JP7194577B2 - コバエ防除用スプレー製品、及びコバエの発生を予防する方法 - Google Patents
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Description
薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を封入する容器と、
前記容器から前記エアゾール剤を噴射する噴射ノズルと、
を備えたコバエ防除用スプレー製品であって、
噴射対象物において、コバエの発生を予防するために用いることにある。
前記容器に封入されるエアゾール剤において、前記薬液と前記噴射剤との配合比率が、9:91~50:50に調整されていることが好ましい。
前記噴射ノズルは、直径が0.2~1.0mmの噴射口を有することが好ましい。
前記噴射ノズルから噴射される噴射粒子の粒子径が、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での50%粒子径(D50)が10~45μmの範囲に存在するように構成されていることが好ましい。
前記エアゾール剤は、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びメトフルトリンからなる群から選択される少なくとも一つのピレスロイド系殺虫成分を含有することが好ましい。
前記ピレスロイド系殺虫成分を1.0~7.0w/v%含有することが好ましい。
廃棄物を入れる廃棄物容器においてコバエの発生を予防する方法であって、
前記廃棄物容器の内部に薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射する噴射工程と、
前記廃棄物を前記廃棄物容器へ入れる投入工程と、
を包含することにある。
廃棄物を入れる廃棄物容器においてコバエの発生を予防する方法であって、
前記廃棄物に薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射する噴射工程と、
前記廃棄物を前記廃棄物容器へ入れる投入工程と、
を包含することにある。
廃棄物を入れる廃棄物容器においてコバエの発生を予防する方法であって、
前記廃棄物容器の内部に前記廃棄物を入れる投入工程と、
前記廃棄物が入っている前記廃棄物容器の内部に薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射する噴射工程と、
を包含することにある。
前記噴射工程において、前記エアゾール剤を、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での50%粒子径(D50)が10~45μmの範囲に存在するように噴射することが好ましい。
前記エアゾール剤は、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びメトフルトリンからなる群から選択される少なくとも一つのピレスロイド系殺虫成分を含有することが好ましい。
前記ピレスロイド系殺虫成分を1.0~7.0w/v%含有することが好ましい。
[害虫防除成分]
薬液の主成分の一つである害虫防除成分は、ピレスロイド系殺虫成分の使用が好ましく、例えば、トランスフルトリン、プロフルトリン、メトフルトリンが好適に選択される。これらのピレスロイド系殺虫成分は、単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。なお、これらのピレスロイド系殺虫成分には、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在するが、それらも害虫防除成分に含まれる。
薬液の主成分には、上記の害虫防除成分の他に有機溶剤が含まれる。有機溶剤は、上記の害虫防除成分を溶解して薬液を調製することができ、また、調製した薬液を噴射したとき、最適な噴射粒子を形成し得るものが使用される。本発明のコバエ防除用スプレー製品においては、有機溶剤としては、アルコール類、及び高級脂肪酸エステルが好ましい。アルコール類としては、炭素数が2~3の低級アルコールが好ましく、エタノールが特に好適である。高級脂肪酸エステルとしては、炭素数の総数が13~20のものが好ましく、さらに炭素数の総数が16~20のものがより好ましく、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル等が挙げられる。これらのうち、ミリスチン酸イソプロピルが特に好適である。有機溶剤には、例えば、n-パラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶剤や、炭素数3~6のグリコールエーテル類、及びケトン系溶剤等を混合することもできる。
本発明のコバエ防除用スプレー製品は、上記成分に加え、カビ類や菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、賦形剤等を適宜配合することもできる。防カビ剤、抗菌剤、及び殺菌剤としては、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルト-フェニルフェノール等が挙げられる。芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α-ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられる。
本発明のコバエ防除用スプレー製品で用いる噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等が挙げられる。上記の噴射剤は、単独又は混合状態で使用することができるが、LPGを主成分としたものが使い易い。
