JP7192660B2 - 真空ポンプおよびリークディテクタ - Google Patents

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Description

本発明は、真空ポンプおよびリークディテクタに関する。
ターボ分子ポンプは、複数のロータ翼段と複数のステータ翼段とが交互に配置されている。特許文献1に記載のターボ分子ポンプでは、複数のロータ翼が形成されたロータディスクを複数段有し、各ロータディスクは積層されるようにシャフトに固定されている。各ロータディスクとシャフトとは、回転による遠心力や高温時の熱膨張によって緩んだり、外れたりしてしまうことがないように、嵌め合い方式等により強固に固定されている。
複数段のロータディスクを積み重ねてシャフトに固定する場合、組立性向上を図るために、ロータディスクの積み重ね面に面取りやガイドを設けている。面取りを設けることでバリ等の挟み込みが防止され、積層されたロータディスクの積み重ね面同士が密着し、シャフトに対するロータディスクの傾き等を防止することができる。
特開2018-145917号公報
しかしながら、ロータディスクの面取り部分とシャフトの外周面との間に密閉空間が形成され、その密閉空間に気体(例えば、空気)が閉じ込められる場合がある。そのため、ターボ分子ポンプを駆動してポンプが取り付けられたチャンバの真空排気を行うと、密閉空間に閉じ込められた気体が積層面を通って徐々に漏れ出すスローリークが発生し易い。その結果、チャンバが高真空状態に到達するまでに長時間を要したり、気体成分の分圧が十分に下がるのに時間を要したりするという問題があった。
本発明の好ましい態様による真空ポンプは、リング状に形成された積層部と前記積層部の外周側に放射状に形成されたタービン翼とを有するロータ翼段が複数積層されるポンプロータ部と、積層された複数の前記ロータ翼段の積層部の内周面が固定されるロータ軸と、前記ロータ軸と前記積層部との間の隙間空間と前記タービン翼が配置されているポンプ排気通路とを連通し、前記隙間空間内の気体を、前記ポンプ排気通路を介して排気させる連通路と、を備える。
さらに好ましい態様では、前記隙間空間は、前記積層部の内周の面取り部と前記ロータ軸の外周面とで囲まれた空間である。
さらに好ましい態様では、前記連通路は、前記積層部の積層面に形成されている
さらに好ましい態様では、軸方向に隣接する一対の前記ロータ翼段の積層部に挟持されるスペーサをさらに備え、前記連通路は、前記積層部に対向する前記スペーサの表裏面の少なくとも一方に形成されている。
さらに好ましい態様では、前記連通路は、前記積層部のロータ軸固定側から前記積層部の径方向外側へ貫通する溝である。
さらに好ましい態様では、前記積層部は前記ロータ軸に対してしまり嵌めで固定されている
本発明の好ましい態様によるリークディテクタは、リーク検査用ガスを検出する分析管と、前記分析管を真空排気する上記真空ポンプとを備え、被試験体からリークしたリーク検査用ガスを前記分析管に導入して、前記被試験体のリーク量を測定する。
本発明によれば、真空ポンプ内におけるスローリークの発生を防止することができる。
図1は、本実施の形態の真空ポンプの構成を示す断面図である。 図2は、シャフトに固定されたロータディスクの断面図である。 図3は、ロータディスクを吸気口側から見た図である。 図4は、比較例を示す図である。 図5は、変形例1を示す断面図である。 図6は、スペーサディスクを示す図である。 図7は、積層部の一部にスペーサディスクを配置した場合を示す図である。 図8は、変形例2を示す断面図である。 図9は、変形例3を示す断面図である。 図10は、変形例4を示す図である。 図11は、リークディテクタの一例を示す図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本実施の形態の真空ポンプの構成を説明する図であり、ターボ分子ポンプ1の断面図である。図1に示すターボ分子ポンプ1は、不図示の制御装置によって駆動制御される。ターボ分子ポンプ1は、タービン翼を備えたターボポンプ部P1と、螺旋型の溝を備えたHolweckポンプ部P2とを備えている。
