以下、実施の形態に係る軸流羽根車及び軸流送風機について図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、各構成部材の相対的な寸法あるいは位置関係等が実際とは異なる場合がある。また、以下の図面において同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」及び「後」等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。
実施の形態1.
[軸流羽根車100]
図1は、実施の形態1に係る軸流羽根車100の代表的な構成を示す斜視図である。なお、図中の矢印で示す回転方向Rは、軸流羽根車100が回転する方向を示している。また、図中の両向き矢印で示す周方向CDは、軸流羽根車100の周方向を示している。また、図1の白抜き矢印で示す方向Fは、軸流羽根車100の回転によって流れる流体の流れる方向を示している。
流体の流れる方向Fにおいて、軸流羽根車100に対してY1側は、軸流羽根車100に対して気流の上流側となり、軸流羽根車100に対してY2側は、軸流羽根車100に対して気流の下流側となる。すなわち、Y1側は、軸流羽根車100に対して流体の吸込側であり、Y2側は、軸流羽根車100に対して流体の吹出側である。
また、図1に示すX軸は、軸流羽根車100の回転軸Aに対して垂直な方向であって、軸流羽根車100の径方向を表している。径方向においてX2側の部分はX1側の部分に対して外周側の部分に位置しており、X1側の部分はX2側の部分に対して内周側の部分に位置している。すなわち、軸流羽根車100のX1側は、軸流羽根車100の内周側であり、軸流羽根車100のX2側は、軸流羽根車100の外周側である。
図1を用いて実施の形態1に係る軸流羽根車100について説明する。軸流羽根車100は、軸流式の羽根車であり、流体の流れを形成する装置である。軸流羽根車100は、後述する軸流送風機200に用いられ、例えば、空気調和装置又は換気装置等のファンとして用いられる。軸流羽根車100は、回転軸Aを中心として回転方向Rに回転することで流体の流れを形成する。流体は、例えば、空気等の気体である。
軸流羽根車100は、モーター(図示は省略)等の駆動源によって回転する回転軸に接続されるハブ10と、ハブ10から外周側に向かって延びる複数の羽根50とを有する。より詳細には、軸流羽根車100は、モーター(図示は省略)等の駆動源によって回転する回転軸に接続されるハブ10と、ハブ10から延びる複数の主翼20と、複数の主翼20のそれぞれの翼面28の一部から外周側に向かって延びる副翼30とを備える。
(ハブ10)
ハブ10は、モーター(図示は省略)等の駆動源の回転軸と接続される。ハブ10は、円筒状に形成されてもよく、あるいは、円盤状等の板状に形成されてもよい。ハブ10は、上述したように駆動源の回転軸と接続されるものであればよく、その形状は限定されるものではない。図1に示す軸流羽根車100は、隣接する羽根50の主翼20がハブ10を介して繋がっている。
ハブ10は、羽根50の主翼20と連続的に形成されてもよく、主翼20を構成する部分と明確な区別なく一体に形成されてもよい。軸流羽根車100は、複数枚の主翼20の内、隣り合う主翼20の前縁側と後縁側とがボスを介さず連続面となるように接続されたいわゆるボスレス型のファンを含むものである。
ハブ10は、モーター(図示は省略)等によって回転駆動され回転軸Aを形成する。ハブ10は、回転軸Aを中心に回転する。軸流羽根車100に対して気流の上流側となるY1側から軸流羽根車100を見た場合に、軸流羽根車100の回転方向Rは、図1中の矢印で示すように反時計回りの方向である。ただし、軸流羽根車100の回転方向Rは、反時計回りに限定されるものではない。ハブ10は、羽根50の取り付け角度、あるいは、羽根50の向き等を変更した構成にすることによって、軸流羽根車100に対して気流の上流側となるY1側から軸流羽根車100を見た場合に、時計回りに回転してもよい。
(羽根50)
軸流羽根車100は、複数の羽根50を有する。羽根50は、ハブ10の周囲に形成され、ハブ10から径方向の外側に延びている。羽根50は、主翼20と副翼30とを有する。なお、実施の形態1においては、3枚の羽根50を有する軸流羽根車100が例示されているが、羽根50の枚数は3枚に限定されるものではない。
主翼20と副翼30とを有する複数の羽根50は、ハブ10の周囲において、それぞれ同一の形状で形成されている。また、複数の羽根50は、周方向CDにおいて、等しい間隔で設けられている。なお、羽根50は、当該構成に限定されるものではない。複数の羽根50は、それぞれ異なる形状に形成されてもよく、周方向CDにおいて異なる間隔で形成されてもよい。
羽根50は、軸流羽根車100の回転に伴って羽根50の間に存在している流体を押すことで流体を搬送する。この際、羽根50の翼面28の内、羽根50の回転時に流体を押して圧力が上昇する側の面を正圧面25とし、正圧面25の裏側の面を構成し、圧力が下降する側の面を負圧面26とする。翼面28は、流体の流れる方向Fにおいて、主翼20の上流側(Y1側)に向いた面が負圧面26となり、下流側(Y2側)に向いた面が正圧面25となる。また、正圧面25は、回転方向Rに向いた面であり、負圧面26は、回転方向Rとは反対側に向いた面である。
(主翼20)
主翼20は、軸流羽根車100の回転に伴って主翼20の間に存在している流体を翼面28で押すことで流体を搬送する。主翼20は、羽根50において主たる部分を構成する。主翼20の翼面積は、副翼30の翼面積よりも大きい。主翼20は、ハブ10から径方向外側に向かって延びるように形成されている。複数の主翼20は、ハブ10から径方向外側に向かって放射状に配置されている。
主翼20は、ハブ10の周囲に形成されている。複数の主翼20は、周方向CDにおいて、それぞれ相互に離隔して設けられている。なお、実施の形態1においては、3枚の主翼20を有する軸流羽根車100が例示されているが、主翼20の枚数は3枚に限定されるものではない。
主翼20は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、外周側の部分の周方向CDの幅が内周側の部分の周方向CDの幅よりも大きい略三角形状に形成されている。なお、主翼20は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、略三角形状に形成されているものに限定されるものではない。
主翼20は、外周側の部分が内周側の部分よりも回転方向Rの前方に突き出した前進翼の形状に形成されている。軸流羽根車100は、特に換気扇に用いられる場合に主翼20が前進翼として形成される場合が多い。なお、主翼20は、前進翼に限定されるものではなく、他の形状に形成されてもよい。
ここで回転軸Aを中心とした半径の円筒断面で羽根50を切断した場合の断面を、羽根断面とする。主翼20の羽根断面は、前縁側の部分から後縁側の部分にかけて羽根の厚さが一定に形成された断面形状でもよく、流線形状のように前縁側の部分から後縁側の部分にかけて羽根の厚さが変化する断面形状でもよい。
主翼20は、前縁部21と、後縁部22と、ハブ10と一体に形成された内周縁部24と、前縁部21と後縁部22との間の外縁を形成する外周縁部23とを有する。前縁部21は、主翼20において回転方向Rの前進側の部分に形成されている。すなわち、前縁部21は、回転方向Rにおいて、後縁部22に対して前方に位置している。前縁部21は、軸流羽根車100が発生させる流体の流れる方向Fにおいて、後縁部22に対して上流側の部分に位置している。
後縁部22は、主翼20において回転方向Rの後進側の部分に形成されている。すなわち、後縁部22は、回転方向Rにおいて、前縁部21に対して後方に位置している。後縁部22は、軸流羽根車100が発生させる流体の流れる方向Fにおいて、前縁部21に対して下流側の部分に位置している。軸流羽根車100は、軸流羽根車100の回転方向Rを向く翼端部として前縁部21を有し、回転方向Rにおいて前縁部21に対して反対側の翼端部として後縁部22を有している。
外周縁部23は、前縁部21の最外周部と後縁部22の最外周部とを接続するように回転方向Rにおいて主翼20前後に延びる縁部分である。外周縁部23は、軸流羽根車100において、径方向(X軸方向)の外周側の端部に位置しており、主翼20の外周縁を形成する。
外周縁部23は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、弧状に形成されている。しかし、外周縁部23は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、弧状に形成されている構成に限定されるものではない。外周縁部23は、前縁端部201と、後縁端部203とを有する(図2参照)。前縁端部201は、外周縁部23において最も前縁部21側に位置する部分であり、前縁部21との境界部分である。後縁端部203は、外周縁部23において最も後縁部22側に位置する部分であり、後縁部22との境界部分である。
