以下に、添付図面を参照して、本発明に係る注水ポンプの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
(燃料噴射系統の構成)
まず、本発明の実施形態に係る注水ポンプが適用された舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射系統の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射系統の一構成例を示す模式図である。図1に示すように、この燃料噴射系統100は、複数(本実施形態では3つ)の燃料噴射弁20A、20B、20Cと、燃料圧送系統30と、下流側注水系統40と、上流側注水系統50とを備える。また、燃料噴射系統100は、水供給ポンプ61と、給水管62と、蓄圧部71と、高圧ポンプ72と、検出部81と、制御部82とを備える。なお、図1において、実線矢印は燃料や水等の流体の流通を示し、破線矢印は電気信号線を示す。
燃料噴射弁20A、20B、20Cは、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室(いずれも図示せず)に燃料および水を噴射するための複数の燃料噴射弁の一例である。図1には図示されていないが、燃料噴射弁20A、20B、20Cは、1つのシリンダに設けられる。例えば、燃料噴射弁20A、20B、20Cは、このシリンダの周方向に沿って所定の間隔で配置される。
図1に示すように、燃料噴射弁20Aは、噴射口21と、この噴射口21に通じる燃料通路22と、この燃料通路22に通じる内部通路23と、逆止弁24a、24bとを有する。燃料通路22は、一端部が噴射口21に接続され且つ他端部が燃料噴射管32(例えばその分岐管32a)に接続されている。また、燃料通路22の上流側の注水位置(第2注水位置P2)には、逆止弁24aを介して上流側注水系統50の配管(例えば上流側注水管52a)が接続されている。内部通路23は、一端部が燃料通路22の下流側の注水位置(第1注水位置P1)に接続され且つ他端部が下流側注水系統40の配管(例えば下流側注水管42a)に接続されている。逆止弁24aは、上流側注水系統50から燃料噴射弁20Aの燃料通路22に向かう水の流通を可能とし、この逆流を防止する。逆止弁24bは、内部通路23の中途部に設けられる。逆止弁24bは、下流側注水系統40から内部通路23を通じて燃料通路22に向かう水の流通を可能とし、この逆流を防止する。
上述したような構成を有する燃料噴射弁20Aは、燃料圧送系統30によって圧送された燃料と、下流側注水系統40によって注入された水と、上流側注水系統50によって注入された水とを噴射口21からシリンダ内の燃焼室へ層状に噴射する。なお、燃料噴射弁20B、20Cは、上述した燃料噴射弁20Aと同様の構成を有する。
燃料圧送系統30は、燃料噴射弁20A、20B、20Cに燃料を圧送するための設備である。図1に示すように、燃料圧送系統30は、燃料噴射ポンプ31と、燃料噴射管32と、制御弁35とを備える。
燃料噴射ポンプ31は、作動油の圧力を利用して駆動する油圧駆動式のポンプであり、燃料噴射管32を通じて燃料噴射弁20A、20B、20Cに燃料を各々圧送する。また、燃料噴射ポンプ31の圧送作用は、噴射口21からシリンダ内の燃焼室に対する燃料および水の層状噴射を燃料噴射弁20A、20B、20Cに行わせる。
燃料噴射管32の一端部は、燃料噴射ポンプ31の吐出口に接続されている。燃料噴射管32の中途部には、分岐部33が設けられている。燃料噴射管32は、この分岐部33から他端部に向かって複数の分岐管(本実施形態1では3つの分岐管32a、32b、32c)に分岐している。図1に示すように、燃料噴射管32の分岐管32a、32b、32cのうち、分岐管32aは、燃料噴射弁20Aの燃料通路22に接続されている。燃料噴射管32は、分岐管32aを介して、燃料噴射弁20Aと燃料噴射ポンプ31とを連通させる。これと同様に、残りの分岐管32b、32cは、燃料噴射弁20B、20Cの各燃料通路22に各々接続されている。
制御弁35は、蓄圧部71から燃料噴射ポンプ31への作動油の供給を制御する。制御弁35は、燃料噴射弁20A、20B、20Cから燃焼室への燃料および水の噴射期間、開状態となって蓄圧部71内の作動油を燃料噴射ポンプ31に供給する。一方、制御弁35は、燃料噴射弁20A、20B、20Cの噴射休止期間、閉状態となって蓄圧部71から燃料噴射ポンプ31への作動油の供給を停止する。このような制御弁35の開閉駆動のタイミングは、制御部82によって制御される。
下流側注水系統40は、燃料噴射弁20A、20B、20Cの各燃料通路22の下流側の注水位置に水を注入するための設備である。図1に示すように、下流側注水系統40は、第1注水ポンプ41と、下流側注水管42a、42b、42cと、制御弁45とを備える。
第1注水ポンプ41は、本実施形態に係る注水ポンプの一例である。下流側注水管42a、42b、42cは、注水ポンプと燃料噴射弁とを連通する注水管の一例である。図1に示すように、下流側注水管42aは、一端部が第1注水ポンプ41の第1吐出口に接続され且つ他端部が燃料噴射弁20Aの内部通路23に接続されている。第1注水ポンプ41は、下流側注水管42a等を通じて、燃料噴射弁20Aの燃料通路22に水を圧送し、これにより、燃料通路22の下流側の注水位置(すなわち第1注水位置P1)に水を注入する。また、下流側注水管42bは、一端部が第1注水ポンプ41の第2吐出口に接続され且つ他端部が燃料噴射弁20Bの内部通路に接続されている。第1注水ポンプ41は、上記燃料噴射弁20Aの場合と同様に、下流側注水管42b等を通じて、燃料噴射弁20Bの燃料通路22の第1注水位置P1に水を注入する。また、下流側注水管42cは、一端部が第1注水ポンプ41の第3吐出口に接続され且つ他端部が燃料噴射弁20Cの内部通路に接続されている。第1注水ポンプ41は、上記燃料噴射弁20Aの場合と同様に、下流側注水管42c等を通じて、燃料噴射弁20Cの燃料通路22の第1注水位置P1に水を注入する。
制御弁45は、蓄圧部71から第1注水ポンプ41への作動油の供給を制御する。制御弁45は、燃料噴射弁20A、20B、20Cによる燃料および水の噴射期間以外の期間(すなわち噴射休止期間)、開状態となって蓄圧部71内の作動油を第1注水ポンプ41に供給する。一方、制御弁45は、上記燃料および水の噴射期間、閉状態となって蓄圧部71から第1注水ポンプ41への作動油の供給を停止する。このような制御弁45の開閉駆動のタイミングは、制御部82によって制御される。
上流側注水系統50は、燃料噴射弁20A、20B、20Cの各燃料通路22の上流側の注水位置に水を注入するための設備である。図1に示すように、上流側注水系統50は、第2注水ポンプ51と、上流側注水管52a、52b、52cと、制御弁55とを備える。