ターボポンプ部P1は、タービン翼が形成された複数のロータディスク30a,30bを備えるポンプロータ部30と、タービン翼が形成された複数のステータ翼段40a,40bを備えるポンプステータ部40とで構成されている。ロータディスク30a,30bとステータ翼段40a,40bとは、ポンプ軸方向に沿って交互に配置されている。図1に示す例では、ポンプロータ部30は、排気上流側に設けられた3段のロータディスク30aと、排気下流側に設けられた3段のロータディスク30bとで構成されている。同様に、ポンプステータ部40は、排気上流側に設けられた3段のステータ翼段40aと、排気下流側に設けられた3段のステータ翼段40bとで構成されている。6つのステータ翼段40a,40bは、複数のスペーサリング41によって保持されている。
積層された複数のロータディスク30a,30bから成るポンプロータ部30は、積層部分を貫通するシャフト10に固定されている。ロータディスク30a,30bは、回転による遠心力や高温時の熱膨張によって、緩んだり外れたりしないように、シャフト10に強固に固定されている。固定方法としては、加熱したロータディスク30a,30bにシャフト10を差し込んで固定する焼き嵌め方式や、液体窒素などを用いて冷却したシャフト10をロータディスク30a,30bに差し込んで固定する冷やし嵌め方式や、加熱および冷却の両方を用いる嵌め合い方式などがある。
ターボポンプ部P1の下流側に設けられたHolweckポンプ部P2は、シャフト10に固定された一対の回転円筒部31a,31bと、ベース2側に配置された一対のステータ円筒部42a,42bとで構成されている。
シャフト10は、永久磁石磁気軸受6とメカニカルベアリング8とにより回転自在に支持され、モータ4によって回転駆動される。メカニカルベアリング8は、ベース2に設けられたベアリングホルダ21によって保持されている。永久磁石磁気軸受6は、回転側永久磁石6aと固定側永久磁石6bとを備えている。回転側永久磁石6aは、シャフト10に固定される。固定側永久磁石6bは、ポンプケーシング5に固定されるホルダ50に装着されている。ホルダ50にはメカニカルベアリング9が保持されている。
メカニカルベアリング9は、シャフト上部のラジアル方向の振れを制限するベアリングとして機能するものである。シャフト10は、モータ4が定常回転している状態ではメカニカルベアリング9と接触することなく回転し、大外乱が加わった場合や、回転の加速時または減速時にシャフト10の振れ回りが大きくなった場合には、メカニカルベアリング9の内輪に接触する。
図2、3はロータディスク30a,30bを説明する図である。図2は、シャフト10に固定されたロータディスク30a,30bの断面図である。図3は、ロータディスク30bを吸気口側から見た図である。ロータディスク30a,30bは、ディスク中央部に形成された積層領域であってシャフト10に固定される積層部300と、平板状のリング部301と、リング部301の外周から放射状に形成されたタービン翼302とを備えている。図3に示すように、積層部300の吸気口側端面には、積層部300の内外周に貫通するガス抜き用溝313が、180度ピッチで2つ形成されている。
図2に示す最下段のロータディスク30bLには、積層部300の排気口側端面にもガス抜き用溝313が設けられている。
複数のロータディスク30a,30bは積層部300が積層された状態でシャフト10に固定されている。前述したように、積層時に積層部300の端面にバリ等が挟み込まれないように、積層部300の内周および外周の角部は面取り処理が施されている。そのため、図2に示すように、積層部300の上下端面が密着するように複数のロータディスク30a,30bが積層されると、積層部300の面取り部分の面311,312とシャフト10の外周面100とで囲まれた隙間空間(以下では、ガス溜まり空間と称す)Aに気体が閉じ込められた状態となる。また、最下段のロータディスク30bに関しては、積層部300の面取り部分の面311とシャフト10との間にガス溜まり空間Aが形成される。
ガス抜き用溝313は積層部300の内外周に貫通しているので、ガス溜まり空間Aは、ガス抜き用溝313を介して積層部300の外周側空間Cと連通している。この外周側空間Cはロータディスク30a,30bのタービン翼302とステータ翼段40a,40bとが配置されるポンプ排気通路であり、以下では外周側空間Cをポンプ排気通路Cと呼ぶことにする。すなわち、ガス抜き用溝313は、ガス溜まり空間Aと積層部300のポンプ排気通路Cとを連通するガス抜き用の連通路として機能する。