主翼20は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、周方向CDにおける外周縁部23の長さが、周方向CDにおける内周縁部24の長さよりも長く形成されている。ただし、主翼20は、外周縁部23の長さと内周縁部24の長さとの関係が当該構成に限定されるものではない。例えば、主翼20は、周方向CDにおける外周縁部23の長さと内周縁部24の長さとが等しくてもよく、内周縁部24の長さが外周縁部23の長さよりも長くてもよい。
内周縁部24は、前縁部21の最内周部と後縁部22の最内周部とを接続するように回転方向Rにおいて主翼20の前後に延びる縁部分である。内周縁部24は、軸流羽根車100において、径方向(X軸方向)の内周側の端部を構成している。
内周縁部24は、主翼20の根元部分となる。内周縁部24は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、弧状に形成されている。しかし、内周縁部24は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、弧状に形成されている構成に限定されるものではない。主翼20の内周縁部24は、ハブ10と接続されている。一例として、主翼20の内周縁部24は、円筒形状に形成されたハブ10の外周壁と一体に形成されている。
主翼20は、回転軸Aに垂直な平面に対して傾いて形成されている。より詳細には、主翼20は、正圧面25が回転方向Rを向き、主翼20に対して下流側となるY2側を向くように形成されている。また、主翼20は、負圧面26が回転方向Rとは反対方向を向き、主翼20に対して上流側となるY1側を向くように形成されている。
図2は、実施の形態1に係る軸流羽根車100の羽根50の代表的な構成を示す斜視図である。図3は、実施の形態1に係る軸流羽根車100の一部を回転軸A方向に見た平面図である。図4は、実施の形態1に係る軸流羽根車100の変形例の一部を回転軸A方向に見た平面図である。また、図3及び図4では羽根50の説明のために一枚の羽根50のみを記載し、他の羽根50の図示を省略する。図2~図4を用いて羽根50の詳細な構成について更に説明する。
図3及び図4において点線で示す円筒面Bは、軸流羽根車100を回転軸Aの軸方向に見た場合において、回転軸Aを中心とした軸流羽根車100の最外径を半径とする仮想の円筒面Bの位置を示している。仮想の円筒面Bは、軸流羽根車100の最外径を形成する羽根50の位置を示しており、軸流羽根車100が回転した場合の、軸流羽根車100の最外径を形成する部分による回転軌跡を示している。仮想の円筒面Bを形成する羽根50の部分は、後述する主翼20の外周縁部23でもよく、副翼30の副外周縁部33でもよい。あるいは、仮想の円筒面Bを形成する羽根50の部分は、後述する主翼20の外周縁部23及び副翼30の副外周縁部33の両方でもよい。
主翼20は、外周縁部23において、周方向CDにおいて、前縁部21側に位置する部分から後縁部22に向かうにつれて主翼20部分の外径が徐々に小さくなるように形成された縮小部23bを有する。縮小部23bは、回転方向Rとは反対方向に向かうにつれて、主翼20部分の外径が徐々に小さくなるように形成されている。縮小部23bは、回転方向Rとは反対方向に向かうにつれて、径方向における主翼20部分の長さが徐々に小さくなるように形成されている。なお、主翼20部分の外径とは、回転軸Aを中心とした軸流羽根車100の外径であって、回転軸Aの軸方向に見た場合の、回転軸Aと主翼20の外縁との間の距離である。
主翼20の縮小部23bでは、回転軸Aの軸方向に見た場合に、前縁部21側に位置する部分から後縁部22に向かうにつれて、回転軸Aを中心とした径方向における円筒面Bと外周縁部23との幅が大きくなるように形成されている。例えば、縮小部23bを構成する主たる部分は、前縁部21側に位置する部分から後縁部22に向かうにつれて、主翼20の外径が単調に減少するように形成されている。
主翼20は、縮小部23bの部分において、縮小部23bを有していない場合の主翼20の外周縁部23となる円筒面Bに位置する仮想の外縁部23cと比較して、切り欠かれた形状に形成されている。図3及び図4に示すように、縮小部23bは、円筒面Bに対して回転軸Aに近い内周側(X1側)の部分に位置するように形成されている。
縮小部23bは、周方向CDにおいて、外周縁部23の後縁部22側の部分に形成されている。縮小部23bは、周方向CDにおいて、始点部202から後縁端部203まで形成されている。始点部202は、外周縁部23において前縁端部201と後縁端部203との間に設けられている。また、始点部202は、図4に示すように、前縁端部201と同じ位置に設けられてもよいが、後縁端部203とは異なる位置に設けられている。この場合、縮小部23bは、周方向CDにおいて、外周縁部23の後縁部22側の部分に形成されてもよく、あるいは、前縁部21から後縁部22にかけて形成されてもよい。
始点部202は、上述したように、外周縁部23において、前縁端部201の位置、あるいは、前縁端部201と後縁端部203との間に設けられている。始点部202の形成位置は、主翼20に縮小部23bが形成されていない場合に、主翼20の外周縁部23において、翼端渦が発達する部分に設けると効果的であり望ましい。主翼20の外周縁部23において、始点部202を形成する最適な位置は、主翼20の形状、あるいは、軸流送風機の動作点によって決定される。すなわち、軸流羽根車100は、送風機がどの動作点で運転しているかによって始点部202を形成する最適な位置が変わり得る。動作点は、その送風機がどのような運転状態で使用されているかを表している。具体的には、動作点は、送風機が取り付けられる風路の圧損(≒送風機に要求される圧力上昇)によって、回転数を一定とした場合に送風機によって得られる風量が異なるが、その圧力と風量との組で決まる点である。
始点部202は、主翼20の外周縁部23において円筒面Bに対して異なる曲率を形成する部分である。始点部202は、主翼20の外周縁部23において円筒面Bの曲率に対して大きな曲率を形成する部分である。すなわち、縮小部23bは、回転方向Rとは反対方向に向かう場合に、円筒面Bから離れて内周側(X1側)に向かう部分である。
主翼20は、前縁端部201と始点部202との位置が異なるように設けられていることが望ましい。この場合、主翼20は、前縁端部201と始点部202との間の部分に前方外縁部23aを有する。
前方外縁部23aは、主翼20の外径が一定に形成された部分であり、回転軸Aの軸方向に見た場合に、円筒面Bに沿って形成されている部分である。前方外縁部23aは、軸流羽根車100の最外径を形成する部分である。前方外縁部23aは、前縁端部201と始点部202との間の一部に形成されてもよく、前縁端部201と始点部202との間の全ての部分に形成されてもよい。
主翼20は、外周縁部23において、縮小部23bよりも前縁部21側の部分に前方外縁部23aを有する。前方外縁部23aは、外周縁部23において、前縁部21側に位置する部分から後縁部22側に位置する部分にかけて一定の外径を形成する部分であって、軸流羽根車100の最外径を形成する部分である。
羽根50は、前縁端部201と始点部202とを異なる位置に設け、前縁端部201と始点部202との間の全ての部分が前方外縁部23aで形成されていることが望ましい。すなわち、羽根50は、前縁端部201と始点部202とを異なる位置に設け、前縁端部201と始点部202の間の部分において主翼20の外径が一定で軸流羽根車100の最外径を形成することが望ましい。羽根50は、主翼20の前縁端部201と始点部202との間が前方外縁部23aで形成され、始点部202と後縁端部203との間が縮小部23bで形成されていることが望ましい。
羽根50は、主翼20の前縁端部201と始点部202との間に前方外縁部23aを有する形態に限定するものではない。例えば、羽根50は、図4に示すように、前縁端部201と始点部202との位置が一致しており、前縁端部201から後縁端部203まで縮小部23bが形成されていてもよい。
図4に示すように、羽根50は、主翼20の外周縁部23全体が縮小部23bを有しており、前縁端部201から後縁端部203に向かうにつれて主翼20の外径が漸次小さくなるように形成されてもよい。すなわち、図4に示すように、主翼20は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、前縁端部201から後縁端部203に向かうにつれて、回転軸Aを中心とした径方向における円筒面Bと外周縁部23との幅が大きくなるように形成されている。
また、羽根50は、主翼20の前縁端部201と始点部202との間の部分を構成する外周縁部23が円筒面Bに沿った形状に形成されていなくてもよい。例えば、羽根50は、主翼20の前縁端部201と始点部202との間の部分を構成する外周縁部23の曲率と、縮小部23bの曲率とが異なるように形成されてもよい。
