JP7131698B2 - 高炉の操業方法および高炉附帯設備 - Google Patents

高炉の操業方法および高炉附帯設備 Download PDF

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Description

本発明は、高炉の操業方法および高炉附帯設備に関する。
近年、地球環境問題を背景として、二酸化炭素(CO)の排出量削減が強く求められている。そのため、製鉄所内に設けられた高炉の操業においても、低還元材比(低RAR)操業を行うことが求められている。
一般的な高炉では、羽口から送風ガスとして熱風(1200℃程度に加熱した空気)を高炉内に吹込む。これにより、熱風中の酸素と、還元材となるコークスや微粉炭とが反応して、一酸化炭素(CO)ガスや水素(H)ガスが生成する。これらの一酸化炭素ガスや水素ガスによって、高炉内に装入した鉄鉱石が還元される。また、この鉄鉱石の還元反応において、二酸化炭素が発生する。
なお、送風ガスは、羽口から高炉内に吹き込まれるガスである。送風ガスは、高炉内において微粉炭やコークスをガス化する役割も果たすものである。
このような高炉の操業における二酸化炭素の排出量削減技術として、高炉等から排出される副生ガスに含まれる一酸化炭素や二酸化炭素を改質して、メタンやエタノールなどの炭化水素を生成し、生成した炭化水素を、再度、高炉に還元材として導入する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、
「CO及び/又はCOを含む混合ガスからCO及び/又はCOを分離回収する工程(A)と、該工程(A)で分離回収されたCO及び/又はCOに水素を添加し、CO及び/又はCOをCHに変換する工程(B)と、該工程(B)を経たガスからHOを分離除去する工程(C)と、該工程(C)を経たガスを高炉内に吹き込む工程(D)を有することを特徴とする高炉の操業方法。」
が開示されている。
また、特許文献2には、
「高炉ガスを燃料の一部または全部として使用する燃焼炉の排ガスからCOを分離し、分離したCOをメタンに改質して得られた還元ガスを高炉に吹込むことを特徴とする高炉操業方法。」
が開示されている。
特開2011-225969号公報 特開2014-005510号公報
しかし、特許文献1および2の技術では、還元材として高炉に吹込むメタンの量が一定以上になると、高炉下部の着熱不足や圧損上昇、出滓不良などの操業トラブルを引き起こす場合がある。
そのため、安定した操業の下、高炉からの二酸化炭素の排出量の一層の削減が可能な高炉の操業方法の開発が求められている。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、安定した操業の下、高炉からの二酸化炭素の排出量の一層の削減が可能な高炉の操業方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の高炉の操業方法に用いる高炉附帯設備を提供することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた。
まず、発明者らは、特許文献1および2の技術において、還元材として高炉に吹込むメタンの量を一定以上とした場合に、操業トラブルが発生する原因について検討した。
その結果、以下の知見を得た。
還元材として高炉に吹込むメタンの量を一定以上にすると、羽口の出口近傍に生じる燃焼領域(レースウェイ)において吹込み還元材およびコークスが燃焼して生じる火炎の温度(以下、羽口先温度ともいう)が大幅に低下する。そして、この羽口先温度の低下が、高炉下部の着熱不足や圧損上昇、出滓不良などの操業トラブルの発生原因となる。
すなわち、羽口から高炉内に還元材として微粉炭を吹込む場合、微粉炭の主成分は炭素であるため、レースウェイでは以下のような反応が起こる。
C+0.5O=CO+110.5kJ/mol
一方、羽口から高炉内に還元材としてメタンを吹込む場合、レースウェイでは以下のような反応が起こる。
CH+0.5O=CO+2H+35.7kJ/mol
当該反応時に発生する熱量を、COおよびHの合計量の1モルあたりに換算すると、11.9kJ/molとなる。
高炉の安定操業のためには、羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御する必要がある。しかし、高炉内に吹込む還元材の多くを微粉炭からメタンガスに置換すると、上記の反応熱の差により、羽口先温度が低下する。その結果、羽口先温度を上記範囲内に制御することができなくなって、種々の操業トラブルが発生する。
そこで、発明者らは、上記の知見を基に、さらに検討を重ねた。
その結果、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)ではなく、酸素ガスを使用することにより、高炉内に吹込む還元材に多量のメタンを用いても、羽口先温度の低下が有効に防止されることを知見した。そして、このようなメタンを高炉から排出される副生ガス(以下、高炉ガスともいう)から再生し、この再生したメタン(再生メタンガス)を還元材として高炉内に再度吹込むことによって、高炉からの二酸化炭素の排出量を一層削減しつつ、安定した高炉の操業が可能になるとの知見を得た。
また、送風ガスとして、特に酸素濃度の高い酸素ガスを使用することにより、高炉ガスに含まれる窒素の量が大幅に低減される。その結果、当該高炉ガスから一酸化炭素や二酸化炭素を分離する工程が不要となり、設備のコンパクト化の点でも極めて有利になるとの知見を得た。
