JP7190187B2 - 二枚舵を有する船舶の操舵制御装置 - Google Patents

二枚舵を有する船舶の操舵制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、一基の推進プロペラの後方に一対の高揚力舵を設けた二枚舵システムを有する船舶の操舵制御装置に関する。
従来、二枚舵を備えた船舶の操舵システムとしては、例えば特許文献1に記載するものがある。
図15は、二枚舵を備えた船舶の操舵システムにおける左舷および右舷舵角δp、δsの種々の組み合わせに対応する縦推力および横推力の大きさの関係を示す等推力曲線である。尚、横推力は実線で示され、船尾を左舷方向に押す力を+、右舷方向に押す力を-とする。また、縦推力は破線で示され、船を前方に押す力を+とする。また、各舵角の単位は度(°)であり、各推力の数値は左舷および右舷舵角δp、δsが共に0°の時の推力を100とした場合の比である。
図15中のX軸とY軸はジョイスティックレバーの操作方向を示しており、ジョイスティックレバーの操作位置のX-Y座標に対応する左舷舵角δpと左舷舵角δsとが設定される。
例えば、ジョイスティックレバーを操作位置P1に操作した場合、左舷舵角δpが左舷側に約6°、右舷舵角δsが右舷側に約34°となり、この時の縦推力が約80、横推力が約+30となる。
図15に示すA線は、左舷舵角δpと右舷舵角δsとの絶対値が等しく、左舷舵は取舵方向へ右舷舵は面舵方向へ転舵した場合を示し、A線上のどの位置においても横推力は零である。また、B線は、左舷舵角δpの大きさと右舷舵角δsの大きさとが異なっているにもかかわらず横推力が零になる両舵角δp、舵角δsの組み合わせを示している。
A線の右上とB線の左上とに囲まれた第1領域41においては、船に右回頭力が発生し、A線の左下とB線の左上とに囲まれた第2領域42においては、船に左回頭力が発生し、A線の左下とB線の右下とに囲まれた第3領域43においては、船に右回頭力が発生し、A線の右上とB線の右下とに囲まれた第4領域44においては、船に左回頭力が発生する。
このように、B線を境界として、第1領域41と第4領域44とでは横推力の方向が左右に入れ替わり、同様に、第2領域42と第3領域43とでは横推力の方向が左右に入れ替わる。また、左舷舵の舵角δpと右舷舵の舵角δsとの組み合わせに応じて、左舷舵による横推力と右舷舵による横推力との大小関係が変化し、これにより、図15で示したように、B線を境界として横推力の方向が左右に入れ替わる。
特許文献1では、図15に示すように、B線(すなわち、左舷舵角δpの大きさと右舷舵角δsの大きさとが異なった状態で横推力が零になる操作位置の分布を示すライン)を含む領域(ハッチングによる陰付部分)を、操舵禁止領域32として設定している。
このため、ジョイスティックレバーが操舵禁止領域32内に侵入するのを阻止するために、図16に示すガイドプレート33を設けいる。ガイドプレート33は、四角形の枠体34と、操舵禁止領域32の位置に対応する部分を覆う仕切板35とを有している。仕切板35は枠体34の内側に設けられ、仕切板35には、ジョイスティックレバー5の通過をY軸方向において許容する狭い連通路36が切欠かれて形成されている。連通路36は図15のA線に対応する位置に形成されている。
特許第5213729号
しかし、図15に示す縦推力と横推力の大きさの関係を示す等推力曲線において、例えば、ジョイスティックレバーを操作位置P2に操作した場合、左舷舵角δpが右舷側に約22°、右舷舵角δsが左舷側に約12°となり、この時の縦推力が約+90、横推力が約+20となる。一方、ジョイスティックレバーを操作位置P3に操作した場合、左舷舵角δpが左舷側に約12°、右舷舵角δsが右舷側に約25°となり、この時の縦推力が約+90、横推力が約+20となる。
したがって、舵角の組み合わせが異なる等推力曲線上の2点において、双方の縦推力が同じで、かつ双方の横推力が同となり、このような箇所が多数存在する。このことは、二枚舵を備えた船舶の操舵システムにおいて操船するうえで、好ましくない冗長部が存在することを意味する。また、着桟操船や離桟操船においては、縦推力と横推力の微妙な調整が要求される。
