以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、工程及び工程の順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されてはいない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
なお、本明細書において、「略」又は「約」には、製造誤差や寸法公差等を含むという意味もある。
(実施の形態1)
図1及び図2を用いて、実施の形態1に係る照明器具1の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る照明器具1の外観図である。図2は、同照明器具1の断面図である。
本実施の形態における照明器具1は、下方(床や地面、壁等)に照明光を照射するダウンライトであり、例えば建物の天井等に設置される。一例として、照明器具1は、天井に設けられた開口部に埋め込み配設される。
図1及び図2に示すように、照明器具1は、光源100と、光学レンズ200とを備える。本実施の形態において、照明器具1は、さらに、器具本体300と、筒状部材400と、枠体500と、取付部材600とを備える。
本実施の形態における照明器具1は、ユニバーサルダウンライトであり、照明光の照射方向を変化させることができる。具体的には、光源100が配置された器具本体300(灯体部)は、天井面に対する姿勢を変更できるように回動可能に枠体500に支持されている。そして、器具本体300の天井面に対する姿勢を変更することで、照明器具1の光の照射方向を変化させることができる。
以下、照明器具1の各構成要素について詳細に説明する。なお、本実施の形態において、光源100の光出射側を前方側としている。
[光源]
図2に示すように、光源100は、器具本体300に配置される。具体的には、器具本体300の固定部310に固定される。例えば、光源100は、固定部310の載置面に載置されて、ホルダ等の取付部材によって固定部310に取り付けられる。
光源100は、LEDを有するLED光源(LEDモジュール)である。光源100は、例えば白色光を放出する白色LED光源である。具体的には、光源100は、基板110と、基板110に設けられた発光部120とを有する。本実施の形態において、光源100は、COB(Chip On Board)構造のLEDモジュールであるので、発光部120は、基板110に実装された1つ以上のLEDと、LEDを封止する封止部材とを有する。本実施の形態において、光源100の光軸Jは、基板110の主面に垂直な方向である。
基板110は、LEDを実装するための実装基板であって、例えば、セラミックス基板、樹脂基板又はメタルベース基板等である。なお、基板には、LEDを発光させるための直流電力を外部から受電するための一対の電極端子と、LEDに直流電力を供給するための金属配線とが設けられている。電極端子は、電線又はホルダを介して電源回路と電気的に接続されている。電源回路は、例えば、器具本体300の外部に配置された電源ボックスに内蔵されている。
発光部120のLEDは、発光素子の一例であり、例えば、単色の可視光を発するベアチップである。具体的には、LEDは、通電されれば青色光を発する青色LEDチップである。本実施の形態において、LEDは、基板110にアレイ状に複数個配置されており、基板に形成された金属配線によって互いに電気的に接続されている。
封止部材は、例えば透光性樹脂である。本実施の形態における封止部材は、LEDからの光を波長変換する波長変換材として蛍光体を含んでいる。封止部材は、例えば、シリコーン樹脂に蛍光体を分散させた蛍光体含有樹脂である。蛍光体粒子としては、LEDが青色LEDチップである場合、白色光を得るために、例えばYAG系の黄色蛍光体を用いることができる。本実施の形態において、封止部材は、全てのLEDを一括封止するように円形状に形成されているが、複数のLEDを列ごとにライン状に封止してもよいし、各LEDを1つずつ個別に封止してもよい。
このように、本実施の形態における光源100は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって構成された白色LED光源である。黄色蛍光体は、青色LEDチップが発した青色光の一部を吸収して励起されて黄色光を放出する。そして、この黄色光と黄色蛍光体に吸収されなかった青色光とが混ざり合って白色光となり、封止部材(発光部)から白色光が出射する。
[レンズ]
図2に示すように、光学レンズ200は、光源100の前方に配置される。具体的には、光学レンズ200は、光源100と所定の間隔をあけて、光源100の光出射側に配置される。また、光学レンズ200は、光学レンズ200の光軸が光源100の光軸Jと略一致するように配置されている。
光学レンズ200は、光源100から出射した光の配光を制御する透光性の光学部材である。詳細は後述するが、光学レンズ200は、光源100との距離を変更することで、光源100から出射した光を広角に配光したり、光源100から出射した光を狭角に配光したり、光源100から出射した光を中角に配光したりする。
ここで、光学レンズ200の具体的な形状について、図3A~図3C及び図4を用いて説明する。図3Aは、実施の形態1に係る照明器具1に用いられる光学レンズ200を光出射側から見たときの斜視図であり、図3Bは、同光学レンズ200を光入射側から見たときの斜視図であり、図3Cは、同光学レンズ200の断面図である。また、図4は、図3Cにおける破線で囲まれる領域IVの拡大断面図である。
図3A~図3Cに示すように、光学レンズ200は、第一レンズ210と、突出部221を含む第二レンズ220と、取付部230とを有する。第一レンズ210は、光源100の光軸Jの方向から見たときに、突出部221の外側に位置している。つまり、突出部221は、第一レンズ210の内側に位置している。
第一レンズ210は、光学レンズ200を光入射側から見たときに、突出部221を囲むように円環状に形成された配光制御部を有する。本実施の形態において、第一レンズ210は、配光制御部として、フレネルレンズを有する。これにより、第一レンズ210を薄型化できる。具体的には、第一レンズ210は、フレネルレンズの輪帯を構成する複数のレンズ部211を有する。
複数のレンズ部211は、光源100側に突出し且つ同心円環状に形成された環状突出部である。複数のレンズ部211は、フレネルレンズにおけるのこぎり状の断面をなす部分である。具体的には、複数のレンズ部211は、断面視で略三角形状であり、光源100に近づくに従って先細になっている。複数のレンズ部211の中心軸(レンズ光軸)は、光源100の光軸J(光源光軸)と略一致しているとよい。