第2注水ポンプ51は、本実施形態に係る注水ポンプの一例である。上流側注水管52a、52b、52cは、注水ポンプと燃料噴射弁とを連通する注水管の一例である。図1に示すように、上流側注水管52aは、一端部が第2注水ポンプ51の第1吐出口に接続され且つ他端部が逆止弁24aを介して燃料噴射弁20Aの燃料通路22に接続されている。第2注水ポンプ51は、上流側注水管52a等を通じて、燃料噴射弁20Aの燃料通路22に水を圧送し、これにより、燃料通路22の上流側の注水位置(すなわち第2注水位置P2)に水を注入する。また、上流側注水管52bは、一端部が第2注水ポンプ51の第2吐出口に接続され且つ他端部が逆止弁(図示せず)を介して燃料噴射弁20Bの燃料通路22に接続されている。第2注水ポンプ51は、上記燃料噴射弁20Aの場合と同様に、上流側注水管52b等を通じて、燃料噴射弁20Bの燃料通路22の第2注水位置P2に水を注入する。また、上流側注水管52cは、一端部が第2注水ポンプ51の第3吐出口に接続され且つ他端部が逆止弁(図示せず)を介して燃料噴射弁20Cの燃料通路22に接続されている。第2注水ポンプ51は、上記燃料噴射弁20Aの場合と同様に、上流側注水管52c等を通じて、燃料噴射弁20Cの燃料通路22の第2注水位置P2に水を注入する。
制御弁55は、蓄圧部71から第2注水ポンプ51への作動油の供給を制御する。制御弁55は、燃料噴射弁20A、20B、20Cの噴射休止期間、開状態となって蓄圧部71内の作動油を第2注水ポンプ51に供給する。一方、制御弁55は、燃料噴射弁20A、20B、20Cの燃料および水の噴射期間、閉状態となって蓄圧部71から第2注水ポンプ51への作動油の供給を停止する。このような制御弁55の開閉駆動のタイミングは、制御部82によって制御される。
水供給ポンプ61は、第1注水ポンプ41および第2注水ポンプ51に吐出対象の水を供給するためのポンプである。給水管62は、一端部が水供給ポンプ61に接続され且つ他端側が分岐管62a、62bに分岐している。給水管62の一方の分岐管62aは、第1注水ポンプ41に接続されている。給水管62の他方の分岐管62bは、第2注水ポンプ51に接続されている。水供給ポンプ61は、給水管62の分岐管62aを通じて第1注水ポンプ41に吐出対象の水を供給するとともに、給水管62の分岐管62bを通じて第2注水ポンプ51に吐出対象の水を供給する。
蓄圧部71は、燃料圧送系統30、下流側注水系統40および上流側注水系統50を各々作動させる作動油の圧力を蓄積するものである。図1に示すように、蓄圧部71は、配管等を通じて高圧ポンプ72から吐出(圧送)された作動油を内部の蓄圧室に貯留し、これにより、作動油の圧力を蓄積する。このように蓄圧部71に蓄積される作動油の圧力は、高圧ポンプ72から蓄圧部71への作動油の吐出量によって調整される。蓄圧部71に蓄積された作動油の圧力は、燃料噴射ポンプ31の作動と、第1注水ポンプ41の作動と、第2注水ポンプ51の作動とに共用される。
検出部81は、舶用ディーゼルエンジン(図示せず)のクランク角度を検出する。検出部81は、時間の経過に伴ってクランク角度を検出し、その都度、検出したクランク角度を示す電気信号を制御部82に送信する。
制御部82は、検出部81から電気信号を受信し、受信した電気信号に示されるクランク角度が所定の回転角度となるタイミングに開状態となるように、燃料圧送系統30の制御弁35の開閉駆動を制御する。制御部82は、この制御弁35の開閉駆動の制御を通して、燃料噴射ポンプ31の作動タイミング、すなわち、燃料噴射弁20A、20B、20Cから燃焼室への燃料および水の噴射タイミングを制御する。この噴射タイミングでは、燃料噴射ポンプ31から圧送された燃料と、第1注水ポンプ41から吐出された水と、第2注水ポンプ51から吐出された水とが、燃料噴射ポンプ31の圧送作用によって燃料噴射弁20A、20B、20Cから燃焼室へ層状に噴射される。その後、燃料噴射弁20A、20B、20Cの各燃料通路22および燃料噴射管32は、噴射されずに残った燃料で満たされた状態となる。
また、制御部82は、燃料噴射弁20A、20B、20Cの噴射休止期間において、燃料で満たされた状態にある上記各燃料通路22の下流側の注水位置(第1注水位置P1)および上流側の注水位置(第2注水位置P2)に水が各々注入されるように、第1注水ポンプ41および第2注水ポンプ51の作動タイミングを制御する。この噴射休止期間では、第1注水ポンプ41から吐出された水と、第2注水ポンプ51から吐出された水とが、燃料噴射弁20A、20B、20Cの各燃料通路22に残存する燃料の圧力(燃料残圧)よりも高い圧力で、これら各燃料通路22の第1注水位置P1および第2注水位置P2に各々注入される。
(注水ポンプの構成)
つぎに、本発明の実施形態に係る注水ポンプの構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る注水ポンプの一構成例を示す側断面模式図である。図3は、図2に示す注水ポンプのA-A線断面模式図である。図4は、図2に示す注水ポンプのB-B線断面模式図である。図5は、図2に示す注水ポンプのC-C線断面模式図である。図6は、図2に示す注水ポンプのD-D線断面模式図である。以下では、本実施形態に係る注水ポンプの一例として、燃料噴射弁20A、20B、20Cの各燃料通路22の第1注水位置P1に水を注入するための第1注水ポンプ41(図1参照)が例示される。また、上述した第2注水ポンプ51の構成は、燃料噴射弁20A、20B、20Cの各燃料通路22に対する注水位置が第1注水ポンプ41と相異する(すなわち第2注水位置P2である)こと以外、第1注水ポンプ41と同様である。
第1注水ポンプ41は、作動油の圧力を利用して水を吐出する油圧駆動式の注水ポンプである。図2~6に示すように、第1注水ポンプ41は、水シリンダ1と、油圧シリンダ5と、複数(本実施形態では3つ)の水ピストン部6a、6b、6cと、油圧ピストン部7と、連結部8と、付勢部9とを備える。また、第1注水ポンプ41は、給水逆止弁ブロック10と、複数(本実施形態では3つ)の給水逆止弁11a、11b、11cと、吐出逆止弁ブロック12と、複数(本実施形態では3つ)の吐出逆止弁13a、13b、13cと、安全弁ブロック14と、複数(本実施形態では3つ)の安全弁15a、15b、15cと、ドレン通路14eとを備える。
水シリンダ1は、例えば中空の円筒状部材であり、図2、3に示すように、水を吐出するための水吐出通路2a、2b、2cおよび水ピストン部6a、6b、6cを内部に有する。また、水シリンダ1は、これらの水吐出通路2a、2b、2cと連続する内部空間4を有する。
水吐出通路2a、2b、2cは、シリンダの燃料噴射弁に接続される注水管と連通するように構成される複数の水吐出通路の一例である。例えば、水吐出通路2a、2b、2cは、図1に示した複数の下流側注水管42a、42b、42cと連通するように構成される。すなわち、本実施形態において、水吐出通路2a、2b、2cは、1つのシリンダに設けられる複数の燃料噴射弁20A、20B、20Cと複数の下流側注水管42a、42b、42cを通じて各々連通するように構成される。
詳細には、図2、3に示すように、水吐出通路2aは、水ピストン部6aが往復方向に摺動し得る形状(例えば円筒形状)に形成される。水吐出通路2aは、給水逆止弁ブロック10の内部に形成された通路(図示せず)と給水逆止弁11aとを通じて供給された吐出対象の水を一時貯留する。また、水吐出通路2aは、給水逆止弁11aの内部通路111a(図4参照)と吐出逆止弁13aの開閉可能な内部通路131a(図5参照)と安全弁15aの内部通路151a(図6参照)とを通じて、蓋部16の吐出口16aと連通する。水吐出通路2aは、この吐出口16aを通じて、上述した下流側注水管42aと連通する。