本発明は、二枚舵を備えた船舶をジョイスティックレバーで操船する際に、舵角の組み合わせが異なる操作位置において縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる冗長部のない二枚舵を有する船舶の操舵制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置は、船尾に配置した一基の推進プロペラと、推進プロペラの後方に配置した左右一対の高揚力舵と、各高揚力舵をそれぞれ駆動する一対のロータリーベーン舵取機と、二枚の高揚力舵の舵角の組み合わせにより左右舷側方向の横推力と前後進方向の縦推力を調整して船体運動方向と船体に与える推力を制御する操舵制御装置を備える船舶において、操舵制御装置は、各ロータリーベーン舵取機で操作する各高揚力舵の舵角を制御する操船部と、操船部に舵角を指示するジョイスティックレバーと、舵角制御有効範囲内にジョイスティックレバーの稼働範囲を制限するガイドプレートを有し、舵角制御有効範囲は、ジョイスティックレバーの異なる操作位置において縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる事象を生じない舵角の組み合わせの集合であることを特徴とする。
本発明の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置において、縦推力を縦軸に取り、横推力を横軸に取った推力特性を示すグラフにおいて、ジョイスティックレバーをガイドプレートの案内溝の開口縁に沿って操作するときに生じる推力特性をエンベロープ推力特性として示す場合に、エンベロープ推力特性に囲まれた推力有効領域内に、縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる異なる舵角の組み合わせが存在しないように、ガイドプレートの案内溝の形状を定めたことを特徴とする。
本発明の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置において、推進プロペラは固定ピッチプロペラからなり、操舵制御装置は、推進プロペラの推力が一定のもとで縦推力と横推力の調整により船体に作用する推力が前進推力領域から後進推力領域となると、ジョイスティックレバーの操作により推力特性の後進推力が増加するほどにプロペラ回転数を増すことを特徴とする。
本発明の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置において、推進プロペラは可変ピッチプロペラからなり、操舵制御装置は、推進プロペラの推力が一定のもとで縦推力と横推力の調整により船体に作用する推力が前進推力領域から後進推力領域となると、ジョイスティックレバーの操作により推力特性の後進推力が増加するほどにプロペラピッチ角を大きくすることを特徴とする。
以上、本発明によると、二枚舵を備えた船舶をジョイスティックレバーで操船する際に、異なる操作位置において縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる冗長部が存在せず、適格な操船を実現することができる。
本発明の実施の形態における二枚舵を有する船舶の操舵制御装置の系統図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御において、前進左旋回時の左右舷舵の角度位置を示す説明図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御において、(a)は第一の方法による制動(停止)時、(b)は第二の方法による制動(停止)時の左右舷舵の角度位置を示す説明図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御において、(a)は前進左旋回時、(b)は前進左回頭時、(c)は後進時の左右舷舵の角度位置を示す説明図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御において、(a)は後進左旋回時、(b)は後進左回頭時、(c)はホバーリング(その場停止)時の左右舷舵の角度位置を示す説明図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置のジョイスティック装置の斜視図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置のジョイスティック装置の正面図