上記のように、害虫防除成分、有機溶剤、噴射剤、その他必要に応じて配合される成分を選択し、これらを耐圧容器に封入することで、スプレー製品が完成する。このスプレー製品は、本発明のコバエ防除用スプレー製品であり、噴射対象物に向けてエアゾール剤を噴射粒子として噴射する用途で使用されるものである。薬液は、主に、害虫防除成分と有機溶剤とから構成されるものであり、厳密には噴射剤とは別のものであるが、薬液は噴射剤と同時に耐圧容器の外部に放出されるため、以降の説明では、薬液及び噴射剤を含むエアゾール剤を「薬液」として取り扱う場合がある。ここで、本発明に係るコバエ防除用スプレー製品が備える噴射バルブについて説明する。本発明に係るコバエ防除用スプレー製品は、主に、耐圧容器(エアゾール容器)、定量噴射バルブ、及び噴射ノズルから構成されている。定量噴射バルブには、薬液を噴射するための作動部である噴射ボタンが接続されてあり、噴射ノズルには、薬液がエアゾール容器から外部へ噴出する噴射口が設けられてある。
本発明のコバエ防除用スプレー製品から薬液を1回噴射すると、薬液から噴射粒子が形成される。噴射された噴射粒子は、噴射対象物の表面に付着する。噴射粒子の粒子径は、例えば、噴射ノズルの噴口径、薬液と噴射剤との配合比率、使用する噴射剤の組成、スプレー製品の内圧等のパラメータを調整することにより、種々設定可能である。これらのパラメータの調整は、一つだけ行ってもよいし、複数を組み合わせて行ってもよい。噴射粒子の好ましい粒子径は、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での50%粒子径(D50)が10~45μmである。このような範囲であれば、噴射対象物に噴射された噴射粒子は、噴射対象物の表面に確実に付着する。特に、嵩高く立体的に積み上がった生ゴミ等の廃棄物を噴射対象物として噴射した場合、廃棄物の外側の表面だけではなく、廃棄物の隙間にも噴射粒子が拡散して付着する。コバエは、廃棄物の表面を徘徊したり、産卵のために廃棄物に潜り込んだりする習性を有するため、これらのコバエに、害虫防除成分を含む噴射粒子を接触させることができる。その結果、害虫防除成分に接触したコバエをノックダウン又は致死させることで、産卵抑制効果を発揮することができる。また、噴射粒子の粒子径が適度に大きいことで、噴射対象物に付着した後も噴射粒子から害虫防除成分が揮発することを抑制することができる。そのため、噴射対象物に付着した後も噴射粒子からは、長期間にわたって徐々に害虫防除成分が揮散することになり、その間も産卵が抑制される。コバエが噴射対象物に産卵した場合にも、噴射対象物に付着した害虫防除成分と卵が直接触れることにより、或いは付着した噴射粒子から長期間にわたって揮散される害虫防除成分によって、孵化阻害効果を発揮することができる。そして、孵化したとしても、幼虫が噴射対象物に付着した害虫防除成分と接触することにより、或いは付着した噴射粒子から揮散される害虫防除成分により、幼虫を致死させることができる。噴射粒子のD50粒子径が10μm未満であると、粒子径が小さ過ぎて噴射対象物まで到達せず付着に至らない噴射粒子の割合が多くなったり、付着したとしても付着後に噴射粒子から害虫防除成分が揮発することを十分に抑制することが困難になる虞がある。一方、D50粒子径が45μmを超えると、粒子径が大き過ぎて、嵩高く立体的に積み上がった生ゴミ等の廃棄物の隙間に噴射粒子が入り込まない虞がある。
本発明のコバエの発生を予防する方法は、上記のコバエ防除用スプレー製品を用いて実行される。まず、コバエ防除用スプレー製品の噴射口を廃棄物容器の内部に向けて、噴射ボタンを1回押すと、コバエ防除用スプレー製品から薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤が廃棄物容器の内部に噴射される(噴射工程)。噴射されたエアゾール剤は噴射粒子となり、廃棄物容器の内側の表面に付着する。このとき、廃棄物容器には、生ゴミ等の廃棄物が入れられた状態、及び廃棄物が入れられていない状態の何れであってもよい。この状態の廃棄物容器に、廃棄物を入れる(投入工程)。その後、廃棄物に誘引されて廃棄物容器にコバエが侵入しても、コバエは廃棄物容器の内側の表面を徘徊するため、付着している噴射粒子に接触して害虫防除成分の影響によりノックダウン又は致死することになる。噴射粒子に接触せずに廃棄物に産卵した場合にも、噴射粒子から長期間にわたって徐々に揮散される害虫防除成分により、卵の孵化を阻害することができる。
プラスチック製円筒(内径20cm、高さ43cm)にキイロショウジョウバエ成虫、及びオオキモンノミバエ成虫を計100匹放ち、供試薬剤を約10~15cmの距離から1回噴射し、2時間暴露させた後、全ての供試虫を回収し致死率を求めた。その間、時間経過に伴い落下仰転したコバエ成虫を数え、KT50値を求めた。試験結果を表2に示す。
プラスチック製円筒(内径20cm、高さ43cm)の内側に供試薬剤を約10~15cmの距離から1回噴射し、これを処理区とした。また、無処理円筒も準備し対照区とした。それらを室温に静置保管し、処理から1日後、各円筒内に、生ゴミ(豚肉5g、りんご10g、キャベツ10g)を入れたプラスチックカップ(内径10cm、高さ10cm)を挿入して、キイロショウジョウバエ、オオキモンノミバエ成虫を約100匹程度放した室内に併置した。併置から1日後、各円筒内のプラスチックカップに蓋をして回収し、カップ内の死虫を含む全成虫数を計数し、産卵有無を確認した。さらに、このプラスチックカップを25℃で保存し、1週間後に発生した幼虫数を計数した。供試薬剤の処理から7日後の円筒でも、同様の試験を行った。試験は処理から1日後、及び7日後のそれぞれで3回繰り返した。この試験手順は、廃棄物容器の内部に向けて薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射し(噴射工程)、その後、廃棄物容器に廃棄物を入れる(投入工程)という手順でコバエの発生を予防する方法を実施することを想定したものである。試験結果を表3に示す。