水吐出通路2b、2cは、上記の水吐出通路2aと同様に各々構成される。すなわち、水吐出通路2bは、水ピストン部6bが往復方向に摺動し得る形状に形成され、給水逆止弁11b等を通じて供給された吐出対象の水を一時貯留する。水吐出通路2bは、給水逆止弁11bの内部通路111b(図4参照)と吐出逆止弁13bの開閉可能な内部通路131b(図5参照)と安全弁15bの内部通路151b(図6参照)とを通じて、蓋部16の吐出口16bと連通する。水吐出通路2bは、この吐出口16bを通じて、上述した下流側注水管42bと連通する。また、水吐出通路2cは、水ピストン部6cが往復方向に摺動し得る形状に形成され、給水逆止弁11c等を通じて供給された吐出対象の水を一時貯留する。水吐出通路2cは、給水逆止弁11cの内部通路111c(図4参照)と吐出逆止弁13cの開閉可能な内部通路131c(図5参照)と安全弁15cの内部通路151c(図6参照)とを通じて、蓋部16の吐出口16cと連通する。水吐出通路2cは、この吐出口16cを通じて、上述した下流側注水管42cと連通する。
これらの水吐出通路2a、2b、2cは、燃料噴射弁20A、20B、20Cの間で同じ燃料通路の位置に連通する。例えば、水吐出通路2aは、下流側注水管42aを通じて、燃料噴射弁20Aの燃料通路22の第1注水位置P1に連通する。水吐出通路2bは、下流側注水管42bを通じて、燃料噴射弁20Bの燃料通路22の第1注水位置P1に連通する。水吐出通路2cは、下流側注水管42cを通じて、燃料噴射弁20Cの燃料通路22の第1注水位置P1に連通する。
内部空間4は、1つの油圧ピストン部7の作動に伴う複数(本実施形態では3つ)の水ピストン部6a、6b、6cの往復動を可能にするための空間である。図2に示すように、内部空間4には、水ピストン部6a、6b、6cの各下側部分と、油圧ピストン部7の上側部分と、これらを連結する連結部8とが、往復動可能に収容される。
油圧シリンダ5は、油圧ピストン部7を往復動可能に収容し得る中空の円筒状部材である。詳細には、図2に示すように、油圧シリンダ5は、油圧ピストン部7を作動させる作動油を受け入れるための作動油室5aを有する。作動油室5aは、油圧ピストン部7を往復動可能に収容し得るように形成される。なお、油圧シリンダ5は、取付ボルト(図示せず)によって水シリンダ1と連結されている。また、油圧シリンダ5の下端部は、図1に示した蓄圧部71や制御弁45等の作動油供給設備に取り付けられる。
水ピストン部6a、6b、6cは、水吐出通路内の水を加圧して燃料噴射弁側へ吐出する水ピストン部の一例である。本実施形態において、水ピストン部6a、6b、6cは、例えば、互いに同じ直径を有するピストンであり、図2、3に示すように、水吐出通路2a、2b、2c内に往復動可能に各々設けられる。なお、「水ピストン部6a、6b、6cの各直径が互いに同じ」とは、水ピストン部6a、6b、6cの各直径が製造公差内に収まっていることを意味する。
水ピストン部6aは、水吐出通路2a内を摺動しながらピストン軸方向に往復動する。この際、水ピストン部6aは、水吐出通路2aを圧縮する方向に移動することにより、水吐出通路2a内の水を加圧して燃料噴射弁20A側へ吐出する。水ピストン部6bは、水吐出通路2b内を摺動しながらピストン軸方向に往復動する。この際、水ピストン部6bは、水吐出通路2bを圧縮する方向に移動することにより、水吐出通路2b内の水を加圧して燃料噴射弁20B側へ吐出する。水ピストン部6cは、水吐出通路2c内を摺動しながらピストン軸方向に往復動する。この際、水ピストン部6cは、水吐出通路2cを圧縮する方向に移動することにより、水吐出通路2c内の水を加圧して燃料噴射弁20C側へ吐出する。
なお、水ピストン部6aのピストン軸方向は、水ピストン部6aのピストン軸CL1の長手方向である。水ピストン部6bのピストン軸方向は、水ピストン部6bのピストン軸CL2の長手方向である。水ピストン部6cのピストン軸方向は、水ピストン部6cのピストン軸CL3の長手方向である。以下、ピストン軸方向といえば、特に説明がない限り、水ピストン部6a、6b、6cの何れかまたは全てのピストン軸方向を意味する。
油圧ピストン部7は、作動油の圧力を利用して作動するピストンである。図2に示すように、油圧ピストン部7は、ピストン軸方向に往復動し得るように油圧シリンダ5の作動油室5aに収容される。油圧ピストン部7は、作動油室5aに供給された作動油の圧力を利用して、水ピストン部6a、6b、6cを水吐出通路2a、2b、2cの出口側(本実施形態では給水逆止弁11a、11b、11c側)へ各々移動させる。また、油圧ピストン部7は、作動油室5aから作動油を押し出しながらピストン軸方向に移動(下降)して、作動前の元の位置に復帰する。
連結部8は、複数の水ピストン部と1つの油圧ピストン部とを連結する連結部の一例である。詳細には、図2に示すように、連結部8は、一端面に水ピストン部6a、6b、6cの下端部が固定され且つ他端面に油圧ピストン部7の上端部が固定され、この構造により、水ピストン部6a、6b、6cと油圧ピストン部7とを連結して一体化する。また、連結部8は、水シリンダ1の内部空間4に往復動可能に収容される。この連結部8に固定された水ピストン部6a、6b、6cは、油圧ピストン部7と一体となって移動し得る状態になる。
付勢部9は、油圧ピストン部7を所定の方向に付勢するものである。例えば、付勢部9は、圧縮ばねまたは空気ばね等によって構成され、図2に示すように、油圧シリンダ5の上部に設けられる。付勢部9には、油圧ピストン部7の突起部(図示せず)が配置されている。付勢部9は、この突起部に付勢力を付与することにより、作動油室5aから作動油を押し出す方向(図2の紙面下方向)に油圧ピストン部7を付勢する。
給水逆止弁ブロック10は、図2、4に示すように、給水逆止弁11a、11b、11cを内部に有する構造体(例えば外形が円柱型の構造体)である。給水逆止弁ブロック10は、吐出逆止弁ブロック12と水シリンダ1との間に配置される。また、図2、4には図示されていないが、給水逆止弁ブロック10の内部には、図1に示した水供給ポンプ61に通じる給水管62(詳細には分岐管62a)と給水逆止弁11a、11b、11cとを連通させる給水通路が形成されている。
給水逆止弁11a、11b、11cは、水供給ポンプ61から水吐出通路2a、2b、2c内へ供給される水の流通方向を規制する逆止弁の一例である。図2に示すように、給水逆止弁11aは、水ピストン部6aのピストン軸CL1に沿って、給水逆止弁ブロック10内、詳細には、吐出逆止弁13aと水吐出通路2aとの間に配置される。給水逆止弁11aは、水供給ポンプ61から給水管62および給水逆止弁ブロック10内の給水通路を通じて水吐出通路2a内へ流れる水の流通を可能とし、この逆流を防止する。また、図4に示すように、給水逆止弁11aは、内部通路111aを有する。給水逆止弁11aは、この内部通路111aを介して水吐出通路2aと吐出逆止弁13aとを連通させる。