図4は、比較例としてガス抜き用溝313を設けないロータディスク30a,30b(30bL)を示したものである。比較例の場合には、符号Bで示す部分において積層部300の端面同士が全周に亘って密着している。しかしながら、現実的には理想的な密着状態にはなっておらず、端面のうねりや僅かな傷等によって、積層部300を内外に連通するコンダクタンスの非常に小さなスローリーク通路が形成されている。そのため、積層部300の外周側空間が真空状態になると、上述のスローリーク通路を通ってガス溜まり空間Aに閉じ込められた気体が、非常にゆっくりと長時間をかけて外周側空間(すなわち、ポンプ排気通路C)に漏れ出すことになる。
例えば、質量分析装置やリークディテクタに比較例のような構造のターボ分子ポンプを使用した場合、真空引きの度にガス溜まり空間Aの気体が漏れ出てくる。質量分析装置やリークディテクタでは高い真空度が求められるが、ガス溜まり空間Aから漏れ出る気体の影響で、装置の仕様圧力状態に達しなかったり、仕様圧力状態に達するまでの時間が非常に長くなったりする。また、漏れ出る気体が、質量分析結果やリーク検査結果に悪影響を及ぼすおそれがある。
一方、本実施の形態では、図2、3に示すようにガス抜き用溝313を形成しているので、ポンプ排気に伴い積層部300の外周側のポンプ排気通路Cが真空状態になると、ガス溜まり空間Aの気体がガス抜き用溝313を介してポンプ排気通路Cに速やかに漏れ出ることになる。例えば、ポンプ動作開始後5分以内にガス溜まり空間Aが真空状態となる。そのため、ガス溜まり空間Aの気体が装置の真空状態に影響を及ぼすことがない。積層部300の外周側空間が真空状態になった場合のガス溜まり空間Aの気体の抜けやすさは、ガス抜き用溝313のコンダクタンスに依存する。よって、ガス抜き用溝313の溝長さおよび溝断面積や溝数は、必要なコンダクタンスが得られるように適宜設定される。例えば、溝断面の幅寸法および深さ寸法が0.5mm以上あれば、ガス抜きに十分なコンダクタンスが得られる。
積層部300の上側(吸気口側)および下側の端面のいずれにガス抜き用溝313を形成するかについては、複数のガス溜まり空間Aの各々に対して、ガス溜まり空間Aに連通するガス抜き用溝313が少なくとも一つ設けられるように構成されていれば良い。なお、上述したように、最下段のロータディスク30bLに関しては、積層部300の下側端面がシャフト10の段差部10aに当接するので、下側端面にはガス抜き用溝313が必ず形成されている。
(変形例1)
図5,6は、本実施の形態の変形例1を示す図である。変形例1では、複数のロータディスク30a,30bは、図5に示すようにスペーサディスク32を介して積層され、シャフト10に固定されている。複数のロータディスクを積層する構成では、排気特性の異なる複数種類のロータディスクを組み合わせて用いることが多く、組み合わせを変更する場合を考慮して高さ調整用のスペーサディスク32を用いる場合がある。
一般的に、スペーサディスク32の角部にも面取り処理が施されており、ロータディスク30a,30bの面311とスペーサディスク32の面321とシャフト10の外周面100とで囲まれたガス溜まり空間A、および、ロータディスク30a,30bの面314とスペーサディスク32の面322とシャフト10の外周面100とで囲まれたガス溜まり空間Aが形成される。また、最下段のロータディスク30bに関しても、積層部300の面取り部分の面311とシャフト10との間にガス溜まり空間Aが形成される。
変形例1では、スペーサディスク32の軸方向両端面に、ガス抜き用溝323がそれぞれ形成されている。図6に示すように、ガス抜き用溝323は片面に2か所設けられており、バランスを考慮して、表面側のガス抜き用溝323に対して裏面側のガス抜き用溝323を90度ピッチだけずらして形成している。なお、図5に示す例では、最下段のロータディスク30bLは、図2の場合と同様に積層部300の下側端面がシャフト10の段差部10aに当接しているので、上下端面にはガス抜き用溝313がそれぞれ形成されている。積層部300の外周側空間が真空状態になると、ガス溜まり空間Aの気体がガス抜き用溝313,323を介して速やかに排気されることになる。