図4に示すように、本実施の形態において、複数のレンズ部211は、径方向の外側に位置するレンズ部211ほど高さが高くなっている。つまり、複数のレンズ部211は、光源100の光軸Jの方向から離れる位置に存在するレンズ部211ほど高さが高くなっている。具体的には、複数のレンズ部211のうち最も内側(突出部221側)に位置するレンズ部211の高さが最も低くなっており、複数のレンズ部211のうち最も外側に位置するレンズ部211の高さが最も高くなっており、最も内側に位置するレンズ部211と最も外側に位置するレンズ部211との間のレンズ部211の高さ(厚さ)は、外側に向かって漸次高くなっている。
各レンズ部211の表面は、各レンズ部211に入射する光を配光制御するための配光制御面である。各レンズ部211の表面は、突出部221側の面である内側の側面と、径方向において内側の側面とは反対側に位置する面である外側の側面とによって構成されている。
各レンズ部211における内側の側面は、光源100から出射した光が入射する光入射面である。つまり、光源100から出射した光は、各レンズ部211の内側の側面から各レンズ部211に入光する。このとき、光源100から出射した光は、各レンズ部211の内側の側面で屈折する。
また、各レンズ部211の外側の側面は、各レンズ部211の内側の側面(光入射面)から入光した光を全反射することができる光反射面(全反射面)である。各レンズ部211に入射した光は、各レンズ部211の外側の側面で全反射して光学レンズ200の外部に出射する。なお、各レンズ部211に入射した光は、各レンズ部211の外側の側面で全て全反射することが望ましいが、各レンズ部211の外側の側面に入射する光の中には、各レンズ部211の外側の側面に入射する光の入射角によっては、各レンズ部211の外側の側面で全反射せずに透過するものが含まれることがある。
第二レンズ220の突出部221は、第一レンズ210から光源100に向かって突出している。具体的には、突出部221は、第一レンズ210の複数のレンズ部211の先端よりも光源100側に突出している。突出部221の外形は、略円錐台の外形をなすように構成されている。つまり、突出部221は、光源100側に向かって外径が漸次小さくなるように構成されている。
突出部221の光源100側には、光源100から出射した光が入射する凹部222が設けられている。突出部221に凹部222が形成されることで、突出部221には、円環状の壁部223が形成される。壁部223は、光源100を囲むように光源100側に向かって突出している。本実施の形態において、壁部223は、図3Cに示すように、断面視で略三角形状であり、光源100側に向かうに従って先細になっている。
凹部222は、光源100に対向する位置に形成される。具体的に、凹部222は、光源100の発光部120を覆うように設けられている。したがって、光源100から出射した光は、凹部222に入射する。具体的には、光源100から出射した光は、凹部222の内面に入射する。つまり、突出部221の内面(つまり壁部223の内面)は、光源100から出射した光が入射する光入射面である。
具体的には、凹部222は、光源100から出射した光が入射する光入射面として、当該凹部222の底面であって光源100に対向する面である凹部底面222aと、当該凹部222の内壁面である凹部壁面222bとを有する。
本実施の形態において、凹部底面222aは、湾曲面であり、光源100に向かって突出するように形成されている。この構成により、凹部222の凹部底面222aから突出部221に入射した光源100の光を凹部底面222aによって集光するように屈折させることができる。
また、凹部壁面222bは、光源100の光軸Jと略平行である。つまり、凹部壁面222bのテーパ角は、約0°である。具体的には、凹部壁面222bは、光源100の基板110の主面に略垂直になっている。この構成により、光学レンズ200から出射する光にグレアが生じたり、光源100の光が光学レンズ200によって所望に制御されない光(迷光)が生じたりすることを抑制できる。
また、突出部221の外面(つまり壁部223の外面)は、凹部222の凹部壁面222bから突出部221に入射した光を全反射することができる光反射面(全反射面)である。この構成により、凹部222の凹部壁面222bから突出部221に入射した光源100の光を突出部221の外面によって全反射させることができる。
なお、光学レンズ200の光出射面には、複数のディンプル240が設けられている。240本実施の形態において、ディンプル240は、光学レンズ200の光出射面の全面に敷き詰めるように形成されている。複数のディンプル240は、光学レンズ200の光出射面に形成された凹凸構造であり、各ディンプル240は、球面状の小さな窪みである。このように、光学レンズ200の光出射面に複数のディンプル240を設けることで当該光出射面を透過する光を拡散させることができる。したがって、光学レンズ200から出射する光の照度むら及び色むらを抑制することができる。
光学レンズ200の光出射面には取付部230が設けられている。具体的には、取付部230は、光学レンズ200の光出射面の周縁に設けられている。取付部230は、光学レンズ200を器具本体300に固体するための構造体である。具体的には、取付部230は、円筒状の枠体である。
このような形状の光学レンズ200は、透光性材料を用いて形成されている。具体的には、光学レンズ200は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂又はシリコーン樹脂等の透明樹脂材料又はガラス材料等の透明材料を用いて形成されている。
光学レンズ200において、少なくとも第二レンズ220の突出部221は、ショアA硬度が50以上90以下の弾性体によって構成されているとよい。この場合、突出部221を構成する弾性体は、シリコーン樹脂によって構成することができる。この構成により、突出部221の凹部壁面222bを光源100の光軸Jと略平行にすることができる。つまり、凹部壁面222bを光源100の光軸Jと略平行にしたとしても、凹部壁面222bに金型を抜くための抜き勾配を設けることなく突出部221を金型から抜くことができる。
本実施の形態において、第一レンズ210と第二レンズ220とは、一体に構成されている。具体的には、第一レンズ210と第二レンズ220とは、同一の材料を用いて一体成型によって形成されている。例えば、第一レンズ210及び第二レンズ220は、いずれもショアA硬度が50以上90以下のシリコーン樹脂からなる弾性体によって構成されているとよい。この場合、第一レンズ210と第二レンズ220とが一体となって光学レンズ200全体がシリコーン樹脂によって構成されている。