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置のジョイスティック装置の概略図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置のジョイスティック装置におけるガイドプレートの案内溝とポテンショメータの位置関係を示す模式図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置のジョイスティック装置のガイドプレートを示す図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置のジョイスティック装置におけるガイドプレートの案内溝とポテンショメータの他の位置関係を示す模式図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置において、左舷舵角および右舷舵角の組み合わせに対応する縦推力および横推力の大きさの関係を示す等推力曲線を示し、ジョイスティックレバーの舵角制御有効範囲を示す図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置において、ジョイスティックレバー特定位置およびガイドプレートの案内溝に沿った領域における組み合わせ舵角に対するエンベロープ推力特性を示す図 同、二枚舵を有する船舶の操舵制御装置において、推進プロペラ推力を増加させた場合の組み合わせ舵角に対するエンベロープ推力特性を示す図 従来の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置における左舷舵角および右舷舵角の組み合わせに対応する縦推力および横推力の大きさの関係を示す等推力曲線を示す図 従来の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置におけるガイドプレートを示す図
以下、本発明の実施の形態における二枚舵を有する船舶の操舵制御装置を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、推進プロペラ100の後方に二枚の高揚力舵である右舷舵15aと左舷舵18aを有する船舶の操舵制御装置22は、操舵命令系統23と制御装置系統24とを有している。本実施の形態において推進プロペラ100は固定ピッチプロペラであるが、可変ピッチプロペラとすることも可能である。
高揚力舵は、プロペラの軸心方向に沿った断面形状が高揚力の断面輪郭の舵ブレードを有する舵である。高揚力の舵ブレードには種々の形状のものがあるが、本実施の形態の高揚力舵の舵ブレードは、水平断面の輪郭において前方へ半円形状に突出させた前縁部と、前縁部に連続して流線型に幅を増大させた後に最小幅部に向けて徐々に幅を減少させた中間部と、中間部に連続して所定幅の後方端に向けて徐々に幅を増大させた魚尾後縁部からなる形状を有している。
操舵命令系統23はオートパイロット装置25とジョイスティック・パネル3と操舵輪8と非追従操舵レバー9とから構成されている。オートパイロット装置25は針路設定装置1とジャイロコンパス2とからなる。また、ジョイスティック・パネル3はテールインボード設定装置4とジョイスティックレバー5と回頭ダイヤル26と舵角設定装置6と緊急停止押釦7とを有している。
制御装置系統24は自動演算装置10とテールインボード対応操舵量調整器11とジョイスティック・ユニット12と緊急停止制御ユニット14とを有し、緊急停止制御ユニット14は舵角設定器13を含んでいる。
また、二枚の高揚力舵の右舷舵15aと左舷舵18aとを個々に作動させる装置として、左舷舵取機15と左舷舵取機油圧制御ユニット16と左舷舵取機舵角制御サーボアンプ17、および右舷舵取機18と右舷舵取機油圧制御ユニット19と右舷舵取機舵角制御サーボアンプ20が備えられている。
尚、左舷および右舷舵取機油圧制御ユニット16,19はそれぞれ、左舷および右舷舵取機15,18に作動油圧を供給する油圧ポンプ(図示省略)と、作動油圧の供給方向を切換える方向切換弁(図示省略)とを備えている。
二枚の高揚力舵の右舷舵15aと左舷舵18aは、それぞれ内舷側35°から外舷側105°まで、左舷舵取機15と右舷舵取機18により任意の舵角に転舵することができる。推進プロペラ100から発生するプロペラ後流をこの二枚の舵の舵角の組み合わせによって任意の方向に転流させる。そして、縦推力と横推力の合成推力の大きさと向きを任意に変えることで船体に働く推力とその方向を自在に調整する。この結果、船体運動を自在にコントロールできる。
