JP7191528B2 - 粉体燃料供給装置、ガス化炉設備およびガス化複合発電設備ならびに粉体燃料供給装置の制御方法 - Google Patents
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供給ホッパを複数設け、供給ホッパを切り換えて用いる場合には、切り換え前の供給ホッパの重量変化から得た粉体流量を現在の値として推定することとしても良い。
[第1実施形態]
図1には、ガス化炉設備14を適用した石炭ガス化複合発電設備10の概略構成が示されている。
石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)10は、空気を主とする酸化剤として用いており、ガス化炉設備14において、燃料から可燃性ガス(生成ガス)を生成する空気燃焼方式を採用している。そして、石炭ガス化複合発電設備10は、ガス化炉設備14で生成した生成ガスを、ガス精製設備16で精製して燃料ガスとした後、ガスタービン17に供給して発電を行っている。すなわち、石炭ガス化複合発電設備10は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備となっている。ガス化炉設備14に供給する燃料としては、例えば、石炭等の炭素含有固体燃料が用いられる。
なお、本実施形態では、上側及び下側の表現を用いて説明した各構成要素の位置関係は、各々鉛直上方側、鉛直下方側を示すものである。
石炭ガス化複合発電設備10において、給炭設備11に原炭(石炭)が供給されると、石炭は、給炭設備11において細かい粒子状に粉砕されることで微粉炭となる。給炭設備11で製造された微粉炭は、空気分離設備42から供給される窒素により第1窒素供給ライン43を流通してガス化炉設備14に供給される。また、後述するチャー回収設備15で回収されたチャーが、空気分離設備42から供給される窒素により第2窒素供給ライン45を流通してガス化炉設備14に供給される。更に、後述するガスタービン17から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離設備42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通してガス化炉設備14に供給される。
なお、ガスタービン17と蒸気タービン18は同一軸として1つの発電機19を回転駆動する構成に代えて、別の軸として複数の発電機を回転駆動する構成としても良い。
ガス化炉設備14のガス化炉101において、リダクタ部118のバーナ127により窒素と微粉炭が投入されて点火されると共に、コンバスタ部116のバーナ126により微粉炭及びチャーと圧縮空気(酸素)が投入されて点火される。すると、コンバスタ部116では、微粉炭とチャーの燃焼により高温燃焼ガスが発生する。また、コンバスタ部116では、微粉炭とチャーの燃焼により高温ガス中で溶融スラグが生成され、この溶融スラグがガス化炉壁111へ付着すると共に、炉底へ落下し、最終的にスラグホッパ122内の貯水へ排出される。そして、コンバスタ部116で発生した高温燃焼ガスは、ディフューザ部117を通ってリダクタ部118に上昇する。このリダクタ部118では、ガス化反応に必要な高温状態に維持されて、微粉炭が高温燃焼ガスと混合し、高温の還元雰囲気において微粉炭を部分燃焼させてガス化反応が行われ、生成ガスが生成される。ガス化した生成ガスが鉛直方向の下方側から上方側に向かって流通する。
次に、複数設けられたバーナ126,127(図2参照)のうち微粉炭(粉体)が供給される微粉炭バーナに対して、微粉炭が貯留された微粉炭供給ホッパから微粉炭と窒素(不活性ガス)の混合ガスを供給する微粉炭供給系統(粉体燃料供給装置)について説明する。
上部圧力調整窒素系統81と下部圧力調整窒素系統82と流動化窒素系統83とを加算して窒素比重で換算したものが、ホッパへ投入される窒素流量となる。後述する随伴窒素体積流量は、上記のホッパへ投入される窒素流量からホッパの圧力保持に使われる窒素流量を引いた窒素流量を窒素比重で換算したものである。
次に、上記構成の微粉炭供給系統1Aの配管内を流れる混合ガスの流速の演算について説明する。本実施形態では、混合ガス流速を直接計測するのではなく、所定の設定値を用いて演算する。
