(1)実施形態
(1.1)概要
以下、本実施形態の親機1、及びそれを備える自動火災報知システム100について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の親機1は、一対の電線31,32間に電圧を印加する印加部11を備えている。
図2に示すように、本実施形態の自動火災報知システム100は、親機1に加えて、複数の子機2を備えている。複数の子機2の各々は、第1の子機21と第2の子機22とのうちのいずれか一方である。各子機2は、一対の電線31,32を介して親機1と電気的に接続されている。
第1の子機21は、通知機能を有している。通知機能は、一対の電線31,32間を、短絡していない状態から短絡している状態に切り替える機能である。第1の子機21は、火災の発生を検知したときに、通知機能によって、火災の発生を通知する信号(以下、「火災報」という)を親機1に送信する。すなわち、ここでの第1の子機21は、いわゆるP型(Proprietary-type)の自動火災報知システムに使用されている接点型火災感知器である。
第2の子機22は、第1の子機21と同様の通知機能を有している。すなわち、第2の子機22は、火災の発生を検知したときに、通知機能によって火災報を親機1に送信する。
また、第2の子機22は、通知機能に加えて、子機側通信機能を有している。子機側通信機能は、一対の電線31,32を伝送される伝送信号を用いて、親機1と双方向に通信する機能である。第2の子機22は、発報時(火災報の送信時)に、火災報の発報元のアドレス(識別子)を要求するアドレス要求を含む伝送信号を親機1から受け取ると、子機側通信機能を用いて、予め割り当てられたアドレスを親機1に送信する。
親機1は、通信部13と、モード切替部171と、を備えている。
通信部13は、第1通信機能(火災報受信機能)と、第2通信機能と、を有している。第1通信機能は、一対の電線31,32間の短絡を検知することで、子機2からの火災報を受信する機能である。第2通信機能は、一対の電線31,32を介して子機2(第2の子機22)と通信することで、子機2(第2の子機22)を識別するアドレスを受信する機能である。より詳細には、第2通信機能は、一対の電線31,32を伝送される伝送信号を用いて子機2(第2の子機22)と双方向に通信することで、子機2(第2の子機22)を識別するアドレスを受信する機能である。
モード切替部171は、通信部13の動作モードを、第1モードと第2モードとで切り替える。
第1モードは、火災報を子機2から受信するための通信部13の動作モードである。第1モードは、ここでは、第1通信機能が有効であって、かつ第2通信機能が無効な通信部13の動作モードである。すなわちモード切替部171は、第1モードでは、第1通信機能を有効とし第2通信機能を無効とする。したがって、第1モードにおいて、通信部13は、第1通信機能を用いて一対の電線31,32間の短絡を検知することで、子機2(第1の子機21、第2の子機22)から火災報を受信する。また、第1モードにおいて、通信部13は、子機2(第2の子機22)との間での伝送信号の送受信を行わず、子機2(第2の子機22)との通信を停止する。
第2モードは、第1通信機能及び第2通信機能が有効な通信部13の動作モードである。すなわち、モード切替部171は、第2モードでは、第1通信機能及び第2通信機能を有効とする。したがって、第2モードにおいて、通信部13は、第1通信機能を用いて一対の電線31,32間の短絡を検知することで、子機2から火災報を受信する。また、第2モードにおいて、通信部13は、第2通信機能を用いて、子機2(第2の子機22)との間で伝送信号の送受信を行い、子機2(第2の子機22)を識別するアドレスを受信する。
このように、本実施形態の自動火災報知システム100の親機1は、通信部13の動作モードを、第1モードと第2モードとに切り替え可能である。
例えば、一対の電線31,32に、第2の子機22のみが接続されている場合、モード切替部171は、通信部13の動作モードを第2モードとする。これにより、親機1は、第1通信機能によって、子機2(第2の子機22)から火災報の受信が可能となり、かつ、第2通信機能によって、子機2(第2の子機22)との双方向通信により子機2からアドレスの受信が可能となる。したがって、子機2(第2の子機22)の発報時に、親機1が発報元の子機2からアドレスを受信することで、子機2(第2の子機22)単位で発報元の特定が可能となる。
例えば、一対の電線31,32に第1の子機21が一つでも接続されている場合、モード切替部171は、通信部13の動作モードを第1モードとする。これにより、親機1は、第1通信機能によって、子機2(第1の子機21、第2の子機22)から火災報の受信が可能となる。また、第1モードにおいては、第2通信機能を無効とすることで、親機1と子機2(第2の子機22)との間での通信が停止される。このため、親機1-第2の子機22間での通信失敗等のトラブルの発生が抑制され、不具合の発生を低減することが可能となる。
なお、モード切替部171による第1モードと第2モードとの切り替えは、必ずしも、第2通信機能の無効と有効とを切り替えることによって実現されなくてもよい。親機1は、第1モードにおいて子機2から火災報を受信可能であればよく、例えば、通信部13の第1モードは、第1通信機能以外の機能によって火災報を受信するモードであってもよい。
(1.2)全体構成