あるいは、羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の前縁端部201と始点部202との間の部分を構成する外周縁部23に直線状に形成された部分を含んでもよい。羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の前縁端部201と始点部202との間の部分を構成する外周縁部23の一部に主翼20の外径が小さくなる部分を有してもよい。
また、羽根50は、主翼20の始点部202と後縁端部203の間の部分を構成する縮小部23bの一部において、始点部202から後縁端部203に向かうにつれて、主翼20の外径が単調に減少しない部分を含んでもよい。縮小部23bは、始点部202から後縁端部203に向かうにつれて、主翼20の外径が減少しない部分を含んでもよく、主翼20の外径の減少率が小さくなる部分を含んでもよく、減少率が大きくなる部分を含んでもよい。なお、縮小部23bは、全体としては、前縁部21側に位置する部分から後縁部22に向かうにつれて、主翼20の外径が減少するように形成されている。
主翼20は、縮小部23bを有することによって、主翼20の外周縁部23で発生した翼端渦が、特に後縁端部203付近においてさらに発達することを防止できる。主翼20は、縮小部23bを有することによって、翼端渦の発達を防止できることで、発生した翼端渦が騒音源となることを防止できる。また、主翼20は、縮小部23bを有することによって、翼端渦の発達を防止できることで、発生した翼端渦が羽根50の回転に対して大きな抵抗となることを防止でき、ファン効率の低減を抑制できる。
軸流式の羽根車は、羽根の外周縁部に近い部分ほど大きな仕事量が得られる。そのため、軸流式の羽根車は、上記の構成のように主翼20の外周縁部23において単に縮小部23bを有する構成だけでは、主翼20による仕事量が大きく減少してしまい、送風能力が低下し、また、送風効率が低下する。そこで、実施の形態1に係る軸流羽根車100の羽根50は、主翼20の他に副翼30が設けられている。
(副翼30)
副翼30は、主翼20の外周側の半分の部分において、主翼20の翼面28から突出し、径方向の外側に延びている。副翼30は、例えば主翼20の負圧面26側の一部に設けられている。副翼30は、例えば後退翼である。ただし、副翼30は、後述する拡大部31を有するものであれば、後退翼に限定するものではない。
副翼30は、主翼20の負圧面26側の部分から突出するように設けられている。副翼30は、主翼20の負圧面26の内、外周側半分の一部から分岐し、羽根50の外周側に延びるように形成されている。副翼30は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20よりも小さく形成されている。副翼30は、回転軸Aを中心とした径方向において、主翼20の内周縁部24よりも外周縁部23に近い位置に形成されている。
副翼30は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、周方向CDにおいて、主翼20の前縁部21よりも後縁部22に近い位置に形成されている。なお、周方向CDにおける副翼30の形成位置は、主翼20の前縁部21よりも後縁部22に近い位置に形成される態様に限定されるものではない。副翼30は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、周方向CDにおいて、主翼20の後縁部22よりも前縁部21に近い位置に形成されてもよく、あるいは、周方向CDにおいて、主翼20の前縁部21と後縁部22との間の中間地点付近に形成されてもよい。
副翼30は、図3及び図4に示すように、回転軸Aの軸方向に見た場合に、縮小部23bの少なくとも一部と重なるように形成されている。副翼30は、縮小部23bに対して気流の上流側(Y1側)に位置するように形成されている。回転軸Aの軸方向において、副翼30の少なくとも一部は、縮小部23bが形成されている部分の主翼20の負圧面26と対向するように形成されている。
副翼30は、板状に形成されている。副翼30は、拡大部31と、副後縁部32と、副外周縁部33と、副内周縁部34とを有している。拡大部31と、副後縁部32と、副外周縁部33とは、副翼30の外周縁30aを形成する。拡大部31は、副翼30の前縁部分を形成しており、副翼30において回転方向Rの前進側の部分に形成されている。すなわち、拡大部31は、回転方向Rにおいて、副後縁部32に対して前方に位置している。拡大部31は、軸流羽根車100が発生させる流体の流れる方向Fにおいて、副後縁部32に対して上流側の部分に位置している。
拡大部31は、副翼30の外周縁30aを形成する部分であって、主翼20の前縁部21側に位置する部分から主翼20の後縁部22に向かうにつれて副翼30部分の外径が徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、拡大部31は、回転方向Rとは反対方向に向かうにつれて、副翼30部分の外径が徐々に大きくなるように形成されている。拡大部31は、回転方向Rとは反対方向に向かうにつれて、径方向における副翼30部分の長さが徐々に大きくなるように形成されている。
羽根50は、図3及び図4に示すように、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差するように形成されている。すなわち、羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の外縁の一部と副翼30の外縁の一部とが互いに交差するように構成されている。
副後縁部32は、副翼30において回転方向Rの後進側に形成されている。すなわち、副後縁部32は、回転方向Rにおいて、拡大部31に対して後方に位置している。副後縁部32は、軸流羽根車100が発生させる流体の流れる方向Fにおいて、拡大部31に対して下流側の部分に位置している。軸流羽根車100は、軸流羽根車100の回転方向Rを向く翼端部として拡大部31を有し、回転方向Rにおいて拡大部31に対して反対側の翼端部として副後縁部32を有している。
副外周縁部33は、拡大部31の最外周部と副後縁部32の最外周部とを接続するように回転方向Rにおいて副翼30前後に延びる縁部分である。副外周縁部33は、副翼30において、径方向(X軸方向)の外周側の端部に位置しており、副翼30の外周縁30aを形成する。副翼30は、副翼30の外周縁30aにおいて、拡大部31よりも主翼20の後縁部22が位置している側の部分に副外周縁部33を有する。
副外周縁部33は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、弧状に形成されている。図3及び図4に示すように、副外周縁部33は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、円筒面Bに沿った形状に形成されている。副外周縁部33は、副翼30の外周縁30aにおいて、主翼20の前縁部21側に位置する部分から主翼20の後縁部22側に位置する部分にかけて一定の外径を形成する部分である。
なお、副外周縁部33は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、弧状に形成されている構成に限定されるものではなく、また、円筒面Bに沿った形状に限定されるものではない。例えば、副外周縁部33は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、直線状に形成された部分を含んでもよく、円筒面Bよりも内周側に位置する部分を含んでもよい。
副内周縁部34は、拡大部31の最内周部と副後縁部32の最内周部とを接続するように回転方向Rにおいて副翼30の前後に延びる縁部分である。副内周縁部34は、副翼30において、径方向(X軸方向)の内周側の端部を構成している。副内周縁部34は、副翼30の根元部分であり、主翼20の負圧面26から立ち上がる部分である。副内周縁部34は、主翼20と一体に形成されている部分である。
副翼30は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、周方向CDにおける副内周縁部34の長さが、周方向CDにおける副外周縁部33の長さよりも長く形成されている。ただし、副翼30は、副内周縁部34の長さと副外周縁部33の長さとの関係が当該構成に限定されるものではない。例えば、副翼30は、周方向CDにおける副内周縁部34の長さと副外周縁部33の長さとが等しくてもよく、副外周縁部33の長さが副内周縁部34の長さよりも長くてもよい。
副内周縁部34は、内縁前端部301と、内縁後端部304とを有する。副外周縁部33は、外縁前端部302と、外縁後端部303とを有する。内縁前端部301は、副内周縁部34において最も拡大部31側に位置する部分であり、拡大部31との境界部分である。換言すれば、内縁前端部301は、拡大部31において最も副内周縁部34側に位置する部分であり、副内周縁部34との境界部分である。
内縁後端部304は、副内周縁部34において最も副後縁部32側に位置する部分であり、副後縁部32との境界部分である。換言すれば、内縁後端部304は、副後縁部32において最も副内周縁部34側に位置する部分であり、副内周縁部34との境界部分である。