自動演算装置10は、自動操舵のために針路設定装置1で設定された設定針路とジャイロコンパス2の信号とを比較して、設定針路からのずれを演算し、そのずれ信号を出力するものであり、そのずれ信号によって、左舷舵15aおよび右舷舵18aに対して自動的に当て舵を行って、設定針路に復帰させる。
自動演算装置10は、そのずれを修正して設定針路に戻すために、左右舷舵15a、18aにそれぞれ当て舵を命令する信号をテールインボード対応操舵量調整器11に入力する。
テールインボード対応操舵量調整器11は、入力された当て舵命令信号に基づき、左右舷舵15a、18aの作動に対する調整を行い、そして、左舷舵取機15を制御する左舷舵取機舵角制御サーボアンプ17、および、右舷舵取機18を制御する右舷舵取機舵角制御サーボアンプ20に対して、上記調整されたそれぞれの転舵信号を送り、当て舵を行なう。
舵角設定器13を含む緊急停止制御ユニット14は、船がいかなる操船状態にあろうとも、その操船状態をキャンセルして、船を停止させるものである。緊急時にジョイスティック・パネル3にある緊急停止押釦7を押すことにより、左舷舵15aを取舵方向(上から見て時計回りの方向)に、右舷舵18aを面舵方向(上から見て反時計回りの方向)に、それぞれハードオーバー(舵いっぱい)まで転舵して、あるいは、左舷舵15aを面舵方向に、右舷舵18aを取舵方向に、それぞれハードオーバー(舵いっぱい)まで転舵して、船に制動力を与えて停止させる。船に与え得る制動力の大きさは船の状態によって変化するので、最大の制動力を得る舵15a、18aの転舵角度を舵角設定器13によって設定する。
操舵輪8による操舵は、自動操舵あるいはジョイスティックレバー5による操舵によらずに、手動にて操舵するものであり、左右舷舵取機舵角制御サーボアンプ17、20に対して、同時に同じ操舵命令信号を与え、左右舷舵15a、18aを同時に同じ方向の舵角に作動させる。
ジョイスティック・ユニット12は、二枚の高揚力舵15a、18aのそれぞれの舵角を操作して、舵角の組合せによって種々の船の操縦パターンを発揮するものであり、予め設定されているそれぞれの舵15a、18aの舵角に達するように、左右舷舵取機15、18に対してそれぞれ転舵信号を発信する。
これは、ジョイスティック・パネル3にある一つのジョイスティックレバー5の操作によって行われる。ジョイスティック・パネル3に設けた回頭ダイヤル26により制御することも可能である。
ジョイスティック・ユニット12は、左舷舵15aの左舷舵取機舵角制御サーボアンプ17および右舷舵18aの右舷舵取機舵角制御サーボアンプ20に対して、左舷舵15aおよび右舷舵18aがそれぞれ指示した舵角位置にくるように制御信号を発信する。
左舷舵15aおよび右舷舵18aの舵角の組合せにより、船に種々の多様な操縦パターンを与えることができる。
例えば左旋回に対しては、図2に示すように、左舷舵15aを取舵方向に65°、右舷舵18aを取舵方向に35°取った舵角の組合せとし、また、右旋回に対しては、左舷舵15aを面舵方向に35°、右舷舵18aを面舵方向に65°取った舵角の組合せとする。これにより、左舷舵15aおよび右舷舵18aは、相互の干渉がなく、全体として最大の舵力を発生することができる。
また、図3(a)に示すように、左舷舵15aを取舵方向に65°~75°、右舷舵18aを面舵方向に65°~75°取った舵角の組合せとするか、あるいは、図3(b)に示すように、左舷舵15aを面舵方向に35°、右舷舵18aを取舵方向に35°取った舵角の組合せとする。いずれの場合も、左右舷舵15a、18aに作用する水流により発生する抗力によって、危急時に、船を短時間、かつ、短距離で停止させることができる。
また、図4(a)に示すように、左旋回に対しては、左舷舵15aを取舵方向に35°、右舷舵18aを取舵方向に35°取った舵角の組合せとし、また、右旋回に対しては、左舷舵15aを面舵方向に35°、右舷舵18aを面舵方向に35°取った舵角の組合せとする。これにより、左舷舵15aおよび右舷舵18aは、相互の干渉がなく、全体として最大の舵力を発生することができる。