なお、発明者らは、送風ガスとして、酸素ガスを使用することにより、高炉内に吹込む還元材に多量のメタンを用いても、羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能である理由について、次のように考えている。
すなわち、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)を使用する場合、燃焼ガス中に燃焼反応に寄与しない50体積%程度の窒素が含まれるため、レースウェイにおける火炎の温度は高温となり難い。そのため、高炉内に吹込む還元材の多くを微粉炭からメタンガスに置換すると、上記した微粉炭-酸素の反応における反応熱と、メタンガス-酸素の反応における反応熱との差によって、羽口先温度が低下し、ひいては、羽口先温度が適正温度の下限である2000℃を下回ってしまう。
一方、送風ガスとして、酸素ガスを使用することにより、燃焼反応に寄与しない窒素ガスの混入を抑制できるので、羽口先温度を十分な温度まで昇温することが可能となる。すなわち、レースウェイにおける火炎の温度を、熱風を使用する場合と比べて高温とすることができるため、羽口から還元材として多量のメタンを吹込む場合にも、羽口先温度を適正範囲である2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能となる。
また、高炉ガスからメタンを再生するには、高炉ガスに含まれる一酸化炭素や二酸化炭素と水素とを反応させる必要がある。
しかし、日本において主流である5,000m級の大型高炉から発生する高炉ガスの全量を、メタンとして再生するには、60,000m/h程度の水素が必要である。しかし、このような大量の水素を、製鉄所外部から調達することは極めて困難である。
この点についても、発明者らは検討を重ね、再生メタンガスの生成に必要な水素ガスの供給源として、コークス炉から排出される副生ガス(以下、コークス炉ガスともいう)を利用することが有利であることを知見した。
すなわち、コークス炉ガスには、水素に加え、メタンも含まれている。そのため、再生メタンガスの生成にコークス炉ガスを使用することによって、高炉ガスからメタンを生成するのに必要な水素量、特には外部から供給される水素量を低減することが可能となる。また、コークス炉において、石炭を乾留してコークスを製造する際に副次的に発生する水素を有効活用できるので、より高効率な資源循環システムを構築することが可能となる。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.高炉の操業方法であって、
前記高炉から排出される副生ガスである高炉ガス、および、コークス炉から排出される副生ガスであるコークス炉ガスを用いて、再生メタンガスを生成する工程と、
前記高炉の羽口から前記高炉内に送風ガスおよび還元材を吹込む工程と、を有し、
前記送風ガスとして酸素ガスを用い、かつ、前記還元材の少なくとも一部に前記再生メタンガスを用いる、高炉の操業方法。
2.前記還元材における循環炭素原子の原単位が60kg/t以上である、前記1に記載の高炉の操業方法。
ここで、循環炭素原子の原単位とは、溶銑1tを製造する際に還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガスの炭素換算質量であり、次式により求める。
[循環炭素原子の原単位(kg/t)]=[還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガス中のメタンの質量(kg)]×(12/16)÷[溶銑製造量(t)]
3.前記コークス炉ガスの原単位が140Nm/t以下である、前記1または2に記載の高炉の操業方法。
ここで、コークス炉ガスの原単位とは、溶銑1tを製造する際に、再生メタンガスを生成する工程で使用するコークス炉ガスの量である。
4.前記酸素ガスの酸素濃度が80体積%以上である、前記1~3のいずれかに記載の高炉の操業方法。
5.前記高炉ガスの一部から前記再生メタンガスを生成し、前記高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給する、前記1~4のいずれかに記載の高炉の操業方法。
6.前記再生メタンガスの余剰分を製鉄所内に供給する、前記1~5のいずれかに記載の高炉の操業方法。
7.前記1~6のいずれかに記載の高炉の操業方法に用いる高炉附帯設備であって、
前記高炉ガス、および、前記コークス炉ガスを用いて、前記再生メタンガスを生成する、メタンガス生成装置と、
前記再生メタンガスを前記高炉の羽口に導入するメタンガス供給部、および、前記酸素ガスを前記高炉の羽口に導入する酸素ガス供給部を有する、ガス吹込装置と、
をそなえる、高炉附帯設備。
本発明によれば、安定した操業の下、高炉からの二酸化炭素(CO)の排出量の一層の削減が可能となる。また、高効率な資源循環システムを構築することが可能となる。加えて、高炉ガスから生成したメタンガスを使用することにより、コークスおよび微粉炭、すなわち、有限の化石燃料である石炭の使用量を削減することも可能となる。
さらに、高炉から排出される副生ガス中の窒素の量が大幅に低減されるので、当該副生ガスから一酸化炭素や二酸化炭素を分離する工程、換言すれば、巨大なPSA(圧力変動吸着法)分離装置等が不要となり、設備のコンパクト化の点でも極めて有利になる。
