JP7192845B2 - 高炉の操業方法および高炉附帯設備 - Google Patents
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Description
なお、送風ガスは、羽口から高炉内に吹き込まれるガスである。送風ガスは、高炉内において微粉炭やコークスをガス化する役割も果たすものである。
「CO2及び/又はCOを含む混合ガスからCO2及び/又はCOを分離回収する工程(A)と、該工程(A)で分離回収されたCO2及び/又はCOに水素を添加し、CO2及び/又はCOをCH4に変換する工程(B)と、該工程(B)を経たガスからH2Oを分離除去する工程(C)と、該工程(C)を経たガスを高炉内に吹き込む工程(D)を有することを特徴とする高炉の操業方法。」
が開示されている。
「高炉ガスを燃料の一部または全部として使用する燃焼炉の排ガスからCO2を分離し、分離したCO2をメタンに改質して得られた還元ガスを高炉に吹込むことを特徴とする高炉操業方法。」
が開示されている。
そのため、安定した操業の下、高炉からの二酸化炭素の排出量の一層の削減が可能な高炉の操業方法の開発が求められている。
また、本発明は、上記の高炉の操業方法に用いる高炉附帯設備を提供することを目的とする。
まず、発明者らは、特許文献1および2の技術において、還元材として高炉に吹込むメタンの量を一定以上とした場合に、操業トラブルが発生する原因について検討した。
その結果、以下の知見を得た。
還元材として高炉に吹込むメタンの量を一定以上にすると、羽口の出口近傍に生じる燃焼領域(レースウェイ)において吹込み還元材およびコークスが燃焼して生じる火炎の温度(以下、羽口先温度ともいう)が大幅に低下する。そして、この羽口先温度の低下が、高炉下部の着熱不足や圧損上昇、出滓不良などの操業トラブルの発生原因となる。
C+0.5O2=CO+110.5kJ/mol
一方、羽口から高炉内に還元材としてメタンを吹込む場合、レースウェイでは以下のような反応が起こる。
CH4+0.5O2=CO+2H2+35.7kJ/mol
当該反応時に発生する熱量を、COおよびH2の合計量の1モルあたりに換算すると、11.9kJ/molとなる。
高炉の安定操業のためには、羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御する必要がある。しかし、高炉内に吹込む還元材の多くを微粉炭からメタンガスに置換すると、上記の反応熱の差により、羽口先温度が低下する。その結果、羽口先温度を上記範囲内に制御することができなくなって、種々の操業トラブルが発生する。
その結果、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)ではなく、酸素ガスを使用することにより、高炉内に吹込む還元材に多量のメタンを用いても、羽口先温度の低下を有効に防止されることを知見した。そして、このようなメタンを、高炉から排出される副生ガス(以下、高炉ガスともいう)、および、転炉から排出される副生ガス(以下、転炉ガスともいう)から再生し、この再生したメタン(再生メタンガス)を還元材として高炉内に再度吹込むことによって、高炉からの二酸化炭素の排出量を一層削減しつつ、安定した高炉の操業が可能になるとの知見を得た。
また、送風ガスとして、特に酸素濃度の高い酸素ガスを使用することにより、高炉ガスに含まれる窒素の量が大幅に低減される。その結果、当該高炉ガスから一酸化炭素や二酸化炭素を分離する工程が不要となり、設備のコンパクト化の点でも極めて有利になるとの知見を得た。
すなわち、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)を使用する場合、燃焼ガス中に燃焼反応に寄与しない50体積%程度の窒素が含まれるため、レースウェイにおける火炎の温度は高温となり難い。そのため、高炉内に吹込む還元材の多くを微粉炭からメタンガスに置換すると、上記した微粉炭-酸素の反応における反応熱と、メタンガス-酸素の反応における反応熱との差によって、羽口先温度が低下し、ひいては、羽口先温度が適正温度の下限である2000℃を下回ってしまう。
一方、送風ガスとして、酸素ガスを使用することにより、燃焼反応に寄与しない窒素ガスの混入を抑制できるので、羽口先温度を十分な温度まで昇温することが可能となる。すなわち、レースウェイにおける火炎の温度を、熱風を使用する場合と比べて高温とすることができるため、羽口から還元材として多量のメタンを吹込む場合にも、羽口先温度を適正範囲である2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能となる。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
1.高炉の操業方法であって、
前記高炉から排出される副生ガスである高炉ガス、および、転炉から排出される副生ガスである転炉ガスを用いて、再生メタンガスを生成する工程と、
前記高炉の羽口から前記高炉内に送風ガスおよび還元材を吹込む工程と、を有し、
