99.9999%以上の酸素ボンベから供給された酸素を用いて無声放電方式で発生させたものを使用した。石英製ガス吸収瓶〔接触部(2)〕は、当該ガス吸収瓶の内部に配置された、波長253.7nm及び184.9nmの紫外光を発するウシオ電機株式会社製UL0-6DQランプ(7)を用いて、紫外線を照射した。
紫外線の照射下で所定時間オゾンバブリングを行い、ガス吸収瓶から回収した水溶液について、水溶液中のSO 2-濃度及びMSA濃度をイオンクロマトグラフ法により測定した。結果を表1に示す(図2も参照のこと)。
Figure 0007198045000003
〔実施例2〕
硫黄(S)を含有する有機化合物であるメタンスルホン酸(MSA)に、夾雑成分としてエタノール(EtOH)を添加した水溶液について、以下の方法により、MSA及びEtOHの酸化分解を行った。
すなわち、100ng/mLのMSA及び10μg/mLのEtOHを含む水溶液30mLを収容する石英製ガス吸収瓶に、過酸化水素水(H)を10μg/mLとなるように当該水溶液中に添加して、MSA及びEtOHの酸化分解を行った。波長184.9nm及び253.7nmの紫外線の照射下で所定時間経過後、ガス吸収瓶から回収した水溶液について、水溶液中のSO 2-濃度及びMSA濃度をイオンクロマトグラフ法により測定した。
〔実施例3〕
MSA及びEtOHを含む水溶液について、紫外線を照射することによりMSAの酸化分解を行った。
すなわち、100ng/mLのMSA及び10μg/mLのEtOHを含む水溶液30mLを収容する石英製ガス吸収瓶に、波長184.9nm及び253.7nmの紫外線を所定時間照射した後、ガス吸収瓶から回収した水溶液について、水溶液中のSO 2-濃度及びMSA濃度をイオンクロマトグラフ法により測定した。
〔実施例4〕
夾雑成分としてEtOHを添加せず、100ng/mLのMSAのみを含む水溶液について、紫外線を照射することによりMSAの酸化分解を行った。
すなわち、100ng/mLのMSA水溶液30mLを収容する石英製ガス吸収瓶に、波長184.9nm及び253.7nmの紫外線を所定時間照射した後、ガス吸収瓶から回収した水溶液について、水溶液中のSO 2-濃度及びMSA濃度をイオンクロマトグラフ法により測定した。
〔評価〕
実施例1~4で各時間経過後にガス吸収瓶から回収した水溶液について、イオンクロマトグラフ法により測定したSO 2-の濃度変化を図2に、MSAの濃度変化を図3に示す。
夾雑成分であるEtOHを含まないMSA水溶液について紫外線照射のみにより酸化分解を行った実施例4において、約15分でほぼ全量のMSAがSO 2-へ分解した。これに対し、EtOHを含むMSA水溶液について、同じく紫外線照射のみにより酸化分解を行った実施例3において、全量のMSAがSO 2-へ分解するのに180分を要し、夾雑成分の影響により、分解速度が低下した。
一方、EtOHを含むMSA水溶液について、紫外線の照射下でオゾンバブリングを行うことにより酸化分解を行った実施例1において、夾雑成分であるEtOHが存在するにもかかわらず、僅か40分で全量のMSAがSO 2-へ分解した。また、オゾンバブリングでは、活性酸素種であるオゾンを連続供給できることから、分解終了まで分解が失速しないことが確認された。
また、EtOHを含むMSA水溶液について、紫外線の照射下で過酸化水素水を添加することにより酸化分解を行った実施例2において、夾雑成分であるEtOHが存在するにもかかわらず、約120分でほぼ全量のMSAがSO 2-へ分解した。分解が進み過酸化水素水濃度が減少すると、分解が失速する傾向が認められたが、過酸化水素水の添加量を増加させることにより分解時間が短縮された。
本発明は、種々の分野に用いられる液体試料の硫黄及び/又はハロゲンの分析に利用することができる。
1 試料調製装置
2 接触部
3 オゾン発生装置
4 トラップ管
5 オゾンキラー
6 SUS製容器
7 紫外線ランプ

Claims (8)

  1. 液体試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを分析するための分析用試料を調製する方法であって、
    活性酸素種を用いて、前記液体試料中の有機化合物を酸化分解する工程を含み、
    前記活性酸素種を用いて液体試料中の有機化合物を酸化分解する工程は、前記液体試料を、紫外線の照射下でオゾンと接触させることにより行い、
    前記オゾンは、無声放電方式で酸素ガスを供給して発生したオゾンであることを特徴とする試料調製方法。
  2. 前記ハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素、又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の試料調製方法。
  3. 前記ハロゲンは塩素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の試料調製方法。
  4. 液体試料に含まれる硫黄及び/又はハロゲンを分析する方法であって、
    請求項1~のいずれか1項に記載の試料調製方法によって取得した分析用試料中の硫黄及び/又はハロゲンを検出する検出工程を含むことを特徴とする分析方法。
  5. 前記ハロゲンは塩素であり、
    前記検出工程は、イオンクロマトグラフ法によって検出することを特徴とする請求項に記載の分析方法。
  6. 前記ハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素、又はそれらの組み合わせであり、
    前記検出工程は、イオンクロマトグラフ法と質量分析法又は誘導結合プラズマ質量分析法とを組み合わせて検出することを特徴とする請求項に記載の分析方法。
  7. 請求項4~6のいずれか1項に記載の分析方法よって検出された液体試料中の硫黄及び/又はハロゲンの量が、予め設定された基準量以下であるか否かを判定する判定工程を含むことを特徴とする品質管理方法。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の試料調製方法を実施するための装置であって、
    上記装置は、液体試料を活性酸素種と接触させる接触部と、
    無声放電方式で酸素ガスを供給してオゾンを発生させるオゾン発生部と、
    紫外線を照射する紫外線ランプとを備え、
    上記オゾン発生部と上記接触部との間に、オゾンを純水に接触させることで清浄化する清浄化部を備えていることを特徴とする装置。
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