給水逆止弁11bは、水ピストン部6bのピストン軸CL2に沿って、給水逆止弁ブロック10内、詳細には、吐出逆止弁13b(図5参照)と水吐出通路2b(図3参照)との間に配置される。給水逆止弁11bは、水供給ポンプ61から給水管62および給水逆止弁ブロック10内の給水通路を通じて水吐出通路2b内へ流れる水の流通を可能とし、この逆流を防止する。また、図4に示すように、給水逆止弁11bは、内部通路111bを有する。給水逆止弁11bは、この内部通路111bを介して水吐出通路2bと吐出逆止弁13bとを連通させる。給水逆止弁11cは、水ピストン部6cのピストン軸CL3に沿って、給水逆止弁ブロック10内、詳細には、吐出逆止弁13c(図5参照)と水吐出通路2c(図3参照)との間に配置される。給水逆止弁11cは、水供給ポンプ61から給水管62および給水逆止弁ブロック10内の給水通路を通じて水吐出通路2c内へ流れる水の流通を可能とし、この逆流を防止する。また、図4に示すように、給水逆止弁11cは、内部通路111cを有する。給水逆止弁11cは、この内部通路111cを介して水吐出通路2cと吐出逆止弁13cとを連通させる。
吐出逆止弁ブロック12は、図2、5に示すように、吐出逆止弁13a、13b、13cを内部に有する構造体(例えば外形が円柱型の構造体)である。吐出逆止弁ブロック12は、安全弁ブロック14と水シリンダ1との間に配置される。
吐出逆止弁13a、13b、13cは、水吐出通路2a、2b、2c内から吐出される水の流通方向を規制する逆止弁の一例である。図2に示すように、吐出逆止弁13aは、水ピストン部6aのピストン軸CL1に沿って、吐出逆止弁ブロック12内、詳細には、安全弁15aと水吐出通路2aとの間(本実施形態では安全弁15aと給水逆止弁11aとの間)に配置される。吐出逆止弁13aは、水吐出通路2a内から燃料噴射弁20A側へ流れる水の流通を可能とし、この逆流を防止する。また、図5に示すように、吐出逆止弁13aは、内部通路131aを有する。吐出逆止弁13aは、この内部通路131aを介して、水吐出通路2aに通じる給水逆止弁11aと、燃料噴射弁20Aに通じる安全弁15aとを連通させる。
吐出逆止弁13bは、水ピストン部6bのピストン軸CL2に沿って、吐出逆止弁ブロック12内、詳細には、安全弁15b(図6参照)と水吐出通路2bとの間(本実施形態では安全弁15bと給水逆止弁11b(図4参照)との間)に配置される。吐出逆止弁13bは、水吐出通路2b内から燃料噴射弁20B側へ流れる水の流通を可能とし、この逆流を防止する。また、図5に示すように、吐出逆止弁13bは、内部通路131bを有する。吐出逆止弁13bは、この内部通路131bを介して、水吐出通路2bに通じる給水逆止弁11bと、燃料噴射弁20Bに通じる安全弁15bとを連通させる。吐出逆止弁13cは、水ピストン部6cのピストン軸CL3に沿って、吐出逆止弁ブロック12内、詳細には、安全弁15c(図6参照)と水吐出通路2cとの間(本実施形態では安全弁15cと給水逆止弁11c(図4参照)との間)に配置される。吐出逆止弁13cは、水吐出通路2c内から燃料噴射弁20C側へ流れる水の流通を可能とし、この逆流を防止する。また、図5に示すように、吐出逆止弁13cは、内部通路131cを有する。吐出逆止弁13cは、この内部通路131cを介して、水吐出通路2cに通じる給水逆止弁11cと、燃料噴射弁20Cに通じる安全弁15cとを連通させる。
安全弁ブロック14は、図2、6に示すように、安全弁15a、15b、15cおよびドレン通路14eを内部に有する構造体(例えば外形が円柱型の構造体)である。安全弁ブロック14は、吐出逆止弁ブロック12と蓋部16との間に配置され、締結部材の一例である取付ボルト17によって水シリンダ1の上部に着脱可能に取り付けられる。
安全弁15a、15b、15cは、燃料噴射弁から逆流する高圧の逆流液体から注水ポンプを守る安全弁の一例である。これらの安全弁15a、15b、15cは、複数の水ピストン部6a、6b、6cの各ピストン軸CL1、CL2、CL3に沿って複数の水吐出通路2a、2b、2cよりも複数の下流側注水管42a、42b、42c側に各々配置される。
図2に示すように、安全弁15aは、水ピストン部6aのピストン軸CL1に沿って、安全弁ブロック14内、詳細には、水吐出通路2aと図1に示した下流側注水管42aとの間(本実施形態では下流側注水管42aに通じる吐出口16aと吐出逆止弁13aとの間)に配置される。また、図6に示すように、安全弁15aは、内部通路151aを有する。安全弁15aの内部通路151aは、吐出口16aを介して下流側注水管42aに通じ、この下流側注水管42aを介して燃料噴射弁20Aに通じる。安全弁15aは、水吐出通路2aから吐出された水を、内部通路151aを通じて下流側注水管42aへ導く。また、安全弁15aは、燃料噴射弁20Aから逆流した逆流液体を、内部通路151aからドレン通路14eを通じて第1注水ポンプ41の外部へ排出するように導く。
安全弁15bは、水ピストン部6bのピストン軸CL2に沿って、安全弁ブロック14内、詳細には、水吐出通路2bと図1に示した下流側注水管42bとの間(本実施形態では下流側注水管42bに通じる吐出口16bと吐出逆止弁13bとの間)に配置される。また、図6に示すように、安全弁15bは、内部通路151bを有する。安全弁15bの内部通路151bは、吐出口16bを介して下流側注水管42bに通じ、この下流側注水管42bを介して燃料噴射弁20Bに通じる。安全弁15bは、水吐出通路2bから吐出された水を、内部通路151bを通じて下流側注水管42bへ導く。また、安全弁15bは、燃料噴射弁20Bから逆流した逆流液体を、内部通路151bからドレン通路14eを通じて第1注水ポンプ41の外部へ排出するように導く。
安全弁15cは、水ピストン部6cのピストン軸CL1に沿って、安全弁ブロック14内、詳細には、水吐出通路2cと図1に示した下流側注水管42cとの間(本実施形態では下流側注水管42cに通じる吐出口16cと吐出逆止弁13cとの間)に配置される。また、図6に示すように、安全弁15cは、内部通路151cを有する。安全弁15cの内部通路151cは、吐出口16cを介して下流側注水管42cに通じ、この下流側注水管42cを介して燃料噴射弁20Cに通じる。安全弁15cは、水吐出通路2cから吐出された水を、内部通路151cを通じて下流側注水管42cへ導く。また、安全弁15cは、燃料噴射弁20Cから逆流した逆流液体を、内部通路151cからドレン通路14eを通じて第1注水ポンプ41の外部へ排出するように導く。
ドレン通路14eは、燃料噴射弁から注水ポンプへ逆流した逆流液体を注水ポンプ外部へ排出するための通路の一例である。図6に示すように、ドレン通路14eは、安全弁15a、15b、15cから第1注水ポンプ41の外部へ通じるように、安全弁ブロック14内に形成される。本実施形態において、例えば、ドレン通路14eは、安全弁15a、15b、15cに各々通じる複数(図6では3つ)の分岐通路14a、14b、14cと、これらの分岐通路14a、14b、14cと合流し且つ第1注水ポンプ41の外部に通じる合流通路14dとによって構成される。
分岐通路14aは、一端部が合流通路14dに通じ且つ他端部が安全弁15aを囲む環状をなすように、安全弁ブロック14内に形成される。この分岐通路14aの環状部分は、安全弁15aの開閉動作に応じて、安全弁15aの内部通路151aと開閉可能に連通する。分岐通路14aは、安全弁15aの内部通路151aから流出された逆流液体を合流通路14dへ導く。分岐通路14bは、一端部が合流通路14dに通じ且つ他端部が安全弁15bを囲む環状をなすように、安全弁ブロック14内に形成される。この分岐通路14bの環状部分は、安全弁15bの開閉動作に応じて、安全弁15bの内部通路151bと開閉可能に連通する。分岐通路14bは、安全弁15bの内部通路151bから流出された逆流液体を合流通路14dへ導く。分岐通路14cは、安全弁15cを囲む環状をなして合流通路14dに通じるように、安全弁ブロック14内に形成される。この環状の分岐通路14cは、安全弁15cの開閉動作に応じて、安全弁15cの内部通路151cと開閉可能に連通する。分岐通路14cは、安全弁15cの内部通路151cから流出された逆流液体を合流通路14dへ導く。