以下では、図2に示すように、本実施形態の自動火災報知システム100が集合住宅A1(例えば、マンション)に用いられる場合を例示する。もちろん、本実施形態の自動火災報知システム100は、集合住宅A1に限らず、例えば商業施設、病院、ホテル、雑居ビル等、様々な建物に用いられてもよい。
本実施形態の自動火災報知システム100は、図2に示すように、1棟の集合住宅A1に対して、1台の親機1と、複数台の子機2と、が設けられている。また、この自動火災報知システム100では、一対の電線31,32を1つの通信線L1として、複数(ここでは4つ)の通信線L1が親機1に接続されている。各通信線L1には、2以上(ここでは4台)の子機2が接続されている。
各通信線L1に接続されている2以上の子機2は、全てが第1の子機21であってもよいし、全てが第2の子機22であってもよいし、第1の子機21と第2の子機22とが混在していてもよい。図示例では、4つの通信線L1のうちの第1の通信線L11には、第2の子機22のみが複数(4台)接続されている。また、4つの通信線L1のうちの第2の通信線L12及び第2の通信線L13には、第1の子機21と第2の子機22とが少なくとも1台ずつ接続されている。また、4つの通信線L1のうちの第4の通信線L14には、第1の子機21のみが複数(4台)接続されている。
なお、自動火災報知システム100では、各通信線L1に対して最大60台の子機2(第1の子機21あるいは第2の子機22)が接続可能である。さらに、1台の親機1には、通信線L1は最大で120回線接続可能である。したがって、子機2(第1の子機21あるいは第2の子機22)は、1台の親機1に対して最大で7200(=60×120)台まで接続可能である。ただし、これらの数値は一例であって、これらの数値に限定する趣旨ではない。
また、各通信線L1の終端(親機1と反対側の端部)においては、一対の電線31,32間が終端抵抗C1を介して電気的に接続されている。そのため、親機1は、一対の電線31,32間に流れる電流を監視することで、一対の電線31,32の断線を検知することが可能である。
自動火災報知システム100は、基本的には、熱感知器や煙感知器や炎感知器等からなる子機2(第1の子機21、第2の子機22)にて火災の発生を検知し、子機2から受信機である親機1へ火災発生の通知が為されるように構成されている。ただし、子機2は、火災の発生を検知する感知器に限らず、発信機などを含んでいてもよい。発信機は、押しボタンスイッチ(図示せず)を有し、人が火災を発見した場合に押しボタンスイッチを手動で操作する(押す)ことにより、親機1へ火災発生の通知を行う装置である。
なお、自動火災報知システム100は、防排煙設備(図示せず)や非常用放送設備(図示せず)等の他設備との連動機能を有していてもよい。この場合、自動火災報知システム100は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響または音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
ところで、一般的な自動火災報知システムには、P型(Proprietary-type)とR型(Record-type)との2種類のシステムが存在する。P型の自動火災報知システムは、子機が一対の電線間を電気的に短絡することで親機に火災発生を通知する。R型の自動火災システムは、伝送線を伝送される伝送信号を用いて、子機が通信により親機に火災発生を通知する。
本実施形態の自動火災報知システム100は、P型を基本としている。より具体的には、本実施形態では、P型の自動火災報知システムが設置されていた集合住宅A1において、既存の配線(通信線L1)をそのまま使用し、既存の親機を親機1に入れ替え、既存の複数の子機2(第1の子機21)のうちのいくつかを第2の子機22に入れ替えた場合を想定している。もちろん、本実施形態の自動火災報知システム100は、新規に導入される自動火災報知システムとしても採用可能である。
以下、親機1及び子機2の構成について詳細に説明する。
(1.3)親機の構成
本実施形態では、親機1は、子機2(第1の子機21、第2の子機22)から火災発生の通知を受けるP型受信機である。親機1は、例えば建物(集合住宅A1)の管理室に設置される。
親機1は、図1に示すように、印加部11、通信部13に加えて、抵抗12と、各種の表示を行う表示部15と、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部16と、各部を制御する制御部17と、を備えている。また、通信部13は、識別部130と、受信部131と、送信部132と、を備えている。
なお、親機1は、複数の通信線L1(図2参照)に対応して、印加部11及び抵抗12をそれぞれ複数備えている。また、通信部13は、複数の通信線L1に対応して、識別部130、受信部131及び送信部132をそれぞれ複数備えている。ただし、説明の便宜上、図1では一つの通信線L1及びそれに対応する構成のみを図示し、この通信線L1に着目して説明を行うこととする。
印加部11は、制御部17に制御されることにより、所定の電圧を一対の電線31,32に対して印加する。ここでは一例として、印加部11が一対の電線31,32間に印加する電圧は直流24Vとするが、この値に限定する趣旨ではない。
抵抗12は、印加部11と一対の電線31,32の少なくとも一方との間に接続されている。図1の例では、抵抗12は、一対の電線31,32のうち一方(高電位側)の電線31と印加部11との間に挿入されている。ただし、この例に限らず、抵抗12は、他方(低電位側)の電線32と印加部11との間に挿入されていてもよいし、一対の電線31,32の両方と印加部11との間にそれぞれ挿入されていてもよい。