加えて、コークス炉ガスには、水素に加え、メタンも含まれているので、再生メタンガスの生成にコークス炉ガスを使用することによって、高炉ガスからメタンを生成するのに必要な水素量を低減することも可能となる。
本発明の一実施形態に従う高炉の操業方法に用いる、高炉および高炉附帯設備の一例を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に従う高炉の操業方法に用いる、ガス吹込装置の例を模式的に示す図である。 比較例で用いた、高炉および高炉附帯設備を模式的に示す図である。 比較例で用いた、高炉および高炉附帯設備を模式的に示す図である。 比較例で用いた、高炉および高炉附帯設備を模式的に示す図である。 熱風送風条件および酸素ガス送風条件について、循環炭素原子の原単位と羽口先温度との関係の一例を示す図である。
本発明を、以下の実施形態に基づき説明する。
本発明の一実施形態は、高炉の操業方法であって、
前記高炉から排出される副生ガスである高炉ガス、および、コークス炉から排出される副生ガスであるコークス炉ガスを用いて、再生メタンガスを生成する工程と、
前記高炉の羽口から前記高炉内に送風ガスおよび還元材を吹込む工程と、を有し、
前記送風ガスとして酸素ガスを用い、かつ、前記還元材の少なくとも一部に前記再生メタンガスを用いる、というものである。
まず、本発明の一実施形態に従う高炉の操業方法を、図1に模式的に示す高炉および高炉附帯設備に適用した場合を例として、説明する。
図中、符号1は高炉、2は羽口、3はメタンガス生成装置、3-1はコークス炉、4はガス吹込装置、5は第1の脱水装置、6は第2の脱水装置、7はバーナーである。
なお、ここでいう高炉には、シャフト型還元炉なども含むものとする。
[高炉の操業方法]
本発明の一実施形態に従う高炉の操業方法では、高炉の炉頂部から高炉内へ原料となる焼結鉱や塊鉱石、ペレット(以下、鉱石原料ともいう)やコークスなどが装入される(図示せず)。また、高炉下部に設置された羽口2から高炉1内へ、送風ガスと還元材とが吹込まれる。なお、羽口2から高炉1内へ吹込む還元材を、コークスと区別するため、吹込み還元材ともいう。
そして、送風ガスと還元材の反応により生じた一酸化炭素ガスや水素ガスによって、高炉1内に装入した鉱石原料が還元される。この鉱石原料の還元反応において、二酸化炭素が発生する。そして、この二酸化炭素は、鉱石原料と反応しなかった一酸化炭素や水素などとともに、副生ガスとして、高炉の炉頂部から排出される。高炉の炉頂部は2.5気圧程度の高圧条件となっている。そのため、この高炉の炉頂部から排出される副生ガスである高炉ガスが、常圧に戻る際の膨張冷却により、水蒸気が凝縮する。そして、第1の脱水装置5において、その凝縮水が除去される。
ついで、高炉ガスの少なくとも一部を、メタンガス生成装置3に導入する。そして、メタンガス生成装置3において、高炉ガスに含まれる一酸化炭素および二酸化炭素と、水素とを反応させて、メタン(CH)ガスを生成する。ここで、高炉ガスを反応させて得たメタンガスを、再生メタンガスと称する。
なお、再生メタンガスの生成に使用する水素ガスは、水素濃度:100体積%のガスでなくてもよいが、再生メタンガスのメタン濃度を高濃度とするため、水素濃度が高いガス、具体的には、水素濃度が80体積%以上の水素ガスを用いることが好ましい。水素濃度は、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。水素濃度は100体積%であってもよい。水素以外の残部ガスとしては、例えば、COやCO、HS、CH、Nなどが挙げられる。
そして、再生メタンガスの生成の際に使用する水素ガス供給源の少なくとも一部に、コークス炉ガスを用いる。
というのは、
・コークス炉ガスには、水素に加え、メタンも含まれているので、再生メタンガスの生成にコークス炉ガスを使用することによって、高炉ガスからメタンを生成するのに必要な水素量、特には外部から供給される水素量を低減することができ、
・また、コークス炉3-1において、石炭を乾留してコークスを製造する際に副次的に発生する水素を有効活用できるので、より高効率な資源循環システムを構築することが可能となる、
からである。
ここで、再生メタンガスの生成の際に使用する(メタンガス生成装置3に導入する)コークス炉ガスには、通常、水素が50~60体積%、メタンが25~30体積%、残部ガスが10~25体積%含まれる。残部ガスとしては、例えば、メタン以外の炭化水素CやCO、CO、N2などが挙げられる。残部ガスに含まれるメタン以外の炭化水素CやCO、COは、メタンガス生成装置3で水素と反応し、メタンとなる(当該メタンも、再生メタンガスに含有される)。
また、コークス炉ガスに含まれるメタンは、水素とともに、メタンガス生成装置3に導入され、そのまま、再生メタンガスとして、ガス吹込装置4に導入される。
すなわち、再生メタンガスには、コークス炉ガスに含まれていたメタンがそのまま含有される。
なお、コークス炉3-1から排出された直後のガス(以下、未精製のコークス炉ガスという)には、タール、アンモニア、硫化水素、ナフタリン等の成分が含有されている。そのため、再生メタンガスの生成の際に使用する(メタンガス生成装置3に導入する)までに、未精製のコークス炉ガスからこれらの成分を除去する。
また、未精製のコークス炉ガスには、COやCOが含まれているので、必要に応じて、PSA(物理吸着)などにより、COやCOを分離してもよい。