合流通路14dは、上述したように分岐通路14a、14b、14cと合流し且つドレン排出口14fに通じるように、安全弁ブロック14内に形成される。ドレン排出口14fは、図6に示すように、一端部が合流通路14dに通じ且つ他端部が第1注水ポンプ41の外部に向けて開口するように、安全弁ブロック14内に形成される。合流通路14dは、分岐通路14a、14b、14cのうち少なくとも1つから流入した逆流液体をドレン排出口14f側へ導き、ドレン排出口14fから第1注水ポンプ41の外部へ逆流液体を排出する。特に図示しないが、ドレン排出口14fには、排出された逆流液体をタンク等の設備内へ導くための排出管が接続されている。
なお、上述した逆流液体として、例えば、燃料噴射弁から注水管を通じて注水ポンプへ逆流する燃料、当該燃料の圧力によって注水ポンプへ押し戻されるように逆流する注水管内の水等が挙げられる。上記注水ポンプが第1注水ポンプ41である場合、上記燃料噴射弁として燃料噴射弁20A、20B、20Cが例示され、上記注水管として下流側注水管42a、42b、42cが挙げられる。上記注水ポンプが第2注水ポンプ51である場合、上記燃料噴射弁として燃料噴射弁20A、20B、20Cが例示され、上記注水管として上流側注水管52a、52b、52cが挙げられる。
また、図6に示すように、安全弁ブロック14には、安全弁15a、15b、15cに対して潤滑油を供給するための油路が形成され、この油路の出口を閉塞するプラグ18が取り付けられている。特に図示しないが、給水逆止弁ブロック10には、給水逆止弁11a、11b、11cに対して潤滑油を供給するための油路が形成され、この油路の出口を閉塞するプラグが取り付けられている。吐出逆止弁ブロック12には、吐出逆止弁13a、13b、13cに対して潤滑油を供給するための油路が形成され、この油路の出口を閉塞するプラグが取り付けられている。
一方、安全弁ブロック14の上端部には、図2に示すように、蓋部16が設けられている。本実施形態において、蓋部16は、給水逆止弁ブロック10、吐出逆止弁ブロック12および安全弁ブロック14を水シリンダ1の上端部との間に挟むように、取付ボルト17(締結部材の一例)によって着脱可能に取り付けられる。これにより、給水逆止弁ブロック10、吐出逆止弁ブロック12および安全弁ブロック14は、取付ボルト17によって水シリンダ1の上部に着脱可能に取り付けられる。また、蓋部16は、安全弁15a、15b、15cの各弁棒後端部を安全弁ブロック14に押し付けて固定する。
また、図2に示すように、蓋部16には、水吐出通路2a、2b、2cに対応する吐出口16a、16b、16cが形成されている。吐出口16aは、給水逆止弁11aの内部通路111aと吐出逆止弁13aの内部通路131aと安全弁15aの内部通路151aとを介して水吐出通路2aに通じる第1吐出口である。吐出口16bは、給水逆止弁11bの内部通路111bと吐出逆止弁13bの内部通路131bと安全弁15bの内部通路151bとを介して水吐出通路2bに通じる第2吐出口である。吐出口16cは、給水逆止弁11cの内部通路111cと吐出逆止弁13cの内部通路131cと安全弁15cの内部通路151cとを介して水吐出通路2cに通じる第3吐出口である。蓋部16は、吐出口16aが安全弁15aの内部通路151aと連通し、吐出口16bが安全弁15bの内部通路151bと連通し、吐出口16cが安全弁15cの内部通路151cと連通するように、安全弁ブロック14の上端部に取り付けられる。
ここで、給水逆止弁11a、吐出逆止弁13aおよび安全弁15aは、上述したように、水ピストン部6aのピストン軸CL1に沿って配置されている。すなわち、給水逆止弁11a、吐出逆止弁13aおよび安全弁15aは、図2に示すように、水吐出通路2aと連通し得るようにピストン軸CL1上に位置している。この際、給水逆止弁11a、吐出逆止弁13aおよび安全弁15aの各中心軸(例えば各内部通路111a、131a、151aの中心軸)は、ピストン軸CL1と完全に同軸である必要はない。また、給水逆止弁11a、吐出逆止弁13aおよび安全弁15aは、ピストン軸CL1が各内部通路111a、131a、151a内を通るように配置されることが好ましく、ピストン軸CL1と各内部通路111a、131a、151aの中心軸とが互いに平行または一致する(同一軸である)ように配置されることがより好ましい。上記ピストン軸CL1に対する給水逆止弁11a、吐出逆止弁13aおよび安全弁15aの配置関係は、水ピストン部6bのピストン軸CL2に対する給水逆止弁11b、吐出逆止弁13b、および安全弁15bの配置関係と、水ピストン部6cのピストン軸CL3に対する給水逆止弁11c、吐出逆止弁13c、および安全弁15cの配置関係とについても同様である。
(給水逆止弁、吐出逆止弁、安全弁の構成)
つぎに、本発明の実施形態に係る注水ポンプの給水逆止弁、吐出逆止弁および安全弁の構成について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る注水ポンプの給水逆止弁、吐出逆止弁および安全弁の一構成例を示す側断面模式図である。以下では、本実施形態に係る注水ポンプの給水逆止弁、吐出逆止弁および安全弁の一例として、図2に示した第1注水ポンプ41の給水逆止弁11a、吐出逆止弁13aおよび安全弁15aが例示される。なお、給水逆止弁11b、11c、吐出逆止弁13b、13cおよび安全弁15b、15cの各構成は、連通する水吐出通路および吐出口が上述のように異なること以外、給水逆止弁11a、吐出逆止弁13aおよび安全弁15aと各々同様である。
給水逆止弁11aは、図7に示すように、弁体110aと、ばね113aとを備える。弁体110aは、内部通路111aと受圧部112aとを有し、弁軸方向Fに往復動し得るように給水逆止弁ブロック10内に収容される。内部通路111aは、水吐出通路2aから吐出された水を流通させるための通路であり、弁体110a内に形成される。この内部通路111aは、例えば図7に示すように、先端側において水吐出通路2aに通じ、後端側において吐出逆止弁13aと開閉可能に連通する連通路12aに通じる。連通路12aは、例えば、吐出逆止弁ブロック12内であって給水逆止弁11aと吐出逆止弁13aとの間に形成される。受圧部112aは、弁体110aを開くための圧力を受ける部分であり、弁体110aの先端部(水吐出通路2a側の端部)近傍の外周部に、周方向に沿って環状に形成される。ばね113aは、弁体110a内の後端側に収容される。ばね113aは、例えば図7に示すように、弁体110a内の突起部と吐出逆止弁ブロック12との間で自然長よりも収縮した状態にあり、水吐出通路2a側に付勢する付勢力を弁体110aに付与する。このばね113aの付勢力は、水供給ポンプ61(図1参照)から供給される水の圧力よりも弱い。