このように、第一レンズ210と第二レンズ220とを一体に構成することによって、上記特許文献1におけるインナーレンズ及びアウターレンズのように分離可能な2つのレンズを組み合わせる場合と比べて、光学ロスを抑制することができる。つまり、光学レンズを2つのレンズが組み合わされた構成にすると、光学レンズ全体の界面が増えてしまい、界面での光学ロスが増加する。一方、第一レンズ210と第二レンズ220とを一体に構成することで、第一レンズ210と第二レンズ220とを分離する場合と比べて、光学レンズ200の界面を少なくできるので、光学ロスを抑制することができる。
また、第一レンズ210と第二レンズ220とを一体に構成することによって、第一レンズ210と第二レンズ220とを分離する場合と比べて、光学レンズ200のコストを抑制することができる。特に、第一レンズ210と第二レンズ220とを同じ材料で一体に構成することで、第一レンズ210と第二レンズ220とを異なる材料にして分離可能に構成する場合と比べて、光学レンズ200のコストを大幅に抑制することができる。
このように構成される光学レンズ200は、図2に示すように、器具本体300に固定される。本実施の形態において、光学レンズ200は、器具本体300に固定された枠状の取付部材600を介して器具本体300に固定されている。具体的には、取付部材600は、器具本体300のセード部320の内面に嵌め込まれるように固定されており、光学レンズ200は、その取付部材600の前方側の開口端部に設けられた爪部に係止されている。図3A~図3Cに示すように、光学レンズ200の取付部230の開口部の周縁部には、取付部材600の爪部が係止する段差状の窪み部が形成されている。取付部材600は、例えば樹脂製であるが、金属製であってもよい。
詳細は後述するが、光学レンズ200は、光学レンズ200と光源100との距離が変化したときに、第一レンズ210及び第二レンズ220の互いの相対的な位置が変化することなく、光学レンズ200における光源100との距離に応じて配光を制御するエリアが変化するように構成されている。つまり、第一レンズ210と第二レンズ220とは互いの相対的な位置が変化できないように構成されており、光学レンズ200を光源100の光軸方向に沿って移動させて光学レンズ200と光源100との距離を変化させたときに、第一レンズ210と第二レンズ220とは一体となって移動し、光学レンズ200では、移動した位置に応じて配光を制御するエリアが異なっている。
これにより、光学レンズ200を透過する光の配光角を調整することができる。つまり、光学レンズ200と光源100との距離を変えることで、光学レンズ200を透過する光の配光角を調整することができる。本実施の形態では、光学レンズ200から出射する光が照明器具1の照明光となるので、光学レンズ200の位置に応じて照明器具1の照明光の配光角が変わることになる。
光学レンズ200と光源100との距離は、光学レンズ200を光源100の光軸方向に沿って光源100に近づけたり遠ざけたりすることで調整することができる。この場合、照明器具1は、光学レンズ200と光源100との距離を変えることができる機構を有していればよい。例えば、光学レンズ200と光源100との距離を変えることができる機構として、光学レンズ200を光源100の光軸方向に移動させることができる光学レンズ移動手段を照明器具1内に設けておけばよい。光学レンズ移動手段としては、例えば、光学レンズ200を回転させたり、光学レンズ200を光源100の光軸方向にスライドさせたりすることで、光学レンズ200を光源100の光軸方向に移動させることができる構造が考えられる。このとき、光学レンズ移動手段としては、取付部材600を移動させることなく取付部材600と光学レンズ200との固定状態を維持したまま取付部材600に対する光学レンズ200の位置を変えることで光学レンズ200と光源100との距離を変えることができる構造であってもよいし、光学レンズ200と取付部材600とを一体に移動させることで光学レンズ200と光源100との距離を変えることができる構造であってもよい。
[器具本体]
図2に示すように、器具本体300は、光源100が取り付けられる基台である。また、器具本体300は、光源100で発生する熱を放熱するヒートシンクとしても機能する。したがって、器具本体300は、アルミニウム等の金属材料又は高熱伝導樹脂等の熱伝導率の高い材料によって構成されているとよい。一例として、器具本体300は、全体が一体物であり、例えばアルミニウムからなるアルミダイカスト製である。
本実施の形態において、器具本体300は、固定部310と、セード部320と、放熱部330とを備える。
固定部310は、光源100が固定される台状の部分である。固定部310は、光源100が載置される載置面を有する。この載置面は、固定部310の前方側の面である。また、固定部310には、光源100を囲むように形成された反射体が取り付けられていてもよい。これにより、光源100から側方に出射する光を反射体で反射させて光学レンズ200に入射させることができる。
セード部320は、固定部310の前方側に設けられた筒状の部分である。セード部320は、固定部310の周縁に設けられている。セード部320の前方側の開口端部から照明器具1の出射光が出射される。
放熱部330は、光源100で発生する熱を放熱する部分である。具体的には、放熱部330は、放熱フィンであり、固定部310の後方側に設けられた複数の板状体である。複数の放熱フィンは、互いに平行となるように固定部310の裏面に立設されている。このように、放熱部330を固定部310に設けることで、光源100で発生する熱を効率よく放熱することができる。
このように構成される器具本体300は、照明器具1の光の照射方向を変更するために回動(首振り)可能に枠体500に支持されている。具体的には、器具本体300は、天井の開口部に固定された枠体500に対する相対角度が変化するように構成されている。本実施の形態において、器具本体300は、枠体500の枠部510の開口面に平行な方向(本実施の形態では、水平方向)を回動軸として回動可能となっている。
具体的には、器具本体300の側面に設けられた突起部340にねじ込まれたねじ700が、枠体500の支持部520のスリットに沿って移動することで、器具本体300が回動する。
[筒状部材]