なお、本明細中、単に「コークス炉ガス」という場合には、未精製のコークス炉ガスではなく、タール、アンモニア、硫化水素、ナフタリン等の成分、および、必要に応じてCOやCOを除去したコークス炉ガス(換言すれば、再生メタンガスの生成の際に使用する(メタンガス生成装置3に導入する)コークス炉ガス)を意味するものとする。
加えて、コークス炉ガスの原単位(溶銑1tを製造する際に、再生メタンガスを生成する工程で用いるコークス炉ガスの量)は、140Nm/t以下とすることが好ましい。すなわち、コークス炉ガスの原単位が140Nm/tを超えると、製鉄所内でコークスを過剰に生産することになり、CO排出量の削減効果が小さくなる場合がある。
一方で、資源循環効率を高め、ひいては、外部から供給される水素ガスの使用を極力低減するという観点から、コークス炉ガスの原単位は、70Nm/t以上とすることが好ましい。コークス炉ガスの原単位は、より好ましくは105Nm/t以上である。
なお、再生メタンガスの生成の際に使用する水素ガスの不足分については、外部から供給するか、または、水の電気分解により生成すればよい。外部から供給される水素ガスとしては、例えば、天然ガスなどの炭化水素を水蒸気改質などによって改質することで製造される水素ガスや、液化水素を気化させて得られる水素ガス、有機ハイドライドを脱水素して製造される水素ガスなどが挙げられる。
また、外部から供給される水素ガス、および、水の電気分解により生成される水素ガス(以下、その他の水素ガスともいう)は、例えば、図1に示すように、コークス炉ガスとは別のラインでメタンガス生成装置3に導入すればよい。また、メタンガス生成装置3とコークス炉3-1の間(ただし、タール、アンモニア、硫化水素、ナフタリン等の成分、および、必要に応じてCOやCOを除去するための装置の下流側)のコークス炉ガス流通路に、その他の水素ガスの供給ラインを接続してもよい。
ついで、再生メタンガスを常温まで冷却することにより、再生メタンガス中の水蒸気が凝縮される。そして、第2の脱水装置6において、この凝縮水が除去される。
ついで、再生メタンガスを、ガス吹込装置4に導入する。ガス吹込装置4は、第2の脱水装置6を介してメタンガス生成装置3と接続される。また、ガス吹込装置4は、吹込み還元材となる再生メタンガスを高炉1の羽口2に導入するメタンガス供給部、および、送風ガスとなる酸素ガスを高炉の羽口に導入する酸素ガス供給部を有する。
例えば、図2(a)に示すように、ガス吹込装置4は、中心管4-1および外管4-3を有する同軸多重管から構成される。そして、メタンガス供給部(路)となる中心管内路へメタンガス(再生メタンガス、および、適宜、後述する外部メタンガス)が導入され、酸素ガス供給部(路)となる中心管4-1と外管4-3との間の環状管路へ酸素ガスが導入される。
また、その他の吹込み還元材、例えば、微粉炭や廃プラスチック、水素ガスや一酸化炭素ガス等の還元ガスを一緒に使用してもよい。なお、その他の吹込み還元材の高炉内への吹込み量は、合計で150kg/t以下とすることが好適である。ここで、「kg/t」という単位は、溶銑1tを製造する際に高炉内へ吹込むその他の吹込み還元材の量である。
その他の吹込み還元材を使用する場合、メタンガス供給部に、その他の吹込み還元材も一緒に導入してもよい。また、その他吹込み還元材として微粉炭や廃プラスチックを用いる場合には、メタンガス供給部とは別に、微粉炭や廃プラスチックを流通させる別の還元材供給部(路)を設けることが好ましい。この場合、ガス吹込装置3は、例えば、図2(b)に示すように、中心管4-1および外管4-3に加え、中心管4-1と外管4-3の間に内管4-2を設けた同軸多重管により構成される。そして、別の還元材供給部となる中心管内路から微粉炭や廃プラスチックなどのその他の吹込み還元材が導入される。また、メタンガス供給部となる中心管4-1と外管4-3との間の環状管路からメタンガスが導入され、酸素ガス供給部となる内管4-2と外管4-3との間の環状管路から酸素が導入される。
なお、送風ガスに常温の酸素ガスを用いると着火性が悪くなるので、ガス吹込装置4の酸素ガス供給部を構成する外管の吐出部を多孔構造とし、酸素ガスと吹込み還元材の混合を促進することが好ましい。
また、羽口から高炉内に吹込むメタンガス(以下、吹込みメタンガスともいう)の全量を再生メタンガスとする必要はなく、製鉄所の操業に合わせて、別のラインから供給されるメタンガス(外部メタンガスともいう)を使用してもよい。この場合、ガス吹込装置4のメタンガス供給部に外部メタンガスの供給ラインを接続してもよいし、上記した別の還元材供給部に外部メタンガスの供給ラインを接続してもよい。また、メタンガス生成装置3とガス吹込装置4の間(好ましくは、第2の脱水装置6とガス吹込装置4の間)の再生メタンガス流通路に、外部メタンガスの供給ラインを接続してもよい。
なお、外部メタンガスとしては、例えば、化石燃料由来のメタンガスなどが挙げられる。
ついで、図2(a)および(b)に示すように、ガス吹込装置4から導入された吹込みメタンガス等の吹込み還元材および酸素ガスが羽口2内で混合され、この混合ガスが、羽口2から高炉1内に吹込まれた直後に、急速着火・急速燃焼する。そして、羽口2の先の高炉内に、吹込みメタンガス等の吹込み還元材やコークスと酸素ガスとが反応する領域であるレースウェイ8が形成される。