抵抗12は、抵抗12を流れる電流を電圧降下により抵抗12の両端間の電位差(電圧)に変換する第1の機能と、一対の電線31,32間が短絡したときに一対の電線31,32に流れる電流を制限する第2の機能と、の2つの機能を有している。要するに、抵抗12は、電流-電圧変換素子としての第1の機能と、電流制限素子としての第2の機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗12の抵抗値は470Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
識別部130は、印加部11と一対の電線31,32との間に電気的に接続されている。識別部130は、一対の電線31,32間が子機2により短絡されている状態(以下、「短絡状態」という)と、短絡されていない状態(以下、「非短絡状態」という)とを識別する。識別部130は、一対の電線31,32間を流れる電流の大きさを監視し、この電流が所定の閾値を超えるか否かによって、短絡状態と非短絡状態とを区別する。つまり、識別部130は、一対の電線31,32間を流れる電流が閾値以下であれば非短絡状態と判断し、一対の電線31,32間を流れる電流が閾値を超えると短絡状態であると判断する。
通信部13は、非短絡状態から短絡状態に切り替わったことを識別部130により検知することで、子機2からの火災報を受信する。すなわち本実施形態では、識別部130によって、通信部13の第1通信機能(火災報受信機能)が実現される。
受信部131は、抵抗12と一対の電線31,32との間に電気的に接続されている。受信部131は、一対の電線31,32から電流を引き込むことで第2の子機22から送信される電流信号を、一対の電線31,32間の電圧変化として受信する。つまり、第2の子機22が一対の電線31,32から引き込む電流の電流値は、抵抗12での電圧降下の大きさに相当する。したがって、受信部131は、第2の子機22が一対の電線31,32から引き込む電流を変化させたときに一対の電線31,32上に生じる電圧変化(電圧信号)を、伝送信号として受信する。
送信部132は、抵抗12と一対の電線31,32との間に電気的に接続されている。送信部132は、一対の電線31,32から流れ込む電流を変化させることで、伝送信号を第2の子機22に送信する。つまり、送信部132は、印加部11から抵抗12に流れる電流の引き込みにより、一対の電線31,32を流れる電流を変化させることで、伝送信号を第2の子機22に送信する。
このように、通信部13は、受信部131及び送信部132によって、一対の電線31,32を介して第2の子機22と通信する。すなわち本実施形態では、受信部131と送信部132とによって、通信部13の第2通信機能が実現される。
表示部15は、たとえばLED(Light Emitting Diode)、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネセンスディスプレイ等を備えている。表示部15は、例えば、火災の発生や、火災の発生した階(フロア)を表示する。また、表示部15は、火災を検知した第2の子機22からアドレスを取得した場合は、このアドレスに対応付けられた第2の子機22の設置場所を表示することで、発報元の第2の子機22の設置場所を表示することも可能である。
操作部16は、自動火災報知システム100の各種の設定等を行う際の入力操作を受け付ける。操作部16は、ユーザ(操作者)の入力操作を受け付けるディップスイッチ、押し釦スイッチ等を備えている。
制御部17は、識別部130、受信部131及び送信部132を制御して、一対の電線31,32間が短絡しているかを識別部130で判断させたり、送信部132から信号を送信させたり、第2の子機22からの信号を受信部131で受信させたりする。制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有するコンピュータを主構成としており、メモリに格納されているプログラムをCPUで実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよい。
本実施形態の制御部17は、モード切替部171を備えている。モード切替部171は、通信部13の動作モードを切り替える。ここでは、モード切替部171は、受信部131及び送信部132の動作状態(オンオフ)を切り替えることで、通信部13の動作モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える。モード切替部171は、受信部131及び送信部132の動作を停止(オフ)させて第2通信機能を無効とすることで、通信部13の動作モードを第1モードに切り替える。また、モード切替部171は、受信部131及び送信部132を動作(オン)させて第2通信機能を有効とすることで、通信部13の動作モードを第2モードに切り替える。
本実施形態の親機1では、モード切替部171による通信部13の動作モードの切り替えは、ユーザの操作に応じた操作信号に従って行われる。具体的には、モード切替部171は、ユーザの操作部16への操作に応じて、通信部13の動作モードを切り替える。操作部16は、ユーザの操作(入力操作)に応じた操作信号を制御部17(モード切替部171)に送信し、モード切替部171は、操作部16からの操作信号に従って、通信部13の動作モードを切り替える。