図1及び図2に示すように、筒状部材400は、器具本体300のセード部320の前方側の内面に配置される筒状部材である。筒状部材400は、光学レンズ200よりも前方側に配置される。筒状部材400は、例えば、ポリカーボネート又はPBT等の樹脂材料を用いて形成することができる。
筒状部材400は、グレアを抑制するバッフルとして機能する。筒状部材400の内面は、例えば、グレア抑制面となる黒色面である。黒色のグレア抑制面は、例えば、黒色に塗装した面に艶消し処理を施すことにより実現できる。また、黒色のグレア抑制面は、黒色に塗装した面、又は、黒色の部材からなる面に、シボ加工を施すことによっても実現できる。
さらに、本実施の形態では、筒状部材400の内面によるグレアをさらに抑制するために、筒状部材400の内面に段差部が設けられている。
[枠体]
図1及び図2に示すように、枠体500は、器具本体300が回動できるように器具本体300を支持している。
本実施の形態において、枠体500は、器具本体300のセード部320を囲む板状の枠部510と、回動可能に器具本体300を支持する支持部520とを有する。支持部520は、枠部510の一部から立設するように形成された支持アームである。支持部520には、器具本体300の回動方向に沿って形成されたスリットが形成されている。ねじ700を支持部520のスリットを介して器具本体300の突起部340にねじ込むことで、器具本体300が支持部520に対して回動可能な状態で器具本体300を支持部520に固定することができる。枠体500は、例えば金属板によって構成されている。
照明器具1を天井の開口部に設置する際、円筒状の金属製の固定部材(不図示)に枠体500を取り付けて、枠体500が取り付けられた固定部材を天井の開口部に固定することで、照明器具1を天井の開口部に固定することができる。この場合、固定部材の外周面に設けられた複数の取付ばねによって、固定部材を天井の開口部に固定することができる。
なお、この固定部材も照明器具1の一部であってもよい。また、固定部材を用いることなく、枠体500を天井の開口部に直接固定することで、照明器具1を天井の開口部に固定してもよい。
[光学レンズの光学作用]
次に、本実施の形態に係る照明器具1に用いられる光学レンズ200の光学作用について、図5A~図5Cを用いて説明する。図5Aは、実施の形態1に係る照明器具1に用いられる光学レンズ200の第一の配光状態(狭角配光状態)を示す図であり、図5Bは、同光学レンズ200の第二の配光状態(中角配光状態)を示す図であり、図5Cは、同光学レンズ200の第三の配光状態(広角配光状態)を示す図である。なお、図5Aに示される光学レンズ200の位置は、図2に示される光学レンズ200の位置と同じである。
図5A~図5Cに示すように、光学レンズ200は、光学レンズ200と光源100との距離が変化することで、光学レンズ200における光源100との距離に応じて配光を制御するエリアが変化している。
本実施の形態において、光学レンズ200は、光学レンズ200と光源100との距離に応じて、光学レンズ200と光源100との距離を、図5Aに示す配光状態と、図5Bに示す配光状態と、図5Cに示す配光状態との3段階に調整できるように構成されている。この場合、光源100を動かすことなく光学レンズ200のみを移動させることで光学レンズ200と光源100との距離を変えている。このとき、光学レンズ200における第一レンズ210と第二レンズ220とは一体となって移動し、第一レンズ210と第二レンズ220との互いの相対的な位置は変化しない。
以下、図5A、図5B及び図5Cの3つの状態における光学レンズ200の光学作用について説明する。
図5Aは、光学レンズ200と光源100との距離が最も大きくなっている状態である。つまり、図5Aでは、光学レンズ200が光源100から最も離れた位置で存在している。この場合、光学レンズ200は、光学レンズ200と光源100との距離が最も大きくなる位置で器具本体300内に保持されている。
図5Aに示される位置に光学レンズ200が存在する場合、光学レンズ200は、光源100(発光部120)から出射した光の配光を狭角に制御する狭角配光状態である。つまり、照明器具1の照明光は、狭角の配光角となるように配光制御されている。
この場合、光学レンズ200は、第一レンズ210に対応する第一エリアA1と第二レンズ220に対応する第二エリアA2との両方のエリアで、光源100から出射した光の配光を制御する。つまり、図5Aに示される位置に光学レンズ200が存在する場合、光学レンズ200は、光源100から出射した光が第一レンズ210及び第二レンズ220の両方に入射する配光状態になっており、光源100から出射した光は、第一レンズ210及び第二レンズ220の両方によって配光制御される。
このとき、光源100から出射した光のうち第一レンズ210に入射する光は、第一レンズ210によって配光制御される。本実施の形態では、光源100から出射して第一レンズ210に入射する光は、複数のレンズ部211に入射して、各レンズ部211によって配光制御される。
この場合、光源100から出射した光は、複数のレンズ部211の各々において、各レンズ部211の内側の側面(光入射面)に入射する。レンズ部211に入射した光は、各レンズ部211内を導光して各レンズ部211の外側の側面で全反射する。これにより、複数のレンズ部211に入射した光を集光することができるので、複数のレンズ部211に入射する光の配光角を狭めることができる。
本実施の形態において、第一レンズ210の複数のレンズ部211は、フレネルレンズの輪帯を構成しており、光源100から出射した光の配光が狭角に制御される場合(図5Aの場合)に、複数のレンズ部211に入射した光を光源100の光軸Jと略平行にするように構成されている。具体的には、光学レンズ200と光源100との距離が最も大きくなる場合に、複数のレンズ部211の各々の外側の側面(全反射面)は、各レンズ部211に入射した光を光源100の光軸Jと略平行にする形状を含むようにレンズ設計されている。
これにより、図5Aに示すように、光源100から放射状に出射した光のうち第一レンズ210に入射した光は、複数のレンズ部211によって光源100の光軸Jと略平行となるように配光制御されて第一レンズ210から出射する。
このとき、光学レンズ200が図5Aの位置に存在する場合には、光源100から放射状に出射した光のうち第一レンズ210に入射する光は、複数のレンズ部211の全てに入射する。したがって、図5Aの状態(狭角配光の場合)においては、光源100から出射した光が第一レンズ210によって配光制御される第一エリアA1は、第一レンズ210全体の領域となる。