前記送風ガスとして酸素ガスを用い、かつ、前記還元材の少なくとも一部に前記再生メタンガスを用いる、高炉の操業方法。
ここで、循環炭素原子の原単位とは、溶銑1tを製造する際に還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガスの炭素換算質量であり、次式により求める。
[循環炭素原子の原単位(kg/t)]=[還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガス中のメタンの質量(kg)]×(12/16)÷[溶銑製造量(t)]
ここで、転炉ガスの原単位とは、溶銑1tを製造する際に、再生メタンガスを生成する工程で使用する転炉ガスの量である。
前記高炉ガス、および、前記転炉ガスを用いて、前記再生メタンガスを生成する、メタンガス生成装置と、
前記再生メタンガスを前記高炉の羽口に導入するメタンガス供給部、および、前記酸素ガスを前記高炉の羽口に導入する酸素ガス供給部を有する、ガス吹込装置と、
をそなえる、高炉附帯設備。
加えて、高炉から排出される副生ガス中の窒素の量が大幅に低減されるので、当該副生ガスから一酸化炭素や二酸化炭素を分離する工程、換言すれば、巨大なPSA(圧力変動吸着法)分離装置等が不要となり、設備のコンパクト化の点でも極めて有利になる。
本発明の一実施形態は、高炉の操業方法であって、
前記高炉から排出される副生ガスである高炉ガス、および、転炉から排出される副生ガスである転炉ガスを用いて、再生メタンガスを生成する工程と、
前記高炉の羽口から前記高炉内に送風ガスおよび還元材を吹込む工程と、を有し、
前記送風ガスとして酸素ガスを用い、かつ、前記還元材の少なくとも一部に前記再生メタンガスを用いる、というものである。
図中、符号1は高炉、2は羽口、3はメタンガス生成装置、3-1は転炉、4はガス吹込装置、5は第1の脱水装置、6は第2の脱水装置、7はバーナーである。
なお、ここでいう高炉には、シャフト型還元炉なども含むものとする。
本発明の一実施形態に従う高炉の操業方法では、高炉の炉頂部から高炉内へ原料となる焼結鉱や塊鉱石、ペレット(以下、鉱石原料ともいう)やコークスなどが装入される(図示せず)。また、高炉下部に設置された羽口2から高炉1内へ、送風ガスと還元材とが吹込まれる。なお、羽口2から高炉1内へ吹込む還元材を、コークスと区別するため、吹込み還元材ともいう。
そして、送風ガスと還元材の反応により生じた一酸化炭素ガスや水素ガスによって、高炉1内に装入した鉱石原料が還元される。この鉱石原料の還元反応において、二酸化炭素が発生する。そして、この二酸化炭素は、鉱石原料と反応しなかった一酸化炭素や水素などとともに、副生ガスとして、高炉の炉頂部から排出される。高炉の炉頂部は2.5気圧程度の高圧条件となっている。そのため、この高炉の炉頂部から排出される副生ガスである高炉ガスが常圧に戻る際の膨張冷却により、水蒸気が凝縮する。そして、第1の脱水装置5において、その凝縮水が除去される。
なお、転炉とは、金属を精錬するために用いられる炉であり、製鉄所における鋼の精錬などに用いられる。鋼を精錬する場合、高炉で得られた銑鉄を転炉に入れた状態で転炉内へ酸素を吹きつけることにより、銑鉄中に含まれている炭素や不純物(ケイ素、リン、マンガン、硫黄など)が酸素と反応して除去される。その際、炭素と酸素が反応して生じた一酸化炭素を含む高温の副生ガス(転炉ガス)が発生する。
通常、再生メタンガスの生成の際に使用する転炉ガスには、一酸化炭素(60~70体積%程度)、二酸化炭素(10~20体積%程度)、水素(1~2体積%程度)、および、残部ガス(5~20体積%程度)が含まれる。残部ガスとしては、例えば、N2などが挙げられる。特に、一酸化炭素、二酸化炭素および水素以外の残部ガスの濃度は、20体積%以下とすることが好ましい。残部ガスの濃度を20体積%以下とすれば、再生メタンガス中のメタンガス濃度を高濃度(90体積%程度)に保つことができるので、非常に有利である。残部ガスの濃度は、より好ましくは10体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下である。残部ガスの濃度は、0体積%であってもよい。
なお、再生メタンガスの生成に使用する水素ガスは、水素濃度:100体積%のガスでなくてもよいが、再生メタンガスのメタン濃度を高濃度とするため、水素濃度が高いガス、具体的には、水素濃度が80体積%以上の水素ガスを用いることが好ましい。水素濃度は、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。水素濃度は100体積%であってもよい。水素以外の残部ガスとしては、例えば、COやCO2、H2S、CH4、N2などが挙げられる。
また、その他の吹込み還元材、例えば、微粉炭や廃プラスチック、水素ガスや一酸化炭素ガス等の還元ガスを一緒に使用してもよい。なお、その他の吹込み還元材の高炉内への吹込み量は、合計で150kg/t以下とすることが好適である。ここで、「kg/t」という単位は、溶銑1tを製造する際に高炉内へ吹込むその他の吹込み還元材の量である。