操作部16は、例えば、複数(4つ)の通信線L1にそれぞれ対応する複数(4つ)のスイッチを有している。そして、モード切替部171は、各スイッチへのユーザの操作に応じて、操作されたスイッチに対応付けられた通信線L1について、通信部13の動作モードを切り替える。例えば、通信線L11に対応するスイッチが操作されると、モード切替部171は、通信線L11に接続されている受信部131及び送信部132の動作状態(オンオフ)を切り替える。すなわち、モード切替部171は、通信線L1毎に、通信部13の動作モードを切り替えるよう構成されている。
また、親機1は、停電に際しても自動火災報知システム100の動作用の電源を確保できるように、蓄電池を用いた予備電源18をさらに備えている。親機1は、商用電源、自家発電設備等を主電源としている。印加部11は、電力の供給元を、主電源の停電時に主電源から予備電源18に自動的に切り替え、主電源の復旧時には予備電源18から主電源に自動的に切り替える。
(1.4)子機の構成
次に、子機2(第1の子機21および第2の子機22)の構成について、図1を参照して説明する。図1では、一つの通信線L1に接続された感知器からなる第1の子機21および第2の子機22を1台ずつ図示し、その他の子機2については図示を省略している。
図1に示すように、第1の子機21は、(第1の)ダイオードブリッジ211と、(第1の)電源部212と、(第1の)センサ213と、サイリスタ214と、駆動部215と、を備えている。
ダイオードブリッジ211は、入力端に一対の電線31,32が電気的に接続され、出力端に電源部212及びサイリスタ214が電気的に接続されている。電源部212は、一対の電線31,32から電力を供給されることで、第1の子機21の動作用の電力を生成する。センサ213は、例えば煙の濃度の変化、温度の変化、一酸化炭素等のガス濃度の変化を検知することで、火災の発生を検知する。駆動部215は、センサ213の出力に応じてサイリスタ214をオンすることで、非短絡状態から短絡状態への切り替えを行う。
この構成により、第1の子機21は、火災の発生を検知すると、サイリスタ214をオンして一対の電線31,32間を電気的に短絡させた短絡状態とすることにより、親機1に対して火災報を通知する(通知機能)。
図1に示すように、第2の子機22は、(第2の)ダイオードブリッジ221と、(第2の)電源部222と、(第2の)センサ223と、送信部224と、受信部225と、制御部226と、記憶部227と、を備えている。
ダイオードブリッジ221は、入力端に一対の電線31,32が電気的に接続され、出力端に電源部222と、送信部224と、受信部225とが電気的に接続されている。電源部222は、一対の電線31,32から電力を供給されることで、第2の子機22の動作用の電力を生成する。センサ223は、例えば煙の濃度の変化、温度の変化、一酸化炭素等のガス濃度の変化を検知することで、火災の発生を検知する。制御部226は、送信部224および受信部225を制御して、センサ223の出力に応じて、送信部224から親機1に火災報及び伝送信号を送信したり、親機1からの伝送信号を受信部225で受信したりする。
送信部224は、一対の電線31,32に流れる電流を変化させることで、親機1に信号を送信する。つまり、送信部224は、一対の電線31,32から電流を引き込んで変化させることで、電流信号を親機1に送信する。
また、送信部224は、一対の電線31,32間に適宜の大きさのインピーダンス要素を接続し、一対の電線31,32を擬似的に短絡させることで、火災報を送信する(通知機能)。すなわち、送信部224は、非短絡状態から短絡状態に切り替わったと識別部130が判断できる程度の大きさの電流が、一対の電線31,32に流れるように、所定のインピーダンス要素を一対の電線31,32間に接続する。さらに、送信部224は、一対の電線31,32を擬似的に短絡させた状態で、一対の電線31,32から引き込む電流の電流値を増減させることで、電流信号を親機1に送信することが可能である。
すなわち、送信部224は、一対の電線31,32から引き込む電流を第1レベルの電流値から第2レベルの電流値に増加させることで、火災報を送信する。また、送信部224は、一対の電線31,32から引き込む電流を第2レベルの電流値に増加させた状態で、第2レベルの電流値よりも大きい第3レベルの電流値と第2レベルの電流値との間で増減させることにより、電流信号を親機1に送信する。
受信部225は、親機1からの伝送信号を、一対の電線31,32上の電圧信号(電圧変化)として受信する。つまり、親機1が一対の電線31,32から引き込む電流の電流値は、抵抗12での電圧降下の大きさに相当する。したがって、受信部225は、親機1で引き込む電流の電流値で表される信号を、電圧信号として受信する。
このように、第2の子機22は、送信部224及び受信部225によって、一対の電線31,32を介して親機1と通信する。すなわち本実施形態では、送信部224と受信部225とによって、第2の子機22の子機側通信機能が実現される。
記憶部227は、第2の子機22に予め割り当てられているアドレス(識別子)を記憶する。複数台の第2の子機22には、それぞれ固有のアドレスが割り当てられている。各アドレスは、複数台の第2の子機22の各々の設置場所(たとえば部屋番号)と対応付けられて親機1に登録される。