なお、本実施の形態において、複数のレンズ部211は、外側ほど高さが高くなっている。この構成により、複数のレンズ部211が同じ高さに揃っている場合と比べて、光源100から放射状に出射する光が複数のレンズ部211に入光する割合を大きくすることができる。これにより、光学レンズ200の光取り出し効率を向上させることができる。
一方、光源100から出射した光のうち第二レンズ220に入射する光は、第二レンズ220によって配光制御される。本実施の形態では、光源100から出射して第二レンズ220に入射する光は、突出部221に入射して、突出部221によって配光制御される。
この場合、光源100から出射した光は、突出部221に設けられた凹部222の内面に入射する。このとき、突出部221の内面のうち凹部底面222aから突出部221に入射した光は、凹部底面222aによって集光するように屈折する。これにより、光源100から放射状に出射して凹部底面222aに入射する光の配光角を狭めることができる。また、突出部221の内面のうち凹部壁面222bから突出部221に入射した光は、突出部221の外面によって全反射する。これにより、光源100から放射状に出射して凹部壁面222bに入射する光の配光角を狭めることができる。
本実施の形態において、第二レンズ220の突出部221は、出射光がクロスしないワイドタイプの集光レンズ(ワイドタイプレンズ)として機能するので、突出部221に入射した光をクロスさせることなくワイドに出射させるように構成されている。具体的には、突出部221の内面及び突出部221の外面は、突出部221に入射した光をクロスさせることなく集光する形状を含むようにレンズ設計されている。
これにより、図5Aに示すように、光源100から放射状に出射した光のうち第二レンズ220に入射した光は、突出部221によって集光するように配光制御されて第二レンズ220から出射する。
なお、突出部221の外面(全反射面)は、突出部221に入射した光を光源100の光軸Jと略平行にする形状を含むようにレンズ設計されていてもよい。
次に、図5Bに示すように、光学レンズ200を光源100の光軸Jに沿って移動させた場合について説明する。図5Bは、光学レンズ200を、一点鎖線の直線で示される図5Aの位置から光源100に近づけた状態を示している。この場合、光学レンズ200は、図5Bに示される位置で器具本体300内に保持されている。
図5Bに示される位置に光学レンズ200が存在する場合、光学レンズ200は、光源100(発光部120)から出射した光の配光を中角に制御する中角配光状態である。つまり、照明器具1の照明光は、中角の配光角となるように配光制御されている。なお、中角の配光角は、上記の狭角の配光角と後述する広角の配光角との間の角度である。
この場合、光学レンズ200は、図5Aの場合と同様に、第一レンズ210に対応する第一エリアA1と第二レンズ220に対応する第二エリアA2との両方のエリアで、光源100から出射した光の配光を制御する。つまり、図5Bに示される位置に光学レンズ200が存在する場合、光学レンズ200は、図5Aの場合と同様に、光源100から出射した光が第一レンズ210及び第二レンズ220の両方に入射する配光状態になっており、光源100から出射した光は、第一レンズ210及び第二レンズ220の両方に入射して配光制御される。
ただし、図5Bの場合は、図5Aの場合よりも、第一レンズ210に入射する光の割合が減少する。具体的には、第二レンズ220の突出部221が第一レンズ210から突出しているので、光学レンズ200が光源100に近づくことで、光源100から出射した光の一部が突出部221に遮られることとなり、第一レンズ210の複数のレンズ部211のうち内側(突出部221に近い側)寄りの1つ又は複数のレンズ部211には光源100から出射した光が入光しなくなり、光源100から出射した光は、外側寄りの1つ又は複数のレンズ部211のみに入光することになる。この結果、図5Bに示すように、光源100から出射した光が第一レンズ210によって配光制御される第一エリアA1は、図5Aの場合と比べて狭くなる。
このとき、第一レンズ210の複数のレンズ部211の光学作用は、基本的には図5Aの場合と同様であるが、光学レンズ200が光源100に近づくことで、第一レンズ210(複数のレンズ部211)が光源100に近づくことになる。この結果、図5Aの場合と比べて、各レンズ部211の集光作用が弱くなるので、各レンズ部211に入射した光は、図5Aの場合とよりも広い配光角で光学レンズ200から出射することになる。
同様に、第二レンズ220の突出部221の光学作用は、基本的には図5Aの場合と同様であるが、光学レンズ200が光源100に近づくことで、第二レンズ220(突出部221)が光源100に近づくことになる。この結果、図5Aの場合と比べて、突出部221の集光作用が弱くなるので、突出部221に入射した光は、図5Aの場合よりも広い配光角で光学レンズ200から出射することになる。
このとき、図5Aの配光状態のときに複数のレンズ部211のうち内側寄りのレンズ部211に入射していた光は突出部221に入射することになるので、突出部221によって配光制御される光源100の光の光量は、図5Aの場合よりも大きくなる。
このように、図5Bの状態では、図5Aの場合と同様に、光源100から放射状に出射した光は、第一レンズ210及び第二レンズ220によって集光するように配光制御されて光学レンズ200から出射するが、図5Aよりも広い配光角の中角に配光制御されて光学レンズ200から出射することになる。
次に、図5Cに示すように、光学レンズ200を光源100の光軸Jに沿ってさらに移動させた場合について説明する。図5Cは、光学レンズ200を、一点鎖線で示される図5Aの位置から図5Bの位置よりもさらに光源100に近づけた状態を示している。この場合、光学レンズ200は、図5Cに示される位置で器具本体300内に保持されている。なお、本実施の形態において、図5Cは、光学レンズ200と光源100との距離が最も小さくなっている状態である。つまり、図5Cでは、光学レンズ200が光源100に最も近づいた位置で存在している。
図5Cに示される位置に光学レンズ200が存在する場合、光学レンズ200は、光源100(発光部120)から出射した光の配光を広角に制御する広角配光状態である。つまり、照明器具1の照明光は、広角の配光角となるように配光制御されている。なお、広角の配光角は、上記の狭角及び中角のいずれの配光角よりも大きい角度である。