スペーサディスク32の熱膨張率がロータディスク30a,30b(30bL)と異なっていると、温度上昇した場合に当接面に応力が発生するので、スペーサディスク32とロータディスク30a,30b(30bL)とを同じ材質で形成するのが好ましい。なお、ロータディスク30a,30b(30bL)の場合にはタービン翼302が放射状に形成されているので、タービン翼302にかかる遠心力によってガス抜き用溝313の部分に応力が発生し易い。一方、スペーサディスク32はロータディスク30a,30b(30bL)に比べて径が小さく、タービン翼302も設けられていないので、ガス抜き用溝323の部分に発生する応力は、ロータディスク30a,30b(30bL)の積層部300に形成されたガス抜き用溝313における応力よりも小さく抑えられる。
なお、図5に示す例では、スペーサディスク32を隣り合うロータディスク30a,30b(30bL)間の全てに配置したが、図7に示すように一部にのみスペーサディスク32を配置するようにしても良い。スペーサディスク32が設けられていないロータディスク30a,30b(30bL)間においては、積層部300の対向面の少なくとも一方にガス抜き用溝313が形成されている。すなわち、各ガス溜まり空間Aのそれぞれにガス抜き用溝313または323が配置されるように構成されている。なお、図7に示すスペーサディスク32の場合、下側の積層部300にガス抜き用溝313が形成されているので、ガス抜き用溝323をスペーサディスク32の上面だけに形成するようにしても良い。
(変形例2)
図8は、本実施の形態の変形例2を示す図である。変形例2では、シャフト10の外周面100に、シャフト10の軸方向に沿って延在するガス抜き用溝102が少なくとも1本形成されている。ガス抜き用溝102は、複数のガス溜まり空間Aのそれぞれに連通すると共に、最下段のロータディスク30bLの積層部300に形成されたガス抜き用溝313を介して、積層部300の外周側空間(すなわち、ポンプ排気通路)に連通している。各ガス溜まり空間Aに閉じ込められた気体は、連通しているガス抜き用溝102およびガス抜き用溝313を介して排気される。なお、ガス抜き用溝313を設けるロータディスクは最下段のロータディスク30bLに限定されず、ロータディスク30a,30b,30bLの少なくともいずれか一つに設けられていれば良く、同様の効果を奏する。
また、ロータディスク30a,30b,30bLの積層部300にガス抜き用溝313を形成する代わりに、積層部300が当接するシャフト10の段差部10aの上面に、ガス抜き用溝を径方向に沿って形成しても良い。
(変形例3)
図9は、本実施の形態の変形例3を示す図である。変形例3では、6段あるロータディスク30a,30bの内、排気上流側の3段のロータディスク30aを一体に形成して一つの第1ロータ翼段3Aとし、排気下流側の3段のロータディスク30bを一体に形成して一つの第2ロータ翼段3Bとした。各ロータ翼段3A,3Bは、積層部300と、3段のリング部301と、各リング部301から放射状に形成されたタービン翼302とをそれぞれ備えている。
積層部300の両端面の少なくとも一方には、ガス抜き用溝313が形成されている。図9に示す例では、ロータ翼段3A,3Bの積層部300の下側端面にガス抜き用溝313が形成されている。そのため、積層部300とシャフト10との間に形成されるガス溜まり空間Aに閉じ込められた気体は、ガス抜き用溝313を介して排気されることになる。
(変形例4)
図10は、本実施の形態の変形例4を示す図である。図2,3に示す例では、ロータディスク30a,30bの積層部300の端面にガス抜き用溝313を形成して、ガス抜き用の連通路が形成されるようにした。変形例4では、積層部300の一方の端面300a(図10では吸気口側の面)に、高さの等しい凸部300bを複数形成する。積層部300の他方の端面は平面状になっている。
複数のロータディスク30a,30bが積層されると積層部300が互いに接触し、積層部300の吸気口側の端面300aに形成された凸部300bの頂面と、吸気口側に隣接する積層部300の裏面とが接触する。その結果、端面300aが設けられている領域が隙間領域となり、その隙間領域は積層部300の内周側と外周側とを連通する連通路として機能する。
(リークディテクタの概略構成)