また、図4(b)に示すように、左回頭に対しては、左舷舵15aを取舵方向に70°、右舷舵18aを取舵方向に35°取った舵角の組合せとし、また、右回頭に対しては、左舷舵15aを面舵方向に35°、右舷舵18aを面舵方向に70°取った舵角の組合せとする。
また、図4(c)に示すように、後進に対しては、左舷舵15aを取舵方向に105°、右舷舵18aを面舵方向に105°取った舵角の組合せとする。これにより、水流により左右舷舵15a、18aに発生する揚抗力のうち、揚力は左右で釣り合い、総抗力が推進プロペラの推力を上回ることになって、船は後進する。
また、図5(a)に示すように、後進左旋回に対しては、左舷舵15aを取舵方向に75°、右舷舵18aを面舵方向に105°取った舵角の組合せとする。
また、図5(b)に示すように、後進左回頭に対しては、左舷舵15aを取舵方向に65°、右舷舵18aを面舵方向に105°取った舵角の組合せとする。
また、図5(c)に示すように、ホバーリング(その場停止)は、左舷舵15aを取舵方向に75°、右舷舵18aを面舵方向に75°取った舵角の組合せとする。
次に、図6から図10に示すように、ジョイスティック・パネル3にはジョイスティックレバー5とディスプレイ装置21(表示装置)とが設けられており、ジョイスティックレバー5とディスプレイ装置21とでジョイスティック・ユニット12が構成される。
ジョイスティックレバー5はX-Y方向へ操作可能に構成され、ジョイスティックレバー5の操作範囲内のすべての操作位置のX-Y座標に対応して左右舷舵15a、18aの舵角が設定されている。
図8、9に示すように、ジョイスティックレバー5は、途中に球体51を有し、筐体52が球体51を回転自在に保持しており、球体51に摺接するシュー53が球体51に適度な摩擦力を与える。ジョイスティックレバー5は、下端が筐体52に装着したガイドプレート54の案内溝55に係合し、途中が馬蹄形状金具56、57に係合している。馬蹄形状金具56、57は、それぞれがジョイスティックレバー5を滑動可能に挟む二つ割の構造を有し、球体51を中心としてジョイスティックレバー5が何れの向きにも傾動可能である。
馬蹄形状金具56、57はそれぞれ回転支軸58で回転自在に保持されており、一方の馬蹄形状金具56の回転支軸58には、ジョイスティックレバー5のY軸方向への傾動角度を検出するセンサーとしてY軸ポテンショメータ59が接続し、他方の馬蹄形状金具57の回転支軸58には、ジョイスティックレバー5のX軸方向への傾動角度を検出するセンサーとしてX軸ポテンショメータ60が接続している。
ジョイスティックレバー5がY軸方向に傾動するときに、馬蹄形状金具56が共に傾動し、Y軸ポテンショメータ59がジョイスティックレバー5のY軸方向への傾動量を計測する。ジョイスティックレバー5がX軸方向に傾動するときに、馬蹄形状金具57が共に傾動し、X軸ポテンショメータ60がジョイスティックレバー5のX軸方向への傾動量を計測する。計測したY軸方向への傾動量とX軸方向への傾動量からジョイスティックレバー5の操作位置のX-Y座標を検知する。
二枚の高揚力舵15a、18aの舵角を組合せて有効な推力を得ることができる舵角の組み合わせの範囲は限られており、推力特性上において無効な舵角の組み合わせや、不連続な推力特性となる舵角の組み合わせが存在する。また、前述したように、二枚の高揚力舵15a、18aの舵角を組み合わせて得られる推力特性上には、舵角の組み合わせが異なる場合にあって、縦推力が同じで、かつ横推力が同じなる点が存在する。このような範囲の舵角の組み合わせにおいては、船の動きが不安定となり、制御が冗長となる。
このため、ガイドプレート54を設けている。図10に示すように、ガイドプレート54は、ジョイスティックレバー5の下端を案内溝55で案内し、ジョイスティックレバー5は、ガイドプレート54の案内溝55の内部においては自由に動かすことができるもので、ジョイスティックレバー5の稼働を舵角制御有効範囲内に制限するものである。舵角制御有効範囲は、ジョイスティックレバー5の異なる操作位置において縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる事象を生じない舵角の組み合わせの集合である。