外縁前端部302は、副外周縁部33において最も拡大部31側に位置する部分であり、拡大部31との境界部分である。換言すれば、外縁前端部302は、拡大部31において最も副外周縁部33側に位置する部分であり、副外周縁部33との境界部分である。
外縁後端部303は、副外周縁部33において最も副後縁部32側に位置する部分であり、副後縁部32との境界部分である。換言すれば、外縁後端部303は、副後縁部32において最も副外周縁部33側に位置する部分であり、副外周縁部33との境界部分である。
副翼30は、周方向CDにおいて、内縁前端部301から外縁前端部302に向かうにつれて、副翼30の外径が徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、副翼30の拡大部31を形成する部分は、回転方向Rの前方から後方に向かうにつれて、副翼30の外径が徐々に大きくなるように形成されている。なお、副翼30の外径とは、回転軸Aを中心とした軸流羽根車100の外径であって、回転軸Aの軸方向に見た場合の、回転軸Aと副翼30の外縁との間の距離である。副翼30の外縁は、副翼30の内縁前端部301からその後方側にある外縁前端部302まで外径が徐々に大きくなる拡大部31を有している。
羽根50は、周方向CDにおいて、外縁前端部302から外縁後端部303にかけて副翼30の外径が一定であることが望ましい。すなわち、副外周縁部33は、周方向CDにおいて、外縁前端部302から外縁後端部303にかけて、一定の外径となるように形成されていることが望ましい。
副翼30は、拡大部31と、副後縁部32と、副外周縁部33と、副内周縁部34とを有する構成に限定されるものではない。例えば、副翼30は、内縁前端部301と外縁前端部302とが一体に形成されてもよく、拡大部31と副外周縁部33とが一体に形成されてもよい。
拡大部31と副外周縁部33とが一体に形成されている場合であって、当該部分を拡大部31であるとした場合、羽根50の構成を次のように考えてもよい。羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差するように形成されている。すなわち、羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の外縁の一部と副翼30の外縁の一部とが互いに交差するように構成されている。
[軸流羽根車100の作用効果]
軸流羽根車100の羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差するように形成されているものである。また、軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、縮小部23bと拡大部31とが互いに交差するように形成されていることによって、羽根50の副翼30が主翼20の縮小部23bと重なる位置に形成されている。
主翼20は、縮小部23bを有することによって、主翼20の外周縁部23で発生した翼端渦が、後縁端部203付近において発達することを防止できる。主翼20は、縮小部23bを有することによって、翼端渦の発達を防止できることで、発生した翼端渦が騒音源となることを防止できる。また、主翼20は、縮小部23bを有することによって、翼端渦の発達を防止できることで、発生した翼端渦が羽根50の回転に対して大きな抵抗となることを防止でき、ファン効率の低減を抑制できる。また、軸流羽根車100は、縮小部23bを有する主翼20によって、主翼20で発生した翼端渦が羽根50の回転に対する抵抗として働くことを防ぐと共に、主翼20で減少した仕事量を副翼30が補うため送風能力の低下を防止できる。そのため、軸流羽根車100は、騒音の抑制を図り、送風能力を低下させることなくファン効率を向上させることができる。
また、副翼30が形成された翼面28は、羽根50の回転時に流体を押して圧力が上昇する正圧面25の裏側の面を構成する負圧面26である。軸流羽根車100は、縮小部23bを有する主翼20によって、主翼20で発生した翼端渦が羽根50の回転に対する抵抗として働くことを防ぐと共に、主翼20で減少した仕事量を負圧面26に形成された副翼30が補うため送風能力の低下を防止できる。そのため、軸流羽根車100は、騒音の抑制を図り、送風能力を低下させることなくファン効率を向上させることができる。
また、前方外縁部23aは、外周縁部23において、前縁部21側に位置する部分から後縁部22側に位置する部分にかけて一定の外径を形成する部分であって、軸流羽根車100の最外径を形成する部分である。また、副外周縁部33は、副翼30の外周縁30aにおいて、主翼20の前縁部21側に位置する部分から主翼20の後縁部22側に位置する部分にかけて一定の外径を形成する部分である。軸流羽根車100は、当該構成を有することによって、例えば、主翼20部分が最外径を形成しない羽根50及び副翼30が縮小部23bを有する羽根50等と比較して、主翼20及び副翼30の双方の仕事量を増加させることができる。
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る軸流羽根車100の羽根50の代表的な構成を示す斜視図である。図6は、実施の形態2に係る軸流羽根車100の一部を回転軸A方向に見た平面図である。なお、図6では羽根50の説明のために一枚の羽根50のみを記載し、他の羽根50の図示を省略する。実施の形態2に係る軸流羽根車100は、実施の形態1に係る軸流羽根車100と比較して主翼20と副翼30との位置関係が異なるものであり、他の構成については実施の形態1に係る軸流羽根車100と同じである。図1~図4の軸流羽根車100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
(軸流羽根車100)
軸流羽根車100は、モーター(図示は省略)等の駆動源によって回転する回転軸に接続されるハブ10と、ハブ10から延びる複数の主翼20と、複数の主翼20のそれぞれの正圧面25の一部から外周側に向かって延びる副翼30とを備える。
(副翼30)
実施の形態1の副翼30は、主翼20の負圧面26側の一部に設けられているのに対し、実施の形態2の副翼30は、主翼20の正圧面25側の一部に設けられている。実施の形態2の副翼30は、主翼20の正圧面25側の部分から突出するように設けられている。実施の形態2の副翼30は、主翼20の正圧面25の内、外周側半分の一部から分岐し、羽根50の外周側に延びるように形成されている。
実施の形態2の副翼30は、図6に示すように、回転軸Aの軸方向に見た場合に、縮小部23bの少なくとも一部と重なるように形成されている。副翼30は、縮小部23bに対して気流の下流側(Y2側)に位置するように形成されている。回転軸Aの軸方向において、副翼30の少なくとも一部は、縮小部23bが形成されている部分の主翼20の正圧面25と対向するように形成されている。
副翼30は、拡大部31と、副後縁部32と、副外周縁部33と、副内周縁部34とを有している。羽根50は、図6に示すように、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差するように形成されている。すなわち、羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の外縁の一部と副翼30の外縁の一部とが互いに交差するように構成されている。実施の形態2の副翼30は、副外周縁部33が副内周縁部34に対し、気流の下流側(Y2側)に位置するように形成されている。
[軸流羽根車100の作用効果]
実施の形態2に係る軸流羽根車100は、実施の形態1の軸流羽根車100と同様に縮小部23bを有する主翼20と、主翼20から延びるように形成され、縮小部23bと重なる位置に形成された副翼30とを有する。そのため、実施の形態2の軸流羽根車100は、実施の形態1の軸流羽根車100と同様の効果を発揮させることができる。
軸流羽根車100は、縮小部23bを有する主翼20によって、主翼20で発生した翼端渦が羽根50の回転に対する抵抗として働くことを防ぐと共に、主翼20で減少した仕事量を正圧面25に形成された副翼30が補うため送風能力の低下を防止できる。実施の形態2に係る軸流羽根車100は、上記構成の主翼20と副翼30とを有することによって、翼端渦による抵抗及び空力騒音を抑制し、送風能力を維持したまま低騒音化及び高効率化を実現できる。
また、副翼30が形成された翼面28は、羽根50の回転時に流体を押して圧力が上昇する正圧面25である。実施の形態2に係る軸流羽根車100は、主翼20の正圧面25及び主翼20の後流が副翼30の負圧面26側に位置しており、副翼30の負圧面26上の境界層に適度なエネルギーを供給することができる。そのため、実施の形態2に係る軸流羽根車100は、副翼30の負圧面26上の逆圧力勾配を抑えることができ、流体の流れの剥離を防ぎ、それに起因する送風効率の低下を防止でき、騒音の悪化を防止できる。したがって、実施の形態2に係る軸流羽根車100は、翼端渦の発達による抵抗及び負圧面26からの流体の剥離による抵抗を抑制し、空力騒音を抑制できる。
実施の形態3.