上記の構成により、第2の子機22は、火災の発生を検知すると、まず、送信部224で一対の電線31,32を擬似的に短絡させることで、火災報を送信する。そして、第2の子機22は、火災報の発報元のアドレスを要求するアドレス要求を親機1から受け取ると、一対の電線31,32を擬似的に短絡させたまま、一対の電線31,32から流れ込む電流を変化させることで、親機1にアドレスを送信する。
また、第2の子機22は、非発報時(平常時)、親機1-第2の子機22間で伝送信号を用いて通信を行うことにより、親機1-第2の子機22間の通信状況や第2の子機22の動作などについて自動試験を実施することができる。
(1.5)利点
次に、本実施形態の自動火災報知システム100の親機1の利点について、比較例1,2との比較を交えて説明する。
比較例1の親機201は、主に、通信部が、実施形態で説明した受信部131及び送信部132に相当する構成を備えていない点で、実施形態の親機1と相違する。つまり、比較例1の親機201では、通信部は第1通信機能を有しているが、第2通信機能を有していない。そのため、比較例1の親機201では、通信部は第2モードでは動作できず、常に第1モードで動作する。また、比較例1の親機201では、制御部は、実施形態で説明したモード切替部171に相当する構成を備えていない。
図3に示すように、比較例1の親機201に第1の子機21及び第2の子機22が接続されて、自動火災報知システム200が構築されている場合を想定する。図3の例では、第1の通信線L11には、第2の子機22が4つ接続されている。第2の通信線L12には、第1の子機21が2つと第2の子機22が2つ接続されている。第3の通信線L13には、第1の子機21が3つと第2の子機22が1つ接続されている。第4の通信線L14には、第1の子機21が4つ接続されている。
この例では、親機201は、第1の通信線L11~第4の通信線L14のいずれについても、第1通信機能(火災報受信機能)によって第1の子機21及び第2の子機22から火災報の受信が可能である。一方、親機201が第2通信機能を有していないため、親機201と子機2との間の通信は行われず、親機201は子機2からアドレスを受信することはできない。なお、図3において、通信線L11~L14に隣接して記載している「○」の記号は、親機が子機から火災報の受信を可能であるがアドレスを受信できないことを、示している。
次に、比較例2の親機301は、実施形態1の親機1と基本的に同様の構成を有しているが、制御部が、実施形態で説明したモード切替部171に相当する構成を備えていない点で、実施形態の親機1と相違する。つまり、比較例2の親機301では、通信部は第1通信機能及び第2通信機能の両方を有しており、常に第2モードで動作する。
比較例2の親機301についても、比較例1の場合と同様に、親機301に第1の子機21及び第2の子機22が接続されて、自動火災報知システム300が構築されている場合を想定する。図4に示すように、各通信線L1に接続されている子機2の種類及び数は、比較例1の場合と同様である。
この例では、親機301は、第1の通信線L11については、第1通信機能によって通信線L1に接続されている子機2(第2の子機22)から火災報の受信が可能であり、かつ、第2通信機能によって子機2(第2の子機22)からアドレスの受信が可能である。図4において、通信線L11に隣接して記載している「◎」の記号は、親機が子機から火災報及びアドレスの受信が可能であることを、示している。
一方、第2の通信線L12及び第3の通信線L13では、通信線L1に第1の子機21と第2の子機22とが混在して接続されている。この場合、親機1が第2通信機能によって通信線L1に伝送信号を送出しても、例えば第1の子機21の内部インピーダンスによって伝送信号の波形が鈍る等の原因によって、第2の子機22への伝送信号の伝達が阻害される可能性がある。同様に、第2の子機22から通信線L1に送出される伝送信号の伝達も、第1の子機21によって阻害される可能性がある。このため、第2の通信線L12では、例えば双方向に複数回信号を送受信することによって親機1と第2の子機22とが通信を行う際に、いずれかの信号の伝達が阻害されてしまうと、通信失敗等のトラブルが発生する可能性がある。図4において、通信線L12,L13に隣接して記載している「△」の記号は、親機と子機との間で通信失敗等のトラブルが発生する可能性があることを、示している。
第4の通信線L14では、通信線L1に第1の子機21のみが接続されている。この場合、第1の子機21は子機側通信機能を備えていないため、親機1と子機2との間の通信は行われず、親機201は子機2からアドレスを受信することはできない。一方、親機1は、第1通信機能(火災報受信機能)によって、子機2(第1の子機21)から火災報の受信が可能である。
次に、本実施形態の親機1についても、比較例1、比較例2の場合と同様に、親機1に第1の子機21及び第2の子機22が接続されて、自動火災報知システム100が構築されている場合を想定する。図5に示すように、各通信線L1に接続されている子機2の種類及び数は、比較例1、比較例2の場合と同様である。
上述のように、本実施形態の親機1は、通信部13の動作モードを第1モードと第2モードとで切り替え可能である。
したがって、例えば第1の通信線L11については、通信部13の動作モードを第2モードとすることで、比較例2の親機301における第1の通信線L11の場合と同様に、子機2(第2の子機22)から火災報及びアドレスの受信が可能となる。一方、第2~第4の通信線L12~L14については、通信部13の動作モードを第1モードとすれば、子機2からの火災報の受信を可能としつつ、親機1と子機2との間での通信失敗等のトラブルの発生を抑制することが可能となる。