図9に示すように、ガイドプレート54のY軸方向に対してY軸ポテンショメータ59を45°傾斜配置し、ガイドプレート54のX軸方向に対してX軸ポテンショメータ60を45°傾斜配置しているが、図11に示すように、ガイドプレート54のY軸方向に対してY軸ポテンショメータ59を平行に配置し、ガイドプレート54のX軸方向に対してX軸ポテンショメータ60を平行に配置してもよい。これは数学的な座標変換によって等価になることは明らかである。
このY軸ポテンショメータ59およびX軸ポテンショメータ60の出力が、例えば0Vの場合に舵角0°とし、10Vの場合に舵角105°となるように、Y軸ポテンショメータ59およびX軸ポテンショメータ60の出力を舵角に対応させる。
なお、図12においてC領域、D領域は、舵角が105°以上になるので、リミッターを設けてY軸ポテンショメータ59およびX軸ポテンショメータ60の出力を制限する。
図13に示すように、縦推力をY軸方向の縦軸に取り、横推力をX軸方向の横軸に取った推力特性を示すグラフにおいて、ジョイスティックレバー5をガイドプレート54の案内溝55の開口縁に沿って操作するときに生じる推力特性をエンベロープ推力特性として示す。
図13においてX軸上で縦推力は0となり、X軸を境として前進推力領域と後進推力領域となる。ここでは、ジョイスティックレバー5の下端がガイドプレート54の案内溝55に規制されることでジョイスティックレバー5の稼働が制限され、エンベロープ推力特性に囲まれた推力有効領域内に、縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる異なる舵角の組み合わせが存在しない。ガイドプレート54の案内溝55はジョイスティックレバー5の異なる操作位置において縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる事象を生じない舵角の組み合わせの集合を実現する形状をなす。
具体的には、案内溝55は、図10に示すように、Y軸方向の幅が狭く、X軸方向に直線状に長く伸びるA領域55aと、A領域55aよりX軸方向の幅が狭く、さらにX軸方向の幅が徐々に狭まるように括れた逆台形状のB領域55bと、B領域55bよりX軸方向の幅が広い矩形状のC領域55cからなる。
B領域55bは、無効な、あるいは不連続な推力特性の範囲にジョイスティックレバー5が操作させることを防止するものであり、推力特性上の無効なあるいは不連続な点を排除するためには、B領域55bの幅は狭いほうがよい。しかし、本実施の形態では、ジョイスティックレバー5の円滑な動きを確保するために、ジョイスティックレバー5の直径よりも多少広めにB領域55bの幅を設定し、図10に示すように、X軸方向の幅が徐々に狭まるように括れた逆台形状にB領域55bを形成している。
図12は、左舷舵15aおよび右舷舵18aにおいて、左舷および右舷舵角δp、δsの種々の組み合わせに対応する縦推力および横推力の大きさの関係を示す等推力曲線であり、先の背景技術で述べたものと同様である。
ここで、白抜きの領域Wが、推力有効領域を示しており、概ねにおいて、領域W1がガイドプレート54の案内溝55のA領域55aに対応し、領域W2がB領域55bに対応し、領域W3がC領域に対応する。
領域W1は前進方向の縦推力が概ね100から50の領域で、横推力が+55から-55であり、右舷舵角δsがP35°からS75°の範囲で、左舷舵角δpがS35°からP75°の範囲にあり、船体が前進また左右舷側へ旋回する。
領域W2は前進方向の縦推力が概ね85から40の領域で、横推力が+50から-50であり、右舷舵角δsがP10°からS60°の範囲で、左舷舵角δpがS10°からP60°の範囲にあり、船体が前進および左右舷側へ回頭する。
領域W3は前進方向および後進方向の縦推力が概ね+40から-25の領域で、横推力が+50から-50であり、右舷舵角δsがS40°からS105°の範囲で、左舷舵角δpがP40°からP105°の範囲にあり、船体が前進の左右舷側へ回頭し、あるいは後進の左右舷側へ回頭し、あるいは後進し、あるいはホバーリングの状態となる。
図13に示すように、左舷舵15aと右舷舵18aの舵角の組み合わせに対応する縦推力と横推力によって船体に作用する推力は、前進推力領域において大きく、後進推力領域において小さくなる。
したがって、推進プロペラ100の推力が一定である場合、船の後方からの潮流や風が強い場合には、後進や後進しながらの船尾の左右旋回操船が行い難くなることがある。このため、着桟操船および離桟操船において船の運動制御を円滑に行うためには、後進推力領域における推力を増加させることが有用である。