図7は、実施の形態3に係る軸流羽根車100の羽根50の代表的な構成を示す斜視図である。図8は、実施の形態3に係る軸流羽根車100の回転軸Aに沿った任意の平面で軸流羽根車100を切断した断面の内、代表的な断面を示す概念図である。なお、図7では羽根50の説明のために一枚の羽根50のみを記載し、他の羽根50の図示を省略する。図8において、平面Hは、回転軸Aに対して垂直な平面である。
実施の形態3に係る軸流羽根車100は、実施の形態1に係る軸流羽根車100と比較して主翼20と副翼30との形状を特定するものであり、他の構成については実施の形態1に係る軸流羽根車100と同じである。図1~図6の軸流羽根車100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
ここで、実施の形態3に係る軸流羽根車100の回転軸Aに沿った平面であって、周方向CDの特定の位置において、回転軸Aに沿った軸流羽根車100を切断した羽根50の断面をスパン断面と称する。図7及び図8に示すようにa-a1線に沿った羽根50の断面をスパン断面S1とし、b-b1線に沿った羽根50の断面をスパン断面S2とし、c-c1線に沿った羽根50の断面をスパン断面S3とする。
ここで、点a、点b及び点cは、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の内周縁部24上に位置する点である。また、点a1、点b1及び点c1は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、仮想の円筒面B上に位置する点である。点a及び点a1は、周方向CDにおいて、後縁部22よりも前縁部21に近い位置にある点である。点c及び点c1は、周方向CDにおいて、前縁部21よりも後縁部22に近い位置にある点である。点bは、周方向CDにおいて、点aと点cとの間にある点であり、点b1は、周方向CDにおいて点a1と点c1との間にある点である。
スパン断面S1は、回転軸Aと、点aと、点a1とを含むスパン断面であり、主翼20の内周縁部24と、主翼20の前方外縁部23aとを含む羽根50の断面である。スパン断面S2は、回転軸Aと、点bと、点b1とを含むスパン断面であり、主翼20の内周縁部24と、主翼20の縮小部23bと、副翼30の副内周縁部34及び拡大部31とを含む羽根50の断面である。スパン断面S3は、回転軸Aと、点cと、点c1とを含むスパン断面であり、主翼20の内周縁部24と、主翼20の縮小部23bと、副翼30の副内周縁部34及び副外周縁部33とを含む羽根50の断面である。
スパン断面S2及びスパン断面S3は、実施の形態3に係る軸流羽根車100において、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分を含む断面である。回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、主翼20は、平面Hに対して正圧面25側に曲がって傾斜している。
換言すれば、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、主翼20は、流体の流れる方向Fにおいて、平面Hに対して下流側(Y2側)に向かって傾斜している。
この主翼20の傾斜は、流体の流れる方向Fにおいて上流側(Y1側)を上とし下流側(Y2側)を下とした場合に、回転軸Aから径方向の外側に向かうにつれて下に向かうように傾斜している。主翼20は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側に比べて外周側が下になるように単調に傾斜している。
図8に示す実施の形態3の態様において、主翼20の単調な傾斜とは、主翼20が数学用語の「単調減少」を構成するような形状の傾斜である。すなわち、主翼20は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側の部分から外周側の部分にかけて、どの点を見ても外周側が下になるような傾斜で形成されている。言い換えれば、主翼20は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置が単調減少している形状であり、主翼20は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置がY1側からY2側に向かう形状である。
図8に示す主翼20の翼形状をy=f(x)の関数で表すとする。このとき、図8のY軸方向を関数y=f(x)のy軸方向、図8のX軸方向を関数y=f(x)のx軸方向とする。主翼20は、xが増えればyが減るような単調減少の関数を表すような形状となり、主翼20が外周側に行くほどY2側に位置する右下がりの形状となる。図8において主翼20の形状をy=f(x)の関数として想定した場合、x1を主翼20の内周側の部分、x2を主翼20の外周側の部分であるとすると、主翼20は、x1<x2ならばf(x1)>f(x2)を満たすような関数のグラフを形成する形状である。
また、スパン断面S2及びスパン断面S3において、副翼30は、平面Hに対して負圧面26側に曲がって傾斜している。換言すれば、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、副翼30は、流体の流れる方向Fにおいて、平面Hに対して上流側(Y1側)に向かって傾斜している。
この副翼30の傾斜は、流体の流れる方向Fにおいて上流側(Y1側)を上とし下流側(Y2側)を下とした場合に、回転軸Aから径方向の外側に向かうにつれて上に向かうように傾斜している。副翼30は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側に比べて外周側が上になるように単調に傾斜している。
図8に示す実施の形態3の態様において、副翼30の単調な傾斜とは、副翼30が数学用語の「単調増加」を構成するような形状の傾斜である。すなわち、副翼30は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側の部分から外周側の部分にかけて、どの点を見ても外周側が上になるような傾斜で形成されている。言い換えれば、副翼30は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置が単調増加している形状であり、副翼30は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置がY2側からY1側に向かう形状である。
図8に示す副翼30の翼形状をy=f(x)の関数で表すとする。このとき、図8のY軸方向を関数y=f(x)のy軸方向、図8のX軸方向を関数y=f(x)のx軸方向とする。副翼30は、xが増えればyが増えるような単調増加の関数を表すような形状となり、副翼30が外周側に行くほどY1側に位置する右上がりの形状となる。図8において副翼30の形状をy=f(x)の関数として想定した場合、x1を副翼30の内周側の部分、x2を副翼30の外周側の部分であるとすると、副翼30は、x1<x2ならばf(x1)<f(x2)を満たすような関数のグラフを形成する形状である。
軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分において、主翼20のスパン断面が正圧面25側に曲がって単調に傾斜しており、副翼30のスパン断面が負圧面26側に曲がって単調に傾斜している。
ここで、回転軸Aに沿った平面で切断した羽根50のスパン断面において、羽根50が正圧面25側に曲がって単調に傾斜した形状を後傾と称し、羽根50が負圧面26側に曲がって単調に傾斜した形状を前傾と称する。
実施の形態3に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分において、主翼20のスパン断面が後傾するように形成されており、副翼30のスパン断面が前傾するように形成されている。
羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差する部分において、主翼20と副翼30とは平面Hに対して傾斜している。羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合の縮小部23bと拡大部31との交差部分において、回転軸Aに沿った平面で切断した主翼20の断面における主翼20は後傾しており、回転軸Aに沿った平面で切断した副翼30の断面における副翼30は前傾している。
[軸流羽根車100の作用効果]
換気扇等に使用される軸流羽根車は、金型を用いて樹脂あるいは金属を成形して作られる場合が多い。実施の形態3に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合に主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差する部分において、羽根50の断面形状における主翼20は後傾しており、副翼30は前傾している。
すなわち、軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なる部分において、主翼20のスパン断面が正圧面25側に曲がって単調に傾斜しており、副翼30のスパン断面が負圧面26側に曲がって単調に傾斜している。そのため、実施の形態3に係る軸流羽根車100は、金型を用いて成形して作る場合、回転軸Aの軸方向の2方向と、半径方向外側への複数方向とに離型することで成形品を取り出すことができる。
これに対し、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分において、主翼20と副翼30とのいずれか一方又は双方が複雑な形状で形成されている場合について検討する。このような場合、軸流羽根車は離型方向に対してアンダーカットとなるため、追加の型構造が必要となり、製造コストが増大してしまう。なお、アンダーカットとは、金型から成形品を取り出す際に、そのままの状態で離型できない形状のことである。
実施の形態3に係る軸流羽根車100は、上記の構成を有することによって、製造コストを大きく上げることなく、実施の形態1に係る軸流羽根車100と同様の効果を発揮させることができ、低騒音化及び高効率化を実現できる。
実施の形態4.