この場合、光学レンズ200は、図5A及び図5Bの場合とは異なり、概ね第二レンズ220に対応する第二エリアA2のみで、光源100から出射した光の配光を制御する。つまり、図5Cに示される位置に光学レンズ200が存在する場合、光学レンズ200は、光源100から出射した光が第一レンズ210及び第二レンズ220のうち第二レンズ220のみに入射する配光状態になっており、光源100から出射した光は、第二レンズ220のみによって配光制御される。このため、光学レンズ200は、第一レンズ210に対応する第一エリアA1では、光源100から出射した光の配光を制御していない。したがって、図5Cの配光状態では、光源100から出射した光は、第一レンズ210にはほぼ入射せず、基本的には第二レンズ220のみに入射して配光制御される。
このとき、第二レンズ220の突出部221の光学作用は、基本的には図5A及び図5Bの場合と同様であるが、光学レンズ200が図5Bの状態よりもさらに光源100に近づいているので、第二レンズ220(突出部221)は、図5Bの状態よりもさらに光源100に近づくことになる。この結果、図5Bの場合と比べて、突出部221の集光作用が弱くなるので、突出部221に入射した光は、図5Bの場合よりも広い配光角で光学レンズ200から出射することになる。
また、図5Bの配光状態のときに第一レンズ210のレンズ部211に入射していた光は全て突出部221に入射することになるので、突出部221によって配光制御される光源100の光の光量は、図5Bの場合よりも大きくなる。具体的には、光源100から出射した光は、全て第二レンズ220の突出部221に入射する。
このように、図5Cの状態では、光源100から放射状に出射した光は、第一レンズ210及び第二レンズ220のうち第二レンズ220のみによって集光するように配光制御されて光学レンズ200から出射する。これにより、図5Bよりも広い配光角の広角に配光制御されて光学レンズ200から出射することになる。
なお、図5Cの状態では、光学レンズ200の突出部221が光源100に近接することになる。この場合、突出部221がアクリル樹脂で構成されていると、光源100で発生する熱によって突出部221が変形してしまい、所望の光学特性が得られなくなるおそれがある。一方、本実施の形態における光学レンズ200では、突出部221がシリコーン樹脂によって構成されているので、突出部221の耐熱性を向上させることができる。これにより、突出部221を光源100に近接させたとしても、突出部221が光源100の熱で変形することを抑制することができる。
[まとめ]
以上、本実施の形態に係る照明器具1によれば、光学レンズ200と光源100との距離が変化したときに、光学レンズ200は、第一レンズ210及び第二レンズ220の互いの相対的な位置が変化することなく、光学レンズ200における光源との距離に応じて配光を制御するエリアが変化するように構成されている。
この構成により、光学レンズ200と光源100との距離を変化させて照明器具1の配光角を変更する際に、第一レンズ210と第二レンズ220とが一体になっている。これにより、第一レンズ210と第二レンズ220とを含めた光学レンズ200のレンズ設計が容易となる。したがって、光学レンズ200のレンズ設計を複雑化させることなく照明光の配光角を変えることができる照明器具1を実現することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る照明器具2について、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態2に係る照明器具2に用いられる光学レンズ200X及び光源100の構成を示す図である。
本実施の形態における照明器具2は、上記実施の形態1における照明器具1に対して、光学レンズ200Xの構成が異なり、光学レンズ200X以外の構成は、上記実施の形態1と同様である。
具体的には、上記実施の形態1における光学レンズ200では、第一レンズ210と第二レンズ220とが一体に構成されていたが、図6に示すように、本実施の形態における光学レンズ200Xでは、第一レンズ210と第二レンズ220とは、別体に構成されている。具体的には、光学レンズ200Xは、別体に構成された第一レンズ210と第二レンズ220との2つに分割されている。本実施の形態において、第一レンズ210と第二レンズ220との分割面は、第一レンズ210と第二レンズ220との接続面(接触面)であって、光源100の光軸Jに直交する方向に沿って形成されている。つまり、光学レンズ200Xは、光源100の発光部120の発光面と平行に分割(横分割)されている。
また、第一レンズ210と第二レンズ220とは、異なる材料によって構成されている。一例として、第一レンズ210を構成する材料の屈折率をN1とし、第二レンズ220を構成する材料の屈折率をN2とすると、N1>N2の関係を満たしているとよい。本実施の形態において、第一レンズ210は、屈折率N1が1.49であるアクリル樹脂によって構成されており、第二レンズ220は、屈折率N2が1.42のシリコーン樹脂によって構成されている。この場合、第二レンズ220は、上記実施の形態1と同様の理由により、ショアA硬度が50以上90以下のシリコーン樹脂からなる弾性体によって構成されているとよい。
なお、光学レンズ200Xの形状は、上記実施の形態1における光学レンズ200と同様である。したがって、光学レンズ200Xの光学作用は、上記実施の形態1における光学レンズ200の光学作用と同様である。
以上、本実施の形態に係る照明器具2では、上記実施の形態1に係る照明器具1と同様に、光学レンズ200Xと光源100との距離が変化したときに、光学レンズ200Xは、第一レンズ210及び第二レンズ220の互いの相対的な位置が変化することなく、光学レンズ200Xにおける光源との距離に応じて配光を制御するエリアが変化するように構成されている。
したがって、光学レンズ200Xのレンズ設計を複雑化させることなく照明光の配光角を変えることができる照明器具2を実現することができる。
また、本実施の形態における照明器具2では、第一レンズ210と第二レンズ220とが別体となっており、光学レンズ200Xは、互いに材料が異なる第一レンズ210と第二レンズ220との2つに横分割されている。
この構成により、例えば、図6に示すように、光学レンズ200Xの突出部221が出射光をクロスさせないワイドタイプの集光レンズ(ワイドタイプレンズ)である場合に、第一レンズ210の材料を従来と同様にアクリル樹脂(屈折率1.49)のままとし、第二レンズ220の材料をアクリル樹脂(屈折率1.49)からシリコーン樹脂(屈折率1.42)に変更することで、第二レンズ220(突出部221)が低屈折率化する。これにより、光学レンズ200Xから出射する光の配光角を大きくすることができる。
