JP7192745B2 - 炭素製ルツボ - Google Patents
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Description
このうち、第2の発生源については、石英ルツボと炭素製ルツボとの間で発生したCOガスはルツボの上端近傍から排出され、排出されたCOガスの一部が石英ルツボ内に導入されて原料融液に取り込まれてしまい、単結晶中の炭素濃度を増加させているものと考えられる。
〔引き上げ装置〕
図1は、本発明の実施形態に係る引き上げ装置1の概略断面図である。
引き上げ装置1は、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶Sを引き上げ、育成を行う装置である。図1に示されるように、引き上げ装置1は、外郭を構成するチャンバ2と、チャンバ2の中心部に配置されるルツボ3と、ヒーター4と、を備える。
炭素製ルツボ5は、有底円筒形状の黒鉛(グラファイト)製の容器であり、加熱によって軟化した石英ルツボ3Aの形状が維持されるように、石英ルツボ3Aの外面を覆うように石英ルツボ3Aを支持する。
熱遮蔽体9は、育成中のシリコン単結晶Sに対して、ルツボ3内のシリコン融液Mやヒーター4やルツボ3の側壁からの高温の輻射熱を遮断する。
直胴部51は、略一定の厚さで形成された円筒形状の部位である。直胴部51は、完全に円筒形状とする必要はなく、例えば、上方に向かって内径が漸次大きくなるようなテーパー形状をなしてよい。
直胴部51と湾曲部52と底部53とは、それぞれの内面が滑らかに接続され、有底筒形状をなすように形成されている。
貫通孔12は、湾曲部52の上方に形成された3つの第1貫通孔12Aと、湾曲部52の下方に形成された3つの第2貫通孔12Bと、を有している。
3つの第1貫通孔12Aは、周方向に等間隔に形成されている。同様に、3つの第2貫通孔12Bは、周方向に等間隔に形成されている。
貫通孔12の数は、これに限ることはなく、少なくとも1つの貫通孔12が形成されていればよい。また、貫通孔12の断面形状は円形に限ることはなく、矩形状としてもよい。
環状溝13は、第1貫通孔12Aを通過するように周方向に延びる第1環状溝13Aと、第2貫通孔12Bを通過するように周方向に延びる第2環状溝13Bと、を有する。換言すれば、貫通孔12の内面側の端部は、環状溝13内に位置する。
なお、環状溝13は、全周にわたって連続して形成されている必要はなく、周方向の一部に形成されている構成としてもよい。
貫通孔12は、傾斜部124と水平部123とが湾曲部52の厚さ方向の中間近傍の屈曲部15で交わるように形成されている。
これにより、各々の貫通孔12は、貫通孔12を介して炭素製ルツボ5の外側から内側を視認できない形状となっている。すなわち、炭素製ルツボ5の外側から光を照射した場合、その光が炭素製ルツボ5の内側に直接的に到達しないように形成されている。
溝の幅が狭すぎる場合には、溝を介してガスが誘導されることによるガス排出効果が得られなくなる。溝の幅が広すぎる場合には、石英ルツボ3Aの軟化変形により、溝内に石英ルツボ3Aが入り込んでしまい、炭素製ルツボ5と石英ルツボ3Aとの熱膨張差に起因して各ルツボの冷却時に炭素製ルツボ5が割れる恐れがある。
図4に示されるように、本実施形態の炭素製ルツボ5は、複数の炭素製ルツボ片5Pに分割されている。各々の炭素製ルツボ片5Pは、炭素製ルツボ5を中心軸Aを含む分割面Pで分割した形状である。本実施形態の炭素製ルツボ5は、周方向に均等に3分割されている。
なお、本実施形態の貫通孔12は、一対の貫通孔用溝12Gにより形成されているが、これに限ることはなく、周方向に隣接する一方の炭素製ルツボ片5Pの分割面Pに形成された貫通孔用溝12Gのみで貫通孔12を形成してもよい。また、貫通孔12の断面形状も円形に限らず、矩形、その他の形状でもよい。
チョクラルスキー法によるシリコン単結晶Sの製造の際、シリコン単結晶Sの引き上げ中は、ヒーター4の熱により石英ルツボ3Aを構成する二酸化ケイ素(SiO2)と炭素製ルツボ5を構成する炭素(C)とが反応することによって、一酸化炭素ガス(COガス)が発生する。発明者らは、直胴部51、湾曲部52、底部53のうち、湾曲部52が最も温度が高くなる部位であり劣化が大きいことから、この部位におけるCOガスの発生が最も多いと推測し、湾曲部52に貫通孔12を形成した。
ただし、貫通孔を直線形状とすると、ヒーター4からの放射熱が石英ルツボ3Aに直接的に当たってしまうため、石英ルツボ3Aに局所的な温度上昇が生じてしまい、石英ルツボ3Aの軟化変形やシリコン融液にばらつきを生じてしまう恐れがある。このため、本実施形態の貫通孔12に屈曲部15を形成した。
さらに、貫通孔12を周方向に複数個設けたことによって、COガスの排出効果を高めることができる。
また、炭素製ルツボ5は、炭素を含む材料によって形成されていれば、黒鉛ルツボに限ることはなく、例えば、カーボンコンポジットによって形成してもよい。
また、貫通孔12および縦溝14は、周方向に等間隔としなくてもよい。
ガス分析用の配管は、ルツボ3の上端近傍(炉内)および排気口11に配置した。ルツボ3の上端近傍には、3つのガス分析用の配管を設置した。
図8に示すように、特に炉内のルツボ3の上端近傍におけるCOガスの低減を図ることができ、平均して20%のCO濃度の低減を図ることができた。
Claims (3)
- チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に、原料融液を収容する石英ルツボを支持する炭素製ルツボであって、直胴部と、湾曲部と、底部と、からなり、
前記湾曲部は、前記湾曲部の外面から内面に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、屈曲部を有することを特徴とする炭素製ルツボ。 - チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に、原料融液を収容する石英ルツボを支持する炭素製ルツボであって、直胴部と、湾曲部と、底部と、からなり、
前記湾曲部は、前記湾曲部の外面から内面に貫通する貫通孔と、前記湾曲部の内面において周方向に延びる環状溝と、を有し、
前記環状溝は、前記湾曲部の上方に形成された第1環状溝と、前記湾曲部の下方に形成された第2環状溝と、を有し、
前記貫通孔は、前記内面側の端部が前記第1環状溝内に位置する第1貫通孔と、前記内面側の端部が前記第2環状溝内に位置する第2貫通孔と、を有し、
前記炭素製ルツボは、前記湾曲部の内面に形成され、上下方向に延びて前記第1環状溝と前記第2環状溝とを接続する縦溝を有することを特徴とする炭素製ルツボ。 - チョクラルスキー法により単結晶を製造する際に、原料融液を収容する石英ルツボを支持する炭素製ルツボであって、直胴部と、湾曲部と、底部と、からなり、
前記炭素製ルツボは、中心軸を含む分割面で複数の炭素製ルツボ片に分割され、
前記湾曲部は、前記湾曲部の外面から内面に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、周方向に隣接する前記炭素製ルツボ片の分割面に形成されていることを特徴とする炭素製ルツボ。
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