図9は、実施の形態4に係る軸流羽根車100の羽根50の代表的な構成を示す斜視図である。図10は、実施の形態4に係る軸流羽根車100の回転軸Aに沿った任意の平面で軸流羽根車100を切断した断面の内、代表的な断面を示す概念図である。なお、図9では羽根50の説明のために一枚の羽根50のみを記載し、他の羽根50の図示を省略する。
実施の形態4に係る軸流羽根車100は、実施の形態2に係る軸流羽根車100と比較して主翼20と副翼30との形状を特定するものであり、他の構成については実施の形態2に係る軸流羽根車100と同じである。図1~図8の軸流羽根車100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
スパン断面S2及びスパン断面S3は、実施の形態4に係る軸流羽根車100において、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分を含む断面である。回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、主翼20は、平面Hに対して負圧面26側に曲がって傾斜している。
換言すれば、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、主翼20は、流体の流れる方向Fにおいて、平面Hに対して上流側(Y1側)に向かって傾斜している。
この主翼20の傾斜は、流体の流れる方向Fにおいて上流側(Y1側)を上とし下流側(Y2側)を下とした場合に、回転軸Aから径方向の外側に向かうにつれて上に向かうように傾斜している。主翼20は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側に比べて外周側が上になるように単調に傾斜している。
図10に示す実施の形態4の態様において、主翼20の単調な傾斜とは、主翼20が数学用語の「単調増加」を構成するような形状の傾斜である。すなわち、主翼20は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側の部分から外周側の部分にかけて、どの点を見ても外周側が上になるような傾斜で形成されている。言い換えれば、主翼20は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置が単調増加している形状であり、主翼20は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置がY2側からY1側に向かう形状である。
図10に示す主翼20の翼形状をy=f(x)の関数で表すとする。このとき、図10のY軸方向を関数y=f(x)のy軸方向、図10のX軸方向を関数y=f(x)のx軸方向とする。主翼20は、xが増えればyが増えるような単調増加の関数を表すような形状となり、主翼20が外周側に行くほどY1側に位置する右上がりの形状となる。図10において主翼20の形状をy=f(x)の関数として想定した場合、x1を主翼20の内周側の部分、x2を主翼20の外周側の部分であるとすると、主翼20は、x1<x2ならばf(x1)<f(x2)を満たすような関数のグラフを形成する形状である。
また、スパン断面S2及びスパン断面S3において、副翼30は、平面Hに対して正圧面25側に曲がって傾斜している。換言すれば、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、副翼30は、流体の流れる方向Fにおいて、平面Hに対して下流側(Y2側)に向かって傾斜している。
この副翼30の傾斜は、流体の流れる方向Fにおいて上流側(Y1側)を上とし下流側(Y2側)を下とした場合に、回転軸Aから径方向の外側に向かうにつれて下に向かうように傾斜している。副翼30は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側に比べて外周側が下になるように単調に傾斜している。
図10に示す実施の形態4の態様において、副翼30の単調な傾斜とは、副翼30が数学用語の「単調減少」を構成するような形状の傾斜である。すなわち、副翼30は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分のスパン断面S2及びスパン断面S3において、内周側の部分から外周側の部分にかけて、どの点を見ても外周側が下になるような傾斜で形成されている。言い換えれば、副翼30は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置が単調減少している形状であり、副翼30は、内周側から外周側に向かうにつれて、Y方向の位置がY1側からY2側に向かう形状である。
図10に示す副翼30の翼形状をy=f(x)の関数で表すとする。このとき、図10のY軸方向を関数y=f(x)のy軸方向、図10のX軸方向を関数y=f(x)のx軸方向とする。副翼30は、xが増えればyが減るような単調減少の関数を表すような形状となり、副翼30が外周側に行くほどY2側に位置する右下がりの形状となる。図10において副翼30の形状をy=f(x)の関数として想定した場合、x1を副翼30の内周側の部分、x2を副翼30の外周側の部分であるとすると、副翼30は、x1<x2ならばf(x1)>f(x2)を満たすような関数のグラフを形成する形状である。
軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なる部分において、主翼20のスパン断面が負圧面26側に曲がって単調に傾斜しており、副翼30のスパン断面が正圧面25側に曲がって単調に傾斜している。実施の形態4に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なる部分において、主翼20のスパン断面が前傾するように形成されており、副翼30のスパン断面が後傾するように形成されている。
羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差する部分において、主翼20と副翼30とは平面Hに対して傾斜している。羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合の縮小部23bと拡大部31との交差部分において、回転軸Aに沿った平面で切断した主翼20の断面における主翼20は前傾しており、回転軸Aに沿った平面で切断した副翼30の断面における副翼30は後傾している。
[軸流羽根車100の作用効果]
実施の形態4に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合に主翼20の縮小部23bと副翼30の拡大部31とが互いに交差する部分において、羽根50の断面形状における主翼20は前傾しており、副翼30は後傾している。
すなわち、軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なる部分において、主翼20のスパン断面が負圧面26側に曲がって単調に傾斜しており、副翼30のスパン断面が正圧面25側に曲がって単調に傾斜している。そのため、実施の形態4に係る羽根車は、金型を用いて成形して作る場合、回転軸Aの軸方向の2方向と、半径方向外側への複数方向とに離型することで成形品を取り出すことができる。
これに対し、回転軸Aの軸方向から見た上面視で主翼20と副翼30とが重なっている部分において、主翼20と副翼30とのいずれか一方又は双方が複雑な形状で形成されている場合には、実施の形態3で説明したように製造コストが増大してしまう。実施の形態4に係る軸流羽根車100は、上記構成を有することによって、製造コストを大きく上げることなく、実施の形態2に係る軸流羽根車100と同様の効果を発揮させることができ、低騒音化及び高効率化を実現できる。
実施の形態5.