上述のように例えば各位置M1,M2,M3における混合ガス流速が得られたら、制御部30は、例えば各位置M1,M2,M3などの予め選定した位置の中で最も小さい最小混合ガス流速を選択し、この最小混合ガス流速が所定の閾値(本実施形態では例えば、1.5m/s以上8m/s以下の範囲より選定)よりも大きいか否かを判断する。最小混合ガス流速が所定の閾値以上の場合は、希釈窒素系統90から供給される希釈窒素流量は変化させずに一定流量とする。最小混合ガス流速が所定の閾値未満となった場合は、希釈窒素流量を所定量増大させ、閾値を超えたら希釈窒素流量を維持する。また、閾値より所定量を加えた上限値を設けて、上限値よりも大きい場合には(例えば、混合ガス流速が8m/sを超える場合)希釈窒素流量を減少させても良い。
制御部30にて演算された混合ガス流速が所定の閾値未満の場合に、希釈窒素系統90から分配配管89に供給する希釈窒素流量を増大させることとした。これにより、混合ガス流速が所定の閾値以上となり、配管内で微粉炭が沈降して搬送不良が生じることを抑制することができる。このように、混合ガス流速に基づいて判断することとしたので、微粉炭の炭種に応じて制御を切り替える必要がなく、安定した微粉炭搬送(粉体搬送)を実現することができる。
なお、微粉炭に伴って流れる随伴窒素流量を設定するための充填率の算出にあたり、前述の微粉炭流量比と充填率との間に設定された充填率の関係式を用いずに、充填率を計測値から算出して設定する。すなわち計測した値から充填率を算出し、混合ガス流速を演算するようにしてもよい。
本変形例での算出例を次に示す。図5には、図3に示したホッパ80に供給される窒素系統が示されている。上部圧力調整窒素系統81と下部圧力調整窒素系統82と流動化窒素系統83の合計窒素流量としてホッパ投入窒素流量(計測値)Wu(kg/h)の窒素がホッパ80に供給される。ホッパ投入窒素流量(計測値)Wuは、上部圧力調整窒素系統81に設けられた流量計(不活性ガス流量計測手段)81aと、下部圧力調整窒素系統82に設けられた流量計(不活性ガス流量計測手段)82aにて計測された流量、及び流動化窒素系統83に設けられた流量計(不活性ガス流量計測手段)83aにて計測された流量から合計して得ることができる。
ホッパ80から微粉炭を搬送している搬送管84とホッパ80との接続部分には、搬送管シール窒素流量Wsは流れない。つまり、搬送管シール窒素系統85との接続位置は、合流器86(図3参照)の上流側の手前にあり、搬送管84と搬送管シール窒素系統85との接続位置までは、搬送管シール窒素は供給されていない状態での充填率を用いた搬送管内窒素流量Wtを算出する。したがって、以下では、搬送管シール窒素流量Wsを含まない充填率で算出する。
Wg=Wp/(γt-γp)×γn
ここで、Wpは微粉炭流量(計測値)、γtは微粉炭真比重、γpは微粉炭かさ比重、γnは窒素密度である。微粉炭流量(計測値)Wpは、図3に示した流量計91及びγ線密度計92から得ることができる。
γn(窒素密度)は、下式の通りである。
γn=1.25×(P+0.101325)/0.101325×273/(T+273)
ここで、P(MPa)はホッパ80内の圧力、T(℃)はホッパ80内の温度である。
Wgを表した上式のWp/(γt-γp)の項が、微粉炭粒子内空間体積に相当する。
Wc=(Wp/γt)×γn
Wt=Wu-Wc+Wg (kg/h)
〔充填率〕=(Wp/γt)/(Wp/γt+Wt/γn)
固気比は、Wp/Wtで表され、体積比は、(Wp/γt)/(Wt/γn)で表される。
微粉炭体積流量(固体の体積流量、Wp/γt)と搬送管内窒素体積流量(不活性ガスの体積流量、Wt/γn)とを加算することで、搬送管84の管内を流れる混合ガスの体積流量が得られ、例えば位置M1における配管の流路断面積で除算することによって、位置M1における混合ガス流速が得られる。すなわち、混合ガス流速は、微粉炭流量(計測値)Wpと充填率とを用いて得ることができる。
流量計91及びγ線密度計92を用いて得られた微粉炭流量(計測値)Wpと、流量計81a,82a,83aによって得られたホッパ80内に供給される窒素流量(計測値)及びホッパ80の圧力変化から算出されるホッパ内窒素置換流量Wcとから、搬送管84を流れる搬送管内窒素流量Wtを得て、これらから得られる各体積流量を加算した混合ガスの体積流量を演算することができる。搬送管84の管内を流れる混合ガスの体積流量が得られたので、例えば位置M1における配管の流路断面積で除算することによって、位置M1における混合ガス流速を得ることとした。このように、計測された現在の状態量に基づいて混合ガス流速を得ることができるので、より安定した粉体搬送を実現することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、微粉炭燃料(粉体燃料)の性状の変化に伴いチャーの性状が変化して、安定的にチャーを供給するものであり、微粉炭が流れる微粉炭供給系統について説明した第1実施形態に対して、チャーが流れるチャー供給系統に関するものである。また、第1実施形態の微粉炭供給系統1Aの分配配管89(図3)に設けられた流量計91及びγ線密度計92が設けられていないので、チャー流量を得る方法が異なる。しかし、同じ石炭ガス化複合発電設備10に用いられ、粉体を搬送するという点で共通するので、共通する部分については説明を省略する。