なお、送風ガス中の酸素濃度が増加すると、炉内ガス量が少なくなり、高炉上部における装入物の昇温が不十分となる場合がある。この場合には、図1に示すように、第1の脱水装置5の下流の高炉ガスの一部を、800℃~1000℃程度となるようにバーナー7により部分燃焼させた後、高炉シャフト部に吹込む予熱ガス吹込みを行うことが好ましい。
そして、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法では、上述したように、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)ではなく、酸素ガスを使用することが重要となる。
すなわち、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)を使用する場合、燃焼ガス中に燃焼反応に寄与しない50体積%程度の窒素が含まれるため、レースウェイにおける火炎の温度は高温となり難い。そのため、高炉内に吹込む還元材の多くを微粉炭からメタンガスに置換すると、上記した微粉炭-酸素の反応における反応熱と、メタンガス-酸素の反応における反応熱との差によって、羽口先温度が低下して、羽口先温度が適正温度の下限である2000℃を下回ってしまう。その結果、高炉下部の着熱不足や圧損上昇、出滓不良などの操業トラブルを招く。また、高炉ガスに窒素が多量に含まれるようになるので、高炉ガスからメタンガスを生成する工程の前工程で、窒素と、一酸化炭素および二酸化炭素とを分離する工程が必要となる。
一方、送風ガスとして、酸素ガスを使用することにより、燃焼反応に寄与しない窒素ガスの混入を抑制できるので、羽口先温度を十分な温度まで昇温することが可能となる。すなわち、レースウェイにおける火炎の温度を、熱風を使用する場合と比べて高温とすることができる。そのため、羽口から還元材として多量のメタンを吹込む場合にも、羽口先温度を適正範囲である2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能となる。
以上のことから、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法では、送風ガスとして、酸素ガスを使用することが重要となる。
なお、図6に、送風ガスとして熱風(1200℃程度に加熱した空気)を用いた条件(以下、熱風送風条件ともいう)と、送風ガスとして酸素ガス(酸素濃度:100%)を用いた条件(以下、酸素ガス送風条件ともいう)について、後述する還元材における循環炭素原子の原単位(以下、単に循環炭素原子の原単位ともいう)と羽口先温度との関係の一例を示す。両方の条件とも、吹込み還元材には、全量、再生メタンガス(メタン濃度:99.5%)を使用している。
図6に示したように、熱風送風条件では、循環炭素原子の原単位が52kg/t以上(すなわち、再生メタンの吹き込み量が97Nm/t以上)になると、羽口先温度が適正温度の下限である2000℃を下回ってしまうことがわかる。このように、一般的に用いられている熱風送風条件では、循環炭素原子の原単位を、55kg/t以上、特には、60kg/t以上にすると、羽口先温度の低下を招き、安定した操業を行うことができない。
一方、酸素ガス送風条件では、循環炭素原子の原単位を55kg/t以上、さらには、60kg/t以上としても、羽口先温度を2000℃以上に保つことが可能であることがわかる。
なお、図6の酸素ガス送風条件では、循環炭素原子の原単位が55kg/t~80kg/tの範囲で羽口先温度が適正温度の上限である2400℃を超えている。これは、吹込み還元材に、全量、再生メタンを使用しているためであり、吹込み還元材の一部に外部メタンガスを使用する場合には、循環炭素原子の原単位が55kg/t~80kg/tの範囲においても羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能である。また、吹込み還元材に、全量、再生メタンを使用する場合にも、酸素ガスの酸素濃度を調整することによって、羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御することが可能である。
また、酸素ガスにおける酸素濃度は、80体積%以上とすることが好ましい。すなわち、酸素ガスにおける酸素濃度が低いと、高炉内への導入するガス量、ひいては、高炉の圧力損失が増大して、生産性が低下するおそれがある。また、上記のガス循環を繰り返す間に、再生メタンガス中のメタンガスの濃度が相対的に低下する。そのため、酸素ガスにおける酸素濃度は80体積%以上とすることが好ましい。酸素濃度は、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。特に、酸素濃度が90体積%以上であれば、通常の高炉の操業期間を超えて操業する場合にも、外部メタンガスの供給などなしに、再生メタンガス中のメタンガス濃度を高濃度(90体積%程度)に保つことができるので、非常に有利である。酸素濃度は100体積%であってもよい。
なお、酸素ガス中の酸素以外の残部ガスとしては、例えば、窒素や二酸化炭素、アルゴン等が含まれていてもよい。
また、再生メタンガス、または、再生メタンガスおよび外部メタンガスにより構成される吹込みメタンガスのメタン濃度は80体積%以上とすることが好ましい。