本実施形態の親機1は、P型の自動火災報知システムが導入されている集合住宅A1において、既存の配線をそのまま使用しつつ、第2通信機能を有する親機1及び第2の子機22を導入する際(リニューアルの際)に、特に有利である。なお、P型の自動火災報知システムとは、上記比較例1の親機201と複数の第1の子機21とから構成される自動火災報知システムに相当する。P型の自動火災報知システムでは、親機201は子機2(第1の子機21)から火災報の受信が可能であるが、アドレスの受信、自動試験等を行うことはできない。
例えば、P型の自動火災報知システムが導入されている集合住宅A1において、親機201を、第2通信機能を有する親機としての親機301に入れ替えたとする。この状態から、第1の子機21を第2の子機22に入れ替える場合、一つの通信線L1に接続されている複数の第1の子機21のうちの一部のみを第2の子機22に入れ替えると、図4の通信線L12、L13と同様の状態となる。そのため、この通信線L1において、通信失敗等のトラブルが発生する可能性がある。したがって、第1の子機21を全て第2の子機22に入れ替えるまでは、親機301と子機2との間の通信(火災報の通知、及び伝送信号の送受信)を全て停止させる必要がある。
これに対し、P型の自動火災報知システムが導入されている集合住宅A1において、親機201を、第2通信機能を有する親機としての親機1に入れ替えた場合、上記のような不都合の発生を抑制することができる。すなわち、第1の子機21を第2の子機22に入れ替える手順において、第1の子機21が一つでも接続されている通信線L1については、通信部13を第1モードで動作させれば、子機2から少なくとも火災報の受信が可能である。そして、子機2を全て第2の子機22に入れ替えた後に、通信部13の動作モードを第2モードに切り替えれば、子機2(第2の子機22)との間の伝送信号を介した通信が可能となる。すなわち、本実施形態の親機1であれば、リニューアルの際に、親機と子機2との間の通信を停止させる必要がなく、P型の自動火災報知システムの親機を入れ替える際に生じる不都合を解消することが可能となる。
もちろん、本実施形態の自動火災報知システム100は、新規に導入される自動火災報知システムとして採用することも可能である。例えば、複数の通信線L1のうち、第1の子機21が一つでも接続されている通信線L1については通信部13を第1モードで動作させ、第2の子機22のみが接続されている通信線L1については通信部13を第2モードで動作させる、といった態様が可能である。
(2)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、親機1の制御部17と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る制御方法は、一対の電線31,32を介して子機2に接続される親機1の制御方法である。親機1は、通信部13を備える。通信部13は、第1通信機能及び第2通信機能を有する。第1通信機能は、一対の電線31,32間の短絡を検知することで、火災の発生を通知する火災報を受信する機能である。第2通信機能は、一対の電線31,32を介して子機2と通信することで、子機2を識別するアドレスを受信する機能である。この制御方法は、通信部13の動作モードを、火災報を子機2から受信する第1モードと、第1通信機能及び第2通信機能が有効な第2モードと、で切り替えることを含む。
また、一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、上記の制御方法を実行させるプログラムである。
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における自動火災報知システム100において、親機1の制御部17等は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における親機1の制御部17としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。更に、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、親機1の制御部17における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは、制御部17に必須の構成ではない。つまり、制御部17の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。更に、制御部17の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
上述の実施形態では、モード切替部171は、ユーザの操作部16への操作に応じて通信部13の動作モードを切り替えているが、これに限られない。例えば、親機1が無線通信部をさらに備えており、モード切替部171は、無線通信部を介して受信した操作信号に応じて、通信部13の動作モードを切り替えてもよい。無線通信部は、例えば、ユーザ(操作者)が所有する携帯端末等から、サーバ等を介して操作信号を受信してもよい。