その他の吹込み還元材を使用する場合、メタンガス供給部に、その他の吹込み還元材も一緒に導入してもよい。また、その他の吹込み還元材として微粉炭や廃プラスチックを用いる場合には、メタンガス供給部とは別に、微粉炭や廃プラスチックを流通させる別の還元材供給部(路)を設けることが好ましい。この場合、ガス吹込装置3は、例えば、図2(b)に示すように、中心管4-1および外管4-3に加え、中心管4-1と外管4-3の間に内管4-2を設けた同軸多重管により構成される。そして、別の還元材供給部となる中心管内路から微粉炭や廃プラスチックなどのその他の吹込み還元材が導入される。また、メタンガス供給部となる中心管4-1と外管4-3との間の環状管路からメタンガスが導入され、酸素ガス供給部となる内管4-2と外管4-3との間の環状管路から酸素が導入される。
なお、送風ガスに常温の酸素ガスを用いると着火性が悪くなるので、ガス吹込装置4の酸素ガス供給部を構成する外管の吐出部を多孔構造とし、酸素ガスと吹込み還元材の混合を促進することが好ましい。
なお、外部メタンガスとしては、例えば、化石燃料由来のメタンガスなどが挙げられる。
すなわち、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)を使用する場合、燃焼ガス中に燃焼反応に寄与しない50体積%程度の窒素が含まれるため、レースウェイにおける火炎の温度は高温となり難い。そのため、高炉内に吹込む還元材の多くを微粉炭からメタンガスに置換すると、上記した微粉炭-酸素の反応における反応熱と、メタンガス-酸素の反応における反応熱との差によって、羽口先温度が低下して、羽口先温度が適正温度の下限である2000℃を下回ってしまう。その結果、高炉下部の着熱不足や圧損上昇、出滓不良などの操業トラブルを招く。また、高炉ガスに窒素が多量に含まれるようになるので、高炉ガスからメタンガスを生成する工程の前工程で、窒素と、一酸化炭素および二酸化炭素とを分離する工程が必要となる。
一方、送風ガスとして、酸素ガスを使用することにより、燃焼反応に寄与しない窒素ガスの混入を抑制できるので、羽口先温度を十分な温度まで昇温することが可能となる。すなわち、レースウェイにおける火炎の温度を、熱風を使用する場合と比べて高温とすることができる。そのため、羽口から還元材として多量のメタンを吹込む場合にも、羽口先温度を適正範囲である2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能となる。
そのため、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法では、送風ガスとして、酸素ガスを使用することが重要となる。
図6に示したように、熱風送風条件では、循環炭素原子の原単位が52kg/t以上(すなわち、再生メタンの吹き込み量が97Nm3/t以上)になると、羽口先温度が適正温度の下限である2000℃を下回ってしまうことがわかる。このように、一般的に用いられている熱風送風条件では、循環炭素原子の原単位を、55kg/t以上、特には、60kg/t以上にすると、羽口先温度の低下を招き、安定した操業を行うことができない。
一方、酸素ガス送風条件では、循環炭素原子の原単位を55kg/t以上、さらには、60kg/t以上としても、羽口先温度を2000℃以上に保つことが可能であることがわかる。
なお、図6の酸素ガス送風条件では、循環炭素原子の原単位が55kg/t~80kg/tの範囲で羽口先温度が適正温度の上限である2400℃を超えている。これは、吹込み還元材に、全量、再生メタンを使用しているためであり、吹込み還元材の一部に外部メタンガスを使用する場合には、循環炭素原子の原単位が55kg/t~80kg/tの範囲においても羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能である。また、吹込み還元材に、全量、再生メタンを使用する場合にも、酸素ガスの酸素濃度を調整することによって、羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能である。
なお、酸素ガス中の酸素以外の残部ガスとしては、例えば、窒素や二酸化炭素、アルゴン等が含まれていてもよい。
すなわち、吹込みメタンガス中のメタン濃度が低いと、高炉内への吹込むガス量、ひいては、高炉の圧力損失が増大して、生産性が低下するおそれがある。また、上記したガス循環を繰り返す間に、再生メタンガス中のメタン濃度が相対的に低下する。そのため、吹込みメタンガスのメタン濃度は、80体積%以上とすることが好ましい。吹込みメタンガスのメタン濃度は、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。吹込みメタンガスのメタン濃度は100体積%であってもよい。
同様の理由から、再生メタンガスおよび外部メタンガスのメタン濃度もそれぞれ、80体積%以上とすることが好ましい。再生メタンガスおよび外部メタンガスのメタン濃度はそれぞれ、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。再生メタンガスおよび外部メタンガスのメタン濃度はそれぞれ100体積%であってもよい。