また、図7に示すように、光学レンズ200Yが出射光をクロスさせるクロスタイプの集光レンズ(クロスタイプレンズ)である場合に、上記同様に、第一レンズ210の材料をアクリル樹脂(屈折率1.49)のままとし、第二レンズ220の材料をアクリル樹脂(屈折率1.49)からシリコーン樹脂(屈折率1.42)に変更して、第二レンズ220(突出部221)を低屈折率化させると、光学レンズ200Yから出射する光の配光角は小さくなる。
このように、光学レンズ200X及び200Yを横方向に2つに分割するとともに材料を異ならせることで、光学レンズ200X及び200Yの配光角を変化させることができる。つまり、光学レンズ200X及び200Yの配光制御範囲を広げることができる。
また、図6及び図7において、第一レンズ210と第二レンズ220との分割面(横分割面)の位置を調整することで、配光角の変化量を調整することができる。例えば、第一レンズ210と第二レンズ220との分割面を光源100に近づければ近づけるほど(つまり、分割面を低くすればするほど)、配光角の変化量が大きくなる。具体的には、図6に示される光学レンズ200Xの突出部221がワイドタイプレンズである場合は、分割面が光源100に近づけば近づくほど広角化し、図7に示される光学レンズ200Yの突出部221がクロスタイプレンズである場合は、分割面が光源100に近づけば近づくほど狭角化する。
なお、図6及び図7では、第一レンズ210と第二レンズ220との分割面は、光源100の光軸Jに直交する方向に沿って形成されていたが、これに限らない。例えば、図8に示される光学レンズ200Aのように、第一レンズ210と第二レンズ220との分割面は、光源100の光軸Jに平行な方向に沿って形成されていてもよい。つまり、光学レンズ200Aは、光源100の発光部120の発光面と垂直な方向に分割(縦分割)されていてもよい。
この構成により、例えば、図8に示すように、第一レンズ210の材料を従来と同様にアクリル樹脂(屈折率1.49)のままとし、第二レンズ220の材料をアクリル樹脂(屈折率1.49)からシリコーン樹脂(屈折率1.42)に変更することで、第二レンズ220(突出部221)が低屈折率化する。これにより、光学レンズ200Aから外部に出射しようとする光が光出射面で全反射することを抑制できるので、光取り出し効率(光学効率)を向上させることができる。この場合、分割面を光源100の光軸Jから遠ざけるほど(第二レンズ220の径を大きくするほど)、第二レンズ220に対応する光学レンズ200の光出射面の面積を大きくすることができるので、光学レンズ200Aの光取り出し効率を向上させることができる。
ここで、本実施の形態における光学レンズの配光角と光取り出し効率とに関する実験を行ったので、その実験結果について、図9A及び図9Bを用いて説明する。図9Aは、ワイドタイプレンズである光学レンズを、分割しない場合(分割なし)、横方向に分割した場合(横分割)、及び、縦方向に分割した場合(縦分割)のそれぞれについての配光角及び光取り出し効率を示す図である。図9Bは、クロスタイプレンズである光学レンズを、分割しない場合(分割なし)、横方向に分割した場合(横分割)、及び、縦方向に分割した場合(縦分割)のそれぞれについての配光角及び光取り出し効率(光学効率)を示す図である。なお、配光角は、1/2ビーム角で表している。
図9Aに示すように、光学レンズとしてワイドタイプレンズを用いた場合は、横方向に分割することで配光角が大きくなり、縦方向に分割することで光取り出し効率が向上することが分かる。
一方、図9Bに示すように、光学レンズとしてクロスタイプレンズを用いた場合は、横方向に分割することで配光角が小さくなり、縦方向に分割することで光取り出し効率が向上することが分かる。
なお、光学レンズを光源100の発光部120の発光面と垂直な方向に分割(縦分割)する場合、図10に示される光学レンズ200Bのように、第二レンズ220Bを第一レンズ210Bにねじ込むことで第一レンズ210Bと第二レンズ220Bとを固定してもよい。この場合、第一レンズ210Bは、ねじ溝を有する貫通孔210bを有し、第二レンズ220Bは、第一レンズ210のねじ溝に嵌合するねじ山を有するねじ軸220bを有し、第一レンズ210Bと第二レンズ220Bとの分割面は、第一レンズ210Bのねじ溝と第二レンズ220Bのねじ山との合わせ部分によって構成されている。
この構成により、第一レンズ210Bと第二レンズ220Bとが別体で構成されていても、第一レンズ210Bと第二レンズ220Bとを簡単に固定することができる。
また、光学レンズを光源100の発光部120の発光面と垂直な方向に分割(縦分割)する場合、図11に示される光学レンズ200Cのように、第二レンズ220Cを第一レンズ210Cに嵌め込むことで第一レンズ210Cと第二レンズ220Cとを固定してもよい。この場合、第一レンズ210Cは、内面に第一凹凸構造が形成された貫通孔210cを有し、第二レンズ220Cは、第二凹凸構造が形成された側面220cを有する。そして、第一レンズ210Cと第二レンズ220Cとの分割面は、第一レンズ210Cの第一凹凸構造と第二レンズ220Cの第二凹凸構造とが嵌合することで構成されている。
この構成により、第一レンズ210Cと第二レンズ220Cとが別体で構成されていても、第一レンズ210Cと第二レンズ220Cとを簡単に固定することができる。さらに、第二レンズ220Cを第一レンズ210Cの貫通孔210cに押し込みやすくするために、第一レンズ210C及び第二レンズ220Cの少なくとも一方は、シリコーン樹脂等の弾性体によって構成されているとよい。この場合、シリコーン樹脂は比較的に耐熱性が高く、また、第二レンズ220Cは第一レンズ210Cよりも光源100に近接して配置されるので、少なくとも第二レンズ220Cの方をシリコーン樹脂によって構成するとよい。
なお、図11では、第一レンズ210Cの第一凹凸構造を凸部とし、第二レンズ220Cの第二凹凸構造を凹部としているが、第一レンズ210Cの第一凹凸構造を凹部とし、第二レンズ220Cの第二凹凸構造を凸部としてもよい。
また、図11に示される光学レンズ200Cでは第一レンズ210Cに貫通孔を設けたが、これに限らない。例えば、図12に示される光学レンズ200Dのように、第一レンズ210Dに貫通孔を設けるのではなく、第一レンズ210に有底の穴部を設けることで、第二レンズ220Dを第一レンズ210Dに嵌め込んで第一レンズ210Dと第二レンズ220Dとを固定してもよい。この場合、第一レンズ210Dは、内側面に第一凹凸構造が形成された穴部210dを有し、第二レンズ220Cは、第二凹凸構造が形成された側面220dを有する。そして、第一レンズ210Dと第二レンズ220Dとの分割面は、第一レンズ210Dの第一凹凸構造と第二レンズ220Dの第二凹凸構造とが嵌合することで構成されている。