図11は、実施の形態5に係る軸流羽根車100の一部を回転軸A方向に見た平面図である。なお、図11では羽根50の説明のために一枚の羽根50のみを記載し、他の羽根50の図示を省略する。実施の形態5に係る軸流羽根車100は、周方向CDにおける副翼30との位置を特定するものであり、他の構成については実施の形態1~実施の形態4に係る軸流羽根車100と同じである。図1~図10の軸流羽根車100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
(副翼30)
副翼30は、周方向CDにおいて、主翼20の前縁部21よりも後縁部22に近い位置に形成されており、回転軸Aを中心とした径方向において、主翼20の内周縁部24よりも外周縁部23に近い位置に形成されている。副翼30は、主翼20の回転方向Rにおいて、主翼20の中央部Lよりも後縁部22側の部分に収まるように配置されている。
図11において曲線で示す中央部Lは、羽根50を回転軸Aの軸方向に見た場合に、周方向CDにおける主翼20の幅の中央部分を示している。主翼20において、中央部Lに対して前縁部21に近い部分を前方部W1とし、中央部Lに対して後縁部22に近い部分を後方部W2とする。副翼30は、主翼20の後方部W2に形成されている。実施の形態5の羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、副翼30が主翼20の後方部W2とのみ重なっている。羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20の後方部W2の外縁と副翼30の外縁とが互いに交差するように構成されている。
[軸流羽根車100の作用効果]
実施の形態5に係る軸流羽根車100の副翼30は、主翼20の回転方向Rにおいて、主翼20の中央部Lよりも後縁部22側の部分に収まるように配置されている。軸流羽根車における翼端渦は、後縁部に近い部分でより大きく発達する。実施の形態5の羽根50は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、副翼30が主翼20の後方部W2とのみ重なっている。軸流羽根車100は、翼端渦が大きく発達する後縁部22に近い部分に副翼30を配置しているため、前縁部21に近い位置に配置する場合と比較してより効果的に低騒音化及び高効率化を図ることができる。
ここで、実施の形態5に係る軸流羽根車100の構成によらず、前縁部21に近い部分から後縁部22に近い部分にわたって羽根50の外周のほとんどの部分に副翼30が設けられた軸流羽根車について考える。羽根50の外周のほとんどの部分に副翼30が設けられた軸流羽根車は、副翼30の表面の摩擦損失が実施の形態1又は実施の形態2の軸流羽根車100による翼端渦低減効果を打ち消し、送風効率が低下する恐れがある。
実施の形態5に係る軸流羽根車100は、翼端渦が大きく発達する後縁部22に近い部分に副翼30を配置しているため、送風能力を損ねることなく、翼端渦を効果的に抑制し、軸流送風機200の高効率化及び低騒音化を実現できる。
また、実施の形態5に係る軸流羽根車100は、主翼20と副翼30とを有しており、実施の形態1~実施の形態4と同様の構成を備える場合には、実施の形態1~実施の形態4に係る軸流羽根車100と同様の効果を発揮させることができる。
実施の形態6.
図12は、実施の形態6に係る軸流羽根車100の一部を回転軸A方向に見た平面図である。なお、図12では羽根50の説明のために一枚の羽根50のみを記載し、他の羽根50の図示を省略する。実施の形態6に係る軸流羽根車100は、羽根50の形状を特定するものであり、他の構成については実施の形態1~実施の形態5に係る軸流羽根車100と同じである。図1~図11の軸流羽根車100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
実施の形態6に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合において、回転軸Aを中心とした軸流羽根車100の最外径を形成する仮想の円筒面Bを想定する。軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合において、主翼20における羽根50の最外径を形成する部分と、副翼30における羽根50の最外径を形成する部分とが、仮想の円筒面B上に位置している。
実施の形態6に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20及び副翼30のそれぞれの最外径を形成する部分が同一の円筒面B上に位置している。換言すれば、回転軸Aの軸方向に見た場合に、実施の形態6に係る軸流羽根車100の最外径を形成する部分は、主翼20及び副翼30である。なお、最外径とは、仮想の円筒面Bを回転軸Aの軸方向から見た場合の半径であり、仮想の円筒面Bは、回転軸Aから最も離れた羽根50の部分によって形成される。
主翼20の外周縁部23の一部と、副翼30の副外周縁部33の少なくとも一部とは、回転軸Aの軸方向に見た場合に、仮想の円筒面Bに位置している。ただし、羽根50は、製造過程で形状のゆがみが発生する場合があり、主翼20と副翼30とが必ずしも完全に同一の円筒面上に位置する形状に限定されるものではなく、主翼20の外周縁部23又は副翼30の副外周縁部33が径方向において僅かにずれてもよい。
[軸流羽根車100の作用効果]
主翼20と副翼30の内、一方の部分の外径が他方の部分の外径よりも小さい場合、外径が小さい方の翼は、最大限に仕事をすることができず、軸流羽根車全体としての送風能力が低下する場合がある。このような場合、軸流羽根車は、定格風量を得るための回転数が増大してしまい、結果として騒音を増大させてしまう恐れがある。なお、主翼部分の外径と副翼部分の外径とが異なる場合と、主翼部分の外径と副翼部分の外径とが同じ場合との比較における軸流羽根車の最外径は同じ大きさであるとする。
実施の形態6に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20における羽根50の最外径を形成する部分と、副翼30における羽根50の最外径を形成する部分とが、仮想の円筒面B上に位置している。すなわち、実施の形態6に係る軸流羽根車100は、回転軸Aの軸方向に見た場合に、主翼20及び副翼30のそれぞれの最外径を形成する部分がいずれも仮想の円筒面B上に位置している。実施の形態6に係る軸流羽根車100は、主翼部分の外径と副翼部分の外径とが同じ大きさである。
実施の形態6に係る軸流羽根車100は、当該構成を有することによって、主翼20と副翼30の内、一方の部分の外径が他方の部分の外径よりも小さい場合と比較して、主翼20及び副翼30はそれぞれ最大限に仕事を行うことができる。そのため、実施の形態6に係る軸流羽根車100は、実施の形態1~実施の形態5に係る軸流羽根車100と比較して更に送風能力の向上と騒音の抑制とを実現できる。
また、実施の形態6に係る軸流羽根車100は、主翼20と副翼30とを有しており、実施の形態1~実施の形態5と同様の構成を備える場合には、実施の形態1~実施の形態5に係る軸流羽根車100と同様の効果を発揮させることができる。
実施の形態7.