すなわち、吹込みメタンガス中のメタン濃度が低いと、高炉内への吹込むガス量、ひいては、高炉の圧力損失が増大して、生産性が低下するおそれがある。また、上記したガス循環を繰り返す間に、再生メタンガス中のメタン濃度が相対的に低下する。そのため、吹込みメタンガスのメタン濃度は、80体積%以上とすることが好ましい。吹込みメタンガスのメタン濃度は、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。吹込みメタンガスのメタン濃度は100体積%であってもよい。
同様の理由から、再生メタンガスおよび外部メタンガスのメタン濃度もそれぞれ、80体積%以上とすることが好ましい。再生メタンガスおよび外部メタンガスのメタン濃度はそれぞれ、より好ましくは90体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上である。再生メタンガスおよび外部メタンガスのメタン濃度はそれぞれ100体積%であってもよい。
なお、吹込みメタンガス、再生メタンガスおよび外部メタンガス中のメタン以外の残部ガスとしては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、水素および炭化水素、ならびに、窒素などの不純物ガスが含まれていてもよい。
また、再生メタンガスのメタン濃度が低下した場合には、例えば、吹込みメタンガスにおける再生メタンガスの割合を低下させる一方、メタン濃度の高い外部メタンガスの割合を増加させることによって、吹込みメタンガス中のメタン濃度を高く保つことが可能である。
また、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法では、還元材における循環炭素原子の原単位を55kg/t以上、さらには60kg/t以上とすることが好ましい。
ここで、循環炭素原子の原単位とは、溶銑1tを製造する際に還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガスの炭素換算質量であり、次式により求める。
[循環炭素原子の原単位(kg/t)]=[還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガス中のメタンの質量(kg)]×(12/16)÷[溶銑製造量(t)]
高炉の安定操業のためには、通常、羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御する必要がある。そのため、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気)を使用する場合には、羽口先温度を上記の範囲に保持する観点から、メタンガスを、炭素換算質量で52kg/t程度までしか高炉内に吹込むことができない。すなわち、高炉内に吹込むメタンガスの全量を、再生メタンガスとしても、還元材における循環炭素原子の原単位は、52kg/t程度にしかならない。
一方、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法では、メタンガスの吹込み量を大幅に増加させても羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御することができる。そのため、還元材における循環炭素原子の原単位を55kg/t以上、さらには60kg/t以上に増加させることができる。これによって、高炉ガスに含まれる一酸化炭素や二酸化炭素に由来する再生メタンガスの使用量が増加し、高炉からの二酸化炭素の排出量が一層削減される。還元材における循環炭素原子の原単位は、80kg/t以上、さらには、90kg/t以上とすることがより好適である。還元材における循環炭素原子の原単位の上限は、特に限定されるものではないが、110kg/t以下とすることが好ましい。
なお、還元材における循環炭素原子の原単位は、吹込み還元材における再生メタンガスの羽口への吹き込み量を調整することにより、制御することができる。
特に、吹込みメタンガスにおける再生メタンガスの割合を80体積%以上、好ましくは90体積%以上とすることにより、高い二酸化炭素の排出量削減効果が得られる。
また、高炉ガスの一部から再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給してもよい。さらに、再生メタンガスに余剰分がある場合には、その余剰分を製鉄所内に供給してもよい。
なお、酸素ガスおよび還元材の吹込み量やその他の操業条件は、特に限定されず、高炉の容量などに応じ、適宜決定すればよい。
[高炉附帯設備]
本発明の一実施形態に従う高炉附帯設備は、上記の高炉の操業方法に用いる高炉附帯設備であって、
前記高炉ガス、および、前記コークス炉ガスを用いて、前記再生メタンガスを生成する、メタンガス生成装置と、
前記再生メタンガスを前記高炉の羽口に導入するメタンガス供給部、および、前記酸素ガスを前記高炉の羽口に導入する酸素ガス供給部を有する、ガス吹込装置と、
をそなえる、高炉附帯設備である。
ここで、メタンガス生成装置は、例えば、高炉ガス取入れ部と、コークス炉ガス取入れ部と、反応部を有する。また、メタンガス生成装置は、その他の供給源からの水素ガス取入れ部を有していてもよい。反応部では、高炉ガス取入れ部から取り入れた高炉ガスと、コークス炉ガス取入れ部から取り入れたコークス炉ガス(および水素ガス取入れ部から取り入れた水素ガス)に含まれる水素とを反応させて、再生メタンガスを生成する。
なお、メタンガスの生成反応では発熱が起こるので、反応部は冷却機構をそなえることが好ましい。