このような構成を有する給水逆止弁11aは、弁体110aを弁軸方向Fに往復動させることにより、開状態と閉状態とを切り換える。給水逆止弁11aの開状態は、水供給ポンプ61から給水管62を通じて水吐出通路2a内に供給される水の流れを許容する状態である。給水逆止弁11aの閉状態は、水吐出通路2a側から給水管62側への水の逆流を阻止するとともに、水吐出通路2aから吐出された水の吐出逆止弁13a側への流れを許容する状態である。
詳細には、給水逆止弁11aにおいて、弁体110aは、ばね113aの付勢力を利用して、自身の先端部を水吐出通路2aの出口端部に押し当てる。これにより、弁体110aは、水吐出通路2aと内部通路111aとを連通させるとともに、水吐出通路2aと給水逆止弁ブロック10内の給水通路(図示せず)との連通を遮断して、上記の閉状態となる。また、弁体110aは、給水管62を通じて給水逆止弁ブロック10の給水通路(図示せず)内に送出された水の圧力を受圧部112aで受けた場合、この圧力を利用して、ばね113aの付勢力に抗する方向に移動する。これにより、弁体110aは、水吐出通路2aから離間して、水吐出通路2aと給水逆止弁ブロック10内の給水通路とを連通させ、上記の開状態となる。その後、水吐出通路2a内への水の供給が終了した場合、弁体110aは、ばね113aの付勢力を利用して水吐出通路2aに近接し、再び上記の閉状態となる。
吐出逆止弁13aは、図7に示すように、弁体130aと、ばね113aとを備える。弁体130aは、内部通路131aと受圧部132aと受入口134aとを有し、弁軸方向Fに往復動し得るように吐出逆止弁ブロック12内に収容される。内部通路131aは、水吐出通路2aから吐出された水を流通させるための通路であり、弁体130a内に形成される。受入口134aは、内部通路131aの先端側に通じるように、弁体130aの先端部に形成される。例えば、受入口134aは、弁体130aの中心軸から4方向に延在するように形成されている。内部通路131aは、例えば図7に示すように、先端側において受入口134aを介して給水逆止弁11aと開閉可能に連通する連通路12aに通じ、後端側において安全弁15aと連通する連通路14hに通じる。連通路14hは、例えば、安全弁ブロック14内であって吐出逆止弁13aと安全弁15aとの間に形成される。受圧部132aは、弁体130aを開くための圧力を受ける部分であり、弁体130aの先端部(給水逆止弁11a側の端部)に形成される。ばね133aは、弁体130a内に収容される。ばね133aは、例えば図7に示すように、弁体130a内の先端側部分と安全弁ブロック14との間で自然長よりも収縮した状態にあり、給水逆止弁11a側に付勢する付勢力を弁体130aに付与する。このばね133aの付勢力は、水ピストン部6a(図2参照)によって水吐出通路2aから吐出される水の圧力よりも弱い。
このような構成を有する吐出逆止弁13aは、弁体130aを弁軸方向Fに往復動させることにより、開状態と閉状態とを切り換える。吐出逆止弁13aの開状態は、水吐出通路2aから吐出された水の安全弁15a側への流れを許容する状態である。吐出逆止弁13aの閉状態は、水吐出通路2aから吐出された水の逆流、すなわち、安全弁15a側から給水逆止弁11a側への吐出水の流れを阻止する状態である。吐出逆止弁13aは、このような開状態と閉状態とを切り換えることにより、水吐出通路2aから吐出された水の流通方向を水吐出通路2a側から安全弁15a側へ向かう方向に規制する。
詳細には、吐出逆止弁13aにおいて、弁体130aは、ばね133aの付勢力を利用して、受圧部132aを連通路12aの出口端部に押し当てる。これにより、弁体130aは、給水逆止弁11aの内部通路111aと吐出逆止弁13aの内部通路131aとの連通を遮断して、上記の閉状態となる。また、弁体130aは、給水逆止弁11aの内部通路111aおよび連通路12aを介して水吐出通路2aから吐出された水の圧力を受圧部132aで受けた場合、この圧力を利用して、ばね133aの付勢力に抗する方向に移動する。これにより、弁体130aは、受圧部132aを連通路12aから離間させ、連通路12aおよび受入口134aを介して給水逆止弁11aの内部通路111aと吐出逆止弁13aの内部通路131aと連通させる。このようにして、弁体130aは、上記の開状態となる。その後、水吐出通路2aからの水の吐出が終了した場合、弁体130aは、ばね133aの付勢力を利用して受圧部132aを連通路12aに近接させ、再び上記の閉状態となる。
安全弁15aは、図7に示すように、弁体150aと、ばね153aと、弁棒154aとを備える。弁体150aは、弁棒154aに摺動可能に取り付けられ、弁軸方向Fに往復動し得るように安全弁ブロック14内に収容される。弁体150aおよび弁棒154aの各内部には、内部通路151aが形成されている。内部通路151aは、例えば図7に示すように、先端側において吐出逆止弁13aと連通する連通路14hに通じ、後端側において吐出口16aに通じる。吐出口16aは、蓋部16に形成される。この吐出口16aには、上述したように、燃料噴射弁20Aに通じる下流側注水管42aが接続されている。また、内部通路151aは、先端側において、安全弁ブロック14内のドレン通路14e(図6参照)の分岐通路14aと開閉可能に連通する。受圧部152aは、弁体150aを開くための圧力を受ける部分であり、弁体150aの先端部(吐出逆止弁13a側の端部)に形成される。受圧部155aは、弁体150aを吐出逆止弁13a側に付勢する方向に液体の圧力を受ける部分であり、例えば図7に示すように、弁体150a内における受圧部152aとは反対側の段部分に形成される。
ばね153aは、例えば図7に示すように、弁体150aの後端部と弁棒154aの後端部との間に介在するように弁棒154aに取り付けられる。ばね153aは、弁体150aの後端部と弁棒154aの後端部との間で自然長よりも収縮した状態にあり、吐出逆止弁13a側に付勢する付勢力を弁体150aに付与する。このばね153aの付勢力と、水吐出通路2aから吐出された水の圧力によって受圧部155aが受ける力との合力は、水吐出通路2aから吐出された水の圧力によって受圧部152aが受ける力よりも強い。また、このばね153aの付勢力と、燃料噴射弁20Aから下流側注水管42aを通じて第1注水ポンプ41に逆流する逆流液体の圧力によって受圧部155aが受ける力との合力は、当該逆流液体の圧力によって受圧部152aが受ける力よりも弱い。弁棒154aは、図7に示すように、弁体150aとばね153aとが取り付けられた状態で、安全弁ブロック14内に収容される。この際、弁棒154aの後端部は、安全弁ブロック14と蓋部16とによって挟まれ、これにより、弁棒154aは、安全弁ブロック14に固定される。弁棒154aは、弁体150aの弁軸方向Fの往復動を案内する機能と、ばね153aを受ける機能とを兼ね備える。