上述したように、ターボ分子ポンプ1では、ガス溜まり空間Aに閉じ込められた気体を、連通路(例えば、ガス抜き用溝313)を介して素早く排気できるので、高真空環境を必要とする質量分析装置やリークディテクタの真空ポンプとして適している。図11はリークディテクタの一例を示す図であり、リークディテクタの概略構成を示す。
図11に示すリークディテクタ1は逆拡散測定法によりキャリアガス(リーク検査用ガス)を検出するものであり、ターボポンプ部P1を上流側へと逆拡散したキャリアガスを分析管603で検出してリーク量を求める。
リーク検査が行われる被検体(不図示)は、リークディテクタ60のテストポート601に取り付けられる。テストポート601が設けられた配管605は、粗引きバルブV1を介して粗引きポンプ602に接続されている。粗引きポンプ602には、例えば、油回転ポンプ等が用いられる。
分析管603は、ターボポンプ部P1とHolweckポンプ部P2とを備えたターボ分子ポンプ1により排気される。粗引きポンプ602はフォアラインバルブV2を介してターボ分子ポンプ1に接続されており、ターボ分子ポンプ1のバックポンプとしても用いられている。配管605は、テストバルブV4を介してターボポンプ部P1の背圧側、すなわち、ターボポンプ部P1とHolweckポンプ部P2との間に接続されている。配管605には校正用バルブV3およびベントバルブV5も設けられており、校正用バルブV3に校正用標準リーク606が着脱可能に接続されている。配管605内の圧力は、圧力計604により検出される。
リークディテクタ60を起動すると、粗引きポンプ602、ターボ分子ポンプ1および分析管603が起動される。バルブV2は開状態とされ、その他のバルブV1,V3~V5は閉状態とされる。分析管603内をターボ分子ポンプ1、粗引きポンプ602の直列構成で所定のバックグランド値(真空度)になるまで排気する。
(校正作業)
テストポート601に蓋をした後に、粗引きバルブV1が開かれて配管605が粗引きポンプ602により排気される。配管605内が所定圧力となったならば、粗引きバルブV1を閉じた後にテストバルブV4および校正用バルブV3を開く。その結果、校正用標準リーク606内の校正用キャリアガス(例えば、ヘリウムガス)が配管605へと流出し、テストバルブV4を介してターボポンプ部P1の背圧側に達し、校正が行われる。
(リーク検査)
パッケージのような小さな容器(被試験体)のリーク検査をする場合を例に説明する。被試験体にはHeガス等のキャリアガスが充填される。テストポート601にキャリアガスが充填された被試験体を収めたならば、テストポート601の蓋を閉めて検査を開始する。粗引きバルブV1が開かれて配管605が粗引きポンプ602により排気される。配管605内が所定圧力となったならば、粗引きバルブV1を閉じた後にテストバルブV4を開く。被試験体からリークしたキャリアガスはテストバルブV4を介してターボポンプ部P1の背圧側に達し、分析管603により検出されてリーク量が測定される。
本実施の形態のターボ分子ポンプ1は、上述したように、ガス溜まり空間A内に閉じ込められた気体を速やかに排気されるので、ガス溜まり空間A内に閉じ込められた気体の分析管603におけるキャリアガス検出への悪影響を防止することができる。
上述した複数の例示的な実施の形態および変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
[1]一態様に係る真空ポンプは、リング状に形成された積層部と前記積層部の外周側に放射状に形成されたタービン翼とを有するロータ翼段が複数積層されるポンプロータ部と、積層された複数の前記ロータ翼段の積層部の内周面が固定されるロータ軸と、前記ロータ軸と前記積層部との間の隙間空間と前記タービン翼が配置されているポンプ排気通路とを連通し、前記隙間空間内の気体を、前記ポンプ排気通路を介して排気させる連通路と、を備える。
例えば、図2に示すように、シャフト10と積層部300との間の隙間空間(すなわち、ガス溜まり空間A)とタービン翼302が配置されているポンプ排気通路Cとを連通する連通路(すなわち、スガス抜き用溝313)を設けることで、積層部300とシャフト10との間に形成されるガス溜まり空間Aに閉じ込められた気体を、連通路を介して素早く排気することができる。その結果、従来のようなスローリークを防止することができる。