また、ガス吹込装置は、上記したように、例えば、図2(a)に示すように、中心管4-1および外管4-3を有する同軸多重管から構成される。そして、メタンガス供給部(路)となる中心管内路へメタンガス(再生メタンガス、および、適宜、後述する外部メタンガス)が導入され、酸素ガス供給部(路)となる中心管4-1と外管4-3との間の環状管路へ酸素ガスが導入される。
また、その他の吹込み還元材、例えば、微粉炭や廃プラスチック、水素ガスや一酸化炭素ガス等の還元ガスを一緒に使用してもよい。
その他の吹込み還元材を使用する場合、メタンガス供給部に、その他の吹込み還元材も一緒に導入してもよい。また、その他の吹込み還元材として微粉炭や廃プラスチックを用いる場合には、メタンガス供給部とは別に、微粉炭や廃プラスチックを流通させる別の還元材供給部(路)を設けることが好ましい。この場合、ガス吹込装置は、例えば、図2(b)に示すように、中心管4-1および外管4-3に加え、中心管4-1と外管4-3の間に内管4-2を設けた同軸多重管により構成される。そして、別の還元材供給部となる中心管内路から微粉炭や廃プラスチックなどのその他の吹込み還元材が導入される。また、メタンガス供給部となる中心管4-1と外管4-3との間の環状管路からメタンガスが導入され、酸素ガス供給部となる内管4-2と外管4-3との間の環状管路から酸素が導入される。
図1、図3~5に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いて、表1に示す条件で高炉操業を行い、操業中の羽口先温度および高炉からの二酸化炭素の排出量を評価した。評価結果を表1に併記する。
なお、図3~5中、符号9は熱風炉、10はガス分離装置、11は熱風炉排ガス用脱水装置である。
ここで、発明例1では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの一部から再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給した。また、吹込み還元材には、全量、再生メタンガスを使用し、再生メタンガスの余剰分を、製鉄所内に供給した。さらに、再生メタンガスの生成に必要な水素ガスの供給源の一部として、コークス炉ガスを使用した。
発明例2では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの一部から再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給した。また、吹込み還元材には、全量、再生メタンガスを使用し、再生メタンガスの余剰分が発生しないように、再生メタンガスの生成量を調整した。さらに、再生メタンガスの生成に必要な水素ガスの供給源の一部として、コークス炉ガスを使用した。
発明例3では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの全量から再生メタンガスを生成した。また、吹込み還元材には、全量、再生メタンガスを使用し、再生メタンガスの余剰分を、製鉄所内に供給した。さらに、再生メタンガスの生成に必要な水素ガスの供給源の一部として、コークス炉ガスを使用した。
発明例4および5では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの一部から再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給した。また、吹込み還元材には、再生メタンガスに加え、一部、化石燃料由来の外部メタンガスを使用した。さらに、再生メタンガスの生成に必要な水素ガスの供給源の一部として、コークス炉ガスを使用した。
一方、比較例1では、図3に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いた。すなわち、比較例1は、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気(酸素濃度:21~25体積%程度))を、吹込み還元材として微粉炭をそれぞれ使用した、一般的な高炉操業方法である。なお、高炉ガスからの再生メタンガスの生成は行わなかった。
比較例2では、図4に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いた。ここでは、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気(酸素濃度:21~25体積%程度))を、吹込み還元材として再生メタンガスをそれぞれ使用した。また、再生メタンガスの生成前に、高炉ガスから一酸化炭素および二酸化炭素を分離し、分離した一酸化炭素および二酸化炭素から、再生メタンガスを生成した。なお、コークス炉ガスは、再生メタンガスの生成に使用しなかった。
比較例3では、図5に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いた。ここでは、送風ガスとして、熱風(1200℃程度に加熱した空気(酸素濃度:21~25体積%程度))を、吹込み還元材として再生メタンガスをそれぞれ使用した。また、再生メタンガスの生成では、高炉ガスではなく、熱風炉の副生ガス(以下、熱風炉排ガスともいう)を使用した。そして、熱風炉排ガスから二酸化炭素を分離し、分離した二酸化炭素から、再生メタンガスを生成した。なお、コークス炉ガスは、再生メタンガスの生成に使用しなかった。