なお、吹込みメタンガス、再生メタンガスおよび外部メタンガス中のメタン以外の残部ガスとしては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、水素および炭化水素、ならびに、窒素などの不純物ガスが含まれていてもよい。
また、再生メタンガスのメタン濃度が低下した場合には、例えば、吹込みメタンガスにおける再生メタンガスの割合を低下させる一方、メタン濃度の高い外部メタンガスの割合を増加させることによって、吹込みメタンガス中のメタン濃度を高く保つことが可能である。
ここで、循環炭素原子の原単位とは、溶銑1tを製造する際に還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガスの炭素換算質量であり、次式により求める。
[循環炭素原子の原単位(kg/t)]=[還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガス中のメタンの質量(kg)]×(12/16)÷[溶銑製造量(t)]
なお、還元材における循環炭素原子の原単位は、吹込み還元材における再生メタンガスの羽口への吹き込み量を調整することにより、制御することができる。
特に、吹込みメタンガスにおける再生メタンガスの割合を80体積%以上、好ましくは90体積%以上とすることにより、高い二酸化炭素の排出量削減効果が得られる。
本発明の一実施形態に従う高炉附帯設備は、上記の高炉の操業方法に用いる高炉附帯設備であって、
前記高炉ガス、および、前記転炉ガスを用いて、前記再生メタンガスを生成する、メタンガス生成装置と、
前記再生メタンガスを前記高炉の羽口に導入するメタンガス供給部、および、前記酸素ガスを前記高炉の羽口に導入する酸素ガス供給部を有する、ガス吹込装置と、
をそなえる、高炉附帯設備である。
なお、メタンガスの生成反応では発熱が起こるので、反応部は冷却機構をそなえることが好ましい。
また、その他の吹込み還元材、例えば、微粉炭や廃プラスチック、水素ガスや一酸化炭素ガス等の還元ガスを一緒に使用してもよい。
その他の吹込み還元材を使用する場合、メタンガス供給部に、その他の吹込み還元材も一緒に導入してもよい。また、その他の吹込み還元材として微粉炭や廃プラスチックを用いる場合には、メタンガス供給部とは別に、微粉炭や廃プラスチックを流通させる別の還元材供給部(路)を設けることが好ましい。この場合、ガス吹込装置は、例えば、図2(b)に示すように、中心管4-1および外管4-3に加え、中心管4-1と外管4-3の間に内管4-2を設けた同軸多重管により構成される。そして、別の還元材供給部となる中心管内路から微粉炭や廃プラスチックなどのその他の吹込み還元材が導入される。また、メタンガス供給部となる中心管4-1と外管4-3との間の環状管路からメタンガスが導入され、酸素ガス供給部となる内管4-2と外管4-3との間の環状管路から酸素が導入される。
なお、図3~5中、符号9は熱風炉、10はガス分離装置、11は熱風炉排ガス用脱水装置である。
発明例2では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの一部および転炉ガスから再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給した。また、吹込み還元材には、全量、再生メタンガスを使用し、再生メタンガスの余剰分が発生しないように、再生メタンガスの生成量を調整した。
発明例3では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの全量および転炉ガスから再生メタンガスを生成した。吹込み還元材には、再生メタンガスに加え、一部、化石燃料由来の外部メタンガスを使用した。また、再生メタンガスの余剰分を、製鉄所内に供給した。
発明例4および5では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの一部および転炉ガスから再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給した。また、吹込み還元材には、再生メタンガスに加え、一部、化石燃料由来の外部メタンガスを使用した。
比較例2では、図4に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いた。ここでは、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気(酸素濃度:21~25体積%程度))を、吹込み還元材として再生メタンガスをそれぞれ使用した。また、再生メタンガスの生成前に、高炉ガスから一酸化炭素および二酸化炭素を分離し、分離した一酸化炭素および二酸化炭素から、再生メタンガスを生成した。なお、転炉ガスは、再生メタンガスの生成に使用しなかった。