[2]上記[1]に記載の真空ポンプにおいて、前記隙間空間は、例えば、前記積層部の内周の面取り部と前記ロータ軸の外周面とで囲まれた空間である。
[3]上記[1]または[2]に記載の真空ポンプにおいて、前記連通路は、前記積層部の積層面に形成されている。例えば、図2に示すように、前記隙間空間(すなわち、ガス溜まり空間A)と前記ポンプ排気通路とを連通する連通路として、ガス抜き用溝313を積層部300の積層面に形成することで、ガス溜まり空間Aに閉じ込められた気体を、ガス抜き用溝313を介して素早く排気することができる。
[4]上記[1]に記載の真空ポンプにおいて、軸方向に隣接する一対の前記ロータ翼段の積層部に挟持されるスペーサをさらに備え、前記連通路は、前記積層部に対向する前記スペーサの表裏面の少なくとも一方に形成されている。例えば、図5に示すように、一対のロータディスク30bの間にスペーサディスク32を挟持し、そのスペーサディスク32の表裏面の少なくとも一方に連通路であるガス抜き用溝323を形成することで、ガス溜まり空間Aに閉じ込められた気体を、ガス抜き用溝323を介して素早く排気することができる。
[5]上記[2]から[4]までのいずれかに記載の真空ポンプにおいて、前記連通路は、前記積層部のロータ軸固定側から前記積層部の径方向外側へ貫通する溝である。例えば、図2に示すように、積層部300のロータ軸固定側から径方向外側へ貫通するガス抜き用溝313を連通路としても良く、溝加工により連通路が形成できるので、低コストで対応することができる。
[6]上記[1]から[5]までのいずれかに記載の真空ポンプにおいて、前記積層部は前記ロータ軸に対してしまり嵌めで固定されている。しまり嵌めで固定することで、ロータ翼段をロータ軸に強固に固定することができる。
[7]一態様に係るリークディテクタは、リーク検査用ガスを検出する分析管と、前記分析管を真空排気する上記[1]から[6]までのいずれかに記載の真空ポンプとを備え、被試験体からリークしたリーク検査用ガスを前記分析管に導入して、前記被試験体のリーク量を測定する。[1]から[6]までのいずれかに記載の真空ポンプでは、スローリークを防止できるので、検査精度に優れたリークディテクタを構成することができる。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。例えば、上述した実施の形態では、ターボポンプ部およびHolweckポンプ部を備えた真空ポンプを例に用いて説明したが、Holweckポンプ部に代えてジーグバーンポンプ等を備える真空ポンプや、ターボポンプ部のみを備えた真空ポンプにも適用することができる。また、ロータディスクのシャフトへの固定方法が嵌め合い方式でない場合であっても、複数のロータディスクがシャフトに貫通されるように固定される構造の場合には、ロータディスクの積層部とシャフトとの間にガス溜まり空間が形成されるので、本発明を適用することができる。
1…ターボ分子ポンプ、3A…第1ロータ翼段、3B…第2ロータ翼段、10…シャフト、30…ポンプロータ部、30a,30b,30bL…ロータディスク、32…スペーサディスク、40…ポンプステータ部、40a,40b…ステータ翼段、60…リークディテクタ、102,313,323…ガス抜き用溝、300…積層部、300a…端面、300b…凸部、302…タービン翼、603…分析管、A…ガス溜まり空間、C…ポンプ排気通路、P1…ターボポンプ部、P2…Holweckポンプ部

Claims (1)

  1. リング状に形成された積層部と前記積層部の外周側に放射状に形成されたタービン翼とを有するロータ翼段が複数積層されるポンプロータ部と、
    積層された複数の前記ロータ翼段の積層部の内周面が固定されるロータ軸と、
    前記ロータ軸と前記積層部との間の隙間空間と前記タービン翼が配置されているポンプ排気通路とを連通し、前記隙間空間内の気体を、前記ポンプ排気通路を介して排気させる連通路と、
    軸方向に隣接する一対の前記ロータ翼段の積層部に挟持されるスペーサと
    を備え、
    前記連通路は、前記積層部に対向する前記スペーサの表裏面の少なくとも一方に形成されている、真空ポンプ。
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