上部圧力調整窒素系統81’と下部圧力調整窒素系統82’と流動化窒素系統83’とを加算した窒素流量からホッパの圧力保持に使用される窒素流量を引いた随伴窒素流量(随伴不活性ガス流量)を窒素比重で換算したものが、後述する随伴窒素体積流量となる。
次に、上記構成のチャー供給系統1Bの配管内を流れる混合ガスの流速の演算について説明する。混合ガス流速の演算は、基本的に第1実施形態と同様であるが、合流配管89’にチャー流量(粉体流量)を計測する流量計が設けられていないので、チャー流量を得る方法が異なる。チャー流量は、以下のように得る。
チャー流量=(使用開始時重量-使用終了時重量)/(使用時間)
上述のように例えば各位置M1’,M2’,M3’における混合ガス流速が得られたら、制御部は、例えば各位置M1’,M2’,M3’などの予め選定した位置の中で最も小さい最小混合ガス流速を選択し、この最小混合ガス流速が所定の閾値(本実施形態では例えば、1.5m/s以上8m/s以下の範囲より選定)よりも大きいか否かを判断する。最小混合ガス流速が所定の閾値以上の場合は、希釈窒素系統90’から供給される希釈窒素流量は変化させずに一定流量とする。最小混合ガス流速が所定の閾値未満となった場合は、希釈窒素流量を所定量増大させ、閾値を超えたら希釈窒素流量を維持する。また、閾値より所定量を加えた上限値を設けて、上限値よりも大きい場合には(例えば、混合ガス流速が8m/sを超える場合)希釈窒素流量を減少させても良い。
制御部にて演算された混合ガス流速が所定の閾値未満の場合に、希釈窒素系統90’から合流配管89’に供給する希釈窒素流量を増大させることとした。これにより、混合ガス流速が所定の閾値以上となり、配管内でチャーが沈降して搬送不良が生じることを抑制することができる。このように、混合ガス流速に基づいて判断することとしたので、微粉炭の炭種に応じて制御を切り替える必要がなく、安定したチャー搬送(粉体搬送)を実現することができる。
1B チャー供給系統(粉体燃料供給装置)
10 石炭ガス化複合発電設備(ガス化複合発電設備)
11 給炭設備
11a 給炭ライン
14 ガス化炉設備
15 チャー回収設備
16 ガス精製設備
17 ガスタービン
18 蒸気タービン
19 発電機
20 排熱回収ボイラ
30 制御部
31 記憶部
32 抵抗体
41 圧縮空気供給ライン
42 空気分離設備
43 第1窒素供給ライン
45 第2窒素供給ライン
46 チャー戻しライン
47 酸素供給ライン
49 ガス生成ライン
51 集塵設備
52 供給ホッパ
53 ガス排出ライン
61 圧縮機
62 燃焼器
63 タービン
64 回転軸
65 圧縮空気供給ライン
66 燃料ガス供給ライン
67 燃焼ガス供給ライン
68 昇圧機
69 タービン
70 排ガスライン
71 蒸気供給ライン
72 蒸気回収ライン
74 ガス浄化設備
75 煙突
80 微粉炭供給ホッパ
80’ チャー供給ホッパ
81,81’ 上部圧力調整窒素系統
81a 流量計(不活性ガス流量計測手段)
82,82’ 下部圧力調整窒素系統
82a 流量計(不活性ガス流量計測手段)
83,83’ 流動化窒素系統
83a 流量計(不活性ガス流量計測手段)
84,84’ 搬送管(粉体搬送配管)
85,85’ 搬送管シール窒素系統
86,86’ 合流器
87 合流搬送管
88 分配器
89 分配配管(粉体搬送配管)
89’ 合流配管(粉体搬送配管)
90,90’ 希釈窒素系統(追加不活性ガス供給手段)
91 流量計(粉体流量計測手段)
92 γ線密度計(粉体流量計測手段)
93 微粉炭流量調整弁
93’ チャー流量調整弁
94,94’ バーナ分配器
95,95’ 分岐管(粉体搬送配管)
96 γ線密度計
101 ガス化炉
102 シンガスクーラ
110 圧力容器
111 ガス化炉壁
115 アニュラス部
116 コンバスタ部
117 ディフューザ部