このため、操舵制御装置22は、ジョイスティックレバー5の操作により推力特性の後進推力が増加するほどに、主機のガバナーを制御して主機回転数を増加させ、固定ピッチプロペラの推進プロペラ100のプロペラ回転数を増す。あるいは、推進プロペラ100が可変ピッチプロペラである場合にはプロペラピッチ制御装置を制御してプロペラピッチ角を大きくする。例えば、Y軸ポテンショメータ59およびX軸ポテンショメータ60の出力電圧の大きさ、つまり舵角の大きさに合わせて主機のガバナーを調整して回転数を増加させ、あるいはプロペラピッチ角を大きくする。
このように、推進プロペラ100のプロペラ回転数を増し、あるいは、推進プロペラ100のプロペラピッチ角を大きくすることで、推進プロペラ100の推力を大きくすれば、操船をより容易に行える。また、後方からの潮流や風が強くない場合でも、後進側の推力特性が前進側の推力特性に近づくことで、操船をより容易に行える。
図14は、プロペラ回転数の増加、またはプロペラピッチ角の増加によって推進プロペラ推力を上げた場合のエンベロープ推力特性を示すものである。破線αで示すものは、推進プロペラ推力の増加を後進推力領域から始めた場合を示しており、破線βで示すものは、推進プロペラ推力の増加を後進推力領域の少し手前の前進推力領域から始めた場合を示している。このように、後進推力領域における推力を増加させることは、着桟操船および離桟操船において船の運動制御を円滑に行うために有用である。
5 ジョイスティックレバー
12 ジョイスティック・ユニット
15a、18a 高揚力舵
22 操舵制御装置
54 ガイドプレート
55 案内溝

Claims (4)

  1. 船尾に配置した一基の推進プロペラと、推進プロペラの後方に配置した左右一対の高揚力舵と、各高揚力舵をそれぞれ駆動する一対のロータリーベーン舵取機と、二枚の高揚力舵の舵角の組み合わせにより左右舷側方向の横推力と前後進方向の縦推力を調整して船体運動方向と船体に与える推力を制御する操舵制御装置を備える船舶において、
    操舵制御装置は、各ロータリーベーン舵取機で操作する各高揚力舵の舵角を制御する操船部と、操船部に舵角を指示するジョイスティックレバーと、舵角制御有効範囲内にジョイスティックレバーの稼働範囲を制限するガイドプレートを有し、
    舵角制御有効範囲は、ジョイスティックレバーの異なる操作位置において縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる事象を生じない舵角の組み合わせの集合であることを特徴とする二枚舵を有する船舶の操舵制御装置。
  2. 縦推力を縦軸に取り、横推力を横軸に取った推力特性を示すグラフにおいて、ジョイスティックレバーをガイドプレートの案内溝の開口縁に沿って操作するときに生じる推力特性をエンベロープ推力特性として示す場合に、エンベロープ推力特性に囲まれた推力有効領域内に、縦推力が同じで、かつ横推力が同じとなる異なる舵角の組み合わせが存在しないように、ガイドプレートの案内溝の形状を定めたことを特徴とする請求項1に記載の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置。
  3. 推進プロペラは固定ピッチプロペラからなり、
    操舵制御装置は、推進プロペラの推力が一定のもとで縦推力と横推力の調整により船体に作用する推力が前進推力領域から後進推力領域となると、ジョイスティックレバーの操作により推力特性の後進推力が増加するほどにプロペラ回転数を増すことを特徴とする請求項1または2に記載の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置。
  4. 推進プロペラは可変ピッチプロペラからなり、
    操舵制御装置は、推進プロペラの推力が一定のもとで縦推力と横推力の調整により船体に作用する推力が前進推力領域から後進推力領域となると、ジョイスティックレバーの操作により推力特性の後進推力が増加するほどにプロペラピッチ角を大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の二枚舵を有する船舶の操舵制御装置。
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