この構成により、第一レンズ210Dと第二レンズ220Dとが別体で構成されていても、第一レンズ210Dと第二レンズ220Dとを簡単に固定することができる。さらに、第二レンズ220Dを第一レンズ210Dの穴部210dに押し込みやすくするために、第一レンズ210D及び第二レンズ220Dの少なくとも一方は、シリコーン樹脂等の弾性体によって構成されているとよい。この場合、第二レンズ220Dは第一レンズ210Dよりも光源100に近接して配置されるので、少なくとも第二レンズ220Dの方をシリコーン樹脂によって構成するとよい。
(変形例)
以上、本発明に係る照明器具について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。
例えば、上記実施の形態1、2における光学レンズ200等は、取付部230を有していたが、これに限らない。具体的には、図13A~図13Cに示される光学レンズ200Pのように、取付部230が設けられていなくてもよい。なお、光学レンズ200Pは、取付部230が設けられていない点以外は、図3A~図3Cに示される光学レンズ200と同じ構成である。
また、上記実施の形態1における照明器具1では、光学レンズ200と光源100との距離を変化させる場合、光学レンズ200と光源100との距離を3段階に変更できるように構成されていたが、これに限らない。例えば、光学レンズ200と光源100との距離を変化させる場合、光学レンズ200と光源100との距離を2段階又は4段階以上の多段階に変更できるように構成されていてもよいし、光学レンズ200と光源100との距離を無段階に変更できるように構成されていてもよい。なお、このことは、実施の形態2についても同様である。
また、上記実施の形態1における照明器具1では、光学レンズ200と光源100との距離を変化させる場合、光源100を移動させることなく光学レンズ200のみを移動させたが、これに限らない。例えば、光学レンズ200及び光源100のうち光源100のみを移動させて光学レンズ200と光源100との距離を変化させてもよいし、光学レンズ200及び光源100の両方を移動させて光学レンズ200と光源100との距離を変化させてもよい。なお、このことは、実施の形態2についても同様である。
また、上記実施の形態1における照明器具1は、光学レンズ200と光源100との距離を変えることができる機構を有していたが、これに限らない。つまり、光学レンズ200は、光学レンズ200と光源100との距離を変えることができない構成の照明器具に適用してもよい。この場合、光学レンズ200と光源100との距離が互いに異なり、かつ、各々において光学レンズ200の位置が予め決められ複数種類の照明器具を用いることで、配光角が異なる複数の照明器具を実現することができる。なお、このことは、実施の形態2についても同様である。
また、上記実施の形態1では、光学レンズ200は一つの材料によって構成されていたが、これに限らない。具体的には、光学レンズ200が一体に構成されている場合であっても、第一レンズ210と第二レンズ220とを異なる材料によって構成してもよい。この場合、上記実施の形態2と同様に、第一レンズ210を構成する材料の屈折率をN1とし、第二レンズ220を構成する材料の屈折率をN2とすると、N1>N2の関係を満たしているとよい。なお、第一レンズ210と第二レンズ220とが異なる材料によって構成されていても、一体成型等によって第一レンズ210と第二レンズ220とが一体に構成された光学レンズ200を作製することができる。
また、上記実施の形態1、2では、照明器具1、2としてダウンライトを例示したが、これに限らない。例えば、照明器具としては、スポットライトであってもよい。つまり、光学レンズ200等は、スポットライトにも適用することができる。スポットライトは、一例として、光源100及び光学レンズ200を有する灯具と、電源回路を収納する筐体(電源ボックス)と、灯具及び筐体を連結するとともに灯具を回動可能に支持するアームとを備える。
また、上記実施の形態1、2において、光源100は、青色LEDチップと黄色蛍光体とによって白色光を放出するように構成したが、これに限らない。例えば、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂を用いて、この蛍光体含有樹脂と青色LEDチップとを組み合わせることで白色光を放出するように構成しても構わない。
また、上記実施の形態1、2において、LEDとして、青色LEDチップを用いたが、これに限らない。例えば、LEDとして、青色以外の色を発光するLEDチップを用いても構わない。この場合、青色LEDチップよりも短波長である紫外光を放出する紫外LEDチップを用いる場合、主に紫外光により励起されて三原色(赤色、緑色、青色)に発光する各色蛍光体を組み合わせたものを用いることができる。なお、LEDの光の波長を変換する波長変換材として、蛍光体を用いたが、これに限らない。例えば、蛍光体以外の波長変換材としては、半導体、金属錯体、有機染料、顔料など、ある波長の光を吸収し、吸収した光とは異なる波長の光を発する物質を含んでいる材料を用いることができる。
また、上記実施の形態1、2において、光源100は、基板上にLEDチップを直接実装したCOB構造のLEDモジュールとしたが、これに限らない。例えば、COB構造のLEDモジュールに代えて、SMD(Surface Mount Device)構造のLEDモジュールを用いても構わない。SMD構造のLEDモジュールは、樹脂製のパッケージ(容器)の凹部の中にLEDチップを実装して当該凹部内に封止部材(蛍光体含有樹脂)を封入したパッケージ型のLED素子(SMD型LED素子)を用いて、これを1個又は複数個、基板に実装した構成である。
また、上記実施の形態1、2では、光源100にLEDを用いたが、これに限らない。例えば、光源100に、半導体レーザ等の半導体発光素子、又は、有機EL(Electro Luminescence)や無機EL等、LED以外の固体発光素子を用いてもよいし、蛍光ランプや高輝度ランプ等の既存のランプを用いてもよい。
その他、上記実施の形態1、2に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態1、2における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。