118 リダクタ部
121 ガス排出口
122 スラグホッパ
126 バーナ
127 バーナ
131 蒸発器
132 過熱器
134 節炭器
154 内部空間
156 外部空間
Claims (8)
- 粉体燃料と該粉体燃料に随伴して搬送される随伴不活性ガスとが混合されたガスを含む混合ガスが搬送される粉体搬送配管と、
前記粉体搬送配管の下流端に接続され、前記粉体燃料をガス化するガス化炉内に向けて混合ガスを供給するバーナと、
前記粉体搬送配管に接続され、追加不活性ガスを追加供給する追加不活性ガス供給手段と、
前記粉体搬送配管内を流れる混合ガス流量と混合ガス流速を演算する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記混合ガス流量と前記粉体搬送配管の断面積から演算された混合ガス流速が所定の閾値未満の場合に、前記追加不活性ガス供給手段から供給される追加不活性ガス流量を増大させる粉体燃料供給装置。 - 前記制御部は、前記粉体搬送配管中の混合ガスに対する粉体燃料の質量割合である充填率と前記粉体燃料の質量流量である粉体流量との関係を示した充填率演算データを記憶部に備え、
前記粉体流量の設定値から該充填率演算データを用いて前記粉体流量から前記充填率を演算し、前記充填率を用いて随伴不活性ガス流量を演算し、前記ガス化炉の圧力の設定値から、複数の前記粉体搬送配管のうち前記ガス化炉に対して使用していない前記粉体搬送配管をシールするために必要な圧力を保有する不活性ガスの流量であるシール不活性ガス流量を演算して、
前記粉体流量と前記随伴不活性ガス流量と前記追加不活性ガス流量、または前記粉体流量と前記随伴不活性ガス流量と前記追加不活性ガス流量と前記シール不活性ガス流量とにより、前記混合ガス流量を演算する請求項1に記載の粉体燃料供給装置。 - 前記粉体搬送配管内を流れる前記粉体燃料の質量流量である粉体流量を計測する粉体流量計測手段と、
前記粉体搬送配管に供給される不活性ガス流量を計測する不活性ガス流量計測手段と、
を備え、
前記制御部は、前記粉体流量計測手段によって計測された前記粉体流量と、前記不活性ガス流量計測手段によって計測された前記不活性ガス流量とから混合ガス流量を演算する請求項1に記載の粉体燃料供給装置。 - 前記粉体搬送配管に粉体燃料を供給する供給ホッパと、
該供給ホッパ内に貯留された粉体燃料の重量を計測する粉体重量計測手段と、
を備え、
前記制御部は、前記粉体重量計測手段によって得られた粉体燃料の重量変化に基づいて、前記粉体搬送配管内を流れる粉体燃料の質量流量である粉体流量を推定する請求項1に記載の粉体燃料供給装置。 - 前記制御部は、流路断面積が異なる前記粉体搬送配管ごとに、及び/又は、分岐された前記粉体搬送配管ごとに混合ガス流速を演算し、最も小さい混合ガス流速が所定の閾値未満の場合に、前記追加不活性ガス供給手段から供給される追加不活性ガス流量を増大させる請求項1から4のいずれかに記載の粉体燃料供給装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載の粉体燃料供給装置と、
該粉体燃料供給装置から粉体燃料が供給される前記ガス化炉と、
を備えているガス化炉設備。 - 請求項6に記載のガス化炉設備と、
前記ガス化炉設備で生成した生成ガスの少なくとも一部を燃焼させることで回転駆動するガスタービンと、
前記ガスタービンから排出されたタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により回転駆動する蒸気タービンと、
前記ガスタービンおよび前記蒸気タービンと回転連結された発電機と、
を備えているガス化複合発電設備。 - 粉体燃料と該粉体燃料に随伴して搬送される随伴不活性ガスとが混合されたガスを含む混合ガスが搬送される粉体搬送配管と、
前記粉体搬送配管の下流端に接続され、前記粉体燃料をガス化するガス化炉内に向けて混合ガスを供給するバーナと、
前記粉体搬送配管に接続され、追加不活性ガスを追加供給する追加不活性ガス供給手段と、
前記粉体搬送配管内を流れる混合ガス流量と混合ガス流速を演算する制御部と、
を備えた粉体燃料供給装置の制御方法であって、
前記混合ガス流量と前記粉体搬送配管の断面積から演算された混合ガス流速が所定の閾値未満の場合に、前記追加不活性ガス供給手段から供給される追加不活性ガス流量を増大させる粉体燃料供給装置の制御方法。
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