比較例3では、図5に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いた。ここでは、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気(酸素濃度:21~25体積%程度))を、吹込み還元材として再生メタンガスをそれぞれ使用した。また、再生メタンガスの生成では、高炉ガスではなく、熱風炉の副生ガス(以下、熱風炉排ガスともいう)を使用した。そして、熱風炉排ガスから二酸化炭素を分離し、分離した二酸化炭素から、再生メタンガスを生成した。なお、転炉ガスは、再生メタンガスの生成に使用しなかった。
比較例4では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの一部から再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給した。また、吹込み還元材には、再生メタンガスに加え、一部、化石燃料由来の外部メタンガスを使用した。なお、転炉ガスは、再生メタンガスの生成に使用しなかった。
比較例5では、比較例2と同様、図4に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いた。なお、比較例5は、吹込みメタンガス比を増加させたこと以外は、比較例2と同じ条件である。
なお、「kcal/t」という単位は、溶銑1tを製造する際に発生するヒートロス量(kcal)を意味するものである。同様に、コークス比などで使用する「kg/t」という単位は、溶銑1tを製造する際に使用されるコークスの量(kg)などを意味するものである。また、吹込みメタン比などに使用する「Nm3/t」という単位も、溶銑1tを製造する際に高炉内に吹込まれる吹込みメタンガス中のメタン量(Nm3)などを意味するものである(なお、吹込みメタン比は、再生メタン比および外部メタン比の和であるが、再生メタンガスには、メタン以外の微量の残部ガスが含まれている。また、表1中に表示している再生メタン比および外部メタン比の値は、いずれもメタン以外の微量の残部ガスを除いたメタン量であり、小数点以下第1位を四捨五入した値である。そのため、表1中の吹込みメタン比と、再生メタン比および外部メタン比の和が一致しない場合がある。また、表1中の他の数値についても、同様の場合がある。)。
また、表1中の「高炉InputC」は、溶銑1tを製造する際に使用する外部由来の(具体的には、コークス、微粉炭および外部メタンガスに含まれる)炭素原子の質量(kg)を意味するものである。
一方、比較例1~4では、十分な二酸化炭素量の削減効果が得られなかった。また、比較例5では、吹込みメタンガス量の増加により、羽口先温度が2000℃未満になったため、安定した高炉の操業を行うことができなかった。
2:羽口
3:メタンガス生成装置
3-1:転炉
4:ガス吹込装置
4-1:中心管
4-2:内管
4-3:外管
5:第1の脱水装置
6:第2の脱水装置
7:バーナー
8:レースウェイ
9:熱風炉
10:ガス分離装置
11:熱風炉排ガス用脱水装置
Claims (6)
- 高炉の操業方法であって、
前記高炉から排出される副生ガスである高炉ガス、および、転炉から排出される副生ガスである転炉ガスを用いて、再生メタンガスを生成する工程と、
前記高炉の羽口から前記高炉内に送風ガスおよび還元材を吹込む工程と、を有し、
前記送風ガスとして酸素ガスを用い、かつ、前記還元材の少なくとも一部に前記再生メタンガスを用い、
溶銑1tを製造する際に還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガスの炭素換算質量である循環炭素原子の原単位が55kg/t以上であり、
前記酸素ガスの酸素濃度が80体積%以上である、高炉の操業方法。 - 前記還元材における循環炭素原子の原単位が60kg/t以上である、請求項1に記載の高炉の操業方法。
ここで、循環炭素原子の原単位は、次式により求める。
[循環炭素原子の原単位(kg/t)]=[還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガス中のメタンの質量(kg)]×(12/16)÷[溶銑製造量(t)] - 前記転炉ガスの原単位が90Nm3/t以下である、請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
ここで、転炉ガスの原単位とは、溶銑1tを製造する際に、再生メタンガスを生成する工程で使用する転炉ガスの量である。 - 前記高炉ガスの一部から前記再生メタンガスを生成し、前記高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給する、請求項1~3のいずれかに記載の高炉の操業方法。
- 前記再生メタンガスの余剰分を製鉄所内に供給する、請求項1~4のいずれかに記載の高炉の操業方法。
- 請求項1~5のいずれかに記載の高炉の操業方法に用いる高炉附帯設備であって、
前記高炉ガス、および、前記転炉ガスを用いて、前記再生メタンガスを生成する、メタンガス生成装置と、
前記再生メタンガスを前記高炉の羽口に導入するメタンガス供給部、および、前記酸素ガスを前記高炉の羽口に導入する酸素ガス供給部を有する、ガス吹込装置と、
をそなえる、高炉附帯設備。
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