このような構成を有する安全弁15aは、弁体150aを弁軸方向Fに往復動させることにより、閉状態と開状態とを切り換える。安全弁15aの閉状態は、内部通路151aをドレン通路14e(図7では分岐通路14a)に対して閉塞した状態である。安全弁15aの開状態は、内部通路151aをドレン通路14eに対して開放した状態である。安全弁15aは、ばね153aの付勢力と水の吐出圧力によって受圧部155aに作用する力との合力を利用して弁体150aを動作させることにより、上記の閉状態となる。この場合、安全弁15aは、水ピストン部6aによって加圧された水を、水吐出通路2aから内部通路151aを通じて吐出口16aに導き、この吐出口16aから、燃料噴射弁20Aに通じる下流側注水管42aへ導く。一方、安全弁15aは、燃料噴射弁20Aから下流側注水管42aを通じて内部通路151aに逆流した逆流液体の圧力(詳細には逆流液体の圧力によって受圧部152aに作用する力)により、弁体150aをばね153aの付勢力に抗する方向へ動作させて上記の開状態となる。この場合、安全弁15aは、この逆流液体を、内部通路151aからドレン通路14eを通じて第1注水ポンプ41の外部へ排出するように導く。
(注水ポンプの水吐出動作)
つぎに、本発明の実施形態に係る注水ポンプの水吐出動作について説明する。以下では、図1~7を適宜参照しつつ、本実施形態に係る注水ポンプの水吐出動作の一例として、上述した第1注水ポンプ41の水吐出動作を説明する。
第1注水ポンプ41は、水の吐出を行う前の段階において、油圧ピストン部7を所定の基準位置に位置させた状態(例えば図2に示す状態)となっている。この際、水吐出通路2a、2b、2cには、図1に示した水供給ポンプ61から給水管62等を通じて吐出対象の水が供給される。例えば、上述した給水逆止弁11a(図7参照)は、水供給ポンプ61からの水の圧力によって閉状態から開状態に切り換わる。水吐出通路2aには、この開状態の給水逆止弁11aを介して吐出対象の水が供給される。これと同様に、水吐出通路2b、2cには、各々、開状態の給水逆止弁11b、11cを介して吐出対象の水が供給される。このようにして、水吐出通路2a、2b、2cは、各々、吐出対象の水で満たされた状態となっている。
続いて、第1注水ポンプ41が水の吐出を行う際、油圧シリンダ5の作動油室5aには、図1に示した蓄圧部71から制御弁45等を通じて作動油が供給される。油圧ピストン部7は、作動油室5a内の作動油の圧力を受け、この作動油の圧力を利用して、吐出口16a、16b、16c側へ移動(上昇)する。この際、油圧ピストン部7は、付勢部9の付勢力に抗して移動しながら、連結部8とともに水ピストン部6a、6b、6cを吐出口16a、16b、16c側へ移動させる。これにより、油圧ピストン部7は、これらの水ピストン部6a、6b、6cを、水吐出通路2a、2b、2cを各々圧縮する方向へ互いに同じリフト量分(好ましくは同じ容積分)移動させる。
水ピストン部6a、6b、6cは、上記油圧ピストン部7の作用により、互いに移動量(リフト量)を揃えて水吐出通路2a、2b、2c内を各々摺動しながら、水吐出通路2a、2b、2c内の水(吐出対象の水)を各々加圧する。
水吐出通路2a内の水は、水ピストン部6aによって加圧されることにより、水吐出通路2aから吐出口16a側へ圧送される。詳細には、当該水は、水吐出通路2aから閉状態の給水逆止弁11aの内部通路111aおよび連通路12aを通じて吐出逆止弁13aに至る。当該水は、その圧力によって吐出逆止弁13aを開状態にし、吐出逆止弁13aの受入口134aから内部通路131aに流入する。ついで、当該水は、吐出逆止弁13aの内部通路131aおよび連通路14hを通じて閉状態の安全弁15aに至る。当該水は、安全弁15aの閉状態を開状態に切り換えることなく、安全弁15aの内部通路151aを通じて吐出口16aに至る。その後、当該水は、吐出口16aから下流側注水管42a内に流入し、この下流側注水管42aを通じて燃料噴射弁20Aの燃料通路22の第1注水位置P1に注入される。
これと同様に、水ピストン部6bによって加圧された水は、水吐出通路2bから給水逆止弁11b、吐出逆止弁13b、および安全弁15bを順次通って吐出口16bに至り、吐出口16bから下流側注水管42bを通じて燃料噴射弁20Bの燃料通路22の第1注水位置P1に注入される。水ピストン部6cによって加圧された水は、水吐出通路2cから給水逆止弁11c、吐出逆止弁13c、および安全弁15cを順次通って吐出口16cに至り、吐出口16cから下流側注水管42cを通じて燃料噴射弁20Cの燃料通路22の第1注水位置P1に注入される。
このような第1注水ポンプ41による水の吐出は、作動油室5aに作動油が供給されている期間、すなわち、作動油の圧力を利用して油圧ピストン部7が吐出口16a、16b、16c側へ移動している期間、継続して行われる。その後、作動油室5a内への作動油の供給が停止された場合、第1注水ポンプ41による1回分の水の吐出が終了する。この際、油圧ピストン部7は、付勢部9の付勢力により、作動油室5a内の作動油(上述した水の吐出に利用された後の作動油)を作動油室5aから油圧シリンダ5の外部へ押し出しながら、現在のリフト位置から元の基準位置に移動する。この油圧ピストン部7の移動に伴い、水ピストン部6a、6b、6cは、水吐出通路2a、2b、2cの圧縮(水の加圧)を解除する方向へ連結部8とともに移動して、水の吐出が行われる前の位置に復帰する。水吐出通路2a、2b、2cには、水供給ポンプ61から給水管62等を通じて吐出対象の水が供給され、これにより、水吐出通路2a、2b、2cは、吐出対象の水で満たされた状態に戻る。
(安全弁の動作)
つぎに、本発明の実施形態に係る注水ポンプの安全弁の動作について説明する。図8は、本発明の実施形態に係る注水ポンプの安全弁の動作を説明するための図である。以下では、図8を参照しつつ、本実施形態における安全弁の動作の一例として、上述した第1注水ポンプ41の安全弁15aの動作を説明する。なお、第1注水ポンプ41の安全弁15b、15cの動作は、以下に示す安全弁15aの動作と同様である。
第1注水ポンプ41が水の吐出を行う場合、図8の状態S1に示すように、安全弁15aは閉状態となっている。閉状態の安全弁15aにおいて、ばね153aの付勢力と水の吐出圧力によって受圧部155aに作用する力との合力が、水の吐出圧力によって受圧部152aに作用する力を上回るため、弁体150aは、弁棒154aの先端側へ摺動し、受圧部152aを連通路14hの出口端部に押し当てる。これにより、弁体150aは、連通路14hを介して吐出逆止弁13aの内部通路131a(図7参照)と安全弁15aの内部通路151aとを連通させるとともに、この内部通路151aとドレン通路14e(図6参照)の分岐通路14aとの連通を遮断する。このような閉状態では、上述したように、吐出対象の水が、連通路14hおよび安全弁15aの内部通路151a等を通じて蓋部16の吐出口16aから吐出される。
一方、燃料噴射弁20Aからの逆流液体が下流側注水管42aを通じて吐出口16a内へ逆流した場合、図8の状態S2に示すように、逆流液体は、吐出口16aから安全弁15aの内部通路151aを通じて連通路14hに侵入する。この逆流液体は、連通路14hおよび吐出逆止弁13aの内部通路131a(図7参照)に充満しながら、安全弁15aの弁体150aの受圧部152aおよび受圧部155aに圧力を加える。この逆流液体の圧力によって受圧部152aに作用する力は、この逆流液体の圧力によって受圧部155aに作用する力とばね153aの付勢力との合力を上回る。このため、安全弁15aは、この受圧部152aに作用する力によって閉状態から開状態へ切り換わる。詳細には、安全弁15aにおいて、弁体150aは、上記逆流液体の圧力によって受圧部152aに作用する力を利用して、ばね153aの付勢力に抗する方向に移動する。これにより、弁体150aは、弁棒154aの後端側へ摺動しながら連通路14hから離間して、安全弁15aの内部通路151aとドレン通路14eの分岐通路14aとを連通させる。このように開状態となった安全弁15aは、内部通路151aおよび連通路14h等に充満している逆流液体を、分岐通路14aからドレン通路14eへ導き、ドレン通路14eを通じてドレン排出口14f(図6参照)から注水ポンプ外部へ排出する。これにより、安全弁15aは、この逆流液体の過度に高い圧力を注水ポンプ外部へ逃がすことができる。