産卵
- :0個
+- :0~1個
+ :2~10個
++ :10~50個
+++ :50個以上
幼虫発生
- :0匹
+- :0~1匹
+ :2~30匹
++ :30~100匹
+++ :100~200匹
++++:200匹以上
生ゴミ(豚肉5g、りんご10g、キャベツ10g)を入れたプラスチックカップ(内径10cm、高さ10cm)に供試薬剤を約10~15cmの距離から1回噴射し、これを処理区とした。また、同量の生ゴミを入れた無処理カップも準備し、それらを室温に静置保管した。1週間後、これらのカップを、キイロショウジョウバエ、オオキモンノミバエ成虫を約100匹程度放したチャンバー(180cm×180cm×180cm)内に併置した。1日後、各プラスチックカップに蓋をして回収し、カップ内の成虫数を計数し、産卵有無を確認した。さらに、このプラスチックカップを25℃で保存し、1週間後に発生した幼虫数を計数した。供試薬剤の処理から7日後のプラスチックカップでも、同様の試験を行った。試験は処理から1日後、及び7日後のそれぞれで3回繰り返した。この試験手順は、廃棄物容器へ入れる前に廃棄物に向けて薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射し(噴射工程)、その後、廃棄物容器に廃棄物を入れる(投入工程)という手順でコバエの発生を予防する方法を実施することを想定したものである。試験結果を表4に示す。評価基準は、表3に示したコバエ発生予防効果確認試験1と同一である。
Claims (8)
- 薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を封入する容器と、
前記容器から前記エアゾール剤を噴射する噴射ノズルと、
を備えたコバエ防除用スプレー製品であって、
前記エアゾール剤は、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びメトフルトリンからなる群から選択される少なくとも一つのピレスロイド系殺虫成分を含有し、
前記噴射ノズルから噴射される噴射粒子の粒子径が、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での50%粒子径(D50)が10~45μmの範囲に存在するように構成されており、
噴射対象物において、コバエの発生を予防するためのコバエ防除用スプレー製品。 - 前記容器に封入されるエアゾール剤において、前記薬液と前記噴射剤との配合比率が、9:91~50:50に調整されている請求項1に記載のコバエ防除用スプレー製品。
- 前記噴射ノズルは、直径が0.2~1.0mmの噴射口を有する請求項1又は2に記載のコバエ防除用スプレー製品。
- 前記ピレスロイド系殺虫成分を1.0~7.0w/v%含有する請求項1~3の何れか一項に記載のコバエ防除用スプレー製品。
- 廃棄物を入れる廃棄物容器においてコバエの発生を予防する方法であって、
前記廃棄物容器の内部に薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射する噴射工程と、
前記廃棄物を前記廃棄物容器へ入れる投入工程と、
を包含し、
前記エアゾール剤は、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びメトフルトリンからなる群から選択される少なくとも一つのピレスロイド系殺虫成分を含有し、
前記噴射工程において、前記エアゾール剤を、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での50%粒子径(D50)が10~45μmの範囲に存在するように噴射する、コバエの発生を予防する方法。 - 廃棄物を入れる廃棄物容器においてコバエの発生を予防する方法であって、
前記廃棄物に薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射する噴射工程と、
前記廃棄物を前記廃棄物容器へ入れる投入工程と、
を包含し、
前記エアゾール剤は、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びメトフルトリンからなる群から選択される少なくとも一つのピレスロイド系殺虫成分を含有し、
前記噴射工程において、前記エアゾール剤を、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での50%粒子径(D50)が10~45μmの範囲に存在するように噴射する、コバエの発生を予防する方法。 - 廃棄物を入れる廃棄物容器においてコバエの発生を予防する方法であって、
前記廃棄物容器の内部に前記廃棄物を入れる投入工程と、
前記廃棄物が入っている廃棄物容器の内部に薬液と噴射剤とを含むエアゾール剤を噴射する噴射工程と、
を包含し、
前記エアゾール剤は、トランスフルトリン、プロフルトリン、及びメトフルトリンからなる群から選択される少なくとも一つのピレスロイド系殺虫成分を含有し、
前記噴射工程において、前記エアゾール剤を、25℃、噴射距離15cmにおける体積積算分布での50%粒子径(D50)が10~45μmの範囲に存在するように噴射する、コバエの発生を予防する方法。 - 前記ピレスロイド系殺虫成分を1.0~7.0w/v%含有する請求項5~7の何れか一項に記載のコバエの発生を予防する方法。
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