あるいは、モード切替部171は、操作信号に応じてではなく、ある条件(第1条件)が満たされたときに、自動的に通信部13の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えてもよい。第1条件は、例えば、通信線L1に接続されている子機2の全てが、第2の子機22であると判定されることであってもよい。同様に、モード切替部171は、ある条件(第2条件)が満たされたときに、自動的に通信部13の動作モードを第2モードから第1モードに切り替えてもよい。第2条件は、例えば、通信線L1に接続されている子機2のうちの少なくとも一つが、第1の子機21であると判定されることであってもよい。
要するに、親機1の制御部17は、図6に示すように、一対の電線31,32に接続されている子機2との通信状況を検知する検知部172を、更に備えていてもよい。そして、モード切替部171は、検知部172で検知された子機2との通信状況に応じて、通信部13の動作モードを切り替えてもよい。
例えば、検知部172は、一対の電線31,32を介した子機2(第2の子機22)との通信に応じて(子機2と通信を行なうことによって)、子機2との通信状況を検知してもよい。
一具体例において、操作部16は、各通信線L1に接続される子機2の数に関する操作入力を、ユーザから受け付けるよう構成されている。また、親機1は、台数記憶部を備えている。台数記憶部は、操作部16で受け付けた各通信線L1に対する子機2の接続台数を記憶する。そして、検知部172は、送信部132から、返信を要求する返信要求を含む伝送信号(返信要求信号)を通信線L1に定期的に(例えば、1~2時間ごとに)送信させる。検知部172は、子機2から送信され受信部131で受信した伝送信号(返信要求信号に対する返信)に基づいて、各通信線L1に接続されている第2の子機22の数を検知する。ここで、子機2のうちの第1の子機21は、子機側通信機能を有していないので、返信要求を含む伝送信号を受け取ることができず、親機1に伝送信号を送信することもできない。一方、第2の子機22は、親機1から返信要求を含む伝送信号を受け取ると、子機側通信機能によって、親機1に返信可能である。これにより、検知部172は、各通信線L1に接続されている第2の子機22の数を知ることができる。制御部17は、台数記憶部で記憶されている子機2の接続台数と、検知部172で検知した第2の子機22の数とが一致すれば、通信線L1に接続されている子機2は全て第2の子機22である、と判定する。この判定に応じて、モード切替部171は、通信部13の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えればよい。要するに、通信部13(送信部132)は、一対の電線31,32に返信要求信号を送出し、かつ返信要求信号を受信した子機2(第2子機22)からの返信を受信する。検知部172は、返信要求信号に対する返信があった子機2(第2の子機22)の数(より詳細には、一対の電線31,32に接続されている第2の子機22の数と返信要求信号に対する返信があった第2の子機22の数との比較)に基づき、子機2との通信状況を検知する。モード切替部171は、返信があった子機2(第2の子機22)の数に応じて、通信部13の動作モードを第1モードから第2モードに切り替える。
あるいは、モード切替部171は、通信線L1に第1の子機21が接続されている場合であっても、通信線L1に接続されているすべての第2の子機22と通信可能であると判断できれば、通信部13の動作モードを第2モードに切り替えてもよい。つまり、第1条件は、通信線L1に接続されているすべての第2の子機22と通信可能であると判断することであってもよい。例えば、モード切替部171は、各通信線L1の伝送特性に応じて、通信部13の動作モードを切り替えてもよい。例えば、検知部172は、通信線L1に接続されている第2の子機22のうちで(通信線L1上の距離が)親機1から最も遠い第2の子機22から返信があれば、通信線L1に接続されているすべての第2の子機22との通信が可能と判定してもよい。モード切替部171は、この判定に応じて、通信部13の動作モードを第1モードから第2モードに切り替えればよい。例えば、検知部172は、親機1から最も遠い第2の子機22を(例えばアドレスを用いて)指定して、送信部132から、返信要求を含む伝送信号を通信線L1に送信させる。そして、検知部172は、この第2の子機22から返信があれば、通信線L1に接続されているすべての第2の子機22との通信が可能と判定してもよい。
また、上述の実施形態では、モード切替部171は、通信線L1毎に通信部13の動作モードを切り替えているが、これに限られない。例えば、モード切替部171は、全ての通信線L1について、通信部13の動作モードを一括して切り替えてもよい。或いは、モード切替部171は、複数の通信線L1のうちの少なくとも一つの通信線L1を含む通信線群毎に、通信部13の動作モードを切り替えてもよい。例えば、モード切替部171は、第1通信線L1と第2通信線L2とを含む第1通信線群について、通信部13の動作モードを一括して切り替える構成等であってもよい。
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、第1態様の親機(1)は、一対の電線(31,32)を介して子機(2)に接続される。親機(1)は、通信部(13)と、モード切替部(171)と、を備える。通信部(13)は、第1通信機能、及び第2通信機能を有する。第1通信機能は、一対の電線(31,32)間の短絡を検知することで、火災の発生を通知する火災報を受信する機能である。第2通信機能は、一対の電線(31,32)を介して子機(2)と通信することで、子機(2)を識別するアドレスを受信する機能である。モード切替部(171)は、通信部(13)の動作モードを、第1モードと第2モードとで切り替える。第1モードは、火災報を子機(2)から受信する通信部(13)の動作モードである。第2モードは、第1通信機能及び第2通信機能が有効な通信部(13)の動作モードである。