図13は、実施の形態7に係る軸流送風機200の子午面図である。図14は、図13の軸流送風機200及びベルマウス40の拡大図である。なお、子午面図とは羽根50を回転軸Aまわりに回転させたときにできる図形を、回転軸Aを含む平面で切断した断面図である。実施の形態7に係る軸流送風機200の軸流羽根車100は、実施の形態1~実施の形態6に係る軸流羽根車100である。図1~図12の軸流羽根車100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、以下の説明では上述した流体を空気として説明する。
軸流送風機200は、流体の流れを形成する装置であり、空気を送風するために用いられる。軸流送風機200は、例えば、換気装置あるいは熱交換器を備えて空気調和装置等として用いられる。実施の形態7に係る軸流送風機200は、実施の形態1~実施の形態6のいずれか1つの軸流羽根車100と、軸流羽根車100の径方向外側において軸流羽根車100を囲むように配置されたベルマウス40とを有する。また、軸流送風機200は、軸流羽根車100を回転させるモーター60と、軸流羽根車100、モーター60及びベルマウス40を収容する筐体210とを有する。
ベルマウス40は、軸流羽根車100によって形成された空気流が通過する流路を形成する。ベルマウス40は、筐体210に形成された空気の吹出口212aに設けられ、軸流羽根車100の外周を囲うように配置されている。ベルマウス40は、軸流羽根車100の外周側を囲い、軸流羽根車100により形成される空気の流れを整える。ベルマウス40は、羽根50の外周端よりも外側に位置し、軸流羽根車100の回転方向Rに沿って環状に形成されている。
回転軸Aの軸方向において、ベルマウス40の一方の端部は、吹出口212aの外周を囲むように筐体210の前壁部212と接続されている。なお、ベルマウス40は、前壁部212と一体に形成されているが、当該構成に限定されるものではなく、前壁部212と別体として形成され、前壁部212につなげられる構成として用意されてもよい。
図13及び図14に示す軸流送風機200は、所謂ハーフダクティドのベルマウス40によって構成されている。すなわち、軸流送風機200は、軸流羽根車100が発生させる空気の流れる方向Fにおいて、ベルマウス40が軸流羽根車100の下流側の部分を囲むように配置されている。軸流送風機200は、軸流羽根車100の羽根50の一部がベルマウス40により形成される流路内に配置され、軸流羽根車100が発生させる空気の流れる方向Fにおいて、羽根50の上流側の部分がベルマウス40により形成された流路から突出している。
軸流送風機200は、所謂ハーフダクティドのベルマウス40によって構成されるものに限定されるものではない。例えば、軸流送風機200は、軸流羽根車100の羽根50全体がベルマウス40の流路内に配置されるような所謂フルダクティドのベルマウス40によって構成されてもよい。
ベルマウス40は、回転軸Aの軸方向に延びるように筒状に形成されている。また、ベルマウス40は、両端部において、端部がラッパ状に形成されており、端部側の部分が拡大し中央側の部分が縮小している。
ここで、軸流羽根車100の羽根50が形成する空気の流れる方向であって、ベルマウス40の開口部45を介して筐体210の内部から外部へ向かう方向を第1方向E1とする。ベルマウス40は、第1方向E1に向かうにつれて、開口部45によって形成される流路の開口径が縮小し、一定の開口径の大きさの流路となり、開口径が拡大する流路となる。ベルマウス40は、第1方向E1において、開口部45を流れる空気の上流側から下流側に向かって縮流部41と、直流部42と、拡大管部43と、を有する。
縮流部41は、第1方向E1に向かうにつれて流路幅が次第に縮小する。縮流部41は、第1方向E1において、空気の流れの、上流側の開口径が下流側の開口径よりも大きく形成されている。縮流部41は、第1方向E1に向かうにつれて開口径が徐々に小さくなるように形成されており、上流側から下流側に向かって流路が徐々に小さくなるように形成されている。
直流部42は、羽根50が形成する空気の流れる方向において、上流側から下流側に向かって流路の幅が一定に形成されている。直流部42は、第1方向E1において、開口径が一定な直管状に形成されている。
拡大管部43は、第1方向E1に向かうにつれて流路幅が次第に拡大する。拡大管部43は、第1方向E1において、空気の流れの、下流側の開口径が上流側の開口径よりも大きく形成されている。拡大管部43は、第1方向E1に向かうにつれて開口径が徐々に大きくなるように形成されており、上流側から下流側に向かって流路が徐々に大きくなるように形成されている。
軸流羽根車100の副翼30は、その外縁の一部が全て縮流部41の内部に位置し、その外縁の一部が直流部42の内部に位置している。例えば、軸流羽根車100の副翼30は、拡大部31が全て縮流部41の内部に位置し、副外周縁部33の一部が直流部42の内部に位置している。すなわち、軸流送風機200は、副翼30の拡大部31が全て縮流部41により形成された流路内に配置されており、副外周縁部33の一部が直流部42により形成された流路内に配置されている。
軸流羽根車100の副翼30は、拡大部31と副外周縁部33とが上記の位置に配置されていると共に、副外周縁部33の一部が縮流部41の内部に位置してもよい。この場合、軸流送風機200は、第1方向E1において、副外周縁部33の上流側の部分が縮流部41により形成された流路内に配置され、副外周縁部33の下流側の部分が直流部42により形成された流路内に配置されている。したがって、軸流送風機200は、図14に示すように、副翼30の拡大部31が、ベルマウス40の縮流部41の内部に位置し、副翼30の副外周縁部33が、ベルマウス40の縮流部41及び直流部42の内部に位置するように形成されている。
図13及び図14に示すように、軸流送風機200は、軸流羽根車100とベルマウス40との間に隙間Gを設けている。軸流送風機200は、軸流羽根車100とベルマウス40との間に隙間Gを設けることによって、軸流羽根車100とベルマウス40とが互いに接触することを防いでいる。
この隙間Gは、特にベルマウス40の直流部42においては、できる限り小さいことが望ましい。なぜなら、この隙間Gでは、羽根50の回転により生じる翼端渦によって、軸流羽根車100による送風方向とは逆向きの空気の流れが発生する。軸流送風機200は、隙間Gが大きいと空気の逆流による送風量の損失が大きくなるため、隙間Gをできるだけ小さくすることが望ましい。
実施の形態1~実施の形態6に係る軸流羽根車100は、主翼20の外縁の一部及び副翼30の外縁の一部が、軸流羽根車100の最外径となる仮想の円筒面Bよりも小さくなるように設計されている。具体的には、軸流羽根車100は、主翼20の縮小部23b及び副翼30の拡大部31が、仮想の円筒面Bよりも小さくなるように設計されている。
主翼20の縮小部23b及び副翼30の拡大部31のような部分が、ベルマウス40の直流部42の内部に位置した場合には、軸流送風機200は、縮小部23b及び拡大部31を有さない軸流羽根車と比べて直流部42における隙間Gの幅が広くなる。そのため、縮小部23b及び拡大部31のような部分がベルマウス40の直流部42の内部に位置する場合には、軸流送風機200は、縮小部23b及び拡大部31を有さない軸流羽根車と比べて、前述した空気の逆流による送風量の損失が大きくなる場合がある。
軸流送風機200は、副翼30の外縁の一部がベルマウス40の縮流部41の内部に位置し、副翼30の外縁の他の一部がベルマウス40の縮流部41の内部から直流部42の内部にかけて位置するように形成されている。具体的には、軸流送風機200は、副翼30の拡大部31がベルマウス40の縮流部41の内部に位置し、副翼30の副外周縁部33がベルマウス40の縮流部41の内部から直流部42の内部にかけて位置するように形成されている。軸流送風機200は、副翼30とベルマウス40とが上記のような位置関係で配置されていることで、直流部42の内部に縮小部23b及び拡大部31が配置されている場合と比較して、羽根50とベルマウス40との隙間Gを小さくできる。
軸流送風機200は、軸流送風機200の外殻を構成する筐体210を有する。筐体210は、直方体の箱状に形成されている。なお、筐体210の形状は、直方体に限定されるものではなく、例えば円柱状あるいは多角柱状等、他の形状に形成されてもよい。
筐体210の後壁部211には、外部から空気を吸込むための開口部として吸込口211aが形成されており、筐体210の前壁部212には、筐体210の内部から外部に空気を吹き出すための開口部として、吹出口212aが形成されている。
モーター60は、軸流羽根車100に駆動力を付与する。軸流羽根車100は、駆動源であるモーター60と接続されており、このモーター60の駆動によって回転する。
[軸流送風機200の作用効果]
実施の形態7に係る軸流送風機200は、実施の形態1~実施の形態6のいずれか1つの軸流羽根車100と、軸流羽根車100の径方向外側において、軸流羽根車100を囲むように配置されたベルマウス40とを有する。そのため、軸流送風機200は、軸流羽根車100と同様の効果を発揮させることができる。軸流送風機200は、軸流羽根車100を有することによって、翼端渦による抵抗及び空力騒音を抑制し、送風能力を維持したまま低騒音化及び高効率化を実現できる。軸流送風機200は、実施の形態2に係る軸流羽根車100を有する場合には、翼端渦の発達による抵抗及び負圧面26からの流体の剥離による抵抗を抑制し、送風能力を維持したまま低騒音化及び高効率化を実現できる。
実施の形態7に係る軸流送風機200は、副翼30の拡大部31が、ベルマウス40の縮流部41の内部に位置し、副翼30の副外周縁部33が、ベルマウス40の縮流部41及び直流部42の内部に位置している。軸流送風機200は、副翼30とベルマウス40とが上記のような位置関係で配置されていることで、副翼30とベルマウス40との隙間Gが広くならず、開口部45内での空気の逆流を最小限に抑えることができ、送風能力の低下を防止できる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。