比較例4では、図1に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用い、高炉ガスの一部から再生メタンガスを生成し、高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給した。また、吹込み還元材には、再生メタンガスに加え、一部、化石燃料由来の外部メタンガスを使用した。なお、コークス炉ガスは、再生メタンガスの生成に使用しなかった。
比較例5では、比較例2と同様、図4に模式的に示した高炉および高炉附帯設備を用いた。なお、比較例5は、吹込みメタンガス比を増加させたこと以外は、比較例2と同じ条件である。
なお、比較の観点から、高炉の諸元は可能な限り統一した。すなわち、シャフト効率は94%、ヒートロスは150000kcal/tとなるようにした。
なお、「kcal/t」という単位は、溶銑1tを製造する際に発生するヒートロス量(kcal)を意味するものである。同様に、コークス比などで使用する「kg/t」という単位は、溶銑1tを製造する際に使用されるコークスの量(kg)などを意味するものである。また、吹込みメタン比などに使用する「Nm/t」という単位も、溶銑1tを製造する際に高炉内に吹込まれる吹込みメタンガス中のメタン量(Nm)などを意味するものである(なお、吹込みメタン比は、再生メタン比および外部メタン比の和であるが、再生メタンガスには、メタン以外の微量の残部ガスが含まれている。また、表1中に表示している再生メタン比および外部メタン比の値は、いずれもメタン以外の微量の残部ガスを除いたメタン量であり、小数点以下第1位を四捨五入した値である。そのため、表1中の吹込みメタン比と、再生メタン比および外部メタン比の和が一致しない場合がある。また、表1中の他の数値についても、同様の場合がある。)。
また、表1中の「高炉InputC」は、溶銑1tを製造する際に使用する外部由来の(具体的には、コークス、微粉炭および外部メタンガスに含まれる)炭素原子の質量(kg)を意味するものである。
Figure 0007131698000001
Figure 0007131698000002
表1に示すように、発明例ではいずれも、羽口先温度を2000℃~2400℃の範囲に制御することで安定した高炉の操業を行いながら、高炉から外部へ排出される二酸化炭素量を削減することができた。特に、発明例1~3では、高炉から外部へ排出される二酸化炭素量を大幅に削減することができた。
一方、比較例1~4では、十分な二酸化炭素量の削減効果が得られなかった。また、比較例5では、吹込みメタンガス量の増加により、羽口先温度が2000℃未満になったため、安定した高炉の操業を行うことができなかった。
1:高炉
2:羽口
3:メタンガス生成装置
3-1:コークス炉
4:ガス吹込装置
4-1:中心管
4-2:内管
4-3:外管
5:第1の脱水装置
6:第2の脱水装置
7:バーナー
8:レースウェイ
9:熱風炉
10:ガス分離装置
11:熱風炉排ガス用脱水装置

Claims (7)

  1. 高炉の操業方法であって、
    前記高炉から排出される副生ガスである高炉ガス、および、コークス炉から排出される副生ガスであるコークス炉ガスを用いて、再生メタンガスを生成する工程と、
    前記高炉の羽口から前記高炉内に送風ガスおよび還元材を吹込む工程と、を有し、
    前記送風ガスとして酸素ガスを用い、かつ、前記還元材の少なくとも一部に前記再生メタンガスを用い、
    溶銑1tを製造する際に還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガスの炭素換算質量である循環炭素原子の原単位が55kg/t以上であり、
    前記酸素ガスの酸素濃度が80体積%以上である、高炉の操業方法。
  2. 前記還元材における循環炭素原子の原単位が60kg/t以上である、請求項1に記載の高炉の操業方法。
    ここで、循環炭素原子の原単位は、次式により求める。
    [循環炭素原子の原単位(kg/t)]=[還元材として高炉内に吹込まれる再生メタンガス中のメタンの質量(kg)]×(12/16)÷[溶銑製造量(t)]
  3. 前記コークス炉ガスの原単位が140Nm/t以下である、請求項1または2に記載の高炉の操業方法。
    ここで、コークス炉ガスの原単位とは、溶銑1tを製造する際に、再生メタンガスを生成する工程で使用するコークス炉ガスの量である。
  4. 前記高炉ガスの一部から前記再生メタンガスを生成し、前記高炉ガスの余剰分を製鉄所内に供給する、請求項1~のいずれかに記載の高炉の操業方法。
  5. 前記再生メタンガスの余剰分を製鉄所内に供給する、請求項1~のいずれかに記載の高炉の操業方法。
  6. 前記高炉ガスから一酸化炭素および二酸化炭素を分離する工程を有さない、請求項1~のいずれかに記載の高炉の操業方法。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の高炉の操業方法に用いる高炉附帯設備であって、
    前記高炉ガス、および、前記コークス炉ガスを用いて、前記再生メタンガスを生成する、メタンガス生成装置と、
    前記再生メタンガスを前記高炉の羽口に導入するメタンガス供給部、および、前記酸素ガスを前記高炉の羽口に導入する酸素ガス供給部を有する、ガス吹込装置と、
    をそなえる、高炉附帯設備。
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