この態様によれば、親機(1)-子機(2)間での通信失敗等のトラブルの発生を抑制することが可能となり、不具合の発生しにくい自動火災報知システム(100)が構築可能となる。
第2の態様の親機(1)では、第1の態様において、モード切替部(171)は、第1モードでは、第1通信機能を有効、かつ第2通信機能を無効とする。
この態様によれば、第1通信機能の有効と無効とを切り替えることで、親機(1)-子機(2)間での通信失敗等のトラブルの発生を抑制することが可能となる。特に、モード切替部(171)は、第2モードでは、第1通信機能及び第2通信機能の両方を有効としてもよい。
第3の態様の親機(1)では、第1又は第2の態様において、一対の電線(31,32)を含む通信線(L1)が、複数ある。モード切替部(171)は、複数の通信線(L1)のうちの少なくとも一つを含む通信線群毎に、通信部(13)の動作モードを切り替える。
この態様によれば、通信部(13)を第1モードで動作させるか第2モードで動作させるかを、通信線群毎に切り替えることが可能となる。これにより、例えば自動火災報知システム(100)のリニューアルの際に、第1の子機(21)から第2の子機(22)への入れ替えが終了した通信線群から、順に第2モードでの動作を開始させることができる。
第4の態様の親機(1)では、第3の態様において、モード切替部(171)は、通信線(L1)毎に、通信部(13)の動作モードを切り替える。
この態様によれば、通信部(13)を第1モードで動作させるか第2モードで動作させるかを、通信線(L1)毎に切り替えることが可能となる。これにより、例えば自動火災報知システム(100)のリニューアルの際に、第1の子機(21)から第2の子機(22)への入れ替えが終了した通信線(L1)から、順に第2モードでの動作を開始させることができる。
第5の態様の親機(1)では、第1~第4のいずれか一つの態様において、モード切替部(171)は、操作者の操作に応じた操作信号に従って、通信部(13)の動作モードを切り替える。
この態様によれば、操作者(ユーザ)が確認を行いながら、通信部(13)の動作モードを切り替えることが可能となる。
第6の態様の親機(1)は、第1~第5のいずれか一つの態様において、一対の電線(31,32)に接続されている子機(2)との通信状況を検知する検知部(172)を更に備える。モード切替部(171)は、検知部(172)で検知された通信状況に応じて、通信部(13)の動作モードを切り替える。
この態様によれば、操作者(ユーザ)の手間を省くことが可能となる。
第7の態様の親機(1)では、第6の態様において、検知部(172)は、一対の電線(31,32)を介した子機(2)との通信に応じて、通信状況を検知する。
この態様によれば、子機(2)の種類を検知するための別途の要素(無線通信装置等)が不要となり、構成の簡素化を図ることが可能となる。
第8の態様の親機(1)では、第7の態様において、一対の電線(31,32)に、一以上の子機(2)が接続される。通信部(13)は、一対の電線(31,32)に返信要求信号を送出し、かつ一以上の子機(2)のうちで返信要求信号を受信した子機(2)からの返信を受信する。検知部(172)は、返信要求信号に対する返信があった子機(2)の数に基づいて、子機(2)との通信状況を検知する。モード切替部(171)は、返信があった子機(2)の数に応じて、通信部(13)の動作モードを切り替える。
この態様によれば、返信があった子機(2)の数に基づいて、子機(2)との通信状況を把握することが可能となる。
第9の態様の自動火災報知システム(100)は、第1~第8のいずれか一つの態様の親機(1)と、子機(2)と、を備える。
この態様によれば、不具合の発生しにくい自動火災報知システム(100)を提供することが可能となる。
第10の態様の制御方法は、一対の電線(31,32)を介して子機(2)に接続される親機(1)の制御方法である。親機(1)は、第1通信機能及び第2通信機能を有する通信部(13)を備える。第1通信機能は、一対の電線(31,32)間の短絡を検知することで、火災の発生を通知する火災報を受信する機能である。第2通信機能は、一対の電線(31,32)を介して子機(2)と通信することで、子機(2)を識別するアドレスを受信する機能である。この制御方法は、通信部(13)の動作モードを、火災報を子機(2)から受信する第1モードと、第1通信機能及び前記第2通信機能が有効な第2モードと、で切り替えることを含む。
この態様によれば、親機(1)-子機(2)間での通信失敗等のトラブルの発生を抑制することが可能となり、不具合の発生しにくい自動火災報知システム(100)が構築可能となる。
第11の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第10の態様の制御方法を実行させるプログラムである。
この態様によれば、親機(1)-子機(2)間での通信失敗等のトラブルの発生を抑制することが可能となり、不具合の発生しにくい自動火災報知システム(100)が構築可能となる。
第2~第8の態様に係る構成については、親機(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。