その後、注水ポンプ外部への逆流液体の排出が終了した場合、安全弁15aは、上記の開状態から閉状態に戻る。この際、弁体150aは、ばね153aの付勢力を利用して連通路14hに近接し、再び、連通路14hを介して吐出逆止弁13aの内部通路131aと安全弁15aの内部通路151aとを連通させるとともに、この内部通路151aとドレン通路14eの分岐通路14aとの連通を遮断する。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る注水ポンプでは、シリンダの燃料噴射弁に接続される注水管と連通するように水吐出通路を構成し、水を加圧して燃料噴射弁側へ吐出する水ピストン部を上記水吐出通路内に往復動可能に設け、上記注水管に通じる内部通路を有する安全弁を、上記水吐出通路内の水ピストン部のピストン軸に沿って上記水吐出通路と上記注水管との間に配置し、上記安全弁がドレン通路を介して注水ポンプ外部へ通じるようにしている。また、上記安全弁は、上記内部通路を上記ドレン通路に対して閉塞した閉状態において、上記水ピストン部によって加圧された水を、上記水吐出通路から上記内部通路を通じて上記注水管へ導き、上記燃料噴射弁から上記注水管を通じて上記内部通路に逆流液体が流入した場合、上記安全弁は、上記逆流液体の圧力によって、上記内部通路を上記ドレン通路に対して開放した開状態となり、上記逆流液体を、上記内部通路から上記ドレン通路を通じて注水ポンプ外部へ排出するように導いている。
上記の構成により、注水ポンプの燃料噴射弁に対する水吐出機能を損なうことなく、安全弁の作用によって逆流液体の圧力を注水ポンプ外部へ逃がすことができるとともに、このような安全弁を注水ポンプ内に配置しても、注水ポンプの幅の増大を抑えることができる。このため、たとえ注水ポンプの耐圧構造を強化しなくとも、燃料噴射弁から逆流した燃料等の逆流液体による過度な加圧を回避するとともに、注水ポンプの小型化を図ることができる。この結果、逆流液体による過度な加圧に起因して注水ポンプが破損することを防止するとともに、注水ポンプの破損による燃料の漏出を防止し、さらには、注水ポンプの配置に要するスペース(フットプリント)の増大を抑制して、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ周辺への配置に好適な装置規模の注水ポンプを実現することができる。
また、本発明の実施形態に係る注水ポンプでは、水吐出通路から吐出された水の流通方向を水吐出通路側から安全弁側へ向かう方向に規制する吐出逆止弁を、水ピストン部のピストン軸に沿って安全弁と水吐出通路との間に配置している。このため、吐出逆止弁を注水ポンプ内に配置しても、注水ポンプの幅の増大を抑えることができるとともに、安全弁の作用によって上記逆流液体の圧力から吐出逆止弁を防護することができる。この結果、注水ポンプの小型化を阻害することなく、上記逆流液体による過度な加圧に起因して吐出逆止弁が破損することを防止することができる。
また、本発明の実施形態に係る注水ポンプでは、給水管を通じて水吐出通路内に供給される水の流通方向を規制する給水逆止弁を、水ピストン部のピストン軸に沿って安全弁と水吐出通路との間(詳細には吐出逆止弁と水吐出通路との間)に配置している。このため、給水逆止弁を注水ポンプ内に配置しても、注水ポンプの幅の増大を抑えることができるとともに、安全弁の作用によって上記逆流液体の圧力から給水逆止弁を防護することができる。この結果、注水ポンプの小型化を阻害することなく、上記逆流液体による過度な加圧に起因して給水逆止弁が破損することを防止することができる。
また、本発明の実施形態に係る注水ポンプでは、複数の水吐出通路に対応して複数の安全弁を注水ポンプ内に配置し、上記ドレン通路を、複数の安全弁に各々通じる複数の分岐通路と、複数の分岐通路と合流し且つ注水ポンプ外部に通じる合流通路とによって構成している。このため、注水ポンプ外部へ通じるドレン通路を複数の安全弁の各々から延在するように複数形成する場合に比べ、注水ポンプ内におけるドレン通路の占める部分を少なくすることができる。この結果、注水ポンプ内にドレン通路を簡易に形成できるとともに、注水ポンプの小型化を促進することができる。
また、本発明の実施形態に係る注水ポンプでは、水吐出通路および水ピストン部を内部に有する水シリンダの上部に、給水逆止弁を内部に有する給水逆止弁ブロックと、吐出逆止弁を内部に有する吐出逆止弁ブロックと、安全弁およびドレン通路を内部に有する安全弁ブロックとを着脱可能に取り付けている。このため、給水逆止弁、吐出逆止弁、安全弁およびドレン通路を注水ポンプ内に簡易に設けることができるとともに、給水逆止弁ブロック、吐出逆止弁ブロックおよび安全弁ブロックの各ブロック単位で、給水逆止弁、吐出逆止弁、安全弁およびドレン通路の各メンテナンスや交換を簡易に行うことができる。
なお、上述した実施形態では、1つのシリンダに設けられる3つの燃料噴射弁20A、20B、20Cの各燃料通路に水を注入する注水ポンプを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係る注水ポンプは、1つのシリンダに設けられた1つまたは複数(少なくとも1つ)の燃料噴射弁の燃料通路に水を注入するものであってもよい。これに対応して、注水ポンプ内に配置する安全弁の個数は、上述した3つに限定されず、1つ以上であってもよい。
また、上述した実施形態では、給水逆止弁および吐出逆止弁を内部に備えた注水ポンプを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、給水逆止弁は、注水ポンプと水供給ポンプとを連通させる給水管に設けられてもよい。また、吐出逆止弁は、注水ポンプと燃料噴射弁とを連通させる注水管に設けられてもよい。
また、上述した実施形態では、1つの油圧ピストン部7の作用によって3つの水ピストン部6a、6b、6cを動作させる注水ポンプを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、本発明に係る注水ポンプは、1つの油圧ピストン部の作用によって1つ以上の水ピストン部を動作させるものであってもよい。すなわち、本発明において、水ピストン部および水吐出通路の各個数は、1つのシリンダに設けられた注水対象の燃料噴射弁の個数に合わせて設定されてもよい。これと同様に、注水ポンプ内に配置する吐出逆止弁および給水逆止弁の各個数は、上述した3つに限定されず、各々、1つのシリンダに設けられた注水対象の燃料噴射弁の個数に合わせて1つ以上であってもよい。
また、上述した実施形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。